JP2014119058A - 液化ガス用輸送容器、及び輻射シールドの冷却方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】液化ガス1を収納する内槽101及び外槽102の二重殻構造で真空断熱とし、かつ内槽を輻射シールド110で覆い、輻射シールドへの液体窒素2の供給を管理する圧力管理機構130を有する液化ガス用輸送容器100であって、圧力管理機構は、液体窒素タンク120の上部及び底部と接続され、液体窒素タンクの上記底部の圧力P2を一定に維持するために、液体窒素タンクの上記上部の圧力P1を自動的に調整することで輻射シールドの冷却状態を一定に維持し、液体窒素タンクから輻射シールドへ液体窒素を安定的に供給する。
【選択図】図1
Description
また、このような液化ガス貯蔵容器を輸送容器として用いる場合、例えばコンテナによる陸上輸送用の輸送容器では、より断熱性能を上げるため、上述の構造に、さらに輻射シールドを冷却するためのシステムを内外槽間に追加した構造を有する。
本発明は、可燃性液化ガス用輸送容器にも適用可能なように電気を必要とせずに制御するもので、従来に比べて簡素な構造を有しより確実に動作可能な、輻射シールド用冷却システムを備えた液化ガス用輸送容器、及び輻射シールドの冷却方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明の第1態様における液化ガス用輸送容器は、液化ガスを収納する内槽、及び外槽の二重殻構造で、内外槽間領域を真空断熱とし、かつ輻射シールドで内槽外側が覆われる、液化ガス用輸送容器であって、上記内外槽間領域に設けられ、上記輻射シールドへ液体窒素を供給する輻射シールド冷却システムをさらに備え、この輻射シールド冷却システムは、上記液体窒素を貯蔵し、鉛直方向における底部にて上記輻射シールドと連通する液体窒素タンクと、この液体窒素タンクから上記輻射シールドへ液体窒素を供給する圧力管理機構と、を備え、この圧力管理機構は、上記液体窒素タンクの鉛直方向における上部及び上記底部と接続され、液体窒素タンクの上記底部の圧力を一定に維持するために、液体窒素タンクの上記上部の圧力を自動的に調整することで、上記液体窒素タンクから上記輻射シールドへ液体窒素を供給することを特徴とする。
図1は、本実施の形態における液化ガス用輸送容器100の概略構成を示している。この液化ガス用輸送容器100は、液化ガス1として例えば液体ヘリウム、液体水素、液化天然ガス(LNG)等を船舶等で輸送する際に使用する容器である。
このような液化ガス用輸送容器100は、輸送される液化ガス1への断熱を図るため、液化ガス1を貯蔵する金属製の内槽101、及びこの内槽101を包囲する金属製の外槽102の二重構造であり、内外槽間領域103を真空断熱とした構造である。内槽101は、軸ロッド104及び吊ロッド105を介して外槽102内に支持される。外槽102は、図示しない鋼製のフレーム内に固定される。
尚、内槽101は約2.5mの直径で、その容量としては、一例として約40m3であり、液化ガス用輸送容器100の全長は約12mである。また、内外槽間領域103は、真空引きされた後、封じ切りで真空状態に維持される。
本出願において、輻射シールド冷却システム140による輻射シールド110への液体窒素2の「供給」とは、輻射シールド110での液体窒素2の蒸発量に見合う程度の液体窒素量を「補給」するという意味である。
尚、輻射シールド冷却システム140も軸ロッド104あるいは吊ロッド105等によって支持されて内外槽間領域103に設置される。
液体窒素タンク120は、鉛直方向3におけるタンクの底部122にて輻射シールド110の冷却管112と連通する。尚、液体窒素タンク120の容量は、輸送される液化ガス1の輸送期間に依存する。このような液体窒素タンク120及び冷却管112には、内槽101に液化ガス1が供給される前に、外槽102の外側に設けた液体窒素ボンベ108から液体窒素2が供給される。
したがって、内槽101内の液化ガス1への入熱を効果的に遮断し、つまり内槽1への入熱による液化ガス1の蒸発量を最低にし、かつ如何に液体窒素2の消費を抑制するかが重要事項となる。
また、液化ガス1が可燃性である場合、安全上、着火源となる電気関連部品は、圧力管理機構130には一切使用できない。
例えば、十分に輻射シールド110が冷却された状態で液体窒素タンク120の圧力が開放されていれば、液体窒素タンク120の液面と輻射シールド110の配管内の液面とは等しい。この初期の液面高さにおける底部圧力P2を維持するようにすれば、液体窒素タンク120の液面が下がっても輻射シールド110では常に初期の液面が保たれることになる。また、上部圧力P1を増加させ、それによって底部圧力P2を高めて液体窒素2の供給量を増やすことも可能で、この底部圧力P2を一定に保つことで、液体窒素2の供給量を一定に維持することができる。
以下に、このような圧力管理機構130の具体的構成について説明する。
第1室131は、金属製の空胴体で構成され、その内部には導管131dを介して液体窒素タンク120の上部圧力P1が窒素ガス状態で作用する。第2室132は、第1室131とは隔壁131cで隔離された空間である第3室138内に配置され、金属製の空胴体で構成される。第2室132の内部には、導管132bを介して液体窒素タンク120の底部圧力P2が作用する。さらに第2室132の一側壁は、底部圧力P2に対抗して変位可能な金属製の変位壁132aで構成する。本実施の形態では、この変位壁132aとして金属製のダイヤフラムを用いる。
このような構成によって弁機構133は、変位壁132aの変位に対応して弁棒133aが変位方向133cに移動して、弁体133bが流路用開口131bの開閉を行う。尚、図2から図5に示す弁機構133は、構成の概念を図示しており、実際の構成とは異なる場合がある。また、上述のような弁機能を果たす限り図示する弁機構133の構成に限定されない。
既に説明したように、液化ガス用輸送容器100における内外槽間領域103は、真空状態にされており、内槽101に液化ガス1が充填される前に、図6のステップS101では、外部の液体窒素ボンベ108から液体窒素タンク120内に液体窒素2が充填される。このとき、輻射シールド110の冷却管112に接続した排出弁113を開いておき、冷却管112内にも液体窒素2を充填する。液体窒素充填後、液体窒素タンク120は閉止される。
よって、液体窒素タンク120の上部圧力P1、つまり液体窒素タンク120の底部圧力P2を規定値に維持することが可能となり、輻射シールド110における液体窒素2の蒸発量に見合った液体窒素2が液体窒素タンク120から輻射シールド110へ供給可能となる。その結果、輻射シールド110が安定して冷却され、内槽1への入熱による液化ガス1の蒸発量を最低にした状態で、かつ液体窒素2の消費も最低とすることが可能になる。また、圧力管理機構130において電気的制御を使用することなく自動的に液体窒素の供給量を制御することができる。
このように本実施形態の液化ガス用輸送容器100によれば、圧力管理機構130を備えることで、従来に比べて簡素な構造を有しより確実に動作可能な状態で、液化ガス1の輸送が可能となる。
図5を参照して、実施の形態2における液化ガス用輸送容器100−2について説明する。
液化ガス用輸送容器100−2は、上述した液化ガス用輸送容器100と比べて、圧力管理機構130の第2室132の構成を異にするのみである。したがって以下では、圧力管理機構の第2室を中心に説明を行い、同じ構成部分についてここでの説明は省略する。尚、液化ガス用輸送容器100−2において、図5に示すように、圧力管理機構130−2、及び第2室132−2とそれぞれ符番する。
この開放動作により、第1室131内の上部圧力P1は低下し、同時に底部圧力P2も低下する(図6のステップS106)。これにより再び対抗力Fbが底部圧力P2に変位壁132aの面積を乗じた力を超え、変位壁137は、自身の対抗力Fbの作用方向へ移動する。よって、弁棒133aを介して弁体133bは流路用開口131bを閉じ(図6のステップS107)、第1室131からの上部圧力P1の放出は停止する。
100,100−2…液化ガス用輸送容器、101…内槽、102…外槽、
103…内外槽間領域、110…輻射シールド、120…液体窒素タンク、
121…上部、122…底部、130,130−2…圧力管理機構、
131…第1室、132…第2室、132a…変位壁、133…弁機構、
134…付勢部材、134−1…磁石、134−2…ゴム材、135…調節機構、
136…ベローズ、138…第3室、140…輻射シールド冷却システム。
Claims (11)
- 液化ガスを収納する内槽、及び外槽の二重殻構造で、内外槽間領域を真空断熱とし、かつ輻射シールドで内槽外側が覆われる、液化ガス用輸送容器であって、
上記内外槽間領域に設けられ、上記輻射シールドへ液体窒素を供給する輻射シールド冷却システムをさらに備え、
この輻射シールド冷却システムは、
上記液体窒素を貯蔵し、鉛直方向における底部にて上記輻射シールドと連通する液体窒素タンクと、
この液体窒素タンクから上記輻射シールドへ液体窒素を供給する圧力管理機構と、を備え、
この圧力管理機構は、上記液体窒素タンクの鉛直方向における上部及び上記底部と接続され、液体窒素タンクの上記底部の圧力を一定に維持するために、液体窒素タンクの上記上部の圧力を自動的に調整することで、上記液体窒素タンクから上記輻射シールドへ液体窒素を供給する、
ことを特徴とする液化ガス用輸送容器。 - 上記圧力管理機構は、上記底部圧力に基づく力が所定の対抗力を超えた状態では上記上部圧力を大気へ開放し、一方、上記底部圧力に基づく力が所定の対抗力以下の状態では上記上部圧力を大気へ非開放とする機構である、請求項1に記載の液化ガス用輸送容器。
- 上記圧力管理機構は、上記上部圧力が作用する第1室と、上記下部圧力が作用することによって変位可能な変位壁を有する第2室と、上記変位壁の変位に対応して上部圧力の大気への開放を行う弁機構とを有し、
上記対抗力は上記変位壁の変位を抑制する力であり、上記変位壁は、上記底部圧力に上記変位壁の面積を乗じた力が上記対抗力を超えた状態で変位する、請求項2に記載の液化ガス用輸送容器。 - 上記圧力管理機構は、さらに、上記対抗力を変更する調節機構を有する、請求項2又は3に記載の液化ガス用輸送容器。
- 上記第2室は胴体にベローズを有し、上記変位壁は、ベローズを介して接続され、上記底部圧力に上記変位壁の面積を乗じた力がベローズ自体の対抗力を超えた状態で変位する、請求項3又は4に記載の液化ガス用輸送容器。
- 上記第2室の変位壁は、金属製ダイヤフラムで形成され、
上記圧力管理機構は、上記第1室内に取り付けた付勢部材をさらに有し、この付勢部材は、上記金属製ダイヤフラム上に配置されることにより上記対抗力を発生する、請求項3又は4に記載の液化ガス用輸送容器。 - 上記付勢部材は、弾性体である、請求項6に記載の液化ガス用輸送容器。
- 上記付勢部材は、磁石である、請求項6に記載の液化ガス用輸送容器。
- 上記弾性体は、バネである、請求項7に記載の液化ガス用輸送容器。
- 上記弾性体は、ゴム材である、請求項7に記載の液化ガス用輸送容器。
- 液化ガスを収納する内槽、及び外槽の二重殻構造で、内外槽間領域を真空断熱とし、かつ輻射シールドで内槽外側が覆われ、さらに、上記内外槽間領域に設けられ、上記輻射シールドへ液体窒素を供給する輻射シールド冷却システムを備えた液化ガス用輸送容器における上記輻射シールドの冷却方法であって、
上記輻射シールド冷却システムは、上記液体窒素を貯蔵する液体窒素タンクと、この液体窒素タンクから上記輻射シールドへ液体窒素を供給する圧力管理機構とを有し、
上記液体窒素タンクの鉛直方向における底部の圧力に基づく力が、上記圧力管理機構によって付与される所定の対抗力を超えた状態では上部圧力を大気へ開放し、
一方、上記底部の圧力に基づく力が、上記対抗力以下の状態では上部圧力を大気へ非開放として、
上記底部圧力が一定に維持されるように上部圧力を調整することで上記液体窒素タンクから上記輻射シールドへ液体窒素を供給して輻射シールドの冷却を行う、
ことを特徴とする、液化ガス用輸送容器における輻射シールドの冷却方法。
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