JP2011192610A - リチウムイオン電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】負極が高密着構造で高温保存時における長寿命化を実現するリチウムイオン電池を提供する。
【解決手段】本発明に関わるリチウム二次電池は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極8と、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極5と、正極8と負極5との間に配置されたセパレータ9と、電解液とを有するリチウム二次電池100であって、負極5の合剤層4は、第1の負極合剤層1と第2の負極合剤層2との二層を有し、第1の負極合剤層1の結着剤は、スチレンブタジエンラバーまたはカルボキシメチルセルロースを含有し、第2の負極合剤層2の結着剤は、ポリイミドまたはフッ素樹脂を含有し、第1の負極合剤層1のスチレンブタジエンラバーは、IRに測定より得られる700cm−1の吸光度A700と960cm−1の吸光度A960とを用いて、式 R=A960/A700によって計算されるRの値が1.5以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオンを用いるリチウムイオン電池に関する。
COの排出抑制等の環境保護,エネルギ効率の向上の省エネルギの観点から、エンジンとモータとを動力源として併用したハイブリッド自動車が開発,製品化されている。また、将来的には、燃料電池をエンジンの替わりに用いる燃料電池ハイブリッド自動車の開発も盛んになっている。
このハイブリッド自動車のエネルギ源として、繰返し充電、放電が可能な二次電池は必須の技術である。
なかでも、リチウムイオン電池は、リチウムのイオン化傾向が大きいことから、その動作電圧が高く高出力を得やすく、加えて、原子量が小さいこと等から高エネルギ密度の特徴を有する電池である。そのため、リチウムイオン電池は、今後、ハイブリッド自動車の電源として益々重要性が増している。
リチウムイオン電池の電気自動車のハイブリッド自動車への用途では、走行性能、使い勝手の良さ等から、高出力、高エネルギ密度、および長寿命化が重要な課題である。
特許文献1には、負極合剤層を2層構造とし、2層構造のうちの一方の集電体側の下層には、活物質として炭素粒子を含有させ、2層構造のうちの他方の下層上に形成する上層には、活物質として、Liと合金を形成し得る金属、Liと合金を形成し得る半導体、該金属を含む合金、該金属の酸化物、該金属の窒化物、該半導体を含む合金、該半導体の酸化物または該半導体の窒化物を含有させていることが開示されている。これにより、高容量負極材料を用いつつ、充放電による高容量材料の微粉化を抑制することを達成した構成である。
特開2007−179864号公報
しかし、特許文献1では、高温保存時において、電解液に浸る負極合剤が膨潤し負極集電体と負極合剤との密着性が悪くなるという問題があり、電池の長寿命化が困難である。
以上のように、従来提案されている電極形成技術では、負極における負極集電体、負極合剤等が高密着状態での高温保存時における長寿命化が大きな技術課題になっている。
本発明は上記実状に鑑み、負極が高密着構造での高温保存時における長寿命化を実現するリチウムイオン電池の提供を目的とする。
上記目的を達成すべく、本発明に関わるリチウム二次電池は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極と、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極と、前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータと、電解液とを有するリチウム二次電池であって、前記負極の合剤層は、第1の負極合剤層と第2の負極合剤層との二層を有し、前記第1の負極合剤層の結着剤は、スチレンブタジエンラバーまたはカルボキシメチルセルロースを含有し、前記第2の負極合剤層の結着剤は、ポリイミドまたはフッ素樹脂を含有し、前記第1の負極合剤層のスチレンブタジエンラバーは、IR測定により得られる700cm−1の吸光度A700と960cm−1の吸光度A960とを用いて、次式 R=A960/A700 によって計算されるRの値が1.5以上であることを特徴としている。
本発明によれば、高温保存時における負極の密着性が向上し、高温保存時における長寿命を実現するリチウムイオン電池を提供できる。
本発明の実施形態に係るリチウムイオン電池の負極の例を示す断面図である。 本発明の実施例1に係る捲回型電池の片側断面図である。 本発明の比較例2に係るリチウムイオン電池の負極の例を示す断面図である。 本発明の比較例3に係るリチウムイオン電池の負極の例を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1に、本発明に係る実施形態のリチウムイオン電池の負極5の例を示す。
実施形態のリチウムイオン電池では、高温保存時における負極5を形成する集電体3と負極活物質を有する負極合剤層4との間の高密着構造での長寿命を実現する。そのため、負極合剤層4を2層構造としている。
すなわち、負極5は、負極集電体3と、負極集電体3に形成される第1の負極合剤層1と、第1の負極合剤層1に形成される第2の負極合剤層2とで構成されている。
2層の負極合剤層4を形成する一方の第1の合剤層1は、活物質と第1の結着剤とで構成され、他方の第2の合剤層は、活物質と第2の結着剤とで構成される。
<負極5の負極合剤層4を形成する第1の合剤層1>
第1の合剤層1は、高温保存時において負極集電体4と高密着させるため、高温保存時に剥離しない結着剤(第1の結着剤)の使用が重要である。なお、負極集電体3には、金属箔などが用いられることが多く、特に銅箔(例えば、厚さ7μm以上20μm以下の銅箔)が多く用いられている。
従来、負極の結着剤として汎用されているポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂を含有した結着剤は、負極集電体3である銅箔との密着性に問題がある。
このため、第1の結着剤には、負極集電体3の銅箔との密着性を向上させるスチレンブタジエンラバーまたはカルボキシメチルセルロースを含有するものとしている。電解液(電解質)に浸漬した負極5の高温保存時における合剤(第1の合剤層1)の密着性を示す指標として、我々は、次の(式1)で示される残存率を用いた。
残存率(%)=(電解液浸漬後の負極合剤面積/負極合剤面積)×100 (式1)
(式1)で求められる残存率(%)とは、電解液の浸漬前の合剤(第1の合剤層1)の負極集電体3と密着している面積(負極合剤面積)に対して、電解液に浸漬後の合剤(第1の合剤層1)の負極集電体3と密着している面積(電解液浸漬後の負極合剤面積)の割合を百分率で示すものである。
第1の合剤層1にスチレンブタジエンラバーまたはカルボキシメチルセルロースを含有する結着剤を用いた負極の70℃7日間の条件で保存した残存率は、(式1)により0%であり、高温保存時における密着性は不十分である。しかし、本実施形態のように、スチレンブタジエンラバーが以下に示す条件を満たすと大幅に密着性が向上する。
IR(infrared spectroscopy:赤外分光法)測定により得られる700cm−1の吸光度(A700)及び960cm−1の吸光度(A960)から、次の(式2)によって計算されるRの値が1.5以上の場合である。
=A960/A700 (式2)
赤外線吸収スペクトルでは、ベンゼン環の化学結合の変角に由来するピークは700cm−1付近に示され、>C=C<伸縮に由来するピークは960cm−1付近に示される。(式2)のRの値は、ベンゼン環の変角に由来する吸光度(A700)と、>C=C<伸縮に由来する吸光度(A960)との割合を示している。
の値が1.5以上の条件を満たしたスチレンブタジエンラバーを結着剤として適用した負極の70℃7日間の残存率は、(式1)から60%以上(後記の表1の実施例1〜4参照)である。(式2)からのRの値を2以上にすると、残存率は100%(表1の実施例3、4参照)となり、より望ましい。
第1の結着剤溶液を構成する溶媒としては、分散媒である水に分散させた水系の負極合剤含有組成物を用いる。第1の合剤層1の負極合剤含有組成物の溶媒は、その主成分が水であり、溶媒の全てが水であってもよいが、水溶性の有機溶媒(例えば、アセトン、メチルアルコール、エチルアルコール)などを、例えば50質量%未満で含有する水と混ぜた混合液であってもよい。
<負極5の負極合剤層4を形成する第2の合剤層2>
図1の負極合剤層4を形成する第2の合剤層2に含有する第2の結着剤は、活物質同士を強固に結着させるものがよく、溶媒に水を含まない非水系の結着剤を用いる。例えばポリイミド、フッ素樹脂(フッ化ビニリデンなど),四フッ化エチレン,アクリロニトリル,エチレンオキシドなどの単独重合体又は共重合体などが挙げられる。
第2の合剤層2を形成するための第2の結着剤溶液を構成する非水系の溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルフォキシド、ヘキサメチルフォスフォアミド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラメチルウレア、トリエチルフォスフェイト、トリメチルフォスフェイト等を用いることができる。特に、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどの含窒素系有機溶媒はバインダ樹脂の溶解性が高く、好ましい。また、これら溶媒は単独でも混合して用いてもよい。
負極5の負極活物質としては、天然黒鉛,天然黒鉛に乾式のCVD(Chemical Vapor Dposition)法や湿式のスプレイ法で形成される被膜を形成した複合炭素質材料,エポキシやフェノール等の樹脂原料若しくは石油や石炭から得られるピッチ系材料を原料として焼成して造られる人造黒鉛,非晶質炭素材料などの炭素質材料、又は、リチウムと化合物を形成することでリチウムを吸蔵放出(intercalation/de-intercalation)できるリチウム金属,リチウムと化合物を形成し、結晶間隙に挿入されることでリチウムを吸蔵放出できる珪素,ゲルマニウム,錫など第四族元素の酸化物若しくは窒化物を用いることができる。
特に、炭素質材料は、導電性が高く、低温特性,サイクル安定性の面から優れた材料である。炭素質材料の中では、炭素網面層間(d002)の広い材料が急速充放電や低温特性に優れ、好適である。しかし、d002が広い材料は、充電の初期での容量低下や充放電効率が低いことがあるので、d002は0.39nm以下が好ましく、このような炭素質材料を、擬似異方性炭素と称する。擬似異方性炭素とは、炭素網面層間をコントロールして結晶の異方性を疑似的にコントロールしたものである。
更に、電極を構成するには黒鉛質,非晶質,活性炭などの導電性の高い炭素質材料を混合しても良い。または、黒鉛質材料として、以下(1)〜(3)に示す特徴を有する材料を用いても良い。
(1)ラマン分光スペクトルで測定される1300〜1400cm−1の範囲にあるピーク強度(I)とラマン分光スペクトルで測定される1580〜1620cm−1の範囲にあるピーク強度(I)との強度比であるR値(I/I)が、0.2以上0.4以下。
(2)ラマン分光スペクトルで測定される1300〜1400cm−1の範囲にあるピークの半値幅Δ値が、40cm−1以上100cm−1以下。
(3)X線回折における(110)面のピーク強度(I(110))と(004)面のピーク強度(I(004))との強度比X値(I(110)/I(004))が0.1以上0.45以下。
このように、負極は、炭素質材料,第四属元素を含む酸化物,第四属元素を含む窒化物の少なくとも1種から構成される。
なお、第1の負極合剤層1および第2の負極合剤層2において、電子抵抗の低減のため更に導電剤を加えても良い。導電剤は、例えば、カーボンブラック,グラファイト,カーボンファイバ及び金属炭化物などのカーボン材料であり、それぞれ単独でも混合して用いても良い。
<負極5の負極集電体3>
負極5の負極集電体3としては、ステンレス鋼、銅、ニッケル、チタン等の金属箔、あるいは金網の網目を細かくしたような金属メッシュ等を用いることができる。特に、銅が好ましく、耐熱性の高いジルコニアや亜鉛含有銅も好ましい。
<負極5の作製>
次に、図1に示す負極5の作製について説明する。
負極5は、上述した第1の合剤層(1)形成用の負極合剤含有組成物、および第2の合剤層(2)形成用の負極合剤含有組成物を用いて、例えば、以下の方法により負極合剤層4を形成することで、作製することができる。
まず、負極集電体3の少なくとも一方の面上に、第1の負極合剤層(1)形成用の負極合剤含有組成物を塗布し、例えば60〜120℃で2〜4時間乾燥し、その後1〜10ton/cm(0.98〜9.8Pa)でプレスすることで厚みと密度を調整して、第1の負極合剤層1を形成する。
次に、上記のように形成した第1の負極合剤層1上に、第2の負極合剤層(2)形成用の負極合剤含有組成物を塗布し、例えば60〜120℃で2〜4時間乾燥し、その後1〜10ton/cm(0.98〜9.8Pa)でプレスすることで厚みと密度を調整して、第2の負極合剤層2を形成する。このような方法で、負極集電体3の少なくとも一方の面に、第1の負極合剤層1と第2の負極合剤層2で構成される負極合剤層4を有する負極5を作製することができる。プレスは、ホットプレスでもよい。
なお、上述の負極5の作製では、第1の負極合剤層(1)形成用の第1の負極合剤含有組成物を負極集電体3に塗布し、乾燥させた後にプレスし、続いて、第2の負極合剤層(2)形成用の負極合剤含有組成物を、負極集電体3に塗布した第1の負極合剤含有組成物の上に塗布し、乾燥させた後にプレスする手順で、負極合剤層4を形成する方法を説明した。
この方法以外に、例えば、第1の負極合剤層(1)形成用の第1の負極合剤含有組成物を負極集電体3に塗布し、乾燥させた後に、第2の負極合剤層(2)形成用の第2の負極合剤含有組成物を、負極集電体3に塗布した第1の負極合剤含有組成物の上に塗布し、乾燥させ、その後にプレスして、第1の負極合剤層1と第2の負極合剤層2の厚みや密度の調整を一度に行ってもよい。
或いは、金属支持体の負極集電体3に塗布した第1の負極合剤層(1)形成用の第1の負極合剤含有組成物が完全に乾燥する前に、この塗布面上に第2の負極合剤層(2)形成用の第2の負極合剤含有組成物を塗布し、その後に乾燥させプレスを施して、第1の負極合剤層1と第2の負極合剤層2の形成を同時に行っても構わない。これらの方法を採用する場合の乾燥条件やプレス条件は、上記の条件と同じ条件が採用できる。
<負極5の第1の負極合剤層1の厚み>
上記のようにして形成される第1の負極合剤層1の厚みは、5μm以上100μm以下が好ましい。何故なら、第1の負極合剤層1が薄すぎる(例えば、厚さ5μm未満)場合、第2の負極合剤層2との接合が不十分になって、第2の負極合剤層の体積変化に追従できない。他方、第1の負極合剤層が厚すぎる(例えば、厚さ100μm超)場合、負極合剤層4を特定の厚みとするには、第2の負極合剤層2を薄くする必要が生じる場合があり、高容量化が難しくなることがある。
従って、第1の負極合剤層1の厚みは、より好ましくは、上述した数値範囲の中央域の30μm以上70μm以下である。
<負極5の第2の負極合剤層2の厚み>
また、上記のようにして形成される第2の負極合剤層2の厚みは、5μm以上50μm以下が好ましい。何故なら、第2の負極合剤層2が薄すぎる(例えば、厚さ5μm未満)場合、高容量化が難しくなる。他方、第2の負極合剤層2が厚すぎる(例えば、厚さ50μm超)場合、負極合剤層4を特定の厚みとするには、第1の負極合剤層1を薄くする必要が生じることがあり、その場合に、第1の負極合剤層1が第2の負極合剤層2の体積変化に追従できず、第1の負極合剤層1との接合が不十分になる。
従って、第2の負極合剤層2の厚みは、より好ましくは、上述の数値範囲の中央域の10μm以上30μm以下である。
<負極5の負極合剤層4の厚み>
負極5を形成する負極合剤層4の厚み[第1の負極合剤層1と第2の負極合剤層2との総厚み]は、10μm以上150μm以下が好ましい。何故なら、負極合剤層4が薄すぎる(例えば、厚さ10μm未満)場合、負極合剤層4の形成時に、負極合剤含有組成物の塗布斑が発生し、負極5の歩留まりが著しく悪化する。他方、負極合剤層4が厚すぎる(例えば、厚さ150μm超)場合、負極合剤層4の外面4aから負極集電体3までの距離(図1参照)が長くなり電気抵抗が増加しロスが増え、大きな電流値が取れなくなる。そのため、電池の負荷特性が低下する。
従って、負極合剤層4の厚みは、より好ましくは、上述の数値範囲の中央域の30μm以上120μm以下である。
また、負極合剤層4の厚みは、電池に要求される特性に応じて設定することが好ましい。例えば、高出力が要求される用途に適用される電池の場合には、負極合剤層4の電子抵抗が小さく時間当り早く電流が取り出せる(時間積分の電流が大なる)ように、負極合剤層4の厚みを10μm以上50μm以下とすることが好ましい。他方、高容量が要求される用途に適用される電池の場合には、活物質の原子量・分子量、電子等を増やすため、負極合剤層4の厚みを50μm以上100μm以下とし、容量を増加させることが好ましい。
なお、上述の第1の負極合剤層1の厚み、第2の負極合剤層2の厚み、および負極合剤層4の厚みは、負極集電体3の片面当たりの厚みであり、例えば、負極集電体3の両面に負極合剤層4が形成された負極5においては、負極集電体3の片面ごとに、第1の負極合剤層1、第2の負極合剤層2および負極合剤層4が、上述の厚みを満足していればよい。
また、第1の負極合剤層1の厚みと第2の負極合剤層2の厚みの関係としては、第1の負極合剤層1よりも第2の負極合剤層2の方を薄くすることが好ましい。何故なら、第1の負極合剤層1を第2の負極合剤層2よりも薄くすると、第1の負極合剤層1での変形に対する吸収能が低下するため、必然的に第1の負極合剤層1と第2の負極合剤層2の界面にかかるせん断力が大きくなり、充放電の際に第1の負極合剤層1と第2の負極合剤層2との界面での剥離が生じ易くなるからである。
本発明に係る負極5では、第1の負極合剤層1および第2の負極合剤層2を上述の特定の方法[第1の負極合剤層1を水系の負極合剤含有組成物で、第2の負極合剤層2を非水系の負極合剤含有組成物で形成する方法]で形成することで、負極集電体に近い上層の第1の負極合剤層1、下層の第2の負極合剤層2との多層構造となり、それぞれの密度を調整することで、上層、下層にちょうど良い圧力がかかる。そのため、プレスによる厚みと密度の調整の際に、第1の負極合剤層1および第2の負極合剤層2に良好に圧力をかけることができる。
従って、リチウムイオン(Li)を吸蔵・放出可能なように多孔質の層としながらも、その密度を上述のように高めることが可能である。そのため、負極(電池)の長寿命化を達成することができる。
本発明のリチウムイオン電池は、上述の本発明に係る負極5を備えていればよく、その他の構成要素や構造については特に制限はなく、従来公知のリチウムイオン電池で適用されている各種構成要素、構造を採用することができる。
<リチウムイオン電池の正極>
図2に捲回型電池(リチウムイオン電池)100の片側断面図を示す。
正極8は、正極合剤層7と、正極集電体6とを有する。
正極8は、電力を発生させる起電物質の正極活物質、前記電子導電性材料及び結着剤から構成される正極合剤が、正極集電体6のアルミニウム箔上に塗布されることにより、正極合剤層7が形成される。また、電子抵抗の低減のため更に正極合剤層7に導電剤を加えても良い。
正極活物質は、組成式LiαMnxM1yM2z2(式中、M1は、Co,Niから選ばれる少なくとも1種であり、M2は、Co,Ni,Al,B,Fe,Mg,Crから選ばれる少なくとも1種であり、x+y+z=1,0<α<1.2,0.2≦x≦0.6,0.2≦y≦0.4,0.05≦z≦0.4)で表されるリチウム複合酸化物が好ましい。
組成中、Niを多くすると容量が大きく取れ、Coを多くすると低温での出力が向上でき、Mnを多くすると材料コストを抑制できる。なお、添加元素は、サイクル特性を安定させるのに効果がある。
従って、M1がNi又はCoであって、M2がCo又はNiであることがより好ましい。LiMn1/3Ni1/3Co1/32であればさらに好ましい。
他に、一般式LiMxPO4(M:Fe又はMn、0.01≦X≦0.4)やLiMn1-xxPO4(M:Mn以外の2価のカチオン、0.01≦X≦0.4)である結晶構造が空間群Pmnbの対称性を有する斜方晶のリン酸化合物でも良い。特に、LiMn1/3Ni1/3Co1/32は、低温特性とサイクル安定性とが高く、ハイブリット自動車(HV:Hybrid Vehicle)用リチウム電池材料として好適である。
正極8の結着剤(バインダ)は、正極8を構成する材料(正極活物質、電子導電性材料等)と正極集電体6を密着させるものであればよく、例えば、フッ化ビニリデン,四フッ化エチレン,アクリロニトリル,エチレンオキシドなどの単独重合体又は共重合体,スチレン−ブタジエンゴムなどを挙げることができる。
前記導電剤は、例えば、カーボンブラック,グラファイト,カーボンファイバー及び金属炭化物などのカーボン材料であり、それぞれ単独でも混合して用いても良い。
(電解液)
リチウムイオン電池の特徴は高い作動電圧にある。そのため、電解液には高電圧で分解されない有機溶媒が用いられる。
電解液の溶媒は、電極(負極5、正極8)の酸化還元(電池反応)に対して安定で、高いイオン導電率をもつ必要がある。
電解液に用いる溶媒としては低温特性、負極電極上の被膜形成の観点から、環状炭酸エステルの誘電率が高いエチレンカーボネート(EC)、ビニレンカーボネート(VC)、鎖状炭酸エステルの粘性が低いジメチルカーボネート(DMC)及びエチルメチルカーボネート(EMC)を含むのがよい。
電解液に用いるリチウム塩としては、特に限定はないが、無機リチウム塩では、安定な電解質のLiPF,LiBF,LiClO,LiI,LiCl,LiBr等、また、有機リチウム塩では、LiB[OCOCF3]4,LiB[OCOCFCF],LiPF(CF),LiN(SOCF),LiN(SOCFCF3)2等を用いることができる。
特に、民生用電池で多く用いられているLiPFは、品質の安定性から好適な材料である。
また、LiB[OCOCF]は、解離性,溶解性が良好で、低い濃度で高い導電率を示すので有効な材料である。
(セパレータ)
セパレータは、正極8と負極5とを隔てこれらの接触(短絡)を防止し、イオン伝導性が高い必要がある。
リチウムイオン電池に係るセパレータとしては、公知のリチウムイオン電池に使用されているセパレータを用いることができる。例えば、セパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン製のイオン伝導性を有する微孔性フィルムや不織布などが挙げられる。電池の高容量化の観点からは、セパレータの厚みは、20μm以下とすることが好ましく、18μm以下とすることがより好ましい。このような厚みのセパレータを用いることで、電池の体積あたりの容量を大きくすることができる。しかし、セパレータを薄くし過ぎると、取り扱い性が損なわれたり、正極8・負極5の間の隔離が不十分(電気抵抗が過小)となって短絡が生じ易くなったりするため、厚みの下限は10μmであることが好ましい。
以上より、本発明の一実施態様であるリチウムイオン電池は、高温環境化においても負極5が高密着構造での長寿命と高出力を両立したリチウムイオン電池を提供できる。
そのため、高出力が要求されるハイブリッド自動車の電源,自動車の電動制御系の電源やバックアップ電源として広く利用可能であり、その他、鉄道、電動工具,フォークリフトなどの産業用機器の電源としても好適である。
以下、本発明を実施するための形態を具体的な実施例によって説明する。
(捲回型電池100の作製)
以下に示す方法で、本実施例の捲回型電池(リチウムイオン電池)100(図2参照)を作製した。
まず、正極8を作製するに際しては、電力を発生させる正極側の起電物質の正極活物質としてLiMn1/3Ni1/3Co1/32を用い、正極に電子導電性を加える電子導電性材料としてカーボンブラック(CB1)と黒鉛(GF2)を用い、バインダ(結着剤)としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いて、乾燥時の固形分重量を、LiMn1/3Ni1/3Co1/32:CB1:GF2:PVDF=86:9:2:3の比となるように、溶剤としてNMP(N−メチルピロリドン)を用いて正極材ペーストを調製した。
この正極材ペーストを、正極集電体6となるアルミ箔に塗布し、80℃で乾燥させ,加圧ローラでプレスした後、120℃で乾燥して正極合剤層7を正極集電体6に形成し、正極8を作製した。
次に、負極5の第1の負極合剤層1の作製に際して、電力を発生させる負極側の起電物質の負極活物質として非晶質炭素である前記した擬似異方性炭素を用い、導電材としてカーボンブラック(CB2)を用い、第1の結着剤として前記のRが1.5であるスチレンブタジエンラバー(SBR)、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)を混合させ、乾燥時の固形分重量を、擬似異方性炭素:CB2:SBR:CMC=90:5:4:1の比となるようにして、溶剤として水を用いて、第1の負極合剤層1のスラリーを調製した。
この第1の負極合剤層1のスラリーを、負極集電体3となる銅箔に塗布し、70℃にて乾燥させ、プレスし、第1の負極合剤層4を負極集電体3に形成した。
次に、負極5の第2の負極合剤層2の作製に際して、負極活物質として非晶質炭素である擬似異方性炭素を用い、導電材としてカーボンブラック(CB2)を用い、バインダとしてPVDF(ポリフッ化ビニリデン)を用いて、乾燥時の固形分重量を、擬似異方性炭素:CB2:PVDF=90:5:5の比となるようにして、溶剤としてNMP(N−メチルピロリドン)を用いて、第2の負極合剤層2のスラリーを調製した。
この第2の負極合剤層2のスラリーを、負極集電体3に形成した第1の負極合剤層1の上に塗布し、80℃にて一次乾燥し、さらに150℃で二次乾燥し,プレスし、そして、150℃で乾燥して第2の負極合剤層2を第1の負極合剤層1の上に形成し、負極5を作製した。
電解液として、ECは融点が高い欠点があるので融点の低い溶媒等を加え、溶媒を容積組成比EC:VC:DMC:EMC=19.8:0.2:40:40で混合したものを用い、リチウム塩としてLiPFを1M(モル)溶解して電解液を作製した。
図2に示すように、作製した電極の正極8、負極5の間にセパレータ9を挟み込み、捲回群を形成し、負極電池缶15に挿入した。
そして、負極5の集電をとる(負極5から電流をとる)ためにニッケル製の負極リード11の一端を負極集電体3に溶接し、他端を負極電池缶15に溶接した。また、正極8の集電をとる(正極8から電流をとる)ためにアルミニウム製の正極リード10の一端を正極集電体6に溶接し、他端を電流遮断弁19に溶接し、さらにこの電流遮断弁19を介して正極電池蓋14と電気的に接続した。そして、負極電池缶15の内部に電解液を注液し、負極電池缶15の上部をガスケット16に向けて内側にかしめることで捲回型電池(リチウムイオン電池)100を作製した。
なお、図2において、符号12は、負極電池缶15と正極リード10との短絡を防止するための正極絶縁材であり、符号13は、負極リード11と正極8との短絡を防止するための負極絶縁材である。また、符号16は、電解液の外部への漏出を防止するとともに負極電池缶15と正極電池蓋14および電流遮断弁19とを絶縁するガスケットである。
(残存率評価)
得られた密着構造の負極5を電解液に浸した後の密着面の残存率を前記の(式1)で評価するため、負極5を直径15mmに打ち抜いたものを15枚用意し、ポリエチレン容器に電解液と負極5を入れ、70℃で7日間保存した。保存後、負極集電体3と合剤の負極合剤層4が密着した割合である残存率を調査した。残存率(%)は、前記したように、電解液に保存した負極合剤層4の面積である負極合剤面積と、電解液に浸漬後の剥がれていない負極合剤層4の面積の割合と定義し、(式1)で求めた。実施例1の測定結果を表1に示す。
Figure 2011192610
表1より、実施例1では、残存率65%が得られた。
(電池特性評価)
<70℃保存時の電池容量評価方法>
リチウムイオン電池を定電流0.6Aで4.1Vまで充電し、定電圧4.1Vで電流値が20mAになるまで充電し、30分の運転休止の後、0.6Aで2.7Vまで放電した。この操作を3回繰返した。次に、リチウムイオン電池を4.1Vまで定電流0.6Aで充電し、30分放置し、70℃恒温槽にリチウムイオン電池10を入れ、30日放置後の電圧を測定し、容量維持率(%)を求めた。測定結果を表1に示す。
表1より、実施例1では、容量維持率80%が得られた。
以下に示す方法で、本実施例2の捲回型電池(リチウムイオン電池)100を作製した。
第1の負極合剤層1、第2の負極合剤層2ともに負極活物質として黒鉛を用いた。
これ以外は実施例1と同様の方法で、リチウムイオン電池の作製、および評価を行った。
実施例2の測定結果を表1に示す。
表1より、実施例2では、残存率65%が得られ、容量維持率88%が得られた。前記の実施例1と実施例2とを比較すると、実施例1の負極活物質の擬似異方性炭素を実施例2で黒鉛に変更することにより、実施例1の容量維持率80%が、実施例2の88%に向上した。
以下に示す方法で、本実施例3の捲回型電池(リチウムイオン電池)100を作製した。
第1の負極合剤層1の調整時に、第1の結着剤としてRが2であるSBR(スチレンブタジエンラバー)を用いた。
これ以外は実施例1と同様の方法で、リチウムイオン電池の作製、および評価を行った。
実施例3の測定結果を表1に示す。
表1より、SBRのRが2である実施例3では、残存率100%が得られ、容量維持率85%が得られた。
SBRのRが1.5である実施例1、2の残存率65%と比較すると、SBRのRが2の実施例3で残存率100%であり、SBRのRを2とすると高い残存率(密着性)が得られることが分った。
以下に示す方法で、本実施例4の捲回型電池(リチウムイオン電池)100を作製した。
第1の負極合剤層1、第2の負極合剤層2ともに負極活物質として天然黒鉛を用いた。
これ以外は実施例3と同様の方法で、リチウムイオン電池の作製、および評価を行った。
実施例4の測定結果を表1に示す。
実施例3の負極活物質の擬似異方性炭素を実施例4で黒鉛に変更したことで、実施例4の容量維持率94%と、実施例3の容量維持率85%に比較し、向上すること分る。
実施例4では、残存率100%、容量維持率94%が得られ、実施例1〜4で、残存率(%)、容量維持率(%)ともに、一番高い性能が実現できる。
実施例1〜4の結果より、リチウムイオン電池において負極活物質に黒鉛を使用する方が、擬似異方性炭素を使用するよりも、容量維持率(%)の性能が優れている。例えば、表1より、SBRのRが1.5である実施例1、2を比較すると、負極活物質に黒鉛を使用した実施例2の容量維持率が88%であり、負極活物質に擬似異方性炭素を使用した実施例1の容量維持率が80%であり、負極活物質に黒鉛を使用した実施例2の容量維持率(%)が高い。同様に、表1より、SBRのRが2である実施例3、4を比較すると、負極活物質に黒鉛を使用した実施例4の容量維持率が94%であり、負極活物質に擬似異方性炭素を使用した実施例3の容量維持率が85%であり、負極活物質に黒鉛を使用した実施例4の容量維持率(%)が高い。なお、残存率(%)に関しては、負極活物質に擬似異方性炭素を用いるか、黒鉛を用いるかの差異は現出しなかった。
また、実施例1〜4の結果より、のリチウムイオン電池において、第1の負極合剤層1の第1の結着剤として、Rが2であるSBRを用いた方がRが1.5のSBRを用いるよりも、残存率(%)が優れている。例えば、表1より、SBRのRが1.5である実施例1、2の残存率65%に対して、SBRのRが2である実施例3、4の残存率100%である。
これらのことより、負極活物質に黒鉛を使用し、第1の負極合剤層1の第1の結着剤にRが2のSBRを用いた場合、残存率(%)、容量維持率(%)ともに、最も高い性能が得られる。
<比較例1>
比較例1は、負極における第1の負極合剤層1の第1の結着剤のSBR(スチレンブタジエンラバー)のRを0.8として、SBRのRが1.5の実施例1、2、およびSBRのRが2の実施例3、4のリチウムイオン電池と比較し、特性を評価したものである。
以下に示す方法で、比較例1の捲回型電池(リチウムイオン電池)を作製した。
負極の作製に際しては、負極活物質として非晶質炭素である擬似異方性炭素を用い、導電材としてカーボンブラック(CB2)を用い、負極の第1の負極合剤層1の調整時に、第1の結着剤としてRが0.8であるSBRを用い、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)を混合させ、乾燥時の固形分重量を、擬似異方性炭素:CB2:SBR:CMC=90:5:4:1の比となるように、第1の負極合剤層のスラリーを調製した。
この第1の負極合剤層のスラリーを、負極集電体3となる銅箔に塗布し、70℃にて乾燥させ、プレスし、第1の負極合剤層1を負極集電体3に形成した。
次に、負極活物質として非晶質炭素である擬似異方性炭素を用い、導電材としてカーボンブラック(CB2)を用い、バインダ(結着材)としてPVDFを用いて、乾燥時の固形分重量を、擬似異方性炭素:CB2:PVDF=90:5:5の比となるように、溶剤としてNMP(N−メチルピロリドン)を用いて、第2の負極合剤層2のスラリーを調製した。
この第2の負極合剤層2のスラリーを、第1の負極合剤層1の上に塗布し、80℃にて一次乾燥、さらに150℃で二次乾燥し,プレスし、150℃で乾燥して第2の負極合剤層2を第1の負極合剤層1に形成した。
上記以外は実施例1と同様の方法で、リチウムイオン電池の作製、および評価を行った。
比較例1の測定結果を表1に示す。
比較例1は、残存率5%、容量維持率70%であり、実施例1〜4の残存率65〜100%、容量維持率80〜94%と比較して、残存率(%)、容量維持率(%)ともに、性能が劣っている。
<比較例2>
図3に、比較例2のリチウムイオン電池の負極105の例を示す電極断面図を示す。
比較例2は、図1に示す実施例1に用いた第1の負極合剤層1のスラリーを第2の負極合剤層102のスラリーとする一方、実施例1の第2の負極合剤層2のスラリーを第1の負極合剤層101のスラリーとして、実施例1〜4のリチウムイオン電池と比較し、特性を評価したものである。
以下に示す方法で、本比較例2の捲回型電池(リチウムイオン電池)を作製した。
本比較例2では、上述したように、実施例1に用いた第1の負極合剤層1(図1参照)のスラリーを第2の負極合剤層102(図3参照)のスラリーとし、実施例1に用いた第2の負極合剤層2のスラリーを第1の負極合剤層101のスラリーとする。
比較例2の第1の負極合剤層101のスラリーを調製後、負極集電体103となる銅箔に塗布し、80℃にて一次乾燥、さらに150℃で二次乾燥し,プレスし、第1の負極合剤層101を負極集電体103に形成した。
そして、第2の負極合剤層102のスラリーを調製後、第1の負極合剤層101の上に塗布し、70℃にて乾燥させ、プレスし、150℃で乾燥して第2の負極合剤層102を第1の負極合剤層101に形成した。
それら以外は実施例1と同様の方法で、電池作製、および評価を行った。
比較例2の測定結果を表1に示す。
比較例2は、残存率30%で、容量維持率75%であり、実施例1〜4の残存率65〜100%、容量維持率80〜94%と比較して、残存率(%)、容量維持率(%)ともに、性能が劣っている。
<比較例3>
図4に、比較例3のリチウムイオン電池の負極205の例を示す電極断面図を示す。
比較例3は、負極合剤層204を実施例1の第1の負極合剤層1(図1参照)の1層(実施例1〜4及び比較例1、2の負極合剤層は2層)として、実施例1〜4のリチウムイオン電池と比較し、特性を評価したものである。
以下に示す方法で、本比較例3の捲回型電池(リチウムイオン電池)を作製した。
本比較例3で用いた負極合剤層204のスラリーは、上述したように、実施例1で用いた第1の負極合剤層1のスラリーを用いた。
この負極合剤層204のスラリーを調製後、負極集電体203となる銅箔に塗布し、70℃にて乾燥し、プレスし、負極合剤層204を負極集電体203に形成し、負極205を作製した。
これら以外は、実施例1と同様の方法で、リチウムイオン電池の作製、および評価を行った。
比較例3の測定結果を表1に示す。
比較例3で、負極合剤層204を実施例1の第1の負極合剤層1の1層とした場合、残存率0%、容量維持率68%であり、実施例1〜4の残存率が65〜100%、容量維持率80〜94%と比較して、残存率(%)、容量維持率(%)ともに、性能が劣っている。
1 第1の負極合剤層
2 第2の負極合剤層
3 負極集電体
4 負極合剤層(負極の合剤層)
5 負極
6 正極集電体
7 正極合剤層
8 正極
9 セパレータ
100 捲回型電池(リチウムイオン電池)

Claims (6)

  1. リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極と、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極と、前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータと、電解液とを有するリチウム二次電池であって、
    前記負極の合剤層は、第1の負極合剤層と第2の負極合剤層との二層を有し、
    前記第1の負極合剤層の結着剤は、スチレンブタジエンラバーまたはカルボキシメチルセルロースを含有し、前記第2の負極合剤層の結着剤は、ポリイミドまたはフッ素樹脂を含有し、
    前記第1の負極合剤層のスチレンブタジエンラバーは、IR測定により得られる700cm−1の吸光度A700と960cm−1の吸光度A960とを用いて、次式
    =A960/A700
    によって計算されるRの値が1.5以上であることを特徴とするリチウムイオン電池。
  2. 前記Rの値が2以上であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン電池。
  3. 前記正極が、LiMnM1yM2(式中、M1がCo,Niから選ばれる少なくとも1種であり、M2がCo,Ni,Al,B,Fe,Mg,Crから選ばれる少なくとも1種であり、x+y+z=1,0.2≦x≦0.6,0.2≦y≦0.4,0.05≦z≦0.4)で表されるリチウム複合酸化物を含むことを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン電池。
  4. 前記負極が、炭素質材料,第四属元素を含む酸化物,第四属元素を含む窒化物の少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン電池。
  5. 前記負極の負極活物質は、黒鉛であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のリチウムイオン電池。
  6. 前記電解液は、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)及びエチルメチルカーボネート(EMC)、ビニレンカーボネート(VC)を含むことを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン電池。
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