JP2014116635A - ナノ粒子を有する有機半導体組成物 - Google Patents

ナノ粒子を有する有機半導体組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】有機電界効果トランジスタoFETのオフ電流に対するオン電流の比率(Ion/Ioff比)、を向上させる。
【解決手段】有機電界効果トランジスタoFET600のチャネル層630に有機分子媒質と、この媒質中に拡散した複数のナノ粒子と、これらのナノ粒子の表面に化学的に結合した被膜とを含んだ半導電性固体である組成物を用い、チャネル層630に接触している電極の第1電極640および第2の電極650を、それぞれ、ドレイン電極およびソース電極、誘電体620を介した基板610をゲートとして構成する。
【選択図】図6

Description

本発明は、概して有機半導体を対象とし、より詳細には、有機電界効果トランジスタoFETにおいて使用するのに適する有機半導体組成物を対象とする。
有機半導体は、低コストの可撓性電子デバイスに対するその可能性ゆえに、熱心な研究の対象になっている。有機半導体は、有機発光ダイオードoLEDおよび有機電界効果トランジスタoFETにおいて、ならびに多数のデバイスを集積する回路において使用されている。インクジェット印刷などの製造技術が、これらのデバイスおよびこれらのデバイスを使用する集積回路の製造コストを下げるのに役立っている。
典型的には、多くの場合、有機半導体上に構築されるデバイスは、シリコンなどの半導体と比較して、キャリア移動度が比較的低い。また、多くの場合、このようなデバイスは、従来の半導体をベースとするデバイスに比較して、オフ電流に対するオン電流の比率(Ion/Ioff比)が比較的低い。向上したキャリア移動度および向上したIon/Ioff比を併せ持つ有機半導体材料が必要である。
1つまたは複数の上述の欠点に対処するため、一実施形態は組成物である。この組成物は、有機分子媒質と、この媒質中に拡散した複数のナノ粒子とを含む。被膜が、複数のナノ粒子の表面に化学的に結合させられる。この組成物は、半導電性固体である。
別の実施形態は、回路の製造方法である。この方法は、複数のナノ粒子に被膜を化学的に結合させるステップを含む。ナノ粒子は、有機分子を含む媒質中に拡散させられ、これから有機半導体チャネルを形成する。基板の上に複数の電極を形成する。これらの電極は、FETのゲート電極、ドレイン電極およびソース電極のうちの2つとして機能するように配置される。
別の実施形態は装置である。この装置は、第1および第2の電極が接触している有機半導体チャネルを有する電子デバイスを備える。このチャネルは、有機分子媒質と、この媒質中に拡散した複数のナノ粒子とを含む。ナノ粒子には、被膜がその表面に化学的に結合される。
AおよびBは、ナノ粒子を有さない有機分子を含む組成物、およびナノ粒子を有する有機分子を含む組成物の、それぞれの平面図である。 A〜Eは、半導体ポリマーの例を示す図である。 A〜Gは、非ポリマー有機半導体分子の例を示す図である。 有機質部分が表面に付着しているナノ粒子を示す図である。 有機分子およびナノ粒子を含む組成物を使用してoFETを形成する方法を示す図である。 その組成物を含むoFETの断面図である。 例示の装置を示す図である。
添付の図面と共に読まれると、以下の詳細な説明より種々の実施形態が理解される。種々の特徴は、縮尺通りには描かれていない場合があり、説明の明瞭化のために寸法が任意に増減される場合がある。以下、添付の図面と組み合わせて、以下の説明が参照される。
一実施形態は、有機分子媒質中に拡散した複数のナノ粒子を含む半導電性固体組成物である。ナノ粒子には、被膜がその表面に化学的に結合している。この被膜は、以下で詳細に説明される。有機分子としては、ポリマーまたは非ポリマーが含まれ得る。この組成物中の多数電荷キャリアは、分子の性質に応じて、電子または正孔であってよい。多数キャリアが電子である場合には、この組成物はn型となり、多数キャリアが正孔である場合には、この組成物はp型となる。
図1Aが、有機分子を含む従来の固体組成物100の平面図を示す。組成物100において、有機分子は、結晶性ドメイン110と、結晶性ドメイン110間の非晶質領域120とを形成する。結晶性ドメイン110は、平均サイズを有する。図1Bが、有機分子媒質およびナノ粒子140を含む組成物130の平面図を示す。ナノ粒子140には、被膜145がその表面に化学的に結合している。組成物130において、有機分子は、結晶性ドメイン150と、結晶性ドメイン150間の非晶質領域160とを形成する。しかし、結晶質ドメイン150の平均サイズは、従来の組成物100中の結晶質ドメイン110の平均サイズよりも小さい。組成物130のこの側面を、以下でより詳細に検討する。
各結晶性ドメイン150は、単離したものであってよく、あるいは1つまたは複数の隣接する結晶性ドメイン150に接触していてよい。しかし、一般的には、1)結晶性ドメイン150は、隣接する結晶性ドメイン150に対する任意の結晶方位を有することによって特徴付けられ、2)非晶質領域160は、結晶性ドメイン150により占められていない体積部分を占める。
非晶質領域160は、個々の結晶性ドメイン150に関連付けされる長距離的な秩序的配列の実質的欠如により特徴付けられる。有機分子がポリマーを含む場合には、非晶質領域160は、完全非晶質ポリマー鎖、結晶性ドメイン150中に含まれる鎖部分、またはそれらの両方を含み得る。有機分子が非ポリマーを含む場合には、非晶質領域160もまた非ポリマー分子を含み得る。
図1Bは、多結晶材料の構造の単純化された図であると理解される。実際の材料では、結晶性ドメイン150は、特定のサイズ分布を有する。この分布は1つまたは複数のモードを有することがあり、各モードは、組成物130中の結晶性ドメイン150のサイズの確率密度関数の極大値に対応する。以下の説明の簡略化のために、確率分布は正規分布であり、モードは平均に等しいと仮定する。しかし、組成物130は、単一モードを有する結晶性ドメイン150のサイズ分布に限定されない。
組成物130の移動度は、結晶性ドメイン150の平均サイズの関数であってよい。「サイズ」という語は、平均直径、最小直径、質量、体積および、結晶性ドメインのサイズを説明するための他の一般に容認されている数的指標などの概念を含む。組成物130のキャリア移動度に影響を及ぼし得る他の要素としては、結晶性ドメイン150および非晶質領域160により占められる相対体積と、結晶性ドメイン150の方位分布とが含まれる。
先に指摘したように、組成物130中の結晶性ドメイン150の平均サイズは、従来の組成物100中の結晶性ドメイン110の平均サイズ未満である。図1Bの結晶性ドメイン150の詳細図は、結晶性ドメイン150が、有機分子170に加えて、1つまたは複数のナノ粒子140をも含み得ることを示す。
一態様において、ナノ粒子140は、ナノ粒子140の数密度(単位体積当たりの粒子数)が組成物130中において実質的に均一となるように、組成物130中に拡散する。
別の態様において、ナノ粒子140の拡散は、組成物130上に製造された電極間の距離のオーダにもとづく規模で均一である。別の態様では、ナノ粒子140の拡散は、約10μmまたはそれ未満の規模で均一である。しかし、ナノ粒子140は、非晶質領域160中に比べて結晶性ドメイン150中の方が、ナノ粒子140の濃度がより高くなるように拡散してよい。
有機分子は、ポリマーまたは、ポリマーおよび非ポリマーの混合であってよい。組成物130のポリマー部分は、1つの実質的に純粋なポリマー化合物からなってよく、または2つ以上のポリマー化合物を含んでよい。同様に、仮に組成物130中に非ポリマー部分がある場合、この部分は、1つの実質的に純粋な非ポリマー化合物からなってよく、または2つ以上の非ポリマー化合物を含んでよい。さらに、組成物130が2つ以上の有機化合物を含む場合には、組成物130は、2つ以上の有機化合物に対応する結晶性ドメイン150を含んでよい。
有機分子は、固相において半導体特性を有することにより特徴付けられ得る。有機半導体は2つの大まかな区分の中の要素であり得ることが、当業者には理解されよう。これらの区分の第1は、芳香族単位または複素環式芳香族単位を組み込むポリマーであり、これらの単位は、共役を保つように互いに融合し得る、および/または互いに結合し得る。第2は、芳香族単位または複素環式芳香族単位を組み込む単分散化合物を含み、これらの単位は、共役を保つように互いに融合し得る、および/または互いに結合し得る。また、この第2の区分は、反復単位の数が十分に多い場合には第1の区分に入ることとなるオリゴマー鎖を含む。本明細書において使用される際に、「ポリマー」という語は、第1の区分の定義に合致し、「非ポリマー」は第2の区分の定義に合致する。
多数の半導体ポリマーが知られている。これらのポリマーに含まれ得る芳香族単位の例としては、ビチオフェン、フルオレンおよびベンゾチアジアゾールが含まれるが、これらに限定されない。半導体特性をやはり有し得るこれらのタイプのポリマーの置換例としては、アルキル基、アルコキシ基、エーテル、および/または水酸基が含まれるが、それらに限定されない。
図2A〜図2Eが、そのようなポリマーの例を示す。例は、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−アルト−ビチオフェン)(F8T2)210、ポリ(3,3’−ジオクチルターチオフェン)(PTT8)220、レジオレギュラーポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)230、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)(F8)240、およびポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−アルト−ベンゾチアジアゾール)(F8BT)250を含む。これらのポリマーは、前述の区分の中の要素であり、これらの例は、その区分の要素を網羅するものではないことが、当業者には理解されよう。
また、半導体非ポリマーの多数の例が、当技術において知られている。図3A〜図3Gは、そのような非ポリマーの例を示す。これらの例は、6,13−ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン(TIPS)320などの加工可能なペンタセン誘導体310、加工可能なアントラジチオフェン誘導体330およびベンゾジチオフェン誘導体340、テトラシアノキノジメタン350、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボキシル基二無水物360、およびN−置換ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド誘導体370を含む。この例示の非ポリマーのセットは網羅的ではないことが、当業者には理解されよう。
いくつかの実施例において、組成物130は、ポリマーを含む。1つのそのような実施形態では、ポリマーは、(F8T2)210である。一般的に、(F8T2)210の固相は、約1e−3cm・V−1・s−1の典型的な有効正孔移動度を有するp型半導体である。
「ナノ粒子」という語は、約100nmまたはそれ未満の直径を有する有機粒子または無機粒子の区分を表す。いくつかの場合において、ナノ粒子140は、約20nmまたはそれ未満の直径を有する。また、ナノ粒子は、ファンデルワールス力などの弱い相互作用により疎結合されたより小さな粒子の凝集体であってよい。ナノ粒子は、絶縁性、半導電性、または導電性のものであってよい。絶縁性のものである場合、ナノ粒子140は、無視できるほどの低い導電性を有する物質を含んでよい。この物質は、予期される作動条件下で組成物130が受ける温度および電位にてキャリアのさほど大きな電導性が存在しないのに十分なだけの大きさのバンド・ギャップをこの物質が有する場合には、無視できるほどの低い導電性を有する。
いくつかの場合において、ナノ粒子140は、ケイ素を含み得る。他の場合では、ナノ粒子140は、二酸化ケイ素を含み得る。別の態様では、ナノ粒子140は、例えばニ酸化チタンまたは酸化アルミニウムなどの金属酸化物を含み得る。別の態様では、ナノ粒子は、フラーレンまたはナノロッドなどの導電性有機化合物または半導電性有機化合物を含み得る。前出の例示の物質を製造する方法は、当業者によく知られている。
例えばp型半導体分子においては、固体中の有効移動度は、隣り合う分子のπ軌道間の「ホッピング」により制限され得ると考えられている。結晶性ドメイン150はきっちり詰まった鎖によりおそらく形成され、その鎖間をキャリアが比較的容易にホッピングし得ると考えられている。対照的に、非晶質領域は、緩めに詰まった鎖により形成され、ホッピングの発生に対して好適なように重なり合う鎖が比較的少ない。したがって、結晶性ドメイン150中の多数キャリアは、非晶質領域160中の多数キャリアに比べて移動度がより高い。
組成物130中にナノ粒子140を含むことによって、結晶性ドメイン150のサイズ分布および方位分布が変わり、より多数のより小さな結晶性ドメイン150をもたらし得ると考えられる。このような構成は、電流路のより等方性の分布と、より高い導電性を有するより多数の電流路とを実現することによって、バルク組成物130における移動度の向上をもたらし得ると考えられている。
ナノ粒子140の平均サイズが所望の構造を生じさせる役割を果たすと考えられる。例えば、組成物130中で無視できるほど低い体積率を占めつつ、結晶成長の核となるのに適するように、ナノ粒子140の平均サイズを選択することができる。一態様においては、この平均サイズは、結晶の成長をさほど妨げることなく結晶成長の核となるには十分な小ささであってよい。いくつかの場合では、平均サイズは、溶媒中のポリマーおよびナノ粒子の分散におけるポリマー鎖の曲率半径と同様であり得る。一実施形態では、ナノ粒子140は、約15nmまたはそれ未満の平均直径を有する。別の実施形態では、平均直径は約12nmである。いくつかの場合において、ナノ粒子140のサイズ分布は、2つ以上のモードを有し得る。
一実施形態において、ナノ粒子140は、溶融シリカであってよく、これは、小さい粒子サイズで製造することが可能である。一実施形態では、Degussa Corp社(Parsippany、NJ)により製造された溶融シリカ製品であるAerosil(登録商標)A200を使用する。Aerosil(登録商標)A200は、約200m/gの平均粒子表面積を有し、これは各粒子についての約12nmの平均粒径に対応する。
ナノ粒子140などの小粒子は、双極性またはファンデルワールス引力により、凝集体を形成する傾向を有することがある。有機分子中におけるナノ粒子140の拡散を向上させるために、ナノ粒子140の表面に被膜145を化学的に結合させる。本明細書において使用する場合、被膜は、ナノ粒子140の表面に付着する1つまたは複数の化学基である。被膜は、連続的または非連続的なものであってよく、周囲環境からナノ粒子を必ずしも隔離するものではない。被膜145は、本明細書において「融和因子」と定義される化学基を含んでよい。融和因子は、他の場合にはナノ粒子140の凝集を生じさせるおそれがあるこれらのナノ粒子140間の双極性またはファンデルワールス相互作用を低下させることができる。いくつかの場合においては、被膜145は、2つ以上のタイプの融和因子を含んでよい。他の場合においては、2つ以上のタイプの融和因子を使用して、同一の組成物130中に拡散される、種々の被膜145を有するナノ粒子140の混合物を生成することができる。
一態様においては、融和因子は、無極性基のものであってよく、これは有機質部分を含んでよい。いくつかの場合においては、融和因子は、芳香環を含む。芳香環がある場合には、芳香環は、フェニル環をさらに含むこともある。原子または原子団を有機質部分に付着させて、ナノ粒子140の有機分子との相互作用を変えることができる。一態様においては、仮に付着した原子がある場合には、これはハロゲンであってよい。例えば、以下に説明するように、有機分子がポリマー(F8T2)210を含む場合には、臭素が付着するフェニル環は、凝集を低減させ、望ましい電気特性の組成物130をもたらす効果を有する。
したがって、融和因子が組成物130中で2つの役割を有し得ることは明らかである。
第1は、有機分子との混合前および混合後における、ナノ粒子140の凝集を低減させることである。第2は、有機分子との好ましい相互作用を実現することである。好ましい相互作用とは、例えばさらに優れた凝着力、所望の核形成特性、または電荷キャリア・トラップの存在を減少させる結果をもたらす特定の電気的相互作用を含んでよい。
図4が、シリカのナノ粒子を変更するのに適する有機質部分の概念図を示すが、これに限定されない。4−ブロモフェニルトリメトキシシラン(BP−TMS、CAS #17043−05−9)410は、トリメトキシシランの臭素置換誘導体である。メトキシ基が、シリカ粒子と反応し、TMS410が付着する共有結合を形成し、被膜145を生成し、ナノ粒子420に所望の特徴をもたらすと考えられている。さらに、この異性体中の臭素原子の位置により、(F8T2)210との望ましい相互作用が得られることが考えられる。
別の実施形態は、回路を製造する方法である。この方法は、複数のナノ粒子140に被膜を化学的に結合させるステップを含む。これらのナノ粒子は、有機分子間に拡散し、結果として得られる組成物は、有機半導体チャネルを形成するために使用される。基板の上に電極が形成され、これら電極は、FETのゲート電極、ドレイン電極、および/またはソース電極として機能するように配置され得る。FETの能動チャネルは半導体を含む。
図5が、回路の製造方法500を示す。下部ゲート構造、上部ゲート構造および共面構造を含むいくつかの構造様式を使用してoFETを形成し得ることが、当業者には理解されよう。説明のため、方法500は、下部ゲート型oFETを前提として示される。他のoFETの構造様式を使用し得ることが、当業者には直ちに明らかになろう。
図6が、下部ゲート型oFET600の断面図を示す。図示される構造様式において、下部ゲートは、ゲートとして機能するのに十分な導電性を有する基板610を含む。誘電体620が、基板610からチャネル層630を絶縁する。ソース電極640、ドレイン電極650およびゲート電極660が、oFET600の端子への電気的接続を提供する。
図5では、ステップ510において、基板610が提供され、その上に回路が製造される。基板610は、p++シリコンウェーハまたは他の適切な基板であってよい。ステップ520において、誘電体620が、基板上に従来の様式で形成される。誘電体620は、熱成長SiO層であってよいが、他の従来の誘電体をも使用し得ることが当業者には理解されよう。
ステップ530において、チャネル層630が、誘電体620の上に形成される。チャネル層630は、例えば組成物130であってよく、浸漬塗布、スピン塗布またはジェット噴霧により、有機分子の溶媒中の、被膜145を有するナノ粒子140の懸濁物質を堆積させたものであってよい。一実施形態において、チャネル層630は、ポリマーを含む。
複数のステップによるプロセスを用いて、基板610の上に堆積させるための懸濁物質を用意することができる。以下で説明する実施形態におけるステップは、順を追って示されるが、これらのステップは、他の順序で実施することが可能であることが当業者には理解されよう。説明する懸濁物質を結果的にもたらす実質的に同様のステップを用いる任意の順序が予期される。
ステップ540において、被膜145は、複数のナノ粒子上に形成される。このステップは、以下のステップに十分な量のナノ粒子140から水分を除去するステップを含む。
例えば、約1gのナノ粒子140を、約120℃で約12時間の間、乾燥させてよい。乾燥後に、ナノ粒子140は、チャネル層630中におけるナノ粒子140の拡散を向上させるために、被膜145を生成するように処理される。一実施形態においては、この処理により、ナノ粒子140の凝集が低減される。いくつかの場合においては、この処理により、先に説明したように、ナノ粒子140間の極性相互作用が変更される。
この処理の適切な方法が、ナノ粒子140が二酸化シリコンを含む場合に関して、以下で説明される。特定の量および時間が例として詳しく述べられるが、限定的なものではない。一実施形態においては、誘導体は、BP−TMS410である。約100mLのトルエン中に約1gのBP−TMSを溶解させたものを、約30分間混ぜてよい。約1gの乾燥済みナノ粒子140を、BP−TMS/トルエン溶液に添加してよく、この混合物を、乾燥条件において約12時間の間攪拌してよい。この攪拌の際に、超音波音響エネルギーを任意に使用してよい。
攪拌後に、ナノ粒子140を、例えば遠心分離により、混合物から分離させてよい。ナノ粒子140を、洗浄溶剤中にて1回または複数回リンスしてよい。1つの適切なリンス・ステップにおいては、ナノ粒子140をトルエン中にてリンスし、4回遠心分離させるが、乾燥させない。
リンス後に、ナノ粒子140は、有機分子の溶液に添加されて、懸濁物質を形成する。
一実施形態においては、有機分子はポリマーである。別の実施形態においては、有機分子は(F8T2)210である。(F8T2)210は、American Dye Source Inc.社(Quebec、Canada)より入手可能である。(F8T2)210が使用される場合、テトラヒドロフランTHFを溶媒として使用してよい。この実施形態においては、約2.0gのナノ粒子140を1LのTHFに添加して、THF中のナノ粒子140が約0.2重量%である懸濁物質を結果として得てよい。ステップ550において、約10gの固体の(F8T2)210を、約1LのAerosil(登録商標)/THFの懸濁物質に添加し、混合して(F8T2)210を溶解し、懸濁物質中における約1.0重量%の(F8T2)濃度を結果として得てよい。
ステップ530に戻ると、いくつかの場合においては、チャネル層630は、浸漬塗布により基板610上に形成される。スピン塗布またはドロップ・キャスティングなどの他の適切なキャスティング技術を使用してもよい。上述のように用意された懸濁物質を浸漬塗布によりキャスティングする場合には、約0.2mm/sから約5mm/sまでの範囲の、懸濁物質からの基板610の引抜き速度を用いて、約70nmから約20nmまでの範囲の厚さの膜を生成することができる。
ステップ560において、チャネル層630および誘電体620は、基板610の部分の露光のための従来式の手段を使用してパターニングされる。次いで、ソース電極640、ドレイン電極650およびゲート電極660が、従来の方式で基板610上に形成される。形成は、例えばシャドウ・マスクを使用した金の堆積などによって行うことができる。
本明細書において説明されるように用意された組成物130は、約1.6e−2cm・V−1・s−1の正孔移動度を有し得る。有利には、この移動度は、別の同一条件下において製造された、真性の(F8T2)210にもとづくデバイスにおける正孔移動度に対して、略10倍の上昇を示すことがある。さらに、oFET600のオフ電流(Ioff)に対するオン電流(Ion)の比率は、真性半導体有機分子を使用して製造されたoFETに対して略10倍高くなることがある。
また、結果として得られた組成物130は、真性ポリマーの機械的特性を実質的に保持する。さらに、ポリマー/エアロゲル/溶媒のスラリーの粘度は、均等なポリマー濃度を有するポリマー/溶媒の溶液の粘度よりも高くなり得る。このような粘度の上昇は、チャネル層630が例えば大量印刷を用いて形成される場合に望ましい場合がある。
別の実施形態は装置である。この装置は、本明細書に説明される組成物130を含むチャネルに接触している第1および第2の電極を有する電子デバイスを備える。
図7が、例示の装置700を示す。電子機器710が、電源と、電子デバイス720に連係する駆動電子装置とを備えてよい。電子デバイス720は、本明細書において説明される方法500にしたがって形成され、本明細書において説明される組成物130を含むチャネルを有する。電子デバイス720は、チャネル表面に電界を生成するように配置されたゲート電極を備えてよい。さらには、電子デバイス720は、前述の方法により製造されるoFETであってよい。
本発明を詳細に説明したが、当業者は、最も広い形式における本発明の精神および特許請求の範囲から逸脱することなく、本明細書において様々な変更、代替および変形を行うことが可能であることを理解すべきである。

Claims (5)

  1. 回路の基板上に有機半導体チャネルを形成するステップと、
    前記基板上に複数の電極を形成するステップと、
    を含む、電子デバイスを製造する方法であって、
    前記チャネルは、複数のナノ粒子および前記ナノ粒子の外表面に化学的に結合した被膜を含み、
    前記被覆されたナノ粒子は有機分子を含む媒質中に拡散し、
    前記媒質は複数の結晶性領域と前記結晶性領域間の複数の非晶質領域とを含み、
    前記複数の結晶性領域の各結晶性領域は前記被覆されたナノ粒子の1つを含み、
    前記媒質と前記媒質中に拡散した被覆されたナノ粒子とは、前記チャネルの半導電性固体を形成し、
    前記有機半導体チャネルに接触している前記電極の第1および第2の電極は、それぞれ、ドレイン電極およびソース電極として構成される、
    電子デバイスを製造する方法。
  2. 前記被膜は、前記ナノ粒子の間の双極性またはファンデルワールス相互作用を低下させる1つまたは複数の化学基を含む融和因子を含む、請求項に記載の方法。
  3. リメトキシシランの誘導体に前記ナノ粒子をさらして、被膜を化学的に結合させる、請求項に記載の方法。
  4. 前記有機分子は半導体ポリマー鎖である、請求項に記載の方法。
  5. 前記半導体ポリマー鎖を含む溶液の粘度が、前記ナノ粒子が中に拡散することによって高められる、請求項に記載の方法。
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