JP2014119549A - 画像形成装置 - Google Patents

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Munenori Nakano
統成 中野
Shigeki Uchiki
繁喜 内貴
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哲也 酒井
Hironori Akashi
裕紀 赤司
Kanako Kibihara
佳名子 黍原
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Abstract

【課題】 信頼性の高い画像形成条件の適正化を,短時間で行うことのできる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 本発明の画像形成装置は,テストパターン記憶部と,変形位置記憶部とを有する。テストパターン記憶部は,画像形成部の画像形成条件の適正化に用いる,低濃度区間と高濃度区間とにより構成されたテストパターンを記憶している。変形位置記憶は,中間転写ベルトの変形部を記憶している。そして,画像形成部の画像形成条件を適正化する際には,中間転写ベルトの変形部には,テストパターンの高濃度区間を配置させる。また,テストパターンの低濃度区間については,中間転写ベルトの変形部以外の正常な部分に担持させる。
【選択図】図5

Description

本発明は,画像形成部における画像形成条件を適正化することのできる画像形成装置に関する。さらに詳細には,画像形成部によりテストパターンを形成させ,そのテストパターンの検出値に基づいて画像形成部の画像形成条件を適正化することにより,色味の再現性の高い画像を安定して形成することのできる画像形成装置に関する。
一般的な電子写真方式のカラー画像を形成することのできる画像形成装置は,イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の4色のトナーにより画像が形成される。このため,各色のトナー像を形成するための4つの画像形成部を有している。また,タンデム型の画像形成装置には,形成された各色のトナー像を重ね合わせるための中間転写ベルトを有しているものがある。このような画像形成装置では,中間転写ベルト上のトナー像は,中間転写ベルトの外周面に転写ローラーなどを圧接させてなる転写ニップにおいて用紙に転写される。
また,画像形成装置においては,各画像形成部により色味の再現性の高いトナー像を安定して形成させるため,テストパターンを用いた画像形成条件(帯電装置の帯電バイアス,露光装置の露光光量および露光位置,現像装置の現像バイアスなど)の適正化を行う補正が行われる。すなわち,その補正では,各画像形成部によりそれぞれ該当色のテスト用のトナー像であるテストパターンを形成させ,そのテストパターンを中間転写ベルト上でセンサーにより検出する。そして,そのテストパターンの検出値に基づいて,各画像形成部の画像形成条件がそれぞれ適切となるような制御を行うのである。
ここで,中間転写ベルトは通常,その両端がローラーによって支持されている。このため,画像形成装置が動作しない放置状態が長時間続いた場合,中間転写ベルトのローラーによって支持されている部分には,クリープ変形の生じた変形部が形成される。なお,形成された変形部は,画像形成に伴って中間転写ベルトが回転することにより,やがて消滅する。
しかし,画像形成条件の補正を行うときには,消滅前の変形部が中間ベルトに存在することもある。そして,中間転写ベルトの変形部にテストパターンが担持されている場合,その変形部に担持されているテストパターンのセンサーの検出値には,ノイズが発生してしまうことがあった。すなわち,テストパターンを正確に検出することができないことにより,画像形成条件の適正な補正ができないことがあった。
そこで例えば,変形部に担持されたテストパターンの検出値にノイズが発生した場合には,これをノイズ補正によって除去することが考えられる。また例えば,特許文献1には,中間転写ベルトの変形部などの特徴点に,その特徴点をセンサーで検知できないようにするテストパターンを配置する画像形成装置が開示されている。これにより,特徴点の影響を受けずに画像形成条件の補正を行うことができるとされている。
特開2008−287153号公報
しかしながら,ノイズ補正後のテストパターンの検出値は,実際のテストパターンの状態を正確に検出したものであるとはいえない。このため,ノイズ補正後のテストパターンの検出値を用いては,信頼性の高い画像形成条件の補正を行うことができないという問題があった。
また上記の特許文献1では,中間転写ベルトの特徴点の位置に,その特徴点をセンサーで検知できないようにするテストパターンが配置できない場合には,特徴点と重ならないようにテストパターンを配置させている。すなわち,中間転写ベルトの特徴点を避けつつ,テストパターンを配置させている。このため,中間転写ベルト上におけるテストパターンの,中間転写ベルトの回転方向における先端から後端までの長さが,変形部を避けて配置した分,長くなってしまう。よって,画像形成条件の補正を行うための時間が長くかかってしまうという問題があった。
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点の解決を目的としてなされたものである。すなわちその課題とするところは,信頼性の高い画像形成条件の適正化を,短時間で行うことのできる画像形成装置を提供することである。
この課題の解決を目的としてなされた本発明の画像形成装置は,トナー像を形成する画像形成部と,画像形成部から転写されたトナー像を担持する中間転写ベルトと,中間転写ベルトのトナー像担持面上の位置を検出位置として,その検出位置の反射光強度を検出することにより,トナー像担持面上のトナー像の濃度の情報を取得する像濃度検出部とを有する画像形成装置であって,像濃度の低い低濃度区間と像濃度の高い高濃度区間とにより構成されたテストパターンを記憶するテストパターン記憶部と,中間転写ベルトに変形癖がついている箇所である変形部の,中間転写ベルトの周方向における位置を記憶している変形位置記憶部と,画像形成部にテストパターンを形成させ,そのテストパターンの中間転写ベルト上での像濃度を像濃度検出部によって検出させ,その検出値に基づいて画像形成部の画像形成条件を適正化する画像安定化制御部とを有し,画像安定化制御部は,画像形成条件を適正化するときには,テストパターンの低濃度区間を変形部に重ならないように形成させつつ,高濃度区間を変形部に重なるように形成させるテストパターンの組み換えを行うものであることを特徴とする画像形成装置である。
本発明の画像形成装置では,画像形成条件を適正化する際には,中間転写ベルトの変形部には,テストパターンの高濃度区間を配置させる。本発明者らは,トナーの付着量の多い高濃度のトナー像については,中間転写ベルトの変形部に担持されていたとしても,像濃度検出部によって検出される際にノイズが発生しないことを見出した。よって,ノイズ補正などを行う必要がないため,画像形成部の画像形成条件の適正化に係る信頼性を高くすることができる。また,テストパターンの低濃度区間については,中間転写ベルトの変形部以外の正常な部分に担持させることができるため,テストパターンの中間転写ベルトの回転方向における長さが長くなることはない。よって,画像形成条件の適正化を,短い時間で行うことができる。
また,上記に記載の画像形成装置において,画像安定化制御部は,変形位置記憶部が変形部の位置を記憶している場合には,テストパターンの組み換えを行うことにより画像形成条件の適正化を行い,変形位置記憶部が変形部の位置を記憶していない場合には,テストパターンの組み換えを行わずに画像形成条件の適正化を行うものであってもよい。変形部がない中間転写ベルトについては,テストパターンをどのように配置させたとしても,それを像濃度検出部によって適切に検出することができるからである。
また,上記に記載の画像形成装置において,高濃度区間は,画像形成部が形成することのできる最低の濃度段階から最高の濃度段階のうちの中央の濃度段階よりも少なくとも高い濃度段階であることとしてもよい。
また,上記に記載の画像形成装置において,変形位置記憶部は,中間転写ベルトをトナー像を担持させない状態で搬送させつつ,像濃度検出部による中間転写ベルトの検出位置における検出を行い,その検出値が変動する変動幅が,予め定めた変動幅についての閾値以上であった部分を,変形部として記憶するものであってもよい。中間転写ベルトの変形部については,トナーを担持させない状態で像濃度検出部によって検出した場合,その検出値の変動幅が大きくなる。一方,中間転写ベルトの変形部以外の正常な部分については,像濃度検出部により,変動幅の小さい安定した検出値を得ることができる。これにより,中間転写ベルトの変形部を,像濃度検出部を用いて検出することができるからである。
また,上記に記載の画像形成装置において,中間転写ベルトを支持するベルト支持部材を有し,変形位置記憶部は,中間転写ベルトが回転しない停止状態が継続したことにより,予め定めた変形部の形成条件が満たされた場合には,中間転写ベルトの支持部材によって支持されていることにより変形している変形領域に該当する部分を,変形部として記憶するものであってもよい。中間転写ベルトが回転しない停止時間,環境温度や環境湿度の条件により,変形領域に変形部が形成されたことを推定することができるからである。
また,上記に記載の画像形成装置において,変形位置記憶部は,記憶している中間転写ベルトの変形部が変形領域以外に位置する状態が継続したことにより,予め定めた変形部の回復条件が満たされた場合には、その変形部についての記憶を削除するものであってもよい。中間転写ベルトの変形部は,変形領域から外れることにより,正常な形状へと回復する。よって,その回復した変形部であった部分については,テストパターンの低濃度区間を配置させたとしても,それを像濃度検出部によって適切に検出することができるからである。
また,上記に記載の画像形成装置において,変形位置記憶部は,中間転写ベルトの周方向について,記憶している変形部の長さを,中間転写ベルトの回転しない停止状態の継続条件,および,記憶している中間転写ベルトの変形部が変形領域以外に位置する状態の継続条件に基づいて,変形領域の長さに予め定めた長さを加えた長さに補正するものであることが好ましい。例えば,変形部の中間転写ベルトの回転方向についての長さは,変形領域の長さと同じであるとは限らず,変形領域の長さよりも長いことがある。よって,そのような場合においても,画像形成条件の適正化に係る信頼性を高くすることができるからである。なお,変形部の中間転写ベルトの回転方向についての長さが,変形領域の長さよりも短い場合には,その短い分の長さをマイナスの値として加える補正を行うこともできる。
本発明によれば,信頼性の高い画像形成条件の適正化を,短時間で行うことのできる画像形成装置が提供されている。
本形態に係る画像形成装置の概略構成図である。 本形態に係る画像形成装置の制御構成の概略を示す図である。 従来の階調補正に係るテストパターンの配置の一例を説明するための図である。 従来の階調補正に係るテストパターンの配置における濃度センサーの検出値を示した図である。 本形態の階調補正に係るテストパターンの配置を示す図である。 中間転写ベルトの変形特性を示す図である 中間転写ベルトの回復特性を示す図である 濃度センサーの検出値の変動幅と高変動幅範囲との関係を示す図である。
以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,電子写真方式のプリンターにおいて本発明を具体化したものである。
図1に,本形態の画像形成装置1の概略構成を示す。画像形成装置1は,中間転写ベルト30を有する,いわゆるタンデム方式のカラープリンターである。中間転写ベルト30は導電性を有する無端状のベルト部材であり,弾性のある材料により構成されているものである。中間転写ベルト30は,その図1中両端部がローラー31,32によって支持されている。画像形成時には,図1中右側のローラー31が反時計回りに回転駆動される。これにより,中間転写ベルト30および図1中左側のローラー32が従動回転する。
また,図1に太い実線で示すように,中間転写ベルト30の,ローラー31,32によって支持されている領域をそれぞれ,変形領域R1,2とする。変形領域R1の中間転写ベルト30の回転方向における長さは,ローラー31の外径の円周の長さの半分の長さである。変形領域R2の中間転写ベルト30の回転方向における長さは,ローラー32の外径の円周の長さの半分の長さである。なお,本形態において,ローラー31,32の直径はいずれも同じである。このため,変形領域R1,2の中間転写ベルト30の回転方向における長さは,同じである。
中間転写ベルト30のうち,図1中右側のローラー31に支持されている部分の外周面には,2次転写ローラー40が設けられている。2次転写ローラー40と中間転写ベルト30の外周面とは接触しており,その接触している転写ニップN1により,2次転写領域が形成されている。
また,中間転写ベルト30のうち,図1中左側のローラー32に支持されている部分の外周面には,ベルトクリーナー41が設けられている。ベルトクリーナー41は中間転写ベルト30の外周面に圧接されており,その接触している部分により,転写残トナーを回収する回収領域42が形成されている。なお,ベルトクリーナー41は,後述するテスト用のトナー像の回収も行う。
中間転写ベルト30の図1中下部には左から右に向かって順に,イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の各色の画像形成部10Y,10M,10C,10Kが配置されている。画像形成部10Y,10M,10C,10Kはいずれも,各色のトナー像を中間転写ベルト30上に転写するためのものである。また,画像形成部10Y,10M,10C,10Kはいずれも,その構成は同じである。このため,図1では,画像形成部10Yによって代表して符号をつけている。
すなわち,画像形成部10Y,10M,10C,10Kは,円筒状の静電潜像担持体である感光体11,および,その周囲に配置された帯電器12,現像ユニット14,および感光体クリーナー16を有している。また,感光体11と中間転写ベルト30を挟んで対向する位置には,1次転写ローラー15が配置されている。
さらに,各色の画像形成部10Y,10M,10C,10Kの図1中下方には,露光装置13が配置されている。帯電器12は,感光体11の表面を均一に帯電させるためのものである。露光装置13は,画像データに基づいたレーザー光を感光体11の表面に照射させ、静電潜像を形成するためのものである。現像ユニット14は,現像ローラー18により,感光体11の表面にトナーを付与するためのものである。
中間転写ベルト30の図1中上方には,各色のトナーを収容したホッパー17Y,17M,17C,17Kが配置されている。これらに収容されている各色のトナーはそれぞれ,該当色の現像ユニット14へと適宜補給される。これにより,現像ユニット14内のトナー量は,良好な画像を形成することのできる正常な範囲内に保たれている。
中間転写ベルト30の回転方向における画像形成部10Kの下流側であって転写ニップN1の上流側の位置には,中間転写ベルト30上に転写されたトナー像の像濃度を検出するための濃度センサー20が設けられている。濃度センサー20は,中間転写ベルト30の外周面を検出位置としている。濃度センサー20は,例えば画像濃度の調整に用いられる,検出位置に向かって光を照射する投光部とその反射光を受光する受光部とを有するものである。濃度センサー20は,検出位置を通過するトナー像の濃度が低いときほど,高い検出値を出力するものである。
また図1では,帯電器12としてローラー形状をしたローラー帯電方式のものを示しているが,本発明はこれに限るものではない。コロナ放電方式の帯電チャージャー,ブレード状の帯電部材,またはブラシ状の帯電部材等を用いても良い。また,感光体クリーナー16として,板状でその一端部が感光体11の外周面に接触しているものを示しているが,本発明はこれに限るものではない。その他のクリーニング部材,例えば固定ブラシ,回転ブラシ,ローラーまたはそれらのうちの複数の部材を組み合わせたものを使用することができる。あるいは,感光体11上の未転写トナーを現像ユニット14により回収するクリーナーレス方式を採用すれば,感光体クリーナー16はなくてもよい。
また,画像形成装置1の下部には,着脱可能な給紙カセット51が装着されている。給紙カセット51の図1中右側より上方に向かっては,搬送経路50が設けられている。そして,給紙カセット51に積載により収容された用紙Sは,その最上部のものより1枚ずつ給紙ローラー52によって搬送経路50に送り出されるようになっている。
給紙ローラー52により送り出された用紙Sの搬送経路50には,1対のレジストローラー53,転写ニップN1,定着装置60,排紙ローラー54がこの順で配置されている。搬送経路50のさらに下流側である画像形成装置1の上面には,排紙部55が設けられている。レジストローラー53は,用紙Sを転写ニップN1へ送り出すタイミングを調整するためのものである。定着装置60は,定着ニップN2において,用紙Sを加熱しつつ加圧することにより,用紙Sに転写されたトナー像の定着処理を行うためのものである。
次に,本形態の画像形成装置1による,通常の画像形成動作の一例について簡単に説明する。以下の説明は,給紙カセット51に収容されている用紙Sに,4色のトナーを用いてカラー画像を形成するプリントモードにおける画像形成動作の一例である。
通常の画像形成時には,中間転写ベルト30および各色の感光体11はそれぞれ,図1に矢印で示す向きに所定の周速度で回転される。感光体11の外周面は,まず,帯電器12によりほぼ一様に帯電される。次に,帯電された感光体11の外周面には,露光装置13によって画像データに応じた光が投射され,静電潜像が形成される。続いて,静電潜像は現像ユニット14の現像ローラー18の回転により供給されるトナーによって現像され,感光体11上にはトナー像が形成される。
感光体11上に形成された各色のトナー像は,1次転写ローラー15によって中間転写ベルト30上に転写(1次転写)される。すなわち,中間転写ベルト30上には,イエロー,マゼンタ,シアン,ブラックのトナー像がこの順で重ね合わされる。中間転写ベルト30に転写されず,1次転写ローラー15を過ぎた後も感光体11上に残留している転写残トナーは,感光体クリーナー16によって掻き取られ,感光体11上から除去される。そして,重ね合わされた4色のトナー像は,中間転写ベルト30によって転写ニップN1に搬送される。
一方,給紙カセット51に収容されている用紙Sは,給紙ローラー52によって最上部のものから1枚ずつ搬送経路50に引き出される。引き出された用紙Sは,搬送経路50に沿って搬送され,レジストローラー53により,中間転写ベルト30に載置されたトナー像とタイミングを合わせて転写ニップN1に到達する。そして,転写ニップN1において,重ね合わされた4色のトナー像が用紙Sに転写(2次転写)される。
トナー像が転写された用紙Sは,さらに搬送経路50の下流側へと搬送される。すなわち,用紙Sは,定着装置60によってトナー像が定着された後,排紙ローラー54によって排紙部55に排出される。なお,転写ニップN1を通過した後も中間転写ベルト30上に残留するトナー像は,回収領域42において,ベルトクリーナー41によって掻き取られる。これにより,中間転写ベルト30上から除去される。
次に,本形態の画像形成装置1の制御構成の概略を図2に示す。画像形成装置1は,コントローラー部2と装置制御部3とを有している。コントローラー部2は,画像形成装置1の全体を制御するためのものである。例えば,ユーザーがパソコンにより入力した画像形成の指令を受信することにより,画像形成装置1には印刷ジョブが発生する。その印刷ジョブは,コントローラー部2により管理されている。また,コントローラー部2は,管理している印刷ジョブのデータを,画像形成装置1において画像を形成するためのデータに変換するための処理などを行う。その変換処理後のデータは,装置制御部3に送信される。
装置制御部3は,CPU4と記憶部5とを有している。記憶部5には,画像形成を実行するための各種のプログラムなどが記憶されている。また,画像形成部10における画像形成の条件の補正に用いるテスト用のトナー像のパターンであるテストパターンP,中間転写ベルト30の変形している部分の位置情報である変形部情報HIなどを記憶している。テストパターンPおよび変形部情報HIについては,後に詳述する。
CPU4は,記憶部5の読み出しや書き込み,各画像形成部10の動作などを制御するためのものである。そして,CPU4は,画像形成装置1において,コントローラー部2より受信した画像データの画像形成を,記憶部5に記憶されている情報に基づいて行う。このため,コントローラー部2とCPU4との間では,ドットカウンター値などの各種の情報がやりとりされる。また,後述する階調補正制御などの実行も行う。
ここで,画像形成装置1では,各画像形成部10によって形成されるトナー像におけるトナーの付着量は,画像形成条件が同じであっても,画像形成装置1の周囲の温度や湿度などの環境条件によって異なる。なお,画像形成部10の画像形成条件とは,帯電器12の帯電バイアス,露光装置13の露光光量および露光位置,現像ユニット14の現像ローラー18に印加される現像バイアスなどのことである。そして,各画像形成部10によって形成されるトナー像は,トナーの付着量が異なることによって濃度が異なるものとなる。
よって,画像形成装置1では,装置の環境条件が異なる状況においても,色味の再現性の高い画像を安定して形成するため,各画像形成部10の画像形成条件を適正化する階調補正が行われる。階調補正は,具体的には,まず,各画像形成部10において,記憶部5に記憶されているテストパターンPを形成する。次に,そのテストパターンPを,各画像形成部10から中間転写ベルト30上に転写させる。そして,中間転写ベルト30に転写させたテストパターンを濃度センサー20によって検出し,その検出値に基づいて,各画像形成部10の画像形成条件を適正化する補正を行う。
ここにおいて,まず,従来より行われている階調補正の一例について,図3により説明する。図3には,テストパターンPと,中間転写ベルト30の展開した状態とを示している。テストパターンPは,図3に示すように,イエロートナーのテストパターンPYと,マゼンタトナーのテストパターンPMと,シアントナーのテストパターンPCと,ブラックトナーのテストパターンPKとにより構成されている。
各色のテストパターンPY,PM,PC,PKはいずれも,図3の右側ほどトナーの付着量が多いものである。つまり,テストパターンPY,PM,PC,PKは,図3において右側を階調255/255の最高濃度とし,図中左側ほど濃度の低いものである。図3においては,例えばテストパターンPYについてはさらに,PY1,PY2,PY3,PY4の区間により示している。
なお,区間PY1,PY2,PY3,PY4は,これらの区間内において濃度が均一であることを示しているわけではなく,実際には各区間内においてもその図中左右方向について,右側ほど濃度の高い64段階の濃淡が存在する。この点,テストパターンPM,PC,PKについても同様である。また,このテストパターンPは,本形態の記憶部5に記憶されているものと同じものである。
図3の中間転写ベルト30は,無端状のものを展開しつつ連続して並べた状態を示している。つまり,実際の中間転写ベルト30の一周の長さである周長は,図3に示す長さLBである。また,図3に示す中間転写ベルト30の図中上面が,図1における外周側の面である。そして,図3に示す中間転写ベルト30には,図中上向きに突出した変形部H1,H2が存在する。
変形部H1,H2は,中間転写ベルト30に必ずしも存在するわけではなく,中間転写ベルト30が長時間,回転されない状態で放置された場合に形成されるものである。すなわち,変形部H1,H2は,中間転写ベルト30がローラー31,32によって同じ箇所を長時間支持されていることにより,その支持箇所がクリープ変形して変形癖のついた部分である。このため,変形部H1,H2は,図1に示す中間転写ベルト30のうち,変形領域R1,R2に該当する箇所に形成されたものである。なお,変形部H1,H2の中間転写ベルト30の回転方向における長さをいずれも,LHとする。
そして,従来の階調補正では,テストパターンPを中間転写ベルト30の表面に,例えば図3に示す位置関係となるように転写させる。そして,そのテストパターンPを濃度センサー20によって検出する。つまり,図3では,変形部H1上には,テストパターンPCの区間PC3,PC4の一部が担持される。変形部H2上には,テストパターンPYの区間PY3,PY4の一部が担持される。
また,図3のテストパターンPの濃度センサー20による検出値を図4に示す。前述したように,濃度センサー20は,検出するトナー像の濃度が低いときほど,高い検出値を出力する。よって,濃度センサー20の検出値は,テストパターンPの濃度の低い部分ほど,高い値となっている。
そして,図4に示すように,テストパターンPのうち,変形部H1,H2の位置に担持されたテストパターンPC,PYの箇所の濃度センサー20による検出値には,ノイズが発生している。よって,従来の階調補正では,そのノイズを除去するため,図4に破線で示すような検出値の補正を行っていることがあった。しかし,濃度センサー20の検出値に発生したノイズの補正を行うことにより,その補正後に得られるテストパターンPの検出値は,実際のテストパターンPの状態とは異なるおそれがある。このため,その補正後の検出値を用いた場合には,信頼性の高い階調補正が行われているとは言えない。
また,その他の従来の階調補正の例では,テストパターンPのすべてを,中間転写ベルト30の変形部H1,H2に重ならないように配置することがある。これにより,濃度センサー20の検出値には,ノイズが発生しないようにすることができるからである。しかし,テストパターンPを変形部H1,H2に重ならないように配置する方法では,テストパターンPを変形部H1,H2を回避して配置させた分,テストパターンPの中間転写ベルト30の回転方向における長さが長くなる。このため,階調補正に要する時間が長くかかってしまうという問題があった。
そこで,本形態では,変形部H1,H2の部分には,トナーの付着量が多く,濃度の高いテストパターンPの部分を配置する。すなわち,本発明者らは,トナーの付着量が多い高濃度のトナー像については,中間転写ベルト30の変形部H1,H2に担持されていた場合であっても,濃度センサー20によって検出される際にノイズが発生しないことを見出した。
そして具体的には,例えば図5に示すように,テストパターンPのうち最も高濃度の区間,つまり,区間PY1,PM1,PC1,PK1が変形部H1,H2に重なるように配置する。そのため,CPU4は,記憶部5のテストパターンPが,図5に示すような配置となるように組み換えを行う。そして,各画像形成部10には,その組み換え後のテストパターンPを形成させる。
なお,本形態の濃度センサー20であれば,256階調のうち階調128/255以上の濃度のトナー像については,変形部H1,H2の影響をほぼ受けることなく信頼性の高い検出値を得ることができる。よって,変形部H1,H2には,テストパターンPのうちの区間PY2,PM2,PC2,PK2が重なるように配置してもよい。このため,本形態では,テストパターンPの階調128/255以上の濃度の区間を高濃度の区間とし,階調128/255未満の濃度の区間を低濃度の区間とする。
CPU4は,中間転写ベルト30が回転したときの変形部H1,H2の位置を,記憶部5の変形部情報HIを基に把握している。中間転写ベルト30の周長や回転速度などは設計上,既知だからである。なお,変形部情報HIは,前述したように,変形部H1,H2の中間転写ベルト30の上の位置情報である。これにより,テストパターンPのうちの高濃度の区間を,中間転写ベルト30の変形部H1,H2上に重ねることができる。
そして,図5に示すように,テストパターンPの高濃度の区間を変形部H1,H2に重ねて配置させ,それを濃度センサー20によって検出することにより,ノイズのない検出値を得ることができる。よって,濃度センサー20の検出値の補正を行うことなく,信頼性の高い階調補正を行うことができる。
また,テストパターンPの低濃度の区間については,変形部H1,H2以外の正常な部分に配置させることができる。これにより,テストパターンPを変形部H1,H2を回避して配置する必要がないため,テストパターンPの中間転写ベルト30の回転方向における長さが長くなることはない。よって,階調補正に要する時間についても,長くなることはない。
また,本形態の変形部情報HIは,例えば,濃度センサー20によって変形部の検出を行い,検出された変形部H1,H2を記憶させたものである。すなわち,トナーが付着していない状態の中間転写ベルト30を回転させつつ濃度センサー20による検出を行った場合,変形部H1,H2の部分については,濃度センサー20の検出値が大きく変動する。この濃度センサー20の検出値の変動が大きいことにより,その部分にテストパターンPの低濃度の区間が担持された場合には,濃度センサー20の検出値にノイズが発生するのである。
一方,トナーが付着していない状態の中間転写ベルト30の変形部H1,H2以外の正常な部分については,濃度センサー20の検出値の変動が小さく,ある程度の安定した検出値を得ることができる。なお,その濃度センサー20の検出値の変動が小さい部分では,テストパターンPの低濃度の区間を担持させた場合についても,濃度センサー20による信頼性の高い検出値を得ることができる。濃度センサー20の検出値の変動が小さい中間転写ベルト30の部分は,変形部H1,H2ではない正常な部分だからである。
よって,濃度センサー20の検出値が変動する変動幅について予め閾値を定めておく。そして,トナーが付着していない状態の中間転写ベルト30を回転により検出位置を通過せつつ濃度センサー20による検出を行い,その検出値の変動幅がその閾値以上の部分を,変形部H1,H2として記憶部5の変形部情報HIに記憶させることができる。
濃度センサー20による変形部の検出は,例えば,予め定めた時間毎に行うことができる。また,例えば画像形成装置1の電源が投入されたときなど,予め定めた状況において行うこととしてもよい。
また,画像形成装置1では,その画像形成後の中間転写ベルト30の停止位置は,毎回同じであるとは限らない。このため,中間転写ベルト30には,複数の変形部H1,H2の組み合わせが存在することがある。よって,濃度センサー20による変形部の検出により複数の変形部H1,H2が検出された場合には,それらをすべて,記憶部5の変形部情報HIに記憶させておけばよい。そして,複数ある変形部H1,H2の位置にはテストパターンPの高濃度の区間を配置し,複数ある変形部H1,H2以外の正常な部分にはテストパターンPの低濃度の区間を配置すればよい。
また前述したように,中間転写ベルト30は弾性材料により構成されている。このため,変形部H1,H2は,形成された後,中間転写ベルト30の回転に伴って元の正常な形状に戻ることとなる。また,画像形成装置1では,中間転写ベルト30は,その回転後に毎回,必ず同じ位置で停止するわけではない。このため,変形部H1,H2は,中間転写ベルト30が回転した後に停止することにより,変形領域R1,R2以外に位置することがある。そして,変形領域R1,R2以外に位置している変形部H1,H2についても同様に,元の正常な形状に戻ることとなる。すなわち,変形部H1,H2に係る変形癖は,中間転写ベルト30が回転することによって変形領域R1,R2から外れることにより,クリープ変形した状態から正常な状態へと回復するのである。
そして,クリープ変形から回復することにより,濃度センサー20による検出値の変動幅がその閾値未満となった変形部H1,H2の部分については,濃度センサー20による変形部の検出において,変形部として検出されることはない。なお,クリープ変形から回復した変形部H1,H2であった部分には,テストパターンPの低濃度の区間を担持させたとしても,濃度センサー20による信頼性の高い検出値を得ることができる。クリープ変形から回復することにより,正常な部分となっているからである。
よって,記憶部5の変形部情報HIは,濃度センサー20による変形部の検出毎に,更新することが好ましい。変形部H1,H2が複数ある場合,さらには,変形部H1,H2がクリープ変形から回復した場合においても,最も新しい変形部情報HIを用いることにより,信頼性の高い階調補正を行うことができるからである。
また,変形部情報HIは,長時間放置された場合に変形領域R1,R2に位置する中間転写ベルト30の部分を,変形部H1,H2として記憶部5に記憶させたものであってもよい。本発明者らの調査によれば,中間転写ベルト30の変形領域R1,R2における変形特性は,図6に示すような傾向にあることが分かった。
図6において,横軸は,中間転写ベルト30が回転しない画像形成装置1の放置時間を示している。縦軸は,中間転写ベルト30の変形部H1,H2の,トナー像を担持していない状態での濃度センサー20による検出値の変動幅を示している。なお,縦軸の濃度センサー20による検出値の変動幅は,変形部H1,H2のうち,最も変動幅の大きい最大値により示している。さらに,図6には,中間転写ベルト30の変形特性を,高温高湿度環境(HH),常温常湿度環境(NN),低温低湿度環境(LL)ごとに示している。また縦軸には,濃度センサー20の検出値の変動幅についての閾値Tを示している。
そして,図6より,中間転写ベルト30が回転しない放置時間が長いほど,濃度センサー20の検出値の変動幅は大きくなる傾向にあることがわかる。さらには,低温低湿度環境(LL),常温常湿度環境(NN),高温高湿度環境(HH)の順に,すなわち,画像形成装置1の環境温度および環境湿度が高いほど,濃度センサー20の検出値の変動幅は大きくなる傾向にあることがわかる。
よって,記憶部5には,図6に示す中間転写ベルト30の変形特性を記憶させておく。そして,その変形特性に基づいて,CPU4は,変形領域R1,R2に位置する中間転写ベルト30の部分を,変形部H1,H2として記憶部5の変形部情報HIに記憶させることができる。
具体的には,画像形成装置1の放置時間,環境温度および環境湿度より,濃度センサー20の検出値の変動幅が閾値T以上となる条件であると判断した場合に,変形領域R1,R2に位置する中間転写ベルト30の部分を変形部H1,H2として記憶部5の変形部情報HIに記憶させる。すなわち,中間転写ベルト30の停止状態の継続条件が,濃度センサー20の検出値の変動幅が閾値T以上となる変形部H1,H2の形成条件を満たした場合に,中間転写ベルト30の変形領域R1,R2の部分を,変形部H1,H2として変形部情報HIに記憶させる。なお,中間転写ベルト30の停止状態の継続条件が,中間転写ベルト30の変形領域R1,R2の部分についての濃度センサー20の検出値の変動幅が閾値T未満の条件である場合には,その部分が変形部H1,H2として記憶部5の変形部情報HIに記憶されることはない。
一方,前述したように,変形部H1,H2は,中間転写ベルト30が回転することによって変形領域R1,R2から外れることにより,クリープ変形した状態から正常な状態へと回復する。その変形部H1,H2の回復特性を図7に示す。
図7において,横軸は,変形部H1,H2が変形領域R1,R2から外れてからの経過時間を示している。縦軸は,中間転写ベルト30の変形部H1,H2の,トナー像を担持していない状態での濃度センサー20による検出値の変動幅を示している。図7においても,縦軸の濃度センサー20による検出値の変動幅は,変形部H1,H2のうち,最も変動幅の大きい最大値により示している。さらに,図8においても,中間転写ベルト30の回復特性を,高温高湿度環境(HH),常温常湿度環境(NN),低温低湿度環境(LL)ごとに示している。また図7の縦軸にも,濃度センサー20の検出値の変動幅についての閾値Tを示している。
図7より,濃度センサー20の検出値の変動幅は,変形部H1,H2が変形領域R1,R2から外れてからの経過時間が長いほど,小さくなる傾向にあることがわかる。さらには,高温高湿度環境(HH),常温常湿度環境(NN),低温低湿度環境(LL)の順に,すなわち,画像形成装置1の環境温度および環境湿度が低いほど,濃度センサー20の検出値の変動幅は小さくなる傾向にあることがわかる。さらには,濃度センサー20の検出値の変動幅が大きい変形部H1,H2ほど,その回復に長い時間を要することがわかる。
よって,記憶部5には,図7に示す中間転写ベルト30の回復特性を記憶させておく。そして,その回復特性に基づいて,CPU4には,記憶部5の変形部情報HIに記憶されている変形部H1,H2の情報を削除させることができる。
具体的には,変形部H1,H2が変形領域R1,R2から外れてからの経過時間,環境温度および環境湿度より,その変形部H1,H2の濃度センサー20による検出値の変動幅が閾値T未満になる条件であると判断した場合に,これらを変形部情報HIから削除する。すなわち,変形部H1,H2が変形領域R1,R2以外に位置する状態の継続条件が,濃度センサー20の検出値の変動幅が閾値T未満になる変形部H1,H2の回復条件を満たした場合に,その変形部H1,H2についての記憶を変形部情報HIから削除する。
さらには,変形部H1,H2の長さLHは,常に一定であるとは限らない。例えば,画像形成装置1の放置時間が長いほど,形成される変形部H1,H2の長さLHは長くなる傾向にある。このため,変形部H1,H2の長さLHは,必ずしも変形領域R1,R2の長さと同じであるとは限らない。また,中間転写ベルト30の回転方向について,変形部H1,H2における濃度センサー20の検出値の変動幅が大きい範囲は,実際の変形部H1,H2の長さLHと同じであるとは限らない。
図8に,変形部H1,H2における濃度センサー20の検出値の変動幅と,高変動幅範囲との関係を示す。縦軸の濃度センサー20による検出値の変動幅は,変形部H1,H2のうち,最も変動幅の大きい最大値により示している。横軸の高変動幅範囲は,変形部H1,H2における濃度センサー20の検出値の変動幅が,閾値T以上となる中間転写ベルト30の回転方向についての範囲である。
図8より,縦軸に示す濃度センサー20の検出値の変動幅が大きいほど,横軸に示す高変動幅範囲は長くなることがわかる。その要因として,濃度センサー20の検出値の変動幅が大きい変形部H1,H2ほど,その長さLHが長いものであるということが挙げられる。また,濃度センサー20の検出値の変動幅が大きく,長さLHが長い変形部H1,H2ほど,中間転写ベルト30の回転に伴って大きく振動することとなる。このため,変形部H1,H2の実際の長さLHよりも,濃度センサー20の検出する高変動幅範囲が長くなってしまうことが考えられる。
また,図8の横軸には,変形領域R1,R2の長さを示している。なお,高変動幅範囲が変形領域R1,R2の長さと同じ長さであるときの濃度センサー20の検出値の変動幅を,図8の縦軸に,変動幅Bとして示している。これより,高変動幅範囲は,濃度センサー20の検出値の変動幅によって,変形領域R1,R2の長さとは異なることがあることがわかる。すなわち,高変動幅範囲は,画像形成装置1の放置時間や変形領域R1,R2から外れてからの経過時間,さらには環境温度や環境湿度などの条件により,変形領域R1,R2の長さとは異なることがあることがわかる。
よって,記憶部5には,図6の変形特性および図7の回復特性とともに,図8の濃度センサー20の検出値の変動幅と高変動幅範囲との関係についても記憶させておくことが好ましい。変形部情報HIには,高変動幅範囲を変形部H1,H2として記憶させておくことにより,高変動幅範囲と変形領域R1,R2の長さとが異なる場合においても,信頼性の高い階調補正を行うことができるからである。
すなわち,変形特性(図6)により変形部H1,H2の形成条件が満たされた場合には,中間転写ベルト30の変形領域R1,R2の部分を変形部H1,H2として変形部情報HIに記憶させる。その後,実際に中間転写ベルト30が回転を始めたときの放置時間とその間の環境温度および環境湿度との条件に基づいて,変形特性(図6)の縦軸に示す濃度センサー20の検出値の変動幅を求める。求めた濃度センサー20の検出値の変動幅より,図8に基づいて,変形部情報HIに記憶した変形部H1,H2の補正を行えばよい。
具体的には,例えば,求めた濃度センサー20の検出値の変動幅が図8の縦軸に示す変動幅Bよりも大きい場合には,変形領域R1,R2よりも高変動幅範囲が長いこととなる。この場合には,その高変動幅範囲が変形領域R1,R2よりも長い分の長さを,変形部情報HIに記憶している変形部H1,H2に加える補正を行う。
なお,求めた濃度センサー20の検出値の変動幅が図8の縦軸に示す変動幅Bよりも小さい場合には当然,その高変動幅範囲が変形領域R1,R2よりも短い分の長さを,変形部情報HIに記憶した変形部H1,H2より減ずる補正を行う。この場合について換言すれば,変形部情報HIに記憶している変形部H1,H2に,高変動幅範囲が変形領域R1,R2よりも短い分の長さをマイナスの値として加える補正を行っていることとなる。
また,回復特性(図7)により,変形部情報HIに記憶した変形部H1,H2の,回復特性(図7)の縦軸に示す濃度センサー20の検出値の変動幅が小さくなることもある。そのときには,その濃度センサー20の検出値の変動幅より,図8の高変動幅範囲を求める。そして,その高変動幅範囲が変形部情報HIに記憶している変形部H1,H2よりも短い分の長さを,変形部情報HIに記憶している変形部H1,H2より減ずる補正を行うこともできる。この場合についても換言すれば,変形部情報HIに記憶している変形部H1,H2に,これが図8より求めた高変動幅範囲よりも短い分の長さを,マイナスの値として加える補正を行っていることとなる。
そして,階調制御においては,変形部情報HIに記憶している上記の補正後の変形部H1,H2について,テストパターンPの高濃度の区間を配置するようにすればよい。これにより,例えば,変形部H1,H2の高変動幅範囲が変形領域R1,R2の長さよりも長い場合であっても,信頼性の高い階調補正を行うことができるからである。
また,前述したように,画像形成装置1では,その画像形成後の中間転写ベルト30の停止位置が毎回異なることにより,中間転写ベルト30には,複数の変形部H1,H2の組み合わせが存在することがある。よって,変形特性(図6)および回復特性(図7)より変形部H1,H2の組み合わせが複数あると判断される場合には,それらをすべて,記憶部5の変形部情報HIに記憶させておけばよい。そして,複数ある変形部H1,H2の位置にはテストパターンPの高濃度の区間を配置し,変形部H1,H2以外の中間転写ベルト30の正常な部分にはテストパターンPの低濃度の区間を配置すればよい。
以上詳細に説明したように,本発明の画像形成装置1は,テストパターンPと変形部情報HIとを記憶する記憶部5を有する。そして,各画像形成部10の画像形成条件を適正化するための階調補正を行う際には,記憶部5に記憶されている変形部情報HIに基づいて,テストパターンPの組み換えを行う。すなわち,変形部情報HIに記憶されている中間転写ベルト30の変形部H1,H2には,テストパターンPの高濃度の区間を配置させる。これにより,変形部H1,H2に係る濃度センサー20の検出値にはノイズが発生することがなく,信頼性の高い階調補正を行うことができる。また,中間転写ベルト30の正常な部分にはテストパターンPの低濃度の区間を配置させることにより,短時間で階調補正を完了させることができる。
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。従って本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,本発明はカラープリンターに限らず,モノクロプリンターにも適用可能である。また,公衆回線経由で印刷ジョブの送受信を行うような画像形成装置などにも適用可能である。
1…画像形成装置
3…装置制御部
4…CPU
5…記憶部
10Y,10M,10C,10K…画像形成部
20…濃度センサー
30…中間転写ベルト
80…装置制御部
P…テストパターン
HI…変形部情報
H1,H2…変形部

Claims (7)

  1. トナー像を形成する画像形成部と,
    前記画像形成部から転写されたトナー像を担持する中間転写ベルトと,
    前記中間転写ベルトのトナー像担持面上の位置を検出位置として,その検出位置の反射光強度を検出することにより,トナー像担持面上のトナー像の濃度の情報を取得する像濃度検出部とを有する画像形成装置において,
    像濃度の低い低濃度区間と像濃度の高い高濃度区間とにより構成されたテストパターンを記憶するテストパターン記憶部と,
    前記中間転写ベルトに変形癖がついている箇所である変形部の,前記中間転写ベルトの周方向における位置を記憶している変形位置記憶部と,
    前記画像形成部に前記テストパターンを形成させ,そのテストパターンの中間転写ベルト上での像濃度を前記像濃度検出部によって検出させ,その検出値に基づいて前記画像形成部の画像形成条件を適正化する画像安定化制御部とを有し,
    前記画像安定化制御部は,前記画像形成条件を適正化するときには,
    前記テストパターンの前記低濃度区間を変形部に重ならないように形成させつつ,前記高濃度区間を変形部に重なるように形成させるテストパターンの組み換えを行うものであることを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1に記載の画像形成装置において,
    前記画像安定化制御部は,
    前記変形位置記憶部が変形部の位置を記憶している場合には,前記テストパターンの組み換えを行うことにより前記画像形成条件の適正化を行い,
    前記変形位置記憶部が変形部の位置を記憶していない場合には,前記テストパターンの組み換えを行わずに前記画像形成条件の適正化を行うものであることを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の画像形成装置において,
    前記高濃度区間は,前記画像形成部が形成することのできる最低の濃度段階から最高の濃度段階のうちの中央の濃度段階よりも少なくとも高い濃度段階であることを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像形成装置において,
    前記変形位置記憶部は,
    前記中間転写ベルトをトナー像を担持させない状態で搬送させつつ,前記像濃度検出部による前記中間転写ベルトの検出位置における検出を行い,その検出値が変動する変動幅が,予め定めた変動幅についての閾値以上であった部分を,変形部として記憶するものであることを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれかに記載の画像形成装置において,
    前記中間転写ベルトを支持するベルト支持部材を有し,
    前記変形位置記憶部は,
    前記中間転写ベルトが回転しない停止状態が継続したことにより,予め定めた変形部の形成条件が満たされた場合には,前記中間転写ベルトの前記支持部材によって支持されていることにより変形している変形領域に該当する部分を,変形部として記憶するものであることを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項5に記載の画像形成装置において,
    前記変形位置記憶部は,
    記憶している前記中間転写ベルトの変形部が前記変形領域以外に位置する状態が継続したことにより,予め定めた変形部の回復条件が満たされた場合には、その変形部についての記憶を削除するものであることを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項5または請求項6に記載の画像形成装置において,
    前記変形位置記憶部は,
    前記中間転写ベルトの周方向について,記憶している変形部の長さを,前記中間転写ベルトの回転しない停止状態の継続条件,および,記憶している前記中間転写ベルトの変形部が前記変形領域以外に位置する状態の継続条件に基づいて,前記変形領域の長さに予め定めた長さを加えた長さに補正するものであることを特徴とする画像形成装置。
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