JP2014129564A - 耐酸化性NiAlナノ粒子及びその製造方法、耐酸化性NiAlナノ粒子含有ボンドコート層 - Google Patents

耐酸化性NiAlナノ粒子及びその製造方法、耐酸化性NiAlナノ粒子含有ボンドコート層 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、耐酸化性NiAlナノ粒子及びその製造方法、耐酸化性NiAlナノ粒子含有ボンドコート層を提供することを課題とする。
【解決手段】Ni100−XAl(4≦X≦5)からなり、粒子径100nm未満であることを特徴とする耐酸化性NiAlナノ粒子を用いることによって前記課題を解決できる。
【選択図】図5

Description

本発明は、耐酸化性NiAlナノ粒子及びその製造方法、耐酸化性NiAlナノ粒子含有ボンドコート層に関するものである。
図1は、ジェットエンジン、ジェットエンジンに用いられるタービンブレード(A部)及びタービンブレードの部分断面の模式図である。ジェットエンジンに用いられるタービンブレードには、高剛性のほか高耐熱性が必要とされる。そのため、タービンブレードは、表面に熱バリアコート層が形成されている。
具体的には、超合金基材があり、その基材の表面に約100μmの厚さのボンドコート層が形成されている。更に、そのボンドコート層の表面に100〜400μmの厚さのZr酸化物(ジルコニア)層(トップコート層)が形成されている。トップコート層は、熱バリアコート層とされる。
図2は、基材と、ボンドコート層と、熱バリアコート層の3層構造の一例を示す模式図である。
ボンドコート層は、Ni合金からなる基材とZr酸化物(ジルコニア)からなる熱バリアコート層を接合している。ボンドコート層を設けることにより、Ni合金とZr酸化物という異なる材質を強固に接合保持することができる。また、熱バリアコート層を設けることにより、基材の表面を保護することができる。
ボンドコート層は、Ni金属層にAlマイクロ粒子を分散させて構成されている。Alマイクロ粒子の平均粒子径は10nm程度とされる。
しかし、このボンドコート層には、経時変化により、徐々に空隙(ボイド)が形成され、基材と熱バリアコート層との間の接着力を低下させて、熱バリアコート層の剥離を生じさせるという問題があった。
この解決手段の一つとして、図3に示すように、分散させるAl粒子の粒子径をμmからnmへ変換することが提案されている(非特許文献1)。これにより、空隙の形成は抑制することができる。図3は、Alマイクロ粒子を分散させたボンドコート層の断面写真(a)と、Alナノ粒子を分散させたボンドコート層の断面写真(b)である。
しかし、平均粒子径1μm未満のAlナノ粒子を分散させた場合には、使用状況の環境変化に伴う経時変化により、Alナノ粒子が金属層内を熱バリアコート層側に動き、図4に示すように、熱バリアコート層との界面でAl膜を形成する場合が発生した。図4は、Ni金属層に平均粒子径1μm未満のAlナノ粒子を分散させてなるボンドコート層で、経時変化によりAl膜が形成される様子の一例を説明する概念図である。Al膜の形成により、基材と熱バリアコート層との間の接着力を低下させて、熱バリアコート層の剥離を生じさせるという問題を発生させた。
また、Alナノ粒子は空気中の安定性が極めて悪く、容易に酸化され、金属微粒子のまま、金属層に分散させることが難しいなど取り扱いが非常に困難であった。
Zhou et al.,2009,Thin Solid Film,3287−3291,517(11). Coloja et al.,2007、Chemistry of Materials、5721−5733、19
本発明は、耐酸化性NiAlナノ粒子及びその製造方法、耐酸化性NiAlナノ粒子含有ボンドコート層を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記事情を鑑みて、NiAl合金のナノ粒子とすることにより、空気中の安定性を高めることができ、取り扱いが容易になるとともに、Ni金属層内に分散させても、安定性を保てるのではないかと考えた。
NiAlナノ粒子については、いくつか報告がある。
非特許文献2には、Ni(cod)を用いたNiAlナノ粒子の合成方法が記載されている。しかし、(1)NiAlナノ粒子が副生成物として付着形成される、(2)高温(150℃)、高圧(3bar H)条件を必要とし、合成が容易でないという2つの問題点があった。また、Niに対するAlの割合が高いβ−NiAlナノ粒子(Ni50Al50)(Al richのNiAlナノ粒子)しか合成できていない。
そこで、まず、Ni99Alナノ粒子を合成した。しかし、これは、エア・センシティブで、空気中の安定性が低く、空気に曝すとたちまち酸化された。
次に、Ni98Alナノ粒子を合成した。しかし、これもわずかにエア・センシティブな面が改善されただけで、やはり空気中の安定性が低く、空気に曝すとたちまち酸化された。
このような試行錯誤の結果、常温常圧、乾燥不活性ガス雰囲気で、Ni前駆体(LiNiCl)と、Al前駆体(LiAlCl)と、ナトリウムナフタレニドを、乾燥THF中で混合して、反応させることにより、粒子径9nm未満のNi94Alナノ粒子を合成できることを見出した。このNi94Alナノ粒子は、平均粒子径3nmとなる粉末で得られた。また、このNi94Alナノ粒子は、空気中での安定性が高く、6時間空気に曝しても、未酸化のAlを保持する耐酸化性NiAlナノ粒子であった。また、このNi94Alナノ粒子を用いたボンドコート層を作成して、Ni合金層とZr酸化物層を接合した場合、Ni合金層とZr酸化物層とを強力に接合保持できることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、以下の構成を有する。
(1)Ni100−XAl(4≦X≦5)からなり、粒子径100nm未満であることを特徴とする耐酸化性NiAlナノ粒子。
(2)粒子径9nm以下であることを特徴とする(1)に記載の耐酸化性NiAlナノ粒子。
(3)粒子径を9nm超100nm未満であることを特徴とする(1)に記載の耐酸化性NiAlナノ粒子。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の耐酸化性NiAlナノ粒子の製造工程であって、大気圧下、不活性ガス雰囲気、20℃以上30℃以下の条件で、有機溶媒中、LiNiClと、LiAlClと、ナトリウムナフタレニドとを反応させることを特徴とする耐酸化性NiAlナノ粒子の製造方法。
(5)粒子径9nm以下のNi100−XAlナノ粒子を平均粒子径3nmの粉末として合成することを特徴とする(4)に記載の耐酸化性NiAlナノ粒子の製造方法。
(6)前記粉末を200℃以上400℃以下の温度範囲でアニール処理することを特徴とする(5)に記載の耐酸化性NiAlナノ粒子の製造方法。
(7)Ni金属層と、前記Ni金属層内に分散された(1)に記載の耐酸化性NiAlナノ粒子と、を有することを特徴とする耐酸化性NiAlナノ粒子含有ボンドコート層。
本発明の耐酸化性NiAlナノ粒子は、Ni100−XAl(4≦X≦5)からなり、粒子径100nm未満である構成なので、空気中の安定性を高めることができ、取り扱いが容易になるとともに、Ni金属層内に分散させても、安定性を保つことができ、安定してNi合金層とZr酸化物層とを強力に接合保持できるボンドコート層を形成することができる。
本発明の耐酸化性NiAlナノ粒子の製造方法は、先に記載の耐酸化性NiAlナノ粒子の製造工程であって、大気圧下、不活性ガス雰囲気、20℃以上30℃以下の条件で、有機溶媒中、LiNiClと、LiAlClと、ナトリウムナフタレニドとを反応させる構成なので、先に記載の耐酸化性NiAlナノ粒子を容易に製造することができる。
本発明の耐酸化性NiAlナノ粒子含有ボンドコート層は、Ni金属層と、前記Ni金属層内に分散された先に記載の耐酸化性NiAlナノ粒子と、を有する構成なので、安定してNi合金層とZr酸化物層とを強力に接合保持できる。
ジェットエンジン、ジェットエンジンに用いられるタービンブレード及びタービンブレードの部分断面の模式図である。 基材と、ボンドコート層と、熱バリアコート層の3層構造の一例を示す模式図である。 Alマイクロ粒子を分散させたボンドコート層の断面写真と、Alナノ粒子を分散させたボンドコート層の断面写真である。 Ni金属層に平均粒子径1μm未満のAlナノ粒子を分散させてなるボンドコート層で、経時変化によりAl膜が形成される様子の一例を説明する概念図である。 本発明の実施形態である耐酸化性NiAlナノ粒子含有ボンドコート層の一例を示す模式図である。 NiAl合金の状態図である。 Ni供給材料のLiNiClをTHFに溶解させた溶液の写真である。 As−prepared Ni−Al NpsのTEM写真(明視野)及び粒子径の分布グラフ(挿入図)である。 真空中、200℃でアニールしたNiAl NpsのTEM写真(明視野)及びフーリエ変換TEM写真(挿入図)である。 As−prepared Ni−Al Nps及び200℃、300℃、400℃、500℃でアニールしたNi−Al Npsの粉末X線回折測定(pXRD)の結果を示すグラフである。 HX−PES測定の結果を示すグラフであって、Ni 2P3/2のピーク領域のものである。 HX−PES測定の別の結果を示すグラフであって、Al 1sのピーク領域のものである。 シンクロトロンXPS(HX−PES)測定結果による組成分析結果を示すグラフであって、Bulk NiAlのAl1sの結果と、Ni2p3/2の結果である。 シンクロトロンXPS(HX−PES)測定結果による組成分析結果を示すグラフであって、As−prepared NiAl NpsのAl1sの結果と、Ni2p3/2の結果である。 Alのモル・フラクションと、Al1s/Ni2p値との関係を示すグラフである。 シンクロトロンXPS(HX−PES)測定結果を示すグラフであって、As−prepared NiAl Npsを6時間以上空気に曝したときの前後の様子を示したものである。
(本発明の実施形態)
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態である耐酸化性NiAlナノ粒子及びその製造方法、耐酸化性NiAlナノ粒子含有ボンドコート層及びその製造方法について説明する。
<耐酸化性NiAlナノ粒子含有ボンドコート層>
まず、本発明の実施形態である耐酸化性NiAlナノ粒子含有ボンドコート層について説明する。
図5は、本発明の実施形態である耐酸化性NiAlナノ粒子含有ボンドコート層の一例を示す模式図である。
図5に示すように、本発明の実施形態である耐酸化性NiAlナノ粒子含有ボンドコート層11は、基材12の一面12aと熱バリアコート層13の他面13bの間に形成されている。これにより、耐酸化性NiAlナノ粒子含有ボンドコート層11は、基材12と熱バリアコート層13とを接合保持している。
耐酸化性NiAlナノ粒子含有ボンドコート層11の層厚は、10μm〜1mmとすることが好ましく、50μm〜500μmとすることがより好ましい。この範囲とすることにより、基材12と熱バリアコート層13とを強力に接合保持できる。
基材12は、例えば、金属又は合金よりなる。例えば、Ni合金を挙げることができ、より詳しくは、例えば、50Ni−Mo−Cr−Fe、63Ni−28〜34Cu、72Ni−15Cr−Fe、80Ni−20Cr等を挙げることができる。
熱バリアコート層13は、金属酸化物又は合金酸化物よりなる。例えば、Zr酸化物を挙げることができる。
熱バリアコート層13の層厚は100〜400μmとする。100μm未満では、基材の表面を熱に曝されることから十分保護することができず、400μm超では、基材の機能を阻害する場合が発生する。
本発明の実施形態である耐酸化性NiAlナノ粒子含有ボンドコート層11は、Ni金属層21と、Ni金属層21内に分散された本発明の実施形態である耐酸化性NiAlナノ粒子31と、を有している。
耐酸化性NiAlナノ粒子31の濃度は、Ni合金層に含まれるNiに対して1〜50(mol%)とすることが好ましい。この範囲とすることにより、基材12と熱バリアコート層13との間の接着力を向上させることができる。
本発明の実施形態である耐酸化性NiAlナノ粒子31について説明する。
<耐酸化性NiAlナノ粒子>
本発明の実施形態である耐酸化性NiAlナノ粒31子は、Ni100−XAl(4≦X≦5)からなり、粒子径100nm未満の粒子である。
Ni100−XAl(4≦X≦5)からなる材料を用いることにより、粒子径100nm未満と小さくしても、空気中で容易に酸化されない、耐酸化性ナノ粒子とすることができる。
このナノ粒子の耐酸化性は、β−NiAlナノ粒子(Ni50Al50)、Ni99Alナノ粒子、Ni98Alナノ粒子よりはるかに高く、5時間空気に曝しても、HX−PESで酸化されていないAlを示すAlのピーク強度が半減する程度とすることができる。
また、Ni100−XAl(4≦X≦5)からなり、粒子径100nm未満のNiAlナノ粒子とすることにより、Ni金属からなる母材に親和性高く分散させることができ、Ni金属層21に一様分散させることができる。
また、使用状況の環境変化に伴う経時変化によっても、NiAlナノ粒子はNi金属からなる母材に親和性高く分散されているので、金属層21内で熱バリアコート層13側に容易に動かされることなく、その一様分散状態を安定して維持することができる。これにより、熱バリアコート層13との界面にAl膜を形成させることがない。
粒子径9nm以下の耐酸化性NiAlナノ粒子31については、1段階の反応により、収率高く、容易に作成することができる。
また、粒子径を9nm超100nm未満の耐酸化性NiAlナノ粒子31については、2段階の反応により作成するが、粒子径が大きくなるので、粒子径9nm以下の耐酸化性NiAlナノ粒子31に比べて、耐酸化性をより向上させることができるとともに、取り扱いをより容易にすることができる。
Ni100−XAl(4≦X≦5)からなる材料としては、例えば、Ni96Al、Ni95Alを挙げることができる。
図6は、NiAl合金の状態図である。Ni94Alを矢印で示している。Ni94Alは、安定な組成の粒子を形成し、また、Alに対するNiの割合が高いので、ナノ粒子にして空気中に暴露させても、Alを容易く酸化させることがない。
<耐酸化性NiAlナノ粒子の製造方法>
大気圧下、不活性ガス雰囲気、20℃以上30℃以下の条件で、有機溶媒中、LiNiClと、LiAlClと、ナトリウムナフタレニドとを反応させる。反応の際はよく混合する。これにより、本発明の実施形態である耐酸化性NiAlナノ粒子31を製造することができる。
例えば、次の反応式(1)により、本発明の実施形態である耐酸化性NiAlナノ粒子(NiAl Npsと略記する。)31が合成される。NaCl、liClのほか副生成物(by−products)も生成される。
LiNiClは、耐酸化性NiAlナノ粒子31にNiを供給するNi供給材料である。他のNi供給材料としては、Niacac、Ni(COD)等を挙げることができる。
なお、LiNiClは、Ni−glyme(Ni(II)クロライド エチレングリコール ジメチルエーテル コンプレックス)及び2LiClを反応させて得られ、THFに溶解しない黄色い粉末である。
LiAlClは、耐酸化性NiAlナノ粒子31にAlを供給するAl供給材料である。他のAl供給材料としては、AlEtCl、AlEtCl)等を挙げることができる。
ナトリウムナフタレニド(Sodium Naphthalenide)は、還元剤である。他の還元剤としては、水素化トリエチルホウ素化リチウム(Lithium triethylborohydride:LiBEtH、Superhydrideの商標のもとに THF溶液が市販されている)、リチウムナフタレニド(Lithium Naphthalenide)等を挙げることができる。
有機溶媒としてはTHF、グライム、ジエチルエーテル等を挙げることができる。有機溶媒は、乾燥させることが好ましい。水分が混じると、水が反応する場合が生じる。
LiNiClと、LiAlClとの割合(仕込み)は、1:1(mol比)とすることが好ましく、1:2(mol比)とすることがより好ましい。これにより、収率を向上させることができる。
反応の際は、不活性ガス雰囲気としなければならない。不活性ガスとしては、例えば、アルゴン(Ar)ガスを挙げることができる。不活性ガス雰囲気としない場合、耐酸化性NiAlナノ粒子31が酸化される場合が生じる。不活性ガスは、乾燥させることが好ましい。水分が混じると、水が反応する場合が生じる。
20℃以上30℃以下の条件で反応させなければならない。20℃未満では、未反応の成分が残留する場合がある。30℃超では、所望の組成の耐酸化性NiAlナノ粒子31を合成できない場合が生じる。23℃以上28℃以下とすることが好ましく、24℃以上27℃以下とすることがより好ましい。
反応時間は1時間以上48時間以下とすることが好ましく、5時間以上24時間以上とすることがより好ましい。1時間未満では、未反応の成分が残留する場合がある。48時間超では、所望の組成の耐酸化性NiAlナノ粒子31を合成できない場合が生じる。
耐酸化性NiAlナノ粒子31を平均粒子径3nmの粉末として合成することが好ましい。これにより、粒子径を9nm以下にできる。また、組成をNi100−XAl(4≦X≦5)に容易にそろえることができる。
前記粉末を200℃以上400℃以下の温度範囲でアニール処理してもよい。この温度範囲でアニールすることにより、組成を維持したまま、粒子径を9nm超100nm未満とすることができる。この範囲の大きさの粒子とすることにより、耐酸化性をより向上させることができるとともに、取り扱いをより容易にすることができる。
本発明の実施形態である耐酸化性NiAlナノ粒子31は、Ni100−XAl(4≦X≦5)からなり、粒子径100nm未満である構成なので、耐酸化性が高く、空気中の安定性を高めることができ、取り扱いが容易になるとともに、Ni金属層内に分散させても、安定性を保つことができ、安定してNi合金層とZr酸化物層とを強力に接合保持できるボンドコート層を形成することができる。
本発明の実施形態である耐酸化性NiAlナノ粒子31は、粒子径9nm以下である構成なので、1段階で、収率高く、容易に作成できるとともに、耐酸化性が高くでき、空気中の安定性を高めることができ、取り扱いが容易になるとともに、Ni金属層内に分散させても、安定性を保つことができ、安定してNi合金層とZr酸化物層とを強力に接合保持できるボンドコート層を形成することができる。
本発明の実施形態である耐酸化性NiAlナノ粒子31は、粒子径を9nm超100nm未満である構成なので、粒子径9nm以下の耐酸化性NiAlナノ粒子よりも、空気中の安定性をより高めることができ、取り扱いがより容易になるとともに、Ni金属層内に分散させても、安定性を保つことができ、安定してNi合金層とZr酸化物層とを強力に接合保持できるボンドコート層を形成することができる。
本発明の実施形態である耐酸化性NiAlナノ粒子31の製造方法は、耐酸化性NiAlナノ粒子31の製造工程であって、大気圧下、不活性ガス雰囲気、20℃以上30℃以下の条件で、有機溶媒中、LiNiClと、LiAlClと、ナトリウムナフタレニドとを反応させる構成なので、先に記載のNi100−XAl(4≦X≦5)からなり、粒子径9nm以下である耐酸化性NiAlナノ粒子を容易に製造することができる。
本発明の実施形態である耐酸化性NiAlナノ粒子31の製造方法は、粒子径9nm以下のNi100−XAlナノ粒子(4≦X≦5)を平均粒子径3nmの粉末として合成する構成なので、耐酸化性が高く、取り扱いの容易な粒子からなる粉末とすることができる。
本発明の実施形態である耐酸化性NiAlナノ粒子31の製造方法は、前記粉末を200℃以上400℃以下の温度範囲でアニール処理する構成なので、耐酸化性NiAlナノ粒子を凝集して、粒子径の大きくでき、これにより、耐酸化性をより向上させ、大気中でも容易く取り扱うことができる。
本発明の実施形態である耐酸化性NiAlナノ粒子含有ボンドコート層11は、Ni金属層21と、記Ni金属層21内に分散された耐酸化性NiAlナノ粒子31と、を有する構成なので、耐酸化性NiAlナノ粒子を金属層中で容易く移動させることなく、また、Alを容易く酸化させることがないので、安定してNi合金層とZr酸化物層とを強力に接合保持するとともに、その保持力を長期間維持することができる。
本発明の実施形態である耐酸化性NiAlナノ粒子及びその製造方法、耐酸化性NiAlナノ粒子含有ボンドコート層は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で、種々変更して実施することができる。本実施形態の具体例を以下の実施例で示す。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<NiAlナノ粒子の製造>
まず、以下の材料を用意した。
Ni供給材料:LiNiCl
Al供給材料:LiAlCl
還元剤:ナトリウムナフタレニド
溶媒:乾燥テトラヒドロフラン(THF)
雰囲気:乾燥アルゴン(Dry Ar)
まず、LiNiClと、LiAlClと、ナトリウムナフタレニドとを、乾燥アルゴン雰囲気で、乾燥THF中、室温(25℃)で、8時間、反応させて、NiAlナノ粒子を合成した。NaCl、LiClのほか副生成物(by−products)も生成された。
なお、図7は、Ni供給材料のLiNiClをTHFに溶解させた溶液の写真である。青く透明な溶液となった。
次に、濾過してから、洗浄により、NaCl、LiClのほか副生成物(by−products)を除去して、NiAlナノ粒子のみからなる粉末(実施例1−1試料:As−prepared Ni−Al Npsとも表記する。)を作成した。
<アニール>
次に、NiAlナノ粒子のみからなる粉末(実施例1−1試料:As−prepared Ni−Al Nps)を、減圧状態(真空中)、200℃でアニールして、実施例1−2試料を作成した。
次に、アニール温度を300℃とした他は実施例1−2試料と同様にして、実施例1−3試料を作成した。
次に、アニール温度を400℃とした他は実施例1−2試料と同様にして、実施例1−4試料を作成した。
次に、アニール温度を500℃とした他は実施例1−2試料と同様にして、試験例1−1試料を作成した。
<NiAlナノ粒子の評価>
まず、NiAlナノ粒子のみからなる粉末(実施例1−1試料)を、超高真空−透過型電子顕微鏡(UHV−TEM)で観察した。
図8は、As−prepared Ni−Al NpsのTEM写真及び粒子径の分布グラフ(挿入図)である。
粒子径の分布グラフは、TEM写真から、粒子径を測定して算出した。
次に、実施例1−2試料を、超高真空−透過型電子顕微鏡(UHV−TEM)で観察した。
図9は、真空中、200℃でアニールしたNiAl NpsのTEM写真(a)及びフーリエ変換TEM写真(挿入図b)である。
次に、実施例1−1〜1−4、試験例1−1試料の粉末X線回折測定を行った。
図10は、As−prepared Ni−Al Nps及び200℃、300℃、400℃、500℃でアニールしたNi−Al Npsの粉末X線回折測定の結果を示すグラフである。得られたピークの帰属を判断するために、NiC及びFCC Niの粉末X線回折測定の結果も合わせて示している。
アニールにより、粒子径が大きくされていることが分かった。また、これにより、安定性も高められることが分かった。
次に、実施例1−1、1−2,試験例1−1試料のシンクロトロンXPS(HX−PES)測定を行った。
図11は、HX−PES測定の結果を示すグラフであって、Ni 2P3/2のピーク領域のものである。Bulk NiAl及びBulk NiのHX−PES測定の結果も合わせて示している。
Bulk NiAl、As−prepared、200℃では、852.8eVの結合エネルギーの位置にピークが見られた。
一方、Bulk Ni、500℃では、852.7eVの結合エネルギーの位置にピークが見られた。
この結果から、Bulk NiAl、As−prepared、200℃では、Ni−Al Npsの組成を保持されているが、500℃アニールした場合には、組成が保持されていないことと考えることができる。
また、図12は、HX−PES測定の別の結果を示すグラフであって、Al 1sのピーク領域のものである。Bulk NiAl及びBulk NiのHX−PES測定の結果も合わせて示している。
Bulk NiAl、As−prepared、200℃では、約1559eVの結合エネルギーの位置にピークが見られた。
一方、Bulk Al、500℃では、約1559eVの結合エネルギーの位置にピークは見られなかった。
なお、Bulk Alでは、約1559.5eVの結合エネルギーの位置にピークが見られた。Bulk NiAl、As−prepared、200℃、500℃では、約1559.5eVの結合エネルギーの位置にピークは見られなかった。
また、Bulk NiAl、As−prepared、200℃、500℃では、約1561〜1561.5eVの結合エネルギーの位置にブロードなピークが見られた。
図13は、シンクロトロンXPS(HX−PES)測定結果による組成分析結果を示すグラフであって、Bulk NiAlのAl1sの結果と、Ni2p3/2の結果である。
Bulk NiAlは、Alに起因するピークと、Al3+に起因するピークを有する。また、Niに起因するピークも有する。
図14は、シンクロトロンXPS(HX−PES)測定結果による組成分析結果を示すグラフであって、As−prepared NiAl NpsのAl1sの結果と、Ni2p3/2の結果である。
As−prepared NiAl Npsも、Alに起因するピークと、Al3+に起因するピークを有する。また、Niに起因するピークも有する。
図15は、Alのモル・フラクションと、Al1s/Ni2p値との関係を示すグラフである。
純Niの場合は、Alのモル・フラクションが0であり、Al1s/Ni2p値も0なので、(0,0)となる。一方、Bulk NiAlの場合は、Alのモル・フラクションが25%であり、Al1s/Ni2p値は、図13に示した結果から、約1.3となる。
これから得られた直線の関係式において、図14に示した結果からAl1s/Ni2p値が約0.3となるAs−prepared NiAl NpsのAlのモル・フラクションは6at%(矢印で示している)であることが算出された。
図16は、シンクロトロンXPS(HX−PES)測定結果を示すグラフであって、As−prepared NiAl Npsを6時間以上空気に曝したときの前後の様子を示したものである。as−preparedでは、Al3+のピーク強度とAlのピーク強度がほぼ同じとされている。6時間以上空気に曝した後には、Alのピーク強度が半減した。しかし、Alのピークは存在していた。
本発明の耐酸化性NiAlナノ粒子は、耐酸化性が高く、空気中でも容易く酸化されることがなく、空気中でも容易に取り扱うことができる。また、Ni金属層内に一様分散させることができ、かつ、その一様分散状態を安定して保持できる。この耐酸化性NiAlナノ粒子を金属層に分散させてボンドコート層を形成することにより、基材と熱バリアコート層とを強力に接合保持できる。このように、本発明の耐酸化性NiAlナノ粒子は、それを用いた素材産業、タービンブレードなどの部品産業、ジェットエンジンなどの製造産業等において利用可能性がある。
11…耐酸化性NiAlナノ粒子含有ボンドコート層、12…基材、12a一面、13…熱バリアコート層、13b…他面、21…金属層、31…耐酸化性NiAlナノ粒子。

Claims (7)

  1. Ni100−XAl(4≦X≦5)からなり、粒子径100nm未満であることを特徴とする耐酸化性NiAlナノ粒子。
  2. 粒子径9nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の耐酸化性NiAlナノ粒子。
  3. 粒子径を9nm超100nm未満であることを特徴とする請求項1に記載の耐酸化性NiAlナノ粒子。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐酸化性NiAlナノ粒子の製造工程であって、
    大気圧下、不活性ガス雰囲気、20℃以上30℃以下の条件で、有機溶媒中、LiNiClと、LiAlClと、ナトリウムナフタレニドとを反応させることを特徴とする耐酸化性NiAlナノ粒子の製造方法。
  5. 粒子径9nm以下のNi100−XAlナノ粒子(4≦X≦5)を平均粒子径3nmの粉末として合成することを特徴とする請求項4に記載の耐酸化性NiAlナノ粒子の製造方法。
  6. 前記粉末を200℃以上400℃以下の温度範囲でアニール処理することを特徴とする請求項5に記載の耐酸化性NiAlナノ粒子の製造方法。
  7. Ni金属層と、前記Ni金属層内に分散された請求項1に記載の耐酸化性NiAlナノ粒子と、を有することを特徴とする耐酸化性NiAlナノ粒子含有ボンドコート層。
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