本発明の第1の実施形態に係る射出成形機を、図1〜10を用いて説明する。図1は、本実施形態の射出成形機10を示す斜視図である。図1に示すように、射出成形機10は、ベース20と、射出装置30と、型締装置40とを備えている。また、射出成形機10は、本発明で言う成形機の一例である。
ベース20は、本実施形態では、一例として、一方向に長い形状であり、図1中左右方向に延びる状態で示されている。ベース20の上には、レール21が設けられている。レール21は、ベース20の長手方向に延びている。射出装置30は、レール21上に配置されており、レール21に沿って移動可能である。
射出装置30は、ハウジング30aと、内部にスクリュを収容するシリンダ31と、ハウジング30a内に収容されるシリンダ31内でスクリュを回転させる駆動装置32と、ホッパ33と、ハウジング30a内に収容されるスクリュを進退させる駆動装置35を備えている。駆動装置32,35は、図中点線で示されている。シリンダ31の先端には、射出ノズル34が設けられている。ホッパ33内には、溶融される材料の一例である樹脂が収容されている。ホッパ33内から材料である樹脂がシリンダ31内に供給される。
シリンダ31の周囲には、図示しない加熱装置が設けられている。加熱装置によってシリンダ31が加熱されることによって、シリンダ31内に収容された樹脂が溶融される。
また、駆動装置32によってスクリュが回転する。スクリュが回転することによって、シリンダ31内の樹脂が溶融されながら、射出ノズル34に向って移動する。溶融樹脂が射出ノズル34に向って移動することによって、シリンダ31内の溶融樹脂が射出ノズル34付近に蓄えられる。樹脂が蓄えられるにつれて、蓄えられた樹脂の圧力によりスクリュはホッパ33の方へ押し戻される。溶融樹脂は、所定量蓄えられると、駆動装置35によってスクリュを射出ノズル34の方へ押し出すことにより、後述される型締装置40に固定される固定型5と移動型6との間に形成されるキャビティ内に、射出される。
型締装置40は、射出装置30に対向するように、ベース20の上に配置されている。レール21は、型締装置40に向って延びており、それゆえ、射出装置30は、型締装置40に向う方向と、離れる方向に進退可能である。型締装置40は、カバー41と、カバー41内に収容される各種装置を備えている。図1に示される型締装置40は、カバー41が示されている。
図2は、カバー41が取り外された型締装置40を示す斜視図である。つまり、図2には、カバー41内を示している。図2では、ベース20はその一部を示しており、他の部分は省略されている。図2に示すように、型締装置40は、ベース20上に固定される型締装置用ベース42と、型締装置用ベース42に固定される固定プラテン43と、移動プラテン44と、移動プラテン44を移動させる第1の駆動装置50と、固定プラテン43に対して移動プラテン44及び第1の駆動装置50を移動可能に型締装置用ベース42に支持する移動機構46と、複数のタイバー45と、第2の駆動装置70とを備えている。また、型締装置40は、図示しない型厚調整用駆動装置も備えている。
移動プラテン44は、型締装置用ベース42に対して、固定プラテン43に向う一方向に沿って移動可能に、移動機構46によって支持されている。言い換えると、移動プラテン44は、固定プラテン43に対して、近づく方向と離れる方向に移動可能に、型締装置用ベース42に支持されている。
移動機構46は、型締装置用ベース42に一対設けられる型締め装置用レール47と、各型締め装置用レール47に1つずつ設けられて型締め装置用レール47に沿って移動可能な移動部48とを備えている。各型締め装置用レール47は、固定プラテンに向って延びる上記一方向に沿って延びている。移動プラテン44及び第1の駆動装置50は、一方の移動部48と他方の移動部48との間に収容されるとともに、両移動部48に固定される。このため、移動プラテン44は、移動機構46を介して、固定プラテン43に近づく方向と離れる方向とに移動可能である。
第1の駆動装置50は、リンクハウジング51と、トグル機構60と、リンクハウジング51に固定される駆動部の一例である第1のサーボモータ53と、第1のボールねじ機構54とを備えている。第1の駆動装置50は、図示しない型厚調整用駆動装置を駆動することにより、移動プラテン44とともに、固定プラテン43に対して、近づく方向と離れる方向に移動可能に、型締装置用ベース42に支持されている。
リンクハウジング51は、型締装置用ベース42において、移動プラテン44を挟んで固定プラテン43に対して反対側に連結されている。
第1のボールねじ機構54は、第1のねじ部55と、後述されるトグル機構60のクロスヘッド62に設けられる第1のナット57とを備えている。第1のねじ部55は、リンクハウジング51の中央に設けられており、リンクハウジング51から固定プラテン43に向って延びている。第1のナット57は、第1のねじ部55に螺合している。
第1のサーボモータ53は、リンクハウジング51に固定されている。第1のサーボモータ53の出力軸は、図示しない伝達機構によって第1のねじ部55に伝達される。第1のサーボモータ53が駆動することによって、第1のねじ部55が回転し、それゆえ、第1のねじ部55に螺合する第1のナット57が第1のねじ部55上を進退する。
図3は、型締装置40を示す概略図である。図3では、型締め状態を示している。図3に示すように、トグル機構60は、1対のトグルレバー61と、クロスヘッド62と、1対のトグルアーム63と、1対の連結アーム64とを備えている。クロスヘッド62は、内部に第1のボールねじ機構54の第1のナット57が固定されている。このため、クロスヘッド62は、第1のナット57とともに第1のねじ部55上を進退する。
図4は、一方のトグルレバー61と、クロスヘッド62と、一方のトグルアーム63と、一方の連結アーム64とを、分解して示す概略図である。なお、他方のトグルレバー61と、クロスヘッド62と、他方のトグルアーム63と、他方の連結アーム64との連結も、図4と同様である。
図4に示すように、リンクハウジング51において移動プラテン44に向う面54aには、第1の支持部68が形成されている。第1の支持部68は、第1のねじ部55を挟んで上下に1つずつ設けられている。第1の支持部68には、ピン挿入孔68aが形成されている。トグルレバー61の両端部には、それぞれ、ピン挿入孔61aが形成されている。トグルレバー61の一端部のピン挿入孔61aと、一方の第1の支持部68のピン挿入孔68aとにピン100が挿入されることによって、トグルレバー61の一端部は、ピン100を介して第1の支持部68に回転自由に連結されている。
トグルアーム63の両端部には、それぞれ、ピン挿入孔63aが形成されている。ピン100が、トグルレバー61の他端部のピン挿入孔61aと、トグルアーム63の一端部のピン挿入孔63aとに挿入されることによって、トグルレバー61の他端部は、トグルアーム63の一端部に、ピン100を介して回転自由に連結される。
移動プラテン44においてリンクハウジング51に向う面44aには、第2の支持部69が設けられている。第2の支持部69は、面44aにおいて上下に1つずつ設けられている。第2の支持部69には、ピン挿入孔69aが形成されている。
トグルアーム63の他端部のピン挿入孔63aと、第2の支持部69のピン挿入孔69aとにピン100が挿入されることによって、トグルアーム63の他端部は、ピン100を介して、第2の支持部69に回転自由に連結される。
連結アーム64の両端部には、それぞれ、ピン挿入孔64aが形成されている。クロスヘッド62の上部には、ピン挿入孔62aが形成されている。具体的には、クロスヘッド62には、突出部62bが設けられている。突出部62b内にピン挿入孔62aが形成されている。連結アーム64の一端部のピン挿入孔64aとクロスヘッド62の上部のピン挿入孔62aとにピン100が挿入されることによって、連結アーム64の一端部は、クロスヘッド62に回転自由に連結される。
トグルレバー61の中間部には、ピン挿入孔61aが形成されている。連結アーム64の他端部のピン挿入孔64aとトグルレバー61の中間部のピン挿入孔61aとにピン100が挿入されることによって、連結アーム64の他端部がトグルレバー61に、ピン100を介して回転自由に連結される。
なお、第1,2の支持部68,69と、トグルレバー61と、トグルアーム63と、クロスヘッド62と、連結アーム64とに形成されるピン挿入孔61a,62a,63a,64a,68a,69aは、全て、同じ方向に延びている。本実施形態では、一例として、固定プラテン43に対する移動プラテン44の進退方向と上下方向とに対して垂直な方向である。この固定プラテン43に対する移動プラテン44の進退方向とは、型締め装置用レール47の延びる方向である。
また、図4は、クロスヘッド62を挟んで上側に配置される、トグルレバー61とトグルアーム63と連結アーム64とクロスヘッド62との連結構造を示している。クロスヘッド62を挟んで下側に配置される、トグルレバー61とトグルアーム63と連結アーム64とクロスヘッド62との連結構造も同様である。
上記のように、第1のボールねじ機構54の第1のナット57と移動プラテン44とがトグル機構60を介して連結される。クロスヘッド62が第1のねじ部55上を進退することによって、トグル機構60が伸縮する。これによって、移動プラテン44は、トグル機構60を介して、固定プラテン43に近づく方向と離れる方向とに進退可能となる。
ここで、上記ピン挿入孔とピン100との大きさについて、具体的に説明する。図5は、トグルレバー61の一端部と、第1の支持部68との連結部を拡大して示す概略図である。図5に示すように、トグルレバー61が第1の支持部68に対して回転自由になるために、ピン挿入孔61a,68aは、ピン100よりも大きい。このため、ピン挿入孔61a,68aの縁とピン100との間には、隙間Sが形成される。なお、図5では、隙間Sを誇張して描いている。実際には、隙間Sは小さいものである。また、隙間Sを明確に示すために、ピン100がピン挿入孔61a,68aの中央に配置されている状態を示している。
本実施形態では、トグルレバー61の両端部のピン挿入孔61aと、トグルアーム63の両端部のピン挿入孔63aと、クロスヘッド62の両ピン挿入孔62aと、連結アーム64の両ピン挿入孔64aと、第1,2の支持部68,69のピン挿入孔68a,69aとは、全て、同じ大きさである。各ピン100の大きさも同じである。このため、共通のピン100が挿入される1対のピン挿入孔において、当該ピン挿入孔の縁とピン100との間に形成される隙間は、各ピン挿入孔において、同じ大きさになる。
図2に示すように、本実施形態では、タイバー45は、4つ用いられている。これら複数のタイバー45は、リンクハウジング51と固定プラテン43とを連結するとともに、内側に移動プラテン44を収容するように配置されている。本実施形態では、リンクハウジング51と固定プラテン43とは、ともに、正面形状が矩形である。このため、タイバー45は、リンクハウジング51と固定プラテン43の各々の四隅にそれぞれ一つずつ配置されて固定されている。なお、移動プラテン44の四隅は、タイバー45に接触することがないように切りかかれている。言い換えると、この切欠き内に、タイバー45が収容される。また、少なくとも4つのタイバー45のうち一つには、歪センサ49が取り付けられており、型締め力を検出することができるようになっている。
第2の駆動装置70は、本実施形態では、一例として、2つ用いられる。これら2つの第2の駆動装置70は、移動プラテン44に対して、移動プラテン44に固定される移動型6の中心を通るとともに、移動プラテン44の進退方向に延びる中心線P1回り等間隔離間した位置に配置されている。移動型6は、図中、2点鎖線で示されている。
なお、本実施形態では、第2の駆動装置70は、2つ用いられたが、例えば、3つや4つであってもよく、第2の駆動装置70は、複数用いられてもよい。第2の駆動装置70が複数用いられる場合は、これら複数の第2の駆動装置70は、上記のように、移動型6の中心線P1回りに等間隔離間して配置される。
また、第2の駆動装置70は、単数で用いるようにしてもよいが、この場合には、第2の駆動装置70の駆動力により移動プラテン44が傾かないようにするための装置を別途用意する場合がある。
第2の駆動装置70は、第2のサーボモータ71と、第2のボールねじ機構72とを備えている。一方の第2のサーボモータ71は、一方の移動部48に固定されている。他方の第2のサーボモータ71は、他方の移動部48に固定されている。
上記のように、移動プラテン44は、一方の移動部48と他方の移動部48との間に配置されて、これら両移動部48に固定されている。つまり、一方の移動部48と他方の移動部48とは、移動型6の中心線P1回りに180度離間して配置される。このため、一方の第2のサーボモータ71と他方の第2のサーボモータ71とは、移動型6の中心線P1回りに180度離間して配置される。
第2のボールねじ機構72は、第2のねじ部73と、第2のナット74とを備えている。第2のねじ部73は、第2のサーボモータ71の出力軸に連結されており、出力軸と一体に回転する。第2のねじ部73は、移動プラテン44の移動方向に沿って、リンクハウジング側に向って突出している。第2のナット74は、リンクハウジング51に固定されており、第2のねじ部73に螺合している。第2のナット74がリンクハウジング51に固定されていることによって、第2のサーボモータ71によって第2のねじ部73が回転すると、移動部48が型締め装置用レール47上を移動する。
制御装置80は、射出装置30の動作を制御するとともに、第1,2の駆動装置50,70の動作及び図示しない型厚調整用駆動装置の動作を制御する。
次に、型締装置40の動作を説明する。型締め時には、制御装置80は、第1のサーボモータ53を制御して、移動プラテン44を固定プラテン43側に移動する。なお、型締め時には、移動プラテン44は型締め位置P3にある。具体的には、第1のサーボモータ53が回転することによって、第1のナット57が第1のねじ部55上を、移動プラテン44側に向って進む。第1のナット57が移動プラテン44側に進むことによって、クロスヘッド62を介して第1のナット57に支持されるトグル機構60が、固定プラテン43に向って延びる。
すると、トグル機構60に連結される移動プラテン44が固定プラテン43側に移動する。なお、このときは、第2の駆動装置70の第2のサーボモータ71には電力が供給されておらず、それゆえ、第2のねじ部73は、回転自由な状態である。このため、第2のサーボモータ71が、上記のように移動する移動プラテン44の抵抗となることが抑制される。
移動プラテン44が固定プラテン43に向って移動すると、移動型6が固定型5に接触し、トグル機構60によって型締めされる。このように、移動プラテン44が固定プラテン43に向って進む方向は、本実施形態では、型締め方向の一例である。移動プラテン44が固定プラテン43から離れる方向が、本実施形態では、型開き方向の一例となる。
ここで、トグル機構60が移動プラテン44を固定プラテン43側に押す際の、各ピン挿入孔とピン100との相対位置について、具体的に説明する。図6は、第1の支持部68とトグルレバー61の一端部との連結部を拡大して示す概略図である。図中矢印Cは、移動プラテン44から固定プラテン43に向う方向、つまり、型締め方向を示している。
トグルレバー61は、クロスヘッド62により傾斜状態から型締装置用ベース42に対して水平(リンクハウジング51または移動プラテン44に対して直角)にされていく。このため、第1の支持部68内に挿入されるピン100は、トグルレバー61に押される。このため、ピン100は、トグルレバー61の一端部に形成されるピン挿入孔61aにおいて移動プラテン44側の縁に接触し、かつ、第1の支持部68のピン挿入孔68aのリンクハウジング51側の縁に接触する。
上記したように、ピン挿入孔61a,68aは、ピン100よりも大きい。このため、トグルレバー61のピン挿入孔61aのリンクハウジング51側の縁とピン100との間には、隙間Sが生じる。第1の支持部68のピン挿入孔68aの移動プラテン44側の縁とピン100との間には、隙間Sが生じる。
図7は、クロスヘッド62の上部と連結アーム64との連結部を拡大して示す概略図である。上記のように、クロスヘッド62が第1のねじ部51上を固定プラテン側に移動することによってトグル機構60が延びる。このため、連結アーム64は、クロスヘッド62によって固定プラテン43側に押される。このため、ピン100は、クロスヘッド62のピン挿入孔62aのリンクハウジング51側の縁に接触するとともに、反対側の縁との間に隙間Sが生じる。ピン100は、連結アーム64の一端部のピン挿入孔64aの移動プラテン44側の縁に接触するとともに、反対側の縁との間に隙間Sが生じる。
図8は、連結アーム64とトグルレバー61との連結部を拡大して示す概略図である。図8に示すように、移動プラテン44が固定プラテン43側に移動する際には、連結アーム64がトグルレバー61を押すので、ピン100は、連結アーム64の他端部のピン挿入孔64aのリンクハウジング51側の縁に接触し、反対側の縁との間に隙間Sが生じる。また、ピン100は、トグルレバー61の中間部のピン挿入孔61aの固定プラテン43側の縁に接触し、反対側の縁との間に隙間Sが生じる。
図9は、トグルレバー61とトグルアーム63との連結部を拡大して示す概略図である。図9に示すように、移動プラテン44が固定プラテン43側に移動する際では、トグルレバー61がトグルアーム63を押す。このため、ピン100は、トグルレバー61の他端部のピン挿入孔61aのリンクハウジング51側の縁に接触し、反対側の縁との間に隙間Sが生じる。また、ピン100は、トグルアーム63の一端部のピン挿入孔63aの固定プラテン43側の縁に接触し、反対側の縁との間に隙間Sが生じる。
図10は、トグルアーム63と第2の支持部69との連結部を拡大して示す概略図である。図10に示すように、移動プラテン44が固定プラテン43側に移動する際には、トグルアーム63が移動プラテン44を押す。このため、ピン100は、トグルアーム63の他端部のピン挿入孔63aのリンクハウジング51側の縁に接触し、反対側の縁との間に隙間Sが生じる。また、ピン100は、第2の支持部69のピン挿入孔69aの固定プラテン43側の縁に接触し、反対側の縁との間に隙間Sが生じる。
トグル機構60によって移動プラテン44が押されて固定プラテン43側に移動するとき、および、型締め時には、各ピン挿入孔とピン100との位置関係は、上記の関係が保たれる。この関係は、クロスヘッド62の下方に配置されるトグルレバー61と、トグルアーム63と、クロスヘッド62と、連結アーム64と、第1,2の支持部68,69とにおいても、同じである。
移動型6が固定型5に接触した後、第1のサーボモータ53がさらに駆動することによってトグル機構60が伸びると、移動型6が固定型5に一層押し付けられる。これにより、リンクハウジング51と固定プラテン43とに連結されたタイバー45が固定プラテン43の方へ引っ張られ、伸ばされる。この時のタイバー45の伸び量をタイバー45に取り付けられた歪センサ49で検出することにより型締め力を計測する。トグル機構60が伸びきった状態で所定の型締め力が計測されると、制御装置80は、射出装置30を制御して、移動型6と固定型5との間のキャビティ内に、溶融された樹脂を射出する。
次に、型開き時の動作を説明する。型開き時では、トグル機構60による移動プラテン44を固定プラテン43側に押圧する力を徐々に小さくする、言い換えると型締め力を徐々に小さくする。制御装置80は、型締め力が完全に零になる前に、第1のサーボモータ53をオフにするとともに、第2のサーボモータ71を駆動する。なお、第1のサーボモータ53をオフにするとは、第1のサーボモータ53を回転自由にする、またはフリー(フリー状態)にすることである。
第1のサーボモータ53がオフされることによって、第1のねじ部51が回転自由になる。また、第2のサーボモータ71が駆動することによって、移動プラテン44がリンクハウジング51側に引っ張られるようになる。このため、移動プラテン44が、トグル機構60を、リンクハウジング51側に向って押すようになる。
移動プラテン44がトグル機構60をリンクハウジング51側に押すことの反力により、移動プラテン44は、トグル機構60に押されるようになる。このため、型開き時においても、各ピン挿入孔とピン100との位置関係は、型締め時の位置関係、つまり、図6〜10に示す関係が保たれる。このため、型開き時においても、各ピン挿入孔内でピン100が移動することがない。
各ピン挿入孔内でピン100が移動しないことによって、固定型5に対する移動プラテン44の姿勢が変化することがない。
制御装置80は、移動プラテン44が予め設定される所定位置Aまで移動すると、第2のサーボモータ71をオフにし、第1のサーボモータ53を駆動する。なお、第2のサーボモータ71をオフにするとは、第2のサーボモータ71を回転自由にする、またはフリー(フリー状態)にすることである。所定位置Aは、固定型5と移動型6との間で形成される製品が、固定型5から外れる位置であり、かつ、所定位置Aで固定型5に対して移動型6の姿勢がずれても、この姿勢の変化に起因して製品が移動型6または固定型5によって削れることがない位置である。所定位置Aは、実験などによって、予め得られる。図3において、所定位置Aまで移動した移動プラテン44を、2点鎖線で示している。
所定位置A以降では、第1のサーボモータ53が駆動することによって、移動プラテン44は、トグル機構60によってリンクハウジング51側に引っ張られるので、リンクハウジング51側に速やかに移動する。
このように構成される射出成形機10では、型締め状態から型を開く際に、第2の駆動装置70により移動プラテン44が移動されることによって、移動プラテン44がトグル機構60をリンクハウジング51側に押すようになる。これにより、各ピン挿入孔内でのピン100の相対位置は、型締め時と同じ状態が保たれるので、固定型5に対する移動型6の姿勢が変化することが抑制される。言い換えると、固定プラテン43に対する移動プラテン44の姿勢が変化することが抑制される。
型開き時に固定プラテン43に対する移動プラテン44の姿勢が変化することによって、固定型5の中心を通るとともに移動プラテン44の移動方向に延びる中心線P2と、移動型6の中心線P1とがずれる。型締め状態では、中心線P1,P2とは、互いに同一線となる。
固定型5と移動型6との間に製品が収容されている状態において固定型5に対して移動型6がずれると、製品が削れるなどして好ましくない。
しかしながら、本実施形態では、移動プラテン44は、製品が固定型5から完全に離れる所定位置Aまで第2の駆動装置70によって移動されるので、その間の、固定プラテン43に対する移動プラテン44の姿勢の変化がない。または、姿勢が変化しても、その変化を小さく抑えることができる。つまり、固定型5に対して移動型6がずれない。または、ずれてもその程度を小さくすることができる。このため、製品が削れるなどすることがない。
また、第2の駆動装置70が、移動プラテン44とリンクハウジング51との間に配置されることによって、移動プラテン44と固定プラテン43との間の隙間を大きくすることができる。例えば、第2の駆動装置70の一端が移動プラテン44に固定されるとともに、他端が固定プラテン43側に固定されると、第2のねじ部73などが、移動プラテン44と固定プラテン43との間に、常に位置することになる。
第2の駆動装置70が移動プラテン44と固定プラテン43との間に配置されると、固定型5と移動型6とを、形成すべき製品に合わせて金型を交換する際の交換作業の邪魔になる。
しかしながら、本実施形態では、第2の駆動装置70は、移動プラテン44とリンクハウジング51との間に設けられるので、第2の駆動装置70が、金型(移動型6と固定型5)の交換作業を邪魔することがない。
このように、本実施形態では、型開き時の固定プラテン43に対する移動プラテン44の姿勢の変化を抑制しつつ、金型の交換作業の効率を向上することができる。また、第2の駆動装置70がリンクハウジング51と移動プラテン44とに固定されているため、型を開く時の移動プラテン44の摺動部の摩擦の影響を抑えることができる。
次に、本発明の第2の実施形態に係る射出成形機を説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態の射出成形機10の構成は、第1の実施形態と同じであり、制御装置80の動作が第1の実施形態に対して異なる。上記異なる点について、具体的に説明する。
本実施形態では、制御装置80は、型締め状態から型を開く際に、第2の駆動装置70に加えて、第1の駆動装置50も同時に駆動する。このときの、移動プラテン44に対して作用する力について説明する。
制御装置80は、リンクハウジング51に向って第1の速さV1で移動したときの、移動プラテン44の位置情報と、リンクハウジング51に向って第2の速さV2で移動したときの、移動プラテン44の位置情報とを備えている。第2の速さV2は、第1の速さV1よりも大きい。
このため、ある時間が経過した状態では、第1の速さV1で移動した場合の移動プラテン44に対して、第2の速さV2で移動した場合の移動プラテン44の方が、リンクハウジング51側に位置するようになる。また、制御装置80は、第1の移動速さV1で移動したときの位置情報が示す位置に移動プラテン44を位置決めるように、第1のサーボモータ53を制御するとともに、第2の速さV2で移動したときの位置情報が示す位置に移動プラテン44を位置決めるように、第2のサーボモータ71を制御する。
ある時間が経過したときに、第1の速さV1で移動した場合の移動プラテン44よりも、第2の速さV2で移動した場合の移動プラテン44の方がリンクハウジング51側に位置することによって、つまり、第1,2の速さV1,V2の各々で移動した場合の位置が互いに異なることによって、第1のサーボモータ53は、移動プラテン44を第1の速さV1で移動した場合の位置に位置決めようと駆動するとともに、第2のサーボモータ71は、移動プラテン44が第2の速さV2で移動した場合の位置に位置決めようと駆動する。
そのため、第1のサーボモータ53は、トグル機構60を介して移動プラテン44を固定プラテン43側に移動するように第1の力F1を移動プラテン44に作用し、第2のサーボモータ71は、移動プラテン44をリンクハウジング51側に移動するように第2の力F2を移動プラテン44に作用する時がある。
ここで、移動プラテン44からリンクハウジング51側に向う方向(型開き方向)を正とし、移動プラテン44から固定プラテン43側に向う方向(型締め方向)を負とすると、第1の力F1は、負となり、第2の力F2は正となる。このため、第1の力F1は、リンクハウジング51側に移動しようとする移動プラテン44に対して、ブレーキ力となる。
また、本実施形態では、移動プラテン44が所定位置Aまで移動するまでの間では、第1の力F1の大きさの上限値が設定されている。その上限値は、一定値である。このため、第1の力F1の大きさは、上限値よりも上がることがない。
万が一、第1の力F1の大きさの上限値が予め設定される一定の所定値に設定されていない場合は、第1,2のサーボモータ53,71は、互いに、第1,2の速さV1,V2で移動した場合の位置に移動プラテン44を位置決めようとするため、第1の力F1の大きさが大きくなり続けるとともに、第2の力F2の大きさも大きくなり続ける。ひいては、第1,2のサーボモータ53,71が壊れてしまう。
しかしながら、本実施形態では、第1の力F1の大きさの上限値が設定されることによって、第1の力F1の大きさが大きくなり続けることが無くなり、結果第2の力F2の大きさが大きくなり続けることも無くなる。そして、第1の力F1の大きさの上限値が設定されることによって、第1のサーボモータ53による、移動プラテン44の移動のブレーキ力の最大値が固定される。
このように、本実施形態では、第1のサーボモータ53による第1の力F1がブレーキ力として作用するので、移動プラテン44は、トグル機構60によって固定プラテン43側に付勢された状態のまま、リンクハウジング51側に移動する。つまり、型開き時の状態においても、各ピン挿入孔とピン100との位置関係は、第1の実施形態と同じに、型締め状態である図6〜10の状態が保たれる。
制御装置80は、移動プラテン44が所定位置Aまで移動すると、第2のサーボモータ71をオフにする。なお、第2のサーボモータ71をオフにするとは、第2のサーボモータ71を回転自由にする、またはフリー(フリー状態)にすることである。さらに、制御装置80は、所定位置Aまで移動した後、移動プラテン44を第1の速さV1以上の速さでリンクハウジング51側に移動するように、第1のサーボモータ53を制御してもよい。
本実施形態では、第1の実施形態と同様の効果が得られる。さらに、第1の駆動装置50が、移動プラテン44のリンクハウジング51側への移動に対してブレーキ力を発生させるようになる。このため、型開き時の状態であっても、トグル機構60に対しては、安定して、型締め時と同じ方向の力が作用するになるので、各ピン挿入孔内でのピン100の位置関係を、安定して型締め時と同じ状態に保つことができる。
次に、本発明の第3の実施形態に係る射出成形機を説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態の射出成形機10の構成は、第1の実施形態と同じであり、制御装置80の動作が第1,2の実施形態に対して異なる。この異なる点について、具体的に説明する。
本実施形態では、制御装置80は、第2の実施形態と同様に、型締め状態から型を開く際に、第2の駆動装置70に加えて、第1の駆動装置50も同時に駆動する。
この際、第1,2の駆動装置の駆動力(駆動トルク)に関して、制御装置80は、常に第2の駆動装置70の駆動力(駆動トルク)が第1の駆動装置50の駆動力(駆動トル)よりも大きくなるように制御する。
これにより、型締め状態から型を開く際、移動プラテン44がトグル機構60をリンクハウジング51側に押す力の方が、トグル機構60が移動プラテン44をリンクハウジング51側に引っ張る力よりも、常に大きくなる。そのため、各ピン挿入孔内でのピン100の相対位置が第1の実施形態と同じ状態、つまり型締め状態である図6〜10の状態に維持されたまま、型締め状態から型が開かれていく。
制御装置80は、移動プラテン44が所定位置Aまだ移動すると、第2のサーボモータ71をオフにする。なお、第2のサーボモータ71をオフにするとは、第2のサーボモータ71を回転自由にする、またはフリー(フリー状態)にすることである。さらに、制御装置80は、所定位置Aまで移動した後、第1のサーボモータ53に対して、移動プラテン44を所定位置Aまで移動された時に出力した駆動力以上の力を出力するように制御してもよい。
本実施形態では、第1の実施形態と同様の効果が得られる。さらに、各ピン挿入孔内でのピン100の位置関係を安定して型締め時と同じ状態に保つことができる。
なお、第1,2の駆動装置50,70は、駆動部として、移動プラテン44の位置を制御する第1,2のサーボモータ53,71に変えて、出力トルクを任意に設定できる電動モータが用いられてもよい。
なお、第1,2の実施形態において、制御装置80は、本発明で言う制御手段の一例である。
また、リンクハウジング51は、本発明で言う、第2の駆動装置の他端が固定される、移動プラテンを挟んで固定プラテンに対して反対側の一例である。
また、リンクハウジング51は、本発明で言う、トグル機構の他端が固定される、移動プラテンを挟んで固定プラテンに対して反対側の一例である。また、第2の駆動装置70は、型開き専用の駆動装置としてもよい。また、第1〜3の実施形態では、本発明を射出成形機に適用したが、本発明はこれに限らない。本発明は、ダイキャスト成形機(ダイカストマシン)、トランスファー成形機にも適用することができる。すなわち、トグル機構を備えた型締装置であれば適用することができる。
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。さらに、異なる実施形態の構成を組み合わせてもよい。