JP2014130074A - 被測定板の温度測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】鋼板が振動するような環境においても、背景温度による誤差の影響を受けにくく、被測定板の温度を精確に計測する。
【解決手段】本発明の被測定板の温度測定装置1は、有蓋筒状に形成されると共に開口14を被測定板の表面に向けて配備されたキャビティ本体11と、キャビティ本体11の底部16に配備されて、キャビティ本体11の内部で被測定板の表面温度を計測する放射温度計10と、キャビティ本体11の開口縁に沿って開口14の外側に張り出すように配備されたフランジ部12と、被測定板からの距離に応じて複数のゾーンに分けてキャビティ本体11の外周部の温度を制御する温度調整手段13と、を備えていることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧延材のように板状に形成された被測定板の表面温度を非接触で測定する温度測定装置に関するものである。
帯状の鋼板(被測定板)を通板したまま加熱・冷却する連続式の熱処理設備には、鋼板の温度を測定する温度測定装置が設けられている。このような温度測定装置では非接触式の放射温度計が利用されている。
放射温度計は、鋼板などの被測定板の測定点から放射される放射エネルギを計測し、計測された放射エネルギから、ステファン−ボルツマンの法則などに基づいて測定点の表面温度を求める構成となっている。ただし、放射温度計で正確な温度を計測するためには、被測定板の放射率を知る必要がある。この放射率は被測定板の表面に異物が残っていたり表面の状態が変化するとその値が変動することが知られている。
そこで、焼鈍設備や溶融亜鉛めっき設備など現場での温度計測では、「測定点から直接放射される放射エネルギ(放射率:ε)」と、「測定点から放射される放射エネルギが、被測定板と同じ温度とされたロール表面や参照板で反射し、反射した放射エネルギとして放射温度計に入力するもの(放射率:1−ε)」とを同時に計測し、放射率を相殺させて、見かけの放射率を1として温度を求める多重反射方式が採用されている。
この多重反射方式を採用する場合に、鋼板との間に放射エネルギーを多重反射させるための参照板が用いられる。この参照板としては平板のものが一般的であるが、参照板を有蓋円筒状(カップ状)のキャビティに形成して、キャビティ内で多重反射を起こさせる場合もある。
例えば、特許文献1には、高反射率の金メッキが表面に施された半球状のキャビティ(プローブ15)を被測定物に近接配置させて温度を計測する温度計測装置が開示されている。この温度計測装置では、上方に向かって半球状にえぐれたキャビティの内壁面の最も上側にファイバー型の放射温度計が配備されている。そして、特許文献1の温度測定装置では、半球状に形成されたキャビティの内壁面で放射エネルギを多重反射させることにより、有効放射率εfを1に近づけて鋼板の温度を計測できるようになっている。
また、特許文献2には、特許文献1と同様に高反射率の金メッキが表面に施されたキャビティ(キャビティ3)を用いる温度測定装置が開示されている。この特許文献2のキャビティは、半球状ではなく円筒状に形成されており、円筒の一方側の開口を鋼板に正対させるようにして配置されている。この温度測定装置では、円筒の他方側の開口、つまり被測定物に面していない側の開口から一定の距離だけ離れた位置に円板状の部材が配備されていて、円板状の部材で開口を閉鎖できるようになっている。そして、円板状の部材は、半分が高反射率の部材、もう半分が低反射率の部材で構成されており、円板状の部材を回転させることによりキャビティの開口に対面する部分の反射率の値を変化させることができるようになっている。つまり、特許文献2の温度測定装置では、開口の反射率を変化させた場合の放射エネルギを比較することで、鋼板の正しい温度を求めることができるようになっている。
上述した特許文献1や特許文献2の温度測定装置に用いられるキャビティは、高反射率の金メッキを用いたものであるが、金メッキ製のキャビティはメンテナンスが難しいという欠点を備えている。
つまり、これらの温度測定装置は、キャビティ自体の温度を被測定板と同じ温度に調整するものではないが、反射面の反射率がほぼ1を維持すれば、多重反射条件が確保できて放射率の影響が排除できる。しかし実際は反射面の汚れより反射率が低下してきて、多重反射条件が確保しにくい。
しかし、上述した特許文献1や特許文献2と同様に凹状に凹んだキャビティを参照板として利用する温度測定装置には、次の特許文献3〜特許文献5に示すように被測定板と同じ温度に調整されたキャビティを用いたものもある。
例えば、特許文献3には、ヒータにより鋼板と同じ温度になるように温度調整された円筒状のキャビティを用いた温度測定装置が開示されている。この特許文献3の温度測定装置では、円筒状のキャビティの内面で多重反射された放射エネルギと、円筒状のキャビティを用いずに放射温度計で直接測定された放射エネルギの比から、鋼板放射率を予測し、鋼板の温度を計測できるようになっている。
また、特許文献4には、ヒータによりそれぞれ異なる温度に温度調整された半球状のキャビティを2つ用いた温度測定装置が開示されている。この温度測定装置では、それぞれ温度が異なるキャビティの内面で多重反射された放射エネルギの比から、鋼板放射率を予測し、鋼板の温度を計測できるようになっている。
さらに、特許文献5には、鋼板に対して半球状のキャビティを近接させたり離反させたりして、鋼板からキャビティまでの距離を変化させた場合に計測された放射エネルギの比から鋼板放射率を予測し、鋼板の温度を計測できるようになっている。
特開平8−181179号公報 特公昭52−7954号公報 特公平4−27496号公報 特開昭50−124684号公報 特公昭63−4651号公報
ところで、上述した特許文献1〜特許文献5の温度測定装置では、キャビティを鋼板にある程度の距離まで近づけておかなくては、正確に鋼板の温度を計測することができない。というのも、鋼板とキャビティとの間に隙間が生じると、背景温度の放射エネルギが鋼板に反射してキャビティ内に入り込み、温度計測の誤差となるからである。
ところが、実際の連続通板ラインでは、鋼板が振動する場合が多くある。例えば、連続焼鈍炉のように鋼板が走行している設備では、走行に伴う板振動が大きく、キャビティをあまり鋼板に近接させることはできない。それゆえ、上述した温度測定装置を実際に用いる際には、鋼板を傷つけないように鋼板からキャビティまでの距離を十分に大きくする必要があり、温度計測の精度に及ぼす背景温度の影響を無視できなくなる場合がある。
また、ハイテン(高張力鋼)などのように微量元素が添加された鋼板に対して、鋼板の温度を計測する機会が増えている。このような鋼板は、所望の材料特性を得るために管理しなくてはならない温度条件が非常にシビアであり、狭い温度管理幅に対応できるように正確に鋼板の温度を計測することが求められる。
ところが、その一方で、ハイテンのような合金成分の鋼板は、製造ロットごとに放射率が大きく変動しやすく、冷却帯や加熱帯において背景温度がさまざまに変化するため、正確な鋼板の温度計測がさらに困難になる傾向がある。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、鋼板が振動するような環境においても背景温度による誤差の影響を受けにくく、被測定板の温度を精確に計測することができる被測定板の温度測定装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の技術的手段を講じている。
即ち、本発明の被測定板の温度測定装置は、有蓋筒状に形成されると共に開口を被測定板の表面に向けて配備されたキャビティ本体と、前記キャビティ本体の底部に配備されて、前記キャビティ本体の内部で被測定板の表面温度を計測する放射温度計と、前記キャビティ本体の開口縁に沿って開口の外側に張り出すように配備されたフランジ部と、前記被測定板からの距離に応じて複数のゾーンに分けてキャビティ本体の外周部の温度を制御する温度調整手段と、を備えていることを特徴とする。
なお、好ましくは、前記温度調整手段は、被測定板に近い側のキャビティ本体の外周部の温度を制御する第1の温度調整手段と、前記被測定板から遠い側のキャビティ本体の外周部の温度を制御すると共に前記第1の温度調整手段よりも高温になるように温度調整された第2の温度調整手段と、を有しているとよい。
なお、好ましくは、前記フランジ部は、一方面が前記被測定板の表面に対面するように配備され、他方面には断熱部材が設けられているとよい。
なお、好ましくは、前記キャビティ本体における開口縁から底部の内壁面までの深さをhとし、前記キャビティ本体における開口の直径をDとした場合に、以下の式(1)の関係が成り立つとよい。
なお、好ましくは、前記フランジ部は前記開口の外周側に、直径がDの円環状に形成されており、前記キャビティ本体における開口の直径をDとした場合に、以下の式(2)の関係が成り立つとよい。
本発明の被測定板の温度測定装置を用いることで、鋼板が振動するような環境においても、背景温度による誤差の影響を受けにくく、被測定板の温度を精確に計測することができる。
本発明の温度測定装置が設けられた溶融亜鉛めっき設備を示した図である。 (a)は第1実施形態の温度測定装置を被測定板に取り付けた場合の装着例を示す図であり、(b)は(a)の温度測定装置の断面を示す図である。 キャビティ本体の開口からの深さに応じて内周面の温度がどのように変化するかを示した図である。(a)はヒータ温度を一定にした場合の温度分布、(b)は内周面の温度を一定する場合のヒータの設定温度の変化、(c)は第1実施形態の温度分布を示している。 「フランジ部の直径D/キャビティ本体の開口径D」が、エネルギ比率に及ぼす影響、並びに放射温度計で計測される温度誤差に及ぼす影響を示したグラフである。 「背景温度から鋼板温度を差し引いた場合の温度差」に対する、「放射温度計の表示温度から実際の鋼板温度を差し引いた場合の温度差」の変化を、実施例、比較例、従来例の間で比較したグラフである。
[第1実施形態]
以下、第1実施形態に係る被測定板の温度測定装置1を図に基づいて説明する。
図1は、第1実施形態の温度測定装置1が設けられた溶融亜鉛めっき設備2を例示している。なお、溶融亜鉛めっき設備2は例示であり、第1実施形態の温度測定装置1は他の装置に設置されていてもよい。
この溶融亜鉛めっき設備2は、前工程で圧延などを終えた鋼板W(被測定板)を連続的に通過させて溶融亜鉛めっきを行うものであり、亜鉛めっき鋼板を製造するために用いられる。溶融亜鉛めっき設備2は、この設備の入側にめっき前の鋼板Wを熱処理する焼鈍炉3を備えている。この焼鈍炉3の内部には鋼板Wを上下に通板させるロール搬送機構4が設けられており、鋼板Wに対してめっきの前処理を兼ねた熱処理を施せるようになっている。
焼鈍炉3の下流側には熱処理後の鋼板Wを冷却する冷却帯5が設けられており、冷却帯5で冷却された後の鋼板Wはスナウト6を介してめっきポット7へ送られる。このめっきポット7内には溶融した亜鉛めっき浴が収容されており、めっきポット7内で溶融亜鉛めっき処理された鋼板Wは、めっきポット7の上方に位置する空冷部8で冷却され、次工程に送られる。
上述した冷却帯5や空冷部8では、鋼板W(被測定板)の温度を非接触で精確に把握する必要があり、以下に示す第1実施形態の温度測定装置1が設けられる。
図2(a)に示すように、第1実施形態の温度測定装置1は、鋼板Wに向かって凹状に形成されたキャビティ9と、このキャビティ9に設けられた放射温度計10とを有している。温度測定装置1は、鋼板Wから放射された放射エネルギを、凹状のキャビティ9の内壁面に多重反射させて、有効放射率εfを1に近づけて鋼板Wの温度を計測できるようになっている。
具体的には、このキャビティ9は、有蓋筒状(有蓋円筒状)に形成されると共に開口を鋼板Wの表面に向けて配備されたキャビティ本体11と、キャビティ本体11の開口14の縁に沿って開口14の外側に張り出すように配備されたフランジ部12と、鋼板Wからの距離に応じて複数のゾーンに分けてキャビティ本体11の外周部の温度を制御する温度調整手段13と、を備えている。
まず、第1実施形態の温度測定装置1のキャビティ9を構成するキャビティ本体11、フランジ部12及び温度調整手段13について説明する。
図2(b)に示すように、キャビティ本体11は、内部が上下方向に深底とされた有蓋円筒状の形状(略コップ状)に形成されている。具体的には、キャビティ本体11は、このキャビティ本体11の下端が鋼板Wの表面から一定の距離hだけ離れた高さ(図例では鋼板Wの表面から上方に距離hだけ離れた高さ)に位置するように、鋼板Wに対して一定の距離をあけて配置されている。また、キャビティ本体11の内部には凹部15が形成されており、この凹部15の深さ(開口14から底部の内壁面までの高さ)は、上述したhより大きなhとされている。さらに、この凹部15は開口径Dの円形の開口14を備えており、この開口14の縁には後述するように外径がD(>開口径D)とされた円環状のフランジ部12が連設して形成されている。
キャビティ本体11の凹部15は、上述した開口径Dよりやや大きな直径を備えた円板状の底部16で閉鎖されている。この底部16の中央には、底部16を上下方向に貫通するように放射温度計10が設けられている。この放射温度計10は、温度を計測する側をキャビティ本体11の内部に向けるようにして取り付けられている。このキャビティ本体11の底部16のさらに上側、及びキャビティ本体11の外周部のさらに径外側には、温度調整手段13のヒータ17が設けられている。このヒータ17は、キャビティ本体11を周囲から取り囲むように設けられていて、凹部15を取り囲むキャビティ本体11の外周部及び底部16の温度を所望の温度に調整できるようになっている。
放射温度計10は、キャビティ本体11の底部16を貫通するように取り付けられていて、キャビティ本体11の内周面などで多重反射した鋼板Wの放射エネルギを計測するようになっている。また、放射温度計10には、放射温度計10で計測された温度計測結果に基づいて鋼板Wの温度を算出する演算部18が設けられていて、この演算部18と放射温度計10との間は信号ケーブルで接続されている。この演算部18は、放射温度計10から送られてきた温度測定結果と、キャビティ本体11の内周面に設けられた温度センサ(後述する第1温度センサ23、第2温度センサ26)で計測された温度測定結果の値を演算することで、鋼板Wの温度を求める構成とされている。
ところで、本発明の温度測定装置1は、上述したようにキャビティ本体11の開口14の縁に沿って開口14の外側に張り出すようにフランジ部12を有している点を特徴としている。また、本発明の温度測定装置1は、キャビティ本体11を温度調整する温度調整手段13が開口14(鋼板W)からの距離に応じてキャビティ本体11を複数のゾーンに分けて温度制御する構成とされている点を特徴としている。
次に、本発明の特徴であるフランジ部12及び温度調整手段13について、詳しく説明する。
フランジ部12は、キャビティ本体11の開口14から更に外側に向かって水平方向に沿って延設された板状の部分であり、本実施形態ではキャビティ本体11を構成する材料と同じ金属などを用いて円環の板状に形成されていて、鋼板Wに正対(対面)するように鋼板Wのやや上方に配備されている。また、フランジ部12の上側には断熱部材19が取り付けられており、フランジ部12の温度が急激に低下することを防止できるようになっている。
つまり、フランジ部12は、鋼板Wのやや上方に正対して配備されているので、鋼板Wの温度がフランジ部12より高い場合は輻射熱により加熱され、ほぼ鋼板Wの温度と同じ温度となる。その一方で、断熱部材19の作用により一旦加熱されたフランジ部12は冷却され難くなっている。それゆえ、フランジ部12は、鋼板Wとの間に熱的な平衡状態を形成して、鋼板Wと同じ温度を保持できる構造となっている。
このようなフランジ部12をキャビティ本体11の開口14の縁に沿って設ければ、背景放射の影響を効果的に排除することが可能となる。すなわち、上述したキャビティ9は、鋼板Wに可能な限り近接させてあるものの、鋼板W自体の振動などの影響により、鋼板Wとキャビティ9との間にどうしても隙間が生じてしまう。その結果、鋼板Wとキャビティ9との隙間が大きくなった際に、背景放射がキャビティ9内に入り込む場合がある。
しかしながら、上述したフランジ部12を設ければ、鋼板Wとキャビティ9との隙間から背景放射のエネルギが入射しても、入射した放射エネルギは鋼板Wとフランジ部12との間で多重反射する。このとき、上述したようにフランジ部12が鋼板Wと同じ温度とされていれば、フランジ部12が参照板として作用して放射率を相殺することが可能となり、見かけの放射率を1として温度計測に対する背景放射の影響を大幅に減らすことが可能となる。
また、本発明の温度測定装置1は、上述したように鋼板Wからの距離に応じてキャビティ本体11を複数のゾーンに分け、ゾーン毎にキャビティ本体11の外周部の温度を制御する温度調整手段13を備えている。具体的には、第1実施形態の温度調整手段13は、鋼板Wに近い側のキャビティ本体11の外周部の温度を制御する第1の温度調整手段20と、鋼板Wから遠い側のキャビティ本体11の外周部及び底部16の温度を制御する第2の温度調整手段21とを有しており、キャビティ本体11を2ゾーンに分けて温度調整する構成とされている。第1の温度調整手段20及び第2の温度調整手段21のそれぞれは、温度調整しようとするキャビティ本体11の内周面の温度を計測する温度センサと、キャビティ本体11の外周部を加熱するヒータ17と、温度センサで計測された温度が所定の温度となるようにヒータ17を制御する制御部とを有している。
なお、以降の説明では、第1の温度調整手段20のヒータを「第1ヒータ22」、温度センサを「第1温度センサ23」、制御部を「第1制御部24」という。また、第2の温度調整手段21のヒータを「第2ヒータ25」、温度センサを「第2温度センサ26」、制御部を「第2制御部27」という。
第1温度センサ23及び第2温度センサ26は、キャビティ本体11の外周部や底部16の内壁面に取り付けられており、温度調整しようとする外周部や底部16の温度を計測できるようになっている。具体的には、第1温度センサ23は、キャビティ本体11の外周部の中でも、開口14に近い部分の内壁面に配備された熱電対などの部材であり、また第2温度センサ26は、キャビティ本体11の外周部の中でも、開口14から遠い部分の内壁面、及び底部16の内壁面に配備された熱電対などの部材である。第1温度センサ23で計測された温度は信号ケーブルを介して第1制御部24に送られ、第2温度センサ26で計測された温度は信号ケーブルを介して第2制御部27に送られる。
第1ヒータ22は、キャビティ本体11の外周部の中でも、開口14に近い部分に巻回されて、開口14に近い側(図例では下側)のキャビティ本体11を加熱するものであり、また第2ヒータ25は、キャビティ本体11の外周部の中でも開口14から遠い部分を巻回すると共に、底部16の外側(上側)に配設されて、開口14から遠い側(図例では上側)のキャビティ本体11を加熱するものである。本実施形態では第1ヒータ22及び第2ヒータ25は、いずれも布ヒータなどで構成されている。さらに、第1制御部24及び第2制御部27は、いずれも各温度センサ23、26で計測された温度が予め設定された温度となるようにそれぞれのヒータ22、25を加熱する温度コントローラであり、PID制御などを組み合わせて計測された温度が予め入力された温度となるように各ヒータ22、25を制御している。
上述した第1の温度調整手段20と第2の温度調整手段21とは、それぞれの温度調整手段ごとに独立にキャビティ本体11の内周面の温度を調整できるようになっている。つまり、第1の温度調整手段20で制御しようとする温度と、第2の温度調整手段21で制御しようとする温度とを異なる温度とすれば、開口14(鋼板W)に近い側のキャビティ本体11と、開口14(鋼板W)から遠い側のキャビティ本体11の温度とを、個別に調整することが可能となり、キャビティ本体11を複数ゾーンに分けてさらに精度良く温度調整することが可能となる。
このようにキャビティ本体11を複数ゾーンに分けて温度調整するのは、次のような理由に基づいている。
例えば、図3(a)に示すように、鋼板Wの温度が500℃であるときに、1つのヒータからなる温度調整手段を用いて、キャビティ本体の外周部の温度を、被測定板と同じ500℃に温度調整する場合を考える。上述したように本発明の温度測定装置には、背景から放射される放射エネルギの影響を排除可能なようにフランジ部12が設けられているが、実際にはフランジ部12を設けるだけでは背景放射の影響を排除することは困難である。
つまり、鋼板Wが振動すれば、キャビティ9の内部には背景からの放射エネルギが多少は入射する。この背景からの放射エネルギの影響は、キャビティ本体11の中でも開口14に近い側で大きくなり、開口14から遠い側では逆に小さくなる。
例えば、背景の温度が鋼板Wの温度である500℃より低い300℃とされている場合は、キャビティ本体の開口(被測定板)からの距離が小さいほど背景放射の影響が大きくなり、「キャビティ本体11の内壁面の温度」は低くなる。また、凹部14の上方に向かうにつれて、キャビティ本体11の開口14からの距離が大きくなり、背景放射の影響が小さくなって、「キャビティ本体11の内壁面の温度」は高くなる。
それゆえ、図3(a)に示すように、温度調整手段を設けてヒータの温度を一定とした制御を行うと、「キャビティ本体の内壁面の温度」はキャビティ本体の下面からの距離に応じて変動し、実際のキャビティ本体の内壁面の温度は開口付近では温度調整しようとする500℃という温度より低くなってしまう。そうすると、この500℃より低温とされた開口付近の内壁面から放射される放射エネルギが新たに誤差として加わるため、放射温度計で計測される温度計測の誤差も大きくなってしまう。
ところが、図3(b)に示すように、背景放射の影響を予め考慮して、開口からの距離が小さいキャビティ本体を温度調整する、言い換えればキャビティ本体の開口付近を温度調整する際には、キャビティ本体の内壁面の温度を「高く」設定する。同時に、開口からの距離が大きなキャビティ本体を温度調整する、言い換えればキャビティ本体の開口から離れた凹部の底付近を温度調整する際には、キャビティ本体の内壁面の温度を「低く」すれば、実際のキャビティ本体の内面の温度は温度調整しようとする500℃とほぼ等しくなり、温度計測に対する誤差を小さくすることが可能となる。
ただ、実際問題として、「キャビティ本体の内壁面の温度」を、図3(b)にような開口からの距離に応じて漸次変化させようとすると、温度調整手段の構成が非常に複雑なものとなってしまう。
それゆえ、図3(c)に示すように、本実施形態の温度測定装置1では、鋼板Wからの距離に応じてキャビティ本体11の外周部を2つのゾーンに分け、2つのゾーンのそれぞれでキャビティ本体11の温度を個別に制御する方式を採用している。つまり、キャビティ本体11の外周部を、キャビティ9の下面(キャビティ本体11の開口14)からの距離が0〜200mmまでの第1ゾーンと、距離が200〜400mmまでの第2ゾーンとに分け、第1ゾーンに設けられたヒータ22で外周部を515℃に温度調整すると共に、第2ゾーンに設けられたヒータ25で外周部を500℃に温度調整する。
このようにすれば、キャビティ本体11の上側(底部16側)と下側(開口14側)との温度が500±10℃の範囲に入るようになり、外周部を上下方向に亘って小さな温度管理幅で温度調整することが可能となり、キャビティ本体11の温度ムラが原因で発生する誤差を小さくすることが可能となる。
このようにキャビティ本体11の外周部の温度を開口14から底部16までの間で一定にできれば、背景温度の影響で温度が変化しやすい開口14の温度を被測定板(鋼板W)の温度に近づけることが可能となり、背景温度による誤差の影響を排除して鋼板Wの温度を精度良く測定することが可能となる。
なお、上述したフランジ部12を設けた上で、キャビティ本体11の外周部を複数のゾーンに分けて温度制御する場合であっても、鋼板Wからキャビティ本体11までの距離が遠すぎたり、フランジ部12の径方向の幅が狭かったりする場合には、計測精度に対する十分な効果が得られなくなる可能性がある。
それゆえ、鋼板Wから開口14までの距離やフランジ部12の径方向の幅に対しては、次の式(1)や式(2)ような関係式が成立するのが好ましい。
すなわち、キャビティ本体11における開口14の縁から底部16の内壁面までの深さをhとし、キャビティ本体11における開口14の直径をDとした場合に、以下の式(1)の関係が成り立つのが良い。
この式(1)の関係を満足する場合には、キャビティ本体11の開口14の径に対してキャビティ本体11の深さの比が深くなり、背景から放射された放射エネルギがキャビティ本体11の内部に入り込み難くなるので、背景温度の影響を効果的に排除することが可能となる。
また、フランジ部12は開口14の外周側に、直径がDの円環状の板部材として形成されており、キャビティ本体11における開口14の直径をDとした場合に、以下の式(2)の関係が成り立つのが良い。
この式(2)の関係を満足する場合には、キャビティ本体11の開口14に対してフランジ部12の幅が十分に広くなり、背景から放射された放射エネルギがフランジ部12で反射され、背景温度の影響を効果的に排除することが可能となる。
例えば、横軸に「フランジ部12の直径Dを、キャビティ本体11における開口14の直径Dで除した値」を採用し、縦軸に「エネルギ比率」及び「放射温度計で計測される温度誤差」を採用して、3者の関係をまとめると図4のようになる。なお、この図4の横軸は、式(2)の左辺に他ならない。また、縦軸に用いている「エネルギ比率」は、鋼板から放射される全放射エネルギのうち、どの程度の放射エネルギが誤差として失われるかを示した数値である。つまり、このエネルギ比率が「1」に近くなるほど、計測誤差が大きくなることを示している。
図4に示すように、「D/D」が2.5のときには、「エネルギ比率」は0.1以下、「放射温度計で計測される温度誤差」は2〜3℃と小さくなる。このことから、開口14の開口径に対して2.5倍と広いフランジ部12を用いた場合は、計測誤差を非常に小さくでき、計測精度を良好なものとすることができる。
ところが、「D/D」が2.5から1.0に近づくにつれて、「エネルギ比率」も1に近づき、「放射温度計で計測される温度誤差」も25℃と大きくなって、計測誤差が大きくなる。それゆえ、「エネルギ比率」が0.1以下となり、「放射温度計で計測される温度誤差」が3℃以下となるような測定精度を維持するためには、「D/D」を2以上にする必要がある、言い換えれば上述した式(2)の関係を満足する必要がある。
次に、実施例、比較例及び従来例を用いて、本発明の温度測定装置の作用効果を詳しく説明する。
実験に用いた温度測定装置1は、図2(b)に示すように、鋼板Wの表面からキャビティ本体11の下端までの距離h=50mm、キャビティ本体11の凹部15の深さ(開口14の縁から底部16の内壁面までの距離)h=400mm、キャビティ本体11の開口14の開口径D=200mm、フランジ部12の外径D=400mmに形成されたキャビティ9を有している。
また、図5のグラフに示す実験結果は、上述した寸法を有する温度測定装置1を用いて、500℃の温度を有する鋼板W(被測定板)の温度を、背景温度を変えて計測した結果を示している。すなわち、鋼板Wの温度が500℃である場合に、背景の温度が200℃〜800℃とされた場合、言い換えれば背景の温度が鋼板Wの温度に対して−300℃〜+300℃である場合に、計測された温度と実際の鋼板Wの温度との温度差がどのように変化するかを示している。なお、図5に示す各水準は、従来例1、従来例2、比較例1、比較例2、比較例3及び実施例1の各結果を示している。
次に、従来例1、従来例2、比較例1、比較例2、比較例3及び実施例1の水準の内容と、これらの実験例に対する結果について、説明する。
「従来例1」
従来例1は、平板式の参照板を被測定板から125mmだけ離れた位置に被測定板と平行になるように配備しておき、被測定板と参照板との間から放射された放射エネルギに基づいて温度を計測したものである。つまり、従来例1は、従来から用いられてきた平板式の参照板を用いたものであり、キャビティ式の参照板を有していない例である。
図5は、従来例1の温度測定装置を用いた場合に、背景放射が計測温度に与える影響をまとめたものである。なお、図5の横軸は背景温度から実際の鋼板の温度を差し引いた場合の温度差であり、縦軸は放射温度計で実際に計測された温度(放射温度計の表示温度)から実際の鋼板Wの温度を差し引いた場合の温度差となっている。
図5に示すように、従来例1においては、背景温度から実際の鋼板Wの温度を差し引いた場合の温度差が0℃→+300℃と大きくなる、言い換えれば実際の鋼板の温度よりも背景温度の方が高くなるに連れて、放射温度計で計測された計測温度から実際の鋼板の温度を差し引いた場合の温度差は大きくなっており、放射温度計で計測される温度誤差が大きくなっていることが分かる。例えば、背景温度から実際の鋼板Wの温度を差し引いた場合の温度差が+200℃となるときの結果を他の実験例と比較すると、放射温度計で計測された計測温度から実際の鋼板Wの温度を差し引いた場合の温度差は、実施例1が12.9℃であるのに比べて、従来例1の温度差は23℃と大きく、従来例1の計測温度の測定精度は実験例より悪い結果となっていることが分かる。
「従来例2」
従来例2は、フランジ部が設けられていない半球状のキャビティであって、被測定板の表面からキャビティの下端までの距離h=50mm、キャビティ本体の凹部の深さ(開口縁から底部の内壁面までの距離)h=180mm、キャビティ本体における凹部の開口の開口径D=390mmで厚みが10mmとされたキャビティを用いて、温度計測を行った例である。なお、従来例2のキャビティはh/D=0.46となっていて、式(1)を満足していない。また、従来例2は、フランジ部が設けられておらず、上述した式(2)も満足していない例である。
従来例2の温度測定装置を用いた場合の結果を、従来例1と同様に図5に示す。
図5に示すように、従来例2においては、背景温度から実際の鋼板の温度を差し引いた場合の温度差が0℃→+300℃と大きくなる、言い換えれば実際の鋼板の温度よりも背景温度の方が高くなるに連れて、放射温度計で計測された計測温度から実際の鋼板の温度を差し引いた場合の温度差は従来例1と同様に大きくなっており、背景放射の影響が大きくなるに連れて計測温度の誤差も大きくなっていることが分かる。
例えば、背景温度から実際の鋼板の温度を差し引いた場合の温度差が+200℃となるときの結果を他の実験例と比較すると、放射温度計で計測された計測温度から実際の鋼板の温度を差し引いた場合の温度差は、実施例1が12.9℃であるのに比べて、従来例2は33℃となっており、従来例2の計測温度の測定精度は実施例1ほどは良くないことが分かる。
「比較例1」
比較例1は、フランジ部が設けられていない有蓋円筒状のキャビティであって、被測定板の表面からキャビティ本体の下端までの距離h=125mm、キャビティ本体の凹部の深さ(開口縁から底部の内壁面までの距離)h=400mm、キャビティ本体における凹部の開口の開口径D=200mmとされた円筒状のキャビティを用いて、温度計測を行った例である。なお、比較例1のキャビティはh/D=2となっていて、式(1)を満足しているが、フランジ部が設けられていないので、上述した式(2)は満足していない。また、比較例1のキャビティは、キャビティ本体の外周部が上下に2ゾーンに分かれておらず、外周部を1つのヒータでで加熱している。
比較例1の温度測定装置を用いた場合の結果を、従来例1と同様に図5に示す。
図5に示すように、比較例1においては、背景温度から実際の鋼板の温度を差し引いた場合の温度差が0℃→+300℃と大きくなる、言い換えれば実際の鋼板の温度よりも背景温度の方が高くなるに連れて、放射温度計で計測された計測温度から実際の鋼板の温度を差し引いた場合の温度差は従来例1と同様に大きくなっており、背景放射の影響が大きくなるに連れて計測温度の誤差も大きくなっていることが分かる。
例えば、背景温度から実際の鋼板の温度を差し引いた場合の温度差が+200℃となるときの結果を他の実験例と比較すると、放射温度計で計測された計測温度から実際の鋼板の温度を差し引いた場合の温度差は、実施例1が12.9℃であるのに比べて、比較例1は21.3℃となっており、比較例1の計測温度の測定精度は実施例1ほどは良くないことが分かる。
「比較例2」
比較例2は、比較例1と同様にフランジ部が設けられていない有蓋円筒状のキャビティであって、キャビティ本体の凹部の深さ(開口縁から底部の内壁面までの距離)h=400mmとされたキャビティを用いて、温度計測を行った例である。なお、比較例2のキャビティは、h/D=2となるキャビティを用いて温度を計測したものであり、上述した式(1)は満足しているが、フランジ部が設けられていないので、上述した式(2)は満足していない。また、比較例2のキャビティも、比較例1と同様にキャビティ本体の外周部が上下に2ゾーンに分かれておらず、外周部を1つのヒータでで加熱している。
比較例2の温度測定装置を用いた場合の結果を、従来例1及び比較例1と同様に図5に示す。
図5に示すように、比較例2においても、背景温度から実際の鋼板の温度を差し引いた場合の温度差が0℃→+300℃と大きくなるに連れて、放射温度計で計測された計測温度から実際の鋼板の温度を差し引いた場合の温度差は大きくなっており、従来例1や比較例1と同様に計測温度の誤差が大きくなっていく傾向があることが分かる。
例えば、上述した実験例と同様に背景温度から実際の鋼板の温度を差し引いた場合の温度差が+200℃となるときの結果を比較すると、放射温度計で計測された計測温度から実際の鋼板の温度を差し引いた場合の温度差は、実施例1が12.9℃であるのに比べて、比較例2の温度差は16℃となっており、比較例2の計測温度の測定精度も実施例1ほどは良くないことがわかる。
「比較例3」
上述した従来例1、従来例2、比較例1、比較例2がいずれもフランジ部12を有しておらず、式(2)の関係を満足していなかったのに対し、比較例3は、フランジ部12を設けて、式(2)の関係を満足させた例である。
つまり、比較例3は、フランジ部が設けられた有蓋円筒状のキャビティであって、キャビティ本体の凹部の深さ(開口縁から底部の内壁面までの距離)h=400mmとされ、キャビティ本体における凹部の開口の開口径D=200mm、フランジ部の外径がD=400mmとされた例である。つまり、比較例2のキャビティは、h/D=2となるキャビティを用いて温度を計測したものであり、上述した式(1)は満足している。また、D/D=2となるキャビティを用いて温度を計測したものであり、上述した式(2)も満足している。
例えば、上述した実験例と同様に背景温度から実際の鋼板の温度を差し引いた場合の温度差が+200℃となるときの結果を比較すると、放射温度計で計測された計測温度から実際の鋼板の温度を差し引いた場合の温度差は、実施例1が12.9℃であるのに比べて、比較例3の温度差は15℃となっており、比較例1や比較例2に比べれば良好であるものの、比較例3の計測温度の測定精度も実施例1ほどは良くないことがわかる。
「実施例1」
実施例1は、フランジ部12が設けられた有蓋円筒状のキャビティ9であって、鋼板Wの表面からキャビティ本体11の下端までの距離h=50mm、キャビティ本体11の凹部15の深さ(開口14の縁から底部16の内壁面までの距離)h=400mm、キャビティ本体11における凹部15の開口14の開口径D=200mm、フランジ部12の外径D=400mmのキャビティ9を用いて温度計測を行った例である。つまり、実施例1は、h/D=2となるようなキャビティ9を用いており、上述した式(1)の関係を満足する。また、D/D=2となるので、式(2)の関係も満足する。さらに、実施例1は、キャビティ本体11の外周部を、キャビティ本体11の下端から0mm〜200mmまでの上下方向をカバーする第1ゾーンと、下端から200mm〜400mmまでの上下方向をカバーする第2ゾーンとの2ゾーンに分けて温度制御を行ったものである。
実施例1の温度測定装置1を用いた場合の結果を、上述した実験例と同様に図5に示す。
図5に示すように、実施例1においても、背景温度から実際の鋼板Wの温度を差し引いた場合の温度差が0℃→+300℃と大きくなるに連れて、放射温度計10で計測された計測温度から実際の鋼板Wの温度を差し引いた場合の温度差は大きくなっており、計測温度の誤差が大きくなっていく傾向がある。
例えば、背景温度から実際の鋼板Wの温度を差し引いた場合の温度差が+200℃となるときの結果で比較すると、放射温度計10で計測された計測温度から実際の鋼板Wの温度を差し引いた場合の温度差は、従来例及び比較例が15〜33℃であるのに比べて、実施例1は12.9℃と最も温度差が低くなっており、実施例1の計測温度の測定精度は実験例の中でも最も良好であると判断される。
それゆえ、鋼板Wが振動するような環境においては、キャビティ本体11の開口14の縁に沿って開口14の外側に張り出すようにフランジ部12を配備し、鋼板Wからの距離に応じて複数のゾーンに分けてキャビティ本体11の外周部の温度を制御することにより、背景温度による誤差の影響を受けにくくすることができ、鋼板Wの温度を精確に計測することができると判断される。
ところで、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、発明の本質を変更しない範囲で各部材の形状、構造、材質、組み合わせなどを適宜変更可能である。また、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
1 温度測定装置
2 溶融亜鉛めっき設備
3 焼鈍炉
4 ロール搬送機構
5 冷却帯
6 スナウト
7 めっきポット
8 空冷部
9 キャビティ
10 放射温度計
11 キャビティ本体
12 フランジ部
13 温度調整手段
14 キャビティ本体の開口
15 キャビティ本体の凹部
16 キャビティ本体の底部
17 ヒータ
18 演算部
19 断熱部材
20 第1の温度調整手段
21 第2の温度調整手段
22 第1ヒータ
23 第1温度センサ
24 第1制御部
25 第2ヒータ
26 第2温度センサ
27 第2制御部
W 鋼板

Claims (5)

  1. 有蓋筒状に形成されると共に開口を被測定板の表面に向けて配備されたキャビティ本体と、
    前記キャビティ本体の底部に配備されて、前記キャビティ本体の内部で被測定板の表面温度を計測する放射温度計と、
    前記キャビティ本体の開口縁に沿って開口の外側に張り出すように配備されたフランジ部と、
    前記被測定板からの距離に応じて複数のゾーンに分けてキャビティ本体の外周部の温度を制御する温度調整手段と、
    を備えていることを特徴とする被測定板の温度測定装置。
  2. 前記温度調整手段は、被測定板に近い側のキャビティ本体の外周部の温度を制御する第1の温度調整手段と、前記被測定板から遠い側のキャビティ本体の外周部の温度を制御する第2の温度調整手段と、を有していることを特徴とする請求項1に記載の被測定板の温度測定装置。
  3. 前記フランジ部は、一方面が前記被測定板の表面に対面するように配備され、他方面には断熱部材が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の被測定板の温度測定装置。
  4. 前記キャビティ本体における開口縁から底部の内壁面までの深さをhとし、
    前記キャビティ本体における開口の直径をDとした場合に、
    以下の式(1)の関係が成り立つことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の被測定板の温度測定装置。
  5. 前記フランジ部は前記開口の外周側に、直径がDの円環状に形成されており、
    前記キャビティ本体における開口の直径をDとした場合に、
    以下の式(2)の関係が成り立つことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の被測定板の温度測定装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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