JP2014105359A - 高純度ネオジムの製造方法、高純度ネオジム、高純度ネオジムを用いて製造したスパッタリングターゲット、高純度ネオジムを成分とする永久磁石 - Google Patents

高純度ネオジムの製造方法、高純度ネオジム、高純度ネオジムを用いて製造したスパッタリングターゲット、高純度ネオジムを成分とする永久磁石 Download PDF

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Abstract

【課題】高純度ネオジムであって、希土類元素及びガス成分を除く純度が5N以上であり、希土類元素とTaを除く遷移金属元素の含有量がそれぞれ1wtppm以下であることを特徴とする高純度ネオジム。高純度ネオジム、高純度ネオジムからなるスパッタリングターゲット及び高純度ネオジムを成分とする永久磁石を効率的かつ安定して提供できる技術を提供する。
【解決手段】ガス成分を除く純度が4N以下のネオジム原料を溶融塩電解浴に入れ、浴温600〜700℃で溶融塩電解してネオジム結晶を得、次にこのネオジム結晶を脱塩処理した後、誘導溶解及び/又は電子ビーム溶解して、希土類元素及びガス成分を除く純度が5N以上とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、高純度ネオジムの製造方法、高純度ネオジム、高純度ネオジムを用いて製造したスパッタリングターゲット、高純度ネオジムを成分とする永久磁石に関する。
ネオジム(Nd)は、希土類元素の一つである。ネオジムの原子番号は60、原子量144.2g/molの銀白色の金属であり、六方最密構造を備えている。融点は1020℃、沸点3100℃、密度6.80g/cmであり、空気中では表面が酸化され、高温で酸素、水素、窒素、ハロゲンと作用する。酸に可溶であり、熱水と反応する(理化学辞典参照)。また、希土類元素は一般に酸化数3の化合物が安定であり、ネオジムも+3価である。
近年、ネオジムを用いたネオジム磁石の研究開発が活発に行われており、高性能化に向けて様々な取り組みが行われている(特許文献1)。例えば、新たな種類の成分元素(希土類元素、遷移金属元素、不純物元素など)を添加したり、磁石組織の結晶配向を調整したりして、磁気特性を改善する試みが行われている。また、このようなネオジム磁石は、コンピューター、産業機器用モーター、電気自動車等に幅広く応用されている。
また、高純度ネオジムを用いた永久磁石に関して、特許文献2は、Nd−Fe−B系希土類永久磁石において、ガス成分を除く純度が99.99wt%以上とすることにより、最大エネルギー積を向上させる技術が開示されている。このようにネオジムは近年、特に注目されている金属である。しかしながら、ネオジム金属は精製時に酸化し易いという問題があるため、精製が難しい材料であり、高純度製品は存在していなかった。また、ネオジム金属を空気中に放置した場合には、短時間で酸化し(Nd)し、黒色に変色する。このようなことからネオジムを工業的に高純度化する技術は、十分に確立されていなかった。
特開平6−231921号公報 特願2012−037546
本発明は、高純度ネオジムの製造方法、高純度ネオジム、この高純度ネオジムを用いて作製したスパッタリングターゲット及びネオジムを成分とする永久磁石を、安定して提供できる技術を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究を行った結果、新たな製造工程を採用することで、従来に比べて格段に純度を上げたネオジムを作製できることを見出した。
このような知見に基づき、本発明は、
1)ガス成分を除く純度が4N以下のネオジム原料を溶融塩電解浴に入れ、浴温600〜700℃で溶融塩電解してネオジム結晶を得、次にこのネオジム結晶を脱塩処理した後、誘導溶解及び/又は電子ビーム溶解して、希土類元素及びガス成分を除く純度が5N以上とすることを特徴とする高純度ネオジムの製造方法、
2)溶融塩電解浴として、塩化カリウム(KCl)、塩化リチウム(LiCl)、塩化ネオジム(NdCl)からなる電解浴を使用することを特徴とする上記1)記載の高純度ネオジムの製造方法、
3)ステンレス(SUS)製のアノードを使用して溶融塩電解を行うことを特徴とする上記1又は2記載の高純度ネオジムの製造方法、
4)タンタル(Ta)製のカソードを使用して溶融塩電解を行うことを特徴とする上記1〜3のいずれか一に記載の高純度ネオジムの製造方法、を提供する。
また、本発明は、
5)希土類元素及びガス成分を除く純度が5N以上であり、希土類元素及びTaを除く遷移金属元素の含有量がそれぞれ1wtppm以下であることを特徴とする高純度ネオジム、
6)Taの含有量が10wtppm以下、U、Thの含有量がそれぞれ5wtppb以下、炭素の含有量が150wtppm以下であることを特徴とする上記5)記載の高純度ネオジム、
7)上記5)又は6)記載の高純度ネオジムを用いて製造したスパッタリングターゲット、
8)上記5)又は6)記載の高純度ネオジムを用いて製造した永久磁石、
9)上記7)記載のスパッタリングターゲットを用いて製造した永久磁石、を提供する。
本発明は、高純度ネオジム、高純度ネオジムを用いて作製したスパッタリングターゲット及び高純度ネオジムを用いた永久磁石を、安定して提供できるという優れた効果を有する。
溶融塩電解の装置の一例を示す図である。 実施例1に示す溶融塩電解後の電析物を示す図である。 実施例1に示す電子ビーム溶解後のEBインゴット(ボタン)を示す図である。
本願発明は、ガス成分を除く純度4N以下の粗ネオジムの原料を浴温600〜700℃で溶融塩電解してネオジム結晶を得、次にネオジム結晶を脱塩処理又は酸洗浄した後、誘導溶解及び/又は電子ビーム溶解して、高純度ネオジムを製造する方法を提供する。
溶融塩電解浴としては、塩化カリウム(KCl)、塩化リチウム(LiCl)、塩化ネオジム(NdCl)を使用することができる。また、溶融塩電解を行うに際しては、ステンレス(SUS)製のアノードを使用し、タンタル(Ta)製のカソードを使用することができる。
これにより、希土類元素及びガス成分を除いた純度が5N(99.999wt%)以上であり、ネオジム中の不純物として、希土類元素及びタンタル(Ta)を除く遷移金属元素(例えば、Al、Fe、Cu)の含有量がそれぞれ1wtppm以下であり、さらに、タンタル(Ta)の含有量が10wtppm以下、また、ウラン(U)、トリウム(Th)の含有量がそれぞれ5wtppb以下、炭素の含有量が150wtppm以下である高純度ネオジムを得ることができる。
以上の製造方法によって得られた高純度ネオジムは新規な物質であり、本願発明はこれを基本するものである。また、本願発明はこれが適合する材料を提供するものであり、特には、永久磁石において、純度の高いネオジム金属を用いることで磁気特性を向上させることができる。
上記により得た高純度ネオジムは真空中で溶解し、これを凝固させてインゴットとする。このインゴットは、さらに所定サイズに切断し、研磨工程を経てスパッタリングターゲットにすることができる。これによって、希土類元素及びガス成分を除く純度が5N以上であり、ネオジム中の不純物として希土類元素及びタンタル(Ta)を除く遷移金属元素(例えば、Al、Fe、Cu)の含有量がそれぞれ1wtppm以下である高純度ネオジムスパッタリングターゲットを製造することができる。
さらに、上記のターゲットを使用してスパッタリングすることにより、ターゲットの純度が反映され、同成分の薄膜を得ることができる。これらのインゴット、スパッタリングターゲット、薄膜、さらにこれらを用いた永久磁石は、いずれも新規な物質であり、本願発明はこれを全て包含するものである。
本願発明を永久磁石として利用する場合、ネオジム(Nd)の他、鉄(Fe)、ボロン(B)、必要に応じてジスプロシウム(Dy)などの添加元素を成分とすることができる。このような永久磁石の磁気特性を向上させるために、純度の高いネオジム金属が特に有効である。本願発明はこれに適合する材料を提供することができる。本願発明の高純度ネオジムは、永久磁石の作製時において他の物質との任意の組み合わせを包含するものである。
本発明は、高純度化用のネオジム原料として、ガス成分を除く純度が純度4N以下の粗ネオジムを使用することができる。これらの原料は、主な不純物として、Li、Na、K、Ca、Mg、Al、Si、Ti、Fe、Cr、Ni、Mn、Mo、Ce、Pr、Y、Sm、Ta、W、ガス成分(N、O、C、H)等が含有されている。
特に、ネオジム鉱石には、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)が多く含まれ、これらの不純物は、塩化物、酸化物、フッ化物の電気還元(電解採取)の際に、ネオジムと同時に還元されることがある。また、精製装置の部材からこれらの不純物が混入することもある。一方、銅(Cu)は、ネオジム鉱石にほとんど含まれないが、ネオジム粗金属を塩化物やフッ化物から還元する際に用いる水冷部材などから、銅の汚染を受ける場合がある。
このような、アルミニウム(Al)、銅(Cu)は、材料中に含まれると特性を悪化させる原因になる。また、鉄(Fe)は、酸化しやすいため、ターゲットとして用いた場合のスパッタ不良の原因となる。さらに、ターゲット中で酸化していなくてもスパッタされた後に酸化すると、体積が膨張するため不具合を起こしやすく、特性低下の原因となるという問題が生じるので、特にこれらを低減する必要がある。
特に、本発明の高純度ネオジムの用途には、高純度ネオジムターゲットをスパッタ成膜して作製する微小な磁石があり、電子材料と同様に、鉄(Fe)の混入は、膜を腐食して破壊したり、Nd−Fe−B系磁石の組成ズレを引き起こしたりする問題がある。また、アルミニウム(Al)や銅(Cu)についても、Nd−Fe−B系磁石の添加材であるジスプロシウム(Dy)に替わる材料として研究が行われており、これらの不純物含有量を正確に制御することが求められている。
(溶融塩電解)
本願発明は、上記ネオジムの純度を高め、5N以上の純度を達成するために溶融塩電解を行う。溶融塩電解の装置の一例を、図1に示す。この図1に示すように、装置の下部にステンレス(SUS)製のアノードを配置することができる。
カソードには電着部にTaを使用する。希土類の溶融塩電解では、一般にグラファイトが用いられているが、これは炭素の汚染原因となるので、本願発明では避けなければならない。バスケットの上半分は冷却塔である。この冷却塔と電解槽はゲートバルブ(GV)で仕切る構造としている。
浴の組成として、塩化カリウム(KCl)、塩化リチウム(LiCl)に塩化ネオジム(NdCl)及びネオジム(Nd)原料を混合して、使用することができる。これらを任意の比率に調整する。塩の比率は、状態図から融点が極小となる点を選択するのが良い。
電解浴の温度は、600〜700°Cの間に調節するのが良い。高温にすると浴を構成する塩の揮発が激しくなり、ゲートバルブや冷却塔が汚染され、清掃が煩雑となるので、避ける必要がある。一方、低温であるほどハンドリングは容易になるが、低温度過ぎると、浴の流動性が悪くなり、浴中組成に分布が出来、清浄な電析が得られなくなる傾向があるので、上記の範囲が好ましい範囲と言える。雰囲気は不活性雰囲気とする。通常、Arガスをフローさせて実施する。電解条件については、装置の仕様を考慮して、任意に設定することができる。
(脱塩炉)
脱塩炉を使用し、真空加熱することでメタルと塩分とを分離し、塩分を揮発除去することができる。通常脱塩の温度は850〜1000℃とすることができる。温度は高いほど塩が分離しやすいが、あまり高すぎるとボート材からの汚染が増加するため好ましくない。これにより、脱塩処理後のネオジム中の塩素(Cl)含有量を低減することができる。
(誘導溶解「スカル溶解」)
上記に得られたネオジム成型体を用い、水冷Cu坩堝を使用し、真空雰囲気中でスカル溶解し、凝固させてインゴットとした。本実施例では、水冷Cu坩堝を使用したが、溶解装置によっては、カーボン坩堝を使用することもできる。
(電子ビーム溶解)
上記に得られたネオジム成型体の電子ビーム溶解に際しては、低出力の電子ビームを、炉中のネオジム溶解原料に広範囲に照射することにより行う。この電子ビーム溶解は、数回(2〜4回)繰り返すことができる。電子ビーム溶解の回数を増やすことで、Cl、Ca、Mg等の揮発成分の除去がより向上する。
上記誘導溶解(スカル溶解)と電子ビーム溶解については、いずれか一方又は双方を併用することができる。併用する場合には、工程順に特に制限はない。
ネオジムに含有される希土類元素には、ネオジム(Nd)以外にLa、Sc,Y,Ce,Pr,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luがある。高純度ネオジムの純度から希土類元素を除外する理由は、高純度ネオジムの製造の際に、他の希土類自体がネオジムと化学的特性が似ているために、分離精製することが技術的に非常に難しいということ、さらにこの特性の近似性からして、不純物として混入していても、大きな特性の異変にはならないということからである。特に、本願発明のネオジムは、希土類元素合計で100wtppm未満の含有は許容される。
このような事情から、ある程度、他の希土類の混入は黙認されるが、ネオジム自体の特性を向上させようとする場合は、少ないことが望ましいことは、言うまでもない。
また、ガス成分として、一般にC、N、O、S、Hが存在する。これらは単独の元素として存在する場合もあるが、化合物(CO、CO、SO等)又は構成元素との化合物の形態で存在することもある。ガス成分を除いた純度が5N以上とするのは、ガス成分は除去が難しく、これをカウントすると純度の向上の目安とならないからである。また、他の不純物元素に比べ多少の存在は無害である場合が多いからである。さらに、純度表示をする場合には、ガス成分を除く純度とするのが普通である。この意味で、本願発明のネオジムの純度は、ガス成分を除く純度が5N以上とするものである。
なお、ガス成分であるC、N、O、S、Hの分析は、LECO社製のガス分析装置を使用して測定し、その他の元素分析は、GDMS分析法を用いて行った。
永久磁石や電子材料の薄膜を形成する場合には、その多くはスパッタリングによって行われ、薄膜の形成手段として優れた方法である。したがって、上記のネオジムインゴットを用いて、高純度ネオジムスパッタリングターゲットを製造することは有効である。
ターゲットの製造は、鍛造・圧延・切削・仕上げ加工(研磨)等の、通常の加工により製造することができる。特に、その製造工程に制限はなく、任意に選択することができる。
以上から、ガス成分を除いた純度が5N以上であり、希土類元素とTaを除く遷移金属元素(Al、Fe、Cu等)の含有量がそれぞれ1wtppm以下、また、Taの含有量が10wtppm以下、U、Thがそれぞれ5wtppb以下、炭素が150wtppm以下である高純度ネオジム、高純度ネオジムスパッタリングターゲット、さらには永久磁石用の高純度ネオジムを得ることができる。
さらに、この高純度ネオジムターゲットを用いてスパッタリングすることにより高純度ネオジムを基板上に成膜することができる。これによって、希土類元素及びガス成分を除いた純度が5N以上であり、希土類元素とTaを除く遷移金属元素(Al、Fe、Cu等)の含有量がそれぞれ1wtppm以下である高純度ネオジムを成分とする膜を基板上に形成できる。基板上の膜はターゲットの組成が反映され、高純度のネオジム膜を形成できる。
ネオジム膜としての使用は、上記高純度ネオジムの組成そのものとして使用することができるが、他の材料と混合又は合金若しくは化合物としても形成可能である。この場合は、他の材料のターゲットとの同時スパッタ又はモザイクターゲットを使用してスパッタすることにより達成できる。本願発明はこれらを包含するものである。不純物の含有量は原料に含まれる不純物量によって変動するが、上記の方法を採用することにより、それぞれの不純物を上記数値の範囲に調節が可能である。
次に、実施例について説明する。なお、この実施例は理解を容易にするためのものであり、本発明を制限するものではない。すなわち、本発明の技術思想の範囲内における、他の実施例及び変形は、本発明に含まれるものである。
(実施例1)
処理するネオジムの原料として2N〜3Nの市販品を用いた。このネオジム原料の分析値を表1に示す。
(溶融塩電解)
この原料を用いて溶融塩電解を行った。溶融塩電解には、前記図1の装置を使用した。電解浴として、塩化カリウム(KCl)、塩化リチウム(LiCl)、塩化ネオジム(NdCl)を使用し、Nd原料は50kgとした。
電解浴の温度は600〜700℃の間で、本実施例では680℃に調節した。浴の温度の影響は電解に大きな影響を与えることはなかった。また、この温度では、塩の揮発は少なく、ゲートバルブや冷却塔を激しく汚染することはなかった。そして、アルゴン雰囲気下、溶融塩電解を行った。電解により得られた結晶形を図2に示す。
(脱塩処理)
次に、この電解析出物を、脱塩炉を使用し、真空加熱し、蒸気圧差によりメタルと塩とを分離した。脱塩処理後Ndの分析結果を表2に示す。この表2に示すように、溶融塩電解した結果から当然ではあるが、塩素濃度、カリウム濃度が極端に高く、性質が近似している希土類元素、アルカリ土類金属であるMg、Caの低下も十分では無いが、その他の不純物は低くなっていた。
(電子ビーム溶解)
次に、上記に得られたネオジムを電子ビーム溶解した。これによって、図3に示すようなEB溶解インゴットを作成した。電子ビーム溶解後のNdの分析結果を表3に示す。この表3に示すように、EB溶解時に、揮発性の高い物質は揮散除去され、Cl等の揮発成分の除去が可能となった。
以上によって、高純度ネオジムを製造することができた。この高純度ネオジムの分析値を表3に示す。この表3に示すように、ネオジム中のAl:0.05wtppm未満、Fe:0.02wtppm、Cu:0.06wtppmであり、それぞれ本願発明の条件である1wtppm以下の条件を達成していることが分かる。
次に、主な不純物の効果を示す。Li:<0.005wtppm、Na:<0.05wtppm、K:<0.05wtppm、Ca:<0.05wtppm、Mg:<0.01wtppm、Si:0.13wtppm、Ti:0.25wtppm、Ni:0.04wtppm、Mn:<0.01wtppm、Mo:<0.05wtppm、Ta:<10wtppm、W:<0.1wtppm、U:<0.005wtppm、Th:<0.005wtppmであった。また、炭素が150wtppm以下、とする本願発明の好ましい条件も全て達成していた。
このようにして得たネオジムインゴットを、必要に応じてホットプレスを行い、さらに機械加工し、研磨して円盤状ターゲットとした。これをさらにバッキングプレートに接合して、スパッタリング用ターゲットとする。これによって、上記成分組成の高純度ネオジムスパッタリング用ターゲットを得ることができた。なお、このターゲットは、酸化性が高いので、真空パックして保存又は運搬することが好ましいと言える。
(比較例1)
処理するネオジムの原料として、純度が2N〜3Nレベルの市販品を用いた。この場合、表1に示す実施例1と同一の純度を持つネオジム原料を使用した。
次に、スカル溶解を用い、インゴットを作製した。スカル溶解時に、揮発性の高い物質は若干揮散除去された。以上によって、ネオジムインゴットを製造することができた。このようにして得たネオジムの分析値を、表4に示す。
表4に示すように、ネオジム中のAl:160wtppm、Fe:0.12wt%、Cu:3wtppmであり、それぞれ本願発明の条件であるそれぞれ1wtppm以下の条件に達成していなかった。このように市販Ndをスカル溶解しただけでは、本願発明の目的を達成することができなかった。
主な不純物を見ると、Li:1.7wtppm、Na:<0.05wtppm、K:<0.05wtppm、Ca:<0.05wtppm、Mg:0.29wtppm、Si:150wtppm、Ti:9.5wtppm、Cr:5.8wtppm、Ni:2.1wtppm、Mn:12wtppm、Mo:40wtppm、Ta:52wtppm、W:22wtppm、U:2.5wtppm、Th:2.8wtppmであった。
上記実施例と比較例の対比から明らかなように、ネオジム原料のスカル溶解法による精製だけでは不純物含有量が多く、本願発明の目的を達成することができない。
実施例に示すように、ガス成分を除く純度が4N以下の粗ネオジムの原料を、溶融塩電解してネオジム結晶を得、次にこのネオジム結晶を、脱塩処理及び又は酸洗浄した後に、誘導溶解及び/又は電子ビーム溶解することにより、希土類元素及びガス成分を除いた純度を5N以上とすることが可能となる。
本発明によって得られる高純度ネオジム、高純度ネオジムから作製されたスパッタリングターゲットは、不純物が極めて低減したものであるので、特性を向上させた永久磁石や電子材料部品として有用である。

Claims (9)

  1. ガス成分を除く純度が4N以下のネオジム原料を溶融塩電解浴に入れ、浴温600〜700℃で溶融塩電解してネオジム結晶を得、次にこのネオジム結晶を脱塩処理した後、誘導溶解及び/又は電子ビーム溶解して、希土類元素及びガス成分を除く純度が5N以上とすることを特徴とする高純度ネオジムの製造方法。
  2. 溶融塩電解浴として、塩化カリウム(KCl)、塩化リチウム(LiCl)、塩化ネオジム(NdCl)からなる電解浴を使用することを特徴とする請求項1記載の高純度ネオジムの製造方法。
  3. ステンレス(SUS)製のアノードを使用して溶融塩電解を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の高純度ネオジムの製造方法。
  4. タンタル(Ta)製のカソードを使用して溶融塩電解を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の高純度ネオジムの製造方法。
  5. 希土類元素及びガス成分を除く純度が5N以上であり、希土類元素とTaを除く遷移金属元素の含有量がそれぞれ1wtppm以下であることを特徴とする高純度ネオジム。
  6. Taの含有量が10wtppm以下、U、Thがそれぞれ5wtppb以下、炭素が150wtppm以下であることを特徴とする請求項5記載の高純度ネオジム。
  7. 請求項5又は6記載の高純度ネオジムを用いて製造したスパッタリングターゲット。
  8. 請求項5又は6記載の高純度ネオジムを用いて製造した永久磁石。
  9. 請求項7記載のスパッタリングターゲットを用いて製造した永久磁石。
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