JP2014124918A - インクジェット記録ヘッドの検査方法および検査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ドットの密度を高めたインクジェット記録ヘッドの品質を精度高く検査することが可能なインクジェット記録ヘッドの検査方法および検査装置を提供する。
【解決手段】複数のノズルからインクを吐出して複数のドット50を形成するインクジェット記録ヘッド10の検査方法は、複数のドット50を撮影した画像データを取得するステップと、画像データ内の各ドット50の位置を測定するステップと、各ドット50について、測定した各ドット50の位置である測定位置と、測定位置に基づいて算出された基準位置との差異であるずれ量を算出するステップと、複数のずれ量について統計値を算出するステップと、統計値が、予め定められた基準を満たしているか否かを判定するステップと、を含む。
【選択図】図7
【解決手段】複数のノズルからインクを吐出して複数のドット50を形成するインクジェット記録ヘッド10の検査方法は、複数のドット50を撮影した画像データを取得するステップと、画像データ内の各ドット50の位置を測定するステップと、各ドット50について、測定した各ドット50の位置である測定位置と、測定位置に基づいて算出された基準位置との差異であるずれ量を算出するステップと、複数のずれ量について統計値を算出するステップと、統計値が、予め定められた基準を満たしているか否かを判定するステップと、を含む。
【選択図】図7
Description
本発明は、紙やフイルム等の記録媒体上に検査パターンを記録させ、この検査パターンからインクジェット記録ヘッドの品質を評価するインクジェット記録ヘッドの検査方法および検査装置に関する。
インクジェット方式の記録装置に装着される記録ヘッドは、インク滴を吐出する吐出口を有する複数のノズルと、各ノズルに対応して設けられたヒータと、各ヒータに対応して設けられた駆動回路とを有する。記録ヘッドを装着した記録装置は、画像データを各ヒータに対応するデータに変換して記録ヘッドの駆動回路に送信する。駆動回路は、このデータに従ってヒータを駆動する。これにより、ヒータに対応するノズル内のインクが加熱されてノズル内で気泡が発生し、その発生した気泡の圧力によってノズルの吐出口からインク滴が吐出される。吐出されたインク滴が記録媒体上に着弾すると、ドットが形成される。そして各ノズルが吐出したインク滴が形成した複数のドットによって、画像が記録されることとなる。
記録ヘッドを製造する工程には、製造された記録ヘッドの品質が基準を満たしているか否かを検査することで、製造された記録ヘッドが意図した画像を正確に記録することができるか否かを検査する検査工程が含まれる。
特許文献1には、上記の検査工程を含む印字評価方法が記載されている。この印字評価方法では、検査工程として、各ノズルが吐出したインク滴が記録媒体に着弾して形成するドットの理想的な位置からのずれ量が基準以内であるか否かを検査する工程を含む。具体的には、印字評価方法は、複数のドットが予め定められた検査パターンを形成するように記録ヘッドを駆動する工程と、複数のドットを撮影した画像を取得する工程と、取得した画像に基づいて、ドットごとに上記のずれ量を基準値と比較することで、記録ヘッドが良品であるか不良品であるかを判定する工程とを含む。
近年、記録速度を高めるために、ドットのサイズを縮小し、かつ、ドットの密度を高めた記録ヘッドが採用されている。このような記録ヘッドに特許文献1に記載された検査工程を適用する場合、位置ずれ検査による記録ヘッドの品質検査の精度が低下する場合があるという問題があった。
例えば、従来の記録ヘッドが1つのノズルから吐出されたインク滴が形成する1つのドットで1画素分の記録を行うのに対し、ドットの密度を2倍にした記録ヘッドでは、2つのノズルから吐出されたインク滴が形成する2つのドットで1画素分の記録を行う。この場合、各ドットのずれ量が基準値より大きくても、各ドットの位置関係などによっては、十分に正確な画像を記録することが可能である。
しかしながら、特許文献1に記載された検査工程をドットの密度を高めた記録ヘッドに適用した場合、画素を構成する各ドットのいずれかのずれ量が基準値より大きくなると、十分正確な画像を記録できる場合でも、不良品と判断されてしまうことがあった。
本発明の目的は、ドットの密度を高めたインクジェット記録ヘッドの品質を精度高く検査することが可能なインクジェット記録装置の検査方法および検査装置を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明による検査方法は、複数のノズルから吐出するインクで複数のドットを記録媒体上に形成するインクジェット記録ヘッドの検査方法であって、前記記録媒体上の複数のドットを撮影した画像データを取得する画像取得ステップと、前記画像データ内の各ドットの位置を測定する測定ステップと、前記測定された各ドットの位置である複数の測定位置に基づいて、各ドットの基準位置を算出する第1の算出ステップと、各ドットについて、当該ドットの測定位置と基準位置との差異であるずれ量を算出する第2算出ステップと、各ドットのずれ量の統計値を算出する第3算出ステップと、前記統計値が、予め定められた基準を満たしているか否かを判定する判定ステップと、を含む。
また、本発明による検査装置は、複数のノズルから吐出するインクで複数のドットを記録媒体上に形成するインクジェット記録ヘッドの検査装置であって、前記記録媒体上の複数のドットを撮影した画像データを取得する画像取得部と、前記画像データ内の各ドットの位置を測定し、前記測定された各ドットの位置である複数の測定位置に基づいて、各ドットの基準位置を算出し、各ドットについて、当該ドットの測定位置と基準位置との差異であるずれ量を算出し、各ドットのずれ量の統計値を算出し、前記統計値が、予め定められた基準を満たしているか否かを判定する演算処理部と、を有する。
本発明によれば、ドットの密度を高めたインクジェット記録ヘッドの品質を精度高く検査することが可能になる。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。
以下、本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る検査方法を実行する検査装置の構成を示す図である。検査装置は、ペーパーステージ101と、キャリッジ102と、CCD(Charge Coupled Device)カメラ103と、照明装置104と、ステージコントローラ105と、照明電源106と、画像取得コントローラ107と、駆動信号変換基板108と、モニタ109とを有する。また検査装置は、さらに制御用コンピュータ110を有する。
図1の検査装置は、複数のドットが予め定められた検査パターンを形成するようにインクジェット記録ヘッド10を駆動し、インクジェット記録ヘッド10が吐出したインク滴11により記録媒体12上に形成されたドットの位置ずれを検査するものである。なお記録媒体12は、紙やフイルムなどであり、本実施形態では、吐出されたインク滴11を均一に吸収するように表面がコーティングされている。
検査装置の検査対象であるインクジェット記録ヘッド10は、複数のノズルと、各ノズルに対応したヒータと、ヒータを駆動する駆動回路とを有する。駆動回路は、各ヒータを駆動させるための駆動パルス信号が入力されると、そのパルス信号に従ってヒータを駆動して、ヒータを発熱させる。これにより、発熱したヒータに対応するノズル内のインクが加熱されてノズル内で気泡が発生し、発生した気泡の圧力によってノズルの吐出口からインク滴11が吐出される。
ペーパーステージ101は、記録媒体12を載置する台である。またペーパーステージ101は、記録媒体12を吸引してステージ上に密着させる吸引部(図示せず)を有する。ペーパーステージ101は可動であり、ペーパーステージ101が動くことで、記録媒体12の位置を変化させる。またペーパーステージ101は、現時点におけるペーパーステージ101の位置情報を検出し、検出した位置情報を出力する機能を有する。なお、ペーパーステージ101は、吸引部だけを動かすものでもよい。
キャリッジ102は、インクジェット記録ヘッド10におけるインク滴11を吐出する吐出口がペーパーステージ101に向くようにインクジェット記録ヘッド10を保持する部品である。したがって、キャリッジ102に保持されたインクジェット記録ヘッド10の吐出口から吐出されたインク滴11は、ペーパーステージ101上の記録媒体12に着弾してドットを形成することになる。
CCDカメラ103は、ペーパーステージ101上の記録媒体12に形成されたドットを撮影するための画像取得部である。具体的には、CCDカメラ103は、指示された撮影タイミングで記録媒体12上の一部の領域を撮影した画像データを取得し、取得した画像データを出力する撮像装置である。CCDカメラ103は、本実施形態ではラインセンサ型のCCDカメラであるとする。ラインセンサ型CCDカメラは、比較的安価ながら高い解像度を有し、さらに記録媒体12の必要な部分のみを撮影できるという利点がある。これにより、高解像度の画像でありながら容量の少ない画像データを取得することができ、処理速度の向上を図ることができる。
照明装置104は、CCDカメラ103の画角内を照らす光源である。照明装置104は、本実施形態では、赤(R)、緑(G)、青(B)それぞれの波長の光を出力することができ、さらに、耐久性や光量安定性の高いLED(Light Emitting Diode)照明であるとする。
ステージコントローラ105は、制御用コンピュータ110から入力された位置制御情報、およびペーパーステージ101から出力された位置情報に基づいて、ペーパーステージ101の位置を変化させる。ペーパーステージ101の位置が変化することで、インクジェット記録ヘッド10およびCCDカメラ103に対する、ペーパーステージ101上に載置された記録媒体12の位置が変化することになる。したがって、ステージコントローラ105は、ペーパーステージ101の位置を変化させることで、インクジェット記録ヘッド10の吐出したインク滴11が着弾する記録媒体12上の位置、および、CCDカメラ103の画角に入る記録媒体12の領域を調整することができる。なお、ペーパーステージ101の移動スピードは、インクジェット記録ヘッド10の吐出特性に基づいて決定される。本実施形態においては、ペーパーステージ101の移動スピードは、40inch/secであるとする。
照明電源106は、照明装置104に電力を供給して、証明装置104を点灯する。照明電源106は、外部コントロール端子を有し、この外部コントロール端子に画像取得コントローラ107が接続されている。照明電源106は、画像取得コントローラ107から指示された電力を照明装置104に供給する。
画像取得コントローラ107は、CCDカメラ103および照明電源106と接続され、ヘッドドライバ112から入力される画像取得制御信号に従って、CCDカメラ103および照明電源106をそれぞれ制御する。具体的には、画像取得コントローラ107は、CCDカメラ103に対して記録媒体12を撮影する撮影タイミングを指示する。また画像取得コントローラ107は、照明電源106に対して照明装置104に出力する電力を指示する。
駆動信号変換基板108は、入力された駆動信号をインクジェット記録ヘッド10の各ヒータを駆動するための駆動パルス信号に変換して、インクジェット記録ヘッド10の各駆動回路に入力する。
モニタ109は、検査結果などの種々の情報を含む画面を表示する表示装置であり、例えば液晶ディスプレイ装置、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ装置などである。
制御用コンピュータ110は、検査装置の各部を制御する。制御用コンピュータ110は、具体的には、VGA(Video Graphics Array)ボード111と、ヘッドドライバ112と、画像処理ボード113と、モータコントロールボード114と、演算処理部115とを有する。
VGAボード111は、モニタ109へ映像信号を出力して、映像信号に応じた画面をモニタ109に表示するグラフィックボードである。
ヘッドドライバ112は、インクジェット記録ヘッド10を駆動させるための駆動信号を駆動信号変換基板108に出力して、インクジェット記録ヘッド10にインク滴11を吐出させる。なお、ヘッドドライバ112は、駆動信号を用いて、インクジェット記録ヘッド10のヒータを駆動するために供給する駆動パルス信号のパルス幅やパルス電圧を変化させることができる。
またヘッドドライバ112は、画像データを取得するための画像取得制御信号を画像取得コントローラ107に出力して、画像取得コントローラ107が画像取得制御信号に従って動作することで、CCDカメラ103に画像データを取得させる。なお、ヘッドドライバ112は、画像取得制御信号を用いて、照明電源106が照明装置104に出力する電力や、CCDカメラ103が撮影する撮影タイミングなどを指示することができる。
画像処理ボード113は、CCDカメラ103が撮影した画像データに各種の画像処理を施す。画像処理ボード113は、例えば、画像処理として、画像データを2値化する2値化処理を画像データに対して施す。
モータコントロールボード114は、ステージコントローラ105と接続され、ペーパーステージ101上の記録媒体12の移動を制御する。具体的には、モータコントロールボード114は、ペーパーステージ101の位置を制御する位置制御情報をステージコントローラ105に入力して、ペーパーステージ101を移動させることで、記録媒体12を移動させる。
演算処理部115は、VGAボード111、ヘッドドライバ112、画像処理ボード113、およびモータコントロールボード114を用いて、インクジェット記録ヘッド10を検査する検査工程の各処理を実現する。例えば演算処理部115は、ヘッドドライバ112に検査パターンに応じた駆動信号を出力させることで、インクジェット記録ヘッド10に記録媒体12への検査パターンの記録を実行させる。また演算処理部115は、その駆動信号の出力に合わせて、モータコントロールボード114に位置制御情報を出力させることで、記録媒体12を移動させる。また演算処理部115は、ヘッドドライバ112に画像取得制御信号を出力させることで、CCDカメラ103に画像データを取得させる。
また演算処理部115は、画像取得コントローラ107が画像処理を行った画像データに基づいて、高速演算処理を実行する。演算処理部115は、例えば画像データ内の各ドットの位置を測定する。また演算処理部115は、測定した各ドットの位置である測定位置に基づいて、各ドットの基準位置を推定する。演算処理部115は、各ドットについて、当該ドットの測定位置と基準位置との差異であるずれ量を算出する。そして演算処理部115は、各ドットのずれ量に基づいて、各ドットのずれ量の統計値を算出し、この統計値が予め定められた基準を満たしているか否かを判定する。本実施形態では、演算処理部115は、1画素を形成する複数のドットからなるドット群ごとに、そのドット群に含まれる複数のドットのずれ量の統計値を算出する。以下では、各ドット群は、隣接する2つのノズルが吐出したインク滴11で形成された2つのドットを含むものとする。
次に、インクジェット記録ヘッド10に含まれる素子基板について説明する。
図2は、素子基板の構成を説明するための一部破断斜視図である。
素子基板201は、例えば、厚さ0.5mm〜1mmのSi基板202と、Si基板202上に形成された、インク流路である長溝状の貫通口のインク供給口203を有する。インク供給口203は、Siの結晶方位を利用した異方性エッチングやサンドブラストなどの方法で形成される。
また、Si基板202上には、インク供給口203を挟んで両側に、ヒータ204が1列ずつ並んで配置され、さらにヒータ204に電力を供給する電気配線が形成されている。この電気配線は、例えばアルミニウムなどで形成される。ヒータ204と電気配線は、既存の成膜技術を利用して形成することができる。
また、各列のヒータ204は、互いに千鳥状(ジグザグ状)になるように配列されている。すなわち、各列のヒータ204の位置が、その列方向と直交する方向に並ばないように、少しずれて配置されている。
ヒータ204が形成されたSi基板202上には、インクを吐出する吐出口を有するノズル205が形成される。このノズル205は、各ヒータ204に対応する位置に形成される。したがって、各ノズル列206のノズル205は、互いに千鳥状になるように配列され、各ノズル列206のノズル205の位置が、ノズル列206方向と直交する方向に並ばないように、少しずれて配置されている。
また、インク供給口203から供給されたインクは、各ヒータ204の発熱によって発生した気泡の圧力により各ヒータ204に対向するノズル205から吐出される。
また、Si基板202上には、複数のコンタクトパッド207が形成される。このコンタクトパッド207は、キャリッジ102に設けられたコンタクトプローブユニットと接続し、キャリッジ102を介して駆動信号変換基板108から駆動パルス信号を受け付ける。
図3は、図2に示したノズル列206の上面図である。
図2と図3で示されたように、Si基板202上には、2列のノズル列206が形成されている。ここで、ノズル列206を構成する各ノズル205に、ノズル列206の延伸する方向に沿って順番にノズル番号を付することとする。ノズル番号は、0から昇順に、0seg、1seg、2seg・・・とする。そしてノズル番号が偶数のノズルから構成されるノズル列をEVEN列と称し、ノズル番号が奇数のノズルから構成されるノズル列をODD列と称することとする。なお、EVEN列およびODD列それぞれのノズル密度は、ここでは、600dpiであるとする。
次に、インクジェット記録ヘッド10が記録する検査パターンについて説明する。
図4は、本実施例における検査パターンを模式的に表したものである。検査パターンは、同列内のノズル205から吐出されて記録媒体12に着弾したインク滴11のそれぞれが、重なり合わずに間隔をおいてドット50を形成するように、予め定められている。
なお図4において、ノズル番号がNsegのノズルから吐出されたインク滴11が形成するドット50をドット50−Nと称する。検査パターンには、EVEN列のノズルから吐出されたインク滴11が形成するドット50の集合であるドット群50EVENと、ODD列のノズルから吐出されたインク滴11が形成するドット50の集合であるドット群50ODDとが含まれる。
次に、インクジェット記録ヘッド10を検査する工程について、図1および図5を参照して説明する。図5は、本実施形態における検査フローを示した図である。
まず、演算処理部115は、ヘッドドライバ112に、インクジェット記録ヘッド10と検査装置に設けられたキャリッジ102との電気的接続の確認をするコンタクトチェックを行わせる(ステップ501)。
インクジェット記録ヘッド10とキャリッジ102との電気的接続が確認されると、演算処理部115は、ヘッドドライバ112に検査パターンに応じた駆動信号を出力させることで、インクジェット記録ヘッド10に、図4に示した検査パターンを記録させる(ステップ502)。この際、演算処理部115は、モータコントロールボード114に、記録媒体12のインクジェット記録ヘッド10に対する位置を移動させる。なお、インクジェット記録ヘッド10とキャリッジ102との電気的接続が確認できない場合、演算処理部115は、VGAボード111を用いて、エラーメッセージをモニタ109に表示させる。
検査パターンを記録させると、演算処理部115は、ヘッドドライバ112を介して、CCDカメラ103に、ペーパーステージ101上の記録媒体12に記録された検査パターンを撮影した画像データを取得させる(ステップ503)。この際、演算処理部115は、モータコントロールボード114に、記録媒体12に記録された検査パターンがCCDカメラ103の画角に入るようにペーパーステージ101を移動させる。
次に、演算処理部115は、CCDカメラ103が撮影した画像データ内の各ドット50の位置を測定する(ステップ504)。
図6は、ドット50の測定位置と、測定位置から推定した基準位置とを示す図である。
演算処理部115は、画像処理ボード113が画像処理を施した後の画像データを解析して、その画像データ内の各ドット50の中心601のX座標およびY座標を各ドット50の位置として測定する。なおここでX軸およびY軸により表される平面は、記録媒体12の面を示し、Y軸はノズル列の延伸する方向の軸であり、X軸はY軸と直交する方向の軸である。また、ノズル番号が0segのノズルが吐出したインク滴11が形成したドットの位置を(x0,y0)、ノズル番号がNsegのノズルが吐出したインク滴11が形成したドットの位置を(xN,yN)とする。
そして演算処理部115は、ステップ504の処理で測定した各ドット50の位置である測定位置に基づいて基準位置を推定し、推定した基準位置と、測定位置との差異であるずれ量を取得する(ステップ505)。基準位置は、検査パターンに応じた理想的な各ドット50の位置であり、より具体的には、検査パターンが記録媒体12上に正確に再現された場合における画像データ内の各ドット50の位置である。検査パターンが記録媒体12上に正確に再現された場合における画像データ内の各ドット50の位置は、正確にはわからないので、測定位置に基づいて推定される。
ここでまず検査パターンについてより詳細に説明を行う。
図6に示されるように、検査パターンは、各ノズルが吐出するインク滴11が重なり合わないように間隔をあけて記録媒体12上に着弾するように予め定められている。隣接するノズルから同時にインク滴11を吐出させると、インク滴11は記録媒体12上で重なり合ってしまうため、同時にインク滴11を吐出するノズルは、予め定められた間隔をあけて定められている。
具体的には、本実施形態では、同じノズル列に含まれ、かつ隣接する4本のノズルを1つのグループとする。したがってノズル番号が0,2,4,6segのノズルが1つのグループとなり、ノズル番号が8,10,12,14segのノズルが1つのグループとなる。そして演算処理部115は、同じグループ内のノズルからインク滴11を吐出させるタイミングが、それぞれ異なるように制御する。この場合、例えば、演算処理部115は、ノズル番号が0segのノズルと8segのノズルから同時にインク滴11を吐出させる。また、演算処理部115は、インク滴11を吐出させた後、記録媒体12を所定の距離移動させ、次にノズル番号が2segおよび10segのノズルから同時にインク滴11を吐出させる。
これにより、同時に吐出されたインク滴11が形成したドットは、概ねy軸方向に並んで配置され、異なるタイミングで吐出されたインク滴11が形成したドットは、記録媒体12の位置が移動された分だけずれた位置に配置される。
このようにして形成された複数のドットを撮影した画像データから、演算処理部115は、各ドットを複数の直線に近似する。このとき、演算処理部115は、同時に吐出されたインク滴11が形成したドットと、同じグループに属するノズルが吐出したインク滴11が形成したドットとをそれぞれ直線に近似する。このとき、同時に吐出されたインク滴11が形成したドットを近似した近似直線602Aと、同じグループに属するノズルが吐出したインク滴11が形成したドットを近似した近似直線602Bとは交差する。そしてこの近似直線602Aと近似直線602Bとが交差した点を各ドットの基準位置とする。そして演算処理部115は、この基準位置と、基準位置と近接する測定位置との差異を各ドット50のずれ量として算出する。
演算処理部115は、ステップ505で取得した各ドット50のずれ量に基づいて、1画素を形成する複数のドット50からなるドット群ごとに、ドット群に含まれる複数のドット50のずれ量の統計値を算出する(ステップ506、507)。本実施形態では、ドット群は、ノズル列方向で隣接する2つのノズルが吐出したインク滴11で形成された2つのドットを含むため、演算処理部115は、この2つのドット50のずれ量の統計値を算出する。また統計値は、2つのドット50のずれ量の平均値である平均ずれ量、およびずれ量の差であるずれ量相対距離である。
具体的には、まず演算処理部115は、平均ずれ量を算出する(ステップ506)。図7は、平均ずれ量およびずれ量相対距離の取得について説明するための図である。ここでノズル番号がNsegのノズルが吐出したドット50のずれ量をXN、YNとすると、平均ずれ量(Gx,Gy)は以下の数式(1)および(2)で示される。
(N=0,2,4,・・・638)
続いて、演算処理部115は、ずれ量相対距離を算出する(ステップ507)。各ドットについて算出されるずれ量相対距離(Dx,Dy)は、以下の数式(3)および(4)で示される。
続いて、演算処理部115は、ずれ量相対距離を算出する(ステップ507)。各ドットについて算出されるずれ量相対距離(Dx,Dy)は、以下の数式(3)および(4)で示される。
なお、隣接する2つのノズルが吐出したインク滴11が形成した2つのドット50とは、1画素分の記録を行う2つのドットであり、図4のドット50−0およびドット50−1、または、ドット50−2およびドット50−3の関係をいう。
そして演算処理部115は、取得した平均ずれ量およびずれ量相対距離が基準を満たしているか否かを判定する(ステップ508)。演算処理部115は、平均ずれ量およびずれ量相対距離を、それぞれ予め定められた基準値と比較することで基準を満たしているか否かの判定を行う。本実施形態では、平均ずれ量の基準値は、例えば34μmであり、ずれ量相対距離の基準値は、80μmである。演算処理部115は、平均ずれ量が±34μm以下であり、ずれ量相対距離が80μm以下である場合、ずれ量が基準を満たしていると判定することができる。なお、演算処理部115は、VGAボード111を用いてモニタ109に判定結果を表示させてもよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、各ドット50のずれ量そのものが基準を満たしているか否かを判定するのではなく、複数のドット50のずれ量に基づいた統計値が基準を満たしているか否かを判定することで、ドット50の位置ずれが検査される。これにより、ドット50の密度を高めたインクジェット記録ヘッドの品質を精度高く検査することが可能になる。
また、本実施形態によれば、統計値は、隣接する複数のノズルが吐出したインクが形成した複数のドット50のずれ量に基づいて算出される。これにより、隣接する複数のノズルで1画素分の記録を行う記録ヘッドにおいて、1画素分の記録を行う複数のドット50についてずれ量の統計値が算出され、この統計値に基づいてドット50の位置ずれが評価される。このため、隣接する複数のノズルで1画素分の記録を行うインクジェット記録ヘッドの品質を精度高く検査することが可能になる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態においても検査方法を適用する検査装置の構成は、第1の実施形態と同様であるためここでは説明を省略する。本実施形態のインクジェット記録ヘッドを検査する工程について図1および図8を参照して説明する。図8は、本実施形態における検査フローを示したものである。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態においても検査方法を適用する検査装置の構成は、第1の実施形態と同様であるためここでは説明を省略する。本実施形態のインクジェット記録ヘッドを検査する工程について図1および図8を参照して説明する。図8は、本実施形態における検査フローを示したものである。
まず、演算処理部115は、ヘッドドライバ112に、インクジェット記録ヘッド10と検査装置に設けられたキャリッジ102との電気的接続の確認をするコンタクトチェックを行わせる(ステップ801)。
そして、演算処理部115は、ヘッドドライバ112に検査パターンに応じた駆動信号を出力させることで、インクジェット記録ヘッド10に、図4に示した検査パターンを記録させる(ステップ802)。この際、演算処理部115は、モータコントロールボード114に、記録媒体12のインクジェット記録ヘッド10に対する位置を移動させる。
次に、演算処理部115は、ヘッドドライバ112を介して、CCDカメラ103に、ペーパーステージ101上の記録媒体12に記録された検査パターンを撮影した画像データを取得させる(ステップ803)。この際、演算処理部115は、モータコントロールボード114に、記録媒体12のCCDカメラ103に対する位置を移動させる。
そして演算処理部115は、画像処理ボード113にCCDカメラ103が撮影した画像データに対して画像処理を行わせ、画像処理後の画像データ基づいて、複数のドット群の重心位置を算出する(ステップ804)。具体的には、演算処理部115は、EVEN列のノズルが吐出したインク滴11が形成した複数のドット50であるEVEN列ドット群50EVENと、ODD列のノズルが吐出したインク滴11が形成した複数のドット50であるODD列ドット群50ODDの重心をそれぞれ計算する。
次に、演算処理部115は、EVEN列ドット群50EVENと、ODD列ドット群50ODDを各ドット群のドット列が重なるように加工した加工画像データを生成して取得する(ステップ805)。このとき演算処理部115は、EVEN列ドット群50EVENとODD列ドット群50ODDの重心をそれぞれ求め、ドット群のいずれかの重心を基準としてX方向のみ移動させ、各ドット群の重心のX座標位置を合わせる。
具体的には、EVEN列ドット群50EVENの重心座標が(Xe,Ye)であり、ODD列ドット群50ODDの重心座標が(Xo,Yo)である場合、ODD列ドット群50ODDの重心座標が(Xe,Yo)となるように、ODD列ドット群50ODDをX軸方向に水平移動させる。図9は、上記のステップ805により生成された加工画像データの一例を示す図である。
そして演算処理部115は、加工画像データ内の各ドット50の位置を測定する(ステップ806)。図10は、加工画像データ内の各ドット位置の測定について説明するための図である。演算処理部115は、加工画像データを画像処理することで、各ドット50の中心1001のX座標およびY座標を各ドット50の位置として測定する。
演算処理部115は、各ドット50の基準位置と、上記ステップ806で測定した各ドット50の位置との差異であるずれ量を取得する(ステップ807)。このとき演算処理部115は、加工画像データに基づいて基準位置を推定し、推定した基準位置と測定位置との差異を算出して各ドットのずれ量とする。基準位置を推定する方法については、第1の実施形態と同様であるが、本実施形態では、2つのドット列が重なり合うように加工された加工画像データを用いるため、ノズル列が延伸する方向において、第1の実施形態と比較して2倍の数のドットを1つの直線に近似する。このため、基準位置の推定精度を向上させることができる。
そして演算処理部115は、ステップ807で取得した複数のドット50のずれ量に基づいて、ずれ量の統計値を算出する。具体的には、演算処理部115は、隣接する2つのドット50のずれ量の平均値である平均ずれ量を取得する(ステップ808)。ノズル番号がNsegのノズルが吐出したドット50のずれ量をXN,YNとすると、平均ずれ量(Gx,Gy)は、以下の数式(1)および(2)で示される。
(N=0,2,4,・・・638)
また、演算処理部115は、ずれ量の差であるずれ量相対距離を取得する(ステップ809)。各ドット50のずれ量相対距離(Dx,Dy)は、以下の数式(3)および(4)で示される。
また、演算処理部115は、ずれ量の差であるずれ量相対距離を取得する(ステップ809)。各ドット50のずれ量相対距離(Dx,Dy)は、以下の数式(3)および(4)で示される。
そして演算処理部115は、取得した平均ずれ量およびずれ量相対距離が基準を満たしているか否かを判定する(ステップ810)。演算処理部115は、平均ずれ量およびずれ量相対距離を、それぞれ基準値と比較することで基準を満たしているか否かの判定を行う。ここで用いられる基準値は、予め定められている。本実施形態では、平均ずれ量の基準値は、例えば34μmであり、ずれ量相対距離の基準値は、80μmである。演算処理部115は、平均ずれ量が±34μm以下であり、ずれ量相対距離が80μm以下である場合、ずれ量が基準を満たしていると判定することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、ドットを直線に近似する際に、第1の実施形態にかかる検査方法と比較してノズル列が延伸する方向において、2倍の数のドットを1つの直線に近似する。近似直線を求める場合、ドット数が多いほど近似直線の精度が高まるため、各ドット50の基準位置をより正確に推定することが可能になり、インクジェット記録ヘッド10の品質をより精度高く検査することが可能になる。
なお、上記実施形態は一例を示したものであり、発明を実施する時々の技術レベルに応じて、上記の実施形態に様々な変更を加えることができる。
例えば、上記実施形態では、CCDカメラ103は、ラインセンサ型のCCDカメラであることとしたが、本発明はかかる例に限定されない。画像処理ボード113の処理能力が十分であり、高速に処理が行える場合には、CCDカメラ103は、エリアセンサ型CCDカメラであってもよい。
また、上記実施形態では、隣り合う2つのノズルが吐出したインク滴11が形成する2つのドット50について統計値が算出されたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、3つのノズルが吐出したインク滴11で1画素分の記録を行う、ドットの密度が3倍のインクジェット記録ヘッド10の場合、3つのドット50からなるドット群ごとに統計値を求め、この統計値に基づいてインクジェット記録ヘッド10の性能が評価されてもよい。ドットの密度が4倍以上の場合も同様である。なお、ドットの密度が3倍以上の場合には、ドット群に含まれるドットの組み合わせごとにずれ量相対距離が算出されるため、算出された複数のずれ量相対距離を平均した値を統計値として用いてもよい。
10 インクジェット記録ヘッド
50 ドット
103 CCDカメラ(画像取得部)
115 演算処理部
50 ドット
103 CCDカメラ(画像取得部)
115 演算処理部
Claims (7)
- 複数のノズルから吐出するインクで複数のドットを記録媒体上に形成するインクジェット記録ヘッドの検査方法であって、
前記記録媒体上の複数のドットを撮影した画像データを取得するステップと、
前記画像データ内の各ドットの位置を測定するステップと、
前記測定された各ドットの位置である複数の測定位置に基づいて、各ドットの基準位置を算出するステップと、
各ドットについて、当該ドットの測定位置と基準位置との差異であるずれ量を算出するステップと、
各ドットのずれ量の統計値を算出するステップと、
前記統計値が、予め定められた基準を満たしているか否かを判定するステップと、を含む検査方法。 - 前記統計値を算出するステップでは、隣接する複数のノズルが吐出したインクが形成する複数のドットからなるドット群ごとに、当該ドット群に含まれるドットのずれ量の統計値を算出する、請求項1に記載の検査方法。
- 前記複数のドットが前記記録媒体上で予め定められた検査パターンを構成するように、前記インクジェット記録ヘッドから前記インクを吐出させるステップをさらに含み、
前記基準位置を算出するステップでは、前記複数の測定位置に基づいて、各ドットについて、前記検査パターンに応じた理想的な位置を前記基準位置として算出する、請求項1または2に記載の検査方法。 - 前記統計値は、各ドットのずれ量の平均値を含む、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の検査方法。
- 前記統計値は、各ドットのずれ量の差を含む、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の検査方法。
- 前記インクジェット記録ヘッドは、前記複数のノズルが並んで配置された複数のノズル列を有し、
前記画像データを取得するステップでは、各ノズル列から吐出されたインクにより形成された、前記ドットが並んだ複数のドット列を含む画像データを取得し、
前記各ドットの位置を測定するステップでは、各ドット列の位置が重なるように前記画像データを加工した加工画像データを生成し、生成した前記加工画像データ内の各ドットの位置を測定する、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の検査方法。 - 複数のノズルから吐出するインクで複数のドットを記録媒体上に形成するインクジェット記録ヘッドの検査装置であって、
前記記録媒体上の複数のドットを撮影した画像データを取得する画像取得部と、
前記画像データ内の各ドットの位置を測定し、前記測定された各ドットの位置である複数の測定位置に基づいて、各ドットの基準位置を算出し、各ドットについて、当該ドットの測定位置と基準位置との差異であるずれ量を算出し、各ドットのずれ量の統計値を算出し、前記統計値が、予め定められた基準を満たしているか否かを判定する演算処理部と、を備える検査装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012285434A JP2014124918A (ja) | 2012-12-27 | 2012-12-27 | インクジェット記録ヘッドの検査方法および検査装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2012285434A JP2014124918A (ja) | 2012-12-27 | 2012-12-27 | インクジェット記録ヘッドの検査方法および検査装置 |
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JP2014124918A true JP2014124918A (ja) | 2014-07-07 |
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ID=51404820
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JP2012285434A Pending JP2014124918A (ja) | 2012-12-27 | 2012-12-27 | インクジェット記録ヘッドの検査方法および検査装置 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2014124918A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114055941A (zh) * | 2020-12-29 | 2022-02-18 | 广东聚华印刷显示技术有限公司 | 喷墨位移参数校正方法、校正装置以及校正系统 |
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2012
- 2012-12-27 JP JP2012285434A patent/JP2014124918A/ja active Pending
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