以下の実施の形態では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの機能及び名称も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
(第1の実施の形態)
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る画像処理装置100は、例えば、コピー機能、スキャナ機能、及び、プリンタ機能等を備えるMFP(Multifunction Peripheral)である。なお、画像処理装置100は、レーザー光を露光に利用する、所謂レーザー方式(電子写真方式)の印刷機能を備える。しかし、他の形式の印刷機能を備えたものであってもよい。この画像処理装置100は、紙媒体である記録用紙に画像を形成した後に、当該記録用紙に対してクリアコーティングを行なう機能(以下「コーティング機能」と呼ぶ場合がある。)を有している。
クリアコーティングを行なうシーンにおいて、例えばカタログ等では写真画像等の画像領域部分又はロゴ画像等の文字領域部分等の特定領域にクリアコーティングを行なうケースが多々ある。こうした場合、クリアコーティングを行なう領域をユーザが指定していると手間と時間がかかる。
本画像処理装置100では、原稿画像を読取る(スキャンする)ことによって画像データ(原稿データ)を取得すると、取得した画像データを領域分離処理することによって当該画像データの表わす画像上の画像領域(以下「写真領域」と記す場合がある。)及び文字領域を自動で判別する。画像処理装置100は、判別した領域にクリアコーティングを行なう。これにより、ユーザの手間及び時間が削減される。本画像処理装置100は、こうした機能に加えて、記録用紙の全面にクリアコーティングを行なう機能及び記録用紙の一部の領域にクリアコーティングを行なう機能をも有している。なお、本明細書において「文字領域」とは、ロゴ画像(ロゴタイプ)等の図案化・装飾化された文字又は文字列、並びに、グラフィカルな記号又はアイコン等が形成された領域を意味する。
こうしたコーティング機能は、ユーザの操作により設定可能とされている。すなわち、画像処理装置100は、クリアコーティングを行なう領域(クリアコート領域)を選択することが可能に構成されている。クリアコート領域の選択は、ユーザインターフェイス(UI)である後述する操作パネル170に表示される設定画面200において行なわれる。
図2を参照して、設定画面200には、クリアコート領域を選択するための4つのボタン202〜208が表示される。ユーザによってボタン202が操作(選択)されると、クリアコート領域として「全面」が設定される。ボタン202の操作により「全面」が選択されると、画像処理装置100は、画像が形成された記録用紙の全面にクリアコーティングを行なうよう自機を設定する。ユーザによってボタン204が操作(選択)されると、クリアコート領域として「部分指定」が設定される。ボタン204の操作により「部分指定」が選択されると、画像処理装置100は、画像が形成された記録用紙に対して、ユーザが指定した領域にクリアコーティングを行なうよう自機を設定する。ユーザによってボタン206が操作(選択)されると、クリアコート領域として「写真領域(自動)」が設定される。ボタン206の操作により「写真領域(自動)」が選択されると、画像処理装置100は、領域分離処理により画像データの表わす画像上の写真領域を判別し、画像が形成された記録用紙に対して、判別した写真領域にクリアコーティングを行なうよう自機を設定する。ユーザによってボタン208が操作(選択)されると、クリアコート領域として「文字領域(自動)」が設定される。ボタン208の操作により「文字領域(自動)」が選択されると、画像処理装置100は、領域分離処理により当該画像データの表わす画像上の文字領域を判別し、画像が形成された記録用紙に対して、判別した文字領域にクリアコーティングを行なうよう自機を設定する。
画像処理装置100は、クリアコート領域の設定に応じた領域にクリアコーティングを行なう。例えば、図3を参照して、図3の左側に示す原稿220をコピー印刷する場合、クリアコート領域の設定に応じて、図3の右側に示す印刷結果が得られる。なお、原稿220は、写真画像が形成された写真領域(二点鎖線222で囲まれた領域)及びロゴ画像が形成された文字領域(二点鎖線224で囲まれた領域)を含む。
クリアコート領域として「全面」が設定されている場合、図4(a)に示す印刷結果(印刷済み用紙)が得られる。図4(a)では、クリアコーティングが行なわれた領域が網掛け領域230で示されている。クリアコート領域として「部分指定」が設定されている場合、図4(b)に示す印刷結果が得られる。ここでは、ユーザは、原稿220の写真領域に相当する領域を、コーティングを行なう領域として指定したものとする。図4(b)では、クリアコーティングが行なわれた領域が網掛け領域232で示されている。クリアコート領域として「写真領域(自動)」が設定されている場合、図4(c)に示す印刷結果が得られる。「写真領域(自動)」が設定されている場合、画像処理装置100は、原稿220を読取ることによって取得した画像データを領域分離処理することにより当該画像データの表わす画像上の写真領域を判別し、判別した写真領域にクリアコーティングを行なう。図4(c)では、クリアコーティングが行なわれた領域が網掛け領域234で示されている。クリアコート領域として「文字領域(自動)」が設定されている場合、図4(d)に示す印刷結果が得られる。「文字領域(自動)」が設定されている場合、画像処理装置100は、原稿220を読取ることによって取得した画像データを領域分離処理することにより当該画像データの表わす画像上の文字領域を判別し、判別した文字領域にクリアコーティングを行なう。図4(d)では、クリアコーティングが行なわれた領域が網掛け領域236で示されている。
[ハードウェア構成]
《画像処理装置100》
図1を参照して、本実施の形態に係る画像処理装置100は、制御部110、スキャナ部120、画像処理部130、画像形成部140、クリア画像形成ユニット150、ネットワークインターフェイス(以下「インターフェイス」を「I/F」と記す。)160及び操作パネル170を含む。
制御部110は、実質的にコンピュータであって、CPU(Central Processing Unit)112、ROM(Read Only Memory)114、RAM(Random Access Memory)116及びHDD(Hard Disk Drive)118を含む。CPU112には、BUSライン180が接続されており、このBUSライン180には、ROM114、RAM116及びHDD118が電気的に接続される。CPU112は、操作パネル170等からの指示に応じて各種コンピュータプログラムを実行することによって、画像処理装置100の各部の動作及び情報処理装置(図示せず。)等の外部機器との通信等の所望の処理を実行する。上記の各種コンピュータプログラムは、予めROM114又はHDD118に記憶されており、所望の処理の実行時において、当該ROM114又はHDD118から読出されてRAM116に転送される。CPU112は、CPU112内の図示しないプログラムカウンタと呼ばれるレジスタに格納された値によって指定される、RAM116内のアドレスからプログラムの命令を読出し、解釈する。CPU112はまた、読出された命令によって指定されるアドレスから演算に必要なデータを読出し、そのデータに対し命令に対応する演算を実行する。実行の結果も、RAM116、HDD118及びCPU112内のレジスタ等の、命令によって指定されるアドレスに格納される。
HDD118には、画像処理装置100の一般的な動作を実現するためのコンピュータプログラムが記憶される。このコンピュータプログラムは、ネットワーク及びネットワークI/F160を介して、情報処理装置等から提供される。なお、このコンピュータプログラムは、そのコンピュータプログラムが記録された、例えばDVD等の記憶媒体によって提供されてもよい。すなわち、コンピュータプログラムの記録媒体としてのDVDが、画像処理装置100内に内蔵されるDVDドライブ(図示せず。)に装着され、そのDVDからコンピュータプログラムが読出されてHDD118にインストールされてもよい。HDD118は、他に、画像データ等を含む各種データを記憶する。
BUSライン180には、さらに、スキャナ部120、画像処理部130、画像形成部140、クリア画像形成ユニット150、ネットワークI/F160及び操作パネル170が電気的に接続される。
スキャナ部120は、原稿検知センサ及びCCD(Charge−Coupled Device)ラインセンサ(以上いずれも図示せず。)を含む。原稿検知センサは、ユーザによって手動で、又は、自動原稿搬送装置(図示せず。)によって、原稿載置台(図示せず。)上に載置された原稿の画像表面に対し光源(図示せず。)から光を照射することによって得られる反射光像をCCDラインセンサ上に結像させる。CCDラインセンサは、結像された反射光像を順次光電変換して画像データとして画像処理部130に対して出力する。すなわち、スキャナ部120は、原稿のコピー時又はスキャン時に、原稿載置台に載置される原稿から原稿検知センサによって画像情報を読取り、読取った画像情報をCCDラインセンサによって電気信号に変換して画像データとして画像処理部130に対して出力する。
画像処理部130は、MPU(Micro Processing Unit、図示せず。)を含む。画像処理部130は、スキャナ部120、又は、情報処理装置等から受信した画像データに対して、例えば、ラスタライズ処理等の所定の画像処理を含む各種処理を施して所定の階調の印刷データを作成し、画像形成部140に対して出力する。
画像形成部140は、画像データによって示される画像をカラー又は単色で記録用紙に印刷するものであって、例えば、感光体ドラム、帯電装置、レーザースキャンユニット(LSU)、現像装置、転写装置、クリーニング装置、定着装置、及び除電装置等を備えている。画像形成部140には、例えば、搬送路が設けられており、給紙部(図示せず。)から給紙されてきた記録用紙が搬送路に沿って搬送される。給紙部は、用紙カセット(図示せず。)に収納された記録用紙、又は手差トレイに載置された記録用紙を1枚ずつ引出して記録用紙を画像形成部140の搬送路へと送り出す。画像形成部140の搬送路に沿って記録用紙が搬送されている途中で、記録用紙が感光体ドラムと転写装置との間を通過し、更に定着装置を通過して、記録用紙に対する印刷が行なわれる。
感光体ドラムは、一方向に回転し、その表面は、クリーニング装置と除電装置によりクリーニングされた後、帯電装置により均一に帯電される。レーザースキャンユニットは、印刷対象の画像データに基づいてレーザー光を変調し、このレーザー光によって感光体ドラムの表面を主走査方向に繰返し走査して、静電潜像を感光体ドラムの表面に形成する。現像装置は、トナーを感光体ドラムの表面に供給して静電潜像を現像し、トナー像を感光体ドラムの表面に形成する。転写装置は、転写装置と感光体ドラムとの間を通過していく記録用紙に感光体ドラムの表面のトナー像を転写する。
定着装置は、記録用紙を加熱するための加熱ローラと、記録用紙を加圧するための加圧ローラとを含む。記録用紙は、加熱ローラによって加熱され、かつ、加圧ローラによって加圧されることによって、記録用紙上に転写されたトナー像が記録用紙に定着される。定着装置から排出された(印刷された)記録用紙は、排紙トレイに排出される。記録用紙に対してクリアコーティングを行なうよう設定されている場合は、定着装置から排出された(印刷された)記録用紙は、クリア画像形成ユニット150へと搬送される。
クリア画像形成ユニット150は、クリアコート用の画像データに基づいて、画像形成部140から搬送された印刷済みの記録用紙に対してクリア画像を形成する。クリア画像形成ユニット150は、感光体ドラム、帯電装置、レーザースキャンユニット(LSU)、現像装置、転写装置、クリーニング装置、定着装置、及び除電装置等を備えている。クリア画像形成ユニット150では、画像形成部140とは異なり、現像装置にはクリア色のトナーが収容されている。すなわち、クリア画像形成ユニット150では、クリアコーティング材料として、少なくとも定着後には透明になるクリアトナーが使用される。クリア画像形成ユニット150によってクリアコーティングが行なわれた記録用紙は、排紙トレイに排出される。なお、クリア画像形成ユニット150において、感光体ドラム、帯電装置、レーザースキャンユニット(LSU)、現像装置、転写装置、クリーニング装置、定着装置、及び除電装置等の構成は、画像形成部140と同様である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
ネットワークI/F160は、ネットワークとのインターフェイスをとる。画像処理装置100は、このネットワークI/F160を介して、ネットワーク上の情報処理装置等と、所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を行なうことができる。画像処理装置100は、ネットワークI/F160を介して、情報処理装置から印刷ジョブ等の各種処理の実行を命令する命令信号を受信することができる。
操作パネル170は、タッチパネルディスプレイ172を含む。タッチパネルディスプレイ172は、表示パネル174と、タッチパネル176とが重ねて構成されるタッチパネル一体型液晶表示装置である。表示パネル174は、画像処理装置100の状態及び各種処理の状態に関する情報等の各種情報をユーザに提供する。このタッチパネルディスプレイ172はまた、ユーザに対して対話的な操作インターフェイス(ユーザインターフェイス)を提供する。この対話的な操作インターフェイスは、タッチパネル176から画像処理装置100全体の動作に対するユーザの指示を受付け、その指示の内容を表示パネル174に表示するとともに、その指示に応じた制御信号を制御部110又は画像処理部130のMPUに対して出力する。
[ソフトウェア構成]
図4を参照して、記録用紙に対してクリアコーティングを行なうために、画像処理装置100で実行されるコンピュータプログラムの制御構造について説明する。以下では、原稿をコピー印刷する場合について説明する。このプログラムは、図2に示す設定画面200を表示するための操作が行なわれることによって起動される。
このプログラムは、設定画面200においてユーザによってクリアコート領域(「全面」、「部分指定」、「写真領域(自動)」及び「文字領域(自動)」)のいずれかが選択されたか否かを判定し、クリアコート領域が選択されるまで待機するステップS1000と、ステップS1000において、クリアコート領域が選択されたと判定された場合に実行され、印刷実行指示がされたか否かを判定し、印刷実行指示がされるまで待機するステップS1010と、ステップS1010において、印刷実行指示がされたと判定された場合に実行され、スキャナ部120で原稿をスキャンするステップS1020と、ステップS1020の後に実行され、クリアコート領域の設定としてどの設定が選択されたか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS1030とを含む。ステップS1020では、原稿をスキャンすることによって原稿画像の画像データを取得する。
このプログラムはさらに、ステップS1030において、クリアコート領域として「全面」が選択されたと判定された場合に実行され、スキャナ部120で読取った画像データに基づいて、当該画像データの表わす画像を記録用紙に形成した後に、画像が形成された当該記録用紙の全面にクリアコーティングを行なう印刷処理を実行するステップS1040と、ステップS1030において、クリアコート領域として「部分指定」が選択されたと判定された場合に実行され、「部分指定」の設定に応じた領域にクリアコーティングを行なう印刷処理を実行するステップS1050と、クリアコート領域として「写真領域(自動)」が選択されたと判定された場合に実行され、「写真領域(自動)」の設定に応じた領域にクリアコーティングを行なう印刷処理を実行するステップS1060と、クリアコート領域として「文字領域(自動)」が選択されたと判定された場合に実行され、「文字領域(自動)」の設定に応じた領域にクリアコーティングを行なう印刷処理を実行するステップS1070とを含む。ステップS1040、ステップS1050、ステップS1060及びステップS1070における印刷処理が終了すると、このプログラムは終了する。
ステップS1000において、クリアコート領域として「全面」が選択されると、画像処理装置100は、記録用紙の全面にクリアコーティングを行なうためのクリア画像の画像データ(クリアコート用の画像データ)を作成する。ステップS1040では、作成したクリアコート用の画像データに基づいて、画像が形成された記録用紙にさらにクリア画像を形成することによって記録用紙の全面にクリアコーティングを行なう。
図5は、図4のステップS1050の詳細なフローである。図5を参照して、このルーチンは、ユーザによって指定された領域を、クリアコーティングを行なう領域として設定するステップS1100と、ステップS1100の後に実行され、ユーザによるクリアコーティングを行なう領域の指定が終了したか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS1110と、ステップS1110において、ユーザによるクリアコーティングを行なう領域の指定が終了したと判定された場合に実行され、ユーザによって指定された領域(クリアコートする領域)の画像データ(クリアコート用の画像データ)を作成するステップS1120と、ステップS1120の後に実行され、スキャナ部120で読取った画像データ及び作成したクリアコート用の画像データに基づいて、印刷を実行するステップS1130とを含む。
ステップS1110において、ユーザによるクリアコーティングを行なう領域の指定が終了していないと判定された場合は、制御はステップS1100に戻る。ステップS1130において、印刷処理が終了するとこのルーチンは終了する。
ステップS1110では、例えばユーザによって領域指定の終了操作が行なわれると、画像処理装置100はクリアコーティングを行なう領域の指定が終了したと判定する。ステップS1130では、スキャナ部120で読取った画像データに基づいて、当該画像データの表わす画像を記録用紙に形成した後に、作成したクリアコート用の画像データに基づいて、画像が形成された当該記録用紙におけるユーザによって指定された領域にクリアコーティングを行なう印刷処理を実行する。
図6は、図5のステップS1100の詳細なフローである。図6を参照して、このルーチンは、画像データの表わす画像をタッチパネルディスプレイ172にプレビュー表示するステップS1200と、ステップS1200の後に実行され、ユーザによる始点の設定がされたか否かを判定し、始点の設定がされるまで待機するステップS1210と、ステップS1210において、始点の設定がされたと判定された場合に実行され、ユーザによる終点の設定がされたか否かを判定し、終点の設定がされるまで待機するステップS1220と、ステップS1220において、終点の設定がされたと判定された場合に実行され、始点と終点とを結ぶ線を対角線とする矩形状の領域を、クリアコートを行なう領域として設定した後このルーチンを終了するステップS1230とを含む。
ステップS1210では、ユーザが、タッチパネルディスプレイ172に表示されたプレビュー画像(印刷領域)をタッチすることによりXY座標の始点が設定される。ステップS1220では、ユーザが、タッチパネルディスプレイ172に表示されたプレビュー画像(印刷領域)をタッチすることによりXY座標の終点が設定される。
図7は、図4のステップS1060の詳細なフローである。図7を参照して、このルーチンは、スキャナ部120で読取った画像データ(スキャンデータ)から領域分離処理によって領域分離データを作成するステップS1300と、ステップS1300の後に実行され、領域分離データを用いて画像データの表わす画像上の写真領域を判別するステップS1310と、ステップS1310の後に実行され、判別した領域をクリアコートする領域としてプレビュー表示するステップS1320と、ステップS1320の後に実行され、ユーザによる修正指示があるか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS1330とを含む。
図8を参照して、ステップS1300では、原稿のスキャンデータ(図8(A)参照)を領域分離することによって領域分離データ(図8(B)参照)を作成する。ステップS1310では、領域分離データから写真領域(図8(C)参照)を判別する。図9を参照して、ステップS1320では、タッチパネルディスプレイ172にプレビュー画像が表示される。このプレビュー画像には、画像データの表わす画像に、写真領域と判別された領域(網掛け領域240)が認識可能な状態で表示されている。すなわち、プレビュー画像において、写真領域と判別され、クリアコーティングを行なう領域がプレビュー表示される。このプレビュー画像によって、ユーザは、写真領域と判別された領域が所望の領域であるか否かを確認できる。プレビュー画像を確認したユーザは、写真領域と判別された領域を修正したいと望む場合がある。ステップS1330では、写真領域と判別された領域を修正するか否かについてユーザに問合せ、問合せに対するユーザの応答に応じた指示を受付ける。画像処理装置100は、受付けたユーザの指示に基づいて、修正指示があるか否かを判定する。
再び図7を参照して、このルーチンはさらに、ステップS1330において、修正指示があると判定された場合に実行され、タッチパネルディスプレイ172の表示画面を手動設定画面に移行するステップS1340と、ステップS1340の後に実行され、ユーザによる修正操作がされたか否かを判定し、修正操作がされるまで待機するステップS1350と、ステップS1350において、ユーザによる修正操作がされたと判定された場合に実行され、ユーザの操作指示に基づいて、クリアコーティングを行なう領域の修正及び追加等の処理を実行するステップS1360と、ステップS1360の後に実行され、修正が終了したか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS1370とを含む。ステップS1370において、修正が終了していないと判定された場合は、制御はステップS1350に戻る。
ステップS1340では、図10に示す手動設定画面300に移行する。手動設定画面300には、ステップS1320において表示されたプレビュー画像と同様のプレビュー画像が表示されている。手動設定画面300においても、クリアコーティングを行なう領域(網掛け領域242)がプレビュー画像に表示されている。図10(A)では、写真領域と判別され、クリアコーティングを行なう領域が、写真領域以外の領域をも含んでいる。ステップS1350〜ステップS1370では、ユーザは、タッチパネルディスプレイ172に表示されたプレビュー画像をタッチ操作することによって、図10(B)に示すように、クリアコーティングを行なう領域(網掛け領域244)が写真領域となるように修正を行なうことができる。なお、クリアコーティングを行なう領域をさらに追加又は削除することも可能である。
再び図7を参照して、このルーチンはさらに、ステップS1330において、修正指示がないと判定された場合、及び、ステップS1370において、修正が終了したと判定された場合に実行され、クリアコートする領域の画像データ(クリアコート用の画像データ)を作成するステップS1380と、ステップS1380の後に実行され、スキャナ部120で読取った画像データ及び作成したクリアコート用の画像データに基づいて、印刷を実行するステップS1390とを含む。ステップS1390において、印刷処理が終了するとこのルーチンは終了する。
ステップS1380では、ステップS1330において修正指示がされていないと判定された場合、クリアコート用の画像データとして、領域分離処理によって写真領域と判別された領域の画像データを作成し、ステップS1330において修正指示がされたと判定された場合、クリアコート用の画像データとして、修正後の領域の画像データを作成する。ステップS1390では、スキャナ部120で読取った画像データに基づいて、当該画像データの表わす画像を記録用紙に形成した後に、作成したクリアコート用の画像データに基づいて、画像が形成された当該記録用紙における写真領域にクリアコーティングを行なう印刷処理を実行する。
図11は、図4のステップS1070の詳細なフローである。図11を参照して、このルーチンにおいて、ステップS1400における処理を除く各処理は、図7に示すコンピュータプログラムによって実行される各処理と同様である。このルーチンでは、図7に示すステップS1310に代えて、ステップS1400を含む。ステップS1400では、領域分離データを用いて、ロゴ画像等が形成される文字領域を判別する。
[動作]
本実施の形態に係る画像処理装置100は以下のように動作する。以下の説明では、画像処理装置100の動作の内、本発明に関連する部分のみを説明する。他の動作は従来の画像処理装置100の動作と同様である。
原稿をコピー印刷する場合に、画像が形成された記録用紙にクリアコーティングを行なうものとする。図2に示す設定画面200において、ユーザによってボタン206が操作されると、画像処理装置100は、クリアコート領域の設定を「写真領域(自動)」に設定する。ユーザが、コピー印刷を行なう原稿を画像処理装置100にセットし、コピー印刷を開始するための印刷実行指示ボタンを押下すると、画像処理装置100は、セットされた原稿の画像をスキャナ部120で読取り(スキャンし)、原稿画像の画像データ(スキャンデータ)を取得する(図4に示すステップS1010)。図8を参照して、画像処理装置100は、領域分離処理を行なうことによって、スキャンデータから領域分離データを作成する(図7に示すステップS1300)。画像処理装置100はさらに、作成した領域分離データを用いて原稿画像における写真領域を判別する(ステップS1310)。
図9を参照して、画像処理装置100は、写真領域と判別され、クリアコーティングを行なう領域をタッチパネルディスプレイ172にプレビュー表示する。これにより、ユーザは、写真領域と判別された領域が所望の領域であるか否かを目視で確認できる。写真領域が誤検出されている場合、クリアコーティングを行なう領域を修正できる。画像処理装置100は、タッチパネルディスプレイ172に修正を行なうか否かを問合せる画面を表示することによって、クリアコーティングを行なう領域を修正するか否かについてユーザに問合せる。ユーザが、修正を行なう旨の応答をした場合(図7に示すステップS1330においてYES)、画像処理装置100は、タッチパネルディスプレイ172の表示画面を手動設定画面300に移行する。
図10を参照して、画像処理装置100は、タッチパネルディスプレイ172において、写真領域と判別された領域を修正するためのユーザのタッチ操作(修正操作)を受付けると、ユーザの修正操作に基づいて、クリアコーティングを行なう領域を修正する修正処理を実行する。修正操作が終了すると(図7に示すステップS1370においてYES)、画像処理装置100は、修正後の領域の画像データをクリアコート用の画像データとして作成する(ステップS1380)。
一方、写真領域と判別された領域が所望の領域であって、ユーザが、修正を行なわない旨の応答をした場合(図7に示すステップS1330においてNO)、画像処理装置100は、写真領域と判別した領域の画像データをクリアコート用の画像データとして作成する(ステップS1380)。この場合は、写真領域が正常に検出されているため、画像処理装置100は、ユーザによる修正を行なわない旨の指示に応答して、写真領域と判別した領域の画像データを作成する。
画像処理装置100は、スキャナ部120で読取った画像データに基づいて、当該画像データの表わす画像を記録用紙に形成する。画像処理装置100は、画像が形成された当該記録用紙をクリア画像形成ユニット150に搬送する。クリア画像形成ユニット150は、作成したクリアコート用の画像データに基づいて、搬送された記録用紙に対してクリア画像を形成する。これにより、記録用紙における写真領域にクリアコーティングが行なわれる。クリア画像形成ユニット150によってクリアコーティングが行なわれた記録用紙は、排紙トレイに排出される。このようにして、図3(c)に示すような、写真領域にのみクリアコーティングが行なわれた印刷物が得られる。
図2に示す設定画面200において、ユーザによってボタン208が操作されると、画像処理装置100は、クリアコート領域の設定を「文字領域(自動)」に設定する。この場合、画像処理装置100は、作成した領域分離データを用いて原稿画像における文字領域を判別する。その他の動作は、クリアコート領域の設定が「文字領域(自動)」に設定された場合の上記動作と同様である。
なお、クリアコート領域の設定が「全面」に設定された場合、画像処理装置100は記録用紙の全面にクリアコーティングを行なう。クリアコート領域の設定が「部分指定」に設定された場合、画像処理装置100は画像が形成された記録用紙に対して、ユーザが指定した領域にクリアコーティングを行なう。
[本実施の形態の効果]
以上の説明から明らかなように、本実施の形態に係る画像処理装置100を利用することにより、以下に述べる効果を奏する。
画像処理装置100は、取得した画像データから領域分離処理により写真領域又は文字領域等の特定領域を判別する。画像処理装置100は、画像データを用いて記録用紙に画像を形成すると、画像が形成された記録用紙に対して、判別した特定領域にクリアコーティングを行なう。このように、画像処理装置100は、取得した画像データから当該画像データの表わす画像上の写真領域又は文字領域等の特定領域を判別し、その領域にクリアコーティングを行なう。そのため、ユーザの所望の領域に選択的にクリアコーティングを行なうことができるので、クリアコーティング材料の不必要な使用を削減できる。上記特定領域は、画像データから自動で判別されてクリアコーティングを行なう領域として設定される。クリアコーティングを行なう領域をユーザが指定する必要がないため、印刷枚数が多い場合でも、ユーザの手間と時間とを削減できる。
画像処理装置100はまた、記録用紙に画像を形成する前に、画像データの表わす画像とともに、判別した写真領域又は文字領域をプレビュー表示する。判別した領域をプレビュー表示することにより、記録用紙に画像を形成する前に、写真領域又は文字領域と判別された領域が、ユーザが意図する領域(ユーザ所望の領域)であるか否かをユーザに確認させることができる。
画像処理装置100はさらに、プレビュー表示された写真領域又は文字領域等の特定領域を修正することが可能に構成されている。判別された写真領域又は文字領域が、ユーザが意図する領域ではない場合、ユーザが意図する領域に容易に修正できる。
クリアコーティングを行なうシーンにおいて、例えばカタログ等では写真画像等の画像領域部分又はロゴ画像等の文字領域部分等の特定領域にクリアコーティングを行なうケースが多々ある。したがって、写真画像等が表示される写真領域又はロゴ画像等が表示される文字領域等の特定領域を自動で判別することにより、より効果的に、ユーザの所望の領域に選択的にクリアコーティングを行なうことができる。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る画像処理装置は、第1の実施の形態に係る画像処理装置100と同様の構成を有している。ただし、第2の実施の形態では、領域分離処理によって判別された写真領域及び文字領域に対して、その周辺領域にまで拡張してクリアコーティングを行なうことが可能に構成されている点において、第1の実施の形態とは異なる。
図12を参照して、クリアコート領域の選択時に、操作パネルのタッチパネルディスプレイ172に設定画面400が表示される。設定画面400は、第1の実施の形態と同様、4つのボタン202〜208を含む。この設定画面400はさらに、チェックボックス402を含む。チェックボックス402の近傍には、例えば「周辺の領域もコーティングする」との文字列404が表示されている。「写真領域(自動)」又は「文字領域(自動)」が選択された場合にチェックボックス402にチェックが入れられると、画像処理装置は、写真領域の周辺領域又は文字領域の周辺領域をもコーティングするよう自機を設定する。
図13を参照して、写真領域の周辺領域にまで拡張してクリアコーティングを行なう場合について説明する。画像処理装置は、領域分離処理によって画像データの表わす画像上の写真領域を判別する。チェックボックス402にチェックが入れられている場合、画像処理装置は、判別した写真領域を覆う、当該写真領域より大きい領域を、クリアコーティングを行なう領域410として検出する。すなわち、画像処理装置は、領域分離処理によって判別した写真領域とその周辺領域420とを含む領域を、クリアコーティングを行なう領域410として検出する。周辺領域420の幅a1〜a4は、写真領域の大きさに関わらず一定である。幅a1〜a4の具体的な長さは、例えば5mm程度である。なお、文字領域の周辺領域も、写真領域の周辺領域420と同様である。
画像処理装置は、クリアコーティングを行なう領域410の画像データを、クリアコート用の画像データとして作成する。クリアコート用の画像データは、周辺領域420のコーティング条件が写真領域のコーティング条件とは異なるように作成される。具体的には、周辺領域420は、写真領域よりもトナー濃度が下げられている。画像処理装置は、スキャナ部120で読取った画像データに基づいて、当該画像データの表わす画像を記録用紙に形成した後に、作成したクリアコート用の画像データに基づいて、クリアコーティングを行なう領域410にクリアコーティングを行なう。このとき、周辺領域420は、写真領域よりもクリアトナーのトナー濃度を下げてクリアコーティングが行なわれる。周辺領域420の具体的なトナー濃度は、写真領域のトナー濃度の半分程度であるのが好ましい。文字領域の周辺領域についても同様である。
記録用紙の一部の領域にクリアコーティングを行なった場合、クリアコーティングされた領域とされていない領域との境界が目立つ場合がある。クリアコーティングを行なう領域を写真領域の周辺領域420にまで拡張して、その周辺領域420には写真領域とは異なる条件でクリアコーティングを行なうことにより、写真領域とそれ以外の領域とで光沢が滑らかに変化する。そのため、クリアコーティングされた領域とされていない領域との境界が目立たなくなり、見栄えのよい画像が得られる。
さらに、写真領域よりもクリアトナーのトナー濃度を下げてその周辺領域420にクリアコーティングを行なうことにより、クリアコーティングされた領域とされていない領域との境界を効果的に目立たなくできる。加えて、周辺領域420がテカテカ光るのを防止できる。したがって、より一層、見栄えのよい画像が得られる。
文字領域についても上記と同様の効果が得られる。
(第3の実施の形態)
図14を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る情報処理装置500は、クライアントコンピュータ(PC)からなる。情報処理装置500は、ネットワークを介して画像処理装置600と接続されている。情報処理装置500は、画像処理装置600に対して印刷要求を発行する。画像処理装置600は、印刷要求を受信して記録用紙に画像を印刷する。
情報処理装置500は、印刷出力する記録用紙にクリアコーティングを行なう場合に、クリアコーティングを行なう領域を指定するための領域指定データであるクリアコート用の画像データを作成する。情報処理装置500は、印刷要求の発行時に、画像データとともにクリアコート用の画像データを画像処理装置600に送信する。画像処理装置600は、第1の実施の形態と同様、記録用紙に対してクリアコーティングを行なう機能を有している。画像処理装置600は、情報処理装置500から送信された画像データ及びクリアコート用の画像データを受信すると、画像データに基づいて、当該画像データの表わす画像を記録用紙に形成した後、クリアコート用の画像データに基づいて、画像が形成された当該記録用紙に対してクリア画像を形成する。
[構成]
《情報処理装置500》
図14を参照して、本実施の形態に係る情報処理装置500は、バス590と、バス590に接続されたCPU510と、バス590に接続されたROM520と、バス590に接続されたRAM530と、バス590に接続されたハードディスク(HDD)540と、バス590に接続され、マウス552及びキーボード554との間の接続に関するインターフェイスを提供するための入力I/F550と、バス590に接続され、ディスプレイ562との間の接続に関するインターフェイスを提供するためのディスプレイI/F560と、有線又は無線(本実施の形態においては有線)によりネットワークへの接続を提供するネットワークI/F570とを含む。ネットワークI/F570は、情報処理装置500がノート型である場合を含めて、無線によりネットワークへ接続するインターフェイスの場合がある。
情報処理装置500には、図形描画ツール及びワードプロセッサ等のアプリケーションプログラム、並びに、画像データの印刷ジョブを実現するためのプリンタドライバプログラム(以下単に「プリンタドライバ」と記す場合がある。)がインストールされている。情報処理装置500は、上記アプリケーションプログラムを使用するユーザの指示に応じて、文字及び図形等を含む画像を出力するための画像データを作成し、作成した画像データをプリンタドライバによってプリンタ記述言語に変換して、画像処理装置600に対して送信できる。
ハードディスク540は、画像処理装置600に対し、印刷ジョブを実行させるための上記プリンタドライバを記憶する。情報処理装置500は、このプリンタドライバを実行することによって、ユーザによって指定されたファイルの内容に基づく画像を画像処理装置600に印刷させる動作等を実現することができる。
情報処理装置500は、図2に示す設定画面200と同様の設定画面(図示せず。)をディスプレイ562に表示し、ユーザに対してクリアコート領域を選択させる。この設定画面は、画像データを送信するためにプリンタドライバが起動されると、このプリンタドライバによって表示させることができる。設定画面において「写真領域(自動)」が選択されると、情報処理装置500は、第1の実施の形態と同様、画像データ(プリントデータ)から領域分離データを作成し、この領域分離データを用いて写真領域を判別する。情報処理装置500はさらに、写真領域と判別した、クリアコーティングを行なう領域をプリンタドライバによりディスプレイ562にプレビュー表示する。これにより、ユーザは、写真領域と判別された領域が所望の領域であるか否かを目視で確認できる。写真領域が誤検出されている場合、クリアコーティングを行なう領域を修正できる。
クリアコーティングを行なう領域が修正された場合、情報処理装置500は、修正された領域の画像データをクリアコート用の画像データとして作成する。クリアコーティングを行なう領域が修正されていない場合、情報処理装置500は、写真領域と判別した領域の画像データをクリアコート用の画像データとして作成する。
なお、設定画面において「文字領域(自動)」が選択された場合も上記と同様である。ただし、「文字領域(自動)」が選択された場合、情報処理装置500は、写真領域に代えて、文字領域を判別する。設定画面において「全面」が選択された場合は、情報処理装置500は、記録用紙の全面にクリアコーティングを行なうためのクリア画像の画像データ(クリアコート用の画像データ)を作成する。設定画面において「部分指定」が選択された場合は、情報処理装置500は、ユーザによって指定された領域(クリアコートする領域)の画像データ(クリアコート用の画像データ)を作成する。
情報処理装置500におけるこうした機能は、インストールされているプリンタドライバによって実現される。
《画像処理装置600》
画像処理装置600は、上記第1の実施の形態と同様、MFPからなる。画像処理装置600は、記録用紙に対してクリアコーティングを行なうために、第1の実施の形態に係るクリア画像形成ユニット150(図1参照)と同様のクリア画像形成ユニットを含む。
[効果]
情報処理装置500は、領域分離処理により画像データから写真領域等の特定領域を判別する。情報処理装置500はさらに、判別した特定領域を、クリアコーティングを行なう領域として画像処理装置600に指定するためにクリアコート用の画像データを作成する。クリアコート用の画像データを作成すると、情報処理装置500は、画像データとともに当該クリアコート用の画像データを画像処理装置600に送信する。画像データ及びクリアコート用の画像データを受信した画像処理装置600は、画像データを用いて記録用紙に画像を形成し、画像が形成された記録用紙に対して、クリアコート用の画像データが指定する領域にクリアコーティングを行なう。これにより、ユーザの所望の領域に選択的にクリアコーティングを行なうことができるため、クリアコーティング材料の不必要な使用を削減できる。写真領域等の特定領域は、画像データから自動で判別されてクリアコーティングを行なう領域として設定される。クリアコーティングを行なう領域をユーザが指定する必要がないため、印刷枚数が多い場合でも、ユーザの手間と時間とを削減できる。
その他の効果は、上記第1の実施の形態と同様である。
(変形例)
上記実施の形態では、画像処理装置の一例である複合機に本発明を適用した例について示したが、本発明はそのような実施の形態には限定されない。印刷機能を備えていれば、画像処理装置は複合機以外であってもよい。例えば、第1及び第2の実施の形態では、コピー機等の画像処理装置であってもよい。第3の実施の形態では、プリンタ等の画像処理装置であってもよい。
上記実施の形態では、設定画面において、「全体」、「部分指定」、「写真領域(自動)」及び「文字領域(自動)」のいずれかを選択可能に構成した例について示したが、本発明はそのような実施の形態には限定されない。例えば、設定画面において、「写真領域(自動)」と「文字領域(自動)」とを同時に選択することが可能に構成されていてもよい。
上記実施の形態では、クリア画像形成ユニットを画像形成部の後段に接続した例について示したが、例えばクリア画像形成ユニットを構成する感光体ドラム及びレーザースキャンユニット等を画像形成部の内部に配置し、定着装置を画像形成部と共有するように構成されていてもよい。すなわち、クリアトナーを用いてクリア画像を形成する装置を画像処理装置の本体内部に備える構成であってもよい。なお、クリア画像形成ユニットは、画像処理装置の本体外部側に装着される構成であってもよいし、画像処理装置の本体内部に装着される構成であってもよい。
上記第1及び第2の実施の形態では、クリアトナーを用いてクリアコーティングを行なう例について示したが、本発明はそのような実施の形態には限定されない。例えば、クリアフィルムを用いてクリアコーティングを行なうように構成してもよい。クリアフィルムはフィルム状のコーティング材料であり、コーティングを行なう領域にサーマルヘッドの熱によって定着させることによりその領域にコーティングを行なうことができる。クリアフィルムを用いて記録用紙の一部の領域にコーティングを行なう場合、フィルムをその形状に切ることによって大きさを変えればよい。
クリアフィルムを用いてクリアコーティングを行なう場合も、上記第2の実施の形態と同様、領域分離処理によって判別された写真領域及び文字領域に対して、その周辺領域にまで拡張してクリアコーティングを行なうように構成することができる。写真領域及び文字領域のコーティング条件に対して周辺領域のコーティング条件を変える場合、周辺領域のコーティングは写真領域及び文字領域に比べてフィルムに与える温度を下げてクリアフィルムを定着するのが好ましい。具体的には、サーマルヘッドの温度を制御することにより、写真領域及び文字領域は例えば130℃〜150℃の定着温度でクリアフィルムを定着し、その周辺領域は例えば100℃〜130℃の定着温度でクリアフィルムを定着するのが好ましい。
クリアフィルムを用いてクリアコーティングを行なう装置は、例えば画像処理装置の本体外部側に装着される構成とすることができる。画像処理装置の本体内部に、クリアトナーを用いてクリアコーティングを行なう装置を備える場合、画像処理装置の本体外部側にクリアフィルムを用いてクリアコーティングを行なう装置を装着すれば、1台の画像処理装置に両方の装置を備えることができる。両方の装置を備える場合、用途に応じてこれらの装置を使い分けることができる。
上記第1及び第2の実施の形態では、スキャナ部で原稿画像を読取ることによって画像データを取得する例について示したが、本発明はそのような実施の形態には限定されない。画像データは他の方法で取得したものであってもよい。画像データは、例えば、情報処理装置等の外部機器から送信された画像データを受信することにより取得したものであってもよい。
上記第2の実施の形態では、写真領域及び文字領域のトナー濃度に対して、その周辺領域のトナー濃度を半分程度に下げてクリアコーティングを行なう例について示したが、本発明はそのような実施の形態には限定されない。例えば、周辺領域のトナー濃度を徐々に下げるようにしてもよい。このように構成することによっても、効果的に見栄えのよい画像を得ることができる。さらに、上記第2の実施の形態において、周辺領域の幅a1〜a4は、所望の長さの幅に変更可能に構成することもできる。
上記第3の実施の形態では、情報処理装置の一例であるクライアントコンピュータに本発明を適用した例について示したが、本発明はそのような実施の形態には限定されない。印刷要求を発行することが可能であれば、情報処理装置はクライアントコンピュータ以外であってもよい。例えば、情報処理装置は、タブレットタイプの端末装置であってもよいし、スマートフォン等の携帯端末であってもよい。
上記第3の実施の形態において、第2の実施の形態と同様、領域分離処理によって判別された写真領域及び文字領域に対して、その周辺領域にまで拡張してクリアコーティングを行なうように構成してもよい。
上記で開示された技術を適宜組合せて得られる実施の形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本発明の第1の局面に係る画像処理装置100は、領域分離処理により画像データの表わす画像上の特定領域を判別するための判別手段と、画像データを用いて紙媒体に画像を形成するための画像形成手段と、画像形成手段により画像が形成された紙媒体に対して、判別手段が判別した特定領域にクリアコーティングを行なうためのクリアコート手段とを含む。
画像処理装置100は、画像データを領域分離処理することによって当該画像データが表わす画像上の特定領域を判別する。画像処理装置100は、画像データを用いて紙媒体に画像を形成すると、画像が形成された紙媒体に対して、判別した特定領域にクリアコーティングを行なう。特定領域に選択的にクリアコーティングを行なうことができるので、クリアコーティング材料の不必要な使用を削減できる。上記特定領域は、画像データから自動で判別されてクリアコーティングを行なう領域として設定される。クリアコーティングを行なう領域をユーザが指定する必要がないため、印刷枚数が多い場合でも、ユーザの手間と時間とを削減できる。
(2)好ましくは、クリアコート手段は、特定領域にクリアコーティングを行なうためのコーティング手段と、特定領域の周辺領域に特定領域とは異なる条件でクリアコーティングを行なうための周辺領域コーティング手段とを含む。
紙媒体の一部の領域にクリアコーティングを行なった場合、クリアコーティングされた領域とされていない領域との境界が目立つ場合がある。クリアコーティングを行なう領域を特定領域の周辺領域にまで拡張して、その周辺領域には特定領域とは異なる条件でクリアコーティングを行なうことにより、特定領域とそれ以外の領域とで光沢が滑らかに変化する。そのため、クリアコーティングされた領域とされていない領域との境界が目立たなくなり、見栄えのよい画像が得られる。
(3)より好ましくは、クリアコート手段は、定着後に透明になるクリアトナーを用いてクリアコーティングを行ない、周辺領域コーティング手段は、特定領域よりもクリアトナーのトナー濃度を下げて周辺領域にクリアコーティングを行なうための手段を含む。
特定領域よりもクリアトナーのトナー濃度を下げてその周辺領域にクリアコーティングを行なうことにより、クリアコーティングされた領域とされていない領域との境界を効果的に目立たなくできる。加えて、周辺領域がテカテカ光るのを防止できる。したがって、より一層、見栄えのよい画像が得られる。
(4)さらに好ましくは、画像処理装置100は、画像データを取得するための画像データ取得手段をさらに含む。
(5)さらに好ましくは、原稿画像を読取るための画像読取手段をさらに含み、画像データは、画像読取手段が読取った原稿データを含む。
原稿画像を読取った原稿データから特定領域を判別することにより、原稿の所望の領域を、クリアコーティングを行なうことができる。
(6)さらに好ましくは、画像処理装置100はさらに、画像形成手段が紙媒体に画像を形成する前に、画像データの表わす画像とともに、判別手段が判別した特定領域をプレビュー表示するためのプレビュー表示手段を含む。
判別手段が判別した特定領域をプレビュー表示することにより、紙媒体に画像を形成する前に、特定領域と判別された領域が、ユーザが意図する領域(ユーザ所望の領域)であるか否かをユーザに確認させることができる。
(7)さらに好ましくは、画像処理装置100はさらに、プレビュー表示された特定領域を修正するか否かについてユーザに問合せるための問合せ手段と、問合せに対するユーザの応答に応じてユーザによる修正操作を受付け、当該修正操作を受付けたことに応答して、クリアコーティングを行なう特定領域を修正するための手段とを含む。
判別された特定領域が、ユーザが意図する領域ではない場合、ユーザが意図する領域に容易に修正できる。すなわち、領域分離処理による特定領域の誤検出が確認された場合に、ユーザは容易に特定領域を修正できる。
(8)さらに好ましくは、判別手段は、写真画像又はロゴ画像が表示される領域を特定領域として判別するための手段を含む。
クリアコーティングを行なうシーンにおいて、例えばカタログ等では写真画像等の画像領域部分又はロゴ画像等の文字領域部分にクリアコーティングを行なうケースが多々ある。したがって、写真画像又はロゴ画像が表示される領域を特定領域として判別することにより、より効果的に、ユーザの所望の領域に選択的にクリアコーティングを行なうことができる。
(9)本発明の第2の局面に係る情報処理装置500は、画像が形成された紙媒体にクリアコーティングを行なうクリアコート機能を有する画像処理装置600と接続され、当該画像処理装置600に対して画像データを送信する情報処理装置である。この情報処理装置500は、領域分離処理により画像データの表わす画像上の特定領域を判別するための判別手段と、判別手段が判別した特定領域を、クリアコーティングを行なう領域として指定する領域指定データを作成するためのデータ作成手段と、画像データとともに領域指定データを画像処理装置に送信するための送信手段とを含む。
情報処理装置500は、画像データを領域分離処理することによって当該画像データの表わす画像上の特定領域を判別する。情報処理装置500はさらに、判別した特定領域を、クリアコーティングを行なう領域として指定するために領域指定データを作成する。領域指定データを作成すると、情報処理装置500は、画像データとともに当該領域指定データを画像処理装置600に送信する。画像データ及び領域指定データを受信した画像処理装置600は、画像データを用いて紙媒体に画像を形成し、画像が形成された紙媒体に対して、領域指定データが指定する特定領域にクリアコーティングを行なう。これにより、特定領域に選択的にクリアコーティングを行なうことができるため、クリアコーティング材料の不必要な使用を削減できる。上記特定領域は、画像データから自動で判別されてクリアコーティングを行なう領域として設定される。クリアコーティングを行なう領域をユーザが指定する必要がないため、印刷枚数が多い場合でも、ユーザの手間と時間とを削減できる。
今回開示された実施の形態は単に例示であって、本発明が上記した実施の形態のみに限定されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。