JP2014113517A - 水質制御装置及び水質制御方法 - Google Patents

水質制御装置及び水質制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】プラズマを利用して効果的に水処理を行うことを可能にする水質制御装置及び水質制御方法を提供する。
【解決手段】水質制御装置は、流路1と、一対の電極3a、3bと、一対の電極3a、3b間に電圧を印加してプラズマ放電を生起させ、被処理水15を連続的にプラズマ処理させる電源13と、流路1の、一対の電極3a、3bよりも下流側に配置され、被処理水15の過酸化水素濃度を測定する過酸化水素濃度センサ29と、過酸化水素濃度センサ29によって測定された被処理水15の過酸化水素濃度の変化からプラズマ処理性能の変化を検出するとともに、被処理水15の過酸化水素濃度に応じて電源13の出力を制御する制御部31とを備えている。
【選択図】図2

Description

本明細書に開示された技術は、水質制御装置及び水質制御方法に関する。
流路内に被処理水を流した状態で、流路内に設置された電極間にプラズマ放電を生起させることで、水の殺菌や、水中の有機物を分解して水の浄化を行う技術が知られている。この技術では、プラズマ放電によって生じるヒドロキシラジカル(OHラジカル)等によって水の殺菌をしたり、水中の有機物を分解したりすることができる。
しかし、被処理水の水質が変化すると導電率等が変化して電極間に印加される電圧値が変動する。電極間の電圧が変化すると、プラズマ放電の発生が不安定になり、結果として水の浄化を効果的に行うことができなくなる。
特許文献1には、プラズマ放電を用いて液体を処理する際に、被処理液の導電率又はインピーダンス等を検知して電源の出力を制御する技術が開示されている。また、特許文献2には、電極対間にパルス放電を生じさせて浴水中に発生した汚染物を分解処理する技術が開示されている。同特許文献では、追いだき配管内に汚れ量を検知するセンサが設けられており、汚れ量がしきい値を超える場合には、電極間にパルス電圧を印加し、汚れ量がしきい値以下の場合には、パルス電圧の印加を停止する技術が記載されている。
特開2002−18446号公報 特開2010−179206号公報 特開2010−22991号公報 特開2002−159973号公報
しかしながら、本願発明者が独自に検討したところ、被処理液の導電率又はインピーダンスを検知して電源出力を制御する特許文献1に記載の技術、被処理水の汚れ量を検知して電源の制御を行う特許文献2記載の技術のいずれを用いた場合でも、被処理液(被処理水)の性質が変化した場合に高いプラズマ処理能力を維持できない場合があることが分かった。
また、本願発明者は、プラズマ処理の積算時間が長くなると、プラズマ処理の殺菌性能及び有機物分解性能が低下し、最終的には放電が発生しなくなることに気づいた。そして、独自に検討を行った結果、プラズマ電極が放電の影響で摩耗し、電極間距離が徐々に大きくなることが、プラズマ処理の性能が低下する大きな原因になっていることが判明した。
本発明は、上記課題に鑑み、プラズマを利用して効果的に水処理を行うことを可能にする水質制御装置及び水質制御方法を提供することを目的とする。なお、本発明は、上記課題の少なくとも一方を解決することを目的としている。
本開示の一実施形態に係る水質制御装置は、被処理水を通水させる流路と、前記流路内に配置された一対の電極と、前記一対の電極間に電圧を印加してプラズマ放電を生起させ、前記被処理水を連続的にプラズマ処理させる電源と、前記流路の、前記一対の電極よりも下流側に配置され、前記被処理水の過酸化水素濃度を測定する過酸化水素濃度センサと、前記過酸化水素濃度センサによって測定された前記被処理水の過酸化水素濃度の変化からプラズマ処理性能の変化を検出するとともに、前記被処理水の過酸化水素濃度に応じて前記電源の出力を制御する制御部とを備えている。
本開示の別の実施形態に係る水質制御装置は、被処理水を通水させる流路と、前記流路内に配置された一対の電極と、前記一対の電極間に電圧を印加してプラズマ放電を生起させ、前記被処理水をプラズマ処理させる電源と、前記一対の電極の少なくとも一方の位置を調節するアクチュエータと、前記一対の電極の電極間距離を示す情報に基づいて、前記アクチュエータの動作を制御することで、前記一対の電極の電極間距離を所定の範囲内に維持する制御回路とを備えている。
本開示の別の実施形態に係る水質制御方法は、上述の水質制御装置により前記被処理水のプラズマ処理を行う。
本開示の一実施形態に係る水質制御装置によれば、プラズマを利用して効果的に水処理を行うことが可能になる。
図1は、処理水の過酸化水素濃度と有機物の分解効率との関係を示す図である。 図2は、本開示の一実施形態に係る水質制御装置の構成を示す図である。 図3は、図2に示す水質制御装置において流路内の構成を示す断面図である。 図4は、実施形態に係る水質制御装置の効果を示す図である。 図5は、水質制御装置において、電極間距離と殺菌率との関係を示す図である。 図6は、電極間距離が所定の範囲内になるように電極位置を調整した場合と調整しなかった場合の水質制御装置において、殺菌率の経時変化をそれぞれ測定した結果を示す図である。 図7(a)は、図2、2に示す実施形態に係る水質制御装置の第1の変形例を上流側から見た径方向断面図であり、(b)は、当該水質制御装置の軸方向断面図である。 図8は、図2、2に示す実施形態に係る水質制御装置の第2の変形例を示す図である。 図9は、水質制御装置において、電極間距離とプラズマ放電により生じる放電光の強度との関係を示す図である。
本願発明者は、被処理水の水質が変化によらず安定してプラズマ処理を行うためには、水質の影響を受けずにプラズマ処理の性能変化を正確に検知することが重要であると考えた。そこで、殺菌性能及び有機物の分解性能等の性能を正確に検知できる指標があるか否かを種々検討した。その結果、図1に示すように、プラズマ処理後の被処理水の過酸化水素濃度がプラズマ処理性能と一対一の対応関係を有するとともに、被処理水の導電率やpHに比べ、殺菌性能及び有機物の分解性能と極めて高い相関を示すことを見出した。なお、分解効率は、色素(インジゴカーミン)を含む水5Lを流路内で循環させてプラズマ処理し、得られた色素分解時間及び投入電力から算出した。
上記知見に基づき、本願発明者は、プラズマ処理後の被処理水の過酸化水素濃度を測定し、その測定結果を用いて電源(高電圧電源)の出力を制御することで、被処理水の水質によらず、プラズマ処理を効果的且つ安定して行えることに想到した。
また、本願発明者は、独自の検討から、水質制御装置を長期間使用した場合に処理性能が劣化する大きな原因の一つが電極の摩耗による電極間距離の変化であることを突き止めた。そこで、さらなる検討の結果、電極間距離を適正な範囲に保つことで、電極の摩耗による性能劣化を大きく低減できることに想到した。なお、電極間距離の制御と過酸化水素濃度センサを用いた電源出力の制御とを併用することで、相乗効果が期待できると考えられた。
(実施形態)
−水質制御装置の構成−
図2は、本開示の一実施形態に係る水質制御装置の構成を示す図であり、図3は、本実施形態に係る水質制御装置において流路内の構成を示す断面図である。本実施形態の水質制御装置は、ポンプ17を用いて流路1内に送り込まれた被処理水15を、プラズマ放電によって連続的にプラズマ処理し、プラズマ処理された水(図2に示す処理水19)を出力する装置である。
図2及び図3に示すように、本実施形態の水処理装置は、被処理水15を通水させる流路1と、流路1内に配置された一対の電極3a、3bと、電極3a、3b間に電圧を印加してプラズマ放電を生起させ、被処理水15を連続的にプラズマ処理させる電源13と、流路1の、一対の電極3a、3bよりも下流側に配置され、被処理水15の過酸化水素濃度を測定する過酸化水素濃度センサ29と、過酸化水素濃度センサ29によって測定された被処理水15の過酸化水素濃度の変化からプラズマ処理性能の変化を検出するとともに、被処理水15の過酸化水素濃度に応じて電源13の出力を制御する制御部31とを備えている。
図2及び図3では、電極3a、3bが共に針状である例を示しているが、電極形状は特に限定されず、板状やメッシュ状、あるいは円筒のメッシュ状であってもよい。また、電極が板状やメッシュ状である場合、電極3a、3bは少なくとも一対設けられていればよく、極性が相異なる電極3aと電極3bとが任意の数ずつ交互に配置されていてもよい。
過酸化水素濃度センサ29は、流路1に取り外し自在な状態で設置されていてもよく、この場合には故障等した際に交換が容易になるので好ましい。
また、本実施形態の水質制御装置は、電極3a、3bの少なくとも一方の位置を調節するアクチュエータ25と、電極3a、3bの電極間距離を示す情報に基づいて、アクチュエータ25の動作を制御することで、電極3a、3bの電極間距離を所定の範囲内に維持する制御回路27とを備えている。なお、電極間距離は、後述のように0.5mm以上2.0mmの範囲内に制御されることが好ましい。
ここで、電極間距離を示す情報は、電極間距離を表す種々の物理量の測定結果であってもよいし、あらかじめ得られ、メモリ等に格納された電極間距離を推定するための情報であってもよい。例えば、電極3a、3bの使用時間の積算値と電極間距離との関係をあらかじめ測定して検量線データ(上記の情報)を作成、保存しておき、制御回路27が電極3a、3bの使用時間の積算値と検量線とを用いて電極間距離の推定値を算出し、これに基づいて電極間距離を制御してもよい。
本実施形態の水質制御装置では、流路1のうち電極3a、3bよりも上流側の位置に配置された導電率センサ21と、電極3a、3b間のインピーダンス(抵抗値)を測定するインピーダンスセンサ23とを備えており、制御回路27は両センサから受信した測定結果に基づいて電極間距離を算出している。
アクチュエータ25は、少なくとも一方の電極の位置を調節できるように設けられていればよいが、電極3a、3bの両方の位置を調節できるように設けられていれば、流路1の中心付近でプラズマ放電を発生させることができるように電極3a、3bの位置を調節することができるので、より好ましい。電極3a、3bが針状である場合、アクチュエータ25は、電極3a、3bの少なくとも一方を流路1の径方向に移動させることができるようになっている。
また、図2及び図3に示すように、流路1は、内径が小さくなっている絞り部8と、絞り部8の上流側に接続され、絞り部8に向かって内径が減少する絞り部上流領域7と、絞り部8の下流側に接続され、下流に向かって内径が連続的に大きくなる開放部11とを有していてもよい。
電極3a、3bは絞り部8又は開放部11に設けられている。また、絞り部8付近には、吐出口を有し、当該吐出口から開放部11に向かって泡状の気体10を供給する気体供給部9が配置されている。絞り部8で流体(被処理水15)の静圧を大気圧以下にすることができるので、ポンプを用いることなく気体供給部9から被処理水15中に気体10を導入することが可能になっている。
電源13は、電極3a、3b間に高電圧を印加できる電源であれば、直流電源であってもよいし、交流電源又はパルス電源であってもよい。電源13からは、例えば1kV〜 10kV程度の電圧が電極3a、3b間に印加される。
電極3a、3bが針状である場合、電極3a、3bは絞り部8に設置されていてもよいが、電極3a、3bがメッシュ状等である場合、電極3a、3bは、開放部11のうち気泡5の密度が高い部分(絞り部8の近傍)に設置されることが好ましい。
−過酸化水素濃度センサを用いた水質制御−
本実施形態の水質制御装置では、被処理水15を連続的にプラズマ放電処理しながら、処理後の被処理水15(処理水19)に含まれる過酸化水素の濃度を過酸化水素濃度センサ29が測定する。一方、本実施形態の水質制御装置において、電極3a、3bへの印加電圧と、プラズマ処理が良好に実施されている場合の処理水19に含まれる過酸化水素の濃度との相関データをあらかじめ作成しておき、内部メモリ又は外部メモリ等に保存しておく。
制御部31は、メモリ等から読み出した上記相関データと、過酸化水素濃度センサ29から受信した測定結果とを用いてプラズマ処理性能の変化を検出するとともに、電源13の出力を制御する。
制御部31は、過酸化水素濃度の測定値とあらかじめ得られている標準値との差が所定の範囲を超えた場合に電源13の出力をオン又はオフさせてもよいし、電源13の出力のオン又はオフを行う代わりに、電源13が出力する電圧を適宜上昇又は下降させてもよい。
また、電源13がパルス電源又は交流電源であるときは、処理水19中の過酸化水素の濃度に応じて電源13の出力周波数を変更することもできる。
−導電率センサ及びインピーダンスセンサを用いた水質制御−
本実施形態の水質制御装置では、上述の過酸化水素濃度センサを用いた制御とは別個に、あるいは過酸化水素濃度センサを用いた制御とともに、導電率センサ21とインピーダンスセンサ23とを用いて電極間距離の制御を行うことができる。
本実施形態の水質制御装置では、例えば、導電率センサ21の測定値と初期状態での電極3a、3bの電極間距離とを用いて電極間インピーダンスの基準値を算出しておく。さらに、インピーダンスセンサ23は、電極3bと電極3aとの間を流れる電流の値を測定することで電極3a、3b間のインピーダンスを測定する。制御回路27は、電極間インピーダンスの基準値と電極間インピーダンスの測定値との差から電極の摩耗度合いを検知し、電極間距離の変化分、及び電極間距離を算出する。
制御回路27は、算出された電極間距離(又はその変化分)に応じて電極3a、3bの位置を調節させる旨の指示をアクチュエータ25に送信する。電極間距離が所定の範囲を外れているときには、アクチュエータ25が電極3a、3bを移動させ、電極間距離を所定の範囲内にする。
なお、電極の摩耗量が多くなって電極間距離を調節するのに十分な長さが電極3a、3bに残されていない場合には、例えば本実施形態の水質制御装置が組み込まれた装置全体を停止させる等によって、本実施形態の水質制御装置の動作を停止させる。
また、例えば制御回路27によって算出された電極間距離が所定の範囲内にある場合であって、制御部31がプラズマ処理性能の低下を検出した場合に、制御部31は電源13の出力電圧を変化させてもよい。さらに、算出された電極間距離が所定の範囲を外れている場合であって、制御部31がプラズマ処理性能の低下を検出した場合に、制御部は電源13の出力を変化させず、制御回路27はアクチュエータを介して電極3a、3bの位置を調節してもよい。
このように、過酸化水素濃度センサ29を用いた電源制御と、導電率センサ21、インピーダンスセンサ23及びアクチュエータ25を用いた電極間距離の制御とを併せて行うことにより、水質制御装置のプラズマ処理性能をより精度良く安定化させることができ、高いレベルのプラズマ処理性能を長時間維持することが可能となる。なお、制御部31、制御回路27による具体的な制御方法は以上で説明した例に限定されない。
−本開示に係る水質制御装置及び水質制御方法の効果−
図1に示すように、処理水19の過酸化水素濃度とプラズマ処理性能とは相関性が非常に高い。本実施形態の水質制御装置では、処理水19の過酸化水素濃度をプラズマ処理性能の指標として用いているので、被処理水15の性質変化の影響を受けずにプラズマ処理性能の変化を正確に検出することが可能になっている。特に、処理水19の過酸化水素濃度が2mg/L以上の範囲であれば、プラズマ処理性能の変化をより正確に検出できる。
また、本実施形態の水質制御装置では、処理水19の過酸化水素濃度をリアルタイムで測定し、電源出力のフィードバック制御を行っているので、装置を長時間稼働した場合であっても高いプラズマ処理能力を維持することが可能となっている。
図4は、本実施形態に係る水質制御装置の効果を示す図である。本試験では、10CFU/Lの大腸菌を含む菌液を被処理水として流路1に流し、連続的にプラズマ処理を行った場合の殺菌率の経時変化を測定した。ここでは、比較対象として、プラズマ処理後の被処理水の導電率を用いて電源出力の制御を行った装置と、プラズマ処理後の被処理水のpHを用いて電源出力の制御を行った装置についても殺菌率の経時変化を測定した。なお、いずれの例でも、開放部内で、平板状のメッシュ電極を開放部の軸方向に対して垂直な方向に配置して試験を行った。電極間距離は、1mmとした。
この結果から、被処理水の導電率やpHを用いて制御を行った場合には、稼働時間が長くなるにつれプラズマ処理性能が低下するのに対し、本実施形態の水質制御装置では、稼働時間が長くなっても高いプラズマ処理性能を維持できることが確認できた。
また、本実施形態の水質制御装置では、電極間距離が適切な範囲内になるよう制御されているので、長期間の使用により電極3a、3bが摩耗した場合であっても高い処理性能を維持させることが可能である。
図5は、水質制御装置において、電極間距離と殺菌率との関係を示す図である。本試験では、10CFU/Lの大腸菌を含む菌液を被処理水として流路に流し、1時間プラズマ処理を継続した時点での殺菌率を測定した。プラズマ処理前の被処理水の導電率が1.0μS/cm、220μS/cm、830μS/cmのそれぞれの場合について、電極間距離を変化させた場合の殺菌率をそれぞれ測定した。いずれの例でも、平板状のメッシュ電極を開放部の軸方向に対して垂直な方向に配置して試験を行った。
図5に示すように、被処理水の導電率によらず、電極間距離が0.5mmより小さい場合には、火花(スパーク)が発生してしまい、安定してプラズマ放電を生起させることができなかった。また、電極間距離が2.0mmを超える場合には、被処理水の導電率が低い場合(1.0μS/cm)を除き、放電が不安定となった。
以上のことから、本実施形態の水質制御装置において、電極間距離が0.5mm以上2.0mm以下になるよう制御すれば、安定したプラズマ放電処理が可能になることが分かった。
また、図6は、電極間距離が所定の範囲内になるように電極位置を調整した場合と調整しなかった場合の水質制御装置において、殺菌率の経時変化をそれぞれ測定した結果を示す図である。電極は針状とし、開放部の軸方向に対して垂直な方向に対向して配置した。初期の電極間距離は1mmとして試験を行った。
図6に示すように、電極間距離を制御しなかった場合、稼働時間に対してほぼ直線的に殺菌率が低下し、50時間経過時点で放電を停止した。これは、電極の摩耗によって電極間距離が離れ過ぎたためと考えられる。
これに対し、電極間距離を制御した場合には、処理の開始時と同等の殺菌率を100時間経過後でも維持できることが分かった。この結果から、本実施形態の水質制御装置においては、電極間距離が0.5mm以上2.0以下の範囲を外れた場合に電極位置を自動的に調節して電極間距離を当該範囲内にすることで、優れたプラズマ処理性能を長時間維持できることが確認できた。
なお、電極3a、3bの形状が針状である場合だけでなく、メッシュ状等である場合にも、電極間距離を0.5mm以上2.0以下の範囲にすることが好ましいと考えられる。
また、本実施形態の水質制御装置において、過酸化水素濃度センサ29が取り外し自在な状態で流路に設置されていれば、過酸化水素濃度センサ29が故障等した場合に容易に交換できるので好ましい。
また、アクチュエータ25は、電極3a、3bの一方のみの位置を調節することができれば電極間距離を調節できるが、電極3a、3bの両方の位置を調節できればより好ましい。この構成により、電極3a、3b間に流路1(開放部11)の中心軸を置くことができる。開放部11の中心軸付近は気泡密度が他の部分よりも高くなっていることから、上述の構成によって、開放部11の気泡5内でプラズマ放電を効率良く発生させることが可能になる。
なお、過酸化水素濃度センサ29の表面が汚れた場合には、新品に取り替える他、気体供給部9から流路1内に供給される気泡5によって汚れを物理的に落とすことができる。
−実施形態に係る水質制御装置の第1の変形例−
図7(a)は、図2及び図3に示す実施形態に係る水質制御装置の第1の変形例を上流側から見た径方向断面図であり、(b)は、当該水質制御装置の軸方向断面図である。
図7(a)、(b)に示すように、本変形例に係る水質制御装置は、プラズマ放電を生起させるための電極3a、3bが平板メッシュ状であり、流路1の軸方向に対して垂直な方向に配置されている点で図2及び図3に示す水質制御装置と異なる。また、電極形状の違いに伴ってアクチュエータ25の構成も図2及び図3に示す水質制御装置と異なっている。
電極3a、3bが流路1の軸方向に対して垂直に配置されている場合、アクチュエータ25はモータを有し、いずれか一方の電極(図7(a)では電極3a)の位置を調節する構成になっている。この構成では、流路1は上流側に配置され、外側にねじ溝35が形成された第1の筒状部分と、下流側に配置され、ねじ溝35と螺合するねじ溝37が内側に形成された第2の筒状部分とによって形成される。
モータが、第1の筒状部分の外側に形成されたギアと噛み合わされていることによって、当該モータの回転力が第1の筒状部分に伝達され、第1の筒状部分を流路1の軸方向に前進又は後退させることが可能となっている。一方の電極3bは第2の筒状部分に固定され、電極3aは第1の筒状部分に固定される。
この構成によれば、モータの回転力によって筒状部分を回転させることで、ねじ込み式に電極3aの位置を流路1の軸方向に移動させることができる。これにより、電極間距離を自動的に適切な範囲に維持できるので、被処理水のプラズマ処理能力を長時間高いレベルに維持することが可能となる。
−実施形態に係る水質制御装置の第2の変形例−
図8は、図2及び図3に示す実施形態に係る水質制御装置の第2の変形例を示す図である。同図に示すように、本変形例に係る水質制御装置では、インピーダンスセンサ23に代えて、プラズマ放電に伴う放電光の強度を測定する発光分光センサ41が設けられている。発光分光センサ41は、例えばOHラジカルに由来する波長310nm付近の発光を検知することができる。
図9は、水質制御装置において、電極間距離とプラズマ放電により生じる放電光の強度との関係を示す図である。本試験では、電極を平板メッシュ状とし、流路1(開放部11)の軸方向に対して垂直に配置した。
図9に示す結果から、被処理水の導電率が高い程、放電光の発光強度は小さくなっており、導電率が低い場合を除き、電極間距離が大きくなるにつれて発光強度が減少することが分かった。また、電極間距離と発光強度は、被処理水の導電率が決まれば一対一で対応することも分かった。
従って、被処理水の導電率が一定の場合での電極間距離と発光強度との関係をあらかじめデータとしてとっておき、発光分光センサ41における測定値をこのデータにあてはめることで、電極間距離をリアルタイムで算出することができる。
このため、電極間距離又は電極間距離の変化を検知した場合に、電極間距離を所定の範囲(例えば0.5mm以上2.0mm以下)内に自動的に調節することができるようになる。その結果、本変形例に係る水質制御装置においても、図2及び図3に示す水質制御装置と同様に、プラズマ放電が安定に維持され、長時間にわたって殺菌性能及び有機物分解性能を高いレベルで維持することができる。
なお、以上で説明した実施形態及びその変形例に係る水質制御装置は構成の一例であって、各部材の形状、大きさ、部材の配置方向等は本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
また、実施形態及びその変形例に係る水質制御装置の構成同士を矛盾しない範囲で適宜組み合わせてもよい。例えば、図8に示す発光分光センサ41を図7に示す第1の変形例に係る水質制御装置に適用してもよい。
以上説明したように、本開示の一例に係る水質制御装置及び水質制御方法は、浄水器、機能水機、洗濯機等、水を使用する電化製品や、廃水処理等に有用である。
1 流路
3a、3b 電極
5 気泡
7 絞り部上流領域
8 絞り部
9 気体供給部
10 気体
11 開放部
13 電源
15 被処理水
17 ポンプ
19 処理水
21 導電率センサ
23 インピーダンスセンサ
25 アクチュエータ
27 制御回路
29 過酸化水素濃度センサ
31 制御部
35、37 ねじ溝
41 発光分光センサ

Claims (11)

  1. 被処理水を通水させる流路と、
    前記流路内に配置された一対の電極と、
    前記一対の電極間に電圧を印加してプラズマ放電を生起させ、前記被処理水を連続的にプラズマ処理させる電源と、
    前記流路の、前記一対の電極よりも下流側に配置され、前記被処理水の過酸化水素濃度を測定する過酸化水素濃度センサと、
    前記過酸化水素濃度センサによって測定された前記被処理水の過酸化水素濃度の変化からプラズマ処理性能の変化を検出するとともに、前記被処理水の過酸化水素濃度に応じて前記電源の出力を制御する制御部とを備えている水質制御装置。
  2. 請求項1に記載の水質制御装置において、
    前記制御部は、少なくともプラズマ処理された前記被処理水の過酸化水素濃度が、前記被処理水のプラズマ処理性能と相関する範囲内で前記電源の出力制御を行うことを特徴とする水質制御装置。
  3. 請求項1又は2に記載の水質制御装置において、
    前記制御部は、過酸化水素濃度の測定値とあらかじめ得られている標準値との差が所定の範囲を超えた場合に電源の出力を変化させることを特徴とする水質制御装置。
  4. 請求項1〜3のうちいずれか1つに記載の水質制御装置において、
    前記過酸化水素濃度センサは、前記流路に取り外し自在な状態で配置されていることを特徴とする水質制御装置。
  5. 請求項1〜4のうちいずれか1つに記載の水質制御装置において、
    前記一対の電極の少なくとも一方の位置を調節するアクチュエータと、
    前記一対の電極の電極間距離を示す情報に基づいて、前記アクチュエータの動作を制御することで、前記一対の電極の電極間距離を所定の範囲内に維持する制御回路とをさらに備えていることを特徴とする水質制御装置。
  6. 請求項5に記載の水質制御装置において、
    前記流路のうち、前記一対の電極よりも上流側の位置に設けられ、前記被処理水の導電率を測定する導電率センサと、
    前記一対の電極の電極間インピーダンスを測定するインピーダンスセンサとをさらに備え、
    前記制御回路は、前記導電率センサから出力された測定結果と、前記インピーダンスセンサから出力された測定結果とを受けて前記電極間距離を示す情報を算出し、算出された前記電極間距離が前記所定の範囲を外れる場合には、前記アクチュエータを介して電極位置を調節することを特徴とする水質制御装置。
  7. 請求項5に記載の水質制御装置において、
    前記流路のうち、前記一対の電極よりも上流側の位置に設けられ、前記被処理水の導電率を測定する導電率センサと、
    前記一対の電極間で生起されるプラズマ放電の放電光の強度を測定する発光分光センサとをさらに備え、
    前記制御回路は、前記導電率センサから出力された測定結果と、前記発光分光センサから出力された測定結果とを受けて前記電極間距離を示す情報を算出し、算出された前記電極間距離が前記所定の範囲を外れる場合には、前記アクチュエータを介して電極位置を調節することを特徴とする水質制御装置。
  8. 請求項5〜7のうちいずれか1つに記載の水質制御装置において、
    前記電極間距離が前記所定の範囲内にある場合であって、前記制御部がプラズマ処理性能の低下を検出した場合、前記制御部は前記電源の出力電圧を上昇させ、
    前記電極間距離が前記所定の範囲を外れている場合であって、前記制御部がプラズマ処理性能の低下を検出した場合、前記制御部は前記電源の出力電圧を変化させず、前記制御回路は前記アクチュエータを介して電極位置を調節することを特徴とする水質制御装置。
  9. 請求項5〜8のうちいずれか1つに記載の水質制御装置において、
    前記電極間距離の前記所定の範囲は、0.5mm以上2.0mm以下であることを特徴とする水質制御装置。
  10. 請求項5〜9のうちいずれか1つに記載の水質制御装置において、
    前記アクチュエータは、前記一対の電極の両方の位置を調節することを特徴とする水質制御装置。
  11. 請求項1〜10のうちいずれか1つに記載の水質制御装置により前記被処理水のプラズマ処理を行う、水質制御方法。

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