JP2014118162A - 剥離できる蓋材及びその蓋材を有する容器 - Google Patents

剥離できる蓋材及びその蓋材を有する容器 Download PDF

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Abstract

【課題】蓋材と容器のシール位置がずれても容易に開封でき、かつ脱落タブ片が生成しない蓋材と、それを用いた蓋付容器とを提供すること。
【解決手段】積層されている表層及び裏層を含み、本体と前記本体の周縁から突出している少なくとも1つのタブを有し、かつ前記表層が、少なくとも前記本体において、前記裏層から剥離可能である、容器の開口部を密封するための蓋材であって、
前記本体と前記タブとの間において、ハーフカットが、複数の略平行な破線として、前記タブの突出方向と交わる方向で、前記裏層の少なくとも一部分の深さ又は前記裏層の全てを貫通する深さまで形成されている、蓋材。
【選択図】図5

Description

本発明は、容器の開口部を密封するための蓋材などに関する。
従来、裏層及び表層を含む蓋材であって、表層を裏層から剥離することにより、裏層に形成されていた開孔を露出させることができる蓋材が知られている。このようにして露出された開孔は、容器の内容物を通過させるか、又はストローなどの他の物品を容器の開口部に挿入するために、使用されることができる。
通常、図1(a)、図1(b)及び図2(a)に示されるように、蓋材(10)の本体(1)の周縁(3)からは、少なくとも1つのタブ(2)が突出しており、また蓋材(10)の裏層(6a、6b)では、ハーフカット(4)が、蓋材(10)の本体(1)とタブ(2)との間に、一本の直線として形成されている。蓋材(10)のタブ(2)は、蓋材(10)の本体(1)における裏層(6a)から、表層(5)の剥離を開始するための要素、すなわち剥離きっかけ用タブとして用いられるものである。
このような蓋材(10)を有する蓋付容器を製造するためには、蓋材(10)が、その裏層(6a、6b)側において、容器(20)の周囲のフランジ部(7)とヒートシールされる。
しかしながら、この場合には、容器(20)と蓋材(10)とのヒートシールの際の位置合わせを、非常に厳密に行わなければならなかった。
具体的には、図2(b)に示されるように、一本の直線として形成されたハーフカット(4)が、ヒートシールの端部よりも大きく内側にあると、蓋材(10)の本体(1)における裏層(6a)からの表層(5)の剥離の際に、蓋材のタブ(2)の裏層(6b)を容器のフランジ部(7)から剥離する段階を経て、表層を剥離する必要があり、裏層(6a)からの表層(5)の剥離が難しくなることがあった。
一方で、図2(c)に示されるように、ハーフカット(4)が、ヒートシールの端部よりも大きく外側にあると、蓋材(10)の本体(1)における裏層(6a)からの表層(5)の剥離の際に、ハーフカット(4)に力が掛かり難く、したがって裏層(6a)からの表層(5)の剥離が難しくなることがあった。
このような一本の直線のハーフカットの不利点を解消するために、図3(a)、図3(b)及び図4で示すように、蓋材(10)の裏層(6a、6b、6c)に、複数の実線状ハーフカット(4)を形成することが提案されている(例えば特許文献1〜3)。
具体的には、特許文献1では、「ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム/インキ層/ナイロンフィルム/ポリプロピレン(PP)系イージーピールシーラントフィルム/ポリエチレン/延伸PETフィルム/PP」という層構成から成る分離可能な蓋材において、剥離きっかけ用タブを形成するために、複数の実線状ハーフカットラインを、一方の辺から隣接するもう一方の辺に向けて、シーラント層から内側シートを貫通する深さで、平行に数ミリ単位の等間隔で形成することが、提案されている。
また、特許文献2では、「基材層/中間層/熱接着性樹脂層」という層構成から成る蓋材であって、中間層と熱接着性樹脂層の間で剥離可能な蓋材において、剥離きっかけ用タブを形成するために、単数又は複数の実線状ハーフカットラインを形成することが、提案されている。
更に、特許文献3では、「基材層/中間層/第1ポリオレフィン層/第1接着性樹脂層/エチレン−ビニルアルコールコポリマー(EVOH)層/第2接着性樹脂層/第2ポリオレフィン層」という層構成から成る蓋材であって、第1接着性樹脂層とEVOH層との間で剥離可能な蓋材において、剥離きっかけ用タブを形成するために、単数又は複数の実線状ハーフカットラインを、第2ポリオレフィン層からEVOH層に亘って形成することが、提案されている。
なお、特許文献4では、表層及び裏層を含み、かつ裏層から表層を剥離できる蓋材において、表層の表面に形成されたU字形ハーフカットの一部分を破線状にすることが提案されている。
特開2007−269370号公報 特開2010−143583号公報 特開2012−76766号公報 特開2012−106775号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載の蓋材の裏層側に形成されたハーフカットは、複数列の実線の形態であるために、複数のハーフカットラインで囲まれた領域の面積が小さく、衝撃の影響が大きい。それ故に、ボイル処理などの外部からの衝撃が加えられたときに、図4で示しているように、複数のハーフカットラインの間にある裏層(6c)が表層(5)から脱落すること、すなわち脱落タブ片(6d)が生じることがあった。
このような脱落タブ片(6d)が、蓋付容器の製造ラインに混入することは、異物混入によって製造ラインが止まってしまい、時間当たりの生産性の低下につながり、また、何らかの要因により蓋付容器内に混入してしまう可能性があることから、特に消費者が内容物を口にする製品を製造する食品業界などにおいて大きな問題となる。したがって、脱落タブ片(6d)の生成の防止については、未だに改良の余地がある。
なお、特許文献4に記載の破線状ハーフカットは、複数の蓋付容器を重ねたときに、鉛直方向の圧力によるU字形表ハーフカットの切断を防止するために、蓋材の表層に形成されているので、剥離きっかけ用タブを構成している蓋材の裏層に形成されたハーフカットとは異なる。
したがって、本発明は、蓋材と容器のシール位置がずれても容易に開封でき、かつ脱落タブ片が生成しない蓋材と、それを用いた蓋付容器とを提供することを目的とする。
本発明者らは、剥離きっかけ用タブを構成している蓋材の裏層側に、複数のハーフカットラインをミシン目状に形成することにより、上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、下記の通りである:
[1] 積層されている表層及び裏層を含み、本体と前記本体の周縁から突出している少なくとも1つのタブを有し、かつ前記表層が、少なくとも前記本体において、前記裏層から剥離可能である、容器の開口部を密封するための蓋材であって、
前記本体と前記タブとの間において、ハーフカットが、複数の略平行な破線として、前記タブの突出方向と交わる方向で、前記裏層の少なくとも一部分の深さ又は前記裏層の全てを貫通する深さまで形成されている、蓋材。
[2] 前記ハーフカットの破線のアンカット部は、前記破線1cm当たり6個以上である、[1]に記載の蓋材。
[3] 前記ハーフカットの破線のカット率が、57%以上である、[1]または[2]に記載の蓋材。
[4] [1]〜[3]のいずれか1項に記載の蓋材と容器とを有し、かつ前記蓋材と前記容器のフランジ部とがヒートシールされている、蓋付容器。
[5] 前記ハーフカットで開始される剥離において、開封強度が、12N以下である、[4]に記載の蓋付容器。
[6] 前記容器の前記開口部に最も近い前記破線と前記蓋付容器のシールエッジとの2つの交点をそれぞれ第1及び第2の交点としたときに、前記タブの突出方向と直交する方向における前記タブの幅が、前記第1及び第2の交点間の距離よりも小さい、[4]または[5]に記載の蓋付容器。
本発明の蓋材によれば、蓋材と容器のシール位置がずれても、複数のハーフカットラインのいずれかが、蓋付容器の開封きっかけとなることができるので、蓋付容器から蓋材を容易に分離することができる。
また、本発明の蓋材によれば、複数列の破線状ハーフカットは、アンカット部分において、互いに接続しているので、一般的な直線状ハーフカットに比べて、複数のハーフカットラインの間にある裏層が、製造時の衝撃により剥がれないようにして、脱落タブ片の発生を防止することができる。したがって、本発明の蓋材によれば、容器の内容物の安全性又は製造ラインの安全性を向上させることもできる。
図1(a)は、従来の蓋材を有する容器の上面図であり、図1(b)は、従来の蓋材の下面図である。 図2は、図1の線II−IIにおける一部断面図であり、図2(a)は、蓋材と容器のシール位置が正常な場合を示し、図2(b)は、ハーフカットの位置が、蓋付容器のシールエッジよりも容器の開口部側に寄っている場合を示し、そして図2(c)は、ハーフカットの位置が、蓋付容器のシールエッジよりも容器の外側に寄っている場合を示す。 図3(a)は、従来の別の蓋材を有する容器の上面図であり、図3(b)は、従来の別の蓋材の下面図である。 図3の線IV−IVにおける一部断面図であり、2本のハーフカットラインの間にある裏層部分から脱落タブ片が生成する場合を示す。 本発明の実施形態に係る蓋材を有する容器の上面図である。 本発明の実施形態に係る蓋材の下面図である。 図7(a)は、図5の線VIIa−VIIaにおける一部断面図であり、複数の破線状ハーフカットがカット部を有する場合を示し、図7(b)は、図5の線VIIb−VIIbにおける一部断面図であり、複数の破線状ハーフカットがアンカット部を有する場合を示し、そして図7(c)は、剥離きっかけ用タブを引き上げる場合を示す。 図8は、ハーフカットの形状を説明するための図であり、図8(a)は、ミシン目状ハーフカットラインを示し、図8(b)は、ギザギザのハーフカットラインを示し、図8(c)は、複数のアスタリスク状ハーフカットを示し、図8(d)は、図8(c)中の3個のアスタリスクの拡大図であり、そして図8(e)は、実線状ハーフカットラインを示す。 図9は、蓋材のタブの形状を説明するための図であり、図9(a)は、タブが小型である場合を示し、図9(b)は、タブが中型(R=2)である場合を示し、図9(c)は、タブが中型(R=10)である場合を示し、そして図9(d)は、タブが大型である場合を示す。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々変形して実施されることができる。
<蓋材>
蓋材は、容器の開口部を密封するための要素である。
図5〜7に示されるように、蓋材は、積層されている表層(5)及び裏層(6)を含む。また、蓋材は、本体(1)、及び本体(1)の周縁(3)から突出している少なくとも1つのタブ(2)を有する。
図5〜7に示されるように、裏層(6)のタブ(2)を構成している部分に、ハーフカット(4)が、複数の略平行な破線として、タブ(2)の突出方向(x)と交わる方向で、裏層(6)の少なくとも一部分又は全てを貫通する深さまで形成されている。
複数列の破線状ハーフカット(4)は、カット部及びアンカット部を有しているので、蓋材の裏層(6)は、図7(a)のようにカット部が形成されているとしても、図7(b)のようにアンカット部分において部分的に接続している。
<蓋材の構成要素>
以下、蓋材の構成要素である「本体」、「タブ」、「表層」及び「裏層」について、それぞれ説明する。
<本体>
蓋材の本体は、蓋材の主たる部分である。
また、蓋材の本体は、タブなどの追加的な要素を含んでいないが、周縁を含んでよい。
蓋材の本体は、例えばシール法により、容器の少なくとも一部分と接合されて、容器の開口部を覆うことができる。例えば、蓋付容器を製造するために、蓋材の本体の下面を容器のフランジ部とシールすることができる。また、蓋材の本体が周縁を含むときには、蓋材の下面の周縁を容器のフランジ部とシールすることもできる。
シール法としては、例えば、熱溶融法、接着剤法、機械的結束法などが挙げられる。蓋材と成形容器をシールするときには、熱溶融法が好ましく、ヒートシール法がより好ましい。
内容物を含む容器と蓋材とを接合して蓋付容器を製造した後に、蓋付容器から内容物を取り出すために、蓋材の本体は、容器から取り外されることができる。
蓋材の本体は、中心又は重心を有する限り、任意の形態でよい。
例えば、本体の形態としては、略円形、略四角形、楕円形、平行四辺形、角丸長方形、卵形、三角形、五角形以上の多角形などが挙げられ、一般に、ハンドリング性及び製造プロセスの簡易性を考慮して、円形、楕円形、正方形、長方形、角丸正方形、角丸長方形、卵形などが好ましい。
図5及び6に示されるように、蓋材の本体(1)は、周縁(3)を有し、略円形の上面及び下面を有している。
<タブ>
タブは、蓋材の少なくとも一部分を摘み易くするための要素である。また、タブは、つまみ、摘み片、摘み部、突出部、突出片、ツメ、プルタブ、プルトップと呼ばれることもある。
例えば、図5〜7に示されるように、タブ(2)は、突出方向(x)に沿って、蓋材の本体(1)の周縁(3)の一部分から、本体(1)の外へ突出している。
タブは、単数又は複数でよいが、2つ以上であることが好ましい。
例えば、図7に示されるように、タブが2つ以上あれば、少なくとも1つのタブ(2)は、蓋材の表層(5)を裏層(6)から剥離するときに、剥離きっかけ用タブとなることができる。
より詳細には、図6及び7(c)に示されるように、ハーフカット(4)により区切られている剥離きっかけ用タブ(2)を摘まんで、引き上げると、ハーフカット(4)を境に、蓋材の表層(5)は、裏層(6)から剥離し始める。
また、蓋材が2つのタブを有するときには、一方のタブが剥離きっかけ用タブとなり、他方のタブが、蓋材を蓋付容器から取り外すための蓋材分離用タブとなることができる。
一般に、タブは、表層及び裏層が積層されている積層体を、本体及びタブを有する蓋材の形状に切断するか、又は打ち抜くことにより形成されることができる。したがって、蓋材の本体とタブは、同じ材料で形成されることができる。
<表層>
蓋材の表層は、蓋材が容器に取り付けられたときに、蓋付容器の最外層となる層である。また、表層は、蓋材の裏層に積層接着され、その後に裏層から剥離されることができる。
例えば、図7に示されるように、表層(5)は、裏層(6)に積層されることにより蓋付容器の最外層となる。また、タブ(2)を摘んで引き上げることにより、表層(5)を裏層(6)から剥離させることができる。
表層は、単層構造、又は複数の層が積層されている多層構造を有してよい。
表層は、例えば、基材、印刷パターン、接着剤層、易剥離性樹脂層、ニス層、バリア層、シーラント層及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択されることができる。また、表層は、同じ種類の層を複数含んでよい。
本発明の実施形態では、表層は、基材、印刷パターン、バリア層、接着剤層、易剥離性樹脂層、ニス層及びこれらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1つで形成されることが好ましい。
所望により、表層にハーフカットを形成してもよい。その場合、ハーフカットが、表層及び裏層の積層方向において、表層の一部又は全体を貫通するように、表層は、ハーフカットを形成するための刃を受け入れることができる。
表層の厚さは、限定されるものではないが、8μm以上であってよく、また、この厚さは、250μm以下であってよい。
<裏層>
蓋材の裏層は、蓋材が容器に取り付けられたときに、最内層となる層である。
また、裏層は、蓋材の表層と積層され、その後に表層を剥離させることができる。さらに、ハーフカットが、表層及び裏層の積層方向において、裏層の一部又は全体を貫通するように、裏層は、ハーフカットを形成するための刃を受け入れることができる。
例えば、図7(a)又は(b)に示されるように、蓋材の裏層(6)は、容器のフランジ部(7)と接合されることにより、蓋付容器の蓋材の最内層になる。
裏層は、単層構造、又は複数の層が積層されている多層構造を有してよい。
裏層は、例えば、基材、印刷パターン、接着剤層、易剥離性樹脂層、ニス層、バリア層、シーラント層及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択されることができる。また、裏層は、同じ種類の層を複数含んでよい。
本発明の実施形態では、裏層は、基材、バリア層、接着剤層、易剥離性樹脂層、ニス層、バリア層、シーラント層及びこれらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1つで形成されることが好ましい。
表層の厚さは、限定されるものではないが、8μm以上であってよく、また、この厚さは、250μm以下であってよい。
<表層又は裏層の構成要素>
以下、蓋材の表層又は裏層を構成する要素である「基材」、「印刷パターン」、「接着剤層」、「易剥離性樹脂層」、「ニス層」、「バリア層」及び「シーラント層」について、それぞれ説明する。
<基材>
基材は、蓋材に所定の強度又は剛性を付与する要素である。
一般に、蓋材は、シート、ロールなどの形態の積層体を打ち抜いて成形されるので、基材は、積層体を所定の形態に保つために十分な強度又は剛性を有することができる。
また、基材は、蓋材に所定のデッドホールド性を付与することが好ましい。例えば、使用者が、蓋材の表層を裏層から剥離するときに、表層を過剰に剥離させたり、過剰に折り曲げたりすることがないように、又は引き上げられた表層を裏層に対して所定の角度で固定することができるように、基材は、デッドホールド性を有することができる。
また、基材は、蓋材に所定の硬度を付与することが好ましい。例えば、蓋材の裏層からロータリーダイカッターによりハーフカットを刻設するときに、裏層が厚さ方向に変形することによって、ハーフカットの深さが変動することがある。これに対して、基材は、裏層の変形を防ぐための硬質層又は補強層となることにより、ハーフカットの深さの変動を抑制することができる。
基材の材料としては、例えば、紙、金属箔、樹脂、天然又は合成繊維などが挙げられる。
本発明の実施形態では、基材の材料は、強度又は剛性を確保するという観点から、樹脂であることが好ましい。
基材を形成するための樹脂は、ポリエステル又はポリエチレンを主成分とすることが好ましい。
ポリエステルを主成分とする樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)などが挙げられる。ポリエチレンを主成分とする樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)などが挙げられる。本発明の実施形態では、基材は、PETフィルム又はHDPEフィルムで形成されることが好ましい。
基材を形成するための紙としては、例えば、上質紙、コート紙、アート紙などが挙げられる。所望により、紙の表面にニスを塗布することにより、紙を硬質化させることができる。
基材の厚さは、8μm以上であってよく、また、この厚さは、250μm以下であってよい。
<印刷パターン>
印刷パターンは、印刷により形成されたパターンである。一般に、印刷パターンは、基材の面の一部分又は全てに形成されることができる。
印刷パターンには、任意の形状、色及び用途があり、例えば、文字、イラスト、模様、凹凸、光透過性領域と光不透過性領域の組み合わせなどの形状;白黒、グレースケール、カラーなどの色;容器の識別力を高めるためのパターン、容器を管理するためのパターン、容器に様々な機能を付与するためのコーティングパターンなどがある。
<接着剤層>
接着剤層は、接着剤で形成されている層である。
接着剤層は、蓋材を構成する2つの層を積層するときに、2つの層に挟まれて、2つの層を接着することができる。
接着剤としては、例えば、ドライラミネート接着剤、プリントラミネート接着剤、押出ラミネート接着剤、アンカーコート接着剤、ホットメルト接着剤、水溶性接着剤、エマルション接着剤、ワックスなどが挙げられる。
一般に、接着剤は、例えば、2液型ウレタン接着剤、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルアルコールなどを含んでよい。
本発明の実施形態では、接着剤は、ドライラミネート接着剤であることが好ましい。ドライラミネート接着剤としては、2液型ウレタン接着剤が好ましく、例えば、東洋モートン株式会社製主剤「TM265M」、東洋モートン株式会社製硬化剤「CAT RT37」、及び酢酸エチルエステルなどの溶剤を含む組成物でよい。
<易剥離性樹脂層>
易剥離性樹脂層は、易剥離性樹脂で形成されている層である。また、易剥離性樹脂層は、蓋材の表層に含まれるか、蓋材の裏層に含まれるか、又は表層と裏層の間に介在してよい。
易剥離性樹脂層は、特定の層と積層された後に、外部から力を受けると、易剥離性樹脂層と特定の層の界面から特定の層を剥離させることができる。それ故に、蓋材の易剥離性を確保するためには、易剥離性樹脂層と特定の層の剥離強度を制御することが好ましい。
例えば、剥離させたい層と易剥離性樹脂層の間の剥離強度を、剥離させたくない層と易剥離性樹脂層の間の剥離強度より低くすることにより、剥離させたい層を易剥離性樹脂層との界面で剥離可能にすることができる。
より詳細には、蓋材の表層と易剥離性樹脂層の間の剥離強度を、蓋材の裏層と易剥離性樹脂層の間の剥離強度より低くなるように調整することによって、蓋材のタブが引き上げられるときに、表層と易剥離性樹脂層の界面から表層のみを剥離させることができる。
一方で、蓋材の裏層と易剥離性樹脂層の間の剥離強度を、蓋材の表層と易剥離性樹脂層の間の剥離強度より低くなるように調整することによって、蓋材のタブが引き上げられるときに、裏層と易剥離性樹脂層の界面から表層及び易剥離性樹脂層を剥離させることができる。
易剥離性樹脂は、ポリオレフィンに環状オレフィンコポリマー(COC)を所定の比率で混合した樹脂であることが好ましい。
ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプ口ピレン樹脂などが挙げられ、低密度ポリエチレン(LDPE)を使用することが好ましい。LDPEとしては、例えば、東ソー株式会社製の商品名「ペトロセン」、旭化成ケミカルズ株式会社製の商品名「サンテック」などが挙げられる。
ポリオレフィンのMFR(Melt Flow Rate)は、温度190℃のとき、0.01g/10分以上であってよく、また、このMFRは、温度190℃のとき、60g/10分以下であってよい。
ポリオレフィンの密度は、0.89g/cm以上であってよく、また、この密度は、0.94g/cm以下であってよい。
本明細書では、「環状オレフィンコポリマー(COC)」とは、α−オレフィンと環状オレフィンとを、へキサン、へプタン、オクタン、シクロへキサン、べンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒中で、いわゆるチーグラー触媒、メタロセン触媒などの触媒を調合することにより得ることができる共重合体をいう。このような共重合体としては、例えば、三井化学株式会社製の商品名「アペル」などが挙げられる。
COCのMFRは、温度190℃のとき、0.1g/10分以上であってよく、また、このMFRは、温度190℃のとき、40g/10分以下であってよい。
易剥離性樹脂層は、LDPEとCOCとの混合比率を変えることにより、剥離されることになる層との界面剥離強度を制御し、かつ所望の値に調整することができる。
易剥離性樹脂中のCOCの含有量は、1質量%以上であってよく、また、この含有量は、24質量%以下であってよい。COCの含有量は、1質量%以上であると、剥離されることになる層と易剥離性樹脂層の剥離強度が最適化されて両者の界面剥離が容易になり、一方で、24質量%以下であると、両者の剥離強度の制御が容易になるので好ましい。
易剥離性樹脂層の厚さは、剥離されることになる層との接着性及び剥離性を両立させるために、10μm以上であってよく、また、この厚さは、30μm以下であってよい。
<ニス層>
ニス層は、ニスで形成されている層である。
ニス層は、例えば、補強ニス層、目止めニス層、剥離ニス層などとして使用されることができる。
補強ニス層は、補強ニス層と接触している他の層を硬質化させて、他の層を強化することができる。例えば、補強ニス層が他の層と接触して形成されると、他の層の表面に補強ニスが吸収されて、補強ニス層と他の層の接着強度が強まる。
補強ニスとしては、例えば、水性ニス、油性ニス、紫外線硬化型ニスなどが挙げられ、より詳細には、アクリル系ニス、ウレタン系ニス、ニトロセルロース系ニスなどが挙げられる。補強ニスは、適度な硬度を得るという観点から、ニトロセルロース系ニスであることが好ましい。
目止めニス層は、目止めニス層と接触している他の層の目止めをして、他の層への異物の混入を防ぐことができる。目止めニスとしては、例えば、ニトロセルロース樹脂と、ウレタン系樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ポリアミド系樹脂及び/又はポリエステル系樹脂との混合物などが挙げられる。
剥離ニス層は、剥離ニス層と隣接している他の層に易剥離性を付与することができる。また、剥離ニス層は、蓋材の表層に含まれるか、蓋材の裏層に含まれるか、又は表層と裏層の間に介在してよい。
剥離ニスが使用されるときには、「易剥離性」とは、剥離試験に於ける接着強度が10g/15mm以上、20g/15mm以下であることをいう。接着強度が、10g/15mm以上であると、剥離ニス層の層間剥離を防ぐことができるので好ましく、一方で、20g/15mm以下であると、剥離ニス層と隣接している他の層のピッキングを防ぐことができるので好ましい。
例えば、剥離ニス層が、基材と接着剤層の間に部分的に配置(パターン塗布)されると、剥離ニス層が配置された部分のみから基材を剥離させることができる。この場合、基材と剥離ニス層の間の接着強度は、基材と接着剤層の間の接着強度より低い。
また、剥離ニスが、剥離ニス層と隣接している他の層に吸収されて、他の層が硬質化されると、剥離ニス層と他の層の間の接着強度が20g/15mmを超えることがある。これに対しては、剥離ニス層と他の層の間に、目止めニス層を配置することによって、他の層を容易に剥離させることができる。
剥離ニスは、剥離性樹脂を含むことが好ましい。
また、剥離ニスは、剥離性樹脂とワックスの混合物であることがより好ましい。混合物中のワックスの含有率は、混合物の質量を基準として、20質量%以上であってよく、また85質量%以下であってよい。
ワックスの含有率が、20質量%以上であると、剥離ニス層と隣接している他の層のピッキングを防ぐことができるので好ましく、一方で、85質量%以下であると、剥離ニス層の層間剥離を防ぐことができるので好ましい。
剥離性樹脂としては、例えば、ニトロセルロース樹脂、ポリアミド、ポリエステルなどが挙げられる。
ワックスは、剥離性樹脂との相溶性を有することが好ましい。ワックスとしては、限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンワックス、ポリエステルワックスなどが挙げられる。
<バリア層>
バリア層は、蓋材の硬度、ガスバリア性又はデッドホールド性を維持するための層である。
バリア層としては、例えば、アルミニウム箔などの金属箔、アルミやシリカを蒸着した無機蒸着フィルム、又はポリ塩化ビニリデン、ナイロン、エチレン−ビニルアルコールコポリマー(EVOH)などのガスバリア性の高い合成樹脂フィルムが使用されることができる。
バリア層の厚さは、200Å以上、又は6μm以上であってよく、また、この厚さは、15μm以下であってよい。
例えば、バリア層が、他の基材又は層に無機材料を蒸着させることにより形成されるときには、バリア層の厚さは、200Å以上であることが好ましい。
さらに、バリア層としては、アルミニウム箔単層又は無機蒸着フィルムを使用することができる。アルミニウム箔単層を使用する場合には、バリア層の厚さは、6μm以上であることが好ましい。
<シーラント層>
シーラント層は、蓋材によって封止すべき容器へ蓋材をヒートシールするための層である。
シーラント層の材料は、封止対象の材質によって選択されるが、例えば、LDPE、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、アイオノマー樹脂、エチレン−酢酸ビニルコポリマーなどの樹脂である。この樹脂は、例えば、延伸若しくは無延伸フィルム、押出積層用の溶融樹脂、ホットメルト用の塗料などの形態でよい。
より詳細には、シーラント層は、アイセロ化学株式会社製「スズロンL」、又は三井デュポン・ポリケミカル株式会社製「CMPS(登録商標)」イージーオープンフィルムで形成されることができる。
シーラント層の厚さは、1μm以上であってよく、また、この厚さは、250μm以下であってよい。
<表層と裏層の剥離>
蓋材の表層と裏層の剥離は、作用機序に拘束されるものではないが、界面剥離又は凝集破壊によって達成されることができる。
例えば、表層と裏層の間に上記の易剥離性樹脂層を配置することによって、表層と易剥離性樹脂層の界面から表層を剥離させるか、又は裏層と易剥離性樹脂層の界面から表層及び易剥離性樹脂層を剥離させることができる。
本発明の実施形態では、易剥離性樹脂層を使用して、表層と易剥離性樹脂層の界面から表層を剥離させることが好ましい。
例えば、表層と裏層の間に上記の剥離ニス層を配置することによって、剥離ニス層から表層を剥離させるか、又は裏層から表層及び剥離ニス層を剥離させることができる。一般に、裏層の表面に接着剤層を配置し、表層と接着剤層の間に剥離ニス層を部分的に配置することによって、剥離ニス層を配置した部分のみから表層を剥離させることが好ましい。
また、凝集力の弱い樹脂で形成されている層を表層と裏層の間に配置して、その樹脂に応力を掛けて破壊することにより、表層と裏層の剥離を達成することもできる。
<ハーフカット>
ハーフカットは、蓋材の表面から蓋材の厚さ未満の深さで形成された切り込みである。
例えば、ハーフカットは、蓋材の表面にカッターなどの切断器を入れることにより、形成されることができる。また、ハーフカットは、蓋材の裏層側及び/又は表層側に形成されることができる。
<裏層側ハーフカット>
裏層側ハーフカットは、蓋材の裏層の表面から、裏層の少なくとも一部分又は全てを貫通する深さまで形成されている。
図6に示されるように、裏層側ハーフカット(4)は、タブ(2)の領域を画定するためのラインとして形成されている。この場合、図7(c)に示されるように、タブ(2)は、裏層(6)から表層(5)を剥離するための剥離きっかけとなる。
図6に示されるように、蓋材の裏層側には、複数のハーフカット(4)が、ラインとして形成されている。裏層側ハーフカットラインの本数は、2本以上、4本以上、6本以上、8本以上、又は10本以上であってよい。
図6に示されるように、蓋材の裏層側には、複数のハーフカット(4)が、略平行なラインとして形成されている。本発明の実施形態では、複数の裏層側ハーフカットラインは、平行であることが好ましい。
図6に示されるように、蓋材の裏層側には、複数のハーフカット(4)が、破線として形成されている。
本明細書では、破線は、一定の間隔で切れ目を有する線であり、点線、ミシン目、鎖線(例えば、一点鎖線、二点鎖線など)を含むものとする。したがって、蓋材の裏層側に形成された破線状ハーフカットラインの少なくとも1つは、カット部及びアンカット部を有することを理解されたい。
本発明の実施形態では、破線状ハーフカットラインの全てが、カット部及びアンカット部を有することが好ましい。
破線状ハーフカットラインのアンカット部は、破線状ハーフカットライン1cm当たり、6個以上であってよく、また、破線状ハーフカットライン1cm当たり、30個以下であってよい。
破線状ハーフカットラインのカット率は、50%を超えればよく、また、このカット率は、90%以下であってよい。
破線状ハーフカットラインは、略線形を有しており、湾曲していてもよい。例えば、蓋材の裏層側に形成された破線状ハーフカットラインは、直線又はカーブとして形成されることができる。
裏層側ハーフカットラインは、タブの突出方向と交わる方向で形成されている。
例えば、図6に示されるように、ハーフカット(4)の複数のラインは、タブ(2)の突出方向(x)と交わる方向で形成されている。
本発明の実施形態では、破線状ハーフカットラインは、タブの突出方向と略直交する方向で形成されていることが好ましく、タブの突出方向と直交する方向で形成されていることがより好ましい。
また、破線状ハーフカットラインは、蓋材の本体とタブの間を横断して形成されていることが好ましい。さらに、破線状ハーフカットラインは、蓋材の本体の周縁の接線上に、又は蓋材の本体の周縁の接線と略平行に、形成されていることが好ましい。
裏層側ハーフカットは、蓋材の裏層の厚さ方向において、裏層の少なくとも一部分又は全てを貫通する深さで形成されている。したがって、裏層側ハーフカットの深さは、蓋材の裏層の厚さと概ね等しい。
例えば、蓋材の表層と裏層の間に易剥離性樹脂層を配置するときには、裏層側ハーフカットは、裏層の表面から易剥離性樹脂層に達する深さまで、好ましくは、裏層の厚さと易剥離性樹脂層の厚さの合計値以上の深さで、形成されることができる。
例えば、蓋材の表層と裏層の間に剥離ニス層を部分的に配置するときには、裏層側ハーフカットは、裏層の表面から剥離ニス層に達する深さまで形成されることができる。
なお、裏層側ハーフカットは、蓋材の裏層に剥離きっかけ用タブの領域を画定するだけでなく、蓋材の裏層に開孔を形成するように刻設されることができる。開孔は、容器の内容物を通過させるために使用されることができる。
<蓋材の製造方法>
蓋材は、以下の工程を含む方法により製造されることができる:
表層及び裏層を積層して、積層体を得る積層工程;
積層体の裏層側から複数の略平行な破線状ハーフカットラインを形成するハーフカット形成工程;及び
積層体を蓋状にする成形工程。
積層工程は、例えば、サンドラミネート、ドライラミネートなどにより行なわれることができる。
積層工程では、表層及び裏層を個別に形成してから、表層及び裏層を積層してよい。この場合、表層と裏層の間に、易剥離性樹脂を押出積層することによって、積層体を得ることが好ましい。
また、積層工程では、複数の層を順次積層して、最終的に表層及び裏層を含む層構成を得てもよい。
ハーフカット形成工程は、裏層側ハーフカットの所定の厚さと概ね等しい刃長を有する切断器を用いて、行なわれることができる。切断器としては、例えば、ロータリーダイカッター、レーザー光照射などが挙げられる。
成形工程は、表層及び裏層を含む積層体を蓋の形状に切断するか、又は打ち抜くことにより行なわれることができる。所望により、積層体をロール又はシートの形態で得るために、成形工程を省略してもよい。
<容器>
容器は、開口部を有し、かつ開口部に物を入れることができる器である。また、容器の開口部は、蓋材により密封されることができる。
容器は、例えば、容器の開口部の周縁に、蓋材を結合させるために使用されるフランジ部を有していてもよい。また、フランジ部には、蓋材との結合を促進するために、接着剤などの結合促進剤が配置されていてもよい。
容器には、固体、液体、気体、ゲルなどの内容物を収納することができる。例えば、飲料、ポットヌードル、やきそば、パスタ、みつ豆、くずきり、ところてん、杏仁豆腐などの食料品;化学薬品、化粧品、洗剤、芳香剤、医薬品などの物品;空気、酸素などのガス状物質を容器に収納することができる。
容器の材料は、容器の内容物に応じて、任意に選択されることができる。
例えば、容器の内容物が容器から染み出さないようにするために、容器は、内容物に対して不透過性を有する材料で形成されることができる。より詳細には、容器は、ポリプロピレンなどの樹脂から形成されてよい。
<蓋付容器>
蓋付容器は、蓋材の本体の周縁と、容器のフランジ部とをヒートシールすることにより得られる。
本発明の実施形態では、図7(c)に示されるように、蓋付容器から蓋材の表層(5)を剥離した後に、裏層(6)を含む蓋材を容器から分離させることによって、蓋付容器を開封することができる。
本発明の実施形態では、容器の開口部に最も近い裏層側ハーフカットラインと蓋付容器のシールエッジとの2つの交点をそれぞれ第1及び第2の交点としたときに、蓋材のタブの突出方向と直交する方向におけるタブの幅が、第1及び第2の交点間の距離よりも小さいことが好ましい。
また、蓋付容器にヒートシールされている蓋材の表層剥離用タブを摘まみ、300mm/分の引張速度で、90°剥離を行なったときに、蓋付容器の開封強度は、12N以下であってよい。一方で、蓋付容器の開封強度の下限値は、裏層と表層を積層して結合させることができる最低値でよく、より詳細には、30g/15mm以上であってよい。
実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。
裏層側ハーフカットの形状試験
以下の実施例1及び比較例1〜3に従って、蓋付容器を作製して、それぞれの蓋付容器について、開封性及びボイル処理耐性を評価した。
[実施例1]
以下に示される材料を用意した:
O−Nyフィルム(厚さ:25μm): 三菱樹脂株式会社製(型番:スーパーニールE)
PETフィルム(厚さ:8μm): KOLON社製(型番:CB931)
HDPEフィルム(厚さ:35μm): アイセロ化学株式会社製(型番:H−500S)
易剥離性樹脂フィルム(厚さ:20μm): 95質量%のLDPEと5質量%のCOCの混合物で形成されたフィルム
LDPE: 東ソー株式会社製「ペトロセン226」
COC: 三井化学株式会社製「アペル6013B」
PETフィルム(厚さ:12μm): 東洋紡績株式会社製(型番:E5100)
LLDPEフィルム(厚さ:30μm): アイセロ化学株式会社製(型番:スズロンL−105)
ドライラミネート接着剤:東洋モートン株式会社製(型番:TM265M+CAT RT37)
容器:出光ユニテック株式会社「マジックトップ」(フランジ部φ80.1〜93.5、容積160mL)
この実施例で得た積層体は、O−Nyフィルム//PETフィルム//HDPEフィルム/易剥離性樹脂フィルム/PETフィルム//LLDPEフィルムという層構成(ただし、「//」はドライラミネート接着剤を表す)を有していたので、O−Nyフィルム、PETフィルム及びHDPEフィルムを有する層を積層体の表層として定義し、残りの層を積層体の裏層として定義した。
<表層側部材aの作製>
ラミネーターを使用し、ドライラミネート接着剤の塗布量を3g/mに設定し、O−NyフィルムとPETフィルムをドライラミネート接着剤を介して積層して、部材aを得た。
<表層側部材bの作製>
ラミネーターを使用し、ドライラミネート接着剤の塗布量を3g/mに設定し、部材aのPETフィルム側にHDPEフィルムを、ドライラミネート接着剤を介して積層して、部材bを得た。
<裏層側部材cの作製>
ラミネーターを使用し、ドライラミネート接着剤の塗布量を3g/mに設定し、PETフィルムとLLDPEフィルムをドライラミネート接着剤を介して積層して、部材cを得た。
<部材bと部材cの積層>
ラミネーターを使用し、部材bのHDPEフィルム側と、部材cのPETフィルム側を向かい合わせ、約320℃〜約345℃の温度で、部材bのHDPEフィルム側と部材cのPETフィルム側の間に易剥離性樹脂フィルムをサンドラミネートして、積層体dを得た。
<裏層側ハーフカットの形成>
ロータリーダイカッターを用意した。ロータリーダイカッターの刃長を、積層体dの裏層の厚さ以上であり、かつ積層体dの全厚よりも低くなるように設定した。ロータリーダイカッターの打抜きモードを、ハーフカット及びミシン目カットに設定した。
ロータリーダイカッターを使用し、積層体dのLLDPEフィルム側から、易剥離樹脂フィルムを貫通する深さで、10列のミシン目状ハーフカットラインを1mm間隔で刻設した(図8(a)参照)。
<蓋材及び蓋付容器の作製>
容器に水を満注充填した。
打抜ヒートシーラーを使用し、150℃のシール温度及び0.4MPaの圧力で、2秒間に亘って、積層体dの裏層側を、容器のフランジ部とヒートシールするとともに、蓋の形状(蓋外径=φ98)に打ち抜いて、蓋付容器を得た。
なお、積層体dを蓋の形状に打ち抜くときには、蓋材の本体と表層剥離用タブの間に、10列のミシン目状ハーフカットラインを概ね配置した(図8(a)参照)。また、表層剥離用タブの形状は、中型(R=2)であった(図8(a)参照)。
<開封性の評価>
20個の蓋付容器について、蓋付容器の表層剥離用タブを手で摘まみながら引っ張って、蓋材の表層を裏層から剥離させた。下記の評価基準に従って、蓋付容器の開封性を等級分けした:
○:強く力を込めなくても、蓋材の表層を裏層から剥離させることができる。
×:蓋材の表層を裏層から剥離させるときに、裏層が裂ける。
実施例1で得られた蓋付容器の開封性を上記のように評価して、結果を下記表1に示した。
<ボイル処理耐性の評価>
90℃の温度に設定された浴槽に蓋付容器を30分間に亘って漬けて、蓋付容器をボイル処理に供した。下記の評価基準に従って、蓋付容器のボイル処理耐性を等級分けした:
○:複数のハーフカットに挟まれている裏層の部分が、脱落しない。
×:複数のハーフカットに挟まれている裏層の部分が、脱落する。
実施例1で得られた蓋付容器のボイル処理耐性を上記のように評価して、結果を下記表1に示した。
[比較例1]
裏層側ハーフカットラインとして、2列のギザギザのライン(高さ:6mm、頂角の角度:60°)を1mm間隔で刻設したこと以外は、実施例1と同様にして、蓋付容器を得た(図8(b)参照)。
比較例1で得られた蓋付容器の開封性及びボイル処理耐性を上記のように評価して、結果を下記表1に示した。なお、比較例1で得られた蓋付容器の開封性を評価するときに、蓋材の裏層は、ギザギザのラインの頂角部分から裂けた。また、ボイル処理耐性を評価するときに、ギザギザラインと蓋周縁で囲まれる部分が脱落する。
[比較例2]
裏層側ハーフカットラインとして、図8(c)及び図8(d)に示されるように、アスタリスクが連続しているハーフカットラインを、約7列で刻設したこと以外は、実施例1と同様にして、蓋付容器を得た。
比較例2で得られた蓋付容器の開封性及びボイル処理耐性を上記のように評価して、結果を下記表1に示した。なお、比較例2で得られた蓋付容器の開封性を評価するときに、蓋材の裏層は、アスタリスクの頂角部分から裂けた。
また、ボイル処理耐性を評価するときに、アスタリスクと蓋周縁で囲まれる部分が脱落する。
[比較例3]
裏層側ハーフカットラインとして、10列の実線状ハーフカットラインを1mm間隔で刻設したこと以外は、実施例1と同様にして、蓋付容器を得た(図8(e)参照)。
比較例3で得られた蓋付容器の開封性及びボイル処理耐性を上記のように評価して、結果を下記表1に示した。
Figure 2014118162
ミシン目状ハーフカットラインのカット率の開封強度への影響
[実施例2〜6]
下記表2に示されるように、カット部の長さ、アンカット部の長さ、カット率、及びアンカット部の本数を有するミシン目状ハーフカットラインを、蓋材の裏層側に刻設したこと以外は、実施例1と同様にして、蓋付容器を得た。
<開封強度の測定>
実施例2〜6で得られた蓋付容器について、東洋精機株式会社製ストログラフ(型番:VE−10D)を使用し、蓋材の表層剥離用タブを摘まみ、300mm/分の引張速度で、90°剥離を行なって、開封強度を測定した。
実施例2〜6で得られた蓋付容器の開封強度を下記表2に示した。
<開封性の評価>
実施例2〜6で得られた蓋付容器の表層剥離用タブを手で摘まみながら引っ張って、蓋材の表層を裏層から剥離させた。下記の評価基準に従って、蓋付容器の開封性を等級分けした:
○:強く力を込めなくても、蓋材の表層を裏層から剥離させることができる。
△:強く力を込めないと蓋材の表層を裏層から剥離させることができないか、又は表層と裏層の接着が強固すぎるために、蓋材の裏層と容器のフランジの間のヒートシール部からも剥離が発生する。
実施例2〜6で得られた蓋付容器の開封性を下記表2に示した。
Figure 2014118162
表層剥離用タブの形状の開封性への影響
[実施例7〜10]
実施例7として図9(a)、実施例8として図9(b)、実施例9として図9(c)、及び実施例10として図9(d)に示されるような形状の表層剥離用タブを有する蓋材を打ち抜いたこと以外は、実施例3と同様にして、蓋付容器を得た。
実施例7〜10で得られた蓋付容器を20人の使用者に配布した。20人の使用者に蓋付容器の表層剥離用タブを手で摘まみながら引っ張らせて、蓋材の表層を裏層から剥離させた。下記の評価基準に従って、蓋付容器の易開封性を等級分けした:
○:18人〜20人が、開封し易いと回答とする(易開封性:90%以上)。
△:16人又は17人が、開封し易いと回答する(易開封性:80%又は85%)。
実施例7〜10で得られた蓋付容器の易開封性を下記表3に示す。
Figure 2014118162
図9及び表3の評価結果によれば、実施例7〜10で得られた蓋付容器の易開封性の傾向は下記のとおりであった。
実施例7: タブの突出方向xと直行する方向におけるタブ幅が、一番内側のミシン目とシールエッジとの交点同士の距離より小さく、蓋材の表層の剥離時に応力がミシン目状ハーフカットに加わるため、易開封性は良好である。しかしながら、表層剥離用タブの面積が小さいため、表層剥離用タブは、摘まみ難い。
実施例8: 実施例7と同様の理由から易開封性は良好である。また、表層剥離用タブの面積が実施例7よりも大きいので、易開封性は実施例7よりも良好である。
実施例9: 実施例7と同様の理由から易開封性は良好である。また、実施例7よりも易開封性は良好である。実施例8と比較すると、表層剥離用タブを捻ったときに、応力が、タブの突出方向xと直行する方向に逃げ易いので、開封し難くなる。
実施例10: 表層剥離用タブの幅が広すぎるので、蓋材の表層の剥離時に、応力が、タブの突出方向xと直行する方向に逃げ易い。したがって、易開封性は、実施例7〜9よりも劣る。
本発明は、開口部を有する容器を密封するための蓋の製造に利用されることができる。
1 蓋材の本体
2 蓋材のタブ
3 蓋材の本体の周縁
4 裏層側ハーフカット
5 表層
6、6a、6b、6c 裏層
6d 脱落タブ片
7 容器のフランジ部
10 蓋材
20 容器
x タブの突出方向

Claims (6)

  1. 積層されている表層及び裏層を含み、本体と前記本体の周縁から突出している少なくとも1つのタブを有し、かつ前記表層が、少なくとも前記本体において、前記裏層から剥離可能である、容器の開口部を密封するための蓋材であって、
    前記本体と前記タブとの間において、ハーフカットが、複数の略平行な破線として、前記タブの突出方向と交わる方向で、前記裏層の少なくとも一部分の深さ又は前記裏層の全てを貫通する深さまで形成されている、蓋材。
  2. 前記ハーフカットの破線のアンカット部は、前記破線1cm当たり6個以上である、請求項1に記載の蓋材。
  3. 前記ハーフカットの破線のカット率が、57%以上である、請求項1または2に記載の蓋材。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓋材と容器とを有し、かつ前記蓋材と前記容器のフランジ部とがヒートシールされている、蓋付容器。
  5. 前記ハーフカットで開始される剥離において、開封強度が、12N以下である、請求項4に記載の蓋付容器。
  6. 前記容器の前記開口部に最も近い前記破線と前記蓋付容器のシールエッジとの2つの交点をそれぞれ第1及び第2の交点としたときに、前記タブの突出方向と直交する方向における前記タブの幅が、前記第1及び第2の交点間の距離よりも小さい、請求項4または5に記載の蓋付容器。
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