JP2016004893A - 太陽電池用封止膜及びこれを用いた太陽電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】発電効率を向上する効果を長期間維持することができる太陽電池用封止膜、及び太陽電池を提供する。【解決手段】オレフィン(共)重合体を含む樹脂材料、及び波長変換材料を含む封止膜であって、前記波長変換材料が有機希土類錯体を内包したアクリル樹脂からなる樹脂粒子であり、前記アクリル樹脂が(メタ)アクリレートモノマー、架橋剤、及びアゾ系重合開始剤を含むアクリル樹脂用組成物を反応して得られる重合体であり、前記架橋剤が、下記式(I):[式中、R1及びR2は、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、nは、2〜14の整数である。]で表される化合物であり、且つ前記架橋剤の含有量が、前記式(I)において、nが2の場合は、前記(メタ)アクリレートモノマー100質量部に対して、0.1〜5質量部であり、nが3〜14の場合は、前記(メタ)アクリレートモノマー100質量部に対して、0.1〜50質量部である。【選択図】なし
Description
本発明は、波長変換材料を含むことにより、太陽電池素子の発電に寄与する光線を増加させ、発電効率を向上できる太陽電池用封止膜に関する。
近年、資源の有効利用や環境汚染の防止等の面から、太陽光を電気エネルギーに直接変換する太陽電池が広く使用され、更に、発電効率や耐候性等の点から開発が進められている。
太陽電池は、一般に、図1に示すように、ガラス基板などからなる表面側透明保護部材11、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の樹脂材料からなる表面側封止膜13A、シリコン結晶系発電素子などの太陽電池用セル14、裏面側封止膜13B、及び裏面側保護部材(バックカバー)12をこの順で積層し、減圧下で脱気した後、加熱加圧して表面側封止膜13A及び裏面側封止膜13Bを架橋硬化させて接着一体化することにより製造される。
一方、一般にシリコン結晶系発電素子等、何れのタイプの太陽電池素子であっても紫外領域の光線に対しては分光感度が低く、太陽光のエネルギーを有効に活用できていないという問題点が知られている。この問題点を解決するために、太陽電池セルの受光面側に、紫外領域の光線を可視領域又は近赤外領域の波長の光線に変換する材料(波長変換材料)を含む層を設けることにより、太陽電池セルの発電に寄与の大きい波長の光を発光させて太陽電池セルの発電効率を向上させる技術が提案されている。ただし、波長変換材料として用いられる有機希土類錯体等の蛍光物質は、EVA等の封止膜の樹脂材料に分散性が低かったり、劣化し易かったりする問題がある。その問題を解決するため、特許文献1では、300〜450nmに吸収ピークを有し、500〜900nmに蛍光ピークを有する有機希土類錯体等の蛍光物質をビニル化合物等から構成される樹脂粒子中に内包させた粒子を、封止膜中に分散させた太陽電池用封止膜が提案されている。
しかしながら、本発明者らが、有機希土類錯体を内包させる樹脂粒子の樹脂材料について検討したところ、例えば、ポリ(メチルメタアクリレート)(PMMA)を主成分とするアクリル樹脂を樹脂材料として用いた場合、架橋剤(本発明において、複数個の重合性二重結合を有するモノマーのことをいう)を配合することで、十分な架橋度を確保し、樹脂粒子の膨潤を防止することができ、気泡の発生、ヘイズ値の上昇及び透過率の低下を抑制することができるが、有機希土類錯体の劣化が生じて、発電効率を向上する効果が低下する場合があることが分かった。
したがって、本発明の目的は、架橋剤を配合したアクリル樹脂に有機希土類錯体を内包させた樹脂粒子を波長変換材料として含む太陽電池用封止膜であって、有機希土類錯体の劣化が防止され、発電効率を向上する効果を長期間維持することができる太陽電池用封止膜を提供することにある。
また、本発明の目的は、その太陽電池用封止膜を用いて、高い発電効率を長期間維持することができる太陽電池を提供することにある。
上記目的は、オレフィン(共)重合体を含む樹脂材料、及び波長変換材料を含む太陽電池用封止膜であって、前記波長変換材料が、有機希土類錯体を内包したアクリル樹脂からなる樹脂粒子であり、前記アクリル樹脂が、(メタ)アクリレートモノマー、架橋剤、及びアゾ系重合開始剤を含むアクリル樹脂用組成物を反応させて得られる重合体であり、前記架橋剤が、下記式(I):
[式中、R1及びR2は、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、nは、2〜14の整数である。]で表される化合物であり、且つ前記架橋剤の含有量が、前記式(I)において、nが2の場合は、前記(メタ)アクリレートモノマー100質量部に対して、0.1〜5質量部であり、nが3〜14の場合は、前記(メタ)アクリレートモノマー100質量部に対して、0.1〜50質量部であることを特徴とする太陽電池用封止膜によって達成される。
本発明者らが、架橋剤を配合したアクリル樹脂中の有機希土類錯体が劣化する要因を検討したところ、一般的に使用される架橋剤であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(エチレン基の数が2以上)を用いた場合、エチレンオキサイド基の親水性が高いため、得られるアクリル樹脂が吸湿し易くなり、樹脂用組成物の構成成分の加水分解による酸の発生等により有機希土類錯体が劣化するものと考えられた。そこで、本発明においては、架橋剤として、上記式(I)の直鎖アルキレン基を有するジ(メタ)アクリレート化合物を選定することで、親水性成分を低減している。また、架橋剤の含有量としては、式(I)において、nが2の場合は、親水性の高いエチレンオキサイド基が1個含まれているので、得られるアクリル樹脂の吸湿性を抑制するため、(メタ)アクリレートモノマー100質量部に対して、0.1〜5質量部に限定し、nが3〜14の場合は、疎水性が高い直鎖アルキレン基の影響が高くなるため、(メタ)アクリレートモノマー100質量部に対して、0.1〜50質量部としている。これにより、アクリル樹脂の吸湿性が抑制され、酸が発生し難くなるため、アクリル樹脂中の有機希土類錯体の劣化を防止することができる。したがって、波長変換材料として、このアクリル樹脂に有機希土類錯体を内包させた樹脂粒子を含む太陽電池用封止膜は、発電効率を向上する効果を長期間維持することができる太陽電池用封止膜である。
本発明に係る太陽電池用封止膜の好ましい態様は以下の通りである。
(1)前記架橋剤が、式(I)において、R1及びR2がメチル基であり、nが2である化合物である。より有効な架橋剤である。
(2)前記架橋剤が、式(I)中において、R1及びR2がメチル基であり、nが9である化合物である。適正な疎水性を有し、より有効な架橋剤である。
(3)前記(メタ)アクリレートモノマーが、メチルメタクリレートである。
(4)前記有機希土類錯体が、下記式(II):
[式中、Rは、それぞれ独立して水素原子又は任意に置換されていても良い炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、nは、1〜4の整数である。]で表されるユウロピウム錯体である。上記ユウロピウム錯体は、耐紫外線性に優れているので太陽電池用封止膜に含有させる有機金属錯体として好ましいが、酸による劣化が生じる場合がある。本発明において、上記アクリル樹脂に内包させることで、酸による劣化を防止することで、より耐候性の高い波長変換材料とすることができる。
(5)(4)において、前記有機希土類錯体が、前記式(II)において、Rが全て水素原子であり、nが1であるユウロピウム錯体である。
(6)前記オレフィン(共)重合体が、メタロセン触媒を用いて重合されたエチレン・αオレフィン共重合体(m−LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン、ポリブテン、及びエチレン−極性モノマー共重合体からなる群から選択される1種以上の重合体である。
(7)前記オレフィン(共)重合体が、メタロセン触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体(m−LLDPE)及び/又はエチレン−極性モノマー共重合体である。加工性に優れ、架橋剤による架橋構造を形成することができ、接着性が高い封止膜とすることができる。
(8)前記エチレン−極性モノマー共重合体が、エチレン−酢酸ビニル共重合体又はエチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体(EMMA)である。より透明性に優れ、柔軟性に優れた封止膜とすることができる。
(2)前記架橋剤が、式(I)中において、R1及びR2がメチル基であり、nが9である化合物である。適正な疎水性を有し、より有効な架橋剤である。
(3)前記(メタ)アクリレートモノマーが、メチルメタクリレートである。
(4)前記有機希土類錯体が、下記式(II):
(5)(4)において、前記有機希土類錯体が、前記式(II)において、Rが全て水素原子であり、nが1であるユウロピウム錯体である。
(6)前記オレフィン(共)重合体が、メタロセン触媒を用いて重合されたエチレン・αオレフィン共重合体(m−LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン、ポリブテン、及びエチレン−極性モノマー共重合体からなる群から選択される1種以上の重合体である。
(7)前記オレフィン(共)重合体が、メタロセン触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体(m−LLDPE)及び/又はエチレン−極性モノマー共重合体である。加工性に優れ、架橋剤による架橋構造を形成することができ、接着性が高い封止膜とすることができる。
(8)前記エチレン−極性モノマー共重合体が、エチレン−酢酸ビニル共重合体又はエチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体(EMMA)である。より透明性に優れ、柔軟性に優れた封止膜とすることができる。
また、上記目的は、本発明の太陽電池用封止膜により太陽電池素子を封止してなることを特徴とする太陽電池によって達成される。本発明の太陽電池は、本発明の太陽電池用封止膜が用いられているので、波長変換材料により太陽電池素子の発電効率が向上されており、その高い発電効率が長期間維持される太陽電池であるといえる。
本発明の太陽電池封止膜に含まれる波長変換材料は、所定の架橋剤を所定の含有量で含む樹脂組成物から得られるアクリル樹脂に有機希土類錯体を内包した樹脂粒子であるので、樹脂中の有機希土類錯体の劣化が防止されている。したがって、波長変換材料として、上記樹脂粒子を含む太陽電池用封止膜は、太陽電池素子の発電効率を向上する効果を長期間維持することができる太陽電池用封止膜である。そして、本発明の太陽電池は、高い発電効率が長期間維持される太陽電池であるといえる。
本発明の太陽電池用封止膜は、少なくともオレフィン(共)重合体を含む樹脂材料、及び波長変換材料として、有機希土類錯体を内包したアクリル樹脂からなる樹脂粒子を含んでいる。そして、アクリル樹脂が、(メタ)アクリレートモノマー、架橋剤、及びアゾ系重合開始剤を含むアクリル樹脂用組成物を反応させて得られる重合体であり、前記架橋剤が、下記式(I):
[式中、R1及びR2は、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、nは、2〜14の整数である。]で表される化合物であり、且つ前記架橋剤の含有量が、前記式(I)において、nが2の場合は、前記(メタ)アクリレートモノマー100質量部に対して、0.1〜5質量部であり、nが3〜14の場合は、前記(メタ)アクリレートモノマー100質量部に対して、0.1〜50質量部である。
アクリル樹脂は、一般に、主成分としてメチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系モノマーを重合させた樹脂である。そして、重合反応用の組成物に複数個の重合性二重結合を有するモノマーである架橋剤を含有させることで、アクリル樹脂に架橋構造を付与し、架橋度を上昇させることができることが知られている。十分な架橋度を確保し、樹脂粒子が、共存添加剤や溶剤の影響による膨潤を防止することができ、空隙発生による外観不良、気泡の発生、ヘイズ値の上昇及び透過率の低下を抑制することができる。しかしながら、架橋剤として一般的に使用されるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(エチレン基の数が2以上)を、有機希土類錯体を内包させるアクリル樹脂に用いた場合、有機希土類錯体の劣化が生じる場合がある。この原因として、分子中のエチレンオキサイド基の親水性が高いため、得られるアクリル樹脂の吸湿し易くなり、樹脂組成物の構成成分の加水分解による酸の発生等により、有機希土類錯体が劣化するものと考えられた。本発明においては、架橋剤として、上記式(I)の通り、直鎖アルキレン基を有するジ(メタ)アクリレート化合物を選定することで親水性成分を低減している。上記ジ(メタ)アクリレート化合物として、具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,14−テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート又はメタクリレート」を示す。
さらに、式(I)において、nが2の場合は、親水性の高いエチレンオキサイド基が1個含まれているので、得られるアクリル樹脂の吸湿性を抑制するため、(メタ)アクリレートモノマー100質量部に対して、0.1〜5質量部に限定している。また、nが3〜14の場合は、疎水性が高い直鎖アルキレン基の影響が高くなるため、(メタ)アクリレートモノマー100質量部に対して、0.1〜50質量部としている。これにより、アクリル樹脂の吸湿性が抑制され、酸が発生し難くなるため、アクリル樹脂中の有機希土類錯体の劣化を防止することができる。
本発明の太陽電池用封止膜は、波長変換材料として、有機希土類錯体を内包した上記のアクリル樹脂からなる樹脂粒子を含んでいるので、発電効率を向上する効果を長期間維持することができる太陽電池用封止膜である。
本発明において、上記架橋剤は、式(I)において、R1及びR2がメチル基であり、nが2である化合物、すなわち、エチレングリコールジメタクリレートであることが好ましい。得られるアクリル樹脂の吸湿性をより抑制することができ、樹脂粒子の透明性も良好とすることができる。前記架橋剤の含有量は、式(I)において、nが2である化合物の場合、前記(メタ)アクリレートモノマー100質量部に対して、0.5〜5質量部であることがより好ましく、1〜5質量部であることが特に好ましい。また、上記架橋剤は、式(I)中において、R1及びR2がメチル基であり、nが9である化合物、すなわち1,9−ノナンジオールジメタクリレートであることも好ましい。直鎖アルキレン基の鎖長(n)が大きくなり過ぎると、疎水性が高くなり過ぎ、得られるアクリル樹脂の透明性が低下する場合がある。このジメタクリレートは、適正な疎水性を有し、より有効な架橋剤である。前記架橋剤の含有量は、式(I)において、nが3〜14である化合物の場合、前記(メタ)アクリレートモノマー100質量部に対して、0.5〜50質量部であることがより好ましく、1〜25質量部であることが特に好ましい。
以下に、本発明の太陽電池用封止膜を構成する他の材料について説明する。
[樹脂粒子(波長変換材料)]
本発明において樹脂粒子は、有機希土類錯体を内包したアクリル樹脂からなる。そして、上述の通り、アクリル樹脂は、上記架橋剤の他、主成分として(メタ)アクリレートモノマー、及びアゾ系重合開始剤を含むアクリル樹脂用組成物を反応させて得られる重合体である。(メタ)アクリレートモノマーとしては、特に制限はないが、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの(メタ)アクリレートモノマーは単独で用いても良く、2種以上組み合わせて用いても良い。得られるアクリル樹脂の屈折率を太陽電池用封止膜の樹脂材料により近くするため、(メタ)アクリレートモノマーは、メチル(メタ)アクリレートを用いることが好ましく、特にメチルメタクリレートを用いることが好ましい。これにより、太陽電池用封止膜に樹脂粒子を含有させても屈折率の違いから生じる透明性の低下が生じ難くなり、より透明性の高い太陽電池用封止膜とすることができる。
本発明において樹脂粒子は、有機希土類錯体を内包したアクリル樹脂からなる。そして、上述の通り、アクリル樹脂は、上記架橋剤の他、主成分として(メタ)アクリレートモノマー、及びアゾ系重合開始剤を含むアクリル樹脂用組成物を反応させて得られる重合体である。(メタ)アクリレートモノマーとしては、特に制限はないが、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの(メタ)アクリレートモノマーは単独で用いても良く、2種以上組み合わせて用いても良い。得られるアクリル樹脂の屈折率を太陽電池用封止膜の樹脂材料により近くするため、(メタ)アクリレートモノマーは、メチル(メタ)アクリレートを用いることが好ましく、特にメチルメタクリレートを用いることが好ましい。これにより、太陽電池用封止膜に樹脂粒子を含有させても屈折率の違いから生じる透明性の低下が生じ難くなり、より透明性の高い太陽電池用封止膜とすることができる。
本発明において、重合開始剤として用いるアゾ系重合開始剤は、比較的低温で反応開始するため、後述する懸濁重合による重合反応に最適である。アゾ系重合開始剤としては、特に制限はないが、例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メチキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート等が挙げられる。アクリル樹脂用組成物におけるアゾ系重合開始剤の含有量は、特に制限はないが、(メタ)アクリレートモノマー100質量部に対して0.01〜5質量部が好ましく、0.01〜1質量部が好ましく、0.05〜0.5質量部が特に好ましい。
本発明において、重合開始剤として、アゾ系重合開始剤に加えて、有機過酸化物を含んでいても良い。重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド、4−メチルベンゾイルペーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、ビス(4―t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ピバロイルt−ブチルパーオキサイド、ピバロイルt−ヘキシルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、1,1,3,3、−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2―ヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等が挙げられる。アクリル樹脂用組成物における上記有機過酸化物の含有量は、特に制限はないが、(メタ)アクリレートモノマー100質量部に対して0.01〜2質量部が好ましく、0.05〜1質量部が好ましく、0.1〜0.5質量部が特に好ましい。
本発明において、アクリル樹脂用組成物は、本発明の目的を阻害しない限り、さらに、(メタ)アクリレートモノマー、特にメチルメタクリレートと共重合可能な他のモノマーを含んでいても良い。例えば、スチレン等のスチレン系モノマー、トリフルオロメチル(メタ)アタクリレート等のフッ素含有モノマー等、アクリロニトリル、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、メタクリル酸グリシジル、ヒドロキシメタクリレート等が挙げられる。他のモノマーの含有量は、特に制限はないが、(メタ)アクリレートモノマー100質量部に対して1〜40質量部が好ましく、5〜30質量部が好ましく、10〜20質量部が特に好ましい。
本発明において、アクリル樹脂を得るために上記モノマーを重合する方法としては、特に制限はなく、懸濁重合や乳化重合等、従来公知の方法で行うことができる。中でも、反応制御が容易等の利点がある点で、懸濁重合が好ましい。懸濁重合は、上記モノマーを、上記重合開始剤の存在下で、水等の溶媒中で重合させる。溶媒は、水の他に有機溶剤を含めることができる。有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のアステル類;イソオクタン、シクロへキサン等の(シクロ)パラフィン類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類などを挙げることができる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。重合反応の温度は、用いる重合開始剤に合わせて適宜調整することができる。2種類以上の重合開始剤を用いる場合は、数段階に温度を変えて重合しても良い。
本発明において、アクリル樹脂に有機希土類錯体を内包させる方法としては、例えば、上述のアクリル樹脂用組成物に有機希土類錯体を溶解又は分散させたものを懸濁重合等により樹脂粒子化して内包させる方法等が挙げられる。
本発明において、樹脂粒子の形状に特に制限はないが、分散性や光散乱性が低い点で球状が好ましい。また樹脂粒子の平均粒子径は、特に制限はないが、大き過ぎると微粒子の質量あたりの表面積が小さくなるため、発光効率が低下する場合があり、小さ過ぎると飛散し易く、ハンドリング性が悪く、樹脂粒子同士も結合し易くなり分散性が低下する場合がある。したがって、樹脂粒子の平均粒子径は0.1〜300μmが好ましく、1〜200μmがより好ましく、特に10〜150μmが好ましい。樹脂粒子の平均粒子径は、レーザー回折法、光学顕微鏡や電子顕微鏡による画像イメージにより求めることができる。
[有機希土類錯体]
本発明において、有機希土類錯体としては、特に制限なく用いることができる。例えば、ユウロピウム、サマリウム、テルビウム等のランタノイド錯体等が挙げられる。特に蛍光が強く、ストークスシフト(励起極大波長と発光極大波長の差)が大きく、蛍光寿命が長い点で、ユウロピウム錯体が好ましい。ユウロピウム錯体は、Euイオン(Eu3+)と有機配位子から構成され、例えば、Eu(hfa)3(TPPO)2、Eu(hfa)3(BIPHEPO)、Eu(TTA)3Phen等が挙げられる。特に、耐候性の点で、下記式(II):
[式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子又は任意に置換されていても良い炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、nは、1〜4の整数、好ましくは1である。]で表されるユウロピウム錯体が好ましい。炭素原子数1〜20の炭化水素基は、脂肪族でも芳香族でも良く、不飽和結合やヘテロ原子を含んでいても良く、直鎖状でも分枝を有していても良い。例えば、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基等)、アルケニル基(ビニル基、アリル基、ブテニル基等)、アルキニル基(エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等)、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられる。上記炭化水素基は任意に置換されていても良く、置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、スルホ基等が挙げられる。式(I)におけるRは全て水素原子であることが好ましい。
本発明において、有機希土類錯体としては、特に制限なく用いることができる。例えば、ユウロピウム、サマリウム、テルビウム等のランタノイド錯体等が挙げられる。特に蛍光が強く、ストークスシフト(励起極大波長と発光極大波長の差)が大きく、蛍光寿命が長い点で、ユウロピウム錯体が好ましい。ユウロピウム錯体は、Euイオン(Eu3+)と有機配位子から構成され、例えば、Eu(hfa)3(TPPO)2、Eu(hfa)3(BIPHEPO)、Eu(TTA)3Phen等が挙げられる。特に、耐候性の点で、下記式(II):
式(II)のユウロピウム錯体は、耐紫外線性に優れているので太陽電池用封止膜に含有させる有機金属錯体として好ましいが、酸による劣化が生じる場合がある。本発明において、上記アクリル樹脂に内包させることで、酸による劣化を防止することで、より耐候性の高い波長変換材料とすることができる。
上記ユウロピウム錯体は、式(II)中のnが1であり、Rが全て水素原子であるEu(hfa)3(TPPO)2であることが、より耐紫外線性に特に優れる点で好ましい。Eu(hfa)3(TPPO)2はトリフェニルホスフィンオキシドとヘキサフルオロアセチルアセトンの2種の配位子が中心元素である希土類金属のユウロピウムに配位しているユウロピウム錯体である。
樹脂粒子中の有機希土類錯体の含有量は、太陽電池用封止膜に含有させたときに太陽電池素子の発電効率の向上効果が得られれば、特に制限はない。樹脂粒子における有機希土類錯体の含有率が高い方が、発光強度が高くなり有利である。一方、含有率が高過ぎると、透明性に影響を与える場合があり、コスト的にも不利となる。したがって、樹脂粒子における有機希土類錯体の含有率は、0.01〜10質量%が好ましく、0.05〜5質量%がより好ましく、特に0.1〜1質量%が好ましい。
[樹脂材料]
本発明において、太陽電池用封止膜の樹脂材料は、オレフィン(共)重合体を主成分として含む。ここで、オレフィン(共)重合体とは、エチレン・α−オレフィン共重合体(例えば、メタロセン触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体(m−LLDPE)等)、ポリエチレン(例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等)、ポリプロピレン、ポリブテン等のオレフィンの重合体又は共重合体、及びエチレン−極性モノマー共重合体等のオレフィンと極性モノマーとの共重合体を意味し、太陽電池用封止膜に要求される接着性、透明性等を有するものとする。オレフィン(共)重合体として、これらの1種を用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。本発明において、オレフィン(共)重合体としては、メタロセン触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体(m−LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン、ポリブテン及びエチレン−極性モノマー共重合体からなる群から選択される少なくとも1種以上の重合体であることが好ましい。特に、加工性に優れ、架橋剤による架橋構造を形成することができ、接着性が高い太陽電池用封止膜を形成することができることから、オレフィン(共)重合体が、メタロセン触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体(m−LLDPE)及び/又はエチレン−極性モノマー共重合体であることが好ましい。
本発明において、太陽電池用封止膜の樹脂材料は、オレフィン(共)重合体を主成分として含む。ここで、オレフィン(共)重合体とは、エチレン・α−オレフィン共重合体(例えば、メタロセン触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体(m−LLDPE)等)、ポリエチレン(例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等)、ポリプロピレン、ポリブテン等のオレフィンの重合体又は共重合体、及びエチレン−極性モノマー共重合体等のオレフィンと極性モノマーとの共重合体を意味し、太陽電池用封止膜に要求される接着性、透明性等を有するものとする。オレフィン(共)重合体として、これらの1種を用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。本発明において、オレフィン(共)重合体としては、メタロセン触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体(m−LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン、ポリブテン及びエチレン−極性モノマー共重合体からなる群から選択される少なくとも1種以上の重合体であることが好ましい。特に、加工性に優れ、架橋剤による架橋構造を形成することができ、接着性が高い太陽電池用封止膜を形成することができることから、オレフィン(共)重合体が、メタロセン触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体(m−LLDPE)及び/又はエチレン−極性モノマー共重合体であることが好ましい。
(メタロセン触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン共重合体(m−LLDPE))
m−LLDPEは、エチレン由来の構成単位を主成分とし、更に炭素数3〜12のα−オレフィン、例えば、プロピレン、1−ブテン、1-へキセン、1−オクテン、4−メチルペンテン−1、4−メチル−へキセン−1、4,4−ジメチル−ペンテン−1等由来の1種又は複数種の構成単位を有するエチレン・α−オレフィン共重合体(ターポリマー等も含む)である。エチレン・α−オレフィン共重合体の具体例としては、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・4−メチル−ペンテン−1共重合体、エチレン・ブテン・ヘキセンターポリマー、エチレン・プロピレン・オクテンターポリマー、エチレン・ブテン・オクテンターポリマー等が挙げられる。エチレン・α−オレフィン共重合体におけるα−オレフィンの含有量は、5〜40質量%が好ましく、10〜35質量%がより好ましく、15〜30質量%が更に好ましい。α−オレフィンの含有量が少ないと太陽電池用封止膜の柔軟性や耐衝撃性が十分でない場合があり、多過ぎると耐熱性が低い場合がある。
m−LLDPEは、エチレン由来の構成単位を主成分とし、更に炭素数3〜12のα−オレフィン、例えば、プロピレン、1−ブテン、1-へキセン、1−オクテン、4−メチルペンテン−1、4−メチル−へキセン−1、4,4−ジメチル−ペンテン−1等由来の1種又は複数種の構成単位を有するエチレン・α−オレフィン共重合体(ターポリマー等も含む)である。エチレン・α−オレフィン共重合体の具体例としては、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・4−メチル−ペンテン−1共重合体、エチレン・ブテン・ヘキセンターポリマー、エチレン・プロピレン・オクテンターポリマー、エチレン・ブテン・オクテンターポリマー等が挙げられる。エチレン・α−オレフィン共重合体におけるα−オレフィンの含有量は、5〜40質量%が好ましく、10〜35質量%がより好ましく、15〜30質量%が更に好ましい。α−オレフィンの含有量が少ないと太陽電池用封止膜の柔軟性や耐衝撃性が十分でない場合があり、多過ぎると耐熱性が低い場合がある。
m−LLPDEを重合するメタロセン触媒としては、公知のメタロセン触媒を用いれば良く、特に制限はない。メタロセン触媒は、一般に、チタン、ジルコニウム、ハフニウム等の遷移金属をπ電子系のシクロペンタジエニル基又は置換シクロペンタジエニル基等を含有する不飽和環状化合物で挟んだ構造の化合物であるメタロセン化合物と、アルキルアルミノキサン、アルキルアルミニウム、アルミニウムハライド、アルキルアルミニウムルハライド等のアルミニウム化合物等の助触媒とを組合せたものである。メタロセン触媒は、活性点が均一であるという特徴があり(シングルサイト触媒)、通常、分子量分布が狭く、各分子のコモノマー含有量がほぼ等しい重合体が得られる。
本発明において、m−LLDPEの密度(JIS K 7112に準ずる。以下同じ)は、特に制限はないが、0.860〜0.930g/cm3が好ましい。また、m−LLDPEのメルトフローレート(MFR)(JIS−K7210に準ずる)は、特に制限はないが、1.0g/10分以上が好ましく、1.0〜50.0g/10分がより好ましく、3.0〜30.0g/10分が更に好ましい。なお、MFRは、190℃、荷重21.18Nの条件で測定されたものである。
本発明において、m−LLDPEは市販のものを使用することもできる。例えば、日本ポリエチレン社製のハーモレックスシリーズ、カーネルシリーズ、プライムポリマー社製のエボリューシリーズ、住友化学社製のエクセレンGMHシリーズ、エクセレンFXシリーズ等が挙げられる。
(エチレン−極性モノマー共重合体)
エチレン−極性モノマー共重合体の極性モノマーは、ビニルエステル、不飽和カルボン酸、その塩、そのエステル、そのアミド、一酸化炭素等を例示することができる。より具体的には、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸、これら不飽和カルボン酸のリチウム、ナトリウム、カリウムなどの1価金属の塩やマグネシウム、カルシウム、亜鉛などの多価金属の塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、マレイン酸ジメチル等の不飽和カルボン酸エステル、一酸化炭素、二酸化硫黄などの一種又は二種以上などを例示することができる。
エチレン−極性モノマー共重合体の極性モノマーは、ビニルエステル、不飽和カルボン酸、その塩、そのエステル、そのアミド、一酸化炭素等を例示することができる。より具体的には、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸、これら不飽和カルボン酸のリチウム、ナトリウム、カリウムなどの1価金属の塩やマグネシウム、カルシウム、亜鉛などの多価金属の塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、マレイン酸ジメチル等の不飽和カルボン酸エステル、一酸化炭素、二酸化硫黄などの一種又は二種以上などを例示することができる。
エチレン−極性モノマー共重合体として、より具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体のようなエチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体のようなエチレン−不飽和カルボン酸共重合体、前記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体のカルボキシル基の一部又は全部が上記金属で中和されたアイオノマー、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン−アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体のようなエチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸イソブチル−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸n−ブチル−メタクリル酸共重合体のようなエチレン−不飽和カルボン酸エステル−不飽和カルボン酸共重合体及びそのカルボキシル基の一部又は全部が上記金属で中和されたアイオノマー等を代表例として例示することができる。
エチレン−極性モノマー共重合体としては、JIS K7210で規定されるメルトフローレートが、35g/10分以下、特に3〜6g/10分のものを使用するのが好ましい。このようなメルトフローレート有するエチレン−極性モノマー共重合体を用いることで、加工性に優れた太陽電池用封止膜とすることができる。なお、本発明において、メルトフローレート(MFR)の値は、JIS K7210に従い、190℃、荷重21.18Nの条件に基づいて測定されたものである。
エチレン−極性モノマー共重合体としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体が好ましく、EVA及びEMMAが特に好ましい。これにより、安価であり、透明性、柔軟性に優れる太陽電池用封止膜とすることができる。このような太陽電池用封止膜を用いることで、より耐久性に優れ、発電効率が高い太陽電池を製造することができる。
EVAにおける酢酸ビニルの含有率は、EVAに対して20〜35質量%、さらに22〜30質量%、特に24〜28質量%とするのが好ましい。EVAの酢酸ビニル単位の含有量が低い程、得られるシートが硬くなる傾向がある。酢酸ビニルの含有量が低過ぎると、高温で架橋硬化させる場合に、得られるシートの透明性が充分でない恐れがある。また、酢酸ビニル含有量が高過ぎるとシートの硬さが不十分となる場合がある。
また、EMMAにおけるメタクリル酸メチルの含有率は20〜30質量%、更に22〜28質量%とするのが好ましい。この範囲であれば、透明性の高い封止膜が得られ、発電効率が高い太陽電池とすることができる。
なお、本発明において、樹脂材料には、上述のオレフィン(共)重合体に加えて副次的にポリビニルアセタール系樹脂(例えば、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール(PVB樹脂)、変性PVB)等の樹脂を配合しても良い。
[有機過酸化物又は光重合開始剤]
本発明の太陽電池用封止膜においては、有機過酸化物又は光重合開始剤を含有させ、エチレン−極性モノマー共重合体の架橋構造を形成することが好ましい。なかでも、接着力、耐湿性、耐貫通性の温度依存性が改善された封止膜が得られることから、有機過酸化物を用いるのが好ましい。
本発明の太陽電池用封止膜においては、有機過酸化物又は光重合開始剤を含有させ、エチレン−極性モノマー共重合体の架橋構造を形成することが好ましい。なかでも、接着力、耐湿性、耐貫通性の温度依存性が改善された封止膜が得られることから、有機過酸化物を用いるのが好ましい。
前記有機過酸化物としては、100℃以上の温度で分解してラジカルを発生するものであれば、どのようなものでも使用することができる。有機過酸化物は、一般に、成膜温度、組成物の調整条件、硬化温度、被着体の耐熱性、貯蔵安定性を考慮して選択される。特に、半減期10時間の分解温度が70℃以上のものが好ましい。
有機過酸化物としては、例えば、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、3−ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン、α,α'−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、ベンゾイルパーオキサイド系硬化剤(t−ブチルパーオキシベンゾエート等)等が挙げられる。
有機過酸化物として、特に、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、又はt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネートが好ましい。これにより、良好に架橋され、優れた透明性を有する太陽電池用封止膜が得られる。
太陽電池用封止膜に使用する有機過酸化物の含有量は、樹脂材料100質量部に対して、好ましくは0.1〜5質量部、より好ましくは0.2〜3質量部であることが好ましい。有機過酸化物の含有量は、少ないと架橋硬化時において架橋速度が低下する場合があり、多くなると共重合体との相溶性が悪くなる恐れがある。
また、光重合開始剤としては、公知のどのような光重合開始剤でも使用することができるが、配合後の貯蔵安定性の良いものが望ましい。このような光重合開始剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1などのアセトフェノン系、ベンジルジメチルケタ−ルなどのベンゾイン系、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系、イソプロピルチオキサントン、2−4−ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン系、その他特殊なものとしては、メチルフェニルグリオキシレ−トなどが使用できる。特に好ましくは、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1、ベンゾフェノン等が挙げられる。これら光重合開始剤は、必要に応じて、4−ジメチルアミノ安息香酸のような安息香酸系又は、第3級アミン系などの公知慣用の光重合促進剤の1種または2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。また、光重合開始剤のみの1種単独または2種以上の混合で使用することができる。
前記光重合開始剤の含有量は、樹脂材料100質量部に対して0.1〜5質量部、好ましくは0.2〜3質量部である。
[架橋助剤]
本発明の太陽電池用封止膜においては、必要に応じて、架橋助剤を含んでいてもよい。架橋助剤は、エチレン−極性モノマー共重合体のゲル分率を向上させ、封止膜の接着性及び耐久性を向上させることができるものである。
本発明の太陽電池用封止膜においては、必要に応じて、架橋助剤を含んでいてもよい。架橋助剤は、エチレン−極性モノマー共重合体のゲル分率を向上させ、封止膜の接着性及び耐久性を向上させることができるものである。
架橋助剤の含有量は、樹脂材料100質量部に対して、一般に10質量部以下、好ましくは0.1〜5質量部、更に好ましくは0.1〜2.5質量部で使用される。これにより、更に接着性に優れる太陽電池用封止膜が得られる。
架橋助剤(一般に、官能基としてラジカル重合性基を有する化合物)としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の3官能の架橋助剤の他、(メタ)アクリルエステル(例、NKエステル等)の単官能又は2官能の架橋助剤等を挙げることができる。なかでも、トリアリルシアヌレートおよびトリアリルイソシアヌレートが好ましく、特にトリアリルイソシアヌレートが好ましい。
[接着向上剤]
本発明の太陽電池用封止膜においては、更に、接着向上剤を含んでいても良い。接着向上剤としては、シランカップリング剤を用いることができる。これにより、更に優れた接着力を有する太陽電池用封止膜とすることができる。前記シランカップリング剤としては、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。これらシランカップリング剤は、単独で使用しても、又は2種以上組み合わせて使用しても良い。なかでも、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましく挙げられる。
本発明の太陽電池用封止膜においては、更に、接着向上剤を含んでいても良い。接着向上剤としては、シランカップリング剤を用いることができる。これにより、更に優れた接着力を有する太陽電池用封止膜とすることができる。前記シランカップリング剤としては、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。これらシランカップリング剤は、単独で使用しても、又は2種以上組み合わせて使用しても良い。なかでも、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましく挙げられる。
前記シランカップリング剤の含有量は樹脂材料100質量部に対して0.1〜0.7質量部、特に0.3〜0.65質量部であることが好ましい。
[その他]
本発明の太陽電池用封止膜においては、封止膜の種々の物性(機械的強度、透明性等の光学的特性、耐熱性、耐光性等)の改良あるいは調整のため、必要に応じて、可塑剤、アクリロキシ基含有化合物、メタクリロキシ基含有化合物及び/又はエポキシ基含有化合物などの各種添加剤をさらに含んでいてもよい。
本発明の太陽電池用封止膜においては、封止膜の種々の物性(機械的強度、透明性等の光学的特性、耐熱性、耐光性等)の改良あるいは調整のため、必要に応じて、可塑剤、アクリロキシ基含有化合物、メタクリロキシ基含有化合物及び/又はエポキシ基含有化合物などの各種添加剤をさらに含んでいてもよい。
[太陽電池用封止膜]
上述した本発明の太陽電池用封止膜を形成するには、公知の方法に準じて行えばよい。例えば、上述のように、波長変換材料として有機希土類錯体を内包させた樹脂粒子を調製した後、上記の他の各材料とともにスーパーミキサー(高速流動混合機)、ロールミル等を用いて公知の方法で混合した組成物を通常の押出成形、又はカレンダ成形(カレンダリング)等により成形してシート状物を得る方法により製造することができる。また、前記組成物を溶剤に溶解(微粒子については分散)させ、この分散液を適当な塗布機(コーター)で適当な支持体上に塗布、乾燥して塗膜を形成することによりシート状物を得ることもできる。なお、製膜時の加熱温度は、有機過酸化物を用いる場合は、有機過酸化物が反応しない或いはほとんど反応しない温度とすることが好ましい。例えば、50〜90℃、特に40〜80℃とするのが好ましい。太陽電池用封止膜の厚さは、特に制限されず、用途によって適宜設定することができる。一般に、50μm〜2mmの範囲である。
上述した本発明の太陽電池用封止膜を形成するには、公知の方法に準じて行えばよい。例えば、上述のように、波長変換材料として有機希土類錯体を内包させた樹脂粒子を調製した後、上記の他の各材料とともにスーパーミキサー(高速流動混合機)、ロールミル等を用いて公知の方法で混合した組成物を通常の押出成形、又はカレンダ成形(カレンダリング)等により成形してシート状物を得る方法により製造することができる。また、前記組成物を溶剤に溶解(微粒子については分散)させ、この分散液を適当な塗布機(コーター)で適当な支持体上に塗布、乾燥して塗膜を形成することによりシート状物を得ることもできる。なお、製膜時の加熱温度は、有機過酸化物を用いる場合は、有機過酸化物が反応しない或いはほとんど反応しない温度とすることが好ましい。例えば、50〜90℃、特に40〜80℃とするのが好ましい。太陽電池用封止膜の厚さは、特に制限されず、用途によって適宜設定することができる。一般に、50μm〜2mmの範囲である。
太陽電池用封止膜における上記波長変換材料(樹脂粒子)の含有量は、太陽電池素子の発電効率の向上効果が得られれば、特に制限はなく、樹脂粒子中の有機希土類錯体の含有量に応じて調整することができる。有機希土類錯体として、太陽電池用封止膜の樹脂材料100質量部に対して0.000001〜1質量部の範囲内で配合されることが好ましい。0.000001質量部を下回ると、十分な発電効率の向上効果が得られない恐れがあり、更に0.00001質量部以上配合することが好ましく、特に0.0001質量部以上配合することが好ましい。一方、1質量部を上回ると、太陽光を発電素子に十分に入射させるために必要な透明性を確保し難くなる恐れがあり、またコスト的にも不利になる傾向があり、更に0.1質量部以下配合することが好ましく、特に0.01質量部以下配合することが好ましい。
[太陽電池]
本発明の太陽電池の構造は、本発明の太陽電池用封止膜により太陽電池素子が封止されてなる構造を含んでいれば特に制限されない。例えば、表面側透明保護部材と裏面側保護部材との間に、本発明の太陽電池用封止膜を介在させて架橋一体化させることにより太陽電池用セルを封止させた構造などが挙げられる。なお、本発明において、太陽電池用セルの光が照射される側(受光面側)を「表面側」と称し、太陽電池用セルの受光面とは反対面側を「裏面側」と称する。
本発明の太陽電池の構造は、本発明の太陽電池用封止膜により太陽電池素子が封止されてなる構造を含んでいれば特に制限されない。例えば、表面側透明保護部材と裏面側保護部材との間に、本発明の太陽電池用封止膜を介在させて架橋一体化させることにより太陽電池用セルを封止させた構造などが挙げられる。なお、本発明において、太陽電池用セルの光が照射される側(受光面側)を「表面側」と称し、太陽電池用セルの受光面とは反対面側を「裏面側」と称する。
本発明の太陽電池は、本発明の太陽電池用封止膜が用いられているので、波長変換材料により太陽電池素子の発電効率が向上されており、その高い発電効率が長期間維持されている太陽電池である。
前記太陽電池において、太陽電池用セルを十分に封止するには、例えば、図1に示すように表面側透明保護部材11、表面側封止膜13A、太陽電池用セル14、裏面側封止膜13B及び裏面側保護部材12を積層し、加熱加圧など常法にしたがって、封止膜を架橋硬化させればよい。
加熱加圧するには、例えば、各部材を積層した積層体を、真空ラミネータで温度135〜180℃、さらに140〜180℃、特に155〜180℃、脱気時間0.1〜5分、プレス圧力0.1〜1.5kg/cm2、プレス時間5〜15分で加熱圧着すればよい。この加熱加圧時に、表面側封止膜13Aおよび裏面側封止膜13Bに含まれるオレフィン(共)重合体を架橋させることにより、表面側封止膜13Aおよび裏面側封止膜13Bを介して、表面側透明保護部材11、裏面側透明部材12、および太陽電池用セル14を一体化させて、太陽電池用セル14を封止することができる。
本発明の太陽電池用封止膜は、上述のように、波長変換材料を含むことで太陽電池素子の発電効率を向上させることができるので、太陽電池における太陽電池素子の受光面側に配置される封止膜、すなわち、図1における表面側透明保護部材12と太陽電池セル14との間に配置される封止膜13Aとして利用することが好ましい。
なお、本発明の太陽電池用封止膜は、図1に示したような単結晶又は多結晶のシリコン結晶系の太陽電池用セルを用いた太陽電池だけでなく、薄膜シリコン系、薄膜アモルファスシリコン系太陽電池、セレン化銅インジウム(CIS)系太陽電池等の薄膜太陽電池の封止膜にも使用することもできる。この場合は、例えば、ガラス基板、ポリイミド基板、フッ素樹脂系透明基板等の表面側透明保護部材の表面上に化学気相蒸着法等により形成された薄膜太陽電池素子層上に、本発明の太陽電池用封止膜、裏面側保護部材を積層し、接着一体化させた構造、裏面側保護部材の表面上に形成された太陽電池素子上に、本発明の太陽電池用封止膜、表面側透明保護部材を積層し、接着一体化させた構造、又は表面側透明保護部材、表面側封止膜、薄膜太陽電池素子、裏面側封止膜、及び裏面側保護部材をこの順で積層し、接着一体化させた構造等が挙げられる。なお、本発明において、太陽電池用セルや薄膜太陽電池素子を総称して太陽電池素子という。
表面側透明保護部材11は、通常珪酸塩ガラスなどのガラス基板であるのがよい。ガラス基板の厚さは、0.1〜10mmが一般的であり、0.3〜5mmが好ましい。ガラス基板は、一般に、化学的に、或いは熱的に強化させたものであってもよい。
裏面側保護部材12は、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリアミドなどのプラスチックフィルムが好ましく用いられる。また、耐熱性、耐湿熱性を考慮してフッ化ポリエチレンフィルム、特にフッ化ポリエチレンフィルム/Al/フッ化ポリエチレンフィルムをこの順で積層させたフィルムでも良い。
なお、本発明の太陽電池用封止膜は、太陽電池(薄膜太陽電池を含む)の表面側及び/又は裏面側に用いられる封止膜に特徴を有する。したがって、表面側透明保護部材、裏面側保護部材、および太陽電池用セルなどの封止膜以外の部材については、従来公知の太陽電池と同様の構成を有していればよく、特に制限されない。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
(1)波長変換材料(有機希土類錯体を内包した樹脂粒子)の調製
表1に示した各材料を用いて、常法により懸濁重合を行い、球状の樹脂粒子(平均粒径100μm)を得た。
(2)太陽電池用封止膜の調製
表2に示す配合で各材料をロールミルに供給し、70℃において混練して太陽電池用封止膜組成物を調製した。この太陽電池用封止膜組成物を、70℃においてカレンダ成形し、放冷後、太陽電池用封止膜(厚さ0.46mm)を作製した。
(3)架橋硬化サンプルの作製
上記太陽電池用封止膜を2枚の白板ガラス(厚さ3.2mm)で挟み、得られた積層体を、真空ラミネータを用いて90℃において真空時間2分、プレス時間8分で圧着した後、155℃のオーブン中で30分間加熱して架橋硬化させることにより、サンプルを作製した。
(4)評価方法
(i)光線透過率(%)
上記サンプルについて、分光光度計(日立製作所製、U−4100)を用いて400〜1000nmのスペクトル測定を実施し、その平均値を光線透過率(%)とした。
(ii)湿熱劣化試験
上記サンプルについて、分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、F−7000)を用いて蛍光強度を測定した。測定条件:ホトマル電圧400V、励起側スリット20nm、蛍光側スリット10nm、スキャンスピード240nm/min。照射波長は325nmとした。波長をX軸、発光量をY軸に表した関数f(x)の、発光ピークの開始波長から終了波長における曲線と関数f(x)上のX=X0とX1の2点を結ぶ直線により囲まれる領域の面積を算出し、蛍光強度とした。次いで、85℃85%RH環境下に250時間放置し、再度蛍光強度を測定し、初期状態からの蛍光強度残存率を算出した。
(5)評価結果
各評価結果を表に示す。
表1に示した各材料を用いて、常法により懸濁重合を行い、球状の樹脂粒子(平均粒径100μm)を得た。
(2)太陽電池用封止膜の調製
表2に示す配合で各材料をロールミルに供給し、70℃において混練して太陽電池用封止膜組成物を調製した。この太陽電池用封止膜組成物を、70℃においてカレンダ成形し、放冷後、太陽電池用封止膜(厚さ0.46mm)を作製した。
(3)架橋硬化サンプルの作製
上記太陽電池用封止膜を2枚の白板ガラス(厚さ3.2mm)で挟み、得られた積層体を、真空ラミネータを用いて90℃において真空時間2分、プレス時間8分で圧着した後、155℃のオーブン中で30分間加熱して架橋硬化させることにより、サンプルを作製した。
(4)評価方法
(i)光線透過率(%)
上記サンプルについて、分光光度計(日立製作所製、U−4100)を用いて400〜1000nmのスペクトル測定を実施し、その平均値を光線透過率(%)とした。
(ii)湿熱劣化試験
上記サンプルについて、分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、F−7000)を用いて蛍光強度を測定した。測定条件:ホトマル電圧400V、励起側スリット20nm、蛍光側スリット10nm、スキャンスピード240nm/min。照射波長は325nmとした。波長をX軸、発光量をY軸に表した関数f(x)の、発光ピークの開始波長から終了波長における曲線と関数f(x)上のX=X0とX1の2点を結ぶ直線により囲まれる領域の面積を算出し、蛍光強度とした。次いで、85℃85%RH環境下に250時間放置し、再度蛍光強度を測定し、初期状態からの蛍光強度残存率を算出した。
(5)評価結果
各評価結果を表に示す。
表に示したように、有機希土類錯体を内包したアクリル樹脂からなる樹脂微粒子であり、そのアクリル樹脂が、(メタ)アクリレートモノマーとしてメチルメタクリレート、架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート、又は1,9−ノナンジオールジメタクリレートをそれぞれ所定量含み、重合開始剤としてアゾ系重合開始剤を含む組成物を反応して得られる重合体である樹脂粒子を、波長変換材料として含む太陽電池用封止膜は湿熱劣化試験において、その蛍光強度が低下し難い。したがって、本発明の太陽電池用封止膜は、発電効率を向上する効果を長期間維持できることが示された。
なお、本発明は上記の実施の形態の構成及び実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。
本発明により、波長変換材料により太陽電池素子の発電効率が向上されており、高い発電効率が長期間維持される太陽電池を提供することができる。
11 表面側透明保護部材
12 裏面側保護部材
13A 表面側封止膜
13B 裏面側封止膜
14 太陽電池用セル
12 裏面側保護部材
13A 表面側封止膜
13B 裏面側封止膜
14 太陽電池用セル
Claims (8)
- オレフィン(共)重合体を含む樹脂材料、及び
波長変換材料を含む太陽電池用封止膜であって、
前記波長変換材料が、有機希土類錯体を内包したアクリル樹脂からなる樹脂粒子であり、
前記アクリル樹脂が、(メタ)アクリレートモノマー、架橋剤、及びアゾ系重合開始剤を含むアクリル樹脂用組成物を反応して得られる重合体であり、
前記架橋剤が、下記式(I):
で表される化合物であり、且つ
前記架橋剤の含有量が、前記式(I)において、
nが2の場合は、前記(メタ)アクリレートモノマー100質量部に対して、0.1〜5質量部であり、
nが3〜14の場合は、前記(メタ)アクリレートモノマー100質量部に対して、0.1〜50質量部であることを特徴とする太陽電池用封止膜。 - 前記架橋剤が、式(I)のにおいて、R1及びR2がメチル基であり、nが2である化合物である請求項1に記載の太陽電池用封止膜。
- 前記架橋剤が、式(I)において、R1及びR2がメチル基であり、nが9である化合物である請求項1に記載の太陽電池用封止膜。
- 前記(メタ)アクリレートモノマーが、メチルメタクリレートである請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池用封止膜。
- 前記有機希土類錯体が、前記式(II)において、Rが全て水素原子であり、nが1であるユウロピウム錯体である請求項5に記載の太陽電池用封止膜。
- 前記オレフィン(共)重合体が、メタロセン触媒を用いて重合されたエチレン・αオレフィン共重合体(m−LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン、ポリブテン、及びエチレン−極性モノマー共重合体からなる群から選択される1種以上の重合体である請求項1〜6のいずれか1項に記載の太陽電池用封止膜。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の太陽電池用封止膜により太陽電池素子を封止してなることを特徴とする太陽電池。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014124156A JP2016004893A (ja) | 2014-06-17 | 2014-06-17 | 太陽電池用封止膜及びこれを用いた太陽電池 |
CN201580032777.9A CN106471096A (zh) | 2014-06-17 | 2015-06-17 | 波长转换材料和含有其的太阳能电池用密封膜 |
US15/319,012 US20170130035A1 (en) | 2014-06-17 | 2015-06-17 | Wavelength conversion material and solar cell sealing film containing the same |
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-
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- 2014-06-17 JP JP2014124156A patent/JP2016004893A/ja active Pending
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