JP2014113910A - 車両 - Google Patents

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亮一 吉冨
Shiro Yagawa
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Abstract

【課題】車体前部でのレイアウト性を向上させ、衝突荷重の入力時におけるPDUやモータユニットとPDUとを接続するモータケーブルを確実に保護でき、またモータユニットからPDUへの振動伝達を抑制できる車両を提供する。
【解決手段】燃料電池22と、モータユニット21と、モータユニット21にモータケーブル31を介して接続され、モータユニット21の駆動を制御するPDU32と、が車体2前部に配置された燃料電池搭載車両1において、モータユニット21は、燃料電池22よりも下方に配置され、PDU32は、モータユニット21よりも後方に配置され、モータユニット21とPDU32とは別々に支持されていることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両に関するものである。
燃料電池を搭載した車両では、燃料電池やバッテリ等がパワードライブユニット(PDU)を介して駆動用モータに接続されており、燃料電池やバッテリ等の電力がPDUを介して駆動用モータに供給されることで、駆動用モータの駆動が制御されている。
近時では、上述した燃料電池や駆動用モータ、またPDU等の制御機器をまとめて車体前部のモータルーム内に収納する構成が検討されている(例えば、特許文献1参照)。このような構成として、例えば図6に示すように、モータルーム100内において、駆動用モータ101及びPDU102を上下方向に積層して配置し、PDU102に対して左右方向の一方側に燃料電池103を配置する構成が検討されている。
特開2002−370544号公報
しかしながら、上述した従来技術のように、駆動用モータ101とPDU102とを上下方向に積層する構成にあっては、駆動用モータ101とPDU102とを近接して配置できるものの、所望の曲げ半径を確保した上で、モータケーブル104を引き回すのが難しい。この場合、駆動用モータ101とPDU102との間の距離を大きくして、モータケーブル104の曲げ半径を確保することも考えられるが、モータケーブル104が長くなり、周辺機器へのノイズの影響が大きくなるとともに、車体前部でのレイアウト性が低下するという問題がある。
さらに、車体前部では、衝突荷重の入力時におけるモータケーブル104と周辺部材との干渉を抑制するために、モータケーブル104の周囲(例えば、図6中A領域)には他の部材を配置することができず、これによってもレイアウト性が低下する。
また、PDU102を駆動用モータ101の上方(前後方向で同等の位置)に配置した場合、例えば前突によりPDU102に入力される衝突荷重を抑制するためには、保護構造等を別途追加する必要があり、レイアウト性の低下や車体重量の増加に繋がるという問題がある。
なお、PDU102をモータルーム100内に搭載する際、例えば駆動用モータ101上にブラケットを介して直接搭載することが考えられるが、この場合には駆動用モータ101で発生する振動がPDU102に伝達され易くなり、PDU102における電気的接続部等の信頼性を確保できない。
そこで、本発明は、車体前部でのレイアウト性を向上させ、衝突荷重の入力時におけるパワードライブユニットや駆動用モータとパワードライブユニットとを接続するモータケーブルを確実に保護でき、また駆動用モータからパワードライブユニットへの振動伝達を抑制できる車両を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載した発明は、燃料電池(例えば、実施形態における燃料電池22)と、駆動用モータ(例えば、実施形態におけるモータユニット21)と、前記駆動用モータにモータケーブル(例えば、実施形態におけるモータケーブル31)を介して接続され、前記駆動用モータの駆動を制御するパワードライブユニット(例えば、実施形態におけるPDU32)と、が車体前部に配置された車両(例えば、実施形態における燃料電池搭載車両1)において、前記駆動用モータは、前記燃料電池よりも下方に配置され、前記パワードライブユニットは、前記駆動用モータよりも後方に配置され、前記駆動用モータと前記パワードライブユニットとは別々に支持されていることを特徴とする。
請求項2に記載した発明では、前記パワードライブユニットは、前記駆動用モータの後方で上下方向に延在するダッシュボード(例えば、実施形態におけるダッシュボードロア5a)よりも後方に配置されていることを特徴とする。
請求項3に記載した発明では、前記パワードライブユニットは、センタートンネル(例えば、実施形態におけるセンタートンネル6a)内に配置されていることを特徴とする。
請求項4に記載した発明では、前記パワードライブユニットは、前記燃料電池に酸化剤ガスを供給するエアポンプ(例えば、実施形態におけるエアポンプ26)の駆動を制御するエアポンプ制御ユニット(例えば、実施形態におけるエアポンプPDU33)、及びバッテリから前記駆動用モータに供給される電力を制御するバッテリ制御ユニット(例えば、実施形態におけるバッテリVCU34)よりも前方に配置されていることを特徴とする。
請求項5に記載した発明では、前記モータケーブルについて、前記駆動用モータから引き出された方向をモータ側引き出し方向、前記パワードライブユニットから引き出された方向をPDU側引き出し方向とすると、外部から入力される所定の衝突荷重により、前記駆動用モータと前記パワードライブユニットとが接近して、前記モータケーブルが変形した際、前記モータケーブルの曲げ半径Rが最小曲げ半径R1以上になるように、前記モータ側引き出し方向及び前記PDU側引き出し方向が設定されていることを特徴とする。
請求項6に記載した発明では、前記モータ側引き出し方向と、前記PDU側引き出し方向と、は車幅方向における同方向に設定されていることを特徴とする。
請求項7に記載した発明では、前記モータ側引き出し方向は車幅方向に沿って設定され、前記PDU側引き出し方向は前方に向けて設定されていることを特徴とする。
請求項8に記載した発明では、前記モータ側引き出し方向と、前記PDU側引き出し方向と、はそれぞれ前方に向けて設定されていることを特徴とする。
請求項1に記載した発明によれば、モータケーブルを前後方向で引き回すことになるので、従来のように燃料電池とパワードライブユニットとを上下方向で積層して、モータケーブルを上下方向で引き回す場合に比べて、モータケーブルの長さを大幅に長くすることなく、曲げ半径を大きく確保できる。そのため、車体前部でのレイアウト性を向上させるとともに、モータケーブルで発生するノイズの影響も抑えることができる。
その上、車両に入力される衝突荷重はパワードライブユニットよりも前段で吸収され、パワードライブユニットやモータケーブルに衝突荷重が伝達されるのを抑制できる。これにより、パワードライブユニットやモータケーブルを保護する保護構造を別途追加することがないので、レイアウト性や車体重量を維持した上で、パワードライブユニットやモータケーブルを確実に保護できる。
さらに、パワードライブユニットと駆動用モータとが別々に支持されるので、駆動用モータで発生する振動がパワードライブユニットに伝達されるのを抑制できる。これにより、パワードライブユニットにおける電気的接続部の信頼性を向上させることができる。
請求項2に記載した発明によれば、パワードライブユニットがダッシュボードよりも後方に配置されているため、パワードライブユニットやモータケーブルに衝突荷重が伝達されるのを確実に抑制して、パワードライブユニットやモータケーブルを保護できる。
請求項3に記載した発明によれば、パワードライブユニットがセンタートンネル内に配置されているため、パワードライブユニットやモータケーブルに衝突荷重が伝達されるのを確実に抑制して、パワードライブユニットやモータケーブルを保護できる。
請求項4に記載した発明によれば、パワードライブユニットがエアポンプ制御ユニットやバッテリ制御ユニットよりも前方に配置されているため、モータケーブルのように比較的太いケーブルの長さを可能な限り短縮して、レイアウト性を向上させるとともに、ノイズの発生を抑制できる。
請求項5に記載した発明によれば、パワードライブユニットと駆動用モータとの相対変位に追従してモータケーブルが変形した場合であっても、曲げ半径Rが最小許容曲げ半径R1以上を維持されるため、これによりモータケーブルを確実に保護できる。
請求項6に記載した発明によれば、モータケーブルが車幅方向に沿う同方向に引き出されるため、モータケーブルが長くなるのを抑制した上で、曲げ半径Rを大きく確保できる。
請求項7に記載した発明によれば、モータ側引き出し方向は車幅方向に沿って設定され、PDU側引き出し方向は前方に向けて設定されているため、モータケーブルが長くなるのを抑制した上で、曲げ半径Rを大きく確保できる。
請求項8に記載した発明によれば、モータ側引き出し方向と、PDU側引き出し方向と、はそれぞれ前方に向けて設定されているため、モータケーブルが長くなるのを抑制した上で、曲げ半径Rを大きく確保できる。
燃料電池搭載車両の前部側面を示す概略構成図である。 燃料電池搭載車両の概略平面図である。 衝突荷重入力時の挙動を示す図1に相当する概略構成図である。 本実施形態の他の構成を示すモータユニットとPDUとの平面図である。 本実施形態の他の構成を示すモータユニットとPDUとの平面図である。 従来技術における燃料電池搭載車両の前部側面を示す概略構成図である。
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は燃料電池搭載車両1の前部側面を示す概略構成図である。なお、以下で用いる図面において、矢印FRは車両の前方を示し、矢印UPは車両の上方を示し、矢印LHは車両の左方を示している。
図1に示すように、本実施形態の燃料電池車両(車両)1において、車体2の前部には、モータルーム3が画成されている。なお、モータルーム3の後部には、キャビン4内とモータルーム3内とを前後方向で区画するダッシュボード5が設けられている。
ダッシュボード5は、上下方向に沿って延在するダッシュボードロア5aと、ダッシュボードロア5aの上端部から前方に向かって連設されたダッシュボードアッパ5bと、を備えている。ダッシュボードロア5aの下部は、後斜め下方に向けて延在しており、その後端部にアッパフロアパネル6の前端部が接続されている。
アッパフロアパネル6は、車体2の左右方向全体に亘って形成されるとともに、前後方向に沿って延在している。アッパフロアパネル6における左右方向中央部には、上方に膨出するセンタートンネル6aが前後方向に沿って延在している。
また、アッパフロアパネル6の下方には、車体2の下面を構成するアンダフロアパネル7が、アッパフロアパネル6を覆うように設けられている。
モータルーム3の左右方向両側には、一対のサイドフレーム11が前後方向に沿って延在している。これらサイドフレーム11は、キャビン4の前部下方から上方に湾曲した後、前方に向けて延在している。両サイドフレーム11の後端部は、車体2の前後方向中央に設けられた図示しないフロアフレームやサイドシル等のフレーム部材に結合されている。
また、両サイドフレーム11の下方には、図示しないマウント部材等を介して後述するモータユニット21等のパワープラントを支持するフロントサブフレーム12が設けられている。フロントサブフレーム12は、モータルーム3を下方から覆うように配置された平面視で井桁状(枠状)に形成され、例えば左右方向の両端部が対応する各サイドフレーム11に連結されている。
モータルーム3内には、モータユニット21、燃料電池22、及び燃料電池電圧制御ユニット23(以下、単にVCU23という)が下方から順に積載されている。
図2は、燃料電池搭載車両1の概略平面図である。
図2に示すように、モータユニット21は、図示しない駆動用モータ及びトランスミッションがハウジング20に一体に収納されて構成されている。ハウジング20は、円筒状に形成され、駆動用モータの回転軸を左右方向に向けた状態で、図示しないマウント部材を介して上述したフロントサブフレーム12に弾性支持されている。なお、図示の例では、ハウジング20のうち、左右方向に沿う右側は駆動用モータが収納されたモータハウジング20aを構成し、左側はトランスミッションが収納されたミッションハウジング20bを構成している。なお、モータユニット21は、ドライブシャフト24を介して前輪25に連結されており、モータユニット21の動力が前輪25に伝達される。
ハウジング20(モータハウジング20a)の右側端部には、上方に向けて膨出するモータ側端子ボックス30が形成されている。なお、モータ側端子ボックス30には、内部から駆動用モータにおける各相(U相、V相、W相)の図示しないコイルの端部が引き込まれている。
また、モータ側端子ボックス30には、後述する各モータケーブル31の一端をモータ側端子ボックス30内に案内するための複数のモータ側案内部30aが前後方向に並んで形成されている。これらモータ側案内部30aは、モータ側端子ボックス30の内外を連通させる孔であり、左右方向に沿う一方側(左側)に向けて開口している。すなわち、モータケーブル31のうち、モータ側端子ボックス30からの引き出し方向(モータ側引き出し方向)は、左右方向に沿う他方側(右側)に設定されている。
図1に示すように、燃料電池22は、モータルーム3内で略水平に配置された箱型とされている。本実施形態の燃料電池22は、反応ガスを電気化学反応させて電力を得るタイプのものであり、例えば固体ポリマーイオン交換膜等からなる固体高分子電解質膜をアノードとカソードとの間に挟み込んでセルを形成し、そのセルを複数積層した燃料電池スタックとして構成されている。そして、アノード側に燃料ガスとして水素ガスを供給し、カソード側に酸化剤ガスとして空気を供給する。すると、アノードで触媒反応により発生した水素イオンが、固体高分子電解質膜を通過してカソードまで移動し、カソードにおいて酸素と電気化学反応を起こす。これにより、燃料電池22において発電がなされ、燃料電池22の発電電力によって、モータユニット21が駆動される。なお、燃料電池22に空気を供給するためのエアポンプ26は、上述したモータユニット21の前方に配置されている。
モータルーム3内における燃料電池22の前方には、燃料電池22やモータユニット21(駆動用モータ)等を循環する冷却水と、走行風である外気と、を熱交換させることにより、冷却水を冷却するラジエータ27が配置されている。
VCU23は、燃料電池22と、図示しない高電圧バッテリ(バッテリ)と、の間に接続され、図示しない制御部の指令に従って燃料電池22から出力される発電電力を制御する。なお、高電圧バッテリは、例えばリヤシート(不図示)の下方に配設されている。また、上述したモータユニット21や、燃料電池22、VCU23等のパワープラントは、モータルーム3内の前後方向中央部、すなわちモータルーム3の前端部(ラジエータ27)及び後端部(ダッシュボード5)に対して前後方向に間隔を空けた状態で配置されている。そして、これらパワープラントは、所定(例えば、フルラップ前面衝突、速度56km/hの際)の衝突荷重が作用したときに、モータルーム3内で変位させられるようになっている。
なお、モータルーム3内において、ダッシュボードロア5aにおける上部前面には、BOS(BRAKE OPERATING SIMULATOR)やT−MOC(TANDEM MOTOR CYLINDER)等のブレーキ部品28が固定される。また、モータルーム3内におけるモータユニット21の後方には、ステアリングギヤボックス29が設けられている。ステアリングギヤボックス29は、図示しないステアリングシャフトを介してキャビン4側の図示しないステアリングホイールに連結されている。
ここで、モータユニット21の後方には、モータユニット21の駆動を制御するPDU32が設けられている。具体的に、PDU32は、上述したセンタートンネル6a内の前端部に配置されており、ダッシュボードロア5aのうち、上下方向に延在する部分(鉛直部5c)よりも後方であって、キャビン4の下方に位置している。なお、アッパフロアパネル6の下方には、センタートンネル6a間を架け渡すように図示しないクロスメンバが設けられ、このクロスメンバ上にPDU32が固定されている。そして、このクロスメンバは、例えばアッパフロアパネル6や、上述したサイドフレーム11に固定されている。すなわち、本実施形態のPDU32は、上述したモータユニット21とは異なるフレーム部材により支持されている。
また、センタートンネル6a内には、上述したエアポンプ26に接続されてエアポンプ26の駆動を制御するエアポンプPDU(エアポンプ制御ユニット)33や、高電圧バッテリに接続されて高電圧バッテリの電力を制御するバッテリVCU(バッテリ制御ユニット)34等が配置されている。
PDU32には、上述した燃料電池22や高電圧バッテリが図示しない電源ケーブルを介して電気的に接続されており、燃料電池22や高電圧バッテリから供給される直流電力を三相(U相、V相、W相)の交流電力に変換している。また、PDU32は、モータケーブル31を介してモータユニット21に各相ごとに電気的に接続されており、PDU32で変換した三相の交流電力をモータユニット21に供給することでモータユニット21を駆動制御している。
PDU32の前端部には、前方に向けて突出するPDU側端子ボックス35が形成されている。PDU側端子ボックス35には、PDU32内に収納された各種電気デバイスの端子が引き込まれている。また、PDU側端子ボックス35には、モータケーブル31を各相ごとにPDU32内に案内するための複数のPDU側案内部35aが左右方向に並んで形成されている。これらPDU側案内部35aは、PDU32の内外を連通させる孔であり、前方に向けて開口している。すなわち、モータケーブル31のうち、PDU側端子ボックス35からの引き出し方向(PDU側引き出し方向)は、前方に設定されている。
なお、PDU側端子ボックス35と、上述したモータ側端子ボックス30と、は、前後方向から見て重ならない位置に配置されている。
上述した各モータケーブル31は、可撓性を有するケーブルであって、一端が上述したモータ側案内部30aを通してモータ側端子ボックス30内に案内され、モータ側端子ボックス30内で各相のコイルにそれぞれ電気的に接続されている。一方、モータケーブル31の他端は、PDU側案内部35aを通してPDU側端子ボックス35内に案内され、PDU側端子ボックス35内でPDU32内に収納された各種電気デバイスに電気的に接続されている。
そして、各モータケーブル31は、所定の曲げ半径Rを有するようにPDU32とモータユニット21との間で撓んだ状態で引き回されている。具体的に、モータケーブル31は、PDU側案内部35aから前方に向けて引き出され、センタートンネル6aからモータルーム3内に引き込まれた後、モータルーム3内で一旦左側に回り込んでからモータユニットの右側端部に形成されたモータ側案内部30aまで引き回されている。また、各モータケーブル31は、平面視において並んだ状態で配列されている。
次に、燃料電池搭載車両1の前突時において、前方から所定の衝突荷重が入力されたときにおける車体前部での挙動について説明する。図3は、衝突荷重入力時の挙動を示す図1に相当する概略構成図である。
図3に示すように、本実施形態の燃料電池搭載車両1において、前方から所定の衝突荷重が車体2に入力された場合、車体2の前部(例えば、サイドフレーム11等)が潰れ変形することで、衝突荷重が吸収される。また、衝突荷重がサイドフレーム11等を介してモータユニット21や、燃料電池22、VCU23等のパワープラントに伝達されると、これらモータユニット21や、燃料電池22、VCU23は、これらを支持するフロントサブフレーム12とともに後方に向けて変位する。この際、フロントサブフレーム12は、後斜め下方に落ち込むように変位(図3中鎖線参照)することで、衝突ストロークを確保できる。なお、仮に衝突荷重がダッシュボード5まで到達した場合には、ダッシュボード5が後方に向けて変形する。
ここで、PDU32は、モータユニット21よりも後方で、かつモータユニット21とは異なるフレーム部材で支持されているため、PDU32の衝突ストロークはモータユニット21に比べて小さい。そのため、前突時において、モータユニット21はPDU32に接近するように相対変位するとともに、この変位に追従して各モータケーブル31が撓み変形する(図3中鎖線参照)。本実施形態では、PDU32とモータユニット21との相対変位に追従して各モータケーブル31が撓み変形した場合であっても、曲げ半径Rが最小許容曲げ半径R1以上を維持できるように設定されており、これによりモータケーブル31が保護される。
このように、本実施形態によれば、車体前部において、モータユニット21よりも後方にPDU32を配置する構成とした。
この構成によれば、モータケーブル31を前後方向で引き回すことになるので、従来のように燃料電池103とPDU102とを上下方向で積層して、モータケーブル104を上下方向で引き回す場合に比べて、モータケーブル31の長さを大幅に長くすることなく、曲げ半径Rを大きく確保できる。そのため、車体2前部でのレイアウト性を向上させるとともに、モータケーブル31で発生するノイズの影響も抑えることができる。
その上、燃料電池搭載車両1に入力される衝突荷重はPDU32よりも前段で吸収され、PDU32やモータケーブル31に衝突荷重が伝達されるのを抑制できる。これにより、PDU32やモータケーブル31を保護する保護構造を別途追加することがないので、レイアウト性や車体重量を維持した上で、PDU32やモータケーブル31を確実に保護できる。
特に、本実施形態では、PDU32がダッシュボードロア5aの鉛直部5cよりも後方であって、センタートンネル6a内に配置されているため、PDU32やモータケーブル31に衝突荷重が伝達されるのを確実に抑制して、PDU32やモータケーブル31を保護できる。
また、本実施形態では、モータユニット21とPDU32とが別々のフレーム部材(フロントサブフレーム12及びクロスメンバ)により支持されるので、モータユニット21で発生する振動がPDU32に伝達されるのを抑制できる。これにより、PDU32における電気的接続部の信頼性を向上させることができる。
また、PDU32がエアポンプPDU33やバッテリVCU34よりも前方に配置されているため、モータケーブル31のように比較的太いケーブルの長さを可能な限り短縮して、レイアウト性を向上させるとともに、ノイズの発生を抑制できる。
なお、本発明の技術範囲は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、上述した実施形態で挙げた構成等はほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
例えば、上述した実施形態では、モータケーブルにおいて、PDU側端子ボックス35からの引き出し方向を前方に、モータ側端子ボックス30からの引き出し方向を左側にした場合について説明したが、これに限らず、モータ側端子ボックス30の引き出し方向を右側にしても構わない。
また、図4に示すように、PDU側端子ボックス35からの引き出し方向を左右方向(モータ側端子ボックス30からの引き出し方向と同方向)にしても構わない。この場合には、モータケーブル31が左右方向に沿う同方向に引き出されるため、曲げ半径Rを大きく確保でき、衝突荷重入力時であってもモータケーブル31が柔軟に変形することになる。
さらに、図5に示すように、各端子ボックス30,35からの引き出し方向をそれぞれ前方に設定することも可能である。この構成によれば、モータユニット21よりも前方にモータケーブル31が突出するため、モータユニット21の前方のスペースを確保する必要があるものの、衝突荷重入力時にモータユニット21とPDU32とが相対変位したとしても、モータケーブル31が局所的に屈曲するのを防ぐことができる。そのため、曲げ半径Rを確保できる。
また、モータケーブル31の引き出し方向は、上述した実施形態に限られない。例えば、モータケーブル31の引き出し方向は前後方向や左右方向に限らず、斜め方向に設定しても構わない。何れにしてもPDU32とモータユニット21との相対変位に追従して各モータケーブル31が変形したとしても、曲げ半径Rが最小許容曲げ半径R1以上になるように設定されていれば構わない。
また、上述した実施形態では、センタートンネル6a内にPDU32を配置した場合について説明したが、これに限らず、モータルーム3内に配置しても構わない。何れにしても、PDU32がモータユニット21の後方に配置されていれば、適宜設計変更が可能である。
さらに、上述した実施形態では、モータユニット21及びPDU32が異なるフレーム部材(フロントサブフレーム12及びクロスメンバ)に支持される場合について説明したが、これに限らず、異なる支持部材(マウント部材等)を介して同一のフレーム部材に支持される構成にしても構わない。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
1…燃料電池車両(車両) 5…ダッシュボード 6a…センタートンネル 21…モータユニット(駆動用モータ) 22…燃料電池 26…エアポンプ 31…モータケーブル 32…PDU(パワードライブユニット) 33…エアポンプPDU(エアポンプ制御ユニット) 34…バッテリVCU(バッテリ制御ユニット)

Claims (8)

  1. 燃料電池と、
    駆動用モータと、
    前記駆動用モータにモータケーブルを介して接続され、前記駆動用モータの駆動を制御するパワードライブユニットと、が車体前部に配置された車両において、
    前記駆動用モータは、前記燃料電池よりも下方に配置され、
    前記パワードライブユニットは、前記駆動用モータよりも後方に配置され、
    前記駆動用モータと前記パワードライブユニットとは別々に支持されていることを特徴とする車両。
  2. 前記パワードライブユニットは、前記駆動用モータの後方で上下方向に延在するダッシュボードよりも後方に配置されていることを特徴とする請求項1記載の車両。
  3. 前記パワードライブユニットは、センタートンネル内に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両。
  4. 前記パワードライブユニットは、前記燃料電池に酸化剤ガスを供給するエアポンプの駆動を制御するエアポンプ制御ユニット、及びバッテリから前記駆動用モータに供給される電力を制御するバッテリ制御ユニットよりも前方に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の車両。
  5. 前記モータケーブルについて、前記駆動用モータから引き出された方向をモータ側引き出し方向、前記パワードライブユニットから引き出された方向をPDU側引き出し方向とすると、
    外部から入力される所定の衝突荷重により、前記駆動用モータと前記パワードライブユニットとが接近して、前記モータケーブルが変形した際、前記モータケーブルの曲げ半径Rが最小曲げ半径R1以上になるように、前記モータ側引き出し方向及び前記PDU側引き出し方向が設定されていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の車両。
  6. 前記モータ側引き出し方向と、前記PDU側引き出し方向と、は車幅方向における同方向に設定されていることを特徴とする請求項5記載の車両。
  7. 前記モータ側引き出し方向は車幅方向に沿って設定され、前記PDU側引き出し方向は前方に向けて設定されていることを特徴とする請求項5記載の車両。
  8. 前記モータ側引き出し方向と、前記PDU側引き出し方向と、はそれぞれ前方に向けて設定されていることを特徴とする請求項5記載の車両。
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