JP2014116164A - 固体電池 - Google Patents

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Abstract

【解決課題】充放電に伴う電極活物質の膨張収縮による影響を抑制あるいは緩和することによって、電極層と固体電解質層との間の密着性の低下を来たすことがないようにして、デンドライトの発生を防止し、以ってサイクル特性に優れた固体電池を提供する。
【課題解決段】本発明は、正極と、負極と、前記正極と負極間に設けられた固体電解質からなる電解質層と、を備え、前記正極及び負極の少なくとも一方の結着剤は架橋剤によって架橋されている固体電池である。
【選択図】図1

Description

本発明は、固体電解質を備える固体電池に関する。本発明の固体電池には、リチウムイオン二次電池等が含まれる。
リチウムイオン二次電池として、固体電解質を用いた固体電池が知られている。このような固体電池は、固体電解質を含む電解質層と、電解質層の両面に形成される電極(正極及び負極)と、各電極に接合される集電体とを備える。固定電解質として、イオン電導率が高い硫化物系固体電解質が知られている。
この種のリチウムイオン電池として、例えば、特開2010−106252号公報に記載されたものが存在する。特開2010−106252号公報は、ジエン重合体末端にポリエチレングルコールを付加した重合体に硫黄を加えて加硫させた硫化物系固体電解質シートを備えることにより、固体電解質の機械強度や耐久性を改善することを開示している。
また、特開2010−186682号公報は、硫化物系固体電解質材料中の硫黄成分と上記結着剤ポリマーの二重結合とを結合させることにより、可撓性や加工性を低減させることなく、結着剤ポリマー量を減少させて、リチウムイオン伝導率を向上させた固体電解質層を開示している。
特開2010−106252号公報 特開2010−186682号公報
既述の固体電池では、充放電に伴う電極活物質の膨張収縮によって、電極層と固体電解質層との間の密着性が低下して界面抵抗が発生するという問題がある。硫化物系固体電解質を用いたリチウムイオン二次電池は、リチウム金属析出を起こす還元反応の過電圧が低いため、固体電池内の界面抵抗による抵抗分布により、充放電の繰り返しに伴い負極層の表面に析出した金属リチウムが、固体電解質層のクラックを通してデンドライト状に成長し、正極に達して内部短絡不良を起こすという課題がある。既述の各公報は、この課題について配慮していない。
そこで、本発明は、充放電に伴う電極活物質の膨張収縮による影響を抑制あるいは緩和することによって、電極層と固体電解質層との間の密着性の低下を来たすことがないようにして、デンドライトの発生を防止し、以ってサイクル特性に優れた固体電池を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、電極層の結着剤を架橋剤によって架橋することにより、電極層の弾性や剛性など機械的性質を改善して、電極活物質が固体電池の充放電の際に膨張収縮しても、電極層がこの影響を抑制或いは緩和して、電極層と電解質層との界面の安定性を維持することを特徴とする。したがって、電極層と電解質層との間の界面の密着性が維持されて、サイクル特性に優れた固体電池を提供することができる。
したがって、本発明は、正極と、負極と、前記正極と負極間に設けられた固体電解質からなる電解質層と、を備え、前記正極及び負極の少なくとも一方、好ましくは、少なくとも負極の結着剤が架橋剤によって架橋されている固体電池であることを特徴とする。
本発明の好適な形態では、前記正極及負極は夫々前記結着剤として、前記電解質層と結着するための、前記固体電解質に対して不活性な第1の結着剤を含み、前記架橋剤によって前記第1の結着剤が架橋されていることが好ましい。そして、前記正極及び前記負極は夫々、電極集電体と結着するための、当該電極集電体への結着性が前記第1の結着剤より優れた第2の結着剤を含み、前記架橋剤によって前記第1の結着剤と前記第2の結着剤の少なくとも前記第1の結着剤が架橋されている、ことが好ましい。
さらにまた、前記正極は、正極活物質を含む正極層と、前記電極集電体としての正極集電体に前記正極層を接着させるための接着層と、を備え、前記接着層は前記第1の結着剤と前記第2の結着剤を含み、前記正極層は前記第1の結着剤を含む、ことが好ましい。さらに、前記正極及び前記負極のうち少なくとも前記正極は、前記固体電解質を含有することが好ましい。
さらにまた、前記正極及び負極の夫々は、前記結着剤として、前記電解質層と結着するために、前記固体電解質に対して不活性な非極性結着剤を有し、当該正極及び負極の少なくとも一方の当該非極性結着剤が前記架橋剤によって架橋されている、ことが好ましい。
また、前記固体電解質は、前記非極性結着剤を含有するものの前記架橋剤を実質的に含んでなく、当該架橋剤によって前記非極性結着剤が実質的に架橋されていない、ことが好ましい。
また、前記非極性結着剤は、前記架橋剤によって架橋される不飽和結合を有する非極性樹脂からなる、ことが好ましい。そして、前記結着剤は架橋促進剤の存在下前記架橋剤によって架橋されている、ことが好ましい。また、前記固体電解質は硫化物系固体電解質である、ことが好ましい。
本発明によれば、充放電に伴う電極活物質の膨張収縮による影響を抑制あるいは緩和することによって、電極層と固体電解質層との間の密着性の低下を来たすことがないようにして、デンドライトの発生を防止し、以ってサイクル特性に優れた固体電池を提供することができる。
本発明の実施形態に係る固体電池の構造の実施形態を示す断面図である。 実施例、比較例に係る固体電池の充電容量と電圧との関係を示す特性図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.固体電池の構成>
まず、図1に基づいて、本実施形態に係る固体電池1の構成について説明する。固体電池1は、正極集電体2、接着層3、正極層4、電解質層5、負極層6、負極集電体7を備える。接着層3及び正極層4により固体電池1の正極10が構成される。また、負極層6が固体電池1の負極20を構成する。なお、固体電池1は接着層3を含んでいなくてもよい。
正極集電体2は、導電体であればどのようなものでも良く、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、及び、ニッケルメッキ鋼等で構成される。
接着層3は、正極集電体2と正極層4とを結着する。接着層3は、接着層導電性物質、第1の結着剤、及び、第2の結着剤を含む。接着層導電性物質は、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、グラファイト、天然黒鉛、人造黒鉛等であるが、接着層3の導電性を高めるためのものであれば特に制限されず、単独で使用され、複数を混合されてもよい。
第1の結着剤は、例えば、極性官能基を有しない非極性樹脂である。したがって、第1の結着剤は、反応性の高い固体電解質、特に、硫化物系固体電解質に対して不活性である。硫化物系固体電解質は、酸類、アルコール類、アミン類、エーテル類等の極性構造に対して活性であることが知られている。第1の結着剤は正極層4と結着するためのものである。ここで、正極層4に第1の結着剤或いはこれと同様な成分が含まれていると、接着層3内の第1の結着剤は、接着層3と正極層4との界面を通じて正極層4内の第1の結着剤と相互拡散することで、正極層4と強固に結着する。したがって、正極層4には、第1の結着剤が含まれることが好ましい。
第1の結着剤としては、例えば、SBS (スチレンブタジエンブロック重合体)、SEBS (スチレンエチレンブタジエンスチレンブロック重合体)、スチレン−スチレンブタジエン−スチレンブロック重合体等のスチレン系熱可塑性エラストマー類、SBR (スチレンブタジエンゴム)、BR (ブタジエンゴム)、NR(天然ゴム)、IR (イソプレンゴム)、EPDM (エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体)、および、これらの部分水素化物が例示される。その他、ポリスチレン、ポリオレフィン、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリシクロオレフイン、シリコーン樹脂等が例示される。
第2の結着剤は、第1の結着剤よりも正極集電体2への結着性が優れた結着剤である。正極集電体2への結着性が優れた結着剤であることは、例えば、正極集電体2に結着剤溶液を塗布、乾燥することにより得られた結着剤フィルムを正極集電体2から剥離するのに必要な力を、市販の剥離試験機で計測することにより判定することができる。第2の結着剤は、例えば、極性官能基を有する極性官能基含有樹脂であり、正極集電部体2と水素結合等を介して強固に結着する。ただし、第2の結着剤は、硫化物系固体電解質に対する反応性が高い場合が多いので、正極層4には含まれない。
第2の結着剤としては、例えば、NBR(ニトリルゴム)、CR(クロロプレンゴム)、および、これらの部分水素化物、あるいは完全水素化物、ポリアクリル酸エステルの共重合体、PVDF (ポリビニリデンフロライド)、VDF−HFP (ピニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、および、それらのカルボン酸変性物、CM(塩素化ポリエチレン)、ポリメタクリル酸エステル、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等が例示される。また、上記の第1の結着剤にカルボン酸、スルホン酸、リン酸等を有するモノマーを共重合させた高分子等が例示される。
なお、接着層導電性物質、第1の結着剤、及び、第2の結着剤の含有量の比については、特に制限されないが、例えば、接着層導電性物は接着層3の総質量に対して50〜95質量%、第1の結着剤は接着層3の総質量に対して3〜30質量%、第2の結着剤は接着層3の総質量に対して2〜20質量%である。
正極層4は、硫化物系固体電解質、正極活物質、正極層導電性物質、及び、正極層結着剤を含む。正極層導電性物質は、接着層導電性物質と同様なものでよい。硫化物系固体電解質としては、例えば、Li2S-P25、を例示できる。この硫化物系固体電解質は、リチウムイオン伝導性が他の無機化合物より高いことが知られており、Li2S-P25の他に、SiS2、GeS2、B23等の硫化物を含んでいてもよい。また、固体電解質には、適宜、Li3PO4やハロゲン、ハロゲン化合物等を添加した無機固体電解質を用いてもよい。
また、硫化物系固体電解質は、Li2SとP25とを溶融温度以上に加熱して所定の比率で両者を溶融混合し、所定時間保持した後、急冷することにより得られる(溶融急冷法)。またLi2S-P25をメカニカルミリング法により処理して得られる。Li2S-P25の混合比は、モル比で、通常、50:50〜80:20 、好ましくは、60:40〜75:25である。
固体電池1は、電解質が固体電解質で構成される。固体電解質として、硫化物系固体電解質の他に、無機化合物からなるリチウムイオン伝導体を無機固体電解質として含有するものが例示される。このようなリチウムイオン伝導体としては、例えば、LiN、LISICON、LIPON(Li3+yPO4−x)、Thio−LISICON(Li3.25Ge0.250.75)、LiO−Al−TiO−P(LATP)がある。これらの無機化合物は、結晶、非晶質、ガラス状、ガラスセラミック等の構造をとりうる。
正極活物質は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出することが可能な物質であれば特に限定されず、例えば、コバルト酸リチウム(LCO)、ニッケル酸リチウム、ニッケルコバルト酸リチウム、ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム(以下、「NCA」と称する場合もある。)、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム(以下、「NCM」と称する場合もある。)、マンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウム、硫化ニッケル、硫化銅、硫黄、酸化鉄、酸化バナジウム等が挙げられる。これらの正極活物質は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
正極活物質は、上記に挙げた正極活物質の例のうち、特に、層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物のリチウム塩であることが好ましい。ここでいう「層状」とは、薄いシート状の形状のことを意味し、「岩塩型構造」とは、結晶構造の1種である塩化ナトリウム型構造のことであり、陽イオン及び陰イオンのそれぞれが形成する面心立方格子が、互いに単位格子の稜の1/2だけずれた構造を指す。このような層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物のリチウム塩としては、例えば、Li1−x−y−zNiCoAl(NCA)またはLi1−x−y−zNiCoMn(NCM)(0<x<1、0<y<1、0<z<1、かつx+y+z<1)で表される3元系の遷移金属酸化物のリチウム塩が挙げられる。
正極層結着剤は、例えば、極性官能基を有しない非極性樹脂である。したがって、正極層結着剤は、反応性の高い固体電解質、特に、硫化物系固体電解質に対して不活性である。正極層結着剤としては、好ましくは、既述の第1の結着剤を含む。固体電池1の電解質は、反応性の高い硫化物系固体電解質であるので、正極層結着剤は非極性樹脂である。
正極層結着剤には、既述の第1の結着剤を架橋させるための架橋剤が含まれている。熱処理によって、第1の架橋剤の不飽和結合が架橋剤によって架橋される。架橋剤として、好適なものは、硫黄又は硫黄供与体など硫黄系物質であるが、これには限定されない。正極層結着剤が架橋されることにより、充放電時での正極活物質の膨張収縮に対して、正極層と固体電解質層との間の安定した界面状態を維持する高いゴム弾性が得られ、両者の密着性の低下を防ぐ効果がある。架橋剤は、既述の接着層に含まれていてもよい。架橋のための熱処理は、電池セルを構成後に実行してもよいし、正極を形成する段階で架橋処理を行ってもよい。
架橋剤としては、第1の結着剤を架橋させて3次元網目構造を形成することができる物質であれば特に限定はない。第1の結着剤が炭素−炭素不飽和結合を有する場合には、既述のとおり、架橋反応に伴う副生成物が発生しない硫黄などが好適に使用される。架橋剤は、架橋される結着剤を架橋するのに必要な量だけ添加される。例えば、架橋剤は、結着剤に対して5〜25質量%、好ましくは10〜20質量%であればよい。架橋剤がこの範囲にあると、安定した正極層と固体電解質層の界面が得られ、正極活物質の充填率を高くした正極層4が得られる。
架橋剤に加えて、架橋促進剤が使用されてもよい。架橋促進剤としては、架橋反応を促進させる効果のある物質であれば特に限定はないが、架橋剤が硫黄の場合は、加硫促進剤が好適に使用される。加硫促進剤は無機化合物ものと有機化合物のものに大別されるが、固体電解質が硫化物系物質の場合、多くの有機化合物系加硫促進剤は固体電解質と反応してリチウムイオン伝導性を低下させるため、無機化合物がより好ましい。無機化合物の架橋促進剤としては酸化マグネシウム、酸化亜鉛、等の無機酸化物があげられる。架橋促進剤の添加量は、架橋剤に対して15〜60質量%、好ましくは25〜50質量%あればよい。架橋促進剤がこの範囲にあると、架橋反応を速やかに進行させるとともに、正極活物質の充填率を高くした正極層4が得られる。
正極層4を直接正極集電体2に結着させようとしても、正極層4が正極集電体2に十分結着しない可能性がある。そこで、第1の結着剤及び第2の結着剤を含む接着層3を正極層4と正極集電体2との間に介在させるようにしている。これにより、接着層3内の第1の結着剤が正極層4と強固に結着し、接着層3内の第2の結着剤が正極集電体2と強固に結着するので、正極集電体2と正極層4とが強固に結着される。ここで、正極層結着剤に第1の結着剤が含まれる場合、接着層3内の第1の結着剤は、接着層3と正極層4との界面を通じて正極層4内の第1の結着剤と相互拡散することで、正極層4と正極集電体2とが強固に結着される。
なお、硫化物系固体電解質、正極活物質、正極層導電性物質、及び、正極層結着剤の含有量の比については、特に制限されない。例えば、硫化物系固体電解質は正極層4の総質量に対して20〜50質量%、正極活物質は正極層4の総質量に対して45〜75質量%、正極層導電性物質は正極層4の総質量に対して1〜10質量%、正極層結着剤は正極層4の総質量に対して0.5〜4質量%である。
電解質層5は、硫化物系固体電解質、及び、電解質結着剤を含む。電解質結着剤は、極性官能基を有しない非極性樹脂である。したがって、電解質結着剤は、反応性の高い固体電解質、特に硫化物系固体電解質に対して不活性である。電解質結着剤は、好ましくは、第1の結着剤を含む。電解質層5は、電極活物質のように充放電による膨張収縮のおそれがない。また、固体電解質層に固体電解質以外の材料を混入すると固体電解質粒子間の粒界抵抗が上昇する傾向がみられることから、固体電解質層に架橋剤は含まれない方が好ましい。
電解質層5内の第1の結着剤は、正極層4と電解質層5との界面を通じて正極層4内の第1の結着剤と相互拡散することで、正極層4と電解質層5とが強固に結着する。なお、硫化物系固体電解質、及び、電解質結着剤の含有量の比については、特に制限されない。例えば、硫化物系固体電解質は電解質層5の総質量に対して95〜99質量%、電解質結着剤は電解質層5の総質量に対して0.5〜5質量%である。
負極層6は、負極活物質、第1の結着剤、及び、第2の結着剤を含む。負極活物質は、黒鉛系活物質、例えば人造黒鉛、天然黒鉛、人造黒鉛と天然黒鉛との混合物、人造黒鉛を被覆した天然黒鉛等が挙げられる。
負極層6には、固体電池1の製造時等に電解質層5から硫化物系固体電解質が膨潤する可能性がある。即ち、負極層6には、硫化物系固体電解質が含まれる可能性がある。したがって、負極層6に第2の結着剤を含めると、第2の結着剤が負極層6内の硫化物系固体電解質と反応するので、負極層6内の硫化物系固体電解質が劣化する。しかし、負極活物質が黒鉛活物質であれば、固体電池1の劣化が防止される。このことは、負極活物質が黒鉛活物質であれば、負極層6に硫化物系固体電解質が必須ではないことを意味する。なお、硫化物系固体電解質は、負極層6と負極集電体7との界面部分までは膨潤しない。
したがって、負極層6に第2の結着剤を含めることができる。第2の結着剤は、水素結合を介して負極集電体7と強固に結着する。ただし、第2の結着剤だけでは、負極層6と電解質層5との結着性が十分でない可能性がある。そこで、本実施形態では、負極層6に第2の結着剤の他、第1の結着剤を含めている。これにより、第1の結着剤は、電解質層5と強固に結着する。負極層6内の第1の結着剤は、負極層6と電解質層5との界面を通じて電解質層5内の第1の結着剤と相互拡散することで、電解質層5とより強固に結着することができる。
正極層の結着剤が既述の架橋剤によって架橋されたのと同様に、負極層の結着剤にも既述の架橋剤が添加されて、負極層結着剤も架橋される。負極層結着剤が架橋されることにより、充放電時での負極活物質の膨張収縮に対して、負極層と固体電解質層との間の安定した界面状態を維持する高いゴム弾性が得られ、両者の密着性の低下を防ぐ効果がある。架橋剤は、既述の接着層に含まれていてもよい。架橋のための熱処理は、電池セルを構成後に実行してもよいし、負極を形成する段階で架橋処理を行ってもよい。
負極活物質、第1の結着剤、及び、第2の結着剤の含有量の比については、特に制限されない。例えば、負極活物質は負極層6の総質量に対して95〜99質量%、第1の結着剤は負極層6の総質量に対して0.5〜5質量%、第2の結着剤は負極層6の総質量に対して0.5〜5質量%である。
負極集電体7は、導電体であればどのようなものでもよく、例えば、ニッケル、銅、ステンレス鋼、及びニッケルメッキ鋼等で構成される。なお、上記の各層には、公知の添加剤等を適宜加えてもよい。
<2.固体電池の製造方法>
次に、固体電池1の製造方法の一例について説明する。まず、第1の結着剤と、第2の結着剤と、接着層導電性物質と、第1の結着剤及び第2の結着剤を溶解するための第1の溶媒と、を含む接着層塗工液を生成する。ここで、第1の溶媒としては、例えば、NMP(N−メチルピロリドン)、DMF(N、N−ジメチルホルムアミド)、N,N−ジメチルアセトアミド、等のアミド溶媒、酢酸ブチル、酢酸エチル等のアルキルエステル溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類溶媒、テトラフドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類溶媒等がある。
接着層3には硫化物系固体電解質が含まれないか、正極層4から膨潤した硫化物系固体電解質が少量含まれる程度であるので、第1の溶媒には極性溶媒を使用することができる。第1の溶媒は、第1の結着剤及び第2の結着剤を溶解することができる。
次いで、接着層塗工液を正極集電体2上に塗工し、乾燥することで、接着層3を生成する。なお、卓上スクリーン印刷機等の基板上に接着層塗工液を塗工し、乾燥することで、接着フィルムを形成し、この接着フィルムを正極集電体2に圧着してもよい。
次いで、硫化物系固体電解質と、正極活物質と、正極層導電性物質と、正極層結着剤(第1の結着剤)と、架橋剤と、正極層結着剤を溶解するための第2の溶媒と、を含む正極層塗工液を生成する。第2の溶媒は、正極層結着剤(第1の結着剤)を溶解するが、第2の結着剤を溶解しない。第2の溶媒は、具体的には非極性溶媒であり、例えば、キシレン、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類等である。
次いで、正極層塗工液を接着層3上に塗工し、乾燥することで、正極層4を生成する。これにより、接着層3内の第1の結着剤が第2の溶媒に溶解することで正極層4内に膨潤するので、接着層3と正極層4との結着がより強固になる。このように、本実施形態では、正極10を塗工により生成するので、大面積の正極10を容易に製造することができる。即ち、本実施形態では、大容量の固体電池1を容易に製造することができる。
また、第2の溶媒は第2の結着剤を溶解しないので、接着層3上に正極層塗工液を塗工した際に、接着層3内の第2の結着剤が正極層4内に膨潤することが防止される。これにより、正極層4内の硫化物系固体電解質が第2の結着剤により劣化することが防止される。以上の工程により、正極集電体2、接着層3、及び正極層4を含む正極構造体が生成される。
一方、第1の結着剤と、第2の結着剤と、負極活物質と、架橋剤と、第1の溶媒と、を含む負極層塗工液を生成する。負極層6には硫化物系固体電解質が不要であるので、第1の溶媒には極性溶媒を使用することができる。次いで、負極層塗工液を負極集電体7上に塗工し、乾燥することで、負極層6を生成する。これにより、負極構造体が生成される。
次いで、硫化物系固体電解質と、電解質結着剤と、第2の溶媒と、を含む電解質層塗工液を生成する。第2の溶媒は、電解質結着剤(第1の結着剤)を溶解するが、第2の結着剤は溶解しない。次いで、電解質層塗工液を負極層6上に塗工し、乾燥することで、電解質層5を生成する。これにより、負極層6内の第1の結着剤が第2の溶媒に溶解することで電解質層5内に膨潤するので、電解質層5と負極層6との結着がより強固になる。また、第2の溶媒は第2の結着剤を溶解しないので、負極層6上に電解質層塗工液を塗工した際に、負極層6内の第2の結着剤が電解質層5内に膨潤することが防止される。これにより、電解質層5内の硫化物系固体電解質が第2の結着剤により劣化することが防止される。
次いで、正極構造体と、電解質層5及び負極構造体からなるシートとを圧着することで、固体電池1が生成される。この固体電池を熱処理して、正極及び負極の第1の結着剤を架橋剤によって架橋させる。このように、本実施形態では、固体電池1の各層を塗工により生成するので、各層の面積を容易に大きくすることができる。即ち、本実施形態では、大容量の固体電池1を容易に製造することができる。
<実施例>
次に、本実施形態の実施例について説明する。なお、以下の各実施例及び比較例での作業は、全て露点温度−55℃以下のドライルーム内で行われた。
[実施例1]
[接着層の生成]
接着層導電性物質としてのグラファイト(ティムカル社KS−4、以下同じ)及びアセチレンブラック(電気化学工業、以下同じ)と、第1結着剤としてのスチレン系熱可塑性エラストマー(以下、結着剤A)(旭化成S.O.E1611、以下同じ)と、第2結着剤としての酸変性PVDF(以下、結着剤B)(クレハKF9200、以下同じ)とを60:10:15:15の質量%比で秤量した。そして、これらの材料と適量のN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMP)とを自転公転ミキサに投入し、3000rpmで5分撹拌することで、接着層塗工液を生成した。
次いで、卓上スクリーン印刷機(ニューロンリング精密工業社製、以下同じ)に正極集電部材2として厚さ20μmのアルミニウム箔集電部材を載置し、400メッシュのスクリーンを用いて接着層塗工液をアルミニウム箔集電部材上に塗工した。その後、接着層塗工液が塗工された正極集電部材2を80℃で12時間真空乾燥させた。これにより、正極集電部材2上に接着層3を形成した。乾燥後の接着層3の厚さは7μmであった。
[正極層の生成]
正極活物質としてのLiNiCoAlO三元系粉末と、硫化物系固体電解質としてのLiS−P(80:20モル%)非晶質粉末と、導電助剤としての気相成長炭素繊維粉末と、結着剤Aと、架橋剤としての硫黄粉末と、架橋促進剤としての酸化マグネシウムを60:33.75:5:1:0.2:0.05の質量%比で秤量し、自転公転ミキサを用いて混合した。
次いで、この混合粉に、正極層結着剤としての結着剤Aが溶解したキシレン溶液を結着剤Aが混合粉の総質量に対して1.0質量%となるように添加することで、1次混合液を調整した。さらに、粘度調整のための脱水キシレンを適量添加することで、2次混合液を生成した。さらに、混合粉の分散性を向上させるために、直径5mmのジルコニアボールを、空間、混合粉、ジルコニアボールがそれぞれ混練容器の全容積に対して1/3ずつを占めるように2次混合液に投入した。これにより生成された3次混合液を自転公転ミキサに投入し、3000rpmで3分撹拌することで、正極層塗工液を生成した。
次いで、卓上スクリーン印刷機に正極集電部材2及び接着層3からなるシートを載置し、150μmのメタルマスクを用いて正極層塗工液をシート上に塗工した。その後、正極層塗工液が塗工されたシートを40℃のホットプレートで10分乾燥させた後、40℃で12時間真空乾燥させた。これにより、接着層3上に正極層4を形成した。乾燥後の正極集電部材2、接着層3、及び、正極層4の総厚さは165μm前後であった。
次いで、正極集電部材2、接着層3、及び正極層4からなるシートをロールギャップ10μmのロールプレス機を用いて圧延することで、正極構造体を生成した。正極構造体の厚みは120μm前後であった。
[負極層の生成]
負極活物質としての黒鉛粉末(80℃で24時間真空乾燥したもの)と、第1の結着剤としての結着剤Aと、第2の結着剤としての結着剤Bと、架橋剤としての硫黄と、架橋促進剤としての酸化マグネシウムを94.0:1.0:4.75:0.2:0.05の質量%比で秤量した。そして、これらの材料と適量のNMPとを自転公転ミキサに投入し、3000rpmで3分撹拌した後、1分脱泡処理することで、負極層塗工液を生成した。
次いで、負極集電部材7として厚さ16μmの銅箔集電部材を用意し、ブレードを用いて銅箔集電部材上に負極層塗工液を塗工した。銅箔集電部材上の負極層塗工液の厚さ(ギャップ)は150μm前後であった。
負極層塗工液が塗工されたシートを、80℃に加熱された乾燥機内に収納し、20分乾燥した。その後、負極集電部材7及び負極層6からなるシートをロールギャップ10μmのロールプレス機を用いて圧延することで、負極構造体を生成した。負極構造体の厚さは100μm前後であった。さらに、圧延後のシートを40℃で12時間真空乾燥を行い、負極層6を生成した。
[電解質層の生成]
硫化物系固体電解質としてのLiS−P(80:20モル%)非晶質粉末に、結着剤A(電解質層結着剤)のキシレン溶液を結着剤Aが非晶質粉末の質量に対して1質量%、架橋剤としての硫黄を0.2質量%、架橋促進剤としての酸化マグネシウムを0.05質量%となるように添加することで、1次混合液を調整した。さらに、この1次混合液に、粘度調整のための脱水キシレンを適量添加することで、2次混合液を生成した。さらに、混合粉の分散性を向上させるために、直径5mmのジルコニアボールを、空間、混合粉、ジルコニアボールがそれぞれ混練容器の全容積に対して1/3ずつを占めるように2次混合液に投入した。これにより生成された3次混合液を自転公転ミキサに投入し、3000rpmで3分撹拌することで、電解質層塗工液を生成した。
次いで、卓上スクリーン印刷機に負極構造体を載置し、200μmのメタルマスクを用いて電解質層塗工液を負極構造体上に塗工した。その後、電解質層塗工液が塗工されたシートを40℃のホットプレートで10分乾燥させた後、40℃で12時間真空乾燥させた。これにより、負極構造体上に電解質層5を形成した。乾燥後の電解質層5の厚さは130μm前後であった。
[固体電池の生成]
負極構造体及び電解質層5からなるシート及び正極構造体をそれぞれトムソン刃で打ちぬき、シートの電解質層5と正極構造体の正極層4とをロールギャップ50μmのロールプレス機を用いたドライラミネーション法により貼り合わせた。その後、この積層体を窒素雰囲気下で160℃30分加熱して、架橋反応させて、固体電池1の単セル(単電池)を生成した。
[実施例2]
[正極構造体の生成]
実施例1と同様の工程により、正極構造体を生成したのち、窒素雰囲気下で160℃30分加熱して架橋反応させて正極構造体を得た。
[負極層の生成]
実施例1と同様の工程により、負極構造体を生成したのち、窒素雰囲気下で160℃30分加熱して架橋反応させて負極構造体を得た。
[電解質層の生成]
硫黄と酸化マグネシウムを添加しなかったことを以外は実施例1と同様の工程により、負極構造体上に電解質層を形成した。
[固体電池の生成]
窒素雰囲気下160℃30分の加熱をしなかったこと以外は、実施例1と同様の工程により、固体電池1の単セルを生成した。
[実施例3]
[正極構造体の生成]
正極活物質としてのLiNiCoAlO三元系粉末と、硫化物系固体電解質としてのLiS−P(80:20モル%)非晶質粉末と、導電助剤としての気相成長炭素繊維粉末と、結着剤Aと、架橋剤としての硫黄粉末と、架橋促進剤としての酸化マグネシウムを60:33.85:5:1:0.1:0.05の質量%比としたこと以外は、実施例1と同様の工程により、正極構造体を生成した。
[負極層の生成]
負極活物質としての黒鉛粉末と、第1の結着剤としての結着剤Aと、第2の結着剤としての結着剤Bと、架橋剤としての硫黄と、架橋促進剤としての酸化マグネシウムを94.0:1.0:4.85:0.1:0.05の質量%比としたこと以外は、実施例1と同様の工程により、負極構造体を生成した。
[電解質層の生成]
硫黄と酸化マグネシウムを添加しなかったことを以外は実施例1と同様の工程により、負極構造体上に電解質層を形成した。
[固体電池の生成]
実施例1と同様の工程により、固体電池の単セルを生成した。
[実施例4]
酸化マグネシウムに変えて酸化亜鉛を使用したこと以外は実施例3と同様の工程により、固体電池の単セルを生成した。
[比較例1]
正極構造体、負極層、電解質層の生成において硫黄と酸化マグネシウムを添加しなかったこと以外は実施例1と同様の工程により、固体電池の単セルを生成した。
[比較例2]
電解質層の生成において硫黄と酸化マグネシウムを添加しなかったこと以外は実施例1と同様の工程により、固体電池の単セルを生成した。
[充電時内部短絡]
実施例1の単セルを東洋システム製充放電評価装置 TOSCAT−3100により0.05mA/cm2の定電流密度で充電、引き続いて放電を行い、放電容量(mAh)を測定した(充電上限電圧4.0V、放電下限電圧2.5V)。測定した放電容量をもとに、0.025C、0.05C、0.075C、0.1C、0.15Cに相当する電流密度を算出した。なお1Cとは1時間率電流(mA)を意味する。このようにして算出した電流密度で各単セルを充電し、そのときの充電プロファイルから内部短絡の有無を判定した。図2にその例を示す。正常な充電が行われた電池では充電に伴い単セル電圧が単調に増大する。一方、微小内部短絡が発生した単セルは充電中の単セル電圧が安定に増大しない。このようにして各単セルの内部短絡を評価した結果を表1に示す。
比較例1は実施例1に比較して、充電電流値が大きくなるとリチウムのデンドライト析出に伴う微笑内部短絡が発生し、電圧が不安定となり、電池として不良化する。比較例2は実施例2に比較して、充電電流値が大きくなるとリチウムのデンドライト析出に伴う微笑内部短絡が発生し、電圧が不安定となり、電池として不良化する。
以上説明したように、本実施形態の正極及び負極では結着剤が架橋されているために、国体電解質と電極界面との密着性が安定に保たれるようになり、固体電池の充放電を繰り返しても、内部短絡の発生が防止される。なお、既述の実施形態では、正極及び負極で結着剤が架橋されているが、正極及び負極の少なくとも一つ、好適には少なくとも負極において結着剤が架橋されていれば、本発明の効果を達成することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、本発明の技術的範囲に属するものである。
1 固体電池
2 正極集電体
3 接着層
4 正極層
5 電解質層
6 負極層
7 負極集電体

Claims (11)

  1. 正極と、
    負極と、
    前記正極と負極間に設けられた固体電解質からなる電解質層と、
    を備え、
    前記正極及び負極の少なくとも一方の結着剤は架橋剤によって架橋されている、
    固体電池。
  2. 前記正極及負極は夫々前記結着剤として、前記電解質層と結着するための、前記固体電解質に対して不活性な第1の結着剤を含み、
    前記架橋剤によって前記第1の結着剤が架橋されている、
    請求項1記載の固体電池。
  3. 前記正極及び前記負極は夫々、電極集電体と結着するための、当該電極集電体への結着性が前記第1の結着剤より優れた第2の結着剤を含み、
    前記架橋剤によって前記第1の結着剤と前記第2の結着剤の少なくとも前記第1の結着剤が架橋されている、
    請求項2記載の固体電池。
  4. 前記正極は、
    正極活物質を含む正極層と、
    前記電極集電体としての正極集電体に前記正極層を接着させるための接着層と、
    を備え、
    前記接着層は前記第1の結着剤と前記第2の結着剤を含み、
    前記正極層は前記第1の結着剤を含む、
    請求項3記載の固体電池。
  5. 前記正極及び前記負極のうち少なくとも前記正極は、前記固体電解質を含有する、
    請求項1乃至4の何れか1項記載の固体電池。
  6. 前記正極及び負極の夫々は、前記結着剤として、前記電解質層と結着するために、前記固体電解質に対して不活性な非極性結着剤を有し、
    当該正極及び負極の少なくとも一方の当該非極性結着剤が前記架橋剤によって架橋されている、
    請求項1記載の固体電池。
  7. 前記固体電解質は、前記非極性結着剤を含有するものの前記架橋剤を実質的に含んでなく、当該架橋剤によって前記非極性結着剤が実質的に架橋されていない、
    請求項6記載の固体電池。
  8. 前記非極性結着剤は、前記架橋剤によって架橋される不飽和結合を有する非極性樹脂からなる、請求項6又は7記載の固体電池。
  9. 前記結着剤は架橋促進剤の存在下前記架橋剤によって架橋されている、請求項1記載の固体電池。
  10. 少なくとも前記負極の結着剤が前記架橋剤によって架橋されている、請求項1記載の固体電池。
  11. 前記固体電解質は硫化物系固体電解質である、請求項1乃至10の何れか1項記載の固体電池。
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