JP2014129300A - 美白剤およびステビオールの製造方法 - Google Patents

美白剤およびステビオールの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ステビオールを有効成分とする美白剤、およびステビオールの製造方法を提供する。
【解決手段】ステビオールはメラニン産生抑制効果に優れ、美白用の美白剤として使用することができる。ステビア植物またはステビア植物抽出物を乳酸産生菌発酵してステビア乳酸産生菌発酵物を調製し、前記ステビア乳酸産生菌発酵物からステビオールを回収することでステビオールを効率的に製造することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、ステビオールを有効成分とする美白剤、およびステビオールの新規製造方法に関する。
ステビアは、南アメリカ原産のキク科ステビア属の多年草であり、甘味成分として、ショ糖の300倍の甘味度を有するステビオール配糖体を含み、砂糖の代わりとしてダイエット用食品や糖尿病患者用メニューなどに使用されている。その他、ステビオール配糖体を含有する抗アレルギー剤も開発され(特許文献1)、更に、ステビオール配糖体を加水分解してなるステビオールを更に化学修飾し、得られたステビオール誘導体を悪性腫瘍治療薬やアポトーシス誘導薬として利用するものもある(特許文献2)。
一方、ステビア抽出物に美白成分が含まれるとの報告がある(特許文献3)。皮膚の色は、皮膚中に存在するメラニンに依存する。メラノサイトにあるチロシンにチロシナーゼが作用するとドーパ、ドーパキノン、ドーパクロム、インドールキノンへと変化し、最終的には酸化、重合して黒褐色のメラニンとなる。特許文献3では、ステビアの葉(乾燥品)の水抽出部分、50%エタノール抽出分およびエタノール抽出分のチロシナーゼ活性阻害率を評価したところ、それぞれのチロシナーゼ活性阻害率が約50〜58%であり、皮膚に対する安全性および美白作用に優れていると開示する。
特許第3935917号公報 特開2011−074065号公報 特開平9−77636号公報
従来から、チロシナーゼ活性を阻害するものとしてコウジ酸が知られているが、コウジ酸などによるメラニン合成抑制効果は極めて低い。十分な効果を得るために含有量を高めると、溶解度などによる配合量の限界が存在する。
一方、特許文献3にあるように、ステビア乾燥葉のエタノール抽出物におけるチロシナーゼ活性阻害作用は公知である。ここに、皮膚などに直接塗布する外用剤に使用する場合は、他の夾雑物を含まない純粋な成分を使用することが好ましく、これによりアレルギー成分などを除去することもできる。しかしながら、特許文献3は、エタノール抽出液の凍結乾燥物をそのまま使用してチロシナーゼ活性阻害率を算出するものであり化合物が特定されておらず、夾雑物の影響を回避することができない。
また、美白剤は基礎化粧品やメークアップ化粧品として多方面に使用され、安定供給しうることが望まれる。従って、安価な製造方法の開発が望まれる。
上記現状に鑑みて、本発明は、美白効果に優れる美白剤を提供することを目的とする。
更に本発明は、ステビア植物を原料とするステビオールの新規製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らはステビオール配糖体について詳細に検討したところ、ステビオール配糖体のアグリコンであるステビオールにメラニン産生抑制効果が存在すること、およびステビア植物を乳酸産生菌で発酵させ、得られたステビア乳酸産生菌発酵物から溶媒抽出を行うことで、加水分解工程を行うことなくステビオールを回収しうることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、ステビオール、またはそれらの医学的に許容可能な塩を有効成分とする美白剤を提供するものである。
また本発明は、ステビア植物またはステビア植物抽出物を乳酸産生菌で発酵してステビア乳酸産生菌発酵物を調製し、
前記ステビア乳酸産生菌発酵物を含水アルコールに浸漬した後固形分を除去して含水アルコール浸漬抽出物を得て、
前記含水アルコール浸漬抽出物から新油性溶媒含有溶媒によってステビオールを回収することを特徴とする、ステビオールの製造方法を提供するものである。
本発明によれば、ステビオールを有効成分とする美白剤が提供される。
更に本発明によれば、ステビア植物から加水分解を行うことなくステビオールを簡便に製造する新規製造方法が提供される。
実施例1において、ステビオールを製造する際の分離工程および収量を説明する図である。
本発明の第一は、下記式に示すステビオール、またはそれらの医学的に許容可能な塩(以下、ステビオール、またはそれらの医学的に許容可能な塩を「ステビオール(塩)」とも称する。)を有効成分とする美白剤である。従来からステビオール配糖体は甘味料の原料として使用され、ステビオール配糖体のアグリコンであるステビオールは、悪性腫瘍治療薬やアポトーシス誘導薬の原料として使用されてきた。しかしながら、ステビオール自体がメラニン産生抑制効果を有することは全く知られていなかった。
Figure 2014129300
本発明において、「医学的に許容可能な塩」とは、薬理学的に許容可能であり、かつ投与された被験者に対して略無毒のステビオールの塩形態をいう。ステビオールの医薬的に許容可能な塩には、適切な無毒の有機酸または無機酸あるいは無機塩基から形成された従来の化学量論的酸追加塩または塩基追加塩がある。適切な無機酸は、たとえば、塩化水素酸、硫酸、またはリン酸などのハロゲン酸である。適切な有機酸は、たとえば、カルボン酸、ホスホン酸、またはスルホン酸であり、たとえば酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシブチル酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、サリチル酸、フマル酸、琥珀酸、アジピン酸、酒石酸、クエン酸、グルタル酸、2−または3−グリセロリン酸、ならびに当業者には周知の他の鉱物の酸である。塩は、従来の方式で塩を生成するために、自由塩基の形態を十分な量の所望の酸と接触させることによって製造される。酸性置換基を含む化合物も、無機塩基または有機塩基で塩を形成することが可能である。塩を形成するのに適切な塩基の例には、非限定的に、アルカリまたはアルカリ土類金属(たとえば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、またはマグネシウム)水酸化物などの無機塩基、およびアンモニウム水酸化物から導出されたもの(たとえば、テトラメチルアンモニウム水酸化物などの第4アンモニウム水酸化物)がある。また、アンモニア、アルキルアミン、ヒドロキシアルキルアミン、N−メチルグルカミン、ベンジルアミン、ピペリジン、およびピロリジンなど、医薬的に許容可能なアミンで形成された塩も考慮される。カルボキシル基またはフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物など、ある化合物は酸性である。フェノールの塩は、当業者には周知の手続きにより、上述された塩基のいずれかと共に酸性化合物を加熱することによって作成することができる。
ステビオール(塩)は、後記する実施例に示すように、メラニン産生抑制率に優れ、メラニン産生抑制剤や美白剤として使用しうる。本発明の美白剤の投与経路は、美白化粧品として塗布などの経皮投与のほか、サプリメントなどの食品、または経口用医薬品として口腔内投与や舌下投与などを含む経口投与でもよい。
美白化粧品の剤型としては、軟膏、液剤、スプレー、硬膏、油脂、粉末剤などがある。美白化粧品としては、化粧水、乳液、クリーム、パックなどの基礎化粧品、化粧下地、日焼け止め、ファンデーション、おしろいなどのメーキャップ化粧品、シャンプー、洗顔料などの洗浄剤がある。これら美白化粧品に対するステビオールの配合量は、基材によって適宜選択しうるが、0.00001%〜20質量%、好ましくは0.0001%〜5質量%、より好ましくは0.001〜3質量%である。
美白化粧品を構成する他の成分は、通常の化粧品、医薬部外品、医薬品などの美白化粧品に配合される成分を剤型その他に応じて配合することができる。このような成分としては、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、フェノキシエタノール、チモールなどの保存料、亜硫酸水素ナトリウム、アスコルビン酸、トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、エデト酸ナトリウム水和物、ベンゾトリアゾールなどの抗酸化剤、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリソルベート60などの界面活性剤、クエン酸水和物、クエン酸ナトリウム水和物、乳酸、ジイソプロパノールアミン、酢酸、酢酸ナトリウム水和物などのpH調製剤、保湿剤、増粘剤、無機充填剤、着色料、香料、紫外線吸収剤、細胞賦活剤、各種皮膚栄養成分などがある。その他基材などを適宜添加し、外用液剤、外用固形剤、スプレー剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤、その他のいずれにも調製することができる。
ステビオールは公知化合物であり、ステビオール配糖体を加水分解して調製することができる。一方、ステビア植物の乳酸産生菌発酵物から抽出することができることが判明した。すなわたち、本発明の第二は、ステビア植物またはステビア植物抽出物を乳酸産生菌で発酵してステビア乳酸産生菌発酵物を調製し、前記ステビア乳酸産生菌発酵物を含水アルコールに浸漬した後固形分を除去して含水アルコール浸漬抽出物を得て、前記含水アルコール浸漬抽出物から新油性溶媒含有溶媒によってステビオールを回収することを特徴とする、ステビオールの製造方法である。ステビオール配糖体を加水分解するには、強酸の使用および加熱が必要である。しかしながら、ステビア植物を乳酸産生菌により発酵させると、強酸を使用してステビオール配糖体を加水分解することなくステビオールを製造することができる。
乳酸産生菌は、糖分から乳酸を産出する微生物であり、この作用を利用してヨーグルト、漬物、乳酸菌飲料などが作られている。本発明では、乳酸産生菌として、有胞子性乳酸菌を好適に使用することができる。前記有胞子性乳酸菌としては、Bacillus coagulans(Lactobacillus sporogenesとも称される)が好適である。その名の示すように胞子形成をするため耐熱性に優れ生菌数の安定性がよく、耐酸性、耐糖性に優れるため、発酵に伴って産生される糖類や乳酸が高濃度になっても死滅せず効率的に発酵を行うことができる。また、食塩20%でも耐塩性に優れ、各種の培地で培養を行うことができる。このような耐熱性、耐酸性、耐糖性、耐塩性により菌の保存性に優れるため菌の変質が少なく、安定して発酵物を供給することができる。また、菌の管理が容易であり、製品を安価に製造することができる。しかも、ステビア植物を乳酸産生菌によって発酵させて得た乳酸産生菌発酵物には、極めて美白作用に優れるステビオールが産生されることが判明した。なお、Bacillus coagulansは、三菱化学フーズから入手可能であるが、これに限定されない。
本発明で使用するステビア植物(学名:Stevia rebaudiana)は、南アメリカを原産とするキク科ステビア属の多年草である。ステビア植物から抽出されるステビオシドやレバウディオサイドAなどのテルペノイド配糖体は甘味料として用いられ、現在、日本、中国、韓国などのアジアでも栽培されている。本発明では、特に、ステビア・レバウディアナ・ベルトニー(Stevia Rebaudiana Bertoni)及びその類縁植物を好適に使用することができる。ステビア植物として、ステビア植物の茎、葉、蕾を持つ前の全草、成熟した植物の根や花も使用することができる。
発酵の対象となる「ステビア植物抽出物」とは、ステビア植物から、水その他の溶媒で特定成分を抽出した抽出物である。ステビア植物は、甘味料として使用しうるステビオール配糖体を含み、ステビア植物から水などでステビオール配糖体を高濃度で抽出した粗ステビオール配糖体などがある。本発明では、ステビア植物抽出物として、このような粗ステビオール配糖体を使用することができる。本発明では、このようなステビア植物抽出物に乳酸産生菌を添加して発酵させても、当該発酵物からステビオールを回収することができる。
上記ステビア植物は、適期に収穫したものを生のまま使用することができ、収穫後に乾燥したものを使用することもできる。乾燥物は保存性に優れ、好適である。乾燥ステビア植物を所定サイズに切断、粉砕、その他によって細切し、または粉砕したものに乳酸産生菌を加えて撹拌すると発酵が開始される。ステビア植物は、葉部及び茎部を選別して使用することが好ましい。
乾燥物を原料とする場合には、細切または粉砕した乾燥ステビア粉末に水と乳酸産生菌を加えて撹拌し、放置することにより行うことができる。加える水の量は、発酵に必要なだけの量があれば良く、全体が湿る程度の量で十分である。発酵前のステビア植物は、テルペノイド配糖体による甘味を有するが、発酵が進行すると甘味が消失する。本発明では、甘味の消失を発酵終期の目安とする。このような甘味の消失は、常温で2〜3週間である。なお、乳酸産生菌は、発酵当初に添加するほか、発酵の途中で追加してもよい。
本発明では、ステビア植物に乳酸産生菌を添加して発酵を行うほか、乾燥ステビア植物を粉砕して煮沸抽出して得られた煮沸抽出液や、温水に浸漬して得た浸漬液、ステビア植物から水、その他の溶剤で抽出した所定の画分をステビア植物抽出物として使用し、これに上記乳酸産生菌を添加して発酵させてもよい。この場合も、発酵の終期は甘味の消失で確認することができる。
次いで、上記ステビア乳酸産生菌発酵物を乾燥する。ステビア乳酸産生菌発酵物には乳酸産生菌が含まれているが、これを乾燥することで乳酸産生菌の活性を停止することができる。乾燥は、風乾、自然乾燥その他により、温度5〜35℃の範囲で乾燥することが好ましい。ステビア乳酸産生菌発酵物に含まれる化合物の分解、変質その他を回避することができる。
ステビア乳酸産生菌発酵物には、ステビオールが含有されている。
ステビオールの抽出溶剤としては、極性溶剤、非極性溶剤のいずれを使用することもでき、これらを混合して使用することもできる。抽出溶剤としては、水のほか、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの炭素数1〜12の分岐を有していても良いアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールなどの多価アルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル類、ポリエチレングリコールなどのポリエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭素類、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテルなどの炭化水素類、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類、ピリジン類、超臨界二酸化炭素、油脂、ワックスその他のオイル類がある。これらは単独でも組み合わせて用いてもよい。
本発明では、含水アルコールを使用することが好ましい。アルコールとしては、炭素数1〜5の一価アルコールが好適である。この中でも、特に好ましくはエタノールである。含水アルコールとしては、アルコール濃度が20〜99(v/v)%であることが好ましく、より好ましくは50〜90(v/v)%である。含水アルコールによる抽出は、上記ステビア乳酸産生菌発酵物1質量部(乾燥重量)に対して0.1〜100質量部、好ましくは1〜50質量部の溶剤を添加し、温度5〜35℃で3〜30日間の浸漬が好適である。
含水アルコールに浸漬後、遠心分離やろ過などによって固形物と抽出液とを分離する。含水アルコール抽出液にステビオールが含まれている。例えば、含水アルコール抽出液の溶媒を除去し、液液分配、カラムクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、ゲルろ過、活性炭素処理、精密蒸留その他を単独で、またはこれらを組み合わせて行うことができる。これらは、使用した抽出溶剤の種類その他に応じて適宜選択できる。ステビオールは親油性成分であるため、ステビオールが溶解しうる親油性溶媒を用いて抽出し、この抽出物を精製することで効率的にステビオールを単離することができる。
このようなステビオールが溶解しうる親油性溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭素類、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテルなどの炭化水素類、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類がある。本発明では、クロロホルムを好適に使用することができる。溶媒抽出によれば、大容量に適用でき、かつステビオールの回収率に優れるからである。親油性溶媒抽出液は、溶媒を除去して親油性画分として使用できるが、親油性溶媒抽出液を水洗し、次いで親油性溶媒を除去して親油性画分としてもよい。
なお、親油性溶媒に代えて、親油性溶媒100質量部に対し、水、メタノールやエタノールなどの炭素数1〜3のアルコール類、エチレングリコールなどの多価アルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、テトラヒドロフラン,ジエチルエーテルなどのエーテル類、これらの混合物、その他の親水性溶媒を60〜100容量部の範囲で添加した親油性溶媒−親水性溶媒混合液で抽出することもできる。親油性溶媒と親水性溶媒とは混合後の静置によって二層に分離する場合があり、このような親油性溶媒と親水性溶媒とを組み合わせることで、目的物を親油性溶媒層に移行させると共にステビア乳酸産生菌発酵物に含まれる酢酸その他の水溶性成分を親水性溶媒層に移行させることができる。このような親油性溶媒としてクロロホルムがあり、親水性溶媒として、水やメタノールがある。クロロホルムと水とを9:3.5〜5(容量比)で混合した混合液は、抽出後に放置するとクロロホルム層と水層とに分離するため、目的成分をクロロホルム層に回収すると共に、親水性溶媒を水層に移行させ、水溶性成分との分離を簡便に行うことができる。
親油性画分から公知の精製方法で、ステビオールを回収することができる。精製は、たとえば、シリカゲルカラムクロマトグラフィーやODSカラムにより、極性の相異に基づいてステビオールを他の成分と分離し、または、複数の溶解性が異なる溶媒を使用し、溶解度の相異による精製を行うこともできる。ステビオールは、メラニン産生抑制効果に優れるため、各画分についてTLCその他により夾雑物の有無を確認したり、同時にメラニン産生抑制効果を評価し、これを指標としてステビオールを精製することができる。
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
(実施例1)
(1)ステビア乳酸産生菌発酵物の調製
日本国北海道産のステビア植物(学名:Stevia rebaudiana)の茎と葉とを乾燥させた乾燥ステビア植物を約1cm以下に粉砕した。粉砕ステビア植物1kgに乳酸産生菌(Bacillus coagulans)22.5g、水2,250gを加えて温度25〜30℃の条件下に撹拌すると、発酵が開始した。これを温度25〜30℃、14日間放置した。発酵物から甘味が消失しており、これを発酵終期とした。上記した発酵物を室温で2週間乾燥させ、乳酸菌発酵を停止した。
(2)含水エタノール抽出
乾燥発酵物の全量に対し、10質量倍量の28.5(v/v)%エタノールを添加し、2週間、常温で浸潤し、ついで150〜200メッシュのステンレス篩でろ過した。ろ液を60℃で減圧濃縮(60mmHg)し、ダイヤイオンHP20カラムに吸着させた後に66.5%含水エタノール液で溶出し、これを含水エタノール抽出液とした。
(3)クロロホルム抽出
上記含水エタノール抽出液の溶媒を除去し、この抽出物にクロロホルムを3質量倍添加し、温度23〜28℃(室温)で抽出した。残渣をろ過により除き、クロロホルム層を分取し、溶媒を除去し、1.2gのクロロホルム抽出物を得た。
(4)目的物の単離
上記(3)で得たクロロホルム抽出物の全量を、下記分離条件(1)に示すシリカゲルカラムクロマトグラフィーより8つの画分に分離した。
分離条件(1):
カラム:内径2.5cm、高さ15cm
充填物:シリカゲル(KANTO CHEMICAL社製、Silica Gel 60N(球状,中性)、粒子径63〜210μm)、45g、
溶出溶媒:クロロホルム:メタノール=100:1(500mL)→50:1(500mL)→20:1(300mL)→7:1(300mL)→0:1(300mL)の混合溶液を溶離液とし、250mLずつ分取した。
分取物:上記溶出溶媒毎に第1〜8の8つの画分に分画した。各画分の収量を図1に示す。
第3画分を、下記分離条件(2)に示すシリカゲルカラムクロマトグラフィーより3つの画分に分離した。
分離条件(2):
カラム:内径2cm、高さ21cm
充填物:シリカゲル(KANTO CHEMICAL社製、Silica Gel 60N(球状,中性)、粒子径63〜210μm)、20g、
溶出溶媒:クロロホルム:メタノール=100:1(400mL)→50:1(400mL)→0:1(40mL)の混合溶液を溶離液とし、順次カラムに流し、40mLずつ分取した。溶出した各画分についてTLC(MERCK Silica Gel 60 F254)を行った。TLCは、n−ヘキサン:アセトン=1:1の溶媒で展開後、50%硫酸を噴霧し、110℃で加熱して検出した。TLCの結果に基づき、フラクション3−1から3−3の3つに分画した。
第3−3画分を下記分離条件(3)により精製した。
第3−3画分(5.8mg)にクロロホルム5mL加えたところ、不溶物が生じた。不溶物はTLC上単一スポットとして得られ、不溶化合物の収量は1.4mgであった。
(5)構造決定
上記不溶化合物の13C−NMRを測定したところ、文献記載のステビオールのデータと一致し、上記化合物をステビオールと同定した。
(実施例2)
実施例1で得たステビオールおよび比較のためにコウジ酸について、下記測定方法に従って、メラニン産生量、生細胞数、細胞生存率、細胞数当たりのメラニン産生、および対照に対するメラニン産生率を算出した。これらの結果を表1に示す。なお、ステビオールの濃度は、100μMとし、比較のため1000μMのコウジ酸も同様に処理した。
生細胞当たりのメラニン産生量は、1000μMのコウジ酸が358.1±13.4であるのに対し、100μMのステビオールは319.9±65.4とコウジ酸より低値であった。コウジ酸とステビオールの濃度が10倍も相異していることを考慮すると、ステビオールはコウジ酸と比較して、10倍以上もメラニン産生抑制効果に優れることが判明した。
(測定方法)
生細胞数、細胞生存率、生細胞数当たりのメラニン産生量、および対照に対するメラニン産生率の算出方法は、以下に従った。
6ウェルプレートで一晩培養を行ったB16マウスメラノーマ細胞の培地を除去し、各ウェルにテオフィリン(最終濃度として1mM)、コウジ酸1000μMまたはステビオール100μMを加えた10%−FBS−DMEM培地(サンプル溶解のためのDMSOの最終濃度は0.1%)を2mLずつ加えた。
37℃、5%CO存在下で72時間培養した後に培地を除去し、pH7.4等張リン酸緩衝液(PBS)で細胞を2回リンスした。各ウェルに0.25%トリプシン−EDTA溶液を200μlずつ加えてトリプシン処理をし、上記培地を1mlずつ添加して全量を15ml遠沈管に回収した。細胞液を1000rpm、5分間遠心分離し、上清を除去した細胞にPBSを2ml加えて再懸濁させ、このうち200μlをマイクロチューブに移し、セルカウンター(ミリポアコーポレーション製、Sceptor(登録商標))を用いて細胞数を計測した。
残りの細胞液を再び同条件で遠心分離し上清を取り除き、1MのNaOHを1ml添加して80℃の水浴で1時間処理した。細胞融解液の濃度の吸光度をImmuno Mini NJ−2300(コスモバイオコーポレーション製)を用いて波長475nmにて測定し、生細胞数あたりのメラニン産生量を算出した。検量線には1M NaOHに融解した合成メラニン(シグマアルドリッチコーポレーション製)を用いた。
コウジ酸およびステビオールを添加せず、1mMのテオフィリンと0.1%のDMSOとからなる培地を対照培地として上記と同様に操作して対照群とした。また、対照群の生細胞当りのメラニン産生量を100%とし、生細胞数あたりのメラニン産生率を算出しして、対照に対するメラニン濃度(%)を評価した。データは、それぞれn=3の平均値±標準偏差にて表した。また、統計学的解析には分散分析(ANOVA)及び多重比較検定(Dunnet法)を用いた。
Figure 2014129300
ステビオールをメラニン産生抑制剤として使用するものであり、天然物由来であるため安全性に優れ、有用である。

Claims (2)

  1. ステビオール、またはそれらの医学的に許容可能な塩を有効成分とする美白剤。
  2. ステビア植物またはステビア植物抽出物を乳酸産生菌で発酵してステビア乳酸産生菌発酵物を調製し、
    前記ステビア乳酸産生菌発酵物を含水アルコールに浸漬した後固形分を除去して含水アルコール浸漬抽出物を得て、
    前記含水アルコール浸漬抽出物から新油性溶媒含有溶媒によってステビオールを回収することを特徴とする、ステビオールの製造方法。
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