JP2017186018A - 低温液体貯蔵用タンク - Google Patents

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Abstract

【課題】液化水素のような超低温の液体を万kLオーダーの大量であっても好適に貯蔵することが可能な低温液体貯蔵用タンクを提供する。【解決手段】低温液体を貯蔵する内槽2と、内槽2を囲繞して内包するように配設される外槽3と、内槽2と外槽3の間に設けられる真空断熱層4とを備え、且つ、真空断熱層4の中間部に板状の輻射シールド材5を配設して構成する。【選択図】図2

Description

本発明は、液化水素などの低温液体の貯蔵に用いられる低温液体貯蔵用タンクに関する。
従来、液化天然ガス(LNG)、液化石油ガス(LPG)等の低温液体を貯蔵するためのタンクとして、内槽と外槽を有する二重殻構造のタンクが用いられている。
また、この種のタンクは、例えば、コンクリート製の基礎版と、基礎版上に設置される金属製の内槽(貯槽)及び外槽と、内槽と外層の間に充填されて保冷機能、断熱機能を発揮するウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォーム、パーライトなどの保冷材(断熱材)とを備えて構成されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2014−194256号公報
一方、従来の化石燃料と異なり、様々な原料から大量に製造可能であるとともに、燃焼時に水しか発生せず温室効果ガスを全く排出しない究極のクリーン性能を実現できるため、水素をエネルギー源として発電等に利用することが注目されている。
そして、水素発電等を実用化する上で、今後、LNGやLPGの貯蔵タンクのような万kLオーダーの大型の液化水素用の貯蔵タンクが必要になるが、−253℃の超低温の液化水素を従来の貯蔵タンクにそのまま貯蔵することは難しい。
このため、超低温の液化水素を万kLオーダーで大量に貯蔵できるタンクが強く求められている。
また、低温液体を確実に保温して貯蔵するために、内槽と外槽の間に真空断熱層を設け、さらに真空断熱層に粉末状又は固体状の輻射シールド材を充填して構成したタンクもある。
このように真空断熱層を設けることによって熱伝達がほぼ生じない状態にすることが可能になる。また、低温液体を貯蔵する場合には、内槽の鋼板に原子/分子レベルの振動が生じ、この振動に伴う輻射(電磁波)によって熱伝達が生じるが、真空断熱層に粉末状又は固体状の輻射シールド材を充填することで輻射による熱伝達を抑止することが可能になる。
しかしながら、液化水素のような超低温の液体を貯蔵する場合には、粉末状/固体状の輻射シールド材を充填することで輻射シールド性能を得ることができる反面、真空と比較した場合には熱伝導率が大きくなってしまう。また、粉末状/固体状の輻射シールド材を真空断熱層に充填することにより、メンテナンス等を行う際の労力、時間の増大を招くことになる。
本発明は、上記事情に鑑み、液化水素のような超低温の液体を万kLオーダーの大量であっても好適に貯蔵することが可能な低温液体貯蔵用タンクを提供することを目的とする。
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明の低温液体貯蔵用タンクは、低温液体を貯蔵する内槽と、内槽を囲繞して内包するように配設される外槽と、前記内槽と前記外槽の間に設けられる真空断熱層とを備え、且つ、前記真空断熱層の中間部に板状の輻射シールド材を配設して構成されていることを特徴とする。
また、本発明の低温液体貯蔵用タンクにおいては、前記輻射シールド材が鋼板で形成されていることが望ましい。
さらに、本発明の低温液体貯蔵用タンクにおいては、前記輻射シールド材が鋼板と断熱材を一体に積層して形成されていることがより望ましい。
本発明の低温液体貯蔵用タンクにおいては、従来の粉末状/固体状の輻射シールド材を真空断熱層に充填するのではなく、板状の輻射シールド材を真空断熱層の中間部に配設して輻射シールド機能を付与する。
すなわち、内槽に貯蔵した低温液体によって内槽が冷却されることで原子/分子レベルの振動が発生し、この振動(電磁波)によって輻射が生じた場合であっても、真空断熱層の中間部に配設された板状の輻射シールド材によってこの輻射を遮断することができる。これにより、確実に真空断熱層によって伝熱を遮断することができ、信頼性の高い低温液体貯蔵用タンクを実現することが可能になる。
また、板状の輻射シールド材を配設した状態の真空断熱層の大部分が空間のままで保持され、この空間部分が真空状態になる。このため、従来の粉末状/固体状の輻射シールド材を充填した場合と比較し、容易に真空断熱層の真空度を高めることができ、且つ容易に真空度を維持することが可能になる。すなわち、熱伝導率を限りなくゼロにすることができ、断熱性能を大幅に向上させることが可能になる。
さらに、真空断熱層内に粉末状/固体状の輻射シールド材を充填されていないため、容易にメンテナンスを行うことが可能になる。
本発明の一実施形態に係る低温液体貯蔵用タンクを示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る低温液体貯蔵用タンクを示す断面図であり、図1のS部を拡大した図である。 従来の低温液体貯蔵用タンクを示す断面図であり、図1のS部に相当する部分を示す図である。
以下、図1から図3を参照し、本発明の一実施形態に係る低温液体貯蔵用タンクについて説明する。ここで、本実施形態は、例えば液化水素などの超低温液体の貯蔵に用いて好適なタンクに関するものである。
本実施形態の低温液体貯蔵用タンクAは、図1及び図2に示すように、低温液体1を貯蔵する金属製の内槽2と、内槽2を囲繞するように設けられる外槽3と、内槽2と外槽3の間に設けられ、断熱性能を確保するための真空断熱層4とを備えて構成されている。
また、真空断熱層4は、真空状態で保持されるとともに、輻射シールド材5を設けて構成されている。そして、本実施形態の輻射シールド材5は鋼板などの板材であり、輻射シールド材5としての板材を内槽2の鋼板と外槽3の間の真空断熱層4の中間部に配設して構成されている。
すなわち、本実施形態では、図3に示すように従来の粉末状/固体状の輻射シールド材8を真空断熱層4に充填するのではなく、板状の輻射シールド材5を真空断熱層4の中間部に配設して輻射シールド機能を付与するようにしている。
なお、断熱材5aを鋼板5bに積層して板状の輻射シールド材5を構成してもよい。
外槽3は、例えば鉄筋コンクリート造であり、底版部、側壁部、屋根部を備えたコンクリート部6と、コンクリート部6の表面に、この表面全体を被覆するように一体に取り付けられた鋼板などのライナー部7とを備えて構成されている。
このよう構成した本実施形態の低温液体貯蔵用タンクAにおいては、内槽2に貯蔵した低温液体1によって内槽2が冷却されることで原子/分子レベルの振動が発生し、この振動(電磁波)によって輻射が生じた場合であっても、真空断熱層4の中間部に配設された板状の輻射シールド材5によって輻射を遮断することができる。
これにより、確実に真空断熱層4によって伝熱を遮断することができ、信頼性の高い低温液体貯蔵用タンクAを実現することが可能になる。
また、板状の輻射シールド材5を配設した状態の真空断熱層4の大部分が空間のままで保持され、この空間部分が真空状態になる。このため、従来の粉末状/固体状の輻射シールド材を充填した場合と比較し、容易に真空断熱層4の真空度を高めることが可能になるとともに、容易に真空度を維持することが可能になる。すなわち、板状の輻射シールド材5を配設した状態の真空断熱層4の熱伝導率を限りなくゼロにすることができ、断熱性能を大幅に向上させることが可能になる。
さらに、真空断熱層4内に粉末状/固体状の輻射シールド材が充填されていないため、容易にメンテナンスを行うことが可能になる。
したがって、本実施形態の低温液体貯蔵用タンクAによれば、液化水素のような超低温の液体を万kLオーダーの大量であっても好適に貯蔵することが可能になる。
以上、本発明に係る低温液体貯蔵用タンクの一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、外槽3のライナー部7は、コンクリート部6の真空断熱層4側の内面に設けても、外面に設けてもよいが、コンクリート部6の内面にライナー部7を設けた場合には、真空断熱層4の負圧によってライナー部7の鋼板に大きな吸引力が発生し、ライナー部7の鋼板を固定する固定手段のアンカーとアンカーの間の鋼板部分が湾曲変形したり、座屈変形するおそれが生じる。また、鋼板の剥がれが生じるおそれもある。
これに対し、外槽3のコンクリート部6の外面に鋼板をアンカーなどの固定手段で固定してライナー部7を設けた場合には、真空断熱層4を真空状態にすると、多孔体であるコンクリート部6の間隙中の空気も抜け、コンクリート部6の外側に設けられたライナー部7にコンクリート部6に吸着する力が作用する。
これにより、真空断熱層4を真空にするとともに、ライナー部7の鋼板がコンクリート部6の外面に自動的に密着することになる。
よって、コンクリート部6の外面にライナー部7を設けた場合には、ライナー部7の鋼板が真空断熱層4を真空にするとともにコンクリート部6の外面に密着するため、コンクリート部6の内側にライナー部7を設けた場合と比較し、ライナー部7の鋼板をコンクリート部6に接合するためのアンカーなどの本数を大幅に削減することができる。
また、外面に鋼板を接合することで、コンクリート部6の内面に鋼板を接合する場合と比較し、鋼板の取り付け作業を容易にすることができ、施工性を大幅に向上させることも可能になる。
また、真空断熱層4を真空にするとともに、ライナー部7の鋼板がコンクリート部6の外面に自動的に密着するため、鋼板をコンクリート部6の内面に接合する場合のように真空の負圧によって隣り合うアンカーの間の部分が湾曲変形したり、座屈変形することがない。また、鋼板に剥がれが生じることもない。これにより、厚さが薄い鋼板を採用しても信頼性の高いライナー部7を形成することが可能になる。
また、本発明に係る輻射シールド材は、鋼板に限らず、輻射熱伝達の遮蔽効果があるものであればどのような材料で形成されていてもよい。
1 低温液体
2 内槽
3 外槽
4 真空断熱層
5 板状の輻射シールド材
6 コンクリート部
7 ライナー部
8 粉末状/固体状の輻射シールド材
A 低温液体貯蔵用タンク

Claims (3)

  1. 低温液体を貯蔵する内槽と、
    内槽を囲繞して内包するように配設される外槽と、
    前記内槽と前記外槽の間に設けられる真空断熱層とを備え、
    且つ、前記真空断熱層の中間部に板状の輻射シールド材を配設して構成されていることを特徴とする低温液体貯蔵用タンク。
  2. 請求項1記載の低温液体貯蔵用タンクにおいて、
    前記輻射シールド材が鋼板で形成されていることを特徴とする低温液体貯蔵用タンク。
  3. 請求項1または請求項2に記載の低温液体貯蔵用タンクにおいて、
    前記輻射シールド材が鋼板と断熱材を一体に積層して形成されていることを特徴とする低温液体貯蔵用タンク。
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