JP2014132894A - セリ科植物エキスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 セリ科植物を原料として、該原料をβ−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理することにより、機能性成分であるアピゲニン及び/又はルテオリンを含有するセリ科植物エキスの製造方法を提供する。さらに、オキシダーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理すること及び/又は油脂を添加し攪拌処理した後に、該油脂を分離・除去することにより、機能性成分であるアピゲニン及び/又はルテオリンを含有し、かつ、セリ科植物の特徴的な強い臭いや苦味を低減したセリ科植物エキスの製造方法を提供する。
【選択図】なし
Description
ルテオリンは、ローズマリーやスギナ等の植物に含まれているフラボンであり、抗炎症作用(非特許文献4)や抗ガン作用(非特許文献5)等の機能性を有する。
アピゲニンやルテオリンの含有物については、アピゲニン含有植物の抽出物を吸着剤処理して溶出させる製造方法(特許文献3)や、パセリをコウジカビ属の糸状菌を用いて発酵処理したパセリ発酵物(特許文献4)が開示されている。
なお、本明細書におけるセリ科植物とは、セリ科に属する植物又はセリ科の植物のことをいう。
項(1)
セリ科植物を原料として、該原料をβ−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理することにより得られる、アピゲニン及び/又はルテオリンを含有することを特徴とするセリ科植物エキスの製造方法。
項(2)
アピゲニン及びルテオリンが遊離のものである、項(1)に記載の製造方法。
項(3)
セリ科植物が、パセリ、セロリ、クミン又はニンジンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、項(1)又は項(2)に記載の製造方法。
項(4)
前記原料が、粉砕物又は抽出物である項(1)乃至項(3)のいずれか1項に記載の製造方法。
項(5)
さらに、オキシダーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理すること及び/又は油脂を添加し攪拌処理した後に、該油脂を分離・除去することにより、セリ科植物の特徴的な強い臭いや苦味を低減することを特徴とする、項(1)乃至項(4)のいずれか1項に記載の製造方法。
項(6)
オキシダーゼ活性を有する酵素を用いた酵素処理及び/又は油脂を添加して行う攪拌処理が、β−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いた酵素処理と並行して又はβ−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いた酵素処理後に行われる、項(5)に記載の製造方法。
項(7)
項(1)乃至項(6)のいずれか1項に記載の製造方法により得られるセリ科植物エキス。
項(8)
項(7)記載のセリ科植物エキスを含有する飲料、食品、医薬部外品又は飼料。
本発明によるセリ科植物エキスを用いることにより、アピゲニン及び/又はルテオリンの機能性を利用した飲料、食品、医薬部外品又は飼料を提供することができる。
なお、本発明においてセリ科植物エキスが含有するアピゲニン及びルテオリンとは、アグリコンの状態で存在する、いわゆる遊離の状態のものをいう。
オキシダーゼ活性を有する酵素を用いた酵素処理を行うとき又は油脂を添加し攪拌処理を行うとき、いずれの処理も、β−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いた酵素処理と並行して又はβ−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いた酵素処理後に行うことができる。
また、該攪拌処理後に行われる該油脂の分離・除去は、前記β−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いた酵素処理後に行うことができる。
パセリグラニュール(ヤスマ株式会社製)100gに水1900gを加えて、90℃で30分間抽出した後、濾紙(No.2)を用いて濾過することにより固液分離を行い、得られた液部を減圧濃縮することで、パセリエキス350g(固形分9.8%)(調製1)を得た。得られたパセリエキスについて、機能性成分であるアピゲニン及びルテオリンの含有量を高速液体クロマトグラフィー(以下、「HPLC」という)で以下に示す測定条件にて測定した結果、アピゲニン及びルテオリンは検出されなかった。
検出器:UV検出器(紫外波長254nm)
カラム:InertSustain C18(内径4.6mm、長さ250mm)
移動相A:15容量%アセトニトリル水溶液(0.1容量%酢酸含有)
移動相B:35容量%アセトニトリル水溶液(0.1容量%酢酸含有)
グラジエント:移動相Aから移動相Bへのリニアグラジエント(50分間)
流速:1.0ml/分
カラム温度:35℃
標品:アピゲニン及びルテオリン(いずれも、和光純薬工業株式会社製)をそれぞれ70%エタノール水溶液に溶解して、検量線を作成した。
検体:試料を70%エタノール水溶液で、適宜希釈したもの。
調製1で得られたパセリエキス50gを三角フラスコに入れ、β−グルコシダーゼ製剤であるスミチームBGAを0.75g添加して、55℃で12時間酵素処理した後、90℃で10分間酵素失活処理することで、本発明のセリ科植物エキス48g(固形分11.4%)(実施例1)を得た。得られた本発明のセリ科植物エキスについて、調製1と同様にしてHPLCでアピゲニン及びルテオリンの含有量を測定した結果、その固形物あたりの含有量は、アピゲニン:19850ppm(ルテオリン:不検出)であった。
セロリ(生鮮)1000gに水1000gを加えてミキサーを用いて粉砕し、遠心分離(5000rpm、10分間)にて固液分離を行い、得られた液部を減圧濃縮することで、セロリエキス400g(固形分8.1%)(調製2)を得た。得られたセロリエキスについて、調製1と同様にしてHPLCでアピゲニン及びルテオリンの含有量を測定した結果、アピゲニン及びルテオリンは検出されなかった。
調製2で得られたセロリエキス50gを三角フラスコに入れ、β−グルコシダーゼ製剤であるスミチームBGAを0.1g添加して、60℃で6時間酵素処理した後、90℃で10分間酵素失活処理することで、本発明のセリ科植物エキス48g(固形分8.4%)(実施例2)を得た。得られた本発明の酵素処理セロリエキスについて、調製1と同様にしてHPLCでアピゲニン及びルテオリンの含有量を測定した結果、その固形物あたりの含有量は、アピゲニン:1390ppm、ルテオリン:297ppmであった。
クミン末(株式会社ギャバン製)10gに水190gを加えて、90℃で30分間抽出した後、濾紙(No.2)を用いて濾過することにより固液分離を行うことで、クミンエキス100g(固形分1.5%)(調製3)を得た。得られたクミンエキスについて、調製1と同様にしてHPLCでアピゲニン及びルテオリンの含有量を測定した結果、アピゲニン及びルテオリンは検出されなかった。
調製3で得られたクミンエキス50gを三角フラスコに入れ、β−グルコシダーゼ製剤であるスミチームBGAを0.025g添加して、60℃で18時間酵素処理した後、90℃で10分間酵素失活処理することで、本発明のセリ科植物エキス48g(固形分1.5%)(実施例3)を得た。得られた本発明のセリ科植物エキスについて、調製1と同様にしてHPLCでアピゲニン及びルテオリンの含有量を測定した結果、その固形物あたりの含有量は、アピゲニン:6400ppm、ルテオリン:4133ppmであった。
ニンジン葉(生鮮)400gに水1600gを加えて、90℃で30分間抽出した後、濾紙(No.2)を用いて濾過することにより固液分離を行うことで、ニンジン葉エキス1500g(固形分1.3%)(調製4)を得た。得られたニンジン葉エキスについて、調製1と同様にしてHPLCでアピゲニン及びルテオリンの含有量を測定した結果、アピゲニン及びルテオリンは検出されなかった。
調製4で得られたニンジン葉エキス50gを三角フラスコに入れ、β−グルコシダーゼ製剤であるスミチームBGAを0.05g添加して、60℃で4時間酵素処理した後、90℃で10分間酵素失活処理することで、本発明のセリ科植物エキス48g(固形分1.4%)(実施例4)を得た。得られた本発明のセリ科植物エキスについて、調製1と同様にしてHPLCでアピゲニン及びルテオリンの含有量を測定した結果、その固形物あたりの含有量は、アピゲニン:386ppm、ルテオリン:1193ppmであった。
調製1で得られたパセリエキス50gを三角フラスコに入れ、β−グルコシダーゼ製剤であるスミチームBGAを0.75g及びポリフェノールオキシダーゼ製剤であるラッカーゼM120を0.1gそれぞれ添加して、55℃で12時間酵素処理した後、90℃で10分間酵素失活処理することで、本発明のセリ科植物エキス48g(固形分11.0%)(実施例5)を得た。得られた本発明のセリ科植物エキスについて、調製1と同様にしてHPLCでアピゲニン及びルテオリンの含有量を測定した結果、その固形物あたりの含有量は、アピゲニン:20409ppm(ルテオリン:不検出)であった。
調製1で得られたパセリエキス50gを三角フラスコに入れ、β−グルコシダーゼ製剤であるスミチームBGAを0.75g添加して、55℃で12時間酵素処理し、次いで、カタラーゼ製剤であるスミチームCTSを0.1g添加して、40℃で4時間酵素処理した後、90℃で10分間酵素失活処理し、本発明のセリ科植物エキス48g(固形分11.0%)(実施例6)を得た。得られた本発明のセリ科植物エキスについて、調製1と同様にしてHPLCでアピゲニン及びルテオリンの含有量を測定した結果、その固形物あたりの含有量は、アピゲニン:23018ppm(ルテオリン:不検出)であった。
調製1で得られたパセリエキス50gを三角フラスコに入れ、β−グルコシダーゼ製剤であるスミチームBGAを0.75g添加して、さらに大豆油(加藤製油株式会社製)を5g添加して、攪拌しながら、55℃で12時間酵素処理した後、90℃で10分間酵素失活処理を行った。次いで、遠心分離(2500×G、5分間)により油相を分離除去することで、本発明のセリ科植物エキス45g(固形分10.8%)(実施例7)を得た。得られた本発明のセリ科植物エキスについて、調製1と同様にしてHPLCでアピゲニン及びルテオリンの含有量を測定した結果、その固形物あたりの含有量は、アピゲニン:20875ppm(ルテオリン:不検出)であった。
実施例5、実施例6、実施例7及び実施例1で得られた本発明のセリ科植物エキスについて、それぞれ水道水で5倍希釈したものを試料として、パネラー10人による官能評価を実施した。評価は、セリ科植物の特徴的な臭い及び苦味並びに全体の風味について、試料と同様に希釈した調製1のパセリエキスの評点を0点として、各試料と比較することで採点し、その平均値を算出した。結果を表1に示す。
調製2で得られたセロリエキス50gを三角フラスコに入れ、β−グルコシダーゼ製剤であるスミチームBGAを0.1g添加して、60℃で6時間酵素処理し、次いで、カタラーゼ製剤であるスミチームCTSを0.1g添加して、37℃で4時間酵素処理した後、90℃で10分間酵素失活処理することで、本発明のセリ科植物エキス45g(固形分8.7%)(実施例8)を得た。得られた本発明のセリ科植物エキスについて、調製1と同様にしてHPLCでアピゲニン及びルテオリンの含有量を測定した結果、その固形物あたりの含有量は、アピゲニン:1317ppm、ルテオリン:275ppmであった。
実施例8で得られた本発明のセリ科植物エキスについて、水道水で5倍希釈したものを試料として、パネラー10人による官能評価を実施した。評価は、セリ科植物の特徴的な臭い及び苦味並びに全体の風味について、試料と同様に希釈した調製2のセロリエキスの評点を0点として、試料と比較することで採点し、その平均値を算出した。結果を表2に示す。
セロリ(生鮮)160g及びパセリ(生鮮)40gをミキサーを用いて混合、粉砕した後、90℃で10分間加熱処理することで、セリ科植物粉砕物180gを得た。得られたセリ科植物粉砕物100gを三角フラスコに入れ、β−グルコシダーゼ製剤であるスミチームBGAを1.0g添加して、55℃で6時間酵素処理した後、90℃で10分間酵素失活処理することで、本発明のセリ科植物エキス90g(固形分9.2%)(実施例9)を得た。得られた本発明のセリ科植物エキスについて、調製1と同様にしてHPLCでアピゲニン及びルテオリンの含有量を測定した結果、その固形物あたりの含有量は、アピゲニン:6437ppm、ルテオリン:243ppmであった。
Claims (8)
- セリ科植物を原料として、該原料をβ−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理することにより得られる、アピゲニン及び/又はルテオリンを含有することを特徴とするセリ科植物エキスの製造方法。
- アピゲニン及びルテオリンが遊離のものである、請求項1に記載の製造方法。
- セリ科植物が、パセリ、セロリ、クミン又はニンジンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は請求項2に記載の製造方法。
- 前記原料が、粉砕物又は抽出物である請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の製造方法。
- さらに、オキシダーゼ活性を有する酵素を用いて酵素処理すること及び/又は油脂を添加し攪拌処理した後に、該油脂を分離・除去することにより、セリ科植物の特徴的な強い臭いや苦味を低減することを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の製造方法。
- オキシダーゼ活性を有する酵素を用いた酵素処理及び/又は油脂を添加して行う攪拌処理が、β−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いた酵素処理と並行して又はβ−グルコシダーゼ活性を有する酵素を用いた酵素処理後に行われる、請求項5に記載の製造方法。
- 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の製造方法により得られるセリ科植物エキス。
- 請求項7記載のセリ科植物エキスを含有する飲料、食品、医薬部外品又は飼料。
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