上記特許文献1に記載の装置では、ブレーキペダルの踏込量が増大すると上乗せ回生制動トルクTadが増大する。基準回生制動トルクTsrと上乗せ回生トルクTadとの和(回生制動力)が最大回生制動トルクTm(最大回生制動力)に達したときは、クラッチが接続されてエンジンブレーキ力が加わり更に大きな制動力が発生する。しかし、クラッチの接続時にはエンジンブレーキ力が瞬時に加わるので制動力が急激に増大し、運転者のブレーキ操作に見合った制動力と実際の制動力とに乖離が生じ、運転者のブレーキフィーリングが悪化するおそれがある。また、制動力の急激な増大はブレーキペダルの踏戻しを誘発する。そして、運転者がブレーキペダルを踏み戻し、モータの回生制動力が最大回生制動力以下になると、エンジンブレーキ力が解除されて制動力が急激に減少し、この制動力の急激な減少がブレーキペダルの踏込みを誘発する。このため、運転者がブレーキペダルの踏込、踏戻しを繰り返すハンチング状態が生じ、ブレーキフィーリングがさらに悪化するおそれがある。
そこで本発明は、回生制動力による制動力が車両に付与されている状態であって、ブレーキペダルの踏込みの増大に応じてエンジンブレーキ力を制動力に加える際に、運転者に良好なブレーキフィーリングを与えることができる車両の回生制動装置の提供を目的とする。
上記目的を達成すべく、本発明の車両の回生制動装置は、エンジンと、発電機と、クラッチと、アクセルと、ブレーキとを有する車両に搭載される。エンジンは、燃料が噴射されることによって車両の駆動軸を回転駆動する。発電機は、非発電状態と、駆動軸に従動回転して発電する発電状態とに設定され、発電状態であるときに駆動軸に対して回生制動力を付与して車両を減速制動する。クラッチは、エンジンと駆動軸とを断接可能に連結する。アクセルは、アクセルペダルの踏込量に応じてエンジンに燃料を噴射する。ブレーキは、ブレーキペダルの踏込量に応じてブレーキ圧力を発生させて車両を減速制動する。
本発明の第1の態様の回生制動装置は、アクセル判定手段と、ブレーキ圧力判定手段と、クラッチ制御手段と、エンジンブレーキ力推定手段と、発電機制御手段と、回生制動判定手段と、を備える。アクセル判定手段は、アクセルペダルが操作されているか否かを判定する。ブレーキ圧力判定手段は、ブレーキが発生するブレーキ圧力が増大しているか否かを判定する。クラッチ制御手段は、クラッチを断状態又は接状態に設定する。エンジンブレーキ力推定手段は、クラッチが接状態に設定された場合にエンジンから駆動軸に作用するエンジンブレーキ力をエンジンブレーキ力推定値として推定する。発電機制御手段は、発電機を発電状態と非発電状態とに選択的に設定し、発電機を発電状態に設定しているとき、エンジンブレーキ力推定値及びブレーキが発生するブレーキ圧力に基づいて発電機に回生制動力を発生させる。回生制動判定手段は、発電機が発生する回生制動力が所定の限界回生制動力に達しているか否かを判定する。
アクセルペダルが操作されていないとアクセル判定手段が判定したとき、クラッチ制御手段は、クラッチを断状態に設定する。そして、発電機制御手段は、発電機を発電状態に設定し、エンジンブレーキ力推定値に相当する基本回生制動力と、ブレーキが発生するブレーキ圧力の増減に応じて増減する付加回生制動力とを合わせた回生制動力を限界回生制動力を上限として発電機に発生させる。また、発電機が発生する回生制動力が限界回生制動力に達していると回生制動判定手段が判定した状態で、ブレーキが発生するブレーキ圧力が増大しているとブレーキ圧力判定手段が判定したとき、クラッチ制御手段は、アクセル判定手段の判定結果に関わらずクラッチを接状態に設定する。更に、アクセル判定手段の判定結果に関わらずクラッチ制御手段がクラッチを接状態に設定したとき、発電機制御手段は、限界回生制動力から所定の補正回生制動力を減少させた後、徐々に限界回生制動力に戻すように発電機に発生させる回生制動力を制御する。
上記構成では、運転者がアクセルペダルの操作を解除すると、クラッチ制御手段が、駆動軸とエンジンとの結合を解除し、発電機制御手段が発電機を発電状態に設定する。発電状態に設定された発電機は、駆動軸に従動回転し、電力と、電力に応じた回生制動力とを発生させる。発電機制御手段は、発電機にエンジンブレーキ力推定値に相当する基本回生制動力を発生させて車両を減速制動し、発生した電力は回生エネルギとして回収される。このため、車両の制動開始直後から回生エネルギを効果的に回収することができる。
また、運転者がブレーキペダルを踏込んでブレーキ圧力を発生させると、発電機制御手段は、基本回生制動力と、ブレーキ圧力の増減に応じて増減する付加回生制動力とを合わせた回生制動力を限界回生制動力を上限として発生させる。このため、回生制動力が限界回生制動力に達するまでは、ブレーキ圧力の増大に応じて回生制動力が増大し、回生制動力の発生に伴う回生エネルギが十分に回収される。また、車両の制動力としてブレーキ圧力に応じた機械的な制動力(ブレーキ圧制動力)に、ブレーキ圧力に応じた回生制動力が付加されるので、ブレーキ圧制動力単独で車両を減速制動する場合と比べて制動力が増大しブレーキの効果が向上する。
また、回生制動力が限界回生制動力に達した状態であって、運転者が更にブレーキペダルを踏込み、ブレーキ圧力が増大したときは、クラッチ制御手段がクラッチを接状態に設定し、駆動軸にエンジンブレーキ力を作用させる。この結果、ブレーキ圧制動力と回生制動力とからなる車両の制動力にエンジンブレーキ力が付加されるので、車両の制動力から回生エネルギを回収しつつ、車両をより大きな制動力で減速制動させることができる。
また、クラッチを接続してエンジンブレーキ力を付加するとき、発電機制御手段は、限界回生制動力から補正回生制動力を一時的に減少させ、その後、徐々に限界回生制動力に戻す。この結果、クラッチの接続時に瞬時に加わるエンジンブレーキ力による制動力の急激な増大が回生制動力の減少によって抑制され、徐々に増大する。従って、運転者のブレーキペダルの踏込みによって制動力にエンジンブレーキ力を付加する際、運転者に良好なブレーキフィーリングを与えることができる。また、ブレーキペダルの踏込みによる制動力の急激な増大が抑制されるので、ブレーキペダルの踏戻しが誘発され難くなる。このため、運転者がブレーキペダルの踏込み、踏戻しを繰り返すハンチング状態の発生が抑制され、運転者に良好なブレーキフィーリングを与えることができる。
本発明の第2の態様の回生制動装置は、アクセル判定手段と、第1のブレーキ圧力判定手段と、クラッチ制御手段と、エンジンブレーキ力推定手段と、発電機制御手段と、回生制動判定手段とを備える。アクセル判定手段は、アクセルペダルが操作されているか否かを判定する。第1のブレーキ圧力判定手段は、ブレーキが発生するブレーキ圧力が増大して第1のブレーキ圧力以上となったか否かを判定する。クラッチ制御手段は、クラッチを断状態又は接状態に設定する。エンジンブレーキ力推定手段は、クラッチが接状態に設定された場合にエンジンから駆動軸に作用するエンジンブレーキ力をエンジンブレーキ力推定値として推定する。発電機制御手段は、発電機を発電状態と非発電状態とに選択的に設定し、発電機を発電状態に設定しているとき、エンジンブレーキ力推定値及びブレーキが発生するブレーキ圧力に基づいて発電機に回生制動力を発生させる。回生制動判定手段は、発電機が発生する回生制動力が所定の限界回生制動力に達しているか否かを判定する。
アクセルペダルが操作されていないとアクセル判定手段が判定したとき、クラッチ制御手段は、クラッチを断状態に設定する。そして、発電機制御手段は、発電機を発電状態に設定し、エンジンブレーキ力推定値に相当する基本回生制動力と、ブレーキが発生するブレーキ圧力の増減に応じて増減する付加回生制動力とを合わせた回生制動力を限界回生制動力を上限として発電機に発生させる。また、発電機が発生する回生制動力が限界回生制動力に達していると回生制動判定手段が判定した状態で、ブレーキが発生するブレーキ圧力が増大して第1のブレーキ圧力以上となったと第1のブレーキ圧力判定手段が判定したとき、クラッチ制御手段は、アクセル判定手段の判定結果に関わらずクラッチを接状態に設定する。更に、アクセル判定手段の判定結果に関わらずクラッチ制御手段がクラッチを接状態に設定したとき、発電機制御手段は、限界回生制動力から所定の補正回生制動力を減少させた後、徐々に限界回生制動力に戻すように発電機に発生させる回生制動力を制御する。
上記構成では、運転者がアクセルペダルの操作を解除すると、クラッチ制御手段が、駆動軸とエンジンとの結合を解除し、発電機制御手段が発電機を発電状態に設定する。発電状態に設定された発電機は、駆動軸に従動回転し、電力と、電力に応じた回生制動力とを発生させる。発電機制御手段は、発電機にエンジンブレーキ力推定値に相当する基本回生制動力を発生させて車両を減速制動し、発生した電力は回生エネルギとして回収される。このため、車両の制動開始直後から回生エネルギを効果的に回収することができる。
また、運転者がブレーキペダルを踏込んでブレーキ圧力を発生させると、発電機制御手段は、基本回生制動力と、ブレーキ圧力の増減に応じて増減する付加回生制動力とを合わせた回生制動力を限界回生制動力を上限として発生させる。このため、回生制動力が限界回生制動力に達するまでは、ブレーキ圧力の増大に応じて回生制動力が増大し、回生制動力の発生に伴う回生エネルギが十分に回収される。また、車両の制動力として、ブレーキ圧力に応じた機械的な制動力(ブレーキ圧制動力)に、ブレーキ圧力に応じた回生制動力が付加されるので、ブレーキ圧制動力単独で車両を減速制動する場合と比べて制動力が増大しブレーキの効果が向上する。
また、回生制動力が限界回生制動力に達した状態であって、運転者が更にブレーキペダルを踏込み、ブレーキ圧力が第1のブレーキ圧力以上に増大したときは、クラッチ制御手段がクラッチを接状態に設定し、駆動軸にエンジンブレーキ力を作用させる。この結果、ブレーキ圧制動力と回生制動力とからなる車両の制動力にエンジンブレーキ力が付加されるので、車両の制動力から回生エネルギを回収しつつ、車両をより大きな制動力で減速制動させることができる。
また、クラッチを接続してエンジンブレーキ力を付加するとき、発電機制御手段は、限界回生制動力から補正回生制動力を一時的に減少させ、その後、徐々に限界回生制動力に戻す。この結果、クラッチの接続時に瞬時に加わるエンジンブレーキ力による制動力の急激な増大が回生制動力の減少によって抑制され、徐々に増大する。従って、運転者のブレーキペダルの踏込みによって制動力にエンジンブレーキ力を付加する際、運転者に良好なブレーキフィーリングを与えることができる。また、ブレーキペダルの踏込みによる制動力の急激な増大が抑制されるので、ブレーキペダルの踏戻しが誘発され難くなる。このため、運転者がブレーキペダルの踏込み、踏戻しを繰り返すハンチング状態の発生が抑制され、運転者に良好なブレーキフィーリングを与えることができる。
本発明の第3の態様の回生制動装置は、上記第2の態様の回生制動装置であって、ブレーキが発生するブレーキ圧力が減少して第1のブレーキ圧力よりも低い第2のブレーキ圧力未満となったか否かを判定する第2のブレーキ圧力判定手段を備える。発電機が発生する回生制動力が限界回生制動力に達していると回生制動判定手段が判定した状態で、ブレーキが発生するブレーキ圧力が減少して第2のブレーキ圧力未満となったと第2のブレーキ圧力判定手段が判定したとき、発電機制御手段は、限界回生制動力から補正回生制動力を徐々に減少させた後、限界回生制動力に戻すように発電機に発生させる回生制動力を制御する。また、発電機が発生する回生制動力を発電機制御手段が限界回生制動力に戻すとき、クラッチ制御手段は、クラッチを断状態に設定する。
上記構成では、クラッチが接続されて制動力にエンジンブレーキ力が付加されている状態において、運転者がブレーキペダルを踏戻すと、クラッチ制御手段がブレーキペダルの踏戻しに応じてクラッチを断状態に設定し、制動力からエンジンブレーキ力を解除する。発電機制御手段は、予め回生制動力を限界回生制動力から補正回生制動力だけ徐々に減少させおき、エンジンブレーキ力を解除するとき、回生制動力を限界回生制動力に戻す。このため、クラッチが断状態に設定されたときに瞬時に解除されるエンジンブレーキ力による制動力の急激な減少が回生制動力の増大によって抑制される。従って、運転者のブレーキペダルの踏戻しによって制動力からエンジンブレーキ力を解除する際、運転者に良好なブレーキフィーリングを与えることができる。
また、運転者がブレーキペダルを踏込んだときは、ブレーキ圧力が第1のブレーキ圧力以上に増大してから制動力にエンジンブレーキ力が付加され、運転者がブレーキペダルを踏戻したときは、ブレーキ圧力が第1のブレーキ圧力よりも低い第2のブレーキ圧力未満に減少してから、エンジンブレーキ力が解除される。このように、制動力にエンジンブレーキ力を付加するときのブレーキ圧力の値と、解除するときとのブレーキ圧力の値との間に幅を設けているため、運転者がブレーキペダルの踏込み、踏戻しを繰り返すハンチング状態がより発生し難くなり、運転者に良好なブレーキフィーリングを与えることができる。
本発明の第4の態様の回生制動装置は、上記第1〜第3の態様の何れかの回生制動装置であって、発電機の補正回生制動力は、エンジンブレーキ力推定値に相当する回生制動力である。
上記構成では、運転者のブレーキペダルの踏込みに応じて制動力にエンジンブレーキ力を付加する際、発電機制御手段は、限界回生制動力から一時的に減少させる補正回生制動力を、エンジンブレーキ力推定値に相当する回生制動力に設定するので、エンジンブレーキ力の付加による制動力の増大と回生制動力による制動力の減少とが略バランスする。このため、エンジンブレーキ力を付加するときの制動力の急激な増大がより低減される。従って、運転者のブレーキペダルの踏込みによって制動力にエンジンブレーキ力を加える際、運転者により良好なブレーキフィーリングを与えることができる。
また、運転者のブレーキペダルの踏戻しに応じて制動力からエンジンブレーキ力が解除される際も、発電機制御手段は、予め限界回生制動力から一時的に減少させる補正回生制動力を、エンジンブレーキ力推定値に相当する回生制動力に設定するので、エンジンブレーキ力の解除よる制動力の減少と回生制動力による制動力の増大とが略バランスする。このため、エンジンブレーキ力の解除時の制動力の急激な減少がより低減される。従って、運転者のブレーキペダルの踏戻しによって制動力からエンジンブレーキ力を解除する際、運転者により良好なブレーキフィーリングを与えることができる。
本発明の第5の態様の回生制動装置は、上記第1〜第4の態様の何れかの回生制動装置であって、発電機の限界回生制動力は、発電機の最大回生制動力である。
上記構成では、発電機制御手段は、基本回生制動力と、運転者のブレーキペダル踏込みによるブレーキ圧力の増減に応じて増減する付加回生制動力とを合わせた回生制動力の上限を、発電機が発生可能な最大の回生制動力である最大回生制動力に設定する。この結果、発電機制御手段は、ブレーキ圧力がより大きなブレーキ圧力に増大しても、回生制動力が最大回生制動力に達するまでは回生制動力を増大させることができる。従って、ブレーキ圧力がより大きなブレーキ圧力に増大するまで回生制動力の発生に伴う回生エネルギを回収することができ、回生エネルギの回収量をより増大させることができる。
本発明の第6の態様の回生制動装置は、上記第1〜第5の態様の何れかの回生制動装置であって、アクセルペダルの踏込量に応じてエンジンへの燃料の噴射を制御する燃料噴射制御手段を備える。燃料噴射制御手段は、アクセルペダルが操作されていないとアクセル判定手段が判定し、且つクラッチの設定が接状態である間、エンジンへの燃料の噴射を停止する。
上記構成では、運転者がアクセルペダルの操作を解除し、且つクラッチが接続されている間は、エンジンへの燃料の噴射が停止される。従って、走行する車両の燃費が向上する。なお、上記の期間においては、エンジンへの燃料の噴射が停止されてもエンジンは駆動軸に従動回転し、エンジンが停止することはない。
本発明によれば、回生制動力による制動力が車両に付与されている状態であって、ブレーキペダルの踏込みの増大に応じてエンジンブレーキ力を制動力に加える際に、運転者に良好なブレーキフィーリングを与えることができる。
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態の回生制動装置を備えたハイブリッド車両(車両)1を模式的に示すブロック構成図である。
図1に示すように、ハイブリッド車両1は、エンジン2と、トランスミッション5と、第1クラッチ(クラッチ)4と、第2クラッチ7と、モータジェネレータ(発電機)9と、バッテリ11と、表示装置16と、ブレーキ装置(ブレーキ)24と、車速センサ23と、アクセルセンサ20と、エンジン制御装置31と、トランスミッション制御装置32と、モータジェネレータ制御装置33と、第1ハイブリッド制御装置34とを備える。
エンジン2は、燃料が噴射されることによって駆動力を発生しエンジン2の出力軸を回転駆動する。エンジン2の出力軸は、第1クラッチ4を介してトランスミッション5の入力軸に連結され、トランスミッション5の出力軸(駆動軸)は、プロペラシャフト12、差動装置13及びリアアクスル14を介して左右の駆動輪15に連結されている。エンジン2にはエンジン回転数センサ22が設けられる。エンジン回転数センサ22は、エンジン2の回転数Neを検出して検出信号をトランスミッション制御装置32に出力する。
トランスミッション5は、例えば前進5段のギア段を有する多段自動変速機であり、変速要求時にはシフトアクチュエータ6によってギア段が変更される。トランスミッション5にはシフトセンサ21が設けられる。シフトセンサ21はギア段情報Gを検出してトランスミッション制御装置32に出力する。
第1クラッチ4は、エンジン2とトランスミッション5との間を断接可能に連結する。第1クラッチ4が接状態に設定されると、エンジン2とトランスミッション5とが連結されてエンジン2とトランスミッション5との間で動力が伝達され、第1クラッチ4が断状態に設定されると、エンジン2とトランスミッション5との間の動力伝達が遮断される。
第2クラッチ7は、トランスミッション5と、ギア8を介して第2クラッチに接続するモータジェネレータ9との間を断接可能に連結する。第2クラッチ7が接状態に設定されると、トランスミッション5の出力軸とモータジェネレータ9との間で動力が伝達され、第2クラッチ7が断状態に設定されると、トランスミッション5の出力軸とモータジェネレータ9との間の動力伝達が遮断される。
モータジェネレータ9は、例えば三相交流同期電動機からなり、トランスミッション5の出力軸を回転駆動する駆動状態(非発電状態)と、トランスミッション5の出力軸に従動回転して発電する回生状態(発電状態)と、第2クラッチ7によってトランスミッション5の出力軸との連結が遮断された非作動状態(非発電状態)とに選択的に設定される。すなわち、モータジェネレータ9は、モータと発電機との双方として機能する。モータジェネレータ9が駆動状態に設定されると、インバータ10を介してバッテリ11からモータジェネレータ9に電力が供給され、モータジェネレータ9は、供給される電力に応じた駆動力を発生してトランスミッション5の出力軸を回転駆動する。モータジェネレータ9が回生状態に設定されるとバッテリ11からの電力供給は停止され、モータジェネレータ9は、トランスミッション5の出力軸に従動回転して発電し、電力を発生させる。発生した電力は、インバータ10を介してバッテリ11を充電するほかハイブリッド車両1の電気設備で消費され、回生エネルギとして回収される。また、モータジェネレータ9は、発電される電力の大きさに応じた回生制動力Tmを発生させ、回生制動力Tmをトランスミッション5の出力軸に付与してハイブリッド車両1を減速制動する。なお、モータジェネレータ9に代えて、モータと発電機とを別々に設けてもよい。
バッテリ11は、モータジェネレータ9が駆動状態にあるとき、インバータ10を介してモータジェネレータ9に電力を供給する。また、モータジェネレータ9が回生状態にあるとき、モータジェネレータ9が発電した電力をインバータ10を介して蓄電する。
表示装置16は、運転席に着座した運転者から視認可能なインストルメントパネル(図示省略)に配置される画面を有し、第1ハイブリッド制御装置34からの表示制御信号を受けて所定の画像を画面に表示する。
ブレーキ装置24は、ブレーキペダル25と、ブレーキマスターシリンダ26と、ブレーキ油圧経路27と、ディスクブレーキ28とを有する。ブレーキペダル25は、運転者のブレーキ操作によって踏込まれる。ブレーキペダル25の踏込量はブレーキマスターシリンダ26に伝達され踏込量に応じたブレーキ油圧(ブレーキ圧力)に変換される。ブレーキ油圧はブレーキ油圧経路27を経由して左右の駆動輪15に設けられたディスクブレーキ28に伝達され、ブレーキペダル25の踏込量に応じた機械的な制動力(ブレーキ圧制動力)をハイブリッド車両1に付与する。また、ブレーキペダル25にはブレーキペダル25の操作量Bを検出するブレーキセンサ29が設けられる。また、ブレーキ油圧経路27にはブレーキ圧力Pbを検出するブレーキ圧力センサ30が設けられる。ブレーキセンサ29及びブレーキ圧力センサ30は、それぞれの検出信号を第1ハイブリッド制御装置34へ出力する。
車速センサ23は、ハイブリッド車両1の車速Vを検出し、検出信号をエンジン制御装置31に出力する。
アクセルセンサ20は、アクセルペダル19に設けられ、運転者のアクセル操作量Aを検出し、検出信号をエンジン制御装置31へ出力する。
エンジン制御装置(燃料噴射制御手段)31は、車速センサ23が検出した車速Vと、アクセルセンサ20が検出したアクセル操作量Aと、第1ハイブリッド制御装置34からの信号とに基づいて、エンジン2の燃料噴射装置(アクセル)3を制御し、エンジン2への燃料の供給量を調整する。また、エンジン制御装置31は、車速Vとアクセル操作量Aとを、第1ハイブリッド制御装置34へ出力する。
トランスミッション制御装置(クラッチ制御手段)32は、車速Vと、ギア段情報Gと、エンジン回転数Neとに基づきトランスミッション5のシフトアクチュエータ6と第1クラッチ4とを制御し、予め記憶されたマップ等(図示省略)から最適なトランスミッション5のギア段を選択してエンジン2とトランスミッション5とを連結する。
モータジェネレータ制御装置(発電機制御手段)33は、第1ハイブリッド制御装置34からの信号に基づいてモータジェネレータ9を駆動状態と回生状態とに選択的に設定する。モータジェネレータ9を駆動状態に設定したときは、バッテリ11からモータジェネレータ9へ供給する電力量を制御してモータジェネレータ9が発生する駆動力を制御する。モータジェネレータ9を回生状態に設定したときは、モータジェネレータ9が発電する電力量及び、モータジェネレータ9が発生する回生制動力Tmを制御し、発電した電力によってバッテリ11を充電する。
第1ハイブリッド制御装置34は、車速V、アクセル操作量A、エンジン回転数Ne、及びギア段情報Gに基づいてエンジン制御装置31、トランスミッション制御装置32、モータジェネレータ制御装置33、及び第2クラッチ7に信号を出力し、ハイブリッド車両1の走行状態に応じてハイブリッド車両1を駆動制御する。
エンジン2に高負荷がかかる発進時・加速時には、第2クラッチ7を接状態に設定し、モータジェネレータ9を駆動状態に設定してエンジン2とモータジェネレータ9とによって駆動輪15を回転駆動させ、エンジン2によるハイブリッド車両1の駆動をアシストする。モータジェネレータ9によるアシストによって、エンジン2の負荷が軽減されるため燃費が向上する。
定速走行時には、第2クラッチ7を断状態に設定し、モータジェネレータ9を非作動状態としてモータジェネレータ9によるアシストを解除する。ハイブリッド車両1はエンジン2からの駆動力によって走行状態に応じた最適なギア段で走行する。また、モータジェネレータ9が非作動状態となり駆動系から切り離されるので、モータジェネレータ9の回転や磁界の抵抗に起因するモータジェネレータ9のエネルギ消費が抑制され燃費が向上する。
次に、ハイブリッド車両1の減速制動時の動作について説明する。第1ハイブリッド制御装置34は回生制動制御処理を実行することによって、図2に示すように、アクセル判定部40、ブレーキ圧力判定部41、エンジンブレーキ力推定部42、回生制動判定部43、クラッチ制御部45、モータジェネレータ制御部46、燃料噴射制御部44として機能し、ハイブリッド車両1を減速制動する。
アクセル判定部(アクセル判定手段)40は、アクセルセンサ20が検出したアクセル操作量Aからアクセルペダル19が操作されているか否かを判定し、判定結果をクラッチ制御部45と燃料噴射制御部44とに出力する。
ブレーキ圧力判定部(ブレーキ圧力判定手段)41は、ブレーキ圧力センサ30が検出したブレーキ圧力Pbからブレーキ圧力Pbが増大しているか否かを判定し、判定結果をモータジェネレータ制御部46に出力する。
エンジンブレーキ力推定部(エンジンブレーキ力推定手段)42は、図3を参照してハイブリッド車両1のエンジンブレーキ力推定値を求め、エンジンブレーキ力推定値をモータジェネレータ制御部46に出力する。図3には、横軸をエンジン回転数、縦軸をブレーキ力として、エンジン回転数とエンジンブレーキ力推定値との関係が示されている。エンジンブレーキ力推定値は、図3の太実線で示されるエンジンブレーキ力Tebよりもブレーキ力の大きい領域とエンジンブレーキ力Tebよりもブレーキ力の小さい領域とによって構成される斜線領域から、エンジン回転数に対応して推定される。本実施形態では、後述するようにアクセルペダル19が操作されない状態では、斜線領域の下限近傍の値をエンジンブレーキ力推定値Teb1として推定し、ブレーキペダル25が操作された状態では、斜線領域の上限近傍の値をエンジンブレーキ力推定値Teb2として推定する。また、制動力にエンジンブレーキ力が付加され、又は解除されるときはエンジンブレーキ力Tebをエンジンブレーキ力推定値とする。エンジン回転数には、第1クラッチ4が接状態である場合は、エンジン回転数センサ22が検出するエンジン回転数Neが用いられる。第1クラッチ4が断状態である場合は、第1クラッチ4を接状態に設定したと仮定したとき、車速Vとギア段情報Gとに基づいて予測される予測エンジン回転数Nfが用いられる。
モータジェネレータ制御部(発電機制御手段)46は、モータジェネレータ制御装置33に信号を出力し、モータジェネレータ制御装置33を介してモータジェネレータ9を駆動状態と、回生状態とに選択的に設定する。モータジェネレータ9を回生状態に設定したときは、モータジェネレータ制御部46は、モータジェネレータ9に発生させる回生制動力Tmを算出して、モータジェネレータ制御装置33に設定する。例えば、モータジェネレータ制御部46は、エンジンブレーキ力推定部42が推定した基本回生制動力を回生制動力Tmとしてモータジェネレータ制御装置33に設定し、ブレーキ圧力Pbが発生した場合は、ブレーキ圧力Pbの増減に応じて増減する付加回生制動力を算出し、基本回生制動力と付加回生制動力とを合わせた回生制動力Tmをモータジェネレータ制御装置33に設定する。モータジェネレータ制御装置33は、モータジェネレータ制御部46が設定した回生制動力Tmを発生させるようにモータジェネレータ9を制御する。また、モータジェネレータ制御部46は、モータジェネレータ制御装置33に設定した回生制動力Tmを回生制動判定部43に出力する。
回生制動判定部(回生制動判定手段)43は、車速センサ23からの車速Vと、シフトセンサ21からのギア段情報Gとに基づいてモータジェネレータ9の回転数Nmを求め、図3を参照してモータジェネレータ制御部46が出力する回生制動力Tmが、モータジェネレータ9の回転数Nmに対応する最大回生制動力Tmmaxに達しているか否かを判定し、判定結果をモータジェネレータ制御部46へ出力する。図3には、横軸をモータジェネレータ9の回転数Nm、縦軸をモータジェネレータ9が発生する回生制動力Tmとして、モータジェネレータ9の回転数Nmとモータ最大回生制動力Tmmaxとの関係が示されている。モータジェネレータ9は、発電する電力の大きさに応じた回生制動力Tmを発生させるが、回生制動力Tmの大きさは、モータジェネレータ9の特性に基づいて図3の鎖線で示すモータ最大回生制動力Tmmaxの範囲内に規制される。
クラッチ制御部45(クラッチ制御手段)45は、トランスミッション制御装置32に信号を出力し、トランスミッション制御装置32を介して第1クラッチ4を断状態、又は接状態に設定する。また、クラッチ制御部45は、クラッチの断、又は接の設定状態を燃料噴射制御部44に出力する。
燃料噴射制御部(燃料噴射制御手段)44は、エンジン制御装置31に信号を出力し、エンジン制御装置31を介して燃料噴射装置3を制御し、アクセル判定部40がアクセルペダル19が操作されていないと判定した状態で、クラッチ制御部45が第1クラッチ4を接状態に設定したときエンジン2への燃料噴射を停止する。
次に、ハイブリッド車両1の減速制動時において、第1ハイブリッド制御装置34が実行する回生制動制御処理の動作を、図4及び図5のフローチャートに基づいて説明する。第1ハイブリッド制御装置34は、エンジン2の始動によって本処理を開始し、エンジン2が停止するまで本処理を所定時間毎に繰り返して実行する。
本処理を開始すると、まず、エンジン回転数センサ22、アクセルセンサ20、ブレーキセンサ29、ブレーキ圧力センサ30、車速センサ23、及びシフトセンサ21の検出信号からそれぞれエンジン回転数Ne、アクセル操作量A、ブレーキ操作量B、ブレーキ圧力Pb、車速V及びギア段情報Gの車両情報が取得される(ステップS1)。次に、アクセル操作量Aから運転者がアクセルペダル19を操作しているか否かを判定する(ステップS2)。運転者がアクセルペダル19を操作していると判定された場合は、減速制動時ではないので処理を終了し、第1ハイブリッド制御装置34の駆動制御に処理を移行する。
運転者がアクセルペダル19を操作をしていないと判定された場合は(ステップS2の判定がNO)、ブレーキ操作量Bから運転者がブレーキペダル25を操作しているか否かを判定する(ステップS3)。運転者がブレーキペダル25を操作していないと判定されたときは(ステップS3の判定がNO)、第1クラッチ4を断状態に設定して(ステップS4)ステップS5に進む。ステップS5では、図3を参照し、予測エンジン回転数Nfに対応する斜線領域の下限近傍の値をエンジンブレーキ力推定値Teb1として推定し、モータジェネレータ9にエンジンブレーキ力推定値Teb1に相当する回生制動力(基本回生制動力)Tmを発生させ本処理を終了する。
ブレーキペダル25が操作されていると判定されたときは(ステップS3の判定がYES)、フラグF1がオンか否かを判定する(ステップS6)。フラグF1は、後述の第1エンジンブレーキ力付加処理の実行中を示すフラグである。フラグF1がオンのときは第1エンジンブレーキ力付加処理中であるのでステップS10へ進む。フラグF1がオフのときは、第1エンジンブレーキ力付加処理の開始前又は終了後であるためステップS7へ進む。ステップS7では、図3を参照して、モータジェネレータ9の回転数Nmに対応する回生制動力Tmが最大回生制動力Tmmaxに達しているか否かを判定する。回生制動力Tmが最大回生制動力Tmmaxに達している場合は、ブレーキ圧力Pbが増大しているか否かを判定し(ステップS9)、ブレーキ圧力Pbが増大している場合は、第1エンジンブレーキ力付加処理(ステップS10)に進む。増大していない場合は処理を終了する。ステップS7において、回生制動力Tmが最大回生制動力Tmmaxに達していない場合は、ステップS8に進む。ステップS8では、図3を参照して、予測エンジン回転数Nfに対応する斜線領域の上限近傍の値をエンジンブレーキ力推定値Teb2として推定し、モータジェネレータ9にエンジンブレーキ力推定値Teb2に相当する回生制動力(基本回生制動力)Tmを発生させる。また、ブレーキ圧力Pbが発生している場合は、ブレーキ圧力Pbに所定の定数αを乗じたαPbに相当する回生制動力(付加回生制動力)を算出し、基本回生制動力と付加回生制動力とを合わせた回生制動力(Teb2+αPb)Tmをモータジェネレータ9に発生させ、処理を終了する。
第1エンジンブレーキ力付加処理(図5参照)では、まずフラグF1がオンか否かを判定する(ステップS11)。フラグF1がオフの場合はステップS12に進み、第1クラッチ4を接状態に設定してエンジン2とトランスミッション5とを連結し、ハイブリッド車両1の制動力にエンジンブレーキ力を加える。続いて、モータジェネレータ9が発生させている最大回生制動力Tmmaxから補正回生制動力Tsを減少させる(ステップS13)。減少させる補正回生制動力Tsは、図3を参照し、エンジン回転数Neに対応するエンジンブレーキ力Tebに相当する回生制動力とする。続いて、エンジン2への燃料噴射を停止し(ステップS14)、フラグF1をオンにして(ステップS15)処理を終了する。ステップS11においてフラグF1がオンと判定された場合は、ステップS16に進み、回生制動力Tmを徐々に増大させる。回生制動力Tmは、例えばブレーキ圧力Pbの時間変化量であるΔPbに所定の定数βを乗じたβΔPbに相当する回生制動力を前回出力した回生制動力Tmに加えることによって増大させる。次に、増大させた回生制動力Tmが最大回生制動力Tmmaxに達したか否かを判定する(ステップS17)。回生制動力Tmが最大回生制動力Tmmaxに達していない場合は処理を終了し、回生制動力Tmが最大回生制動力Tmmaxに達した場合は、フラグF1をオフとして(ステップS18)、処理を終了する。
本実施形態では、図6のタイミングチャートに示すように、運転者がアクセルペダル19の操作を解除(アクセルオフ)すると(図6の(1)t1)、クラッチ制御部45が第1クラッチ4を断状態に設定してエンジン2とトランスミッション5との結合を解除し、モータジェネレータ制御部46が、モータジェネレータ9を発電状態に設定する。発電状態に設定されたモータジェネレータ9は、トランスミッション5の出力軸に従動回転し、電力と、電力に応じた回生制動力Tmとを発生させる。モータジェネレータ制御部46は、モータジェネレータ9にエンジンブレーキ力推定値に相当する基本回生制動力を発生させてハイブリッド車両1を減速制動し、発生した電力は回生エネルギとして回収される。このため、車両の制動開始直後から回生エネルギを効果的に回収することができる。
また、運転者がアクセルオフとしたとき、モータジェネレータ制御部46は、図3の斜線領域の下限近傍の値Teb1を基本回生制動力としてモータジェネレータ9に発生させる(図6の(4)t1)。その後、運転者がブレーキペダル25の踏込みを開始(ブレーキオン)したとき(図6の(2)t2)、図3の斜線領域の上限近傍の値Teb2を基本回生制動力としてモータジェネレータ9に発生させて回生制動力Tmを増大させる(図6の(4)t2)。このため、運転者がブレーキペダル25を踏込んだときに、ブレーキ圧力Pbが発生するまでの遅れ時間を感じることなく制動力が直ちに増大して、ブレーキペダル踏込みのフィーリングが良好となる。
また、運転者のブレーキペダル25の踏込みによってブレーキ圧力Pbが発生すると(図6の(3)t3)、ハイブリッド車両1にはブレーキ圧力Pbに応じた機械的な制動力(ブレーキ圧制動力)が加わると共に、モータジェネレータ制御部46が、基本回生制動力と、ブレーキ圧力Pbの増減に応じて増減する付加回生制動力とを合わせた回生制動力Tmを最大回生制動力Tmmaxを上限として発生させる(図6の(4))。このため、回生制動力Tmが最大回生制動力Tmmaxに達するまでは、ブレーキ圧力Pbの増大に応じて回生制動力Tmが増大し、回生制動力Tmの発生に伴う回生エネルギが十分に回収される。また、ハイブリッド車両1の制動力としてブレーキ圧制動力に、ブレーキ圧力Pbに応じた回生制動力Tmが付加されるので、ブレーキ圧制動力単独でハイブリッド車両1を減速制動する場合と比べて制動力が増大しブレーキの効果が向上する。
また、回生制動力Tmが最大回生制動力Tmmaxに達した状態であって、運転者が更にブレーキペダル25を踏込み、ブレーキ圧力Pbが増大したときは(図6の(3)t4)、クラッチ制御部45が第1クラッチ4を接状態に設定し、トランスミッション5の出力軸にエンジンブレーキ力を作用させる。この結果、ブレーキ圧制動力と回生制動力Tmとからなるハイブリッド車両1の制動力にエンジンブレーキ力が付加されるので、ハイブリッド車両1の制動力から回生エネルギを回収しつつ、ハイブリッド車両1をより大きな制動力で減速制動させることができる(図6の(6))。
また、第1クラッチ4を接続してエンジンブレーキ力を付加するとき、モータジェネレータ制御部46は、図6の(4)に示すように、モータジェネレータ9が発生させている最大回生制動力Tmmaxからエンジンブレーキ力推定値に相当する補正回生制動力Tsを一時的に減少させ、その後、徐々に最大回生制動力Tmmaxに戻す(図6の(4)t4)。この結果、第1クラッチ4の接続時に瞬時に加わるエンジンブレーキ力による制動力の増大と、エンジンブレーキ力推定値に相当する回生制動力の減少とが略バランスし、ハイブリッド車両1の制動力は、図6に(6)の2点鎖線で示されるような急激な増大が抑制され実線で示されるように徐々に増大する。従って、運転者のブレーキペダル25の踏込みによって制動力にエンジンブレーキ力を付加する際、運転者に良好なブレーキフィーリングを与えることができる。また、ブレーキペダル25の踏込みによる制動力の急激な増大が抑制されるので、ブレーキペダル25の踏戻しが誘発され難くなる。このため、運転者がブレーキペダル25の踏込み、踏戻しを繰り返すハンチング状態の発生が抑制され、運転者に良好なブレーキフィーリングを与えることができる。
また、モータジェネレータ制御部46は、基本回生制動力と、運転者のブレーキペダル25の踏込みによるブレーキ圧力Pbの増減に応じて増減する付加回生制動力とを合わせた回生制動力Tmをモータジェネレータ9が発生可能な最大回生制動力Tmmaxを上限として発生させる。このため、ブレーキ圧Pbの増大に応じて回生制動力Tmが最大回生制動力Tmmaxに達するまで回生制動力Tmを増大させることができ、制動力から回生エネルギを十分に回収することができる。
また、アクセルオフの状態で第1クラッチ4が接続されている間は、エンジン2への燃料の噴射が停止される。従って、走行するハイブリッド車両1の燃費が向上する。なお、上記の期間においては、エンジン2への燃料の噴射が停止されても、エンジン2は停止することなくトランスミッション5の出力軸に従動回転する。
次に、本発明の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の回生制動装置が搭載されるハイブリッド車両1は、図7に示すように、エンジン2と、トランスミッション5と、第1クラッチ(クラッチ)4と、第2クラッチ7と、モータジェネレータ(発電機)9と、バッテリ11と、表示装置16と、ブレーキ装置(ブレーキ)24と、車速センサ23と、アクセルセンサ20と、エンジン制御装置31と、トランスミッション制御装置32と、モータジェネレータ制御装置33と、第2ハイブリッド制御装置35とを備える。
なお、第2ハイブリッド制御装置35以外は第1の実施形態と同様であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
第2ハイブリッド制御装置35は、車速V、アクセル操作量A、エンジン回転数Ne、及びギア段情報Gに基づいてエンジン制御装置31、トランスミッション制御装置32、モータジェネレータ制御装置33、及び第2クラッチ7に信号を出力し、ハイブリッド車両1の走行状態に応じてハイブリッド車両1を駆動制御する。
エンジン2に高負荷がかかる発進時・加速時には、第2クラッチ7を接状態に設定し、モータジェネレータ9を駆動状態に設定してエンジン2とモータジェネレータ9とによって駆動輪15を回転駆動させ、エンジン2によるハイブリッド車両1の駆動をアシストする。モータジェネレータ9によるアシストによって、エンジン2の負荷が軽減されるため燃費が向上する。
定速走行時には、第2クラッチ7を断状態に設定し、モータジェネレータ9を非作動状態としてモータジェネレータ9によるアシストを解除する。ハイブリッド車両1はエンジン2からの駆動力によって走行状態に応じた最適なギア段で走行する。また、モータジェネレータ9が非作動状態となり駆動系から切り離されるので、モータジェネレータ9の回転や磁界の抵抗に起因するモータジェネレータ9のエネルギ消費が抑制され燃費が向上する。
次に、ハイブリッド車両1の減速制動時の動作について説明する。第2ハイブリッド制御装置35は回生制動制御処理を実行することによって、図8に示すように、アクセル判定部40、第1ブレーキ圧力判定部47、第2ブレーキ圧力判定部48、エンジンブレーキ力推定部42、回生制動判定部43、クラッチ制御部45、モータジェネレータ制御部46、燃料噴射制御部44として機能し、ハイブリッド車両1を減速制動する。なお、アクセル判定部40、エンジンブレーキ力推定部42、回生制動判定部43、クラッチ制御部45、モータジェネレータ制御部46及び燃料噴射制御部44は、第1の実施形態と同様であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
第1ブレーキ圧力判定部(第1のブレーキ圧力判定手段)47は、ブレーキ圧力センサ30の検出信号から、ブレーキ圧力Pbが増大して第1ブレーキ圧力(第1のブレーキ圧力)Pb1以上になっているか否かを判定し、判定結果をモータジェネレータ制御部46に出力する。
第2ブレーキ圧力判定部(第2のブレーキ圧力判定手段)48は、ブレーキ圧力センサ30の検出信号から、ブレーキ圧力Pbが減少して第1ブレーキ圧力Pb1よりも低い第2ブレーキ圧力(第2のブレーキ圧力)Pb2未満になっているか否かを判定し、判定結果をモータジェネレータ制御部46に出力する。
次に、ハイブリッド車両1の減速制動時において、第2ハイブリッド制御装置35が実行する回生制動制御処理の動作を、図9〜図11のフローチャートに基づいて説明する。第2ハイブリッド制御装置35は、エンジン2の始動によって本処理を開始し、エンジン2が停止するまで本処理を所定時間毎に繰り返して実行する。
本処理を開始すると、まず、エンジン回転数センサ22、アクセルセンサ20、ブレーキセンサ29、ブレーキ圧力サンサ30、車速センサ23、及びシフトセンサ21の検出信号からそれぞれエンジン回転数Ne、アクセル操作量A、ブレーキ操作量B、ブレーキ圧力Pb、車速V及びギア段情報Gの車両情報が取得される(ステップS21)。
次に、アクセル操作量Aから運転者がアクセルペダル19を操作しているか否かを判定する(ステップS22)。運転者がアクセルペダル19を操作していると判定された場合は、減速制動時ではないので処理を終了し、第2ハイブリッド制御装置35の駆動制御に処理を移行する。運転者がアクセルペダル19を操作をしていないと判定された場合は(ステップS22の判定がNO)、ブレーキ操作量Bから運転者がブレーキペダル25を操作しているか否かを判定する(ステップS23)。運転者がブレーキペダル25を操作していないと判定されたときは(ステップS23の判定がNO)、第1クラッチ4を断状態に設定して(ステップS24)ステップS25に進む。ステップS25では、図3を参照し、予測エンジン回転数Nfに対応する斜線領域の下限近傍の値をエンジンブレーキ力推定値Teb1として推定し、モータジェネレータ9にエンジンブレーキ力推定値Teb1に相当する回生制動力(基本回生制動力)Tmを発生させ、本処理を終了する。
ブレーキペダル25が操作されていると判定されたときは(ステップS23の判定がYES)、フラグF2がオンか否かを判定する(ステップS26)。フラグF2は、後述の第2エンジンブレーキ力付加処理の実行中を示すフラグである。フラグF2がオンのときは第2エンジンブレーキ力付加処理を実行中であるのでステップS31へ進む。フラグF2がオフのときは、第2エンジンブレーキ力付加処理の開始前又は終了後であるためステップS27へ進み、フラグF3がオンか否かを判定する。フラグF3は、後述のエンジンブレーキ力解除処理の実行中を示すフラグである。フラグF3がオンのときはエンジンブレーキ力解除処理を実行中であるのでステップS33へ進む。フラグF3がオフのときは、エンジンブレーキ力解除処理の開始前又は終了後であるためステップS28へ進む。ステップS28では、図3を参照して、モータジェネレータ9の回転数Nmに対応する回生制動力Tmが最大回生制動力Tmmaxに達しているか否かを判定する。回生制動力Tmが最大回生制動力Tmmaxに達している場合は、ステップS30に進む。ステップS30では、ブレーキ圧力Pbが第1ブレーキ圧力Pb1以上に増大しているか否かを判定し、ブレーキ圧力Pbが第1ブレーキ圧力Pb1以上に増大している場合は、第2エンジンブレーキ力付加処理(ステップS31)に進む。増大していない場合はステップS32に進む。ステップS32では、ブレーキ圧力Pbが第2ブレーキ圧力Pb2未満に減少しているか否かを判定し、ブレーキ圧力Pbが第2ブレーキ圧力Pb2未満に減少している場合は、エンジンブレーキ力解除処理(ステップS33)に進む。減少していない場合は処理を終了する。
ステップS28において、回生制動力Tmが最大回生制動力Tmmaxに達していない場合は、ステップS29に進む。ステップS29では、図3を参照して、予測エンジン回転数Nfに対応する斜線領域の上限近傍の値をエンジンブレーキ力推定値Teb2として推定し、モータジェネレータ9にエンジンブレーキ力推定値Teb2に相当する回生制動力(基本回生制動力)Tmを発生させる。また、ブレーキ圧力Pbが発生している場合は、ブレーキ圧力Pbに所定の定数αを乗じたαPbに相当する回生制動力(付加回生制動力)を算出し、基本回生制動力と付加回生制動力とを合わせた回生制動力(Teb2+αPb)Tmをモータジェネレータ9に発生させ、処理を終了する。
第2エンジンブレーキ力付加処理(図10参照)では、まずフラグF2がオンか否かを判定する(ステップS41)。フラグF2がオフの場合はステップS42に進み、第1クラッチ4を接状態に設定してエンジン2とトランスミッション5とを連結し、ハイブリッド車両1の制動力にエンジンブレーキ力を加える。続いて、モータジェネレータ9が発生させている最大回生制動力Tmmaxから補正回生制動力Tsを減少させる(ステップS43)。補正回生制動力Tsは、図3を参照し、エンジン回転数Neに対応するエンジンブレーキ力Tebに相当する回生制動力とする。続いて、エンジン2への燃料噴射を停止し(ステップS44)、フラグF2をオンにして(ステップS45)処理を終了する。ステップS41においてフラグF2がオンと判定された場合は、ステップS46に進み、回生制動力Tmを徐々に増大させる。回生制動力Tmは、例えばブレーキ圧力Pbの時間変化量であるΔPbに所定の定数βを乗じたβΔPbに相当する回生制動力を前回出力した回生制動力Tmに加えることによって徐々に増大させる。次に、増大した回生制動力Tmが最大回生制動力Tmmaxに達したか否かを判定する(ステップS47)。回生制動力Tmが最大回生制動力Tmmaxに達していない場合は処理を終了し、回生制動力Tmが最大回生制動力Tmmaxに達した場合は、フラグF2をオフとして(ステップS48)、処理を終了する。
エンジンブレーキ力解除処理(図11参照)では、まずフラグF3がオンか否かを判定する(ステップS51)。フラグF3がオフの場合は、ステップS52に進む。フラグF3がオンの場合は、モータジェネレータ9の回生制動力Tmが最大回生制動力Tmmaxから補正回生制動力Tsを差し引いた値以下になった否かを判定する(ステップS54)。なお、補正回生制動力Tsとしては、図3を参照し、エンジン回転数Neに対応するエンジンブレーキ力Tebを用いる。回生制動力Tmが最大回生制動力Tmmaxから補正回生制動力Tsを差し引いた値よりも大きい場合は(ステップS54の判定がNO)、ステップS52に進み、モータジェネレータ9の回生制動力Tmを徐々に減少させる。回生制動力Tmは、例えばブレーキ圧力Pbの時間変化量であるΔPbに所定の定数γを乗じたγΔPbに相当する回生制動力を前回出力した回生制動力Tmから差し引くことによって徐々に減少させる。続いて、フラグF3をオンとして(ステップS53)、処理を終了する。ステップS54の判定がYESの場合は、第1クラッチ4を断状態に設定し(ステップS55)、回生制動力Tmを最大回生制動力Tmmaxに戻すようにモータジェネレータ9を制御する(ステップS56)。次に、エンジン2への燃料噴射の停止を解除し(ステップS57)、フラグF3をオフとして(ステップS58)、処理を終了する。
本実施形態では、図6のタイミングチャートに示すように、運転者がアクセルペダル19の操作を解除(アクセルオフ)すると(図6の(1)t1)、クラッチ制御部45が第1クラッチ4を断状態に設定してエンジン2とトランスミッション5との結合を解除し、モータジェネレータ制御部46が、モータジェネレータ9を発電状態に設定する。発電状態に設定されたモータジェネレータ9は、トランスミッション5の出力軸に従動回転し、電力と、電力に応じた回生制動力Tmとを発生させる。モータジェネレータ制御部46は、モータジェネレータ9にエンジンブレーキ力推定値に相当する基本回生制動力を発生させてハイブリッド車両1を減速制動し、発生した電力は回生エネルギとして回収される。このため、車両の制動開始直後から回生エネルギを効果的に回収することができる。
また、運転者がアクセルオフしたとき(図6の(1)t1)、モータジェネレータ制御部46は、図3の斜線領域の下限近傍の値Teb1を基本回生制動力としてモータジェネレータ9に発生させる(図6の(4)t1)。その後、運転者がブレーキペダル25の踏込みを開始(ブレーキオン)したとき(図6の(2)t2)、図3の斜線領域の上限近傍の値Teb2を基本回生制動力としてモータジェネレータ9に発生させて回生制動力を増大させる(図6の(4)t2)。このため、運転者がブレーキペダル25を踏込んだときにブレーキ圧力Pbが発生するまでの遅れ時間を感じることなく制動力が直ちに増大して、ブレーキペダル踏込みのフィーリングが良好となる。
また、運転者のブレーキペダル25の踏込みによってブレーキ圧力Pbが発生すると(図6の(3)t3)、ハイブリッド車両1にはブレーキ圧力Pbに応じた機械的な制動力(ブレーキ圧制動力)が加わると共に、モータジェネレータ制御部46が、基本回生制動力と、ブレーキ圧力Pbの増減に応じて増減する付加回生制動力とを合わせた回生制動力Tmを最大回生制動力Tmmaxを上限として発生させる(図6の(4))。このため、回生制動力Tmが最大回生制動力Tmmaxに達するまでは、ブレーキ圧力Pbの増大に応じて回生制動力Tmが増大し、回生制動力Tmの発生に伴う回生エネルギが十分に回収される。また、ハイブリッド車両1の制動力としてブレーキ圧制動力に、ブレーキ圧力Pbに応じた回生制動力Tmが付加されるので、ブレーキ圧制動力単独でハイブリッド車両1を減速制動する場合と比べて制動力が増大しブレーキの効果が向上する。
また、回生制動力Tmが限界回生制動力Tmmaxに達した状態であって、運転者が更にブレーキペダル25を踏込み、ブレーキ圧力Pbが第1ブレーキ圧力Pb1以上に増大したときは(図12の(1)t5)、クラッチ制御部45が第1クラッチ4を接状態に設定し(図12の(3)t5)、トランスミッション5の出力軸にエンジンブレーキ力を作用させる。この結果、ブレーキ圧制動力と回生制動力Tmとからなるハイブリッド車両1の制動力にエンジンブレーキ力が付加されるので、ハイブリッド車両1の制動力から回生エネルギを回収しつつ、ハイブリッド車両1をより大きな制動力で減速制動させることができる(図12の(4))。
また、第1クラッチ4を接続してエンジンブレーキ力を付加するとき、モータジェネレータ制御部46は、モータジェネレータ9が発生させている最大回生制動力Tmmaxからエンジンブレーキ力推定値Tebに相当する補正回生制動力Tsを一時的に減少させ、その後、徐々に最大回生制動力Tmmaxに戻す。この結果、第1クラッチ4の接続時に瞬時に加わるエンジンブレーキ力による制動力の増大と、エンジンブレーキ力推定値に相当する回生制動力の減少とが略バランスし、ハイブリッド車両1の制動力は図12の(4)の2点鎖線で示されるような急激な増大が抑制され実線で示されるように徐々に増大する。従って、運転者のブレーキペダル25の踏込みによって制動力にエンジンブレーキ力を付加する際、運転者に良好なブレーキフィーリングを与えることができる。また、ブレーキペダル25の踏込みによる制動力の急激な増大が抑制されるので、ブレーキペダル25の踏戻しが誘発され難くなり、運転者がブレーキペダル25の踏込み、踏戻しを繰り返すハンチング状態の発生が抑制され、運転者に良好なブレーキフィーリングを与えることができる。
また、運転者のブレーキペダル25の踏戻しに応じて制動力からエンジンブレーキ力が解除される際、モータジェネレータ制御部46は、予め最大回生制動力Tmmaxから一時的に減少させる補正回生制動力Tsを、エンジンブレーキ力推定値に相当する回生制動力の値に設定するので、エンジンブレーキ力の解除よる制動力の減少と回生制動力Tmによる制動力の増大とが略バランスする。このため、エンジンブレーキ力の解除時のハイブリッド車両1の制動力は図12の(4)の2点鎖線で示されるような急激な減少が抑制され、実線で示されるように徐々に減少する。従って、運転者のブレーキペダル25の踏戻しによって制動力からエンジンブレーキ力を解除する際、運転者により良好なブレーキフィーリングを与えることができる。また、ブレーキペダル25の踏戻しによる制動力の急激な減少が抑制されるので、ブレーキペダル25の踏込みが誘発され難くなり、運転者がブレーキペダル25の踏込み、踏戻しを繰り返すハンチング状態の発生が抑制され、運転者に良好なブレーキフィーリングを与えることができる。
また、運転者がブレーキペダル25を踏込んだときは、ブレーキ圧力Pbが第1ブレーキ圧力Pb1以上に増大してから制動力にエンジンブレーキ力が付加され(図12の(4)t5)、運転者がブレーキペダル25を踏戻したときは、ブレーキ圧力Pbが第1ブレーキ圧力Pb1よりも低い第2ブレーキ圧力Pb2未満に減少してからエンジンブレーキ力が解除される(図12の(4)t6)。このように、制動力にエンジンブレーキ力を付加するときのブレーキ圧力Pb1と、解除するときとのブレーキ圧力Pb2との間に幅を設けているため(図12の(1))、運転者がブレーキペダル25の踏込み、踏戻しを繰り返すハンチング状態がより発生し難くなり、運転者に良好なブレーキフィーリングを与えることができる。
また、モータジェネレータ制御部46は、基本回生制動力と、運転者のブレーキペダル25の踏込みによるブレーキ圧力Pbの増減に応じて増減する付加回生制動力とを合わせた回生制動力Tmをモータジェネレータ9が発生可能な最大回生制動力Tmmaxを上限として発生させる。このため、ブレーキ圧Pbの増大に応じて回生制動力Tmが最大回生制動力Tmmaxに達するまで回生制動力Tmを増大させることができ、制動力から回生エネルギを十分に回収することができる。
また、運転者がアクセルペダル19の操作を解除している状態で第1クラッチ4が接続されている間(図12の(3)t5〜t7の間)は、エンジン2への燃料の噴射が停止される。従って、走行するハイブリッド車両1の燃費が向上する。なお、上記の期間においては、エンジン2への燃料の噴射が停止されてもエンジン2は停止することなくトランスミッション5の出力軸に従動回転する。
なお、第1の実施形態及び第2の実施形態において、本発明の回生制動装置は、エンジン2とモータジェネレータ9とを備えたハイブリッド車両1への適用に限定されず、例えばモータジェネレータを備えずエンジンのみによって走行し、車両の駆動軸に従動回転して発電し回生制動力を駆動軸に付与する発電機等を備えた車両等に適用してもよい。
また、第1の実施形態及び第2の実施形態において、第1クラッチ4を接続してハイブリッド車両1の制動力にエンジンブレーキ力を付加し、又は第1クラッチ4の接続を解除してハイブリッド車両1の制動力からエンジンブレーキ力を解除する際、モータジェネレータ9の回生制動力Tmから一時的に差し引く補正回生制動力Tsは、図3を参照したエンジンブレーキ力Tebに相当する回生制動力に限定されない。この場合は、補正回生制動力Tsの大きさに応じてエンジンブレーキ力の付加、又は解除の際の制動力の急激な増大、又は減少を抑制することができる。
また、第1の実施形態及び第2の実施形態において、ブレーキ圧力Pbの増大に応じて、モータジェネレータ9の回生制動力Tmをモータジェネレータ9が発生可能な最大回生制動力Tmmaxを上限として増大させたが、例えばモータジェネレータ9の発電可能条件等に基づく所定の限界回生制動力を上限として増大させてもよい。この場合は、所定の限界回生制動力を上限とすることによってモータジェネレータ9の定格範囲を超えた発電等が防止され、モータジェネレータ9を劣化や破損から保護することができる。
また、第1の実施形態及び第2の実施形態において、運転者がアクセルペダル19の操作を解除している状態で第1クラッチ4が接続されている間、エンジン2への燃料の噴射を停止しなくてもよい。この場合は、減速制動中のエンジン2の停止を確実に防止することができる。
また、第1の実施形態及び第2の実施形態において、アクセルオフの状態とブレーキオンの状態とでモータジェネレータ9に発生させる基本回生制動力は、第1の実施形態及び第2の実施形態のように、それぞれ図3の斜線領域の下限近傍のTeb1と上限近傍のTeb2とに相当する回生制動力に限定されず、例えば、両者いずれもエンジンブレーキ力Teb等に相当する回生制動力であってもよい。この場合は、モータジェネレータ9に発生させる基本回生制動力によってハイブリッド車両1を減速制動することによって、車両の制動開始直後から回生エネルギを効果的に回収することができる。
また、第1の実施形態及び第2の実施形態において、図3は、横軸をモータジェネレータ9の回転数Nmとし、対応するモータジェネレータの最大回生制動力Tmmaxとの関係を示したが、例えば横軸を車速Vとし、トランスミッション5のギア段ごとに車速Vと最大回生制動力Tmmaxとの関係を示してもよい。この場合は、車速Vとギア段情報Gとから対応する最大回生制動力Tmmaxを求めることができる。
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。