JP2014122865A - 放射性有機廃棄物の減容化無害化装置及びその使用方法 - Google Patents

放射性有機廃棄物の減容化無害化装置及びその使用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 有機廃棄物や土壌に含まれるセシウム137を迅速に無害化しながら、処理費用も大幅に低減できる放射性有機廃棄物の減容化無害化装置を提供すること。
【解決手段】 有機性廃棄物が低温熱分解温度で熱分解される熱分解室19と、有機性廃棄物を低温熱分解温度で熱分解するための火床を保持する火床保持部18を有する低温熱分解装置を備え、有機性廃棄物が放射性物質を含み、火床保持部18はゼオライト鉱石が所定の厚さで置かれており、熱分解室19の排出ガスを循環して熱分解室19に供給するガス循環系統80を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、原子力発電所の事故等により、広範囲の地域の森林や有機性廃棄物が放射性セシウム等の放射性物質に汚染された場合に用いて好適な、大量の土壌や瓦礫等に対する減容処理や無害化処理を行う装置及びその使用方法に関する。
また、本発明は、原子力発電所の操業に付随して発生する低レベル放射性汚染物の減容処理や無害化処理を行うのに用いて好適な放射性有機廃棄物の減容化無害化装置及びその使用方法に関する。
原子力発電所の事故等により広範囲に放射性物質に汚染された場合、大量の土壌や瓦礫等の処理が必要になる。放射性汚染物質にはいろいろな種類があるが、例えば、セシウム137とストロンチウム90は現在、チェルノブイリ原子力発電所事故の周囲の地域で発生している放射能の発生源の大部分を占めている。セシウム137は、半減期が30年と長く、体内に入ると血液の流れに乗って腸や肝臓にベータ線とガンマ線を放射し、カリウムと置き換わって筋肉に蓄積したのち、腎臓を経て体外に排出される。セシウム137は、体内に取り込まれてから体外に排出されるまでの100日から200日にわたってベータ線とガンマ線を放射し体内被曝の原因となる。そこで、汚染土壌から放射性セシウムを効率的に除染することは強く求められている。
しかし、汚染された土壌等は大量であるため、体積、重量を減らすことが重要である。現在は、原子炉水蒸気爆発から2年近く経過している。そこで、放射性物質のうちヨウ素131は半減期が8日程度と短いため、大部分はベータ崩壊して、安定化元素であるキセノン131に変化している。他方で、セシウム137は、ベータ崩壊して、安定化元素であるバリウム137に変化する。しかし、現在の物理学の分野では、放射性物質の半減期は一般人が生活するような環境では不変と考えられており、半減期を劇的に短くするような触媒作用をする物質は存在しないと考えられている。また、セシウムは土壌と強く結合することが知られており、これを安価な費用で効果的に分離することは現状では困難である。
例えば、特許文献1には、セシウムの抽出方法が提案されている。しかし、特許文献1は、経済的に重要なセシウム源の鉱物であるポルサイト(Cs(AlSi))からルビジウムを分離する技術に関するものである。現在におけるセシウムの世界鉱山からの採掘量は年間5から10トンであり、可採年数は数千年にもなるため、わざわざ放射能汚染された土壌からセシウムを分離しても、鉱業として商業的な成功は見込めない。
他方、放射能汚染された土壌の改善も、特許文献2、3で提案されている。しかし、特許文献2、3の処理対象とする放射性物質はプルトニウムやウランのような重金属を対象としており、セシウムのようなアルカリ金属を対象とするものではない。
また、本発明者の提案にかかる特許文献4には、有機廃棄物の低温熱分解装置が提案されているが、セシウムに関しては何らの記載がない。そこで、セシウムを含有する有機廃棄物を低温熱分解しても、有機廃棄物の減容化されるだけであり、セシウムについては残さ物として灰分に残るか、あるいは揮発して液状廃棄物に移動するはずである。
そこで、非特許文献1では、セシウムを含む土壌の原位置加熱による分離方法が検討されている。しかし、セシウムを土壌から分離する場合に、下記(a)、(b)の性質があるため、顕著な効果は得られなかった。
(a)水に溶けたセシウムは,土壌中で1価の陽イオンとして振る舞い,負に帯電している土壌粒子表面の粘土層である薄い層状構造の間に取り込まれて,きわめて強く「固定」され,他の陽イオンによって簡単に置き換えることができない。
(b)セシウムを吸着した土壌をセシウムの沸点である685℃や、セシウムの化合物の融点や沸点を考慮した1300℃程度に加熱しても,セシウムの顕著な揮発挙動は見られない。
他方、非特許文献2では、除染対象物が土壌、手法が熱処理で、高性能反応促進剤を特徴とする除染実証技術が開示されている。福島原子力発電所付近の除染対象地域での実証試験の結果によると、当該除染実証技術の除染率は99.9%と湿式分級と比較して格段に高いが、処理費用も20万円/トンと10倍以上の費用がかかる問題点がある。
特開平5−5134号公報 特開平6−51096号公報 特表平10−505903号公報 特許第3872083号公報
日本原子力研究開発機構 JAEA−Research 2011−026 福島第一原子力発電所事故に係る避難区域等における除染実証業務報告書 日本原子力研究開発機構 平成24年6月
本発明は上記課題を解決するもので、有機廃棄物や土壌に含まれるセシウム137を迅速に無害化しながら、処理費用も大幅に低減できる放射性有機廃棄物の減容化無害化装置及びその使用方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、原子力発電所の操業に付随して発生する低レベル放射性汚染物を処理するのに好適な放射性有機廃棄物の減容化無害化装置及びその使用方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の放射性有機廃棄物の減容化無害化装置は、例えば図1に示すように、有機性廃棄物が低温熱分解温度で熱分解される熱分解室19と、有機性廃棄物を低温熱分解温度で熱分解するための火床を保持する火床保持部18を有する低温熱分解装置を備え、有機性廃棄物が放射性物質を含み、火床保持部18はゼオライト鉱石が所定の厚さで置かれており、熱分解室19の排出ガスを循環して熱分解室19に供給するガス循環系統80を備える。
本発明の放射性有機廃棄物の減容化無害化装置によれば、低温熱分解装置10において、熱分解室19にて有機性廃棄物が低温熱分解温度で熱分解される。火床保持部18は、有機性廃棄物を低温熱分解温度で熱分解するための火床を保持する。火床保持部18はゼオライト鉱石が所定の厚さで置かれている。この所定の厚さは、有機性廃棄物を低温熱分解温度を保持するのに適した厚さがよく、例えば1mm〜20cmの厚さが良い。ゼオライト鉱石の厚さが1mmより薄いと、火床保持部18での伝熱により装置外部に熱が漏れて、有機性廃棄物を低温熱分解温度に保持するのが難しくなり、有機廃棄物の減容化の効率が低下する。ゼオライト鉱石の厚さが20cmより厚いと、有機廃棄物と比較してゼオライト鉱石の量が多くなり、有機廃棄物の減容化の効率が低下する。
ガス循環系統80は、熱分解室19の内部を低温熱分解温度で維持するために、熱分解室19の排出ガスを循環して熱分解室19に供給する。排出ガスを循環することで、低酸素状態のガスが熱分解室19に供給され、有機廃棄物の酸化速度が適切に制御されて、有機廃棄物の発熱量と熱分解室19の外部への放熱がバランスして、低温熱分解温度の維持が容易になる。
そして、このゼオライト鉱石と低温熱分解温度の相乗作用で、有機性廃棄物に含まれる放射性物質、例えばセシウム137、の崩壊が自然の半減期と比較して千倍から一万倍の速度に促進されると考えられる。
本発明の放射性有機廃棄物の減容化無害化装置において、好ましくは、熱分解室19は、熱分解された前記有機性廃棄物の熱分解ガスを排出する熱分解ガス出口26を有し、ガス循環系統80は熱分解ガスを水分で洗浄した洗浄済みガスを帰還すると共に、さらに熱分解室19は、洗浄済みガスを前記熱分解室に吸気するためのガス供給口25を有するとよい。
このように構成すると、熱分解ガスは水分で洗浄済みなので、有機性廃棄物の熱分解に付随する水分・炭化水素油・ばいじん等が除去されて、有機性廃棄物の熱分解に適する酸素含有率の少ない洗浄済みガスが供給される。そこで、有機性廃棄物に含まれる放射性物質は減容化無害化装置内を循環し、外部空間に漏洩することがない。
本発明の放射性有機廃棄物の減容化無害化装置において、好ましくは、低温熱分解温度は、熱分解室19内で熱分解する有機性廃棄物温度として大略200℃〜300℃の範囲内であるとよい。熱分解室19内で熱分解する有機性廃棄物温度として大略200℃以下だと、放熱により冷却されやすくなり、熱分解反応が緩慢となりやすく、熱分解反応が停止して、熱分解反応の安定した継続が困難となる。熱分解室19内で熱分解する有機性廃棄物温度として大略300℃以上だと、熱分解反応が急激に促進されやすく、低温熱分解温度が上昇して、熱分解反応の安定した継続が困難となる。
本発明の放射性有機廃棄物の減容化無害化装置において、好ましくは、さらに、磁場を生成する磁気生成手段85と、磁気生成手段85で生成された磁気を火床保持部18に導くための、前記低温熱分解温度で強磁性を有する材料よりなる高透磁率部材24を有するとよい。好ましくは、高透磁率部材24は火床保持部18の下部に設けられたガス通気部の壁材を兼ねるとよい。
このように構成すると、高透磁率部材24により、磁気生成手段85で生成された磁気が火床保持部18に導かれるため、火床保持部18を含む熱分解室19に形成される磁場が強くなり、有機性廃棄物に含まれる放射性物質の崩壊に有益と思われる。また、高透磁率部材24が火床保持部18の下部に設けられたガス通気部の壁材を兼ねると、熱分解室19内に循環するガスが磁気生成手段85の磁気作用を受けて、ガス流速が高まる効果がある。
本発明の放射性有機廃棄物の減容化無害化装置において、好ましくは、さらに、熱分解室19に火床を形成するための有機性乾燥多孔質材からなる熱分解温度保持材92を供給する手段(91、94)と、熱分解室19に少なくとも熱分解温度以上の温度を有する自律熱分解状態の種火保持材99を供給する手段(98、94)とを備えるとよい。
熱分解温度保持材92は、低温熱分解減容化装置の稼働開始時に必要な火床を形成するのに用いる有機性乾燥多孔質材である。種火保持材99は、少なくとも熱分解温度以上の温度を有する自律熱分解状態であり、熱分解温度保持材が充填された熱分解室19に投入されて、低温熱分解減容化装置の稼働開始時に必要な火床を形成する種火となる。
本発明の放射性有機廃棄物の減容化無害化装置において、好ましくは、熱分解室19に投入する種火保持材を一時貯えるストックヤード14と、熱分解室19とストックヤード14との間に設けられたストックヤード仕切板17とを備えると共に、ストックヤード14に貯蔵された種火保持材は熱分解室19に収容された熱分解温度保持材の表面に対して少量毎に落下する構造とするとよい。このように構成すると、ストックヤード14は種火保持材を一時貯えるため、熱分解温度保持材が熱分解室19に収容されている場合に、種火保持材を熱分解温度保持材の表面に対して少量毎に落下することで、種火保持材を均一な厚さで熱分解温度保持材の表面に堆積させるのが容易になる。
本発明の放射性有機廃棄物の減容化無害化装置において、好ましくは、放射性物質はセシウム134とセシウム137の少なくとも何れか一方を含むとよい。
上記課題を解決する本発明の放射性有機廃棄物の減容化無害化装置の使用方法は、例えば図4に示すように、有機性廃棄物が低温熱分解温度で熱分解される熱分解室19と、有機性廃棄物を低温熱分解温度で熱分解するための火床を保持する火床保持部18を有する低温熱分解装置の使用方法であって、熱分解室19に、火床を形成するための有機性乾燥多孔質材からなる熱分解温度保持材92を供給するステップ(S104、S106)と、熱分解室19に、少なくとも熱分解温度以上の温度を有する自律熱分解状態の種火保持材99を供給するステップ(S110、S114)と、熱分解室19で種火保持材99によって、熱分解温度保持材92の熱分解を安定的に維持するステップ(S118)と、熱分解温度保持材92の熱分解安定化ステップの後に、低温熱分解の対象となる有機性廃棄物を熱分解室19に供給するステップ(S120、S124)と、前記有機性廃棄物が減容化されると共に、当該有機性廃棄物に含まれる放射性物質量が低下するまで、前記熱分解温度を保持するステップ(S119)とを備える。
本発明の放射性有機廃棄物の減容化無害化装置によれば、火床保持部はゼオライト鉱石が所定の厚さで置かれており、熱分解室の排出ガスを循環して熱分解室に供給するガス循環系統を備えるので、熱分解室が低温熱分解温度で安定化すると共に、ゼオライト鉱石と低温熱分解温度が作用する環境にあるため、有機性廃棄物に含まれる放射性物質の崩壊が促進され、セシウム137のような放射性物質が無害化されると考えられ、安全な状態となり、人の居住環境での低放射線化が促進される。
また、本発明の放射性物質の処理方法は、放射性有機廃棄物の減容化無害化装置及びその使用方法をさらに一般化したもので、磁場やゼオライト鉱石の存在下でセシウム137のような放射性物質を無害化処理する。
本発明に係る放射性有機廃棄物の減容化無害化装置の全体構成を説明する構成図である。 本発明の放射性有機廃棄物の減容化無害化装置の操業開始時を説明する図である。 本発明の放射性有機廃棄物の減容化無害化装置の操業開始時を説明する図である。 本発明の放射性有機廃棄物の減容化無害化装置の使用方法を説明する流れ図である。 熱分解装置稼働時の周辺空間γ線量率の分布状態を説明する図である。 熱分解装置の不稼働状態での磁場分布状態を説明する図である。
以下、図面によって本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る放射性有機廃棄物の減容化無害化装置の全体構成を説明する構成図である。図において、放射性有機廃棄物の減容化無害化装置1は、低温熱分解装置10、ガス洗浄装置2、並びに両者を接続する管路としての給水系統70、ガス循環系統80を備えている。低温熱分解装置10側には、気液分離器30を設置している。また、ガス洗浄装置2側には水分噴霧塔50a、50bと貯液タンク60が設けてある。また、クレーン94が設けてあり、有機性乾燥多孔質材92と種火保持材99を低温熱分解装置10に投入する。
低温熱分解装置10は、有機性廃棄物が投入される投入口11、耐熱性材料よりなる側壁12、地面に設置する為の基部13を有する円筒状又は箱状の容器で、有機性廃棄物の単位時間処理能力に応じた容積を有している。投入口11は、低温熱分解装置10の蓋部分に設けることによって、ストックヤード14に有機性廃棄物を投入する作業を容易にするものである。ストックヤード14は、投入口11側に設けられた第1層開閉蓋15と、熱分解室19側に設けられた第2層開閉蓋16を有している。第1層開閉蓋15と第2層開閉蓋16は、水平方向(矢印A、B方向)に開閉動作を行うものである。第2層開閉蓋16を閉じた状態では、第2層開閉蓋16がストックヤード仕切板17として作用する。
ストックヤード仕切板17は、低温熱分解装置10内部に水平状態で収容された仕切板で、上側にストックヤード14が形成され、下側には熱分解室19が形成されている。熱分解室19の定常運転時の内部温度は最高で200℃〜300℃程度であるが、有機性廃棄物に着火して焼却炉のような状態で燃焼する場合にも損壊しないように、投入口11、側壁12、ストックヤード仕切板17には耐熱性鋼板等の耐熱性材料を用いると良い。
火床保持部18は、低温熱分解装置10内部に水平状態で収容された仕切板で、上側に保熱性材料20と、熱分解中の炉内有機性廃棄物21を保持し、下側には洗浄済みガスが通風するガス通風部24が形成されている。火床保持部18は、保熱性材料20と炉内有機性廃棄物21がガス通風部24に落下しないように保持する程度の網状体、又は一定形状の開口部が多数形成されている。火床保持部18には、鉄等の強磁性材料であって、キュリー温度が低温熱分解温度(200℃〜300℃)より高い構造材料を用いるのが良い。火床保持部18やガス供給口25、ガス通風部24を形成する管路に強磁性材料を用いることにより、永久磁石ユニット85の発生する磁場は熱分解室19の全体に作用する。
保熱性材料20は、低温熱分解温度(200℃〜300℃)程度に温度が維持されるもので、ゼオライト鉱石のような一定の粒子形状を有するものである。ゼオライト鉱石は、例えば比表面積が大きな粉末のものを用いるとよい。
熱分解室19の壁面材料、火床保持部18の仕切板や格子部材、ガス通風部24の管材料には、鉄等の強磁性構造材料を用いるとよい。熱分解室19の定常運転時の内部温度は最高で200℃〜300℃程度であるため、構造用鋼板のようなニッケル鋼やコバルト鋼と比較して、耐熱性に劣る鉄製材料でも差支えないが、ニッケル鋼板やコバルト鋼板のような耐熱構造材料を使用してもよい。鉄のキュリー温度は770℃、ニッケルのキュリー温度は354℃、コバルトのキュリー温度は1115℃である。熱分解室19の定常運転時は低温熱分解温度であり、ガス通風部24の管材料内部は永久磁石ユニット75、85の磁場の影響を受けて、例えば0.05テスラから0.3テスラ程度の磁束密度を有するものと考えられる。なお、ガス通風部24の管材料外部は、磁気抵抗が大きいため、磁束密度は環境磁場程度に低下している。
磁束密度の分布は、熱分解室19の壁面材料、火床保持部18の仕切板や格子部材、ガス通風部24の管材料の磁気抵抗により影響を受ける。そこで、熱分解室19の磁束密度の分布を調べるには、磁気回路の理論を用いると良い。ここで、磁気回路の基礎計算式は、電気回路に関するオームの法則と大略同様の関係にある。即ち、磁気回路の全磁束をファイ、起磁力をF、磁気抵抗をRとすると、この三者の間には、次の関係が成立している。
[全磁束ファイ]=[起磁力F]/[磁気抵抗R] (1)
そして、磁気抵抗Rは、磁路の長さをL、磁路の断面積をA、磁路の透磁率をミューとしたとき、次の関係が成立している。
[磁気抵抗R]=[磁路長L]/{[磁路断面積A]x[透磁率ミュー]} (2)
即ち、磁路長が短く、磁路断面積および透磁率が大きいほど磁気抵抗Rが小さくなる。比透磁率ミューは、真空の透磁率を基準としたもので、常温での比透磁率ミューは、コバルトで250、ニッケルで600、鉄の場合は鋼の種類に応じて相違するが、例えば2000−7000の間である。
熱分解室19は、保熱性材料20、炉内有機性廃棄物21並びにストックヤード14から供給される有機性廃棄物が低温熱分解温度で熱分解する空間で、火床保持部18とストックヤード仕切板17の中間に形成される。熱分解室19に対する酸素の供給は、ガス供給口25から供給される洗浄済みガスに限定される為、有機性廃棄物の完全な酸化反応に必要とされる酸素量に比較して、極端な酸素欠乏状態にある。そこで、有機性廃棄物は一酸化炭素や炭素鎖が一部分解された低級炭化水素化合物に熱分解されて、熱分解ガス出口26より有機性廃棄物の熱分解ガスとして排出される。
残さ堆積層22は、火床保持部18の下側に形成されるもので、残さ堆積層22と火床保持部18との間に位置するガス通風部24を洗浄済みガスが通風する。残さ堆積層22には、熱分解室19で熱分解された炉内有機性廃棄物21の残さや、熱分解に伴って微粒子化した保熱性材料20が堆積する。この残さの成分を熱分析したところ、有機性廃棄物が木材や一般家庭ごみの場合には、石膏が主成分であることが判明した。
残さ排出口23は、残さ堆積層22に堆積した炉内有機性廃棄物21の残さと熱分解に伴って微粒子化した保熱性材料20を取出す開口部である。ガス供給口25は、洗浄ガス循環管路84から供給される洗浄済みガスが供給されるものである。熱分解ガス出口26は、ストックヤード仕切板17近傍の熱分解室19に位置する側壁12に設けられたもので、有機性廃棄物の熱分解ガスを気液分離器30に供給する。
気液分離器30は、熱分解ガス出口26から排出される熱分解ガスを気液分離する筒状の施設で、熱分解ガスの気流が直接当るコーン状の衝止板31を有している。衝止板31にて熱分解ガスが比重に応じてガス成分と液体・微粒子成分とに分離される。分離ガス排出口32は、気液分離器30の頂部に設けられたもので、熱分解ガスから液体や微粒子成分が除去された分離ガスを水分噴霧塔50aに送る。気液分離器底部33には、熱分解ガスから比重で分離された液体や微粒子成分が溜まる。分離液体排出口34は、気液分離器30の底に設けられたもので、熱分解ガスから比重で分離された液体や微粒子成分を貯液タンク60に送る分離液管路40と接続されている。なお、液体は、凝縮した炭化水素油や水分の混合物と考えられ、ばいじんなどの微粒子成分を含んだ状態となっている。
水分噴霧塔50a、50bは、気液分離器30で分離された分離ガスに、ガス処理水を噴霧するもので、ここでは大略同一形状の水分噴霧塔が2系列直列に設けられているものを図示している。なお、水分噴霧塔は3系列以上直列に設けることによって、分離ガスの洗浄を確実に行う構成としてもよく、また分離ガスの多寡に応じた処理能力の為に並列に増設しても良い。水分噴霧塔50a、50bは、塔内でガス処理水が噴霧される関係で、内部温度が蒸気温度である100℃乃至それより低い温度である。そこで、構造材料として塩化ビニール樹脂、ガラス繊維強化プラスチック、又はジシクロペンタジエン樹脂等の耐腐蝕性プラスチック材料を用いることが出来る。耐腐蝕性プラスチック材料を用いると、分離ガスに塩化水素や亜硫酸ガスのような腐蝕性ガスが含まれていても、腐食することがなく耐久性が高くなる。
まず、上流の水分噴霧塔50aにおいて、分離ガス導入路51aは、一端が分離ガス排出口32と接続され、他端が塔内上部53a側に開口したもので、気液分離器30から供給される分離ガスを水分噴霧塔50a内部に導く。ガス処理水噴霧塔52aは、一端がガス処理水供給管路73と接続され、他端が塔内上部53a側に開口したもので、ガス処理水を分離ガスに噴霧する噴霧口を有する。ガス処理水噴霧塔52aの噴霧口は、塔内上部53aと塔内下部55aにて霧状にガス処理水を噴霧して、分離ガスとの気液交換を効率的に行い、分離ガスに含まれる水溶性成分をガス処理水中に溶し込む。塔外排出管54aは、一端が塔内下部55aと接続され、他端が下流の分離ガス導入路51bと接続されている。ガス処理水との気液交換の完了した分離ガスは、塔外排出管54a経由で下流の分離ガス導入路51bに送られる。分離ガスとの気液交換が完了したガス処理水は、ガス処理水排出路56aを経由して、ガス処理水管路41を経て、貯液タンク60に貯えられる。
下流の水分噴霧塔50bにおいて、ガス処理水噴霧塔52b、塔内上部53b、塔内下部55b、ガス処理水排出路56bは、其々ガス処理水噴霧塔52a、塔内上部53a、塔内下部55a、ガス処理水排出路56aと同様の構造と機能を有している。分離ガス導入路51bは、一端が塔外排出管54aと接続され、他端が塔内上部53aで開口したもので、上流の水分噴霧塔50aから送られる分離ガスを水分噴霧塔50b内部に導く。塔外排出管54bは、一端が塔内下部55bと接続され、他端が洗浄ガス循環縦管82と接続されている。
貯液タンク60は、気液分離器30で分離された分離液体と、水分噴霧塔50a、50bで噴霧されたガス処理水とを貯えるものである。貯液タンク60に対する分離液体とガス処理水の輸送は、分離液管路40とガス処理水管路41を用いている。即ち、分離液管路40は、分離液体排出口34と接続されて、気液分離器30で分離された分離液体を輸送するもので、ガス処理水管路41と接続されている。分離液管路40は、さらにガス洗浄装置2の筐体内部で、ガス処理水排出路56a、56bと接続されており、水分噴霧塔50a、50bで噴霧されたガス処理水を輸送する。ガス処理水管路41は、分離液管路40と貯液タンク60とを接続する縦管である。分離液管路40は、満水状態で用いられることは稀で、通常は分離液体やガス処理水の上部には分離ガスが通過する構造となっている。
貯液タンク60では、比重の重い水分を主成分とする重比重液体層61と、各種炭化水素油を主成分とする軽比重液体層62に分離する。貯液タンク60の上部は蓋部64で覆われており、軽比重液体層62と蓋部64との間にガス滞留室63が形成されている。ガス滞留室63は、ガス処理水管路41から重比重液体層61をへて送りこまれた洗浄済みガスが滞留していると共に、洗浄ガス循環縦管81の他端が接続されている。炭化水素油排出管65は、軽比重液体層62の比重の軽い炭化水素油について廃油タンク66に送るものである。貯液タンク60に貯蔵された分離液体とガス処理水の混合液体は、水分と炭化水素油を含む為、炭化水素油については廃油タンク66に分離して貯える。
貯液タンク60には、気泡生成装置(67、68)が設けられており、分離液体とガス処理水の混合液体に対して気泡を吹込むバブリング処理を行うことで、比重による分離を促進している。即ち、気泡生成装置は、空気を吹込むブロワーポンプ67と、貯液タンク60の底部に噴出し口を有するバブリング管68を有している。ブロワーポンプ67により吸込まれた空気は、バブリング管68によって噴出し口より噴出して、分離液体とガス処理水の混合液体に対して比重による分離を促進している。
液体循環部としての給水系統70は、貯液タンク60に貯えられた重比重液体層61の水分をガス処理水として水分噴霧塔50a、50bに供給するもので、ラインポンプ71、ガス処理水供給管路72、73を有している。液体循環部のうち、水分噴霧塔50a、50bからの回収管路は、分離液管路40とガス処理水管路41となっている。ラインポンプ71は、貯液タンク60に貯えられた液体のうち、比重の重い水分をガス処理水として利用できるように、貯液タンク60の底に比較的近い位置に液体吸込み口74を有している。液体吸込み口74では、貯液タンク60に沈殿しているばいじんや固形分が吸込まれないように、適宜のフィルターが設置してある。
洗浄ガス循環系統80は、水分噴霧塔50a、50bにてガス処理水の噴霧された洗浄済みガス(未反応ガス)を、低温熱分解装置10に帰還するもので、洗浄ガス循環縦管81、82、洗浄ガス循環横管83、洗浄ガス循環管路84とを備える。洗浄ガス循環横管83は、最下流段に位置する水分噴霧塔50bの近傍に設けられた洗浄ガス循環縦管82と、低温熱分解装置10の近傍に設けられた洗浄ガス循環管路84との間を連結する管路で、概ね水平方向に位置している。洗浄ガス循環横管83は、低温熱分解装置10とガス洗浄装置筐体2の設置状態に応じて適宜に配置できる。洗浄ガス循環縦管81は、一端がガス滞留室63と接続され、他端が洗浄ガス循環縦管82の端部と接続されている。塔外排出管54bは、洗浄ガス循環縦管81、82の接続部に接続されている。
フィルター86は、洗浄ガス循環横管83に装着されるもので、洗浄ガス循環系統80を流れる洗浄済みガス(未反応ガス)に含まれるばいじんを除去して、洗浄ガス循環系統80がばいじんで閉塞する事態を防止する。ブロワー87は、洗浄ガス循環横管83に装着される送風機で、洗浄ガス循環系統80から洗浄ガス循環管路84のガス供給口25近傍に、洗浄済みガス(未反応ガス)が流れ込むのに必要な気流を生成する。ミストトラップ88は、洗浄ガス循環横管83に装着されるもので、洗浄ガス循環系統80を流れる洗浄済みガス(未反応ガス)に含まれる水分を除去して、洗浄ガス循環系統80内で水分が凝縮することを防止する。なお、フィルター86、ブロワー87、ミストトラップ88は、洗浄ガス循環横管83に代えて、洗浄ガス循環縦管82に装着しても良い。
永久磁石ユニット85は、通気通路に設置されるもので、通気通路として洗浄ガス循環管路84のガス供給口25近傍が用いられる。永久磁石ユニット85は、通気通路を挟んで略対向するように配設された少なくとも一対の永久磁石を有する。永久磁石ユニット85が装着されていると、ガス供給口25からの洗浄済みガス吸入量が20〜50%程度増大することが経験的に知られている。永久磁石ユニット75は、ガス処理水供給管路72に装着されるもので、装着によりガス処理水供給管路72の管路抵抗が減少して、水分噴霧塔50a、50bにおける液体循環が効率的に行える。
永久磁石ユニット75、85の磁場の強さは、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、ネオジウム磁石等の永久磁石として通常用いられる値であり、例えば0.1テスラ〜数テスラの範囲である。永久磁石ユニット75、85の着磁方向は、N極又はS極の一方が通気通路や給水管路72を挟んで対向するようにするのが良いが、通気通路や給水管路72の流れ方向に沿ってN極とS極が着磁されていてもよい。なお、永久磁石ユニット75、85と共に、磁力を高めるために電磁石や超電導磁石を併用してもよい。
有機性乾燥多孔質材収容体91は、熱分解温度保持材としての有機性乾燥多孔質材92を収容するもので、例えば布袋や床板が開閉自在な運搬用の箱体が用いられる。有機性乾燥多孔質材92には、大鋸屑やもみ殻、蕎麦殻、麦殻などの穀物殻を用いると良い。吊り紐93は有機性乾燥多孔質材収容体91を低温熱分解減容化装置の近傍から投入口11に運搬するのに用いる。
クレーンレール94は、動力をもって荷をつり上げ、荷を水平に運搬することを目的とする機械装置の水平材で、移動範囲を定める。トロリ95は、クレーンレール94に沿って走行する。クレーンロープ96は、先端に設けたフック97により吊り紐93を吊って、有機性乾燥多孔質材収容体91を目的場所に移動するのに用いる。クレーンは、巻上げ(図中矢印V方向)、横行、走行(図中矢印H方向)の3動作が可能である。なお、クレーンはクレーン車のように自走式でもよく、天井クレーンのように建屋に固定して設置してもよい。
種火保持材収容体98は、種火保持材99を収容するもので、例えば耐熱性の高い金網製袋や床板が開閉自在な運搬用の金属製箱体が用いられる。種火保持材99は、種火状態の木炭、成形木炭、オガ炭、竹炭、活性炭、マングローブ炭、ヤシガラ炭の少なくとも一種類を用いるとよい。種火保持材99は、例えば木炭の場合には、火熾しをして木炭を着火させて用いる。木炭の着火には、バーナーを使う方法、着火処理をした木炭を使う方法、チャコールスターターを使う方法等がある。木炭を着火することで、種火保持材99は、低温熱分解減容化装置の熱分解温度以上の温度を有する自律熱分解状態となり、熱分解温度保持材が充填された熱分解室19に投入されて、低温熱分解減容化装置の稼働開始時に必要な火床を形成する種火となる。
このように構成された放射性有機廃棄物の減容化無害化装置の動作を説明する。図2と図3は、本発明の放射性有機廃棄物の減容化無害化装置の操業開始時を説明する図で、各々が有機性乾燥多孔質材を投入した状態と、種火保持材を投入した状態を示している。
ここでは、図4の流れ図に基づいて、本発明の放射性有機廃棄物の減容化無害化装置において、起動時と安定時の操業過程を説明する。まず、低温熱分解装置10のストックヤード14に、熱分解温度保持材としての有機性乾燥多孔質材を投入する(S100)。起動時なので、熱分解室19からは熱分解ガスの発生はなく、第1層開閉蓋15は開放状態で差し支えない。また、保熱性材料20は火床保持部18に敷き詰められているが、起動時なので常温であり、低温熱分解温度には到達していない。次に、ストックヤード仕切板17を開くと(S102)、有機性乾燥多孔質材92が熱分解室19に落下する(S104)。そこで、図2に示すように、熱分解室19には、有機性乾燥多孔質材92が充分に蓄えられる(S106)と共に、ストックヤード14側の表面が平坦であるように有機性乾燥多孔質材92を動かす。この場合、有機性乾燥多孔質材92が熱分解ガス出口26を塞がない程度の高さにする。
次に、種火保持材を投入する準備のため、ストックヤード仕切板17を閉鎖する(S108)。そして、低温熱分解装置10のストックヤード14に、種火保持材99を投入する(S110)。次に、ストックヤード仕切板17を開くと(S112)、種火保持材99が熱分解室19に落下して有機性乾燥多孔質材92を覆う状態となる(S114)。ここで、種火保持材99が投入口11の近くに集まるのを防止して、図3に示すように、種火保持材99が均一な厚さで有機性乾燥多孔質材92を覆う状態となるように、種火保持材99の落下状態を少量ずつ小分けして調整する。
次に、ストックヤード仕切板17を閉鎖して(S116)、種火保持材99と有機性乾燥多孔質材92から発生する熱分解ガスが周囲に漏れないようにする。熱分解室19では、種火保持材99によって有機性乾燥多孔質材92の熱分解を安定的に維持する(S118)。すると、有機性乾燥多孔質材92全体が熱分解状態となり、火床が形成されて、保熱性材料20の全体が低温熱分解温度に到達する。この保熱性材料20の全体が低温熱分解温度に到達した状態を所定期間、例えば2日から1か月間の間維持すると、有機性廃棄物が減容化されると共に、当該有機性廃棄物に含まれる放射性物質量が低下する(S119)。
また、火床が形成されて、保熱性材料20の全体が低温熱分解温度に到達すると共に、有機性乾燥多孔質材92は、低温熱分解して徐々に減容されて、熱分解室19に有機性廃棄物を投入するための空隙が形成される。この段階で、低温熱分解の対象となる有機性廃棄物をストックヤード14に供給する(S120)。そして、有機性廃棄物を暖めると共に、適正な水分率、例えば5%〜25%となるように調整して、ストックヤード仕切板17を開放する(S122)。適正な水分率は有機性廃棄物のカロリーによって変動するが、水分率の下限値は低温熱分解温度から過度に高温側になるのを防止するように定める。水分率の上限値は、水分を蒸発させるのにエネルギーが消費されても、低温熱分解温度を維持できるように定める。
すると、低温熱分解の対象となる有機性廃棄物が、ストックヤード14から熱分解室19に落下する(S124)。落下した有機性廃棄物は、火床の上で均一な厚さとなるように拡散させるとよい。そして、ストックヤード仕切板17を閉鎖して(S126)、有機性廃棄物から発生する熱分解ガスが周囲に漏れないようにする。
熱分解室19内の有機性廃棄物は、低温熱分解減容化の進行に従って次第に少なくなり、例えば3日から21日程度経過すると、大部分が残さとなり、一般的な焼却の指標とされる十分の1程度に対して、百分の1から千分の1程度と大幅に減容化される。そこで、低温熱分解の対象となる有機性廃棄物があるか判断し(S128)、YesであればS120に戻り、有機性廃棄物をストックヤード14に供給する。Noであれば低温熱分解減容化処理は終了する。この場合、火床が消えなければ、稼働の再開はS120から行えるが、火床が消えればS100に戻って最初から行う。
なお、一般廃棄物、産業廃棄物は、木材、紙、プラスチック、ゴムなどの炭素化合物を含んでいる為、洗浄済みガスに僅かに含まれる酸素による酸化に伴って、酸化エネルギーを発生する。また、洗浄済みガスは永久磁石ユニット85によって生成する磁場を通過する際に、磁気作用によって活性化されると考えられている。この磁気活性化処理により、低温熱分解装置における一般廃棄物、産業廃棄物の熱分解が促進され、例えば熱分解速度として数十%程度促進される。放射性セシウムの崩壊に関しても、自然の半減期と比較して千倍から一万倍の速度で崩壊している可能性がある。
本発明に係る放射性有機廃棄物の減容化無害化装置は、気体に関しては密閉系であり、液体に関しても密閉系であるため、放射性セシウムが何らかの原因で消滅しているとの測定結果が得られている。本発明者らは、一般的な物理学の常識から放射性セシウムの半減期を早めるものは、ゼオライト鉱石と低温熱分解温度の共同による触媒的作用によると考えており、また永久磁石ユニット85の磁場が間接的に作用している可能性も否定できない。
低温熱分解装置10では、原材料を燃焼として比較して各段に低温度の200℃〜300℃で熱分解させるもので、併せて熱分解生成物と洗浄済みガスとを反応させて、一酸化炭素を含む熱分解ガスと水蒸気を生成する。この生成された熱分解ガスと水蒸気は、ガス洗浄装置筐体2としての水分噴霧塔50に送られ、シャワーリング処理(ガス処理水を分離ガスに噴霧すること)が行われる。そして、比重分離装置としての貯液タンク60において、水分噴霧塔50で噴霧されたガス処理水が貯えられる。比重分離装置では、ガス処理水をバブリング処理する。貯液タンク60で生成する分離ガスは、低温熱分解装置10に帰還されるが、その際に永久磁石ユニット85による磁化処理を受ける。水分噴霧塔50a、50bにてガス処理水の噴霧された洗浄済みガスは、低温熱分解装置10で熱分解されなかった未反応成分を含む未反応ガスを含んでおり、洗浄ガス循環系統80により低温熱分解装置10に帰還される。
貯液タンク60で比重分離された液体は、油分と水分に分離する。水分に関しては、ガス処理水として水分噴霧塔50に帰還されるが、配管の途中で永久磁石ユニット75により磁化処理される。ガス処理水に対する磁化処理も、液体循環部を構成する配管中の流体抵抗を減少させると考えられている。貯液タンク60の水分は、BOD(生物化学的酸素要求量)が高く、廃水処理が必要である。廃水処理では、例えば活性汚泥を用いる。この分離した活性汚泥は、有機性廃棄物としてストックヤード14に投入して、熱分解処理できると共に、放射性セシウムについても崩壊が促進される。
続いて、本発明者らが福島県双葉郡広野町の北下迫地内にある広野町災害廃棄物仮置き場の分別エリア内で、本発明の装置で試験を行った結果を説明する。試験の期間は、次の通りである。ここで、試験の期間とは、本発明の装置で極低レベルの放射性セシウムを含有する有機性廃棄物を処理した期間をいう。
試験1の期間:平成24年3月18日〜4月4日
試験2の期間:平成24年5月6日〜5月21日
試験3の期間:平成24年7月9日〜8月3日
Figure 2014122865
また、本発明の装置には、表1に示すように、ストックヤード14の廃棄物供給容量が小容量の0.75mと設備と、中容量の10mの設備の二種類がある。小容量設備は、回収槽としての廃油タンク66の容量が100リットル、循環水槽としての貯液タンク60の容量が100リットル、ゼオライト鉱石は300kgを用いている。中容量設備は、回収槽の容量が200リットル、循環水槽の容量が200リットル、ゼオライト鉱石は3000kgを用いている。小容量設備は、試験1の期間と試験2の期間について使用し、中容量設備は、試験3の期間について使用した。
Figure 2014122865
Figure 2014122865
有機性廃棄物をストックヤード14に投入した重量は、試験1で133.6kg、試験2で129.8kg、試験3で3530kgであり、稼働日数は其々18日、15日、25日間である(表2参照)。また、試験の最終日に計量した残さ重量に関しては、試験1で0.01kg、試験2で0.6kg、試験3で6kgであり、減容化率として千分の1乃至千分の5程度が得られている(表3参照)。
Figure 2014122865
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ところで、有機性廃棄物に含まれる極低レベルの放射性セシウムは、分解油、循環水、循環ガスと移行すると共に、ゼオライト鉱石に吸着され、残りは残さ物に含有されるはずである。そして、試験完了後のゼオライト鉱石の表面での空間γ線量率は、0.549μSV/hと試験を実施した場所のバックグランド濃度程度になっている。なお、空間γ線量率の測定は、堀場製作所製の環境放射線モニタ(PA−1000、固体シンチレータCsI(TI)検出器)を用いている。
試験1では、残さと循環水の放射性物質の濃度を測定している。残差の濃度は、2930Bq/kgとなっているが、残さ量が約0.01kgであることから、残さでは放射性物質の濃縮は起こっていないと考えられる(表4参照)。また、循環水は不検出となっているが、検出限界は10Bq/kgである(表5参照)。なお、表5で分解油、炉内ガス等について『−』で表示された欄については、未計測であることを示している。
Figure 2014122865
そこで、放射性物質の全体の物質バランスを検討すると、例えば試験1で投入された全量は約53万Bqであるのに対して、残さに含まれるのは29Bqである(表6参照)。従って、分解油、循環水、炉内ガス、ゼオライト鉱石に移行した量と、何らかの原因で減衰した量が53万Bqとなる。残さ基準での放射性物質の減少量は99.99%となる。
Figure 2014122865
表7は、投入廃棄物の量と放射能量の関係を示したものである。試験1で投入された廃棄物全量は133.6kgであり、投入放射能の全量は約53万Bqであるから、平均濃度は約4000Bq/kgとなる。試験2、3についても平均濃度は約4000Bq/kgと約1万Bq/kgである。
Figure 2014122865
放射性セシウムの半減期が30年のままであれば、投入廃棄物の熱分解に伴って放射性セシウムが濃縮され、低温熱分解装置10内の放射性セシウムの全量は実質的に不変と考えられる。そこで、熱分解装置稼働時の周辺空間γ線量率を測定した。図5は、熱分解装置稼働時の周辺空間γ線量率の分布状態を説明する図である。表8で示すように、分解油タンクとしての廃油タンク66と、循環水タンクとしての貯液タンク60の周辺が、低温熱分解装置の近傍地点よりも低い値となっている。また、周辺空間γ線量率は熱分解装置から離れるほど高くなっている。
Figure 2014122865
広野町災害廃棄物仮置き場は、災害廃棄物の分別作業を行っている場所で、平成24年1月〜3月の平均空間γ線量率は表9のようになっている。仮置き場に集積されている災害廃棄物には放射性物質が含まれており、その放射能濃度には高低があるが、一時的に放射性物質が集積されているストックヤード周辺が仮置き場内の平均値よりも高くなっている。しかし、熱分解装置稼働時の周辺空間γ線量率は、熱分解装置の近傍が仮置き場内の平均空間γ線量率よりも低くなっており、熱分解装置の稼働には放射能濃度を低める作用があることが実測された。
特別管理が必要な廃棄物を含めて、一般的な産業廃棄物を適正処理するには、減容化を行うことで最終処分量を少なくすることが適切である。減容化処理としては、焼却処理が一般的である。しかし、廃棄物に放射性物質が含まれる場合には、焼却の過程で放射性物質の消滅は起きず、燃え殻や煤塵に放射性物質が濃縮されて含まれる。そこで、放射性廃棄物の減容処理によって算出される中間処理廃棄物の処理が難しくなっている。
Figure 2014122865
次に、熱分解装置で算出された残さの性状を説明する。表10に示すように、残さは、ケイ素、マグネシウム、カリウム、鉄、アルミニウムの五成分で41重量%を含んでいる。この測定ではカルシウムを測定していないが、ゼオライト鉱石の成分であるため、相当量含まれていると考えられる。炭素分や熱杓減量の測定はないが、残さには炭素分はあまり含まれていないと考えられる。減容化の過程で、有機性廃棄物の炭素分は、分解されて分解油となると考えられる。
Figure 2014122865
残さからの溶出試験結果は、表11に示されている。塩化物イオンが0.52%と多く溶出している。有害物質とされる重金属などに関しては、カドミウム以外検出されていない。
Figure 2014122865
有機性廃棄物が熱分解された後、ガス状となり、熱分解室19から気液分離器30に送られる。その後、分解液体は気液分離器30で油分を含む状態で回収される。また、分解ガスは水分噴霧塔50へて貯液タンク60とで回収され、油分を含む液体状態で回収される。
そこで、貯液タンク60や給水系統70に含まれる循環水の性状を測定した。循環水の性状測定結果は、表12に示すようになっている。水分は97.8%であり、水分を除く成分としては、炭素が68.2%となっている。油分は0.49%が循環水に含まれており、熱灼減量が95.7%となっている。
Figure 2014122865
表13は循環水の溶解成分の測定結果である。循環水の溶解成分には、シアン化合物やフッ素化合物、鉛や極少量のカドミウムが含まれているが、その他に重金属類は検出されなかった。放射性セシウムは崩壊によりバリウムになるが、両者共に検出下限値以下であった。
Figure 2014122865
有機性廃棄物が熱分解された後に生成する液状物質(炭化油)については、試験3で測定しており、表14に示す結果が得られた。ここで、分解油は貯液タンク60の軽比重液体層62のもので、n−ヘキサン抽出物質は1.3g/lとなっている。回収油分は廃油タンク66に蓄えられた廃油分で、n−ヘキサン抽出物質は16g/lとなっている。循環水は貯液タンク60の重比重液体層61のもので、n−ヘキサン抽出物質は4mg/lとなっている。洗浄水は分離液管路40とガス処理水管路41のもので、n−ヘキサン抽出物質は2.2g/lとなっている。
本発明の低温熱分解装置では、有機性廃棄物に含まれる放射性セシウムが、社会通念上の半減期と比較して3桁乃至4桁短い時間で崩壊していると考えられる。
そこで、陶磁器容器やスチール容器に有機性廃棄物を収容して、蓋をして本発明の低温熱分解装置内で処理して、放射性セシウムの濃度を測定した。試験の期間は、ステンレス鋼製容器については8日間、陶磁器容器については14日間である。熱分解温度は200℃〜300℃であるため、土壌成分のうち水分や腐植成分に関しては、水分の蒸発や炭化物性揮発成分の揮発が想定される。これらの水分や揮発成分に関しては、陶磁器容器やスチール容器での蓋の隙間や通気孔から熱分解装置内に移動したと思われる。土壌成分のうち放射性セシウムは土壌の粘土成分に吸着した状態にあるため、揮発したとは考えにくい。
表15に、陶磁器容器やスチール容器に有機性廃棄物を収容して、蓋をして本発明の低温熱分解装置内で処理した場合の、放射性セシウムの測定値を示す。土壌は網目100μm程度のふるいで篩分けして、粒子の細かいものを用いた。試験前の篩分けした土壌は、セシウム134が680Bq/kgで、セシウム137が1040Bq/kgであった。陶磁器容器では、処理後は放射性セシウムが大略半減しており、セシウム134が329Bq/kgで、セシウム137が485Bq/kgであった。ステンレス鋼製容器でも、処理後は放射性セシウムが大略半減しており、セシウム134が336Bq/kgで、セシウム137が485Bq/kgであった。
Figure 2014122865
Figure 2014122865
表16には、表15の試料における土壌の熱灼減量を示している。熱灼減量は一般廃棄物を焼却処理した後に生じる焼却灰に含まれる可燃性分の含有割合とされている。なお、熱灼減量は一般廃棄物処理事業に対する指導に伴う留意事項について(昭和52年11月4日環整95号)に準拠するもので、電気炉内で600℃±25℃で三時間強熱した後、デシケータ内で放冷後、試料を精秤した数値である。熱灼減量は土壌に含まれる有機成分と考えられるが、試験前の土壌では6.1%であるのに対して、陶磁器容器とスチール容器については、試験後はそれぞれ0.8%と0.9%と減少している。従って、土壌に含まれる有機成分は殆どが熱分解されたと見做せる。
以上の試験1〜3について、社会通念に従い放射性セシウムの半減期は不変とすると、単純な熱分解処理では残さや循環水で放射性セシウムの濃縮が起きるはずである。しかし、何れの試験結果においても、放射性セシウムの濃縮は観測されず、却って放射性セシウムは減少している。そこで、放射性セシウムの崩壊によって生ずるバリウムの量を測定すれば、さらに解析が進むことになるが、当該バリウムの量は極めて少量である。また、国立医薬品食品衛生研究所の報告よると、バリウムは環境中の表層水中に15mg/l以上溶存されているとされ、環境中に既存のバリウムに、放射性セシウムの崩壊によって生ずるバリウムが付加されたとしても、検出誤差以下となる可能性が高い。
そこで、本発明の低温熱分解装置で、放射性セシウムの大幅な減少が生じた真実の理由については、磁場単体の影響があるか検証するための比較実験を行った。
[比較例]
比較実験では、熱分解炉の不稼働状態での土壌放射能の変化を調べて、熱分解炉の有する磁場のみによって有機性廃棄物に含まれる放射性セシウムの崩壊が促進されるかの検証を行った。
実験場所は、試験1〜3と同様に、広野町仮置場内である。実験期間は、平成24年11月20日〜平成24年11月28日の8日間である。実験装置は、本発明の低温熱分解装置の一部をなす熱分解室19とガス供給口25とブロワー87を含むガス循環系統80である。熱分解室19は空状態で使用し、保熱性材料20を用いず、低温熱分解温度ではなく、常温に保持された。
実験方法は、放射能をもつ土壌(セシウムの和約1600Bq/kg)を、表15に示す陶器製容器と同等の土鍋及びステンレス容器と同等のスチール鍋に投入し、各々付属の蓋をして、空状態の熱分解室19に略密閉状態で保管した。そして、永久磁石ユニット85で磁気処理された空気を、ガス供給口25から処熱分解室19に送り込み、8日間その状態を保持し、それぞれの土壌を1.4kg程度採取し、放射能の測定をした。放射能測定機は、ATOMTEX社製AT1320A/Cである。
また運転中に、熱処理室の中、周辺(高さ1m付近、室内壁側については室内床付近)及び、永久磁石ユニット85近傍の磁場を測定した。
図6は、熱分解装置の不稼働状態での磁場分布状態を説明する図である。
磁場測定機は、カネテック(株)社製のテスラメータTM−701で、磁場測定機の測定レンジが200mTまでの場合、分解能が0.1mTであり、測定レンジが200mTから3Tまでの場合、分解能が1mTである。福島県田村郡小野町における環境磁場をこの測定機で測定したところ約0.3mTであった。日本での環境磁場は約0.05mTであるが、校正に依存する許容範囲と考えた。
永久磁石ユニット85の近傍では、139〜146mT程度の磁場測定値が得られた。他方、熱分解室19の内部では0.32mTであり、熱分解室19の外部周囲では、壁面から1m離れた位置で約0.3mTであり、環境磁場に近い値であった。
放射能実験結果は、表17に示すとおりである。比較実験の前後で土壌放射能はほぼ変わらない数値が得られ、放射能の低減は見られなかった。
以上の比較実験の結果より、熱処理室内が環境磁場程度の環境で、熱処理せずに磁気処理された空気を送り込むだけでは放射能低減に至らないことが判明した。
Figure 2014122865
そこで、本発明の低温熱分解装置で、放射性セシウムの大幅な減少が生じた理由の説明としては、ゼオライト鉱石と低温熱分解温度による触媒的な作用によって、放射性セシウムの崩壊速度が劇的に増した結果と考えられる。また、永久磁石ユニットで磁気処理された循環ガスや、熱分解室の壁材料が低温熱分解温度でも強磁性を有することで、磁場による付加的な影響により、放射性セシウムの大幅な減少が助成されている可能性もある。
なお、上記の本発明の実施の形態においては、具体的な実施例を用いて本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、当業者にとって自明事項の範囲内で設計された態様も含むものである。例えば、永久磁石ユニットは、永久磁石のみでは起磁力に限りがあり、サマリウムコバルト磁石、ネオジウム磁石等でも0.5テスラ程度であるが、電磁石や超電導磁石を用いて10テスラ、20テスラ、50テスラと高磁場を実現できる。また、熱分解室19の壁面材料や火床保持部18の仕切板や格子部材には、鉄等の強磁性構造材料を用いる場合を示しているが、低温熱分解温度で強磁性を保持する部材であれば、コバルト鋼やニッケル鋼のような部材を用いてもよい。
本発明の放射性有機廃棄物の減容化無害化装置及びその使用方法は、原子炉災害等により広範囲の地域の森林や有機性廃棄物が放射性セシウム等の放射性物質に汚染された場合に、大量の土壌や瓦礫等に対する減容処理や無害化処理を行うのに好適である。
また、本発明の放射性有機廃棄物の減容化無害化装置及びその使用方法は、原子力発電所の操業に付随して発生する低レベル放射性汚染物の減容処理や無害化処理を行うのに好適であり、従来のような自然環境から隔離された隧道などに保管する場合でも、放射性汚染物が減容化されて、処理コストが大幅に低減される。
1 放射性有機廃棄物の減容化無害化装置
2 ガス洗浄装置
10 熱分解容器(低温熱分解装置)
11 投入口
18 火床保持部
19 熱分解室
20 保熱性材料(ゼオライト鉱石)
23 残さ排出口
24 ガス通風部(高透磁率部材)
25 ガス供給口
26 熱分解ガス出口
30 気液分離器
50a、50b 水分噴霧塔
60 貯液タンク
66 廃油タンク
70 給水系統
75、85 永久磁石ユニット(磁気生成手段)
80 洗浄ガス循環系統
92 熱分解温度保持材
99 種火保持材

Claims (8)

  1. 有機性廃棄物が低温熱分解温度で熱分解される熱分解室と、前記有機性廃棄物を前記低温熱分解温度で熱分解するための火床を保持する火床保持部を有する低温熱分解装置であって、
    前記有機性廃棄物が放射性物質を含み、
    前記火床保持部はゼオライト鉱石が所定の厚さで置かれており、
    前記熱分解室の排出ガスを循環して前記熱分解室に供給するガス循環系統を備える放射性有機廃棄物の減容化無害化装置。
  2. 前記熱分解室は、熱分解された前記有機性廃棄物の熱分解ガスを排出する熱分解ガス出口を有し、
    前記ガス循環系統は、前記熱分解ガスを水分で洗浄した洗浄済みガスを帰還すると共に、
    前記熱分解室は、前記洗浄済みガスを前記熱分解室に吸気するためのガス供給口を有することを特徴とする請求項1に記載の放射性有機廃棄物の減容化無害化装置。
  3. 前記低温熱分解温度は、前記熱分解室内で熱分解する有機性廃棄物温度として大略200℃〜300℃の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の放射性有機廃棄物の減容化無害化装置。
  4. さらに、磁場を生成する磁気生成手段と、
    前記磁気生成手段で生成された磁気を前記火床保持部に導くための、前記低温熱分解温度で強磁性を有する材料よりなる高透磁率部材と、
    を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の放射性有機廃棄物の減容化無害化装置。
  5. さらに、
    前記熱分解室に、前記火床を形成するための有機性乾燥多孔質材からなる熱分解温度保持材を供給する手段と、
    前記熱分解室に、少なくとも前記熱分解温度以上の温度を有する自律熱分解状態の種火保持材を供給する手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の放射性有機廃棄物の減容化無害化装置。
  6. 前記熱分解室に投入する前記種火保持材を一時貯えるストックヤードと、
    前記熱分解室と前記ストックヤードとの間に設けられたストックヤード仕切板と、
    を備えると共に、前記ストックヤードに貯蔵された前記種火保持材は前記熱分解室に収容された前記熱分解温度保持材の表面に対して少量毎に落下する構造とすることを特徴とする請求項6に記載の放射性有機廃棄物の減容化無害化装置。
  7. 前記放射性物質はセシウム134とセシウム137の少なくとも何れか一方を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の放射性有機廃棄物の減容化無害化装置。
  8. 請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の放射性有機廃棄物の減容化無害化装置の使用方法であって、
    前記熱分解室に、前記火床を形成するための有機性乾燥多孔質材からなる熱分解温度保持材を供給するステップと、
    前記熱分解室に、少なくとも前記熱分解温度以上の温度を有する自律熱分解状態の種火保持材を供給するステップと、
    前記熱分解室で前記種火保持材によって、前記熱分解温度保持材の熱分解を安定的に維持するステップと、
    前記熱分解温度保持材の熱分解安定化ステップの後に、低温熱分解の対象となる放射性物質を含む有機性廃棄物を前記熱分解室に供給するステップと、
    前記有機性廃棄物が減容化されると共に、当該有機性廃棄物に含まれる放射性物質量が低下するまで、前記熱分解温度を保持するステップと、
    を備える放射性有機廃棄物の減容化無害化装置の使用方法。
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