JP2014109291A - ピアスナットの締結方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ピアスナット1の形状に応じて、ワークWの所定部位を焼入れ可能温度以上に加熱する加熱工程と、内筒部12の外周に嵌合可能な孔部91と、孔部91の周縁に形成され且つ内筒部12と外筒部13の間に形成された環状凹部14内に挿入可能な環状突部92と、を有するダイ9上に、環状凹部14と環状突部92によりかしめられる部分の一部に焼入れ可能温度以上に加熱された加熱部位H1が配置されるようにワークWを載置し、この状態で、内筒部12が孔部91に嵌合するまでピアスナット1でワークWを打ち抜くことで、ピアスナット1をワークWに締結する締結工程と、を有する。
【選択図】図2
Description
本発明に係るピアスナットの締結方法は、前記ピアスナットの形状に応じて、ワーク(例えば、後述のワークW)の所定部位(例えば、後述の加熱部位H1)を焼入れ可能温度以上に加熱する加熱工程と、前記内筒部の外周に嵌合可能な孔部(例えば、後述の孔部91)と、当該孔部の周縁に形成され且つ前記内筒部と前記外筒部の間に形成された環状凹部(例えば、後述の環状凹部14)内に挿入可能な環状突部(例えば、後述の環状突部92)と、を有するダイ(例えば、後述のダイ9)上に、前記環状凹部と前記環状突部によりかしめられる部分の一部に前記焼入れ可能温度以上に加熱された部位が配置されるように前記ワークを載置し、この状態で、前記内筒部が前記孔部に嵌合するまで前記ピアスナットで前記ワークを打ち抜くことで、前記ピアスナットを前記ワークに締結する締結工程と、を有することを特徴とする。
そして、内筒部の外周に嵌合可能な孔部と、孔部の周縁に形成され且つ内筒部と外筒部の間に形成された環状凹部内に挿入可能な環状突部と、を有するダイ上に、環状凹部と環状突部によりかしめられる部分の一部に焼入れ可能温度以上に加熱された部位が配置されるように、ワークを載置する。
次いで、内筒部が孔部に嵌合するまでピアスナットでワークを打ち抜く。すると、内筒部がピアスパンチとして作用してワークに孔が形成されるとともに、外筒部の先端がワークに当接することで、ワークがダイの環状突部によってピアスナットの環状凹部内に押し込められて、かしめられる。
このとき、ワークのかしめられる部分の一部が、焼入れ可能温度以上に加熱された部位であるため、材料が流れ易く延び易い状態となっている。その結果、ワークに亀裂が生じ難く、環状凹部内に十分にワークが充填される。
また、焼入れ可能温度以上に加熱された部位は、かしめられる部分の全部ではなく一部に過ぎないため、全部を加熱した場合に比べて冷却速度が速い。そのため、当該部位が焼なましされることなく焼入れすることができるため、締結後のワークの硬度を高めることができる結果、より高い締結強度が得られる。
従って、本発明によれば、孔の形成とかしめによる締結を締結工程の1工程で行い、且つ高い締結強度でピアスナットをワークに締結できる。
本実施形態では、ナット本体10は、平面視で略正方形状である。ナット本体10の上面10aは平面であり、ナット本体10の中心部には、上面10aから下方に垂直に延びるねじ孔11が形成される。
図示しないパンチの先端には、ピアスナット1が保持される。また、パンチには、当該パンチをダイ9に対して前進及び後退させる駆動源が設けられる。
本実施形態では、環状凹部14が平面視で略正方形環状であることから、環状突部92は平面視で略正方形環状である。環状突部92の突出高さは、内筒部12の延出長さよりも小さく設定される。なお、環状突部92の上面92aは平面であり、環状突部92の角部は面取りされてR状となっている。
本実施形態に係る加熱工程では、ピアスナット1の形状に応じて、ワークWの所定部位を焼入れ可能温度以上に加熱する。加熱手段は特に制限されないが、局部的な加熱が可能である観点から、誘導加熱が好ましく採用される。誘導加熱であれば、ワークWの所望の部位にコイルを配置することで、局部的な加熱が可能である。
本実施形態において、焼入れとは、鉄系材料をオーステナイト結晶構造の状態に加熱した後、急冷することで、マルテンサイト結晶構造の状態に変化させる熱処理を意味する。この焼入れにより、材料の硬度が向上する。焼入れ可能温度は、材料に固有のものであり、材料に応じて決定される。
ここで、ワークWにおいて、ピアスナット1の環状凹部14とダイ9の環状突部92によりかしめられる部分は、図2に示す環状凹部14上に配置される部分に略一致する。そして、かしめられる部分(即ち、環状凹部14上に配置される部分)のうち、加熱部位H1と重複している部分が、焼入れ可能温度まで加熱される部分である。このように、本実施形態では、かしめられる部分の一部が、焼入れ可能温度まで加熱される。
そして、この状態で、先端にピアスナット1を保持する図示しないパンチを前進させていくと、ピアスナット1の内筒部12の先端部120が、ワークWに当接する。
このとき、ワークWのかしめられる部分の一部が、焼入れ可能温度以上に加熱された加熱部位H1であるため、より材料が流れ易く延び易い状態となっており、かしめがスムーズに開始される。
このとき、上述したようにかしめられる部分の一部が焼入れ可能温度以上に加熱された加熱部位H1であることに加えて、孔が形成されてワークWの一端側が自由端となっているため、ワークWを構成する材料はさらに流れ易く延び易い状態となっている。そのため、ワークのかしめ部Wkの肉厚が十分に確保されている。これにより、図4(D)に示すように、ワークの壁部Waに亀裂が生じるのを抑制できるとともに、ワークの先端部Wcや押し込み部Wbを環状凹部14内に十分に充填でき、高い締結強度が得られる。
例えば上記実施形態では、ワークWとして一枚の板状ワークを用いたが、2枚以上の板材が積層されたワークを用いてもよい。
9…ダイ
10…ナット本体
10b…ナット本体の下面
11…ねじ孔
12…内筒部
13…外筒部
14…環状凹部
91…孔部
92…環状突部
120…内筒部の先端部
121…内筒部の外周面
130…外筒部の先端部
W…ワーク
H1,H2…加熱部位
Claims (1)
- ねじ孔が形成されたナット本体と、当該ナット本体の下面から下方に且つねじ孔と同心状に延出する内筒部及び外筒部と、を備え、前記内筒部が前記外筒部よりも長く延出することで前記内筒部の先端部が前記外筒部の先端部よりも下方に位置するピアスナットの締結方法において、
前記ピアスナットの形状に応じて、ワークの所定部位を焼入れ可能温度以上に加熱する加熱工程と、
前記内筒部の外周に嵌合可能な孔部と、当該孔部の周縁に形成され且つ前記内筒部と前記外筒部の間に形成された環状凹部内に挿入可能な環状突部と、を有するダイ上に、前記環状凹部と前記環状突部によりかしめられる部分の一部に前記焼入れ可能温度以上に加熱された部位が配置されるように前記ワークを載置し、この状態で、前記内筒部が前記孔部に嵌合するまで前記ピアスナットで前記ワークを打ち抜くことで、前記ピアスナットを前記ワークに締結する締結工程と、を有することを特徴とするピアスナットの締結方法。
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