JP2014122254A - 熱可塑性樹脂組成物及び成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及び成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、耐衝撃性や流動性、耐熱性などの物性バランスだけでなく、耐候性、耐薬品性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】ポリアミド樹脂(A)20〜79重量部とグラフト共重合(B)20〜79重量部と不飽和カルボン酸変性共重合体(C)1〜40重量部を含む熱可塑性樹脂組成物であって、グラフト共重合体(B)は共役ジエン系ゴム状重合体5〜50重量%と架橋アクリル酸エステル系重合体50〜95重量%から構成される複合ゴム10〜80重量部に、シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体及びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体から選ばれた少なくとも1種からなる単量体20〜90重量部をグラフト重合して得られ、グラフト共重合体中に存在する複合ゴムに関して、円相当粒子径が150nm以下である複合ゴムの粒子数が複合ゴム粒子全体の50%以下であることを特徴とするグラフト共重合体であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミド樹脂、特定構造を有する複合ゴムを用いたグラフト共重合体及び不飽和カルボン酸変性共重合体を含み、耐衝撃性や流動性、耐熱性等の物性バランスだけでなく耐候性、耐薬品性に優れた熱可塑性樹脂組成物及び該熱可塑性樹脂組成物から得られた成形品に関するものである。
ポリアミド樹脂とABS系樹脂からなる樹脂組成物(以下、PA/ABS系樹脂と記す)は、耐衝撃性、耐熱性、成形加工性に優れることから、車輌用内外装部品、家庭電化製品、事務機器部品をはじめとする多様な用途に使用されている。しかしながら、ABS系樹脂は、ブタジエン系ゴムを使用していることより、耐候性に劣るため、耐候変色が著しいという問題がある。例えば特許文献1には、ポリアミド樹脂とイミド化ABS系樹脂からなる自動車用ホイールカバー向け熱可塑性樹脂組成物が提案されている。しかしながら、自動車用ホイールカバー向けにも関わらず、降雨条件下の試験及び耐薬品性に関しては何ら記述されていない。
また、特許文献2には、ジエン系ポリマーを主鎖に含まないアクリル系ゴムを使用したASA系樹脂とポリアミド樹脂からなる樹脂組成物(以下、PA/ASA系樹脂と記す)が提案されているが、未だ成形加工性(流動性)、耐衝撃性(特に低温衝撃性)と耐候性のバランスが不十分であるだけでなく、耐薬品性に関しては何ら記述されていない。
特開平6−57063号
特開平8−92465号
本発明の目的は、耐衝撃性や流動性、耐熱性などの物性バランスだけでなく耐候性、耐薬品性に優れた熱可塑性樹脂組成物及び該熱可塑性樹脂組成物から得られた成形品を提供することにある。
本発明者らは、従来技術の問題点を解決するために鋭意検討を行った結果、ASA系樹脂として特定のポリマー構成を持つ複合ゴムに、シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体等の単量体混合物を重合して得られるグラフト共重合体を用いることで、PA/ASA系樹脂として上記目的を達成できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明はポリアミド樹脂(A)20〜79重量部とグラフト共重合(B)20〜79重量部と不飽和カルボン酸変性共重合体(C)1〜40重量部と共重合体(D)0〜50重量部を含む熱可塑性樹脂組成物((A)+(B)+(C)+(D)=100重量部)であって、グラフト共重合体(B)は共役ジエン系ゴム状重合体5〜50重量%と架橋アクリル酸エステル系重合体50〜95重量%から構成される複合ゴム10〜80重量部に、シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体及びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体から選ばれた少なくとも1種からなる単量体20〜90重量部をグラフト重合して得られ、グラフト共重合体中に存在する複合ゴムに関して、円相当粒子径が150nm以下である複合ゴムの粒子数が複合ゴム粒子全体の50%以下であることを特徴とするグラフト共重合体であって、不飽和カルボン酸変性共重合体(C)は不飽和カルボン酸単量体、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、必要に応じてその他の共重合可能な他のビニル系単量体を共重合することで得られる共重合体であって、共重合体(D)は芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、必要に応じてその他の共重合可能な他のビニル系単量体(不飽和カルボン酸単量体を除く)を共重合することで得られる共重合体であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物に関する。
本発明により、耐衝撃性や流動性、耐熱性などの物性バランスだけでなく耐候性、耐薬品性に優れた熱可塑性樹脂組成物及び該熱可塑性樹脂から得られた成形品を提供することができる。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(A)20〜79重量部、グラフト共重合体(B)20〜79重量部、不飽和カルボン酸変性共重合体(C)1〜40重量部、共重合体(D)0〜50重量部から構成される熱可塑性樹脂組成物((A)+(B)+(C)+(D)=100重量部)である。これらの成分が上記範囲外である場合は、耐衝撃性や流動性、耐熱性などの物性バランスに劣る。物性バランスの観点から、ポリアミド樹脂(A)は25〜73重量部であることが好ましく、30〜67重量部であることがより好ましい。グラフト共重合体(B)は25〜73重量部であることが好ましく、30〜67重量部であることがより好ましい。共重合体(C)は2〜30重量部であることが好ましく、3〜20重量部であることがより好ましい。
−ポリアミド樹脂(A)−
本発明で用いられるポリアミド樹脂(A)としては、ナイロン3、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン116、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6I、ナイロン6/66、ナイロン6T/6I、ナイロン6/6T、ナイロン66/6T、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド、ポリメタキシリレンアジパミド、ナイロン11T、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド等が挙げられる。なお、上記”I”はイソフタル酸成分、”T”はテレフタル酸成分を示す。これらのうち、特にナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12を用いる事が好ましい。
−グラフト共重合体(B)−
本発明で用いられるグラフト共重合体(B)は、共役ジエン系ゴム状重合体と架橋アクリル酸エステル系重合体から構成される複合ゴムの存在下に芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、及びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体から選ばれた少なくとも1種の単量体をグラフト重合して得られた、グラフト共重合体である。
本発明で使用される複合ゴムを構成する共役ジエン系ゴム状重合体としては、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロックコポリマー、スチレン−(エチレン−ブタジエン)−スチレン(SEBS)ブロックコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、メチルメタクリレート−ブタジエンゴムが挙げられる。特に、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴムが好ましい。
複合ゴムを構成する共役ジエン系ゴム状重合体の重量平均粒子径に特に制限は無いが、物性バランスの観点から、0.1〜1.0μmであることが好ましく、0.2〜0.5μmであることがより好ましい。また、共役ジエン系ゴム状重合体の重量平均粒子径の調節は公知の方法が使用できるが、比較的小粒子径の共役ジエン系ゴム状重合体を予め製造し、凝集肥大化させることで目的とする重量平均粒子径とした、凝集肥大化共役ジエン系ゴム状重合体を用いることも可能である。
本発明で使用される複合ゴムを構成する架橋アクリル酸エステル系重合体は、架橋剤の存在下にアルキル基の炭素数が1〜16のアクリル酸エステル系単量体、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等を一種又は二種以上、さらには必要に応じて他の共重合可能な単量体、例えばスチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレート等を一種又は二種以上を重合して得られる重合体である。
架橋アクリル酸エステル系重合体に用いられる架橋剤としては、例えばジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジシクロペンタジエンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。
本発明で使用される複合ゴムは、共役ジエン系ゴム状重合体の存在下で、架橋アクリル酸エステル系重合体を構成する単量体(混合物)を乳化重合することによって得ることができる。すなわち、本発明の複合ゴムは共役ジエン系ゴム状重合体がコアであり、アクリル酸エステル系重合体がシェルであるコアシェル構造を有している。
本発明で使用される複合ゴムを構成する、共役ジエン系ゴム状重合体とアクリル酸エステル系重合体の比率は、共役ジエン系ゴム状重合体5〜50重量%、アクリル酸エステル系重合体50〜95重量%であることが必要であるが、物性バランスの観点から共役ジエン系ゴム状重合体が7〜40重量%であることが好ましく、10〜30重量%であることがより好ましい。
本発明で使用される複合ゴムは、上述の通り共役ジエン系ゴム状重合体コアであり、架橋アクリル酸エステル系重合体がシェルであるコアシェル構造を有していることを特徴としているが、架橋アクリル酸エステル系重合体全てが共役ジエン系ゴム状重合体に重合しているとは限らず、一部は架橋アクリル酸エステル系重合体の単独粒子として存在している可能性がある。以後、共役ジエン系ゴム状重合体と架橋アクリル酸エステル系重合体とがコアシェル構造を有している複合ゴムのみだけでなく、単独で存在している架橋アクリル酸エステル系重合体を含んだ状態であっても複合ゴムと呼称する。
本発明ではグラフト共重合体(B)中に存在する複合ゴムに関して、円相当粒子径が150nm以下である複合ゴムの粒子数が、複合ゴム粒子全体の50%以下となっている必要がある。円相当粒子径が150nm以下である複合ゴムの粒子数が50%より多いと、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性及び光沢保持率に劣る。円相当粒子径が150nm以下である粒子数が40%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。
グラフト共重合体(B)中に存在する、円相当粒子径が150nm以下である複合ゴムとしては、上述の架橋アクリル酸エステル系重合体の単独粒子である場合が多く、該単独粒子が熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性及び光沢保持率に悪影響を及ぼす主要因となる。従って、円相当粒子径が150nm以下である粒子を減らすためには、複合ゴムの製造の際に、出来るだけ架橋アクリル酸エステル系重合体の単独粒子を生成させないようにする必要がある。
また、コアシェル構造を有している複合ゴムであっても、円相当粒子径が150nm以下であれば耐衝撃性及び光沢保持率に悪影響を与えるため、本発明は架橋アクリル酸エステル系重合体の単独粒子を含む複合ゴムに対して、円相当粒子径が150nm以下である粒子数が50%以下である事が必要である。
本発明で用いる複合ゴムの重合時に架橋アクリル酸エステル系重合体の単独粒子を生成させない方法としては、いかなる方法であっても構わないが、例えば乳化剤量、モノマー添加速度等を変更する方法が挙げられる。
複合ゴムを重合する際、使用する重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性重合開始剤、クメンハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、t−ブチルハイドロパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等の油溶性重合開始剤を適宜用いることができる。さらに、好ましく用いられる還元剤の具体例としては、硫酸第一鉄7水塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、ピロ亜硫酸塩、亜ニチオン酸塩、ニチオン酸塩、チオ硫酸塩、ホルムアルデヒドスルホン酸塩、ベンズアルデヒドスルホン酸塩、また、L−アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸などのカルボン酸類、更にはラクトース、デキストロース、サッカロースなどの還元糖類、更にはジメチルアニリン、トリエタノールアミンなどのアミン類が挙げられる。また、キレート剤としては、ピロリン酸四ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸ナトリウムなどが挙げられる。
複合ゴムを重合する際、使用する乳化剤としては、カルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩等を適宜用いることができる。さらに、好ましく用いられる乳化剤の具体例としては、オレイン酸カリウム、アルケニルコハク酸ジカリウム、ロジン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明で使用される複合ゴムのトルエン溶媒でのゲル含有量に特に制限はないが、物性バランスの観点から、複合ゴムのゲル含有量が90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。
本発明で使用されるグラフト共重合体(B)は該グラフト共重合体100重量部中に複合ゴムが10〜80重量部含まれている必要がある。複合ゴム量が10重量部より少ないと耐衝撃性に劣る。80重量部を超えると流動性に劣る。複合ゴムの含有量は30〜70重量部であることが好ましく、40〜60重量部であることがより好ましい。
グラフト共重合体(B)は、上述の複合ゴムの存在下に、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、及びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体から選ばれた少なくとも1種の単量体をグラフト重合して得られるグラフト共重合体である。
グラフト共重合体(B)を構成する芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられ、一種又は二種以上用いることができる。特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
グラフト共重合体(B)を構成するシアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フマロニトリル等が挙げられ、一種又は二種以上用いることができる。特にアクリロニトリルが好ましい。
グラフト共重合体(B)を構成する共重合可能な他のビニル系単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、マレイミド系単量体、アミド系単量体等が挙げられ、一種又は二種以上用いることができる。(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸4−t−ブチルフェニル、(メタ)アクリル酸(ジ)ブロモフェニル、(メタ)アクリル酸クロルフェニル等を例示でき、マレイミド系単量体としてはN−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等を例示でき、アミド系単量体としてはアクリルアミド、メタクリルアミド等を例示できる。
複合ゴムとグラフト重合する、上述の単量体の組成比率に特に制限はないが、芳香族ビニル系単量体60〜90重量%、シアン化ビニル系単量体10〜40重量%及び共重合可能な他のビニル系単量体0〜30重量%の組成比率、芳香族ビニル系単量体30〜80重量%、(メタ)アクリル酸エステル系単量体20〜70重量%及び共重合可能な他のビニル系単量体0〜50重量%の組成比率、芳香族ビニル系単量体20〜70重量%、(メタ)アクリル酸エステル系単量体20〜70重量%、シアン化ビニル系単量体10〜60重量%及び共重合可能な他のビニル系単量体0〜30重量%の組成比率等であることが好ましい。
グラフト共重合体(B)を重合するための手法に特に制限はなく、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法等を用いることが出来る。乳化重合法を用いた場合、上述の複合ゴムに上述の単量体をグラフト重合することによって、グラフト共重合体(B)のラテックスを得ることが出来る。グラフト共重合体(B)のラテックスは、公知の方法により凝固され、洗浄、脱水、乾燥工程を経ることでグラフト共重合体(B)のパウダーを得ることができる。
グラフト共重合体(B)のグラフト率(グラフト共重合体のアセトン可溶分量と不溶分量及びグラフト共重合体中の複合ゴムの重量から求める。)、及びアセトン可溶分の還元粘度(0.4g/100cc、N,Nジメチルホルムアミド溶液として30℃で測定)に特に制限はなく、要求性能によって任意の構造のものを使用することができるが、物性バランスの観点から、グラフト率は5〜150%であることが好ましく、還元粘度は0.2〜2.0dl/gであることが好ましい。
−不飽和カルボン酸変性共重合体(C)−
本発明で用いられる不飽和カルボン酸変性共重合体(C)は、不飽和カルボン酸単量体、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、必要に応じてその他の共重合可能な他のビニル系単量体を共重合することで得られる共重合体である。
不飽和カルボン酸変性共重合体(C)を構成する不飽和カルボン酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられ、一種又は二種以上使用できるが、特にメタクリル酸が好ましい。
不飽和カルボン酸変性共重合体(C)中に含まれる不飽和カルボン酸単量体の含有量に特に制限はないが、物性バランスの観点から不飽和カルボン酸変性共重合体(C)100重量部中に1〜20重量部含まれていることが好ましく、3〜15重量部含まれていることがより好ましい。
不飽和カルボン酸編成共重合体(C)を構成する芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、共重合可能な他の単量体としては、グラフト共重合体(B)で用いられる単量体と同様のものを用いることができる。
不飽和カルボン酸変性共重合体(C)の製造においては公知の乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法、溶液重合法を採用することができる。不飽和カルボン酸変性共重合体(C)の還元粘度(0.4g/100cc、N,Nジメチルホルムアミド溶液として30℃で測定)については特に制限はないが、0.2〜1.2dl/gであることが好ましい。なお、還元粘度は、重合温度、単量体の添加方法、使用する開始剤および例えばt−ドデシルメルカプタン等の重合連鎖移動剤の種類および量により適宜調整することができる。
不飽和カルボン酸変性共重合体(C)は熱可塑性樹脂組成物100重量部中に1〜50重量部含まれていることが必要である。1重量部未満の場合は、耐衝撃性、流動性に劣る。50重量部を超えると、耐衝撃性に劣る。物性バランスの観点から、不飽和カルボン酸変性共重合体(C)は1〜30重量部用いることが好ましく、2〜20重量部用いることがより好ましい。
−共重合体(D)−
本発明で用いられる共重合体(D)は芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、必要に応じてその他の共重合可能な他のビニル系単量体(不飽和カルボン酸単量体を除く)を共重合することで得られる共重合体である。
共重合体(D)を構成する芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、共重合可能な他の単量体としては、グラフト共重合体(B)で用いられる単量体と同様のものを用いることができる。
共重合体(D)の製造においては、公知の乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法、溶液重合法を採用することができる。共重合体(D)の還元粘度(0.4g/100cc、N,Nジメチルホルムアミド溶液として30℃で測定)について特に制限はないが、0.3〜1.2dl/gの範囲であることが好ましい。なお、還元粘度は、重合温度、単量体の添加方法、使用する開始剤および例えばt−ドデシルメルカプタン等の重合連鎖移動剤の種類および量により適宜調整することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じてヒンダードアミン系の光安定剤、ヒンダードフェノール系、含硫黄有機化合物系、含リン有機化合物系等の酸化防止剤、フェノール系、アクリレート系等の熱安定剤、ベンゾエート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系の紫外線吸収剤、有機ニッケル系、高級脂肪酸アミド類等の滑剤、リン酸エステル類等の可塑剤、ポリブロモフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノール−A、臭素化エポキシオリゴマー、臭素化等の含ハロゲン系化合物、リン系化合物、三酸化アンチモン等の難燃剤・難燃助剤、臭気マスキング剤、カーボンブラック、酸化チタン、顔料、及び染料等を添加することもできる。更に、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、炭素繊維、金属繊維等の補強剤や充填剤を添加することもできる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、その目的を損なわない範囲内において、他の熱可塑性樹脂と混合して使用することもできる。このような他の熱可塑性樹脂として、例えば、ポリカーボネートなどのポリカーボネート系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ乳酸などのポリエステル系樹脂等を使用する事が出来る。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上述の成分を混合することで得ることができる。混合するために、例えば、押出し機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー等の公知の混練装置を用いることができる。
きる。
以下に本発明について詳細に説明する。尚、本発明はこれにより何ら制限を受けるものでは無い。また、部および%は何れも重量基準で示した。
<ポリアミド樹脂(A)>
ユニチカ(株)製 ユニチカナイロン6 A1030BRL
<グラフト共重合体(B)>
小粒子径スチレン−ブタジエンゴムラテックスの製造
10リットルの耐圧容器の内部を窒素で置換後、1,3−ブタジエン95重量部、スチレン5重量部、n−ドデシルメルカプタン0.5重量部、過硫酸カリウム0.3重量部、不均化ロジン酸ナトリウム1.8重量部、水酸化ナトリウム0.1重量部、脱イオン水145重量部を仕込み、攪拌しつつ70℃で8時間反応させた。その後、不均化ロジン酸ナトリウム0.2重量部、水酸化ナトリウム0.1重量部及び脱イオン水5重量部を添加した。さらに温度を70℃に維持しながら6時間攪拌を継続して反応を終了した。その後、減圧して残存している1,3−ブタジエンを除去し、スチレン−ブタジエンゴムラテックスを得た。得られたスチレン−ブタジエンゴムラテックスを、四酸化オスミウム(OsO)で染色し、乾燥後に透過型電子顕微鏡で写真撮影した。画像解析処理装置(装置名:旭化成(株)製 IP−1000PC)を用いて1000個のゴム粒子の面積を計測し、その円相当粒子径(直径)を求め、スチレン−ブタジエンゴムの重量平均粒子径を算出した結果、重量平均粒子径は120nmであった。
凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックスの製造
10リットルの耐圧容器に、上記で得られたスチレン−ブタジエンゴムラテックス270重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1重量部を添加して10分間攪拌混合した後、5%リン酸水溶液20重量部を10分間にわたり添加した。次いで10%水酸化カリウム水溶液10重量部を添加し、凝集肥大化したスチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を得た。
上述の方法で、凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムの重量平均粒子径を算出した結果、重量平均粒子径は330nmであった。
10リットルの耐圧容器に、上記で得られたスチレン−ブタジエンゴムラテックス270重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3重量部を添加して10分間攪拌混合した後、5%リン酸水溶液20重量部を10分間にわたり添加した。次いで10%水酸化カリウム水溶液10重量部を添加し、凝集肥大化したスチレン−ブタジエンゴムラテックス(2)を得た。
上述の方法で、凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムの重量平均粒子径を算出した結果、重量平均粒子径は250nmであった。
架橋アクリル酸ブチルゴムラテックスの製造
窒素置換したガラスリアクターに、脱イオン水180重量部、アクリル酸ブチル15重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部、アルケニルコハク酸ジカリウム0.16重量部(固形分換算)、過硫酸カリウム0.15重量部を仕込み、65℃で1時間反応させた。その後、アクリル酸ブチル85重量部、メタクリル酸アリル0.53重量部の混合液及び脱イオン水20重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.64重量部(固形分換算)を溶解した乳化剤水溶液を3時間かけて連続的に添加した。滴下後、3時間保持して、架橋アクリル酸ブチルゴムラテックスを得た。
得られた架橋アクリル酸ブチルゴムラテックスの重量平均粒子径を下記に記載する方法で算出した。得られた架橋アクリル酸ブチルゴムラテックスを15部(固形分)、スチレンを64部、アクリロニトリルを21部用いてグラフト共重合を行い、グラフト共重合体を得た。グラフト共重合体のパウダーを溶融混練してペレットを得た。得られたペレットを、クライオミクロトームを用いて−85℃の雰囲気下で超薄切片を切り出し、四酸化ルテニウム(RuO)で染色し、透過型電子顕微鏡(JEM−1400:日本電子製)で写真撮影した。画像解析装置(旭化成 IP−1000PC)を用いて、1000個の架橋アクリル酸ブチルゴムの面積を計測し、その円相当径(直径)を求め、架橋アクリル酸ブチルゴムラテックスの重量平均粒子径を算出した結果、重量平均粒子径は200nmであった。
複合ゴムラテックス(b−1)の製造
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を20重量部(固形分)、脱イオン水を160重量部仕込み、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.03重量部及び硫酸第1鉄0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、アクリル酸ブチル20重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部を添加した。槽内の温度が50℃に到達した後、1時間保持し、脱イオン水25重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.9重量部、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド0.1重量部を溶解した水溶液とアクリル酸ブチル60重量部、メタクリル酸アリル0.4重量部を5時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持して、肥大化スチレン−ブタジエンゴムと架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックス(b−1)を得た。
複合ゴムラテックス(b−2)の製造
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を10重量部(固形分)、脱イオン水を160重量部仕込み、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.03重量部及び硫酸第1鉄0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、アクリル酸ブチル15重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部を添加した。槽内の温度が50℃に到達した後、1時間保持し、脱イオン水25重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.9重量部、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド0.1重量部を溶解した水溶液とアクリル酸ブチル75重量部、メタクリル酸アリル0.46重量部を6時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持して、肥大化スチレン−ブタジエンゴムと架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックス(b−2)を得た。
複合ゴムラテックス(b−3)の製造
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(2)を20重量部(固形分)、脱イオン水を160重量部仕込み、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.03重量部及び硫酸第1鉄0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、アクリル酸ブチル20重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部を添加した。槽内の温度が50℃に到達した後、1時間保持し、脱イオン水25重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.9重量部、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド0.1重量部を溶解した水溶液とアクリル酸ブチル60重量部、メタクリル酸アリル0.4重量部を5時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持して、肥大化スチレン−ブタジエンゴムと架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックス(b−3)を得た。
複合ゴムラテックス(b−4)の製造
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を20重量部(固形分)、脱イオン水を160重量部仕込み窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.03重量部及び硫酸第1鉄0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、脱イオン水25重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.9重量部、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド0.1重量部を溶解した乳化剤溶液の5%、アクリル酸ブチル16重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部を添加し、槽内の温度が50℃に到達した後、1時間保持し、残りの乳化剤溶液とアクリル酸ブチル64重量部、メタクリル酸アリル0.4重量部を5時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持して、肥大化スチレン−ブタジエンゴムと架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックス(b−4)を得た。
複合ゴムラテックス(b−5)の製造
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を20重量部(固形分)、脱イオン水を160重量部仕込み窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.03重量部及び硫酸第1鉄0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、脱イオン水25重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.9重量部、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド0.1重量部を溶解した乳化剤溶液の20%、アクリル酸ブチル16重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部を添加し、槽内の温度が50℃に到達した後、1時間保持し、残りの乳化剤溶液とアクリル酸ブチル64重量部、メタクリル酸アリル0.4重量部を5時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持して、肥大化スチレン−ブタジエンゴムと架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックス(b−5)を得た。
複合ゴムラテックス(b−6)の製造
10Lのガラスリアクターに、上記の凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を20重量部(固形分)、脱イオン水を160重量部仕込み窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し45℃に到達したところで脱イオン水20重量部にブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.03重量部及び硫酸第1鉄0.001重量部を溶解した水溶液を添加した。さらに、脱イオン水25重量部にアルケニルコハク酸ジカリウム0.9重量部、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド0.1重量部を溶解した乳化剤溶液の40%、アクリル酸ブチル16重量部、メタクリル酸アリル0.1重量部を添加し、槽内の温度が50℃に到達した後、1時間保持し、残りの乳化剤溶液とアクリル酸ブチル64重量部、メタクリル酸アリル0.4重量部を5時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持して、肥大化スチレン−ブタジエンゴムと架橋アクリル酸ブチル重合体から構成される複合ゴムラテックス(b−6)を得た。
グラフト共重合体(B−1)の製造
ガラスリアクターに、複合ゴムラテックス(b−1)60重量部(固形分)を仕込み窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し60℃に到達したところで、ブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.1重量部及び硫酸第1鉄0.005重量部を脱イオン水10重量部に溶解した水溶液を添加した。65℃に到達後、アクリロニトリル12重量部、スチレン28重量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.1部、クメンハイドロパーオキサイド0.3重量部の混合液及び脱イオン水20重量部にオレイン酸カリウム1.0重量部を溶解した乳化剤水溶液を5時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持してグラフト共重合体ラテックス(B−1)を得た。その後、塩析・脱水・乾燥し、グラフト重合体(B−1)のパウダーを得た。
グラフト共重合体(B−2)〜(B−6)の製造
複合ゴムラテックス(b−1)から(b−2)〜(b−6)に変更した以外はグラフト共重合体(B−1)と同様に製造し、グラフト共重合体ラテックス(B−2)〜(B−6)を得た。その後、塩析・脱水・乾燥し、グラフト重合体(B−2)〜(B−6)のパウダーを得た。
グラフト共重合体(B−7)の製造
ガラスリアクターに、凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を固形分換算で60重量部仕込み、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し60℃に到達したところで、ブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.1重量部及び硫酸第1鉄0.005重量部を脱イオン水10重量部に溶解した水溶液を添加した後に、65℃に昇温した。その後、アクリロニトリル12重量部、スチレン28重量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.1部、クメンハイドロパーオキサイド0.3重量部の混合液及び脱イオン水20重量部にオレイン酸カリウム1.0重量部を溶解した乳化剤水溶液を4時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持してグラフト共重合体ラテックス(B−7)を得た。その後、塩析・脱水・乾燥し、グラフト重合体(B−7)のパウダーを得た。
グラフト共重合体(B−8)の製造
ガラスリアクターに、凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(1)を固形分換算で15重量部、架橋アクリル酸ブチルゴムラテックスを固形分換算で45重量部仕込み、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し60℃に到達したところで、ブドウ糖0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.1重量部及び硫酸第1鉄0.005重量部を脱イオン水10重量部に溶解した水溶液を添加した後に、65℃に昇温した。その後、アクリロニトリル12重量部、スチレン28重量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.1部、クメンハイドロパーオキサイド0.3重量部の混合液及び脱イオン水20重量部にオレイン酸カリウム1.0重量部を溶解した乳化剤水溶液を4時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持してグラフト共重合体ラテックス(B−8)を得た。その後、塩析・脱水・乾燥し、グラフト重合体(B−8)のパウダーを得た。
<不飽和カルボン酸変性共重合体(C)>
不飽和カルボン酸変性共重合体(C)の製造
窒素置換したガラスリアクターに、純水120部および過硫酸カリウム0.3部を仕込んだ後、攪拌下に65℃に昇温した。その後、スチレン67部、アクリロニトリル30部、メタクリル酸3部およびt−ドデシルメルカプタン1.5部からなる混合モノマー溶液およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部を含む乳化剤水溶液30部を各々5時間に亘って連続添加し、その後重合系を70℃に昇温、3時間熟成して重合を完結した。その後、塩化カルシウムを用いて塩析、脱水・乾燥し、不飽和カルボン酸変性共重合体Cを得た。得られた共重合体Cの還元粘度は0.31であった。
<共重合体(D)>
共重合体(D)の製造
公知の塊状重合法により、スチレン70重量部、アクリロニトリル30重量部からなる共重合体(D)を得た。上述の方法により、得られた共重合体(D)の還元粘度を測定した結果、還元粘度は0.60dl/gであった。
<添加剤(E)>
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(E−1) BASF(株)製:TINUVIN 234
ヒンダードアミン系光安定剤(E−2) BASF(株)製:TINUVIN 770
<実施例1〜5及び比較例1〜5>
表1に示すポリアミド樹脂(A)、グラフト共重合体(B)、不飽和カルボン酸変性共重合体(C)、共重合体(D)及び添加剤(E)を混合した後、東芝TEM−35B二軸押出機を用いて250℃にて溶融混練してペレットを得た。得られたペレットを用いて物性評価を行った。評価結果を表1に示す。なお、それぞれの評価方法を以下に示す。
粒子径分布の測定
グラフト共重合体(B)中の複合ゴムの粒子径分布を下記に記載する方法で算出した。上述のグラフト共重合体(B−1)25部と共重合体(D)75部を溶融混練してペレットを得た。得られたペレットを、クライオミクロトームを用いて−85℃の雰囲気下で超薄切片を切り出し、四酸化ルテニウム(RuO)で染色し、透過型電子顕微鏡(JEM−1400:日本電子製)で写真撮影した。画像解析装置(旭化成 IP−1000PC)を用いて、1000個の複合ゴム粒子の面積を計測し、その円相当径(直径)を求めることで、150nm以下であるゴムの粒子数の割合を算出した。グラフト共重合体(B−2)〜(B−8)も同様の方法で測定を行った。
耐衝撃性
各実施例及び比較例で得られたペレットを用いISO試験方法294に準拠して各種試験片を成形し、各温度(23℃、−30℃)での耐衝撃性を測定した。
耐衝撃性はISO179に準拠し、4mm厚みで、ノッチ付きシャルピー衝撃値を測定した。単位:kJ/m
流動性
各実施例及び比較例で得られたペレットを用い、240℃、10kg荷重の条件でメルトボリュームフローレイトを測定した。単位:cm/10分
耐熱性
各実施例及び比較例で得られたペレットを用いISO試験方法294に準拠して試験片を成形し、耐熱性の測定をした。
耐熱性はISO75に準拠し、荷重1.8MPaの荷重たわみ温度を測定した。単位:℃
耐候性
各実施例及び比較例で得られたペレットを用い、射出成形機(山城精機製作所製 SAV−30−30 シリンダー温度:250℃ 金型温度:60℃)を用いて成形品(90mm×55mm×2.5mm)を得た。スガ試験機(株)製サンシャインスーパーロングライフウェザーメーターWEL−SUN−HCH−B型を使用し、63℃、降雨の条件下で各成形品の500時間の促進曝露試験を行った。その後、JIS Z8729にのっとり、曝露前後の測色及び表面光沢度(60°)を測定した。色差が小さく、光沢の保持率が高いほど、耐候性に優れていることになる。
色差ΔE<4未満の場合:○
色差ΔE≧4以上の場合:×
光沢保持率(%)=耐候性試験後の光沢度/初期の光沢度×100
光沢保持率50%以上の場合:○
光沢保持率50%未満の場合:×
耐薬品性
各実施例及び比較例で得られたペレットを用い、射出成形機(日本製鋼社製 J150E−P シリンダー温度:260℃ 金型温度:60℃)を用いて成形品(150mm×230mm×3mm)を得た。成形品に芳香剤又はガソリンを塗布後、室温で1日放置した後の外観の変化を観察した。
変化なしの場合:○
膨潤、溶解、著しい劣化が見られた場合:×
表1に示すように、本願発明の熱可塑性樹脂組成物を用いた場合は、耐衝撃性、流動性、耐熱性だけでなく、耐候性、耐薬品性も非常に良好な結果であった。
ポリアミド樹脂の使用量が20重量部未満であった比較例1では、耐衝撃性、流動性及び耐薬品性に劣る結果となった。比較例2、3は円相当粒子径が150nm以下である複合ゴムの粒子数が50%を超えていたため、耐衝撃性及び耐候性(光沢保持率)が劣っていた。共役ジエン系ゴムを用いた比較例4や共役ジエン系ゴム状重合体とアクリル酸エステル系重合体が複合ゴムとして存在していない比較例5では耐候性(色差)に劣る結果となった。
以上のとおり、本発明の熱可塑性樹脂組成物を使用することにより、耐衝撃性、流動性及び耐熱性等の物性バランスだけでなく、耐候性、耐薬品性に優れた熱可塑性樹脂組成物及び該熱可塑性樹脂組成物から得られた成形品を提供することができる。

Claims (2)

  1. ポリアミド樹脂(A)20〜79重量部とグラフト共重合(B)20〜79重量部と不飽和カルボン酸変性共重合体(C)1〜40重量部と共重合体(D)0〜50重量部を含む熱可塑性樹脂組成物((A)+(B)+(C)+(D)=100重量部)であって、
    グラフト共重合体(B)は共役ジエン系ゴム状重合体5〜50重量%と架橋アクリル酸エステル系重合体50〜95重量%から構成される複合ゴム10〜80重量部に、シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体及びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体から選ばれた少なくとも1種からなる単量体20〜90重量部をグラフト重合して得られ、グラフト共重合体中に存在する複合ゴムに関して、円相当粒子径が150nm以下である複合ゴムの粒子数が複合ゴム粒子全体の50%以下であることを特徴とするグラフト共重合体(複合ゴムと単量体の合計は100重量部)であって、
    不飽和カルボン酸変性共重合体(C)は不飽和カルボン酸単量体、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、必要に応じてその他の共重合可能な他のビニル系単量体を共重合することで得られる共重合体であって、
    共重合体(D)は芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、必要に応じてその他の共重合可能な他のビニル系単量体(不飽和カルボン酸単量体を除く)を共重合することで得られる共重合体であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物から得られた成形品
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