JP3552861B2 - 加熱炉内物体の表面温度測定方法 - Google Patents
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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱炉内の被加熱物体、とくに鋼材スラブ、鋼板、型鋼などの被加熱鋼材の表面温度を測定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼板の製造工程において、加熱炉内で加熱されるスラブ、鋼板などの鋼材の表面温度は放射温度計により測定されているが、放射温度計には、鋼材からの放射エネルギーの他に、周囲の加熱バーナー、炉壁などの背光雑音源からの光が入射し、またこれらの光が被加熱鋼材の表面で反射して入射してくるために、正確な温度測定ができない。
【0003】
背光雑音は、測定環境による違いはあるが、不可避的に存在するものであり、背光雑音の除去あるいは補償がなされなければ、高精度の放射温度計を準備しても信頼性の高い温度測定は実現できない。
【0004】
従来、鋼材の表面温度の測定においては、2台の放射温度計を用いて、1台で被加熱鋼材の温度を測定し、他の1台で炉壁の温度を測定して、両放射温度計で得られる信号に基づいて、測定誤差の原因となる炉内反射光を除去する方法が慣用されている。しかし、この方法では、被加熱鋼材の表面の温度測定点での反射光が測定できず、また被加熱鋼材の放射率の補正ができないため、測定誤差を解消することが難しい。
【0005】
背光雑音対策として、遮蔽板で背光雑音を遮蔽する方法がある。例えば、炉内の被加熱鋼材の表面に対向して遮蔽板を配置し、遮蔽板の中央開口部を通じて入射する被加熱鋼材からの放射エネルギーを放射温度計で測定する場合、遮蔽板により炉内壁方向から放射温度計への放射雑音の回り込みを遮断し、放射温度計により得られる指示から遮蔽板による背光雑音を減ずることにより被加熱鋼材の表度を得る方法が提案されている。(特公昭62−22089号公報)しかしながら、この方法においては、遮蔽板が外乱光の影響を受けて被加熱物体の温度を変動させるという難点がある。
【0006】
遮蔽板自身の温度を低くして遮蔽板からの放射を少なくするために、水冷遮蔽板の使用も行われているが、水冷遮蔽板が対向する被加熱物体を冷却して正確な温度測定の支障となるという問題があるとともに、水漏れを生じると重大な事故に発展するおそれがあるので好ましくない。
【0007】
他の背光雑音対策として、被加熱物体の表面近傍に近似的な黒体空洞を形成して、被加熱物体の表面からの放射エネルギーを検出するとともに空洞内壁からの放射エネルギーを検出し、これらの検出値から被加熱物体の表面温度を測定する方法がある。例えば、炉内の被加熱物体の放射エネルギーを放射温度計で検出する場合、放射温度計の被加熱物体への光路を遮蔽筒で囲み、遮蔽筒の中間部に貫通孔を有する遮蔽板を装着し、遮蔽板の上方と下方に黒体空洞を構成し、放射温度計により、貫通孔を通じて被加熱物体の表面からの放射エネルギーを検出するとともに、貫通孔の周囲の遮蔽板部からの放射エネルギーを検出し、これらの検出値から被加熱物体の表面温度を演算することも提案されている。(特公昭61−60634号公報)
【0008】
また、放射温度計の被加熱物体への光路を遮蔽筒で囲み、遮蔽筒の中間部に貫通孔を有する遮蔽板を装着し、遮蔽板下方の円筒形空洞(黒体空洞)の内壁部にはヒータを埋設し、放射温度計により、貫通孔を通じて被加熱物体の表面の温度を測定し、ヒータに流れる電流を制御して、この測定温度と熱電対で測定される空洞内壁部の温度とが等しくなるようにしておき、放射温度計の指示値と空洞内壁部の温度の差および被加熱物体の放射率から定まる補正値を、放射温度計の指示値に加算して被加熱物体の表面温度を測定する方法も提案されている。(特開昭57−50628号公報)
【0009】
しかしながら、これらの方法では、燃焼炎、炉壁からの放射熱、炉内の反射熱を受けて空洞内の温度が変動するため、黒体空洞は完全な黒体とはならず、温度補正に限界が生じる。被加熱物体の表面温度と空洞内壁部の温度を一致させることも容易ではない。加熱炉内にヒータを埋設した円筒形空洞を設置することも構造を複雑にする原因となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、加熱炉内の被加熱物体の表面温度測定における従来の上記問題点を解消するためになされたものであり、その目的は、炉内反射光の入射を防止でき、被加熱物体の放射率が変動してもその影響を受け難い構成を備え、熱電対などによる直接温度測定に基づく補正を要することなく、放射温度計のみにより被加熱物体、とくに被加熱鋼材の表面温度測定を可能とした加熱炉内物体の表面温度測定方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明による加熱炉内物体の表面温度測定方法は、加熱炉内において被加熱物体の表面に対向して配置されたキャビティ状の遮蔽部材と該遮蔽部材の後面に並設された複数枚のフィン部材を貫通し、さらに該フィン部材の後面に取り付けられた断熱部材を貫通して設けられた開口部を通じて、前記被加熱物体からの放射エネルギーを断熱部材の後方に配置した放射温度計により検出して、被加熱物体の表面温度を測定する方法において、キャビティ状の遮蔽部材のキャビティが円筒形状、円錐形状または半球状であり、まず遮蔽部材のキャビティを被加熱物体の表面からH/R≦2(R:キャビティの半径、H:キャビティと被加熱物体の表面との間隔)を満たす間隔Hで配置して輝度温度Ta-1 を測定し、ついで遮蔽部材のキャビティを被加熱物体の表面からH/R>2を満たす間隔Hで配置して再度輝度温度Ta-2 を測定し、放射温度計に入射する放射エネルギーと、被加熱物体の垂直方向への放射エネルギーと、背光雑音に基づく放射エネルギーとの関係から導かれる放射温度計による輝度温度Ta 、被加熱物体の表面温度Ts 、炉温Tf の関係式、Ts =Ta −c(Tf −Ta )において、Ts としてTa-1 または被加熱物体の表面温度の実測値、炉温Tf の値として遮蔽部材に最も近接したフィン部材の温度T1 、Ta としてTa-2 を代入し、該関係式から定数cを計算したのち、前記輝度温度の値Ta-2 を前記計算されたcの値および実測されたT1 の値を用いて補正することにより被加熱物体の表面温度を求めることを特徴とする。
【0012】
本発明においては、キャビティ状の遮蔽部材を被加熱物体の表面近傍に設置し、キャビティ状の遮蔽部材の後面に断熱部材を配設する。キャビティ状の遮蔽部材は、被加熱鋼材など、被加熱物体の放射熱のみで加熱され、補助的な加熱装置を設けることなしにキャビティの温度を被加熱物体の温度と一致させることができる。鋼材などの被加熱物体の大きさはキャビティの大きさよりはるかに大きいため、キャビティと被加熱物体の表面の距離が離れていても、キャビティから被加熱物体をみた立体角は略2πで一定となる。
【0013】
従って、キャビティの裏面を完全に断熱すれば、キャビティの温度は被加熱物体の温度と一致する。キャビティの温度が常に被加熱物体の温度に近くなれば、キャビティの直下には近似的に黒体空間が形成される。このような条件下では、炉内の反射光は遮断され、被加熱物体の実効的な放射率は1.0に近くなっている。上記の黒体キャビティを先端に取り付けた放射温度計で鋼材などの被加熱物体の表面温度を測定すると、鋼材の種類や鋼材表面のスケールの性状が変化して放射率が変動したり、炉温が変化しても、被加熱物体の表面温度が正確に測定することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
被加熱物体を鋼材として本発明の実施の形態を説明する。本発明による表面温度測定方法を実施するめの好ましい装置構成は、図1に示すように、加熱炉F内で加熱される鋼材Sの表面に対向して円筒キャビティ状の遮蔽部材1を配置し、遮蔽部材1の後面にフィン部材2および断熱部材3を取り付ける。断熱部材3の後面部に水冷管5を取り付け、水冷管5内に放射温度計4の少なくとも集光部6を配設する。7は放射温度計4と集光部6を接続する光ファイバーである。遮蔽部材1、フィン部材2および断熱部材3には貫通開口8を連設して、貫通開口8を通して被加熱鋼材Sからの放射エネルギーを放射温度計4で受光するようにする。水冷管5内に放射温度計4を収納するようにしてもよく、水冷管5内に放射温度計またはその集光部を収納することにより、その温度上昇が防止されより正確な温度測定を行うことができる。
【0015】
フィン部材2は、キャビティ状遮蔽部材1のキャビティCの加熱源として作用するとともに、本発明のように高温雰囲気での加熱で、各部材間の伝熱が主として放射伝熱で支配される伝熱環境の下では良好な熱遮蔽効果も有する。キャビティ状の遮蔽部材1と断熱部材3との間にフィン部材2を介在させず、キャビティ状の遮蔽部材1の後面に直接断熱部材3を取り付けた場合でも、本発明の効果は達成できるが、フィン部材2の上記の効果が得られないために、キャビティCの温度が鋼材Sの表面温度になり難い場合がある。
【0016】
キャビティの形状については、円筒形状に限定されることなく、半球状、円錐状のものでもよい。キャビティを形成するキャビティ状の遮蔽部材1の材質としては、ステンレス鋼その他の耐熱金属材料、黒鉛、炭化硅素(SiC)、アルミナなどの耐熱性無機材料が適用できる。ステンレス鋼を使用した場合には、キャビティの内面が加熱により黒色となるため黒体キャビティの形成に好都合である。断熱部材としては、アルミナ質、マグネシア質、ジルコニア質など公知の耐火断熱材が適用し得る。
【0017】
鋼材Sの表面温度をTS 、キャビティCの温度をTc 、フィン部材2の各フィン2−1、2−2、--- 、2−kの温度をTi (i=1、2、--- 、k)とし、キャビティCの内径を2R、キャビティCと鋼材Sの表面との間隔をHとすると、放射伝熱下ではキャビティおよびフィンの温度は、隣接する部材の温度で決まることとなり、以下の関係式が成り立つ。
【0018】
Ti 4 =(1/2)(Ti-1 4+Ti+1 4) −(1)
Tc =〔(1/k){(k−1)Ts 4 +Tf 4 }〕1/4 −(2)
式(2)からわかるように、フィンの枚数が増えると、炉温に関係なく、黒体キャビティcの温度は鋼材の表面温度と一致するようになる。式(2) において、フィンの枚数が増加した場合のTS とTc の関係を表1に示す。表1によれば、フィンの枚数が増えていくと、キャビティの温度が鋼材の表面温度に近くなっていく様子が認められる。
【0019】
【表1】
【0020】
本発明においてフィン部材を介在させることにより、黒体キャビティcは、裏面側が一層断熱されるため、常に鋼材の表面と対向しているキャビティの内面は、鋼材の表面との間隔が大きくなっても、鋼材の表面は十分に広いために、常に鋼材の表面のみから受熱される。従って、(2) 式からもわかるように、キャビティの内径2R、キャビティと鋼材の表面との間隔Hなどに影響されることなく、間隔Hが大きくなってもキャビティの温度は鋼材の表面温度に保たれていることとなる。
【0021】
なお、キャビティ状の遮蔽部材にフィン部材および断熱部材を取り付けるための具体的方式としては、例えば、図2に示すように、耐熱金属材料からなる管9をキャビティ状の遮蔽部材1、フィン部材2および断熱部材3の中央部に挿通、固定する方式、図3に示すように、これらの部材を固定扞10を挿通して固定する方式などがある。
【0022】
図1の装置構成において、鋼材の表面温度を測定した場合、放射温度計に入射する被加熱鋼材からの放射エネルギーは次式で表される。
上記の(3) 〜(5) 式において、Ta は放射温度計の輝度温度、Tc はキャビティの温度、Tf は炉温、εn は鋼材の表面から垂直方向の放射率、θは放射の入射角、Fc は放射温度計の測定点と黒体キャビティ間の形態係数、Ff は測定点と加熱炉間の形態係数であり、rはキャビティの半径方向の変数、hはキャビティの高さ方向の変数である。
【0023】
(3) 式に示すように、放射温度計に入射する放射エネルギーは、右辺第1項の鋼材からの直接放射光、第2および第3項の黒体キャビティおよび炉内からの反射光が重畳した量になっている。ρ(θ)は反射の角度特性であり、次式で近似される。
ρ(θ)=cosn θ -(6)
(6) 式の指数nは、鋼材の反射率角度特性を表すパラメータである。nが小さいと拡散反射特性が強調されることとなり、nが大きいと鏡面反射特性が強調されることになる。
【0024】
上記の式に基づいて、温度誤差(Ta −Ts )とH/Rの関係を求め、図示すると図4および図5のとおりである。図4は鏡面反射特性の強い鋼材についての例であり、図5は拡散反射特性の強い鋼材についての例である。図に示すグラフの上側は炉温が鋼材の表面温度より高い場合(炉温:1300℃、鋼材の表面温度:1200℃)、下側は炉温が鋼材の表面温度より低い場合(炉温:1100℃、鋼材の表面温度:1200℃)であり、放射率を0.6、0.8、1.0と変化させて計算した。
【0025】
加熱炉内の鋼材は、表面が厚いスケールで覆われており、放射率は0.7〜0.8程度である。放射率が1.0に近付くと、反射エネルギーが少なくなって誤差が大幅に減少する。反射角度特性に関するパラメータは、鏡面反射の強い鋼材としてn=20、拡散反射の強い鋼材としてn=4の例を示した。鏡面反射の強い鋼材は拡散反射の強い鋼材よりHの変化に対する温度誤差が小さいが、反射特性に関係なく、H/R≦2であれば、温度誤差が±10℃程度の誤差範囲におさまっている。実際の加熱炉で加熱した鋼材の表面温度を、図1に示す装置を用いて、H/Rの値を変えて測定した結果、図4〜5に示す関係と良く一致するのが認められた。
【0026】
上記のように、H/R≦2の範囲においては温度誤差が小さいが、H/R>2となると、図4〜5からもわかるように炉内反射光の影響が無視できなくなるが、本発明によれば、Hが増大してもキャビティの温度は鋼材の表面温度に近い温度に保たれ、黒体の条件が保持されるから、輝度温度と鋼材の表面温度との差は極端に大きく拡がらない。従って、放射温度計で測定した輝度温度を炉温で補正することにより、鋼材の表面温度を良好な精度で測定することが可能である。
【0027】
炉温Tf として、黒体キャビティに最も近いフィン2−1の温度T1 を使用することとすると、前記の式から、以下に示す補正式を導くことができる。
Ts (補正された鋼材の表面温度)=Ta −c(T1 −Ta ) -(7)
但し、Tf ≧Ts 、cは定数である。この補正式を用いると、温度誤差(Ta −Ts )は、とくに1.0<H/R<4.0の範囲で±5.0℃以内におさまるから、Hをさらに大きく設定することが可能となる。
【0028】
【実施例】
実施例1
図2に示す装置構成により、加熱炉内で加熱された鋼材(スラブ)の表面温度を測定した。なお、フィンの枚数は5枚とし、H=150mm(H/R=2.0)とした。鋼材の表面温度は鋼材表面に熱電対を溶接して実測し、炉温、キャビティの温度も実測した。これらの実測値を放射温度計で測定した輝度温度とともに表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】
表2に示すように、H/R=2となるように、キャビティを鋼材の表面に近接させた場合は、実測された鋼材の表面温度と放射温度計で測定された輝度温度との差(温度誤差)が小さく、優れた測定精度を示している。
【0031】
実施例2
実施例1において、H=300mm(H/R=4.0)として、実施例1と同様の測定を行った。結果を表3に示す。
【0032】
【表3】
【0033】
前記(7) の補正式を変形すると、Ta −Ts =c(T1 −Ta )となる。この式に表3の数値を代入し、さらに実測したフィンの温度T1 を代入して、表4に示すように(Ta −Ts )および(T1 −Ta )の値を計算し、図6に示すグラフに従ってcの値を求めると、c=0.494となる。このcの値に基づいて、前記式(7) により輝度温度を補正し、鋼材の表面温度の補正値(Ta −c(T1 −Ta ))を計算すると表4に示すとおりであり、測定誤差はきわめて小さくなる。
【0034】
【表4】
【0035】
本実施例においては、鋼材の表面温度として実測値を使用したが、実測値を使用する代わりに、まずキャビティを鋼材の表面からH/R≦2を満たす間隔Hで配置して輝度温度Ta-1 を測定し、ついでキャビティを鋼材の表面からH/R>2を満たす間隔Hで配置して再度輝度温度Ta-2 を測定し、Ta-1 を鋼材の表面温度として使用して、補正値を求めることもできる。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、加熱炉内で加熱される被加熱物体、とくに被加熱鋼材の表面温度を、鋼材の種類や放射率が変動した場合にも正確に測定することを可能とする加熱炉内物体の表面温度測定方法が提供される。本発明によれば、加熱炉内で静止している被加熱物体のみでなく、連続焼鈍炉内を走行しながら焼鈍処理される鋼板のように、加熱炉内で移動している被加熱物体の表面温度の正確な測定も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の測定方法の概念を示す断面図である。
【図2】本発明の測定方法を実施するための装置の一実施例を示す断面図である。
【図3】本発明の測定方法を実施するための装置の他の実施例を示す断面図である。
【図4】温度誤差とH/Rの関係の一例を示すグラフである。
【図5】温度誤差とH/Rの関係の他の例を示すグラフである。
【図6】補正式の定数cを求めるためのグラフである。
【符号の説明】
1 キャビティ状の遮蔽部材
2 フィン部材
3 断熱部材
4 放射温度計
5 水冷菅
6 集光部
7 光ファイバー
8 貫通開口
9 菅
10 固定扞
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱炉内の被加熱物体、とくに鋼材スラブ、鋼板、型鋼などの被加熱鋼材の表面温度を測定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼板の製造工程において、加熱炉内で加熱されるスラブ、鋼板などの鋼材の表面温度は放射温度計により測定されているが、放射温度計には、鋼材からの放射エネルギーの他に、周囲の加熱バーナー、炉壁などの背光雑音源からの光が入射し、またこれらの光が被加熱鋼材の表面で反射して入射してくるために、正確な温度測定ができない。
【0003】
背光雑音は、測定環境による違いはあるが、不可避的に存在するものであり、背光雑音の除去あるいは補償がなされなければ、高精度の放射温度計を準備しても信頼性の高い温度測定は実現できない。
【0004】
従来、鋼材の表面温度の測定においては、2台の放射温度計を用いて、1台で被加熱鋼材の温度を測定し、他の1台で炉壁の温度を測定して、両放射温度計で得られる信号に基づいて、測定誤差の原因となる炉内反射光を除去する方法が慣用されている。しかし、この方法では、被加熱鋼材の表面の温度測定点での反射光が測定できず、また被加熱鋼材の放射率の補正ができないため、測定誤差を解消することが難しい。
【0005】
背光雑音対策として、遮蔽板で背光雑音を遮蔽する方法がある。例えば、炉内の被加熱鋼材の表面に対向して遮蔽板を配置し、遮蔽板の中央開口部を通じて入射する被加熱鋼材からの放射エネルギーを放射温度計で測定する場合、遮蔽板により炉内壁方向から放射温度計への放射雑音の回り込みを遮断し、放射温度計により得られる指示から遮蔽板による背光雑音を減ずることにより被加熱鋼材の表度を得る方法が提案されている。(特公昭62−22089号公報)しかしながら、この方法においては、遮蔽板が外乱光の影響を受けて被加熱物体の温度を変動させるという難点がある。
【0006】
遮蔽板自身の温度を低くして遮蔽板からの放射を少なくするために、水冷遮蔽板の使用も行われているが、水冷遮蔽板が対向する被加熱物体を冷却して正確な温度測定の支障となるという問題があるとともに、水漏れを生じると重大な事故に発展するおそれがあるので好ましくない。
【0007】
他の背光雑音対策として、被加熱物体の表面近傍に近似的な黒体空洞を形成して、被加熱物体の表面からの放射エネルギーを検出するとともに空洞内壁からの放射エネルギーを検出し、これらの検出値から被加熱物体の表面温度を測定する方法がある。例えば、炉内の被加熱物体の放射エネルギーを放射温度計で検出する場合、放射温度計の被加熱物体への光路を遮蔽筒で囲み、遮蔽筒の中間部に貫通孔を有する遮蔽板を装着し、遮蔽板の上方と下方に黒体空洞を構成し、放射温度計により、貫通孔を通じて被加熱物体の表面からの放射エネルギーを検出するとともに、貫通孔の周囲の遮蔽板部からの放射エネルギーを検出し、これらの検出値から被加熱物体の表面温度を演算することも提案されている。(特公昭61−60634号公報)
【0008】
また、放射温度計の被加熱物体への光路を遮蔽筒で囲み、遮蔽筒の中間部に貫通孔を有する遮蔽板を装着し、遮蔽板下方の円筒形空洞(黒体空洞)の内壁部にはヒータを埋設し、放射温度計により、貫通孔を通じて被加熱物体の表面の温度を測定し、ヒータに流れる電流を制御して、この測定温度と熱電対で測定される空洞内壁部の温度とが等しくなるようにしておき、放射温度計の指示値と空洞内壁部の温度の差および被加熱物体の放射率から定まる補正値を、放射温度計の指示値に加算して被加熱物体の表面温度を測定する方法も提案されている。(特開昭57−50628号公報)
【0009】
しかしながら、これらの方法では、燃焼炎、炉壁からの放射熱、炉内の反射熱を受けて空洞内の温度が変動するため、黒体空洞は完全な黒体とはならず、温度補正に限界が生じる。被加熱物体の表面温度と空洞内壁部の温度を一致させることも容易ではない。加熱炉内にヒータを埋設した円筒形空洞を設置することも構造を複雑にする原因となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、加熱炉内の被加熱物体の表面温度測定における従来の上記問題点を解消するためになされたものであり、その目的は、炉内反射光の入射を防止でき、被加熱物体の放射率が変動してもその影響を受け難い構成を備え、熱電対などによる直接温度測定に基づく補正を要することなく、放射温度計のみにより被加熱物体、とくに被加熱鋼材の表面温度測定を可能とした加熱炉内物体の表面温度測定方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明による加熱炉内物体の表面温度測定方法は、加熱炉内において被加熱物体の表面に対向して配置されたキャビティ状の遮蔽部材と該遮蔽部材の後面に並設された複数枚のフィン部材を貫通し、さらに該フィン部材の後面に取り付けられた断熱部材を貫通して設けられた開口部を通じて、前記被加熱物体からの放射エネルギーを断熱部材の後方に配置した放射温度計により検出して、被加熱物体の表面温度を測定する方法において、キャビティ状の遮蔽部材のキャビティが円筒形状、円錐形状または半球状であり、まず遮蔽部材のキャビティを被加熱物体の表面からH/R≦2(R:キャビティの半径、H:キャビティと被加熱物体の表面との間隔)を満たす間隔Hで配置して輝度温度Ta-1 を測定し、ついで遮蔽部材のキャビティを被加熱物体の表面からH/R>2を満たす間隔Hで配置して再度輝度温度Ta-2 を測定し、放射温度計に入射する放射エネルギーと、被加熱物体の垂直方向への放射エネルギーと、背光雑音に基づく放射エネルギーとの関係から導かれる放射温度計による輝度温度Ta 、被加熱物体の表面温度Ts 、炉温Tf の関係式、Ts =Ta −c(Tf −Ta )において、Ts としてTa-1 または被加熱物体の表面温度の実測値、炉温Tf の値として遮蔽部材に最も近接したフィン部材の温度T1 、Ta としてTa-2 を代入し、該関係式から定数cを計算したのち、前記輝度温度の値Ta-2 を前記計算されたcの値および実測されたT1 の値を用いて補正することにより被加熱物体の表面温度を求めることを特徴とする。
【0012】
本発明においては、キャビティ状の遮蔽部材を被加熱物体の表面近傍に設置し、キャビティ状の遮蔽部材の後面に断熱部材を配設する。キャビティ状の遮蔽部材は、被加熱鋼材など、被加熱物体の放射熱のみで加熱され、補助的な加熱装置を設けることなしにキャビティの温度を被加熱物体の温度と一致させることができる。鋼材などの被加熱物体の大きさはキャビティの大きさよりはるかに大きいため、キャビティと被加熱物体の表面の距離が離れていても、キャビティから被加熱物体をみた立体角は略2πで一定となる。
【0013】
従って、キャビティの裏面を完全に断熱すれば、キャビティの温度は被加熱物体の温度と一致する。キャビティの温度が常に被加熱物体の温度に近くなれば、キャビティの直下には近似的に黒体空間が形成される。このような条件下では、炉内の反射光は遮断され、被加熱物体の実効的な放射率は1.0に近くなっている。上記の黒体キャビティを先端に取り付けた放射温度計で鋼材などの被加熱物体の表面温度を測定すると、鋼材の種類や鋼材表面のスケールの性状が変化して放射率が変動したり、炉温が変化しても、被加熱物体の表面温度が正確に測定することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
被加熱物体を鋼材として本発明の実施の形態を説明する。本発明による表面温度測定方法を実施するめの好ましい装置構成は、図1に示すように、加熱炉F内で加熱される鋼材Sの表面に対向して円筒キャビティ状の遮蔽部材1を配置し、遮蔽部材1の後面にフィン部材2および断熱部材3を取り付ける。断熱部材3の後面部に水冷管5を取り付け、水冷管5内に放射温度計4の少なくとも集光部6を配設する。7は放射温度計4と集光部6を接続する光ファイバーである。遮蔽部材1、フィン部材2および断熱部材3には貫通開口8を連設して、貫通開口8を通して被加熱鋼材Sからの放射エネルギーを放射温度計4で受光するようにする。水冷管5内に放射温度計4を収納するようにしてもよく、水冷管5内に放射温度計またはその集光部を収納することにより、その温度上昇が防止されより正確な温度測定を行うことができる。
【0015】
フィン部材2は、キャビティ状遮蔽部材1のキャビティCの加熱源として作用するとともに、本発明のように高温雰囲気での加熱で、各部材間の伝熱が主として放射伝熱で支配される伝熱環境の下では良好な熱遮蔽効果も有する。キャビティ状の遮蔽部材1と断熱部材3との間にフィン部材2を介在させず、キャビティ状の遮蔽部材1の後面に直接断熱部材3を取り付けた場合でも、本発明の効果は達成できるが、フィン部材2の上記の効果が得られないために、キャビティCの温度が鋼材Sの表面温度になり難い場合がある。
【0016】
キャビティの形状については、円筒形状に限定されることなく、半球状、円錐状のものでもよい。キャビティを形成するキャビティ状の遮蔽部材1の材質としては、ステンレス鋼その他の耐熱金属材料、黒鉛、炭化硅素(SiC)、アルミナなどの耐熱性無機材料が適用できる。ステンレス鋼を使用した場合には、キャビティの内面が加熱により黒色となるため黒体キャビティの形成に好都合である。断熱部材としては、アルミナ質、マグネシア質、ジルコニア質など公知の耐火断熱材が適用し得る。
【0017】
鋼材Sの表面温度をTS 、キャビティCの温度をTc 、フィン部材2の各フィン2−1、2−2、--- 、2−kの温度をTi (i=1、2、--- 、k)とし、キャビティCの内径を2R、キャビティCと鋼材Sの表面との間隔をHとすると、放射伝熱下ではキャビティおよびフィンの温度は、隣接する部材の温度で決まることとなり、以下の関係式が成り立つ。
【0018】
Ti 4 =(1/2)(Ti-1 4+Ti+1 4) −(1)
Tc =〔(1/k){(k−1)Ts 4 +Tf 4 }〕1/4 −(2)
式(2)からわかるように、フィンの枚数が増えると、炉温に関係なく、黒体キャビティcの温度は鋼材の表面温度と一致するようになる。式(2) において、フィンの枚数が増加した場合のTS とTc の関係を表1に示す。表1によれば、フィンの枚数が増えていくと、キャビティの温度が鋼材の表面温度に近くなっていく様子が認められる。
【0019】
【表1】
【0020】
本発明においてフィン部材を介在させることにより、黒体キャビティcは、裏面側が一層断熱されるため、常に鋼材の表面と対向しているキャビティの内面は、鋼材の表面との間隔が大きくなっても、鋼材の表面は十分に広いために、常に鋼材の表面のみから受熱される。従って、(2) 式からもわかるように、キャビティの内径2R、キャビティと鋼材の表面との間隔Hなどに影響されることなく、間隔Hが大きくなってもキャビティの温度は鋼材の表面温度に保たれていることとなる。
【0021】
なお、キャビティ状の遮蔽部材にフィン部材および断熱部材を取り付けるための具体的方式としては、例えば、図2に示すように、耐熱金属材料からなる管9をキャビティ状の遮蔽部材1、フィン部材2および断熱部材3の中央部に挿通、固定する方式、図3に示すように、これらの部材を固定扞10を挿通して固定する方式などがある。
【0022】
図1の装置構成において、鋼材の表面温度を測定した場合、放射温度計に入射する被加熱鋼材からの放射エネルギーは次式で表される。
上記の(3) 〜(5) 式において、Ta は放射温度計の輝度温度、Tc はキャビティの温度、Tf は炉温、εn は鋼材の表面から垂直方向の放射率、θは放射の入射角、Fc は放射温度計の測定点と黒体キャビティ間の形態係数、Ff は測定点と加熱炉間の形態係数であり、rはキャビティの半径方向の変数、hはキャビティの高さ方向の変数である。
【0023】
(3) 式に示すように、放射温度計に入射する放射エネルギーは、右辺第1項の鋼材からの直接放射光、第2および第3項の黒体キャビティおよび炉内からの反射光が重畳した量になっている。ρ(θ)は反射の角度特性であり、次式で近似される。
ρ(θ)=cosn θ -(6)
(6) 式の指数nは、鋼材の反射率角度特性を表すパラメータである。nが小さいと拡散反射特性が強調されることとなり、nが大きいと鏡面反射特性が強調されることになる。
【0024】
上記の式に基づいて、温度誤差(Ta −Ts )とH/Rの関係を求め、図示すると図4および図5のとおりである。図4は鏡面反射特性の強い鋼材についての例であり、図5は拡散反射特性の強い鋼材についての例である。図に示すグラフの上側は炉温が鋼材の表面温度より高い場合(炉温:1300℃、鋼材の表面温度:1200℃)、下側は炉温が鋼材の表面温度より低い場合(炉温:1100℃、鋼材の表面温度:1200℃)であり、放射率を0.6、0.8、1.0と変化させて計算した。
【0025】
加熱炉内の鋼材は、表面が厚いスケールで覆われており、放射率は0.7〜0.8程度である。放射率が1.0に近付くと、反射エネルギーが少なくなって誤差が大幅に減少する。反射角度特性に関するパラメータは、鏡面反射の強い鋼材としてn=20、拡散反射の強い鋼材としてn=4の例を示した。鏡面反射の強い鋼材は拡散反射の強い鋼材よりHの変化に対する温度誤差が小さいが、反射特性に関係なく、H/R≦2であれば、温度誤差が±10℃程度の誤差範囲におさまっている。実際の加熱炉で加熱した鋼材の表面温度を、図1に示す装置を用いて、H/Rの値を変えて測定した結果、図4〜5に示す関係と良く一致するのが認められた。
【0026】
上記のように、H/R≦2の範囲においては温度誤差が小さいが、H/R>2となると、図4〜5からもわかるように炉内反射光の影響が無視できなくなるが、本発明によれば、Hが増大してもキャビティの温度は鋼材の表面温度に近い温度に保たれ、黒体の条件が保持されるから、輝度温度と鋼材の表面温度との差は極端に大きく拡がらない。従って、放射温度計で測定した輝度温度を炉温で補正することにより、鋼材の表面温度を良好な精度で測定することが可能である。
【0027】
炉温Tf として、黒体キャビティに最も近いフィン2−1の温度T1 を使用することとすると、前記の式から、以下に示す補正式を導くことができる。
Ts (補正された鋼材の表面温度)=Ta −c(T1 −Ta ) -(7)
但し、Tf ≧Ts 、cは定数である。この補正式を用いると、温度誤差(Ta −Ts )は、とくに1.0<H/R<4.0の範囲で±5.0℃以内におさまるから、Hをさらに大きく設定することが可能となる。
【0028】
【実施例】
実施例1
図2に示す装置構成により、加熱炉内で加熱された鋼材(スラブ)の表面温度を測定した。なお、フィンの枚数は5枚とし、H=150mm(H/R=2.0)とした。鋼材の表面温度は鋼材表面に熱電対を溶接して実測し、炉温、キャビティの温度も実測した。これらの実測値を放射温度計で測定した輝度温度とともに表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】
表2に示すように、H/R=2となるように、キャビティを鋼材の表面に近接させた場合は、実測された鋼材の表面温度と放射温度計で測定された輝度温度との差(温度誤差)が小さく、優れた測定精度を示している。
【0031】
実施例2
実施例1において、H=300mm(H/R=4.0)として、実施例1と同様の測定を行った。結果を表3に示す。
【0032】
【表3】
【0033】
前記(7) の補正式を変形すると、Ta −Ts =c(T1 −Ta )となる。この式に表3の数値を代入し、さらに実測したフィンの温度T1 を代入して、表4に示すように(Ta −Ts )および(T1 −Ta )の値を計算し、図6に示すグラフに従ってcの値を求めると、c=0.494となる。このcの値に基づいて、前記式(7) により輝度温度を補正し、鋼材の表面温度の補正値(Ta −c(T1 −Ta ))を計算すると表4に示すとおりであり、測定誤差はきわめて小さくなる。
【0034】
【表4】
【0035】
本実施例においては、鋼材の表面温度として実測値を使用したが、実測値を使用する代わりに、まずキャビティを鋼材の表面からH/R≦2を満たす間隔Hで配置して輝度温度Ta-1 を測定し、ついでキャビティを鋼材の表面からH/R>2を満たす間隔Hで配置して再度輝度温度Ta-2 を測定し、Ta-1 を鋼材の表面温度として使用して、補正値を求めることもできる。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、加熱炉内で加熱される被加熱物体、とくに被加熱鋼材の表面温度を、鋼材の種類や放射率が変動した場合にも正確に測定することを可能とする加熱炉内物体の表面温度測定方法が提供される。本発明によれば、加熱炉内で静止している被加熱物体のみでなく、連続焼鈍炉内を走行しながら焼鈍処理される鋼板のように、加熱炉内で移動している被加熱物体の表面温度の正確な測定も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の測定方法の概念を示す断面図である。
【図2】本発明の測定方法を実施するための装置の一実施例を示す断面図である。
【図3】本発明の測定方法を実施するための装置の他の実施例を示す断面図である。
【図4】温度誤差とH/Rの関係の一例を示すグラフである。
【図5】温度誤差とH/Rの関係の他の例を示すグラフである。
【図6】補正式の定数cを求めるためのグラフである。
【符号の説明】
1 キャビティ状の遮蔽部材
2 フィン部材
3 断熱部材
4 放射温度計
5 水冷菅
6 集光部
7 光ファイバー
8 貫通開口
9 菅
10 固定扞
Claims (1)
- 加熱炉内において被加熱物体の表面に対向して配置されたキャビティ状の遮蔽部材と該遮蔽部材の後面に並設された複数枚のフィン部材を貫通し、さらに該フィン部材の後面に取り付けられた断熱部材を貫通して設けられた開口部を通じて、前記被加熱物体からの放射エネルギーを断熱部材の後方に配置した放射温度計により検出して、被加熱物体の表面温度を測定する方法において、キャビティ状の遮蔽部材のキャビティが円筒形状、円錐形状または半球状であり、まず遮蔽部材のキャビティを被加熱物体の表面からH/R≦2(R:キャビティの半径、H:キャビティと被加熱物体の表面との間隔)を満たす間隔Hで配置して輝度温度Ta-1 を測定し、ついで遮蔽部材のキャビティを被加熱物体の表面からH/R>2を満たす間隔Hで配置して再度輝度温度Ta-2 を測定し、放射温度計に入射する放射エネルギーと、被加熱物体の垂直方向への放射エネルギーと、背光雑音に基づく放射エネルギーとの関係から導かれる放射温度計による輝度温度Ta 、被加熱物体の表面温度Ts 、炉温Tf の関係式、Ts =Ta −c(Tf −Ta )において、Ts としてTa-1 または被加熱物体の表面温度の実測値、炉温Tf の値として遮蔽部材に最も近接したフィン部材の温度T1 、Ta としてTa-2 を代入し、該関係式から定数cを計算したのち、前記輝度温度の値Ta-2 を前記計算されたcの値および実測されたT1 の値を用いて補正することにより被加熱物体の表面温度を求めることを特徴とする加熱炉内物体の表面温度測定方法。
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