JPH10185695A - 加熱炉内物体の表面温度測定方法及び装置 - Google Patents
加熱炉内物体の表面温度測定方法及び装置Info
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- JPH10185695A JPH10185695A JP8356900A JP35690096A JPH10185695A JP H10185695 A JPH10185695 A JP H10185695A JP 8356900 A JP8356900 A JP 8356900A JP 35690096 A JP35690096 A JP 35690096A JP H10185695 A JPH10185695 A JP H10185695A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 加熱炉内の被加熱物体、とくに鋼材の表面温
度を放射温度計により正確に測定する方法及び装置を提
供する。 【解決手段】 加熱炉内の被加熱物体の表面に対向して
配置したキャビティ状の遮蔽部材および該遮蔽部材の後
面に取り付けた断熱部材に連設された貫通開口部を通じ
て、被加熱物体からの放射エネルギーを断熱部材の後方
に設置した放射温度計により検出し、被加熱物体の表面
温度を測定する。キャビティ状の遮蔽部材と断熱部材と
の間にフィン部材を介設するのが好ましい。
度を放射温度計により正確に測定する方法及び装置を提
供する。 【解決手段】 加熱炉内の被加熱物体の表面に対向して
配置したキャビティ状の遮蔽部材および該遮蔽部材の後
面に取り付けた断熱部材に連設された貫通開口部を通じ
て、被加熱物体からの放射エネルギーを断熱部材の後方
に設置した放射温度計により検出し、被加熱物体の表面
温度を測定する。キャビティ状の遮蔽部材と断熱部材と
の間にフィン部材を介設するのが好ましい。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加熱炉内の被加熱
物体、とくに鋼材スラブ、鋼板、型鋼などの被加熱鋼材
の表面温度を測定する方法及び装置に関する。
物体、とくに鋼材スラブ、鋼板、型鋼などの被加熱鋼材
の表面温度を測定する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼板の製造工程において、加熱炉内で加
熱されるスラブ、鋼板などの鋼材の表面温度は放射温度
計により測定されているが、放射温度計には、鋼材から
の放射エネルギーの他に、周囲の加熱バーナー、炉壁な
どの背光雑音源からの光が入射し、またこれらの光が被
加熱鋼材の表面で反射して入射してくるために、正確な
温度測定ができない。
熱されるスラブ、鋼板などの鋼材の表面温度は放射温度
計により測定されているが、放射温度計には、鋼材から
の放射エネルギーの他に、周囲の加熱バーナー、炉壁な
どの背光雑音源からの光が入射し、またこれらの光が被
加熱鋼材の表面で反射して入射してくるために、正確な
温度測定ができない。
【0003】背光雑音は、測定環境による違いはある
が、不可避的に存在するものであり、背光雑音の除去あ
るいは補償がなされなければ、高精度の放射温度計を準
備しても信頼性の高い温度測定は実現できない。
が、不可避的に存在するものであり、背光雑音の除去あ
るいは補償がなされなければ、高精度の放射温度計を準
備しても信頼性の高い温度測定は実現できない。
【0004】従来、鋼材の表面温度の測定においては、
2台の放射温度計を用いて、1台で被加熱鋼材の温度を
測定し、他の1台で炉壁の温度を測定して、両放射温度
計で得られる信号に基づいて、測定誤差の原因となる炉
内反射光を除去する方法が慣用されている。しかし、こ
の方法では、被加熱鋼材の表面の温度測定点での反射光
が測定できず、また被加熱鋼材の放射率の補正ができな
いため、測定誤差を解消することが難しい。
2台の放射温度計を用いて、1台で被加熱鋼材の温度を
測定し、他の1台で炉壁の温度を測定して、両放射温度
計で得られる信号に基づいて、測定誤差の原因となる炉
内反射光を除去する方法が慣用されている。しかし、こ
の方法では、被加熱鋼材の表面の温度測定点での反射光
が測定できず、また被加熱鋼材の放射率の補正ができな
いため、測定誤差を解消することが難しい。
【0005】背光雑音対策として、遮蔽板で背光雑音を
遮蔽する方法がある。例えば、炉内の被加熱鋼材の表面
に対向して遮蔽板を配置し、遮蔽板の中央開口部を通じ
て入射する被加熱鋼材からの放射エネルギーを放射温度
計で測定する場合、遮蔽板により炉内壁方向から放射温
度計への放射雑音の回り込みを遮断し、放射温度計によ
り得られる指示から遮蔽板による背光雑音を減ずること
により被加熱鋼材の表面温度を得る方法が提案されてい
る。(特公昭62−22089号公報)しかしながら、
この方法においては、遮蔽板が外乱光の影響を受けて被
加熱物体の温度を変動させるという難点がある。
遮蔽する方法がある。例えば、炉内の被加熱鋼材の表面
に対向して遮蔽板を配置し、遮蔽板の中央開口部を通じ
て入射する被加熱鋼材からの放射エネルギーを放射温度
計で測定する場合、遮蔽板により炉内壁方向から放射温
度計への放射雑音の回り込みを遮断し、放射温度計によ
り得られる指示から遮蔽板による背光雑音を減ずること
により被加熱鋼材の表面温度を得る方法が提案されてい
る。(特公昭62−22089号公報)しかしながら、
この方法においては、遮蔽板が外乱光の影響を受けて被
加熱物体の温度を変動させるという難点がある。
【0006】遮蔽板自身の温度を低くして遮蔽板からの
放射を少なくするために、水冷遮蔽板の使用も行われて
いるが、水冷遮蔽板が対向する被加熱物体を冷却して正
確な温度測定の支障となるという問題があるとともに、
水漏れを生じると重大な事故に発展するおそれがあるの
で好ましくない。
放射を少なくするために、水冷遮蔽板の使用も行われて
いるが、水冷遮蔽板が対向する被加熱物体を冷却して正
確な温度測定の支障となるという問題があるとともに、
水漏れを生じると重大な事故に発展するおそれがあるの
で好ましくない。
【0007】他の背光雑音対策として、被加熱物体の表
面近傍に近似的な黒体空洞を形成して、被加熱物体の表
面からの放射エネルギーを検出するとともに空洞内壁か
らの放射エネルギーを検出し、これらの検出値から被加
熱物体の表面温度を測定する方法がある。例えば、炉内
の被加熱物体の放射エネルギーを放射温度計で検出する
場合、放射温度計の被加熱物体への光路を遮蔽筒で囲
み、遮蔽筒の中間部に貫通孔を有する遮蔽板を装着し、
遮蔽板の上方と下方に黒体空洞を構成し、放射温度計に
より、貫通孔を通じて被加熱物体の表面からの放射エネ
ルギーを検出するとともに、貫通孔の周囲の遮蔽板部か
らの放射エネルギーを検出し、これらの検出値から被加
熱物体の表面温度を演算することも提案されている。
(特公昭61−60634号公報)
面近傍に近似的な黒体空洞を形成して、被加熱物体の表
面からの放射エネルギーを検出するとともに空洞内壁か
らの放射エネルギーを検出し、これらの検出値から被加
熱物体の表面温度を測定する方法がある。例えば、炉内
の被加熱物体の放射エネルギーを放射温度計で検出する
場合、放射温度計の被加熱物体への光路を遮蔽筒で囲
み、遮蔽筒の中間部に貫通孔を有する遮蔽板を装着し、
遮蔽板の上方と下方に黒体空洞を構成し、放射温度計に
より、貫通孔を通じて被加熱物体の表面からの放射エネ
ルギーを検出するとともに、貫通孔の周囲の遮蔽板部か
らの放射エネルギーを検出し、これらの検出値から被加
熱物体の表面温度を演算することも提案されている。
(特公昭61−60634号公報)
【0008】また、放射温度計の被加熱物体への光路を
遮蔽筒で囲み、遮蔽筒の中間部に貫通孔を有する遮蔽板
を装着し、遮蔽板下方の円筒形空洞(黒体空洞)の内壁
部にはヒータを埋設し、放射温度計により、貫通孔を通
じて被加熱物体の表面の温度を測定し、ヒータに流れる
電流を制御して、この測定温度と熱電対で測定される空
洞内壁部の温度とが等しくなるようにしておき、放射温
度計の指示値と空洞内壁部の温度の差および被加熱物体
の放射率から定まる補正値を、放射温度計の指示値に加
算して被加熱物体の表面温度を測定する方法も提案され
ている。(特開昭57−50628号公報)
遮蔽筒で囲み、遮蔽筒の中間部に貫通孔を有する遮蔽板
を装着し、遮蔽板下方の円筒形空洞(黒体空洞)の内壁
部にはヒータを埋設し、放射温度計により、貫通孔を通
じて被加熱物体の表面の温度を測定し、ヒータに流れる
電流を制御して、この測定温度と熱電対で測定される空
洞内壁部の温度とが等しくなるようにしておき、放射温
度計の指示値と空洞内壁部の温度の差および被加熱物体
の放射率から定まる補正値を、放射温度計の指示値に加
算して被加熱物体の表面温度を測定する方法も提案され
ている。(特開昭57−50628号公報)
【0009】しかしながら、これらの方法では、燃焼
炎、炉壁からの放射熱、炉内の反射熱を受けて空洞内の
温度が変動するため、黒体空洞は完全な黒体とはなら
ず、温度補正に限界が生じる。被加熱物体の表面温度と
空洞内壁部の温度を一致させることも容易ではない。加
熱炉内にヒータを埋設した円筒形空洞を設置することも
構造を複雑にする原因となる。
炎、炉壁からの放射熱、炉内の反射熱を受けて空洞内の
温度が変動するため、黒体空洞は完全な黒体とはなら
ず、温度補正に限界が生じる。被加熱物体の表面温度と
空洞内壁部の温度を一致させることも容易ではない。加
熱炉内にヒータを埋設した円筒形空洞を設置することも
構造を複雑にする原因となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、加熱炉内の
被加熱物体の表面温度測定における従来の上記問題点を
解消するためになされたものであり、その目的は、炉内
反射光の入射を防止でき、被加熱物体の放射率が変動し
てもその影響を受け難い構成を備え、熱電対などによる
直接温度測定に基づく補正を要することなく、放射温度
計のみにより被加熱物体、とくに被加熱鋼材の表面温度
測定を可能とした加熱炉内物体の表面温度測定方法及び
装置を提供することにある。
被加熱物体の表面温度測定における従来の上記問題点を
解消するためになされたものであり、その目的は、炉内
反射光の入射を防止でき、被加熱物体の放射率が変動し
てもその影響を受け難い構成を備え、熱電対などによる
直接温度測定に基づく補正を要することなく、放射温度
計のみにより被加熱物体、とくに被加熱鋼材の表面温度
測定を可能とした加熱炉内物体の表面温度測定方法及び
装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明による加熱炉内物体の表面温度測定方法は、
加熱炉内の被加熱物体の表面温度を放射温度計で測定す
る方法において、被加熱物体の表面に対向して配置され
たキャビティ状の遮蔽部材および該遮蔽部材の後面に取
り付けた断熱部材に連設された貫通開口部を通して、前
記被加熱物体からの放射エネルギーを断熱部材の後方に
設置した放射温度計により検出し、被加熱物体の表面温
度を測定することを第1の特徴とする。
めの本発明による加熱炉内物体の表面温度測定方法は、
加熱炉内の被加熱物体の表面温度を放射温度計で測定す
る方法において、被加熱物体の表面に対向して配置され
たキャビティ状の遮蔽部材および該遮蔽部材の後面に取
り付けた断熱部材に連設された貫通開口部を通して、前
記被加熱物体からの放射エネルギーを断熱部材の後方に
設置した放射温度計により検出し、被加熱物体の表面温
度を測定することを第1の特徴とする。
【0012】また、被加熱物体の表面に対向して配置さ
れたキャビティ状の遮蔽部材および該遮蔽部材の後面に
配設されたフィン部材と断熱部材に連設された貫通開口
を通して、前記被加熱物体からの放射エネルギーを断熱
部材の後方に設置した放射温度計により検出し、被加熱
物体の表面温度を測定すること、および遮蔽部材のキャ
ビティが円筒形状、円錐形状または半球状であり、その
半径Rに対するキャビティと被加熱物体の表面との間隔
Hの比、H/Rが2以下であることを第2および第3の
特徴とする。
れたキャビティ状の遮蔽部材および該遮蔽部材の後面に
配設されたフィン部材と断熱部材に連設された貫通開口
を通して、前記被加熱物体からの放射エネルギーを断熱
部材の後方に設置した放射温度計により検出し、被加熱
物体の表面温度を測定すること、および遮蔽部材のキャ
ビティが円筒形状、円錐形状または半球状であり、その
半径Rに対するキャビティと被加熱物体の表面との間隔
Hの比、H/Rが2以下であることを第2および第3の
特徴とする。
【0013】本発明の加熱炉内の被加熱物体の表面温度
測定方法の第4の特徴は、遮蔽部材のキャビティを被加
熱物体の表面からH/R≦2(R:遮蔽部材のキャビテ
ィの半径、H:キャビティと被加熱物体の表面との間
隔)を満たす間隔Hで配置して輝度温度Ta-1 を測定
し、ついでキャビティ状の遮蔽部材を被加熱物体の表面
からH/R>2を満たす間隔Hで配置して再度輝度温度
Ta-2 を測定し、放射温度計に入射する放射エネルギー
と、被加熱物体の垂直方向への放射エネルギーと、背光
雑音に基づく放射エネルギーとの関係から導かれる放射
温度計による輝度温度Ta 、被加熱物体の表面温度
Ts 、炉温Tf の関係式、Ts =Ta −c(Tf−
Ta )において、Ts としてTa-1 または被加熱物体の
表面温度の実測値、炉温Tf の値として遮蔽部材に最も
近接したフィンの温度T1 を代入し、該関係式から定数
cを計算したのち、輝度温度の値Ta-2 を計算されたc
の値および実測されたT1 の値を用いて補正することに
より被加熱物体の表面温度を求めることにあり、第5の
特徴は被加熱物体が鋼材であることに存する。
測定方法の第4の特徴は、遮蔽部材のキャビティを被加
熱物体の表面からH/R≦2(R:遮蔽部材のキャビテ
ィの半径、H:キャビティと被加熱物体の表面との間
隔)を満たす間隔Hで配置して輝度温度Ta-1 を測定
し、ついでキャビティ状の遮蔽部材を被加熱物体の表面
からH/R>2を満たす間隔Hで配置して再度輝度温度
Ta-2 を測定し、放射温度計に入射する放射エネルギー
と、被加熱物体の垂直方向への放射エネルギーと、背光
雑音に基づく放射エネルギーとの関係から導かれる放射
温度計による輝度温度Ta 、被加熱物体の表面温度
Ts 、炉温Tf の関係式、Ts =Ta −c(Tf−
Ta )において、Ts としてTa-1 または被加熱物体の
表面温度の実測値、炉温Tf の値として遮蔽部材に最も
近接したフィンの温度T1 を代入し、該関係式から定数
cを計算したのち、輝度温度の値Ta-2 を計算されたc
の値および実測されたT1 の値を用いて補正することに
より被加熱物体の表面温度を求めることにあり、第5の
特徴は被加熱物体が鋼材であることに存する。
【0014】本発明による加熱炉内物体の表面温度測定
装置は、被加熱物体の表面に対向して配置されたキャビ
ティ状の遮蔽部材と、該遮蔽部材の後面に取り付けられ
たフィン部材および断熱部材と、該断熱部材の後方に配
設した放射温度計からなり、遮蔽部材、フィン部材およ
び断熱部材に貫通開口を連設して、該貫通開口部を通じ
て被加熱物体からの放射エネルギーを放射温度計で検出
し、被加熱物体の表面温度を測定するようにしたこと、
断熱部材の後面部に水冷管を取り付け、該水冷管内に放
射温度計の少なくとも集光部を配設したこと、および放
射温度計が、本体と集光部とを光ファイバーで接続した
光ファイバー式放射温度計であることを、それぞれ構成
上の第1、第2および第3の特徴とする。
装置は、被加熱物体の表面に対向して配置されたキャビ
ティ状の遮蔽部材と、該遮蔽部材の後面に取り付けられ
たフィン部材および断熱部材と、該断熱部材の後方に配
設した放射温度計からなり、遮蔽部材、フィン部材およ
び断熱部材に貫通開口を連設して、該貫通開口部を通じ
て被加熱物体からの放射エネルギーを放射温度計で検出
し、被加熱物体の表面温度を測定するようにしたこと、
断熱部材の後面部に水冷管を取り付け、該水冷管内に放
射温度計の少なくとも集光部を配設したこと、および放
射温度計が、本体と集光部とを光ファイバーで接続した
光ファイバー式放射温度計であることを、それぞれ構成
上の第1、第2および第3の特徴とする。
【0015】本発明においては、キャビティ状の遮蔽部
材を被加熱物体の表面近傍に設置することを第1の特徴
とし、キャビティ状の遮蔽部材の後面に断熱部材を配設
することを第2の特徴とする。キャビティ状の遮蔽部材
は、被加熱鋼材など、被加熱物体の放射熱のみで加熱さ
れ、補助的な加熱装置を設けることなしにキャビティの
温度を被加熱物体の温度と一致させることができる。鋼
材などの被加熱物体の大きさはキャビティの大きさより
はるかに大きいため、キャビティと被加熱物体の表面の
距離が離れていても、キャビティから被加熱物体をみた
立体角は略2πで一定となる。
材を被加熱物体の表面近傍に設置することを第1の特徴
とし、キャビティ状の遮蔽部材の後面に断熱部材を配設
することを第2の特徴とする。キャビティ状の遮蔽部材
は、被加熱鋼材など、被加熱物体の放射熱のみで加熱さ
れ、補助的な加熱装置を設けることなしにキャビティの
温度を被加熱物体の温度と一致させることができる。鋼
材などの被加熱物体の大きさはキャビティの大きさより
はるかに大きいため、キャビティと被加熱物体の表面の
距離が離れていても、キャビティから被加熱物体をみた
立体角は略2πで一定となる。
【0016】従って、キャビティの裏面を完全に断熱す
れば、キャビティの温度は被加熱物体の温度と一致す
る。キャビティの温度が常に被加熱物体の温度に近くな
れば、キャビティの直下には近似的に黒体空間が形成さ
れる。このような条件下では、炉内の反射光は遮断さ
れ、被加熱物体の実効的な放射率は1.0に近くなって
いる。上記の黒体キャビティを先端に取り付けた放射温
度計で鋼材などの被加熱物体の表面温度を測定すると、
鋼材の種類や鋼材表面のスケールの性状が変化して放射
率が変動したり、炉温が変化しても、被加熱物体の表面
温度が正確に測定することができる。
れば、キャビティの温度は被加熱物体の温度と一致す
る。キャビティの温度が常に被加熱物体の温度に近くな
れば、キャビティの直下には近似的に黒体空間が形成さ
れる。このような条件下では、炉内の反射光は遮断さ
れ、被加熱物体の実効的な放射率は1.0に近くなって
いる。上記の黒体キャビティを先端に取り付けた放射温
度計で鋼材などの被加熱物体の表面温度を測定すると、
鋼材の種類や鋼材表面のスケールの性状が変化して放射
率が変動したり、炉温が変化しても、被加熱物体の表面
温度が正確に測定することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】被加熱物体を鋼材として本発明の
実施の形態を説明する。本発明の好ましい装置構成は、
図1に示すように、加熱炉F内で加熱される鋼材Sの表
面に対向して円筒キャビティ状の遮蔽部材1を配置し、
遮蔽部材1の後面にフィン部材2および断熱部材3を取
り付ける。断熱部材3の後面部に水冷管5を取り付け、
水冷管5内に放射温度計4の少なくとも集光部6を配設
する。7は放射温度計4と集光部6を接続する光ファイ
バーである。遮蔽部材1、フィン部材2および断熱部材
3には貫通開口8を連設して、貫通開口8を通して被加
熱鋼材Sからの放射エネルギーを放射温度計4で受光す
るようにする。水冷管5内に放射温度計4を収納するよ
うにしてもよく、水冷管5内に放射温度計またはその集
光部を収納することにより、その温度上昇が防止されよ
り正確な温度測定を行うことができる。
実施の形態を説明する。本発明の好ましい装置構成は、
図1に示すように、加熱炉F内で加熱される鋼材Sの表
面に対向して円筒キャビティ状の遮蔽部材1を配置し、
遮蔽部材1の後面にフィン部材2および断熱部材3を取
り付ける。断熱部材3の後面部に水冷管5を取り付け、
水冷管5内に放射温度計4の少なくとも集光部6を配設
する。7は放射温度計4と集光部6を接続する光ファイ
バーである。遮蔽部材1、フィン部材2および断熱部材
3には貫通開口8を連設して、貫通開口8を通して被加
熱鋼材Sからの放射エネルギーを放射温度計4で受光す
るようにする。水冷管5内に放射温度計4を収納するよ
うにしてもよく、水冷管5内に放射温度計またはその集
光部を収納することにより、その温度上昇が防止されよ
り正確な温度測定を行うことができる。
【0018】フィン部材2は、キャビティ状遮蔽部材1
のキャビティCの加熱源として作用するとともに、本発
明のように高温雰囲気での加熱で、各部材間の伝熱が主
として放射伝熱で支配される伝熱環境の下では良好な熱
遮蔽効果も有する。キャビティ状の遮蔽部材1と断熱部
材3との間にフィン部材2を介在させず、キャビティ状
の遮蔽部材1の後面に直接断熱部材3を取り付けた場合
でも、本発明の効果は達成できるが、フィン部材2の上
記の効果が得られないために、キャビティCの温度が鋼
材Sの表面温度になり難い場合がある。
のキャビティCの加熱源として作用するとともに、本発
明のように高温雰囲気での加熱で、各部材間の伝熱が主
として放射伝熱で支配される伝熱環境の下では良好な熱
遮蔽効果も有する。キャビティ状の遮蔽部材1と断熱部
材3との間にフィン部材2を介在させず、キャビティ状
の遮蔽部材1の後面に直接断熱部材3を取り付けた場合
でも、本発明の効果は達成できるが、フィン部材2の上
記の効果が得られないために、キャビティCの温度が鋼
材Sの表面温度になり難い場合がある。
【0019】キャビティの形状については、円筒形状に
限定されることなく、半球状、円錐状のものでもよい。
キャビティを形成するキャビティ状の遮蔽部材1の材質
としては、ステンレス鋼その他の耐熱金属材料、黒鉛、
炭化硅素(SiC)、アルミナなどの耐熱性無機材料が
適用できる。ステンレス鋼を使用した場合には、キャビ
ティの内面が加熱により黒色となるため黒体キャビティ
の形成に好都合である。断熱部材としては、アルミナ
質、マグネシア質、ジルコニア質など公知の耐火断熱材
が適用し得る。
限定されることなく、半球状、円錐状のものでもよい。
キャビティを形成するキャビティ状の遮蔽部材1の材質
としては、ステンレス鋼その他の耐熱金属材料、黒鉛、
炭化硅素(SiC)、アルミナなどの耐熱性無機材料が
適用できる。ステンレス鋼を使用した場合には、キャビ
ティの内面が加熱により黒色となるため黒体キャビティ
の形成に好都合である。断熱部材としては、アルミナ
質、マグネシア質、ジルコニア質など公知の耐火断熱材
が適用し得る。
【0020】鋼材Sの表面温度をTS 、キャビティCの
温度をTc 、フィン部材2の各フィン2−1、2−2、
--- 、2−kの温度をTi (i=1、2、--- 、k)と
し、キャビティCの内径を2R、キャビティCと鋼材S
の表面との間隔をHとすると、放射伝熱下ではキャビテ
ィおよびフィンの温度は、隣接する部材の温度で決まる
こととなり、以下の関係式が成り立つ。
温度をTc 、フィン部材2の各フィン2−1、2−2、
--- 、2−kの温度をTi (i=1、2、--- 、k)と
し、キャビティCの内径を2R、キャビティCと鋼材S
の表面との間隔をHとすると、放射伝熱下ではキャビテ
ィおよびフィンの温度は、隣接する部材の温度で決まる
こととなり、以下の関係式が成り立つ。
【0021】 Ti 4 =(1/2)(Ti- 1 4+Ti+ 1 4) −(1) Tc =〔(1/k){(k−1)Ts 4 +Tf 4 }〕1/4 −(2) 式(2)からわかるように、フィンの枚数が増えると、炉
温に関係なく、黒体キャビティcの温度は鋼材の表面温
度と一致するようになる。式(2) において、フィンの枚
数が増加した場合のTS とTc の関係を表1に示す。表
1によれば、フィンの枚数が増えていくと、キャビティ
の温度が鋼材の表面温度に近くなっていく様子が認めら
れる。
温に関係なく、黒体キャビティcの温度は鋼材の表面温
度と一致するようになる。式(2) において、フィンの枚
数が増加した場合のTS とTc の関係を表1に示す。表
1によれば、フィンの枚数が増えていくと、キャビティ
の温度が鋼材の表面温度に近くなっていく様子が認めら
れる。
【0022】
【表1】
【0023】本発明においてフィン部材を介在させるこ
とにより、黒体キャビティcは、裏面側が一層断熱され
るため、常に鋼材の表面と対向しているキャビティの内
面は、鋼材の表面との間隔が大きくなっても、鋼材の表
面は十分に広いために、常に鋼材の表面のみから受熱さ
れる。従って、(2) 式からもわかるように、キャビティ
の内径2R、キャビティと鋼材の表面との間隔Hなどに
影響されることなく、間隔Hが大きくなってもキャビテ
ィの温度は鋼材の表面温度に保たれていることとなる。
とにより、黒体キャビティcは、裏面側が一層断熱され
るため、常に鋼材の表面と対向しているキャビティの内
面は、鋼材の表面との間隔が大きくなっても、鋼材の表
面は十分に広いために、常に鋼材の表面のみから受熱さ
れる。従って、(2) 式からもわかるように、キャビティ
の内径2R、キャビティと鋼材の表面との間隔Hなどに
影響されることなく、間隔Hが大きくなってもキャビテ
ィの温度は鋼材の表面温度に保たれていることとなる。
【0024】なお、キャビティ状の遮蔽部材にフィン部
材および断熱部材を取り付けるための具体的方式として
は、例えば、図2に示すように、耐熱金属材料からなる
管9をキャビティ状の遮蔽部材1、フィン部材2および
断熱部材3の中央部に挿通、固定する方式、図3に示す
ように、これらの部材を固定扞10を挿通して固定する
方式などがある。
材および断熱部材を取り付けるための具体的方式として
は、例えば、図2に示すように、耐熱金属材料からなる
管9をキャビティ状の遮蔽部材1、フィン部材2および
断熱部材3の中央部に挿通、固定する方式、図3に示す
ように、これらの部材を固定扞10を挿通して固定する
方式などがある。
【0025】図1の装置構成において、鋼材の表面温度
を測定した場合、放射温度計に入射する被加熱鋼材から
の放射エネルギーは次式で表される。 N(Ta ) =εn N(Ts )+( 1−εn ) {Fc N(Tc )+Ff N(Tf ) } -(3) 上記の(3) 〜(5) 式において、Ta は放射温度計の輝度
温度、Tc はキャビティの温度、Tf は炉温、εn は鋼
材の表面から垂直方向の放射率、θは放射の入射角、F
c は放射温度計の測定点と黒体キャビティ間の形態係
数、Ff は測定点と加熱炉間の形態係数であり、rはキ
ャビティの半径方向の変数、hはキャビティの高さ方向
の変数である。
を測定した場合、放射温度計に入射する被加熱鋼材から
の放射エネルギーは次式で表される。 N(Ta ) =εn N(Ts )+( 1−εn ) {Fc N(Tc )+Ff N(Tf ) } -(3) 上記の(3) 〜(5) 式において、Ta は放射温度計の輝度
温度、Tc はキャビティの温度、Tf は炉温、εn は鋼
材の表面から垂直方向の放射率、θは放射の入射角、F
c は放射温度計の測定点と黒体キャビティ間の形態係
数、Ff は測定点と加熱炉間の形態係数であり、rはキ
ャビティの半径方向の変数、hはキャビティの高さ方向
の変数である。
【0026】(3) 式に示すように、放射温度計に入射す
る放射エネルギーは、右辺第1項の鋼材からの直接放射
光、第2および第3項の黒体キャビティおよび炉内から
の反射光が重畳した量になっている。ρ(θ)は反射の
角度特性であり、次式で近似される。 ρ(θ)=cosn θ -(6) (6) 式の指数nは、鋼材の反射率角度特性を表すパラメ
ータである。nが小さいと拡散反射特性が強調されるこ
ととなり、nが大きいと鏡面反射特性が強調されること
になる。
る放射エネルギーは、右辺第1項の鋼材からの直接放射
光、第2および第3項の黒体キャビティおよび炉内から
の反射光が重畳した量になっている。ρ(θ)は反射の
角度特性であり、次式で近似される。 ρ(θ)=cosn θ -(6) (6) 式の指数nは、鋼材の反射率角度特性を表すパラメ
ータである。nが小さいと拡散反射特性が強調されるこ
ととなり、nが大きいと鏡面反射特性が強調されること
になる。
【0027】上記の式に基づいて、温度誤差(Ta −T
s )とH/Rの関係を求め、図示すると図4および図5
のとおりである。図4は鏡面反射特性の強い鋼材につい
ての例であり、図5は拡散反射特性の強い鋼材について
の例である。図に示すグラフの上側は炉温が鋼材の表面
温度より高い場合(炉温:1300℃、鋼材の表面温
度:1200℃)、下側は炉温が鋼材の表面温度より低
い場合(炉温:1100℃、鋼材の表面温度:1200
℃)であり、放射率を0.6、0.8、1.0と変化さ
せて計算した。
s )とH/Rの関係を求め、図示すると図4および図5
のとおりである。図4は鏡面反射特性の強い鋼材につい
ての例であり、図5は拡散反射特性の強い鋼材について
の例である。図に示すグラフの上側は炉温が鋼材の表面
温度より高い場合(炉温:1300℃、鋼材の表面温
度:1200℃)、下側は炉温が鋼材の表面温度より低
い場合(炉温:1100℃、鋼材の表面温度:1200
℃)であり、放射率を0.6、0.8、1.0と変化さ
せて計算した。
【0028】加熱炉内の鋼材は、表面が厚いスケールで
覆われており、放射率は0.7〜0.8程度である。放
射率が1.0に近付くと、反射エネルギーが少なくなっ
て誤差が大幅に減少する。反射角度特性に関するパラメ
ータは、鏡面反射の強い鋼材としてn=20、拡散反射
の強い鋼材としてn=4の例を示した。鏡面反射の強い
鋼材は拡散反射の強い鋼材よりHの変化に対する温度誤
差が小さいが、反射特性に関係なく、H/R≦2であれ
ば、温度誤差が±10℃程度の誤差範囲におさまってい
る。実際の加熱炉で加熱した鋼材の表面温度を、図1に
示す本発明の装置を用いて、H/Rの値を変えて測定し
た結果、図4〜5に示す関係と良く一致するのが認めら
れた。
覆われており、放射率は0.7〜0.8程度である。放
射率が1.0に近付くと、反射エネルギーが少なくなっ
て誤差が大幅に減少する。反射角度特性に関するパラメ
ータは、鏡面反射の強い鋼材としてn=20、拡散反射
の強い鋼材としてn=4の例を示した。鏡面反射の強い
鋼材は拡散反射の強い鋼材よりHの変化に対する温度誤
差が小さいが、反射特性に関係なく、H/R≦2であれ
ば、温度誤差が±10℃程度の誤差範囲におさまってい
る。実際の加熱炉で加熱した鋼材の表面温度を、図1に
示す本発明の装置を用いて、H/Rの値を変えて測定し
た結果、図4〜5に示す関係と良く一致するのが認めら
れた。
【0029】上記のように、H/R≦2の範囲において
は温度誤差が小さいが、H/R>2となると、図4〜5
からもわかるように炉内反射光の影響が無視できなくな
るが、本発明によれば、Hが増大してもキャビティの温
度は鋼材の表面温度に近い温度に保たれ、黒体の条件が
保持されるから、輝度温度と鋼材の表面温度との差は極
端に大きく拡がらない。従って、放射温度計で測定した
輝度温度を炉温で補正することにより、鋼材の表面温度
を良好な精度で測定することが可能である。
は温度誤差が小さいが、H/R>2となると、図4〜5
からもわかるように炉内反射光の影響が無視できなくな
るが、本発明によれば、Hが増大してもキャビティの温
度は鋼材の表面温度に近い温度に保たれ、黒体の条件が
保持されるから、輝度温度と鋼材の表面温度との差は極
端に大きく拡がらない。従って、放射温度計で測定した
輝度温度を炉温で補正することにより、鋼材の表面温度
を良好な精度で測定することが可能である。
【0030】炉温Tf として、黒体キャビティに最も近
いフィン2−1の温度T1 を使用することとすると、前
記の式から、以下に示す補正式を導くことができる。 Ts (補正された鋼材の表面温度)=Ta −c(T1 −Ta ) -(7) 但し、Tf ≧Ts 、cは定数である。この補正式を用い
ると、温度誤差(Ta −Ts )は、とくに1.0<H/
R<4.0の範囲で±5.0℃以内におさまるから、H
をさらに大きく設定することが可能となる。
いフィン2−1の温度T1 を使用することとすると、前
記の式から、以下に示す補正式を導くことができる。 Ts (補正された鋼材の表面温度)=Ta −c(T1 −Ta ) -(7) 但し、Tf ≧Ts 、cは定数である。この補正式を用い
ると、温度誤差(Ta −Ts )は、とくに1.0<H/
R<4.0の範囲で±5.0℃以内におさまるから、H
をさらに大きく設定することが可能となる。
【0031】
【実施例】 実施例1 図2に示す装置構成により、加熱炉内で加熱された鋼材
(スラブ)の表面温度を測定した。なお、フィンの枚数
は5枚とし、H=150mm(H/R=2.0)とし
た。鋼材の表面温度は鋼材表面に熱電対を溶接して実測
し、炉温、キャビティの温度も実測した。これらの実測
値を放射温度計で測定した輝度温度とともに表2に示
す。
(スラブ)の表面温度を測定した。なお、フィンの枚数
は5枚とし、H=150mm(H/R=2.0)とし
た。鋼材の表面温度は鋼材表面に熱電対を溶接して実測
し、炉温、キャビティの温度も実測した。これらの実測
値を放射温度計で測定した輝度温度とともに表2に示
す。
【0032】
【表2】
【0033】表2に示すように、H/R=2となるよう
に、キャビティを鋼材の表面に近接させた場合は、実測
された鋼材の表面温度と放射温度計で測定された輝度温
度との差(温度誤差)が小さく、優れた測定精度を示し
ている。
に、キャビティを鋼材の表面に近接させた場合は、実測
された鋼材の表面温度と放射温度計で測定された輝度温
度との差(温度誤差)が小さく、優れた測定精度を示し
ている。
【0034】実施例2 実施例1において、H=300mm(H/R=4.0)
として、実施例1と同様の測定を行った。結果を表3に
示す。
として、実施例1と同様の測定を行った。結果を表3に
示す。
【0035】
【表3】
【0036】前記(7) の補正式を変形すると、Ta −T
s =c(T1 −Ta )となる。この式に表3の数値を代
入し、さらに実測したフィンの温度T1 を代入して、表
4に示すように(Ta −Ts )および(T1 −Ta )の
値を計算し、図6に示すグラフに従ってcの値を求める
と、c=0.494となる。このcの値に基づいて、前
記式(7) により輝度温度を補正し、鋼材の表面温度の補
正値(Ta −c(T1−Ta ))を計算すると表4に示
すとおりであり、測定誤差はきわめて小さくなる。
s =c(T1 −Ta )となる。この式に表3の数値を代
入し、さらに実測したフィンの温度T1 を代入して、表
4に示すように(Ta −Ts )および(T1 −Ta )の
値を計算し、図6に示すグラフに従ってcの値を求める
と、c=0.494となる。このcの値に基づいて、前
記式(7) により輝度温度を補正し、鋼材の表面温度の補
正値(Ta −c(T1−Ta ))を計算すると表4に示
すとおりであり、測定誤差はきわめて小さくなる。
【0037】
【表4】 《表注》Tf ≧Ts の場合は補正あり。Tf <Ts の場合は補正なし。
【0038】本実施例においては、鋼材の表面温度とし
て実測値を使用したが、実測値を使用する代わりに、ま
ずキャビティを鋼材の表面からH/R≦2を満たす間隔
Hで配置して輝度温度Ta-1 を測定し、ついでキャビテ
ィを鋼材の表面からH/R>2を満たす間隔Hで配置し
て再度輝度温度Ta-2 を測定し、Ta-1 を鋼材の表面温
度として使用して、補正値を求めることもできる。
て実測値を使用したが、実測値を使用する代わりに、ま
ずキャビティを鋼材の表面からH/R≦2を満たす間隔
Hで配置して輝度温度Ta-1 を測定し、ついでキャビテ
ィを鋼材の表面からH/R>2を満たす間隔Hで配置し
て再度輝度温度Ta-2 を測定し、Ta-1 を鋼材の表面温
度として使用して、補正値を求めることもできる。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、加熱炉内で加熱される
被加熱物体、とくに被加熱鋼材の表面温度を、鋼材の種
類や放射率が変動した場合にも正確に測定することを可
能とする加熱炉内物体の表面温度測定方法および装置が
提供される。本発明によれば、加熱炉内で静止している
被加熱物体のみでなく、連続焼鈍炉内を走行しながら焼
鈍処理される鋼板のように、加熱炉内で移動している被
加熱物体の表面温度の正確な測定も可能である。
被加熱物体、とくに被加熱鋼材の表面温度を、鋼材の種
類や放射率が変動した場合にも正確に測定することを可
能とする加熱炉内物体の表面温度測定方法および装置が
提供される。本発明によれば、加熱炉内で静止している
被加熱物体のみでなく、連続焼鈍炉内を走行しながら焼
鈍処理される鋼板のように、加熱炉内で移動している被
加熱物体の表面温度の正確な測定も可能である。
【図1】本発明の測定方法の概念を示す断面図である。
【図2】本発明の装置の一実施例を示す断面図である。
【図3】本発明の他の実施例を示す断面図である。
【図4】温度誤差とH/Rの関係の一例を示すグラフで
ある。
ある。
【図5】温度誤差とH/Rの関係の他の例を示すグラフ
である。
である。
【図6】補正式の定数cを求めるためのグラフである。
【符号の説明】 1 キャビティ状の遮蔽部材 2 フィン部材 3 断熱部材 4 放射温度計 5 水冷菅 6 集光部 7 光ファイバー 8 貫通開口 9 菅 10 固定扞
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 朴 文鎮 大韓民国 慶尚北道浦項市槐東洞1 浦項 綜合製鐵株式会社 (72)発明者 李 承柱 大韓民国 慶尚北道浦項市槐東洞1 浦項 綜合製鐵株式会社
Claims (8)
- 【請求項1】 加熱炉内の被加熱物体の表面温度を放射
温度計で測定する方法において、被加熱物体の表面に対
向して配置したキャビティ状の遮蔽部材および該遮蔽部
材の後面に取り付けた断熱部材に連設された貫通開口部
を通じて、前記被加熱物体からの放射エネルギーを断熱
部材の後方に設置した放射温度計により検出し、被加熱
物体の表面温度を測定することを特徴とする加熱炉内物
体の表面温度測定方法。 - 【請求項2】 加熱炉内の被加熱物体の表面温度を放射
温度計で測定する方法において、被加熱物体の表面に対
向して配置されたキャビティ状の遮蔽部材および該遮蔽
部材の後面に配設されたフィン部材と断熱部材に連設さ
れた貫通開口部を通じて、前記被加熱物体からの放射エ
ネルギーを断熱部材の後方に設置した放射温度計により
検出し、被加熱物体の表面温度を測定することを特徴と
する加熱炉内物体の表面温度測定方法。 - 【請求項3】 遮蔽部材のキャビティが円筒形状、円錐
形状または半球状であり、その下端部の半径Rに対する
キャビティと被加熱物体の表面との間隔Hの比、H/R
が2以下であることを特徴とする請求項1または2記載
の加熱炉内物体の表面温度測定方法。 - 【請求項4】 遮蔽部材のキャビティが円筒形状、円錐
形状または半球状であり、まず遮蔽部材のキャビティを
被加熱物体の表面からH/R≦2(R:キャビティの半
径、H:キャビティと被加熱物体の表面との間隔)を満
たす間隔Hで配置して輝度温度Ta-1 を測定し、ついで
遮蔽部材のキャビティを被加熱物体の表面からH/R>
2を満たす間隔Hで配置して再度輝度温度Ta-2 を測定
し、放射温度計に入射する放射エネルギーと、被加熱物
体の垂直方向への放射エネルギーと、背光雑音に基づく
放射エネルギーとの関係から導かれる放射温度計による
輝度温度Ta 、被加熱物体の表面温度Ts 、炉温Tf の
関係式、Ts =Ta −c(Tf −Ta )において、Ts
としてTa-1 または被加熱物体の表面温度の実測値、炉
温Tf の値として遮蔽部材に最も近接したフィンの温度
T1 を代入し、該関係式から定数cを計算したのち、前
記輝度温度の値Ta-2 を前記計算されたcの値および実
測されたT1 の値を用いて補正することにより被加熱物
体の表面温度を求めることを特徴とする請求項1または
2記載の加熱炉内物体の表面温度測定方法。 - 【請求項5】 被加熱物体が鋼材であることを特徴とす
る請求項1〜4記載の加熱炉内物体の表面温度測定方
法。 - 【請求項6】 加熱炉内の被加熱物体の表面温度を放射
温度計で測定する装置において、被加熱物体の表面に対
向して配置されたキャビティ状の遮蔽部材と、該遮蔽部
材の後面に取り付けられたフィン部材および断熱部材
と、該断熱部材の後方に配設した放射温度計からなり、
遮蔽部材、フィン部材および断熱部材に貫通開口を連設
して、該貫通開口部を通じて被加熱物体からの放射エネ
ルギーを放射温度計により検出し、被加熱物体の表面温
度を測定するようにしたことを特徴とする加熱炉内物体
の表面温度測定装置。 - 【請求項7】 断熱部材の後面部に水冷管を取り付け、
該水冷管内に放射温度計の少なくとも集光部を配設した
ことを特徴とする請求項6記載の加熱炉内物体の表面温
度測定装置。 - 【請求項8】 放射温度計が、本体と集光部とを光ファ
イバーで接続する光ファイバー式放射温度計であること
を特徴とする請求項7記載の加熱炉内物体の表面温度測
定装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35690096A JP3552861B2 (ja) | 1996-12-26 | 1996-12-26 | 加熱炉内物体の表面温度測定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35690096A JP3552861B2 (ja) | 1996-12-26 | 1996-12-26 | 加熱炉内物体の表面温度測定方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10185695A true JPH10185695A (ja) | 1998-07-14 |
JP3552861B2 JP3552861B2 (ja) | 2004-08-11 |
Family
ID=18451329
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35690096A Expired - Fee Related JP3552861B2 (ja) | 1996-12-26 | 1996-12-26 | 加熱炉内物体の表面温度測定方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3552861B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7033070B2 (en) | 2000-06-26 | 2006-04-25 | Nec Corporation | Method and apparatus for measuring temperature |
KR100775085B1 (ko) | 2006-05-10 | 2007-11-08 | 주식회사 포스코 | 연속 주조 주편용 온도 측정 장치 |
WO2011025140A3 (ko) * | 2009-08-27 | 2011-04-21 | 현대제철 주식회사 | 압연 소재의 온도 측정 장치 |
-
1996
- 1996-12-26 JP JP35690096A patent/JP3552861B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7033070B2 (en) | 2000-06-26 | 2006-04-25 | Nec Corporation | Method and apparatus for measuring temperature |
KR100775085B1 (ko) | 2006-05-10 | 2007-11-08 | 주식회사 포스코 | 연속 주조 주편용 온도 측정 장치 |
WO2011025140A3 (ko) * | 2009-08-27 | 2011-04-21 | 현대제철 주식회사 | 압연 소재의 온도 측정 장치 |
KR101159910B1 (ko) | 2009-08-27 | 2012-06-25 | 현대제철 주식회사 | 압연재의 온도 측정 장치 |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JP3552861B2 (ja) | 2004-08-11 |
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