JP2014118468A - 研磨砥粒およびその製造方法、研磨スラリー並びにガラス基板の製造方法 - Google Patents

研磨砥粒およびその製造方法、研磨スラリー並びにガラス基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】酸化セリウムは、安定供給が困難であり、近年、価格の高騰が起きている。このことから、酸化セリウム砥粒に代わる研磨剤の検討が行われている。酸化セリウム砥粒を使用することなく高い研磨速度で被研磨物を研磨でき、研磨後の洗浄も容易な研磨砥粒および研磨スラリーの提供が課題となっている。
【解決手段】本発明は、基板を研磨するための砥粒であって、前記砥粒が主としてMn粒子からなり、前記Mn粒子に、Mnよりも酸化還元電位が負になる有機物を坦持させたことを特徴とする研磨砥粒を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、研磨砥粒およびその製造方法、研磨スラリー並びにガラス基板の製造方法に関する。
ハードディスクドライブ向けの磁気ディスク、液晶用ガラス、半導体基板またはフォトマスク等のガラス基板の製造工程において、基板表面の平滑性、平坦性を得るためにガラス基板表面の研磨を実施している。この研磨工程では、生産性が良いことから酸化セリウムを主成分とし、複数の希土類酸化物を含む研磨砥粒(以下、セリア砥粒という。)を使用している場合が多い。しかしながら、酸化セリウムをはじめとする希土類酸化物は、放射線同位体を含まない鉱物としては採掘可能な地域が限られている。このため、安定供給が困難であり、近年、価格の高騰が起きている。このことから、セリア砥粒に代わる研磨剤の検討が行われている。
Mnを主成分とする砥粒(以下、酸化マンガン砥粒という。)は、研磨速度がセリア砥粒に比べて低いものの、研磨剤として砥粒硬度が低いためガラス基板の研磨面にスクラッチ等の傷をつけにくい特性を有する材料である。また公知の洗浄液にて溶解し、洗浄しやすいことが確認されている(非特許文献1)。
また、特許文献1には、酸化マンガン砥粒を含む研磨スラリーの粗大粒子を少なくすることで、良好なガラス基板表面性状が得られることが示されている。
また、特許文献2には、酸化マンガンの作製方法が記載されており金属マンガンとグリシンを混合し、水熱合成を行うことでMn粒子を得ることが示されている。
砥粒加工学会誌 Vol.43 No.12 1999 p20-21 特開2002−301655号公報 特開平2−296732号公報
特許文献1には、セリア砥粒に比べて酸化マンガン砥粒を用いて研磨、洗浄した後の基板の砥粒残渣は少なかったことが開示されている。特許文献2には、簡便にMn砥粒を合成できることが開示されているが、本手法で合成される酸化マンガン砥粒の研磨速度は、従来のMn砥粒に比べて半分以下であるという問題があった。
したがって、本発明は酸化セリウム砥粒を使用することなく高い研磨速度で被研磨物を研磨でき、研磨後の洗浄も容易な研磨砥粒および研磨スラリーの提供を目的とする。
本発明は、基板を研磨するための砥粒であって、前記砥粒が主としてMn粒子からなり、前記Mn粒子に、Mnよりも酸化還元電位が負になる有機物を坦持させたことを特徴とする研磨砥粒を提供する。
また、本発明は、前記有機物がキノン基を有する研磨砥粒を提供する。
また、本発明は、基板を研磨するための砥粒の製造方法あって、前記砥粒が主としてMn粒子からなり、前記Mn粒子に、Mnよりも酸化還元電位が負になる有機物を坦持させた砥粒であり、下記(1)〜(3)の工程を含むことを特徴とする研磨砥粒の製造方法を提供する。
(1)金属マンガンと、水溶性有機物と、水とを混合し、混合物を製造する工程。
(2)前記混合物を酸化させ、前記水溶性有機物を含んだMnを製造する工程。
(3)前記水溶性有機物を含んだMnを焼成する工程。
また、本発明は、前記研磨砥粒を含む研磨スラリーを提供する。
また、本発明は、前記砥粒、または前記研磨スラリーを用いてガラス基板を研磨する工程を含むガラス基板の製造方法を提供する。
本発明の研磨砥粒および研磨スラリーによれば、セリア砥粒を用いることなく、高い研磨速度で被研磨物を研磨できる。
図1は、MnおよびMnのX線プロファイルを示す。
以下、本発明に関して詳細に説明する。
〔研磨砥粒〕
本発明の研磨砥粒は、Mn粒子にMnよりも酸化還元電位が負になる有機物を坦持させた砥粒であり、以下のような特徴を備える。
Mn粒子の体積基準メディアン径(D50)は、0.01〜10μmが好ましく、0.03〜7μmがより好ましく、0.05〜5μmがさらに好ましい。Mn粒子のD50が0.01μm未満であると研磨砥粒として有効に作用せず、10μm超であると被研磨物の研磨面の平坦性が低下する。なお、研磨砥粒の体積基準メディアン径は、レーザ回折式粒度分布測定装置により測定する。
Mn粒子に担持された有機物は、Mnよりも酸化還元電位が負となるものであればよい。具体的には、キノン基またはキノン基を還元させた形であるヒドロキノン基を有する有機物、アスコルビン酸、エリソルビン酸、水素化アルミニウムリチウム、ナトリウムアマルガム、水素化ホウ素ナトリウム 、亜硫酸塩、ヒドラジン 亜鉛アマルガム、水素化ジイソブチルアルミニウム、シュウ酸 、ギ酸等が挙げられる。
また、キノン基を有する有機物としては、o-ベンゾキノン、p-ベンゾキノン、ユビキノン等のベンゾキノン、フィロキノン、メナキノン等のナフトキノン、アリザリン、ルベリトリン酸、パープリン等のアントラキノン、さらに、これらの有機物のキノン基をヒドロキノン基に還元した有機物が挙げられる。
Mnの酸化還元電位は、0.45V(vsAg|AgCl(飽和KCl))である。一方、上述したp-ベンゾキノンの酸化還元電位は、−0.6V(vsAg|AgCl(飽和KCl)という物質固有の値を示すため、p-ベンゾキノンは、Mnよりも酸化還元電位が負となる有機物の一例である。
これらの有機物は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、キノン基の検出は電気化学計測分析装置を用いて測定する。
坦持する有機物の量は、炭素量としてMnに対して、0.001〜5質量%存在することが好ましい。有機物の量が0.001質量%未満であると、Mnの研磨を促進する効果が無くなるため研磨速度が低下し、5質量%超であると砥粒が凝集してしまい被研磨面の平坦性が低下する。
Mn粒子にMnよりも酸化還元電位が負になる研磨促進修飾物を坦持させた砥粒の等電点は、pH3.2〜12であることが好ましい。等電点がpH3.2未満であると、Mnの研磨を促進する効果が無くなるため研磨速度が低下し、pH12超であると、Mn粒子の正電荷が大きくなるため、添加剤の効果が小さくなり分散性が低下する。なお、等電点は光学式のゼータ電位計を用いて測定する。
〔研磨砥粒の製造方法〕
本発明の研磨砥粒は、下記(1)〜(3)の工程を含むことを特徴とする研磨砥粒の製造方法で製造される。
(1)金属マンガンと、水溶性有機物と、水とを混合し、混合物を製造する工程。
(2)前記混合物を酸化させ、水溶性有機物を含んだMnを製造する工程。
(3)前記水溶性有機物を含んだMnを焼成する工程。
以下、工程ごとに説明する。
工程(1):金属マンガンと、水溶性有機物と、水とを混合し、混合物を製造する工程。
金属マンガンは市販のものが使用できるが、金属マンガンの粒子サイズは0.01〜10μmが好ましい。0.01μm未満であると、後述する焼成工程後に得られるMnの粒子サイズが0.01μm未満なるため研磨効果が得られず、10μm超であると焼成工程後に得られるMnの粒子サイズが10μm超となるため被研磨物表面の平坦性が低下する。
水溶性有機物としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等の飽和カルボン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、アスコルビン酸等のヒドロキシ酸、フタル酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸等のジカルボン酸、グリシン、アラニン、バリン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸等のアミノ酸、複素環系のカルボン酸のような有機酸、アミン基、スルホン基を有した有機物等が挙げられる。これらの水溶性有機物は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
水溶性有機物の量は、仕込みの全量を100質量%としたとき、100質量%の中で1〜30%含まれることが好ましい。1質量%より少ないと合成後の水溶性有機物量が著しく減少してしまうため研磨促進効果が得られず、30質量%より多いと金属マンガン同士の凝集が促進され、得られる砥粒の粒子サイズが大きくなってしまう。
水溶性有機物と、水と、金属マンガンとを混合する際に、加える順番はどの順番で混ぜてもよいが、水、水溶性有機物、金属マンガンの順番で加えると均一に混ざりやすくなるためこの順番が好ましい。
水と水溶性有機物の混合物に金属マンガンを添加する際に、全量を一気に添加してもよいが、少しずつ添加していくと均一に混ざりやすくなるため好ましい。
工程(2):前記混合物を酸化させ、水溶性有機物を含んだMnを製造する工程。
酸化反応は、分散液に空気を吹き込んで行うのが有利であるが酸化剤を用いてもよい。酸化反応は、常温でもできるが、反応を促進するためには50〜60℃程度まで加熱することが好ましい。反応圧力は常圧でよい。撹拌羽等を使用し、水溶性有機物と、水と、金属マンガンとを含んだ溶液を撹拌してもよい。
工程(3):水溶性有機物を含んだMnを焼成する工程。
本工程の焼成温度は、400〜900℃が好ましい。400℃未満だとMnがMnへと変化せず、また900℃超だと再還元によりMnとMnが混在してしまうからである。
焼成雰囲気は大気下とすることが、コストの点から好ましい。焼成時間は1〜32時間が好ましい。1時間未満だと十分に反応が進まないおそれがある。32時間超だと合成後の水溶性有機物量が著しく減少してしまうため研磨促進効果が得られないおそれがある。
本発明における研磨砥粒は前記(1)〜(3)の工程により製造できるが、各工程への影響を及ぼさない限り、他の工程を追加してもよい。他の工程としては、例えば、水溶性有機物を含んだMnを乾燥することによって水分を取り除く工程、または分級工程等が挙げられる。
焼成物を分級することにより、粗大粒を除去してもよい。分級する方法としては、例えば、ふるいまたは分級機等の公知の方法が挙げられる。
なお、本発明の研磨砥粒は、上述した方法とは別の方法で製造してもよい。
例えば、購入したマンガン粒子、または液相法、個相法、気相法により合成したマンガン砥粒に、炭素源である有機物、カーボンブラック、グラッシーカーボン、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー、またはカーボンシートを混ぜて400〜900℃で焼成し、Mnを得る方法が挙げられる。
また、液相法、個相法、気相法でマンガン粒子を合成する際に、炭素源である有機物、カーボンブラック、グラッシーカーボン、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー、またはカーボンシートを混合し、Mnを得る方法でもよい。
さらに、液相法、個相法、気相法でマンガン粒子を合成する際に、炭素源である有機物、カーボンブラック、グラッシーカーボン、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー、またはカーボンシートを混合しマンガン粒子を得た後に、400〜900℃で焼成し、Mnを得る方法でもよい。
(研磨スラリー)
本発明の研磨砥粒を、例えば、水等の分散媒に分散させて、研磨スラリーとできる。研磨スラリーにおける研磨砥粒濃度は0.1〜40質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、1〜20質量%がさらに好ましい。研磨砥粒濃度が0.1質量%以上であると十分な研磨速度を得ることができ、40質量%以下であることで効率よく研磨をできる。
分散媒としては、例えば、水およびアルコールが挙げられる。アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノールおよびエチレングリコール等が挙げられる。
スラリーには分散剤を添加してもよい。分散剤としては、公知のものを使用できるが、例えば、グリシン、クエン酸3ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸−マレイン酸共重合体のナトリウム塩、ピリジンカルボン酸およびカルボキシメチルセルロース等が好適に使用できる。
研磨スラリーは分散処理をしてもよい。分散処理には公知の方法を使用することができ、例えば、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、ボールミル、ビーズミルおよび湿式ジェットミル等が挙げられる。
研磨スラリーのpHは5〜12が好ましく、6〜12がより好ましく、7〜12がさらに好ましい。pHが5以上であることで、砥粒を溶解させることなく研磨することができ、12以下であることで被研磨物に影響を与えることなく研磨できる。
〔ガラス基板の製造方法〕
(研磨工程)
本発明のガラス基板の製造方法は、Mn粒子にMnよりも酸化還元電位が負になる有機物を坦持させた砥粒を用いてガラスを研磨する研磨工程を有する。Mn粒子にMnよりも酸化還元電位が負になる有機物を坦持させた砥粒は、セリア砥粒の代替材料としてガラスの研磨に用いることができる。
本発明における研磨の方法は特に限定されないが、例えば、ガラス基板と研磨布とを接触させ、研磨砥粒または研磨スラリーを供給しながら、研磨布とガラス基板とを相対的に移動させて、ガラス基板を鏡面状に研磨することが好ましい。研磨布としては、例えば、発泡ウレタン製研磨パッドが挙げられる。
(洗浄工程)
本発明のガラス基板の製造方法は、研磨工程後にガラス製品に付着した、本発明の研磨砥粒を、洗浄液を用いて洗浄してもよい。洗浄工程はガラス基板やその製品に要求される洗浄レベルによって適切に選択されるべきである。本洗浄工程は下記に限定されないが、一般的な方法として例示する。
本発明のガラス基板の洗浄方法としては、研磨した基板を下記の工程の順で行うことが好ましい。
水洗浄
アルカリ性洗浄液での洗浄(または、中性洗浄液での洗浄)
酸性洗浄液での洗浄
水洗浄
なお、製品に要求される洗浄レベルやガラスの耐薬品性によって、2)アルカリ性洗浄液での洗浄(または、中性洗浄液での洗浄)、3)酸性洗浄液での洗浄のどちらかを行わない、または、複数回行ってもよい。また、洗浄工程において、ガラス基板を洗浄液に直接接触させて洗浄することが好ましい。洗浄液をガラスに直接接触させる方法としては、例えば、洗浄液を洗浄槽に満たし、その中にガラスを入れるディップ式洗浄、ノズルからガラスに洗浄液を噴射する方法、ポリビニルアルコール製のスポンジを用いるスクラブ洗浄等が挙げられる。本発明に用いる洗浄液は上記のいずれの方法にも適応できるが、より効率的な洗浄ができることから、超音波洗浄を併用したディップ式洗浄が好ましい。
前記洗浄工程において用いられるアルカリ性洗浄液においては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の無機アルカリ、アンモニア、またはトリエタノールアミン等の有機アルカリの1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、洗浄効率を上げるためには、界面活性剤やビルダーを含むことが好ましい。
pHに関しては、9〜12が好ましい。pHが9未満であれば、所望の洗浄力が得られないおそれがあり、pHが12超であれば、ガラス基板が面慣れを起こすおそれがある。また、ガラス基板がアルカリ水溶液に対して耐薬品性がない場合には、界面活性剤とビルダーを主成分として構成される中性洗浄剤を用いてもよい。
前記洗浄工程において用いられる酸性洗浄液は、硫酸、塩酸、硝酸、亜硫酸、カロ酸等の無機酸、リン酸やホスホン酸等のリン酸類、およびマレイン酸、シュウ酸、クエン酸、またはグリコール酸等の有機酸の1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、洗浄効率を上げる為の、界面活性剤やビルダー、および、還元剤を含むことが好ましい。還元剤としては、過酸化水素、アスコルビン酸、エリソルビン酸が挙げられる。pHに関しては、1〜5以下が好ましい。pHが1未満であれば、還元剤の効果が小さくなり、所望の洗浄力が得られないおそれがあり、pHが5超であれば、洗浄液中でマンガンがイオンとして存在しにくくなるため、好ましくない。また、ガラス基板が酸性水溶液に対して耐薬品性がない場合には、使用しなくてもよい。
本発明に用いる洗浄液は、溶媒として水を含むことが好ましい。水としては、例えば、脱イオン水、超純水、電荷イオン水、水素水、オゾン水等が挙げられる。なお、水は、本発明に用いる洗浄液の流動性を制御する機能を有するので、その含有量は洗浄速度等の目標とする洗浄特性に合わせて適宜設定できるが、洗浄液全体を100質量%としたときに、通常55〜98質量%とすることが好ましい。
洗浄工程において、洗浄液とガラスとを接触させる時間は、30秒間以上であることが好ましい。30秒間以上とすることにより、十分な洗浄効果を得ることができる。
洗浄工程において、洗浄液の温度は室温でもよく、40〜80℃程度に加温して使用してもよいが、80℃以下とすることが好ましい。洗浄液の温度を80℃以下とすることにより、洗浄液に含まれる酸、アルカリ、酸化剤、または還元剤が熱分解を起こすのを防ぐことができる。また、装置の構成上、洗浄液が100℃に近い温度になると、水の蒸発によるpHコントロールが難しくなることから、80℃以下とすることが好ましい。
(その他の工程)
本発明のガラス基板の製造方法は、ガラス基板が磁気ディスク用ガラス基板、高品質な液晶ディスプレイ用ガラス基板、フォトマスク基板である場合には、その他の工程として、前記洗浄工程の後に、ガラスの主表面を、コロイダルシリカ砥粒を含むスラリーを用いて研磨する仕上げ研磨工程を含むことが好ましい。
本発明の製造方法により製造されるガラス基板としては、例えば、ハードディスクドライブ向けの磁気ディスク基板、半導体基板、フォトマスク基板およびディスプレイ基板等のガラス基板、レンズ並びにCCD向けブルーフィルタガラスおよびカバーガラス等が挙げられる。本発明の製造方法により製造される磁気ディスク用ガラス基板の主表面に磁気記録層を形成することにより磁気ディスクを製造できる。
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。例1〜例4、および例7〜10は実施例、例5、例6、例11、および例12は比較例である。
(1)研磨砥粒および研磨スラリーの調製
[例1]
ガラス製タンクに蒸留水2L、グリシン(関東化学社製、試薬)37.5gを溶解させ、撹藩しながら投げ込みヒーターで水温を50℃に保った。そこへ、マンガン(関東化学社製、試薬)200gをゆっくり投入した。その後5時間保持したのち、目開き150μmのふるいによりろ過し、水溶液を得た。得られた水溶液を80℃で一晩乾燥し、大気下で700℃、8時間焼成して酸化物を得た。
得られた酸化物は酸化マンガン(Mn)であった。得られた酸化マンガンのX線プロファイルを、XRD装置(リガク社製、TTR−III)により測定した。その結果を図1に示す。
また、得られた酸化マンガンに残る残炭素量を、炭素分析装置(堀場製作所社製、EMIA−321V)により測定した。その結果を表1に示す。
また、得られた酸化マンガンの等電点を光学式のゼータ電位計(大塚電子社製、ELSZ−1)により測定した。その結果を表1に示す。
また、得られた酸化マンガンに残るキノン基の有無を、電気化学計測分析装置(北斗電工社製、HSV−110)を用いて測定した結果、−0.6Vにピークを観測したのでキノン基が有ることを確認できた。
得られた酸化マンガン20gと蒸留水378gと分散剤(ライオン社製、ポリティA−550)2gを混合し、ホモジナイザーを15分間かけて、研磨スラリーとした。研磨スラリーにおける砥粒濃度は5質量%とし、分散剤の固形分濃度は1.0質量%とした。
得られた研磨スラリーの体積基準メディアン径(D50)をレーザ回折式粒度分布測定装置(日機装社製:マイクロトラックMT3300EXII)により測定した結果、およびpHを表1に示す。
[例2]
グリシンの添加量を20.2gに変更した以外は例1と同様の方法で酸化マンガンを作製した。得られた酸化マンガンを例1と同様にXRD、炭素分析、ゼータ電位、電気化学計測を行った。得られた酸化マンガンのX線プロファイルを例1と同様に図1に示す。得られた酸化マンガンを例1と同様の方法で研磨スラリーにした。得られた研磨スラリーを例1と同様にレーザ回折式粒度分布測定を行った。その結果を表1に示す。
[例3]
グリシンの添加量を234.2gに変更した以外は例1と同様の方法で酸化マンガンを作製した。得られた酸化マンガンを例1と同様にXRD、炭素分析、ゼータ電位、電気化学計測を行った。得られた酸化マンガンを例1と同様の方法で研磨スラリーにした。得られた研磨スラリーを例1と同様にレーザ回折式粒度分布測定を行った。その結果を表1に示す。
[例4]
グリシンの添加量を857.0gに変更した以外は例1と同様の方法で酸化マンガンを作製した。得られた酸化マンガンを例1と同様にXRD、炭素分析、ゼータ電位、電気化学計測を行った。得られた酸化マンガンを例1と同様の方法で研磨スラリーにした。得られた研磨スラリーを例1と同様にレーザ回折式粒度分布測定を行った。その結果を表1に示す。
[例5]
例1と同様にして水溶液を得た。得られた水溶液の水洗を行った後に80℃で一晩乾燥した以外は、例1と同様にして酸化マンガンを得た。得られた酸化マンガンを例1と同様にXRD測定、炭素分析、ゼータ電位、電気化学計測を行った。得られた酸化マンガンを例1と同様の方法で研磨スラリーにした。得られた研磨スラリーを例1と同様にレーザ回折式粒度分布測定を行った。その結果を表1に示す。
[例6]
例1と同様にして水溶液を得た。得られた水溶液を焼成は行わずに、乾燥して酸化物を得た。
得られた酸化物は酸化マンガン(Mn)であった。得られた酸化マンガンのX線プロファイルを、例1と同様な方法で測定した。その結果を図1に示す。
得られた酸化マンガン20gと蒸留水378gと分散剤(ライオン社製、ポリティA−550)2gを混合し、ホモジナイザーを15分間かけて、研磨スラリーとした。研磨スラリーにおける砥粒濃度は5質量%とし、分散剤濃度は0.5質量%とした。
得られた研磨スラリーの体積基準メディアン径(D50)を例1と同様な方法で測定した結果、およびpHを表1に示す。
Figure 2014118468
(2)溶解試験
1モル/Lの硫酸30mLと過酸化水素0.3gと、(1)の例1で得られた酸化マンガン、および酸化セリウム(昭和電工社製、製品名A10)を30mgとを遠沈管に投入し、室温にて1時間回転架台で撹拌した。
撹拌後、遠心分離機(久保田商事社製、5220)を用いて、3500rpmで10分間遠心分離し、上澄みを除去し、さらに蒸留水を投入して同じように遠心分離、上澄みの除去をおこなった。その後、80℃の恒温槽で3時間乾燥させた。乾燥後、各研磨砥粒の残留量を測定した。この値から、水溶液に溶解した研磨砥粒の割合(溶出量)を求めた。
すなわち、研磨砥粒の各種水溶液への溶出量は、研磨砥粒の各水溶液への添加量から、残留量を引いた値とし、百分率(%)にて表記した。その結果を表2に示す。
Figure 2014118468
表2に示すように、酸化マンガンの研磨砥粒は、酸化セリウムと比較して、洗浄液に対する高い溶解性を示した。
この結果から、酸、アルカリ、酸化剤または還元剤を含む洗浄液に対して高い溶解性を示す酸化マンガンの研磨砥粒は、洗浄液による洗浄効果が高いことが示唆された。
(3)研磨試験
(1)で得られた例7〜12の研磨スラリーを用いて研磨試験を行った。例7では例1の研磨スラリーを、例8では例2の研磨スラリーを、例9では例3の研磨スラリーを、例10では例4の研磨スラリーを、例11では例5の研磨スラリーを、例12では例6の研磨スラリーをそれぞれ用いた。
被研磨物にはガラスを用い、研磨圧は12kPaとし、定盤回転数は40rpmとした。研磨機として12B片面研磨機(スピードファム社製)を用い、研磨パッドとしてFX8H−101U(フジボウ社製)を用いた。
研磨スラリーは100ml/分間で循環させ、20分間の研磨を行った。研磨前後の重量差から研磨速度(μm/分間)を算出した。その結果を表3に示す。
Figure 2014118468
表3に示すように、Mn粒子にMnよりも酸化還元電位が負になる研磨促進修飾物を坦持させた砥粒を含む研磨スラリー(例7〜10)によりガラスを研磨した場合、Mnよりも酸化還元電位が負になる研磨促進修飾物を坦持させていない砥粒を含む研磨スラリー(例11)、およびMn粒子を含む研磨スラリー(例12)と比較して、研磨速度が顕著に高くなることが分かった。
本発明の研磨砥粒および研磨スラリーは、ハードディスクドライブ向けの磁気ディスク基板、半導体基板、フォトマスク基板およびディスプレイ基板等のガラス基板、レンズ並びにCCD向けブルーフィルタガラスおよびカバーガラス等のガラス基板の製造における研磨工程に利用できる。

Claims (8)

  1. 基板を研磨するための砥粒であって、前記砥粒が主としてMn粒子からなり、前記Mn粒子に、Mnよりも酸化還元電位が負になる有機物を坦持させたことを特徴とする研磨砥粒。
  2. 前記有機物がキノン基を有する請求項1に記載の研磨砥粒。
  3. 基板を研磨するための砥粒の製造方法あって、前記砥粒が主としてMn粒子からなり、前記Mn粒子に、Mnよりも酸化還元電位が負になる有機物を坦持させた砥粒であり、下記(1)〜(3)の工程を含むことを特徴とする研磨砥粒の製造方法。
    (1)金属マンガンと、水溶性有機物と、水とを混合し、混合物を製造する工程。
    (2)前記混合物を酸化させ、前記水溶性有機物を含んだMnを製造する工程。
    (3)前記水溶性有機物を含んだMnを焼成する工程。
  4. 前記水溶性有機物が、ジカルボン酸、アミノ酸、複素環系のカルボン酸、アミン基を有する有機物、およびスルホン基を有する有機物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上である請求項3に記載の研磨砥粒の製造方法。
  5. 前記ジカルボン酸が、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等の飽和カルボン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、アスコルビン酸等のヒドロキシ酸、フタル酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、およびマレイン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種以上である請求項4に記載の研磨砥粒の製造方法。
  6. 前記アミノ酸が、グリシン、アラニン、バリン、アスパラギン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種以上である請求項4に記載の研磨砥粒の製造方法。
  7. 請求項1または2に記載の研磨砥粒と、分散媒とを含む研磨スラリー。
  8. 請求項1若しくは2に記載の砥粒、または請求項7に記載の研磨スラリーを用いてガラス基板を研磨する工程を含むガラス基板の製造方法。
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