本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、コア体の軸方向端部に取り付けられる感圧素子や押圧部材を囲むハウジングの構成が単純であり、ハウジングの取付と感圧素子の取付が容易であり、しかも配線も容易な電子ペン用感圧素子保持装置を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明に係る電子ペン用感圧素子保持装置は、
電子ペンの内部に配置され、軸方向の反対側にそれぞれ位置する第1コア端と第2コア端とを持つコア体の前記第1コア端から所定距離離れて前記軸方向に沿って各々配置される第1端子および第2端子と、
前記第1端子および前記第2端子により保持される感圧素子の周囲を、全周の1/2周以上で覆うカバー部を有するハウジングと、を有する電子ペン用感圧素子保持装置であって、
前記第1端子は、
前記軸方向に延在する第1端子ベースと、
前記第1端子ベースに一体的に形成され、前記第1コア端に対して前記軸方向に所定距離で離れて配置される感圧素子の第1面に前記軸方向から接続する第1素子接続片と、を有し、
前記第2端子は、
前記第1端子ベースと絶縁されて略平行に延在する第2端子ベースと、
前記第2端子ベースに一体的に形成され、前記感圧素子の前記第1面と反対側の第2面に前記軸方向から接続する第2素子接続片と、を有し、
前記ハウジングには、前記カバー部から軸方向に沿って前記コア体の方向に伸びるコア接続片が一体に形成してあり、前記コア接続片が、前記コア体における第1コア端の外周に固定され、
前記カバー部には、前記感圧素子を前記軸方向と略垂直方向から挿入するための素子挿入孔が形成してあることを特徴とする。
本発明では、上記のような構成を採用するために、ハウジングを分割することなく一体成形することが可能になる。また、ハウジングの構成が単純であり、しかもコア体に対するハウジングの取付が容易になる。さらに、感圧素子を押圧する押圧部材を、感圧素子に対して高精度に組付けることが容易であり、感圧素子を高精度に押圧することが可能になる。そのため、押圧部材により、感圧素子の第1面を、高精度に押圧することができる。その結果、ペン先に加わる筆圧を感圧素子に高精度に伝達することができる。
さらにまた、本発明では、コア体にワイヤを巻き線し、ワイヤの端部を第1端子および第2端子に接続した後に、感圧素子を、ハウジングの素子挿入孔から軸方向と垂直方向から挿入可能である。そのため、ワイヤの端部を第1端子および第2端子に接続する際に、ハンダまたはレーザを用いたとしても、その熱が感圧素子に伝達せず、素子の熱による不具合を防止できる。
また、本発明では、第1端子および第2端子がコア体の第1端から離れて構成されるので、端子がコア体に接触して配置されることによるコイルのQ値の低下などを有効に防止できる。
好ましくは、前記第1素子接続片および前記第2素子接続片は、前記素子挿入孔から挿入可能になっている。このように構成することで、素子接続片が形成された端子のハウジングへの取付も容易になる。しかも、これらの第1および第2素子接続片を素子挿入孔から挿入することで、これらの第1および第2素子接続片の相互間の位置決めも成され、それらの間に、感圧素子を素子挿入孔から差し込みやすくなる。
なお、第1端子の第1素子接続片および第2端子の第2素子接続片は、インサート成形などにより、ハウジングと一体成形しても良い。その場合には、これらの素子接続片相互の間隔の精度が向上する。
好ましくは、前記ハウジングには、前記素子挿入孔から前記感圧素子が挿入される方向と略垂直方向から接着剤を注入するための注入孔が形成してあり、
前記注入孔を通して、前記第1素子接続片と前記感圧素子との接続部、または前記第2素子接続片と前記感圧素子との接続部に前記接着剤を注入可能になっている。好ましくは接着剤は、導電性接着剤である。
注入孔が無い場合には、素子挿入孔から接着剤を注入した後に感圧素子をハウジング内に装着しても良い。その場合に比較して、注入孔から接着剤を注入する場合には、感圧素子をハウジングの内部に装着した後で、接着剤を注入することが可能になり、必要最小限の接着剤で、素子接続片と感圧素子とを接続して固定することが容易になる。なお、素子接続片と感圧素子とは直接に接続してあることが好ましいが、導電性ラバーなどを介して接続してあっても良い。
好ましくは、前記第1端子には、前記コア体に巻回してあるワイヤの第1端が接続される第1ワイヤ接続部が形成してあり、
前記第2端子には、前記ワイヤの第2端が接続される第2ワイヤ接続部が形成してあり、
これらの第1ワイヤ接続部と前記第2ワイヤ接続部とが、前記ハウジングの外周から突出している。
このように構成することで、コア体に巻回してあるワイヤと感圧素子との電気的接続、並びに感圧素子と回路基板との電気的接続が容易になる。
好ましくは、前記第1ワイヤ接続部が前記第1素子接続片に形成してあり、
前記第2ワイヤ接続部が前記第2素子接続片に形成してある。
第1端子の第1素子接続片および第2端子の第2素子接続片を、ハウジングと一体成形する場合には、ワイヤ接続部と素子接続片との位置関係は特に限定されない。第1端子の第1素子接続片および第2端子の第2素子接続片を、ハウジングの素子挿入孔から挿入して端子をハウジングに取り付ける場合には、素子挿入孔の反対側に位置するハウジングの外周面に、ワイヤ接続部が貫通して外部に露出するための突出用孔が形成してあることが好ましい。
このように構成することで、第1および第2素子接続片を、ハウジングの素子挿入孔から挿入して端子をハウジングに取り付けると、接続片に形成してあるワイヤ接続部が、素子挿入孔の反対側に位置するハウジングの外周面の突出用孔に貫通して外部に露出する。この場合には、突出用孔が、第1および第2素子接続片の位置決めを行い、これらの軸方向に沿った相互間距離を一定に保つことが容易になる。
なお、前記第1ワイヤ接続部は、前記第1素子接続片とは別に前記第1端子ベースに一体に形成しても良く、
前記第2ワイヤ接続部は、前記第2素子接続片とは別に前記第2端子ベースに一体に形成してもよい。
このように構成することで、素子接続片とワイヤ接続部とを引き離すことが容易になり、仮に感圧素子を素子接続片に取り付けた後に、ワイヤ接続部にワイヤを接続したとしても、その接続時の熱が感圧素子に伝達し難くなる。
好ましくは、前記第1端子ベースの軸方向に沿って前記第1素子接続片とは反対側に、第1基板接続部が形成してあり、
前記第2端子ベースの軸方向に沿って前記第2素子接続片とは反対側に、第2基板接続部が形成してあり、
前記第1基板接続部と第2基板接続部とが、回路基板の軸方向の一端に各々接続される。
このように構成することで、コイル部および感圧素子と回路基板との接続も容易になり、回路基板に設けたコンデンサとの接続も容易になり、電子ペンの位置検出などに用いられる共振回路の形成も容易である。また、第1端子および第2端子以外の配線も不要であり、この点でも電子ペンの小型化に寄与する。
好ましくは、前記カバー部は、基板取付ベースと一体に成形してあり、
前記基板取付ベースには、回路基板の端部を位置決めして取り付けるための基板取付ピンが一体成形してある。
このような構成にすることで、回路基板の取付が容易になると共に、高精度に位置決めして回路基板をハウジングに取り付けすることができる。
好ましくは、前記第1コア端と前記第1素子接続片との間には、前記感圧素子の第1面を押圧するための押圧部材が装着されている。好ましくは、前記押圧部材が、前記カバー部の内側に配置されている。
好ましくは、前記押圧部材は、軸方向の略中央部に、大径部を有し、
前記大径部は、前記カバー部の内側に形成してある収容内周面により、前記軸方向とは直交する方向に外れないように、しかも前記軸方向には移動可能に保持してある。
このような構成にすることで、押圧部材は、軸方向のみにスムーズに移動して感圧素子の第1面を高精度で押圧することができる。その結果、感圧素子の感度が向上する。
好ましくは、前記第1素子接続片には、前記押圧部材に形成してある押圧先端が貫通する貫通孔(切り欠き含む)が形成してあり、
前記押圧先端が、前記感圧素子の第1面に接触して押圧可能に構成してある。押圧部材の押圧先端を感圧素子の第1面に接触させて押圧可能に構成することで、感圧素子の感圧精度が向上する。
好ましくは、前記コア体には、軸方向に貫通する軸孔が形成してあり、
前記軸孔に芯体が軸方向移動に装着され、
前記第1コア端側の前記芯体の端部が前記押圧部材に着脱自在に装着され、
前記第2コア端から飛び出している前記芯体の先端に具備してあるペン先に作用する圧力に応じて、前記押圧部材が前記感圧素子の第1面を押圧する。
このような構成にすることで、押圧部材に対して、ペン先が具備してある芯体を着脱自在に構成することが可能になり、芯体の交換が容易になる。また、押圧部材が、第1コア端と第1素子接続片との間で高精度に位置決めされて保持されることから、押圧部材に取り付けられる芯体も、電子ペンの内部で、がたつくことなく所定位置に装着される。
好ましくは、本発明に係るコイル装置は、
電子ペンの内部に配置され、軸方向の反対側にそれぞれ位置する第1コア端と第2コア端とを持つコア体と、
前記コア体の外周に巻回されてコイル部を形成するワイヤとを有する電子ペン用コイル装置であって、
前記コア体の外周で前記第1コア端の近くには、第1ワイヤガイドが具備してあり、前記コア体の外周で前記第2コア端の近くには、第2ワイヤガイドが具備してあり、
前記第1ワイヤガイドは、前記コア体の外周から径方向外方に突出し、周方向に沿って少なくとも1つの凹状の第1ワイヤ通路を有し、
前記第2ワイヤガイドは、前記コア体の外周から径方向外方に突出し、周方向に沿って少なくとも1つの凹状の第2ワイヤ通路を有する。
好ましくは、前記ワイヤは、前記第1ワイヤ通路を通して、前記第1ワイヤガイドと前記第2ワイヤガイドとの間に位置する前記コア体の外周にコイル状に巻回されて前記コイル部を形成し、前記第2通路を通して、前記第2ワイヤガイドに係止され、前記第2通路から前記第1通路を通して引き出され、
前記ワイヤの第1リードと第2リードとが、前記第1通路から前記第1コア端の方向に引き出されている。
本発明に係る電子ペン用コイル装置において、コア体の外周にワイヤを巻き付けてコイル部を形成する方法は、特に限定されないが、たとえば、まず、ワイヤの第1リードを、コア体の第1コア端に固定する。次に、ワイヤを、第1ワイヤガイドの第1ワイヤ通路を通して、第1ワイヤガイドと前記第2ワイヤガイドとの間に位置するコア体の外周にコイル状に巻回してコイル部を形成する。
ワイヤを巻回する際には、ワイヤを巻回する軸方向の長さが、2つのワイヤガイドにより仕切られた所定長さにより決定され、ワイヤを自動巻きしやすいと共に、ワイヤの位置決め精度が向上し、所定のインダクタンス、Q特性および周波数特性などを高精度で実現することが可能になり、電子ペンによる位置検出精度も向上する。また、第1通路をワイヤが通過することにより、ワイヤが第1ワイヤガイドに引っかかることからも、コア体の外周に、ワイヤを自動巻きしやすい。
さらに、第1ワイヤガイドと前記第2ワイヤガイドとの間に位置するコア体の外周にコイル状に巻回してコイル部を形成した後は、第2通路を通して、ワイヤを第2ワイヤガイドの外側(第2コア端側)に出し、そこで、たとえば略1周巻回してから第2通路に戻すことで、ワイヤが第2ワイヤガイドに係止され、自動作業により、ワイヤの第2リードは、コイル部の外周で第2通路から第1通路を通して戻される。すなわち、コア体の外径を小さくしても、ワイヤの自動巻作業がきわめて容易になる。
また、ワイヤの第1リードと第2リードとが、第1通路から第1コア端の方向に引き出されているため、コア体の第1コア端に回路基板を軸方向に取り付けることで、コイル装置と回路基板との配線がシンプルになり、この点でも、ペンの小径化を図ることができる。
なお、コア体の外周にワイヤを巻き付けてコイル部を形成するその他の方法としては、まず、ワイヤの第1リードを、コア体の第1コア端に固定する。次に、ワイヤを、第1ワイヤガイドの第1ワイヤ通路を通して、コイル部を形成することなく、第2通路に向かわせる。その後に、第2通路を通して、ワイヤを第2ワイヤガイドの外側(第2コア端側)に出し、そこで、たとえば略1周巻回してから第2通路に戻すことで、ワイヤが第2ワイヤガイドに係止され、自動作業により、第2ワイヤガイドと第1ワイヤガイドとの間に位置するコア体の外周にコイル状にワイヤを巻回してコイル部を形成する。その後に、ワイヤの第2リード部を、第1通路から前記第1コア端の方向に引き出してもよい。
この場合にも、前記ワイヤは、前記第1ワイヤ通路を通して、前記第1ワイヤガイドと前記第2ワイヤガイドとの間に位置する前記コア体の外周にコイル状に巻回されて前記コイル部を形成し、前記第2通路を通して、前記第2ワイヤガイドに係止され、前記第2通路から前記第1通路を通して引き出され、前記ワイヤの第1リードと第2リードとが、前記第1通路から前記第1コア端の方向に引き出されることになる。
前記コア体の前記第1コア端には、前記ワイヤの第1リードと第2リードとを各々保持するワイヤ保持部が具備してあってもよい。この場合には、ワイヤの第1リードをワイヤ保持部に保持させて固定することが容易になると共に、ワイヤの第2リードをワイヤ保持部に保持させて固定することが容易になる。
なお、第1ガイドワイヤ、第2ワイヤガイドおよびワイヤ保持部の少なくとも1つと、コア体とを一体成形しても良い。一体成形するための方法としては、インサート成形や磁場射出成形(CIM)などが用いられる。インサート成形の場合には、第1ガイドワイヤ、第2ワイヤガイドおよびワイヤ保持部の少なくとも1つと、コア体とを別材料で構成することが容易である。また、磁場射出成形の場合には、第1ガイドワイヤ、第2ワイヤガイドおよびワイヤ保持部の少なくとも1つと、コア体とを磁性材料で構成することができる。
好ましくは、前記第1通路と前記第2通路とは、前記コア体の周方向で同じ位置に形成してある。このような構造である場合には、第2通路から第1通路を通して、巻回後のコイル部の上でワイヤを戻す際に、ワイヤを直線上に移動させれば良く、その作業が容易である。なお、本発明では、必ずしも直線上にワイヤを戻す必要はない。
好ましくは、前記第1係止溝および第2係止溝の前記コア体の周方向に沿っての位置が、前記第1通路の周方向位置と略一致する。このような構造である場合には、第1係止溝から第1通路へ向けてワイヤを引き出す際と、第1通路から第2係止溝に向けてワイヤを引き出す際に、ワイヤを直線上に移動させれば良いので、ワイヤの自動巻作業がさらに容易になる。
前記第2コア端と前記第2コア端との間に位置する前記コア体の外周に、前記ワイヤを1/8周以上で巻回させることにより、ワイヤを第2ワイヤガイドに係止させてもよい。
第2通路が第2ワイヤガイドの周方向に沿って単一である場合には、第2通路を通して第2ワイヤガイドの外側に出したワイヤは、同じ第2通路を通して第1通路の方向に戻す必要がある。その場合には、第2ワイヤガイドと第2コア端との間に位置するコア体の外周に、ワイヤを約1周以上で巻回させることにより、ワイヤを第2ワイヤガイドに係止させることができる。
しかしながら、第2通路が第2ワイヤガイドの周方向に沿って2つ以上である場合には、一方の第2通路を通して第2ワイヤガイドの外側に出したワイヤは、別の第2通路を通して第2端子の方向に戻すことができる。そのため、第2ワイヤガイドと第2コア端との間に位置するコア体の外周に、ワイヤを少なくとも約1/8周で巻回させることにより、ワイヤを第2ワイヤガイドに係止させることができる。
本発明では、前記第1ワイヤガイドの周方向の一部と前記第2ワイヤガイドの周方向の一部とは、前記コア体の外周面を前記軸方向に延びる連結片により連結しても良く、
前記連結片で覆われていない前記コア体の外周と前記連結片の外周とが、前記ワイヤにより巻回してあり前記コイル部を構成してもよい。
第1ワイヤガイドと第2ワイヤガイドとを連結片で連結することにより、第1ワイヤガイドと第2ガイドワイヤとの軸方向距離を一定に保持しやすい。なお、連結片の径方向厚みは、第1ワイヤガイドおよび第2ワイヤガイドの径方向厚みに比較して薄いことが好ましい。連結片の外周にワイヤが巻回されるため、コイル部の外周が第1ワイヤガイドおよび第2ワイヤガイドの径方向厚みを超えないようにするためである。
前記第1ワイヤガイドと前記第2ワイヤガイドとの間には、第3ワイヤガイドが前記コア体の外周に装着してもよい。前記第3ワイヤガイドは、前記コア体の外周から径方向外方に突出し、周方向に沿って少なくとも1つの凹状の第3ワイヤ通路を有することが好ましい。
このような構造である場合には、前記第3ワイヤガイドと前記第2ワイヤガイドとの間、または前記第3ワイヤガイドと前記第1ワイヤガイドとの間に位置する前記コア体の外周には、2重以上に前記ワイヤを巻回し、コイル装置全体としてのインダクタンスを調整することができる。もちろん、全体で4つ以上のワイヤガイドを具備させても良く、いずれかの2つ以上のワイヤガイドは、軸方向に一体化させても良い。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
第1実施形態
図1に示す本発明の一実施形態に係る電子ペン用コイル装置2は、電子ペンの内部に装着され、電子ペンの位置情報と共に、その使用状態の変化情報、たとえば電子ペンに加わる圧力または変位などに関する情報を、たとえばタブレットなどの入力用表示画面に非接触式に伝達する装置の一部として使用される。
まず、本実施形態において、電子ペンの位置情報と電子ペンの使用状態とを検出する原理を簡単に説明する。
電子ペンが具備する同調回路(図1に示すコイル部20を含む)は、タブレット(図示略)などの入力用表示画面から所定の同調周波数、例えば周波数f0の電波が発信されると、該電波を受けて励振され、図1に示すコイル部20には誘導電圧が誘起される。そして、該電波の発信が停止されると、前記誘導電圧に基づく電流により、コイル部20から所定の周波数の電波が発信される。このコイル部20を含む同調回路から発信された電波をタブレット(図示略)で受信することで、タブレット(図示略)上における電子ペン(コイル装置2を含む)の位置を検知できる。
また、電子ペン用芯体6のペン先6aは、タブレットの表面に押しつけるように操作される。この操作時には、芯体6がコイル部20の内部を軸方向に移動し、図2〜図3に示す押圧部材60を感圧素子50の一面を押圧する。感圧素子50は、本実施形態では、容量可変コンデンサで構成してあり、素子50に作用する押圧力(押圧変位)に応じて、静電容量が変化する。
この素子50は、コイル部20と、回路基板100に実装してあるコンデンサとから成る同調回路に並列に接続してあり、素子に加わる圧力に応じて、同調回路の同調周波数が変化させる。この場合、タブレット(図示略)から周波数f0の無線信号を発信すると、同調回路の同調周波数が変化しているため、コイル部20に生じる誘導電圧は、非操作時とは位相がずれたものとなる。このため、同調回路からは、タブレット(図示略)から発信された電波とは位相がずれた電波が発信される。このため、タブレット(図示略)から電波を発信して同調回路を励振するとともに、同調回路から発せられる電波における位相差を検知すれば、電子ペンの操作を検知することができる。電子ペンから検出された位相ズレに応じて、電子ペンにより実現しようとしている線の太さ、指定位置あるいは指定領域の色相や濃度(明度)等を検出することが可能である。
このような電子ペンの機能を実現するための本実施形態に係るコイル装置2は、電子ペンの内部に装着可能なコア体4を有する。コア体4は、その長手方向(X軸)に沿って貫通している軸孔4aを有し、中空筒体で構成してある。コア体4は、磁性体で構成してあり、たとえばフェライト材、パーマロイなどの軟磁性材、金属圧粉成形の磁性材などで構成される。
図6に示すように、円筒状のコア体4は、図示省略してある電子ペンの内部に沿ってX軸方向に細長く、軸方向の反対側にそれぞれ位置する第1端としての基端4bと、第2端としての先端4cとを有する。基端4bには、下述するハウジング70のコア接続片84が、たとえば接着により接合される。
図2〜図3に示すように、ハウジング70には、第1端子30aおよび第2端子30bが取り付けてある。図5〜図7に示すように、これらの第1端子30aおよび第2端子30bは、完全に分離されて絶縁された2つの金属端子で構成してあり、金属板から打ち抜き成形された端子片を折り曲げ成形することで形成される。
第1端子30aは、X軸方向に延在する第1端子ベース36aを有し、そのベース36aのX軸方向の一端に第1基板接続爪(第1基板接続部の一例)38aが折り曲げ成形などにより一体に形成してある。第1基板接続爪38aは、後述するハウジング70に第1端子30aが取り付けられた後に折り曲げられても良く、最初から折り曲げられてあっても良く、図1〜図2に示すように、回路基板100のX軸方向の一端に設けられた第1接続孔104aの内部に挿入され、そこで、回路基板100の回路に接続される。回路基板100には、コンデンサやその他の回路素子106などが装着してあり、第1基板接続爪38aは、接続孔104aに接続するのみで、それらの回路や素子に電気的に接続される。
図5〜図6に示すように、第1端子ベース36aの第1基板接続爪38aとX軸方向の反対側端部には、Y軸方向に突出する第1連結片40aが一体に形成してある。第1連結片40aのZ軸方向の上部には、Z軸およびY軸を含む平面方向に延在する第1素子接続片44aが一体に形成してある。
第1素子接続片44aは、感圧素子50のX軸方向の感圧側端面である第1素子電極面52を保持するようになっており、第1素子電極面52の全体形状と同様に、全体としては四角形を有している。ただし、本実施形態では、第1素子接続片44aのY軸方向幅は、感圧素子50のY軸方向幅よりも狭く形成してある。また、第1素子接続片44aには、後述する押圧部材60の押圧ピン(押圧先端の一例)64が、X軸方向から着脱自在に挿入可能な押圧ピン取付孔46が形成してある。
第1素子接続片44aのZ軸方向の上部には、間に第1係止溝32aが形成してある一対の第1爪部(第1ワイヤ接続部の一例)34aが一体に形成してある。第1爪部34aは、ハウジング70に形成してある第1突出用孔76aからハウジング外部に突出するようになっている。
第1爪部34aに形成してある第1係止溝32aは、入口から底部に向けてテーパ状に幅が狭くなっており、図1および図4に示すワイヤ22の第1リード22aの端部を入口から底部に向けて挿入するのみで、ワイヤ22の第1リード22aが端子30aに固定されるようになっている。すなわち、第1係止溝32aの入口幅は、ワイヤ22の外径と同等以上であり、第1係止溝32aの底部幅は、ワイヤ22の外径と同等以下であることが好ましい。
次に、第2端子30bについて説明する。第2端子30bは、第1端子30aと対にして用いられる。
図5〜図6に示すように、第2端子30bは、第1端子ベース36aと平行に、X軸方向に延在する第2端子ベース36bを有し、そのベース36bのX軸方向の一端に第2基板接続爪(第2基板接続部の一例)38bが折り曲げ成形などにより一体に形成してある。第2基板接続爪38bは、後述するハウジング70に第2端子30bが取り付けられた後に折り曲げられても良く、最初から折り曲げられてあっても良く、図1〜図2に示すように、回路基板100のX軸方向の一端に設けられた第2接続孔104bの内部に挿入され、そこで、回路基板100の回路に接続される。
図5〜図6に示すように、第2端子ベース36bの第2基板接続爪38bとX軸方向の反対側端部には、Y軸方向に突出する第2連結片40bが一体に形成してある。第2連結片40bのZ軸方向の上部には、Z軸およびY軸を含む平面方向に延在する第2素子接続片44bが一体に形成してある。
第2素子接続片44bは、感圧素子50の第1素子電極面52と反対面である第2素子電極面54を保持するようになっており、第2素子電極面54の全体形状と同様に、全体としては四角形を有している。ただし、本実施形態では、第2素子接続片44bのY軸方向幅は、感圧素子50のY軸方向幅よりも狭く形成してあり、第1素子接続片44aと同じになっている。第1素子接続片44aと第2素子接続片44bとは、X軸方向に所定間隔で対向し、その間に、Z軸方向の下方から感圧素子50が挿入されて挟み込まれるようになっている。
第2素子接続片44bのZ軸方向の上部には、間に第2係止溝32bが形成してある一対の第2爪部(第2ワイヤ接続部の一例)34bが一体に形成してある。第2爪部34bは、第1爪部34aに対して、Y軸方向に位置ズレして形成してあり、ハウジング70に形成してある第1突出用孔76aからX軸方向にずれて形成してある第2突出用孔76bからハウジング外部に突出するようになっている。
第2爪部34bに形成してある第2係止溝32bは、第1爪部34aの第1係止溝32aに対して、Y軸方向に位置ズレしている以外は、同様な構成を有している。すなわち、第2係止溝32bには、図1および図4に示すワイヤ22の第1リード22aの端部を入口から底部に向けて挿入するのみで、ワイヤ22の第1リード22aが端子30aに固定されるようになっている。
なお、図面において、X軸、Y軸およびZ軸は、相互に垂直であり、この実施形態では、X軸は、コア体4および端子ベース36aの長手方向であり、Y軸は、第1端子30aの第1端子ベース36aと第2端子30bの第2端子ベース36bとが分離する方向であり、Z軸は、素子接続片44aおよび44bが連結片40a、40bに対して略垂直方向に折れ曲がる方向であり、後述する感圧素子50の挿入方向と一致する。
本実施形態では、第1素子接続片44aと第2素子接続片44bとの間の隙間幅は、感圧素子50の厚みと同等以下に設定してあることが好ましい。そうすることで、第1素子接続片44aと第2素子接続片44bとの間に素子50が挟み込まれた場合に、湾曲片42aおよび42bの弾力性により、素子50を保持することができる。
なお、素子50の第1素子電極面52と第2素子電極面54は、それぞれ接続片44a,44bに電気的に接続してあれば良く、接続片44a,44bの弾力性のみで、素子50を保持しても良い。または素子の電極面52,54と接続片44a,44bとを、それぞれ導電性接着剤、あるいは導電性フィルム、導電性ゴムなどで接続しても良い。素子の電極面52,54と接続片44a,44bとを、それぞれ導電性接着剤、あるいは導電性フィルム、導電性ゴムなどで接続する場合には、第1素子接続片44aと第2素子接続片44bとの間の隙間幅は、感圧素子50の厚みよりも大きくとも良い。
本実施形態では、感圧素子50は、圧力または変位の変化を電気信号に変換する素子であるが、容量可変コンデンサで構成してあり、素子50の感圧面側である第1素子電極面52に作用する押圧部材60の押圧力(押圧変位)に応じて、静電容量が変化する。変化した静電容量の電気信号は、第1素子電極面52および第2素子電極面54に各々接続してある接続片44aおよび44bを介して、接続爪38aおよび38bから回路基板100の回路に伝達される。
図2Bに示すように、押圧部材60は、芯体基端取付孔62を有する。取付孔62には、図1に示すペン先6aが取り付けられた芯体6の後端が、着脱可能に取り付けられる(図2A,図2B参照)。取付孔62の内径は、芯体6の後端が着脱自在に固定されるように決定され、コア体4に形成してある軸孔4aの内径よりも小さい。芯体6は、押圧部材60と共にX軸方向に移動可能に、コア体4の軸孔4aの内部に装着してある。
押圧部材60の取付孔62に対してX軸方向の反対側には、押圧ピン64がX軸方向に突出して一体的に形成してある。押圧ピン64の先端は、感圧素子50の感圧面である第1素子電極面52に接触して押圧可能になっている。押圧ピン64の外径は、押圧ピン取付孔46の内径よりも小さく形成してあり、押圧ピン64による素子50への押圧を、第1素子接続片44aが妨げないようになっている。
図1に示すペン先6aに筆圧が加わると、その筆圧に応じて、芯体6がコア体4の内部をX軸方向に移動し、押圧部材60の押圧ピン64が感圧素子50の感圧面である第1素子電極面52を押圧する。押圧部材60は、たとえば滑り特性が良い合成樹脂で構成してあり、その外周には、他の部分よりも外径が大きい断面円形の大径部66が一体的に形成してある。
図2Bに示すように、押圧部材60の大径部66は、後述するハウジング70のカバー部82の内側に形成してある収容内周面88により、Y軸およびZ軸方向にずれないように、しかもX軸方向に微小移動して感圧素子を押圧可能に保持してある。押圧部材60は、コア体4の基端4bに、ハウジング70のコア接続片84が固定される前に、ハウジング70の収容内周面88に収容され、端子30a,30bには固定させずに、感圧素子50を押圧可能になっている。
次に、ハウジング70について詳細に説明する。ハウジング70は、たとえば合成樹脂で構成され、図2Bに示すように、X軸方向の基端側に、基板取付ベース72を有する。ベース72のZ軸方向の上面は、平坦面に形成してあるが、その平坦な上面に、基板取付ピン74がZ軸方向の上方に突出して一体に形成してある。
基板取付ベース72の上面には、図1に示す回路基板100の一端が設置され、基板100の一端に形成してある基板取付孔102にベース72の取付ピン74が嵌合することで位置決めされ、接着などの手段により回路基板100の一端をハウジング70のベース72の上面に取り付けることができる。
回路基板100を、ベース72の上面に取り付ける際には、基板接続爪38a,38bは、図4に示すように、Z軸方向の上方に向けて折り曲げられていることが好ましい。そのようにしておけば、図1に示すように基板100の一端をハウジング70に取り付ける際に、基板接続爪38a,38bが、基板100の接続孔104a,104bに同時に入り込み、作業性が良い。
図2〜図3に示すように、ハウジング70におけるベース72のX軸方向に沿って隣には、素子接続片保持部80が一体に形成してある。保持部80は、そのX軸方向壁面が、端子30bにおける素子接続片44bの反素子側面に接触し、素子接続片44bおよび素子50が、押圧ピン64によりX軸方向の回路基板100側に押圧されても素子50をX軸方向に移動させないようになっている。
保持部80には、カバー部82が一体に成形してある。カバー部82は、感圧素子50および押圧部材の1/2周以上、本実施形態では、ほぼ全周を覆っている。そのため、素子接続片44a,44bにより軸方向から挟まれる感圧素子50は、そのほとんどの外周が、カバー部82で覆われ、感圧素子70を保護することができる。しかも、ハウジング70を軸方向に分割する必要もなく一体に成形することができる。
本実施形態では、カバー部82のZ軸方向の上面には、上側平坦面75が形成してあり、その平坦面75に、前述した突出用孔76a,76bが形成してあり、各突出用孔76a,76bから爪部34a,34bが突出している。図2Bおよび図7に示すように、カバー部82における突出用孔76a,76bとZ軸方向反対側にも下側平坦面77が基板取付ベース72まで連続するように形成してある。そして、カバー部82における突出用孔76a,76bと対応する位置で、突出用孔76a,76bと反対側で、下側平坦面77に素子挿入孔78が形成してある。
本実施形態では、素子挿入孔78から第1端子30aの第1素子接続片44aが、第2端子30bの第2素子接続片44bと共に挿入可能になっており、これらが挿入されると、接続片44a,44bのZ軸方向の上部にそれぞれ形成してある爪部a,34bが、突出用孔76a,76bから外部に露出するようになっている。
図3および図5に示すように、ハウジング70におけるY軸方向の両側には、突出用孔76a,76bとX軸方向に略同じ位置で、注入孔73a,73bがそれぞれ形成してある。注入孔73a,73bのX軸方向幅は、突出用孔76a,76bと同等以上であることが好ましい。
注入孔73a,73bは、いずれか一方のみを形成しても良いが、好ましくは、注入孔73a,73b毎に形成することが好ましい。なお、これらの注入孔73a,73bは、X軸方向に連続させてもよい。注入孔73a,73bからは、第1素子接続片44aと感圧素子50との接続部、または第2素子接続片44bと感圧素子50との接続部に、たとえば導電性接着剤を注入可能になっている。
図2Bおよび図7に示すように、カバー部82では、Z軸方向の下側平坦面77が、X軸方向の途中で途切れて段差部83が形成してあり、段差部83よりもコア体側は、上側平坦面75以外では、円周面85になっている。円周面85の外径は、コア体4の外径よりも大きい。カバー部82の円周面85に連続して、カバー部82には、X軸方向に沿ってコア体4の方向に伸びるコア接続片84が一体に形成してある。
コア接続片84は、コア体4の基端4bの外周に接着剤などで接続されるために都合の良い形状になっており、コア接続片84の内周面87の内径は、コア体4の外径と同等以上であり、収容内周面88の内径よりも大きく形成してある。そのため、コア接続片84が形成される位置で、上側平坦面75が切り欠かれることになり、切り欠き部86が形成される。
また、切り欠き部86のX軸方向端部86aに、コア体4の基端4bが突き合わされて位置決めされる。切り欠き部86のX軸方向端部86aは、内周面87と88との境界であると共に、カバー部82と接続片84との境界でもある。
次に、コア体4およびコイル部20について詳細に説明する。図5〜図7に示すように、コア体4の外周で基端4bの近くには、コア体4の外周から突出する全体としてリング状の第1ワイヤガイド10aが装着してある。第1ワイヤガイド10aと基端4bとの間に位置するコア体4の外周には、前述したように、ハウジング70の接続片84が固定される。なお、コア体4に対するハウジング70の固定の際には、ハウジングには、第1端子30aおよび第2端子30bが装着してあると共に、ハウジング70の内部には、押圧部材60が装着してあることが好ましい。
また、コア体4の外周で先端4cの近くには、第1ワイヤガイド10aと同様な第2ワイヤガイド10bが装着してある。第1ワイヤガイド10aと先端4cとの間に位置するコア体4の外周面には、ワイヤ22が少なくとも1周巻回できる程度のX軸方向隙間があることが好ましい。
第1ワイヤガイド10aは、コア体4の外周から径方向外方に突出し、周方向に沿って少なくとも1つの凹状の第1ワイヤ通路12aを有する。第2ワイヤガイド10bも、第1ワイヤガイド10aと同様に、コア体4の外周から径方向外方に突出し、周方向に沿って少なくとも1つの凹状の第2ワイヤ通路12bを有する。
本実施形態では、ガイド10a,10bは、リング状の絶縁性リングを、周方向に沿って一箇所で切り欠き、ワイヤ通路12a,12bを形成し、不連続に成形したリングで構成してある。これらのガイド10a,10bは、フェライトなどで構成してあるコア体4の外周のX軸方向の所定位置に接着剤などで固定され、これらのガイド10a,10b間に位置するコア体4の外周がワイヤを巻回してコイル部20を形成するための空間となる。
通路12a,12bが相互に周方向位置が同じになるように、ガイド10a,10bがコア体4の外周に固定される。図1〜図4に示すコイル部20を形成するワイヤ22としては、特に限定されず、たとえばリッツ線、USTC線、ウレタンワイヤなどが用いられる。特に、リッツ線などの撚り線を用いることで、高周波におけるQ特性などが向上し、電子ペン用コイル装置として特に好ましい。
ワイヤ22の第1リード22aの端部は、図5に示す第1端子30aの爪部34a,34a間の係止溝32aに接続される。また、ワイヤの第2リード22bの端部は、第2端子30bの爪部34b,34b間の係止溝32bに接続される。相互に最も離れた爪部34a,34b間における係止溝32aと係止溝32bとの間の距離は、第1ワイヤガイド10aにおける第1通路12aの周方向幅と同等以下であることが好ましい。
図1〜図4に示すように、本実施形態では、巻始めである第1リード22aの端部が爪部34a間の係止溝32aに固定されたワイヤ22は、第1ワイヤ通路12aを通して、第1ワイヤガイド10aと第2ワイヤガイド10bとの間に位置するコア体4の外周にコイル状に巻回されてコイル部20を形成する。コイル部20を形成した後のワイヤ22は、第2通路12bを通して、一端、第2ワイヤガイド10bよりも先端4c側に出され、コア体4の外周を約一周以上巻回した後、再び、第2ワイヤ通路12bを通して、コイル部20側に戻される。そしてワイヤ22の巻き終わり端である第2リード22bは、第2通路12bから第1通路12aを通して、第2端子の第2係止溝32bに接続される。
なお、図示する例では、第2通路12bから第1通路12aを一直線上にワイヤ22のリード部22bを戻しているが、ガイド10a,10b間に位置するコイル部20の上を、一周以上巻回してからワイヤ22のリード部22bを第1通路12aを通して、第2端子30bに接続するようにしても良い。
本実施形態に係る電子ペン用コイル装置2において、コア体4の外周にワイヤ22を巻き付けてコイル部20を形成するには、コア体4にハウジング70を固定して行うことが好ましい。まず、ワイヤ22の第1リード22aの端を、ハウジング70に装着してある第1端子30aの爪部34a間の係止溝32aに差し込んで接続する。次に、ワイヤ22を、第1ワイヤガイド10aの第1ワイヤ通路12aを通して、第1ワイヤガイド10aと第2ワイヤガイド10bとの間に位置するコア体4の外周にコイル状に巻回してコイル部20を形成する。
ワイヤ22を巻回する際には、ワイヤ22を巻回する軸方向の長さが、2つのワイヤガイド10a,10bにより仕切られた所定長さにより決定され、ワイヤ22を自動巻きしやすいと共に、ワイヤ22の位置決め精度が向上し、所定のインダクタンス、Q特性および周波数特性などを高精度で実現することが可能になり、電子ペンによる位置検出精度も向上する。また、第1通路12aをワイヤ22の第1リード22aが通過することにより、ワイヤ22が第1ワイヤガイド10aに引っかかることからも、コア体4の外周に、ワイヤ22を自動巻きしやすい。
さらに、第1ワイヤガイド10aと第2ワイヤガイド10bとの間に位置するコア体4の外周にコイル状に巻回してコイル部20を形成した後は、第2通路12bを通して、ワイヤ22を第2ワイヤガイド10bの外側(先端4c側)に出し、そこで、たとえば略1周巻回してから第2通路12bに戻すことで、ワイヤ22が第2ワイヤガイド10bに係止され、自動作業により、ワイヤ22の第2リード22bは、コイル部20の外周で第2通路12bから第1通路12aを通して、第2端子30bの爪部34b間の係止溝32bに戻されて第2端子30bに接続し易い。すなわち、コア体4の外径を小さくしても、ワイヤ22の自動巻作業がきわめて容易になる。
また、巻線の終了と同時に、ワイヤ22の両端を第1端子30aと第2端子30bに接続することができる。しかも、これらの端子30a,30bには、感圧素子50の一対の端子電極52,54に接続するための接続片44a,44bが一体的に形成されていることから、感圧素子50との特別な配線が不要となり、コイル部20と感圧素子50との配線がシンプルになり、この点でも、ペンの小径化を図ることができる。
また、本実施形態では、各端子30a,30bの係止溝32a,32bは、入口から底部に向けて幅が狭くなっており、ワイヤ22のリード22a,22bの端を入口から底部に向けて挿入するのみで、ワイヤ端が各端子に固定されるようになっている。その点でも、ワイヤの自動巻回作業が容易である。
さらに本実施形態では、第1通路12aと前記第2通路12bとは、コア体4の周方向で同じ位置に形成してある。このような構造であるため、第2通路12bから第1通路12aを通して、巻回後のコイル部20の上でワイヤ22の巻き終わり端である第2リード22bを戻す際に、ワイヤ22bを直線上に移動させれば良く、その作業が容易である。
本実施形態では、第1係止溝32aおよび第2係止溝32bのコア体4の周方向に沿っての位置が、第1通路12aの周方向位置と略一致する。このような構造であるため、第1係止溝32aから第1通路12aへ向けてワイヤ22の第1リード22aを引き出す際と、第1通路12aから第2係止溝32bに向けてワイヤ22の第2リード22bを引き出す際に、ワイヤ22を略直線上に移動させれば良いので、ワイヤ22の自動巻作業がさらに容易になる。
しかも本実施形態では、第1基板接続爪38aと第2基板接続爪38bが、それぞれ第1端子ベース36aおよび第2端子ベース36bに一体に形成してあり、それぞれが回路基板100に接続してある。このため、コイル部20および感圧素子50と回路基板100との接続も容易になり、回路基板100に設けたコンデンサとの接続も容易になり、電子ペンの位置検出などに用いられる共振回路の形成も容易である。また、第1端子30aおよび第2端子30b以外の配線も不要であり、この点でも電子ペンの小型化に寄与する。
また本実施形態では、コア体4には、軸方向に貫通する軸孔4aが形成してあり、軸孔4aに芯体6が軸方向移動に装着され、図2に示すように、基端4b側の芯体6の端部が押圧部材60の芯体基端取付孔62に着脱自在に装着される。そのため、図1に示す先端4cから飛び出している芯体6の先端に具備してあるペン先6aに作用する圧力に応じて、図2に示す押圧部材60の押圧ピン52が感圧素子50の第1素子電極面52を押圧する。その結果、ペン先6a(図1参照)に加わる筆圧を感圧素子50に高精度に伝達することができる。
また、このような構成にすることで、本実施形態では、押圧部材60に対して、ペン先6aが具備してある芯体6を着脱自在に構成することが可能になり、芯体6の交換が容易になる。
さらにまた、本実施形態では、コア体4にワイヤ22を巻き線し、ワイヤ22のリード部22a,22bを第1端子30aおよび第2端子30bに接続した後に、感圧素子50を、ハウジング70の素子挿入孔78から軸方向と垂直方向から挿入可能である。そのため、ワイヤ22のリード部22a、22bの端部を第1端子30aおよび第2端子30bに接続する際に、ハンダまたはレーザを用いたとしても、その熱が感圧素子50に伝達せず、素子50の熱による不具合を防止できる。
また、本実施形態では、第1端子30aおよび第2端子30bがコア体4の基端4bから離れて構成されるので、端子30a,30bがコア体4に接触して配置されることによるコイル20のQ値の低下などを有効に防止できる。
さらに本実施形態では、図7に示すように、第1素子接続片44aおよび第2素子接続片44bは、素子50とは別に、あるいは素子50と共に、素子挿入孔78から挿入可能になっている。このように構成することで、素子接続片44a,44bが形成された端子30a,30bのハウジング70への取付も容易になる。しかも、これらの第1および第2素子接続片44a,44bを素子挿入孔78から挿入することで、これらの第1および第2素子接続片44a,44bの相互間の位置決めも成され、それらの間に、感圧素子50を素子挿入孔78から差し込みやすくなる。
さらに本実施形態では、ハウジング70には、図7に示す素子挿入孔78から感圧素子50が挿入される方向と略垂直方向から接着剤を注入するための注入孔73a,73bが形成してある。注入孔73a,73bを通して、第1素子接続片44aと感圧素子50との接続部、および第2素子接続片44bと感圧素子50との接続部に接着剤を注入可能になっている。接着剤は、特に限定されないが、好ましくは導電性接着剤である。
これらの注入孔73a,73bが無い場合には、素子挿入孔78から接着剤を注入した後に感圧素子54をハウジング内に装着しても良い。その場合に比較して、本実施形態では、注入孔73a,73bから接着剤を注入するため、感圧素子54をハウジング70の内部に装着した後で、接着剤を注入することが可能になり、必要最小限の接着剤で、素子接続片44a,44bと感圧素子50とを接続して固定することが容易になる。なお、素子接続片44a,44bと感圧素子50とは直接に接続してあることが好ましいが、導電性ラバーなどを介して接続してあっても良い。
さらに本実施形態では、第1端子30aには、コア体4に巻回してあるワイヤ22の第1リード部22aが接続される第1爪部34aが形成してあり、第2端子30bには、ワイヤ22の第2リード部22bが接続される第2爪部34bが形成してある。しかも、これらの第1爪部34aと第2爪部bとが、ハウジング70の外周から突出している。このように構成することで、コア体4に巻回してあるワイヤ22と感圧素子50との電気的接続、並びに感圧素子50と回路基板100との電気的接続が容易になる。
しかも本実施形態では、第1爪部34aが第1素子接続片44aに形成してあり、第2爪部34bが第2素子接続片44bに形成してある。また素子挿入孔78の反対側に位置するハウジング70の外周面に、爪部34a,34bが貫通して外部に露出するための突出用孔76a,76bが形成してある。
このように構成することで、第1および第2素子接続片44a,44bを、ハウジング70の素子挿入孔78から挿入して端子30a,30bをハウジング70に取り付けると、接続片44a,44bに形成してある爪部34a,34bが、素子挿入孔78の反対側に位置するハウジング70の外周面の突出用孔76a,76bに貫通して外部に露出する。この場合には、突出用孔76a,76bが、第1および第2素子接続片44a,44bの位置決めを行い、これらの軸方向に沿った相互間距離を一定に保つことが容易になる。
第2実施形態
図8〜図10に示すように、本実施形態に係るコイル装置2aでは、ケーシング70a、第1端子30cおよび第2端子30dの構成が相違する以外は、図1〜図7に示す実施形態と同様であり、共通する部分の説明は省略する。
図9および図10に示すように、本実施形態では、第1ワイヤ接続部の一例である第1爪部34aは、第1素子接続片44cとは別に第1端子ベース36aに一体に成形してある突出片35aのZ軸方向上端に形成してある。また、第2ワイヤ接続部の一例である第2爪部34bは、第2素子接続片44dとは別に第1端子ベース36aに一体に成形してある突出片35aのZ軸方向上端に形成してある。
第1突出片35aは、第1素子接続片44aと第2基板接続爪38aとの間に位置する第1端子ベース36aの途中に形成してあり、第2突出片35bは、第2素子接続片44bと第2基板接続爪38bとの間に位置する第2端子ベース36aの途中に形成してある。これらの突出片35a,35bは、X軸方向の同じ位置でY軸方向に向き合うように形成してある。図10に示すように、各突出片35a,35bは、素子挿入孔78に対して、X軸方向に基板側に離れた位置でケーシング70aの下側平坦面77に形成してある第1および第2貫通孔79a,79bに差し込み可能になっている。
それぞれ突出片35a,35bの上部に形成してある第1爪部34aおよび第2爪部34bは、これらの貫通孔79a,79bとX軸方向およびY軸方向に同じ位置で、図9に示す上側平坦面75に形成してある第1および第2突出用孔76c,76dから外部に飛び出すように構成してある。
このように構成することで、素子接続片44c,44dとワイヤ接続部のための爪部34a,34bとを引き離すことが容易になり、仮に感圧素子50を素子接続片44c,44dに取り付けた後に、ワイヤ接続部の爪部34a,34bにワイヤ22のリード部22a,22bを接続したとしても、その接続時の熱が感圧素子50に伝達し難くなる。図8〜10に示す実施形態において、その他の構成と作用効果は、前述した実施形態と同様である。
第3実施形態
図11に示すように、本実施形態に係るコイル装置では、コア体4の構成が相違する以外は、図1〜図7または図8〜図10に示す実施形態と同様であり、共通する部分の説明は省略する。
本実施形態では、図11(A)に示すように、第1ワイヤガイド10cに形成する第1通路12cと、第2ワイヤガイド10dに形成する第2通路12dとは、リングの周方向一部を完全に切り欠くことなく、溝底部13を残して切り欠いて形成してある。これらの通路12c,12dを形成するための凹状溝の溝深さは、前述した実施形態における通路12a,12bの溝深さよりも浅くなることが考えられるが、ワイヤ22の線径以上の溝深さであれば問題ない。図11(A)に示す実施形態では、その他の構成および作用効果は、前述した実施形態と同様であり、その他の説明は省略する。
さらに、図11(B)に示す実施形態では、第1ワイヤガイド10eの周方向に沿って2つ以上の第1ワイヤ通路12e1,12e2が形成してある。また、第2ワイヤガイド10fの周方向に沿って2つ以上の第2ワイヤ通路12f1,12f2が形成してある。この実施形態では、第2通路12f1,12f2が第2ワイヤガイド10fの周方向に沿って2つ以上である。
このため、一方の第2通路12f1を通して第2ワイヤガイド10fの外側に出したワイヤ(図示省略)は、別の第2通路12f2を通して第2端子(図示省略)の方向に戻すことができる。そのため、第2ワイヤガイド10fと先端4bとの間に位置するコア体4の外周に、ワイヤを少なくとも約1/8周で巻回させることにより、ワイヤを第2ワイヤガイド10fに係止させることができる。
また、前述した実施形態では、第2通路12bが第2ワイヤガイド10bの周方向に沿って単一であるため、第2通路12bを通して第2ワイヤガイド10bの外側に出したワイヤは、同じ第2通路12bを通して第2端子30bの方向に戻す必要がある。その場合には、第2ワイヤガイド10bと先端4bとの間に位置するコア体4の外周に、ワイヤを約1周以上で巻回させることにより、ワイヤ22を第2ワイヤガイド10bに係止させることができる。
図11(B)に示す実施形態では、一方の第2通路12f1を通して第2ワイヤガイド10fの外側に出したワイヤ(図示省略)は、別の第2通路12f2を通して第2端子(図示省略)の方向に戻すことができる。そのため、第2ワイヤガイド10fと先端4bとの間に位置するコア体4の外周に、ワイヤを少なくとも約1/8周で巻回させることにより、ワイヤを第2ワイヤガイド10fに係止させることができる。図11(B)に示す実施形態において、その他の構成と作用効果は、前述した実施形態と同様である。
第4実施形態
図12に示すように、本実施形態のコイル装置では、コア体4の構成が相違する以外は、図1〜図7または図8〜図10に示す実施形態と同様であり、共通する部分の説明は省略する。本実施形態では、第1ワイヤガイド10aおよび第2ワイヤガイド10bが、フェライトコアなどで構成してあるコア体4と一体成形してある。
一体成形するための方法としては、インサート成形の他に、磁場射出成形(CIM)などを用いてもよい。インサート成形の場合には、第1ガイドワイヤ、第2ワイヤガイドの少なくとも1つと、コア体とを別材料で構成することが容易である。これに対して、磁場射出成形の場合には、第1ガイドワイヤおよび第2ワイヤガイドの少なくとも1つと、コア体とを磁性材料で構成することができる。いずれにしても本実施形態では、第1ワイヤガイド10aと第2ガイドワイヤ10bとのX軸方向距離を一定に保持しやすい。図12に示す実施形態において、その他の構成と作用効果は、前述した実施形態と同様である。
第5実施形態
図13に示すように、本実施形態のコイル装置では、コア体4の構成が相違する以外は、図1〜図7または図8〜図10に示す実施形態と同様であり、共通する部分の説明は省略する。本実施形態では、第1ワイヤガイド10aの周方向の一部と第2ワイヤガイド10bの周方向の一部とは、コア体4の外周面をX軸方向に延びる連結片19により連結してある。なお、この例では、連結片19は、X軸方向に沿って直線状に延びているが、必ずしも直線状では無くても良く、らせん状、あるいはその他の形状で、第1ワイヤガイド10aの周方向の一部と第2ワイヤガイド10bの周方向の一部とをX軸方向に連結すれば良い。
連結片19の厚みは、ガイド10aおよび10bの径方向厚みよりも薄い。連結片19で覆われていないコア体4の外周と連結片19の外周とに、前述した実施形態のワイヤ22が巻回されてコイル部20を構成することになる。連結片19の外周にワイヤ22が巻回されるため、コイル部20の外周が第1ワイヤガイド10aおよび第2ワイヤガイド10bの径方向厚みを超えないようにすることが好ましい。
本実施形態では、第1ワイヤガイド10aと第2ワイヤガイド10bとを連結片19で連結することにより、第1ワイヤガイド10aと第2ガイドワイヤ10bとのX軸方向距離を一定に保持しやすい。図13に示す実施形態において、その他の構成と作用効果は、前述した実施形態と同様である。
第6実施形態
図14および図15に示すように、本実施形態のコイル装置では、コア体4の構成が相違する以外は、図1〜図7または図8〜図10に示す実施形態と同様であり、共通する部分の説明は省略する。本実施形態では、コア体4の外周面には、連結片19がX軸方向に延びる形状に沿って、連結片19の厚みの50%以下、好ましくは同等以下の深さで、嵌合溝4dが形成してある。
嵌合溝4dは、好ましくは直線状に、コア体4のX軸方向に沿って全長にわたり形成してあることが好ましい。連結片19とガイド10aおよび10bを、コア体4の外周にX軸方向から取り付けやすいからである。なお、インサート成形などで、連結片19とガイド10aおよび10bを、コア体4と一体成形する場合には、必ずしも連結片19は、直線状で無くても良く、嵌合溝4dも直線で無くても良い。
また、嵌合溝4dは、コア体4の全長にわたり形成する必要はなく、連結片19が存在する位置にのみ形成しても良い。図14および図15に示す実施形態において、その他の構成と作用効果は、前述した実施形態と同様である。
第7実施形態
図16に示すように、本実施形態のコイル装置では、コア体4の構成が相違する以外は、図1〜図7または図8〜図10に示す実施形態と同様であり、共通する部分の説明は省略する。本実施形態では、第1ワイヤガイド10gがワイヤ保持部を兼ねている点が異なると共に、次の点が異なる。すなわち、本実施形態では、第1ワイヤガイド10gと第2ワイヤガイド10hとの間に、第3ワイヤガイド10iが配置してある。第3ワイヤガイド10iは、コア体4の外周面から径方向外方に突出し、周方向に沿って少なくとも1つの凹状の第3ワイヤ通路12iを有している。
本実施形態では、第3ワイヤガイド10iは、第1ワイヤガイド10gよりも、第2ワイヤガイド10hの近くに配置される。第3ワイヤガイド10iに形成してある第3ワイヤ通路12iは、第1ワイヤガイド10gに形成してある第1ワイヤ通路12gと、第2ワイヤガイド10hに形成してある第2ワイヤ通路12hと、周方向で同じ位置に形成してある。
本実施形態では、第1ワイヤガイド10gを構成する外周カバー15は、コア体4の基端側外周部を覆うように筒状(この例では円筒状)に形成してあり、その周方向の一部に、第1通路12gと同じ周方向位置で、軸方向切り欠き16が第1通路12gに連続してX軸方向に形成してあり、その切り欠き16では、コア体4の外周面が露出している。
また、外周カバー15には、径方向外方凸部15aとスペーサ用凸部17とが形成してあり、スペーサ用凸部17が形成されている軸方向X位置では、その凸部17と凸部15aとは、底部薄肉部を介して連結してあり、凸部17と凸部15aとの間に、ワイヤ保持部としての第1保持溝32cおよび第2保持溝32dが形成してある。
凸部17および15aの径方向突出高さは、リング状のガイド10iおよび10hの径方向突出高さと同程度である。本実施形態では、リング状のガイド10iおよび10hの間で、二重巻以上のコイル部20bが形成されることから、リング状のガイド10iおよび10hの径方向突出高さは、その他の実施形態のワイヤガイドのそれよりも高く形成してある。リング状のガイド10iおよび10hの径方向突出高さは、コイル部20bの外径よりも高く設定することが好ましいからである。
本実施形態では、巻始めである第1リード22aを保持溝32cで固定した後、ワイヤ22は、第1ワイヤ通路12gを通して、第1ワイヤガイド10gと第3ワイヤガイド10iとの間に位置するコア体4の外周にコイル状に巻回されてコイル部20aを形成する。コイル部20aを形成した後のワイヤ22は、第3通路12iを通して、第3ワイヤガイド10iと第2ワイヤガイド10hとの間に通され、そこで、最初に一重巻きで巻回された後、第2通路12hを通して、いったん、第2ワイヤガイド10hよりも先端4b側に出される。その後、コア体4の外周を約一周以上巻回した後、再び、第2ワイヤ通路12hを通して、ガイド10hとガイド10iとの間に戻され、再度、巻回されて、二重巻のコイル部20bを形成する。
その後に、第3ワイヤ通路12iを通して、ワイヤ22の巻き終わり端である第2リード22bは、第1通路12gに向かわされ、そこを通して、第2保持溝32dに挿入されて固定される。
本実施形態では、コイル部20a,20bが全体としてのコイル部20を構成する。そして、第3ワイヤガイド10iと第2ワイヤガイド10hとの間、または第3ワイヤガイド10iと第1ワイヤガイド10gとの間に位置するコア体4の外周には、2重以上にワイヤ22を巻回し、コイル装置全体としてのインダクタンスを調整することができる。もちろん、全体で4つ以上のワイヤガイドを具備させても良く、いずれかの2つ以上のワイヤガイドは、軸方向に一体化させても良い。
また本実施形態では、第1ワイヤガイド10gがワイヤ保持部としての保持溝32c,32dを有するために、コア体4の基端4bに前述した実施形態に係るハウジング70,70aを取り付ける前に、コア体4に対してコイル部20を形成することができる。このような第1ワイヤガイド10gは、前述した実施形態の第1ワイヤガイド10aの代わりに用いても良い。図16に示す実施形態において、その他の構成と作用効果は、前述した実施形態と同様である。
第8実施形態
図17に示すように、本実施形態のコイル装置は、第1ワイヤガイド10gがワイヤ保持部を兼ねている点では、図16に示す実施形態と同様であるが、次の点が異なる。すなわち、本実施形態では、第1ワイヤガイド10gと第2ワイヤガイド10hとの間に、第3ワイヤガイド10oが配置されていない。
また本実施形態では、コイル部20が軸方向に沿って分割されていない。本実施形態では、まず、ワイヤ22の第1リード22aを、巻始めである第1リード22aを第1保持溝32cで固定した後、ワイヤ22を、第1ワイヤガイド10gの第1ワイヤ通路12gを通して、コイル部を形成することなく、直線状に第2通路12hに向かわせる。その後に、第2通路12hを通して、ワイヤ22を第2ワイヤガイド10hの外側(先端4c側)に出し、そこで、たとえば略1周巻回してから第2通路12hに戻すことで、ワイヤ22が第2ワイヤガイド10hに係止され、自動作業により、第2ワイヤガイド10hと第1ワイヤガイド10gとの間に位置するコア体4の外周にコイル状にワイヤを巻回してコイル部20を形成する。その後に、ワイヤ22の第2リード部22bを、第1通路12gを通して第2保持溝32dに嵌合させて固定している。
本実施形態では、直線状のリード部22aがコイル部20の下に隠れるので、リード部がコイル部20の上を通る場合に比較して、リード部が外力により外れるおそれなどを低減することができる。図17に示す実施形態において、その他の構成と作用効果は、前述した実施形態と同様である。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえばガイド10a〜10iにおけるコア体4の外周面からの突出高さは、ワイヤ22の線径の1.5〜2.5倍程度であることが好ましい。コイル部20の外周が、ワイヤガイド10a〜10iの最大径を超えないようにするためである。ガイド10a〜10iの外周は、電子ペンの外装筒体の内周面に接触するように構成しても良く、電子ペンの外径の縮小化に寄与する。またコア体は、円筒以外の筒形状、あるいは軸孔が無くても良く、円柱以外の柱形状でも良い。
コア体4に軸孔4aが無いタイプのコイル装置では、たとえばコンデンサの容量ではなくインダクタンスを変化させて位置検出を行うタイプの電子ペンに用いられる。
また、第1端子30a,30cの第1素子接続片44a,44cおよび第2端子30b,30dの第2素子接続片44b,44dは、インサート成形などにより、ハウジングと一体成形しても良い。その場合には、これらの素子接続片相互の間隔の精度が向上する。また、第1端子30a,30cの第1素子接続片44a,44cおよび第2端子30b,30dの第2素子接続片44b,44dを、ハウジング70と一体成形する場合には、爪部34a,34bと素子接続片44a,44bとの位置関係は特に限定されない。
さらに上述した実施形態では、ワイヤ接続部を、間に係止溝32a,32bが形成してある一対の爪部34a,34bで構成してあるが、本発明は、これに限定されず、その他の接続部の形状であっても良い。また、上述した実施形態では、基板接続部を、接続爪38a,38bで構成したが、その他の接続構造であっても良い。たとえばワイヤ接続部は、溝形状ではなく、それぞれ第1リード22aおよび第2リード22bが絡められて固定可能になっている凸部形状でも良い。絶縁材などで構成してあるワイヤ保持部に関しても、ワイヤ接続部と同様に、溝形状に限定されない。
また、上述した実施形態では、ワイヤガイド10a〜10iを用いてコア体4の外周にワイヤ22を巻回してコイル部を形成しているが、本発明では、ワイヤガイド10a〜10i以外の手段で、ワイヤ22をコア体4の外周に巻回してコイル部20を形成しても良い。たとえばワイヤの巻始めと巻き終わりとを接着剤で固定することで巻回作業を行っても良い。ただし、コイル部の巻数や位置を正確に制御してコイル部20のインダクタンス、Q特性および高周波特性を向上させるためには、ワイヤガイド10a〜10iをコア体4の外周に形成してあることが好ましい。