以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
本発明の実施形態について説明する。図1に示すように、本実施形態は、本発明に係る冷凍装置により構成された空調機(1)である。この空調機(1)は、冷媒回路(10)で冷媒を循環させて蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うもので、冷房運転と暖房運転とを切り換えて行う。この空調機(1)は、1つの室外ユニット(5)と複数(図1の例では3つ)の室内ユニット(2,3,4)とを備える、いわゆるマルチ型に構成されている。
冷媒回路(10)には、二酸化炭素(CO2)が冷媒として充填されている。上記冷媒回路(10)は、利用側回路である3つの室内回路(11,12,13)と、熱源側回路である1つの室外回路(14)とを備えている。3つの室内回路(11,12,13)は、第1連絡管(15)及び第2連絡管(16)を介して室外回路(14)に接続されている。
上記室内回路(11,12,13)は、各室内ユニット(2,3,4)に1つずつ収納されている。各室内回路(11,12,13)には、利用側熱交換器である室内熱交換器(2a,3a,4a)と、利用側膨張弁である開度可変の室内膨張弁(2b,3b,4b)とが直列に接続されて設けられている。各室内ユニット(2,3,4)には、図示しないが、室内ファンがそれぞれ設けられている。
各室内熱交換器(2a,3a,4a)は、いわゆるクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器により構成されている。各室内熱交換器(2a,3a,4a)へは、図外の室内ファンによって室内空気が供給される。各室内熱交換器(2a,3a,4a)では、供給された室内空気と該室内熱交換器(2a,3a,4a)を流通する冷媒との間で熱交換が行われる。また、各室内膨張弁(2b,3b,4b)は、電子膨張弁によって構成されている。
上記室外回路(14)は、室外ユニット(5)に収納されている。この室外回路(14)には、圧縮機(20)、膨張機(30)、気液分離器(51)、室外熱交換器(44)、内部熱交換器(45)、四路切換弁(42)、及びブリッジ回路(41)が設けられている。室外ユニット(5)には、図示しないが、室外ファンが設けられている。
圧縮機(20)は、密閉状の金属製の圧縮機ケーシング(21)と、該圧縮機ケーシング(21)内に配置される金属製の電動機(22)と、該電動機(22)によって駆動される金属製の圧縮機構(24)とを備えている。電動機(22)及び圧縮機構(24)は、圧縮機本体を構成している。本実施形態の圧縮機(20)は、圧縮機ケーシング(21)内が圧縮機構(24)で圧縮された高圧の冷媒で満たされた、いわゆる高圧ドーム型に構成される。
圧縮機ケーシング(21)は、縦長で円筒状の密閉容器である。圧縮機ケーシング(21)の上部には、圧縮機構(24)で圧縮された冷媒を吐出するための吐出管(26)が、圧縮機ケーシング(21)の下部には、冷媒を吸入するための吸入管(25)が、それぞれ挿通固定されている。また、圧縮機ケーシング(21)の底部には、例えばPAG等の潤滑油(冷凍機油)を貯留するための油溜まり(27)が形成されている。吸入管(25)及び圧縮機構(24)の下側の部分は、油溜まり(27)の潤滑油に浸漬している。
電動機(22)は、ステータ(22a)とロータ(22b)とを備えている。ステータ(22a)は、略円筒状に形成され、圧縮機ケーシング(21)における上側の部分に内嵌している。ロータ(22b)は、円柱状に形成され、ステータ(22a)の内周に所定の隙間(エアギャップ)を介して挿通されている。ロータ(22b)の中央部には、金属製の駆動軸(23)が挿通固定されている。
駆動軸(23)は、ロータ(22b)から油溜まり(27)まで上下方向に延びるように形成されている。駆動軸(23)は、その軸心が油溜まり(27)の軸心と一致するように配置されている。駆動軸(23)には、油溜まり(27)の潤滑油を圧縮機構(24)の摺動部へ供給するための給油路(23a)が形成されている。また、駆動軸(23)の下端部には、潤滑油を上方へ汲み上げるための遠心ポンプ(23b)が形成されている。電動機(22)の駆動により駆動軸(23)が回転すると、潤滑油は、遠心ポンプ(23b)によって上方へ汲み上げられ、給油路(23a)を通じて圧縮機構(24)の摺動部へ供給される。また、電動機(22)の駆動により駆動軸(23)が回転すると、油溜まり(27)の潤滑油は、攪拌される。これにより、油溜まり(27)の潤滑油の冷媒希釈度(潤滑油に含まれる冷媒の濃度)や温度、圧力が略均一となる。
圧縮機構(24)は、ロータリー式の圧縮機構で構成されている。圧縮機構(24)は、圧縮機ケーシング(21)内における下側の部分に配置されている。圧縮機構(24)は、シリンダ及びピストンを備えている。圧縮機構(24)は、ピストンの回転により吸入管(25)から吸入された冷媒を圧縮し、圧縮後の高圧冷媒を圧縮機ケーシング(21)内の上方へ吐出する。この高圧冷媒は、吐出管(26)を通じて冷媒回路(10)へ吐出される。
膨張機(30)は、密閉状の膨張機ケーシング(31)を備えている。膨張機ケーシング(31)の内部には、膨張機構(34)と発電機(32)と出力軸(33)とが収容されている。膨張機構(34)は、いわゆるロータリー式の容積型流体機械を構成している。膨張機ケーシング(31)内では、膨張機構(34)の上方に発電機(32)が配置されている。出力軸(33)は、上下方向に延びて、膨張機構(34)と発電機(32)とを連結している。
膨張機ケーシング(31)には、流入管(35)と流出管(36)とが設けられている。流入管(35)及び流出管(36)は、何れも膨張機ケーシング(31)の胴部の下部付近を貫通している。流入管(35)は、その終端が膨張機構(34)へ接続されている。流出管(36)は、その始端が膨張機構(34)へ接続されている。膨張機構(34)の内部では、流入管(35)を通って流入した冷媒がピストン(図示省略)を回転させながら膨張する。その結果、発電機(32)が回転駆動される。つまり、冷媒の膨張によって発生した動力が発電に利用される。また、冷媒回路(10)には、膨張機(30)の流入側と流出側とに接続されるバイパス管(38)が設けられている。バイパス管(38)には、該バイパス管(38)を流れる冷媒の流量を調整するためのバイパス弁(29)が設けられている。また、膨張機ケーシング(31)の底部には、油戻し流路(55)が接続されている。油戻し流路(55)の流出端は、ガスインジェクション管(37)の圧縮機(20)側に接続されている。
また、圧縮機(20)及び膨張機(30)には、連通管(48)が接続されている。この連通管(48)は、圧縮機(20)の油溜まり(27)の潤滑油を膨張機(30)へ供給するための連通路を構成している。連通管(48)の流入端(49)は、圧縮機ケーシング(21)の底部を貫通して油溜まり(27)へ開口している。この流入端(49)は、油溜まり(27)の潤滑油を膨張機(30)へ供給するための給油口を構成している。一方、連通管(48)の流出端は、膨張機構(34)における軸受部の摺動部分に接続されている。
油溜まり(27)内には、図1〜図3に示すように、第1静電容量センサ(70)と第2静電容量センサ(71)とが設置されている。第1静電容量センサ(70)は、連通管(48)の流入端(49)よりも若干上方に配置され、油溜まり(27)に貯留された潤滑油の油面レベルを検出する膨張機保護用のセンサである。第2静電容量センサ(71)は、連通管(48)の流入端(49)よりも下方に配置され、油溜まり(27)の潤滑油の油面レベルを検出する圧縮機保護用のセンサである。
第1静電容量センサ(70)の形状構造・大きさと第2静電容量センサ(71)の形状構造・大きさとは、略同一である。具体的に、第1及び第2静電容量センサ(70,71)は、何れも内側電極(72)と外側電極(73)とを備えている。内側及び外側電極(72,73)は、何れも円環状の電極である。外側電極(73)は、その軸心が内側電極(72)の軸心と一致するように内側電極(72)を取り囲んで配置されている。内側電極(72)の内周面には、端子用ボルト(72a)が突設されている。この端子用ボルト(72a)には、図示しないが、リード線がナットによって固定され、このリード線が後述するコントローラ(90)に接続されている。外側電極(73)の外周面には、端子用ボルト(73a)が突設されている。この端子用ボルト(73a)には、図示しないが、リード線がナットによって固定され、このリード線がコントローラ(90)に接続されている。内側及び外側電極(72,73)は、その端子用ボルト(72a,73a)の位置が上下方向視で一致するように配置されている。内側及び外側電極(72,73)の上下方向の長さは、略同一である。内側及び外側電極(72,73)は、その上端面及び下端面の高さ位置がそれぞれ一致するように配置されている。なお、ここで言うところの「略同一」とは、同一であることは勿論、公差内(例えば、数mmの公差内)であることも含む。
第1静電容量センサ(70)の設置環境と第2静電容量センサ(71)の設置環境とは、略同一である。設置環境とは、静電容量センサ(70,71)の両電極(72,73)間の静電容量に影響する、静電容量センサ(70,71)の周囲の駆動軸(23)や圧縮機構(24)、油溜まり(27)等の金属部材に対する静電容量センサ(70,71)の設置条件を意味する。
具体的に、第1静電容量センサ(70)の内側及び外側電極(72,73)の上端面と圧縮機構(24)の底面(24a)との間の距離D1と、第2静電容量センサ(71)の内側及び外側電極(72,73)の下端面と油溜まり(27)の底面(27a)との間の距離D2とは、略同一である。圧縮機構(24)の底面(24a)は、圧縮機本体の底面を構成している。また、第1及び第2静電容量センサ(70,71)は、その軸心が駆動軸(23)の軸心と一致するように駆動軸(23)を取り囲んで配置されている。この駆動軸(23)は、第2静電容量センサ(71)の若干下方まで延びるように形成されている。さらに、第1静電容量センサ(70)の外側電極(73)の外周面と油溜まり(27)の内周面との間の距離と、第2静電容量センサ(71)の外側電極(73)の外周面と油溜まり(27)の内周面との間の距離とは、略同一である。その上、第1及び第2静電容量センサ(70,71)は、その周方向に互いに等間隔で配置された3つの支持部材(74)によって油溜まり(27)の底面(27a)に取付支持されている。この支持部材(74)は、内側絶縁体(75)と外側絶縁体(76)とL字状部材(77)と棒状部材(78)とを備えている。内側絶縁体(75)、外側絶縁体(76)及びL字状部材(77)は、静電容量センサ(70,71)毎に設けられている。内側絶縁体(75)は、各静電容量センサ(70,71)における内側電極(72)と外側電極(73)との間に介設されている。外側絶縁体(76)は、各静電容量センサ(70,71)における外側電極(73)とL字状部材(77)との間に介設されている。棒状部材(78)は、上下方向に延びるように形成され、駆動軸(23)の軸心を中心とする円周上にそれぞれ配置されている。棒状部材(78)は、上方棒状部(78a)と下方棒状部(78b)とを備えている。第1静電容量センサ(70)のL字状部材(77)は、上方棒状部(78a)の上端面に締結部材によって取り付けられている。第2静電容量センサ(71)のL字状部材(77)は、下方棒状部(78b)の上端面に上方棒状部(78a)の下端面に形成された締結部によって共締めされている。下方棒状部(78b)は、その下端面に形成された締結部によって油溜まり(27)の底面(27a)に取り付けられている。なお、ここで言うところの「略同一」とは、同一であることは勿論、公差内(例えば、数mmの公差内)であることも含む。
図1に示すように、気液分離器(51)は、縦長で円筒状の密閉容器である。気液分離器(51)には、その頂部にガスインジェクション管(37)の一端が、その底部に液配管(50)の一端が、その側部には膨張機側流出管(39)の一端が、それぞれ接続されている。ガスインジェクション管(37)の他端は、圧縮機(20)の吸入側へ接続されている。液配管(50)の他端は、ブリッジ回路(41)に接続されている。膨張機側流出管(39)の他端は、膨張機(30)の流出管(36)に接続されている。また、ガスインジェクション管(37)には、ガス抜き弁(52)が設けられている。ガス抜き弁(52)は、例えば電子膨張弁で構成される。
室外熱交換器(44)は、いわゆるクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器により構成されている。室外熱交換器(44)へは、図外の室外ファンによって室外空気が供給される。室外熱交換器(44)では、供給された室外空気と該室外熱交換器(44)を流通する冷媒との間で熱交換が行われる。室外回路(14)において、室外熱交換器(44)は、その一端が四路切換弁(42)の第3のポートに接続され、その他端がブリッジ回路(41)に接続されている。
内部熱交換器(45)は、互いに隣接して配置された第1流路(46)及び第2流路(47)を備え、第1流路(46)の冷媒と第2流路(47)の冷媒とを熱交換させるように構成されている。室外回路(14)において、第1流路(46)は液配管(50)の一部を構成し、第2流路(47)はガスインジェクション管(37)の一部を構成している。この内部熱交換器(45)では、第1流路(46)の冷媒と第2流路(47)の冷媒との間で熱交換が行われる。
ブリッジ回路(41)は、3つの逆止弁(CV-1〜CV-3)と1つの室外膨張弁(43)とをブリッジ状に接続したものである。各逆止弁(CV-1〜CV-3)は、図1における矢印方向への冷媒の流れを許容し、その逆の流れを禁止している。このブリッジ回路(41)は、第1逆止弁(CV-1)の流入側及び室外膨張弁(43)の一端側が室外熱交換器(44)の他端に接続され、第2逆止弁(CV-2)の流入側及び室外膨張弁(43)の他端側が液配管(50)に接続されている。また、ブリッジ回路(41)は、第2逆止弁(CV-2)の流出側及び第3逆止弁(CV-3)の流入側が第1閉鎖弁(17)に接続され、第3逆止弁(CV-3)の流出側及び第1逆止弁(CV-1)の流出側が膨張機(30)の流入側へ接続されている。
室外回路(14)において、四路切換弁(42)の第1のポートは、圧縮機(20)の吸入側に接続されている。第2のポートは、第2閉鎖弁(18)に接続されている。第3のポートは、室外熱交換器(44)の一端に接続されている。第4のポートは、圧縮機(20)の吐出側に接続されている。この四路切換弁(42)は、第1のポートが第2のポートと連通し且つ第3のポートが第4のポートと連通する状態(図1に実線で示す状態)と、第1のポートが第3のポートと連通し且つ第2のポートが第4のポートと連通する状態(図1に破線で示す状態)とに切り換わるように構成されている。
第1連絡管(15)は、その一端が第1閉鎖弁(17)に接続されている。また、第1連絡管(15)は、他端側で3つに分岐されて、各室内回路(11,12,13)における室内膨張弁(2b,3b,4b)側の端部に接続されている。第2連絡管(16)は、その一端が第2閉鎖弁(18)に接続されている。また、第2連絡管(16)は、他端側で3つに分岐されて、各室内回路(11,12,13)における室内熱交換器(2a,3a,4a)側の端部に接続されている。
空調機(1)は、図4に示すように、油状態センサ(80)とコントローラ(90)とを備えている。油状態センサ(80)は、油溜まり(27)の潤滑油の温度及び圧力を検出する。コントローラ(90)は、空調機(1)を制御する。コントローラ(90)は、算出部(91)と制御部(92)と判定部(93)とを備えている。
算出部(91)は、第1静電容量センサ(70)の出力値(検出値)に基づいて、第1静電容量センサ(70)の両電極(72,73)間の静電容量を算出し、第2静電容量センサ(71)の出力値(検出値)に基づいて、第2静電容量センサ(71)の両電極(72,73)間の静電容量をそれぞれ算出する。
制御部(92)は、算出部(91)によって算出された、第1及び第2静電容量センサ(70,71)の静電容量に基づいて、圧縮機(20)の摺動部及び膨張機(30)の摺動部を保護するための制御を行う。
具体的に、制御部(92)は、第1静電容量センサ(70)の静電容量S1と第2静電容量センサ(71)の静電容量S2とが略同一で、つまり、第1静電容量センサ(70)の出力値と第2静電容量センサ(71)の出力値とが略同一で且つ、その静電容量S1,S2がS0よりも大きいときには、油溜まり(27)に十分な量の潤滑油が貯留されているとして、圧縮機(20)の摺動部及び膨張機(30)の摺動部を保護するための制御を行わない。また、膨張機(30)が停止中である場合は、膨張機(30)を起動する。このように、第1静電容量センサ(70)の静電容量S1と第2静電容量センサ(71)の静電容量S2とが略同一となり且つ、その静電容量S1,S2がS0よりも大きくなるのは、油溜まり(27)の潤滑油の油面レベルがL0以上の高さ位置にあるときである。L0は、圧縮機構(24)の底面(24a)の高さ位置である。S0は、油溜まり(27)の潤滑油の油面レベルが後述するL4の高さ位置にあるときにおける第2静電容量センサ(71)の最大静電容量であり、本実施形態では、例えば、20(pF)である。
一方、制御部(92)は、静電容量センサ(70,71)の静電容量S1,S2がS0以下であるときや、第1静電容量センサ(70)の静電容量S1と第2静電容量センサ(71)の静電容量S2とが相違するとき、つまり、第1静電容量センサ(70)の出力値と第2静電容量センサ(71)の出力値とが相違するときには、2つの静電容量センサ(70,71)が油面から完全に露出している、又は、油面の低下が発生しているとして、少なくとも膨張機(30)の摺動部を保護するための制御を行う。
詳細に、制御部(92)は、第1静電容量センサ(70)の静電容量S1と第2静電容量センサ(71)の静電容量S2とが略同一で且つ、その静電容量S1,S2がS0以下であるときには、圧縮機構(24)及び膨張機構(34)の潤滑油の供給量が何れも不十分であるとして、圧縮機(20)及び膨張機(30)を停止する。このように、第1静電容量センサ(70)の静電容量S1と第2静電容量センサ(71)の静電容量S2とが略同一となり且つ、その静電容量S1,S2がS0以下となるのは、油溜まり(27)の潤滑油の油面レベルがL4以下の高さ位置にあるときである。L4は、遠心ポンプ(23b)の吸入口よりも高く第2静電容量センサ(71)の下端面よりも低い高さ位置である。
また、制御部(92)は、静電容量センサ(70,71)の静電容量S1,S2がS0よりも大きく且つ、第2静電容量センサ(71)の静電容量S2に対する第1静電容量センサ(70)の静電容量S1の比率S1/S2が第1所定値V1以上であるときには、油溜まり(27)の潤滑油の油面レベルがL3以上の高さ位置にあり、圧縮機構(24)への潤滑油の供給量は十分であるとして、圧縮機(20)が停止中である場合は、圧縮機(20)を起動する。第1所定値V1は、本実施形態では、例えば55%である。L3は、第2静電容量センサ(71)の上端面よりも高く第1静電容量センサ(70)の下端面よりも低い高さ位置である。
また、制御部(92)は、静電容量センサ(70,71)の静電容量S1,S2がS0よりも大きく且つ、上記比率S1/S2が第2所定値V2以下であるときには、油溜まり(27)の潤滑油の油面レベルがL4よりも高くL2以下の高さ位置にあり、膨張機構(34)への潤滑油の供給量のみが不十分であるとして、膨張機(30)を停止するとともに、冷媒回路(10)内に溜まった潤滑油を油溜まり(27)へ戻すための油戻し運転を行う。第2所定値V2は、第1所定値V1よりも大きく、本実施形態では、例えば70%である。L2は、第1静電容量センサ(70)の下端面よりも高くその上端面よりも低い高さ位置である。
また、制御部(92)は、上記比率S1/S2が第2所定値V2よりも大きく第3所定値V3以下であるときには、油溜まり(27)の潤滑油の油面レベルがL2よりも高くL1以下の高さ位置にあるとして、油溜まり(27)の潤滑油の油面レベルを回復するための油面回復運転を行う。第3所定値V3は、第2所定値V2よりも大きく、本実施形態では、例えば85%である。L1は、第1静電容量センサ(70)の上端面よりも高く圧縮機構(24)の底面(24a)よりも低い高さ位置である。
なお、第1〜第3所定値V1〜V3は、予め実験等を行うことによって設定されている。
ところで、静電容量センサ(70,71)の静電容量S1,S2は、潤滑油の油面レベルだけではなく、潤滑油の冷媒希釈度や潤滑油の温度、潤滑油の圧力に基づいて変動する。ここに、潤滑油の冷媒希釈度が高いほど、静電容量センサ(70,71)の静電容量S1,S2は小さくなる。また、潤滑油の温度が低いほど、静電容量センサ(70,71)の静電容量S1,S2は大きくなる。さらに、潤滑油の圧力が高いほど、静電容量センサ(70,71)の静電容量S1,S2は大きくなる。
また、潤滑油の冷媒希釈度が高くなると、潤滑油の粘度が低くなり、圧縮機(20)の摺動部や膨張機(30)の摺動部が損傷する虞がある。
そこで、算出部である判定部(93)は、第1静電容量センサ(70)の静電容量S1と第2静電容量センサ(71)の静電容量S2とが略同一で且つ、その静電容量S1,S2がS0よりも大きいときに、その静電容量S1,S2と油状態センサ(80)の出力値(潤滑油の温度及び圧力の検出値)とに基づいて、潤滑油の冷媒希釈度を算出する。つまり、判定部(93)は、潤滑油の温度及び圧力に基づいて、冷媒希釈度を補正する。そして、判定部(93)は、算出された冷媒希釈度が所定値(例えば50%)以上のときに、潤滑油の冷媒希釈度が高い旨を警報し、高圧冷媒の圧力の急変や吐出されたガス冷媒の温度の急変を回避する制御を行う。
なお、本実施形態では、潤滑油の冷媒希釈度が50%のときに、静電容量センサ(70,71)の静電容量S1,S2は24〜30(pF)である。
−運転動作−
本実施形態の空調機(1)では、冷房運転と暖房運転とが選択的に行われる。そして、冷房運転中及び暖房運転中において、油溜まり(27)の潤滑油の量が減少すると、圧縮機(20)の摺動部及び膨張機(30)の摺動部を保護するための制御へ切り換えられる。
なお、冷房運転及び暖房運転の双方の運転開始時には、起動運転が行われる。この起動運転では、圧縮機(20)の電動機(22)の回転数が段階的に引き上げられる。
《冷房運転》
上記空調機(1)の冷房運転時の動作について説明する。
冷房運転時において、四路切換弁(42)は、図1に実線で示す状態に切り換えられ、各室内膨張弁(2b,3b,4b)の開度が個別に調節される。また、室外膨張弁(43)は全閉状態に設定され、バイパス弁(29)及びガス抜き弁(52)は、開度が適宜調整される。
この状態で圧縮機(20)を駆動すると、冷媒回路(10)で冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。その際、室外熱交換器(44)が放熱器として機能し、室内熱交換器(2a,3a,4a)が蒸発器として機能する。
具体的に、圧縮機(20)からは、圧縮されて臨界圧力よりも高い圧力となった高圧冷媒が吐出される。この高圧冷媒は、四路切換弁(42)を通過して室外熱交換器(44)へ送られる。室外熱交換器(44)を流れる高圧冷媒は、室外空気と熱交換を行い、室外空気に対して放熱する。
室外熱交換器(44)で放熱した冷媒は、ブリッジ回路(41)を通じて膨張機(30)へ流入する。膨張機(30)では冷媒が膨張して減圧される。減圧された冷媒は、気液分離器(51)に流入して液冷媒とガス冷媒とに分離される。気液分離器(51)内の飽和状態の液冷媒は、底部から流出して内部熱交換器(45)の第1流路(46)に流入する。一方、気液分離器(51)内の飽和状態のガス冷媒は、ガス抜き弁(52)で減圧された後に内部熱交換器(45)の第2流路(47)に流入する。
内部熱交換器(45)では、第1流路(46)の冷媒と第2流路(47)の冷媒との間で熱交換が行われる。第1流路(46)の冷媒は、第2流路(47)の冷媒によって冷却される。
第1流路(46)を通過した液冷媒は、ブリッジ回路(41)及び第1連絡管(15)を通じて各室内回路(11,12,13)へ分配される。この液冷媒は、各室内調節弁(2b,3b,4b)で減圧された後に各室内熱交換器(2a,3a,4a)へ流入する。各室内熱交換器(2a,3a,4a)では、冷媒と室内空気との間で熱交換が行われる。この熱交換により、冷媒は室内空気から吸熱して蒸発する一方、室内空気は冷却されて室内へ供給される。各室内熱交換器(2a,3a,4a)で蒸発した冷媒は、第2連絡管(16)で合流して室外回路(14)へ流入する。室外回路(14)へ流入した冷媒は、第2流路(47)を流出した冷媒と合流し、圧縮機(20)へ吸入される。圧縮機(20)に吸入された冷媒は、再び圧縮されて吐出される。
《暖房運転》
上記空調機(1)の暖房運転時の動作について説明する。
暖房運転時において、四路切換弁(42)は、図1に破線で示す状態に切り換えられ、各室内膨張弁(2b,3b,4b)の開度が個別に調節される。また、バイパス弁(29)、室外膨張弁(43)、及びガス抜き弁(52)は、開度が適宜調整される。
この状態で圧縮機(20)を駆動すると、冷媒回路(10)で冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。その際、室内熱交換器(2a,3a,4a)が放熱器として機能し、室外熱交換器(44)が蒸発器として機能する。
具体的に、圧縮機(20)からは、圧縮されて臨界圧力よりも高圧となった高圧冷媒が吐出される。この高圧冷媒は、四路切換弁(42)を通過して第2連絡管(16)へ流入し、各室内回路(11,12,13)へ分配される。その際、各室内回路(11,12,13)に対しては、室内膨張弁(2b,3b,4b)の開度に応じた量の冷媒が供給される。
各室内回路(11,12,13)へ分配された高圧冷媒は、それぞれ室内熱交換器(2a,3a,4a)へ導入されて室内空気と熱交換を行う。この熱交換により、高圧冷媒は室内空気に対して放熱し、室内空気が加熱される。各室内熱交換器(2a,3a,4a)で放熱した冷媒は、第1連絡管(15)へ流入して合流し、その後に室外回路(14)へ送り返される。一方、室内熱交換器(2a,3a,4a)において加熱された室内空気は、室内へ供給される。
第1連絡管(15)から室外回路(14)へ流入した冷媒は、ブリッジ回路(41)を通過して膨張機(30)に流入する。膨張機(30)では冷媒が膨張して減圧される。減圧された冷媒は、気液分離器(51)に流入して液冷媒とガス冷媒とに分離される。気液分離器(51)内の液冷媒は、底部から流出してブリッジ回路(41)の室外膨張弁(43)を流れて減圧された後、室外熱交換器(44)へ流入する。この冷媒は、室外空気と熱交換を行うことにより、冷媒が室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(44)で蒸発した冷媒は、圧縮機(20)へ吸入され、再び圧縮されて吐出される。
〈圧縮機及び膨張機の潤滑動作〉
圧縮機(20)の電動機(22)が駆動すると、圧縮機(20)の油溜まり(27)に貯留される潤滑油は、遠心ポンプ(23b)によって上方へ汲み上げられ、給油路(23a)を通じて圧縮機構(24)の摺動部へ供給される。これにより、圧縮機構(24)の摺動部が潤滑される。摺動部を潤滑した潤滑油は、そのまま油溜まり(27)へ戻されるか、又は圧縮機構(24)によって圧縮された冷媒とともに冷媒回路(10)へ流出する。潤滑油は、冷媒回路(10)を循環した後、再び圧縮機(20)へ戻される。
一方、圧縮機(20)の油溜まり(27)の潤滑油は、圧縮機(20)と膨張機(30)との間に生じる差圧を利用して、連通管(48)を通じて膨張機(30)へ供給される。膨張機構(34)へ供給された潤滑油は、該膨張機構(34)の摺動部を潤滑した後、膨張された冷媒とともに冷媒回路(10)へ流出する。この潤滑油は、冷媒回路(10)を循環した後、圧縮機(20)へ戻されるか、又は、膨張機(30)の軸受部の摺動部分を通過して膨張機(30)の底部に溜まり込み、該底部から油戻し流路(55)を通じて圧縮機(20)へ戻される。
ここに、油溜まり(27)の潤滑油の量が十分に多い場合には、潤滑油は、給油路(23a)を通じて圧縮機構(24)へ供給されるとともに、連通管(48)を通じて膨張機構(34)へ供給される。
しかし、油溜まり(27)の潤滑油の量が減少すると、圧縮機構(24)や膨張機構(34)への潤滑油の供給量が不十分になってしまう。
また、油溜まり(27)の潤滑油の量が十分に多い場合であっても、潤滑油に含まれる冷媒の濃度が高いときには、圧縮機構(24)や膨張機構(34)へ供給される潤滑油の粘度が低下し、その摺動部に異常な磨耗や焼き着きが生じる虞がある。また、冷媒濃度が高いと、潤滑油の温度や圧力の急変によって潤滑油に含まれる冷媒が発泡して、潤滑油の急激な流出を招き、潤滑油を十分に供給できなくなる虞もある。
これに対して、本実施形態では、油溜まり(27)の潤滑油の量が減少したときには、制御部(92)によって圧縮機(20)の摺動部及び膨張機(30)の摺動部を保護するための制御が行われる。また、油溜まり(27)の潤滑油の量が十分に多い場合であっても、潤滑油に含まれる冷媒の濃度が高いときには、判定部(93)によって潤滑油に含まれる冷媒の濃度が高い旨が警報され、高圧冷媒の圧力の急変や吐出されたガス冷媒の温度の急変を回避する制御が行われる。
〈コントローラの油面監視動作〉
上記コントローラ(90)の油面監視動作について、図5のフローチャートを参照しながら説明する。
まず、ステップS1では、算出部(91)によって、第1静電容量センサ(70)の出力値に基づいて、第1静電容量センサ(70)の静電容量S1を算出し、第2静電容量センサ(71)の出力値に基づいて、第2静電容量センサ(71)の静電容量S2を算出する。
続くステップS2では、制御部(92)によって油溜まり(27)の潤滑油の油面レベルがL4以下の高さ位置にあるか否か、つまり、第1静電容量センサ(70)の静電容量S1と第2静電容量センサ(71)の静電容量S2とが略同一で且つ、その静電容量S1,S2がS0以下であるか否かを判定する。
ステップS2の判定結果がYESで油面レベルがL4以下の場合は、ステップS3に進んで、圧縮機構(24)及び膨張機構(34)への潤滑油の供給量が何れも不十分であるとして、制御部(92)によって圧縮機(20)及び膨張機(30)を停止した後、ステップS1に戻る。一方、ステップS2の判定結果がNOで油面レベルがL4よりも高い場合は、ステップS4に進む。
ステップS4では、制御部(92)によって油溜まり(27)の潤滑油の油面レベルがL3以上の高さ位置にあり、つまり、第2静電容量センサ(71)の静電容量S2に対する第1静電容量センサ(70)の静電容量S1の比率S1/S2が第1所定値V1以上であり且つ、圧縮機(20)が停止中であるか否かを判定する。
ステップS4の判定結果がYESで油面レベルがL3以上であり且つ、圧縮機(20)が停止中である場合は、ステップS5に進んで、圧縮機(20)を起動した後、ステップS1に戻る。一方、ステップS4の判定結果がNOで油面レベルがL3未満である、又は、圧縮機(20)が運転中である場合は、ステップS6に進む。
ステップS6では、制御部(92)によって油溜まり(27)の潤滑油の油面レベルがL2以下の高さ位置にあるか否か、つまり、第2静電容量センサ(71)の静電容量S2に対する第1静電容量センサ(70)の静電容量S1の比率S1/S2が第2所定値V2以下であるか否かを判定する。
ステップS6の判定結果がYESで油面レベルがL2以下である場合は、ステップS7に進んで、膨張機構(34)への潤滑油の供給量のみが不十分であるとして、膨張機(30)を停止するとともにバイパス弁(29)を開いた後、ステップS8に進んで、制御部(92)によって冷媒回路(10)内に溜まった潤滑油を油溜まり(27)へ戻すための油戻し運転を行う。その後、ステップS1に戻る。
ここに、冷房運転中に、油戻し運転を行う場合は、各室内熱交換器(2a,3a,4a)から圧縮機(20)へ向かって流れる冷媒が湿り冷媒となるように、各室内膨張弁(2b,3b,4b)の開度を調整するとともに、圧縮機(20)の電動機(22)の回転数を上げる。こうすると、各室内熱交換器(2a,3a,4a)やその下流側に残存する潤滑油を冷媒とともに圧縮機(20)へ送ることができる。これにより、油溜まり(27)の潤滑油の量が増大する。
また、暖房運転中に、油戻し運転を行う場合は、四路切換弁(42)を図1における破線状態から実線状態へ切り換えるとともに、各室内熱交換器(2a,3a,4a)から圧縮機(20)へ向かって流れる冷媒が湿り冷媒となるように、各室内膨張弁(2b,3b,4b)の開度を調整するとともに、圧縮機(20)の電動機(22)の回転数を上げる。これにより、冷房運転時における油戻し運転の場合と同様、各室内熱交換器(2a,3a,4a)等に残存する潤滑油を冷媒とともに圧縮機(20)へ送ることができるため、油溜まり(27)の潤滑油の量が増大する。
一方、ステップS6の判定結果がNOで油面レベルがL2よりも高い場合は、ステップS9に進む。
ステップS9では、制御部(92)によって油溜まり(27)の潤滑油の油面レベルがL0以上の高さ位置にあり、つまり、第1静電容量センサ(70)の出力値と第2静電容量センサ(71)の出力値とが略同一でその静電容量S1,S2がS0よりも大きく且つ、膨張機(30)が停止中であるか否かを判定する。
ステップS9の判定結果がYESで油面レベルがL0以上であり且つ、膨張機(30)が停止中である場合は、ステップS10に進んで、膨張機(30)を起動した後、ステップS1に戻る。一方、ステップS9の判定結果がNOで油面レベルがL0未満である、又は、膨張機(30)が運転中である場合は、ステップS11に進む。
ステップS11では、制御部(92)によって油溜まり(27)の潤滑油の油面レベルがL1以下の高さ位置にあるか否か、つまり、第2静電容量センサ(71)の静電容量S2に対する第1静電容量センサ(70)の静電容量S1の比率S1/S2が第3所定値V3以下であるか否かを判定する。
ステップS11の判定結果がYESで油面レベルがL1以下である場合は、ステップS12に進んで、制御部(92)によって油溜まり(27)の潤滑油の油面レベルを回復するための油面回復運転を行う。この油面回復運転では、室外膨張弁(43)の開度が大きくされるとともに、圧縮機(20)の電動機(22)の回転数が上げられる。こうすると、冷媒の循環量が増加するとともに、圧縮機(20)外へ持ち出されていた潤滑油が圧縮機(20)へ戻ってくる。これにより、油溜まり(27)の潤滑油の量が増大する。その後、ステップS1に戻る。
一方、ステップS11の判定結果がNOで油面レベルがL1よりも高い場合は、油溜まり(27)に十分な量の潤滑油が貯留されているとして、ステップS13に進む。
ステップS13では、油溜まり(27)の潤滑油の油面レベルがL0以上の高さ位置にある場合、判定部(93)によって、静電容量センサ(70,71)の静電容量S1,S2と油状態センサ(80)の出力値(潤滑油の温度及び圧力の検出値)とに基づいて、潤滑油の冷媒希釈度を算出し、潤滑油の冷媒希釈の可能性があるか否か、つまり、その算出された冷媒希釈度が50%以上であるか否かを判定する。
ステップS13の判定結果がYESで冷媒希釈度が50%以上である場合は、ステップS14に進んで、潤滑油の冷媒希釈度が高い旨を警報し、高圧冷媒の圧力の急変や吐出されたガス冷媒の温度の急変を回避する制御を行う。一方、ステップS13の判定結果がNOで冷媒希釈度が50%よりも低い場合は、ステップS1に戻る。
−実施形態の効果−
本実施形態によれば、第1静電容量センサ(70)の形状構造と第2静電容量センサ(71)の形状構造とが略同一であり、第1静電容量センサ(70)の内側及び外側電極(72,73)の上端面と圧縮機構(24)の底面(24a)との間の距離D1と、第2静電容量センサ(71)の内側及び外側電極(72,73)の下端面と油溜まり(27)の底面(27a)との間の距離D2とが略同一であるため、第1静電容量センサ(70)の設置環境と第2静電容量センサ(71)の設置環境とが略同一となり、2つの静電容量センサ(70,71)の両電極(72,73)間の静電容量S1,S2に対する静電容量センサ(70,71)の周囲の駆動軸(23)や圧縮機構(24)、油溜まり(27)等の金属部材の影響量が略同一となる。このため、油溜まり(27)に十分な量の潤滑油が貯留されているときや、2つの静電容量センサ(70,71)が油面から完全に露出しているときには、2つの静電容量センサ(70,71)の出力値が略同一となる。一方、油面の低下が発生しているときには、2つの静電容量センサ(70,71)が何れも油面から露出していない限り、2つの静電容量センサ(70,71)の出力値が相違する。したがって、簡単な配置構造で、圧縮機(20)の油溜まり(27)に貯留された潤滑油の油面レベルを高い精度で検出することができ、圧縮機(20)の摺動部及び膨張機(30)の摺動部を確実に保護することができる。
また、制御部(92)が、第1静電容量センサ(70)の出力値と第2静電容量センサ(71)の出力値とが相違するときに、その出力値に基づいて、少なくとも膨張機(30)を保護するための制御を行う。つまり、制御部(92)が、油面の低下が発生しているときに、少なくとも膨張機(30)を保護するための制御を行う。このため、膨張機(30)の摺動部を確実に保護することができる。
また、判定部(93)が、第1静電容量センサ(70)の出力値と第2静電容量センサ(71)の出力値とが略同一であるときに、その静電容量S1,S2と油状態センサ(80)の出力値(潤滑油の温度及び圧力の検出値)とに基づいて、潤滑油の冷媒希釈度を算出する。つまり、判定部(93)が、潤滑油の温度及び圧力に基づいて、冷媒希釈度を補正する。このため、潤滑油の冷媒希釈度を高い精度で算出することができる。そして、判定部(93)は、算出された冷媒希釈度が所定値以上のときに、潤滑油の冷媒希釈度が高い旨を警報し、高圧冷媒の圧力の急変や吐出されたガス冷媒の温度の急変を回避する制御を行う。このため、圧縮機(20)の摺動部及び膨張機(30)の摺動部を確実に保護することができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態では、圧縮機ケーシング(21)内では、電動機(22)の上方に圧縮機構(24)が配置されてもよい。この場合、電動機(22)の底面は、圧縮機本体の底面を構成し、第1静電容量センサ(70)と電動機(22)の底面との間の距離と、第2静電容量センサ(71)と油溜まり(27)の底面(27a)との間の距離とは、略同一である。
また、上記実施形態では、判定部(93)が、静電容量センサ(70,71)の静電容量S1,S2と潤滑油の温度とに基づいて、又は、静電容量センサ(70,71)の静電容量S1,S2と潤滑油の圧力とに基づいて、潤滑油の冷媒希釈度を算出してもよい。但し、冷媒希釈度をより精度高く算出するためには、静電容量S1,S2と潤滑油の温度及び圧力とに基づいて、冷媒希釈度を算出することが好ましい。
また、上記実施形態では、潤滑油が攪拌される限り、遠心ポンプ(23b)の代わりに、メカニカルポンプが設置されてもよい。
《参考例》
上記実施形態では、圧縮機(20)の油溜まり(27)の潤滑油が膨張機(30)へ供給されたが、参考例では、図6に示すように、油溜まり(27)の潤滑油が膨張機(30)へ供給されなくてもよい。つまり、参考例では、油溜まり(27)の潤滑油を膨張機(30)へ供給するための給油口がない。この場合、第1及び第2静電容量センサ(70,71)は、何れも圧縮機保護用のセンサである。