本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
[実施形態1]
図1は、本実施形態に係る複合加工装置の構成図であり、図2は、本実施形態に係る複合加工方法の処理手順を示すフローチャートである。
図1に示すように、複合加工装置1は、被加工物支持機構2と、ヘッド支持機構3とを含む。
被加工物支持機構2は、複合加工装置1の固定フレーム1aに対して被加工物Wを支持するものである。被加工物支持機構2は、本実施形態では、例えば、固定フレーム1aである載置台の上に載置された被加工物Wの周囲を締め付けて固定するチャック部2aを有する。
ここで、本実施形態の被加工物Wとしては、CFRP(炭素繊維強化プラスチック、Carbon Fiber Reinforced Plastics)、GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)、GMT(ガラス長繊維強化プラスチック)などの繊維強化プラスチック、鋼板以外の鉄合金、アルミ合金などの各種金属を用いることができ、特に、CFRPを含む複合材やGFRPが適用される。また、被加工物Wは、インコネル、ハステロイ、ステンレス、セラミック、鋼、炭素鋼、セラミックス、シリコン、チタン、タングステン、樹脂、プラスチックス、ガラスなどで作成された部材を用いることもできる。
ヘッド支持機構3は、複合加工装置1の固定フレーム1aに対してレーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMを支持するものである。ヘッド支持機構3は、本実施形態では、例えば、固定フレーム1aである水平梁に対してレーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMを移動可能に支持するもので、水平梁に移動機構31を介してレーザ加工ヘッドHや機械加工ヘッドMを支持する。
移動機構31は、例えば、X軸移動機構、Y軸移動機構、およびZ軸移動機構を含む。移動機構31のX軸移動機構は、X軸方向(図1における左右方向)に延在するX軸レール31aが、固定フレーム1aである水平梁の下部に対して平行に1対固定されている。そして、X軸移動機構は、1対のX軸レール31aに対して直交するY軸方向(図1における奥行き方向)に延在するY軸レール31bが、1対のX軸レール31aの延在方向に沿ってX軸方向に移動可能に設けられている。
移動機構31のY軸移動機構は、Y軸移動部材31cが、1対のY軸レール31bの延在方向に沿ってY軸方向に移動可能に設けられている。
移動機構31のZ軸移動機構は、Y軸移動部材31cにZ軸支持部材31dが設けられ、このZ軸支持部材31dに対してZ軸方向(図1における上下方向)に延在するZ軸レール31eが、平行に1対固定されている。そして、Z軸移動機構は、Z軸移動部材31fが、1対のZ軸レール31eの延在方向に沿ってZ軸方向に移動可能に設けられている。そして、このZ軸移動部材31fに対してレーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMが設置されている。
すなわち、移動機構31は、X軸移動機構によりレーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMをX軸方向に移動させ、Y軸移動機構によりレーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMをY軸方向に移動させ、Z軸移動機構によりレーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMをZ軸方向に移動させる。
レーザ加工ヘッドHは、レーザ加工ヘッド駆動部(レーザ出力装置)により出力されたレーザLを照射するものである。このレーザ加工ヘッドHは、機械加工ヘッドMとともにZ軸移動部材31fに対して設置されていることから、機械加工ヘッドMからの伝熱(例えば、約50[℃])を抑制するため、冷却手段4を有する。冷却手段4は、本実施形態では、図1に示すように、レーザ加工ヘッドHの内部に冷却水を供給する冷却水管を配置した水冷式として構成されている。また、レーザ加工ヘッドHは、被加工物Wとして複合材を用いる場合、複合材の燃焼を抑制するため、アシストガス供給手段5を有する。アシストガス供給手段5は、例えば、図1に示すように、レーザ加工ヘッドHの側部に配置したガス供給管からアシストガス(例えば、窒素やアルゴン)をレーザLと同軸に供給するものや、図には明示しないが、被加工物WのレーザLが照射される部分にアシストガスを噴射するものがある。
機械加工ヘッドMは、本実施形態では、レーザ加工を行った後に、レーザ加工部分を切削により仕上げ加工を行うもので、切削工具としてのエンドミルEが適用される。そして、機械加工ヘッドMは、このエンドミルEを回転させるモータなどの駆動源を備える。また、機械加工ヘッドMは、被加工物Wが複合材である場合、その主軸や摺動面の油が工具(エンドミルE)に伝わって被加工物Wに付着することで複合材が変質する事態を防ぐために、適宜シール構造を備える。
本実施形態の複合加工装置1は、Z軸移動部材31fに対して設置されるレーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMについて、被加工物Wを加工するレーザLの照射位置と、被加工物Wを加工する工具(エンドミルE)の加工位置とが所定の移動基準に合わせて配置されている。具体的に、本実施形態では、被加工物Wを加工するレーザLの照射位置と、被加工物Wを加工する工具の加工位置とが、直線の移動基準であるX軸方向に合うように、レーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMがZ軸移動部材31fに対して設置されている。このため、レーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMは、移動機構31のX軸移動機構により、例えば、図1の矢印A方向への移動において、レーザ加工ヘッドHがX軸方向に先行して移動し、続けて機械加工ヘッドMがX軸方向に移動する。
また、本実施形態の複合加工装置1は、レーザ加工ヘッドHをX軸方向に移動させることで、板状の被加工物Wは切断加工される。この場合、その後に機械加工ヘッドMの工具が切断された被加工物Wの切断片に接触して機械加工の妨げになるおそれがある。そこで、本実施形態の複合加工装置1では、Z軸移動部材31fに対し、レーザ加工ヘッドHと機械加工ヘッドMとの間に、レーザ加工ヘッドHにおけるレーザLで切断された被加工物Wの切断片に押圧接触し得る接触部6を有している。接触部6は、ローラとして構成され、Z軸方向(図1における下側)に切断片を押圧するように、レーザ加工ヘッドHのレーザLの加工位置よりも下側に押圧力を付与された形態でZ軸移動部材31fに取り付けられている。
また、本実施形態の複合加工装置1は、機械加工ヘッドMが、回転駆動や、被加工物Wの加工時に振動を伴うことから、この振動のレーザ加工ヘッドHへの伝達を抑えるため、レーザ加工ヘッドHと機械加工ヘッドMとの間にゴム材などからなる防振部材7が配置されている。図1では、レーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMが配置されるZ軸移動部材31fとレーザ加工ヘッドHとの間に防振部材7が配置された形態を示している。その他、Z軸移動部材31fと機械加工ヘッドMとの間に防振部材7が配置されていてもよい。また、Z軸移動部材31fに配置された機械加工ヘッドMにレーザ加工ヘッドHが取り付けられる場合、機械加工ヘッドMとレーザ加工ヘッドHとの取り付け部分に防振部材7が介在される。
また、本実施形態の複合加工装置1は、機械加工ヘッドMによる加工において加工屑が生じ、この加工屑が機械加工ヘッドMの工具に付着した場合は工具を傷つけて工具の耐久性が低下するおそれがあり、加工屑がレーザ加工ヘッドHのレンズに付着した場合は、レーザLの光学系を傷つけて光学系の耐久性が低下するおそれがある。このため、本実施形態の複合加工装置1では、機械加工ヘッドMにおける工具の加工位置に向けて送風する送風部(例えば、エアまたはガスを噴射するノズルおよび図示しないエア供給源)8aと、機械加工ヘッドMにおける工具の加工位置に向けて吸引する吸引部(例えば、吸引ファン)8bとを有する。このため、機械加工ヘッドMによる加工において生じる加工屑は、送風部8aにより飛ばされて機械加工ヘッドMの工具やレーザ加工ヘッドHのレンズに付着する事がなくなる。また、機械加工ヘッドMによる加工において生じる加工屑、または送風部8aにより飛ばされる加工屑は、吸引部8bにより吸引されて機械加工ヘッドMの工具やレーザ加工ヘッドHのレンズに付着する事がなくなる。なお、図には明示しないが、吸引部8bは、その吸引の下流側にダクトを介してフィルタに接続され、加工屑を回収するように構成されていることが好ましい。また、送風部8aと吸引部8bとは何れか一方のみ設けられていてもよい。
また、複合加工装置1は、制御装置9を有する。制御装置9は、上述したレーザ加工ヘッドHの駆動や、機械加工ヘッドMの駆動や、移動機構31による移動を制御するもので、制御部91、記憶部92、入力部93、表示部94、レーザ加工ヘッド駆動部(レーザ出力装置)95、機械加工ヘッド駆動部96、およびヘッド移動部97を含む。
制御部91は、例えば、CPU(Central Processing Unit:中央演算装置)であり、入力部93からの入力や記憶部92からデータの入力を受け付け、当該入力に応じてレーザ加工ヘッド駆動部95、機械加工ヘッド駆動部96、およびヘッド移動部97に指令を出力する。記憶部92は、一例として、ハードディスク装置または半導体記憶デバイスである。記憶部92は、被加工物データベース92aを有する。被加工物データベース92aは、被加工物Wの加工に基づく設計情報(例えば、被加工物Wの形状や材質など)が格納される。この記憶部92は、制御部91と通信回線を通じて接続されるもの(例えば、データサーバー)であってもよい。入力部93は、キーボードやマウスなどからなる。表示部94は、画面を有し、当該画面に入力部93で入力された内容や、記憶部92から入力された内容や、レーザ加工ヘッド駆動部95によるレーザ加工ヘッドHの駆動状況や、機械加工ヘッド駆動部96による機械加工ヘッドMの駆動状況や、ヘッド移動部97によるレーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMの移動状況などが表示される。
レーザ加工ヘッド駆動部95は、レーザLを出力する装置である。レーザ加工ヘッド駆動部95は、光ファイバを媒質に用いてレーザLを出力するファイバレーザ出力装置や、短パルスのレーザLを出力する短パルスレーザ出力装置を用いることができる。ファイバレーザ出力装置としては、ファブリペロー型ファイバレーザ出力装置やリング型ファイバレーザ出力装置が励磁される。また、ファイバレーザ出力装置は、連続波発振(Continuous Wave Operation)とパルス発振(Plused Operation)のいずれの方式を用いるものでもよい。ファイバレーザ出力装置のファイバは、例えば、希土類元素(Er、Nd、Yb)を添加したシリカガラスを使用することができる。また、短パルスとは、パルス幅が100ピコ秒以下のパルスである。短パルスレーザ出力装置のレーザLの発生源としては、例えば、チタンサファイアレーザを用いることができる。このレーザ加工ヘッド駆動部95は、制御部91からの指令に基づいてレーザLの出力を制御する。本実施形態では、板状の複合材である被加工物Wの板厚を1[in]以下(好ましくは1/2[in]以下)とし、レーザLの波長を1.0[μm]〜1.1[μm]の赤外光(可視光や紫外光でもよい)を適用し、レーザLの出力を100[W]〜50[kW]とする。この場合、アシストガス圧は、0.1[MPa]〜1.0[MPa]が好ましい。
機械加工ヘッド駆動部96は、制御部91からの指令に基づいて工具の回転速度を制御する。
ヘッド移動部97は、制御部91からの指令に基づいてレーザ加工ヘッドHの上記移動を制御する。本実施形態では、板状の複合材である被加工物Wの板厚を1[in]以下(好ましくは1/2[in]以下)とし、機械加工ヘッドMの主軸テーパ(工具を取り付ける取付具(アーバ)のサイズ)を40番以上とし、主軸出力を15[kW]以上とする。
以下、図2を参照して本実施形態に係る複合加工方法の処理手順を説明する。図2に示すように、制御部91は、入力部93からの入力にしたがって加工すべき被加工物Wの設計情報を記憶部92の被加工物データベース92aから取得する(ステップS1)。次に、制御部91は、被加工物Wの設計情報から、加工する被加工物Wの位置や、レーザ加工ヘッドHによるレーザLの出力や、機械加工ヘッドMによる工具の回転速度や、レーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMの移動速度(加工時間)などの加工条件を決定する(ステップS2)。次に、制御部91は、決定した加工条件に基づきレーザ加工ヘッド駆動部95、機械加工ヘッド駆動部96およびヘッド移動部97に指令を出力し加工を実施する(ステップS3)。
ステップS2において、制御部91は、図1に示すようにレーザ加工ヘッドHを移動方向の前側とし、直線の移動基準であるX軸方向(図1中矢印A方向)にレーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMを移動させるように加工条件を決定する。このため、ステップS3において、被加工物Wを加工するレーザLの照射位置と、被加工物Wを加工する工具の加工位置とを直線の移動基準に合わせてスライド移動させ、レーザ加工に続けてレーザLにより加工した被加工物Wの位置を工具により加工する。これにより、被加工物Wが、レーザLにより切断されつつ続けて切断部分が工具により仕上げ加工される。
このように、本実施形態の複合加工方法は、被加工物Wを加工するレーザLの照射位置と、被加工物Wを加工する工具の加工位置とを所定の移動基準に合わせて移動させ、レーザLにより被加工物Wを加工するレーザ加工工程と、レーザ加工工程に続けてレーザLにより加工した被加工物Wの位置を工具により加工する機械加工工程と、を含む。
この複合加工方法によれば、レーザLの照射位置と工具の加工位置とが所定の移動基準に基づき移動しつつ、レーザ加工工程に続けて機械加工工程を行うことで、機械加工では加工時間のかかる加工をレーザ加工で行い、その仕上げとして機械加工を行う各工程を、所定の移動基準で続けて行う。このため、加工の高速化を図ることが可能になる。特に、複合材の加工においては、機械加工では工具の消耗が激しくランニングコストが嵩むが、レーザ加工を先に行い、その仕上げとして機械加工を行うことから、工具の長寿命化を図り、ランニングコストを低減することが可能になる。
また、本実施形態の複合加工方法は、被加工物Wを加工するレーザLの照射位置と、被加工物Wを加工する工具の加工位置とを直線の移動基準に合わせてスライド移動させる。
この複合加工方法によれば、レーザ加工工程を行いながら、機械加工工程を行って被加工物Wを切断する。このため、被加工物Wの切断加工を高速で行うことが可能になる。
また、本実施形態の複合加工方法では、レーザ加工工程は、レーザLにより被加工物Wを粗加工し、機械加工工程は、レーザLにより加工した被加工物Wの位置を工具により仕上げ加工する。
この複合加工方法によれば、複合材の加工においては、レーザ加工だけでは加工面が粗くなるが、レーザLにより粗加工を先に行い、その仕上げとして機械加工を行うことから、高品質の加工を高速で行うことが可能になる。
また、本実施形態の複合加工装置1は、被加工物Wを加工するレーザLを照射するレーザ加工ヘッドHと、被加工物Wを加工する工具を有する機械加工ヘッドMと、レーザ加工ヘッドHにおけるレーザLの照射位置および機械加工ヘッドMにおける工具の加工位置を所定の移動基準に合わせてレーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMを一体に支持し、かつ前記移動基準に基づいてレーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMを移動させる移動機構31と、を含む。
この複合加工装置1によれば、被加工物Wを加工するレーザLの照射位置と、被加工物Wを加工する工具の加工位置とを所定の移動基準に合わせて移動させ、レーザLにより被加工物Wを加工するレーザ加工工程と、レーザ加工工程に続けてレーザLにより加工した被加工物Wの位置を工具により加工する機械加工工程とを行う本実施形態の複合加工方法を実施することが可能になる。すなわち、レーザ加工工程に続けて機械加工工程を行うことで、機械加工では加工時間のかかる加工をレーザ加工で行い、その仕上げとして機械加工を行う各工程を、所定の移動基準で続けて連続して行う。このため、加工の高速化を図ることが可能になる。特に、複合材の加工においては、機械加工では工具の消耗が激しくランニングコストが嵩むが、レーザ加工を先に行い、その仕上げとして機械加工を行うことから、工具の長寿命化を図り、ランニングコストを低減することが可能になる。
また、本実施形態の複合加工装置1では、移動機構31は、レーザ加工ヘッドHにおけるレーザLの照射位置および機械加工ヘッドMにおける工具の加工位置を直線の移動基準に合わせてレーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMを一体に支持し、かつ前記直線の移動基準に沿ってレーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMをスライド移動させる。
この複合加工装置1によれば、レーザ加工を行いながら、機械加工を行って被加工物Wを切断する。このため、被加工物Wの切断加工を高速で行うことが可能になる。
また、本実施形態の複合加工装置1は、加工時の移動方向の前側にレーザ加工ヘッドHを配置し、かつレーザ加工ヘッドHと機械加工ヘッドMとの間にレーザ加工ヘッドHにおけるレーザLで切断された被加工物Wの切断片に対して押圧接触し得る接触部6を有する。
この複合加工装置1によれば、接触部6によりレーザLで切断された切断片を押圧することで、レーザLで切断加工された後に機械加工ヘッドMの工具が切断された被加工物Wの切断片に接触して機械加工の妨げになる事態を防ぐことが可能になる。
また、本実施形態の複合加工装置1は、レーザ加工ヘッドHと機械加工ヘッドMとの間に防振部材7を配置する。
この複合加工装置1によれば、機械加工ヘッドMの振動をレーザ加工ヘッドHに伝達する事態を抑えるため、当該振動によるレーザ加工の影響(例えば、レーザLの照射位置の精度低下など)を抑制することが可能になる。
また、本実施形態の複合加工装置1は、機械加工ヘッドMにおける工具の加工位置に向けて送風する送風部8aを含む。
この複合加工装置1によれば、機械加工ヘッドMによる加工において生じる加工屑が、送風部8aにより飛ばされることで、機械加工ヘッドMの工具やレーザ加工ヘッドHのレンズに付着する事態を防ぐ。このため、加工屑が機械加工ヘッドMの工具に付着し工具を傷つけて工具の耐久性が低下したり、加工屑がレーザ加工ヘッドHのレンズに付着しレーザLの光学系を傷つけて光学系の耐久性が低下したりする事態を防ぐことが可能になる。
また、本実施形態の複合加工装置1は、機械加工ヘッドMにおける工具の加工位置に向けて吸引する吸引部8bを含む。
この複合加工装置1によれば、機械加工ヘッドMによる加工において生じる加工屑が、吸引部8bにより吸引されることで、機械加工ヘッドMの工具やレーザ加工ヘッドHのレンズに付着する事態を防ぐ。このため、加工屑が機械加工ヘッドMの工具に付着し工具を傷つけて工具の耐久性が低下したり、加工屑がレーザ加工ヘッドHのレンズに付着しレーザLの光学系を傷つけて光学系の耐久性が低下したりする事態を防ぐことが可能になる。
[実施形態2]
図3は、本実施形態に係る複合加工装置の構成図であり、図4は、本実施形態に係る複合加工装置のレーザ加工ヘッドの構成図であり、図5および図6は、本実施形態に係る複合加工装置のレーザ加工ヘッドの動作を説明するための説明図であり、図7〜図14は、本実施形態に係る複合加工方法の処理手順を示す工程図である。
図3に示すように、複合加工装置1は、被加工物支持機構2(図7参照)と、ヘッド支持機構3とを含む。
被加工物支持機構2は、複合加工装置1の固定フレーム1aに対して被加工物Wを支持するものである。被加工物支持機構2は、本実施形態では、例えば、図7に示すように、固定フレーム1aである載置台の上に載置された被加工物Wの周囲を締め付けて固定するチャック部2aを有する。
ここで、本実施形態の被加工物Wとしては、CFRP(炭素繊維強化プラスチック、Carbon Fiber Reinforced Plastics)、GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)、GMT(ガラス長繊維強化プラスチック)などの繊維強化プラスチック、鋼板以外の鉄合金、アルミ合金などの各種金属を用いることができ、特に、CFRPを含む複合材やGFRPが適用される。また、被加工物Wは、インコネル、ハステロイ、ステンレス、セラミック、鋼、炭素鋼、セラミックス、シリコン、チタン、タングステン、樹脂、プラスチックス、ガラスなどで作成された部材を用いることもできる。
ヘッド支持機構3は、複合加工装置1の固定フレーム1aに対してレーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMを支持するものである。ヘッド支持機構3は、本実施形態では、例えば、固定フレーム1aである水平梁に対してレーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMを移動可能に支持するもので、水平梁に移動機構31を介してレーザ加工ヘッドHや機械加工ヘッドMを支持する。
移動機構31は、例えば、X軸移動機構、Y軸移動機構、およびZ軸移動機構を含む。移動機構31のX軸移動機構は、X軸方向(図3における左右方向)に延在するX軸レール31aが、固定フレーム1aである水平梁の下部に対して平行に1対固定されている。そして、X軸移動機構は、1対のX軸レール31aに対して直交するY軸方向(図3における奥行き方向)に延在するY軸レール31bが、1対のX軸レール31aの延在方向に沿ってX軸方向に移動可能に設けられている。
移動機構31のY軸移動機構は、Y軸移動部材31cが、1対のY軸レール31bの延在方向に沿ってY軸方向に移動可能に設けられている。
移動機構31のZ軸移動機構は、Y軸移動部材31cにZ軸支持部材31dが設けられ、このZ軸支持部材31dに対してZ軸方向(図3における上下方向であって後述する軸心Sの延在方向)に延在するZ軸レール31eが、平行に1対固定されている。そして、Z軸移動機構は、Z軸移動部材31fが、1対のZ軸レール31eの延在方向に沿ってZ軸方向に移動可能に設けられている。そして、このZ軸移動部材31fに対してレーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMが設置されている。
すなわち、移動機構31は、X軸移動機構によりレーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMをX軸方向に移動させ、Y軸移動機構によりレーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMをY軸方向に移動させ、Z軸移動機構によりレーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMをZ軸方向に移動させる。
レーザ加工ヘッドHは、レーザ加工ヘッド駆動部(レーザ出力装置)により出力されたレーザLを照射するものである。ここで、本実施形態のレーザ加工ヘッドHの構成について図3〜図6を参照して説明する。
レーザ加工ヘッドHは、後述のレーザ加工ヘッド駆動部95から光ファイバFを介して出力されるレーザLを被加工物Wに照射する。このレーザ加工ヘッドHは、レーザLの光路の光軸を軸心Sとして回転させることで、被加工物W上の照射位置を回転させる。すなわち、レーザ加工ヘッドHは、図5に示すように、円を描くようにレーザLの照射位置を移動させる。
具体的に、レーザ加工ヘッドHは、全体として円柱状に形成され、図3および図4に示すように、光ファイバFから出力されるレーザLを案内する光学系ユニットをなす。光学系ユニットは、レーザLの光路上に光ファイバF側から順にコリメート光学系101と、偏光光学系102と、集光光学系103とが、配置されている。つまり光ファイバFから出力されたレーザLは、コリメート光学系101を通過した後、偏光光学系102を通過し、集光光学系103を通過して、被加工物Wに照射される。
コリメート光学系101は、コリメータレンズなどを備えており、光ファイバFから出力されたレーザLを平行光とする。偏光光学系102は、レーザLの光路を中心から一定距離ずらす(偏光する)光学ユニットであり、第一プリズム102aと、第二プリズム102bとを有する。第一プリズム102aは、レーザLを屈折させて、光軸(軸心S)に対して傾ける。第二プリズム102bは、第一プリズム102aで屈折されたレーザLを再度屈折させて、集光する位置を制御する。これにより、図5に示すように偏光光学系102を通過したレーザLは、通過前のレーザLの光路に対してずれた光路で出力される。集光光学系103は、偏光光学系102で光軸(軸心S)からずれたレーザLを集光するレンズを有する。
コリメート光学系101および集光光学系103のレンズは、光学系ユニットの固定のレンズであり、光学系支持部104に支持されている。この光学系支持部104は、後述する回転機構105の固定部105aも支持する。
回転機構105は、本実施形態の移動機構31に含まれるもので、偏光光学系102の通過前のレーザLの光路を回転中心として、偏光光学系102を回転させる機構である。回転機構105は、固定部105aと、回転部105bと、軸受105cと、を有する。固定部105aは、コリメート光学系101および集光光学系103に固定されている。回転部105bは、固定部105aに対して軸受105cを介して光軸(軸心S)周りに回転可能に支持されている。回転部105bは、レーザLの光路に対応する部分が空間となっている空中の筒状部材である。回転部105bは、偏光光学系102の第一プリズム102aおよび第二プリズム102bを支持している。
回転機構105は、上記構成により固定部105aと回転部105bとが光軸(軸心S)周りに相対的に回転可能に設けられている。そして、回転部105bを図4中の矢印Bの方向に回転させることで、偏光光学系102を回転させることができる。回転機構105は、その回転中心が、偏光される前のレーザLの光路の光軸(軸心S)と重なる。
回転機構105は、偏光される前のレーザLの光路の光軸(軸心S)を中心として偏光光学系102を回転させることで、図5に示すように、被加工物W上のレーザLの照射位置を偏光される前のレーザLの光路の光軸(軸心S)を中心とし、当該中心から偏光光学系102で偏光した距離を半径とする円状で照射位置を移動させることができる。つまり、回転機構105は、回転部105bを図4中の矢印Bの方向に回転させ偏光光学系102を回転させることで、図5および図6に示すように、光軸(軸心S)を中心とした仮想円V上で照射位置iを矢印Bの方向に回転移動させることができる。
また、レーザ加工ヘッドHは、エンコーダ106を有する。エンコーダ106は、回転機構105の回転部105bの回転を検出する回転センサである。エンコーダ106は、検出部106aと移動部106bとを有する。検出部106aは、回転機構105の固定部105aに固定されている。移動部106bは回転機構105の回転部105bに固定され、この回転部105bとともに回転移動する。移動部106bは、回転方向の位置に目印となる識別子が設けられている。検出部106aは、移動部106bの識別子を検出することで、移動部106bの回転を検出することができ、これにより、回転機構105において固定部105aに対する回転部105bの回転を検出することができる。
このようなレーザ加工ヘッドHは、図3に示すように、フレーム100に支持されている。フレーム100は、円柱状のレーザ加工ヘッドHを収容するように円筒状に形成されている。そして、フレーム100は、移動機構31のZ軸移動部材31fに固定されている。このフレーム100に対し、レーザ加工ヘッドHは、コリメート光学系101および集光光学系103が固定され、これらコリメート光学系101および集光光学系103に伴い回転機構105の固定部105aもフレーム100に固定されている。また、回転機構105の回転部105bは、フレーム100との間に軸受100aを介して光軸(軸心S)を中心として回転可能に支持されている。すなわち、レーザ加工ヘッドHは、回転機構105の回転部105bがフレーム100に対して回転可能に支持され、それ以外の部分がフレーム100に対して固定されている。
また、レーザ加工ヘッドHは、移動機構31である回転機構105における回転部105bを回転させるモータ107を有する。モータ107は、図3に示すように、レーザ加工ヘッドHのコリメート光学系101側に設けられ、フレーム100に固定されている。このモータ107は、その出力軸がレーザLの光路の光軸(軸心S)を中心として円筒状に形成され、コリメート光学系101を内部に配置しつつ回転機構105の回転部105bに接続されている。このため、モータ107の出力軸の回転が、コリメート光学系101を除外して回転機構105の回転部105bに伝達される。なお、回転機構105の回転部105bを回転させる駆動源は、モータ107に限らず、例えば、図には明示しないが、軸受105cを静圧軸受(流体軸受)とし、ポンプにより固定部105aと回転部105bとの間の閉じられた空間に空気を供給することで回転部105bを回転させる構成であってもよい。その他、例えば、図には明示しないが、回転部105bをロータとし、その周囲にフレーム100に固定のステータを配置し、ロータまたはステータを永久磁石とする一方、ステータまたはロータにコイルを巻き付けて磁化することで、回転部105bを回転させるように構成してもよい。
また、レーザ加工ヘッドHは、機械加工ヘッドMとともにZ軸移動部材31fに対して設置されていることから、機械加工ヘッドMからの伝熱(例えば、約50[℃])を抑制するため、冷却手段108を有する。冷却手段108は、ポンプ108aと連結管108bとを有する。ポンプ108aは、連結管108bの流入部に空気を供給する。連結管108bは、光学系ユニットにおける光学部材と光学部材との間の閉じられた空間と閉じられた空間とを繋げる配管である。連結管108bは、当該空間との繋がっている開口が光学部材の近傍に配置されている。また、連結管108bは、同じ空間からそれぞれ他の空間に繋がる場合、同じ空間の離れた位置(例えば、光軸を挟んだ反対側)に各開口が形成されている。冷却手段108は、ポンプ108aで連結管108bに空気を供給することで、光学部材と光学部材との間の閉じられた空間に空気を流すことができ、光学部材を冷却することができる。なお、連結管108bは、光学系ユニット全体で閉じられた空間を介して1つの流路となるように繋がっており、ポンプ108aにより1箇所から空気を供給することで、光学系ユニット全体に空気を流すことができる。
また、レーザ加工ヘッドHは、被加工物Wとして複合材を用いる場合、複合材の燃焼を抑制するため、アシストガス供給手段109を有する。アシストガス供給手段109は、例えば、図4に示すように、レーザ加工ヘッドHの集光光学系103の側部に配置したガス供給管からアシストガス(例えば、窒素やアルゴン)をレーザLと同軸に供給するものや、図には明示しないが、被加工物WのレーザLが照射される部分にアシストガスを噴射するものがある。
機械加工ヘッドMは、本実施形態では、レーザ加工を行いつつ、レーザ加工部分を切削により仕上げ加工を行うもので、切削工具としてのドリルDおよび面取カッタCが適用される。そして、機械加工ヘッドMは、図3に示すように、ドリルDおよび面取カッタCを回転させる回転機構110を有する。回転機構110は、本実施形態の移動機構31に含まれるもので、回転部110aを有する。回転部110aは、フレーム100の外側を覆うように筒状に形成され、フレーム100との間に軸受100bを介して光軸(軸心S)を中心として回転可能に支持されている。この回転部110aに対し、光軸(軸心S)の延在方向に沿ってドリルDが固定されている。ドリルDは、その内部をレーザ加工ヘッドHのレーザLが通過するように円筒状に形成されている。また、ドリルDの付け根部分に、面取カッタCが固定されている。また、回転機構110は、回転部110aを回転させるモータ110bを有する。モータ110bは、フレーム100とともに移動機構31のZ軸移動部材31fに固定されている。そして、モータ110bは、その出力軸に設けられた歯車110cが、回転部110aに設けられた歯車110dに噛合する。このため、モータ110bの出力軸の回転が、回転部110aに伝達される。
また、機械加工ヘッドMは、被加工物Wが複合材である場合、回転機構110の回転部110aの軸受100bや摺動面の油が工具に伝わって被加工物Wに付着することで複合材が変質する事態を防ぐために、適宜シール構造を備える。
本実施形態の複合加工装置1は、フレーム100を介してZ軸移動部材31fに対して設置されるレーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMについて、被加工物Wを加工するレーザLの照射位置と、被加工物Wを加工する工具(ドリルDおよび面取カッタC)の加工位置とが所定の移動基準に合わせて配置されている。具体的に、本実施形態では、被加工物Wを加工するレーザLの照射位置と、被加工物Wを加工する工具の加工位置とが、同一軸心Sの移動基準に合うように、レーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMがフレーム100に対して設置されている。このため、レーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMは、移動機構31である回転機構105,110により、それぞれ軸心Sを中心に回転移動する。
また、本実施形態の複合加工装置1は、機械加工ヘッドMが、回転駆動や、被加工物Wの加工時に振動を伴うことから、この振動のレーザ加工ヘッドHへの伝達を抑えるため、レーザ加工ヘッドHと機械加工ヘッドMとの間にゴム材などからなる防振部材111が配置されている。図3では、レーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMを支持するフレーム100と軸受100aとの間および軸受100aとレーザ加工ヘッドHとの間に防振部材111が配置された形態を示している。その他、フレーム100と軸受100bとの間および軸受100bと機械加工ヘッドMとの間に防振部材111が配置されていてもよい。
また、本実施形態の複合加工装置1は、機械加工ヘッドMによる加工において加工屑が生じ、この加工屑が機械加工ヘッドMの工具に付着した場合は工具を傷つけて工具の耐久性が低下するおそれがあり、加工屑がレーザ加工ヘッドHのレンズに付着した場合は、レーザLの光学系を傷つけて光学系の耐久性が低下するおそれがある。このため、本実施形態の複合加工装置1では、機械加工ヘッドMにおける工具の加工位置に向けて送風する送風部(例えば、エアまたはガスを噴射するノズルおよび図示しないエア供給源)8aと、機械加工ヘッドMにおける工具の加工位置に向けて吸引する吸引部(例えば、吸引ファン)8bとを有する。このため、機械加工ヘッドMによる加工において生じる加工屑は、送風部8aにより飛ばされて機械加工ヘッドMの工具やレーザ加工ヘッドHのレンズに付着する事がなくなる。また、機械加工ヘッドMによる加工において生じる加工屑、または送風部8aにより飛ばされる加工屑は、吸引部8bにより吸引されて機械加工ヘッドMの工具やレーザ加工ヘッドHのレンズに付着する事がなくなる。なお、図には明示しないが、吸引部8bは、その吸引の下流側にダクトを介してフィルタに接続され、加工屑を回収するように構成されていることが好ましい。また、送風部8aと吸引部8bとは何れか一方のみ設けられていてもよい。
また、複合加工装置1は、制御装置9を有する。制御装置9は、上述したレーザ加工ヘッドHの駆動や、機械加工ヘッドMの駆動や、移動機構31による移動を制御するもので、制御部91、記憶部92、入力部93、表示部94、レーザ加工ヘッド駆動部(レーザ出力装置)95、機械加工ヘッド駆動部96、およびヘッド移動部97を含む。
制御部91は、例えば、CPU(Central Processing Unit:中央演算装置)であり、入力部93からの入力や記憶部92からデータの入力を受け付け、当該入力に応じてレーザ加工ヘッド駆動部95、機械加工ヘッド駆動部96、およびヘッド移動部97に指令を出力する。記憶部92は、一例として、ハードディスク装置または半導体記憶デバイスである。記憶部92は、被加工物データベース92aを有する。被加工物データベース92aは、被加工物Wの加工に基づく設計情報(例えば、被加工物Wの形状や材質など)が格納される。この記憶部92は、制御部91と通信回線を通じて接続されるもの(例えば、データサーバー)であってもよい。入力部93は、キーボードやマウスなどからなる。表示部94は、画面を有し、当該画面に入力部93で入力された内容や、記憶部92から入力された内容や、レーザ加工ヘッド駆動部95によるレーザ加工ヘッドHの駆動状況や、機械加工ヘッド駆動部96による機械加工ヘッドMの駆動状況や、ヘッド移動部97によるレーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMの移動状況などが表示される。
レーザ加工ヘッド駆動部95は、レーザLを出力する装置である。レーザ加工ヘッド駆動部95は、光ファイバを媒質に用いてレーザLを出力するファイバレーザ出力装置や、短パルスのレーザLを出力する短パルスレーザ出力装置を用いることができる。ファイバレーザ出力装置としては、ファブリペロー型ファイバレーザ出力装置やリング型ファイバレーザ出力装置が励磁される。また、ファイバレーザ出力装置は、連続波発振(Continuous Wave Operation)とパルス発振(Plused Operation)のいずれの方式を用いるものでもよい。ファイバレーザ出力装置のファイバは、例えば、希土類元素(Er、Nd、Yb)を添加したシリカガラスを使用することができる。また、短パルスとは、パルス幅が100ピコ秒以下のパルスである。短パルスレーザ出力装置のレーザLの発生源としては、例えば、チタンサファイアレーザを用いることができる。このレーザ加工ヘッド駆動部95は、制御部91からの指令に基づいてレーザLの出力を制御する。本実施形態では、複合材である被加工物Wの厚さを1/4[in]〜1[in]とし、レーザLの波長を1.0[μm]〜1.1[μm]の赤外光(可視光や紫外光でもよい)を適用し、レーザLの出力を100[W]〜50[kW]とする。この場合、アシストガス圧は、0.1[MPa]〜1.0[MPa]が好ましい。また、レーザ加工ヘッド駆動部95は、制御部91からの指令に基づいて、レーザ加工ヘッドHにおける回転機構105の回転部105bを回転させるモータ107の回転速度(レーザLの回転速度)を制御する。
機械加工ヘッド駆動部96は、制御部91からの指令に基づいて、機械加工ヘッドMにおける回転機構110のモータ110bの回転速度(工具の回転速度)を制御する。
ヘッド移動部97は、制御部91からの指令に基づいてレーザ加工ヘッドHの上記移動を制御する。本実施形態では、複合材である被加工物Wの厚さを1/4[in]〜1[in]とし、主軸出力を15[kW]以上とする。
以下、図2、図7〜図14を参照して本実施形態に係る複合加工方法の処理手順を説明する。ここで、図7、図9、図11、図13は、複合加工装置1の動作を示し、図8は図7での、図10は図9での、図12は図11での、図14は図13での被加工物Wの加工状態を示す。
図2に示すように、制御部91は、入力部93からの入力にしたがって加工すべき被加工物Wの設計情報を記憶部92の被加工物データベース92aから取得する(ステップS1)。次に、制御部91は、被加工物Wの設計情報から、加工する被加工物Wの位置や、レーザ加工ヘッドHによるレーザLの出力や、機械加工ヘッドMによる工具の回転速度や、レーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMの移動速度(加工時間)などの加工条件を決定する(ステップS2)。次に、制御部91は、決定した加工条件に基づきレーザ加工ヘッド駆動部95、機械加工ヘッド駆動部96およびヘッド移動部97に指令を出力し加工を実施する(ステップS3)。
ステップS2において、制御部91は、図7に示すようにレーザ加工ヘッドHからレーザLを照射し、回転機構105の回転部105bを軸心Sの基準位置に合わせて回転移動させるとともに、被加工物Wに近づくようにレーザ加工ヘッドHを軸心Sに沿ってZ軸方向に直線移動(下降)させる。これにより、被加工物Wに対してレーザLの照射位置が軸心Sを中心に円状に移動し、図8に示すように、被加工物Wに穴W1が形成される。この際、穴W1の内壁面(加工面)は、所定範囲W2においてレーザLの入熱により粗密な状態になる。
ステップS2において、制御部91は、次に、図9に示すようにレーザ加工ヘッドHからレーザLを照射し、回転機構105の回転部105bを軸心Sの基準位置に合わせて回転移動させ、かつ機械加工ヘッドMの回転機構110の回転部110aを軸心Sの基準位置に合わせて回転移動させるとともに、被加工物Wに近づくようにレーザ加工ヘッドHを軸心Sに沿ってZ軸方向に直線移動(下降)させる。これにより、被加工物Wに対してレーザLの照射位置が軸心Sを中心に円状に移動し、図10に示すように、被加工物Wのさらに下側に向けて穴W1が貫通形成される。この際、さらに下側の穴W1の内壁面(加工面)は、所定範囲W2においてレーザLの入熱により粗密な状態になる。また、被加工物Wに対して機械加工ヘッドMのドリルDが軸心Sを中心に回転し、図10に示すように、先に穴W1の内壁面が入熱された部分がドリルDにより切削されて穴W3が形成される。また、制御部91は、被加工物Wに穴W1が貫通形成された場合、レーザLの照射を止める。
ステップS2において、制御部91は、次に、図11に示すように、機械加工ヘッドMの回転機構110の回転部110aを軸心Sの基準位置に合わせて回転移動させるとともに、被加工物Wに近づくようにレーザ加工ヘッドHを軸心Sに沿ってZ軸方向に直線移動(下降)させる。これにより、被加工物Wに対して機械加工ヘッドMのドリルDが軸心Sを中心に回転し、図12に示すように、先に貫通した穴W1(図10参照)の内壁面が入熱された部分がドリルDにより切削されて穴W3が貫通形成される。
ステップS2において、制御部91は、次に、図13に示すように、機械加工ヘッドMの回転機構110の回転部110aを軸心Sの基準位置に合わせて回転移動させるとともに、被加工物Wに近づくようにレーザ加工ヘッドHを軸心Sに沿ってZ軸方向に直線移動(下降)させる。これにより、被加工物Wに対して機械加工ヘッドMの面取カッタCが軸心Sを中心に回転し、図14に示すように、先に貫通した穴W3の上側の開口縁が面取カッタCにより切削されて面取部W4が形成される。
このように、本実施形態の複合加工方法は、被加工物Wを加工するレーザLの照射位置と、被加工物Wを加工する工具の加工位置とを所定の移動基準に合わせて移動させ、レーザLにより被加工物Wを加工するレーザ加工工程と、レーザ加工工程に続けてレーザLにより加工した被加工物Wの位置を工具により加工する機械加工工程と、を含む。
この複合加工方法によれば、レーザLの照射位置と工具の加工位置とが所定の移動基準に基づき移動しつつ、レーザ加工工程に続けて機械加工工程を行うことで、機械加工では加工時間のかかる加工をレーザ加工で行い、その仕上げとして機械加工を行う各工程を、所定の移動基準で続けて行う。このため、加工の高速化を図ることが可能になる。特に、複合材の加工においては、機械加工では工具の消耗が激しくランニングコストが嵩むが、レーザ加工を先に行い、その仕上げとして機械加工を行うことから、工具の長寿命化を図り、ランニングコストを低減することが可能になる。
また、本実施形態の複合加工方法は、被加工物Wを加工するレーザLの照射位置と、被加工物Wを加工する工具の加工位置とを同一軸心Sの移動基準に合わせて回転移動させるとともに、軸心Sに沿って直線移動させる。
この複合加工方法によれば、レーザ加工工程を行いながら、機械加工工程を行って被加工物Wに穴W3を貫設する。このため、被加工物Wへの穴W3の貫設加工を高速で行うことが可能になる。
また、本実施形態の複合加工方法では、レーザ加工工程は、レーザLにより被加工物Wを粗加工し、機械加工工程は、レーザLにより加工した被加工物Wの位置を工具により仕上げ加工する。
この複合加工方法によれば、複合材の加工においては、レーザ加工だけでは加工面が粗くなるが、レーザLにより粗加工を先に行い、その仕上げとして機械加工を行うことから、高品質の加工を高速で行うことが可能になる。
また、本実施形態の複合加工装置1は、被加工物Wを加工するレーザLを照射するレーザ加工ヘッドHと、被加工物Wを加工する工具を有する機械加工ヘッドMと、レーザ加工ヘッドHにおけるレーザLの照射位置、および機械加工ヘッドMにおける工具の加工位置が所定の移動基準に合う態様でレーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMを一体に支持し、前記移動基準に基づいてレーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMを移動させる移動機構31と、を含む。
この複合加工装置1によれば、被加工物Wを加工するレーザLの照射位置と、被加工物Wを加工する工具の加工位置とを所定の移動基準に合わせて移動させ、レーザLにより被加工物Wを加工するレーザ加工工程と、レーザ加工工程に続けてレーザLにより加工した被加工物Wの位置を工具により加工する機械加工工程とを行う本実施形態の複合加工方法を実施することが可能になる。すなわち、レーザ加工工程に続けて機械加工工程を行うことで、機械加工では加工時間のかかる加工をレーザ加工で行い、その仕上げとして機械加工を行う各工程を、所定の移動基準で続けて連続して行う。このため、加工の高速化を図ることが可能になる。特に、複合材の加工においては、機械加工では工具の消耗が激しくランニングコストが嵩むが、レーザ加工を先に行い、その仕上げとして機械加工を行うことから、工具の長寿命化を図り、ランニングコストを低減することが可能になる。
また、本実施形態の複合加工装置1では、移動機構31は、レーザ加工ヘッドHにおけるレーザLの照射位置および機械加工ヘッドMにおける工具の加工位置が同一軸心Sの移動基準に合わせてレーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMを一体に支持し、さらに、レーザLの照射位置および工具の加工位置をそれぞれ軸心Sの周りに回転移動させ、かつ軸心Sに沿ってレーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMを直線移動させる。
この複合加工装置1によれば、レーザ加工を行いながら、機械加工を行って被加工物Wに穴W3を貫設する。このため、被加工物Wへの穴W3の貫設加工を高速で行うことが可能になる。
また、本実施形態の複合加工装置1は、レーザ加工ヘッドHと機械加工ヘッドMとの間に防振部材111を配置する。
この複合加工装置1によれば、機械加工ヘッドMの振動をレーザ加工ヘッドHに伝達する事態を抑えるため、当該振動によるレーザ加工の影響(例えば、レーザLの照射位置の精度低下など)を抑制することが可能になる。
また、本実施形態の複合加工装置1は、機械加工ヘッドMにおける工具の加工位置に向けて送風する送風部8aを含む。
この複合加工装置1によれば、機械加工ヘッドMによる加工において生じる加工屑が、送風部8aにより飛ばされることで、機械加工ヘッドMの工具やレーザ加工ヘッドHのレンズに付着する事態を防ぐ。このため、加工屑が機械加工ヘッドMの工具に付着し工具を傷つけて工具の耐久性が低下したり、加工屑がレーザ加工ヘッドHのレンズに付着しレーザLの光学系を傷つけて光学系の耐久性が低下したりする事態を防ぐことが可能になる。
また、本実施形態の複合加工装置1は、機械加工ヘッドMにおける工具の加工位置に向けて吸引する吸引部8bを含む。
この複合加工装置1によれば、機械加工ヘッドMによる加工において生じる加工屑が、吸引部8bにより吸引されることで、機械加工ヘッドMの工具やレーザ加工ヘッドHのレンズに付着する事態を防ぐ。このため、加工屑が機械加工ヘッドMの工具に付着し工具を傷つけて工具の耐久性が低下したり、加工屑がレーザ加工ヘッドHのレンズに付着しレーザLの光学系を傷つけて光学系の耐久性が低下したりする事態を防ぐことが可能になる。
[実施形態3]
図15は、本実施形態に係る複合加工装置の構成図であり、図16〜図19は、本実施形態に係る複合加工方法の処理手順を示す工程図である。
図15に示すように、複合加工装置1は、被加工物支持機構2(図16参照)と、ヘッド支持機構3とを含む。
被加工物支持機構2は、複合加工装置1の固定フレーム1aに対して被加工物Wを支持するものである。被加工物支持機構2は、本実施形態では、例えば、図16に示すように、固定フレーム1aである載置台の上に載置された被加工物Wの周囲を締め付けて固定するチャック部2aを有する。
ここで、本実施形態の被加工物Wとしては、CFRP(炭素繊維強化プラスチック、Carbon Fiber Reinforced Plastics)、GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)、GMT(ガラス長繊維強化プラスチック)などの繊維強化プラスチック、鋼板以外の鉄合金、アルミ合金などの各種金属を用いることができ、特に、CFRPを含む複合材やGFRPが適用される。また、被加工物Wは、インコネル、ハステロイ、ステンレス、セラミック、鋼、炭素鋼、セラミックス、シリコン、チタン、タングステン、樹脂、プラスチックス、ガラスなどで作成された部材を用いることもできる。
ヘッド支持機構3は、複合加工装置1の固定フレーム1aに対してレーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMを支持するものである。ヘッド支持機構3は、本実施形態では、例えば、固定フレーム1aである水平梁に対してレーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMを移動可能に支持するもので、水平梁に移動機構31を介してレーザ加工ヘッドHや機械加工ヘッドMを支持する。
移動機構31は、例えば、X軸移動機構、Y軸移動機構、およびZ軸移動機構を含む。移動機構31のX軸移動機構は、X軸方向(図15における左右方向)に延在するX軸レール31aが、固定フレーム1aである水平梁の下部に対して平行に1対固定されている。そして、X軸移動機構は、1対のX軸レール31aに対して直交するY軸方向(図15における奥行き方向)に延在するY軸レール31bが、1対のX軸レール31aの延在方向に沿ってX軸方向に移動可能に設けられている。
移動機構31のY軸移動機構は、Y軸移動部材31cが、1対のY軸レール31bの延在方向に沿ってY軸方向に移動可能に設けられている。
移動機構31のZ軸移動機構は、Y軸移動部材31cにZ軸支持部材31dが設けられ、このZ軸支持部材31dに対してZ軸方向(図15における上下方向であって後述する軸心Sの延在方向)に延在するZ軸レール31eが、平行に1対固定されている。そして、Z軸移動機構は、Z軸移動部材31fが、1対のZ軸レール31eの延在方向に沿ってZ軸方向に移動可能に設けられている。そして、このZ軸移動部材31fに対してレーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMが設置されている。
すなわち、移動機構31は、X軸移動機構によりレーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMをX軸方向に移動させ、Y軸移動機構によりレーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMをY軸方向に移動させ、Z軸移動機構によりレーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMをZ軸方向に移動させる。
レーザ加工ヘッドHは、レーザ加工ヘッド駆動部(レーザ出力装置)により出力されたレーザLを照射するものである。ここで、本実施形態のレーザ加工ヘッドHの構成について図15、図4〜図6を参照して説明する。
レーザ加工ヘッドHは、後述のレーザ加工ヘッド駆動部95から光ファイバFを介して出力されるレーザLを被加工物Wに照射する。このレーザ加工ヘッドHは、レーザLの光路の光軸を軸心Sとして回転させることで、被加工物W上の照射位置を回転させる。すなわち、レーザ加工ヘッドHは、図5に示すように、円を描くようにレーザLの照射位置を移動させる。
具体的に、レーザ加工ヘッドHは、全体として円柱状に形成され、図15および図4に示すように、光ファイバFから出力されるレーザLを案内する光学系ユニットをなす。光学系ユニットは、レーザLの光路上に光ファイバF側から順にコリメート光学系101と、偏光光学系102と、集光光学系103とが、配置されている。つまり光ファイバFから出力されたレーザLは、コリメート光学系101を通過した後、偏光光学系102を通過し、集光光学系103を通過して、被加工物Wに照射される。
コリメート光学系101は、コリメータレンズなどを備えており、光ファイバFから出力されたレーザLを平行光とする。偏光光学系102は、レーザLの光路を中心から一定距離ずらす(偏光する)光学ユニットであり、第一プリズム102aと、第二プリズム102bとを有する。第一プリズム102aは、レーザLを屈折させて、光軸(軸心S)に対して傾ける。第二プリズム102bは、第一プリズム102aで屈折されたレーザLを再度屈折させて、集光する位置を制御する。これにより、図5に示すように偏光光学系102を通過したレーザLは、通過前のレーザLの光路に対してずれた光路で出力される。集光光学系103は、偏光光学系102で光軸(軸心S)からずれたレーザLを集光するレンズを有する。
コリメート光学系101および集光光学系103のレンズは、光学系ユニットの固定のレンズであり、光学系支持部104に支持されている。この光学系支持部104は、後述する回転機構105の固定部105aも支持する。
回転機構105は、本実施形態の移動機構31に含まれるもので、偏光光学系102の通過前のレーザLの光路を回転中心として、偏光光学系102を回転させる機構である。回転機構105は、固定部105aと、回転部105bと、軸受105cと、を有する。固定部105aは、コリメート光学系101および集光光学系103に固定されている。回転部105bは、固定部105aに対して軸受105cを介して光軸(軸心S)周りに回転可能に支持されている。回転部105bは、レーザLの光路に対応する部分が空間となっている空中の筒状部材である。回転部105bは、偏光光学系102の第一プリズム102aおよび第二プリズム102bを支持している。
回転機構105は、上記構成により固定部105aと回転部105bとが光軸(軸心S)周りに相対的に回転可能に設けられている。そして、回転部105bを図4中の矢印Bの方向に回転させることで、偏光光学系102を回転させることができる。回転機構105は、その回転中心が、偏光される前のレーザLの光路の光軸(軸心S)と重なる。
回転機構105は、偏光される前のレーザLの光路の光軸(軸心S)を中心として偏光光学系102を回転させることで、図5に示すように、被加工物W上のレーザLの照射位置を偏光される前のレーザLの光路の光軸(軸心S)を中心とし、当該中心から偏光光学系102で偏光した距離を半径とする円状で照射位置を移動させることができる。つまり、回転機構105は、回転部105bを図4中の矢印Bの方向に回転させ偏光光学系102を回転させることで、図5および図6に示すように、光軸(軸心S)を中心とした仮想円V上で照射位置iを矢印Bの方向に回転移動させることができる。
また、レーザ加工ヘッドHは、エンコーダ106を有する。エンコーダ106は、回転機構105の回転部105bの回転を検出する回転センサである。エンコーダ106は、検出部106aと移動部106bとを有する。検出部106aは、回転機構105の固定部105aに固定されている。移動部106bは回転機構105の回転部105bに固定され、この回転部105bとともに回転移動する。移動部106bは、回転方向の位置に目印となる識別子が設けられている。検出部106aは、移動部106bの識別子を検出することで、移動部106bの回転を検出することができ、これにより、回転機構105において固定部105aに対する回転部105bの回転を検出することができる。
このようなレーザ加工ヘッドHは、図15に示すように、フレーム100に支持されている。フレーム100は、円柱状のレーザ加工ヘッドHを収容するように円筒状に形成されている。そして、フレーム100は、移動機構31のZ軸移動部材31fに固定されている。このフレーム100に対し、レーザ加工ヘッドHは、コリメート光学系101および集光光学系103が固定され、これらコリメート光学系101および集光光学系103に伴い回転機構105の固定部105aもフレーム100に固定されている。また、回転機構105の回転部105bは、フレーム100との間に軸受100aを介して光軸(軸心S)を中心として回転可能に支持されている。すなわち、レーザ加工ヘッドHは、回転機構105の回転部105bがフレーム100に対して回転可能に支持され、それ以外の部分がフレーム100に対して固定されている。
また、レーザ加工ヘッドHは、移動機構31である回転機構105における回転部105bを回転させるモータ107を有する。モータ107は、図15に示すように、レーザ加工ヘッドHのコリメート光学系101側に設けられ、フレーム100に固定されている。このモータ107は、その出力軸がレーザLの光路の光軸(軸心S)を中心として円筒状に形成され、コリメート光学系101を内部に配置しつつ回転機構105の回転部105bに接続されている。このため、モータ107の出力軸の回転が、コリメート光学系101を除外して回転機構105の回転部105bに伝達される。なお、回転機構105の回転部105bを回転させる駆動源は、モータ107に限らず、例えば、図には明示しないが、軸受105cを静圧軸受(流体軸受)とし、ポンプにより固定部105aと回転部105bとの間の閉じられた空間に空気を供給することで回転部105bを回転させる構成であってもよい。その他、例えば、図には明示しないが、回転部105bをロータとし、その周囲にフレーム100に固定のステータを配置し、ロータまたはステータを永久磁石とする一方、ステータまたはロータにコイルを巻き付けて磁化することで、回転部105bを回転させるように構成してもよい。
また、レーザ加工ヘッドHは、機械加工ヘッドMとともにZ軸移動部材31fに対して設置されていることから、機械加工ヘッドMからの伝熱(例えば、約50[℃])を抑制するため、冷却手段108を有する。冷却手段108は、ポンプ108aと連結管108bとを有する。ポンプ108aは、連結管108bの流入部に空気を供給する。連結管108bは、光学系ユニットにおける光学部材と光学部材との間の閉じられた空間と閉じられた空間とを繋げる配管である。連結管108bは、当該空間との繋がっている開口が光学部材の近傍に配置されている。また、連結管108bは、同じ空間からそれぞれ他の空間に繋がる場合、同じ空間の離れた位置(例えば、光軸を挟んだ反対側)に各開口が形成されている。冷却手段108は、ポンプ108aで連結管108bに空気を供給することで、光学部材と光学部材との間の閉じられた空間に空気を流すことができ、光学部材を冷却することができる。なお、連結管108bは、光学系ユニット全体で閉じられた空間を介して1つの流路となるように繋がっており、ポンプ108aにより1箇所から空気を供給することで、光学系ユニット全体に空気を流すことができる。
また、レーザ加工ヘッドHは、被加工物Wとして複合材を用いる場合、複合材の燃焼を抑制するため、アシストガス供給手段109を有する。アシストガス供給手段109は、例えば、図4に示すように、レーザ加工ヘッドHの集光光学系103の側部に配置したガス供給管からアシストガス(例えば、窒素やアルゴン)をレーザLと同軸に供給するものや、図には明示しないが、被加工物WのレーザLが照射される部分にアシストガスを噴射するものがある。
機械加工ヘッドMは、本実施形態では、レーザ加工を行いつつ、レーザ加工部分を切削により仕上げ加工を行うもので、切削工具としての面取カッタCが適用される。そして、機械加工ヘッドMは、図15に示すように、面取カッタCを回転させる回転機構110を有する。回転機構110は、本実施形態の移動機構31に含まれるもので、回転部110aを有する。回転部110aは、フレーム100の外側を覆うように筒状に形成され、フレーム100との間に軸受100bを介して光軸(軸心S)を中心として回転可能に支持されている。この回転部110aに対し、カッタ取付部を介して面取カッタCが固定されている。カッタ取付部は、その内部をレーザ加工ヘッドHのレーザLが通過するように円筒状に形成されている。また、回転機構110は、回転部110aを回転させるモータ110bを有する。モータ110bは、フレーム100とともに移動機構31のZ軸移動部材31fに固定されている。そして、モータ110bは、その出力軸に設けられた歯車110cが、回転部110aに設けられた歯車110dに噛合する。このため、モータ110bの出力軸の回転が、回転部110aに伝達される。
また、機械加工ヘッドMは、被加工物Wが複合材である場合、回転機構110の回転部110aの軸受100bや摺動面の油が工具に伝わって被加工物Wに付着することで複合材が変質する事態を防ぐために、適宜シール構造を備える。
本実施形態の複合加工装置1は、フレーム100を介してZ軸移動部材31fに対して設置されるレーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMについて、被加工物Wを加工するレーザLの照射位置と、被加工物Wを加工する工具(面取カッタC)の加工位置とが所定の移動基準に合わせて配置されている。具体的に、本実施形態では、被加工物Wを加工するレーザLの照射位置と、被加工物Wを加工する工具の加工位置とが、同一軸心Sの移動基準に合うように、レーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMがフレーム100に対して設置されている。このため、レーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMは、移動機構31である回転機構105,110により、それぞれ軸心Sを中心に回転移動する。
また、本実施形態の複合加工装置1は、機械加工ヘッドMが、回転駆動や、被加工物Wの加工時に振動を伴うことから、この振動のレーザ加工ヘッドHへの伝達を抑えるため、レーザ加工ヘッドHと機械加工ヘッドMとの間にゴム材などからなる防振部材111が配置されている。図15では、レーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMを支持するフレーム100と軸受100aとの間および軸受100aとレーザ加工ヘッドHとの間に防振部材111が配置された形態を示している。その他、フレーム100と軸受100bとの間および軸受100bと機械加工ヘッドMとの間に防振部材111が配置されていてもよい。
また、本実施形態の複合加工装置1は、機械加工ヘッドMによる加工において加工屑が生じ、この加工屑が機械加工ヘッドMの工具に付着した場合は工具を傷つけて工具の耐久性が低下するおそれがあり、加工屑がレーザ加工ヘッドHのレンズに付着した場合は、レーザLの光学系を傷つけて光学系の耐久性が低下するおそれがある。このため、本実施形態の複合加工装置1では、機械加工ヘッドMにおける工具の加工位置に向けて送風する送風部(例えば、エアまたはガスを噴射するノズルおよび図示しないエア供給源)8aと、機械加工ヘッドMにおける工具の加工位置に向けて吸引する吸引部(例えば、吸引ファン)8bとを有する。このため、機械加工ヘッドMによる加工において生じる加工屑は、送風部8aにより飛ばされて機械加工ヘッドMの工具やレーザ加工ヘッドHのレンズに付着する事がなくなる。また、機械加工ヘッドMによる加工において生じる加工屑、または送風部8aにより飛ばされる加工屑は、吸引部8bにより吸引されて機械加工ヘッドMの工具やレーザ加工ヘッドHのレンズに付着する事がなくなる。なお、図には明示しないが、吸引部8bは、その吸引の下流側にダクトを介してフィルタに接続され、加工屑を回収するように構成されていることが好ましい。また、送風部8aと吸引部8bとは何れか一方のみ設けられていてもよい。
また、複合加工装置1は、制御装置9を有する。制御装置9は、上述したレーザ加工ヘッドHの駆動や、機械加工ヘッドMの駆動や、移動機構31による移動を制御するもので、制御部91、記憶部92、入力部93、表示部94、レーザ加工ヘッド駆動部(レーザ出力装置)95、機械加工ヘッド駆動部96、およびヘッド移動部97を含む。
制御部91は、例えば、CPU(Central Processing Unit:中央演算装置)であり、入力部93からの入力や記憶部92からデータの入力を受け付け、当該入力に応じてレーザ加工ヘッド駆動部95、機械加工ヘッド駆動部96、およびヘッド移動部97に指令を出力する。記憶部92は、一例として、ハードディスク装置または半導体記憶デバイスである。記憶部92は、被加工物データベース92aを有する。被加工物データベース92aは、被加工物Wの加工に基づく設計情報(例えば、被加工物Wの形状や材質など)が格納される。この記憶部92は、制御部91と通信回線を通じて接続されるもの(例えば、データサーバー)であってもよい。入力部93は、キーボードやマウスなどからなる。表示部94は、画面を有し、当該画面に入力部93で入力された内容や、記憶部92から入力された内容や、レーザ加工ヘッド駆動部95によるレーザ加工ヘッドHの駆動状況や、機械加工ヘッド駆動部96による機械加工ヘッドMの駆動状況や、ヘッド移動部97によるレーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMの移動状況などが表示される。
レーザ加工ヘッド駆動部95は、レーザLを出力する装置である。レーザ加工ヘッド駆動部95は、光ファイバを媒質に用いてレーザLを出力するファイバレーザ出力装置や、短パルスのレーザLを出力する短パルスレーザ出力装置を用いることができる。ファイバレーザ出力装置としては、ファブリペロー型ファイバレーザ出力装置やリング型ファイバレーザ出力装置が励磁される。また、ファイバレーザ出力装置は、連続波発振(Continuous Wave Operation)とパルス発振(Plused Operation)のいずれの方式を用いるものでもよい。ファイバレーザ出力装置のファイバは、例えば、希土類元素(Er、Nd、Yb)を添加したシリカガラスを使用することができる。また、短パルスとは、パルス幅が100ピコ秒以下のパルスである。短パルスレーザ出力装置のレーザLの発生源としては、例えば、チタンサファイアレーザを用いることができる。このレーザ加工ヘッド駆動部95は、制御部91からの指令に基づいてレーザLの出力を制御する。本実施形態では、板状の複合材である被加工物Wの板厚を1/2[in]以下とし、レーザLの波長を1.0[μm]〜1.1[μm]の赤外光(可視光や紫外光でもよい)を適用し、レーザLの出力を100[W]〜50[kW]とする。この場合、アシストガス圧は、0.1[MPa]〜1.0[MPa]が好ましい。また、レーザ加工ヘッド駆動部95は、制御部91からの指令に基づいて、レーザ加工ヘッドHにおける回転機構105の回転部105bを回転させるモータ107の回転速度(レーザLの回転速度)を制御する。
機械加工ヘッド駆動部96は、制御部91からの指令に基づいて、機械加工ヘッドMにおける回転機構110のモータ110bの回転速度(工具の回転速度)を制御する。
ヘッド移動部97は、制御部91からの指令に基づいてレーザ加工ヘッドHの上記移動を制御する。本実施形態では、板状の複合材である被加工物Wの板厚を1/2[in]以下とし、主軸出力を15[kW]以上とする。
以下、図2、図16〜図19を参照して本実施形態に係る複合加工方法の処理手順を説明する。ここで、図16、図18は、複合加工装置1の動作を示し、図17は図16での、図19は図18での被加工物Wの加工状態を示す。
図2に示すように、制御部91は、入力部93からの入力にしたがって加工すべき被加工物Wの設計情報を記憶部92の被加工物データベース92aから取得する(ステップS1)。次に、制御部91は、被加工物Wの設計情報から、加工する被加工物Wの位置や、レーザ加工ヘッドHによるレーザLの出力や、機械加工ヘッドMによる工具の回転速度や、レーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMの移動速度(加工時間)などの加工条件を決定する(ステップS2)。次に、制御部91は、決定した加工条件に基づきレーザ加工ヘッド駆動部95、機械加工ヘッド駆動部96およびヘッド移動部97に指令を出力し加工を実施する(ステップS3)。
ステップS2において、制御部91は、図16に示すようにレーザ加工ヘッドHからレーザLを照射し、回転機構105の回転部105bを軸心Sの基準位置に合わせて回転移動させるとともに、被加工物Wに近づくようにレーザ加工ヘッドHを軸心Sに沿ってZ軸方向に直線移動(下降)させる。これにより、被加工物Wに対してレーザLの照射位置が軸心Sを中心に円状に移動し、図17に示すように、被加工物Wに穴W5が貫通形成される。また、制御部91は、被加工物Wに穴W5が貫通形成された場合、レーザLの照射を止める。
ステップS2において、制御部91は、続いて、図18に示すように、機械加工ヘッドMの回転機構110の回転部110aを軸心Sの基準位置に合わせて回転移動させるとともに、被加工物Wに近づくようにレーザ加工ヘッドHを軸心Sに沿ってZ軸方向に直線移動(下降)させる。これにより、被加工物Wに対して機械加工ヘッドMの面取カッタCが軸心Sを中心に回転し、図19に示すように、先に貫通した穴W5の上側の開口縁が面取カッタCにより切削されて面取部W6が形成される。
このように、本実施形態の複合加工方法は、被加工物Wを加工するレーザLの照射位置と、被加工物Wを加工する工具の加工位置とを所定の移動基準に合わせて移動させ、レーザLにより被加工物Wを加工するレーザ加工工程と、レーザ加工工程に続けてレーザLにより加工した被加工物Wの位置を工具により加工する機械加工工程と、を含む。
この複合加工方法によれば、レーザLの照射位置と工具の加工位置とが所定の移動基準に基づき移動しつつ、レーザ加工工程に続けて機械加工工程を行うことで、機械加工では加工時間のかかる加工をレーザ加工で行い、その仕上げとして機械加工を行う各工程を、所定の移動基準で続けて行う。このため、加工の高速化を図ることが可能になる。特に、複合材の加工においては、機械加工では工具の消耗が激しくランニングコストが嵩むが、レーザ加工を先に行い、その仕上げとして機械加工を行うことから、工具の長寿命化を図り、ランニングコストを低減することが可能になる。
また、本実施形態の複合加工方法は、被加工物Wを加工するレーザLの照射位置と、被加工物Wを加工する工具の加工位置とを同一軸心Sの移動基準に合わせて回転移動させるとともに、軸心Sに沿って直線移動させる。
この複合加工方法によれば、レーザ加工工程を行いながら、機械加工工程を行って被加工物Wに穴W5を貫設するとともに面取部W6を形成する。このため、被加工物Wへの穴W5の貫設加工および面取部W6の面取加工を高速で行うことが可能になる。
また、本実施形態の複合加工方法では、レーザ加工工程は、レーザLにより被加工物Wを粗加工し、機械加工工程は、レーザLにより加工した被加工物Wの位置を工具により仕上げ加工する。
この複合加工方法によれば、複合材の加工においては、レーザ加工だけでは加工面が粗くなるが、レーザLにより粗加工を先に行い、その仕上げとして機械加工を行うことから、高品質の加工を高速で行うことが可能になる。
また、本実施形態の複合加工装置1は、被加工物Wを加工するレーザLを照射するレーザ加工ヘッドHと、被加工物Wを加工する工具を有する機械加工ヘッドMと、レーザ加工ヘッドHにおけるレーザLの照射位置、および機械加工ヘッドMにおける工具の加工位置が所定の移動基準に合う態様でレーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMを一体に支持し、前記移動基準に基づいてレーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMを移動させる移動機構31と、を含む。
この複合加工装置1によれば、被加工物Wを加工するレーザLの照射位置と、被加工物Wを加工する工具の加工位置とを所定の移動基準に合わせて移動させ、レーザLにより被加工物Wを加工するレーザ加工工程と、レーザ加工工程に続けてレーザLにより加工した被加工物Wの位置を工具により加工する機械加工工程とを行う本実施形態の複合加工方法を実施することが可能になる。すなわち、レーザ加工工程に続けて機械加工工程を行うことで、機械加工では加工時間のかかる加工をレーザ加工で行い、その仕上げとして機械加工を行う各工程を、所定の移動基準で続けて連続して行う。このため、加工の高速化を図ることが可能になる。特に、複合材の加工においては、機械加工では工具の消耗が激しくランニングコストが嵩むが、レーザ加工を先に行い、その仕上げとして機械加工を行うことから、工具の長寿命化を図り、ランニングコストを低減することが可能になる。
また、本実施形態の複合加工装置1では、移動機構31は、レーザ加工ヘッドHにおけるレーザLの照射位置および機械加工ヘッドMにおける工具の加工位置が同一軸心Sの移動基準に合わせてレーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMを一体に支持し、さらに、レーザLの照射位置および工具の加工位置をそれぞれ軸心Sの周りに回転移動させ、かつ軸心Sに沿ってレーザ加工ヘッドHおよび機械加工ヘッドMを直線移動させる。
この複合加工装置1によれば、レーザ加工を行いながら、機械加工を行って被加工物Wに穴W5を貫設するとともに面取部W6を形成する。このため、被加工物Wへの穴W5の貫設加工および面取部W6の面取加工を高速で行うことが可能になる。
また、本実施形態の複合加工装置1は、レーザ加工ヘッドHと機械加工ヘッドMとの間に防振部材111を配置する。
この複合加工装置1によれば、機械加工ヘッドMの振動をレーザ加工ヘッドHに伝達する事態を抑えるため、当該振動によるレーザ加工の影響(例えば、レーザLの照射位置の精度低下など)を抑制することが可能になる。
また、本実施形態の複合加工装置1は、機械加工ヘッドMにおける工具の加工位置に向けて送風する送風部8aを含む。
この複合加工装置1によれば、機械加工ヘッドMによる加工において生じる加工屑が、送風部8aにより飛ばされることで、機械加工ヘッドMの工具やレーザ加工ヘッドHのレンズに付着する事態を防ぐ。このため、加工屑が機械加工ヘッドMの工具に付着し工具を傷つけて工具の耐久性が低下したり、加工屑がレーザ加工ヘッドHのレンズに付着しレーザLの光学系を傷つけて光学系の耐久性が低下したりする事態を防ぐことが可能になる。
また、本実施形態の複合加工装置1は、機械加工ヘッドMにおける工具の加工位置に向けて吸引する吸引部8bを含む。
この複合加工装置1によれば、機械加工ヘッドMによる加工において生じる加工屑が、吸引部8bにより吸引されることで、機械加工ヘッドMの工具やレーザ加工ヘッドHのレンズに付着する事態を防ぐ。このため、加工屑が機械加工ヘッドMの工具に付着し工具を傷つけて工具の耐久性が低下したり、加工屑がレーザ加工ヘッドHのレンズに付着しレーザLの光学系を傷つけて光学系の耐久性が低下したりする事態を防ぐことが可能になる。
[実施形態4]
図20は、本実施形態に係る複合加工方法の処理手順を示す工程図である。本実施形態の複合加工方法は、上述した実施形態2に対応するものである。この複合加工方法は、図20(a)に示すように、はじめにレーザ加工ヘッドにより被加工物WにレーザLを照射し機械加工する位置を熱変質させる。この場合、加工穴を貫通させてもよく、また貫通させなくても被加工物Wの機械加工する位置を熱変質させればよい。その後、図20(b)に示すように、機械加工ヘッドにより被加工物Wを工具で機械加工する。
レーザLの出力は、100[W]〜50[kW]が好ましく、より好ましくは1[kW]〜30[kW]である。レーザ加熱による熱変質層を加工エリア外に必要以上に広げない用途には、パルス発振モードが望ましい。高いピークパワーと狭いパルス幅が好適であり、ピークパワーが1[kW]〜30[kW]、パルス幅が10マイクロ秒〜100ミリ秒が望ましい。
上記条件でレーザ加工穴を開ける、または熱変質させることにより、その後に機械加工ヘッドにより機械加工を行なう際のスラスト力を低下することができる。これは、機械加工の切削速度を向上させることができること、または工具寿命を延ばすことができることを意味する。さらに、スラスト力を低下させることは、被加工物Wの穴あけにおいて被加工物Wの欠けなどを抑制することができ、加工後の品質も向上させることができる。