JP2014119652A - 中間転写体、中間転写体の製造方法、及び、画像形成装置 - Google Patents

中間転写体、中間転写体の製造方法、及び、画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】基層上に積層される弾性層の表面に球形樹脂粒子による凹凸形状が形成された中間転写体であって、局所的な異常放電による異常画像の発生、及び長期繰り返し使用による転写率の低下を抑制できる中間転写体を提供する。
【解決手段】プリンタ100やプリンタ10などの中間転写方式、且つ、電子写真方式の画像形成装置に用いられる中間転写ベルト22に、基層1上に積層される弾性層2に界面活性剤を含有させた。具体的には、基層1上に塗工液を塗布して形成する弾性層2の塗工液(塗布液)であるゴム溶液に消泡効果を有した界面活性剤である消泡剤を含有させた。そして、塗工した弾性層2の表面に球形樹脂粒子3をまんべんなくまぶし、ポリウレタンゴムブレードの押し付け部材36で押し当てて弾性層2に固定化し、弾性層2の表面に凹凸形状を形成した後、加熱処理した。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真方式のプリンタ、複写機等の画像形成装置に用いられる中間転写体、この中間転写体の製造方法、及び、この中間転写体を備えた画像形成装置に関するものである。
電子写真方式の画像形成装置においては、感光体等の表面上に形成したトナー画像を、記録媒体である用紙等に直接転写する直接転写方式や、中間転写体を介して記録媒体に転写する中間転写方式が従来から知られている。特に、フルカラーの画像形成装置においては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー画像を、一旦、中間転写体上に色重ねし、その後一括して記録媒体に転写する中間転写方式が用いられることが多い。
例えば、特許文献1には、次のようなベルト状の中間転写体である中間転写ベルトを備えた中間転写方式の画像形成装置が記載されている。比較的に屈曲性が得られる剛性な基層上に柔軟な弾性層(樹脂層)を積層し、この弾性層の表面にトナーに対して離型性が良好な球形樹脂粒子により凹凸形状を一面に形成した中間転写ベルトである。
剛性な基層を設けることで、連続使用によるベルト自体の伸び等の変形による変動を抑えて複数色のトナーを重ねて1次転写する際の中間転写ベルトの位置精度を高めることができる。
また、追従性が劣ることが多い剛性な基層上に柔軟な弾性層を積層することで、表面性状が異なる記録媒体に対する中間転写ベルトの追従性を高めることができる。
さらに、球形樹脂粒子による凹凸形状を弾性層表面の一面に設けることで、トナーに対する離型性を向上させて、高い転写率を実現できる。
このように球形樹脂粒子による凹凸形状を設ける理由は、柔軟な弾性層は、記録媒体への追従性が向上する反面、その表面のトナーに対する離型性が劣るためトナーが良好に離型できず転写率が低下するおそれがあるためである。
しかしながら、特許文献1に記載のように弾性層を形成する製造過程においては、弾性層中に泡が巻き込まれることが多く、表面に泡による欠陥が発生する場合があるという問題があった。
この泡による欠陥としては、塗工する際又は加熱して弾性層を硬化させる際に、弾性層の泡を巻き込んだ箇所の塗膜が表面から隆起するものや、一旦、隆起した塗膜が破泡して陥没するものが挙げられる。弾性層の表面に陥没が生じると、中間転写ベルトの弾性層が薄くなり、1次転写バイアスや2次転写バイアスが印加される際に局所的に異常放電が生じ、異常画像が発生する場合がある。また、弾性層の表面に隆起や陥没が生じると、これらが生じた箇所に球形樹脂粒子を配置できず、球形樹脂粒子の間隔が空いてトナーに対する離型性が低下したり、長期繰り返し使用時に球形樹脂粒子の脱離が生じたりして転写性が低下する場合がある。
なお、上記のような問題は中間転ベルトに限らず、例えば、ドラム状の中間転写体である中間転写ドラム等においても生じ得る問題である。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、次のような中間転写体を提供することである。基層上に積層される弾性層の表面に球形樹脂粒子による凹凸形状が形成された中間転写体であって、局所的な異常放電による異常画像の発生、及び長期繰り返し使用による転写率の低下を抑制できる中間転写体である。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、基層上に弾性層が積層され、該弾性層の表面に球形樹脂粒子による凹凸形状が形成された、画像形成装置に用いられる中間転写体において、前記弾性層は、界面活性剤を含有していることを特徴とするものである。
本発明は、弾性層に含有する界面活性剤に消泡効果を有するものを用いて、弾性層を形成する製造過程における弾性層中への泡の巻き込みを抑制したり、弾性層を加熱して硬化させる加熱工程に進む前に巻き込んだ泡による塗膜を破泡させたりできる。上記のように泡の巻き込みを抑制したり、加熱工程に進む前に巻き込んだ泡の塗膜を破泡させたりすることで、巻き込んだ泡に起因した弾性層の表面に生じる隆起や陥没の塗膜欠陥が発生することを抑制できる。
したがって、弾性層の表面に球形樹脂粒子による凹凸構造を一面に形成することができ、製造過程における弾性層中への泡の巻き込みに起因した、局所的な異常放電による異常画像の発生、及び長期繰り返し使用による転写率の低下を抑制できる。
本発明は、基層上に積層される弾性層の表面に球形樹脂粒子による凹凸形状が形成された中間転写体であって、局所的な異常放電による異常画像の発生、及び長期繰り返し使用による転写率の低下を抑制できる中間転写体を提供することができる。
一実施形態に係る中間転写ベルトの層構成例の模式図。 一実施形態に係る中間転写ベルトの弾性層表面の形態例の模式図。 一実施形態に係る中間転写ベルトの弾性層断面の形態例の模式図。 一実施形態に係る中間転写ベルトの弾性層表面への球形樹脂粒子による凹凸形状の作製方法の説明図。 一実施形態に係る中間転写ベルトを備えたリボルバ方式のプリンタの概要説明図。 一実施形態に係る中間転写ベルトを備えたタンデム方式のプリンタの概要説明図。
以下、本発明を適用した一実施形態について説明する。
本発明を適用した本実施形態の中間転写体は、少なくとも基層上に弾性層を積層して形成するベルト状の中間転写体、所謂、中間転写方式、且つ、電子写真方式の画像形成装置に用いる中間転写ベルトである。また、この中間転写ベルトは、継ぎ目を有さない無端状のベルト、所謂、シームレスベルトでもある。
そして、本実施形態の中間転写ベルトは、中間転写方式、且つ、電子写真方式の画像形成装置に備えられるものである。具体的には、像担持体であるドラム状の感光体上に順次形成される複数色のトナー画像を中間転写ベルト上に順次重ね合わせる1次転写を行い、1次転写したトナー画像を記録媒体である用紙P等に一括して2次転写する方式の画像形成装置に備えられるものである。
まず、本実施形態に係る中間転写ベルトについて図を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る中間転写ベルト22の層構成例の模式図、図2は、本実施形態に係る中間転写ベルト22の弾性層2表面の形態例の模式図である。図3は、本実施形態に係る中間転写ベルト22の弾性層2断面の形態例の模式図、図4は、本実施形態に係る中間転写ベルト22の弾性層2表面への球形樹脂粒子3による凹凸形状の作製方法の説明図である。図5は、本実施形態る中間転写ベルト22を備えたリボルバ方式のに係プリンタ100の概要説明図、図6は、本実施形態に係る中間転写ベルト22を備えたタンデム方式のプリンタ10の概要説明図である。
本実施形態の中間転写ベルトは、図1の中間転写ベルト22の層構成例に示すように、比較的屈曲性が得られる剛性な基層1の上に弾性層2が積層された構成となっている。但し、本発明を適用した中間転写ベルトは、このような構成に限定されるものではない。
次に、この中間転写ベルト22の層構成について、各層毎に具体的に説明する。
<基層>
まず、基層1について説明する。
この基層1の構成材料としては、樹脂中に電気抵抗を調整する充填材(又は、添加材)、いわゆる電気抵抗調整材を含有してなるものが挙げられる。
用いる樹脂としては、難燃性の観点から、例えば、PVDF、ETFEなどのフッ素系樹脂や、ポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂等が好ましく、機械強度(高弾性)や耐熱性の点から、特にポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂が好適である。
電気抵抗調整材としては、金属酸化物やカーボンブラック、イオン導電剤、導電性高分子材料などがある。
金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素等が挙げられる。また、分散性を良くするため、前記金属酸化物に予め表面処理を施したものも挙げられる。
カーボンブラックとしては、例えば、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ガスブラック等が挙げられる。
イオン導電剤としては、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルサルフェート、グルセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。また、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエステル、アルキルベタイン、過塩素酸リチウム等も挙げられ、これらを併用して用いてもよい。
なお、本発明を適用した中間転写ベルトに用いる電気抵抗調整材は、上記例示した化合物に限定されるものではない。
また、中間転写ベルト22の製造方法の塗工工程で塗布する、少なくとも樹脂成分を含む塗布液である塗工液には必要に応じて、さらに分散助剤、補強材、潤滑材、熱伝導材、酸化防止剤などの添加材を含有してもよい。
中間転写ベルト22として好適に装備されるシームレスベルトに含有される電気抵抗調整材は、好ましくは表面抵抗で1×10〜1×1013Ω/□、体積抵抗で1×10〜1×1012Ω・cmとなる量とされる。また、機械強度の面から成形膜が脆く割れやすくならない範囲の量を選択して添加することが必要である。
つまり、本実施形態の中間転写ベルト22とする場合には、樹脂成分と電気抵抗調整材の配合を適正に調整した塗工液を用いて、電気特性(表面抵抗及び体積抵抗)と機械強度のバランスが取れたシームレスベルトを製造して用いるのが好ましい。なお、樹脂成分としては、例えばポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体等が挙げられる。また、ポリイミド、ポリアミドイミドとしては、東レデュポン、宇部興産、新日本理化、JSR、ユニチカ、アイ・エス・ティー、日立化成工業、東洋紡績、荒川化学等のメーカーからの一般汎用品を入手することができる。
電気抵抗調整材の含有量としては、カーボンブラックの場合には、塗工液中の全固形分の10〜25wt%、好ましくは15〜20wt%である。また、金属酸化物の場合の含有量としては、塗工液中の全固形分の1〜50wt%、好ましくは10〜30wt%である。含有量が前記それぞれの電気抵抗調整材の範囲よりも少ないと効果が十分に得られず、また含有量が前記それぞれの範囲よりも多いと中間転写ベルト22(シームレスベルト)の機械強度が低下し、実使用上好ましくない。
<弾性層>
次に、上述した基層1上に積層する弾性層2について説明する。
弾性層2としては、基層1との接着性に優れること、難燃性であること、電気特性が制御されることが求められる。特に、この電気特性の制御により、基層1で生じる異常放電の発生を抑える機能を発現するものが求められる。
構成する材料としては、汎用の樹脂、エラストマー、及びゴム等の材料を使用することが可能だが、本発明の効果を十分に発現するものとしては、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系のものが好ましい。中でも、難燃性と接着性、抵抗制御性を兼ね備えるものとしてアクリルゴムが好適である。
アクリルゴムとしては、市販のものが使用でき、例えば、ノックスタイト(日本メクトロン社製)、JSR AR(JSR社製)、Nipol AR(日本ゼオン社製)が挙げられる。また、トアアクロン(東亜ペイント社製)、Hycar4021(Bf Goodrich社製)、Cyanacryl(American Cyanamid社製)等も挙げられる。
しかし、アクリルゴムの各種架橋系(エポキシ基、活性塩素基、カルボキシル基)の中ではカルボキシル基架橋系がゴム物性(特に圧縮永久歪み)及び加工性が優れているので、カルボキシル基架橋系を選択することが好ましい。カルボキシル基架橋系のアクリルゴムに用いる架橋剤は、アミン化合物が好ましく、多価アミン化合物が最も好ましい。このようなアミン化合物として、具体的には脂肪族多価アミン架橋剤、芳香族多価アミン架橋剤などが挙げられる。
脂肪族多価アミン架橋剤としては、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカーバメイト、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミンなどが挙げられる。
芳香族多価アミン架橋剤としては、4,4’−メチレンジアニリン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリンが挙げられる。また、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、2,2’−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニルも挙げられる。そして、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3,5−ベンゼントリアミン、1,3,5−ベンゼントリアミノメチル等も挙げられる。
上述した架橋剤の配合量は、アクリルゴム100重量部に対し、好ましくは0.05〜20重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。架橋剤の配合量が少なすぎると、架橋が十分に行われないため、架橋物の形状維持が困難になる。一方、含有量が多すぎると、架橋物が硬くなりすぎ、架橋ゴムとしての弾性などが損なわれる。
また、アクリルゴム弾性層においては、さらに架橋促進剤を配合して上記架橋剤に組み合わせて用いてもよい。架橋促進剤も限定はないが、前記多価アミン架橋剤と組み合わせて用いることができる架橋促進剤であることが好ましい。
このような架橋促進剤としては、例えば、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、第四級オニウム塩、第三級ホスフィン化合物、弱酸のアルカリ金属塩などが挙げられる。
グアニジン化合物としては、1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジオルトトリルグアニジンなどが挙げられる。イミダゾール化合物としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールなどが挙げられる。第四級オニウム塩としては、テトラn−ブチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリn−ブチルアンモニウムブロマイドなどが挙げられる。多価第三級アミン化合物としては、トリエチレンジアミン、1,8−ジアザ‐ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)などが挙げられる。第三級ホスフィン化合物としては、トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィンなどが挙げられる。弱酸のアルカリ金属塩としては、ナトリウムまたはカリウムのリン酸塩、炭酸塩などの無機弱酸塩あるいはステアリン酸塩、ラウリル酸塩などの有機弱酸塩が挙げられる。
架橋促進剤の使用量は、アクリルゴム100重量部あたり、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.3〜10重量部である。架橋促進剤が多すぎると、架橋時に架橋速度が早くなりすぎたり、架橋物表面ヘの架橋促進剤のブルームが生じたり、架橋物が硬くなりすぎたりする場合がある。架橋促進剤が少なすぎると、架橋物の引張強さが著しく低下したり、熱負荷後の伸び変化または引張強さ変化が大きすぎたりする場合がある。
アクリルゴムの調製にあたっては、ロール混合、バンバリー混合、スクリュー混合、溶液混合などの適宜の混合方法が採用できる。配合順序は特に限定されないが、熱で反応や分解しにくい成分を充分に混合した後、熱で反応しやすい成分あるいは分解しやすい成分として、例えば架橋剤などを、反応や分解が起こらない温度で短時間に混合すればよい。
アクリルゴムは、加熱することにより架橋物とすることができる。加熱温度は、好ましくは130〜220℃、より好ましくは140〜200℃であり、架橋時間は好ましくは30秒〜5時間である。
加熱方法としては、プレス加熱、蒸気加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる方法を適宜選択すればよい。また、一度架橋した後に、架橋物の内部まで確実に架橋させるために、後架橋を行ってもよい。後架橋は、加熱方法、架橋温度、形状などにより異なるが、好ましくは1〜48時間行う。後架橋を行う際の加熱方法、加熱温度は適宜選択すればよい。
そして、上記選択した材料に、電気特性を調整するための抵抗調整剤、難燃性を得るための難燃剤、必要に応じて、酸化防止剤、補強剤、充填剤、加硫促進剤などの材料を適宜含有させた配合を行う。
電気特性を調整するための抵抗調整剤としては、カーボンブラックや金属酸化物などの無機充填剤を用いることができる。また、イオン導電剤や導電性高分子を用いることも有効である。特に、イオン導電剤や導電性高分子を用いることにより前述した異常放電による異常画像抑制に対して好適である。具体的には、第4級アンモニウム塩やホスホニウム塩、過塩素酸塩等をゴム100重量部に対して、0.01〜3重量部添加するのが好ましい。少なすぎると抵抗値が高すぎ、多すぎるとブリードアウトするといった不具合が発生する。
この弾性層2の抵抗値としては、体積抵抗で1×10〜1×1013Ω・cmとなるように調整されることが好ましい。
また、膜厚としては、100μm〜2mm程度が好ましい。さらには、200μm〜500μmがより好ましい。膜厚が薄いと、転写媒体の表面性状への追従性や転写圧力低減効果が低く好ましくない。厚すぎると、膜の重さが重くなりたわみやすくなり走行性が不安定になったり、ベルトを張架させるためのローラ曲率部での屈曲により亀裂が発生しやすくなるため好ましくない。
難燃性を実現するために、各種難燃剤を充填するが、環境問題の点から、アンチモン化合物や塩素・臭素等のハロゲン化合物を用いないことが望まれる。特に、燐化合物と水酸化金属化合物を併用する系が非常に効果を発現する。中でも、燐化合物としては、赤燐が、水酸化金属化合物としては水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウムが好ましい。赤燐の含有量としては、アクリルゴム100重量部に対して、5〜20重量部、水酸化アルミニウムの含有量としては、アクリルゴム100重量部に対して、20〜200重量部が好ましい。少なすぎると難燃性が十分に得られず、多すぎると成膜性が悪く、膜としての形態を維持できなかったり、接着性が低下するといった不具合が生じる。
次に、この弾性層2の表面に形成する球形樹脂粒子3について説明する。
材料としては、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、などの樹脂を主成分としてなる球形粒子が挙げられる。また、これらの樹脂材料からなる粒子の表面を異種材料で表面処理を施したものでも良い。
また、ここで言う樹脂粒子の中にはゴム材料も含む。また、ゴム材料で作製された球形粒子の表面を硬い樹脂をコートしたような構成のものも適用可能である。
また、中空であったり、多孔質であっても良い。
これらの樹脂中で、滑性を有し、トナーに対しての離型性や、ドラム状の感光体等の当接する像担持体の耐磨耗性を向上させることができる機能が高いものとして、シリコーン樹脂粒子が最も好ましい。このように球形樹脂粒子3としてシリコーン樹脂粒子を用いることで、トナーに対しての離型性を向上させて高い転写率を実現するとともに、当接する像担持体の損傷も抑制できる中間転写ベルト22を提供できる。
また、これら樹脂を用い、重合法などにより球状の形状に作製された粒子であることが好ましく、本発明においては、真球に近いものほど好ましい。
また、その粒径は、体積平均粒径が、1.0μm〜5.0μmであり、単分散粒子であることが望ましい。ここで言う単分散粒子とは、単一粒子径の粒子という意味ではなく、粒度分布が極めてシャープなもののことを指す。
具体的には、±(平均粒径×0.5)μm以下の分布幅のもので良い。
粒径が1.0μm以下の場合、球形樹脂粒子3による転写性能の効果が十分に得られず、一方、5.0μm以上では、表面粗さが大きくなり、粒子間の隙間が大きくなるため、トナーが良好に転写できなくなったりクリーニング不良となる不具合が生じる。
さらには、樹脂粒子は絶縁性であることが多いため、粒径が大きすぎると球形樹脂粒子3による帯電電位の残留により、連続画像出力時にこの電位の蓄積による画像乱れが発生する不具合も生じる。
次に、この弾性層2の表面状態について説明する。
図2の模式図に示すように、本実施形態の中間転写ベルトは、弾性層2の表面を真上から観察した際に、均一な粒径の球形樹脂粒子3が独立して整然と配列する形態となる。また、球形樹脂粒子3同士の重なり合いは殆ど観測されない。
この表面を構成する各粒子の弾性層2の表面における断面の径も均一なほうが好ましく、具体的には、±(平均粒径×0.5)μm以下の分布幅となることが好ましい。
上記のように形成するためには、できるだけ粒径の揃った球形粒子を用いることが好ましいが、ある粒径のものが選択的に弾性層2の表面に形成できる方法により、弾性層2の表面を形成して上述した粒径分布幅となるように構成としても良い。
この球形樹脂粒子3による表面の占有面積率としては、60%以上が好ましい。一方、60%以下では弾性層2の樹脂部分の露出部が多すぎてトナーがゴムと接触し良好な転写性が得られない。
次に、図3には弾性層2の断面拡大模式図を示す。
本実施形態においては、上述した球形樹脂粒子3は弾性層2中へ一部埋設された形態を取るが、その埋没率は、50%を超え、100%に満たないものが好ましく、51%〜90%であることが、より好ましい。50%以下では、電子写真方式の画像形成装置での長期使用において球形樹脂粒子3の脱離が起きやすく、耐久性に劣る。一方、100%では、球形樹脂粒子3による転写性への効果が低減し好ましくない。
上記した埋没率とは、球形樹脂粒子3の深さ方向の径の弾性層2に埋没している率のことである。しかし、ここで言う、埋没率は、すべての粒子が50%を超え100%に満たないという意味ではなく、ある視野で見たときの平均埋没率で表わしたときの数値が50%を超え100%に満たなければ良い。なお、埋没率50%のときは、電子顕微鏡による断面観測において、樹脂層中へ完全埋没している粒子が殆ど観測されず、弾性層2中に完全に埋没している粒子の個数%は粒子全体のうち5%以下である。
上記したように、球形樹脂粒子3が、深さ方向に50%を超え100%に満たない埋没率で弾性層2に埋め込まれていることで、球形樹脂粒子の脱離を抑制して耐久性を高め、記録媒体によらず高い転写率を長期に亘り実現できる中間転写ベルト22を提供できる。
次に、上記本実施形態の構成のベルトを作製する方法についての一例を説明する。
まず、基層1の作製方法について説明する。本実施形態の少なくとも樹脂成分を含む塗工液、すなわち、上述したポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体を含む塗工液を用いて基層を製造する方法について説明する。
円筒状の型、例えば、円筒状の金属製の金型31(図4参照)をゆっくりと回転させながら、少なくとも樹脂成分を含む上記した塗工液をノズルやディスペンサーのような液供給装置にて円筒の外面全体に均一になるように塗布・流延(塗膜を形成)する。
その後、回転速度を所定速度まで上げ、所定速度に達したら一定速度に維持し、所定時間回転を継続する。そして、回転させつつ徐々に昇温させながら、約80〜150℃の温度で塗膜中の溶媒を蒸発させていく。この過程では、雰囲気の蒸気(揮発した溶媒等)を効率よく循環して取り除くことが好ましい。自己支持性のある膜が形成されたところで金型31ごと高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に移す。そして、段階的に昇温し、最終的に250℃〜450℃程度の高温加熱処理(焼成)し、十分にポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体のイミド化又はポリアミドイミド化を行う。
十分に冷却後、引き続き、弾性層2を積層する。
この弾性層2は、射出成形、押し出し成形などにより基層1上に形成することも可能であるが、本発明の中間転写体においては塗工液を塗布することにより形成することが有効である。この塗工液においては、液状エラストマー、液状ゴム等を用いたり、溶剤可溶な樹脂またはエラストマー、ゴム材料を溶剤に溶解した溶液を塗工液として用いることもできる。次に、熱硬化型の液状のエラストマー材料を用い、基層1上に弾性層2を塗布形成する方法について説明する。
少なくとも液状の熱硬化型エラストマー材料を含む塗工液を、基層1同様、円筒状の金属製の金型31をゆっくりと回転させながら、ノズルやディスペンサーのような液供給装置にて円筒の外面全体に均一になるように塗布・流延(塗膜を形成)する。
その後、回転速度を所定速度まで上げ、所定速度に達したら一定速度に維持し、所定時間回転を継続する。そして、十分にレベリングしたところで、図4に示すように、粉体供給装置35と押し当て部材36を設置し、回転させながら粉体供給装置35から球形樹脂粒子3を表面に均一にまぶす。この表面にまぶされた球形樹脂粒子3を、押し当て部材36により一定圧力にて押し当てることにより、弾性層2へ球形樹脂粒子3を埋設させつつ、余剰な球形樹脂粒子3を取り除く。本実施形態の中間転写体では、特に単分散の球形粒子を用いるために、このような押し当て部材36でのならし工程のみの簡単な工程で、均一な単一粒子層を形成することが可能である。
球形樹脂粒子3の弾性層2中への埋没率の調整は、他の方法によっても可能であるかも知れないが、例えば、押し当て部材36の弾性層2に対する押圧力を加減することにより、容易に調整することができる。
そして、均一な単一粒子層を形成後、回転させながら所定温度で、所定時間だけ加熱することにより、硬化させ弾性層2を形成する。
その後、十分に冷却した後、金型31から基層1ごと脱離させ、所望の中間転写ベルト22(シームレスベルト)を得る。
上記した中間転写ベルト22の製造工程においては、弾性層2を形成する塗工液は、上記した各種配合剤を含むゴム材料を攪拌、混練装置を用いて溶剤に溶解して溶液化するが、溶液中に多くの泡を巻き込んだ状態となる。
溶液中に泡が入ったまま塗工すると、弾性層2を塗工する際又は加熱して硬化させる際に、泡を巻き込んだ箇所の塗膜が隆起したり、一旦、隆起した塗膜が破泡して陥没したりして塗膜欠陥となってしまため、事前にこれを除去しておく必要がある。弾性層2の表面に陥没が生じると、基層1上に積層する弾性層2が薄くなってしまい、弾性層2が薄くなり、1次転写バイアスや2次転写バイアスが印加される際に局所的に異常放電が生じ、異常画像が発生する場合がある。また、弾性層2の表面に隆起や陥没が生じると、これらが生じた箇所に球形樹脂粒子3を配置できず、球形樹脂粒子3の間隔が空いてトナーに対する離型性が低下したり、長期繰り返し使用時に球形樹脂粒子3の脱離が生じたりして転写性が低下する場合がある。
溶液中の泡を除去するのに、一般的には真空脱泡工程を実施する。しかしながら、この塗工液は、0.1〜10000Pa・sと非常に高い粘度の溶液となるため、溶液中の泡を除去するのに非常に長い時間を要する。また、長時間、真空脱泡工程を実施しても、泡が残留していると弾性層2を加熱して硬化させる加熱工程で、弾性層2が硬化する前に泡が膨張して塗膜が表面から隆起したり、一旦隆起した塗膜が破泡して陥没したりして塗膜欠陥が生じるおそれもある。このように塗膜欠陥が生じると、弾性層2が硬化する前に球形樹脂粒子3が移動したり、脱離したりして球形樹脂粒子3の間隔が空いてしまう。また、上記のように球形樹脂粒子3を深さ方向に50%を超え100%に満たない埋没率で弾性層2に埋め込んだとしても、陥没箇所に接近していたり、加熱処理時に隆起したりした球形樹脂粒子3が、長期繰り返し使用時に脱離する場合もある。
これらのため、従来は、局所的に異常放電や転写効率の低下に加え、中間転写ベルト22の生産性が低下したり、塗膜欠陥が生じて中間転写ベルト22の歩留まり率が低下したりするおそれもあった。
そこで、本実施形態では、弾性層2に消泡効果を有した界面活性剤を含有させることとした。このように界面活性剤を含有させることで、弾性層2を形成する製造過程における弾性層2中への泡の巻き込みを抑制したり、弾性層2を加熱して硬化させる加熱工程に進む前に巻き込んだ泡による塗膜を破泡させたりできる。
具体的には、弾性層2を形成する塗工液を作成する工程、すなわち弾性層2を構成する材料である各種配合剤を含むゴム材料を塗布液化する工程で、消泡効果を有した界面活性剤を含有させて攪拌、混練装置を用いて有機溶剤に溶解して溶液化する。このようにと塗工液を作成することで、溶液化する工程での弾性層2中への泡の巻き込みを抑制することができる。また、巻き込んだ泡を真空脱泡させる真空脱泡工程における泡の除去を、界面活性剤を含有させない構成に比べ、短時間、且つ、好適に行える。加えて、塗工工程における新たな泡の巻き込みも抑制することができるとともに、弾性層2を加熱して硬化させる加熱工程に進む前に、弾性層2に残留した泡による塗膜の破泡を促進することもできる。
上記のように泡の巻き込みを抑制したり、加熱工程に進む前に巻き込んだ泡の塗膜を破泡させたりすることで、巻き込んだ泡に起因した弾性層2の表面に生じる隆起や陥没の塗膜欠陥が発生することを抑制できる。
したがって、弾性層2の表面に球形樹脂粒子3による凹凸構造を一面に形成することができ、製造過程における弾性層2中への泡の巻き込みに起因した、局所的な異常放電による異常画像の発生、及び長期繰り返し使用による転写率の低下を抑制できる。
よって、基層1上に積層される弾性層2の表面に球形樹脂粒子3による凹凸形状が形成された中間転ベルトであって、局所的な異常放電による異常画像の発生、及び長期繰り返し使用による転写率の低下を抑制できる中間転ベルト22を提供できる。
なお、中間転ベルト22は、基層1上に積層される弾性層2の表面に球形樹脂粒子3による凹凸形状が形成されているので、複数色のトナーを重ねて1次転写する際の中間転写ベルトの位置精度を高めることができる。また、表面性状が異なる記録媒体に対する中間転写体の追従性を高めるとともに、高い転写率も実現できる。
消泡効果を有した界面活性剤、所謂、消泡剤としては、シリコーン系、フッ素系、アクリル系、ビニルエーテル系、アセチレングリコール系等の重合体からなる界面活性剤を用いることができる。
なお、消泡剤としてシリコーン系、フッ素系の重合体からなる界面活性剤を消泡剤として用いると、弾性層2中へ埋没させた球形樹脂粒子3の接着強度が低下し、繰り返し使用による耐久性が確保できなくなる場合がある。このため、シリコーン及びフッ素を含まない消泡剤として、アクリル系、ビニルエーテル系、及びアセチレングリコール系の重合体のいずれかからなる界面活性剤を選択することがより好ましい。
すなわち、界面活性剤にシリコーン及びフッ素を含まない消泡剤を用いることで、弾性層2中へ埋没させた球形樹脂粒子3の接着強度低下の抑制と、繰り返し使用による中間転写ベルト22の耐久性を向上とを実現できる。さらに、アクリル系、ビニルエーテル系、及びアセチレングリコール系のいずれかからなる界面活性剤を選択することで埋設させた、球形樹脂粒子3の接着強度低下の抑制と、繰り返し使用によるよる中間転写ベルト22の耐久性の向上とをより好適に実現できる。
消泡剤として好適に用いることができる界面活性剤の具体的なものとしては、商品として以下のようなものが流通している。
アクリル系としては、BYK−350、BYK−351、BYK−354、BYK−355、BYK−381、BYK−392、BYK−394、BYK−3441(以上、ビックケミー社)等が流通している。また、ディスパロンOX−720EF、ディスパロンLAP−10、ディスパロンLAP−20、ディスパロンLAP−30、ディスパロンLF−1900シリーズ(以上、楠本化成)等も流通している。
ビニル系としては、ディスパロンUVX−188、ディスパロンUVX−189、ディスパロンUVX−190(以上、楠本化成)、BYK−051、BYK−052、BYK−053(以上、ビックケミー)等が流通している。
アセチレングリコール系としては、サーフィノールDF110D、サーフィノールDF37、エンバイロジェムAD−01、オルフィンSPC、オルフィンAF−103、オルフィンAF−104(以上、日信化学工業)等が流通している。
これら各種材料は、単独または併用して用いることができる。また、これらの添加量としては、ゴム100重量部に対して、0.01〜5重量部が好ましい。少なすぎると消泡効果が得られず、多いと弾性層2表面へのブリードによる汚染性の面で好ましくない。
上記した方法で製造した中間転写ベルト22は、例えば、像担持体上に順次形成される複数色のトナー画像を中間転写ベルト22上に順次重ね合わせて1次転写を行い、カラーのトナー画像を一括して記録媒体に2次転写する画像形成装置に好適に適用できる。所謂、中間転写方式、且つ、電子写真方式の画像形成装置の中間転写ベルトとして好適に用いられ、高画質な画像形成装置を構成することができる。
次に、本発明を適用した中間転写ベルト22を備える画像形成装置の複数の例について、図を用いて説明する。なお、以下に説明する画像形成装置はいずれも一例であって、本発明はこれに限定されるものではない。また、各例におけるベルト状の中間転写体である中間転写ベルトについては、同一の符号である22を付して説明する。
まず、1つのドラム状の感光体に対して4色の現像器を用いるリボルバ方式の画像形成装置の例であるプリンタ100について、図5を用いて説明する。
図5に示すように、感光体200からトナー画像が中間転写され、中間転写されたトナー画像を記録媒体である用紙P等に2次転写する中間転写ユニット500は、複数のローラに張架された中間転写体である中間転写ベルト22等により構成されている。この中間転写ベルト22の周りには、2次転写ユニット600の2次転写電荷付与手段である2次転写バイアスローラ605、中間転写体クリーニング手段であるベルトクリーニングブレード504が、中間転写ベルト22の外周面に対向するように配置されている。また、潤滑剤塗布手段の潤滑剤塗布部材である潤滑剤塗布ブラシ505等も中間転写ベルト22の外周面に対向するように配置されている。
また、中間転写ベルト22の外周面側には、位置検知用マーク(不図示)が設けられている。但し、中間転写ベルト22の外周面側については、位置検知用マークがベルトクリーニングブレード504の通過域を避けて位置検知用マークを設ける工夫が必要であり、配置する上で困難をともなう場合がある。このような場合には位置検知用マークを中間転写ベルト22の内周面側に設けてもよい。マーク検知用センサとしての光学センサ514は、中間転写ベルト22が架け渡されている1次転写バイアスローラ507とベルト駆動ローラ508との間の位置に設けられている。
この中間転写ベルト22は、1次転写する際の電荷付与手段である1次転写バイアスローラ507、及び次の各種ローラに張架されている。ベルト駆動ローラ508、ベルトテンションローラ509、2次転写対向ローラ510、クリーニング対向ローラ511、及びフィードバック電流検知ローラ512である。また、各ローラは導電性材料で形成され、1次転写バイアスローラ507を除く他のローラは接地されている。1次転写バイアスローラ507には、定電流または定電圧制御された1次転写電源801により、トナー画像の重ね合わせ数に応じて所定の大きさの電流又は電圧に制御された1次転写バイアスが印加される。
中間転写ベルト22は、駆動モータ(不図示)によって、図5図中、時計回りである矢印方向に回転駆動されるベルト駆動ローラ508により、矢印方向に駆動される。
この中間転写ベルト22は、通常、半導体、又は絶縁体からなる単層又は多層構造となっているが、本実施形態においてはシームレスベルトが好ましく用いられ、これによって耐久性が向上すると共に、優れた画像形成を実現できる。また、中間転写ベルト22は、感光体200上に形成されたトナー画像を重ね合わせるために、通紙可能な用紙Pの最大サイズよりも大きく構成されている。
2次転写手段である2次転写バイアスローラ605は、2次転写対向ローラ510に張架された部分の中間転写ベルト22のベルト外周面に対して、後述する接離手段としての接離機構によって、接離可能に構成されている。2次転写バイアスローラ605は、2次転写対向ローラ510に張架された部分の中間転写ベルト22との間に用紙Pを挟持するように配設されており、定電流制御される2次転写電源802によって所定電流の2次転写バイアスが印加されている。
レジストローラ610は、2次転写バイアスローラ605と2次転写対向ローラ510に張架された中間転写ベルト22との間に、所定のタイミングで記録媒体である用紙Pを送り込む。また、2次転写バイアスローラ605には、クリーニング手段であるクリーニングブレード608が当接している。このクリーニングブレード608は、2次転写バイアスローラ605の表面に付着した残留トナー等の付着物を除去してクリーニングするものである。
このような構成のカラー画像が形成可能なプリンタ100において、画像形成サイクルが開始されると、感光体200は、駆動モータ(不図示)によって矢印で示す反時計方向に回転される。そして、この感光体200上に、パソコン等の外部機器からの画像データに基づき、Bk(ブラック)のトナー画像形成、C(シアン)のトナー画像形成、M(マゼンタ)のトナー画像形成、及びY(イエロー)のトナー画像形成が順次、行なわれる。また、中間転写ベルト22はベルト駆動ローラ508によって矢印で示す時計回りに回転される。この中間転写ベルト22の回転にともなって、1次転写バイアスローラ507に印加される電圧による1次転写バイアスにより、Bkトナー画像、Cトナー画像、Mトナー画像、Yトナー画像の1次転写が順次、行なわれる。そして、最終的にBk、C、M、Yの順に中間転写ベルト22上に各トナー画像が重ね合わせてカラーのトナー画像が形成される。
例えば、上記Bkトナー画像形成は次のように行なわれる。
図5に示すように配置された帯電装置である帯電チャージャ203は、コロナ放電によって感光体200の表面を負電荷で所定電位に一様に帯電する。そして、上記した光学センサ514によるベルトマーク検知信号に基づき、タイミングを定め、書き込み光学ユニット222により、外部機器からの画像データを処理したBkカラー画像信号に基づいてレーザ光によるラスタ露光を行う。このラスタ像が露光されたとき、当初一様帯電された感光体200の表面の露光された部分は、露光光量に比例する電荷が消失し、Bk静電潜像が形成される。
このBk静電潜像に、Bk用の現像器231Kの現像ローラ上の負帯電されたBkトナーが接触することにより、感光体200の電荷が残っている部分にはトナーが付着せず、電荷の無い部分つまり露光された部分にBkトナーが吸着する。そして、感光体200上に静電潜像と相似なBkトナー画像が形成される。
このようにして感光体200上に形成されたBkトナー画像は、感光体200と接触状態で等速駆動回転している中間転写ベルト22のベルト外周面に1次転写される。この1次転写後の感光体200の表面に残留している若干の未転写の残留トナーは、感光体200の再使用に備えて、感光体クリーニング装置201で除去される。この感光体200側では、Bk画像形成工程の次にC画像形成工程に進み、所定のタイミングでCカラー画像信号に基づくレーザ光書き込みによって、感光体200の表面にC静電潜像を形成する。
そして、先のBk静電潜像の後端部が通過した後で、且つ、C静電潜像の先端部が到達する前にリボルバ現像ユニット230の回転動作が行なわれ、C用の現像器231Cが現像位置にセットされ、C静電潜像がCトナーで現像される。以後、C静電潜像領域の現像を続けるが、C静電潜像の後端部が通過した時点で、先のBk用の現像器231Kの場合と同様にリボルバ現像ユニットの回転動作を行い、次のM用の現像器231Mを現像位置に移動させる。これもやはり次のY静電潜像の先端部が現像位置に到達する前に完了させる。なお、M及びYの画像形成工程については、それぞれの画像データに基づいた静電潜像形成、現像の動作が上述のBk、Cの工程と同様であるので、その説明は省略する。
このようにしてドラム状の感光体200上に順次形成されたBk、C、M、Yのトナー画像は、中間転写ベルト22上の同一面に順次位置合わせされて1次転写される。これにより、中間転写ベルト22上に最大で4色が重ね合わされたトナー画像が形成される。一方、上記した画像形成動作が開始される時期に、記録媒体である用紙Pが給紙カセット621から給紙ローラ622により給紙され、分離ローラ623で1枚に分離されて、給紙路620に導かれる。給紙路620に導かれた用紙Pは、給紙路620に複数配置された搬送ローラ624により、レジストローラ610のニップまで搬送されて待機する。又は、手差しトレイ631から手差し給紙ローラ632により手差し給紙路630に給送され、レジストローラ610のニップまで搬送されて待機する。
そして、2次転写対向ローラ510に張架された中間転写ベルト22と2次転写バイアスローラ605によりニップが形成された2次転写部に、中間転写ベルト22上のトナー画像の先端が差しかかるときに、レジストローラ610が駆動される。このレジストローラ610の駆動は、中間転写ベルト22上のトナー画像の先端と用紙Pの画像形成領域の先端とが一致するように行われ、用紙ガイド板601に沿って用紙Pが搬送され、用紙Pとトナー画像とのレジスト合わせが実行される。
このようにして、用紙Pが2次転写部を通過する時に、2次転写電源802によって2次転写バイアスローラ605に印加された電圧による2次転写バイアスにより、中間転写ベルト22上の4色重ねトナー画像が用紙P上に一括して2次転写される。この用紙Pは、用紙ガイド板601に沿って搬送されて、2次転写部の下流側に配置した除電針からなる用紙除電チャージャ606との対向部を通過することにより除電された後、搬送ベルトを有したベルト搬送装置210により定着装置270に向けて送られる。そして、この用紙Pは、定着装置270の定着ローラ271,272のニップ部でトナー画像が溶融定着された後、排出ローラ642で装置本体外に送り出され、排紙トレイ641上に表向きにスタックされる。なお、定着装置270は必要により定着ベルトを有した構成とすることもできる。
一方、2次転写後の感光体200の表面は、感光体クリーニング装置201でクリーニングされ、上記除電ランプ202で均一に除電される。また、用紙Pにトナー画像を2次転写した後の中間転写ベルト22のベルト外周面に残留した残留トナーは、ベルトクリーニングブレード504によってクリーニングされる。このベルトクリーニングブレード504は、図示しないクリーニング部材離接機構によって、中間転写ベルト22のベルト外周面に対して所定のタイミングで接離されるように構成されている。
このベルトクリーニングブレード504の中間転写ベルト22の移動方向上流側には、中間転写ベルト22のベルト外周面に対して接離するトナーシール部材502が設けられている。このトナーシール部材502は、上記した残留トナーのクリーニング時にベルトクリーニングブレード504から落下した落下トナーを受け止めて、この落下トナーが用紙Pの搬送経路上に飛散するのを防止している。このトナーシール部材502は、上記したクリーニング部材離接機構によって、ベルトクリーニングブレード504とともに、中間転写ベルト22のベルト外周面に対して接離される。
このようにして残留トナーが除去された中間転写ベルト22のベルト外周面には、上記した潤滑剤塗布ブラシ505により削り取られた潤滑剤506が塗布される。この潤滑剤506は、例えば、ステアリン酸亜鉛などの固形体からなり、潤滑剤塗布ブラシ505に接触するように配設されている。また、この中間転写ベルト22のベルト外周面に残留した残留電荷は、中間転写ベルト22のベルト外周面に接触したベルト除電ブラシ(不図示)により印加される除電バイアスによって除去される。ここで、潤滑剤塗布ブラシ505及びベルト除電ブラシは、それぞれの接離機構(不図示)により、所定のタイミングで、中間転写ベルト22のベルト外周面に対して接離されるようになっている。
ここで、連続して画像形成が行なわれる時は、感光体200への画像形成は、1枚目の4色目(Y)の画像形成工程に引き続き、所定のタイミングで2枚目の1色目(Bk)の画像形成工程に進む。また、中間転写ベルト22は、1枚目の4色重ねトナー像の転写紙への一括転写される2次転写工程に引き続き、ベルト外周面の上記ベルトクリーニングブレード504でクリーニングされた領域に、2枚目のBkトナー画像が1次転写されるようにする。その後は、1枚目と同様動作になる。以上は、4色フルカラーの画像を用紙P上に形成する画像形成モードであったが、3色の画像形成モード、2色の画像形成モードの場合は、指定された色と回数の分について、上記同様の動作を行うことになる。また、単色の画像形成モードの場合は、所定枚数が終了するまでの間、リボルバ現像ユニット230の所定色の現像機のみを現像動作状態にし、ベルトクリーニングブレード504を中間転写ベルト22に接触させたままの状態にして画像形成動作を行う。
上記した画像形成装置の例では、感光体200を1つだけ備えたプリンタ100について説明したが、本発明は、例えば、図6を示すように、複数の感光体をシームレスベルトからなる1つの中間転写ベルトに沿って並設した画像形成装置にも適用できる。
図6に、その要部を示すプリンタ10は、4つの異なる色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のトナー画像を形成するための4つのドラム状の感光体21Bk,21Y,21M,21Cを備えた4ドラム型、タンデム方式のカラープリンタである。
なお、上述したプリンタ100とこのプリンタ10とでは、主に、中間転写ベルト22に、各色のトナー画像を1次転写する方式と、中間転写ベルト22に担持したトナー画像を用紙P等の記録媒体に2次転写する2次転写方式に係る点が異なる。したがって、以下のプリンタ10の説明では、電子写真方式、且つ、中間転写方式である画像形成装置として共通する構成、及び動作については、適宜、省略して説明する。
図6に示すように、プリンタ10の要部は、主に電子写真方式によるカラー画像形成を行うための、画像書込部12Bk,M,Y,C、画像形成部13Bk,M,Y,C、及び給紙部14から構成されている。パソコン等の外部機器からの画像信号に基づいて画像処理部(不図示)で画像処理して画像形成用の黒(Bk)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)の各色信号に変換し、画像書込部12Bk,M,Y,Cに送信する。各画像書込部12は、例えば、レーザ光源と、回転多面鏡等の偏向器と、走査結像光学系、及びミラー群、からなるレーザ走査光学系であり、上記した各色信号に対応した4つの書込光路Lbk,Lm,Ly,Lcを有している。そして、各画像形成部13の各色毎に設けられたドラム状の像坦持体である感光体21Bk,M,Y,Cに各色信号に応じた画像書込を行う。
各画像形成部13にそれぞれ備えた各感光体としては、通常OPC感光体が用いられる。そして、感光体21Bk,M,Y,Cの周囲には、帯電装置、上記した画像書込部12Bk,M,Y,Cからのレーザ光の露光部、黒、マゼンタ、イエロー、シアンの各色用の現像装置20Bk,M,Y,Cがそれぞれ配設されている。また、1次転写手段としての1次転写バイアスローラ23Bk,M,Y,C、クリーニング装置、及び感光体除電装置(不図示)等もそれぞれ配設されている。なお、現像装置20Bk,M,Y,Cは、2成分磁気ブラシ現像方式を採用いている。
各感光体21からトナー画像が中間転写され、中間転写されたトナー画像を記録媒体である用紙P等に2次転写する中間転写ベルト22は、各感光体21と、各1次転写バイアスローラ23Bk,M,Y,Cとの間に挟持されるように各支持ローラに張架されている。そして、各感光体21上に形成された各色のトナー画像が中間転写ベルト22に順次重ね合わせて1次転写される。このプリンタ10では、図6に示すように、各感光体21に、それぞれ中間転写ベルト22を介して対向して配置された1次転写バイアスローラ23C,Y,M,Bkの順で中間転写ベルト22上にトナー画像が形成されていく。
一方、上記した画像形成動作が開始される時期に、記録媒体である用紙Pが給紙カセット41から給紙ローラ42により給紙され、分離ローラ43で1枚に分離されて、給紙路40に導かれる。給紙路40に導かれた用紙Pは、給紙路40に複数配置された搬送ローラ44により、レジストローラ610のニップまで搬送されて待機する。又は、手差しトレイ46から手差し給紙ローラ47により手差し給紙路45に給送され、レジストローラ16のニップまで搬送されて待機する。
レジストローラ16のニップで待機していた用紙Pは、中間転写ベルト22上に担持搬送されるカラーのトナー画像のタイミングに合わせてレジストローラ16の回転により転写搬送ベルト50上に搬送される。そして、中間転写ベルト22と転写搬送ベルト50とが接触する2次転写ニップ部で、中間転写ベルト22上に重ねて1次転写され、担持搬送されるカラーのトナー画像が、2次転写手段としての2次転写バイアスローラ60により、用紙P上に2次転写される。これにより、用紙P上にカラー画像が形成される。このカラー画像が形成された用紙Pは、転写搬送ベルト50により定着装置15に搬送され、この定着装置15により転写されたトナー画像が溶融定着された後、排出ローラ49で装置本体外に送り出され、排紙トレイ48上に表向きにスタックされる。
なお、2次転写ニップ部で転写されずに上記中間転写ベルト22上に残った残留トナーは、ベルトクリーニング部材25によって中間転写ベルト22から除去される。このベルトクリーニング部材25の下流側、且つ、各画像書込部12が配置される中間転写ベルト22の移動方向上流側の支持ローラである従動ローラ26に対向する位置には、潤滑剤塗布装置27が配置されている。この潤滑剤塗布装置27は、固形潤滑剤と、中間転写ベルト22に摺擦して固形潤滑剤を塗布する導電性ブラシとで構成されており、導電性ブラシは中間転写ベルト22と常時接触して中間転写ベルト22に固形潤滑剤を塗布している。そして、固形潤滑剤は、中間転写ベルト22のクリーニング性を高め、フィルミィングの発生を防止し耐久性を向上させる作用がある。
また、潤滑剤塗布装置27の中間転写ベルト22の移動方向下流側であって、感光体21Cと1次転写バイアスローラ23Cとの1次転写ニップ部の上流側には、中間転写ベルト22のベルト外周面に残留した残留電荷を除電する除電ローラ70が配置されている。
次に、本発明を適用した本実施形態の中間転写ベルトについて、複数の実施例、及び比較例の中間転写ベルトを作成し、複数の基準に基づき本発明の効果を評価した検証実験について説明する。なお、本発明は、以下に説明する各実施例によって制限されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限りこれらの実施例を適宜改変したものも本発明の範囲内である。
(実施例1)
まず、実施例1の中間転写ベルトの構成、及び製造方法について説明する。
下記の構成、及び方法により基層用塗工液を調製し、この塗工液を用いてシームレスベルトの基層を製造した。
<基層用塗工液の調製>
ポリイミド樹脂前駆体を主成分とするポリイミドワニスに、予めビーズミルにてN−メチル−2−ピロリドン中に分散させたカーボンブラックの分散液を、カーボンブラック含有率がポリアミック酸固形分の17重量%になるように調合した。そして、よく攪拌混合して基層用塗工液Aを調製した。なお、ポリイミドワニスとしては、宇部興産社製のU−ワニスAを用い、カーボンブラックとしては、エボニックデグサ社製のSpecialBlack4を用いた。
<基層の製造>
次に、外径340mm、長さ360mmの外面をブラスト処理にて粗面化した金属製の円筒状支持体を型として用い、ロールコート塗工装置に取り付けた。
そして、基層用塗工液Aをロールコート塗工装置のパンに流し込み、塗布ローラの回転速度40mm/secで塗料を汲み上げ、規制ローラと塗布ローラのギャップを0.6mmとして、塗布ローラ上の塗料厚みを制御した。
そして、円筒状支持体の回転速度を35mm/secに制御して塗布ローラに近づけ、塗布ローラとのギャップ0.4mmとして塗布ローラ上の塗料を均一に円筒状支持体上に転写塗布した。
上記のように転写塗布した後、回転を維持しながら熱風循環乾燥機に投入して、110℃まで徐々に昇温して30分加熱、さらに昇温して200℃で30分加熱し、回転を停止した。その後、基層用塗工液Aを塗工した円筒状支持体を高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に導入し、段階的に320℃まで昇温して60分加熱処理(焼成)した。このように加熱処理した段階で、基層の表面抵抗は、500V印加で、1×1011Ω/□、体積抵抗値は、100V印加で、3×10Ωcmであった。
<基層上への弾性層の作製>
以下に示す各材料を配合し、ニーダーにて混練することでゴム組成物を作成した。
弾性層材料構成:
・アクリルゴム(日本ゼオン株式会社製 ニポールAR12) 100重量部
・ステアリン酸(日油株式会社製 ビーズステアリン酸つばき) 1重量部
・赤リン(燐化学工業株式会社製 ノーバエクセル140F) 10重量部
・水酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製 ハイジライトH42M) 40重量部
・架橋剤(デュポン ダウ エラストマー ジャパン製 Diak.No1(ヘキサメチレンジアミンカーバメイト)) 0.6重量部
・架橋促進剤(Safic alcan社製 VULCOFAC ACT55(70%1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7と二塩基酸との塩、30%アモルファスシリカ)) 0.6重量部
・カーボンブラック(コロンビアンカーボン ConductexSC Ultra) 2重量部
次いで、上記のようにして得られたゴム組成物を下記配合にて有機溶剤(MIBK:メチルイソブチルケトン)に溶かして固形分30wt%のゴム溶液を作製した。すなわち、弾性層を構成する材料を塗布液化する工程を実施した。
配合:
・上記ゴム組成物 100重量部
・イオン導電剤(日本カーリット株式会社製 QAP−01) 0.3重量部
・シリコーン系界面活性剤(ビックケミー社製 BYK−066N) 0.2重量部
上記配合で作製した塗布液であるゴム溶液を真空脱泡する真空脱泡工程を経て、先に作製したポリイミド基層が形成された円筒状支持体を回転させながらポリイミド基層上にノズルよりゴム塗料を連続的に吐出しながら支持体の軸方法に移動させ螺旋状に塗工した。塗布量としては最終的な膜厚が500μmになるような液量の条件とした。その後、ゴム塗料が塗工された円筒状支持体をそのまま回転しながら熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度4℃/分で100℃まで昇温して60分加熱した。このようにして、塗布液であるゴム溶液を基層上に塗布して製膜化する工程を実施した。
その後、乾燥機から取り出して冷却し、この表面に、図4を用いて説明した方法を用いて、球状樹脂粒子として、アクリル樹脂球形粒子(テクポリマーMBX-SSシリーズ(体積平均粒径1μm品);積水化成品工業)をまんべんなく表面にまぶした。そして、ポリウレタンゴムブレードの押し付け部材を、押圧力100mN/cmで押し当てて弾性層に固定化した。その後、再び熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度4℃/分で170℃まで昇温して60分加熱処理し、中間転写ベルトAを得た。すなわち、ゴム溶液を基層上に塗布して製膜化した弾性層に球状樹脂粒子を埋設した後、加熱する加熱工程を経ることで、中間転写ベルトAを得た。
この中間転写ベルトAの断面を電子線顕微鏡にて断面観察したところ、粒子の弾性層への埋没率は、65%であった。また、中間転写ベルトAの弾性層面の表面抵抗は、500V印加で、1×1011Ω/□、体積抵抗値は、100V印加で、2×1010Ωcmであった。
(実施例2)
実施例1における球状樹脂粒子を、シリコーン樹脂粒子(トスパール120(体積平均粒径2μm品);モメンティブマテリアルズ)に変える他は同じとし、中間転写ベルトBを得た。
(実施例3)
実施例2において、シリコーン系界面活性剤を、以下の界面活性剤に替える他は同じとし、中間転写ベルトCを得た。
・アクリル系界面活性剤(ビックケミー社製 BYK-392) 0.5重量部
(実施例4)
実施例2において、シリコーン系界面活性剤を、以下の界面活性剤に替える他は同じとし、中間転写ベルトDを得た。
・ビニル系界面活性剤(楠本化成社製 UV−189) 0.5重量部
(実施例5)
実施例2において、シリコーン系界面活性剤を、以下の界面活性剤に替える他は同じとし、中間転写ベルトEを得た。
・アセチレングリコール系界面活性剤
(日信化学工業社製 オルフィンSPC) 0.5重量部
(比較例1)
実施例2において、シリコーン系界面活性剤を、含有しない他は同じとし、中間転写ベルトFを得た。
(比較例2)
実施例2において、弾性層に形成する際の球状樹脂粒子の弾性層への押圧力を、100mN/cmから10mN/cmに変えて弾性層に固定化しる他は同じとし、中間転写ベルトGとした。
この中間転写ベルトGの断面を電子線顕微鏡にて断面観察したところ、粒子の弾性層への埋没率は、25%であった。
(比較例3)
実施例3において、弾性層に形成する際の球状粒子の弾性層への押圧力を、100mN/cmから10mN/cmに変えて弾性層に固定化しる他は同じとし、中間転写ベルトHとした。
この中間転写ベルトHの断面を電子線顕微鏡にて断面観察したところ、粒子の弾性層への埋没率は、25%であった。
上記各実施例、比較例における各中間転写ベルトを図6に示したプリンタ10に装備して以下の評価を実施した。
(1)転写率の測定
記録媒体として、表面に皮革様模様の凹凸を施してある用紙P’(連量175kgのレザック66)を用い、これに、青色のベタ画像(シアンとマゼンタの2色重ね)を出力する操作(画像形成)を実施した。そして、用紙P’に転写する前の中間転写ベルト22上の画像トナー量と用紙P’に転写した後に中間転写ベルト22上に残ったトナー量を計測し、転写率を算出した。
転写率の評価基準としては、80%以上が合格であり、90%以上がより好ましい。
(2)初期異常画像及びベルト表面外観の観察
全面シアンのハーフトーン画像を、出力した際の用紙P’上の異常画像を観察と、中間転写ベルト22表面の外観の目視観察とを行った。
(3)1万枚連続画像出力時点における転写率の測定
テストチャートを連続1万枚連続画像出力した後、停止し、上記(1)の方法に従い、転写率を測定した。
そして、上記した各評価結果から良否判定(○、△、×)を行い、「○」及び「△」を合格とした評価結果を、次の表1に記載する。
Figure 2014119652
上記した表1の評価結果から明らかなように、本発明を適用することにより、次のような中間転写体を提供できることを確認できた。基層上に積層される弾性層の表面に球形樹脂粒子による凹凸形状が形成された中間転写体であって、局所的な異常放電による異常画像の発生、及び長期繰り返し使用による転写率の低下を抑制できる中間転写体である。
また、本発明を適用した中間転写体を備えることで、次のような画像形成装置を提供できることを確認できた。基層上に積層される弾性層の表面に球形樹脂粒子による凹凸形状が形成された中間転写体の、局所的な異常放電による異常画像の発生、及び長期繰り返し使用による転写率の低下を抑制でき、長期に亘り高い転写率を実現できる高画質な画像形成装置である。
上記説明では、プリンタの備えた中間転写ベルトに適用した例について説明したが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。例えば、FAX、プリンタ、複写機、及びこれらのいずれか2つ以上の機能を兼ね備えた複合機等の電子写真方式の画像形成装置に備える中間転写ベルトに適用可能である。
また、ベルト状の中間転写体である中間転写ベルトに適用した例について説明したが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。例えば、ドラム状の中間転写体にも適用可能である。
また、基層の上に弾性層を単層で設た中間転写体の構成例について説明したが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、弾性層を表層と単数又は複数の中間層とで構成したものや、中間層として他の機能を有した層を設けたものにも適用可能である。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
基層1などの基層上に弾性層2などの弾性層が積層され、該弾性層の表面に球形樹脂粒子3などの球形樹脂粒子による凹凸形状が形成された、プリンタ10やプリンタ100などの画像形成装置に用いられる中間転写ベルト22などの中間転写体において、前記弾性層は、界面活性剤を含有していることを特徴とするものである。
これによれば、上記実施形態で説明したように、次のような中間転写体を提供できる。基層上に積層される弾性層の表面に球形樹脂粒子による凹凸形状が形成された中間転写体であって、局所的な異常放電による異常画像の発生、及び長期繰り返し使用による転写率の低下を抑制できる中間転写体である。
(態様B)
(態様A)において、球形樹脂粒子3などの前記球形樹脂粒子が、深さ方向に50%を超え100%に満たない埋没率で弾性層2などの前記弾性層に埋め込まれていることを特徴とするものである。
これによれば、上記実施形態で説明したように、球形樹脂粒子の脱離を抑制して耐久性を高め、高い転写率を長期に亘り実現できる中間転写ベルト22などの中間転写体を提供できる。
(態様C)
(態様A)又は(態様B)において、球形樹脂粒子3などの前記球形樹脂粒子が、トスパール120などのシリコーン樹脂粒子であることを特徴とするものである。
これによれば、上記実施形態で説明したように、トナーに対しての離型性を向上させて高い転写率を実現するとともに、当接する感光体200や感光体21Bk,M,Y,Cなどの像担持体の損傷も抑制できる中間転写ベルト22などの中間転写体を提供できる。
(態様D)
(態様A)乃至(態様C)のいずれかにおいて、前記界面活性剤が、アクリル系、ビニル系、及びアセチレングリコール系の界面活性剤などからなるシリコーン及びフッ素を含まない消泡剤であること特徴とするものである。
これによれば、上記実施形態で説明したように、弾性層2などの弾性層中へ埋没させた球形樹脂粒子3などの球形樹脂粒子の接着強度低下の抑制と、繰り返し使用による中間転写ベルト22などの中間転写体の耐久性を向上とを実現できる。
(態様E)
(態様D)において、前記消泡剤が、アクリル系界面活性剤などのアクリル系重合体であることを特徴とするものである。
これによれば、上記実施形態で説明したように、弾性層2などの弾性層中へ埋没させた球形樹脂粒子3などの球形樹脂粒子の接着強度低下の抑制と、繰り返し使用によるよる中間転写ベルト22などの中間転写体の耐久性の向上とをより好適に実現できる。
(態様F)
(態様D)において、前記消泡剤が、ビニル系界面活性剤などのビニル系重合体であることを特徴とするものである。
これによれば、上記実施形態で説明したように、弾性層2などの弾性層中へ埋没させた球形樹脂粒子3などの球形樹脂粒子の接着強度低下の抑制と、繰り返し使用によるよる中間転写ベルト22などの中間転写体の耐久性の向上とをより好適に実現できる。
(態様G)
(態様D)において、前記消泡剤が、アセチレングリコール系界面活性剤などのアセチレングリコール系重合体であることを特徴とするものである。
これによれば、上記実施形態で説明したように、弾性層2などの弾性層中へ埋没させた球形樹脂粒子3などの球形樹脂粒子の接着強度低下の抑制と、繰り返し使用によるよる中間転写ベルト22などの中間転写体の耐久性の向上とをより好適に実現できる。
(態様H)
中間転写体を介して用紙Pなどの記録媒体上にトナー画像を転写し、画像形成を行うプリンタ100やプリンタ10などの画像形成装置において、前記中間転写体として、(態様A)乃(態様G)のいずれかの中間転写ベルト22などの中間転写体を備えたことを特徴とするものである。
これによれば、上記実施形態で説明したように、(態様A)乃(態様G)のいずれかの中間転写体と同様な効果を奏することができる画像形成装置を提供できる。
(態様I)
基層1などの基層上に弾性層2などの弾性層が積層され、該弾性層の表面に球形樹脂粒子3などの球形樹脂粒子による凹凸形状が形成された、プリンタ100やプリンタ10などの画像形成装置に用いられる中間転写ベルト22などの中間転写体の製造方法において、前記弾性層が、界面活性剤を含有しており、前記弾性層を形成する製造工程が、少なくとも、ゴム溶液を作製するなどの該弾性層を構成する材料を塗布液化する工程、真空脱泡工程などの該塗布液を真空脱泡する工程、該塗布液を前記基層上に塗布して製膜化する工程、該製膜を加熱する工程を有することを特徴とするものである。
これによれば、上記実施形態で説明したように、次のような中間転写体を提供できる。基層上に積層される弾性層の表面に球形樹脂粒子による凹凸形状が形成された中間転写体であって、局所的な異常放電による異常画像の発生、及び長期繰り返し使用による転写率の低下を抑制できる中間転写体である。
1 基層
2 弾性層
3 球形樹脂粒子
10 プリンタ(タンデム方式)
12 画像書込部
13 画像形成部
14 給紙部
15 定着装置
16 レジストローラ
20 現像装置
21 感光体
22 中間転写ベルト
23 1次転写バイアスローラ
25 ベルトクリーニング部材
26 従動ローラ
27 潤滑剤塗布装置
31 金型
35 粉体供給装置
36 押し付け部材
40 給紙路
41 給紙カセット
42 給紙ローラ
43 分離ローラ
44 搬送ローラ
45 手差し給紙路
46 手差しトレイ
47 手差し給紙ローラ
48 排紙トレイ
49 排出ローラ
50 転写搬送ベルト
60 2次転写バイアスローラ
70 除電ローラ
100 プリンタ(リボルバ方式)
200 感光体
201 感光体クリーニング装置
202 除電ランプ
203 帯電チャージャ
210 ベルト搬送装置
222 書き込み光学ユニット
230 リボルバ現像ユニット
231 現像器(リボルバ現像ユニット)
270 定着装置
271,272 定着ローラ
500 中間転写ユニット
502 トナーシール部材
504 ベルトクリーニングブレード
505 潤滑剤塗布ブラシ
506 潤滑剤
507 1次転写バイアスローラ
508 ベルト駆動ローラ
509 ベルトテンションローラ
510 2次転写対向ローラ
511 クリーニング対向ローラ
512 フィードバック電流検知ローラ
514 光学センサ
600 2次転写ユニット
601 用紙ガイド板
605 2次転写バイアスローラ
606 用紙除電チャージャ
608 クリーニングブレード
610 レジストローラ
620 給紙路
621 給紙カセット
622 給紙ローラ
623 分離ローラ
624 搬送ローラ
630 手差し給紙路
631 手差しトレイ
632 手差し給紙ローラ
641 排紙トレイ
642 排出ローラ
801 1次転写電源
802 2次転写電源
L 書込光路
P,P’ 用紙
特開2011−150059号公報

Claims (9)

  1. 基層上に弾性層が積層され、該弾性層の表面に球形樹脂粒子による凹凸形状が形成された、画像形成装置に用いられる中間転写体において、
    前記弾性層は、界面活性剤を含有していることを特徴とする中間転写体。
  2. 請求項1に記載の中間転写体において、
    前記球形樹脂粒子が、深さ方向に50%を超え100%に満たない埋没率で前記弾性層に埋め込まれていることを特徴とする中間転写体。
  3. 請求項1又は2に記載の中間転写体において、
    前記球形樹脂粒子が、シリコーン樹脂粒子であることを特徴とする中間転写体。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一に記載の中間転写体において、
    前記界面活性剤が、シリコーン及びフッ素を含まない消泡剤であること特徴とする中間転写体。
  5. 請求項4に記載の中間転写体において、
    前記消泡剤が、アクリル系重合体であることを特徴とする中間転写体。
  6. 請求項4に記載の中間転写体において、
    前記消泡剤が、ビニル系重合体であることを特徴とする中間転写体。
  7. 請求項4に記載の中間転写体において、
    前記消泡剤が、アセチレングリコール系重合体であることを特徴とする中間転写体。
  8. 中間転写体を介して記録媒体上にトナー画像を転写し、画像形成を行う画像形成装置において、
    前記中間転写体として、請求項1乃至7のいずれか一に記載の中間転写体を備えたことを特徴とする画像形成装置。
  9. 基層上に弾性層が積層され、該弾性層の表面に球形樹脂粒子による凹凸形状が形成された、画像形成装置に用いられる中間転写体の製造方法において、
    前記弾性層が、界面活性剤を含有しており、
    前記弾性層を形成する製造工程が、少なくとも、該弾性層を構成する材料を塗布液化する工程、該塗布液を真空脱泡する工程、該塗布液を前記基層上に塗布して製膜化する工程、該製膜を加熱する工程を有することを特徴とする中間転写体の製造方法。
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