JP2014122315A - ガラス板接着用の仮止材、及びガラスの加工方法 - Google Patents

ガラス板接着用の仮止材、及びガラスの加工方法 Download PDF

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Isao Amamiya
勲 雨宮
Seiji Sakaguchi
誠司 坂口
Tadashi Sakurai
正 桜井
Ikuru Kimura
生 木村
Mayuko Yoshihira
真由子 吉平
Yoshihiko Yokoo
嘉彦 横尾
Kosuke Fujii
宏介 藤井
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Abstract

【課題】ガラス板積層体のガラス板同士の接着安定性を向上させることができるとともに、複数枚のガラス板を積層する際の一括硬化処理により生産効率を向上させることができるガラス板接着用の仮止材を提供する。
【解決手段】ガラス板同士を接着する接着層を介して相互に固定された複数枚のガラス板からなるガラス板積層体に対する所定波長の紫外線照射により、複数層の前記接着層が一括して硬化可能な樹脂成分である。当該樹脂成分は、少なくとも(メタ)アクリレート、発泡剤、及び光開始剤を含有し、前記発泡剤は、アゾエステル、アゾアルキル、もしくはアゾ基を骨格に有し、アミノ基またはシアノ基のいずれか片方を有する化合物から選ばれる1種類以上の化合物から構成され、前記光開始剤は、1分子中に窒素原子を0個または1個含有する化合物からなる。
【選択図】なし

Description

本発明は、ガラス板同士を接着する接着層を介して相互に固定された複数枚のガラス板からなるガラス板積層体の形状加工処理に対応する、前記接着層を構成するガラス板接着用の仮止材、及びガラスの加工方法に関するものである。
従来、ガラス板同士を接着する接着層を介して相互に固定された複数枚のガラス板からなるガラス板積層体の形状加工処理を行う工程を含むガラスの加工方法としては、例えば特許文献1に開示されている。この文献には、例えば携帯電話のLCD保護レンズやLCD表示ガラス等を得るための素材板ガラスを多数枚積み重ねるとともに、各素材板ガラスを、各素材板ガラス間に介在させた剥離可能な固着剤により一体的に固着してなる素材ガラスブロックを形成し、該素材ガラスブロックを面方向に分割して小面積の分割ガラスブロックを形成し、該分割ガラスブロックの少なくとも外周を加工して平面視製品形状となる製品ガラスブロックを形成し、該製品ガラスブロックを端面加工した後、該製品ガラスブロックを個別に分離する板ガラスの加工方法が記載されている。
このような板ガラスの加工方法において用いられる上記剥離可能な固着剤としては、例えば特許文献2や特許文献3に示すようなものがある。特許文献2には、(A)多官能(メタ)アクリレート、(B)単官能(メタ)アクリレート、(C)脂肪酸またはその誘導体等からなる群から選ばれる1種以上、(D)光重合開始剤を含有する組成物が開示されている。また、特許文献3には、ハードディスク用のガラス基板の穴あけ加工時においてガラス基板同士を仮接着するための接着剤であって、少なくとも、(メタ)アクリレート化合物、光重合開始剤、及び気体発生剤を含有する仮接着用接着剤が開示されている。これら特許文献2及び特許文献3に開示されているものはいずれも紫外線照射により硬化する光硬化性の組成物あるいは接着剤である。
特開2009−256125号公報 特開2006−328094号公報 特開2010−79958号公報
しかしながら、上記特許文献2及び特許文献3には、上記組成物あるいは接着剤の透明性や光透過率に関する示唆はない。例えば、20枚のガラス板の積層体を形成する場合には、ガラス板同士を接着する接着層1層当たりの透明性あるいは光透過率が重要な要件となる。たとえば接着層が紫外線を遮断・吸収等して光透過率が不十分であると、とくに光源から離れた接着層が硬化せず、多数枚積層状態での加工ができない。
また、接着層1層当たりの光透過率が低い場合には、まず2枚のガラス板の間に1層の接着層を形成して光硬化させ、後はガラス板を接着層を介して1枚ずつ積層し、2層目以降の接着層を1層ずつ光硬化させる方法も考えられる。しかしながら、このようなガラス板を積層しつつ、接着層を1層ずつ硬化させる方法では、多数枚のガラス板の積層体を作製する際の作業性が悪く、生産効率が低下するという問題がある。
従って、従来の特許文献2や特許文献3等に開示されているような仮止用の接着剤を使用しても、安定で、しかも生産効率の高いガラス加工を行うことが困難な場合がある。
本発明はこのような従来の問題を解決すべくなされたものであって、その目的は、ガラス板積層体のガラス板同士の接着安定性を向上させることができるとともに、複数枚のガラス板を積層する際の一括硬化処理により生産効率を向上させることができるガラス板接着用の仮止材、及びガラスの加工方法を提供することである。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下の構成の発明により上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は以下の構成を有する。
(構成1の発明)
ガラス板同士を接着する接着層を介して相互に固定された複数枚のガラス板からなるガラス板積層体の形状加工処理に対応する、前記接着層を構成するガラス板接着用の仮止材であって、該仮止材は、前記ガラス板積層体に対する所定波長の紫外線照射により、前記ガラス板同士を接着する積層方向に間隔をおいて配置された複数層の前記接着層が一括して硬化可能な樹脂成分であり、前記樹脂成分は、少なくとも、(メタ)アクリレート、発泡剤、及び光開始剤を含有し、前記発泡剤は、アゾエステル、アゾアルキル、もしくはアゾ基を骨格に有し、アミノ基またはシアノ基のいずれか片方を有する化合物から選ばれる1種類以上の化合物から構成され、前記光開始剤は、1分子中に窒素原子を0個または1個含有する化合物からなることを特徴とするガラス板接着用の仮止材である。
(構成2の発明)
硬化前の接着層厚さが50μmのとき、365nm波長の紫外線透過率が70%以上であることを特徴とする構成1に記載のガラス板接着用の仮止材である。
(構成3の発明)
硬化前後の前記透過率の差が10%以内であることを特徴とする構成1又は2に記載のガラス板接着用の仮止材である。
(構成4の発明)
前記 (メタ)アクリレート成分が、オリゴマーを含有していることを特徴とする構成1乃至3のいずれかに記載のガラス板接着用の仮止材である。
(構成5の発明)
前記オリゴマーの成分を5〜50重量%含有していること特徴とする構成1乃至4のいずれかに記載のガラス板接着用の仮止材である。
(構成6の発明)
前記発泡剤の成分を1〜30重量%含有していることを特徴とする構成1乃至5のいずれかに記載のガラス板接着用の仮止材である。
(構成7の発明)
構成1乃至6のいずれかに記載のガラス板接着用の仮止材からなる接着層を介して複数枚のガラス板を積層し固定して、ガラス板積層体を形成する積層工程と、前記ガラス板積層体に対して形状加工処理を施す形状加工処理工程と、前記形状加工処理工程の後の前記ガラス板積層体から前記接着層を剥離する剥離工程とを含むことを特徴とするガラスの加工方法である。
(構成8の発明)
前記ガラス板の厚さは、0.1〜1.0mmであることを特徴とする構成7に記載のガラスの加工方法である。
本発明によれば、ガラス板積層体のガラス板同士の接着安定性を向上させることができるとともに、複数枚のガラス板を積層する際の一括硬化処理により生産効率を向上させることができるガラス板接着用の仮止材、及び該仮止材を用いたガラスの加工方法を提供することができる。
本発明に係るガラスの加工方法を説明するための模式図である。 ガラス板積層体の層構成を示す断面図である。 本発明に係るガラスの加工方法によって得られる電子機器用カバーガラスの一例の平面図である。 透過率測定に使用する試験体に用いる2枚のガラスを空気を巻き込まないように貼り合わせた状態での分光特性を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を詳述する。
[ガラス板接着用の仮止材]
まず、本発明に係るガラス板接着用の仮止材の実施の形態について説明する。
本発明に係るガラス板接着用の仮止材は、上記構成1にあるように、ガラス板同士を接着する接着層を介して相互に固定された複数枚のガラス板からなるガラス板積層体の形状加工処理に対応する、前記接着層を構成するガラス板接着用の仮止材であって、該仮止材は、前記ガラス板積層体に対する所定波長の紫外線照射により、前記ガラス板同士を接着する積層方向に間隔をおいて配置された複数層の前記接着層が一括して硬化可能な樹脂成分であり、前記樹脂成分は、少なくとも、(メタ)アクリレート、発泡剤、及び光開始剤を含有し、前記発泡剤は、アゾエステル、アゾアルキル、もしくはアゾ基を骨格に有し、アミノ基またはシアノ基のいずれか片方を有する化合物から選ばれる1種類以上の化合物から構成され、前記光開始剤は、1分子中に窒素原子を0個または1個含有する化合物からなることを特徴とするガラス板接着用の仮止材である。
図2は、ガラス板積層体の層構成を示す断面図である。
図2に示されるように、ガラス板1同士を接着する接着層2を介して相互に固定された複数枚のガラス板1からなるガラス板積層体10において、本発明に係るガラス板接着用の仮止材は上記接着層2を構成するものである。なお、図2では、10枚のガラス板1を各ガラス板間に接着層2を介して積層したガラス板積層体を示しているが、勿論これは一例であって、一般には数十枚程度のガラス基板を積層することが多い。
本発明に係る仮止材は、前記ガラス板積層体に対する所定波長の紫外線照射により、前記ガラス板同士を接着する積層方向に間隔をおいて配置された複数層の前記接着層が一括して硬化可能な樹脂成分を含有する。
そして、当該樹脂成分は、少なくとも、以下の成分を含む。
(A)(メタ)アクリレート
(B)アゾエステル、アゾアルキル、もしくはアゾ基を骨格に有し、アミノ基またはシアノ基のいずれか片方を有する化合物から選ばれる1種類以上の化合物
(C)1分子中に窒素原子を0個または1個含有する光開始剤
上記(A)の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロデカトリエン(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)クリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エトキシカルボニルメチル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、フェノール(エチレンオキサイド2モル変性)(メタ)アクリレート、フェノール(エチレンオキサイド4モル変性)(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(エチレンオキサイド4モル変性)(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(エチレンオキサイド8モル変性)(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(プロピレンオキサイド2.5モル変性)(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性フタル酸(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性コハク酸(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ダイマー、β−(メタ)アクロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、n−(メタ)アクリロイルオキシアルキルヘキサヒドロフタルイミド、2−(1,2−シクロヘキサカルボキシイミド)エチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリストールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル変性ジメタクレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド4モル変性ジメタクレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド6モル変性ジメタクレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド10モル変性ジメタクレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド20モル変性ジメタクレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド4モル変性ジメタクレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド10モル変性ジアクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド4モル変性ジアクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド6モル変性ジアクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド10モル変性ジアクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド20モル変性ジアクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド4モル変性ジアクリレート、ビスフェノールFのエチレンオキサイド2モル変性ジアクリレート、ビスフェノールFのエチレンオキサイド2モル変性ジメタクレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジメタクレート、トメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロイキシエチル]イソシアヌレート、ジメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、アクリルアクリレート等が好ましく挙げられる。
本発明においては、上記(メタ)アクリレート化合物はオリゴマー成分を含有することが好ましい。オリゴマー成分を含有するとガラスへの密着性や靱性が付与されガラス加工品質が向上するためである。
この場合のオリゴマー成分としては、例えば主鎖骨格が、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリブタジエン、ポリイソプレン、及びこれらの水素添加物、からなる群から選ばれる少なくとも1種であって、少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を有し、重量平均分子量が1000以上である(メタ)アクリレートオリゴマーを含有することが好ましい。
なお、ここで言う重量平均分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される、標準物質はポリスチレンの場合の重量平均分子量を指す。
オリゴマー成分としては、例えば1,2−ポリブタジエンウレタン(メタ)アクリレート、前記水素添加物、1,4−ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレート、ポリイソプレン末端(メタ)アクリレート、ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリート、ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートとしては、フェニルグリシジルエーテルアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、フェニルグリシジルエーテルアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ポリカーボネートジオール変性ウレタンアクリレート、ビスA型エポキシ(メタ)アクリレート等が好ましく挙げられる。
上記オリゴマー成分は、上記(メタ)アクリレート化合物のうちの5〜50重量%とすることが好ましい。オリゴマー成分の含有量が(メタ)アクリレート化合物のうちの5重量%未満であると、ガラス密着性、靱性が乏しく、ガラス加工時に一辺の長さ20μm以上の比較的に大きなチッピングが発生する。一方、オリゴマー成分の含有量が(メタ)アクリレート化合物のうちの50重量%を超えると、粘度が高くなり、貼り合わせの際に気泡を巻き込みやすく、作業性とガラス加工品質が低下する。
また、本発明においては、上記(メタ)アクリレート化合物は単官能モノマー成分を含有することが好ましい。単官能モノマー成分を含有すると架橋密度を下げるので、柔軟な皮膜となり、剥離の際に皮膜が小片に割れず、シート状となり、ガラスと皮膜の分離が容易である。
この場合の単官能モノマー成分としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロデカトリエン(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)クリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エトキシカルボニルメチル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、フェノール(エチレンオキサイド2モル変性)(メタ)アクリレート、フェノール(エチレンオキサイド4モル変性)(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(エチレンオキサイド4モル変性)(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(エチレンオキサイド8モル変性)(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(プロピレンオキサイド2.5モル変性)(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性フタル酸(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性コハク酸(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ダイマー、β−(メタ)アクロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、n−(メタ)アクリロイルオキシアルキルヘキサヒドロフタルイミド、2−(1,2−シクロヘキサカルボキシイミド)エチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が好ましく挙げられる。
なお、単官能モノマー成分としては、これらの1種又は2種以上を使用しても良い。
上記単官能モノマー成分は、上記(メタ)アクリレート化合物のうちの50〜95重量%とすることが好ましい。単官能モノマー成分の含有量が(メタ)アクリレート化合物のうちの50重量%未満であると、粘度が高く、貼り合わせの際に気泡を巻き込みやすく、作業性とガラス加工品質が低下する。一方、単官能モノマー成分の含有量が(メタ)アクリレート化合物のうちの95重量%を超えると、ガラス密着性、靱性が乏しくなり、ガラス加工時に一辺の長さ20μm以上の比較的大きなチッピングが発生する。
また、上記(B)はアゾエステル、アゾアルキル、もしくはアゾ基を骨格に有し、アミノ基またはシアノ基のいずれか片方を有する化合物から選ばれる1種類以上の化合物である。これらのアゾ化合物は、紫外線照射、又は加温されることにより発泡可能となる発泡成分である。
上記アゾエステルとしては、例えば、ジメチル1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート、2,2’−アゾビス(イソ酪酸メチル)等が好ましく挙げられる。
また、上記アゾアルキルとしては、例えば、2,2’−アゾビス(2,4,4トリメチルペンタン)等が好ましく挙げられる。
また、上記アゾ基を骨格に有し、アミノ基またはシアノ基のいずれか片方を有する化合物から選ばれる1種類以上の化合物としては、例えば、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−メチルプロピル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、1,1−アゾビス(シクロヘキサンカルボン酸メチル)等が好ましく挙げられるがこれらに限定されるものではない。
即ち、上記アゾ基を骨格に有し、アミノ基またはシアノ基のいずれか片方を有する化合物から選ばれる1種類以上の化合物としては、例えば、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−メチルプロピル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−メチルエチル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−プロピル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−エチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’ −アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル、1,1−アゾビス(シクロヘキサンカルボン酸メチル)、2,2’ −アゾビス(2,4,4トリメチルペンタン)等が好ましく挙げられるがこれらに限定されるものではない。
上記アゾ化合物としては、アゾエステル、アゾアルキル、もしくはアゾ基を骨格に有し、アミノ基またはシアノ基のいずれか片方を有する化合物から選ばれる1種類以上の化合物が用いられるが、本発明においては、特に2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド、2,2’−アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボン酸メチル)を用いるのが好ましい。これらは光透過率に優れていることから好適に用いられる。
上記アゾ化合物の含有量としては、上記(メタ)アクリレート化合物100重量%に対して、アゾ化合物を1〜30重量%とすることが好ましい。アゾ化合物の含有量が1重量%未満であると、温水での剥離性を確保できない。一方、アゾ化合物の含有量が30重量%を超えると、粘度が高くなり、光透過率が低下する。
また、上記(C)の1分子中に窒素原子を0個または1個含有する光開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン及びその誘導体、ベンジル及びその誘導体、エントラキノン及びその誘導体、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン等のベンゾイン誘導体、ジエトキシアセトフェノン、4−t−ブチルトリクロロアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体、2−ジメチルアミノエチルベンゾエート、p−ジメチルアミノエチルベンゾエート、ジフェニルジスルフィド、チオキサントン及びその誘導体、カンファーキノン、7,7−ジメチル−2,3−ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボン酸、7,7−ジメチル−2,3−ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボキシ−2−ブロモエチルエステル、7,7−ジメチル−2,3−ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボキシ−2−メチルエステル、7,7−ジメチル−2,3−ジオキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−カルボン酸クロライド等のカンファーキノン誘導体、2−メチル−1−[4-(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンのα−アミノアルキルフェノン誘導体、ベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシポスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジメトキシフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジエトキシフェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド誘導体、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ]−エチルエステル及びオキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]−エチルエステル)等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、1分子中に窒素原子を0個または1個含有する光開始剤のため、仮止め材配合物の着色が少なく、上記接着層の紫外線透過率を低下させない。
上記光重合開始剤の含有量は、上記(メタ)アクリレート化合物100重量%に対して、1〜10重量%程度とすることが適当である。
また、本発明に係る仮止材は、上記(A)、(B)、及び(C)の各成分を含む樹脂成分の他に、本発明の目的を損わない範囲で、例えば、スペーサー、消泡剤、脱泡剤、充填剤等を含有してもよい。スペーサーとしては、アクリル、スチレン、6ナイロン等の粒子が望ましい。
本発明に係る仮止材を製造する方法としては特に限定されず、例えば、上記(A)の(メタ)アクリレート化合物、(B)のアゾエステル、アゾアルキル、もしくはアゾ基を骨格に有し、アミノ基またはシアノ基のいずれか片方を有する化合物から選ばれる1種類以上の化合物、(C)の1分子中に窒素原子を0個または1個含有する光開始剤、その他の添加剤等を従来公知の方法により混練する方法等が挙げられる。
本発明に係る仮止材からなる接着層は、硬化前の状態の接着層の厚さが50μmのときの、365nmの波長の紫外線透過率が70%以上であることが望ましい。この紫外線透過率が70%未満であると、例えば接着層を介してガラス基板を10枚以上積層したガラス板積層体に対して一方から紫外線照射した場合、光源から離れた接着層が硬化しない恐れがあり、ガラス板積層体に対する所定波長の紫外線照射により、ガラス板同士を接着する積層方向に間隔をおいて配置された複数層の接着層を1回の光照射で一括して硬化させることができない。
また、上記接着層の硬化前後の前記透過率の差が10%以内であることが好ましい。上記接着層の硬化前後の前記透過率の差が10%を超えると、硬化に必要な光が透過せず光源から離れた接着層の硬化が不十分になる。
[ガラスの加工方法]
本発明は、上記本発明に係る仮止材を用いたガラスの加工方法についても提供するものである。
本発明に係るガラスの加工方法は、上記本発明に係るガラス板接着用の仮止材からなる接着層を介して複数枚のガラス板を積層し固定して、ガラス板積層体を形成する積層工程と、前記ガラス板積層体に対して形状加工処理を施す形状加工処理工程と、前記形状加工処理工程の後の前記ガラス板積層体から前記接着層を剥離する剥離工程とを含むことを特徴とするものである。
次に、上記本発明に係るガラスの加工方法について説明する。ここでは、ガラスの加工方法の一実施の形態として、携帯電話機等の電子機器用カバーガラスの製造を例として説明する。
図1は、本発明に係るガラスの加工方法を説明するための模式図である。また、図2は、前述のガラス板積層体の層構成を示す断面図である。また、図3は、本発明に係るガラスの加工方法によって得られる電子機器用カバーガラスの一例の平面図である。
通常、大きなサイズのガラス板の積層体を機械加工等により所定の大きさにカッティング(小片化)する。
図1(a)に示すように、ラミネーター40を使用して、フロート法やダウンドロー法等で製造された厚さが例えば0.5mm程度のガラス板1を複数枚(例えば数十枚程度)積層(ラミネート)してガラス板積層体10を形成する(積層工程)。各ガラス板間には、上述の本発明に係るガラス板接着用の仮止材を塗布して接着層2(図2参照)を設ける。接着層2の厚さは特に制約されるものではないが、本発明においては例えば10〜100μm程度が好適である。
例えば携帯電話機等の電子機器用カバーガラスを製造する場合、上記ガラス板1を構成するガラスは、化学強化が可能なアモルファスのアルミノシリケートガラスとすることが好ましい。このようなアルミノシリケートガラスからなるガラス板は、化学強化後の強度が高く、電子機器用カバーガラスには好適である。このようなアルミノシリケートガラスとしては、例えば、SiO2が58〜75重量%、Al23が4〜20重量%、Li2Oが0〜10重量%、Na2Oが4〜20重量%を主成分として含有するアルミノシリケートガラスを用いることができる。なお、ガラス板1を構成するガラスとしては、ソーダライムガラスやアルミノボロシリケートガラスを用いてもよい。
上記ガラス板1の厚さは、最近の携帯機器等の電子機器の薄型化・軽量化のマーケットニーズに応える観点から例えば0.1mm〜1.0mm程度の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.4mm〜0.7mm程度の範囲である。
次に、このガラス板積層体10に対して所定波長の紫外線照射を行い、ガラス板同士を接着する積層方向に間隔をおいて配置された上記複数層の接着層2を一括して硬化させる。この場合の紫外線照射の条件(光源波長、光源出力、照射時間など)は適宜設定することができる。前述のとおり、本発明に係る仮止材からなる接着層は、硬化前の状態の接着層の厚さが50μmのときの、365nmの波長の紫外線透過率が70%以上であることにより、光源から離れた接着層も十分に硬化するので、上記ガラス板積層体中の複数層の接着層を1回の光照射で一括して硬化させることができる。また、このような複数枚のガラス板を積層する際の一括硬化処理により生産効率を向上させることができる。
こうして、ガラス板1同士を接着する接着層2を介して相互に固定された複数枚のガラス板1からなるガラス板積層体10が形成される。
次に、図1(b)に示すように、ガラス用カッター50を用いて、上記ガラス板積層体10を所定の大きさの小片に切断して、小片化されたガラス板積層体20を形成する。小片の大きさは、製品のカバーガラスの大きさに外周形状加工に必要なマージン等を加えた大きさを考慮して決定される。なお、小片化したガラス板を積層してガラス板積層体20としてもよい。
次に、上記小片化されたガラス板積層体20に対して形状加工処理を施す(形状加工処理工程)。図1(c)に示すように、例えば回転砥石51、52などを使用して形状加工処理を行い、製品カバーガラスの外形形状を形成する。また、レシーバーホールなどの開口を形成するための孔開け加工を施す場合もある。こうして、形状加工処理を施したガラス板積層体30を形成する。
本発明に係る仮止材を用いることによってガラス板積層体の複数の接着層の硬化が安定し、ガラス板積層体のガラス板同士の接着安定性を向上させることができるので、ガラス板積層体20の形状加工処理の際に、積層体からのガラス板の剥離などが生じる不具合はなく、加工安定性が得られ、加工精度も向上する。
次に、図1(d)に示すように、形状加工処理を施したガラス板積層体30を、例えば温水を収容した液槽60中に浸漬させて、ガラス板積層体30から複数の各接着層2を剥離する(剥離工程)。こうして、積層状態のガラス板は1枚ずつ分離される。
本発明に係る仮止材からなる硬化した接着層を剥離するためには、80℃以上の温水が好適である。浸漬時間は適宜決定することができる。
以上の工程によって、例えば図3に示すような電子機器用カバーガラス3が得られる。
なお、携帯電話機等の電子機器に用いられる電子機器用カバーガラスは、大面積、薄型であっても高い強度が要求されるため、上記形状加工処理を施したカバーガラス3に対して化学強化処理を行うことが望ましい。
化学強化処理の方法としては、例えば、ガラス転移点の温度を超えない温度領域、例えば摂氏300度以上500度以下の温度で、イオン交換を行う低温型イオン交換法などが好ましい。化学強化処理とは、溶融させた化学強化塩とガラス板とを接触させることにより、化学強化塩中の相対的に大きな原子半径のアルカリ金属元素と、ガラス板中の相対的に小さな原子半径のアルカリ金属元素とをイオン交換し、ガラス板の表層に該イオン半径の大きなアルカリ金属元素を浸透させ、ガラス板の表面に圧縮応力を生じさせる処理のことである。化学強化塩としては、硝酸カリウムや硝酸ナトリウムなどのアルカリ金属硝酸を好ましく用いることができる。化学強化処理されたガラス板は強度が向上し耐衝撃性に優れているので、特にタッチパネル式の電子機器に用いられるカバーガラスには好適である。
以上のようにして、本発明に係るガラスの加工方法を適用して得られたカバーガラス3は、携帯電話機等の電子機器に組み込まれる。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例は、仮止材に関するものである。オリゴマーとしてポリエーテル変性ウレタンアクリレートオリゴマーを35重量%、及び単官能モノマーとしてのベンジルメタアクリレートを35重量%、シクロヘキシルメタクリレートを30重量%で、(メタ)アクリレート化合物として合計65重量%に混合し、光開始剤として1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトンを2重量%、発泡剤として2,2'−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)を10重量%添加し、実施例1の仮止材を作成した。得られた仮止材に対して、硬化前後の波長365nmの紫外線の透過率、硬化安定性、加工特性、温水剥離性、及び一括硬化可能枚数について評価(又は測定)した。この評価結果について表1に示す。
ここで、硬化前後の波長365nmの紫外線の透過率については次のように測定した。
まず、試験体に用いる2枚のガラスを空気を巻き込まない状態で貼り合わせて、その張り合わせた状態での2枚のガラスの分光特性を、分光測色計(KONICA MINOLTA社製 CM-3700d)を用いて測定した。この分光特性を図4に示す。なお、ここで用いたガラスは、1.0〜1.2mm厚の松浪硝子社製ハーフホワイトガラスである。次に、2枚のガラスの間に厚さ50μmで仮止剤を塗布して試験体を作成し、前記の分光測色計を使用して、試験体の分光特性を測定した。そして、試験体の分光特性における365nm波長での透過率から、図4の特性を基にガラスによる透過率の損失を換算し、仮止剤のみの光透過率を硬化前のUV透過率として算出した。また、この硬化前の透明性について、硬化前のUV透過率が、90%以上であれば◎、90%未満で80%以上であれば○、80%未満であれば×として表1に示す。さらに、前述の試験体の仮止材をメタルハライドランプを用いて硬化させ、その硬化した状態でも分光特性を測定し、図4の特性を基にガラスによる透過率の損失を換算し、仮止剤のみの光透過率を硬化後のUV透過率として算出した。これらの硬化後の波長365nmの紫外線の透過率と、硬化前後の波長365nmの紫外線透過率の差についても、表1に記載する。
硬化安定性の測定は次のように行った。2枚のガラス板(450mm×415mmの0.5mm厚)間に厚さ50μmの接着層を形成して硬化させた際の接着層の外周の部分的な剥離の有無を目視により観察し、接着層に部分的に剥離が生じている場合には剥離している部分の長さを測定した。なお、複数箇所で剥離している場合には、最長の剥離箇所を評価対象とした。この測定結果に関して、接着層の外周に剥離が生じていなければ○、剥離している部分が5mm以下であれば△、剥離している部分の寸法が5mmを超過していれば×として表1に示す。
加工特性の評価は次のように行った。10枚のガラス板(450mm×415mmの0.5mm厚)で接着層厚さ50μmの積層体を10cm×5cmの小片に切断して、小片化されたガラス板積層体に対して、回転砥石を使用して形状加工処理を行い、形状加工処理の際に生じたチッピングの長さを測定した。なお、複数箇所でチッピングが生じている場合には、最長のチッピング箇所を評価対象とした。この測定結果に関して、チッピングの長さが10μm以内であれば◎、チッピングの長さが10μmを超えて20μm以内であれば○、チッピングの長さが20μmを超えている場合には×として表1に示す。
温水剥離性の評価は次のように行った。10枚のガラス板(450mm×415mmの0.5mm厚)で接着層厚さ50μmの積層体を10cm×5cmの小片に切断して、その小片の積層体を90℃の温水に浸漬し、積層体から10枚全てのガラス基板が自己剥離(自然剥離)するまでの時間を計測した。この測定結果に関して、剥離時間が5分以内であれば◎、剥離時間が5分を超え10分以内であれば○、剥離時間が10分を超え20分以内であれば△、剥離時間が20分を超えた場合又は自己剥離できなかった場合には×として表1に示す。
一括硬化枚数の測定は次のように行った。ソーダガラスである1.0〜1.2mm厚のアズワン(株)Slide-cut Edges/Plainのスライドガラスを使用し、一層あたりの接着層厚さを50μmとし、スライドガラスの積層体を作成し、波長365nmを含むメタルハライドランプでの一括硬化枚数を測定した。この測定結果に関して、20枚以上であれば◎、19〜6枚であれば○、5枚以下であれば×として表1に示す。
(実施例2〜19、比較例1〜4)
表1〜4に示す種類の原材料を表1〜4に示す組成で使用したこと以外は実施例1 と同様にして仮止剤を作成した。得られた仮止材について、実施例1と同様に、透明性、硬化前後の波長365nmの紫外線の透過率、硬化安定性、加工特性、温水剥離性、及び一括硬化可能枚数について評価(測定)した。それらの結果を表1〜4に示す。
ここで、表1〜4では、一部の成分を簡略化して示す。簡略化した成分の正式名称は以下の通りである。
オリゴマー1:ポリエーテル変性ウレタンアクリレートオリゴマー
オリゴマー2:ポリエステル変性ウレタンアクリレートオリゴマー
オリゴマー3:1,2-ポリブタジエン変性ウレタンメタクリレートオリゴマー
オリゴマー4:脂肪族変性ウレタンアクリレートオリゴマー
光開始剤1:1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(窒素原子0個)
光開始剤2:2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン( 窒素原子1個)
光開始剤3:2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン- 1(窒素原子2個)
光開始剤4:トリアリールスルホニウム塩光酸発生剤
発泡剤1:2,2'−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)
発泡剤2:2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル
発泡剤3:2,2'−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]
発泡剤4:1,2-ジデヒドロ-1-(1-シアノ-1-メチルエチル)セミカルバジド
発泡剤5:1,1'-アゾビス−(シクロヘキサン−1-カルボニトリル)
Figure 2014122315
Figure 2014122315
Figure 2014122315
Figure 2014122315
(実施例20)
本実施例は、本発明のガラスの加工方法に関する実施例であり、具体的には携帯機器用カバーガラスの製造に関するものである。
以下の(1)積層工程、(2)形状加工処理工程、(3)剥離工程、(4)化学強化処理工程、を経て本実施例の携帯機器用カバーガラスを製造した。
(1)積層工程
まず、ラミネーターを用いて、フロート法で製造されたアルミノシリゲートガラスからなる厚さ0.5mmのガラス板を20枚積層した。このアルミノシリケートガラスとしては、SiO:58〜75重量%、Al:4〜20重量%、LiO:3〜10重量%、NaO:4〜13重量%を含有する化学強化用ガラスを使用した。なお、各ガラス板間には、上記実施例1の仮止材を塗布して厚さ50μmの接着層を形成した。こうして、接着層を介して20枚のガラス板を積層したガラス板積層体を作製した。
次に、このガラス板積層体に対して紫外線照射を行い、ガラス板同士を接着する積層方向に間隔をおいて配置された上記複数層の接着層を一括して硬化させた。紫外線照射は、波長365nmを含むメタルハライドランプを用い、光源出力、照射時間は適宜調節して行った。
以上のようにして、ガラス板同士を接着する接着層を介して相互に固定された20枚のガラス板からなるガラス板積層体を作製した。
次に、ガラス用カッターを用いて、上記ガラス板積層体を所定の大きさ(10cm×5cm)の小片に切断して、小片化されたガラス板積層体を作製した。
(2)形状加工処理工程
次に、上記小片化されたガラス板積層体に対して所定の形状加工処理を施した。具体的には、回転砥石などを使用して形状加工処理を行い、製品カバーガラスの外形形状を形成した。
ガラス板積層体の形状加工処理の際に、積層体からのガラス板の剥離などの不具合は全く生じなかった。安定した加工が行え、加工精度も良好であった。
(3)剥離工程
次に、上記形状加工処理を施したガラス板積層体を、80℃以上の温水を収容した液槽中に5分間浸漬させて、ガラス板積層体から複数の各接着層を剥離した。こうして、積層状態のガラス板は1枚ずつ分離された。
(4)化学強化処理工程
次に、上記剥離工程によって1枚ずつ分離されたガラス板に対して化学強化処理を施した。化学強化は硝酸カリウムと硝酸ナトリウムの混合した化学強化液を用意し、この化学強化溶液を380℃に加熱し、上記ガラス板を約4時間浸漬して化学強化処理を行なった。化学強化を終えたガラス板を硫酸、中性洗剤、純水、純水、IPA、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、超音波洗浄し、乾燥した。
以上のようにして本実施例の携帯機器用カバーガラスを作製した。作製した本実施例のカバーガラスは、欠けや割れ等の欠陥はなく、高品質のものであった。
1 ガラス板
2 接着層
3 電子機器用カバーガラス
10 ガラス板積層体
20 小片化されたガラス板積層体
30 形状加工されたガラス板積層体
40 ラミネーター
50 ガラス用カッター
51,52 回転砥石
60 液槽

Claims (8)

  1. ガラス板同士を接着する接着層を介して相互に固定された複数枚のガラス板からなるガラス板積層体の形状加工処理に対応する、ガラス板接着用の仮止材であって、
    ガラス板の積層方向外側から出射された所定波長の紫外線により、積層方向に間隔をおいて配置された複数の接着層が一括して硬化可能な樹脂成分であり、
    前記樹脂成分は、少なくとも(メタ)アクリレート、発泡剤、及び光開始剤を含有し、
    前記発泡剤は、アゾエステル、アゾアルキル、もしくはアゾ基を骨格に有し、アミノ基またはシアノ基のいずれか片方を有する化合物から選ばれる1種類以上の化合物から構成され、
    前記光開始剤は、1分子中に窒素原子を0個または1個含有する化合物からなることを特徴とするガラス板接着用の仮止材。
  2. 硬化前の接着層厚さが50μmのとき、365nm波長の紫外線透過率が70%以上であることを特徴とする請求項1に記載のガラス板接着用の仮止材。
  3. 硬化前後の前記透過率の差が10%以内であることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス板接着用の仮止材。
  4. 前記 (メタ)アクリレート成分が、オリゴマーを含有していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のガラス板接着用の仮止材。
  5. 前記オリゴマーの成分を5〜50重量%含有していること特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のガラス板接着用の仮止材。
  6. 前記発泡剤の成分を1〜30重量%含有していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のガラス板接着用の仮止材。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載のガラス板接着用の仮止材からなる接着層を介して複数枚のガラス板を積層し固定して、ガラス板積層体を形成する積層工程と、
    前記ガラス板積層体に対して形状加工処理を施す形状加工処理工程と、
    前記形状加工処理工程の後の前記ガラス板積層体から前記接着層を剥離する剥離工程と
    を含むことを特徴とするガラスの加工方法。
  8. 前記ガラス板の厚さは、0.1〜1.0mmであることを特徴とする請求項7に記載のガラスの加工方法。

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