JP2014125580A - 粘度指数向上剤及びこれを含む潤滑油組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】粘度指数が高く、低温流動性に優れ、誘電率が低い潤滑油組成物を作成することができる粘度指数向上剤を提供する。
【解決手段】シクロアルキル基中の少なくとも1つの水素原子が下記一般式(1)で表される置換基で置換されたシクロアルキル基を有する(メタ)アクリレート(a)を構成単量体とする重合体(A)を含有する粘度指数向上剤;これを含有する潤滑油組成物。−(CH2)m−O−R1(1)[式中、mは0〜1の整数であり、R1は炭素数1〜22のアルキル基である。]
【選択図】なし

Description

本発明は粘度指数向上剤及びこれを含む潤滑油組成物に関する。
近年、地球環境保護の気運が高まり、自動車の省燃費性がより一層要求されてきている。省燃費化の1つの手段として潤滑油の低粘度化による粘性抵抗の低減が挙げられる。しかしながら、単に低粘度化すると液漏れや焼き付きといった問題が生じてくる。また、自動車の快適性能への要求もより一層厳しくなり、中でも低温でのシフト操作性や低温始動性が求められている。これらの問題を解決するために、一般的に、潤滑油の粘度指数を上げることが必要とされ、従来から各種の粘度指数向上剤が提案されている。例えば、メタクリレート化合物の共重合体からなる粘度指数向上剤が多く提案されている(例えば特許文献1〜6)。さらに、最近ではスラッジ分散性、摩擦特性、低温粘度及びせん断安定性に優れた粘度指数向上剤として、分岐アルキル基を有するメタクリレート共重合体及びこれらと有機燐化合物との組み合わせなどが提案されている(特許文献7及び8)。しかし、これらのメタクリレート共重合体からなる粘度指数向上剤は、粘度指数向上効果は十分であるが、これを用いた潤滑油の低温粘度が高すぎるという問題点がある。
また、潤滑油は絶縁特性の観点から低誘電率化が求められており、低誘電率のオレフィンからなる粘度指数向上剤が提案されているが(特許文献9)、オレフィンからなる粘度指数向上剤はメタクリレート共重合体からなる粘度指数向上剤と比較して、得られる潤滑油の低温粘度がさらに高いという課題を有している。
特開平7−48421号公報 特開平7−62372号公報 特許第2732187号公報 特許第2941392号公報 特許第2732187号公報 特開2002−302687号公報 特開2004−124080号公報 特開2005−187736号公報 特開2009−501836号公報
本発明は、粘度指数が高く、低温流動性に優れ、誘電率が低い潤滑油組成物を作成することができる粘度指数向上剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、本発明に至った。
即ち、本発明は、シクロアルキル基中の少なくとも1つの水素原子が下記一般式(1)で表される置換基で置換されたシクロアルキル基を有する(メタ)アクリレート(a)を構成単量体とする重合体(A)を含有する粘度指数向上剤;粘度指数向上剤及び基油を含有する潤滑油組成物である。
−(CH2)m−O−R1 (1)
[式中、mは0〜1の整数であり、R1は炭素数1〜22の1価のアルキル基である。]
本発明の粘度指数向上剤は、粘度指数が高く、低温流動性に優れ、誘電率が低い潤滑油組成物を作成することができる。
また、本発明の潤滑油組成物は、粘度指数が高く、低温流動性に優れ、誘電率が低い。
本発明の粘度指数向上剤は、シクロアルキル基中の少なくとも1つの水素原子が下記一般式(1)で表される置換基で置換されたシクロアルキル基を有する(メタ)アクリレート(a)を構成単量体とする重合体(A)を含有する粘度指数向上剤である。
−(CH2)m−O−R1 (1)
[式中、mは0〜1の整数であり、R1は炭素数1〜22のアルキル基である。]
なお、本発明における「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。
本発明において、(メタ)アクリレート(a)は、シクロアルキル基中の少なくとも1つの水素原子が下記一般式(1)で表される置換基で置換されたシクロアルキル基を有する(メタ)アクリレートである。
−(CH2)m−O−R1 (1)
[式中、mは0〜1の整数であり、R1は炭素数1〜22のアルキル基である。]
mは、低温流動性の観点から、1であることが好ましい。
1は、基油への溶解性の観点から、炭素数12〜18のアルキル基であることが好ましい。また、R1は直鎖アルキル基でもよく、分岐アルキル基でもよいが、せん断安定性の観点から、直鎖アルキル基であることが好ましい。
また、(メタ)アクリレート(a)中のシクロアルキル基において。置換される水素原子の数は、低温流動性の観点から、1〜2が好ましく、さらに好ましくは1である。
本発明の粘度指数向上剤は、(a)を構成単量体とする重合体(A)を含有することにより、粘度指数向上能及び剪断安定性に優れ、これを用いて作成した潤滑油組成物の低温時の粘度を低くすることができる。
シクロアルキル基としては、炭素数3〜20の飽和脂環式炭化水素が含まれ、具体的には、単環式飽和炭化水素{シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、2−メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びシクロオクチル基等}並びに多環式飽和炭化水素{ノルボルナン基及びデカヒドロナフタレン基等}が挙げられる。
(メタ)アクリレート(a)としては、上記一般式(1)で表される置換基で置換されたシクロアルキル基(下記一般式(2)におけるX1)及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物が含まれ、高粘度指数の観点から、下記一般式(2)で表される化合物が好ましい。
CH2=CHR2−CO−O−(CH2)n−X1 (2)
[式中、R2は水素原子又はメチル基であり、nは0〜1の整数であり、X1は上記一般式(1)で表される置換基で置換されたシクロアルキル基である。]
nは、低温流動性の観点から、1であることが好ましい。
(a)として、具体的には、シクロアルキル基がシクロへキシル基であるもの[上記一般式(1)におけるmが1であり上記一般式(2)におけるnが1のもの{(2、3又は4)−ラウリロキシメチル−シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、(2、3又は4)−テトラデカノキシメチル−シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、(2、3又は4)−ヘキサデカノキシメチル−シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、(2、3又は4)−オクタデカノキシメチル−シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、(2、3又は4)−イコサノキシメチル−シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート及び(2、3又は4)−ドコサノキシメチル−シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等}、上記一般式(1)におけるmが1であり上記一般式(2)におけるnが0のもの{(2、3又は4)−ラウリロキシメチル−シクロヘキシル(メタ)アクリレート、(2、3又は4)−テトラデカノキシメチル−シクロヘキシル(メタ)アクリレート、(2、3又は4)−ヘキサデカノキシメチル−シクロヘキシル(メタ)アクリレート、(2、3又は4)−オクタデカノキシメチル−シクロヘキシル(メタ)アクリレート、(2、3又は4)−イコサノキシメチル−シクロヘキシル(メタ)アクリレート及び(2、3又は4)−ドコサノキシメチル−シクロヘキシル(メタ)アクリレート等}、上記一般式(1)におけるmが0であり上記一般式(2)におけるnが1のもの{(2、3又は4)−ラウリロキシ−シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、(2、3又は4)−テトラデカノキシ−シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、(2、3又は4)−ヘキサデカノキシ−シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、(2、3又は4)−オクタデカノキシ−シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、(2、3又は4)−イコサノキシメチル−シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート及び(2、3又は4)−ドコサノキシ−シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等}、上記一般式(1)におけるmが0であり上記一般式(2)におけるnが0のもの{(2、3又は4)−ラウリロキシ−シクロヘキシル(メタ)アクリレート、(2、3又は4)−テトラデカノキシ−シクロヘキシル(メタ)アクリレート、(2、3又は4)−ヘキサデカノキシ−シクロヘキシル(メタ)アクリレート、(2、3又は4)−オクタデカノキシ−シクロヘキシル(メタ)アクリレート、(2、3又は4)−イコサノキシメチル−シクロヘキシル(メタ)アクリレート及び(2、3又は4)−ドコサノキシ−シクロヘキシル(メタ)アクリレート等}]並びにシクロアルキル基がノルボルナン基であるもの[上記一般式(1)におけるmが1であり上記一般式(2)におけるnが1であるもの{(3、5又は6)−ラウリロキシメチル−2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−ノルボルナン、、(3、5又は6)−テトラデカノキシメチル−2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−ノルボルナン、(3、5又は6)−ヘキサデカノキシメチル−2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−ノルボルナン、(3、5又は6)−オクタデカノキシメチル−2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−ノルボルナン、(3、5又は6)−イコサノキシメチル−2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−ノルボルナン及び(3、5又は6)−ドコサノキシメチル−2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−ノルボルナン等}、上記一般式(1)におけるmが1であり上記一般式(2)におけるnが0であるもの{(3、5又は6)−ラウリロキシメチル−2−(メタ)アクリロイルオキシ−ノルボルナン、(3、5又は6)−テトラデカノキシメチル−2−(メタ)アクリロイルオキシ−ノルボルナン、(3、5又は6)−ヘキサデカノキシメチル−2−(メタ)アクリロイルオキシ−ノルボルナン、(3、5又は6)−オクタデカノキシメチル−2−(メタ)アクリロイルオキシ−ノルボルナン、(3、5又は6)−イコサノキシメチル−2−(メタ)アクリロイルオキシ−ノルボルナン及び(3、5又は6)−ドコサノキシメチル−2−(メタ)アクリロイルオキシ−ノルボルナン等}、上記一般式(1)におけるmが0であり上記一般式(2)におけるnが1であるもの{(3、5又は6)−ラウリロキシ−2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−ノルボルナン、(3、5又は6)−テトラデカノキシ−2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−ノルボルナン、(3、5又は6)−ヘキサデカノキシ−2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−ノルボルナン、(3、5又は6)−オクタデカノキシ−2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−ノルボルナン、(3、5又は6)−イコサノキシ−2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−ノルボルナン、(3、5又は6)−ドコサノキシ−2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−ノルボルナン等}、上記一般式(1)におけるmが0であり上記一般式(2)におけるnが0であるもの{(3、5又は6)−ラウリロキシ−2−(メタ)アクリロイルオキシ−ノルボルナン、(3、5又は6)−テトラデカノキシ−2−(メタ)アクリロイルオキシ−ノルボルナン、(3、5又は6)−ヘキサデカノキシ−2−(メタ)アクリロイルオキシ−ノルボルナン、(3、5又は6)−オクタデカノキシ−2−(メタ)アクリロイルオキシ−ノルボルナン、(3、5又は6)−イコサノキシ−2−(メタ)アクリロイルオキシ−ノルボルナン、(3、5又は6)−ドコサノキシ−2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−ノルボルナン等}等が挙げられる。
(a)のうち、低温流動性と高粘度指数の両立の観点から、シクロアルキル基がシクロへキシル基であるものが好ましく、さらに好ましくはシクロアルキル基がシクロへキシル基であり上記一般式(1)におけるmが1であり上記一般式(2)におけるnが1であるものが好ましく、次にさらに好ましくは2−オクタデカノキシメチル−シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2−ドコサノキシメチル−シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−オクタデカノキシメチル−シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−ドコサノキシメチル−シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−オクタデカノキシメチル−シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート及び4−ドコサノキシメチル−シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートであり、特に好ましくは4−オクタデカノキシメチル−シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−ドコサノキシメチル−シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートである。
重合体(A)は、上記(メタ)アクリレート(a)を構成単位とする重合体であり、(a)のみを構成単位とする重合体であってもよく、さらにアルキル基(炭素数1〜4)を有するアルキル(メタ)アクリレート(b1)及び/又はアルキル基(炭素数8〜24)を有するアルキル(メタ)アクリレート(b2)を構成単位とする重合体であってもいい。
(b1)としては、炭素数1〜4の直鎖アルキル基を有するもの{(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル及び(メタ)アクリル酸n−ブチル等}及び炭素数3〜4の分岐アルキル基を有するもの{(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル及び(メタ)アクリル酸t−ブチル等}等が挙げられる。
(b1)のうち、低温流動性の観点から、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル及びメタクリル酸エチルが好ましく、さらに好ましくはアクリル酸メチル及びメタクリル酸メチルである。
(b2)としては、炭素数8〜24の直鎖アルキル基を有するもの{(メタ)アクリル酸n−テトラデシル、(メタ)アクリル酸n−ペンタデシル、(メタ)アクリル酸n−ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸n−オクタデシル、(メタ)アクリル酸n−イコシル及び(メタ)アクリル酸n−テトラコシル等}及び炭素数8〜24の分岐アルキル基を有するもの{(メタ)アクリル酸−2−オクチルドデシル、(メタ)アクリル酸−2−デシルテトラデシル、(メタ)アクリル酸−1−オクチルドデシル、(メタ)アクリル酸−2−ヘキシルドデシル、(メタ)アクリル酸−2−ヘキシルテトラデシル、(メタ)アクリル酸−1−ヘキシルテトラデシル、(メタ)アクリル酸−1−デシルテトラデシル、(メタ)アクリル酸−1−ウンデシルトリデシル及び(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキサデシル等}等が挙げられる。
(b2)のうち、高粘度指数及び低温流動性の両立の観点から、(メタ)アクリル酸n−ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸−1−ヘキシルテトラデシル、(メタ)アクリル酸−1−デシルテトラデシル及び(メタ)アクリル酸−1−ウンデシルトリデシルが好ましく、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸n−ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプタデシル及び(メタ)アクリル酸−1−デシルテトラデシルである。
本発明において、重合体(A)を構成する各成分の割合は、(メタ)アクリレート(a)の割合が、低温流動性及び誘電率の観点から、(A)の重量を基準として、1〜90重量%であることが好ましく、さらに好ましくは50〜90重量%である。
また、(b1)及び(b2)の合計重量が、粘度指数の観点から、(A)の重量を基準として、10〜99重量%であることが好ましく、さらに好ましくは10〜50重量%である。
重合体(A)の構成単位が、(a)及び(b1)である場合、重合体(A)を構成する(a)の割合は、低温流動性及び誘電率の観点から、重合体(A)の重量を基準として、1〜90重量%であることが好ましく、さらに好ましくは50〜90重量%である。
また、この場合、(A)を構成する(b1)の割合は、粘度指数の観点から、重合体(A)の重量を基準として、10〜99重量%が好ましく、さらに好ましくは10〜50重量%である。
重合体(A)の構成単位が、(a)及び(b2)である場合、重合体(A)を構成する(a)の割合は、低温流動性及び誘電率の観点から、重合体(A)の重量を基準として、1〜90重量%であることが好ましく、さらに好ましくは50〜90重量%である。
また、この場合、(A)を構成する(b2)の割合は、低温流動性の観点から、重合体(A)の重量を基準として、10〜99重量%が好ましく、さらに好ましくは10〜50重量%である。
重合体(A)の構成単位が、(a)、(b1)及び(b2)である場合、重合体(A)を構成する(a)の割合は、低温流動性及び誘電率の観点から、重合体(A)の重量を基準として、1〜90重量%が好ましく、さらに好ましくは50〜90重量%である。
また、この場合、(A)を構成する(b1)及び(b2)の合計重量は、粘度指数及び低温流動性の観点から、重合体(A)の重量を基準として、10〜99重量%が好ましく、さらに好ましくは10〜50重量%である。
また、この場合、(b1)と(b2)との重量比{(b1)の重量/(b2)の重量}は、粘度指数及び低温流動性の観点から、0.1〜2.0が好ましく、さらに好ましくは0.4〜1.0である。
重合体(A)は、上記(a)、(b1)及び(b2)以外に、必要によりラジカル重合性単量体(c)を構成単位に含むことができる。
(c)としては、(a)、(b1)及び(b2)以外のラジカル重合性単量体が含まれ、炭素数5〜7のアルキル(メタ)アクリレート(c1)、炭素数25以上のアルキル(メタ)アクリレート(c2)、不飽和炭化水素(c3)、ビニルケトン(c4)、エポキシ基含有不飽和単量体(c5)、ハロゲン原子含有不飽和単量体(c6)、アルケニルカルボキシレート(c7)、アルキルアルケニルエーテル(c8)、窒素原子含有不飽和単量体(c9)、不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステル(c10)、(a)以外のシクロアルキル基を有する(メタ)アクリレート(c11)、及びポリオキシアルキレン鎖含有(メタ)アクリレート(c12)等が含まれる。
(c1)としては、アルキル基の炭素数が5〜7の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレートが含まれ、具体的には、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸イソヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプチル及び(メタ)アクリル酸イソへプチル等が挙げられる。
(c2)としては、アルキル基の炭素数が25以上の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレートが含まれる。
(c3)としては、アルキル、脂環式又は芳香族の不飽和化合物が含まれ、具体的には、エチレン、プロピレン、イソブテン、ブテン、ジイソブチレン、ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン及びスチレン等が挙げられる。
(c4)としては、アルキル又は芳香族のビニルケトンが含まれ、具体的には、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン及びフェニルビニルケトン等が挙げられる。
(c5)としては、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル及びグリシジル(メタ)アリルエーテル等が挙げられる。
(c6)としては、塩化ビニル及び塩化ビニリデン等が挙げられる。
(c7)としては、アルケニル(炭素数2〜10)カルボキシレート(炭素数1〜20)[酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、ヘプタン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル及びn−オクタン酸ビニル等(好ましいのは酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル)]等が挙げられる。
(c8)としては、メチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、メチルアリルエーテル、エチルアリルエーテル及びメチル(イソ)プロペニルエーテル等が挙げられる。
(c9)としては、第1級アミノ基を有するもの{(メタ)アクリル酸アミノアルキル(炭素数1〜8)[(メタ)アクリル酸アミノエチル等]、(メタ)アクリルアミド[N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド等]及びモノアルケニルアミン[モノアリルアミン等]等};第2級アミノ基を有するもの{(メタ)アクリル酸−N−アルキル(炭素数1〜6)アミノアルキル(炭素数2〜6)エステル[(メタ)アクリル酸−N−メチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸−N−エチルアミノエチルエステル及び(メタ)アクリル酸−N−t−ブチルアミノエチルエステル等]、複素環アミノ基含有ビニル単量体[(メタ)アクリル酸モルホリノエチル、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、ビニルイミダゾール及びN−ビニルピロール等]及びジアリルアミン等};第3級アミノ基を有するもの{(メタ)アクリル酸−N−ジアルキル(炭素数1〜8)アミノアルキル(炭素数2〜6)エステル[(メタ)アクリル酸−N,N−ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジエチルアミノエチルエステル及び(メタ)アクリル酸−N,N−ジ−t−ブチルアミノエチルエステル等]等};第4級アンモニウム基を有するもの;アミド基を有するもの{(メタ)アクリルアミド等};ニトロ基を有するもの{(メタ)アクリロニトリル及びニトロスチレン等}等が挙げられる。
(c10)としては、不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びシトラコン酸等)ジアルキル(炭素数1〜40)エステル(マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジオクチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジイソプロピル、イタコン酸ジメチル及びイタコン酸ジエチル等)等が挙げられる。
(c11)としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基を有する(メタ)アクリレートが含まれ、シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基及びシクロオクチル基等が挙げられる。これらのシクロアルキル基が有する水素原子は直鎖又は分岐のアルキル基で置換されていてもいい。具体的には、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、シクロへキシルメチル(メタ)アクリレート及び2,3,4,5−テトラ−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(c12)としては、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルのモノ(メタ)アクリル酸エステルが含まれる。
(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルを構成するオキシアルキレン基としては、炭素数が2〜20、好ましくは炭素数2〜6のオキシアルキレン基、例えばオキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシ2−ブチレン基およびオキシイソブチレン基が挙げられる。また、モノアルキルエーテルを構成するアルキル基としては炭素数が1〜20、好ましくは炭素数1〜18の直鎖および分岐アルキル基、例えば前述のアルキル基が挙げられる。(ポリ)アルキレングリコールにおけるオキシアルキレン単位の数(重合度)は好ましくは1〜50、さらに好ましくは1〜20である。具体例としては、ポリエチレングリコール(重合度6)モノメチルエーテルのモノ(メタ)アクリル酸エステル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテルのモノ(メタ)アクリル酸エステル、ポリプロピレングリコール(重合度3)モノブチルエーテルのモノ(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
重合体(A)中のラジカル重合性単量体(c)の含有量は、低温流動性の観点から、(A)の重量を基準として、0〜20重量%が好ましく、さらに好ましくは0〜5重量%である。
重合体(A)の重量平均分子量(以下Mwと略記する)は、高粘度指数と低温流動性の両立の観点から、5,000〜1,000,000が好ましく、さらに好ましくは50,000〜500,000である。
なお、重合体(A)のMwは、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーにより以下の条件で測定することができる。
<(A)のMwの測定条件>
装置 :「HLC−802A」[東ソー(株)製]
カラム :「TSK gel GMH6」[東ソー(株)製]2本
測定温度 :40℃
試料溶液 :0.5重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量:200μl
検出装置 :屈折率検出器
基準物質 :標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)
12点(分子量:500、1,050、2,800、5,970、9,100、18,100、37,900、96,400、190,000、355,000、1,090,000、2,890,000)[東ソー(株)製]
(A)の溶解度パラメータ(以下、SP値と略記する)は、基油への溶解性の観点から、8.0〜10.0(cal/cm31/2が好ましく、さらに好ましくは8.0〜9.0(cal/cm31/2である。
なお、本発明におけるSP値は、Fedors法(Polymer Engineering and Science,Feburuary,1974,Vol.14、No.2 P.147〜154)に記載の方法で算出される値である。
(A)のSP値は、(A)を構成する単量体それぞれのSP値を前記の方法で算出し、それぞれの単量体のSP値を、構成単量体単位のモル分率に基づいて平均した値である。なお、単量体において、(メタ)アクリレート基中の二重結合は単結合に変化したものとして算出する。(A)のSP値は、使用する単量体の種類、モル分率を適宜調整することにより調整することができる。
(A)の結晶化温度は、低温流動性の観点から、−20〜10℃が好ましく、さらに好ましくは−20〜0℃である。
なお、(A)の結晶化温度は、示差走査熱量計「UNIX(登録商標)DSC7」(PERKIN−ELMER社製)を使用し、粘度指数向上剤5mgを試料とし、10℃/分の等温速度で100℃から−60℃まで冷却したときに観測される結晶化温度である。
(A)は、公知の(メタ)アクリレートの重合体の製造方法と同様の製造方法によって得ることができ、具体的には前記の単量体を溶剤中で重合開始剤存在下に溶液重合することにより得る方法が挙げられる。
溶剤としては、トルエン、キシレン、炭素数9〜10のアルキルベンゼン、メチルエチルケトン及び鉱物油等が挙げられる。
重合開始剤としては、アゾ系触媒(アゾビスイソブチロニトリル及びアゾビスバレロニトリル等)、過酸化物系触媒(ベンゾイルパーオキサイド、クミルパーオキサイド及びラウリルパーオキサイド等)及びレドックス系触媒(ベンゾイルパーオキサイドと3級アミンの混合物等)が挙げられる。更に必要により、公知の連鎖移動剤(炭素数2〜20のアルキルメルカプタン等)を使用することもできる。
重合温度は、好ましくは25〜140℃であり、更に好ましくは50〜120℃である。また、上記の溶液重合の他に、塊状重合、乳化重合又は懸濁重合により(A)を得ることができる。
(A)が共重合体である場合の重合形態としては、ランダム付加重合体又は交互共重合体のいずれでもよく、また、グラフト共重合体又はブロック共重合体のいずれでもよい。
本発明の潤滑油組成物は、上記粘度指数向上剤及び基油を含有する潤滑油組成物である。
基油としては、鉱物油(溶剤精製油、パラフィン油、イソパラフィンを含有する高粘度指数油、イソパラフィンの水素化分解による高粘度指数油及びナフテン油等)、合成潤滑油[炭化水素系合成潤滑油(ポリα−オレフィン系合成潤滑油等)及びエステル系合成潤滑油等]及びこれらの混合物が挙げられる。これらのうち、粘度指数の観点から、鉱物油が好ましい。
基油の100℃における動粘度(100℃)(JIS−K2283に準じて測定したもの)は、粘度指数の観点から、2〜10mm2/sが好ましく、さらに好ましくは5〜10mm2/sである。
基油の引火点は、貯蔵安定性の観点から、160℃以上が好ましく、さらに好ましくは180〜220℃である。
基油の粘度指数(JIS−K2283に準じて測定したもの)は、基油の長期安定性の観点から、50〜150が好ましく、さらに好ましくは100〜150である。
本発明の潤滑油組成物において、粘度指数向上剤の含有量は、粘度指数と低温流動性の観点から、潤滑油組成物の重量に基づいて、1〜30重量%が好ましく、さらに好ましくは5〜15重量%である。
また、基油の含有量は、粘度指数と低温流動性の観点から、70〜99重量%が好ましく、さらに好ましくは85〜95重量%である。
本発明の潤滑油組成物は、各種添加剤を含有してもよい。添加剤としては、以下のものが挙げられる。
(1)清浄剤:
塩基性、過塩基性又は中性の金属塩[スルフォネート(石油スルフォネート、アルキルベンゼンスルフォネート及びアルキルナフタレンスルフォネート等)の過塩基性又はアルカリ土類金属塩等]、サリシレート類、フェネート類、ナフテネート類、カーボネート類、フォスフォネート類及びこれらの混合物;
(2)分散剤:
コハク酸イミド類(ビス−又はモノ−ポリブテニルコハク酸イミド類)、マンニッヒ縮合物及びボレート類等;
(3)酸化防止剤:
ヒンダードフェノール類及び芳香族2級アミン類等;
(4)油性向上剤:
長鎖脂肪酸及びそれらのエステル(オレイン酸及びオレイン酸エステル等)、長鎖アミン及びそれらのアミド(オレイルアミン及びオレイルアミド等)等;
(5)摩擦摩耗調整剤:
モリブデン系及び亜鉛系化合物(モリブデンジチオフォスフェート、モリブデンジチオカーバメート及びジンクジアルキルジチオフォスフェート等)等;
(6)極圧剤:
硫黄系化合物(モノ又はジスルフィド、スルフォキシド及び硫黄フォスファイド化合物)、フォスファイド化合物及び塩素系化合物(塩素化パラフィン等)等;
(7)消泡剤:
シリコン油、金属石けん、脂肪酸エステル及びフォスフェート化合物等;
(8)抗乳化剤:
4級アンモニウム塩(テトラアルキルアンモニウム塩等)、硫酸化油及びフォスフェート(ポリオキシエチレン含有非イオン性界面活性剤のフォスフェート等)等;
(9)腐食防止剤:
窒素原子含有化合物(ベンゾトリアゾール及び1,3,4−チオジアゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカーバメート等)等。
本発明の潤滑油組成物において、清浄剤の添加量は、潤滑油組成物の重量に基づいて、0〜20重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜10重量%である。
分散剤の添加量は、潤滑油組成物の重量に基づいて、潤滑油組成物の長期安定性の観点から、0〜20が好ましく、さらに好ましくは2〜10重量%である。
酸化防止剤の添加量は、潤滑油組成物の重量に基づいて、潤滑油組成物の長期安定性の観点から、0〜5重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜3重量%である。
油性向上剤の添加量は、潤滑油組成物の重量に基づいて、潤滑油組成物の長期安定性の観点から、0〜5重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜1重量%である。
摩擦摩耗調整剤の添加量は、潤滑油組成物の重量に基づいて、潤滑油組成物の長期安定性の観点から、0〜5重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜3重量%である。
極圧剤の添加量は、潤滑油組成物の重量に基づいて、潤滑油組成物の長期安定性の観点から、0〜20重量%が好ましく、さらに好ましくは1〜10重量%である。
消泡剤の添加量は、潤滑油組成物の重量に基づいて、潤滑油組成物の長期安定性の観点から、0〜1000ppmが好ましく、さらに好ましくは10〜700ppmである。
坑乳化剤の添加量は、潤滑油組成物の重量に基づいて、潤滑油組成物の長期安定性の観点から、0〜3重量%が好ましく、さらに好ましくは0〜1重量%である。
腐食防止剤の添加量は、潤滑油組成物の重量に基づいて、潤滑油組成物の長期安定性の観点から、0〜3重量%が好ましく、さらに好ましくは0〜2重量%である。
本発明の潤滑油組成物は、粘度指数が高く、低温流動性に優れるので、ギヤー油用、変速機油用、トラクション油用、作動油用又はエンジン油用の潤滑油組成物として使用でき、特に省燃費に対応した潤滑油組成物として好適に使用できる。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<製造例1>
[メタクリレート(a1)の合成]
撹拌装置、温度計を備えた反応容器に、1,4−シクロへキサンジメタノール72重量部、DMF500重量部仕込み、NaHを少量ずつ計12重量部添加し、気泡の発生がなくなるまで、常温で4hr反応させた。さらに、臭化n−オクタデカン167重量部添加後、90℃で8hr反応させ、精製して、4−オクタデカノキシメチル−シクロヘキシルメタノールを102重量部(収率64%)得た。これにトルエン200重量部、メタクリル酸26重量部、重合開始剤としてナトリウムメトキシド2.5重量部を入れ、微減圧(300Torr)、120℃で酸素バブリング下に生成する水を留去しながら4時間反応を行った。反応後、トルエン及びメタクリル酸を減圧蒸留することでメタクリレート(a1)(4−オクタデカノキシメチル−シクロヘキシルメチルメタクリレート)を得た。
<製造例2>
[メタクリレート(a2)の合成]
撹拌装置、温度計を備えた反応容器に、1,4−シクロへキサンジメタノール72重量部、DMF500重量部仕込み、NaHを少量ずつ計12重量部添加し気泡の発生がなくなるまで、常温で4hr反応させた。さらに、臭化n−ドコサン181重量部添加後、90℃で8hr反応させ、減圧蒸留にてDMFを除去することで、4−ドコサノキシメチル−シクロヘキシルメタノールを105重量部(収率61%)得た。これにトルエン200重量部、メタクリル酸27重量部、重合開始剤としてナトリウムメトキシド2.5重量部を入れ、微減圧(300Torr)、120℃で酸素バブリング下に生成する水を留去しながら4時間反応を行った。反応後、トルエン及びメタクリル酸を減圧蒸留することでメタクリレート(a2)(4−ドコサノキシメチル−シクロヘキシルメチルメタクリレート)を得た。
<製造例3>
[メタクリレート(a3)の合成]
製造例1の「メタアクリレート(a1)の合成」において、「1,4−シクロヘキサンジメタノール」に代えて「1,2−シクロヘキサンジメタノール」を用いる以外は同様にして、メタアクリレート(a3)(2−オクタデカノキシメチル−シクロへキシルメチルメタクリレート)を得た。
<製造例4>
[メタクリレート(a4)の合成]
製造例1の「メタアクリレート(a1)の合成」において、「1,4−シクロヘキサンジメタノール」に代えて「1,4−シクロヘキサンジオール」を用いる以外は同様にして、メタアクリレート(a4)(4−オクタデカノキシメチル−シクロへキシルメタクリレート)を得た。
<製造例5>
[メタクリレート(b21);メタクリル酸−1−デシルテトラデシルの合成]
冷却管、撹拌機および酸素導入管の付いた反応容器に、トルエン200重量部、10−デシルテトラデカノール76重量部、メタクリル酸24重量部、重合開始剤としてナトリウムメトキシド2.5重量部を入れ、微減圧(300Torr)、120℃で酸素バブリング下に生成する水を留去しながら4時間反応を行った。反応後、トルエン及びメタクリル酸を減圧蒸留することでメタクリレート(b21)を得た。
<製造例6>
[メタクリレート(b22);メタクリル酸n−ヘキサデシルの合成]
製造例5の[メタクリレート(b21);メタクリル酸−1−デシルテトラデシルの合成]において、「10−デシルテトラデカノール76重量部」に代えて、「n−ヘキサデカノール52重量部」を用いた以外は、同様にしてメタクリレート(b22)を得た。
<実施例1>
[重合体(A1)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、滴下ロート、窒素吹き込み管及び減圧装置を備えた反応容器に、2−プロパノール25重量部を仕込み、別のガラス製ビーカーに、単量体(メタクリレート(a1)100重量部)、連鎖移動剤としてのドデシルメルカプタンを1.7重量部、ラジカル重合開始剤としての2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.5重量部及び2−プロパノール6重量部を仕込み、20℃で撹拌、混合して単量体溶液を調製し、滴下ロートに仕込んだ。反応容器の気相部の窒素置換を行った後に密閉下、系内温度を70〜85℃に保ちながら、2時間かけて単量体溶液を滴下し、滴下終了から2時間、85℃で熟成した後、85〜120℃で3時間かけて減圧度6mmHgで減圧下に2−プロパノールを留去して、重合体(A1)を得た。得られた重合体(A1)を粘度指数向上剤(1)として用いた。
なお、重合体(A1)の重量平均分子量(Mw)を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより以下の条件で測定した。
<(A1)のMwの測定条件>
装置 :「HLC−802A」[東ソー(株)製]
カラム :「TSK gel GMH6」[東ソー(株)製]2本
測定温度 :40℃
試料溶液 :0.5重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量:200μl
検出装置 :屈折率検出器
基準物質 :標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量:500、1,050、2,800、5,970、9,100、18,100、37,900、96,400、190,000、355,000、1,090,000、2,890,000)[東ソー(株)製]
<実施例2〜8>
実施例1において、用いる単量体を「メタクリレート(a1)100重量部」に代えて、表1に記載の単量体を用いる以外は同様にして、重合体(A2)〜(A8)を得た。得られた重合体(A2)〜(A8)を粘度指数向上剤(2)〜(8)として用いた。
<比較例1〜3>
実施例1において、用いる単量体を「メタクリレート(a1)100重量部」に代えて、表1に記載の単量体を用いる以外は同様にして、重合体(B1)〜(B3)を得た。得られた重合体(B1)〜(B3)を粘度指数向上剤(1’)〜(3’)として用いた。
Figure 2014125580
なお、表1において、(b1)及び(c)の各成分は下記を用いた。
メタクリル酸メチル:三菱レイヨン製、「アクリエステルMMA」
シクロへキシルメタクリレート:共栄社化学製、「ライトエステルCH」
<実施例9〜16>
粘度指数向上剤(1)〜(8)それぞれ30重量部及び鉱物油(100℃での動粘度2.3mm2/s)それぞれ70重量部を混合し、潤滑油組成物1〜8を作成した。作成した潤滑油組成物の粘度指数、低温粘度及び比誘電率を測定した。結果を表2に示す。
<比較例4〜6>
実施例9において、粘度指数向上剤(1)に代えて粘度指数向上剤(1’)〜(3’)をそれぞれ用いる以外は同様にして潤滑油組成物1’〜3’を作成し、作成した潤滑油組成物の粘度指数、低温粘度及び比誘電率を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2014125580
(低温粘度の試験方法)
JPI−5S−26−85の方法で−40℃の粘度を測定した。
(粘度指数の試験方法)
JIS−K2283の記載に準じて行った。
(比誘電率の試験方法)
JIS−C2101の記載に準じて、25℃の比誘電率を測定した。
表2の結果から、(メタ)アクリレート(a)を構成単量体する粘度指数向上剤(1)〜(8)を用いた潤滑油組成物1〜8は、(メタ)アクリレート(a)を構成単量体に含まない粘度指数向上剤(1’)〜(2’)を用いた潤滑油組成物1’〜2’と比較して、比誘電率が低く、高粘度指数でありながら、低温粘度が低かった。これは、低温時にシクロアルキル基が効果的に分子鎖間の凝集を抑制しているためであると推定される。
さらに、シクロヘキシルメタクリレートを構成単量体とする粘度指数向上剤(3’)を用いた潤滑油組成物3’との比較から、シクロヘキシル基中の水素原子が置換された(メタ)アクリレート(a)を構成単量体とすることで、比誘電率及び高粘度指数に優れることがわかる。
以上のことから、本発明の粘度指数向上剤を用いれば、粘度指数が高く、低温流動性に優れ、誘電率が低い潤滑油組成物を作成することができることが分かる。
本発明の粘度指数向上剤を用いた潤滑油組成物は、粘度指数が高く、低温流動性に優れ、誘電率が低いので、ギヤー油用、変速機油用、トラクション油用、作動油用又はエンジン油用の潤滑油組成物として使用でき、特に省燃費に対応した潤滑油組成物として好適に使用できる。

Claims (9)

  1. シクロアルキル基中の少なくとも1つの水素原子が下記一般式(1)で表される置換基で置換されたシクロアルキル基を有する(メタ)アクリレート(a)を構成単量体とする重合体(A)を含有する粘度指数向上剤。
    −(CH2)m−O−R1 (1)
    [式中、mは0〜1の整数であり、R1は炭素数1〜22のアルキル基である。]
  2. 重合体(A)が、さらに炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(b1)及び/又は炭素数8〜24のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(b2)を構成単量体とする重合体であって、重合体(A)の重量を基準として、(メタ)アクリレート(a)が1〜90重量%、(b1)及び(b2)の合計重量が10〜99重量%である請求項1に記載の粘度指数向上剤。
  3. 重合体(A)が(メタ)アクリレート(a)のみを構成単位としてなる重合体である請求項1に記載の粘度指数向上剤。
  4. 上記一般式(1)中のR1が、炭素数1〜22の直鎖アルキル基である請求項1〜3のいずれかに記載の粘度指数向上剤。
  5. 重合体(A)の重量平均分子量が5,000〜1,000,000である請求項1〜4のいずれかに記載の粘度指数向上剤。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の粘度指数向上剤及び基油を含有する潤滑油組成物。
  7. 基油の動粘度(100℃)が2〜10mm2/sであり、基油の引火点が160℃以上である請求項6に記載の潤滑油組成物。
  8. 潤滑油組成物の重量に基づいて粘度指数向上剤を0.1〜30重量%、基油を70〜99.9重量%含む請求項6又は7に記載の潤滑油組成物。
  9. ギヤー油用、変速機油用、トラクション油用、作動油用又はエンジン油用である請求項6〜8のいずれかに記載の潤滑油組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2021134347A (ja) * 2020-02-21 2021-09-13 新中村化学工業株式会社 潤滑剤用添加剤組成物およびその製造方法

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