JP2014122788A - アルカデインペプチド切断物による認知症又はアルツハイマー病の診断方法又は予後予測方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】より正確なADの診断及び発症予測を可能とする方法を提供する。
【解決手段】p3−Alc(特には、p3−Alcβ37及びp3−Alc40)の数値の変化がCDRの進展と相関を有することを見出したことに基づき、認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定することを含む、γ−セクレターゼの異常を早期に検出する方法。また、p3−Alcが患者の定量的診断及び予後の予測に有用であることから、薬物投与や治療停止の効果の判定にも有用であることが見出された。
【選択図】なし
【解決手段】p3−Alc(特には、p3−Alcβ37及びp3−Alc40)の数値の変化がCDRの進展と相関を有することを見出したことに基づき、認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定することを含む、γ−セクレターゼの異常を早期に検出する方法。また、p3−Alcが患者の定量的診断及び予後の予測に有用であることから、薬物投与や治療停止の効果の判定にも有用であることが見出された。
【選択図】なし
Description
本発明は、認知症又はアルツハイマー病の診断又は予後予測の分野に関する。より具体的には、本発明は体液中のアルカデインペプチド切断物の量又は量的変化を検出することによる認知症又はアルツハイマー病の診断方法に関する。また、本発明は、認知症又はアルツハイマー病の診断又は予後予測に用いる、体液中のアルカデインペプチド切断物の量又は量的変化を検出するためのキットに関する。
アルツハイマー病(Alzheimer disease:以下、「AD」という)は、種々の認知機能が進行しながら障害を受ける神経変性疾患である。ADの病態解明及び病因メカニズムの解明が進むにつれて根本的治療(disease−modifying therapy)の開発が進展している。このような治療方法の開発が進むにつれて、ADの早期診断・発見が求められるようになってきた。
アルカデイン(Alcadein:以下、「Alc」という)は、主に神経細胞に発現している、進化的に保存されたタイプI膜タンパク質のファミリーから構成される。Alcは、神経特異的アダプタータンパク質X11L結合タンパク質(非特許文献1参照)、及び、シナプス後のCa2+結合タンパク質(カルシンテニン(calsyntenin)とも呼ばれている)(非特許文献2参照)の両方として個別に同定されてきた。哺乳類では、Alcには次の4つの分子種が報告されている:Alcα1(ヒトでは971アミノ酸)、Alcα2(ヒトでは981アミノ酸)、Alcβ(ヒトでは956アミノ酸)、及び、Alcγ(ヒトでは955アミノ酸)(非特許文献1参照)。Alcα、Alcβ、及び、Alcγは、独立した遺伝子によりコードされる一方、Alcα1及びAlcα2はAlcα遺伝子のスプライスバリアントである。Alcは、X11Lとの相互作用を介して、安定化され、かつ、非直接的にアミロイドβタンパク質前駆体(amyloid β protein precursor:以下、「APP」という)と複合体を形成する。Alcは、APP及びX11Lと三量体を形成している場合、いずれもタンパク質分解代謝に抵抗性を示す(非特許文献1)。Alc−X11L−APP複合体中のAlcはタンパク質分解に抵抗性を示すが、複合体を形成しないAlcは連続したタンパク質分解により切断されて短鎖ペプチドを生成することが報告されている(非特許文献3参照)。また、Alcの一次切断が細胞外膜近傍領域で起こり、Alcの細胞外ドメイン(可溶性Alc(soluble Alc):sAlc)を放出すること、切断後のAlcの細胞結合型C末端断片(alcadein carboxyl terminal fragments、以下「CTF」という)は、膜間部切断プロテアーゼにより切断されること、及び、Alc切断の両方がAPPにおいて対応する反応と協調していることが報告されている。(非特許文献3参照)。また、Alcの二次切断(Alc CTFの切断)には、プレセニン(以下、「PS」という)依存性γセクレターゼが関与することが報告されている。
本発明者らは、既にAPPのp3ドメインに該当する、Alc由来の短鎖ペプチド(以下、「p3−Alc」という)は、Alc CTFがγセクレターゼにより切断されることにより分泌されることを報告している(特許文献1及び特許文献2参照)。また、本発明者らは、家族性ADにおけるPSの変異がp3−Alcの切断部位を変化させることを報告している(特許文献1及び特許文献2; 非特許文献4参照)。p3−Alcの切断部位の変化は家族性ADの一つの指標とはなりうるものの、散発性ADを含むADのより確実な診断又は進展予測を可能とする診断方法が求められていた。また、これまで、ADの進行について予後を予測するマーカは知られていなかった。
Araki,et al.,(2003)J.Biol.Chem.278,49448−49458.
Vogt,et al.,(2001)Mol.Cell.Neurosci.17,151−166.
Araki,et al.,(2004)J.Biol.Chem.279,24343−24354.
Hata,et al.,(2009)J.Biol.Chem.284,36024−36033.
本発明者らは、より正確なADの診断及び発症予測を可能とすべく、患者における認知障害の進行度(Clinical Dementia Rating:CDR)の判定を厳密に行うと共に、当該患者由来の髄液中のp3−Alcレベルの測定及び分析を行った結果、p3−Alc(特には、p3−Alcβ37及びp3−Alcβ40)の数値の変化がCDRの進展と相関を有することを見出した。具体的には、CDR 0.5およびCDR1でp3−Alcレベルは最大値を示した後、認知障害が悪化(CDR値が増加)するにつれてp3−Alcが劇的に減少することを見出した。この傾向は、従来AD診断の指標として用いられてきたp−tauがCDR0.5を境に変化がなくなるのとは大きく異なり、特にCDR0.5以上の対象の定量的診断において有用であることが見出された。また、本発明者らは、患者のCDRとp3−Alcについて、継続的に観察を続けた結果、p3−Alcレベルが、現在の患者の状態の指標となるのみならず、患者の予後を予測するマーカとしても有用であることを見出した。これまで、ADの進行について予後を予測するマーカは知られておらず、p3−Alcにより予後が予測できることによって、予後に応じた患者の治療方針の選択等を可能とすることができた。また、p3−Alcが患者の定量的診断及び予後の予測に有用であることから、薬物投与や治療停止の効果の判定にも有用であることが見出した。
本発明は、p3−Alcレベルを測定することによる認知症又はADの早期診断方法又は予後予測方法等を提供するものである。具体的には、本発明は、以下の(1)〜(34)に記載の発明に関する。また、本発明は、以下の(1)〜(23)の方法に使用するための診断薬に関する。更に、本発明は、以下の(1)〜(23)の方法のための情報を提供する方法に関する。
(1) 認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定することを含む、γ−セクレターゼの異常を早期に検出する方法。
(2) 認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定することを含む、認知症又はADの進展、発症、又は進行度を早期に予測又は診断/判定する方法。
(3) 認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、及び、
測定された検体中のp3−Alcレベルから当該患者の認知症又はADの進展、発症、又は進行度を診断/判定又は予測すること
を含む、(2)に記載の方法。
(4) 認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcを所望の期間をおいて複数回測定すること、
測定された検体中のp3−Alcレベルの変化から当該患者の認知症又はADの進展、発症、又は進行度を診断/判定又は予測すること
を含む、(2)に記載の方法。
(5) 測定されたp3−Alcレベル又は値の変化から認知症又はADの進展、発症、又は進行度を定量化することを含む、(2)〜(4)のいずれか1項に記載の方法。
(6) 認知症の発症を早期に予測する方法である、(2)〜(5)のいずれか1項に記載の方法。
(7) ADの発症を早期に予測する方法である、(2)〜(5)のいずれか1項に記載の方法。
(8) ADへの進展発症を早期に予測する方法である、(2)〜(5)のいずれか1項に記載の方法。
(9) ADの病態進行度を判定する方法である、(2)〜(5)のいずれか1項に記載の方法。
(10) 治療を受けている認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定することを含む、当該治療の認知症又はADの治療又は予防効果を早期に予測又は判定する方法。
(11) 治療を施された認知症又はAD患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、及び、
測定されたp3−Alcレベルから当該患者に対する認知症又はADに対する治療効果を予測すること
を含む、(10)に記載の方法。
(12) 治療開始前における認知症又はAD患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、
治療開始後における当該患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、及び、
測定された治療開始前及び治療開始後のp3−Alcレベルの変化から当該患者に対する認知症又はADの治療効果を判定すること
を含む、(10)に記載の方法。
(13) 治療開始後における当該患者由来の検体中のp3−Alcを期間をおいて複数回測定することによりモニタリングすること、
測定された治療開始後の検体中のp3−Alcレベルの変化から当該患者に対する認知症又はADの治療効果を判定すること
を含む、(10)に記載の方法。
(14) 測定されたp3−Alcレベル又は値の変化から認知症又はADの治療効果を定量化することを含む、(10)〜(13)のいずれか1項に記載の方法。
(15) 治療を中止したAD患者を含む認知症患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定することを含む、治療休止後の認知症又はADの症状の変化を早期に予測又は判定する方法。
(16) 治療を中止した認知症又はAD患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、及び、
測定されたp3−Alcレベルから当該患者における治療休止後の認知症又はADの症状の変化を予測すること
を含む、(15)に記載の方法。
(17) 治療中における認知症又はAD患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、
治療中止後における当該患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、及び、
測定された治療中及び治療中止後のp3−Alcレベルの変化から当該患者における治療休止による認知症又はADに対する効果を判定すること
を含む、(15)に記載の方法。
(18) 治療中止後における当該患者由来の検体中のp3−Alcを期間をおいて複数回測定することによりモニタリングすること、及び、
測定された治療中止後のp3−Alcレベルの変化から当該患者における治療休止による認知症又はADに対する効果を判定すること
を含む、(15)に記載の方法。
(19) 測定されたp3−Alcレベル又は値の変化から認知症又はAD患者における治療休止による認知症又はADに対する効果を定量化することを含む、(15)〜(19)のいずれか1項に記載の方法。
(20) 治療がγ−セクレターゼ阻害剤、γ−セクレターゼワクチン、高脂血症治療剤、脂質代謝改善剤、又は、脳神経細胞傷害予防効果を持つ薬剤による治療である、(10)〜(19)のいずれか1項に記載の方法。
(21) 高脂血症治療剤がスタチンである(20)に記載の方法。
(22) 更に、検体中のp3−Alcと共に、p3−Alcとは異なる認知症又はADの進展、発症、又は進行度の指標を測定することを含む、(2)〜(22)のいずれか1項に記載の方法。
(23) 検体が認知症疑い患者ないしは認知症患者、特にAD患者の体液、ヒト脳組織から採取した生体試料又はその処理物である(1)〜(23)に記載の方法。
(24) 被験薬をADモデル動物に投与すること、及び
当該モデル動物由来の検体中のp3−Alcレベルを測定することを含む、
γ−セクレターゼの阻害剤および活性修飾剤のスクリーニング方法。
(25) ヒトp3−Alcと特異的に結合する第一抗体が固定化した、固相、ハプテン、磁気ビーズ及び不溶性担体からなる群より選択される担体を含むことを特徴とする、(1)〜(24)の方法に用いるための免疫化学測定のキット。
(26) ヒトp3−Alcと特異的に結合する標識化された第二抗体、又は該第二抗体が固定化したハプテンもしくは不溶性担体、をさらに含むことを特徴とする(25)に記載の免疫化学測定のキット。
(27) (i)ヒトp3−Alcと特異的に結合する第一抗体が固定化した固相、及び
(ii)ヒトp3−Alcと特異的に結合する標識化された第二抗体、
を含むことを特徴とする(26)に記載の免疫化学測定のキット。
(28) (i)ヒトp3−Alcと特異的に結合する第一抗体が固定化したハプテン、及び、(ii)ヒトp3−Alcと特異的に結合する標識化された第二抗体、
を含むことを特徴とする(26)に記載の免疫化学測定のキット。
(29) 前記ハプテンと特異的に結合する物質が固定化した固相をさらに含むことを特徴とする(26)に記載の免疫化学測定のキット。
(30) (i)ヒトp3−Alcと特異的に結合する第一抗体が固定化した固相、及び、(ii)ヒトp3−Alcと特異的に結合する第二抗体が固定化したハプテン、
を含むことを特徴とする(26)に記載の免疫化学測定のキット。
(31) 前記ハプテンと特異的に結合する、標識された物質をさらに含むことを特徴とする(30)に記載の免疫化学測定のキット。
(32) (i)ヒトp3−Alcと特異的に結合する第一抗体が固定化した磁気ビーズ、及び、(ii)ヒトp3−Alcと特異的に結合する標識化された第二抗体、
を含むことを特徴とする請求項26に記載の免疫化学測定のキット。
(33) (i)ヒトp3−Alcと特異的に結合する第一抗体が固定化した不溶性担体、及び、(ii)ヒトp3−Alcと特異的に結合する第二抗体が固定化した不溶性担体、
を含むことを特徴とする請求項26に記載の免疫化学測定のキット。
(34) 標識と反応する基質をさらに含む(25)〜(33)のいずれか1項に記載の免疫化学測定のキット。
(1) 認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定することを含む、γ−セクレターゼの異常を早期に検出する方法。
(2) 認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定することを含む、認知症又はADの進展、発症、又は進行度を早期に予測又は診断/判定する方法。
(3) 認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、及び、
測定された検体中のp3−Alcレベルから当該患者の認知症又はADの進展、発症、又は進行度を診断/判定又は予測すること
を含む、(2)に記載の方法。
(4) 認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcを所望の期間をおいて複数回測定すること、
測定された検体中のp3−Alcレベルの変化から当該患者の認知症又はADの進展、発症、又は進行度を診断/判定又は予測すること
を含む、(2)に記載の方法。
(5) 測定されたp3−Alcレベル又は値の変化から認知症又はADの進展、発症、又は進行度を定量化することを含む、(2)〜(4)のいずれか1項に記載の方法。
(6) 認知症の発症を早期に予測する方法である、(2)〜(5)のいずれか1項に記載の方法。
(7) ADの発症を早期に予測する方法である、(2)〜(5)のいずれか1項に記載の方法。
(8) ADへの進展発症を早期に予測する方法である、(2)〜(5)のいずれか1項に記載の方法。
(9) ADの病態進行度を判定する方法である、(2)〜(5)のいずれか1項に記載の方法。
(10) 治療を受けている認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定することを含む、当該治療の認知症又はADの治療又は予防効果を早期に予測又は判定する方法。
(11) 治療を施された認知症又はAD患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、及び、
測定されたp3−Alcレベルから当該患者に対する認知症又はADに対する治療効果を予測すること
を含む、(10)に記載の方法。
(12) 治療開始前における認知症又はAD患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、
治療開始後における当該患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、及び、
測定された治療開始前及び治療開始後のp3−Alcレベルの変化から当該患者に対する認知症又はADの治療効果を判定すること
を含む、(10)に記載の方法。
(13) 治療開始後における当該患者由来の検体中のp3−Alcを期間をおいて複数回測定することによりモニタリングすること、
測定された治療開始後の検体中のp3−Alcレベルの変化から当該患者に対する認知症又はADの治療効果を判定すること
を含む、(10)に記載の方法。
(14) 測定されたp3−Alcレベル又は値の変化から認知症又はADの治療効果を定量化することを含む、(10)〜(13)のいずれか1項に記載の方法。
(15) 治療を中止したAD患者を含む認知症患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定することを含む、治療休止後の認知症又はADの症状の変化を早期に予測又は判定する方法。
(16) 治療を中止した認知症又はAD患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、及び、
測定されたp3−Alcレベルから当該患者における治療休止後の認知症又はADの症状の変化を予測すること
を含む、(15)に記載の方法。
(17) 治療中における認知症又はAD患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、
治療中止後における当該患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、及び、
測定された治療中及び治療中止後のp3−Alcレベルの変化から当該患者における治療休止による認知症又はADに対する効果を判定すること
を含む、(15)に記載の方法。
(18) 治療中止後における当該患者由来の検体中のp3−Alcを期間をおいて複数回測定することによりモニタリングすること、及び、
測定された治療中止後のp3−Alcレベルの変化から当該患者における治療休止による認知症又はADに対する効果を判定すること
を含む、(15)に記載の方法。
(19) 測定されたp3−Alcレベル又は値の変化から認知症又はAD患者における治療休止による認知症又はADに対する効果を定量化することを含む、(15)〜(19)のいずれか1項に記載の方法。
(20) 治療がγ−セクレターゼ阻害剤、γ−セクレターゼワクチン、高脂血症治療剤、脂質代謝改善剤、又は、脳神経細胞傷害予防効果を持つ薬剤による治療である、(10)〜(19)のいずれか1項に記載の方法。
(21) 高脂血症治療剤がスタチンである(20)に記載の方法。
(22) 更に、検体中のp3−Alcと共に、p3−Alcとは異なる認知症又はADの進展、発症、又は進行度の指標を測定することを含む、(2)〜(22)のいずれか1項に記載の方法。
(23) 検体が認知症疑い患者ないしは認知症患者、特にAD患者の体液、ヒト脳組織から採取した生体試料又はその処理物である(1)〜(23)に記載の方法。
(24) 被験薬をADモデル動物に投与すること、及び
当該モデル動物由来の検体中のp3−Alcレベルを測定することを含む、
γ−セクレターゼの阻害剤および活性修飾剤のスクリーニング方法。
(25) ヒトp3−Alcと特異的に結合する第一抗体が固定化した、固相、ハプテン、磁気ビーズ及び不溶性担体からなる群より選択される担体を含むことを特徴とする、(1)〜(24)の方法に用いるための免疫化学測定のキット。
(26) ヒトp3−Alcと特異的に結合する標識化された第二抗体、又は該第二抗体が固定化したハプテンもしくは不溶性担体、をさらに含むことを特徴とする(25)に記載の免疫化学測定のキット。
(27) (i)ヒトp3−Alcと特異的に結合する第一抗体が固定化した固相、及び
(ii)ヒトp3−Alcと特異的に結合する標識化された第二抗体、
を含むことを特徴とする(26)に記載の免疫化学測定のキット。
(28) (i)ヒトp3−Alcと特異的に結合する第一抗体が固定化したハプテン、及び、(ii)ヒトp3−Alcと特異的に結合する標識化された第二抗体、
を含むことを特徴とする(26)に記載の免疫化学測定のキット。
(29) 前記ハプテンと特異的に結合する物質が固定化した固相をさらに含むことを特徴とする(26)に記載の免疫化学測定のキット。
(30) (i)ヒトp3−Alcと特異的に結合する第一抗体が固定化した固相、及び、(ii)ヒトp3−Alcと特異的に結合する第二抗体が固定化したハプテン、
を含むことを特徴とする(26)に記載の免疫化学測定のキット。
(31) 前記ハプテンと特異的に結合する、標識された物質をさらに含むことを特徴とする(30)に記載の免疫化学測定のキット。
(32) (i)ヒトp3−Alcと特異的に結合する第一抗体が固定化した磁気ビーズ、及び、(ii)ヒトp3−Alcと特異的に結合する標識化された第二抗体、
を含むことを特徴とする請求項26に記載の免疫化学測定のキット。
(33) (i)ヒトp3−Alcと特異的に結合する第一抗体が固定化した不溶性担体、及び、(ii)ヒトp3−Alcと特異的に結合する第二抗体が固定化した不溶性担体、
を含むことを特徴とする請求項26に記載の免疫化学測定のキット。
(34) 標識と反応する基質をさらに含む(25)〜(33)のいずれか1項に記載の免疫化学測定のキット。
本発明において、「アルカデイン又はAlc」は、好ましくはヒトアルカデインであり、Alcα(配列番号1)、Alcβ(配列番号2)、及び、Alcγ(配列番号3)を含む。「p3−アルカデイン又はp3−Alc」とは、Alcがα−セクレターゼにより一次切断を受けて生じたAlcの細胞結合型C末端断片(alcadein carboxyl terminal fragments、以下「CTF」という)が、更に膜間部切断プロテアーゼ(γ−セクレターゼ)により二次切断されて生じたCTFのN末端側のペプチド断片である。アルカデインのαセクレターゼ切断部位及びγセクレターゼ切断部位として複数の部位が存在する(国際公開公報WO2005/044847及び国際公開公報WO2009/075084参照)ことから、p3−Alcとしては複数種類が存在するが、本明細書において使用される「p3−Alc」は、これらのp3−Alc種(各p3−Alcを指す)の全てを包含する。本発明の方法において検出するp3−Alcは、使用する抗体を適宜選択することにより決定することができる。本発明の方法において検出するp3−Alcは、p3−Alc種の全て、2以上のp3−Alc種、又は特定の1種類のp3−Alcであってもよい。
p3−Alcαは、p3−Alcα34(配列番号4)、p3−Alcα35(配列番号5)、p3−Alcα36(配列番号6)、p3−Alcα37(配列番号7)、p3−Alcα38(配列番号8)、p3−Alcα39(配列番号9)、p3−Alcα2N+35(配列番号10)、p3−Alcα2N+38(配列番号11)、p3−Alcα2N+39(配列番号12)、及びp3−Alcα2N+40(配列番号13)が知られている(国際公開公報WO2009/075084参照)。ここで、「p3−AlcαX」とは、Alcα1の817番目のアラニン(A)から(816+X)番目のアミノ酸までのアミノ酸配列を有するX個のアミノ酸からなるペプチドを意味する。また、「p3−Alcα2N+Y」とは、Alcα1の815番目のメチオニン(M)から(814+Y)番目のアミノ酸までのアミノ酸配列を有するY個のアミノ酸からなるペプチドを意味する。本明細書においてp3−Alcαとは、これらの全てのp3−Alcα種を包含する。本発明の方法において検出するp3−Alcαは、使用する抗体を適宜選択することにより決定することができる。本発明の方法において検出するp3−Alcαは、p3−Alcα種の全て、2以上のp3−Alcα種、又は特定の1種類のp3−Alcαであってもよい。好ましくは、本発明の方法で使用するp3−Alcαはp3−Alcα35である。
p3−Alcβは、p3−Alcβ37(配列番号14)、及びp3−Alcβ40(配列番号15)が知られている(国際公開公報WO2009/075084参照)。ここで、「p3−AlcβX」とは、Alcβの813番目のバリン(V)から(812+X)番目のアミノ酸までのアミノ酸配列を有するX個のアミノ酸からなるペプチドを意味する。本明細書においてp3−Alcβとは、これらの全てのp3−Alcβ種を包含する。本発明の方法において検出するp3−Alcβは、使用する抗体を適宜選択することにより決定することができる。本発明の方法において検出するp3−Alcβは、p3−Alcβ種の全て、2以上のp3−Alcβ種、又は特定の1種類のp3−Alcβであってもよい。好ましくは、本発明の方法で使用するp3−Alcβはp3−Alcβ37及びp3−Alcβ40である。
p3−Alcγは、p3−Alcγ31(配列番号16)、及びp3−Alcγ34(配列番号17)が知られている(国際公開公報WO2009/075084参照)。ここで、「p3−AlcγX」とは、Alcγの804番目のロイシン(L)から(803+X)番目のアミノ酸までのアミノ酸配列を有するX個のアミノ酸からなるペプチドを意味する。本明細書においてp3−Alcγとは、これらの全てのp3−Alcγ種を包含する。本発明の方法において検出するp3−Alcγは、使用する抗体を適宜選択することにより決定することができる。本発明の方法において検出するp3−Alcγは、p3−Alcγ種の全て、2以上のp3−Alcγ種、又は特定の1種類のp3−Alcγであってもよい。好ましくは、本発明の方法で使用するp3−Alcγはp3−Alcγ31及びp3−Alcγ34である。
「認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体」は、p3−Alcが検出できる検体であれば特に限定されないが、好ましくは脳脊髄液中のp3−Alcレベルを反映する検体である。使用できる検体としては、例えば、血液(血漿、血清)、脳脊髄液、リンパ液、尿、漿液、関節液、眼房水、涙液、唾液等の体液またはそれらの分画物若しくは処理物、あるいはヒト脳組織から採取した生体試料又はその処理物を挙げることができる。検出用検体は、患者から採取した検体の種類及び検出方法に応じて適宜調製することができる。例えば脳脊髄液のようにそのまま検出に使用できる場合、適宜遠心分離、希釈等により検出用検体を調整してもよい。また、血液のように患者から採取した検体中に検出を阻害する物質が含まれる場合には、前処理(例えば、プロテインGカラムによるイムノグロブリン除去)によって阻害物質を除去/不活化して検出用検体を調整してもよい。また、血液検体の場合、低極性有機溶媒及び親水性有機溶媒(双極子モーメント1.10〜1.20の有機溶媒及び双極子モーメント1.65〜1.75の有機溶媒であり、最も好ましくは、クロロホルム:メタノール)により脱脂処理された検体であってもよい。
本明細書において、「p3−Alcレベル」とは、p3−Alcの量のほか、p3−Alc種の比をも含む。例えば、p3−Alcレベルは、全p3−Alcα量に対するp3−Alcα35レベルの割合、p3−Alcβ37レベルに対するp3−Alcβ40レベルの割合等を含む。
また、本発明は、ヒトp3−Alcと特異的に結合する第一抗体が固定化した、固相、ハプテン、及び不溶性担体からなる群より選択される担体を含むことを特徴とする免疫化学測定のキットに関する。本発明のキットは、更に、ヒトp3−Alcと特異的に結合する標識化された第二抗体、又は該第二抗体が固定化したハプテンもしくは不溶性担体を含んでいてもよい。本発明の測定キットは、抗体分子を用いた公知の方法に基づくことができる。このような方法としては、例えば、酵素免疫測定法(EIA法)、簡易EIA法、酵素結合イムノソルベントアッセイ法(ELISA法)、ラジオイムノアッセイ法(RIA法)、蛍光免疫測定法(FIA法)等の標識化免疫測定法;ウェスタンブロッティング法等のイムノブロッティング法;金コロイド凝集法等のイムノクロマト法;イオン交換クロマトグラフィ法、アフィニティクロマトグラフィ法等のクロマトグラフィ法;比濁法(TIA法);比ろう法(NIA法);比色法;ラテックス凝集法(LIA法);粒子計数法(CIA法);化学発光測定法(CLIA法、CLEIA法);沈降反応法;表面プラズモン共鳴法(SPR法);レゾナントミラーディテクター法(RMD法);比較干渉法等を挙げることができる。
本発明のキットは、定性的、定量的又は半定量的分析用とすることができるが、好ましくは定量的分析用である。また、本発明のキットが含有する抗体は抗体断片(例えば、F(ab’)2、Fab’、Fab、一本鎖Fv、ジスルフィド結合Fv若しくはこれらの重合体、二量体化V領域)であってもよい。
例えば、本発明のキットは、(i)ヒトp3−Alcと特異的に結合する第一抗体が固定化した固相又はハプテン、及び(ii)ヒトp3−Alcと特異的に結合する標識化された第二抗体を含む免疫化学測定のキットとすることができる。また、本発明のキットがハプテンを含む場合、更にハプテンと特異的に結合する物質が固定化した固相をさらに含んでいてもよい。
または、本発明のキットは、(i)ヒトp3−Alcと特異的に結合する第一抗体が固定化した固相、及び、(ii)ヒトp3−Alcと特異的に結合する第二抗体が固定化したハプテンを含む免疫化学測定のキットとすることができる。また、当該キットは更に、ハプテンと特異的に結合する、標識された物質を含んでいてもよい。
あるいは、本発明のキットは、(i)ヒトp3−Alcと特異的に結合する第一抗体が固定化した不溶性担体、及び、(ii)ヒトp3−Alcと特異的に結合する第二抗体が固定化した不溶性担体を含む免疫化学測定のキットとすることができる。
本発明のキットにおいて、固相は免疫化学測定に使用できる固相であれば特に限定されないが、例えば、ニトロセルロース、セファロース、ナイロン、ビニロン、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィン、ポリウレタン、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨセル、アセテート、ポリビニリデンジフルオリド、シリコンラバー、ラテックス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、フッ素加工樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂、ポリマーアロイ、ガラス繊維、炭素繊維、ガラス、ゼラチン、ポリアミノ酸及び/又は磁気感応性素材等を含有する、プレート、チューブ、チップ(例えば、プロテインチップ、ラボチップ等)、ビーズ、膜、吸収体及び/又は粒子等を挙げることができ、好ましくは、プレート及び磁気ビーズである。本明細書において不溶性担体とは、ビーズ等の懸濁可能な不溶性の固相を意味し、例えば、ラテックスビーズや磁気ビーズを挙げることができる。
本発明のキットが標識化された抗体を含む場合、当該標識としては、放射能標識、酵素、蛍光標識、生物発光標識、化学発光標識金属等の検出可能な標識を用いることができる。このような標識としては、これに限定されるものではないが例として、32P、3H、125I、14C等の放射能標識;βガラクトシダーゼ、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、乳酸オキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、モノアミンオキシダーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ等の酵素;FAD、FMN、ATP、ビオチン、ヘム等の補酵素又は補欠分子族;フルオレセイン誘導体(フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、フルオレセインチオフルバミル等)、ローダミン誘導体(テトラメチルローダミン、トリメチルローダミン(RITC)、テキサスレッド、ローダミン110等)、Cy色素(Cy3、Cy5、Cy5.5、Cy7)、Cy−クロム、スペクトラムグリーン、スペクトラムオレンジ、プロピジウムイオダイド、アロフィコシアニン(APC)、R−フィコエリスリン(R−PE)等の蛍光標識;ルシフェラーゼ等の生物発光標識;あるいは、ルミノール、イソルミノール、N−(4−アミノブチル)−N−エチルイソルミノースエステル等のルミノール誘導体、N−メチルアクリジニウムエステル、N−メチルアクリジニウムアシルスルホンアミドエステル等のアクリジニウム誘導体、ルシゲニン、アダマンチルジオキセタン、インドキシル誘導体、ルテニウム錯体等の化学発光標識;金コロイド等の金属等の検出可能な標識を挙げることができる。
本発明のキットは、必要に応じて、発色試薬、反応停止用試薬、標準抗原試薬、サンプル前処理用試薬、ブロッキング試薬等を含んでいてもよい。また、本発明のキットが標識化された抗体を含む場合、更に標識と反応する基質を含んでいてもよい。
本発明の方法によれば、より正確なAD又は認知症の診断及び発症予測、AD又は認知症患者の予後予測、並びに薬物投与や治療停止の効果の判定又は予測を行うことができる。また、本発明のキットを本発明の方法に使用することにより、より正確なAD又は認知症の診断及び発症予測、AD又は認知症患者の予後予測、並びに薬物投与や治療停止の効果の判定又は予測を簡便又は正確に行うことができる。
1.疾患の診断/判定方法
家族性ADにおいてγ−セクレターゼの活性本体であるPSの変異がAPP及びAlcの切断部位を変化させ、ADの発症、進行に関与することが報告されている。このように、γ−セクレターゼの機能異常は、APP及びAlcの切断に異常をもたらし、患者の体液中の切断物の量を変化させていると考えられる。本発明者が見出した知見によれば、患者の体液におけるp3−Alcレベルは、健常人と比較して軽度認知症(CDR1)患者及び軽度認知障害(CDR0.5)で高値を示す。従って、認知症患者又は軽度認知障害(特には健常人との区別の困難な認知症疑い患者)由来の検体中のp3−Alcレベルを測定し、健常人のp3−Alcレベルと比較して高値を示す場合には認知症(特には、AD)が発症している、又はγ−セクレターゼに異常があると診断することができる。特に、従来の方法によれば認知症の初期の患者が認知症を発症しているか否かの診断が難しかったが、本発明のp3−Alcレベルを測定する方法を採用することにより、早期に診断することが可能となる。
家族性ADにおいてγ−セクレターゼの活性本体であるPSの変異がAPP及びAlcの切断部位を変化させ、ADの発症、進行に関与することが報告されている。このように、γ−セクレターゼの機能異常は、APP及びAlcの切断に異常をもたらし、患者の体液中の切断物の量を変化させていると考えられる。本発明者が見出した知見によれば、患者の体液におけるp3−Alcレベルは、健常人と比較して軽度認知症(CDR1)患者及び軽度認知障害(CDR0.5)で高値を示す。従って、認知症患者又は軽度認知障害(特には健常人との区別の困難な認知症疑い患者)由来の検体中のp3−Alcレベルを測定し、健常人のp3−Alcレベルと比較して高値を示す場合には認知症(特には、AD)が発症している、又はγ−セクレターゼに異常があると診断することができる。特に、従来の方法によれば認知症の初期の患者が認知症を発症しているか否かの診断が難しかったが、本発明のp3−Alcレベルを測定する方法を採用することにより、早期に診断することが可能となる。
また、本発明者らは、重症の認知症患者(CDR≧2)は、軽症認知症患者(CDR0.5)と比較して、体液中のp3−Alcレベルが減少することが見出した。よって、認知症患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定し、軽度認知症(CDR1)患者及び軽度認知障害の患者(CDR0.5)のp3−Alcレベルと比較して低値を示す場合には認知症(特には、AD)の進行度が高い、又はγ−セクレターゼに重篤な異常があると判定することができる。また、認知症患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定し、(当該患者が認知症を発症後にp3−Alcレベルを測定した記録がある場合には)当該過去に測定したp3−Alcレベルと比較して低値を示す場合には認知症(特には、AD)が進行していると判定することができる。特に、本発明者らの実験により、認知症が進行して重度認知症(CDR3)となると、患者の体液におけるp3−Alcレベルが、健常人と比較しても低い値を示すことが観察された。よって、認知症である被験者のp3−Alcレベルが、健常人のp3−Alcレベルと比較して低値を示す場合には重度認知症(特には、AD)である、認知症がかなり進行している、又は深刻なγ−セクレターゼの異常があると診断/判定することができる。
よって、本発明によれば、認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定することにより、γ−セクレターゼの異常を早期に検出し、あるいは、軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度を早期に診断/判定する方法を提供する。好ましくは、本発明は、ADの病態進行度を判定する方法を提供する。
具体的には、本発明のγ−セクレターゼの異常の早期検出方法、並びに、軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度の早期判定方法は、
(a)認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、及び、
(b)測定された検体中のp3−Alcレベルから当該患者の軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度を診断/判定することを含む。
(a)認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、及び、
(b)測定された検体中のp3−Alcレベルから当該患者の軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度を診断/判定することを含む。
また、本発明はp3−Alcレベルの変化から認知症疑いの対象又は認知症の患者のp3−Alcレベルを継時的にモニタリングすることにより、軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度を早期に診断/判定することができる。具体的には、本発明の軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度を診断/判定する方法は、
(a)認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcを所望の期間をおいて複数回測定すること、
(b)測定された検体中のp3−Alcレベルの変化から当該患者の軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度を診断/判定することを含む。
(a)認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcを所望の期間をおいて複数回測定すること、
(b)測定された検体中のp3−Alcレベルの変化から当該患者の軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度を診断/判定することを含む。
軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度の診断/判定は、次の方法を含むことができる。認知症疑いの被験者等が対象であり、認知症(ADを含む、以下本段落において同じ)の発症又は軽度認知症の診断を行う場合、健常人と比較して検体中のp3−Alcレベルが高い被験者を軽度認知症又はADに罹患している又は罹患の程度が高い患者として判定することを含むことができる。また、認知症の発症又は軽度認知症の診断においては、p3−Alcのレベルの代わりにp3−Alc種レベルの比を指標として診断してもよい。例えば、全p3−Alcα量に対するp3−Alcα35レベルの割合、p3−Alcβ37レベルに対するp3−Alcβ40レベルの割合等を利用することができる。この場合、健常人と比較して、ADにおいて存在量が増加するp3−Alc種(p3−Alcα35、p3−Alcβ40)の割合が高い患者を、認知症の発症又は軽度認知症に罹患している又は罹患の程度が高い患者として判定することを含むことができる。
また、既に認知症が確認されている患者等が対象であり、認知症(ADを含む、以下本段落において同じ)の進展、又は進行度を判定する場合、軽度認知障害(CDR0.5)又は軽度認知症の患者(CDR1)と比較して検体中のp3−Alcレベルが低い被験者を認知症が進展している、又は進行度が高い患者として判定することを含むことができる。また、認知症患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定し、(当該患者が認知症を発症後にp3−Alcレベルを測定した記録がある場合には)当該過去に測定したp3−Alcレベルと比較して低値を示す場合には認知症(特には、AD)が進行していると判定することを含むことができる。また、認知症の進展、又は進行度の判定においては、p3−Alcのレベルの代わりにp3−Alc種レベルの比を指標として診断/判定してもよい。例えば、全p3−Alcα量に対するp3−Alcα35レベルの割合、p3−Alcβ37レベルに対するp3−Alcβ40レベルの割合等を利用することができる。この場合、軽度認知障害(CDR0.5)又は軽度認知症の患者(CDR1)と比較して、ADにおいて存在量が増加するp3−Alc種(p3−Alcα35、p3−Alcβ40)の割合が低い患者を認知症が進展している、又は進行度が高い患者として判定することを含むことができる。
例えば、本発明のγ−セクレターゼの異常の早期検出方法、並びに、軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度の早期判定方法は、
(a)認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、及び、
(b)健常人と比較して検体中のp3−Alcレベルが高い被験者をγ−セクレターゼに異常がある患者、又は軽度認知症若しくはADに罹患している若しくは罹患の程度が高い患者として判定する方法であってもよい。
また、本発明のγ−セクレターゼの異常の早期検出方法、並びに、軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度の早期判定方法は、
(a)認知症患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、及び、
(b)軽度認知障害(CDR0.5)又は軽度認知症の患者(CDR1)と比較して検体中のp3−Alcレベルが低い被験者をγ−セクレターゼに異常がある患者、又は重度認知症(例えば、CDR3)として判定する方法であってもよい。
別の態様において、本発明のγ−セクレターゼの異常の早期検出方法、並びに、軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度の早期判定方法は、
(a)認知症患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、及び、
(b)健常人と比較して検体中のp3−Alcレベルが低い被験者をγ−セクレターゼに異常がある患者、又は重度認知症(例えば、CDR3)として判定する方法であってもよい。
更に、本発明の軽度認知症又はADの進展、又は進行度を判定する方法は、
(a)認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcを所望の期間をおいて複数回測定すること、
(b)測定された検体中のp3−Alcレベルを過去に測定したp3−Alcレベルと比較して低値を示す場合には認知症(特には、AD)が進行していると判定する方法であってもよい。
(a)認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、及び、
(b)健常人と比較して検体中のp3−Alcレベルが高い被験者をγ−セクレターゼに異常がある患者、又は軽度認知症若しくはADに罹患している若しくは罹患の程度が高い患者として判定する方法であってもよい。
また、本発明のγ−セクレターゼの異常の早期検出方法、並びに、軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度の早期判定方法は、
(a)認知症患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、及び、
(b)軽度認知障害(CDR0.5)又は軽度認知症の患者(CDR1)と比較して検体中のp3−Alcレベルが低い被験者をγ−セクレターゼに異常がある患者、又は重度認知症(例えば、CDR3)として判定する方法であってもよい。
別の態様において、本発明のγ−セクレターゼの異常の早期検出方法、並びに、軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度の早期判定方法は、
(a)認知症患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、及び、
(b)健常人と比較して検体中のp3−Alcレベルが低い被験者をγ−セクレターゼに異常がある患者、又は重度認知症(例えば、CDR3)として判定する方法であってもよい。
更に、本発明の軽度認知症又はADの進展、又は進行度を判定する方法は、
(a)認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcを所望の期間をおいて複数回測定すること、
(b)測定された検体中のp3−Alcレベルを過去に測定したp3−Alcレベルと比較して低値を示す場合には認知症(特には、AD)が進行していると判定する方法であってもよい。
また、軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度の診断/判定は、測定されたp3−Alcレベル又はp3−Alcレベルの変化から軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度(特には進行度)を定量化(数値化)することにより行ってもよい。定量化は、例えば、予め数値化された進行度が確認された軽度認知症又はAD患者におけるp3−Alcレベルの情報から、進行度とp3−Alcレベルに関する標準曲線を作成して、被験者から得られたp3−Alcレベルを基に進行度を数値化することにより行うことができる。よって、本発明の方法は、更に、測定されたp3−Alcレベル又はp3−Alcレベルの変化から軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度(特には進行度)を定量化(数値化)することを含んでいてもよい。
更に、本発明のγ−セクレターゼの異常の早期検出方法、並びに、軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度の早期判定方法は、検体中のp3−Alcと共に、p3−Alcとは異なる軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度の指標を測定することを含んでいてもよい。このような指標としては、記憶力、判断力、見当識力、問題解決能力、社会適応能力、介護状況、p−tau、Aβ(Aβ40及びAβ42等)、PET等の画像診断を挙げることができる。
例えば、本発明の方法は、
(a)認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、
(b)認知症患者又は認知症疑い患者のp3−Alcとは異なる軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度の指標を測定すること、及び、
(c)測定された検体中のp3−Alc及びp3−Alcとは異なる軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度の指標の値から当該患者の軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度を診断/判定することを含む方法であってもよい。
また、本発明の方法は、
(a)認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、
(b)認知症患者又は認知症疑い患者のp3−Alcとは異なる軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度の指標を測定すること、
(c)測定されたp3−Alcとは異なる軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度の指標の値から当該患者の認知症の程度を決定すること、及び、
(d−1)認知症の程度が低い場合、健常人と比較して検体中のp3−Alcレベルが高い被験者をγ−セクレターゼに異常がある患者、又は軽度認知症又はADに罹患している患者として診断/判定し、
(d−2)認知症の程度が高い場合、健常人又は軽度認知症の患者と比較して検体中のp3−Alcレベルが低い被験者をγ−セクレターゼに異常がある患者、又はADに罹患している(特には、重度認知症、CDR3)として診断/判定することを含む方法であってもよい。
例えば、本発明の方法は、
(a)認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、
(b)認知症患者又は認知症疑い患者のp3−Alcとは異なる軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度の指標を測定すること、及び、
(c)測定された検体中のp3−Alc及びp3−Alcとは異なる軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度の指標の値から当該患者の軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度を診断/判定することを含む方法であってもよい。
また、本発明の方法は、
(a)認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、
(b)認知症患者又は認知症疑い患者のp3−Alcとは異なる軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度の指標を測定すること、
(c)測定されたp3−Alcとは異なる軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度の指標の値から当該患者の認知症の程度を決定すること、及び、
(d−1)認知症の程度が低い場合、健常人と比較して検体中のp3−Alcレベルが高い被験者をγ−セクレターゼに異常がある患者、又は軽度認知症又はADに罹患している患者として診断/判定し、
(d−2)認知症の程度が高い場合、健常人又は軽度認知症の患者と比較して検体中のp3−Alcレベルが低い被験者をγ−セクレターゼに異常がある患者、又はADに罹患している(特には、重度認知症、CDR3)として診断/判定することを含む方法であってもよい。
例えば、Aβ42はADの進行に伴って低下することが本発明者らの実験で確認されていることから、具体的には、本発明のγ−セクレターゼの異常の早期検出方法、並びに、軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度の早期判定方法は、
(a)認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alc及びAβを測定すること、及び、
(b)測定された検体中のp3−Alc及びAβの値から当該患者の軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度を診断/判定することを含む方法であってもよい。
また、本発明の方法は、
(a)認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alc及びAβを測定すること、及び、
(b)測定された検体中のAβの値が健常人と比較して十分に低い患者を認知症の程度が重いと判定し、健常人と比較して差が無いか少し低い患者を認知症の程度が軽いと判定すること
(c−1)認知症の程度が低い場合、健常人と比較して検体中のp3−Alcレベルが高い被験者をγ−セクレターゼに異常がある患者、又は軽度認知症又はADに罹患している患者として診断/判定し、
(d−2)認知症の程度が高い場合、健常人又は軽度認知症の患者と比較して検体中のp3−Alcレベルが低い被験者をγ−セクレターゼに異常がある患者、又はADに罹患している(特には、重度認知症、CDR3)として診断/判定することを含む方法であってもよい。
(a)認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alc及びAβを測定すること、及び、
(b)測定された検体中のp3−Alc及びAβの値から当該患者の軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度を診断/判定することを含む方法であってもよい。
また、本発明の方法は、
(a)認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alc及びAβを測定すること、及び、
(b)測定された検体中のAβの値が健常人と比較して十分に低い患者を認知症の程度が重いと判定し、健常人と比較して差が無いか少し低い患者を認知症の程度が軽いと判定すること
(c−1)認知症の程度が低い場合、健常人と比較して検体中のp3−Alcレベルが高い被験者をγ−セクレターゼに異常がある患者、又は軽度認知症又はADに罹患している患者として診断/判定し、
(d−2)認知症の程度が高い場合、健常人又は軽度認知症の患者と比較して検体中のp3−Alcレベルが低い被験者をγ−セクレターゼに異常がある患者、又はADに罹患している(特には、重度認知症、CDR3)として診断/判定することを含む方法であってもよい。
本発明の方法がp3−Alcとは異なる軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度の指標を測定することを含む場合、当該指標による認知症の診断/判定はその程度まで含む必要は無い。例えば、当該指標により、認知症であるか否かを判別できれば、p3−Alcレベルが(健常人と比較して)高い患者は軽症であり、p3−Alcレベルが健常人と同等か低い患者は重症であると判別することができる。
例えば、p−tauはADの初期は進行に伴って上昇するが軽度認知症から重度認知症にかけては数値が変化しないことが本発明者らの実験で確認されていることから、具体的には、本発明のγ−セクレターゼの異常の早期検出方法、並びに、軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度の早期判定方法は、
(a)認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alc及びp−tauを測定すること、及び、
(b)測定された検体中のp3−Alc及びp−tauの値から当該患者の軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度を診断/判定することを含む方法であってもよい。
また、本発明の方法は、
(a)認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alc及びp−tauを測定すること、及び、
(b)測定された検体中のp−tauの値が健常人と比較して高い患者を認知症と判定すること、及び、
(c)認知症と判定した患者について、健常人と比較して検体中のp3−Alcレベルが高い被験者を軽度認知症と判定し、健常人(又は軽度認知症の患者)と比較して検体中のp3−Alcレベルが同程度であるか低い被験者を重度認知症と判定することを含む方法であってもよい。
(a)認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alc及びp−tauを測定すること、及び、
(b)測定された検体中のp3−Alc及びp−tauの値から当該患者の軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度を診断/判定することを含む方法であってもよい。
また、本発明の方法は、
(a)認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alc及びp−tauを測定すること、及び、
(b)測定された検体中のp−tauの値が健常人と比較して高い患者を認知症と判定すること、及び、
(c)認知症と判定した患者について、健常人と比較して検体中のp3−Alcレベルが高い被験者を軽度認知症と判定し、健常人(又は軽度認知症の患者)と比較して検体中のp3−Alcレベルが同程度であるか低い被験者を重度認知症と判定することを含む方法であってもよい。
2.疾患の予測方法
また、本発明者が見出した知見によれば、患者の体液におけるp3−Alcレベルが健常人と比較して高い被験者は、軽度認知症(CDR1)患者及び軽度認知障害の患者(CDR0.5)へ進展しやすい傾向を示すと考えられる。従って、認知症患者又は認知症疑い患者(特には健常人との区別の困難な認知症疑い患者)由来の検体中のp3−Alcレベルを測定し、健常人(特には、認知症又はADに罹患しなかった健常人又は認知症又はADに罹患しないと信じられている健常人)のp3−Alcレベル又は当該患者の過去のp3−Alcレベルと比較して高値を示す場合には認知症(特には、AD)へ進展しやすいと予測することができる。特に、従来の方法によれば認知症の初期の患者が認知症を発症するか否かの予測が難しかったが、本発明のp3−Alcレベルを測定する方法を採用することにより、早期に予測することが可能となる。
また、本発明者が見出した知見によれば、患者の体液におけるp3−Alcレベルが健常人と比較して高い被験者は、軽度認知症(CDR1)患者及び軽度認知障害の患者(CDR0.5)へ進展しやすい傾向を示すと考えられる。従って、認知症患者又は認知症疑い患者(特には健常人との区別の困難な認知症疑い患者)由来の検体中のp3−Alcレベルを測定し、健常人(特には、認知症又はADに罹患しなかった健常人又は認知症又はADに罹患しないと信じられている健常人)のp3−Alcレベル又は当該患者の過去のp3−Alcレベルと比較して高値を示す場合には認知症(特には、AD)へ進展しやすいと予測することができる。特に、従来の方法によれば認知症の初期の患者が認知症を発症するか否かの予測が難しかったが、本発明のp3−Alcレベルを測定する方法を採用することにより、早期に予測することが可能となる。
また、本発明者らは、軽症認知症患者(CDR0.5)の体液中のp3−Alcレベルが減少すると重症の認知症患者(CDR≧2)に進展しやすい傾向を示すことを見出した。よって、認知症患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定し、軽度認知症(CDR1)患者及び軽度認知障害の患者(CDR0.5)(特には、重度認知症又はADに進展しなかった患者又は重度認知症又はADに進展しないと信じられている患者)のp3−Alcレベル又は当該患者の過去のp3−Alcレベルと比較して低値を示す場合には認知症(特には、AD)が進行しやすいと予測することができる。特に、本発明者らの実験により、患者の体液におけるp3−Alcレベルが、健常人と比較しても低い値を示すと、認知症が進行して重度認知症(CDR3)となりやすいとか考えられる。よって、認知症である被験者で由来のp3−Alcレベルが、健常人のp3−Alcレベルと比較して低値を示す場合には重度認知症(特には、AD)へと進行しやすいと予測することができる。
よって、本発明によれば、認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定することにより、認知症又はADの発症又は進展を早期に予測する方法を提供する。好ましくは、本発明は、ADの発症又は病態進行を予測する方法を提供する。
具体的には、本発明の認知症又はADの進展又は発症の予測方法は、
(a)認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、及び、
(b)測定された検体中のp3−Alcレベルから当該患者の認知症又はADの進展又は発症を予測することを含む。
(a)認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、及び、
(b)測定された検体中のp3−Alcレベルから当該患者の認知症又はADの進展又は発症を予測することを含む。
また、本発明はp3−Alcレベルの変化から認知症疑いの対象又は認知症の患者のp3−Alcレベルを継時的にモニタリングすることにより、軽度認知症又はADの進展又は発症を予測することができる。具体的には、本発明の方法は、
(a)認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcを所望の期間をおいて複数回測定すること、
(b)測定された検体中のp3−Alcレベルの変化から当該患者の軽度認知症又はADの進展又は発症を予測することを含む。
(a)認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcを所望の期間をおいて複数回測定すること、
(b)測定された検体中のp3−Alcレベルの変化から当該患者の軽度認知症又はADの進展又は発症を予測することを含む。
好ましくは、本発明の予測方法は、軽度認知症の発症を早期に予測する方法、ADの発症を早期に予測する方法、ADへの進展発症を早期に予測する方法である。
例えば、本発明の認知症又はADの進展又は発症の早期予測方法は、
(a)健常人又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、及び、
(b)健常人(特には、認知症又はADに罹患しなかった健常人又は認知症又はADに罹患しないと信じられている健常人)と比較して検体中のp3−Alcレベルが高い被験者を軽度認知症又はADに罹患する可能性が高いと予測する方法であってもよい。
また、本発明の認知症又はADの進展又は発症の早期予測方法は、
(a)認知症患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、及び、
(b)軽度認知障害(CDR0.5)又は軽度認知症の患者(CDR1)(特には、重度認知症又はADに進展しなかった患者又は重度認知症又はADに進展しないと信じられている患者)と比較して検体中のp3−Alcレベルが低い被験者を重度認知症(例えば、CDR3)に進展する可能性が高いと予測する方法であってもよい。
別の態様において、本発明の認知症又はADの進展又は発症の早期予測方法は、
(a)認知症患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、及び、
(b)健常人と比較して検体中のp3−Alcレベルが低い被験者を重度認知症(例えば、CDR3)に進展する可能性が高いと予測する方法であってもよい。
(a)健常人又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、及び、
(b)健常人(特には、認知症又はADに罹患しなかった健常人又は認知症又はADに罹患しないと信じられている健常人)と比較して検体中のp3−Alcレベルが高い被験者を軽度認知症又はADに罹患する可能性が高いと予測する方法であってもよい。
また、本発明の認知症又はADの進展又は発症の早期予測方法は、
(a)認知症患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、及び、
(b)軽度認知障害(CDR0.5)又は軽度認知症の患者(CDR1)(特には、重度認知症又はADに進展しなかった患者又は重度認知症又はADに進展しないと信じられている患者)と比較して検体中のp3−Alcレベルが低い被験者を重度認知症(例えば、CDR3)に進展する可能性が高いと予測する方法であってもよい。
別の態様において、本発明の認知症又はADの進展又は発症の早期予測方法は、
(a)認知症患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、及び、
(b)健常人と比較して検体中のp3−Alcレベルが低い被験者を重度認知症(例えば、CDR3)に進展する可能性が高いと予測する方法であってもよい。
更に、本発明の認知症又はADの進展又は発症を早期に予測する方法は、
(a)健常人又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcを所望の期間をおいて複数回測定すること、
(b)測定された検体中のp3−Alcレベルを過去に測定したp3−Alcレベルと比較して高値を示す場合には認知症(特には、AD)が進行する可能性が高いと予測する方法であってもよい。
また、本発明の認知症又はADの進展又は発症を早期に予測する方法は、
(a)認知症患者由来の検体中のp3−Alcを所望の期間をおいて複数回測定すること、
(b)測定された検体中のp3−Alcレベルを過去に測定したp3−Alcレベルと比較して低値を示す場合には認知症(特には、AD)が進行する可能性が高いと予測する方法であってもよい。
(a)健常人又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcを所望の期間をおいて複数回測定すること、
(b)測定された検体中のp3−Alcレベルを過去に測定したp3−Alcレベルと比較して高値を示す場合には認知症(特には、AD)が進行する可能性が高いと予測する方法であってもよい。
また、本発明の認知症又はADの進展又は発症を早期に予測する方法は、
(a)認知症患者由来の検体中のp3−Alcを所望の期間をおいて複数回測定すること、
(b)測定された検体中のp3−Alcレベルを過去に測定したp3−Alcレベルと比較して低値を示す場合には認知症(特には、AD)が進行する可能性が高いと予測する方法であってもよい。
また、本発明の、認知症又はADの発症又は進展を早期に予測する方法は、p3−Alcのレベルの代わりにp3−Alc種レベルの比を指標として予測してもよい。例えば、全p3−Alcα量に対するp3−Alcα35レベルの割合、p3−Alcβ37レベルに対するp3−Alcβ40レベルの割合等を利用することができる。この場合、健常人と比較してADにおいて存在量が増加するp3−Alc種(p3−Alcα35、p3−Alcβ40)の割合が低い患者を認知症が進展する可能性が高いと予測することを含むことができる。
また、本発明の認知症又はADの発症又は進展を早期に予測する方法は、検体中のp3−Alcと共に、p3−Alcとは異なる軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度の指標を測定することを含んでいてもよい。このような指標としては、記憶力、判断力、見当識力、問題解決能力、社会適応能力、介護状況、p−tau、Aβ(Aβ40及びAβ42等)、PET等の画像診断を挙げることができる。
p3−Alcレベルから認知症又はADの進展又は発症を予測する方法は、統計的分析により行うことができる。統計学的有意性は、2以上の集団を比較し、信頼区間及び/又はp値を決定することにより決定される(Dowdy and Wearden, Statistics for Research, John Wiely & Sons, NewYord, 1983)。本発明の信頼区間は、例えば、90%、95%、98%、99%、99.5%、99.9%又は99.99%であってもよい。また、本発明のp値は、例えば、0.1、0.05、0.025、0.02、0.01、0.005、0.001、0.0005、0.0002又は0.0001であってもよい。
また、本発明の認知症又はADの進展又は発症を予測する方法は、それにより患者の状態の経過又は転機を予測する方法を意味し、状態の経過又は転機を100%の正確さで予測可能であることを意味するものではない。認知症又はADの進展又は発症の予測は、ある経過又は転機が起こる可能性が増大しているか否かを意味するものであり、当該経過又は転機が起こらない場合を基準として起こりやすいことを意味するものではない。即ち、認知症又はADの進展又は発症の予測結果は、本発明の方法によって認知症又はADを発症し又は進展すると予測された患者において、そのように予測されない患者と比較して、認知症又はADの発症又は進展がより生じやすいということを意味する。
3.治療効果の判定方法
また、本発明者が見出した知見によれば、治療を受けている認知症患者の体液におけるp3−Alcレベルが当該患者の治療前のp3−Alcレベルと比較して低値を示す場合には、治療にもかかわらず認知症が進行しており、治療効果が低いことを示すと考えられる。よって、本発明は、治療を受けている認知症患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定することを含む、当該治療の認知症又はADの治療又は予防効果を早期に判定する方法に関する。例えば、治療前と治療後を比較することにより治療効果を判定する場合、本発明の方法は、治療開始前における軽度認知症又はAD患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、治療開始後における当該患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、及び、測定された治療開始前及び治療開始後のp3−Alcレベルの変化から当該患者に対する軽度認知症又はADの治療効果を判定することを含む、当該治療の認知症又はADの治療又は予防効果を早期に判定する方法に関する。また、治療開始後に、治療効果をモニタリングする場合、治療開始後における当該患者由来の検体中のp3−Alcを期間をおいて複数回測定することによりモニタリングすること、測定された治療開始後の検体中のp3−Alcレベルの変化から当該患者に対する軽度認知症又はADの治療効果を判定することにより、当該治療の認知症又はADの治療又は予防効果を早期に判定することができる。
また、本発明者が見出した知見によれば、治療を受けている認知症患者の体液におけるp3−Alcレベルが当該患者の治療前のp3−Alcレベルと比較して低値を示す場合には、治療にもかかわらず認知症が進行しており、治療効果が低いことを示すと考えられる。よって、本発明は、治療を受けている認知症患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定することを含む、当該治療の認知症又はADの治療又は予防効果を早期に判定する方法に関する。例えば、治療前と治療後を比較することにより治療効果を判定する場合、本発明の方法は、治療開始前における軽度認知症又はAD患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、治療開始後における当該患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、及び、測定された治療開始前及び治療開始後のp3−Alcレベルの変化から当該患者に対する軽度認知症又はADの治療効果を判定することを含む、当該治療の認知症又はADの治療又は予防効果を早期に判定する方法に関する。また、治療開始後に、治療効果をモニタリングする場合、治療開始後における当該患者由来の検体中のp3−Alcを期間をおいて複数回測定することによりモニタリングすること、測定された治療開始後の検体中のp3−Alcレベルの変化から当該患者に対する軽度認知症又はADの治療効果を判定することにより、当該治療の認知症又はADの治療又は予防効果を早期に判定することができる。
より具体的には、治療を受けている認知症患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定し、治療前のp3−Alcレベルと比較して低値を示す場合には治療効果が無く、治療前のp3−Alcレベルと比較して数値が変化しない場合には治療効果があると判定することができる。特に、従来の方法によれば認知症の治療効果の判定が難しかったが、本発明のp3−Alcレベルを測定する方法を採用することにより、治療効果を判定することができる。また、治療を受けている認知症患者由来の検体中のp3−Alcを期間をおいて複数回測定し、過去のp3−Alcレベルと比較して低値を示す場合には治療効果が無いか低下しており、過去のp3−Alcレベルと比較して数値が変化しない場合には治療効果が継続して有効であると判定することができる。特に、従来の方法によれば認知症の治療効果のモニタリングが難しかったが、本発明のp3−Alcレベルを測定する方法を採用することにより、治療効果をモニタリングすることができる。
また、治療の中止の患者への影響を判定する場合には、治療を中止したAD患者又は認知症患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定することを含む、治療休止後の軽度認知症又はADの症状の変化を早期に予測又は判定することができる。具体的には、治療を中止した軽度認知症又はAD患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、及び、測定されたp3−Alcレベルから当該患者における治療休止後の軽度認知症又はADの症状の変化を予測することにより、治療休止後の軽度認知症又はADの症状の変化を早期に予測又は判定することができる。また、治療中止後に、治療休止の影響をモニタリングする場合、治療休止後における当該患者由来の検体中のp3−Alcを期間をおいて複数回測定することによりモニタリングすること、測定された治療休止後の検体中のp3−Alcレベルの変化から当該患者に対する軽度認知症又はADの治療休止の効果を判定することにより、当該治療休止の認知症又はADの治療又は予防効果を早期に判定することができる。
より具体的には、治療中及び治療中止後における軽度認知症又はAD患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定し、治療中止後のp3−Alcレベルが治療中止前のp3−Alcレベルと比較して低値を示す場合には治療休止により疾患が進行すると判定し、治療中止前のp3−Alcレベルと比較して数値が変化しない場合には疾患が小康状態にあると判定することができる。特に、従来の方法によれば認知症の治療休止の効果の判定が難しかったが、本発明のp3−Alcレベルを測定する方法を採用することにより、治療休止の効果を判定することができる。また、治療を休止した認知症患者由来の検体中のp3−Alcを期間をおいて複数回測定し、過去のp3−Alcレベルと比較して低値を示す場合には治療休止により疾患が進行しており、過去のp3−Alcレベルと比較して数値が変化しない場合には治療を休止しても小康状態を維持していると判定することができる。特に、従来の方法によれば認知症の治療休止効果のモニタリングが難しかったが、本発明のp3−Alcレベルを測定する方法を採用することにより、治療休止の効果をモニタリングすることができる。
また、疾患の進展よりも前にp3−Alcレベルが変化する場合には、治療後のp3−Alcレベルを測定することにより治療効果を予測することができる。よって、本発明は、治療を施された軽度認知症又はAD患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、及び、測定されたp3−Alcレベルから当該患者に対する認知症又はADに対する治療効果を予測することを含む、当該治療の認知症又はADの治療又は予防効果を早期に予測する方法に関する。具体的には、治療を受けている認知症患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定し、治療前のp3−Alcレベルと比較して低値を示す場合には治療効果が無い可能性が高く、治療前のp3−Alcレベルと比較して数値が変化しない場合には治療効果がある可能性が高いと予測することができる。特に、従来の方法によれば認知症の治療効果の予測が難しかったが、本発明のp3−Alcレベルを測定する方法を採用することにより、治療効果を予測することができる。
また、本発明の、認知症又はADに対する治療効果又は治療休止の効果を早期に判定又は予測する方法は、p3−Alcのレベルの代わりにp3−Alc種レベルの比を指標として予測してもよい。例えば、全p3−Alcα量に対するp3−Alcα35レベルの割合、p3−Alcβ37レベルに対するp3−Alcβ40レベルの割合等を利用することができる。この場合、健常人と比較してADにおいて存在量が増加するp3−Alc種(p3−Alcα35、p3−Alcβ40)の割合が低い患者を治療効果が低いと判定し、又は治療効果が低い可能性が高いと予測することを含むことができる。
また、本発明の認知症又はADに対する治療効果又は治療休止の効果を早期に判定又は予測する方法は、検体中のp3−Alcと共に、p3−Alcとは異なる軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度の指標を測定することを含んでいてもよい。このような指標としては、記憶力、判断力、見当識力、問題解決能力、社会適応能力、介護状況、p−tau、Aβ(Aβ40及びAβ42等)、PET等の画像診断を挙げることができる。
また、本発明の認知症又はADに対する治療効果又は治療休止の効果を早期に判定又は予測する方法は、測定されたp3−Alcレベル又はp3−Alcレベルの変化から治療効果を定量化(数値化)することにより行ってもよい。定量化は、例えば、予め数値化された治療効果が確認された軽度認知症又はAD患者におけるp3−Alcレベルの情報から、治療効果とp3−Alcレベルに関する標準曲線を作成して、被験者から得れれたp3−Alcレベルを基に治療効果を数値化することにより行うことができる。よって、本発明の方法は、更に、測定されたp3−Alcレベル又はp3−Alcレベルの変化から治療効果を定量化(数値化)することを含んでいてもよい。
本発明の認知症又はADに対する治療効果又は治療休止の効果を早期に判定又は予測する方法において採用される治療は、認知症又はADの治療であれば特に限定されないが、例えば治療薬の投与を挙げることができる。このような治療薬としては、γ−セクレターゼ阻害剤、γ−セクレターゼワクチン、高脂血症治療剤(例えば、スタチン)、脂質代謝改善剤、又は、脳神経細胞傷害予防効果を持つ薬剤を挙げることができる。
また、本発明の認知症又はADに対する治療効果又は治療休止の効果を早期に判定又は予測する方法は、検体中のp3−Alcと共に、p3−Alcとは異なる軽度認知症又はADの進展、発症、又は進行度の指標を測定することを含んでいてもよい。このような指標としては、記憶力、判断力、見当識力、問題解決能力、社会適応能力、介護状況、p−tau、Aβ(Aβ40及びAβ42等)、PET等の画像診断を挙げることができる。
4.スクリーニング方法
また、本発明のバイオマーカは、認知症又はADの発症及び進展の指標となることから、γ−セクレターゼの阻害剤若しくは活性修飾剤又は認知症又はADの治療薬のスクリーニングに用いることができる。例えば、AD患者又はADモデル動物に被験薬を投与し、一定時間後のp3−Alcレベルを測定することにより、当該治療薬が認知症又はADの治療効果を有するものであるか否かを判定することができる。本発明のスクリーニング方法は、検体中のp3−Alcを検出するステップを備え、p3−Alcレベルの変化を指標として判定を行うことができる。
また、本発明のバイオマーカは、認知症又はADの発症及び進展の指標となることから、γ−セクレターゼの阻害剤若しくは活性修飾剤又は認知症又はADの治療薬のスクリーニングに用いることができる。例えば、AD患者又はADモデル動物に被験薬を投与し、一定時間後のp3−Alcレベルを測定することにより、当該治療薬が認知症又はADの治療効果を有するものであるか否かを判定することができる。本発明のスクリーニング方法は、検体中のp3−Alcを検出するステップを備え、p3−Alcレベルの変化を指標として判定を行うことができる。
具体的には、本発明のγ−セクレターゼの阻害剤若しくは活性修飾剤又は認知症又はADの治療薬のスクリーニング方法は、以下のステップ:
a)γセクレターゼ異常を有するモデル動物若しくはヒト(又は認知症若しくはAD患者又は認知症若しくはADモデル動物)に被験薬を投与するステップ、
b)投与された対象の体液を試料として調整するステップ、
c)p3−Alcのレベルを測定するステップ、並びに、
d)p3−Alcのレベルと被験薬のγセクレターゼ異常に基づく疾患(又は認知症若しくはAD)の治療又は予防効果の有無又は程度との関連付けを行うステップにより行うことができる。
a)γセクレターゼ異常を有するモデル動物若しくはヒト(又は認知症若しくはAD患者又は認知症若しくはADモデル動物)に被験薬を投与するステップ、
b)投与された対象の体液を試料として調整するステップ、
c)p3−Alcのレベルを測定するステップ、並びに、
d)p3−Alcのレベルと被験薬のγセクレターゼ異常に基づく疾患(又は認知症若しくはAD)の治療又は予防効果の有無又は程度との関連付けを行うステップにより行うことができる。
より具体的には、本発明のγ−セクレターゼの阻害剤若しくは活性修飾剤又は認知症又はADの治療薬のスクリーニング方法は、以下のステップ:
a)γセクレターゼ異常を有するモデル動物若しくはヒト(又は認知症若しくはAD患者又は認知症若しくはADモデル動物)の体液を検体として調整するステップ、
b)γセクレターゼ異常を有するモデル動物若しくはヒト(又は認知症若しくはAD患者又は認知症若しくはADモデル動物)に被験薬を投与するステップ、
c)投与後の対象の体液を検体として調整するステップ、
d)投与前及び投与後の検体中のp3−Alcのレベルを測定するステップ、並びに、
e)治療後のの検体中のp3−Alcレベルが、治療前のp3−Alcレベルと比較して低値を示す場合には被験薬には治療効果が無く、治療前のp3−Alcレベルと比較して数値が変化しない場合には被験薬に治療効果があると判定することにより行うことができる。
a)γセクレターゼ異常を有するモデル動物若しくはヒト(又は認知症若しくはAD患者又は認知症若しくはADモデル動物)の体液を検体として調整するステップ、
b)γセクレターゼ異常を有するモデル動物若しくはヒト(又は認知症若しくはAD患者又は認知症若しくはADモデル動物)に被験薬を投与するステップ、
c)投与後の対象の体液を検体として調整するステップ、
d)投与前及び投与後の検体中のp3−Alcのレベルを測定するステップ、並びに、
e)治療後のの検体中のp3−Alcレベルが、治療前のp3−Alcレベルと比較して低値を示す場合には被験薬には治療効果が無く、治療前のp3−Alcレベルと比較して数値が変化しない場合には被験薬に治療効果があると判定することにより行うことができる。
5.p3−Alcの測定
p3−Alcの測定は、p3−Alcレベルを測定可能な方法であって、当業者周知の方法により行うことができる。p3−Alcの測定は、p3−Alcの同定及び定量を含むことができる。例えば、p3−Alcは、p3−Alcに特異的な抗体を用いることにより、ELISA、ラジオイムノアッセイ、免疫組織化学的方法、又は、ウエスタンブロット等を用いて測定することもできる。また、p3−Alcは、検体から所望のp3−Alcを分離した後、分離されたp3−Alcを検出することにより行うこともできる。検体からのp3−Alcの分離は、ペプチドの分離に使用される方法であって、当業者周知の方法により行うことができ、例えば、免疫沈降、ウエスタンブロット、又は、アフィニティクロマトグラフィ等により行うことができる。分離されたp3−Alcを検出する方法は、ペプチドのアミノ酸配列、分子量、物理的性質、又は、化学的性質に関する情報であって、p3−Alcを特定可能な情報が得られる方法であれば限定されず、当業者周知の方法により行うことができ、例えば、マススペクトル、プロテインシーケンサー、ウェスタンブロッティング、ELISA等を挙げることができる。
p3−Alcの測定は、p3−Alcレベルを測定可能な方法であって、当業者周知の方法により行うことができる。p3−Alcの測定は、p3−Alcの同定及び定量を含むことができる。例えば、p3−Alcは、p3−Alcに特異的な抗体を用いることにより、ELISA、ラジオイムノアッセイ、免疫組織化学的方法、又は、ウエスタンブロット等を用いて測定することもできる。また、p3−Alcは、検体から所望のp3−Alcを分離した後、分離されたp3−Alcを検出することにより行うこともできる。検体からのp3−Alcの分離は、ペプチドの分離に使用される方法であって、当業者周知の方法により行うことができ、例えば、免疫沈降、ウエスタンブロット、又は、アフィニティクロマトグラフィ等により行うことができる。分離されたp3−Alcを検出する方法は、ペプチドのアミノ酸配列、分子量、物理的性質、又は、化学的性質に関する情報であって、p3−Alcを特定可能な情報が得られる方法であれば限定されず、当業者周知の方法により行うことができ、例えば、マススペクトル、プロテインシーケンサー、ウェスタンブロッティング、ELISA等を挙げることができる。
例えば、p3−AlcレベルをsELISAにより測定する場合、国際公開公報WO2009/075084及び本明細書記載の方法に準じて適宜sELISA系を構築して測定することができる。
6.キット
また、本発明は、ヒトp3−Alcと特異的に結合する第一抗体が固定化した、固相、ハプテン、磁気ビーズ及び不溶性担体からなる群より選択される担体を含むことを特徴とする免疫化学測定のキットに関する。
また、本発明は、ヒトp3−Alcと特異的に結合する第一抗体が固定化した、固相、ハプテン、磁気ビーズ及び不溶性担体からなる群より選択される担体を含むことを特徴とする免疫化学測定のキットに関する。
(1)抗体の取得
抗体は、所望のp3−Alcのアミノ酸配列を有するアミノ酸配列からなるペプチドを抗原として、必要に応じて免疫賦活剤(例えば、鉱油若しくはアルミニウム沈殿物と加熱死菌若しくはリポ多糖体、フロインドの完全アジュバント、又は、フロインドの不完全アジュバント等)とともに、非ヒトの免疫動物に免疫することにより作製することができる。免疫動物としては、マウス、ラット、ハムスター、ラビット、ニワトリ、アヒル等ハイブリドーマを作製することが可能な動物であれば特に限定はないが、好ましくは、マウス、ラット又はウサギである。
抗体は、所望のp3−Alcのアミノ酸配列を有するアミノ酸配列からなるペプチドを抗原として、必要に応じて免疫賦活剤(例えば、鉱油若しくはアルミニウム沈殿物と加熱死菌若しくはリポ多糖体、フロインドの完全アジュバント、又は、フロインドの不完全アジュバント等)とともに、非ヒトの免疫動物に免疫することにより作製することができる。免疫動物としては、マウス、ラット、ハムスター、ラビット、ニワトリ、アヒル等ハイブリドーマを作製することが可能な動物であれば特に限定はないが、好ましくは、マウス、ラット又はウサギである。
動物への免疫原の投与は、例えば、皮下注射、腹腔内注射、静脈内注射、皮内注射、筋肉内注射又は足蹠注射により行うことができるが、好ましくは、皮下注射又は腹腔内注射である。使用する免疫原の量は、抗体を産生できる量であれば特に限定は無いが、好ましくは、0.1〜1000μgであり、より好ましくは、1〜500μgであり、より更に好ましくは、10〜100μgである。免疫は、1回又は適当な間隔をあけて数回行うことができる。好ましくは、1〜5週間に1回の免疫を合計2〜5回行い、より好ましくは、3週間に1回の免疫を合計3回行う。最後の免疫から1〜2週間後に、免疫した動物の眼窩又は尾静脈から採血を行い、その血清を用いて抗体価の測定を行う。抗体価の測定は、当業者周知の方法で行うことができる。例えば、放射性同位元素免疫定量法(RIA法)、固相酵素免疫定量法(ELISA法)、蛍光抗体法、受身血球凝集反応法を挙げることができ、好ましくは、ELISA法である。本発明の抗体は、十分な抗体価を示す動物の血清から精製することにより得ることができる。
抗体としてモノクローナル抗体を使用する場合、上記方法により免疫した免疫感作動物から得た抗体産生細胞と、骨髄腫系細胞(ミエローマ細胞)を融合することにより得られるハイブリドーマを培養することにより得ることができる。当該融合方法としては、例えば、ミルステインらの方法(Galfre, G. & Milstein,C.,Methods Enzymol.73:3−46,1981)を挙げることができる。使用する抗体産生細胞は、上記方法により免疫し血清が十分な抗体価を示した免疫動物の脾臓、膵臓、リンパ節、末梢血より採取することができ、好ましくは、脾臓より採取する。使用する骨髄腫系細胞は、例えば、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ラビット又はヒト等の哺乳動物に由来する細胞であって、in vitro で増殖可能な細胞であれば特に限定はない。このような細胞としては、例えば、P3−X63Ag8(X63)(Nature,256,495,1975)、P3/NS1/1−Ag4−1(NS1)(Eur.J.Immunol.,6,292,1976)、P3X63Ag8U1(P3U1)(Curr.Top.Microbiol.Immunol.,81,1,1978)、P3X63Ag8.653(653)(J.Immunol.,123,1548,1979)、Sp2/0−Ag14(Sp2/O)(Nature,276,269,1978)、Sp2/O/FO−2(FO−2)(J.Immunol.Methods,35,1,1980)等を挙げることができる。
上述の方法に従って得られた抗体産生細胞及び骨髄腫細胞は、培地、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)等で洗浄後、ポリエチレングリコール(以下、「PEG」という)等の細胞凝集性媒体を加え、細胞を融合させる。融合させる際の抗体産生細胞及び骨髄腫細胞の比率は、例えば、2:1〜1:2である。細胞融合を行った後、HAT(ヒポキサンチン−アミノプテリン−チミジン)培地等の培地で培養することにより、ハイブリドーマを選択的に増殖させる。培養後、培養上清を採取し、ELISA等により、抗原タンパク質に結合し、非抗原タンパク質に結合しないサンプルを選択する。当該サンプルを限界希釈法により単一細胞化を行い、安定して高い抗体価を示す細胞を選択する。
モノクローナル抗体は、上述の方法により得られたハイブリドーマをin vitroで培養し、培養液を精製することによって得ることができる。また、モノクローナル抗体は、予めプリスタンを腹腔内に投与した同系動物又は免疫不全動物にハイブリドーマを移植した後、腹水化させ、採取した腹水を精製することによっても得ることができる。精製は、遠心分離後、プロテインAカラム、プロテインGカラム等を用いてIgG画分を回収することにより得ることができる。
(2)標識
抗体の標識の結合は当分野において一般的な方法により行うことができる。例えば、タンパク質又はペプチドを蛍光標識する場合、タンパク質又はペプチドをリン酸緩衝液で洗浄した後、DMSO、緩衝液等で調整した色素を加え、混合した後室温で10分間静置することにより結合させることができる。また、市販の標識キットとして、ビオチン標識キット(Biotin Labeling Kit−NH2、Biotin Labeling Kit−SH:株式会社同仁化学研究所)、アルカリフォスファターゼ標識用キット(Alkaline Phosphatase Labeling Kit−NH2、Alkaline Phosphatase Labeling Kit−SH:株式会社同仁化学研究所)、ペルオキシダーゼ標識キット(Peroxidase Labering Kit−NH2、Peroxidase Labering Kit−NH2:株式会社同仁化学研究所)、フィコビリプロテイン標識キット(Allophycocyanin Labeling Kit−NH2、Allophycocyanin Labeling Kit−SH、B−Phycoerythrin Labeling Kit−NH2、B−Phycoerythrin Labeling Kit−SH、R−Phycoerythrin Labeling Kit−NH2、R−Phycoerythrin Labeling Kit−SH:株式会社同仁化学研究所)、蛍光標識キット(Fluorescein Labeling Kit−NH2、HiLyte Fluor(登録商標) 555 Labeling Kit−NH2、HiLyte Fluor(登録商標) 647 Labeling Kit−NH2:株式会社同仁化学研究所)、DyLight547、DyLight647(テクノケミカル株式会社)、Zenon(登録商標)Alexa Fluor(登録商標)抗体標識キット、Qdot(登録商標)抗体標識キット(インビトロゲン社)、EZ−Label Protein Labeling Kit(フナコシ株式会社)等を用いて標識することもできる。
抗体の標識の結合は当分野において一般的な方法により行うことができる。例えば、タンパク質又はペプチドを蛍光標識する場合、タンパク質又はペプチドをリン酸緩衝液で洗浄した後、DMSO、緩衝液等で調整した色素を加え、混合した後室温で10分間静置することにより結合させることができる。また、市販の標識キットとして、ビオチン標識キット(Biotin Labeling Kit−NH2、Biotin Labeling Kit−SH:株式会社同仁化学研究所)、アルカリフォスファターゼ標識用キット(Alkaline Phosphatase Labeling Kit−NH2、Alkaline Phosphatase Labeling Kit−SH:株式会社同仁化学研究所)、ペルオキシダーゼ標識キット(Peroxidase Labering Kit−NH2、Peroxidase Labering Kit−NH2:株式会社同仁化学研究所)、フィコビリプロテイン標識キット(Allophycocyanin Labeling Kit−NH2、Allophycocyanin Labeling Kit−SH、B−Phycoerythrin Labeling Kit−NH2、B−Phycoerythrin Labeling Kit−SH、R−Phycoerythrin Labeling Kit−NH2、R−Phycoerythrin Labeling Kit−SH:株式会社同仁化学研究所)、蛍光標識キット(Fluorescein Labeling Kit−NH2、HiLyte Fluor(登録商標) 555 Labeling Kit−NH2、HiLyte Fluor(登録商標) 647 Labeling Kit−NH2:株式会社同仁化学研究所)、DyLight547、DyLight647(テクノケミカル株式会社)、Zenon(登録商標)Alexa Fluor(登録商標)抗体標識キット、Qdot(登録商標)抗体標識キット(インビトロゲン社)、EZ−Label Protein Labeling Kit(フナコシ株式会社)等を用いて標識することもできる。
(3)キット
本発明のキットは、上述の方法に従って作製した抗体(又は標識化した抗体)を用いて、酵素免疫測定法(EIA法)、簡易EIA法、酵素結合イムノソルベントアッセイ法(ELISA法)、ラジオイムノアッセイ法(RIA法)、蛍光免疫測定法(FIA法)等の標識化免疫測定法;ウェスタンブロッティング法等のイムノブロッティング法;金コロイド凝集法等のイムノクロマト法;イオン交換クロマトグラフィ法、アフィニティクロマトグラフィ法等のクロマトグラフィ法;比濁法(TIA法);比ろう法(NIA法);比色法;ラテックス凝集法(LIA法);粒子計数法(CIA法);化学発光測定法(CLIA法、CLEIA法);沈降反応法;表面プラズモン共鳴法(SPR法);レゾナントミラーディテクター法(RMD法);比較干渉法用のキットとして当業者に慣用の技術を用いて製造することができる。
本発明のキットは、上述の方法に従って作製した抗体(又は標識化した抗体)を用いて、酵素免疫測定法(EIA法)、簡易EIA法、酵素結合イムノソルベントアッセイ法(ELISA法)、ラジオイムノアッセイ法(RIA法)、蛍光免疫測定法(FIA法)等の標識化免疫測定法;ウェスタンブロッティング法等のイムノブロッティング法;金コロイド凝集法等のイムノクロマト法;イオン交換クロマトグラフィ法、アフィニティクロマトグラフィ法等のクロマトグラフィ法;比濁法(TIA法);比ろう法(NIA法);比色法;ラテックス凝集法(LIA法);粒子計数法(CIA法);化学発光測定法(CLIA法、CLEIA法);沈降反応法;表面プラズモン共鳴法(SPR法);レゾナントミラーディテクター法(RMD法);比較干渉法用のキットとして当業者に慣用の技術を用いて製造することができる。
例えば、本発明のキットは、例えば、抗p3−Alcモノクローナル抗体固相化プレート、ビオチン標識抗p3−Alcポリクローナル抗体溶液、ストレプトアビジンPOD溶液、洗浄液、TMB試薬、2M HCl、標準物質(p3−Alcペプチド)を備えるキットとして製造することができる。また、別の例として、本発明のキットは、抗p3−Alcモノクローナル抗体、抗p3−Alcモノクローナル抗体結合金コロイド、ウサギ免疫グロブリン結合金コロイド、及び、テストプレートを備えるキットとして製造することができる。当該キットにおいて、テストプレートは、検体を挿入する検体採取部、抗p3−Alcモノクローナル抗体結合金コロイドを含む感作金コロイド塗布部、抗p3−Alcモノクローナル抗体を含む判定部(テストライン)、抗ウサギ免疫グロブリンポリクローナル抗体を含む判定部(リファレンスライン)、吸収剤、及び、メンブレンフィルターを備えていてもよい。
以下、本発明をより詳細に説明するため実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本願全体を通して引用される全文献は参照によりそのまま本願に組み込まれる。また、本実施例の全てについて、全ての人の脳脊髄液、血漿及び血清の本試験での使用についてのインフォームドコンセントを患者及び/又はその家族から得た。また、全てのサンプルの採取及び使用について各施設の適切な倫理委員会で承認を得た。
(実施例1)p3−AlcのELISA測定系の構築
p3−Alcαを測定するためのsELISAキットは、国際公開WO2009/075084の記載に準じて作製した。具体的には、ヒトAlcα1の817〜822番目の間の配列を含むペプチドを抗原として使用してポリクローナルウサギ抗体817を作製し、抗原結合樹脂でアフィニティ精製した。ポリクローナルウサギ抗体839は、ヒトAlcα1の839〜852番目の間の配列を含むペプチドを抗原として使用し、抗原結合樹脂でアフィニティ精製した。839抗体は、p3−Alcαを捕捉する抗体として使用し、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合pan p3−Alcα抗体817及びテトラメチルベンジジンは補足したp3−AlcαをOD450で比色分析により検出するために使用した。合成p3−Alcα35ペプチド(Hata S.ら、J.Bio.Chem.(2009)284:36024−36033)を標準タンパク質として使用した。作製したsELISA系がp3−Alcαに特異性であることについて、p3−Alcα35ペプチド及びp3−Alcβ37ペプチドを用いて確認した(非図示)。pan p3−Alcαマウスモノクローナル抗体3B5及びポリクローナルウサギ抗体UT135 は記述の方法により作製した(Hata S.ら、J.Bio.Chem.(2009)284:36024−36033)。構築したsELISA系は標準物質を39〜625pg/mLの範囲で標準曲線として検出可能であった。
p3−Alcαを測定するためのsELISAキットは、国際公開WO2009/075084の記載に準じて作製した。具体的には、ヒトAlcα1の817〜822番目の間の配列を含むペプチドを抗原として使用してポリクローナルウサギ抗体817を作製し、抗原結合樹脂でアフィニティ精製した。ポリクローナルウサギ抗体839は、ヒトAlcα1の839〜852番目の間の配列を含むペプチドを抗原として使用し、抗原結合樹脂でアフィニティ精製した。839抗体は、p3−Alcαを捕捉する抗体として使用し、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合pan p3−Alcα抗体817及びテトラメチルベンジジンは補足したp3−AlcαをOD450で比色分析により検出するために使用した。合成p3−Alcα35ペプチド(Hata S.ら、J.Bio.Chem.(2009)284:36024−36033)を標準タンパク質として使用した。作製したsELISA系がp3−Alcαに特異性であることについて、p3−Alcα35ペプチド及びp3−Alcβ37ペプチドを用いて確認した(非図示)。pan p3−Alcαマウスモノクローナル抗体3B5及びポリクローナルウサギ抗体UT135 は記述の方法により作製した(Hata S.ら、J.Bio.Chem.(2009)284:36024−36033)。構築したsELISA系は標準物質を39〜625pg/mLの範囲で標準曲線として検出可能であった。
抗p3−Alcβ40抗体(2A1抗体)は、抗原ペプチドとしてp3−Alcβの32番目から40番目のアミノ酸配列を有するペプチド(CIPSAATLII;配列番号18)を抗原として用いて国際公開WO2009/075084の記載に準じて作製した。p3−Alcβ40抗体が容量依存的にp3−Alcβ40と反応することを確認した(非図示)。また、p3−Alcβ40抗体のp3−Alcβ37に対する交差反応性を測定し、交差反応しないことを確認した(非図示)。
抗p3−Alcβ37抗体は、抗原ペプチドとして、p3−Alcβの29番目から37番目のアミノ酸配列を有するペプチド(CNSMIPSAAT)を抗原として用いて国際公開WO2009/075084の記載に準じて作製した。得られた抗体についてp3−Alcβ37、p3−Alcβ40、及びBSAとの反応性を測定し、p3−Alcβ37を特異的に認識する抗体として14A1抗体及び15A1抗体を得た。得られた抗体を使用してサンドイッチELISA系を構築し、検出感度を確認した(非図示)。検出感度のより高かった14A1抗体についてp3−Alcβ40と交差反応しないことを確認た(非図示)。以下の実験におけるp3−Alcβ37の測定は14A1を用いて作製したサンドイッチELISA系を使用した。
抗p3−Alcβ37抗体は、抗原ペプチドとして、p3−Alcβの29番目から37番目のアミノ酸配列を有するペプチド(CNSMIPSAAT)を抗原として用いて国際公開WO2009/075084の記載に準じて作製した。得られた抗体についてp3−Alcβ37、p3−Alcβ40、及びBSAとの反応性を測定し、p3−Alcβ37を特異的に認識する抗体として14A1抗体及び15A1抗体を得た。得られた抗体を使用してサンドイッチELISA系を構築し、検出感度を確認した(非図示)。検出感度のより高かった14A1抗体についてp3−Alcβ40と交差反応しないことを確認た(非図示)。以下の実験におけるp3−Alcβ37の測定は14A1を用いて作製したサンドイッチELISA系を使用した。
Aβ40及びAβ42を測定するためのsELISAは、市販のキット(Human Amyloidβ(1−40)(N)Assay Kit−IBL(#27714)、Human Amyloidβ(1−42)(N)Assay Kit−IBL(#27712)、免疫生物研究所、日本)を使用した。
(実施例2)被験者由来のCSFサンプルの各マーカレベルの測定(軽度認知障害、AD患者及びコントロール、CDR判定あり)
(1)測定及び分析の対象
軽度認知障害およびADを発症している患者65名、及び当該患者と年齢の合う認知症でない高齢者19名(コントロール)について測定及び分析を行った。
(2)被験者のCDR(Clinical Dementia Rating)の決定
痴呆の重症度を、CDRにより評価した。具体的には、本人の面接及び家族の情報をもとに、記憶;見当識;判断力と問題解決;地域社会活動、家庭生活及び趣味・関心;並びに介護状況の6項目を評価し、総合的に判定した。
それぞれの評価方法、総合評価方法など
評価の結果、痴呆のない被験者をCDR0(健康・非疾患)とし、痴呆の症状の進行に従ってCDR0.5(軽度認知障害)、CDR1(軽度認知症)、CDR2(中等度認知症)、CDR3(重度認知症)とした。
(1)測定及び分析の対象
軽度認知障害およびADを発症している患者65名、及び当該患者と年齢の合う認知症でない高齢者19名(コントロール)について測定及び分析を行った。
(2)被験者のCDR(Clinical Dementia Rating)の決定
痴呆の重症度を、CDRにより評価した。具体的には、本人の面接及び家族の情報をもとに、記憶;見当識;判断力と問題解決;地域社会活動、家庭生活及び趣味・関心;並びに介護状況の6項目を評価し、総合的に判定した。
それぞれの評価方法、総合評価方法など
評価の結果、痴呆のない被験者をCDR0(健康・非疾患)とし、痴呆の症状の進行に従ってCDR0.5(軽度認知障害)、CDR1(軽度認知症)、CDR2(中等度認知症)、CDR3(重度認知症)とした。
(3)マーカ測定
被験者をベッドに寝かせ、側臥位{そくがい}で腰椎穿刺(LP)を行った。CSFの最初の1mLを廃棄後、CSFをポリプロピレンチューブに回収し、4℃、1,000gで10分間遠心して混入物(debris)を除去し、ポリプロピレンチューブに少量ずつ分注して−80℃で保管した。マーカ(p3−Alcα、p3−Alcβ37、p3−Alcβ40、Aβ42、p−tau)のレベルは次のように測定した。{ようつい せんし}得られた脳脊髄液(CSF)(25μL)1%(w/v)BSA及び0.5%(v/v)Tween−20含有PBSで10倍に希釈し、得られたサンプル250μLを15,000gで10分間遠心して不溶物(debris)を除去し、100μLの上清をアッセイサンプルとして、sELISAによりデュプリケートで測定した。p3−Alcα及びp3−Alcβは実施例1で作製したsELISAを用いて測定した。
被験者をベッドに寝かせ、側臥位{そくがい}で腰椎穿刺(LP)を行った。CSFの最初の1mLを廃棄後、CSFをポリプロピレンチューブに回収し、4℃、1,000gで10分間遠心して混入物(debris)を除去し、ポリプロピレンチューブに少量ずつ分注して−80℃で保管した。マーカ(p3−Alcα、p3−Alcβ37、p3−Alcβ40、Aβ42、p−tau)のレベルは次のように測定した。{ようつい せんし}得られた脳脊髄液(CSF)(25μL)1%(w/v)BSA及び0.5%(v/v)Tween−20含有PBSで10倍に希釈し、得られたサンプル250μLを15,000gで10分間遠心して不溶物(debris)を除去し、100μLの上清をアッセイサンプルとして、sELISAによりデュプリケートで測定した。p3−Alcα及びp3−Alcβは実施例1で作製したsELISAを用いて測定した。
(4)結果
軽度認知障害およびADを発症している被験者65名及び痴呆のない被験者19名について、CDRとマーカレベルの分布との相関を分析した。被験者の背景及び測定結果のまとめを表1に示す。p3−Alcαのレベルは、認知症でないコントロール(CDR0)(7117.4±1944.7pg/mL)と比較して、軽度認知障害の患者(CDR0.5)(8547.5±2373.1pg/mL)軽度認知症(CDR1)(9593.4±2398.3pg/mL)において有意に高かった(P=0.02841、P=0.01162)。また、Aβ42のレベルには両者で有意差は確認されなかった。
軽度認知障害およびADを発症している被験者65名及び痴呆のない被験者19名について、CDRとマーカレベルの分布との相関を分析した。被験者の背景及び測定結果のまとめを表1に示す。p3−Alcαのレベルは、認知症でないコントロール(CDR0)(7117.4±1944.7pg/mL)と比較して、軽度認知障害の患者(CDR0.5)(8547.5±2373.1pg/mL)軽度認知症(CDR1)(9593.4±2398.3pg/mL)において有意に高かった(P=0.02841、P=0.01162)。また、Aβ42のレベルには両者で有意差は確認されなかった。
84人の被験者の測定値をCDRで分類した結果を表1に、CDRと各マーカ測定値の関係は図1〜図4に、CDRと年齢の関係は図5に示す。
APPとAlcは細胞内において協調して代謝されることから、非凝集性のp3−Alc種は脳内でのAβの産生量を反映していると予測される。
認知症でないコントロールにおいては、p3−Alcαレベルおよびp3−Alcβ40とAβ42レベルも強い有意な相関関係を示した(R2=0.709、R2=0.685)。一方で、AD又は軽度認知障害の患者(CDR≧0.5)におけるp3−Alcαレベルおよびp3−Alcβ40とAβ42レベルの相関関係は弱かった(R2=0.386、R2=0.265)。この相関関係の低下は、Aβの凝集能によるものと考えられる。
認知症でないコントロールにおいては、p3−Alcαレベルおよびp3−Alcβ40とAβ42レベルも強い有意な相関関係を示した(R2=0.709、R2=0.685)。一方で、AD又は軽度認知障害の患者(CDR≧0.5)におけるp3−Alcαレベルおよびp3−Alcβ40とAβ42レベルの相関関係は弱かった(R2=0.386、R2=0.265)。この相関関係の低下は、Aβの凝集能によるものと考えられる。
(実施例3)被験者由来のCSFサンプルの各マーカレベルの測定(コントロール、軽度認知障害(CDR0.5)、軽度認症(CDR1))
(1)マーカ測定結果解析
実施例2の測定結果において、コントロールと軽度認知障害のマーカ濃度に差があったことより、マーカの測定結果をコントロールと比較した。
(1)マーカ測定結果解析
実施例2の測定結果において、コントロールと軽度認知障害のマーカ濃度に差があったことより、マーカの測定結果をコントロールと比較した。
(2)結果
CDRとマーカレベルの関係を表2および図6〜図9、CDRと年齢についての関係図10に示す。
CDRとマーカレベルの関係を表2および図6〜図9、CDRと年齢についての関係図10に示す。
軽度認知障害(CDR0.5)と軽度認知症(CDR1)の患者は、コントロールと比較して、p3−Alcα、p3−Alcβ37、p3−Alcβ40で有意に高い値を示していた(p=0.028、p=0.001、p=0.006、p=0.001)。
これらのマーカの測定値を用い、軽度認知障害・軽度認知症の診断に用いるためにROC(Receiver Operating Characteristic)曲線を用いて、それぞれのマーカーの曲線下面積(AUC)を確認した(図11)。曲線下面積(AUC)は、p3−Alcβ37が0.68772、p3−Alcβ40が0.77193、Aβ42が0.57632、p3−Alcαが0.73333であり、p3−Alcβ40が最も大きかった。
(実施例4)被験者由来のCSFサンプルの各マーカレベルの測定(コントロール、軽度認知障害(CDR0.5)、軽度認症(CDR1)、中等度認知症(CDR2)、重度認知症(CDR3))
(1)マーカ測定結果解析
実施例2の測定結果において、軽度認知障害および軽度認知症をピークとして中等度認知症(CDR2)、重度認知症(CDR3)で低値を示していることより、中等度以上の認知症の測定結果を軽度認知障害・軽度認知症またはコントロールと比較した。
(1)マーカ測定結果解析
実施例2の測定結果において、軽度認知障害および軽度認知症をピークとして中等度認知症(CDR2)、重度認知症(CDR3)で低値を示していることより、中等度以上の認知症の測定結果を軽度認知障害・軽度認知症またはコントロールと比較した。
(2)−1 軽度認知障害・軽度認知症との比較結果
CDRとマーカレベルの関係について軽度認知障害(CDR0.5)および軽度認症(CDR1)と中等度認知症(CDR2)および重度認知症(CDR3))の比較を図12〜図15、CDRと年齢との関係を図16に示す。
CDRとマーカレベルの関係について軽度認知障害(CDR0.5)および軽度認症(CDR1)と中等度認知症(CDR2)および重度認知症(CDR3))の比較を図12〜図15、CDRと年齢との関係を図16に示す。
p3−Alcα、p3−Alcβ37、p3−Alcβ40、Aβ42全てにおいて、CDR0.5および1から痴呆が進行することで有意に低値を示した(p<0.0001)。
これらのマーカの測定値を用い、中等度認知症・重度度認知症の診断に用いるためにROC(Receiver Operating Characteristic)曲線を用いて、それぞれのマーカーの曲線下面積(AUC)を確認した(図17)。曲線下面積(AUC)は、p3−Alcβ37(0.948)、p3−Alc40(0.952)、p3−Alcα(0.952)において高い値を示した。Aβ42では0.99であった。
(2)−2 コントロールとの比較結果
CDRとマーカレベルの関係についてコントロール(CDR0)と中等度認知症(CDR2)、重度認知症(CDR3))の比較を図18〜図21、CDRと年齢との関係を図22に示す。
CDRとマーカレベルの関係についてコントロール(CDR0)と中等度認知症(CDR2)、重度認知症(CDR3))の比較を図18〜図21、CDRと年齢との関係を図22に示す。
p3−Alcα、p3−Alcβ37、p3−Alcβ40、Aβ42全てにおいて、CDR2および3はコントロールと比較して有意に低値を示した(p<0.0001)。
これらのマーカの測定値を用い、コントロールと比較して中等度認知症・重度認知症の診断するためにROC(Receiver Operating Characteristic)曲線を用いて、それぞれのマーカーの曲線下面積(AUC)を確認した(図23)。曲線下面積(AUC)は、p3−Alcβ37(0.883)、p3−Alc40(0.880)、p3−Alcα(0.891)において高い値を示した。
興味深いことに、p3−Alcのレベルは軽度認知障害(CDR0.5)および軽度認知症(CDR1)の患者は、コントロールより有意に高く(p<0.0001)、中等度認知症(CDR2)および重度認知症(CDR3)の患者はコントロールより有意に低かった(p<0.0001)。
同様の傾向はAβ42では確認されなかった。Aβ42については統計的な差は観察されなかった。これは、Aβ42の凝集性のためと考えられる。AD患者(CDR2)におけるp3−Alcα及びAβ40の減少は、ニューロンの数の減少及び/又は神経活動の低下に伴いAlc及びAPPの発現が弱まる神経変性が進行したためと考えられる。
(実施例5)認知症の推移とp3−Alcレベルの関係
認知症の推移とp3−Alcレベルの関係について調べるため、CDR0およびCDR1であったヒトの認知症の程度とp3−Alcレベルの変化を継時的に測定した。具体的には、CDR1の83歳の女性(患者A)、CDR0の83歳の女性(患者B)、CDR1の88歳の女性(患者C)、CDR0.5の55歳の男性(患者D)、CDR0.5の63歳の女性(患者E)、CDR1の76歳の女性(患者F)から採取したCSF中のp3−Alcβ37及びp3−Alcβ40レベルを測定した。CSFの調製とp3−Alcβ37及びp3−Alcβ40レベルの測定、及び患者のCDRの決定は実施例2に記載の方法に準じて行った。初回測定後、患者A、B、C,D,E、及びFについて、それぞれ、3年3か月後(86歳)、2年9か月後(85歳)、1年後(89歳)、3年3か月後(58歳)、4年11か月後(68歳)、及び2年後(77歳)に再びCSF中のp3−Alcβ37及びp3−Alcβ40のレベルを測定し、またCDRを決定した(カッコ内は二度目の測定時の各患者の年齢を示す)。
認知症の推移とp3−Alcレベルの関係について調べるため、CDR0およびCDR1であったヒトの認知症の程度とp3−Alcレベルの変化を継時的に測定した。具体的には、CDR1の83歳の女性(患者A)、CDR0の83歳の女性(患者B)、CDR1の88歳の女性(患者C)、CDR0.5の55歳の男性(患者D)、CDR0.5の63歳の女性(患者E)、CDR1の76歳の女性(患者F)から採取したCSF中のp3−Alcβ37及びp3−Alcβ40レベルを測定した。CSFの調製とp3−Alcβ37及びp3−Alcβ40レベルの測定、及び患者のCDRの決定は実施例2に記載の方法に準じて行った。初回測定後、患者A、B、C,D,E、及びFについて、それぞれ、3年3か月後(86歳)、2年9か月後(85歳)、1年後(89歳)、3年3か月後(58歳)、4年11か月後(68歳)、及び2年後(77歳)に再びCSF中のp3−Alcβ37及びp3−Alcβ40のレベルを測定し、またCDRを決定した(カッコ内は二度目の測定時の各患者の年齢を示す)。
患者A〜Cについて二回目に決定したCDRは、CDR2でありいずれも認知症が悪化していた。また、患者D及びEについて二回目に決定したCDRは、CDR0.5であり、患者Fについて二回目に決定したCDRはCDR1であり、いずれも認知症の程度に変化は見られなかった。p3−Alcβ37及びp3−Alcβ40を、認知症が悪化した患者A〜Cについて測定した結果を図24に、認知症が悪化しなかった患者D〜Fについて測定した結果を25に示す。図中、縦軸は、各p3−Alcβの濃度(pg/mL)を示し、横軸は初回の測定からの経過期間を示す。本実験の結果、認知症が悪化する(CDRの数値が高くなる)とCSF中のp3−Alcβ37のレベルが低下することが示された。同様に、認知症が悪化する(CDRの数値が高くなる)とCSF中のp3−Alcβ40のレベルも低下した。一方で、認知症が悪化しない患者においては、p3−Alcβ37及びp3−Alcβ40共にほとんど変化しないか増加することが観察された。
本発明のAD又は認知症の診断及び発症予測、AD又は認知症患者の予後予測、並びに薬物投与や治療停止の効果の判定又は予測方法は、早期に認知症又はアルツハイマー病の進展、発症、又は進行度を診断/判定又は予測することができることから、ADや認知症の診断の分野において利用可能である。
Claims (34)
- 認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定することを含む、γ−セクレターゼの異常を早期に検出する方法。
- 認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定することを含む、認知症又はアルツハイマー病の進展、発症、又は進行度を早期に予測又は判定する方法。
- 認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、及び、
測定された検体中のp3−Alcレベルから当該患者の認知症又はアルツハイマー病の進展、発症、又は進行度を判定又は予測すること
を含む、請求項2に記載の方法。 - 認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcを所望の期間をおいて複数回測定すること、
測定された検体中のp3−Alcレベルの変化から当該患者の認知症又はアルツハイマー病の進展、発症、又は進行度を予測すること
を含む、請求項2に記載の方法。 - 測定されたp3−Alcレベル又は値の変化から認知症又はアルツハイマー病の進展、発症、又は進行度を定量化することを含む、請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 認知症の発症を早期に予測する方法である、請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
- アルツハイマー病の発症を早期に予測する方法である、請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
- アルツハイマー病への進展発症を早期に予測する方法である、請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
- アルツハイマー病の病態進行度を判定する方法である、請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 治療を受けている認知症患者又は認知症疑い患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定することを含む、当該治療の認知症又はアルツハイマー病の治療又は予防効果を早期に予測又は判定する方法。
- 治療を施された認知症又はアルツハイマー病患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、及び、
測定されたp3−Alcレベルから当該患者に対する認知症又はアルツハイマー病に対する治療効果を予測すること
を含む、請求項10に記載の方法。 - 治療開始前における認知症又はアルツハイマー病患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、
治療開始後における当該患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、及び、
測定された治療開始前及び治療開始後のp3−Alcレベルの変化から当該患者に対する認知症又はアルツハイマー病の治療効果を判定すること
を含む、請求項10に記載の方法。 - 治療開始後における当該患者由来の検体中のp3−Alcを期間をおいて複数回測定することによりモニタリングすること、
測定された治療開始後の検体中のp3−Alcレベルの変化から当該患者に対する認知症又はアルツハイマー病の治療効果を判定すること
を含む、請求項10に記載の方法。 - 測定されたp3−Alcレベル又は値の変化から認知症又はアルツハイマー病の治療効果を定量化することを含む、請求項10〜13のいずれか1項に記載の方法。
- 治療を中止したアルツハイマー病患者を含む認知症患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定することを含む、治療休止後の認知症又はアルツハイマー病の症状の変化を早期に予測又は判定する方法。
- 治療を中止した認知症又はアルツハイマー病患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、及び、
測定されたp3−Alcレベルから当該患者における治療休止後の認知症又はアルツハイマー病の症状の変化を予測すること
を含む、請求項15に記載の方法。 - 治療中における認知症又はアルツハイマー病患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、
治療中止後における当該患者由来の検体中のp3−Alcレベルを測定すること、及び、
測定された治療中及び治療中止後のp3−Alcレベルの変化から当該患者における治療休止による認知症又はアルツハイマー病に対する効果を判定すること
を含む、請求項15に記載の方法。 - 治療中止後における当該患者由来の検体中のp3−Alcを期間をおいて複数回測定することによりモニタリングすること、及び、
測定された治療中止後のp3−Alcレベルの変化から当該患者における治療休止による認知症又はアルツハイマー病に対する効果を判定すること
を含む、請求項15に記載の方法。 - 測定されたp3−Alcレベル又は値の変化から認知症又はアルツハイマー病患者における治療休止による認知症又はアルツハイマー病に対する効果を定量化することを含む、請求項15〜19のいずれか1項に記載の方法。
- 治療がγ−セクレターゼ阻害剤、γ−セクレターゼワクチン、高脂血症治療剤、脂質代謝改善剤、又は、脳神経細胞傷害予防効果を持つ薬剤による治療である、請求項10〜19のいずれか1項に記載の方法。
- 高脂血症治療剤がスタチンである請求項20に記載の方法。
- 更に、検体中のp3−Alcと共に、p3−Alcとは異なる認知症又はアルツハイマー病の進展、発症、又は進行度の指標を測定することを含む、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
- 検体が認知症疑い患者ないしは認知症患者、特にアルツハイマー病患者の体液、ヒト脳組織から採取した生体試料又はその処理物である請求項1〜22に記載の方法。
- 被験薬をアルツハイマー病モデル動物に投与すること、及び
当該モデル動物由来の検体中のp3−Alcレベルを測定することを含む、
γ−セクレターゼの阻害剤および活性修飾剤のスクリーニング方法。 - ヒトp3−Alcと特異的に結合する第一抗体が固定化した、固相、ハプテン、磁気ビーズ及び不溶性担体からなる群より選択される担体を含むことを特徴とする、請求項1〜24の方法に用いるための免疫化学測定のキット。
- ヒトp3−Alcと特異的に結合する標識化された第二抗体、又は該第二抗体が固定化したハプテンもしくは不溶性担体、をさらに含むことを特徴とする請求項25に記載の免疫化学測定のキット。
- (1)ヒトp3−Alcと特異的に結合する第一抗体が固定化した固相、及び
(2)ヒトp3−Alcと特異的に結合する標識化された第二抗体、
を含むことを特徴とする請求項26に記載の免疫化学測定のキット。 - (1)ヒトp3−Alcと特異的に結合する第一抗体が固定化したハプテン、及び
(2)ヒトp3−Alcと特異的に結合する標識化された第二抗体、
を含むことを特徴とする請求項26に記載の免疫化学測定のキット。 - 前記ハプテンと特異的に結合する物質が固定化した固相をさらに含むことを特徴とする請求項26に記載の免疫化学測定のキット。
- (1)ヒトp3−Alcと特異的に結合する第一抗体が固定化した固相、及び
(2)ヒトp3−Alcと特異的に結合する第二抗体が固定化したハプテン、
を含むことを特徴とする請求項26に記載の免疫化学測定のキット。 - 前記ハプテンと特異的に結合する、標識された物質をさらに含むことを特徴とする請求項30に記載の免疫化学測定のキット。
- (1)ヒトp3−Alcと特異的に結合する第一抗体が固定化した磁気ビーズ、及び
(2)ヒトp3−Alcと特異的に結合する標識化された第二抗体、
を含むことを特徴とする請求項26に記載の免疫化学測定のキット。 - (1)ヒトp3−Alcと特異的に結合する第一抗体が固定化した不溶性担体、及び
(2)ヒトp3−Alcと特異的に結合する第二抗体が固定化した不溶性担体、
を含むことを特徴とする請求項26に記載の免疫化学測定のキット。 - 標識と反応する基質をさらに含む請求項25〜33のいずれか1項に記載の免疫化学測定のキット。
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