JP2014106253A - バンドル型マルチコアファイバ - Google Patents

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Abstract

【課題】 細径化される場合であってもクロストークを抑制することができるバンドル型マルチコアファイバを提供する。
【解決手段】 バンドル型マルチコアファイバ1は、コア11とコア11の外周面を囲むクラッド12とクラッド12の外周面を被覆する被覆層13とを有する複数の光ファイバ10を備え、複数の光ファイバ10は互いに結束され、被覆層13の屈折率nはクラッド12の屈折率n以下とされることを特徴とする。この様な構成により、互いに隣り合う光ファイバ10のクラッド12間に位置する被覆層13が仮想のコアとして働くことを抑制することができ、互いに隣り合う光ファイバ10における被覆層13を介したクロストークの発生を抑制することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、細径化される場合であってもクロストークを抑制することができるバンドル型マルチコアファイバに関する。
近年、光ファイバ通信システムの普及に伴い、伝送される情報量が飛躍的に増大している。このような伝送される情報量の増大に伴い、複数のコアの外周面が1つのクラッドにより囲まれたマルチコアファイバの研究がなされている(下記非特許文献1参照)。
また、マルチコアファイバの他の形態として、既存の単芯の光ファイバを束ねて成るバンドル型のマルチコアファイバが提案されている(下記非特許文献2参照)。このような単芯の光ファイバが多数バンドルされたバンドル型のマルチコアファイバによれば、一つのクラッド内に複数のコアを配置する必要が無く、広く普及している単芯の光ファイバを用いることができるため、製造が容易であるというメリットを有している。
K. Mukasa et al., "Multi−core fiber for space−division−multiplexing," Korea−Japan Workshop on Beyond 100G, ThB4, Jeju Grand Hotel, Korea, 2011 K. Hogari et al., "Nobel Optical Fiber Cable with Ultrahigh Density," Jounal of Lightwave Technology, Vol.26, No. 17 (2008)
ところで、通常光ファイバは、コアと、コアの外周面を囲むクラッドと、クラッドの外周面を被覆する被覆層を有している。この被覆層は、通常、クラッドよりも高い屈折率とされ、クラッドの保護層としての機能の他、クラッドを伝播する不要な光を吸収する機能を有している。
しかし、特許文献2に記載のバンドル型のマルチコアファイバを細径化するために、結束されるそれぞれの光ファイバのクラッドの外径や被覆層の厚さを小さくすると、被覆層が仮想のコアとして働く場合があり、この場合、互いに隣り合う単芯の光ファイバにおいて、被覆層を介したクロストークが生じる場合があるということが、本発明者等により見出された。
そこで、本発明は、細径化される場合であってもクロストークを抑制することができるバンドル型マルチコアファイバを提供することを目的とする。
本発明のバンドル型マルチコアファイバは、コアと前記コアの外周面を囲むクラッドと前記クラッドの外周面を被覆する被覆層とを有する複数の光ファイバを備え、前記複数の光ファイバは互いに結束され、前記被覆層の屈折率は前記クラッドの屈折率以下とされることを特徴とするものである。
このようなバンドル型マルチコアファイバによれば、互いに隣り合う光ファイバのクラッド間に位置する被覆層が仮想のコアとして働くことを抑制することができる。従って、バンドル型マルチコアファイバの細径化のために、それぞれの光ファイバのクラッドの外径が小さくされたり、被覆層が薄くされる場合であっても、互いに隣り合う光ファイバにおける被覆層を介したクロストークの発生を抑制することができる。こうして本発明のバンドル型マルチコアファイバは、細径化される場合であっても全体としてクロストークを抑制することができるのである。
また、前記被覆層の屈折率は、前記クラッドの屈折率より低くされることが好ましい。
被覆層の屈折率がクラッドの屈折率よりも低くされることにより、被覆層が、仮想のコアとされないばかりか、互いに隣り合う光ファイバのクラッド間におけるクロストークのバリア層として機能することができる。従って、よりクロストークを抑制することができる。
また、前記クラッドに対する前記被覆層の比屈折率差が−10%以上−1.5%以下であることが好ましい。
比屈折率差が−1.5%以下であれば、クラッドと被覆層の屈折率の波長依存性および温度依存性の違いによらず常に被覆の屈折率をクラッドの屈折率より低くすることが可能になる。また、クラッドに対する被覆層の屈折率差が−10%以上であれば、クラッド厚を適切に設定することにより高次モードの過度の閉じこめを防ぐことが可能になり、コアの光学特性を変えない設計を行うことが可能になる。また、一般的には、被覆の屈折率が1.3以上1.44以下であれば、上記比屈折率差を満足することが可能である。
また、前記クラッドの外径が30μm以上50μm以下であることが好ましい。
クラッドの外径が30μm以上であれば、クラッド径が細くなることによる損失増加を抑制することが可能になる。また、必要な機械的強度を確保することが可能になる。また、クラッドの外径が50μm以下とされることで、通常の125μm外径のものに比べて収容径を小さくすることが可能になる。
また、前記被覆層の厚みが5μm以上50μm以下であることが好ましい。
被覆層の厚みが5μm以上であれば、十分に被覆層の厚みを確保でき、被覆層の厚みが50μm以下であれば、クラッドと被覆層とにおける光の閉じ込め力が大きくなり過ぎずに、高次モードの光を逃げやすくすることができる。
また、互いに隣り合う前記光ファイバにおけるそれぞれの前記コアと前記クラッドとの屈折率差が互いに異なることが好ましい。
このように屈折率差が異なることにより、互いに隣り合う光ファイバにおける光の伝搬条件を異ならすことができ、よりクロストークを小さくすることができる。
また、前記複数の光ファイバは、前記クラッドの屈折率以下の屈折率を有する樹脂により囲まれて結束されることが好ましい。
このような樹脂により結束されれば、たとえ結束用の樹脂の一部が光ファイバ間に入り込むことがあっても、当該樹脂を仮想のコアとして、互いに隣り合う光ファイバでクロストークが生じることを防止することができる。
この場合さらに、前記複数の前記光ファイバを囲む前記樹脂の屈折率は、前記被覆層の屈折率よりも低くされることが好ましい。
このような樹脂により結束されれば、たとえ結束用の樹脂の一部が光ファイバ間に入り込むことがあっても、クロストークが生じることをより防止することができる。
また、前記コアには活性元素が非添加とされることとしても良く、この場合、バンドル型マルチコアファイバを通信における光信号の長距離伝送用途に用いることができる。そしてこの場合、波長が1550nmの光が前記コアを伝播する場合に、クロストークが1000mあたり−30dB以下とされることが好ましい。
また、前記コアには活性元素が添加されていることとしても良く、この場合、バンドル型マルチコアファイバをバンドル型増幅用マルチコアファイバとすることができる。そしてこの場合、波長が1550nmの光が前記コアを伝播する場合に、クロストークが10mあたり−30dB以下とされることが好ましい。
以上のように、本発明によれば、細径化される場合であってもクロストークを抑制することができるバンドル型マルチコアファイバが提供される。
本発明の実施形態に係るバンドル型マルチコアファイバの長手方向に垂直な断面図である。 図1に示す光ファイバの様子を示す図である。 コア間距離と結合定数との関係を被覆層の屈折率毎に示す図である。 図1に示すバンドル型マルチコアファイバを用いた光ファイバ増幅器を示す図である。 バンドル型マルチコアファイバの変形例を図1と同様に示す図である。 実施例1、比較例1におけるクロストークの様子を示す図である。 実施例2、比較例2におけるクロストークの様子を示す図である。
以下、本発明に係るバンドル型マルチコアファイバ(以下、マルチコアファイバと呼ぶ場合がある)の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、理解の容易のため、ぞれぞれの図に記載のスケールと、以下の説明に記載のスケールとが異なる場合がある。
図1は、本実施形態に係るマルチコアファイバの長手方向に垂直な断面図である。図1に示すようにマルチコアファイバ1は、互いに結束された複数の光ファイバ10と、それぞれの光ファイバ10を結束するシース15とを備えている。なお、本実施形態では、光ファイバ10が6本とされている。
図2は、図1に示す光ファイバ10の様子を示す図である。具体的には、図2(A)は、図1に示す光ファイバ10の長手方向に垂直な断面図であり、図2(B)は、図2(A)に示す光ファイバ10の径方向での屈折率分布を示す図である。
図2(A)に示すように、光ファイバ10は、コア11と、コア11の外周面を隙間なく囲むクラッド12と、クラッド12の外周面を被覆する被覆層13とを備える。本実施形態では、コア11のモードフィールド直径(MFD:Mode Field Diameter)は例えば波長1550nmにおいて5μm以上10μm以下とされ、クラッド12の外径は例えば30μm以上50μm以下とされる。クラッド12の外径が30μm以上とされることで、伝送損失の増加を抑制することができると共に、必要な機械的強度を確保することができる。また、クラッド12の外径が50μm以下とされることで、クラッド径125μmの従来構造ファイバでは実現不可能な小径での収納を実現することができる。
また、被覆層13の厚みは例えば5μm以上50μm以下とされる。被覆層13は、通常、塗布した紫外線硬化性樹脂等といった未硬化状態の樹脂を硬化させることで形成する。このため被覆層13の厚みには、部位によるばらつきが生じやすい。しかし、被覆層13の厚みが5μm以上であれば、どの部位においても十分に被覆層13の厚みを確保できる。また、被覆層13の厚みが50μm以下であれば、クラッド12と被覆層13とにおける光の閉じ込め力が大きくなり過ぎずに、伝播する光のうち高次モードの光を逃げやすくすることができ、それぞれの光ファイバ10を高次モードの光が伝播することを抑制することができる。
上記のようにクラッド12の外径が30μm以上50μm以下とされ、被覆層13の厚みが被覆層13の厚みは例えば5μm以上50μm以下とされると、互いに隣り合う光ファイバ10のコア11の中心間距離(コア間距離)は、40μm以上150μm以下とされる。
また、図2(B)に示すように、クラッド12の屈折率nはコア11の屈折率nよりも低くされている。さらに、被覆層13の屈折率nはクラッド12の屈折率n以下とされ、本実施形態ではクラッド12の屈折率nよりも低くされている。コア11とクラッド12の比屈折率差は、光ファイバの用途に応じて大きく異なる。一般的は、伝送用シングルモードファイバの場合は、0.35%前後、増幅用光ファイバの場合は0.9%前後であることが多い。クラッド12には、シリカガラス(SiO)が広く用いられる。必要に応じて塩素やフッ素といったドーパントが添加される。ドーパントを添加された場合のクラッドのシリカガラスに対する比屈折率差は−0.3%以上0.1%以下であることが一般的である。また、被覆層13の屈折率nは、例えばクラッド12の屈折率nが1.456である場合に、例えば1.3以上1.45以下とされる。つまり、クラッド12と被覆層13との比屈折率差(n −n )/n は、例えば−10%以上−1.5%以下とされる。クラッド12に対する被覆層13の比屈折率差が−1.5%以下であれば、クラッドと被覆層の屈折率の波長依存性および温度依存性の違いによらず常に被覆の屈折率をクラッドの屈折率より低くすることが可能になる。また、クラッドに対する被覆層の屈折率差が−10%以上であれば、クラッド厚を適切に設定することにより高次モードの過度の閉じこめを防ぐことが可能になり、コアの光学特性を変えない設計を行うことが可能になる。
なお、コア11には、活性元素が添加されていても良い。この場合、それぞれの光ファイバ10は増幅用光ファイバとされ、マルチコアファイバ1はバンドル型増幅用マルチコアファイバとされる。この活性元素は励起光を吸収することで励起状態とされる元素であり、イッテルビウム(Yb)、ネオジウム(Nd)、エルビウム(Er)、プラセオジウム(Pr)、ツリウム(Tm)等の希土類元素を挙げることができる。さらに活性元素として、希土類元素の他に、Bi(ビスマス)を挙げることができる。さらに、活性元素として、Ti(チタン)、Cr(クロム)、Ni(ニッケル)等の遷移金属を挙げることができる。
また、シース15は、複数の光ファイバ10を結束する限りにおいて特に限定されないが、例えば紫外線硬化樹脂から成る。またシース15の屈折率は、例えばその屈折率がクラッド12の屈折率n以下であることが好ましく、被覆層13の屈折率nの屈折率より小さいことが好ましい。シース15の屈折率がこのように低くされる場合、仮にシース15を構成する樹脂が光ファイバ10の間に入り込む場合があっても、シース15が仮想のコアとされることが無く、この仮想のコアを介したクロストークを防止することができる。このように複数の光ファイバ10を結束するシース15を形成するには、例えば、押し出し成型によりシース15を形成すればよい。
ここで、コア間距離と被覆層13の関係について説明する。まず、コアとクラッドとから成り、クラッドの外径が40μmで屈折率が1.456であって、コアのクラッドに対する比屈折率差が1%であり、カットオフ波長が0.91μmである光ファイバ素線を想定した。そして、この光ファイバ素線が、屈折率が1.30,1.40,1.454,1.456,1.458である被覆層で被覆されるそれぞれの場合について、被覆層の屈折率ごとにコア間距離と結合定数との関係を調べた。
図3は、コア間距離と結合定数との関係を被覆層の屈折率毎に示す図である。図3に示すように、被覆層の屈折率が低くなるほど結合定数が低くなり、同じ結合定数であれば被覆層の屈折率が低くなるほどコア間距離を小さくすることができることが分かる。また、被覆層の屈折率が1.456から1.458へ変化する場合の結合定数の変化は、被覆層の屈折率が1.454から1.456へ変化する場合の結合定数の変化よりも大きいことが分かる。つまり、被覆層の屈折率がクラッドの屈折率(1.456)よりも高くなると、結合定数が急激に大きくなることが分かる。また、結合定数がある値に定められる場合、被覆層の屈折率がクラッドの屈折率(1.456)よりも高くなると、コア間距離を急激に大きくしなければならないことが分かる。上記のように本実施形態のマルチコアファイバ1では、被覆層の屈折率がクラッドの屈折率以下とされるため、被覆層の屈折率がクラッドの屈折率より高い場合と比べて、結合定数が抑えられており、細線化してもクロストークが抑えられることが分かる。
このようなマルチコアファイバ1のそれぞれの光ファイバ10のコア11に信号光が入射すると、信号光はそれぞれのコア11を伝播する。このとき上記のように被覆層13の屈折率nが、クラッド12の屈折率n以下とされるため、互いに隣り合う光ファイバ10のクラッド12間に位置する被覆層13が仮想のコアとして働くことを抑制できる。また、本実施形態におけるそれぞれの光ファイバ10の被覆層13の屈折率nは、クラッド12の屈折率より低くされている。このため被覆層13が、上記のように仮想のコアとして働かないばかりか、互いに隣り合う光ファイバ10のクラッド12間におけるクロストークのバリア層として機能することができる。従って、マルチコアファイバ1の細径化のために、それぞれの光ファイバ10のクラッド12の外径が小さくされたり、被覆層13が薄くされたりする場合であっても、互いに隣り合う光ファイバ10における被覆層13を介したクロストークを抑制することができる。こうして、本実施形態のマルチコアファイバ1によれば、細径化される場合であってもクロストークを抑制することができる。
なお、マルチコアファイバ1は、通信における伝送用途に用いられることができる。この場合、数百mから1万m程度の長さで使用され、1000mあたり−30dB以下のクロストークであれば十分に実用可能である。
また、上記のようにコア11に活性元素が添加され、マルチコアファイバ1がバンドル型増幅用マルチコアファイバとされる場合においては、10m程度の長さで使用され、10mあたり−30dB以下のクロストークであれば十分に実用可能である。この場合コア11に信号光および励起光が入射すると、活性元素は励起光を吸収して励起状態とされる。そして、励起状態の活性元素が信号光により誘導放出を起こすことで、信号光は増幅される。この場合であっても、上記と同様にして互いに隣り合う光ファイバ10における被覆層13を介したクロストークを防止することができる。従って、細径化される場合であってもクロストークを抑制することができる。
なお、マルチコアファイバ1において、コア11とクラッド12との屈折率差が、互いに隣り合う光ファイバ10において互いに異なるようにしても良い。このように屈折率差が異なることにより、互いに隣り合う光ファイバ10における光の伝搬条件を異ならすことができ、よりクロストークを小さくすることができる。また、それぞれの被覆層13の屈折率が、互いに隣り合う光ファイバ10において互いに異なるようにしても良い。
次に、図1に示すマルチコアファイバ1を用いた光ファイバ増幅器について説明する。
図4は、図1に示すマルチコアファイバ1を用いた光ファイバ増幅器を示す図である。図4に示すように光ファイバ増幅器5は、マルチコアファイバ1と、マルチコアファイバ1のそれぞれの光ファイバ10に対応する複数の入力部20と、マルチコアファイバ1のそれぞれの光ファイバ10に対応する複数の出力部30と、制御部40とを主な構成として備える。なお、理解の容易のため、図4において電気信号が伝導する信号線は破線で示されている。
光ファイバ増幅器5に用いられるマルチコアファイバ1のそれぞれの光ファイバ10のコア11には活性元素が添加されており、マルチコアファイバ1は上記のバンドル型増幅用マルチコアファイバとされている。この活性元素としては、例えばエルビウムとされる。
それぞれの入力部20は、アイソレータ21と、励起光を出射する励起光源23と、アイソレータ21から出射する信号光および励起光源23から出射する励起光をマルチコアファイバ1のそれぞれの光ファイバ10に接続される光ファイバ25に入射するWDMカプラ(Wavelength Division Multiplexing Coupler)22とを備える。
アイソレータ21は、入射する信号光をマルチコアファイバ1側に出射して、これとは逆側に伝播する光を損失させる。
励起光源23は、マルチコアファイバ1におけるそれぞれの光ファイバ10のコア11に添加される活性元素に吸収される波長の励起光を出射する。この励起光の波長は、上記のように活性元素がエルビウムである場合、例えば1480nmとされる。
WDMカプラ22は、アイソレータ21から出射する信号光および励起光源23から出射する励起光をマルチコアファイバ1のそれぞれの光ファイバ10に接続される光ファイバ25に入射する。
また、それぞれの出力部30は、WDMカプラ32と、アイソレータ31と、光検出部33とを備える。
WDMカプラ32は、マルチコアファイバ1の光ファイバ10に接続される光ファイバ35に接続されており、光ファイバ35を介してマルチコアファイバ1の光ファイバ10から出射する信号光の一部を分離する。
アイソレータ31は、WDMカプラ32から出射する信号光が入射して、入射する信号光を出力側の光ファイバ34に出射する。
光検出部33は、WDMカプラ32により分離された信号光を電気信号に変換する光電変換素子から構成される。この光電変換素子としては、例えばフォトダイオードを挙げることができる。そして、光検出部33は、WDMカプラ32で分離された信号光の強度に基づいた電気的信号を制御部40に出力する。
制御部40は、比較器や、論理ゲート、CPU(Central Processing Unit)等で構成されており、光検出部33から受ける信号に基づいた制御信号を生成し、この制御信号を励起光源23に出力する。
次に、光ファイバ増幅器5の動作について説明する。
まず、図4に示すそれぞれの光ファイバ24から出射する信号光が、それぞれの入力部20において、のアイソレータ21、WDMカプラ22、光ファイバ25を介してマルチコアファイバ1におけるそれぞれの光ファイバ10のコア11に入射する。また、それぞれの入力部20において、励起光源23から出射する励起光が、WDMカプラ、光ファイバ25を介してマルチコアファイバ1におけるそれぞれの光ファイバ10のコア11に入射する。
光ファイバ10のコア11に入射した励起光は、コア11に添加されている活性元素に吸収され、活性元素は励起状態とされる。そして、励起された活性元素は、信号光により誘導放出を起こし、この誘導放出により信号光が増幅されて、光ファイバ10から出射する。このとき上記のようにマルチコアファイバ1において、クロストークが抑制されるので、光ファイバ10からはクロストークが抑制された光が出射する。
光ファイバ10から出射した増幅された信号光は、それぞれの出力部30において、光ファイバ35、WDMカプラ32、アイソレータ31を介して、それぞれの光ファイバ34から出射する。このとき、それぞれのWDMカプラ32を信号光が通過するとき、その一部が分離されて光検出部33に入射する。光検出部33では、入射した光の強度に基づいた電気信号が生成され、この電気信号が制御部に入力する。つまり、出射する信号光の強度に応じた電気信号が制御部に入力する。制御部は、光検出部33から入力する電気信号の強度に応じて、励起光源23を制御する。具体的には、光検出部33から入力する電気信号が、光検出部33に入射する光の強度が大きいことを示す信号であれば、制御部40は対応する励起光源23を制御してこの励起光源23から出射する励起光の強度を小さくする。一方、光検出部33から入力する電気信号が、光検出部33に入射する光の強度が小さいことを示す信号であれば、制御部40は対応する励起光源23を制御してこの励起光源23から出射する励起光の強度を大きくする。こうして、信号光の増幅率が一定とされる。
このように本実施形態の光ファイバ増幅器5によれば、クロストークが抑制された状態で、信号光を増幅することができる。
以上、本発明について、実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、マルチコアファイバ1における光ファイバ10の数を6つとしたが、光ファイバ10の数は複数であれば6つ以外であっても良い。図5は、光ファイバ10が14本結束されて例を示す図である。図1のマルチコアファイバ1や図5のマルチコアファイバ2のように、結束される光ファイバ10は、互いに隣り合う3本の光ファイバ10の中心を結ぶ線が正三角形となるように細密充填されて結束されることが好ましい。
また、上記実施形態では、複数の光ファイバ10がシース15で囲まれる構成としたが、それぞれの光ファイバ10の隙間がシース15を同様の樹脂で埋められてもよい。また、シース15の屈折率は、光ファイバ10のクラッド12の屈折率以下とされることが好ましく、被覆層13の屈折率より低いことが更に好ましいが、被覆層13やクラッド12の屈折率より高くても良い。更に複数の光ファイバ10は、シース15を用いた結束以外の方法により結束されても良い。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものでは無い。
(実施例1)
エルビウムが添加され直径が3.32μmで屈折率が1.471であるコアと、外径が35μmで屈折率が1.456のクラッドと、厚みが5μmで屈折率が1.4の紫外線硬化樹脂からなる被覆層とで構成される長さ7mの増幅用光ファイバを6本準備した。これらの増幅用光ファイバのエルビウムによる励起光(波長1480nm)の吸収は、13dB/mであった。次に準備した6本の増幅用光ファイバを図1に示すように結束してバンドル型増幅用マルチコアファイバを作製した。そして、このバンドル型増幅用マルチコアファイバを用いて、図4に示す光ファイバ増幅器を作製した。
次に、励起光源から波長1480nm帯の励起光をそれぞれの増幅用光ファイバのコアに入射すると共に、波長がそれぞれ1547nm,1548nm,1549nm,1550nm,1551nm,1552nmである信号光をそれぞれの別々の増幅用光ファイバに入射した。このとき制御部により励起光の強度を調整して、入射する信号光のパワー(−16dBm)に対して、それぞれの増幅用光ファイバの利得が16dBになるようにした。
次に波長が1547nmの信号光を入射した増幅用光ファイバから出射する信号光のスペクトルを測定した。この結果を図6に示す。図6において、実線が本実施例で測定された各波長の光の強度を示している。図6に示すように、波長が1547nmの信号光を入射した増幅用光ファイバからは、他の増幅用光ファイバに入射した信号光の波長の光が−40dBm以下で出射する結果となり、検出限界以下となった。従って、クロストークが−40dB以下となった。
(比較例1)
被覆層の屈折率をクラッドの屈折率より高い1.458としたこと以外は、実施例1と同様にバンドル型増幅用マルチコアファイバを作製して、このバンドル型増幅用マルチコアファイバを用いて、実施例1と同様に図4に示す光ファイバ増幅器を作製した。
次に、実施例1と同様にして、それぞれの増幅用光ファイバに信号光と励起光を入射して、実施例1と同様に波長が1547nmの信号光を入射した増幅用光ファイバから出射する信号光のスペクトルを測定した。この結果を図6に示す。図6において、破線が本比較例で測定された各波長の光の強度を示している。なお、図6において、本例で示す破線の一部が実施例1で示す実線と重なっている。図6に示すように波長が1547nmの信号光を入射した増幅用光ファイバからは、他の増幅用光ファイバに入射した信号光の波長の光が検出され、最大で−31dBmの大きさとなった。従って、クロストークが−31dBとなった。
実施例1、比較例1から明らかなように、バンドル型増幅用マルチコアファイバにおいて、それぞれの増幅用光ファイバの被覆層の屈折率がクラッドの屈折率以下とされることで、クロストークが−31dBから−40dB以下となり、本発明の構成により、クロストークが抑制されることが確認された。なお、この結果から10m当たりのクロストークは−30dB以下になり、上記のように光の増幅に用いられる光ファイバは10m程度の長さで使用されることから、本実施例のバンドル型増幅用マルチコアファイバは光の増幅用途において十分に実用可能であることが分かった。
(実施例2)
希土類元素等の活性元素が添加されず直径が3.32μmで屈折率が1.471であるコアと、外径が37μmで屈折率が1.456のクラッドと、厚みが7μmで屈折率が1.4の紫外線硬化樹脂からなる被覆層とで構成される長さ1.56kmの光ファイバを6本準備した。次に準備した6本の光ファイバを図1に示すように結束してバンドル型マルチコアファイバを作製した。
次に、波長がそれぞれ1547nm,1548nm,1549nm,1550nm,1551nm,1552nmである信号光をそれぞれの別々の光ファイバに入射した。このとき入射する信号光の強度を−9.5dBmとした。
次に波長が1547nmの信号光を入射した光ファイバから出射する信号光のスペクトルを測定した。この結果を図7に示す。図7において、実線が本実施例で測定された各波長の光の強度を示している。図7に示すように、波長が1547nmの信号光を入射した光ファイバからは、他の光ファイバに入射した信号光の波長の光が−51dBm以下の大きさで出射する結果となった。従って、クロストークが−41dB以下となった。
(比較例2)
被覆層の屈折率をクラッドの屈折率より高い1.458としたこと以外は、実施例2と同様にバンドル型マルチコアファイバを作製した。
次に、実施例2と同様にして、それぞれの光ファイバに信号光を入射して、実施例2と同様に波長が1547nmの信号光を入射した光ファイバから出射する信号光のスペクトルを測定した。この結果を図7に示す。図7において、破線が本比較例で測定された各波長の光の強度を示している。なお、図7において、本例で示す破線の一部が実施例1で示す実線と重なっている。図7に示すように波長が1547nmの信号光を入射した光ファイバからは、他の光ファイバに入射した信号光の波長の光が検出され、最大で−38dBmの大きさとなった。従って、クロストークが−28dBとなった。
実施例2、比較例2から明らかなように、バンドル型マルチコアファイバにおいて、それぞれの光ファイバの被覆層の屈折率がクラッドの屈折率以下とされることで、クロストークが−28dBから−41dBとなり、本発明の構成により、コアに活性元素が添加されない場合であっても、クロストークが抑制されることが確認された。なお、この結果から1000m当たりのクロストークは−30dB以下になり、本実施例の光ファイバは1000m程度の長さから使用されることから、本実施例のバンドル型マルチコアファイバは十分に伝送用途において実用可能であることが分かった。
(実施例3)
エルビウムが添加され直径が6μmで屈折率が1.49であるコアと、外径が37μmで屈折率が1.456のクラッドと、厚みが7μmで屈折率が1.4の紫外線硬化樹脂からなる被覆層とで構成される長さ7mの増幅用光ファイバを6本準備した。これらの増幅用光ファイバが伝播する光のモードはLP01モード及びLP11モードであり、エルビウムによる励起光のLP01モードの吸収は、13dB/mであった。次に、実施例1と同様にして、準備した6本の増幅用光ファイバを図1に示すように結束してバンドル型増幅用マルチコアファイバを作製した。そして、このバンドル型増幅用マルチコアファイバを用いて、実施例1と同様にして、図4に示す光ファイバ増幅器を作製した。ただし、入力部及び出力部にそれぞれモード合分波デバイスを装着し、入力部からLP01モードの光とLP11モードの光が信号光としてそれぞれの増幅用光ファイバに入射するようにし、出力部からLP01モードの光とLP11モードの光が分波して出力できるようにした。本実施例におけるそれぞれのモード合分波デバイスによる信号光の損失は1.5dBである。
次に、励起光源から波長1480nm帯の励起光をそれぞれの増幅用光ファイバのコアに入射すると共に、波長がそれぞれ1547nm,1548nm,1549nm,1550nm,1551nm,1552nmでありLP01モードの光およびLP11モードの光を含む信号光をそれぞれの別々の増幅用光ファイバに入射した。このとき制御部により励起光の強度を調整して、入射する信号光のパワー(−16dBm)に対して、それぞれの増幅用光ファイバにおけるLP01モードの光の利得が16dBになるようにした。
次に、実施例1と同様にして、波長が1547nmの信号光を入射した増幅用光ファイバから出射する信号光のスペクトルを測定した。この結果、波長が1547nmの信号光を入射した増幅用光ファイバからは、他の増幅用光ファイバに入射した信号光の波長の光が、LP01モードの光及びLP11モードの光について共に−40dBm以下の大きさで出射する結果となり、検出限界以下となった。
(比較例3)
被覆層の屈折率をクラッドの屈折率より高い1.458としたこと以外は、実施例3と同様にバンドル型増幅用マルチコアファイバを作製して、このバンドル型増幅用マルチコアファイバを用いて、実施例3と同様に図4に示す光ファイバ増幅器を作製した。
次に、実施例3と同様にして、それぞれの増幅用光ファイバにLP01モードの光およびLP11モードの光を含む信号光と励起光を入射して、実施例3と同様に波長が1547nmの信号光を入射した増幅用光ファイバから出射する信号光のスペクトルを測定した。この結果、波長が1547nmの信号光を入射した増幅用光ファイバから他の増幅用光ファイバに入射した信号光の波長の光が検出され、LP01モードの光の大きさが−32dBmとなり、LP11モードの光の大きさが−28dBmとなった。
実施例3、比較例3から明らかなように、LP01モードの光及びLP11モードの光を伝播するバンドル型増幅用マルチコアファイバにおいて、それぞれの増幅用光ファイバの被覆層の屈折率がクラッドの屈折率以下とされることで、クロストークは、LP01モードの光について−32dBから−40dB以下となり、LP11モードの光について−28dBから−40dB以下となり、本発明の構成により、クロストークが抑制されることが確認された。なお、この結果から10m当たりのクロストークは、LP01モードの光及びLP02モードの光のそれぞれにおいて−30dB以下になり、上記のように光の増幅に用いられる光ファイバは10m程度の長さで使用されることから、本実施例のバンドル型増幅用マルチコアファイバは光の増幅用途において十分に実用可能であることが分かった。
以上の実施例及び比較例から本発明により、クロストークが抑制されることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、細径化される場合であってもクロストークを抑制することができるバンドル型マルチコアファイバが提供され、光通信用ケーブルや光の増幅を行う機器等に良好に利用することができる。
1,2・・・バンドル型マルチコアファイバ(バンドル型増幅用マルチコアファイバ)
5・・・光ファイバ増幅器
10・・・光ファイバ(増幅用光ファイバ)
11・・・コア
12・・・クラッド
13・・・被覆層
15・・・シース
20・・・入力部
21・・・アイソレータ
22・・・WDMカプラ
23・・・励起光源
30・・・出力部
31・・・アイソレータ
32・・・WDMカプラ
33・・・光検出部
40・・・制御部

Claims (12)

  1. コアと前記コアの外周面を囲むクラッドと前記クラッドの外周面を被覆する被覆層とを有する複数の光ファイバを備え、
    前記複数の光ファイバは互いに結束され、
    前記被覆層の屈折率は前記クラッドの屈折率以下とされる
    ことを特徴とするバンドル型マルチコアファイバ。
  2. 前記被覆層の屈折率は、前記クラッドの屈折率より低くされる
    ことを特徴とする請求項1に記載のバンドル型マルチコアファイバ。
  3. 前記クラッドに対する前記被覆層の比屈折率差が−10%以上−1.5%以下である
    ことを特徴とする請求項2に記載のバンドル型マルチコアファイバ。
  4. 前記クラッドの外径が30μm以上50μm以下である
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のバンドル型マルチコアファイバ。
  5. 前記被覆層の厚みが5μm以上50μm以下である
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のバンドル型マルチコアファイバ。
  6. 互いに隣り合う前記光ファイバにおけるそれぞれの前記コアと前記クラッドとの屈折率差が互いに異なる
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のバンドル型マルチコアファイバ。
  7. 前記複数の光ファイバは、前記クラッドよりも屈折率の低い樹脂により囲まれて結束される
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のバンドル型マルチコアファイバ。
  8. 前記複数の前記光ファイバを囲む前記樹脂の屈折率は、前記被覆層の屈折率よりも低くされる
    ことを特徴とする請求項7に記載のバンドル型マルチコアファイバ。
  9. 前記コアには活性元素が非添加とされる
    ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のバンドル型マルチコアファイバ。
  10. 波長が1550nmの光が前記コアを伝播する場合に、クロストークが1000mあたり−30dB以下とされる
    ことを特徴とする請求項9に記載のバンドル型マルチコアファイバ。
  11. 前記コアには活性元素が添加されている
    ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のバンドル型マルチコアファイバ。
  12. 波長が1550nmの光が前記コアを伝播する場合に、クロストークが10mあたり−30dB以下とされる
    ことを特徴とする請求項11に記載のバンドル型マルチコアファイバ。
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