JP2014125579A - 油脂の酸化防止剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記分析条件の高速液体クロマトグラフィ分析に供したときに、ネラールのピーク前5分以内に検出される少なくとも1個のピークを有し、かつ、ゲラニアールのピーク後7分以内に検出される少なくとも3個のピークを有するしょうがオイルを含有する油脂または複合脂質の酸化防止剤。
試料:しょうがオイルを0.1%(w/v)含有するエタノール
カラム:ODSカラム(粒子径5μm、内径4.6mm×長さ250mm)
カラムオーブン温度:40℃
検出波長:228nm
移動相:水(A液)、アセトニトリル(B液)
流速:1mL/分
グラジエントプログラム
(1) 初期条件:A液70%、B液30%
(2) 0分〜20分:初期条件から、A液10%、B液90%に直線的に変化
(3) 20分〜40分:A液10%、B液90%を維持
【選択図】なし
Description
[1]しょうがオイルを含有する油脂または複合脂質の酸化防止剤であって、該しょうがオイルは、下記分析条件の高速液体クロマトグラフィ分析に供したときに、ネラールのピーク前5分以内に検出される少なくとも1個のピークを有し、かつ、ゲラニアールのピーク後7分以内に検出される少なくとも3個のピークを有することを特徴とする酸化防止剤。
試料:しょうがオイルを0.1%(w/v)含有するエタノール
カラム:ODSカラム(粒子径5μm、内径4.6mm×長さ250mm)
カラムオーブン温度:40℃
検出波長:228nm
移動相:水(A液)、アセトニトリル(B液)
流速:1mL/分
グラジエントプログラム
(1) 初期条件:A液70%、B液30%
(2) 0分〜20分:初期条件から、A液10%、B液90%に直線的に変化
(3) 20分〜40分:A液10%、B液90%を維持
[2]油脂または複合脂質の不快臭マスキング作用を有することを特徴とする前記[1]に記載の酸化防止剤。
[3]ヘキサン抽出法により製造されたしょうがオイルである前記[1]または[2]に記載の酸化防止剤。
[4]前記[1]〜[3]のいずれかに記載の酸化防止剤を含有することを特徴とする油脂組成物。
[5]前記[1]〜[3]のいずれかに記載の酸化防止剤を含有することを特徴とする複合脂質組成物。
[6]前記[1]〜[3]のいずれかに記載の酸化防止剤を油脂組成物または複合脂質組成物に添加することを特徴とする油脂組成物または複合脂質組成物の酸化防止方法。
[7]油脂または複合脂質100重量部に対して、しょうがオイルを0.01〜25重量部添加することを特徴とする前記[6]に記載の酸化防止方法。
<HPLC分析条件>
試料:しょうがオイルを0.1%(w/v)含有するエタノール
カラム:ODSカラム(粒子径5μm、内径4.6mm×長さ250mm)
カラムオーブン温度:40℃
検出波長:228nm
移動相:水(A液)、アセトニトリル(B液)
流速:1mL/分
グラジエントプログラム
(1) 初期条件:A液70%、B液30%
(2) 0分〜20分:初期条件から、A液10%、B液90%に直線的に変化
(3) 20分〜40分:A液10%、B液90%を維持
カラムはODS(オクタデシルシリル基:C18H37Si)で表面が修飾された、化学結合型多孔性球状シリカゲルが固定相として充填されているタイプのカラムであって、粒子径が5μm、カラムサイズが内径4.6mm×長さ250mmのカラムであればよい。本発明者らが用いているナカライテスク製「COSMOSIL 5C18−MS−II」を用いることが好ましいが、これと同等の市販品(例えば、ナカライテスク製「COSMOSIL 5C18−AR−II」、和光純薬工業製「Wakosil II−5C18」等)を用いることができる。
HPLC装置は特に限定されず、市販のHPLC装置を用いることができる。
インジェクション量は特に限定されないが、本発明者らは上記サンプルを10μLインジェクションしている。
さらに、本発明者らは、ヘキサン抽出法により製造された自家製のしょうがオイルのほうが、水蒸気蒸留法により製造された市販のしょうがオイルより、魚油の不快臭マスキング効果が高く、光による酸化防止(過酸化物価の上昇抑制)効果も高いことを見出した。
水蒸気蒸留法によるしょうがオイルは、例えば以下のようにして製造することができる。すなわち、原料(ショウガの根茎)を蒸留釜に入れ、水蒸気を送り込むと、原料中のオイル成分が遊離し、水蒸気とともに気化する。このオイル成分が混入した水蒸気を冷却してオイルと水の二層に分離させ、オイルを回収する。ただし、本発明者が確認した範囲では、水蒸気蒸留法によるしょうがオイルは、上記に規定するピークを有するしょうがオイルに該当しないと考えられる。
ヘキサン抽出法によるしょうがオイルは、例えば、原料(ショウガの根茎)を反応容器に入れ、ノルマルヘキサンを添加して原料と接触させ、その後ノルマルヘキサンを回収し、例えば遠心薄膜濃縮装置、減圧蒸留装置等を用いてノルマルヘキサンを除去し、オイルを回収する。
本発明の酸化防止剤は、目的を損なわない範囲で、しょうがオイル以外の成分を含有してもよい。例えば、一般的な食用油脂に用いられる食品添加物などの成分を添加することができる。
(1)ヘキサン抽出法によるしょうがオイルの製造
しょうがの搾り滓(含水率約75質量%)60kgを−10℃以下に冷凍し、この冷凍原料に体積で約2倍量のノルマルヘキサンを反応容器中で−5℃、15分間接触させた。その後ノルマルヘキサンを回収し、遠心薄膜濃縮装置および減圧蒸留装置を用いて、室温以下の温度でノルマルヘキサンを除去し、しょうがオイルを得た。得られたしょうがオイル(以下、「自家製しょうがオイル」と記す)は、しょうがをすりおろした後の爽やかな香気としょうが特有の辛み成分とを有する褐色透明な油溶性液体であった。
自家製しょうがオイルを以下の条件でHPLC分析に供した。水蒸気蒸留法で製造された四万十しょうがエッセンシャルオイル(商品名、エコロギー四万十製)についても同じ条件でHPLC分析を行った。
<サンプル調製>
特級エタノールに、自家製しょうがオイルまたは四万十しょうがエッセンシャルオイルを0.1%(w/v)となるように添加したものを分析に供した。
<使用機器>
ポンプ:HITACHI L−2130
カラムオーブン:HITACHI L−2350
検出器:HITACHI L−2450
<分析条件>
カラム:COSMOSIL 5C18−MS−II 4.6mm×250mm(ナカライテスク製、ODSカラム)
カラムオーブン温度:40℃
インジェクション量:10μL
検出波長:228nm
移動相:水(A液)、アセトニトリル(B液)
流速:1mL/分
グラジエントプログラム:
初期条件 A液70%、B液30%
0分〜20分 初期条件から、A液10%、B液90%に直線的に変化
20分〜40分 A液10%、B液90%を維持
(1)実験材料
精製魚油には、実施例1と同じ日本水産製「DDオイルタイプ2」(商品名)を使用した。公知の酸化防止剤としてビタミンE(J−オイルミルズ製「トコフェロールAT−160(商品名)」)を使用した。しょうがオイルは以下の2種類を使用した。
(a)自家製しょうがオイル(実施例1、ヘキサン抽出法)
(b)四万十しょうがエッセンシャルオイル(商品名、エコロギー四万十製、水蒸気蒸留法)
表1に示す配合割合でサンプルを調製し、20mL容の瓶にそれぞれ5g入れ、キャップをした。瓶に6000Luxの光を常時照射し、7日後および14日後に過酸化物価の測定と官能評価を行った。なお、ビタミンEは添加量を増加すると抗酸化効果が低下することが知られているため、表1に示した配合割合を設定した。
過酸化物価の測定は、日本油化学会制定「基準油脂分析試験法(II)参考資料2.4−1996過酸化物価(クロロホルム法)」に基づいて、サンプルをクロロホルムと酢酸(2:3)の滴定溶剤に溶かしたものを試料とし、窒素ガスを試料中に流して溶存酸素を追い出しながらヨウ化カリウム溶液を加えて、電位差滴定法により0.01mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液で遊離したヨウ素を滴定し、チオ硫酸ナトリウム溶液の滴定量から過酸化物価を算出した。
官能評価は、10人のパネラーがサンプルの臭いを直接嗅ぎ、強い不快臭がする場合に×、弱い不快臭がする場合に△、不快臭をマスキングしている場合に○と評価した。人数の最も多い評価を、各サンプルの評価とした。
この結果から、(a)自家製しょうがオイルは、(b)四万十しょうがエッセンシャルオイルより強い酸化防止効果および不快臭のマスキング効果を奏することが示された。そこで、以後の実験は、ヘキサン抽出法または超臨界二酸化炭素抽出法で製造されたしょうがオイルを用いて行った。
精製魚油として日本水産製「DDオイルタイプ2(商品名)」、公知の酸化防止剤としてJ−オイルミルズ製「トコフェロールAT−160(商品名)」、しょうがオイルとして、実施例1で製造した自家製しょうがオイルを使用した。
表3に示す配合割合でサンプルを調製し、実施例2と同様に、20mL容の瓶にそれぞれ5g入れ、キャップをし、瓶に6000Luxの光を常時照射して、7日後および14日後に過酸化物価の測定と官能評価を行った。
実施例3と同じ材料を用いて同じサンプルを調製し、瓶を60℃の恒温室に保存した。実施例3と同様に、7日後および14日後に過酸化物価の測定と官能評価を行った。
結果を表5に示した。自家製しょうがオイルを添加したサンプル3は、サンプル1および2と比較して過酸化物価が低く、不快臭をマスキングした。
実施例3と同じ材料を用いて同じサンプルを調製し、瓶にキャップをせずに室温(26±2℃)で放置した。実施例3と同様に、7日後および14日後に過酸化物価の測定と官能評価を行った。
結果を表6に示した。自家製しょうがオイルを添加したサンプル3は、サンプル1および2と比較して過酸化物価が低く、不快臭をマスキングした。
精製魚油を大豆白絞油(辻製油製)に代えた以外は実施例3と同様に行った。
結果を表7に示した。自家製しょうがオイルを添加したサンプル3は、サンプル1および2と比較して過酸化物価が低く、不快臭をマスキングした。
精製魚油をコーン白絞油(辻製油製)に代えた以外は実施例3と同様に行った。
結果を表8に示した。自家製しょうがオイルを添加したサンプル3は、サンプル1および2と比較して過酸化物価が低く、不快臭をマスキングした。
精製魚油を綿実油(J−オイルミルズ製)に代えた以外は実施例3と同様に行った。
結果を表9に示した。自家製しょうがオイルを添加したサンプル3は、サンプル1および2と比較して過酸化物価が低く、不快臭をマスキングした。
精製魚油をハイリノールひまわり油(J−オイルミルズ製)に代えた以外は実施例3と同様に行った。
結果を表10に示した。自家製しょうがオイルを添加したサンプル3は、サンプル1および2と比較して過酸化物価が低く、不快臭をマスキングした。
(1)実験材料
中鎖脂肪酸油(日清オイリオグループ社製「スコレー64G(商品名)」、カプリル酸(C8):カプリン酸(C10)=60:40)、いくら由来リン脂質(日油社製「サンオメガPC−DHA(商品名)」、ビタミンE(実施例2参照)および自家製しょうがオイル(実施例1参照)を使用した。
(2)実験方法
表11に示す配合割合でサンプルを調製し、実施例2と同様に、瓶に6000Luxの光を常時照射し、7日後および14日後に過酸化物価の測定と官能評価を行った。
結果を表12に示した。自家製しょうがオイルを添加したサンプル3は、サンプル1および2と比較して過酸化物価が低く、不快臭をマスキングした。
Claims (7)
- しょうがオイルを含有する油脂または複合脂質の酸化防止剤であって、該しょうがオイルは、下記分析条件の高速液体クロマトグラフィ分析に供したときに、ネラールのピーク前5分以内に検出される少なくとも1個のピークを有し、かつ、ゲラニアールのピーク後7分以内に検出される少なくとも3個のピークを有することを特徴とする酸化防止剤。
試料:しょうがオイルを0.1%(w/v)含有するエタノール
カラム:ODSカラム(粒子径5μm、内径4.6mm×長さ250mm)
カラムオーブン温度:40℃
検出波長:228nm
移動相:水(A液)、アセトニトリル(B液)
流速:1mL/分
グラジエントプログラム
(1) 初期条件:A液70%、B液30%
(2) 0分〜20分:初期条件から、A液10%、B液90%に直線的に変化
(3) 20分〜40分:A液10%、B液90%を維持 - 油脂または複合脂質の不快臭マスキング作用を有することを特徴とする請求項1に記載の酸化防止剤。
- ヘキサン抽出法により製造されたしょうがオイルである請求項1または2に記載の酸化防止剤。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の酸化防止剤を含有することを特徴とする油脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の酸化防止剤を含有することを特徴とする複合脂質組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の酸化防止剤を油脂組成物または複合脂質組成物に添加することを特徴とする油脂組成物または複合脂質組成物の酸化防止方法。
- 油脂または複合脂質100重量部に対して、しょうがオイルを0.01〜25重量部添加することを特徴とする請求項6に記載の酸化防止方法。
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