以下、本発明に係るファイバレーザ装置の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るファイバレーザ装置を示す図である。
図1に示すように、ファイバレーザ装置100は、ファブリペロー型のファイバレーザ装置である。ファイバレーザ装置100は、励起光を出力する励起光源10と、励起光が入力される入力用ダブルクラッドファイバ20と、励起光を入力用ダブルクラッドファイバ20に入力するためのポンプコンバイナ15と、入力用ダブルクラッドファイバ20と接続される増幅用光ファイバ30と、増幅用光ファイバ30の両端に設けられる第1FBG(Fiber Bragg Grating)35、第2FBG36と、増幅用光ファイバ30の入力用ダブルクラッドファイバ20側とは反対側に接続される第1光ファイバとしての第1ダブルクラッドファイバ40と、第1ダブルクラッドファイバ40に接続されるGRINレンズ50と、GRINレンズ50の第1ダブルクラッドファイバ40が接続される端面と反対側の端面上に設けられる光フィルタ55と、GRINレンズ50の第1ダブルクラッドファイバ40が接続される端面と同じ端面に接続される第2光ファイバとしての第2ダブルクラッドファイバ60と、第2ダブルクラッドファイバ60の途中に設けられる熱変換素子67と、第2ダブルクラッドファイバ60のGRINレンズ50が接続される側と反対側の端部に接続される受光素子70とを主な構成として備える。
励起光源10は、複数の励起光出力用のダイオードレーザ(LD)10a〜10dから構成され、それぞれのLD10a〜10dは、例えば915nmの励起光を出力する。これら複数のLD10a〜10dは、それぞれマルチモードファイバ11a〜11dと接続されている。複数のLD10a〜10dと接続されるマルチモードファイバ11a〜11dは、それぞれコアがクラッドで被覆される構成とされ、LD10a〜10dから出力される励起光をマルチモード光として伝播する。マルチモードファイバ11a〜11dは、例えば、コアの直径が105μmとされ、クラッドの外径が125μmとされる。
図2は、入力用ダブルクラッドファイバ20の長手方向に垂直な方向の断面の様子を示す断面図である。図2に示すように、入力用ダブルクラッドファイバ20は、コア21がクラッド22で被覆され、クラッド22が樹脂クラッド23で被覆される構成とされ、クラッド22の屈折率はコア21の屈折率よりも低く、樹脂クラッド23の屈折率はクラッド22の屈折率よりも大幅に低くされる。また、入力用ダブルクラッドファイバ20のクラッド22の外径と内径の差は、マルチモードファイバ11a〜11dのコアの直径よりも大きくされている。このような入力用ダブルクラッドファイバ20は、例えば、上述のようにマルチモードファイバ11a〜11dのコアの直径が105μmとされる場合、コアの直径が10μmとされ、クラッドの外径が400μmとされ、樹脂クラッドの外径が550μmとされる。また、コア21を構成する材料としては、例えば、ゲルマニウムが添加された石英が挙げられ、例えば、クラッド22を構成する材料としては、例えば、フッ素が添加された石英が挙げられ、樹脂クラッドを構成する材料としては、例えば、紫外線硬化樹脂が挙げられる。
入力用ダブルクラッドファイバ20の一端は、ポンプコンバイナ15において、複数のマルチモードファイバ11a〜11dの端部と接続されている。具体的には、マルチモードファイバ11a〜11dの端部は、ポンプコンバイナ15においてクラッドが剥離され、マルチモードファイバ11a〜11dのコアの端面が入力用ダブルクラッドファイバ20のクラッド22の端面と接続されている。さらに、マルチモードファイバ11a〜11dと接続される入力用ダブルクラッドファイバ20の端部は、シングルモードファイバ13の端部と接続されている。このシングルモードファイバ13は、入力用ダブルクラッドファイバ20のコア21と同じ直径のコアが、クラッドで被覆される構成とされている。そして、シングルモードファイバ13のコアと、入力用ダブルクラッドファイバ20のコア21とが同軸上に並ぶように配置され、入力用ダブルクラッドファイバ20の端面とシングルモードファイバ13の端面とが接続されている。つまり、シングルモードファイバ13及びマルチモードファイバ11a〜11dは、シングルモードファイバ13がマルチモードファイバ11a〜11dにより囲まれるようにして、入力用ダブルクラッドファイバ20と端面接続されている。
なお、シングルモードファイバ13のポンプコンバイナ15側とは反対側の端部には、無反射終端12が形成されている。
図3は入力用ダブルクラッドファイバ20と接続される増幅用光ファイバ30の長手方向に垂直な方向の断面の様子を示す断面図である。図3に示すように、増幅用光ファイバ30は、希土類元素が添加されるコア31と、コア31を被覆するクラッド32と、クラッド32を被覆する樹脂クラッド33とから構成される。そして、クラッド32の屈折率は、コア31の屈折率よりも低くされ、樹脂クラッド33の屈折率は、クラッド32の屈折率よりも大幅に低くされる。また、増幅用光ファイバ30は、コア31の直径が入力用ダブルクラッドファイバ20のコア21と同じ直径とされ、クラッド32の外径が入力用ダブルクラッドファイバ20のクラッド22と同じ外径とされ、樹脂クラッド33の外径が入力用ダブルクラッドファイバ20の樹脂クラッド23と同じ外径とされる。また、コア31を構成する材料としては、例えば、ゲルマニウムとイッテルビウムが添加された石英が挙げられ、クラッド32を構成する材料としては、例えば、フッ素が添加された石英が挙げられ、樹脂クラッドを構成する材料としては、例えば、紫外線硬化樹脂が挙げられる。
また、増幅用光ファイバ30の入力用ダブルクラッドファイバ20側の端部に第1FBG35が形成されており、増幅用光ファイバ30の入力用ダブルクラッドファイバ20側とは反対側の端部に第2FBG36が形成されている。第1FBG35は、増幅用光ファイバ30に励起光が入力される場合に放出される自然放出光のうち一部の波長帯域の光を99%以上の反射率で反射し、第2FBG36は、この波長帯域の光を50%以下の反射率で反射する。
増幅用光ファイバ30と接続される第1ダブルクラッドファイバ40は、図2に示す入力用ダブルクラッドファイバ20と同様の構成とされ、コア41と、コア41を被覆するクラッド42と、クラッド42を被覆する樹脂クラッド43とから構成される。第1ダブルクラッドファイバ40は、コア41の直径が入力用ダブルクラッドファイバ20のコア21と同じ直径とされ、クラッド42の外径が入力用ダブルクラッドファイバ20のクラッド22と同じ外径とされ、樹脂クラッド43の外径が入力用ダブルクラッドファイバ20の樹脂クラッド23と同じ外径とされる。
第1ダブルクラッドファイバ40と共にGRINレンズ50に接続される第2ダブルクラッドファイバ60は、第1ダブルクラッドファイバ40と同様に、図2に示す入力用ダブルクラッドファイバ20と同様の構成とされ、コア61と、コア61を被覆するクラッド62と、クラッド62を被覆する樹脂クラッド63とから構成される。第2ダブルクラッドファイバ60は、コア61の直径が入力用ダブルクラッドファイバ20のコア21と同じ直径とされ、クラッド62の外径が入力用ダブルクラッドファイバ20のクラッド22と同じ外径とされ、樹脂クラッド63の外径が入力用ダブルクラッドファイバ20の樹脂クラッド23と同じ外径とされる。
図4は、図1に示すGRINレンズ50の拡大図である。GRINレンズ50は、円柱状の形状をしており一方の端面が入力端面51とされ、他方の端面が出力端面52とされる。GRINレンズ50は、径方向において屈折率分布を有し、長さ方向において屈折率分布を有さない構成とされる。径方向の屈折率分布は、屈折率が径の中心側から側面側にかけてなだらかに変化し、径方向の中心側ほど屈折率が高く、側面に近い部分ほど屈折率が低い構成とされる。従って、GRINレンズ50に入力される光は、GRINレンズ50の内部において屈折する。なお、GRINレンズ50の軸から垂直にGRINレンズ50の側面に向う屈折率の変化率は、GRINレンズ50の長さ方向に沿ったどの場所おいても同様の変化率とされ、また、GRINレンズ50の軸から垂直にGRINレンズ50の側面に向うどの方向においても同様の変化率とされる。つまり、GRINレンズ50の屈折率は、GRINレンズ50の軸を基準として、径方向に対称となっている。また、GRINレンズ50の直径は、第1ダブルクラッドファイバ40のクラッド42の外径よりも大きな径とされ、長さが励起光に対する0.25ピッチの奇数倍とされる。
そして、図4に示すように、GRINレンズ50の入力端面51には、第1ダブルクラッドファイバ40の出力端45が融着されている。具体的には、第1ダブルクラッドファイバ40は、出力端45付近の樹脂クラッド43が剥離される。このように端部が樹脂クラッドで被覆されていない第1ダブルクラッドファイバ40の中心軸とGRINレンズ50の中心軸とが平行となるように方向が合わされ、GRINレンズ50の入力端面51における中心よりも側面側において、第1ダブルクラッドファイバ40の出力端45が融着されている。
また、GRINレンズ50の入力端面51には、第2ダブルクラッドファイバ60の入力端65が融着されている。具体的には、第2ダブルクラッドファイバ60は、入力端65付近の樹脂クラッド63が剥離される。そして、GRINレンズ50の中心軸と第2ダブルクラッドファイバ60の中心軸とが平行となるように方向が合わされ、第2ダブルクラッドファイバ60の入力端61がGRINレンズ50の入力端面51に融着される。このとき、第2ダブルクラッドファイバ60は、入力端面51の中心に対して第1ダブルクラッドファイバ40のコア41と対称となる位置に、第2ダブルクラッドファイバ60のコア61が位置するように融着されている。
なお、GRINレンズ50は、例えば、径方向における中心部分と側面部分との屈折率差が0.06であり、長さが励起光に対する0.25ピッチである場合、上述のように、励起光の波長が915nmであり、第1、第2ダブルクラッドファイバ40、60のクラッド42、62の外径が共に400μmであれば、直径が6mm以上とされ、長さが10mmとされる。
GRINレンズ50の出力端面52上に設けられる光フィルタ55は、誘電体多層膜から構成される。図5は、図4に示す光フィルタ55の光の透過特性を示す図である。図5に示すように、光フィルタは、励起光の波長帯域の光を反射すると共に、増幅用光ファイバ30から出力されるレーザ光の波長の光を98%以上透過させ、残りの2%未満の光を反射する。図5は、上述のように励起光の波長が915nmであり、自然放出光の波長が1070nmである場合に用いられる光フィルタの透過特性を表わしており、図5に示す光フィルタは、990nm以下の波長の光を反射し、1040nm以上の波長の光を98%以上透過させる。このような光フィルタ55は、屈折率の異なる材料を交互に積層することで形成される誘電体多層膜フィルタにより構成される。誘電体多層膜フィルタに用いる材料としては、シリカ(SiO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、ジルコニア(ZrO2)等が挙げられる。
GRINレンズ50の入力端面51に接続される第2ダブルクラッドファイバ60の途中には、クラッド62とコア61とを伝播する励起光を熱に変換する熱変換素子67が設けられている。熱変換素子67は、第2ダブルクラッドファイバ60の樹脂クラッド63が剥離されており、樹脂クラッド63が剥離された部分におけるクラッド62が、クラッド62よりも屈折率の高い樹脂で被覆されている。そして、この樹脂が図示しない金属製のヒートシンクに接続されている。
第2ダブルクラッドファイバ60の反対側の端部には受光素子70が接続されている。受光素子70は、例えばフォトダイオードにより構成され、図示しない外部のモニターに受光する光の強度に応じた電圧の電気信号を出力する。
次に、ファイバレーザ装置のレーザ光の出力について説明する。
まず、励起光源10のLD10a〜10dから励起光が出力される。出力される励起光は、例えば、915nmの波長である。励起光源10から出力される励起光は、マルチモードファイバ11a〜11dによりマルチモード光として伝播され、ポンプコンバイナ15において入力用ダブルクラッドファイバ20に入力される。入力用ダブルクラッドファイバ20に入力される励起光は、入力用ダブルクラッドファイバ20のコア21とクラッド22とによりマルチモード光として伝播され、第1FBG35を介して増幅用光ファイバ30に入力される。増幅用光ファイバ30に入力される励起光は、増幅用光ファイバ30のコア31及びクラッド32により伝播され、励起光の一部は、増幅用光ファイバ30のコア31に添加された希土類元素に吸収される。このため、希土類元素は励起状態となる。そして、励起状態となった希土類元素は、特定の波長の自然放出光を放出する。このときの自然放出光は、例えば、中心波長が1070nmの光である。
この自然放出光を元に、第1FBG35と第2FBG36で構成される共振器でレーザ発振が起こる。発生したレーザ光は、第2FBG36を透過して、第1ダブルクラッドファイバ40のコア41に入力され、コア41によりシングルモード光として伝播される。
なお、第1FBG35を透過する僅かな光は、入力用ダブルクラッドファイバ20のコア21、及び、シングルモードファイバ13のコアを伝播して無反射終端12で熱に変換される。
このとき、増幅用光ファイバ30のコア31に添加された希土類元素に吸収されない励起光は、余剰励起光として第2FBG36を透過して増幅用光ファイバ30から出力される。そして、増幅用光ファイバ30から出力された余剰励起光は、第1ダブルクラッドファイバ40に入力され、第1ダブルクラッドファイバ40のコア41とクラッド42とによりマルチモード光として伝播される。
第1ダブルクラッドファイバ40を伝播するレーザ光及び励起光は、図4に示すように第1ダブルクラッドファイバ40の出力端45から出力されて、GRINレンズ50の入力端面51からGRINレンズ50に入力される。
GRINレンズ50に入力されたレーザ光及び余剰励起光は、上述のようにGRINレンズ50が中心軸側ほど屈折率が高く側面側ほど屈折率が低いため、図4に示すように直径が広げられる。このとき上述のようにGRINレンズ50の長さが、励起光に対して0.25ピッチの奇数倍であるため、GRINレンズ50の出力端面52において、余剰励起光は直径が最大限に広げられて、出力端面52から出力される。なお、図4においては、GRINレンズ50の長さが、励起光の0.25ピッチの状態を示している。
出力端面52から出力されるレーザ光は、光フィルタ55に入力される。図5に示すように、光フィルタ55は、増幅用光ファイバ30で発生するレーザ光を殆ど透過させるため、光フィルタ55に入力されるレーザ光の殆どは、光フィルタ55から出力する。こうして、レーザ光がファイバレーザ装置100から出力される。また、光フィルタ55を透過しないレーザ光は、光フィルタ55で反射され、図4の破線で示すようにGRINレンズ50の入力端面51に向かい伝播して、入力端面51から出力される。
ここで、上述のように、GRINレンズ50の長さは、励起光の波長に対する0.25ピッチの奇数倍の長さである。従って、GRINレンズ50の入力端面51から出力されるレーザ光は、入力端面51におけるレーザ光がGRINレンズ50に入力されるときの直径と同じ直径に戻される。このレーザ光がGRINレンズ50に入力されるときの直径は、第1ダブルクラッドファイバ40のコア41の直径と等しい。また、この反射されるレーザ光は、GRINレンズ50の屈折率の径方向に対する対称性より、入力端面51の中心に対して、レーザ光がGRINレンズ50に入力する際の入力端面51における位置と対称となる位置から出力される。
そして、上述のように、第2ダブルクラッドファイバ60のコア61の直径は、第1ダブルクラッドファイバ40のコア41の直径と等しい。さらに、第1ダブルクラッドファイバ40の出力端45と、第2ダブルクラッドファイバ60の入力端65とは、GRINレンズ50の入力端面51の中心に対して互いに対称となるように、入力端面51に融着されている。従って、反射されたレーザ光は、第2ダブルクラッドファイバ60のコア61に入力される。
一方、余剰励起光は、出力端面52から出力される。そして、余剰励起光は、出力端面52上に設けられる光フィルタ55に入力される。光フィルタ55は、上述のように励起光と同じ波長帯域の光を反射するため、余剰励起光は反射される。そして、図4の破線で示すように、反射された余剰励起光は、GRINレンズ50の出力端面52から入力端面51に向い伝播する。
ここで、上述のように、GRINレンズ50の長さが、励起光の波長に対する0.25ピッチの奇数倍の長さである。従って、GRINレンズ50の入力端面51から出力される余剰励起光は、入力端面51において、余剰励起光がGRINレンズ50に入力されるときの直径と同じ直径に戻される。この余剰励起光がGRINレンズ50に入力されるときの直径は、第1ダブルクラッドファイバ40のクラッド42の外径と等しい。また、この反射される余剰励起光は、GRINレンズ50の径方向に対する屈折率の対称性より、入力端面51の中心に対して、余剰励起光がGRINレンズ50に入力する際の入力端面51における位置と対称となる位置から出力される。
そして、上述のように、第2ダブルクラッドファイバ60のクラッド62の外径は、第1ダブルクラッドファイバ40のクラッド42の外径と等しい。さらに、第1ダブルクラッドファイバ40の出力端45と、第2ダブルクラッドファイバ60の入力端65とは、GRINレンズ50の入力端面51の中心に対して互いに対称となるように、入力端面51に融着されている。従って、反射された余剰励起光は、第2ダブルクラッドファイバ60に入力される。
第2ダブルクラッドファイバ60のコア61に入力されるレーザ光は、第2ダブルクラッドファイバ60のコア61をシングルモード光として伝播して、受光素子70に入力される。受光素子70は受光する光の強度に対応する電圧を生じるため、レーザ光の強度に応じた電圧を電気信号として出力する。こうして、図示しない機器により受光素子で生じる電気信号を検知して、その検知結果、及び、光フィルタ50で透過するレーザ光と反射するレーザ光との比から出力するレーザ光の強度をモニタリングする。
一方、第2ダブルクラッドファイバ60に入力される余剰励起光は、第2ダブルクラッドファイバ60のコア61とクラッド62とをマルチモード光として伝播する。そして、第2ダブルクラッドファイバ60の途中に設けられる熱変換素子67において、クラッド62よりも屈折率の高い樹脂に入力されて、図示しない金属性のヒートシンクにより熱にされ、消滅する。
本実施形態のファイバレーザ装置100によれば、増幅用光ファイバ30において励起光によりレーザ光が増幅され、増幅されたレーザ光が出力されて、第1ダブルクラッドファイバ40に入力される。第1ダブルクラッドファイバ40に入力されたレーザ光は、第1ダブルクラッドファイバ40のコア41を伝播する。第1ダブルクラッドファイバ40を伝播するレーザ光は、第1ダブルクラッドファイバ40から出力され、GRINレンズ50の入力端面51からGRINレンズ50に入力される。GRINレンズ50に入力されるレーザ光は、GRINレンズ50の出力端面52上に設けられる光フィルタ55に入力される。この光フィルタ55は、レーザ光と同じ波長帯域の光の一部を透過し他の一部を反射するため、レーザ光の一部は、光フィルタ55を透過してファイバレーザ装置100から出力される。一方、光フィルタ55により反射されるレーザ光は、GRINレンズ50の入力端面51に戻り出力されて、第2ダブルクラッドファイバ60のコア61に入力され、第2ダブルクラッドファイバ60を伝播して受光素子70に入力される。そして、受光素子70がレーザ光の強度を電気信号として出力することでレーザ光の強度がモニタリングできる。
また、レーザ光の増幅に用いられなかった余剰励起光は、増幅用光ファイバ30から出力されて、第1ダブルクラッドファイバ40にレーザ光と共に入力され、第1ダブルクラッドファイバ40のコア41とクラッド42とを伝播する。そして、余剰励起光は、第1ダブルクラッドファイバ40からレーザ光と共に出力されて、GRINレンズ50に入力される。GRINレンズ50に入力される余剰励起光は、GRINレンズ50の出力端面52において直径が広げられて、GRINレンズ50の出力端面52上に設けられる光フィルタ55に入力される。しかし、この光フィルタ55は、励起光と同じ波長帯域の光を反射するため、余剰励起光は、光フィルタ55により反射され、再びGRIN50レンズ内を伝播して、GRINレンズ50の入力端面51に戻って、光フィルタ55で反射されるレーザ光と共に出力される。そして、GRINレンズ50から出力される余剰励起光は、レーザ光と共に第2ダブルクラッドファイバ60に入力される。このとき、GRINレンズ50の長さが励起光の波長に対する0.25ピッチの奇数倍であるため、反射された余剰励起光の直径は、GRINレンズ50の入力端面51において余剰励起光がGRINレンズ50に入力されるときの直径とされる。この直径は、第1ダブルクラッドファイバ40のクラッド42の外径と等しい。そして、第2ダブルクラッドファイバ60のクラッド62の外径は、第1ダブルクラッドファイバ40のクラッド42の外径と同じ大きさとされるため、GRINレンズ50から出力される余剰励起光は、適切に第2ダブルクラッドファイバ60に入力される。第2ダブルクラッドファイバ60に入力された余剰励起光は、第2ダブルクラッドファイバ60に設けられる熱変換素子67において、熱に変換されて消滅する。従って、本発明にかかるファイバレーザ装置100は、励起光が出力されることを抑制できる。
なお、GRINレンズ50に入力する余剰励起光は、GRINレンズ50が中心軸側ほど屈折率が高く側面側ほど屈折率が低い構成であるため、直径が広げられて光フィルタ55に入力する。従って、光フィルタ55に入力する余剰励起光のエネルギー密度は、第1ダブルクラッドファイバ40の出力端における余剰励起光のエネルギー密度よりも低くなる。よって、余剰励起光による光フィルタ55の損傷を抑制することができる。
以上、本発明について、上述の実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、上述の実施形態においては、ファブリペロー型のファイバレーザ装置が用いられたが、本発明は、これに限らない。例えば、ファブリペロー型のファイバレーザ装置に代えて、ファイバリング型のファイバレーザ装置を用いてもよい。このようなファイバレーザ装置について、図6を用いて詳細に説明する。図6は、図1に示すファイバレーザ装置の変形例を示す図であり、ファイバリング型のファイバレーザ装置を示す図である。なお、本変形例を説明するに当たり、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
図6に示すように、本変形例にかかるファイバレーザ装置110は、ファイバリング型のファイバレーザ装置である。ファイバレーザ装置110は、励起光源10と、励起光源10と接続されるポンプコンバイナ15と、ポンプコンバイナ15と接続される増幅用光ファイバ30と、増幅用光ファイバ30と接続される出力カプラ38と、出力カプラ38と接続される光アイソレータ17と、光アイソレータ17と接続されてポンプコンバイナ15へと接続されるバンドパスフィルタ18と、出力カプラ38に接続される第1ダブルクラッドファイバ40と、第1ダブルクラッドファイバ40に接続されるGRINレンズ50と、GRINレンズ50の出力端面上に設けられる光フィルタ55と、GRINレンズ50の第1ダブルクラッドファイバ40が接続される端面と同じ端面に接続される第2ダブルクラッドファイバ60と、第2ダブルクラッドファイバ60の途中に設けられる熱変換素子67と、第2ダブルクラッドファイバ60のGRINレンズ50が接続される側と反対側の端部に接続される受光素子70とを主な構成として備える。
励起光源10から出力される励起光は、ポンプコンバイナ15を介して増幅用光ファイバ30に入力される。増幅用光ファイバ30において、励起光は、増幅用光ファイバ30のコア31に添加される希土類元素に吸収される。このため、希土類元素は励起状態となる。そして、励起状態となった希土類元素は、自然放出光を放出する。この自然放出光は、増幅用光ファイバ30を伝播しながら増幅される。増幅された自然放出光は、出力カプラ38、光アイソレータ17を介してバンドパスフィルタ18に入力され、バンドパスフィルタ18において、波長の帯域制限がされる。なお、光アイソレータ17では、余分な反射光等が遮断される。帯域制限された自然放出光は、ポンプコンバイナ15を介して、再び増幅用光ファイバ30に入力されてレーザ光として増幅される。この増幅されたレーザ光の一部が出力カプラ38から出力され、第1ダブルクラッドファイバ40のコア41に入力される。一方、増幅用光ファイバ30において、レーザ光の増幅に用いられなかった余剰励起光の一部が、出力カプラ38を介して第1ダブルクラッドファイバ40に入力される。
また、上述の実施形態、及び、上述の実施形態の変形例では、増幅用光ファイバ30には、励起光のみが入力されたが、本発明はこれに限らない。例えば、増幅用光ファイバ30に励起光と種レーザ光とを入力するファイバレーザ装置であってもよい。このようなファイバレーザ装置について、図7を用いて詳細に説明する。図7は、図1に示すファイバレーザ装置の他の変形例を示す図である。なお、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
図7に示すように、本変形例にかかるファイバレーザ装置120は、励起光を出力する励起光源10と、種レーザ光を出力する種レーザ光源80と、種励起光とレーザ光とが入力されるポンプコンバイナ15と、ポンプコンバイナ15と接続され入力用ダブルクラッドファイバ20と、入力用ダブルクラッドファイバ20と接続される増幅用光ファイバ30と、増幅用光ファイバ30と接続される第1ダブルクラッドファイバ40と、第1ダブルクラッドファイバ40に接続されるGRINレンズ50と、GRINレンズ50の出力端面上に設けられる光フィルタ55と、GRINレンズ50の第1ダブルクラッドファイバ40が接続される端面と同じ端面に接続される第2ダブルクラッドファイバ60と、第2ダブルクラッドファイバ60の途中に設けられる熱変換素子67と、第2ダブルクラッドファイバ60のGRINレンズ50が接続される側と反対側の端部に接続される受光素子70とを主な構成として備える。
励起光源10から出力される励起光、及び、種レーザ光源80から出力される種レーザ光はポンプコンバイナ15を介して入力用ダブルクラッドファイバ20に入力される。入力用ダブルクラッドファイバ20に入力された種レーザ光は、入力用ダブルクラッドファイバ20のコア21をシングルモード光として伝播し、励起光はコア21とクラッド22とをマルチモード光として伝播する。そして、種レーザ光及び励起光は、入力用ダブルクラッドファイバ20から増幅用光ファイバ30に入力されて、種レーザ光は増幅用光ファイバのコアをシングルモードとして伝播する。励起光は、コア31とクラッド32とをマルチモード光として伝播し、コア31に添加される希土類元素を励起状態とする。励起状態とされる希土類元素は種レーザ光により誘導放出光を放出してレーザ光を増幅する。こうして増幅されたレーザ光は、第1ダブルクラッドファイバ40に入力される。一方、増幅用光ファイバ30において、レーザ光の増幅に用いられなかった余剰励起光は、第1ダブルクラッドファイバ40に入力される。
また、例えば、上述の実施形態、及び、上述の変形例において、第2ダブルクラッドファイバ60のクラッド62の外径は、第1ダブルクラッドファイバ40のクラッド42の外径と等しい構成とされたが、本発明はこれに限らなない。第2ダブルクラッドファイバ60のクラッド62の外径は、第1ダブルクラッドファイバ40のクラッド42の外径より大きい構成としても良い。このように構成することにより、第2ダブルクラッドファイバ60により適切に余剰励起光を入力することができる。
また、例えば、上述の実施形態、及び、上述の変形例において、第1ダブルクラッドファイバ40の出力端45は、GRINレンズに融着されるものとしたが、本発明はこれに限らない。たとえば、光フィルタで反射される余剰励起光が入力端65から第2ダブルクラッドファイバ60に入力される範囲において、第1ダブルクラッドファイバ40の出力端45、第2ダブルクラッドファイバ60の入力端65をGRINレンズから離す構成としてもよい。この場合においても、第1ダブルクラッドファイバ40の出力端45、及び、第2ダブルクラッドファイバ60の入力端65、及び、GRINレンズの入力端面51には、無反射コーティングがされることが好ましい。
また、上述の実施形態、及び、上述の変形例において、第1ダブルクラッドファイバ40のコア41には、希土類元素が添加されない構成としてが、本発明はこれに限らず、第1ダブルクラッドファイバ40のコア41に希土類元素を添加してもよい。この場合、増幅用光ファイバ30のコア31と第1ダブルクラッドファイバ40のコア41とが同じ構成とされると共に、増幅用光ファイバ30のクラッド32と第1ダブルクラッドファイバ40のクラッド42とが同じ構成とされ、第1ダブルクラッドファイバ40は増幅用光ファイバ30を延在させてなる部分により構成されることが好ましい。このように増幅用光ファイバ30が第1ダブルクラッドファイバ40を兼ねることにより、安価にファイバレーザ装置を構成することができる。
同様に、上述の実施形態、及び、上述の変形例において、入力用ダブルクラッドファイバ20のコア21に希土類元素を添加してもよい。この場合、増幅用光ファイバ30のコア31と入力用ダブルクラッドファイバ20のコア21とが同じ構成とされると共に、増幅用光ファイバ30のクラッド32と入力用ダブルクラッドファイバ20のクラッド22とが同じ構成とされ、入力用ダブルクラッドファイバ20は増幅用光ファイバ30を延在させてなる部分により構成されることが好ましい。この場合も増幅用光ファイバ30が入力用ダブルクラッドファイバ20を兼ねることにより、安価にファイバレーザ装置を構成することができる。
さらに、上述の実施形態、及び、上述の変形例において、第1光ファイバとして、第1ダブルクラッドファイバ40を用い、第2光ファイバとして、第2ダブルクラッドファイバ60を用いたが、本発明はこれに限らない。たとえば、第1、第2ダブルクラッドファイバ40、60の代わりにクラッド42、62が、それぞれ2つのクラッドからなるトリプルクラッドファイバを用いてもよい。