JP2014118333A - ナノシリコン材料とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】比表面積が大きく、SiOの含有量が低減されたナノシリコン材料を提供する。
【解決手段】酸と二ケイ化カルシウムと、を反応させて得られた層状ポリシランを熱処理することで製造する。用いる層状ポリシランは、ラマンスペクトルにおいてラマンシフトの341±10cm-1、360±10cm-1、498±10cm-1、638±10cm-1、734±10cm-1にピークが存在する。
【選択図】図3

Description

本発明は、半導体、電気・電子等の各分野に利用可能であり、リチウムイオン二次電池などの非水系二次電池の負極活物質に有用なナノシリコン材料とその製造方法に関するものである。
リチウムイオン二次電池は、充放電容量が高く、高出力化が可能な二次電池である。現在、主として携帯電子機器用の電源として用いられており、更に、今後普及が予想される電気自動車用や家庭用大型電気機器の電源として期待されている。リチウムイオン二次電池は、リチウム(Li)を挿入および脱離することができる活物質を正極及び負極にそれぞれ有する。そして、両極間に設けられた電解液内をリチウムイオンが移動することによって動作する。
リチウムイオン二次電池には、正極の活物質として主にリチウムコバルト複合酸化物等のリチウム含有金属複合酸化物が用いられ、負極の活物質としては多層構造を有する炭素材料が主に用いられている。リチウムイオン二次電池の性能は、二次電池を構成する正極、負極および電解質の材料に左右される。なかでも活物質を形成する活物質材料の研究開発が活発に行われている。例えば負極活物質材料として炭素よりも高容量なケイ素またはケイ素酸化物が検討されている。
ケイ素を負極活物質として用いることにより、炭素材料を用いるよりも高容量の電池とすることができる。しかしながらケイ素は、充放電時のLiの吸蔵・放出に伴う体積変化が大きい。そのためケイ素が微粉化して集電体から脱落または剥離し、電池の充放電サイクル寿命が短いという問題点がある。そこでケイ素酸化物を負極活物質として用いることにより、ケイ素よりも充放電時のLiの吸蔵・放出に伴う体積変化を抑制することができる。
例えば、負極活物質として、酸化ケイ素(SiOx:xは0.5≦x≦1.5程度)の使用が検討されている。SiOxは熱処理されると、SiとSiO2とに分解することが知られている。これは不均化反応といい、固体の内部反応によりSi相とSiO2相の二相に分離する。分離して得られるSi相は非常に微細である。また、Si相を覆うSiO2相が電解液の分解を抑制する働きをもつ。したがって、SiとSiO2とに分解したSiOxからなる負極活物質を用いた二次電池は、サイクル特性に優れる。
上記したSiOxのSi相を構成するシリコン粒子が微細であるほど、それを負極活物質として用いた二次電池はサイクル特性が向上する。そこで特許第3865033号(特許文献1)には、金属シリコンとSiO2を加熱して昇華させて酸化珪素ガスとし、それを冷却してSiOxを製造する方法が記載されている。この方法によれば、Si相を構成するシリコン粒子の粒径を1-5nmのナノサイズとすることができる。
また特開2009-102219号公報(特許文献2)には、シリコン原料を高温のプラズマ中で元素状態まで分解し、それを液体窒素温度まで急冷してシリコンナノ粒子を得、このシリコンナノ粒子をゾルゲル法などでSiO2-TiO2マトリクス中に固定する製造方法が記載されている。
ところが特許文献1に記載の製造方法では、マトリクスが昇華性の材料に限られる。また特許文献2に記載の製造方法では、プラズマ放電のために高いエネルギーが必要となる。さらにこれらの製造方法で得られたシリコン複合体では、Si相のシリコン粒子の分散性が低く凝集し易いという不具合がある。Si粒子どうしが凝集して粒径が大きくなると、それを負極活物質として用いた二次電池は初期容量が低く、サイクル特性も低下する。
ところで近年、半導体、電気・電子等の各分野への利用が期待されるナノシリコン材料が開発されている。例えばPhysical Review B(1993),vol48,8172-8189(非特許文献1)には、塩化水素(HCl)と二ケイ化カルシウム(CaSi2)とを反応させることで層状ポリシランを合成する方法が記載され、こうして得られる層状ポリシランは、発光素子などに利用できることが記載されている。
特許第3865033号公報 特開2009-102219号公報
Physical Review B(1993),vol48,8172-8189
ところが非特許文献1に記載された層状ポリシランは、比表面積が大きく、SiO2成分が多く含まれているために、二次電池の負極活物質材料としては適していないという不具合があった。例えばリチウムイオン二次電池の負極においては、比表面積が大きいと電解液の分解が促進されるために負極で消費される不可逆容量が大きくなり、高容量化が困難である。またSiであれば問題がないが負極活物質中にSiO2成分が多く含まれると、初期特性の劣化を引き起こすことが知られている。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、比表面積が小さく、SiO2の含有量が低減されたナノシリコン材料を提供することを解決すべき課題とする。
上記課題を解決する本発明のナノシリコン材料の特徴は、層状ポリシランを熱処理することで製造され、ラマンスペクトルにおいてラマンシフトの341±10cm-1、360±10cm-1、498±10cm-1、638±10cm-1、734±10cm-1にピークが存在することにある。
本発明のナノシリコン材料は、BET比表面積が55m2/g以下、さらには25m2/g以下であることが望ましく、含まれる酸素量が15質量%以下、さらには10質量%以下であることが望ましい。
本発明のナノシリコン材料の製造方法の特徴は、塩化水素(HCl)と、二ケイ化カルシウム(CaSi2)と、を反応させて得られた層状ポリシランを、窒素ガスを除く非酸化性雰囲気下にて300℃を超える温度で熱処理することにある。
またもう一つの発明のナノシリコン材料の製造方法の特徴は、フッ化水素(HF)と塩化水素(HCl)との混合物と、二ケイ化カルシウム(CaSi2)と、を反応させて得られた層状ポリシランを、窒素ガスを除く非酸化性雰囲気下にて300℃を超える温度で熱処理することにある。
本発明のナノシリコン材料によれば、BET比表面積が原料の層状ポリシランよりも小さいので、電解液の分解を抑制できる。したがってリチウムイオン二次電池の負極としての初期特性が改善するため、二次電池の負極活物質などに利用することができる。また、処理方法の変化によって比表面積を制御できるために、反応点に導電性を付与したり、絶縁性物質を担持すれば絶縁性を付与することもできるので、各種電子デバイス材料として用途展開が期待される。
そして本発明の製造方法によれば、本発明のナノシリコン材料を容易にかつ確実に製造することができる。
層状ポリシランのラマンスペクトルである。 単結晶シリコンのラマンスペクトルである。 実施例1に係るナノシリコン粉末のラマンスペクトルである。 実施例1で得られた粉末のX線回折スペクトルである。 比較例1で得られた粉末のX線回折スペクトルである。
本願発明者らは、非特許文献1に記載された層状ポリシランに関して鋭意研究を行い、そのラマンスペクトルに着目した。一般的にラマンシフトは高周波側へシフトすると結合が強くなり、低周波側へシフトすると結合が切れやすくなることが知られている。この層状ポリシランのラマンスペクトルを図1に、単結晶シリコンのラマンスペクトルを図2に示す。図1と図2の比較から、単結晶シリコンにおいて500cm-1に観測されるSi-Si結合のピークを見ると、層状ポリシランでは単結晶シリコンに比べて低周波側の320cm-1付近にシフトしたことがわかった。
すなわち層状ポリシラン構造とすることで、Si-Siの結合が弱くなり、穏和な条件でのナノシリコン化が可能となることが予測された。そして、窒素ガスを除く非酸化性雰囲気下にて300℃を超える温度で層状ポリシランを熱処理することで、多孔質で酸素量が低減されたナノシリコン材料が得られることを見出し、本発明を完成した。
非特許文献1に記載された層状ポリシランは、ケイ素原子で構成された六員環が複数連なった構造をなし組成式(SiH)nで示される層状ポリシランを基本骨格としている。この層状ポリシランを非酸化性雰囲気下にて300℃を超える温度で熱処理することにより、平均粒径が5nm程度のナノシリコン材料が得られ、ラマンスペクトルにおいてラマンシフトの341±10cm-1、360±10cm-1、498±10cm-1、638±10cm-1、734±10cm-1にピークを有する。300℃以下の熱処理では、層状ポリシランの構造がそのまま維持され、ナノシリコンは得られない。
熱処理時間は、熱処理温度によって異なるが、500℃の熱処理であれば1時間で充分である。
層状ポリシランの製造条件によって、得られる層状ポリシランの比表面積及び酸素量が変化し、それを熱処理して得られるナノシリコンの比表面積及び酸素量も変化することがわかっている。非特許文献1では、塩化水素(HCl)と二ケイ化カルシウム(CaSi2)とを反応させて層状ポリシランを得ている。二ケイ化カルシウム(CaSi2)は、ダイヤモンド型のSiの(111)面の間にCa原子層が挿入された層状結晶をなし、酸との反応でカルシウム(Ca)が引き抜かれることによって層状ポリシランが得られる。
しかしCaを引き抜く酸として、フッ化水素(HF)と塩化水素(HCl)の混合物を用いることで、得られる層状ポリシランの比表面積が増大するものの酸素量が少なくなることが明らかとなった。
本発明の製造方法では、フッ化水素(HF)と塩化水素(HCl)との混合物と、二ケイ化カルシウム(CaSi2)と、を反応させている。二ケイ化カルシウム(CaSi2)は、ダイヤモンド型のSiの(111)面の間にCa原子層が挿入された層状結晶をなし、酸との反応でカルシウム(Ca)が引き抜かれることによって層状ポリシランが得られる。
この製造方法では、酸としてフッ化水素(HF)と塩化水素(HCl)との混合物を用いている。フッ化水素(HF)を用いることで、合成中あるいは精製中に生成するSiOがエッチングされ、これにより酸素量が低減される。フッ化水素(HF)のみを用いた場合でも層状ポリシランが得られるものの、活性が高く微量の空気によって酸化され、逆に酸素量が増大するため好ましくない。また塩化水素(HCl)のみを用いた場合は非特許文献1と同様であり、酸素量が多い層状ポリシランしか得られない。
フッ化水素(HF)と塩化水素(HCl)との組成比は、モル比でHF/HCl=1/10000〜1/1の範囲が望ましい。フッ化水素(HF)の量がこの比より多くなるとCaF2、CaSiO系などの不純物が生成し、この不純物と層状ポリシランとを分離するのが困難であるため好ましくない。またフッ化水素(HF)の量がこの比より少なくなると、HFによるエッチングの効果が弱くなる場合がある。
フッ化水素(HF)と塩化水素(HCl)との混合物と二ケイ化カルシウム(CaSi2)との配合比は、当量より酸を過剰にすることが望ましい。実際の反応では、副反応としてフッ化水素(HF)とSiとが反応してSiF4が生じ、CaF2はほとんど生成しない。また反応雰囲気は、真空下又は不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。窒素ガス雰囲気下では、窒化ケイ素(SiN)が生成する可能性があるため好ましくない。なお本発明の製造方法によれば、非特許文献1の製造方法に比べて反応時間が短くなることも明らかとなった。反応時間が長すぎるとSiとHFがさらに反応しSiF4が生じてしまうため、反応時間は0.25〜24時間程度で充分である。反応温度は、室温でも容易に反応する。
反応によりCaCl2などが生成するが、水洗によって容易に除去することができ、層状ポリシランの精製は容易である。
<ナノシリコン材料>
非特許文献1に記載の製造方法で製造された層状ポリシランの比表面積は約20m2/gと比較的小さいが、実施例に記載したように、本発明の製造方法で製造された層状ポリシランの比表面積は122.3m2/gと大きい。
そのため非特許文献1に記載の製造方法で製造された層状ポリシランを熱処理することで得られたナノシリコンの比表面積は約7m2/gと小さいが、本発明の製造方法で製造された層状ポリシランを熱処理することで得られたナノシリコンの比表面積は55m2/g以下であり、層状ポリシランに比べて小さい。
非特許文献1に記載の製造方法で製造された層状ポリシランの酸素量は約40質量%と比較的多いが、本発明の製造方法で製造された層状ポリシランの酸素量は30質量%以下ときわめて少ない。なお酸素量は、エネルギー分散X線分光法(EDX)にて測定された数値である。
そして非特許文献1に記載の製造方法で製造された層状ポリシランを熱処理することで得られたナノシリコンの酸素量は約39質量%と大きいが、本発明の製造方法で製造された層状ポリシランを熱処理することで得られたナノシリコンの酸素量は20質量%以下と小さい。
層状ポリシランを窒素ガスを除く非酸化性雰囲気下にて300℃を超える温度で熱処理することで、本発明のナノシリコン材料が得られる。非酸化性雰囲気としては、不活性ガス雰囲気、真空雰囲気が例示される。窒素ガス雰囲気では、窒化ケイ素が生成する場合があるので好ましくない。また熱処理温度は、300℃〜800℃の範囲が好ましく、400℃〜600℃の範囲が特に好ましい。
こうして得られるナノシリコン材料の粒径は、蓄電装置の電極活物質として用いる場合には0.5nm〜30nmが好ましく、1nm〜10nmの範囲が特に望ましい。
本発明のナノシリコン材料は、多孔質で酸素量が少ないので、二次電池の電極活物質としてきわめて有用である。
濃度36重量%のHCl水溶液20mlを氷浴中で0℃とし、アルゴンガス気流中にてそこへ2gの二ケイ化カルシウム(CaSi2)を加えて撹拌した。発泡が完了したのを確認した後に室温まで昇温し、室温でさらに2時間撹拌した後、蒸留水20mlを加えてさらに10分間撹拌した。このとき黄色粉末が浮遊した。
得られた混合溶液を濾過し、残渣を10mlの蒸留水で洗浄した後、10mlのエタノールで洗浄し、真空乾燥して2gの層状ポリシランを得た。この層状ポリシランのラマンスペクトルを図1に示している。
この層状ポリシランを1g秤量し、O2を1体積%以下の量で含むアルゴンガス中にて500℃で1時間保持する熱処理を行った。得られたナノシリコン粉末のラマンスペクトルを図3に示す。ラマンシフトの341±10cm-1、360±10cm-1、498±10cm-1、638±10cm-1、734±10cm-1にピークが存在している。
濃度46重量%のHF水溶液7mlと、濃度36重量%のHCl水溶液56mlとの混合溶液を氷浴中で0℃とし、アルゴンガス気流中にてそこへ3.3gの二ケイ化カルシウム(CaSi2)を加えて撹拌した。発泡が完了したのを確認した後に室温まで昇温し、室温でさらに2時間撹拌した後、蒸留水20mlを加えてさらに10分間撹拌した。このとき黄色粉末が浮遊した。
得られた混合溶液を濾過し、残渣を10mlの蒸留水で洗浄した後、10mlのエタノールで洗浄し、真空乾燥して2.5gの層状ポリシランを得た。
この層状ポリシランを1g秤量し、O2を1体積%以下の量で含むアルゴンガス中にて500℃で1時間保持する熱処理を行った。得られたナノシリコン粉末のラマンスペクトルは、実施例1のナノシリコンのラマンスペクトルと同等であり、ラマンシフトの341±10cm-1、360±10cm-1、498±10cm-1、638±10cm-1、734±10cm-1にピークが存在した。
[比較例1]
熱処理温度を300℃としたこと以外は実施例1と同様である。
<X線回折分析>
実施例1及び比較例1で得られた粉末のX線回折チャートを、図4及び図5にそれぞれ示す。図4の半値幅から、実施例1のナノシリコンの粒径は5nm程度であることが示唆される。また図5のX線回折チャートは用いた層状ポリシランのX線回折チャートと同一であることから、比較例1のように熱処理温度が300℃では、ナノシリコンへの構造変化が困難であり、ナノ化には300℃を超える温度が必要であることがわかる。
<比表面積分析>
実施例1〜2で調製された層状ポリシランとナノシリコン材料について、それぞれ比表面積をBET法により測定した。結果を表1に示す。表1から、実施例2の製造方法によれば、実施例1の製造方法より比表面積が増大する。しかし全体としてナノシリコン化させることで比表面積が減少しており、市販されている50nmのSi粒子の比表面積(120m2/g)よりも小さいことがわかる。
Figure 2014118333
<酸素濃度分析>
実施例1〜2で調製された層状ポリシランとナノシリコン材料について、それぞれ含まれる酸素量をエネルギー分散X線分光法(EDX)にて測定した。結果を表2に示す。実施例2の製造方法によれば、実施例1の製造方法より含まれる酸素量が低下したナノシリコンが得られることがわかる。
Figure 2014118333
本発明のナノシリコン材料は、二次電池、電気二重層コンデンサ、リチウムイオンキャパシタなどの蓄電装置の負極活物質として利用できる。そして通常のナノSi材料よりも小さな比表面積と含まれる酸素量が少ないことから、その蓄電装置は電気自動車やハイブリッド自動車のモータ駆動用、パソコン、携帯通信機器、家電製品、オフィス機器、産業機器などに利用される非水系二次電池として有用であり、特に、大容量、大出力が必要な電気自動車やハイブリッド自動車のモータ駆動用に最適に用いることができる。
また、比表面積の大きさを制御できるため他の材料と複合化できることから、半導体材料、例えばCMOS、半導体メモリ、太陽電池材料、光触媒材料などとして利用できる。
本発明は、半導体、電気・電子等の各分野に利用可能であり、リチウムイオン二次電池などの非水系二次電池の負極活物質に有用なナノシリコン材料の製造方法に関するものである。
上記課題を解決する本発明のナノシリコン材料の製造方法の特徴は、フッ化水素(HF)と塩化水素(HCl)との混合物と、二ケイ化カルシウム(CaSi 2 )と、を反応させて得られた層状ポリシランを、非酸化性雰囲気下にて300℃を超える温度で熱処理することにある。
本発明により得られるナノシリコン材料は、BET比表面積が55m2/g以下、さらには25m2/g以下であることが望ましく、含まれる酸素量が15質量%以下、さらには10質量%以下であることが望ましい。
層状ポリシランのラマンスペクトルである。 単結晶シリコンのラマンスペクトルである。 参考例1に係る層状ポリシランのラマンスペクトルである。 参考例1で得られた粉末のX線回折スペクトルである。 比較例1で得られた粉末のX線回折スペクトルである。
すなわち層状ポリシラン構造とすることで、Si-Siの結合が弱くなり、穏和な条件でのナノシリコン化が可能となることが予測された。そして、非酸化性雰囲気下にて300℃を超える温度で層状ポリシランを熱処理することで、多孔質で酸素量が低減されたナノシリコン材料が得られることを見出し、本発明を完成した。
非特許文献1に記載された層状ポリシランは、ケイ素原子で構成された六員環が複数連なった構造をなし組成式(SiH)nで示される層状ポリシランを基本骨格としている。この層状ポリシランを非酸化性雰囲気下にて300℃を超える温度で熱処理することにより、平均粒径が5nm程度のナノシリコン材料が得られる。300℃以下の熱処理では、層状ポリシランの構造がそのまま維持され、ナノシリコンは得られない。
本発明により得られるナノシリコン材料は、多孔質で酸素量が少ないので、二次電池の電極活物質としてきわめて有用である。
参考例1
得られた混合溶液を濾過し、残渣を10mlの蒸留水で洗浄した後、10mlのエタノールで洗浄し、真空乾燥して2gの層状ポリシランを得た。得られた層状ポリシランのラマンスペクトルを図3に示す。ラマンシフトの341±10cm -1 、360±10cm -1 、498±10cm -1 、638±10cm -1 、734±10cm -1 にピークが存在している。
この層状ポリシランを1g秤量し、O2を1体積%以下の量で含むアルゴンガス中にて500℃で1時間保持する熱処理を行った。
実施例1
得られた混合溶液を濾過し、残渣を10mlの蒸留水で洗浄した後、10mlのエタノールで洗浄し、真空乾燥して2.5gの層状ポリシランを得た。得られた層状ポリシランのラマンスペクトルは、参考例1の層状ポリシランのラマンスペクトルと同等であり、ラマンシフトの341±10cm -1 、360±10cm -1 、498±10cm -1 、638±10cm -1 、734±10cm -1 にピークが存在した。
この層状ポリシランを1g秤量し、O2を1体積%以下の量で含むアルゴンガス中にて500℃で1時間保持する熱処理を行った。
熱処理温度を300℃としたこと以外は参考例1と同様である。
<X線回折分析>
参考例1及び比較例1で得られた粉末のX線回折チャートを、図4及び図5にそれぞれ示す。図4の半値幅から、参考例1のナノシリコンの粒径は5nm程度であることが示唆される。また図5のX線回折チャートは用いた層状ポリシランのX線回折チャートと同一であることから、比較例1のように熱処理温度が300℃では、ナノシリコンへの構造変化が困難であり、ナノ化には300℃を超える温度が必要であることがわかる。
<比表面積分析>
参考例1、実施例1で調製された層状ポリシランとナノシリコン材料について、それぞれ比表面積をBET法により測定した。結果を表1に示す。表1から、実施例1の製造方法によれば、参考例1の製造方法より比表面積が増大する。しかし全体としてナノシリコン化させることで比表面積が減少しており、市販されている50nmのSi粒子の比表面積(120m2/g)よりも小さいことがわかる。
Figure 2014118333
<酸素濃度分析>
参考例1、実施例1で調製された層状ポリシランとナノシリコン材料について、それぞれ含まれる酸素量をエネルギー分散X線分光法(EDX)にて測定した。結果を表2に示す。実施例1の製造方法によれば、参考例1の製造方法より含まれる酸素量が低下したナノシリコンが得られることがわかる。
Figure 2014118333
本発明により得られるナノシリコン材料は、二次電池、電気二重層コンデンサ、リチウムイオンキャパシタなどの蓄電装置の負極活物質として利用できる。そして通常のナノSi材料よりも小さな比表面積と含まれる酸素量が少ないことから、その蓄電装置は電気自動車やハイブリッド自動車のモータ駆動用、パソコン、携帯通信機器、家電製品、オフィス機器、産業機器などに利用される非水系二次電池として有用であり、特に、大容量、大出力が必要な電気自動車やハイブリッド自動車のモータ駆動用に最適に用いることができる。

Claims (7)

  1. 層状ポリシランを熱処理することで製造され、ラマンスペクトルにおいてラマンシフトの341±10cm-1、360±10cm-1、498±10cm-1、638±10cm-1、734±10cm-1にピークが存在することを特徴とするナノシリコン材料。
  2. BET法により測定した比表面積が55m2/g以下である請求項1に記載のナノシリコン材料。
  3. BET法により測定した比表面積が25m2/g以下である請求項1に記載のナノシリコン材料。
  4. 含まれる酸素量が15質量%以下である請求項1〜3のいずれかに記載のナノシリコン材料。
  5. 含まれる酸素量が10質量%以下である請求項1〜4のいずれかに記載のナノシリコン材料。
  6. 塩化水素(HCl)と、二ケイ化カルシウム(CaSi2)と、を反応させて得られた層状ポリシランを、窒素ガスを除く非酸化性雰囲気下にて300℃を超える温度で熱処理することを特徴とするナノシリコン材料の製造方法。
  7. フッ化水素(HF)と塩化水素(HCl)との混合物と、二ケイ化カルシウム(CaSi2)と、を反応させて得られた層状ポリシランを、窒素ガスを除く非酸化性雰囲気下にて300℃を超える温度で熱処理することを特徴とするナノシリコン材料の製造方法。
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