JP2014126475A - 磁性分解処理装置。 - Google Patents

磁性分解処理装置。 Download PDF

Info

Publication number
JP2014126475A
JP2014126475A JP2012284010A JP2012284010A JP2014126475A JP 2014126475 A JP2014126475 A JP 2014126475A JP 2012284010 A JP2012284010 A JP 2012284010A JP 2012284010 A JP2012284010 A JP 2012284010A JP 2014126475 A JP2014126475 A JP 2014126475A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
furnace
exhaust gas
magnetic
magnet
air intake
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012284010A
Other languages
English (en)
Inventor
Mikito Tanaka
幹人 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP2012284010A priority Critical patent/JP2014126475A/ja
Publication of JP2014126475A publication Critical patent/JP2014126475A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】磁石の磁気を用いて放射性物質を含む有機廃棄物を加熱・炭化・灰化して大幅に減容し、環境を汚染しない車載型の磁性分解処理装置を提供する。
【解決手段】水平断面が矩形の炉本体2aと、上部投入口2bと、処理物Pが貯留される炉内火格子部2cと、対向する一対の炉壁2i、2jの各々に設けられた空気取入れ流路2d、2eであって、それらを上下に挟んでN極、S磁が対向する磁石部Mが設けられ、かつ、流路2dと流路2eでは磁石部MのN極、S磁が上下反対に設けられているものと、炉本体2aの上部に連続して設けられ、炉内火格子部2cで発生する排気ガスEを浄化処理する加熱用ヒーター3a、3bと、排気ガスEを冷却する冷却部4と、再固化されたタール等のろ過部5と、空気取り入れ流路2d、2eより前記炉本体2aに空気を吸引するとともに前記排気ガスEを吸引するブロアー6とを具備する。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁性分解処理装置に関する。
東日本大震災による原発事故の放射能物質の除染対策として、放射能汚染された木材等の有機廃棄物を集積し、処理するための大幅減容処理技術が求められている。しかしながら、従来の燃焼炉による有機廃棄物の処理においては、放射能物質を含む排気ガスの処理、高い燃料コスト、有機廃棄物の高い集積コスト等の問題があり、本格的な処理に着手できていない状態である。
熱分解炉として、炭化装置(炭を作る機械・設備等)は多く存在するが、燃料を使用せず、炭化から灰化までを一貫した機器内で行う機器は数種類しかない。
またその中で磁気の能力を用いて発熱を行う機器もあるが、いずれも小型(1立方米程度の処理能力)であり、実際に販売されてはいない(特許文献1参照方)。
また、処理された灰が磁性体化されることにより放射性物質が外部に飛散せず灰の中に封じ込められる現象(後述する)が知られているが、これを実現する機器は、まだ販売されていない。
実用新案登録第3176381号公報
特許文献1の熱処理炉においては、後述する磁気による加熱のメカニズムから考えると、加熱が十分に行われるとは考えにくく、また、生成される灰の磁性体化も十分には行われず、放射性物質を灰に封じ込めることは困難であると考えられる。さらに、排気ガスの処理についても環境に十分配慮したものとはなっておらず、本発明の目的とする放射能汚染された有機廃棄物の大幅減容処理技術として使用することはできない。
本発明は、磁石の磁気を用いて放射性物質を含む有機廃棄物を加熱・炭化・灰化しその容積を安価にて大幅に減容するとともに、放射性物質を灰の中に封じ込め環境を汚染しない熱処理装置である磁性分解処理装置を提供することを課題とする。
本発明は、さらに、上記有機廃棄物の現場での機動的な処理を可能とするために、上記磁性分解処理装置を軽量で車載可能なものとすることを課題とする。
後述するように、使用する磁石(永久磁石)を特殊処理し、さらに他の同様の機器とは異なる磁石の使用方法を開発することでより減容率を大きくした。
また、磁石を通して磁化された空気(窒素・酸素等)を磁界内に置かれた有機廃棄物に効果的に流入させ、磁気による加熱の効率を高める構成とした。
また、環境汚染防止のために、処理の際に発生する大量のタールや水蒸気、硫黄酸化物・窒素酸化物の混入した有毒可燃の排気ガスについては、後述する専用の加熱ヒーターを設けてタール等の有害物質を処理するとともに、排気ガス冷却装置及びメタルメッシュフィルターを設けて排気ガスの浄化を行う構成とした。
熱処理炉本体の磁気加熱効率を上記構成により向上させ、上記排気ガスの加熱・浄化方式を用いることで本処理装置の軽量化を実現し、車載可能とした。
放射能汚染された有機廃棄物を磁気の効果により加熱し、熱分解して二酸化炭素の発生を抑制しつつ灰化することで、その容積を1/100〜1/300に大幅減容することを可能とする。
本装置により有機廃棄物を熱分解にて灰化する際には、燃料(石油・ガス等)を一切使用しないので、ランニングコストが非常に安価である。
本装置の加熱処理によれば排気ガス中に放射能物質を飛散させず、すべて処理された灰の中に封じ込めることができるため、排気ガスの処理に大がかりな設備を用いなくても環境汚染防止が図れる。
上記により装置の軽量化を実現し、4t車に搭載可能であるため、汚染物質を収集することなく現地処理することを可能とし、処理物の集積コストの低減が図れる。
本発明の一実施形態を示す磁性分解処理装置の模式組立図である。 上記装置の加熱処理炉本体を示す組立図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。 上記装置の磁石部の説明図であり、(a)は処理炉正面からの配置を、(b)は処理炉側面からの配置を、(c)空気取り入れ流路の長手方向断面を、(d)は空気流路の垂直方向断面を各々示す。 上記装置の排気ガス浄化装置の模式組立図である。 上記装置の排気ガス冷却装置の模式組立図である。 加熱の原理を説明するための磁気ヒステリシス曲線である。 加熱の原理を説明するための炉内の磁界を示す模式図である。
以下に本発明の磁性分解処理装置(以下本装置と記す)の一実施形態について図を用いて説明する。
まず、本実施形態の構成について説明する。
図1に示すように、本装置は有機廃棄物の熱処理炉1であって、水平断面が矩形の炉本体2aと、炉本体2aの上部に設けられ、処理物Pを投入する上部投入口2bと、処理物Pが貯留される炉内火格子部2cと、炉本体2aの外部であって対向する一対の炉壁2i、2jの各々に設けられ、炉内火格子部2cへ炉壁2i、2jを貫通して水平方向より空気を供給する一対の空気取入れ流路2d、2eであって、各々の空気取入れ流路2d、2eには、炉壁2i、2jと平行に設けられた部分の流入側及び流出側の各々に空気取入れ流路2d、2eを上下に挟んでN極、S磁が対向する磁石部Mが設けられており、かつ、一方の空気取入れ流路2dと他方の空気取入れ流路2eでは磁石部MのN極、S磁が上下反対に設けられているものと、炉本体2aの上部に連続して設けられ、炉内火格子部2cで発生する排気ガスEを浄化処理する加熱用ヒーター3a、3bと、加熱用ヒーター3a、3bの後段に設けられ、浄化処理された排気ガスEを冷却する冷却部4と、冷却部4にて再固化されたタール等の固形物をろ過するろ過部5と、該ろ過部5の後段に設けられ、前記空気取り入れ流路2d、2eより前記炉本体2aに空気を吸引するとともに前記排気ガスEを吸引するブロアー6とを具備している。
図1に本装置1の全体図を示す。処理物を加熱する炉本体2aに連続して排気ガスEを浄化するための加熱ヒーター3a、3b、冷却部4及びろ過部5が配設され、ブロアー6にて空気の取り入れと排気の両方を行う構成となっている。ブロアー6によって配管内及び炉本体2a内を負圧にし、空気取り入れ流路2d、2eより空気を吸引して炉本体内に導き、処理物Pの磁気による加熱処理を行う。これにより発生した排気ガスEは加熱ヒーター3a、3b、冷却部4及びろ過部5で加熱、冷却、ろ過されて有害物質を取り除かれて大気に放出される。放射性物質は処理物Pが大幅に減容された灰の中に封じ込められて残留する。
本装置1の炉本体2aは水平断面が矩形となっている。これは加熱処理の際、炉の内面が例えば円形等の連続してなめらかな面であった場合、排気ガスEが炉壁を伝って渦を巻いてしまい、本装置1が目指す静かな加熱処理が不可能となるからである。炉本体2の上部には処理物Pを投入する上部投入口2bが設けられており、そこから投入された処理物Pは炉内火格子部2cに落下し貯留される。炉内火格子部2cは処理物が加熱処理されて生成される灰がその下部に落下して堆積することを可能とするために格子状の構造となっている。
磁石部Mは、水平断面が矩形である4つの炉壁の対向する2面2i、2jの各々の面に沿って水平に設けられた2本の空気取り入れ流路2d、2eに各々設けられている。図3(a)、(c)に示すように、一方(右側)の空気取り入れ流路2dの空気入側には上部にN極、下部にS極が対向するように磁石が配設される。空気取り入れ流路2dの空気出側にも上部にN極、下部にS極と、入側と同一の配置で磁石が配設される。これに対し、他方(左側)の空気取り入れ流路2eでは、図示しないが入側は上部にS極、下部にN極の磁石が配設され、出側も入側と同一の上部にS極、下部にN極の磁石が配設されており、上記一方(右側)の空気取り入れ流路2dとは磁石のN極、S極の配置が上下逆となるように配設される。
このように一方の空気取り入れ流路2dと他方の空気取り入れ流路2eとで磁石の極性を上下で逆にするのは図7に示すような磁界を炉内の処理物Pが堆積される火格子部2cに発生させるためである。このような磁界内に処理物Pを載置し、そこへ磁化された空気を導入することにより後述する磁気による加熱の効率を向上させるためである。
さらに、磁石部Mには、図3(d)に示すように対向する各磁石の対向面の反対側にヨーク板2kが配設されている。このヨーク板2k(鋼製板)が張り付けられることにより、磁力線の漏れが低減され、磁石の強度がさらに増すことになる。本装置1では左右の空気取り入れ流路2d、2eの各々に4000ガウスの永久磁石を4個ずつ合計8個使用する。
本装置1は、処理物Pを加熱して炭化、灰化するため、排気ガスEとして、大量のタールや有毒可燃ガスが発生する。この発生した排気ガスEを専用の加熱用ヒーターであるカートリッジヒーター3a及びマントルシートヒーター3bにて摂氏800〜900度に加熱して浄化処理を行う。処理物Pの加熱、灰化が行われた後のこの段階で、処理によって生じた排気ガスEを改めて加熱するのは以下の理由による。
まず、炉内では処理物Pの熱処理温度を一定温度以下に保たなければならないという制約がある。これは、炉内である制限温度(約摂氏600度に設定)を超えて激しく燃焼させてしまうと、処理物Pから放射能物質が昇華(金属セシウムの昇華温度は摂氏641度)し、排気ガスE中に出て行ってしまうからである。また、ダイオキシンは、ベンゼン核とベンゼン核が酸素を介して結合し生成されるものであり、その生成に必要な酸素が本装置の炉内には存在しないか、存在しても非常に低濃度である。(加熱時に、炉内酸素が相当量使用されるため、ダイオキシン生成に必要な酸素が無い)
このため炉内で処理物Pを熱分解する段階では上記摂氏600度以下で加熱(炭化処理時の温度は約摂氏300〜400度、灰化処理時の温度は約摂氏600度)を行い、そこで発生した排気ガスEを加熱ヒーター3a、3bで改めて加熱する。限られた空間で迅速に排ガスEの加熱を行うために、本装置1では、加熱ヒーターとして図4に示すカートリッジヒーター3a及びマントルシートヒーター3bを使用する。
カートリッジヒーター3aは、熱処理炉上部から排出される排ガスEを排気ガス配管内から加熱するヒーターであって、排気ガスEに直接接触する棒状のカートリッジが排気ガス配管内に挿入される構成となっている。本実施例においては1.5kwのカートリッジヒーターが1基使用されている。さらに排気ガス配管の内面にはらせん状の溝が切られており、排気ガスがらせん状に仕切られた配管内を流速を落としながら回転して移動するようにして加熱浄化効率を向上させている。
マントルシートヒーター3bは上記排ガス配管を外部から加熱するヒーターであって、図4に示すように排気ガス管の周囲に巻きつけて使用される。本実施例においては1.8kwのマントルシートヒーターが2基使用されている。
図1及び5に排気ガス冷却装置4を示す。排気ガスEが内部を通過する冷却用配管4a(鋼鉄製配管径48×1300mm×24本)と、上下ガス対流ケース4d、4c(上記配管4aを各ケース内に上下各50mmずつ接続用に使用)と、0.4kwの送風ファン4bとを備えている。排気ガス冷却装置4にて上記加熱ヒーター3a、3bで浄化された排気ガスEを冷却し、排気ガス温度を排気ガス排出用ブロアー6(耐熱摂氏250度)の限界温度である摂氏200度以下に下げるとともに、摂氏100度以上を確保するように調整する。木酢液の生成を抑制するためである。装置重量が大となるため、冷却方式として水冷方式は使用できない。
そこで、本装置1では、図5に示すような空冷方式を用いている。排気ガス冷却装置4の下部には上記温度管理にもかかわらず生成された木酢液を貯留し、排水するタンク(不図示)が下部ガス対流ケース4c内に配設されている。
メタルメッシュフィルター5は内部に耐熱摂氏700度のステンレスメッシュフィルター5aを5層備えており、冷却部4で冷却された排気ガス中のタール等の燃えかすを除去する。
上記装置一式は4t車に載置されて移動可能に構成されている。
本装置1は被災地における除染作業を効率的に進めるために、処理物Pの大がかりな集積の負担を軽減するべく、小型の移動自在の処理炉を提供することを目的とする。このため、上記装置一式は4t車に搭載可能とするべく加熱ヒーター、冷却部ともに極力軽量化されており、車で本装置を移動させることで、処理物の置場の近傍にて加熱・減容処理を行うことができるため高い機動性を発揮することができる。
次に、本装置の運転方法及び機能について説明する。
まず、排気ガス排出用ブロアー6を運転し、処理炉本体2aの正面扉2hより火格子部2cに人為的に熱源を投入する。熱源としては、簡単な人為的な着火方法(例えば火の着いた新聞紙や炭等の投入)で十分である。
その後、上部投入口2bより処理物Pを投入する。その際、炉本体2a付帯の左右の磁石部Mより磁気を帯び、特殊な効能を有した空気、すなわち、後述する低酸素濃度で磁化された空気が毎分2立方米×2口(左右に各1口)炉内に注入される。低酸素濃度となるのは排気ガス排出用ブロアー6(0.75kw×2基)のみで排気ガス及び空気の吸引(毎分60〜90立方米)を行うため発生する排気ガスの割合に対して新たに炉内に吸引する空気自体の割合が小さいためである。
注入された空気と処理物Pが、後述する「磁気による加熱のメカニズム」により熱源を元に徐々に温度を上げ、炉内火格子2c部分で有機物の処理物Pを炭化させ、更に灰化させていく。その後、その部分の熱が上部に堆積された処理物Pを乾燥し炭化をしていく。この処理を継続していき、処理物Pを乾燥、炭化、灰化していき、大幅な減容を行う。
本装置は、処理物Pを加熱して炭化、灰化するため、排気ガスEとして、大量のタールや有毒可燃ガスを発生する。
この発生した排気ガスを図1及び4に示す上記加熱用ヒーター(カートリッジヒーター3a及びマントルシートヒーター3b)にてさらに加熱し浄化処理を行う。両ヒーターとも最大摂氏1000度まで対応可能であるが、処理は摂氏800〜900度にて行う。これら加熱ヒーターにより摂氏800〜900度に加熱することで排気ガス中のタール、ダイオキシンが無害化され、CO2の発生も抑制される。
なお、本装置の処理能力より、窒素酸化物及び硫黄酸化物のガスの規制はない。
上記加熱ヒーターで処理された無色透明の高温ガスを排気ガス冷却装置4にて上記のように摂氏100〜200度まで冷却し、温度管理により生成量が極力抑えられた木酢液は下部タンクに貯留され、適時排出される。
次に、メタルメッシュフィルター5にて冷却部4で冷却された排気ガス中のタール等の燃えかすを除去する。この燃えかすは上記加熱ヒーターによる加熱の際、燃え残ったタール等の成分が冷却により再固化し、粒子状となったものであり、これをステンレスメッシュフィルター5aに付着させることによりろ過し、除去する。
温度が下がり、上記再固化物をろ過された排気ガスEは、図示しない消臭消煙装置(特殊天然カルシューム素材の吸着剤、ゼオライト系の吸着物質の約3倍の吸着率を有する。)にて、最終浄化を行い、大気に放出する。
すでに、実証実験実施済であり、後述するように排気ガスからは放射性セシウムが一切排出されず、処理灰にすべて残存していることが証明されている。(後述の試験結果2を参照方。放射性核種分析検査受検済み。)
本装置は、移動を可能にするため(汚染物質を収集するのではなく、汚染物質を保管場所に移動し、その場所で処理できるように)4t車車載式となっており、
上記の本装置の運転は電源を確保すればどのような現場であっても現地にて汚染物質の減容処理を行うことが可能である。
次に、本装置の上記「磁気による加熱のメカニズム」について説明する。ただし、このメカニズムは細部まで理論的に解明されているわけではなく、現在このように理解されているという事を示すものである。
本装置は燃料を使わずに磁気のエネルギーとブロアーによる送風のみで有機物を加熱処理し灰化するのであるが、この磁気による加熱のメカニズムの説明の前に、「燃焼」という現象及び「磁性体」の性質について確認しておく。
燃焼とは十分な酸素を供給して急激な発熱と発光を伴う酸化反応で炎を出して燃やす状態のことであり、炉内の酸素濃度を10パーセント以下の必要最小限に抑えて加熱処理する本装置の処理方式は燃焼現象を用いた処理とは全く異なるものである。本装置の加熱処理では炎も出ない。
磁性体は専門的には常磁性体、強磁性体、反磁性体の3つに分けられ、すべての物質が磁性体であるといえるが、通常は強磁性体(磁石につく)のみを磁性体と呼ぶ。コバルト、アルミニウム、白銀、ニッケル、酸素などは鉄の場合と同じ方向、すなわち磁石のN極を近づけた側がS極になるように磁化され、鉛、銅、炭素、窒素、水素などの物質は鉄の場合と逆向き、すなわち磁石のN極を近づけた側がN極になるように磁化される。前者を常磁性体、後者を反磁性体と呼んでおり、磁石を近づけると常磁性体は磁石から吸引力を受け、反磁性体は磁石から反発力を受ける。
そこで改めて磁力で有機物を加熱熱分解できる理由について説明する。
従来から磁場が形成されている所に、熱源(火のついた有機物)を置くと、磁力の力でその温度は数倍に増幅されることが知られていた。この効果により、磁力によって有機物を高温で処理することが可能となるわけだが、この理由として以下の2つが考えられている。すなわち、「磁気ヒステリシス損による加熱」と、「磁気緩和エネルギーによる加熱」である。以下に順に説明する。
本装置において磁石で加熱処理が可能なのは、処理炉上部から有機物を投入することで磁界の中に常磁性体と反磁性体が混在している所に、空気流入口から常磁性化した酸素や反磁性化した窒素+が流入することで、炉内の有機物に以下に説明する現象が起きるためと考えられる。
1.磁気ヒステリシス損による加熱
磁性体は磁界の中に置かれるとそれ自体が磁石になる。この現象を「磁化」という。磁界を強くしていくとどこまでも磁性体が磁化されるわけではなく、ある一定値で飽和する(図6の点C)。この値Msを「飽和磁化」という。その飽和している状態から逆に磁界を弱くしていくと、磁化はなかなか弱くならず、初めの磁界とはNS逆方向の磁界とした状態のある磁界の大きさのところで磁化が0となる(図6の点D)。
この時の磁界の大きさHcを「保磁力」という(図6の点E)。このように磁性体の磁化は磁界を強くするときと弱くするときとでは別のルートを辿り、特徴的なループを描く曲線となる。この、磁場をNS逆方向も含めて交互にかけた時の磁化曲線を「磁気ヒステリシス曲線」という。図6において縦軸Mは磁束密度、横軸Hは磁場の強さを示し、磁気ヒステリシス曲線の勾配がその磁性体の透磁率を示す。
磁場の強さHを増減させて、この磁気ヒステリシス曲線を1回描くごとに、そのループで閉じられた面積に相当する分だけのエネルギーが外部の磁界から磁性体に供給される。その磁気エネルギーが熱エネルギーに変換されて磁界内で磁性体の加熱が行われる。
本装置においては上記外部の磁界に相当するものが磁化された酸素、及び窒素のクラスター(あるサイズの分子の塊)であり、磁性体にあたるものが処理物を構成する物質であり、磁場の強さHを増減させる現象は、上記磁化された酸素、及び窒素のクラスターが図7で示した炉内に形成された磁界によってある程度整列した状態で処理物に衝突することにより引き起こされると考えられる。磁化された酸素、及び窒素のクラスターは磁性体、反磁性体の性質により塊としてのN、Sの磁極が逆向きになっているからである。
2.
磁気緩和エネルギーによる加熱
磁性粒子等の発熱は、前述の磁気ヒステリシス損による加熱よりも以下に説明する磁気緩和による加熱の寄与する度合いが大きいと言われている。磁気緩和とは、図7に示すように、炉内で磁性体が磁界に置かれた場合、磁性体内部の磁化された磁性粒子が瞬時に磁場方向に向くことができないため、遅れて徐々に磁化が揃っていく現象をいう。その際、磁気的な摩擦により磁性体が発熱するのが磁気緩和エネルギーによる加熱のメカニズムである。
本装置においては、この現象に伴い、処理物Pを構成している磁性粒子が炉内の磁界により徐々に回転して磁化が揃っていく過程で磁気的な摩擦が生じ、熱エネルギーを発生させると考えられる。
次に、本装置で処理した灰が磁化される理由について考察する。
一般に有機廃棄物を加熱処理すると、微量ではあるが無機質特に金属元素(カリウム、カルシウム、マグネシウム等)やアルミニウム、鉄、亜鉛、ナトリウム、銅などのミネラル金属元素や珪酸が気体にならず固体として後に残る。これが灰である。しかしながら、通常は灰は磁石には反応しない。本装置で処理され生成される灰は磁石につく。
この理由としては以下が考えられるすなわち、本装置1の側面に配置された磁石により、炉内に図7に示すような磁界が形成されており、磁石部Mを通った空気だけでなく、炉内の灰化した部分も炉内の磁界の影響を受けている。磁石配管を通って流入した酸素や窒素といった気体は、磁石の影響で常磁性、反磁性の特徴を有して炉内に流入し炉内の磁界によりクラスター(塊)ごとある一定方向に方向付けされる。灰化していく有機物は常にこの磁化され、方向付けられた気体に接しており、これと炉内に形成された磁界の両方に影響されて継続して磁化されることになると考えられる。
次に、本装置の効果について説明する。
本装置によれば、有機廃棄物を磁気の能力で加熱し、熱分解して二酸化炭素の発生を抑制し、有機廃棄物を灰化することで、その容積を大幅に減容することができる。有機廃棄物を熱分解にて灰化する際には、燃料(石油・ガス等)を一切使用しないので、ランニングコストが非常に安価となる。
磁気による特性を利用した加熱により放射能汚染された有機廃棄物を大幅減容し(約1/100〜1/300)、しかも排気ガス中に放射能を飛散させず、すべて処理された灰の中に封じ込め、その後の排気ガス処理の負荷を軽減する。
本装置の大きな効果として、上記の有機廃棄物の大幅な減容、排気ガス中への放射能の飛散防止があげられる。後者も重要な効果であるが、この効果が得られる原因としては、以下の2つの理由が考えられる。
一つには本装置で生成されるセラミック灰化された灰は低酸素雰囲気での熱処理により生成されるため酸化の度合いが小さく、磁化されやすい。このため上述したメカニズムにより磁化された灰が常磁性体であるセシウムを引き付けるという理由である。
もう一つの理由は、本装置が燃料で処理物外部から激しく炎を照射させて燃焼させて炉内で撹拌させ、強力に排気ガスを吸引させるのではなく、低い処理温度で、排気ガスも必要最低限で吸引して静かに磁気的に熱処理しているため、蒸発温度の高いセシウムが昇華して有機物から飛び出すことなく灰の中に留まっているという点である。
排気ガスから放射能を飛散させないことは、本装置の主目的が放射能汚染物質の処理であることからも極めて重要な効果である。本装置はこの効果により、フィルターの性能のみに頼ることなく、加熱処理の方式自体の特徴として放射能の飛散防止が行えるため、フィルターの選定の自由度が増し、交換や廃棄処理の負担も大幅に軽減される。有機廃棄物を大幅に減容することで、環境保護への貢献のほか、埋立量の低減やそれに伴う費用の低減その他の最終処分での大きなメリットが享受できる。
本装置は4t車に搭載して移動可能であり、汚染物質を収集することなく、その場で処理を行うことができ、今回の東日本大震災における福島原発で発生した放射能汚染有機廃棄物を保管場所から移動させずにその場所で、容積を1/100〜1/300に大幅減容できるため、場合によってはその場で保管する選択をすることも可能となる。これにより、現在発生している福島での汚染物質移動に関する諸問題にも解決のための手段を提供することができる。機器自体の処理能力は非常に小さいが、汚染物質が各地に点在している状況下では、大型装置よりも本装置のような小型機のほうがより効果的な運用ができると考えられる。
次に、上記効果を確認した試験の内容及び結果を記載する。
[第1回汚染地域実証テスト]
「試験内容」
平成23年11月より約2か月間福島県相馬郡飯館村にて実証実験を実施した。
放射能汚染物質である有機物を本装置に投入して加熱処理し、排出ガス及び排出灰の放射能(放射性セシウム)検査を行った。
「試験結果」
排出灰の検査結果
最下部処理灰 390000Bq/kg
中間部処理灰 344000Bq/kg
最上部処理灰 746000Bq/kg
炉内壁面の検査結果
炉内下面排気側前部 239000Bq/kg
炉内下面排気側中部 定量下限以下
炉内下面排気側後部 86900Bq/kg
炉内下面反排気側前部 599000Bq/kg
炉内下面反排気側中部 588290Bq/kg
炉内下面反排気側後部 5170Bq/kg
炉内下面中央部 516000Bq/kg
ガス処理器(排気ガス冷却装置部に設置)の検査結果
最前部フィルター上部 6.78CPS
中間部フィルター下部 0.11CPS
中間部フィルター上部 1.23CPS
最後部フィルター下部 0.08CPS
最後部フィルター上部 1.33CPS
最前部処理液 不検出
中間前部処理液 不検出
中間前部処理液 不検出
最後部処理液 不検出
その他部位の検査結果
排出液(木酢液) 不検出
排気ガス 0.0236Bq/立方米
試験場内空間 0.0207Bq/立方米
[第2回汚染地域実証テスト]
「試験内容」
平成24年9月25日、福島県福島市花見山公園きぼうの広場にて実施した。
現地採取の草木を約2立方米投入し、処理中の排気ガスを採取し放射能検査を実施した。
処理により排出された灰を試験体として指定検査機関により約1kg回収し検査した。(いずれも環境リサーチ株式会社にて検査実施)
「試験結果」
排気ガスの検査結果
不検出(放射性セシウムCs−134、Csー137とも)
排出灰の検査結果
検査用試料1 0.325kg 35Bq/kg
検査用試料2 0.022kg 1800Bq/kg
[減容実証実験]
「試験内容」
平成24年4月6日に実施した。
処理有機物総量 木材 重量 2035kg 容積 8.14立方米
廃プラ 重量 925kg 容積 3.72立方米
合計 重量 2960kg 容積 11.86立方米
「試験結果」
排出灰 重量 142.5kg 容積 0.11立方米
減容率 重量 4.8パーセント容積 0.93パーセント
1 磁性分解処理装置
2a 処理炉本体
2b 上部投入口
2c 火格子部
2d、2e 空気取り入れ流路
2f、2g 熱対策用サブタンク
2h 正面扉
2i、2j 炉壁
2k ヨーク板
3a 加熱ヒーター(カートリッジヒーター)
3b 加熱ヒーター(マントルシートヒーター)
4 排気ガス冷却装置
4a 冷却用配管
4b 送風ファン
4c 排気ガス対流ケース(下)
4d 排気ガス対流ケース(上)
5 ろ過装置
5a ステンレスメッシュフィルター
6 吸引ブロアー
M 磁石部
P 処理物
E 排気ガス

Claims (6)

  1. 有機廃棄物の処理炉であって、
    水平断面が矩形の炉本体と、
    該炉本体の上部に設けられ、処理物を投入する上部投入口と、
    前記処理物が貯留される炉内火格子部と、
    前記炉本体の外部であって対向する一対の炉壁の各々に設けられ、前記炉内火格子部へ前記炉壁を貫通して水平方向より空気を供給する一対の空気取入れ流路であって、各々の前記空気取入れ流路には、前記炉壁と平行に設けられた部分の流入側及び流出側の各々に前記空気取入れ流路を上下に挟んでN極、S磁が対向する磁石が設けられており、かつ、一方の前記空気取入れ流路と他方の前記空気取入れ流路では前記磁石のN極、S磁が上下反対に設けられているものと、
    前記炉本体の上部に連続して設けられ、前記炉内火格子部で発生する排気ガスを浄化処理する加熱用ヒーターと、
    該加熱用ヒーターの後段に設けられ、浄化処理された前記排気ガスを冷却する冷却部と、
    該冷却部にて再固化されたタール等の固形物をろ過するろ過部と、
    該ろ過部の後段に設けられ、前記空気取り入れ流路より前記炉本体に空気を吸引するとともに前記排気ガスを吸引するブロアーと、
    を具備することを特徴とする磁性分解処理装置。
  2. 請求項1に記載の磁性分解式有機廃棄物大幅減容装置であって、運搬用の車両に載置され、移動可能に構成されたことを特徴とする磁性分解処理装置。
  3. 前記磁石には、対向する各磁石の対向面の反対の面にヨーク板が配設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の磁性分解処理装置。
  4. 前記加熱用ヒーターは、前記排気ガス配管の内部に配設される棒状のヒーターと、前記排気ガス配管の外周に配設されるヒーターを具備し、上記各ヒーターの対応部分の前記排気ガス配管は内面にらせん状の溝を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁性分解処理装置。
  5. 前記冷却部は、前記排気ガス用の配管と、該配管を冷却するファンを具備することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁性分解処理装置。
  6. 前記ろ過部はメタルメッシュフィルターを具備することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁性分解処理装置。
JP2012284010A 2012-12-27 2012-12-27 磁性分解処理装置。 Pending JP2014126475A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012284010A JP2014126475A (ja) 2012-12-27 2012-12-27 磁性分解処理装置。

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012284010A JP2014126475A (ja) 2012-12-27 2012-12-27 磁性分解処理装置。

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014126475A true JP2014126475A (ja) 2014-07-07

Family

ID=51406086

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012284010A Pending JP2014126475A (ja) 2012-12-27 2012-12-27 磁性分解処理装置。

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014126475A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014190882A (ja) * 2013-03-28 2014-10-06 Meiwa Industries Ltd 放射性セシウムが付着したバイオマスの処理方法
CN113587111A (zh) * 2021-08-09 2021-11-02 绵阳科大久创科技有限公司 高温焚烧炉以及相配合的烟气冷却净化塔
WO2022039069A1 (ja) * 2020-08-19 2022-02-24 三郎 齋藤 熱分解処理装置

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014190882A (ja) * 2013-03-28 2014-10-06 Meiwa Industries Ltd 放射性セシウムが付着したバイオマスの処理方法
WO2022039069A1 (ja) * 2020-08-19 2022-02-24 三郎 齋藤 熱分解処理装置
JP2022034997A (ja) * 2020-08-19 2022-03-04 三郎 齋藤 熱分解処理装置
CN113587111A (zh) * 2021-08-09 2021-11-02 绵阳科大久创科技有限公司 高温焚烧炉以及相配合的烟气冷却净化塔
CN113587111B (zh) * 2021-08-09 2023-11-24 绵阳科大久创科技有限公司 高温焚烧炉以及相配合的烟气冷却净化塔

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6333478B2 (ja) 炉装置
US11156358B2 (en) Furnace apparatus
JP2014126475A (ja) 磁性分解処理装置。
Wu et al. Emission and control characteristics for incineration of Sedum plumbizincicola biomass in a laboratory-scale entrained flow tube furnace
JP4108387B2 (ja) 廃棄物処理装置
CN106734103B (zh) 一种生活垃圾处理的磁化分解装置以及方法
CN203053950U (zh) 一种用于烟气中重金属吸附剂评价的装置
KR100505125B1 (ko) 폐기물 처리설비의 황산화물 및 다이옥신 제거장치
JP6223720B2 (ja) 磁場熱分解炉
JP5872935B2 (ja) 磁化空気を用いた分解装置による廃棄物処理方法
JP2009183932A (ja) 有機物熱分解装置
WO2010029622A1 (ja) 廃棄物処理装置および廃棄物処理方法
JP6170649B2 (ja) 放射性有機廃棄物の減容化装置及びその使用方法
CN115666792A (zh) 使用低温等离子体处理废物的方法及其装置
JP2007209843A (ja) 発磁機及び磁気処理装置
JP2008175511A (ja) 廃棄物処理装置
JP4517131B2 (ja) 廃棄物処理装置
CA2965626C (en) Furnace apparatus
JP5850252B2 (ja) 放射性セシウムを含む可燃物の焼却方法
JP2008064325A (ja) 廃棄物処理装置
CN212108406U (zh) 一种环保型垃圾焚烧炉
JP2013027808A (ja) 磁化空気を用いた分解装置
CN201195166Y (zh) 废旧电池及有毒固化物的处理装置
KR101580271B1 (ko) 방사성 폐활성탄의 처리방법
JP3107509U (ja) 医療廃棄物焼却処理容器、及び医療廃棄物焼却処理装置