JP2014111962A - 車両の変速制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両の運転状態に基づき変速マップを参照して、自動変速機2を制御する変速制御装置において、車両の走行環境の変化や乗員の運転操作などの影響を好適に反映させてアップシフトの可否を判定し、ビジーシフトの抑制と燃費低減との十分な両立を図る。
【解決手段】変速マップ上のアップシフトの際に(ST1)、現車速V0においてアクセル踏み操作がなされてもアップシフト後の変速段(例えば6速)が維持される車両の最大駆動力を算出し(ST2)、この最大駆動力から現車速V0における走行抵抗分を減算した余裕駆動力が、判定閾値Th以上であればアップシフトを行う(ST7,8)一方、該判定閾値Th未満であればアップシフトは行わない(ST9)。定常走行状態が継続すれば所定期間毎に判定閾値Thの減算処理を行う。
【選択図】図7

Description

本発明は、車両の運転状態に基づいて自動変速機を制御する変速制御装置に関し、特にアップシフト制御に関連する。
従来より、自動車などの車両に搭載される自動変速機においては、車速およびアクセル開度に対応する好適なシフトスケジュールを変速線図の態様で設定しておき、この変速線図、即ち変速マップを参照して、現在の運転状態に適した変速段を選択するようにしている。この場合、シフトスケジュールは基本的に平坦路の走行に適したものとなっているため、路面勾配などの走行環境の変化に起因して、アップシフト後に直ぐにダウンシフトが行われることがあった(いわゆるビジーシフト)。
この点について特許文献1に記載の自動変速機では、現車速におけるダウンシフト線上のスロットル開度(アクセル開度)から、アップシフト後の変速段が維持されるような車両の最大駆動力を算出し、この最大駆動力よりも車両の走行抵抗が大きければアップシフトを禁止するようにしている。つまり、アップシフト後に乗員が少しアクセルペダルを踏んだだけで、ダウンシフトしてしまうような状況では、アップシフトは禁止される。
また、特許文献2には、前記の変速線図のようなマップを用いることなく、演算による変速比の選択を可能にした制御装置が開示されている。このものでは、走行抵抗から車速の維持に必要なバランスパワーを算出し、アップシフト後の変速比および出力回転数からエンジンの出力し得る最大パワーを算出し、この最大パワーを、前記のバランスパワーと所定のリザーブパワーとヒステリシスパワーとの加算値と比較して、最大パワーの大きいときにアップシフトを許可するようにしている。
特開平07−127731号公報 特開2010−84867号公報
前者の従来例では、アップシフト後、乗員が少しアクセルペダルを踏んだだけではダウンシフトせず、アップシフト後の変速段が維持されるようになるものの、車両の走行環境や車速の変化、或いは乗員による運転操作などの影響が制御に反映され難いことから、アップシフトできる状況でも低い変速段のままとされてしまい、燃費の低減効果が目減りすることがあった。
一方、後者の従来例のように変速マップを用いることなく、演算によって変速比を選択するものでは、その演算の負荷が大きくなり過ぎるきらいがある。しかも、後者の従来例でもハンチング防止のためのヒステリシスパワーの値が大きいと、アップシフトの頻度が低下してしまい、やはり燃費の低減効果が目減りすることになる。一方、ヒステリシスパワーの値が小さい場合は、ビジーシフトになる可能性がある。
かかる諸点に鑑みて本発明の目的は、変速マップを参照するようにした変速制御装置において、アップシフトの判定に車両の走行環境の変化や乗員の運転操作などの影響を好適に反映させて、ビジーシフトの抑制および燃費低減を十分に両立することにある。
前記の目的を達成するために本発明では、アップシフト後の変速段が維持されるような車両の最大駆動力と走行抵抗とに基づいて、アップシフトの可否を判定するとともに、その判定の閾値を、車両の運転状態に基づいて補正するようにした。
すなわち本発明は、車両の運転状態に基づき変速マップを参照して、自動変速機を制御する変速制御装置を対象として、前記変速マップに従ってアップシフトを行う際に、現車速においてアップシフト後の変速段が維持される車両の最大駆動力を算出し、この最大駆動力から現車速における車両の走行抵抗分を減算した余裕駆動力が、所定の判定閾値以上であればアップシフトを行う一方、該判定閾値未満であればアップシフトを行わないアップシフト制御部と、車両の定常走行状態が継続する場合に、所定期間毎に前記判定閾値から第1の補正値を減算する閾値補正部と、を備えるものとする。
前記の特定事項により、例えば車速の上昇などに伴い変速マップに従ってアップシフトが行われるような状況でも、アップシフト後の変速段における車両の余裕駆動力があまり大きくなくて、直ぐにダウンシフトが行われる可能性が高いときには、アップシフトは行われない。よって、ビジーシフトは抑制されることになる。一方、アップシフト後の変速段における余裕駆動力が十分にあるときには、アップシフトが行われて燃費の低減が図られる。
また、そのようにアップシフトの可否を判定するための余裕駆動力の判定閾値が、車両の定常走行状態の継続する間、徐々に減少するので、この場合にはアップシフトが行われやすくなって、定常走行状態における燃費の低減に有利になる。一方、定常走行状態が継続しなければ判定閾値は減少しないので、走行環境の変化などによって車両の運転状態が変化する状況でも、ビジーシフトを十分に抑制できる。
つまり、変速マップを参照して演算負荷の少ない変速制御を行うことができるとともに、車両の走行環境の変化や乗員の運転操作などの影響を好適に反映させて的確なアップシフトの判断を行うことができ、これによりビジーシフトの抑制および燃費低減を十分に両立できる。なお、車両の定常走行状態については例えばアクセル操作や車速の変化などから判定すればよい。
より具体的に前記変速マップが、車速およびアクセル開度に対応づけて変速段を規定した変速線図からなる場合に、前記アップシフト制御部は、前記変速線図のアップシフト線を跨ぐ現車速におけるダウンシフト線上のアクセル開度を特定し、このアクセル開度と現車速とに基づいて、前記最大駆動力を算出するようにすればよい。
すなわち、変速線図においては各変速段毎に、一つ上の変速段へのアップシフト線に対し低車速側(言い換えるとアクセル開度の大きな側)に、その一つ上の変速段から現在の変速段へのダウンシフト線が設定されている。このため、前記一つ上の変速段へのアップシフト線を跨ぐ現車速において、前記現在の変速段へのダウンシフト線上のアクセル開度を特定すれば、アップシフトの直後で未だ車速が殆ど変化していないときに、アップシフト後の変速段が維持される(言い換えるとダウンシフトが起きない)ようなアクセル開度の上限値を特定できる。
そして、そのアクセル開度と現車速とに基づいて、アップシフト後の変速段が維持される車両の最大駆動力を算出することができ、この算出した最大駆動力から現車速における車両の走行抵抗分を減算すれば、アップシフト後の変速段における車両の余裕駆動力を算出することができる。
また、前記閾値補正部は、アップシフト後の所定期間内にダウンシフトが行われた場合は、前記判定閾値に前記第1の補正値よりも値の大きな第2の補正値を加算するものとしてもよい。すなわち、車両の定常運転状態が継続すれば徐々に判定閾値を小さくし、徐々にアップシフトしやすくする一方で、アップシフト後にダウンシフトが起きてしまった場合は判定閾値を速やかに大きくすることで、ビジーシフトを効果的に抑制できる。
また、前記判定閾値の初期値については、現車速に応じて高車速側で低中車速側よりも小さな値に設定することが好ましい。こうすれば、基本的に車両の高速走行時にはアップシフトし易くなるので、燃費の低減効果が高くなる一方で、高速走行時に比べて運転状態が変化し易い低中速走行時にはアップシフトし難くなって、ビジーシフトの抑制とともにドライバビリティの確保にも有利になる。
さらに、好ましくは前記閾値補正部は、前記判定閾値を所定の下限値から上限値までの範囲内で補正するものとしてもよい。すなわち、車両の定常運転状態が継続して仮に判定閾値が零になってしまうと、余裕駆動力がなくてもアップシフトが行われる結果として、制御のハンチングが起きる虞があるが、判定閾値の減算を所定の下限値までとすることで、そのような不具合を防止することができる。また、判定閾値の上限値を設定すれば、必要以上にアップシフトが行われなくなる、という不具合も防止できる。
本発明に係る車両の変速制御装置では、変速マップを参照して演算負荷の少ない制御を行えるとともに、アップシフト後の変速段における車両の余裕駆動力を所定の判定閾値と比較してアップシフトの可否を判定し、かつその判定閾値を車両の運転状態に基づいて補正するようにしたので、車両の走行環境の変化や乗員の運転操作などの影響を好適に反映させて的確なアップシフトの判断を行うことができ、これによりビジーシフトの抑制および燃費低減を十分に両立できる。
実施形態に係る車両のパワートレーンを示す概略構成図である。 自動変速機における変速機構部の一例を示すスケルトン図である。 自動変速機における各変速段毎のクラッチやブレーキの係合状態を示す図である。 エンジン制御装置およびトランスミッション制御装置を含む制御ブロックの概略構成図である。 自動変速モードの変速マップ(変速線図)を示す図である。 5速から6速へのアップシフトを示す模式図である。 アップシフト補正制御の基本的な手順を示すフローチャート図である。 アップシフト補正制御における判定閾値の設定手順を示すフローチャート図である。 判定閾値の初期値を設定するテーブルの一例を示す図である。 アップシフト補正制御による判定閾値の変化をアクセル開度や車速に対応づけて示すタイミングチャート図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、自動変速機を搭載したFR(フロントエンジン・リヤドライブ)の車両に本発明を適用した場合について説明する。まず、車両のパワートレーンの全体的な構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る車両のパワートレーンを示す概略構成図、図2は、図1の自動変速機2における変速機構部30の一例を示すスケルトン図、図3は、図2の変速機構部30における変速段毎の各クラッチおよび各ブレーキの係合表である。図1において、1はエンジン、2は自動変速機、3はエンジン制御装置(エンジンECU)、4はトランスミッション制御装置(変速機ECU)である。
−エンジン−
エンジン1は、外部から吸入する空気とインジェクタ(燃料噴射弁)5から噴射される燃料とを適宜の比率で混合し、点火プラグ12により点火して燃焼させることにより、回転動力を発生する内燃機関である。吸入空気量はスロットルバルブ6によって調節される。このスロットルバルブ6は、電動式のアクチュエータ(スロットルモータ等)7により駆動されるものであって、アクセルペダル11の踏み込み量(アクセル開度)や制御上の条件などに基づいて開度(スロットル開度)が調節される。インジェクタ5、アクチュエータ7および点火プラグ12は、エンジン制御装置3により制御される。
−自動変速機−
自動変速機2は、エンジン1から入力軸9に入力される回転動力を変速し、出力軸10から駆動輪側に出力するもので、主として、トルクコンバータ20、変速機構部30、油圧制御装置40等を備えている。図2に示すように、トルクコンバータ20は、入力側のポンプインペラ21と、出力側のタービンランナ22と、トルク増幅機能を発現するステータ23と、ワンウェイクラッチ24とを備えており、ポンプインペラ21とタービンランナ22との間で流体を介して動力伝達を行うようになっている。
また、トルクコンバータ20には、入力側のポンプインペラ21と出力側のタービンランナ22とを直結するロックアップクラッチ26も設けられている。ロックアップクラッチ26は、必要に応じてポンプインペラ21とタービンランナ22とを直結する係合状態と、ポンプインペラ21とタービンランナ22とを切り離す解放状態と、これら係合状態と解放状態との中間の半係合状態(スリップ状態)との間で切り換えられる。
変速機構部30は、図2に示すように、主として、第1プラネタリ31、第2プラネタリ32、第3プラネタリ33、クラッチC1〜C4、ブレーキB1〜B4、ワンウェイクラッチF0〜F3等を含んで構成されており、前進6段、後退1段の変速が可能になっている。
第1プラネタリ31は、一例としてダブルピニオンタイプと呼ばれる歯車式遊星機構とされており、サンギアS1と、リングギアR1と、複数個のインナーピニオンギアP1Aと、複数個のアウターピニオンギアP1Bと、キャリアCA1とを含む構成である。
サンギアS1は、クラッチC3を介して入力軸9に選択的に連結される。このサンギアS1は、ワンウェイクラッチF2およびブレーキB3を介してハウジングに選択的に連結され、逆方向(入力軸9の回転と反対方向)の回転が阻止される。キャリアCA1は、ブレーキB1を介してハウジングに選択的に連結されるとともに、そのブレーキB1と並列に設けられたワンウェイクラッチF1により、常に逆方向の回転が阻止される。リングギアR1は、第2プラネタリ32のリングギアR2と一体的に連結されており、ブレーキB2を介してハウジングに選択的に連結される。
第2プラネタリ32は、シングルピニオンタイプと呼ばれる歯車式遊星機構とされており、サンギアS2と、リングギアR2と、複数個のピニオンギアP2と、キャリアCA2とを含む構成である。
サンギアS2は、第3プラネタリ33のサンギアS3と一体的に連結されており、クラッチC4を介して入力軸9に選択的に連結される。このサンギアS2は、ワンウェイクラッチF0およびクラッチC1を介して入力軸9に選択的に連結され、その入力軸9に対して相対的に逆方向へ回転することが阻止される。キャリアCA2は、第3プラネタリ33のリングギアR3と一体的に連結されており、クラッチC2を介して入力軸9に選択的に連結されるとともに、ブレーキB4を介してハウジングに選択的に連結される。このキャリアCA2は、ブレーキB4と並列に設けられたワンウェイクラッチF3により、常に逆方向の回転が阻止される。
第3プラネタリ33は、シングルピニオンタイプと呼ばれる歯車式遊星機構とされており、サンギアS3と、リングギアR3と、複数個のピニオンギアP3と、キャリアCA3とを含む構成である。キャリアCA3は、出力軸10に一体的に連結されている。
クラッチC1〜C4およびブレーキB1〜B4は、オイルの粘性を利用した湿式多板摩擦係合要素により構成されており、それらが油圧制御装置40からの油圧を受けて個別に係合、解放されることにより、適宜の変速段(前進1〜6速段、後退段)が成立するようになっている。この油圧制御装置40の基本構成は公知であるので、ここでは詳細な図示や説明を割愛する。
図3には、前記の変速機構部30において各変速段を成立させる条件を示す。詳しい説明は省略するが、図3は、変速機構部30の変速段毎でのクラッチC1〜C4、ブレーキB1〜B4およびワンウェイクラッチF0〜F3の係合または解放状態を示す係合表である。この係合表において、○印は「係合」、×印は「解放」、◎印は「エンジンブレーキ時に係合」、△印は「動力の伝達を行わない係合」を表している。
なお、本発明が適用される変速機構部30の構成は、図2に示したものに限定されず、種々の変速機構部を搭載した車両に対して本発明は適用が可能となっている。
−エンジン制御装置およびトランスミッション制御装置−
エンジン制御装置3は、車両の運転状態に応じてエンジン1へ供給する混合気の量や燃焼タイミングを調整することにより、エンジン1の出力を制御する。また、トランスミッション制御装置4は、車両の運転状態に応じて油圧制御装置40を制御し、前記のように変速機構部30におけるクラッチC1〜C4およびブレーキB1〜B4などを係合、解放させることにより、適宜の変速段を成立させる。これらエンジン制御装置3およびトランスミッション制御装置4は、エンジン制御やトランスミッション制御に必要な情報を互いに送受可能に接続されている。
エンジン制御装置3およびトランスミッション制御装置4は、いずれも公知のECU(Electronic Control Unit)からなり、図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびバックアップRAMなどを備えている。ROMには各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されている。CPUは、ROMに記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。RAMは、CPUでの演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAMは、エンジン1の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する。
図4の左側に示すようにエンジン制御装置3には、前記エンジン1のクランクシャフトの回転角(クランク角CA)を検出するためのクランク角センサ101、前記スロットルバルブ6の開度を検出するスロットル開度センサ102、吸入空気量を検出するエアフローメータ103などのエンジン1の運転状態を検出する各種センサが接続されており、その各センサの信号が入力される。一方、エンジン制御装置3は、スロットルバルブ6のアクチュエータ(スロットルモータ等)7、インジェクタ5の燃料噴射量や燃料噴射タイミング、点火プラグ12の点火タイミングなどを制御する。
また、エンジン制御装置3のROMには、エンジン1の出力トルクを推定するためのトルク推定マップが記憶されている。このトルク推定マップを参照することで、少なくとも前記クランク角センサ101からの出力信号に基づいて算出されるエンジン回転数と、スロットル開度センサ102によって検出されるスロットル開度、若しくはアクセル開度センサ112によって検出されるアクセル開度Accとに基づいて、現在のエンジン1の出力トルクを推定することができる。
図4の右側に示すようにトランスミッション制御装置4には、入力軸9の回転数を検出する入力軸回転数センサ110、出力軸10の回転数を検出する出力軸回転数センサ111、ドライバにより操作されるアクセルペダル11の操作量を検出するアクセル開度センサ112、自動変速機2のシフトレバー位置を検出するシフトポジションセンサ113、駆動輪の速度(車輪速度)を検出する車輪速センサ114、車両の前後G変化を検出するGセンサ115、ドライバにより操作されるブレーキペダル14の操作量を検出するブレーキペダルセンサ116などが接続されている。
ここで、前記シフトポジションセンサ113は、図1に表れているように、車両の乗員が操作するシフト装置50のシフトレバー51の位置を検出する。シフトレバー51は、パーキング(P)位置、リバース(R)位置、ニュートラル(N)位置、ドライブ(D)位置などへ操作することができる。これら各位置P〜Dに対応する信号をシフトポジションセンサ113が出力する。
一方、トランスミッション制御装置4は、自動変速機2の油圧制御装置40にソレノイド制御信号(油圧指令信号)を出力する。このソレノイド制御信号に基づいて油圧制御装置40の油圧制御回路に備えられているリニアソレノイドバルブやオンオフソレノイドバルブなどが制御され、所定の変速段(第1変速段〜第6変速段、後退変速段など)を達成するように、自動変速機2の各クラッチC1〜C4、各ブレーキB1〜B4などが所定の状態に係合または解放される。
例えばシフトレバー51がドライブ(D)位置に操作されていると、自動変速機2は自動変速モード(オートマチックモード)となって、以下に説明するように車両の運転状態などに基づき、変速マップを参照して好適な変速段が選択される。そして、この選択された変速段(目標変速段)になるように変速制御が行われる。
−自動変速機の変速制御−
次に、上述の如く構成された自動変速機2の自動変速モードにおける変速制御について説明する。まず、自動変速モードで用いられる変速マップは、例えば図5に示すように車速Vおよびアクセル開度Acc(スロットル開度でもよい)をパラメータとする変速線図の態様とされ、トランスミッション制御装置4のROM内に記憶されている。変速マップは、車速Vおよびアクセル開度Accに対応づけて、好適な変速段をそれぞれ規定した複数の領域に区画されており、それらの領域の境界が変速線(変速段の切り換えライン)になっている。
図5においては、1〜5の各変速段毎に、一つ上の変速段(2〜6)へアップシフトするためのアップシフト線が実線で示されており、各アップシフト線のそれぞれに対して低車速側(言い換えるとアクセル開度の大きな側)には、前記一つ上の変速段(2〜6)から現在の変速段(1〜5)へダウンシフトするためのダウンシフト線が破線で示されている。なお、アップシフトおよびダウンシフトの方向は図中に数字と矢印とで示されている。
トランスミッション制御装置4は、出力軸回転数センサ111の出力信号に基づいて車速Vを算出する(車輪速センサ114の出力信号に基づいて算出してもよい)とともに、アクセル開度センサ112の出力信号からアクセル開度Accを算出し、それら車速Vおよびアクセル開度Accに基づいて前記の変速マップを参照し、目標変速段を決定する。また、入力軸回転数センサ110および出力軸回転数センサ111の出力信号から得られる回転数の比(出力回転数/入力回転数)を求めて現在変速段を判定し、その現在変速段と目標変速段とを比較して変速操作が必要であるか否か判定する。
その判定結果により、変速の必要がない場合(現在変速段と目標変速段とが同じで、変速段が適切に設定されている場合)には、現在変速段を維持するソレノイド制御信号(油圧指令信号)を自動変速機2の油圧制御装置40に出力する。一方、現在変速段と目標変速段とが異なる場合には変速制御を行う。
一例として、自動変速機2の変速段が5速になっているときに車両の運転状態が、図5に示す点Aから点Bに変化した場合、5→4ダウンシフト線を跨ぐことになるので、変速マップから算出される目標変速段は4速になり、この4速の変速段を設定するソレノイド制御信号を自動変速機2の油圧制御装置40に出力して、5速から4速へのダウンシフト(5→4ダウンシフト)を行う。
また、自動変速機2の変速段が5速になっているときに車両の運転状態が、図5に示す点Cから点Dに変化した場合は、5→6アップシフト線を跨ぐことになるので、変速マップから算出される目標変速段が6速となり、この6速の変速段を設定するソレノイド制御信号を自動変速機2の油圧制御装置40に出力して、5速から6速へのアップシフト(5→6アップシフト)を行う。
−アップシフト補正制御−
ところで、前記の自動変速モードにおいて変速マップに設定されているシフトスケジュールに沿って、例えば前記のように5速から6速へ変速した直後に、路面の勾配がきつくなって、車速を維持するために乗員がアクセルペダル11を踏み操作した場合、図6に仮想線の矢印でE→D*として示すように、アップシフトの直後にダウンシフト線6→5を越えてしまい、5速へダウンシフトすることがある。
このようなビジーシフトを防止するために本実施形態では、アップシフト後の変速段(6速)において仮に前記のようなアクセル踏み操作が行われたとしても、ダウンシフトは行われず6速に維持されるような車両の余裕駆動力を特定する。そして、この余裕駆動力が十分に大きければアップシフトする一方、余裕駆動力があまり大きくなくてビジーシフトになる心配があれば、アップシフトは行わないようにしている。
詳しくは前記図6に示すように、まず、5→6アップシフト線を跨ぐ現車速V0において、6→5ダウンシフト線上の点Fにおけるアクセル開度Acc1を特定する。このアクセル開度Acc1と現車速V0とからエンジン1の出力トルクを算出することができるので、現車速V0においてアップシフト後の変速段(6速)が維持されるような車両の最大駆動力(現車速における6速の最大駆動力)を算出することができる。
そして、その最大駆動力から現車速V0における車両の走行抵抗分の駆動力(走行抵抗によって消費される駆動力)を減算すれば、アップシフト後の変速段、即ち6速が維持されるような駆動力の余裕、即ち現車速V0における6速での余裕駆動力を算出することができる。この余裕駆動力を予め設定した判定閾値Thと比較することによって、ダウンシフトが必要になるまでの駆動力の余裕が十分かどうか判定できる。
すなわち、余裕駆動力が判定閾値Th以上であればアップシフトする一方、判定閾値Th未満であればアップシフトは行わなければよいが、こうした場合に判定閾値Thの値が大きめであると、駆動力の余裕が少なめに判定されることから、必要以上にアップシフトが行われ難くなってしまい、燃費の低減効果が削がれることになる。反対に判定閾値Thの値が小さめであると駆動力の余裕は多めに判定され、アップシフトが行われ易くなることによって、ビジーシフトを招く心配がある。
そこで、本実施形態では、車両の運転状態(この例ではアクセル開度Accおよび車速V)の変化に応じて判定閾値Thを補正するようにしている。このことで、車両の走行環境の変化や乗員による運転操作の影響を好適に反映させて判定閾値Thを変化させ、的確なアップシフトの判断を行うことができるようになって、ビジーシフトの抑制および燃費低減の十分な両立が図られる。
以下、図7および図8のフローチャート図を参照して、アップシフト補正制御の手順を具体的に説明する。以下の説明では一例として5→6アップシフトの場合について説明するが、例えば4→5アップシフトや3→4アップシフトなど、それ以外のアップシフトの場合についても同様である。なお、図7および図8に示す制御ルーチンは、所定時間毎またはクランクシャフトの所定回転角度毎に実行される。
まず、図7を参照してアップシフト補正制御の基本的な手順を説明すると、制御ルーチンがスタートした後の最初のステップST1では、車両の運転状態(この例ではアクセル開度Accおよび車速V)に基づき、図5のような変速マップを参照していずれかのアップシフト線を跨ぐか否か(アップシフト?)判定する。そして、否定判定(NO)であればリターンし、肯定判定(YES)であればステップST2に進む。
一例として図5、6を参照して上述したように車両の運転状態が、図示の点Cから点Dに変化する場合は、5→6アップシフト線を跨ぐ点E(図6に示す)の現車速V0において、仮にアクセル踏み操作がなされてもアップシフト後の変速段(6速)が維持される車両の最大駆動力(現車速における6速の最大駆動力)を算出する(ステップST2)。
すなわち、点Eの現車速V0における6→5ダウンシフト線上の(即ち点Fでの)アクセル開度Acc1(ダウンシフト線上のアクセル開度)を特定し、このアクセル開度Acc1と、現車速V0およびアップシフト後の変速段(6速)から算出されるエンジン回転数とに基づいて、エンジン制御装置3のROMに記憶されているトルク推定マップから、点Fにおけるエンジン1の出力トルクを算出する。なお、エンジン出力トルクは、トルクセンサなどを用いて直接、検出するようにしてもよい。
このエンジン出力トルクから、現車速におけるアップシフト後の変速段(6速)での車両の最大駆動力を算出できる。すなわち、アップシフト後の変速段(6速)の変速比から、エンジン1から駆動輪までの動力伝達経路全体の減速比を求めるとともに、この動力伝達経路における動力損失も考慮して、前記のエンジン出力トルクに応じて駆動輪から出力される車両の駆動力を算出する。
続いてステップST3では、現車速V0におけるアクセル開度Acc0(図6に示す)とエンジン回転数(現車速V0および現在の変速段(5速)から算出)とから現在のエンジン出力トルクを算出し、前記と同様にエンジン1から駆動輪までの動力伝達経路全体の減速比と、この動力伝達経路における動力損失を考慮して、駆動輪から出力される現在の車両の駆動力を算出する。
また、ステップST4では、現車速V0における車両の前後方向の加速度から車両の余裕駆動力を算出する。加速度は例えば車載のGセンサ115からの信号によって算出することができ、微小時間における車速の変化として算出することもできる。この加速度を生じさせる車両の余裕駆動力は、車両の質量と加速度とから算出できる。そして、この余裕駆動力を、前記ステップST3で算出した車両の駆動力から減算すれば、現在の車両の走行抵抗を算出できる(ステップST5)。
続いてステップST6では、前記ステップST2で算出した、現車速V0における6速での最大駆動力から前記の走行抵抗(現車速V0における走行抵抗)分を減算して、現車速V0においてアップシフト後の変速段(6速)が維持されるような余裕駆動力、即ち、現車速V0における6速での余裕駆動力を算出する。この余裕駆動力が大きいほど、走行環境などが変化しても、6速に維持される可能性が高い。
そこで、ステップST7では、以下に述べるように設定した判定閾値Thと前記6速での余裕駆動力とを比較して、この余裕駆動力が判定閾値Th以上で肯定判定(YES)であれば、アップシフトを実行する(ステップST8)。一方、余裕駆動力が判定閾値Th未満で否定判定(NO)であれば、アップシフトは行わずに(ステップST9:アップシフト不実行)制御ルーチンを終了する(エンド)。
前記のように本実施形態のアップシフト補正制御では、アップシフト後の変速段(6速)における駆動力の余裕が大きく、走行環境の変化や運転操作などの影響によって直ちにダウンシフトする可能性が低いと考えられる状況ではアップシフトを行う一方、駆動力の余裕があまり大きくなくて、直ちにダウンシフトしてしまう可能性が高いと考えられる状況では、ビジーシフトを避けるためにアップシフトは行わないようにしている。
−判定閾値の補正−
次に図8を参照し、前記5→6アップシフトの場合を例にとって、判定閾値Thの設定の手順について具体的に説明する。まず、制御ルーチンがスタートした後の最初のステップST11では、判定閾値Thの初期値を現車速に応じて設定する。この初期値は、以下に述べるように増減補正する判定閾値Thの基準となるもので、例えば、6速へのアップシフトを許可したい道路勾配(狙い勾配)による走行抵抗の増分に対応する値とされている。
すなわち、判定閾値Thの初期値は、一例として図9に示すようなテーブルから車速に対応する値を読み取って設定する。図示のテーブルには、車速が100km/h未満では判定閾値Thの初期値をaN(一定値)とし、100km/h以上では車速の上昇に応じて増大させるように設定されている。このテーブルは、前記の狙い勾配が車速の上昇に応じて小さくなり、勾配による走行抵抗の増分も小さくなることを考慮して、車速に対応する好適な値を計算やシミュレーションなどにより適合し設定したもので、トランスミッション制御装置4のROMに記憶されている。
そうして設定された判定閾値Thの初期値が、以下のステップST12〜16において車両の運転状態に応じて補正される。すなわち、ステップST12では、所定の定常走行状態にあるか否か判定し、肯定判定(YES)であればステップST13,14へ、また、否定判定(NO)であればステップST15へ進む。
ここで、定常走行状態については一例として、アクセル開度Accの変化量(絶対値)が閾値未満であること、車速Vの変化量、即ち車両の加速度が閾値(例えば5m/s2)未満であること、などの条件によって判定すればよい。アクセル開度Accの変化量の閾値は例えば単位時間に10%とすればよく、加速度の閾値は例えば5m/s2とすればよいが、これらの値には限定されず適宜、設定すればよい。
こうして例えば乗員によるアクセル操作量が小さく、かつ車速Vがあまり変化しないような状態で定常走行状態にある(YES)と判定されれば、ステップST13で所定時間(例えば2〜3秒)の経過を判定し、否定判定(NO)の間は前記ステップST12に戻って定常走行状態にあるか否かの判定を繰り返す。一方、肯定判定(YES)になればステップST14に進んで、判定閾値Thの減算処理を行う。
すなわち、前記のような定常走行状態が継続する間は所定時間毎に判定閾値Thから、予め設定してある第1の補正値を減算し、この減算後の判定閾値Thをトランスミッション制御装置4のRAMに一旦、記憶する。これにより判定閾値Thの大きさは徐々に減少してゆき、徐々にアップシフトが行われやすくなるので、定常走行状態における燃費の低減に有利になる。
一方、定常走行状態が継続しなければ判定閾値Thの減算処理は行われず、比較的大きな値に保たれるので、例えば路面の勾配など走行環境の変化が大きく、これにより車速Vが変化するような状況であったり、或いは車両の乗員によって頻繁にアクセル操作が行われるような状況においてはアップシフトは比較的行われ難くなって、ビジーシフトの抑制が図られる。
続いてステップST15では、実際にアップシフトが行われた後の所定時間(例えば5〜10秒)内に、ダウンシフトが行われたか否か判定する。このようにアップシフトの直後にダウンシフトが行われた場合、判定閾値Thが小さくなり過ぎていると考えられるので、肯定判定(YES)であればステップST16へ進んで、判定閾値Thの加算処理を行う。すなわち、ダウンシフトの判定に応じて判定閾値Thには、予め設定してある第2の補正値を加算し、この加算後の判定閾値Thをトランスミッション制御装置4のRAMに一旦、記憶する。
なお、前記第1の補正値および第2の補正値については一例として、初期値が200Nで定常走行状態の判定時間が2秒毎であれば、これを減算するための第1の補正値は20Nくらいとすればよい。この場合、第2の補正値は、第1の補正値よりも十分に大きな値とするのが好ましく、例えば200Nとすればよい。但し、これらの値には限定されず、第1および第2の補正値はそれぞれ適宜、設定すればよい。
前記のようにアップシフトの直後にダウンシフトが行われた場合(YES)は、加算処理によって判定閾値Thを一気に増大させるので、増大前に比べると、かなりアップシフトが行われ難くなり、ビジーシフトを効果的に抑制できる。一方、アップシフトの直後にダウンシフトが行われなければ(NO)、加算処理は行わない。そして、いずれの場合もステップST17へ進んで、判定閾値Thの上下限のガード処理を行う。
すなわち、前記したステップST14の減算処理が繰り返され、判定閾値Thが徐々に減少してゆくときに、判定閾値Thが下限値未満になっていなければ、この判定閾値Thをそのまま採用する。一方、判定閾値Thが下限値未満になっている場合には、この下限値を判定閾値Thとして採用する。こうすれば、定常運転状態が継続しても判定閾値Thが零にはならず、制御のハンチングが防止される。
同様に、前記ステップST16の加算処理が行われた結果、判定閾値Thが上限値を越えていなければ、この判定閾値Thをそのまま採用する一方、判定閾値Thが上限値を越えている場合には、この上限値を判定閾値Thとして採用する。こうすれば、必要以上にアップシフトが行われ難くなることを防止できる。
前記のように車両の運転状態に応じて判定閾値Thを増減補正することで、図7を参照して上述したアップシフト補正制御において、その判定閾値Thに基づいて行われるアップシフトの可否の判定に、例えば車両の走行環境や車速Vの変化、或いは乗員による運転操作の影響などが好適に反映されるようになる。
図10には、車両の走行中のアクセル開度Acc、車速Vおよび変速段の変化と、前記アップシフト補正制御における判定閾値Thの変化とを、互いに対応づけて示す。図示の例では時刻t1にアクセル踏み操作が行われ、これに応じて5→4ダウンシフトが行われるとともに、車速Vが上昇している。その後、時刻t2ではアクセル開度Accの低下などに伴い4→5アップシフトが行われる。
このようにアクセル開度Accや車速Vが或る程度以上、変化している場合は、アップシフトの判定閾値Thは減算も加算もされず、概ね一定値に保たれるが、時刻t3以降、乗員が車速Vを維持する程度のアクセル開度に維持するとともに、車両の走行する路面の勾配が小さくて車速Vが概ね一定に保たれる定常走行状態では、所定時間毎に判定閾値Thの減算処理が行われ、その値が徐々に減少してゆく。これによりアップシフトが行われ易くなって、定常走行状態における燃費の低減に有利になる。
そして、時刻t4において判定閾値Thが下限値に達すると、それ以降は判定閾値Thの減算は行われないが、この状態ではアップシフトが非常に行われ易くなる。このため、例えば下り坂のように路面勾配によって車速Vが少し上昇しただけで、アップシフトが行われ(時刻t5)、その直後に登りの路面勾配に変化して乗員がアクセル踏み操作を行うことによって、ダウンシフトが行われてしまう(時刻t6)。
そうしてアップシフトの直後にダウンシフトが行われると、これに応じて判定閾値Thに加算処理が行われ、その値が一気に増大するので、その後の時刻t7において前記と同様に下りの路面勾配において車速Vが上昇し、変速マップ上では5→6アップシフト線を跨ぐときでも、アップシフトは行われず5速に維持されるようになる。つまり、判定閾値Thの補正によってビジーシフトが抑制される。
したがって、本実施形態に係る車両の変速制御装置によれば、アップシフト後の変速段における駆動力の余裕からアップシフトの可否を判定するとともに、その判定の閾値Thを車両の運転状態に応じて補正するようにしたから、車両の走行環境の変化や乗員の運転操作などの影響を好適に反映させて、的確にアップシフトの可否を判定することができるようになり、ビジーシフトの抑制および燃費低減の十分な両立が図られる。
しかも、複雑な演算によるのではなく、基本的には変速マップを参照してアップシフトするか否か判定するようにしているので、トランスミッション制御装置4のECUの演算負荷が過大になることもない。
また、前記判定閾値Thの初期値が、車両の高車速側で低中車速側よりも小さな値になるので、高速走行時にはアップシフトし易くなって燃費の低減効果が高くなる一方、比較的運転状態の変化し易い低中速走行時にはアップシフトし難くなって、ビジーシフトの抑制とともにドライバビリティの確保にも有利になる。
さらに、前記判定閾値Thに上下限のガード処理を行っているので、車両の定常運転状態がいくら継続しても判定閾値Thが零になってしまい、制御のハンチングが起きることはない。反対に判定閾値Thが大きくなり過ぎてしまい、必要以上にアップシフトが行われなくなることもない。
−他の実施形態−
以上、説明した実施形態の記載はあくまで例示に過ぎず、本発明の構成や用途などについても限定することを意図しない。例えば前記実施形態のアップシフト補正制御においては、駆動力の余裕が十分か否か判定するための判定閾値Thに加算および減算処理を行うようにしているが、これは例えば減算処理のみとして、所定条件下で初期値にリセットするようにしてもよい。
また、判定閾値Thの減算処理や加算処理の内容についても前記実施形態には限定されず、例えば加算処理について、車両が定常走行状態にないときに減算処理と同様に比較的小さな補正値を加算して、判定閾値Thを徐々に増大させるようにしてもよい。
また、判定閾値Thの初期値についても前記実施形態のように車速Vに応じて設定するのみならず、例えば車両の運転履歴を加味して設定するようにしてもよいし、初期値としては固定値を用いることも可能である。
また、前記実施形態のアップシフト補正制御においては、判定閾値Thに上下限のガード処理も行うようにしているが、これにも限定されず、例えばガード処理は判定閾値Thの下限にのみ行うようにしてもよい。
さらに、前記の実施形態は、一例として前進6速の自動変速機2を搭載したFR車両に対して本発明を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、前進5速や前進8速等の自動変速機を搭載した車両や、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両や4輪駆動車に適用することも可能である。また、変速機の構成としては、CVT(Continuously Variable Transmission)であってもよい。
また、前記の実施形態では、一例としてガソリンエンジンを搭載した車両に本発明を適用した場合について説明したが、これにも限定されず本発明は、ディーゼルエンジン等の他のエンジンを搭載した車両に対しても適用可能である。また、駆動力源としてエンジンのみを搭載した車両にも限定されず、例えばハイブリッド車両(駆動力源としてエンジンおよび電動モータを搭載した車両)にも本発明を適用することができる。
本発明は、車両の走行環境などの変化による影響を好適に反映させて、アップシフトの判断を行うことで、ビジーシフトの抑制と燃費低減との十分な両立を図ることができるものであり、特に乗用車に適用して有効である。
2 自動変速機
4 トランスミッション制御装置(アップシフト制御部、閾値補正部)
Acc アクセル開度(車両の運転状態)
Acc1 ダウンシフト線上のアクセル開度
V 車速(車両の運転状態)
V0 現車速
Th アップシフト後の駆動力の余裕の判定閾値

Claims (5)

  1. 車両の運転状態に基づき変速マップを参照して、自動変速機を制御する変速制御装置であって、
    前記変速マップに従ってアップシフトを行う際に、現車速においてアップシフト後の変速段が維持される車両の最大駆動力を算出し、この最大駆動力から現車速における車両の走行抵抗分を減算した余裕駆動力が、所定の判定閾値以上であればアップシフトを行う一方、該判定閾値未満であればアップシフトを行わないアップシフト制御部と、
    車両の定常走行状態が継続する場合に、所定期間毎に前記判定閾値から第1の補正値を減算する閾値補正部と、を備えることを特徴とする車両の変速制御装置。
  2. 請求項1記載の車両の変速制御装置において、
    前記変速マップが、車速およびアクセル開度に対応づけて変速段を規定した変速線図からなり、
    前記アップシフト制御部は、前記変速線図のアップシフト線を跨ぐ現車速におけるダウンシフト線上のアクセル開度を特定し、このアクセル開度と現車速とに基づいて、前記最大駆動力を算出する、車両の変速制御装置。
  3. 請求項1または2のいずれかに記載の車両の変速制御装置において、
    前記閾値補正部は、アップシフト後の所定期間内にダウンシフトが行われた場合、前記判定閾値に前記第1の補正値よりも値の大きな第2の補正値を加算する、車両の変速制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の車両の変速制御装置において、
    前記判定閾値の初期値が現車速に応じて、高車速側で低中車速側よりも小さな値に設定される、車両の変速制御装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の車両の変速制御装置において、
    前記閾値補正部は、前記判定閾値を所定の下限値から上限値までの範囲内で補正する、車両の変速制御装置。
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