JP2014109263A - シール装置及び回転機械 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転軸の不安定振動を抑制しながらシール効果を得ることが可能なシール装置、及び回転機械を提供する。
【解決手段】回転軸2の外周面上で、回転軸2の軸線Pに沿う方向の流体の流れを封止するシール装置であって、回転軸2の周方向に沿って配された環状の本体部7を備え、本体部7の内周面に、回転軸2の外周面に対向するように開口するとともに、深さの異なる少なくとも二種の穴8が複数形成されていることを特徴とする。
【選択図】図4

Description

本発明は、シール装置、及びこれを備えた回転機械に関するものである。
回転機械の一つとして気体を圧縮する遠心圧縮機が広く知られている。この遠心圧縮機においては、ケーシング内部に羽根車が設けられて、この羽根車の回転によって吸引口から吸引された気体が圧縮され、吐出口から吐出される。
ここで、羽根車金部には口金シールが、羽根車段間には中間段シールが、最終段にはバランスピストン部シールがそれぞれ設けられて、羽根車で圧縮された気体の漏れ量の低減が図られている。そして、このような各種シールには、例えば、ダンパーシールやラビリンスシール等が用いられている。
ラビリンスシールは、回転する回転軸と間隙を有して対向する環状の静止側部材から、回転軸に向かって突出する突出部を複数配設したものである。このラビリンスシールでは、突出部の先端近傍を流れる流体に圧力損失を生じさせることにより流体の漏れを低減することができる。また、ダンパーシールは、ハニカムシール、ホールパターンシール等が知られており、例えばホールパターンシールでは、回転軸と間隙を有して配される環状の静止側部材において、回転軸に対向する対向面に複数の穴部が形成され、この穴部で生じる圧力損失により流体の漏れを低減可能である。
ホールパターンシールはラビリンスシールと比較して減衰効果が大きく、回転軸の振動の安定化の点で優位である一方、ラビリンスシールはダンパーシールと比較して流体の漏れ量をより低減できる。
ここで、ホールパターンシールを用いたシール構造が特許文献1に示されている。この特許文献1のシール構造では、ラビリンスシールとホールパターンシールを併用することで、各々の利点を生かしてシール性能を向上するとともに遠心圧縮機の回転性能の向上を図っている。
ところで、回転機械の回転軸は軸受によって支持されているが、軸受で得られる減衰力に対し、シールやインペラで発生する不安定化力が大きくなると、負荷や回転数等によって決まる回転機械の固有振動数で不安定振動が生じて、回転軸が振れ回ることとなる。このような問題を鑑みて、軸受の剛性を周方向に異なったものとすることで、軸受の剛性に異方性(異方剛性)を持たせて回転軸を意図的に楕円状に振れ回らせ、これによって回転軸の不安定振動を抑制する手法が採用されている。
特開2010−38114号公報
しかしながら、ホールパターンシールは周方向の剛性が均一となっている(等方剛性を有している)場合が一般的であり、特許文献1に記載のホールパターンシールにおいても穴の断面形状や配置間隔についての記載があるものの、基本的に異方剛性を有していない。従って上述のように楕円状に振れ回る回転軸にこのようなホールパターンシールを適用した場合には、軸受の異方剛性を弱めるようにホールパターンシールの等方剛性が作用してしまう。従って、回転軸の楕円状の振れ回りが真円状の振れ回りに近づくこととなってしまい、この結果、回転軸の不安定振動を抑制できなくなってしまうおそれがある。
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、回転軸の不安定振動を抑制しながらシール効果を得ることが可能なシール装置、及び回転機械を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用している。
即ち、本発明に係るシール装置は、回転軸の外周面上で、前記回転軸の軸線に沿う方向の流体の流れを封止するシール装置であって、
前記回転軸の前記外周面に前記軸線の周方向に沿って配された環状の本体部を備え、
前記本体部の内周面に、前記回転軸の前記外周面に対向するように開口するとともに、深さの異なる少なくとも二種の穴が複数形成されていることを特徴とする。
このようなシール装置によると、深さの異なる穴が本体部の内周面に形成されているため、穴の深さが異なっていると気柱の固有振動数が異なるため、回転軸における少なくとも二つ以上の様々な周波数の不安定振動に対して減衰力を作用させることができる。
また、前記本体部は、互いに90度異なる前記軸線の径方向の少なくとも二方向の間で、剛性が異なっていてもよい。
本体部の剛性が周方向に異なってシール装置は周方向に異方剛性を有することとなり、楕円状に振れ回る回転軸に適用したとしてもこの振れ回りを弱めることがない。よって、回転軸の不安定振動を抑制することができる。
さらに、前記本体部は、前記二方向のうちの一方向での前記穴の深さ寸法が他方向での前記穴の深さ寸法に比べて大きく形成されていてもよい。
このように穴を形成することで、様々な周波数の不安定振動に対して減衰力を作用させることができる。さらに穴毎での流体に生じる圧力損失が周方向で不均一となるとともに、穴の深さ寸法が周方向に異なることで、結果として本体部の厚みが周方向に異なっているため、シール装置は周方向に異方剛性を有することとなる。よって回転軸の不安定振動をより確実に抑制することができる。
また、複数の前記穴は、前記軸線に直交する一軸方向に沿って形成されていてもよい。
複数の穴を形成する際に一軸方向、即ち一方に向かって穴加工することが可能となるため、加工の容易化を図ることが可能である。
さらに、上記一軸方向に沿って形成された複数の前記穴は、その終端が、前記軸線からの距離が前記周方向で略等しくなるように形成されていてもよい。
複数の穴が一軸方向に形成された状態で、これら穴における軸線から終端までの距離(軸線からの最短距離)が周方向で略等しくなっていることにより、全ての穴の終端が本体部において略同じ径方向位置に配されることとなる。従って、周方向で穴の深さが異なり、回転軸の不安定振動の抑制が可能である。
また、前記本体部は、前記一軸方向に分割可能に形成されていてもよい。
このように本体部を分割構造とすることで、型抜き作業が容易となるため、例えば、鋳造や鍛造によって予め穴が形成された本体部を製造することも可能となり、加工の容易化を図ることができる。
さらに、前記本体部は、多孔質体よりなり、該多孔質体の空隙が前記穴であってもよい。
このような多孔質体よりなる本体部によって、穴は周方向にランダムな形状を有することとなるため、径及び深さが異なる穴が複数形成されていることと同等となり、これによって回転軸の不安定振動を抑制しながらシール効果を得ることができる。さらに、穴の加工を別途行う必要がないため、加工工数の削減が可能である。
また、前記多孔質体よりなる前記本体部は、互いに90度異なる前記軸線の径方向の少なくとも二方向の間で、剛性が異なっていてもよい。
このようにシール装置は周方向に異方剛性を有することとなり、回転軸の楕円状の振れ回りを弱めることがなく、不安定振動を抑制することができる。
さらに、前記本体部は、前記周方向に厚みが異なっていてもよい。
このように本体部の厚みが異なっていることで、より確実に穴の径や深さが周方向に異なって周方向に異方剛性を有することとなり、回転軸の不安定振動を抑制することができる。
また、本発明に係る回転機械は、回転軸と、前記回転軸を両端で支持するとともに、該回転軸の周方向に剛性が変化する一対の軸受と、前記一対の軸受間に配された上記のシール装置とを備えることを特徴とする。
このような回転機械によると、シール装置を備えることで、このシール装置における本体部に深さの異なる穴が複数形成されているため、回転軸における様々な周波数の不安定振動に対して減衰力を作用させることができる。
本発明のシール装置及び回転機械によると、回転軸の外周面に対向する複数の穴について深さが異なっていることで、回転軸の不安定振動を抑制しながらシール効果を得ることが可能である。
本発明の第一実施形態に係る回転機械を示す全体側面図である。 本発明の第一実施形態に係る回転機械における軸受を示す概略図であって、図1のA−A断面図である。 本発明の第一実施形態に係る回転機械におけるシール装置を示す全体斜視図である。 本発明の第一実施形態に係る回転機械におけるシール装置の断面図であって、図3のB−B断面を示す。 本発明の第一実施形態に係る回転機械におけるシール装置に関し、回転軸に生じる不安定振動の周波数と、各周波数の不安定振動を減衰する減衰力との関係を示すグラフである。 本発明の第二実施形態に係る回転機械におけるシール装置の断面図であって、図3のB−B断面と同じ断面位置を示す。 本発明の第三実施形態に係る回転機械におけるシール装置の断面図であって、図3のB−B断面と同じ断面位置を示す。
〔第一実施形態〕
以下、本発明の第一実施形態に係る回転機械1について説明する。
図1に示すように、本実施形態の回転機械1は、複数のインペラ3を備えて構成とされた多段式遠心圧縮機である。
回転機械1は、軸線Pを中心とした回転軸2と、回転軸2を軸線P回りに回転可能に支持する軸受5と、回転軸2に取り付けられて遠心力を利用してプロセスガス(流体)Gを圧縮するインペラ3と、インペラ3同士の間に配されて回転軸2の外周面に沿って設けられたシール装置4と、これらを外周側から覆うケーシング6とを備えている。
回転軸2は、柱状をなして軸線Pの方向に延在し、軸線Pの方向の両端で軸受5によって回転可能に支持されている。
インペラ3は、回転軸2の軸線Pの方向の両端に設けられた軸受5同士の間に配されている。また、回転軸2の軸線Pの方向において羽根の向きが互いに反対側を向く二組の三段式インペラ群3A、3Bを構成しており、これら三段式インペラ群3A、三段式インペラ群3Bとは互いに背面側を回転軸2における軸線Pの方向の中央位置Cに向けた状態で回転軸2に取り付けられている。なお、三段式インペラ群3Aは軸線P方向の一方側(図1の紙面左側)に、三段式インペラ群3Bは軸線P方向の他方側(図1の紙面右側)に配置されている。
インペラ3は、それぞれ回転軸2における軸線Pの方向の中央位置Cに向かうに従って、軸線Pの径方向外側に漸次拡径する略円盤状のディスク3aと、このディスク3aに軸線Pの周方向に間隔をあけて放射状に設けられた複数のブレード3cと、ディスク3aに対向して設けられて複数のブレード3cを覆うカバー3bとを備えている。
そして、プロセスガスGは、三段式インペラ群3A、三段式インペラ群3B各々を軸線Pの方向の中央位置Cに向かって流通することで、圧縮されるようになっている。
軸受5は、回転軸2の両端部に一つずつ設けられ、回転軸2を回転可能に支持している。
また図2に示すように、各々の軸受5は、回転軸2の外周面に対向して設けられた複数の軸受パッド10と、これら軸受パッド10を外周側から支持する軸受ケーシング16と、複数の軸受パッド10間に配置された潤滑油供給部17とを有している。
軸受パッド10は、周方向に互いに間隔をあけて設けられて、回転軸2の外周面との間で摺動可能となっている。そしてこの軸受パッド10については、本実施形態では回転軸2の直下に第一軸受パッド11が配置されている。またこの第一軸受パッド11から周方向に72度の間隔をあけて等間隔に第二軸受パッド12及び第三軸受パッド13が配置され、さらに第二軸受パッド12から周方向に72度の間隔をあけて第四軸受パッド14が、第三軸受パッド13から周方向に72度の間隔をあけて第五軸受パッド15が配置されている。このようにして軸受パッド10は五枚から構成されて回転軸2を支持している。
軸受パッド10がこのように配置されていることで、軸受5の下半部5bでは三枚の軸受パッド10が回転軸2を支持する一方で、上半部5aでは二枚の軸受パッド10が回転軸2を支持している。即ち、軸受5の剛性が周方向に均一とはなっておらず、いわゆる異方剛性を有していることとなるため、軸受パッド10は、回転軸2の回転にともなって回転軸2を楕円状に振れ回らせるように回転軸2を支持している。
ここで本実施形態では、上述した軸受パッド10の配置によって軸受5は、上下方向D1の剛性が強く、上下方向D1に直交する水平方向D2の剛性が弱くなっており、回転軸2の振れ回りの楕円はその長軸が水平方向D2に一致することとなる。
軸受ケーシング16は、軸受パッド10を外周側から覆うとともに、これら軸受パッド10を支持する環状をなす部材である。
潤滑油供給部17は、軸受ケーシング16の内外を連通して軸受パッド10と回転軸2との間に潤滑油を供給する。なお本実施形態では、第一軸受パッド11と第二軸受パッド12との間に一つ、第一軸受パッド11と第三軸受パッド13との間に一つ、第二軸受パッド12と第四軸受パッド14との間に一つの合計三つが設けられている。
ケーシング6は、略筒状をなして軸受5を外周側から支持し、回転軸2、インペラ3、シール装置4を外周側から覆っており、ケーシング6は、ケーシング6に対して回転軸2及びインペラ3を軸線P回りに回転可能としている。そしてこのケーシング6の内部には、各インペラ3におけるブレード3c間の流路同士を接続するようにケーシング流路6aAが形成されている。
さらに、ケーシング6の内部には、軸線Pの方向の一方側の端部の径方向外側となる位置で環状をなす吸込口6bAが形成されている。またこの吸込口6bAと、三段式インペラ群3Aのうちの一方側に位置するインペラ3の流路との間には接続流路6cAが形成されて、このインペラ3の流路と吸込口6bAとを接続している。これによって、プロセスガスGを外部から三段式インペラ群3Aへ導入可能としている。
また、ケーシング6の内部には、三段式インペラ群3Aのうちの他方側に位置するインペラ3の流路に接続されて、径方向の外側に延びる接続流路6dAが形成されている。さらに、ケーシング6の内部には、接続流路6dAに接続されるとともに、軸線Pの方向の中央位置Cにおける径方向外側となる位置で、環状をなす排出口6eAが形成されている。
一方で、三段式インペラ群3Bが取り付けられた位置においても同様に、ケーシング6の内部にはケーシング流路6aB、吸込口6bB、接続流路6cB、6dB、排出口6Bが形成されている。そしてこれらは、軸線P方向の中央位置Cを境に、ケーシング流路6aA、吸込口6bA、接続流路6cA、6dA、排出口6Aに対して、軸線P方向に対称となる位置に配置されている。
次に、シール装置4について説明する。
シール装置4は、三段式インペラ群3Aと三段式インペラ群3Bとの間となる中央位置C付近で回転軸2の外周側に設けられて、三段式インペラ群3Aと三段式インペラ群3Bとの間でのプロセスガスGの流通を封止する。
ここで、三段式インペラ群3Aにおいて圧縮されて回転軸2の中央位置Cに到達したプロセスガスGは、その後、三段式インペラ群3Bに導入されてさらに圧縮が行われ、再度中央位置C付近に到達するようになっている(図1の点線を参照)。従って、回転軸2の中央位置Cである三段式インペラ群3Aと三段式インペラ群3Bとの間には圧力差が生じている。
シール装置4は、このような圧力差によって、プロセスガスGが中央位置Cにおいて三段式インペラ群3Aから三段式インペラ群3Bへ、軸線Pに沿って流通することを防止するように設けられている。
そして、図3に示すように、シール装置4は、回転軸2の外周面に周方向に沿って配置された本体部7を備えている。
本体部7は、回転軸2の外周面との間に間隙を有して設けられた環状部材であり、回転軸2の外周面と対向する面である内周面に開口する複数の穴8が形成されており、即ちシール装置4はホールパターンシールとなっている。
図4に示すように、複数の穴8は、各々が本体部7の内周面から径方向外側に向かって凹むとともに、周方向に隣接する穴8同士で穴8の深さ(径方向の長さ)が異なっている。より具体的には本実施形態では、上下方向D1に向かって形成された穴8で最も深さ寸法が大きくなっており、上下方向D1から水平方向D2に向かうに従って穴8の深さ寸法は漸次小さくなっていき、水平方向D2に向かって形成された穴8で最も深さ寸法が小さくなっている。
このような回転機械1においては、シール装置4において回転軸2の周方向に穴8の深さが異なっている。このため、穴8内での気柱の固有振動数は周方向で各々に異なっている。
従って、図5の実線に示すように、シール装置4が回転軸2の不安定振動を減衰する減衰力を様々な周波数の不安定振動に対して作用させることができ、回転軸2に対して十分な振動抑制効果を得ることができる。一方で図5の点線に示すように、仮に穴8の深さが周方向で均一となっている場合には、非常に狭い範囲の周波数の振動に対してのみ減衰力を作用させることができるため、回転軸2に対して十分な振動抑制効果を期待することは難しい。
また、シール装置4における穴8の深さが周方向に異なっていることで、各穴8の内部に流入したプロセスガスGには、周方向に不均一な圧力損失が生じる。さらに、穴8の深さが周方向に異なるために、結果として本体部7の厚みが周方向に異なることになる。
このため、シール装置4は、周方向に剛性が異なるいわゆる異方剛性を有し、軸受5の異方剛性によって生じる回転軸2の楕円状の振れ回りを弱めることがなくなり、この振れ回りを維持することによって回転軸2に発生する不安定振動を抑制しながら、シール効果を発揮することが可能となる。
本実施形態の回転機械1によると、シール装置4の複数の穴8について、周方向に深さが異なっていることで、回転軸2の不安定振動を抑制することができるとともにシール効果を得て、プロセスガスGの封止が可能である。
なお、本実施形態では、周方向に深さが段階的に変化するように穴8が形成されているが、穴8は少なくとも深さが異なる二種の穴8が形成されていればよい。そしてこのような場合であっても、二種以上の周波数の不安定振動を減衰可能となるため、不安定振動の抑制効果の向上につながる。よって、例えば深さの異なる穴8をランダムに形成してもよい。
さらに、本体部7の径方向の厚みは周方向に異なっていてもよく、これによってシール装置4がより確実に周方向に異方剛性を有し、不安定振動の抑制効果の向上を図ることができる。
〔第二実施形態〕
次に、本発明の第二実施形態に係る回転機械21について説明する。
なお、第一実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
本実施形態では、シール装置24が、第一実施形態のものと異なっている。
シール装置24は第一実施形態同様の本体部27を備え、この本体部27に回転軸2の内周面に開口する複数の穴8が形成されている。
図6に示すように、複数の穴8は、全てが回転軸2の軸線Pに直交する一軸方向となる上下方向D1に本体部27の内周面から径方向外側に向かって凹んで形成されている。
さらに、これら複数の穴8の終端となる径方向外側の端部は、全ての穴8において本体部7の外周面の内側に位置するとともに、全ての穴8においてその径方向位置が同じ位置となっており、即ち全ての穴8において軸線Pから終端までの距離が略等しくなっている。
このような回転機械21においては、周方向で穴8の深さが異なるように穴8が形成されているとともに、これら複数の穴8を加工する際には、一方に向かって形成することができる。即ち、シール装置24の本体部27を回転させながら穴8の加工を行う必要がないため、穴8の加工の容易化を図りながら、回転軸2の不安定振動を抑制するとともにシール効果を得ることができる。
なお、本実施形態のシール装置24の本体部27は、上半部27aと下半部27bとで二つに分割されていてもよい。このような分割構造とすることで、型抜き作業が容易となるため、例えば鋳造や鍛造によって穴8が予め形成された本体部27を製造することも可能となり、さらなる加工の容易化を図ることができる。また同様に、第一実施形態のシール装置4の本体部7を分割してもよい。
〔第三実施形態〕
次に、本発明の第三実施形態に係る回転機械31について説明する。
なお、第一実施形態及び第二実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
本実施形態では、シール装置34が、第一実施形態及び第二実施形態のものと異なっている。
図7に示すように、シール装置34は、回転軸2の外周面に周方向に沿って配置された本体部37を備えており、この本体部37は複数の穴8が形成された多孔質体となっている。多孔質体には、例えばアルミニウムよりなる発泡金属や、発泡セラミックスなどの材料が適用可能である。
また、本体部37は長軸が上下方向D1となる断面楕円状をなしており、これによって上下方向D1の厚みが大きく、水平方向D2の厚みが小さくなって周方向に厚みが異なっている。
このような回転機械31においては、シール装置34の本体部37が多孔質体よりなることで、穴8は多孔質体の気泡によって形成されていることとなるため、穴8は周方向にランダムな形状を有する。
従って、径及び深さが異なる穴8が複数形成されていることと同等となり、これによって回転軸2の不安定振動を、広い周波数範囲で抑制することができる。
また、このように本体部37が多孔質体よりなるため、本体部37に対して穴8の加工を別途行う必要がないため、加工工数の削減によってコスト低減が可能である。
また、本体部37が断面楕円状となっていることで、シール装置34が周方向に異方剛性を有することとなり、回転軸2の楕円状の振れ回りを弱めることがなく、不安定振動を抑制しながらシール効果を得ることが可能である。
なお、シール装置34の本体部37は必ずしも断面楕円状をなしていなくともよく、例えば少なくとも周方向に厚みが一定でなければよく、このようにすることで確実にシール装置34の剛性に異方性を持たせることが可能であり、回転軸2の不安定振動の抑制が可能である。
また、本体部37が断面楕円状をなしていなくとも、剛性は、互いに90度異なる径方向の少なくとも二方向で周方向に異なっていればよく、このようにすることでシール装置34は確実に周方向に異なる剛性を有することとなり、回転軸2の不安定振動を抑制することができる。
以上、本発明の実施形態について詳細を説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内において、多少の設計変更も可能である。
例えば、シール装置4(24、34)においては、軸受5の楕円状振れ回りが真円状振れ回りとなってしまわないように、軸受5の剛性の大小の方向に応じてシール装置4(24、34)の剛性の方向、即ち深さの異なる穴8の配置パターンを決定する必要がある。このため、例えば第一実施形態のように、必ずしも上下方向D1を向く穴8の深さを最も大きくして、上下方向D1の剛性が最も大きくなるように複数の穴8を形成するとは限らない。
即ち、軸受5において軸受パッド10の枚数や配置は異なっていてもよいが、この軸受5の剛性が上述の実施形態とは周方向に異なっている場合には、軸受5の剛性の大小の方向に応じてシール装置4の深さの異なる穴8の配置パターンを決定する必要がある。
また、シール装置4(24、34)の本体部7の穴8(28、38)は周方向に深さが異なるように形成されているが、これに加えて軸線Pの方向にも深さが異なるように形成してもよい。回転軸2の不安定振動は、軸線P方向の一方側に向かって周方向に捩れるような振動が発生する場合もあるため、軸線P方向にも深さが異なるように穴8(28、38)を形成することで、このような捩れ振動の抑制効果も得ることができる。
1…回転機械 2…回転軸 3…インペラ 3A、3B…三段式インペラ群 3a…ディスク 3b…カバー 3c…ブレード 4…シール装置 5…軸受 6…ケーシング 7…本体部 8…穴 10…軸受パッド 11…第一軸受パッド 12…第二軸受パッド 13…第三軸受パッド 14…第四軸受パッド 15…第五軸受パッド 16…軸受ケーシング 17…潤滑油供給部 C…中央位置 P…軸線 G…プロセスガス(流体) D1…上下方向 D2…水平方向 21…回転機械 24…シール装置 27…本体部 28…穴 31…回転機械 34…シール装置 37…本体部 38…穴

Claims (10)

  1. 回転軸の外周面上で、前記回転軸の軸線に沿う方向の流体の流れを封止するシール装置であって、
    前記回転軸の前記外周面に前記軸線の周方向に沿って配された環状の本体部を備え、
    前記本体部の内周面に、前記回転軸の前記外周面に対向するように開口するとともに、深さの異なる少なくとも二種の穴が複数形成されていることを特徴とするシール装置。
  2. 前記本体部は、互いに90度異なる前記軸線の径方向の少なくとも二方向の間で、剛性が異なっていることを特徴とする請求項1に記載のシール装置。
  3. 前記本体部は、前記二方向のうちの一方向での前記穴の深さ寸法が他方向での前記穴の深さ寸法に比べて大きく形成されていることを特徴とする請求項2に記載のシール装置。
  4. 複数の前記穴は、前記軸線に直交する一軸方向に沿って形成されていることを特徴とする請求項3に記載のシール装置。
  5. 複数の前記穴は、その終端が、前記軸線からの距離が前記周方向で略等しくなるように形成されていることを特徴とする請求項4に記載のシール装置。
  6. 前記本体部は、前記一軸方向に分割可能に形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のシール装置。
  7. 前記本体部は、多孔質体よりなり、該多孔質体の空隙が前記穴であることを特徴とする請求項1に記載のシール装置。
  8. 前記本体部は、互いに90度異なる前記軸線の径方向の少なくとも二方向の間で、剛性が異なっていることを特徴とする請求項7に記載のシール装置。
  9. 前記本体部は、前記周方向に厚みが異なっていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のシール装置。
  10. 回転軸と、
    前記回転軸を両端で支持するとともに、該回転軸の周方向に剛性が変化する一対の軸受と、
    前記一対の軸受間に配された請求項1から9のいずれか一項に記載のシール装置とを備えることを特徴とする回転機械。
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