JP2014112642A - 太陽電池用封止膜及びこれを用いた太陽電池 - Google Patents

太陽電池用封止膜及びこれを用いた太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】波長変換材料を含むことで太陽電地素子の発電効率を向上することができ、太陽電池を長期間にわたって使用した場合であっても、発電効率を向上する効果を十分に維持することができる太陽電池用封止膜、及び太陽電池を提供する。
【解決手段】オレフィン(共)重合体を含む樹脂材料及び波長変換物質を含む太陽電池用封止膜であって、波長変換材料が、特定構造式を有するユウロピウム錯体であり、アクリル系樹脂からなる微粒子中に含有されているか、又は当該微粒子に担持されており、且つ前記微粒子が、前記樹脂材料中に分散されていることを特徴とする太陽電池用封止膜、及びこれを用いた太陽電池。
【選択図】図1

Description

本発明は、エチレン−極性モノマー共重合体を主成分とする太陽電池用封止膜に関し、特に、波長変換材料を含むことにより、太陽電池の発電に寄与する光線を増加させ、発電効率を向上できる太陽電池用封止膜に関する。
近年、資源の有効利用や環境汚染の防止等の面から、太陽光を電気エネルギーに直接変換する太陽電池が広く使用され、更に、発電効率や耐候性等の点から開発が進められている。
太陽電池は、一般に、図1に示すように、ガラス基板などからなる表面側透明保護部材11、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の樹脂材料からなる表面側封止膜13A、シリコン結晶系発電素子などの太陽電池用セル14、裏面側封止膜13B、及び裏面側保護部材(バックカバー)12をこの順で積層し、減圧下で脱気した後、加熱加圧して表面側封止膜13A及び裏面側封止膜13Bを架橋硬化させて接着一体化することにより製造される。
一方、一般にシリコン結晶系発電素子等、何れのタイプの太陽電池素子であっても紫外領域の光線に対しては分光感度が低く、太陽光のエネルギーを有効に活用できていないという問題点が知られている。この問題点を解決するために、紫外領域の光線を可視領域又は近赤外領域の波長の光線に変換する材料(波長変換材料)を用いることにより、太陽電池セルの発電効率を向上させる技術が提案されている。具体的には、太陽電池セルの受光面側に、蛍光物質を含む層を設けることにより、太陽光スペクトルの内、紫外領域の光を波長変換し、太陽電池セルの発電に寄与の大きい波長の光を発光させる手法(例えば、特許文献1)、蛍光物質(例えば、500〜1000nmの蛍光を発する希土類錯体)を太陽電池モジュールの封止材(封止膜)に含有させる手法(例えば、特許文献2、3)等が提案されている。
特開2003−243682号公報 特開2006−303033号公報 特開2011−210891号公報
しかしながら、本発明者が、これまで提案された技術における波長変換材料を上述のような太陽電池用封止膜に配合して検討したところ、これらの波長変換材料は紫外線による劣化が大きく、屋外で長期間にわたって使用される太陽電池に使用する場合には波長変換する効果が低下し、発電効率を向上する効果が低下し易いことが判った。また、波長変換材料は、一般に、上述のような封止膜に用いられるEVA等の樹脂に比べて融点が高く、封止膜中に均一に分散させ難いため、波長変換する効果にムラが生じ、発電効率を向上する効果が十分発揮されず、凝集等により劣化も生じ易いことが判った。更に、太陽電池を長期間使用すると、封止膜中に生じる場合がある酸や水分によっても波長変換材料の劣化が生じるため、発電効率を向上する効果がより低下し易いことも判った。
従って、本発明の目的は、波長変換材料を含むことで太陽電地素子の発電効率を向上することができる太陽電池用封止膜であって、太陽電池を長期間にわたって使用した場合であっても、発電効率を向上する効果を十分に維持することができ、且つ波長変換材料が封止膜中に均一に分散され、発電効率を向上する効果を十分発揮することができる太陽電池用封止膜を提供することにある。
また、本発明の目的は、太陽電池用封止膜を用いて、高い発電効率を長期に亘り維持することができる太陽電池を提供することにある。
上記目的は、オレフィン(共)重合体を含む樹脂材料、及び波長変換物質を含む太陽電池用封止膜であって、波長変換材料が、下記式(I):
Figure 2014112642
[式中、Rは、それぞれ独立して水素原子又は任意に置換されていても良い炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、nは、1〜4の整数である。]で表されるユウロピウム錯体であり、前記波長変換材料が、アクリル系樹脂からなる微粒子中に含有されているか、又は当該微粒子に担持されており、且つ前記微粒子が、前記樹脂材料中に分散されていることを特徴とする太陽電池用封止膜によって達成される。
数多くの波長変換材料が検討された結果、前記ユウロピウム錯体の波長変換材料は、太陽電池用封止膜中において紫外線による劣化が極めて生じ難いことが判った。従って、前記波長変換材料を用いることで、屋外で長期間使用した場合であっても、太陽電池の発電効率を向上する効果が低下し難い太陽電池用封止膜とすることができる。更に、前記波長変換材料が、アクリル系樹脂からなる微粒子中に含有されているか、又はその微粒子に担持されており、その微粒子が封止膜の樹脂材料中に分散されていることにより、前記波長変換材料が太陽電池用封止膜中に均一に分散し、発電効率を向上する効果を十分に発揮することができ、前記波長変換材料の凝集等による劣化を防止し、更に太陽電池の発電効率を向上する効果が低下し難い太陽電池用封止膜とすることができる。
本発明に係る太陽電池用封止膜の好ましい態様は以下の通りである。
(1)前記式(I)において、Rが全ての水素原子であり、nが1である。特に耐紫外線性に優れる。
(2)前記波長変換材料が、前記微粒子中に含有されている。オレフィン(共)重合体を含む太陽電池用封止膜中に生じる場合がある酸や水分の影響による前記波長変換材料の劣化をより防止することができ、より発電効率を向上する効果が低下し難い太陽電池用封止膜とすることができる。
(3)前記アクリル系樹脂が、ポリ(メタ)アクリル酸メチルを主成分とする樹脂である。屈折率がオレフィン(共)重合体と同等又はそれ以下であるため、封止膜の透明性に影響を与え難い。
(4)前記微粒子が、球状である。ハンドリング性、分散性に優れる。
(5)前記波長変換材料の含有量が、前記樹脂材料100質量部に対して、0.000001〜1質量部である。これにより十分な発電効率を向上する効果が得られる。
(6)前記波長変換材料の含有量が、前記樹脂材料100質量部に対して、0.0001〜0.01質量部である。これにより更に十分な発電効率を向上する効果が得られる。
(7)前記オレフィン(共)重合体が、メタロセン触媒を用いて重合されたエチレン・αオレフィン共重合体(m−LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン、ポリブテン、及びエチレン−極性モノマー共重合体からなる群から選択される1種以上の重合体である。
(8)前記オレフィン(共)重合体が、メタロセン触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体(m−LLDPE)及び/又はエチレン−極性モノマー共重合体である。加工性に優れ、架橋剤による架橋構造を形成することができ、接着性が高い封止膜とすることができる。
(9)前記エチレン−極性モノマー共重合体が、エチレン−酢酸ビニル共重合体又はエチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体(EMMA)である。より透明性に優れ、柔軟性に優れた封止膜とすることができる。
(10)前記波長変換材料の励起波長に相当する325nmの光線を、太陽電池用封止膜に照射したときに得られる蛍光発光スペクトルにおける波長580〜640nmの発光ピーク面積を蛍光強度とし、1000W/cmの照射強度を有する紫外線ランプから235mmの距離に、前記太陽電池用封止膜を配置し、温度63℃条件下で連続照射し、経時的に前記蛍光強度を測定したとき、前記太陽電池用封止膜の蛍光強度が、照射前の蛍光強度に対して30%に低下するまでに要する時間が、10時間以上である。
このような紫外線耐性を示すものであれば、太陽電池を長期間にわたって使用した場合であっても、発電効率を向上する効果を十分に維持することができる太陽電池用封止膜であるといえる。
また、上記目的は、本発明の太陽電池用封止膜により太陽電池素子を封止してなることを特徴とする太陽電池によって達成される。本発明の太陽電池は、本発明の太陽電池用封止膜が用いられているので、波長変換材料により太陽電池素子の発電効率が向上されており、高い発電効率が長期に亘り維持される太陽電池であるといえる。
本発明の太陽電池封止膜は、発電効率を向上する効果を有する波長変換材料として特定のユウロピウム錯体が、封止膜を形成する樹脂材料中に分散されたアクリル系樹脂からなる微粒子中に含有されているか、又は担持されているので、紫外線等の影響により波長変換材料が劣化され難く、発電効率を向上する効果が長期間維持されている。従って、本発明の太陽電池は、高い発電効率が長期に亘り維持される太陽電池であるといえる。
一般的な太陽電池の概略断面図である。
本発明の太陽電池用封止膜は、少なくともオレフィン(共)重合体を含む樹脂材料、及び波長変換材料として、下記式(I):
Figure 2014112642
[式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子又は任意に置換されていても良い炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、nは、1〜4の整数、好ましくは1である。]で表されるユウロピウム錯体を含む。そして、このユウロピウム錯体が樹脂材料中に分散されたアクリル系樹脂からなる微粒子中に含有されているか、又はその微粒子に担持されている。
上述の通り、式(I)において、複数個のRは、同一でも異なっていても良く、水素原子又は炭素原子数1〜20の炭化水素基である。
炭素原子数1〜20の炭化水素基は、脂肪族でも芳香族でも良く、不飽和結合やへテロ原子を含んでいても良く、直鎖状でも分枝を有していても良い。例えば、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基等)、アルケニル基(ビニル基、アリル基、ブテニル基等)、アルキニル基(エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等)、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられる。上記炭化水素基は任意に置換されていても良く、置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、スルホ基等が挙げられる。式(I)におけるRは全て水素原子であることが好ましい。
このようなユウロピウム錯体は、他の波長変換材料と比較して、耐候性(特に耐紫外線性)に極めて優れているため、屋外に設置されて太陽光に長時間曝される太陽電池の封止膜に使用した場合であっても波長変換効果を高い水準で維持することができる。また、他の波長変換材料と比較して耐熱性にも優れているため、太陽電池が太陽光に曝されて高温となっても波長変換効果を維持することができる。
上記ユウロピウム錯体は、式(I)中のnが1であり、Rが全て水素原子であるEu(hfa)(TPPO)であることが、耐紫外線性に特に優れる点で好ましい。Eu(hfa)(TPPO)はトリフェニルホスフィンオキシドとヘキサフルオロアセチルアセトンの2種の配位子が中心元素である希土類金属のユウロピウムに配位しているユウロピウム錯体である。
なお、360nm付近に吸収ピークを有する他の波長変換材料と比較して、式(I)のユウロピウム錯体は330nm付近に吸収ピークを有する。そのため、発電への寄与率がより低い波長の紫外線を可視光に変換可能であり、発電効率の向上により有効な効果を発揮する。また、太陽電池の裏面側保護部材や、製造時に太陽電池セルを所望の位置に配置するためのセル止めテープに使用されることが多いポリエステル(特にPET)材料は330nmの紫外線により特に劣化する傾向にあるため、式(I)のユウロピウム錯体を使用すれば、裏面側保護部材やセル止め用テープの劣化や黄変を軽減することができる。
そして、本発明においては、式(I)のユウロピウム錯体が、更にアクリル系樹脂からなる微粒子に含有されているか、担持された状態で樹脂材料中に分散していることにより、波長変換材料が太陽電池用封止膜中に均一に分散されている。
式(I)のユウロピウム錯体の融点は、エチレン−極性モノマー共重合体を含む樹脂材料に比較して高い融点を示すため、樹脂材料と混合する際に均一に分散し難く、ムラが生じる場合がある。その場合、波長変換する効果にムラが生じ、発電効率を向上する効果が十分発揮されず、錯体の凝集等により劣化も生じ易くなる恐れがある。上記微粒子は上記樹脂材料における分散性が良いため、その微粒子に含有させるか、担持させることで、上記ユウロピウム錯体を樹脂材料中に均一に分散させることができ、発電効率を向上する効果を十分発揮させ、錯体の劣化も抑制することができる。
式(I)のユウロピウム錯体は、微粒子中に含有されている方が、エチレン−極性モノマー共重合体を含む太陽電池用封止膜中に生じる場合がある酸や水分の影響による劣化をより防止することができ、より発電効率を向上する効果が低下し難い太陽電池封止膜とすることができる点で好ましい。
式(I)のユウロピウム錯体は、太陽電池用封止膜の樹脂材料100質量部に対して0.000001〜1質量部の範囲内で配合されることが好ましい。0.000001質量部を下回ると、十分な波長変換効果が得られない恐れがあり、更に0.00001質量部以上配合することが好ましく、特に0.0001質量部以上配合することが好ましい。一方、1質量部を上回ると、太陽光を発電素子に十分に入射させるために必要な透明性を確保し難くなる恐れがあり、またコスト的にも不利になる傾向があり、更に0.1質量部以下配合することが好ましく、特に0.01質量部以下配合することが好ましい。
なお、本発明において、式(1)のユウロピウム錯体は、微粒子に含有させるか、又は担持させて、太陽電池用封止膜の樹脂材料に配合するため、太陽電池用封止膜中の式(I)のユウロピウム錯体の含有量は、後述する式(I)のユウロピウム錯体を含む微粒子の配合量によって調整する。
[微粒子]
本発明において微粒子はアクリル系樹脂から形成されている。アクリル系樹脂とは、主成分として(メタ)アクリル系モノマーを用いて重合させたものであり、(メタ)アクリル系モノマーと共重合可能な他のモノマーを含んでいてもよい。(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等が挙げられる。なお、「(メタ)アクリル−」は、「アクリル−又はメタクリル−」を示す。これらの(メタ)アクリル系モノマーは単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。(メタ)アクリル系モノマーと共重合可能な他のモノマーとしては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−フェニルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン等のスチレン系モノマー、エチレン、プロピレン、ブチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。
また、分子間に架橋構造を有する樹脂粒子を得ようとする場合、重合性二重結合を分子中に複数個有する(メタ)アクリル系モノマーを上記(メタ)アクリル系モノマーと共重合させることができる。このような架橋性(メタ)アクリル系モノマーとしては、トリアクリル酸トリメチロールプロパン、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸ジエチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸デカエチレングリコール、ジメタクリル酸ペンタデカエチレングリコール、ジメタクリル酸ペンタコンタヘクタエチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレン、メタクリル酸アリル、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、テトラメタクリル酸ペンタエリスリトール、ジメタクリル酸フタル酸ジエチレングリコール等の(メタ)アクリル系モノマーが挙げられ、これらを複数種組合せて用いることもできる。
樹脂を形成するモノマーを重合する方法としては、特に制限はなく、懸濁重合や乳化重合等、従来公知の方法で行うことができる。中でも、反応制御が容易等の利点がある点で、懸濁重合が好ましい。懸濁重合は、上記モノマーを、モノマーに可溶な重合開始剤存在下で、水等の溶媒中で重合させる、重合開始剤としては、例えば、ラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤としては特に制限はなく、通常使用される、過酸化物等があげられ、例えば、熱により遊離ラジカルを発生させる有機過酸化物やアゾ系開始剤を用いることができる。
有機過酸化物としては例えば、ベンゾイルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。アゾ系開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(アゾイソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メチキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート等が挙げられる。
溶媒は、水の他に有機溶剤を含めることができる。有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のアステル類;イソオクタン、シクロへキサン等の(シクロ)パラフィン類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類などを挙げることができる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。重合開始剤の添加量は特に制限はなく、形成される微粒子の屈折率等を考慮して適宜調整することができる。一般にモノマー100質量部に対して0.01〜10質量部であり、好ましくは、モノマー100質量部に対して、0.01〜2質量部、特に、0.1〜1質量部である。
アクリル系樹脂からなる微粒子の屈折率は、特に制限はないが、封止膜のエチレン−極性モノマー共重合体を含む樹脂材料の屈折率と比較して高過ぎると、反射により白濁し、透明性が低下し、ヘイズ値も大きくなることになる。従って、太陽電池用封止膜の透明性に影響を与えないように、上記樹脂材料と屈折率が同等またはそれ以下のアクリル系樹脂として、(メタ)アクリル酸メチルを重合したポリ(メタ)アクリル酸メチルを主成分とする樹脂が好ましい。
本発明において、式(I)のユウロピウム錯体は、微粒子に含有されていても良く、担持されていても良い。微粒子に含有させる場合は、例えば、上述のアクリル系樹脂からなる微粒子を形成する際に、重合性のモノマーとともに、式(I)のユウロピウム錯体を混合して製造する方法、溶解した樹脂に式(I)のユウロピウム錯体を混合して微粒子化する方法等が挙げられる。特に、重合性のモノマーと式(I)のユウロピウム錯体を混合して製造する方法が好ましい。
また、式(I)のユウロピウム錯体を微粒子に担持させる場合は、例えば、式(I)のユウロピウム錯体をアセトン、トルエン等の溶剤に溶解し、微粒子と混合した後乾燥させる方法等が挙げられる。
微粒子に含有させるか、又は担持させる式(I)のユウロピウム錯体の量には特に制限はない。微粒子における式(I)のユウロピウム錯体の含有率が高い方が、発光強度が高くなり、耐光性、耐熱性も高くなる傾向がある。一方、含有率が高過ぎると、透明性に影響を与える場合があり、コスト的にも不利となる。従って、微粒子における式(I)のユウロピウム錯体の含有率は、0.01〜5質量%が好ましく、0.05〜2質量%がより好ましく、特に0.1〜1質量%が好ましい。
本発明において、微粒子の形状に、特に制限はないが、分散性や光散乱性が低い点で球状が好ましい。また微粒子の平均粒子径は、特に制限はないが、大き過ぎると微粒子の質量あたりの表面積が小さくなるため、発光効率が低下する場合があり、小さ過ぎると飛散し易く、ハンドリング性が悪く、微粒子同士も結合し易くなり分散性が低下する場合がある。従って、微粒子の平均粒子径は5〜200μmが好ましく、20〜150μmがより好ましく、特に50〜100μmが好ましい。
[樹脂材料]
本発明において、太陽電池用封止膜の樹脂材料は、オレフィン(共)重合体を主成分として含む。ここで、オレフィン(共)重合体とは、エチレン・α−オレフィン共重合体(例えば、メタロセン触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体(m−LLDPE)等)、ポリエチレン(例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等)、ポリプロピレン、ポリブテン等のオレフィンの重合体又は共重合体、及びエチレン−極性モノマー共重合体等のオレフィンと極性モノマーとの共重合体を意味し、太陽電池用封止膜に要求される接着性、透明性等を有するものとする。オレフィン(共)重合体として、これらの1種を用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。本発明において、オレフィン(共)重合体としては、メタロセン触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体(m−LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン、ポリブテン及びエチレン−極性モノマー共重合体からなる群から選択される少なくとも1種以上の重合体であることが好ましい。特に、加工性に優れ、架橋剤による架橋構造を形成することができ、接着性が高い太陽電池用封止膜を形成することができることから、オレフィン(共)重合体が、メタロセン触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体(m−LLDPE)及び/又はエチレン−極性モノマー共重合体であることが好ましい。
(メタロセン触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体(m−LLDPE))
m−LLDPEは、エチレン由来の構成単位を主成分とし、更に炭素数3〜12のα−オレフィン、例えば、プロピレン、1−ブテン、1-へキセン、1−オクテン、4−メチルペンテン−1、4−メチル−へキセン−1、4,4−ジメチル−ペンテン−1等由来の1種又は複数種の構成単位を有するエチレン・α−オレフィン共重合体(ターポリマー等も含む)である。エチレン・α−オレフィン共重合体の具体例としては、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・4−メチル−ペンテン−1共重合体、エチレン・ブテン・ヘキセンターポリマー、エチレン・プロピレン・オクテンターポリマー、エチレン・ブテン・オクテンターポリマー等が挙げられる。エチレン・α−オレフィン共重合体におけるα−オレフィンの含有量は、5〜40質量%が好ましく、10〜35質量%がより好ましく、15〜30質量%が更に好ましい。α−オレフィンの含有量が少ないと太陽電池用封止膜の柔軟性や耐衝撃性が十分でない場合があり、多過ぎると耐熱性が低い場合がある。
m−LLPDEを重合するメタロセン触媒としては、公知のメタロセン触媒を用いれば良く、特に制限はない。メタロセン触媒は、一般に、チタン、ジルコニウム、ハフニウム等の遷移金属をπ電子系のシクロペンタジエニル基又は置換シクロペンタジエニル基等を含有する不飽和環状化合物で挟んだ構造の化合物であるメタロセン化合物と、アルキルアルミノキサン、アルキルアルミニウム、アルミニウムハライド、アルキルアルミニウムルハライド等のアルミニウム化合物等の助触媒とを組合せたものである。メタロセン触媒は、活性点が均一であるという特徴があり(シングルサイト触媒)、通常、分子量分布が狭く、各分子のコモノマー含有量がほぼ等しい重合体が得られる。
本発明において、m−LLDPEの密度(JIS K 7112に準ずる。以下同じ)は、特に制限はないが、0.860〜0.930g/cmが好ましい。また、m−LLDPEのメルトフローレート(MFR)(JIS−K7210に準ずる)は、特に制限はないが、1.0g/10分以上が好ましく、1.0〜50.0g/10分がより好ましく、3.0〜30.0g/10分が更に好ましい。なお、MFRは、190℃、荷重21.18Nの条件で測定されたものである。
本発明において、m−LLDPEは市販のものを使用することもできる。例えば、日本ポリエチレン社製のハーモレックスシリーズ、カーネルシリーズ、プライムポリマー社製のエボリューシリーズ、住友化学社製のエクセレンGMHシリーズ、エクセレンFXシリーズ等が挙げられる。
(エチレン−極性モノマー共重合体)
エチレン−極性モノマー共重合体の極性モノマーは、ビニルエステル、不飽和カルボン酸、その塩、そのエステル、そのアミド、一酸化炭素等を例示することができる。より具体的には、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸、これら不飽和カルボン酸のリチウム、ナトリウム、カリウムなどの1価金属の塩やマグネシウム、カルシウム、亜鉛などの多価金属の塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、マレイン酸ジメチル等の不飽和カルボン酸エステル、一酸化炭素、二酸化硫黄などの一種又は二種以上などを例示することができる。
エチレン−極性モノマー共重合体として、より具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体のようなエチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体のようなエチレン−不飽和カルボン酸共重合体、前記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体のカルボキシル基の一部又は全部が上記金属で中和されたアイオノマー、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン−アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体のようなエチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸イソブチル−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸n−ブチル−メタクリル酸共重合体のようなエチレン−不飽和カルボン酸エステル−不飽和カルボン酸共重合体及びそのカルボキシル基の一部又は全部が上記金属で中和されたアイオノマー等を代表例として例示することができる。
エチレン−極性モノマー共重合体としては、JIS K7210で規定されるメルトフローレートが、35g/10分以下、特に3〜6g/10分のものを使用するのが好ましい。このようなメルトフローレート有するエチレン−極性モノマー共重合体を用いることで、加工性に優れた太陽電池用封止膜とすることができる。なお、本発明において、メルトフローレート(MFR)の値は、JIS K7210に従い、190℃、荷重21.18Nの条件に基づいて測定されたものである。
エチレン−極性モノマー共重合体としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体が好ましく、EVA及びEMMAが特に好ましい。これにより、安価であり、透明性、柔軟性に優れる太陽電池用封止膜とすることができる。このような太陽電池用封止膜を用いることで、より耐久性に優れ、発電効率が高い太陽電池を製造することができる。
EVAにおける酢酸ビニルの含有率は、EVAに対して20〜35質量%、さらに22〜30質量%、特に24〜28質量%とするのが好ましい。EVAの酢酸ビニル単位の含有量が低い程、得られるシートが硬くなる傾向がある。酢酸ビニルの含有量が低過ぎると、高温で架橋硬化させる場合に、得られるシートの透明性が充分でない恐れがある。また、酢酸ビニル含有量が高過ぎるとシートの硬さが不十分となる場合がある。
また、EMMAにおけるメタクリル酸メチルの含有率は20〜30質量%、更に22〜28質量%とするのが好ましい。この範囲であれば、透明性の高い封止膜が得られ、発電効率が高い太陽電池とすることができる。
なお、本発明において、樹脂材料には、上述のオレフィン(共)重合体に加えて副次的にポリビニルアセタール系樹脂(例えば、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール(PVB樹脂)、変性PVB)等の樹脂を配合しても良い。
[架橋剤]
本発明の太陽電池用封止膜においては、架橋剤を含有させ、エチレン−極性モノマー共重合体の架橋構造を形成することが好ましい。架橋剤は、有機過酸化物又は光重合開始剤を用いることが好ましい。なかでも、接着力、耐湿性、耐貫通性の温度依存性が改善された封止膜が得られることから、有機過酸化物を用いるのが好ましい。
前記有機過酸化物としては、100℃以上の温度で分解してラジカルを発生するものであれば、どのようなものでも使用することができる。有機過酸化物は、一般に、成膜温度、組成物の調整条件、硬化温度、被着体の耐熱性、貯蔵安定性を考慮して選択される。特に、半減期10時間の分解温度が70℃以上のものが好ましい。
有機過酸化物としては、例えば、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、3−ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン、α,α'−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、ベンゾイルパーオキサイド系硬化剤(t−ブチルパーオキシベンゾエート等)等が挙げられる。
有機過酸化物として、特に、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、又はtert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネートが好ましい。これにより、良好に架橋され、優れた透明性を有する太陽電池用封止膜が得られる。
太陽電池用封止膜に使用する有機過酸化物の含有量は、樹脂材料100質量部に対して、好ましくは0.1〜5質量部、より好ましくは0.2〜3質量部であることが好ましい。有機過酸化物の含有量は、少ないと架橋硬化時において架橋速度が低下する場合があり、多くなると共重合体との相溶性が悪くなる恐れがある。
また、光重合開始剤としては、公知のどのような光重合開始剤でも使用することができるが、配合後の貯蔵安定性の良いものが望ましい。このような光重合開始剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1などのアセトフェノン系、ベンジルジメチルケタ−ルなどのベンゾイン系、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系、イソプロピルチオキサントン、2−4−ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン系、その他特殊なものとしては、メチルフェニルグリオキシレ−トなどが使用できる。特に好ましくは、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1、ベンゾフェノン等が挙げられる。これら光重合開始剤は、必要に応じて、4−ジメチルアミノ安息香酸のような安息香酸系又は、第3級アミン系などの公知慣用の光重合促進剤の1種または2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。また、光重合開始剤のみの1種単独または2種以上の混合で使用することができる。
前記光重合開始剤の含有量は、樹脂材料100質量部に対して0.1〜5質量部、好ましくは0.2〜3質量部である。
[架橋助剤]
本発明の太陽電池用封止膜においては、必要に応じて、架橋助剤を含んでいてもよい。架橋助剤は、エチレン−極性モノマー共重合体のゲル分率を向上させ、封止膜の接着性及び耐久性を向上させることができるものである。
架橋助剤の含有量は、樹脂材料100質量部に対して、一般に10質量部以下、好ましくは0.1〜5質量部、更に好ましくは0.1〜2.5質量部で使用される。これにより、更に接着性に優れる太陽電池用封止膜が得られる。
架橋助剤(一般に、官能基としてラジカル重合性基を有する化合物)としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の3官能の架橋助剤の他、(メタ)アクリルエステル(例、NKエステル等)の単官能又は2官能の架橋助剤等を挙げることができる。なかでも、トリアリルシアヌレートおよびトリアリルイソシアヌレートが好ましく、特にトリアリルイソシアヌレートが好ましい。
[接着向上剤]
本発明の太陽電池用封止膜においては、更に、接着向上剤を含んでいても良い。接着向上剤としては、シランカップリング剤を用いることができる。これにより、更に優れた接着力を有する太陽電池用封止膜とすることができる。前記シランカップリング剤としては、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。これらシランカップリング剤は、単独で使用しても、又は2種以上組み合わせて使用しても良い。なかでも、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましく挙げられる。
前記シランカップリング剤の含有量は樹脂材料100質量部に対して0.1〜0.7質量部、特に0.3〜0.65質量部であることが好ましい。
[その他]
本発明の太陽電池用封止膜においては、封止膜の種々の物性(機械的強度、透明性等の光学的特性、耐熱性、耐光性等)の改良あるいは調整のため、必要に応じて、可塑剤、アクリロキシ基含有化合物、メタクリロキシ基含有化合物及び/又はエポキシ基含有化合物などの各種添加剤をさらに含んでいてもよい。
[太陽電池用封止膜]
上述した本発明の太陽電池用封止膜を形成するには、公知の方法に準じて行えばよい。例えば、上述のように、式(I)のユウロピウム錯体を含む微粒子を調製した後、上記の他の各材料とともにスーパーミキサー(高速流動混合機)、ロールミル等を用いて公知の方法で混合した組成物を通常の押出成形、又はカレンダ成形(カレンダリング)等により成形してシート状物を得る方法により製造することができる。また、前記組成物を溶剤に溶解(微粒子については分散)させ、この分散液を適当な塗布機(コーター)で適当な支持体上に塗布、乾燥して塗膜を形成することによりシート状物を得ることもできる。なお、製膜時の加熱温度は、有機過酸化物を用いる場合は、有機過酸化物が反応しない或いはほとんど反応しない温度とすることが好ましい。例えば、50〜90℃、特に40〜80℃とするのが好ましい。太陽電池用封止膜の厚さは、特に制限されず、用途によって適宜設定することができる。一般に、50μm〜2mmの範囲である。
本発明の太陽電池用封止膜は、上述のように、波長変換材料を含むことで、発電効率を向上し、その発電効率を向上する効果が、太陽電池を長期にわたって使用した場合でも維持することができるものである。その評価として、例えば、波長変換材料(式(I)のユウロピウム錯体)の励起波長に相当する325nmの光線を、太陽電池用封止膜に照射したときに得られる蛍光発光スペクトルにおける波長580〜640nmの発光ピーク面積を蛍光強度とし、1000W/cmの照射強度を有する紫外線ランプから235mmの距離に、前記太陽電池用封止膜を配置し、温度63℃条件下で連続照射し、経時的に前記蛍光強度を測定したとき、前記太陽電池用封止膜の蛍光強度が、照射前の蛍光強度に対して30%に低下するまでに要する時間が、10時間以上であることが好ましい。
蛍光強度は、例えば、以下のように測定する。まず、0.46mmに調製した上記の太陽電池用封止膜を、厚さ3.2mmの白板ガラスで挟持し、90℃の真空ラミネータにて、脱気時間2分、プレス時間8分で圧着し、155℃のオーブン中で30分架橋することにより架橋サンプルを作製する。得られたサンプルを、蛍光分光光度計(例えば、F−7000(日立ハイテクノロジーズ社製))を用いて、励起波長(式(I)のユウロピウム錯体については325nm)の光線を照射し、各波長における発光量をプロットして蛍光発光スペクトルを得る。この蛍光発光スペクトルにおける発光ピーク面積(式(I)のユウロピウム錯体については580〜640nmの発光ピーク面積)を蛍光強度として算出する。蛍光発光量が分析装置によって異なる任意単位であるので、本発明において蛍光強度は相対的な比較に用いる数値である。
そして、本発明の太陽電池用封止膜において、上述の紫外線による蛍光強度の安定性の評価は、例えば、以下のように試験することができる。上記のように作成した太陽電池用封止膜の架橋サンプルを、環境試験機(例えば、スーパーUV (岩崎電気社製))を用いて、ブラックパネル温度63℃、SUVランプ照射強度1000W/cm、光源までの距離235mmで連続照射を行い、上記蛍光強度を経時的に測定する。照射前の蛍光強度を100%として、蛍光強度が30%に低下するまでの時間を測定し、10時間以上であれば、十分な紫外線耐性を示し、太陽電池を長期間にわたって使用した場合であっても、発電効率を向上する効果を十分に維持することができる太陽電池用封止膜であると判断できる。
[太陽電池]
本発明の太陽電池の構造は、本発明の太陽電池用封止膜により太陽電池素子が封止されてなる構造を含んでいれば特に制限されない。例えば、表面側透明保護部材と裏面側保護部材との間に、本発明の太陽電池用封止膜を介在させて架橋一体化させることにより太陽電池用セルを封止させた構造などが挙げられる。
本発明の太陽電池は、本発明の太陽電池用封止膜が用いられているので、波長変換材料により太陽電池素子の発電効率が向上されており、高い発電効率が長期に亘り維持されている太陽電池である。
なお、本発明において、太陽電池用セルの光が照射される側(受光面側)を「表面側」と称し、太陽電池用セルの受光面とは反対面側を「裏面側」と称する。
前記太陽電池において、太陽電池用セルを十分に封止するには、例えば、図1に示すように表面側透明保護部材11、表面側封止膜13A、太陽電池用セル14、裏面側封止膜13B及び裏面側保護部材12を積層し、加熱加圧など常法に従って、封止膜を架橋硬化させればよい。
加熱加圧するには、例えば、各部材を積層した積層体を、真空ラミネータで温度135〜180℃、さらに140〜180℃、特に155〜180℃、脱気時間0.1〜5分、プレス圧力0.1〜1.5kg/cm2、プレス時間5〜15分で加熱圧着すればよい。この加熱加圧時に、表面側封止膜13Aおよび裏面側封止膜13Bに含まれるオレフィン(共)重合体を架橋させることにより、表面側封止膜13Aおよび裏面側封止膜13Bを介して、表面側透明保護部材11、裏面側透明部材12、および太陽電池用セル14を一体化させて、太陽電池用セル14を封止することができる。
本発明の太陽電池用封止膜は、上述のように、波長変換材料を含むことで太陽電池素子の発電効率を向上させることができるので、太陽電池における太陽電池素子の受光面側に配置される封止膜、すなわち、図1における表面側透明保護部材12と太陽電池セル14との間に配置される封止膜13Aとして利用することが好ましい。
なお、本発明の太陽電池用封止膜は、図1に示したような単結晶又は多結晶のシリコン結晶系の太陽電池用セルを用いた太陽電池だけでなく、薄膜シリコン系、薄膜アモルファスシリコン系太陽電池、セレン化銅インジウム(CIS)系太陽電池等の薄膜太陽電池の封止膜にも使用することもできる。この場合は、例えば、ガラス基板、ポリイミド基板、フッ素樹脂系透明基板等の表面側透明保護部材の表面上に化学気相蒸着法等により形成された薄膜太陽電池素子層上に、本発明の太陽電池用封止膜、裏面側保護部材を積層し、接着一体化させた構造、裏面側保護部材の表面上に形成された太陽電池素子上に、本発明の太陽電池用封止膜、表面側透明保護部材を積層し、接着一体化させた構造、又は表面側透明保護部材、表面側封止膜、薄膜太陽電池素子、裏面側封止膜、及び裏面側保護部材をこの順で積層し、接着一体化させた構造等が挙げられる。なお、本発明において、太陽電池用セルや薄膜太陽電池素子を総称して太陽電池素子という。
表面側透明保護部材11は、通常珪酸塩ガラスなどのガラス基板であるのがよい。ガラス基板の厚さは、0.1〜10mmが一般的であり、0.3〜5mmが好ましい。ガラス基板は、一般に、化学的に、或いは熱的に強化させたものであってもよい。
裏面側保護部材12は、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリアミドなどのプラスチックフィルムが好ましく用いられる。また、耐熱性、耐湿熱性を考慮してフッ化ポリエチレンフィルム、特にフッ化ポリエチレンフィルム/Al/フッ化ポリエチレンフィルムをこの順で積層させたフィルムでも良い。
なお、本発明の太陽電池用封止膜は、太陽電池(薄膜太陽電池を含む)の表面側及び/又は裏面側に用いられる封止膜に特徴を有する。したがって、表面側透明保護部材、裏面側保護部材、および太陽電池用セルなどの封止膜以外の部材については、従来公知の太陽電池と同様の構成を有していればよく、特に制限されない。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
(波長変換材料(式(I)のユウロピウム錯体)を含む微粒子の調製)
(1)波長変換材料含有微粒子
メタクリル酸メチル95質量部、エチレングリコールジメタクリレート5質量部、波長変換材料(1)(Eu(hfa)(TPPO)、ルミシスE−300(セントラルテクノ社製))0.1質量部及び開始剤を用い、常法により懸濁重合を行い、球状微粒子(平均粒子径100μm)を得た。
(2)波長変換材料担持微粒子
ポリメタクリル酸メチル樹脂微粒子(根上工業株式会社製、平均粒子径100μm)に、波長変換材料(1)、Eu(hfa)(TPPO)、ルミシスE−300(セントラルテクノ社製))のアセトン溶液を添加し(微粒子100質量部に対してユウロピウム錯体0.1質量部となるように添加)、撹拌後、乾燥し、球状微粒子を得た。
(太陽電池用封止膜の調製)
下記表に示す配合で各材料をロールミルに供給し、70℃において混練して太陽電池用封止膜組成物を調製した。この太陽電池用封止膜組成物を、70℃においてカレンダ成形し、放冷後、太陽電池用封止膜(厚さ0.46mm)を作製した。
なお、他の各波長変換材料は以下の通りである。
波長変換材料(2):C6042EuF、ルミシスE−400(セントラルテクノ社製)
波長変換材料(3):ルミシスR−600(セントラルテクノ社製)
波長変換材料(4):Eu(TTA)Phen
(架橋サンプルの作製)
上記太陽電池用封止膜を2枚の白板ガラス(厚さ3.2mm)で挟み、得られた積層体を真空ラミネータを用いて90℃において真空時間2分、プレス時間8分で圧着した後、155℃のオーブン中で30分間加熱して架橋硬化させることにより、サンプルを作製した。
(評価方法)
(1)光線透過率(%)
上記サンプルについて、分光光度計(日立製作所製、U−4100)を用いて400〜1000nmのスペクトル測定を実施し、その平均値を光線透過率(%)とした。
(2)ヘイズ(濁度)(%)
上記サンプルについて、JIS K 7105(2000年)に従って、ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製 NDH 2000型)を用いてヘイズ値(%)を測定した。
(3)蛍光強度
上記サンプルについて、分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、F−7000)を用いて蛍光強度を測定した。測定条件:ホトマル電圧400V、励起側スリット20nm、蛍光側スリット10nm、スキャンスピード240nm/min。照射波長は波長変換材料(1)の場合は325nm、波長変換材料(2)及び(3)の場合は355nm、波長変換材料(4)の場合は365nmとした。なお、各波長変換材料自体の励起ピーク波長は、上記各照射波長よりも短波長側に位置しているが、白板ガラスの光線透過率(白板ガラスでの吸収)が紫外線領域に存在しており、白板ガラスの吸収は短波長側にかけて強くなる傾向がある。したがって、短波長側の紫外線は強く吸収され、合わせガラス構造の試験では見かけ励起のピーク波長が長波長側にシフトすることから、各照射波長を上記のとおりとした。
波長をX軸、発光量をY軸に表した関数f(x)の、発光ピークの開始波長から終了波長における曲線と関数f(x)上のX=XとXの2点を結ぶ直線により囲まれる領域の面積を算出し、蛍光強度とした。
(4)UV劣化
上記サンプルについて、紫外線ランプ(スーパーUV、岩崎電気社製)を用い、ブラックパネル温度63℃の条件下において、1000W/cmの紫外線を照射する光源から235mmの位置に対向させて配置し、紫外線を照射した場合に、紫外線照射前の試料の発光強度に対して30%まで低下するのに要する時間を測定した。
(5)分散性評価
上記サンプルについて、紫外線ランプ(スーパーUV、岩崎電気社製)を照射し、サンプル中央の30mm×30mm四方内に、0.1mm以上の発光点がいくつ存在するかをカウントした。波長変換材料が分散不良状態になると、凝集して粗大な状態でフィルム内部に存在し、大きな発光点として目視で容易に確認することが可能になる。また、分散性が良好であれば、微小な発光点がフィルム内部に均一に存在する為、粗大発光点数をカウントすることで分散性の指標とした。
(6)耐湿性評価
上記サンプルについて、85℃85%RH環境下に100h放置し、投入前後での蛍光強度を測定し、残存率を算出した。
(評価結果)
各評価結果を表に示す。
Figure 2014112642
Figure 2014112642
Figure 2014112642
Figure 2014112642
表に示したように、式(I)のユウロピウム錯体が、アクリル系樹脂からなる微粒子中に含有されているか、又は当該微粒子に担持されているものを分散させた太陽電池用封止膜は、蛍光強度が高く、紫外線の照射によってもその蛍光強度が低下し難く、分散性が高い。従って、本発明の太陽電池用封止膜は発電効率を向上する効果が高く、その効果を長期間にわたって維持されることが示された。波長変換材料が微粒子に含有されているか、担持されていない場合は分散性が低いものであった。なお、式(I)のユウロピウム錯体以外の波長変換材料の場合は、UV劣化が大きかった。
なお、本発明は上記の実施の形態の構成及び実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。
本発明により、波長変換材料により太陽電池素子の発電効率が向上されており、高い発電効率が長期間にわたって維持される太陽電池を提供することができる。
11 表面側透明保護部材
12 裏面側保護部材
13A 表面側封止膜
13B 裏面側封止膜
14 太陽電池用セル
[式中、Rは水素原子を表し、nは1である。]で表されるユウロピウム錯体であり、前記波長変換材料が、アクリル系樹脂からなる微粒子中に含有されており、前記微粒子が、前記樹脂材料中に分散されており、前記波長変換材料の含有量が、前記樹脂材料100質量部に対して、0.0001〜0.001質量部であり、且つ前記微粒子における前記波長変換材料の含有率が、0.1〜1質量%であることを特徴とする太陽電池用封止膜によって達成される。
数多くの波長変換材料が検討された結果、前記ユウロピウム錯体の波長変換材料は、太陽電池用封止膜中において紫外線による劣化が極めて生じ難いことが判った。従って、前記波長変換材料を用いることで、屋外で長期間使用した場合であっても、太陽電池の発電効率を向上する効果が低下し難い太陽電池用封止膜とすることができる。更に、前記波長変換材料が、アクリル系樹脂からなる微粒子中に含有されており、その微粒子が封止膜の樹脂材料中に分散されていることにより、前記波長変換材料が太陽電池用封止膜中に均一に分散し、発電効率を向上する効果を十分に発揮することができ、前記波長変換材料の凝集等による劣化を防止し、更に太陽電池の発電効率を向上する効果が低下し難い太陽電池用封止膜とすることができる。前記波長変換材料が、前記微粒子中に含有されていることによりオレフィン(共)重合体を含む太陽電池用封止膜中に生じる場合がある酸や水分の影響による前記波長変換材料の劣化をより防止することができ、より発電効率を向上する効果が低下し難い太陽電池用封止膜とすることができる。また、前記波長変換材料の含有量が、前記樹脂材料100質量部に対して、0.0001〜0.001質量部であり、且つ前記微粒子における前記波長変換材料の含有率が、0.1〜1質量%であることにより、更に十分な発電効率を向上する効果が得られ、透明性に影響を与える場合が低い
本発明に係る太陽電池用封止膜の好ましい態様は以下の通りである。
)前記アクリル系樹脂が、ポリ(メタ)アクリル酸メチルを主成分とする樹脂である。屈折率がオレフィン(共)重合体と同等又はそれ以下であるため、封止膜の透明性に影響を与え難い。
)前記微粒子が、球状である。ハンドリング性、分散性に優れる。
)前記オレフィン(共)重合体が、メタロセン触媒を用いて重合されたエチレン・αオレフィン共重合体(m−LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン、ポリブテン、及びエチレン−極性モノマー共重合体からなる群から選択される1種以上の重合体である。
)前記オレフィン(共)重合体が、メタロセン触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体(m−LLDPE)及び/又はエチレン−極性モノマー共重合体である。加工性に優れ、架橋剤による架橋構造を形成することができ、接着性が高い封止膜とすることができる。
)前記エチレン−極性モノマー共重合体が、エチレン−酢酸ビニル共重合体又はエチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体(EMMA)である。より透明性に優れ、柔軟性に優れた封止膜とすることができる。
)前記波長変換材料の励起波長に相当する325nmの光線を、太陽電池用封止膜に照射したときに得られる蛍光発光スペクトルにおける波長580〜640nmの発光ピーク面積を蛍光強度とし、1000W/cmの照射強度を有する紫外線ランプから235mmの距離に、前記太陽電池用封止膜を配置し、温度63℃条件下で連続照射し、経時的に前記蛍光強度を測定したとき、前記太陽電池用封止膜の蛍光強度が、照射前の蛍光強度に対して30%に低下するまでに要する時間が、10時間以上である。
本発明の太陽電池封止膜は、発電効率を向上する効果を有する波長変換材料として特定のユウロピウム錯体が、封止膜を形成する樹脂材料中に分散されたアクリル系樹脂からなる微粒子中に含有されているので、紫外線等の影響により波長変換材料が劣化され難く、発電効率を向上する効果が長期間維持されている。従って、本発明の太陽電池は、高い発電効率が長期に亘り維持される太陽電池であるといえる。
[式中、Rは水素原子を表し、nは1である。]で表されるユウロピウム錯体を含む。そして、このユウロピウム錯体が樹脂材料中に分散されたアクリル系樹脂からなる微粒子中に含有されている。
なお、360nm付近に吸収ピークを有する他の波長変換材料と比較して、式(I)のユウロピウム錯体は330nm付近に吸収ピークを有する。そのため、発電への寄与率がより低い波長の紫外線を可視光に変換可能であり、発電効率の向上により有効な効果を発揮する。また、太陽電池の裏面側保護部材や、製造時に太陽電池セルを所望の位置に配置するためのセル止めテープに使用されることが多いポリエステル(特にPET)材料は330nmの紫外線により特に劣化する傾向にあるため、式(I)のユウロピウム錯体を使用すれば、裏面側保護部材やセル止め用テープの劣化や黄変を軽減することができる。
そして、本発明においては、式(I)のユウロピウム錯体が、更にアクリル系樹脂からなる微粒子に含有されていることにより、波長変換材料が太陽電池用封止膜中に均一に分散されている。
式(I)のユウロピウム錯体の融点は、エチレン−極性モノマー共重合体を含む樹脂材料に比較して高い融点を示すため、樹脂材料と混合する際に均一に分散し難く、ムラが生じる場合がある。その場合、波長変換する効果にムラが生じ、発電効率を向上する効果が十分発揮されず、錯体の凝集等により劣化も生じ易くなる恐れがある。上記微粒子は上記樹脂材料における分散性が良いため、その微粒子に含有させることで、上記ユウロピウム錯体を樹脂材料中に均一に分散させることができ、発電効率を向上する効果を十分発揮させ、錯体の劣化も抑制することができる。
式(I)のユウロピウム錯体は、参考例として、微粒子中に担持させることもできるが、微粒子中に含有されている方が、エチレン−極性モノマー共重合体を含む太陽電池用封止膜中に生じる場合がある酸や水分の影響による劣化をより防止することができ、より発電効率を向上する効果が低下し難い太陽電池封止膜とすることができる。
式(I)のユウロピウム錯体は、太陽電池用封止膜の樹脂材料100質量部に対して0.0001〜0.001質量部の範囲内で配合される。通常、0.000001質量部を下回ると、十分な波長変換効果が得られない恐れがあり、更に0.00001質量部以上配合することが好ましく、特に0.0001質量部以上配合することが好ましい。一方、1質量部を上回ると、太陽光を発電素子に十分に入射させるために必要な透明性を確保し難くなる恐れがあり、またコスト的にも不利になる傾向があり、更に0.1質量部以下配合することが好ましく、特に0.01質量部以下配合することが好ましい。
なお、本発明において、式(1)のユウロピウム錯体は、微粒子に含有させて、太陽電池用封止膜の樹脂材料に配合するため、太陽電池用封止膜中の式(I)のユウロピウム錯体の含有量は、後述する式(I)のユウロピウム錯体を含む微粒子の配合量によって調整する。
本発明において、式(I)のユウロピウム錯体は、微粒子に含有されている。微粒子に含有させる場合は、例えば、上述のアクリル系樹脂からなる微粒子を形成する際に、重合性のモノマーとともに、式(I)のユウロピウム錯体を混合して製造する方法、溶解した樹脂に式(I)のユウロピウム錯体を混合して微粒子化する方法等が挙げられる。特に、重合性のモノマーと式(I)のユウロピウム錯体を混合して製造する方法が好ましい。
参考例として、式(I)のユウロピウム錯体を微粒子に担持させる場合は、例えば、式(I)のユウロピウム錯体をアセトン、トルエン等の溶剤に溶解し、微粒子と混合した後乾燥させる方法等が挙げられる。
微粒子に含有させる式(I)のユウロピウム錯体の量について、微粒子における式(I)のユウロピウム錯体の含有率が高い方が、発光強度が高くなり、耐光性、耐熱性も高くなる傾向がある。一方、含有率が高過ぎると、透明性に影響を与える場合があり、コスト的にも不利となる。従って、微粒子における式(I)のユウロピウム錯体の含有率は、0.1〜1質量%である
Figure 2014112642
Figure 2014112642
Figure 2014112642
Figure 2014112642
表に示したように、式(I)のユウロピウム錯体が、アクリル系樹脂からなる微粒子中に含有されているものを分散させた太陽電池用封止膜は、蛍光強度が高く、紫外線の照射によってもその蛍光強度が低下し難く、分散性が高い。従って、本発明の太陽電池用封止膜は発電効率を向上する効果が高く、その効果を長期間にわたって維持されることが示された。波長変換材料が微粒子に含有されていない場合は分散性が低いものであった。なお、式(I)のユウロピウム錯体以外の波長変換材料の場合は、UV劣化が大きかった。

Claims (10)

  1. オレフィン(共)重合体を含む樹脂材料、及び
    波長変換物質を含む太陽電池用封止膜であって、
    波長変換材料が、下記式(I):
    Figure 2014112642

    [式中、Rは、それぞれ独立して水素原子又は任意に置換されていても良い炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、nは、1〜4の整数である。]
    で表されるユウロピウム錯体であり、
    前記波長変換材料が、アクリル系樹脂からなる微粒子中に含有されているか、又は当該微粒子に担持されており、且つ
    前記微粒子が、前記樹脂材料中に分散されていることを特徴とする太陽電池用封止膜。
  2. 前記式(I)において、Rが全て水素原子であり、nが1である請求項1に記載の太陽電池用封止膜。
  3. 前記波長変換材料が、前記微粒子中に含有されている請求項1又は2に記載の太陽電池用封止膜。
  4. 前記アクリル系樹脂が、ポリ(メタ)アクリル酸メチルを主成分とする樹脂である請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池用封止膜。
  5. 前記微粒子が、球状である請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽電池用封止膜。
  6. 前記波長変換材料の含有量が、前記樹脂材料100質量部に対して、0.000001〜1質量部である請求項1〜5のいずれか1項に記載の太陽電池用封止膜。
  7. 前記波長変換材料の含有量が、前記樹脂材料100質量部に対して、0.0001〜0.01質量部である請求項1〜6のいずれか1項に記載の太陽電池用封止膜。
  8. 前記オレフィン(共)重合体が、メタロセン触媒を用いて重合されたエチレン・αオレフィン共重合体(m−LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン、ポリブテン、及びエチレン−極性モノマー共重合体からなる群から選択される1種以上の重合体である請求項1〜7のいずれか1項に記載の太陽電池用封止膜。
  9. 前記波長変換材料の励起波長に相当する325nmの光線を、太陽電池用封止膜に照射したときに得られる蛍光発光スペクトルにおける波長580〜640nmの発光ピーク面積を蛍光強度とし、
    1000W/cmの照射強度を有する紫外線ランプから235mmの距離に、前記太陽電池用封止膜を配置し、温度63℃条件下で連続照射し、経時的に前記蛍光強度を測定したとき、前記太陽電池用封止膜の蛍光強度が、照射前の蛍光強度に対して30%に低下するまでに要する時間が、10時間以上である請求項1〜8のいずれか1項に記載の太陽電池用封止膜。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の太陽電池用封止膜により太陽電池素子を封止してなることを特徴とする太陽電池。
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