JP2014118656A - 多層紙基材およびキャリアテープ - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、パルプ繊維系素材を用いた基材であって、基材の膜厚を一定範囲以上に厚くすることができる多層紙基材を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、パルプ繊維を含む表層と、パルプ繊維と粒状充填材を含む基層とを有し、前記粒状充填材の体積基準のメディアン径は、10μm〜3mmであり、前記粒状充填材の含有率は、前記基層の全体質量に対して、8〜50質量%であることを特徴とする多層紙基材に関する。
【選択図】図2

Description

本発明は、多層紙基材およびキャリアテープに関する。具体的には、本発明は、パルプ繊維および粒状充填材を含む多層紙基材、および該多層紙基材に凹状のキャビティ部または貫通孔を形成したキャリアテープに関する。
チップ型電子部品は多くの電子機器に備え付けられており、各種電子機器の製造工程では、チップ型電子部品を回路基板等に自動装着することが行われている。一般的に、チップ型電子部品を回路基板等に装着する際には、チップ型電子部品を収納するためのテープ状の基材が使用されている。テープ状の基材には、チップ型電子部品を収納するためのキャビティの他に、テープ送り用にマージナル部に貫通孔が形成されており、チップ型電子部品の装着は、チップ型電子部品を収納したテープ状の基材を所定の場所に送りつつ、キャビティからチップ型電子部品を取り出すことによって行われている。
テープ状の基材の構成素材は、プラスチック系素材とパルプ繊維系素材の2種類に大別される。また、キャビティの形成方法についても、エンボス加工により凹孔のキャビティを形成する方法と、パンチ加工により貫通孔を形成する2種類の方法に大別される。テープ状の基材構成素材やキャビティの形成方法は、収納するチップ型電子部品の種類や用途によって選択される。なお、貫通孔状のキャビティを形成する場合は、裏面(ボトム側)にボトムカバーテープを接着して底面を設けた後に、孔内にチップ型電子部品を充填することが行われている。
例えば、特許文献1には、プラスチック系素材のテープ状基材にキャビティを形成したキャリアテープが開示されている。ここでは、チップ型電子部品が比較的大型であっても収納でき、かつ部品の損傷を防止することができる。
また、特許文献2には、パルプ繊維系の素材のテープ状基材にキャビティ部または貫通孔を形成したキャリアテープが開示されている。ここでは、パルプ繊維と熱溶融繊維とを混ぜ合わせた素材からテープ状基材を構成することとしている。熱溶融繊維は、プラスチック合成樹脂を繊維化したものであり、樹脂を粉砕し、溶解した後に、繊維化するという多段階工程を経て得られたものである。特許文献2では、この熱溶融繊維は、キャビティの加工形状を良好にする働きをしている。
特開平10−329888号公報 特開2003−054627号公報
特許文献1に記載されたキャリアテープは、プラスチック系素材を用いているため、膜厚を厚くすることが容易であり、このようなキャリアテープには比較的大きなチップ型電子部品を収納できるキャビティを形成することができた。しかしながら、キャリアテープは、一回使用しただけで捨てられることが多く、プラスチック系素材を廃棄する場合は、廃棄コストがかかり、環境への負荷が大きいという問題があった。また、キャリアテープ自体の原料コストもパルプ繊維系素材を用いたものに比べて高いという問題もあった。
一方、特許文献2に記載されたキャリアテープは、パルプ繊維系素材を用いているため、廃棄処理やリサイクル処理を容易に行うことができ、環境への負荷は小さいという利点を有している。しかしながら、特許文献2では、基材の膜厚を一定範囲以上に厚くすると、基材の剛度が増大しすぎるため、テープ状の基材を巻取った際などに、表面にしわが生じたり、層間剥離が生じるなどして、テープ送りに支障がでることがあった。このため、基材の膜厚は一定以下にしなければならず、比較的大型のチップ型電子部品を収納するためのキャビティを形成することができないという問題があった。
また、パルプ繊維系素材に熱溶融繊維を混合することで、基材をある程度は嵩高くすることは考えられるが、特許文献2に記載されたような熱溶融繊維を混合しただけでは、十分な厚さを持った基材を得ることができないということが本発明者らの検討により明らかとなった。さらに、熱溶融繊維は多段階工程を経て得られるため、熱溶融繊維を用いた場合、基材の製造コストが格段に高くなるという問題がある。
そこで本願発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、パルプ繊維系素材を用いた多層紙基材であって、基材の膜厚を一定範囲以上に厚くすることができる多層紙基材を提供することを目的として検討を進めた。また、環境への負荷が少なく、かつ、製造コストが抑制された多層紙基材を提供することも目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本願発明者らは、多層紙基材の基層にパルプ繊維と粒状充填材を含有させ、粒状充填材の体積基準のメディアン径を10μm〜3mmとし、粒状充填材の含有率を基層の全体質量に対して、8〜50質量%することにより、多層紙基材の膜厚を厚くできることを見出した。さらに、本願発明者らは、本発明の多層紙基材がキャリアテープとして高い性能を発揮できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1]パルプ繊維を含む表層と、パルプ繊維と粒状充填材を含む基層とを有し、前記粒状充填材の体積基準のメディアン径は、10μm〜3mmであり、前記粒状充填材の含有率は、前記基層の全体質量に対して、8〜50質量%であることを特徴とする多層紙基材。
[2]パルプ繊維を含む裏層をさらに有することを特徴とする[1]に記載の多層紙基材。
[3]前記粒状充填材は、熱可塑性樹脂であることを特徴とする[1]または[2]に記載の多層紙基材。
[4]前記粒状充填材は、平板状面を有することを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の多層紙基材。
[5]前記粒状充填材は、熱可塑性樹脂塊または熱可塑性樹脂シートを粉砕して得られたものであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の多層紙基材。
[6]前記多層紙基材の厚みが1150μm以上であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の多層紙基材。
[7]前記基層の厚みが1000μm以上であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の多層紙基材。
[8]前記基層のパルプ繊維の含有率は、前記基層の全体質量に対して、50〜92質量%であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載の多層紙基材。
[9]前記粒状充填材の体積基準のメディアン径をD50とし、10%積算径および90%積算径をそれぞれD10とD90とすると、1.0≦{(D90−D10)/D50}≦2.5であることを特徴とする[1]〜[8]のいずれかに記載の多層紙基材。[10][1]〜[9]のいずれかに記載の多層紙基材に複数のキャビティ部を形成してなることを特徴とするキャリアテープ。
[11]前記キャビティ部を覆うカバーフィルムをさらに有することを特徴とする[10]に記載のキャリアテープ。
本発明によれば、パルプ繊維系素材を用いた基材を用いて、膜厚が一定範囲以上の多層紙基材を得ることができる。また、本発明によれば、嵩高で軽量であることに加えて、柔軟性も兼ね備えた多層紙基材を得ることができる。このため、パルプ繊維系素材を用いた多層紙基材の膜厚を厚くした場合であっても、基材を巻取った際などに、表面にしわが生じたり、層間剥離が生じることがなく、実装機内のテープ送りをスムーズに行うことができる。
さらに、本発明の多層紙基材を用いれば、一定以上の深さを有するキャビティを形成することができる。これにより、パルプ繊維系素材の多層紙基材を用いた場合であっても、比較的大型のチップ型電子部品を収納することが可能なキャリアテープを形成することができる。また、本発明の多層紙基材を用いれば、キャビティ部や貫通孔の断面の形状が良好であり、キャビティ部等に歪み等が発生することを抑制することができる。
また、本発明では、多層紙基材にパルプ繊維系素材を用いているため、多層紙基材やキャリアテープの廃棄処理やリサイクル処理を容易に行うことができる。このため、環境の負荷を抑制することができる。さらに、多層紙基材にパルプ繊維系素材を用いているため、原料コストを抑えることができる。すなわち、本発明では、比較的大型のチップ型電子部品を収納することが可能なキャリアテープを、安価に製造することができる。
本発明では粒状充填材として、熱可塑性樹脂塊やシートを粉砕して得られる体積基準のメディアン径が10μm〜3mmの熱可塑性樹脂を用いることができる。このように、本発明によれば、熱可塑性樹脂塊やシートを粉砕することにより得られた粒状充填材を使用することができるので、熱可塑性樹脂を有効に再利用することもできる。さらに、粉砕工程を経るのみで、目的とする粒状充填材を得ることができるため、多層紙基材の製造コストを抑制することができる。
図1は、本発明の多層紙基材の構造の一例を表す部分断面図である。 図2は、本発明のキャリアテープの一例を表す平面図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
(多層紙基材)
本発明の多層紙基材は、少なくとも表層と基層を含む2層以上からなる基材である。図1(a)には、本発明の多層紙基材10の一例を表す部分断面図が示されている。図1(a)に示されているように、表層1は表面の最外層を構成し、基層2は、表層1のいずれか一方の面側に配置される。なお、図1(a)のように多層紙基材10が2層構造である場合は、基層2は、表層1とは反対側の最外層を形成することとなる。
本発明の多層紙基材は、パルプ繊維を含む裏層をさらに有することが好ましい。図1(b)に示されているように、裏層3は、基層2の表面の一方の面側に配置され、基層2を介して表層1とは反対側に形成される。この場合、基層2は、多層紙基材の内側に配置され、中層となる。多層紙基材10は、表層1、基層2および裏層3の3層構造であることが好ましいが、これらの層に加えて他の層を積層することとしてもよい。多層紙基材は2〜10層を多層抄造したものであればよく、5〜10層であることが好ましく、7または8層であることが特に好ましい。
表層および裏層はパルプ繊維を含み、基層はパルプ繊維と粒状充填材を含む。基層に含まれる粒状充填材の体積基準のメディアン径は、10μm〜3mmであり、粒状充填材の含有率は、基層の全体質量に対して、8〜50質量%である。
粒状充填材は基層に含有される。一方、表層および裏層には粒状充填材が含まれないことが好ましい。なお、表層および裏層にも粒状充填材が含まれる場合は、粒状充填材の含有率は、各層の全体質量に対して5質量%以下であることが好ましい。これにより、表層および裏層の表面形状を滑らかにすることができ、多層紙基材の外観も良好なものとすることができる。なお、後述するように表層および裏層の表面にはカバーフィルム等が貼付される場合があり、この点からも表層および裏層の表面は平滑である方が好ましい。
多層紙基材の積層構造は、抄紙工程において各層を積層することによって形成される。抄紙工程において、各層のパルプ繊維同士を絡ませることによって、各層間を接合させることができる。
また、本発明では、基層に含まれる粒状充填材は、基層と表層、および基層と裏層の接合をより強固にする働きもする。粒状充填材は基層の表面に適度な凹凸形状を形成するため、パルプ繊維同士の絡合に加えて、パルプ繊維と粒状充填材の絡合を促すことができる。これにより、層間の接合力を高めることができる。
多層抄造に使用される抄紙機としては、例えば、円網多層抄紙機、円網短網コンビネーション抄紙機、短網多層抄紙機、長網多層抄紙機等が挙げられる。
本発明の多層紙基材の厚みは、1150μm以上であることが好ましい。多層紙基材の厚みは、1150μm以上であればよく、1170μm以上であることがより好ましく、1200μm以上であることがさらに好ましい。また、多層紙基材の厚みは、1500μm以下であることが好ましく、1450μm以下であることがより好ましく、1400μm以下であることがさらに好ましい。
本発明の多層紙基材の1平方メートルあたりの紙の重量(米坪)は、200g/m2以上であることが好ましく、250g/m2以上であることがより好ましく、300g/m2以上であることがさらに好ましい。また、米坪は、1000g/m2以下であることが好ましく、950g/m2以下であることがより好ましく、900g/m2以下であることがさらに好ましい。
このように、米坪を上記範囲内とすることにより、多層紙基材の嵩密度をある程度まで高めることができ、キャビティ部を形成するなどの加工を施す際にその加工適性を高めることができる。
基層の厚みは800μm以上であることが好ましく、900μm以上であることがより好ましく、950μm以上であることがさらに好ましい。また、基層の厚みは、1450μm以下であることが好ましく、1400μm以下であることがより好ましく、1350μm以下であることがさらに好ましい。
基層の厚みを上記範囲内とすることにより、キャビティ部を形成するなどの加工を施す際にその加工適性をより高めることができる。なお、表層や裏層はその機能を損なわない限り、膜厚は小さいことが好ましい。
ここで、基層の厚みとは、基層を単層構造となるように形成した場合の厚みをいう。すなわち、本発明に係る基層は、従来のように、基層の厚さを厚くするために、接着層等を設けて厚膜化したものとは異なるものである。本発明に係る基層は、接着層やバインダーを含有しなくても、特定形状を有する粒状充填材を所定量添加することにより、厚膜化が可能である。また、基層は接着剤層を含まないため、キャビティ部を形成した場合であっても、接着剤等がキャビティ部に染み出してくることもない。このため、キャビティの断面形状が変形し、チップ型電子部品の取り出しを阻害したり、チップ型電子部品の性能に悪影響を与えることもない。
また、本発明の多層紙基材には、必要に応じて種々の内添薬品を添加することができる。例えば、ロジン系サイズ剤、スチレン−マレイン酸共重合体、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸など、天然および合成の製紙用の内添サイズ剤、各種紙力増強剤、濾水歩留り向上剤、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン等の耐水化剤、消泡剤、タルク等の填料、染料等を添加することができる。
(パルプ繊維)
本発明で使用するパルプ繊維は、通常、紙の原料として用いられ、木材、その他の植物から機械的又は化学的処理によって取り出したセルロース繊維の集合体である。パルプ繊維としては、通常、板紙等の紙の原料に使用されるものを用いることができ、例えば古紙パルプ、化学パルプ、機械パルプ等の各繊維を挙げることができる。
古紙パルプとしては、例えば、段ボール古紙、茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、上白古紙、ケント古紙、構造古紙、地券古紙等から製造される離解古紙パルプ、離解・脱墨古紙パルプ、脱墨・漂白古紙パルプ等が挙げられる。
化学パルプとしては、例えば広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ等が挙げられる。
機械パルプとしては、例えばストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)等が挙げられる。
これらのパルプ繊維の中でも、得られる基材(板紙)に優れた強度、寸法安定性及び加工適性を併せ持って付与できる観点から、化学パルプが好ましく、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)が特に好ましく用いられる。
多層紙基材を構成する全ての層は、パルプ繊維を含有する。ここで、全ての層には、表層、基層、裏層に加えて、他に設けられる層も含まれる。多層紙基材を構成する全ての層は、パルプ繊維を30質量%以上含むことが好ましく、40質量%以上含むことがより好ましく、50質量%以上含むことがさらに好ましい。
多層紙基材の表層と裏層は、基層に比べてパルプ繊維の含有率が高い。表層と裏層のパルプ繊維の含有率は、各々、各層の全体質量に対して、80〜99質量%であることが好ましい。一方、基層は粒状充填材を含むため、パルプ繊維の含有量を低く抑えることができる。基層のパルプ繊維の含有率は、基層の全体質量に対して、50〜92質量%であることが好ましく、55〜90質量%であることがより好ましい。
(粒状充填材)
本発明の多層紙基材の基層は、粒状充填材を含有し、粒状充填材の体積基準のメディアン径は、10μm〜3mmである。粒状充填材の体積基準のメディアン径は、10μm以上であればよく、15μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることがさらに好ましい。また、粒状充填材の体積基準のメディアン径は、3mm以下であればよく、2mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがより好ましく、850μm以下であることがさらに好ましい。粒状充填材の体積基準のメディアン径を上記範囲内とすることにより、パルプへの歩留まりを高めることができ、基層の膜厚を厚くすることができる。また、粒状充填材の体積基準のメディアン径を上記範囲内とすることにより、基層の表面に適度な凹凸形状を形成することができ、これにより、基層と表層、および基層と裏層の接合を良好に保つことができる。なお、メディアン径が10μm未満の場合は、抄紙の際、パルプへの歩留まりが悪く、3mmを超えると著しく平滑性が低下するため好ましくない。
また、本発明で使用する粒状充填材には超微粉や超粗粉が含まれていないことが好ましく、メディアン径が0.01μm以下、又は5.0mm以上の粒子の比率は10%以下であることが望ましく、より好ましくは5%以下である。
本発明におけるメディアン径は、体積基準であり、具体的には、株式会社セイシン社製のレ−ザ回析・散乱式粒度分布測定装置(型番:LMS−2000e)を用い測定することができる。粒子を空気中で分散圧力により分散させ、粒度分布測定を行うことにより、メディアン径(D50)を求めることができる。粒子の測定範囲は、測定上限2000μm、測定下限0.020μmであり、圧縮空気圧力は0.05MPaであり、計測方法は噴射型乾式測定法である。
また、本発明で使用する粒状充填材は、下記式の関係性を満たすものであることが好ましい。
1.0≦{(D90−D10)/D50}≦2.5
ここでは、D50は体積基準のメディアン径を表し、D10は10%積算径、D90は90%積算径を表す。10%積算径とは、粒度分布測定により得られた累積分布図(体積基準、粒子径の小さいものから積算)で、10%の高さを与える直径を示し、90%積算径とは90%の高さを与える直径を示す。なお、粒度分布測定により得られた累積分布図で50%の高さを与える直径をメディアン径という。
体積基準の粒度分布の広がりを規定する指数としてのスパン値(Span Value)は、下記の様に定義される。
スパン値=(D90−D10)/D50
スパン値は、上記式からも分かるように、その値が小さい程、粒径分布が狭まく、その値が大きい程、粒径分布が広いことを示している。
本発明において、スパン値は、1.0以上であることが好ましく、1.1以上であることがより好ましく、1.2以上であることがさらに好ましく、1.3以上であることが特に好ましい。また、スパン値は、2.5以下であることが好ましく、2.3以下であることがより好ましく、2.0以下であることがさらに好ましく、1.8以下であることが特に好ましい。
このように、スパン値を上記範囲内とすることにより、一定程度の粒度分布を持った粒状充填材を用いることができ、基層の表面に適度な凹凸形状を形成することができる。さらに、一定程度の粒度分布を持った粒状充填材を用いることによって、基層の剛度を小さくすることができ、基層の柔軟性を高めることができる。これにより、基層にしわが発生することを抑制したり、層間剥離が生じることを抑制することができる。
粒状充填材の含有率は、基層の全体質量に対して、8〜50質量%である。充填材の含有率は、8質量%以上であればよく、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがさらに好ましい。また、粒状充填材の含有率は、50質量%以下であればよく、45質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましい。粒状充填材の含有率を上記範囲内とすることにより、基層を効果的に嵩高くすることができる。これにより、膜厚が厚い多層紙基材を得ることができる。なお、8%未満の場合は合成樹脂の特性である嵩高効果が得られにくく、また、50%を超えると紙シートの強度が著しく低下するため好ましくない。
粒状充填材は、上記の体積基準のメディアン径を有するものであれば特に制限されるものではなく、粒状充填材として、種々の熱可塑性樹脂、種々のプラスチック、ゴムなどの高分子材料を用いることができる。
<熱可塑性樹脂>
本発明で使用する粒状充填材として、熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブタジエン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体(ACS)樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート共重合体(ASA)樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、塩素化ポリエーテル、塩素化ポリエチレン、アリル樹脂、エポキシ樹脂、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、繊維強化プラスチック(FRP)、アイオノマー樹脂、スチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、ニトリル樹脂、ポリエステル〔ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)〕、α−オレフィン−ビニルアルコール共重合体、石油樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリアリルスルフォン、ポリベンゾイミダゾール、ポリブチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルスルフォン、ポリケトン、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルフォン、スチレン−アクリロニトリル共重合体樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、ポリウレタン、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、シリコーン樹脂、ポリ酢酸ビニル、キシレン樹脂、熱可塑性エラストマー、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルゴム、天然ゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ブチルゴム等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレートは流通量が多く、入手しやすいプラスチック材料であるため、好ましく使用できる。
また、熱可塑性樹脂には、例示したものの種々のポリマーも含まれる。また、上記のうちの任意の複数種のポリマーからなる材料を併用しても良い。
さらに、粒状充填材としては、平板状面を有する熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。平板状面は、略平板状であればよく、粒状充填材を構成する粒子の少なくとも1つの面に平板状面を有することが好ましい。平板状面の形状は、四角形、三角形、台形、円形、楕円形といった様々な形状とすることができ、これらの形状が混合して含まれていることが好ましい。このように、粒状充填材としては、平板状面を有する熱可塑性樹脂を用いることによって、粒状充填材を含む基層の厚みを効果的に増大させることができ、嵩高い多層紙基材を得ることができる。
粒状充填材は、熱可塑性樹脂塊または熱可塑性樹脂シートを粉砕して得られたものであることが好ましい。熱可塑性樹脂塊または熱可塑性樹脂シートを粉砕することによって、平板状面を有する熱可塑性樹脂を効率よく得ることができる。本発明では、特に、熱可塑性樹脂シートを粉砕して粒状充填材を得ることが好ましく、熱可塑性樹脂シートの膜厚は、0.5〜100μmであることが好ましい。
平板上の熱可塑性樹脂を粉砕するために用いる粉砕装置は、塊やフィルム状の樹脂繊維混合物を効率よく粉砕することができるものであれば、特に限定されない。このような装置としては、樹脂組成物の粉砕に一般に用いられる粉砕装置を使用することができる。合成樹脂等の弾性のあるものを粉砕する目的では、剪断方式の粉砕機を用いるのが好ましく、例えば、吉工製のロータリーカッターRCシリーズの粉砕機等を用いることができる。
熱可塑性樹脂塊または熱可塑性樹脂シートを粉砕して得られた粒状充填材は、一定範囲の大きさとなるように微粉砕される。このように微粉砕されることにより、本発明では、表面積の大きな粒状充填材を得ることができる。表面積の大きな粒状充填材は、基層に含まれるパルプ繊維との絡合が良好であり、基層に柔軟性を与えつつも優れた強度を与えることができる。
また、本発明では、熱可塑性樹脂塊または熱可塑性樹脂シートを煎断方式の粉砕機を用いて粉砕することにより、所望の形状と粒径を有する熱可塑性樹脂を容易に得ることができる。所望の形状と粒径を有する熱可塑性樹脂を粉砕工程の単一工程から得ることができるため、所望の粒径を持った熱可塑性樹脂を簡便に得ることができ、これにより、多層紙基材の製造工程も簡略化することができる。
また、熱可塑性樹脂塊または熱可塑性樹脂シートは、様々な用途に利用されているため、その生産量は増加しているが、熱可塑性樹脂塊または熱可塑性樹脂シートのリサイクルにはコストがかかり、リサイクルのために大量のエネルギーが使用されるため環境に対する悪影響も懸念されている。しかし、本発明では、熱可塑性樹脂塊または熱可塑性樹脂シートに大量のエネルギーを投じなくても、粉砕するだけでリサイクルできるため、環境への負荷を低く抑えることができる。すなわち、本発明は、加工適性が高く、膜厚の厚い多層紙基材を提供することに加え、熱可塑性樹脂塊または熱可塑性樹脂シートの有効なリサイクル法も提供することができる。
(多層紙基材の製造方法)
<粒状充填材の製造方法>
粒状充填材は、熱可塑性樹脂塊または熱可塑性樹脂シートを煎断方式の粉砕機を用いて粉砕することにより得ることができる。粉砕にはロータリーカッターを用いることが好ましい。これにより、体積基準のメディアン径が10μm〜3mmの粒状充填材を得ることができる。
またその他の方法として、液体窒素による冷凍粉砕法や、溶融混合して得られた粗大ペレットを加熱処理によって結晶化度35%以上とした後、機械粉砕する方法、ジメチルアセトアミドを共通溶剤として化学粉砕によって粉末化する方法(特開2000−53892)が挙げられる。これらの方法によっても、体積基準のメディアン径が10μm〜3mmの粒状充填材を得ることができる。
<多層紙基材の製造方法>
多層紙基材は、表層・基層・裏層形成用パルプスラリーを抄紙機で多層抄造することによって得られる。表層・裏層形成用パルプスラリーは、パルプ繊維を水に懸濁分散させ、混合することによって得ることができる。基層パルプスラリーは、パルプ繊維と熱可塑性樹脂を水に懸濁分散させ、混合することによって得ることができる。
多層紙基材の積層構造は、抄紙工程において各層を積層することによって形成される。
多層抄造に使用される抄紙機としては、例えば、円網多層抄紙機、円網短網コンビネーション抄紙機、短網多層抄紙機、長網多層抄紙機等が挙げられる。
抄紙工程では、各層の厚さが所望の厚さとなるように、多層抄造する。
得られた多層紙基材の表面には、機能性を付与する目的で、各種表面処理を施してもよい。塗工方式としては、一般に公知の塗工装置、例えばブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、バーコーター、カーテンコーター、スロットダイコーター、グラビアコーター、チャンプレックスコーター、ブラシコーター、スライドビードコーター、ツーロールまたはメタリングブレード方式のサイズプレスコーター、ビルブレードコーター、ショートドウェルコーター、ゲートロールコーター、キャレンダーによるニップコーター等が適宜用いられる。
(キャリアテープ)
本発明のキャリアテープは、多層紙基材に複数のキャビティ部または貫通孔を形成することによって得ることができる。キャビティ部は、エンボス加工により、凹孔として形成されることが好ましい。また、貫通孔はパンチ加工により形成されることが好ましい。なお、貫通孔を形成した場合、裏面(ボトム側)にはボトムカバーテープを接着して底面を設けることが好ましい。
図2には、本発明のキャリアテープ100の一例を表す平面図が示されている。図2は、キャリアテープ100を表層1側から見た図である。図2に示されているように、キャリアテープ100は、キャビティ部20を有する。なお、図2では、エンボス加工により、凹孔のキャビティ部20を形成した例を図示している。
また、キャリアテープ100は、マージナル貫通孔21を有してもよい。マージナル貫通孔21は、キャリアテープ100の充填機内送り用の指標となるものである。なお、マージナル貫通孔21はパンチ加工で形成されることが好ましい。
一般的に、キャビティ部をエンボス加工により形成する場合、キャビティ部の形状が歪むことが多い。しかし、本発明では、基層に所定の大きさの粒状充填材を所定量混合することによって、多層紙基材が適度な柔軟性(剛度)を有すため、エンボス加工によってキャビティ部を精度良く形成することができる。また、パンチ加工により、貫通孔を形成した場合であっても、貫通孔の形状に歪みが生じることがなく、だれやバリの発生を抑制することができる。なお、ここで、「だれ」とは、上型のパンチが材料に接触しさらに下降するときに紙表面部の加工部(角)が丸みを帯びてしまい、鋭角に加工されない状態であり、「バリ」とは裏面あるいは裏面に近い角孔部分に残るパルプ繊維の塊のことである。
通常キャビティの寸法は紙表面(上面)部からの画像で判断するため、だれが大きいキャビティは、加工角を正確に測定できないために実寸法が小さく加工されてしまう危険性がある。また裏面にバリが発生すると、テーピング機でのチップ型電子部品挿入時にチップ型電子部品が収まらずに斜めに挿入される、あるいはマウンターでのチップ型電子部品取り出し時に角孔壁面ササクレ状のパルプ繊維にロックされて吸引ノズルで取り出せないというトラブルの原因となる。
キャビティ部内には、チップ型電子部品が収納され、チップ型電子部品が収納された後、表面(表層側)にカバーテープが接着される。カバーテープは、ヒートシール法によって表層の表面に接着されることが好ましい。その後、キャリアテープはカセットリールに巻き付けられる。
チップ型電子部品を回路基板に装着する際には、トップカバーテープが剥離され、キャビティ内に収納されたチップ型電子部品は所定の場所で取り出され、実装される。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
なお配合、濃度等を示す数値は、乾燥固形分の質量基準の数値である。
(実施例1)
〔粒状充填材(熱可塑性樹脂)〕
使用済みのPETフィルム(50μm厚)を吉工製ロータリーカッター粉砕機(RC250)にて、装着するスクリーンを塞ぎバッチ方式で60分間粉砕処理を施し、メディアン径244μm、スパン値1.52の粒状充填材(熱可塑性樹脂)を得た。
[多層紙基材の製造]
NBKP;30%、LBKP;70%をダブルディスクリファイナーで混合叩解し、CSF(カナダ・スタンダード・フリーネス)460mlに調製して、表層・裏層形成用パルプスラリーを得た。
基層用にはLBKPをダブルディスクリファイナーで叩解し、CSF(カナダ・スタンダード・フリーネス)410mlに調製して、上述の方法で得られた粒状充填材を20%配合して、基層形成用パルプスラリーを得た。
各パルプスラリーには硫酸バンドを、パルプスラリーの乾燥固形分に対して2.0%添加した。また、サイズ剤としてサイズパインN−111(荒川化学工業社製、ロジンエマルジョンサイズ剤)を、パルプスラリーの乾燥固形分に対して0.50%添加した。また、紙力増強剤としてポリストロン1250(荒川化学工業社製、両性ポリアクリルアミド系紙力増強剤、分子量300万)を、パルプスラリーの乾燥固形分に対して2.0%添加した。
その後、各パルプスラリーを円網9層抄合わせ抄紙機により、坪量が表層(1層)60g/m2、基層(7層)700g/m2、裏層(1層)60g/m2になるように多層抄造し、さらに、バーコーターにて表層側にケン化度88モル%、重合度1000のポリビニルアルコールを乾燥塗布量として1.0g/m2塗布した その後、マシンカレンダーにより平滑化処理して、坪量820g/m2の多層紙基材を製造した。
(実施例2)
使用済みのPETフィルム(50μm厚)を吉工製ロータリーカッター粉砕機にて、装着するスクリーンを塞ぎバッチ方式で30分間粉砕処理を施し、メディアン径371μm、スパン値1.58の粒状充填材(熱可塑性樹脂)を得た。
上記の方法で得られた粒状充填材を使用した以外は、実施例1と同様にして、粒状充填材(熱可塑性樹脂)を得た。
(実施例3)
使用済みのPETフィルム(50μm厚)を吉工製ロータリーカッター粉砕機にて、装着するスクリーンを2mm径のものを使用して、メディアン径759μm、スパン値1.51の粒状充填材(熱可塑性樹脂)を得た。
上記の方法で得られた粒状充填材を使用した以外は、実施例1と同様にして、多層紙基材を得た。
(実施例4)
使用済みのPETフィルム(50μm厚)を吉工製ロータリーカッター粉砕機にて、装着するスクリーンを0.5mm径のものを使用して、メディアン径402μm、スパン値1.31の粒状充填材(熱可塑性樹脂)を得た。
上記の方法で得られた粒状充填材を使用した以外は、実施例1と同様にして、多層紙基材を得た。
(実施例5)
多層紙基材の製造工程において、粒状充填材(熱可塑性樹脂)を40%配合して、基層形成用パルプスラリーを得た以外は実施例1と同様にして多層紙基材を得た。
(実施例6)
実施例1で使用する粒状充填材(熱可塑性樹脂)について、再生PETボトルを原料として使用する平均粒径25μmのPET粉体(セイシン企業製:SK−RP−25CL)(メディアン径32.62μm、スパン値1.76)を使用した以外は、実施例1と同様にして、多層紙基材を得た。
(比較例1)
多層紙基材の製造工程において、LBKP100%配合して、基層形成用パルプスラリーを得た以外は実施例1と同様にして多層紙基材を得た。
(比較例2)
多層紙基材の製造工程において、粒状充填材(熱可塑性樹脂)を5%配合して、基層形成用パルプスラリーを得た以外は実施例1と同様にして多層紙基材を得た。
(比較例3)
多層紙基材の製造工程において、粒状充填材(熱可塑性樹脂)を70%配合して、実施例1と同様に基層形成用パルプスラリーを使用して抄紙したが多層紙基材を得られなかった。
(評価)
前述の方法で得られた多層紙基材を以下の方法で、評価を行い、多層紙基材、ならびに複数のキャビティを有するキャリアテープとしての使用可否を判定した。
〔操業性〕
抄紙中に脱水された白水中に残留する粒状充填材(熱可塑性樹脂)の量から、多層紙中の粒状充填材(熱可塑性樹脂)の実際の配合率を測定した。脱水中に存在する粒状充填材(熱可塑性樹脂)が少ないほど歩留まりは良好であることを示す。
◎:白水中に残留する熱可塑性樹脂は全くない
○:白水中にわずかであるが、熱可塑性樹脂が認められる
△:白水中に熱可塑性樹脂が認められる
×:白水中に熱可塑性樹脂が多く認められる
〔紙厚〕
得られた多層紙基材の紙厚を測定した。なお、紙厚の測定に用いた紙重量は全て同一とした。
〔パンチ加工断面の形状〕
得られた多層紙基材を8mm幅にスリットし、同時にパンチ加工処理を行った。
なお、「だれ」とは、上型のパンチが材料に接触しさらに下降するときに紙表面部の加工部(角)が丸みを帯びてしまい、鋭角に加工されない状態であり、「バリ」とは裏面あるいは裏面に近い角孔部分に残るパルプ繊維の塊のことである。
◎:非常に良好
○:わずかにだれ、バリが認められる
△:だれ、バリが認められる
×:だれ、バリが多く認められる
〔層間剥離〕
流れ方向に200mm、幅8mmサイズのサンプルを準備し、500ml大のビーカーの外側からサンプルを巻き付け、サンプルに生じたシワの程度を評価した。サンプルにシワが発生したものは、層間剥離が起きている。ここで、層間剥離とは、基層と表層、または基層と裏層が剥がれることを意味する。
また、シワの発生がないものは剛度が低く、適度な柔軟性があることを示す。
◎:シワがなく良好
○:わずかにシワの発生が認められる
△:シワが認められる
×:シワが多く認められる
Figure 2014118656
実施例1〜6では、多層紙基材の紙厚が1150μm以上であり、膜厚が大きい多層紙基材を得ることができている。一方、比較例1および2では、紙厚が1050μm以下であり、所望の紙厚が得られていないことがわかる。なお、実施例3では、粒状充填材の配合率が70質量%であり、パルプ繊維の含有率が低く、多層紙基材が形成されなかった。
また、実施例1〜6は、多層紙基材にシワの発生が少なく、層間剥離もほとんど見られなかった。このため、実施例1〜6の多層紙基材はある程度の柔軟性を有することがわかる。特に実施例5では、粒状充填材の配合率を40質量%に倍増したため、シワの発生や層間剥離をより効果的に抑制することができている。一方、比較例1および2では、多層紙基材のシワの発生が多く、多層紙基材の剛度が高く、キャリアテープとして不適である。
本発明によれば、多層紙基材の膜厚を厚くすることができる。このため、本発明の多層紙基材を用いれば、一定以上の深さを有するキャビティを形成することができる。これにより、パルプ繊維系素材の多層紙基材を用いた場合であっても、大型のチップ型電子部品を収納することが可能なキャリアテープを形成することができる。よって、本発明の多層紙基材は、キャリアテープとして利用価値が高く、産業上の利用可能性が高い。
1 表層
2 基層
3 裏層
10 多層紙基材
20 キャビティ部
21 マージナル貫通孔
100 キャリアテープ

Claims (11)

  1. パルプ繊維を含む表層と、
    パルプ繊維と粒状充填材を含む基層とを有し、
    前記粒状充填材の体積基準のメディアン径は、10μm〜3mmであり、
    前記粒状充填材の含有率は、前記基層の全体質量に対して、8〜50質量%であることを特徴とする多層紙基材。
  2. パルプ繊維を含む裏層をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の多層紙基材。
  3. 前記粒状充填材は、熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の多層紙基材。
  4. 前記粒状充填材は、平板状面を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層紙基材。
  5. 前記粒状充填材は、熱可塑性樹脂塊または熱可塑性樹脂シートを粉砕して得られたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層紙基材。
  6. 前記多層紙基材の厚みが1150μm以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の多層紙基材。
  7. 前記基層の厚みが1000μm以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の多層紙基材。
  8. 前記基層のパルプ繊維の含有率は、前記基層の全体質量に対して、50〜92質量%であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の多層紙基材。
  9. 前記粒状充填材の体積基準のメディアン径をD50とし、10%積算径および90%積算径をそれぞれD10とD90とすると、
    1.0≦{(D90−D10)/D50}≦2.5
    であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の多層紙基材。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の多層紙基材に複数のキャビティ部を形成してなることを特徴とするキャリアテープ。
  11. 前記キャビティ部を覆うカバーフィルムをさらに有することを特徴とする請求項10に記載のキャリアテープ。
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