JP2014104737A - 立体造形装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】含浸剤を内部に良好に浸透させる立体造形物を造形することが可能な立体造形装置を提供する。
【解決手段】立体造形装置は、ヘッドから吐出する造形液によって、立体造形粉体を固化し、立体造形物を造形する。立体造形装置のCPUは、ヘッドの吐出位置の一部で、造形液の吐出が禁止されるように、造形データを変更する(S5)。CPUは、ヘッド及び造形台を駆動する(S11、S13)ことによって、ステージ上の立体造形粉体に対してヘッドから造形液を吐出し、粉体が部分的に固化した造形層を造形する。CPUは、立体造形物の表面の一部分である表面部分を形成させる場合、ヘッドの吐出位置の一部で、造形液の吐出を禁止する(S19)。これによってCPUは、単位面積当たりの造形液の吐出量を、立体造形物の表面の表面部分を除く他の表面部分を形成させるために吐出する造形液の単位面積当たりの吐出量よりも小さくする。
【選択図】図8
【解決手段】立体造形装置は、ヘッドから吐出する造形液によって、立体造形粉体を固化し、立体造形物を造形する。立体造形装置のCPUは、ヘッドの吐出位置の一部で、造形液の吐出が禁止されるように、造形データを変更する(S5)。CPUは、ヘッド及び造形台を駆動する(S11、S13)ことによって、ステージ上の立体造形粉体に対してヘッドから造形液を吐出し、粉体が部分的に固化した造形層を造形する。CPUは、立体造形物の表面の一部分である表面部分を形成させる場合、ヘッドの吐出位置の一部で、造形液の吐出を禁止する(S19)。これによってCPUは、単位面積当たりの造形液の吐出量を、立体造形物の表面の表面部分を除く他の表面部分を形成させるために吐出する造形液の単位面積当たりの吐出量よりも小さくする。
【選択図】図8
Description
本発明は、立体造形粉体に造形液を吐出し、立体造形粉体を固化することで立体造形物を造形する立体造形装置に関する。
従来、立体造形粉体(以下、単に「粉体」という場合がある。)と造形液とを混合して固化することで、立体造形物を造形する立体造形装置が知られている(例えば特許文献1参照)。立体造形装置は、平坦に配置した粉体に対し、インクジェットヘッドを用いて造形液を吐出する。粉体と造形液は、混合すると固化して立体造形物の層を形成する。以上の工程が、造形データに基づいて繰り返され、層が重ねられる。これによって、作業者が所望する形状の立体造形物が造形される。
立体造形装置によって造形した立体造形物を、含浸剤に浸漬させて使用する場合がある。例えば、含浸剤として硬化剤が用いられる場合がある。立体造形物を硬化剤に浸漬させることによって、その硬化剤を硬化させ、立体造形物の硬度を高めることができる。
しかしながら、立体造形物の表面は固化された状態であるため、含浸剤に浸漬しても、立体造形物内部に含浸剤が浸透し難い。このため、立体造形物の内部に含浸剤を浸透させることができないという問題点がある。
本発明の目的は、含浸剤を内部に良好に浸透させる立体造形物を造形することが可能な立体造形装置を提供することである。
本発明の立体造形装置は、造形液を混合することで固化する立体造形粉体に対して前記造形液を吐出することが可能な吐出手段と、前記吐出手段によって前記造形液を吐出し、前記立体造形粉体を固化することで造形層を形成し、前記造形層を重ねることで立体造形物を造形する制御を行う制御手段と、造形される前記立体造形物の場所に応じて、前記立体造形物を形成させるために吐出する前記造形液の、前記立体造形物の単位面積当たりの吐出量を調節する調節手段とを備えた立体造形装置であって、前記調節手段は、前記立体造形物の表面の一部分である表面部分を形成させるために吐出する前記単位面積当たりの吐出量を、前記立体造形物の表面の前記表面部分を除く他の表面部分を形成させるために吐出する前記単位面積当たりの吐出量よりも小さくすることを特徴とする。
本発明の立体造形装置は、立体造形物の表面の表面部分を形成させるために吐出する造形液の単位面積当たりの吐出量を、他の表面部分を形成させるために吐出する造形液の単位面積当たりの吐出量よりも小さくする。このため、造形された立体造形物の表面部分は、他の表面部分に比べて少ない造形液で固化された状態となるため、多くの隙間を有した状態になる。立体造形物を含浸剤に浸漬させた場合、この隙間に含浸剤が良好に浸透するので、立体造形物の内部まで含浸剤を浸透させることが可能となる。従って立体造形装置は、含浸剤に浸漬させた場合に内部まで含浸剤を浸漬させることが可能な立体造形物を造形することができる。
本発明の立体造形装置において、前記吐出手段は、前記造形液を吐出するヘッドを備え、前記制御手段は、前記立体造形粉体に対する複数の吐出位置で前記ヘッドから前記造形液を吐出させることによって前記造形層を形成し、前記調節手段は、前記表面部分を形成させるために前記造形液を吐出する前記ヘッドの前記複数の吐出位置のうち、特定の複数の吐出位置で前記造形液の吐出を禁止することによって、前記単位面積当たりの吐出量を調節してもよい。
本発明の立体造形装置において、前記調節手段は、前記造形液の吐出を禁止する特定の複数の吐出位置を、前記表面部分のうち特定の部分に密集させることによって、前記単位面積当たりの吐出量を調節してもよい。
本発明の立体造形装置において、前記調節手段は、前記造形液の吐出を禁止する特定の複数の吐出位置を、前記表面部分内に分散させることによって、前記単位面積当たりの吐出量を調節してもよい。
本発明の立体造形装置において、前記調節手段は、前記吐出位置のうち前記造形液の吐出を禁止する特定の複数の吐出位置の、単位面積当りの数を変化させることによって、前記単位面積当たりの吐出量を調節してもよい。
本発明の立体造形装置において、前記立体造形物の厚さに応じて、前記単位面積当たりの吐出量を決定する決定手段を備えてもよい。
本発明の立体造形装置において、前記調節手段は、前記立体造形物の内部の一部分である内部部分を形成させるために吐出する前記造形液の、前記立体造形粉体の単位面積当たりの吐出量を、前記立体造形物の内部の前記内部部分を除く他の内部部分を形成させるために吐出する前記単位面積当たりの吐出量よりも小さくしてもよい。
本発明の立体造形装置において、前記表面部分及び前記内部部分が隣接してもよい。
本発明の立体造形装置において、前記表面部分を受け付ける受付手段を備え、前記調節手段は、前記受付手段によって受け付けた前記表面部分を形成させるために吐出する前記単位面積当たりの吐出量を、前記他の表面部分を形成させるために吐出する前記単位面積当たりの吐出量よりも小さくしてもよい。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。図1の左下側及び右上側は、それぞれ、立体造形装置1の前側及び後側である。図1の左右方向及び上下方向は、それぞれ、立体造形装置1の左右方向及び上下方向である。
図1及び図2を参照して、立体造形装置1の構成について説明する。立体造形装置1は、造形データに従って、造形液を吐出するヘッド21等を駆動することで、立体造形物を造形することができる。立体造形装置1は、ネットワーク等を介して、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」という。)100から造形データを受信することができる。PC100は、物体の三次元形状及び色を示す立体データに基づいて造形データを作成し、立体造形装置1に提供する。なお立体造形装置1は、造形データを他のデバイスから取得してもよい。また立体造形装置1は、物体の三次元形状及び色を示す立体データをPC100から取得し、取得した立体データに基づいて造形データを作成してもよい。
図1に示すように、立体造形装置1は、土台2、造形台6、粉体供給機構14、平坦化ローラ18、ヘッド21、タンク31、及び粉体回収部13を主に備える。土台2は、左右方向を長手方向とする矩形板状に形成されており、立体造形装置1の全体を支持する。造形台6はステージ9を備える。立体造形物はステージ9上で造形される。粉体供給機構14は、造形台6の供給部12(図2参照)上に立体造形粉体を供給する。平坦化ローラ18は、供給部12上に載置された立体造形粉体を、ステージ9上へ移動させて平坦化し、立体造形粉体の層(以下、「粉体層」という。)を形成する。ヘッド21は、ステージ9上に形成された粉体層に造形液を吐出する。タンク31は、ヘッド21から吐出させる造形液を貯蔵する。粉体回収部13は、固化せずに立体造形物の周辺に残存した余分な立体造形粉体(以下、「未硬化粉体」という。)を回収する。以下、各構成について説明する。
造形台6について説明する。図1に示すように、造形台6は、造形台6を支持する基部7と、基部7の上部に支持される枠部8とを備える。基部7の左右の各々には、前後方向に貫通する貫通穴(図示せず)が形成されている。土台2の略中央には、前後方向に延びる2本のレール3が設けられている。2本のレール3は、土台2の前側端部に設けられた支持部4と、後側端部に設けられた支持部(図示せず)とによって、土台2の上面から所定の高さで支持されている。2本のレール3の各々は、基部7に形成された2つの貫通穴の各々を貫通する。
土台2の背面側端部には、造形台6を前後動させるための前後動モータ41(図3参照)が設けられる。前後動モータ41が駆動すると、キャリッジベルト(図示せず)を介して動力が造形台6に伝わり、造形台6は2本のレール3に沿って前後方向に移動する。粉体供給機構14、平坦化ローラ18、及びヘッド21は、造形台6のステージ9に対して前後方向に相対移動する。
なお、前後動モータ41は、粉体供給機構14、平坦化ローラ18、及びヘッド21を移動させてもよい。立体造形装置1は、粉体供給機構14、平坦化ローラ18、及びヘッド21をステージ9に対して相対移動させればよい。
図2に示すように、枠部8の形状は略立方体である。枠部8には、上面が開放された平面視略矩形状の凹部を中央に有する。枠部8は、該凹部においてステージ9(図1参照)を昇降可能に保持する。ステージ9の上面は水平に保たれている。枠部8の右側面には、ステージ9の下方の空間から未硬化粉体を粉体回収部13(図1参照)に導くための回収路10が接続される。枠部8の後端部近傍には、上面が開放された平面視矩形の凹部である粉体落下口11が設けられる。粉体落下口11には、粉体層を形成する際に平坦化ローラ18によって集積された余剰粉体が落下する。造形台6の正面側の上端部から、板状の供給部12が前方へ水平に延びる。供給部12には、粉体供給機構14が供給する立体造形粉体が載置される。
ステージ9(図1参照)は、造形台6に設けられたステージ昇降モータ42(図3参照)の動力によって昇降する。立体造形装置1は、昇降範囲の上部からステージ9を徐々に下降させながら立体造形物を造形する。ステージ9は、図示しないが、上部ステージ及び下部ステージを備える。上部ステージ及び下部ステージは、略同一形状の板状部材であり、水平に配置される。上部ステージ及び下部ステージは、厚み方向に貫通する複数の孔を共に備える。しかし、平面視において、上部ステージの孔の位置と、下部ステージの孔の位置とが重複しないように、上部ステージ及び下部ステージが形成されている。従って、ステージ9が静止している状態では、立体造形粉体はステージ9上に堆積する。未硬化粉体は上部ステージ及び下部ステージの孔から落下し、回収路10を通じて粉体回収部13に吸引される。
粉体供給機構14について説明する。図2に示すように、粉体供給機構14は、貯留部15、及び粉体供給ローラ16を備える。貯留部15の上部は、上方へ向けて徐々に前後方向の幅が広がる箱状に形成されている。貯留部15は、内部に立体造形粉体を貯留する。貯留部15の下部は開口となっており、貯留部15内の立体造形粉体は開口から落下する。粉体供給ローラ16は、貯留部15の下部の開口よりもやや上方に回転可能に設けられる。貯留部15と粉体供給ローラ16の間には隙間が無いため、立体造形粉体が隙間から下方へ落下することは無い。粉体供給ローラ16の回転軸は左右方向に延びる。粉体供給ローラ16は、貯留部15の右端及び左端において回転可能に支持される。粉体供給ローラ16の外周面には、左右方向に長く、且つ中心に向かって凹んだ凹部17が設けられる。凹部17には、貯留部15に貯留された立体造形粉体が溜まる。従って、粉体供給モータ44(図3参照)の動力によって粉体供給ローラ16が回転すると、凹部17に溜まった立体造形粉体が下方へ落下する。
平坦化ローラ18について説明する。平坦化ローラ18は、造形台6の供給部12に供給された立体造形粉体を、ステージ9上に移動させて平坦化し、粉体層を形成する。図2に示すように、平坦化ローラ18の回転軸19は、ステージ9の上面と平行な状態(つまり、水平な状態)で、造形台6の移動方向と交差する方向(左右方向)に延びる。回転軸19は、粉体回収部13(図1参照)に配置された平坦化ローラ回転モータ43(図3参照)に接続される。平坦化ローラ回転モータ43が駆動されると、平坦化ローラ18は右側面視反時計回りの方向に回転する。立体造形装置1は、粉体層を形成する場合、平坦化ローラ18を回転させながら造形台6を後方から前方へ移動させる。その結果、立体造形粉体は、ステージ9(図1参照)上で平坦化される。平坦化ローラ18の背面側に集積された余剰粉体は、造形台6の背面側に形成された粉体落下口11に落下する。
粉体供給機構14の貯留部15の正面に、板状のブレード20が固定される。ブレード20は、貯留部15の正面の壁面から前方斜め下方へ延び、平坦化ローラ18の背面側に隙間無く接触している。平坦化ローラ18に付着した立体造形粉体は、ブレード20によって除去される。さらに、ブレード20は、平坦化ローラ18の背面側の立体造形粉体が正面側に飛散することを防止することができる。よって、平坦化ローラ18によって形成された粉体層の上面は平坦に保たれる。飛散した立体造形粉体が、以下に述べるヘッド21に付着する可能性も低下する。
ヘッド21について説明する。ヘッド21は造形液を下方に吐出する。立体造形粉体は、吐出された造形液と混合されることによって固化する。本実施形態の立体造形装置1は、無色のクリア造形液と、着色されたカラー造形液とをヘッド21から吐出する。図1に示すように、造形台6の上方、且つ平坦化ローラ18の前方には、ヘッド21の左右方向の移動を案内するためのガイドレール23が設けられる。ガイドレール23は、立体造形装置1の左胴部39の右側面から右方へ真っ直ぐに水平に延び、粉体回収部13の左側面に接続される。ガイドレール23は、ヘッド21を左右方向に貫通している。ヘッド21は、ガイドレール23に沿って左右方向に移動できる。立体造形装置1の左胴部39には、ヘッド21を移動させるためのヘッド移動モータ45(図3参照)が設けられる。ヘッド移動モータ45が駆動されると、キャリッジベルト(図示せず)を介して動力がヘッド21に伝わり、ヘッド21が左右方向に移動する。
図2に示すように、ヘッド21は、4つのカラーヘッド24K,24M,24C,24Y、及び、クリアヘッド25を備える。カラーヘッド24Kは、ブラックの造形液を吐出する。カラーヘッド24Mは、マゼンタの造形液を吐出する。カラーヘッド24Cは、シアンの造形液を吐出する。カラーヘッド24Yは、イエローの造形液を吐出する。クリアヘッド25は、無色の造形液(クリア造形液)を吐出する。立体造形装置1は、造形液を貯蔵するタンク31を備える。タンク31は、複数のチューブからなる接続管29によってヘッド21に接続されており、接続管29を通じてヘッド21に造形液を供給する。
粉体回収部13は、図1に示すように、造形台6と右胴部40の間に配置される。粉体回収部13は、造形台6内の未硬化粉体を吸引するためのポンプ(図示せず)を備える。また、右胴部40の正面には、作業者からの操作入力を受け付けるため入力部及び表示部を備えた操作パネル53が設けられる。
図3を参照して、立体造形装置1の電気的構成について説明する。立体造形装置1は、立体造形装置1の制御を司るCPU50を備える。CPU50には、RAM51、ROM52、操作パネル53、外部通信I/F54、モータ駆動部55、及びヘッド駆動部56が、バス59を介して接続されている。
RAM51には、PC100から受信した造形データや設定情報等の各種データが一時的に記憶される。ROM52には、立体造形装置1の動作を制御するための制御プログラム、テーブル521(図10参照、後述)、及び初期値等が記憶される。外部通信I/F54は、立体造形装置1をPC100等の外部機器に接続する。なお、立体造形装置1は、USBインタフェース、インターネット等を介して、他のデバイス(例えば、USBメモリ、サーバ等)からデータを取得することも可能である。モータ駆動部55は、CPU50の制御に従って、前後動モータ41、ステージ昇降モータ42、平坦化ローラ回転モータ43、粉体供給モータ44、及びヘッド移動モータ45の各々の動作を制御する。ヘッド駆動部56はヘッド21に接続し、ヘッド21の各吐出チャンネルに設けられた圧電素子を駆動する。
立体造形装置1のCPU50は、ヘッド21から造形液を吐出させる場合の吐出制御を、PC100から取得した造形データに基づいて行う。本実施形態においてCPU50は、立体造形装置1によって造形された立体造形物が含浸剤に浸漬された場合に、立体造形物の内部に含浸剤が良好に浸透するように、造形データを変更する。CPU50は、変更した造形データに基づいて、造形液の吐出制御を行う。具体的には次の通りである。
CPU50は、ヘッド移動モータ45を制御することによって、ガイドレール23に沿ってヘッド21を左右方向に移動させ、且つ、前後動モータ41を制御することによって、レール3に沿って造形台6を前後方向に移動させる。これによってCPU50は、ステージ9上の粉体層に対するヘッド21の位置を相対的に変化させることで、ヘッド21を粉体層に対して二次元方向(左右方向及び前後方向)の複数の位置(以下、「複数のヘッド位置」という。)に配置させることができる。
造形データには、吐出位置情報及びヘッド種別が対応付けられたデータが、積層される造形層毎に含まれる。なお、吐出位置情報は、粉体層に対するヘッド21の複数の位置(複数のヘッド位置)のうち、造形液の吐出によって立体造形粉体を固化させる複数の位置(以下、「複数の吐出位置」という。)を示す情報である。ヘッド種別は、カラーヘッド24K,24M,24C,24Y、及び、クリアヘッド25の種別を示す情報である。造形層は、粉体層の立体造形粉体が、造形液の吐出によって部分的に固化したものである。なお造形データには、ステージ9上の粉体層のうち立体造形物を造形する部分に対応する全てのヘッド位置を示す吐出位置情報が含められる。
なお、ヘッド21には、カラーヘッド24K,24M,24C,24Y、及び、クリアヘッド25が含まれており、夫々は左右方向に並んで配置されている。このため厳密には、特定のヘッド位置にヘッド21が配置した状態で、カラーヘッド24K,24M,24C,24Y、及び、クリアヘッド25の夫々の位置は異なる。本実施形態では、説明を容易化するために、特定のヘッド位置にヘッド21が配置した状態でステージ9上の粉体層に対して造形液が吐出された場合、粉体層に付着する造形液の位置がカラーヘッド24K,24M,24C,24Y、及び、クリアヘッド25に依らず一致するように、夫々の造形液の吐出方向が調整されているものとする。
PC100は、造形データを作成し、立体造形装置1に提供する。立体造形装置1のCPU50は、PC100から取得した造形データに基づいて、造形液の吐出制御を行う。ここで通常、CPU50は、複数のヘッド位置のうち、造形データに含まれる吐出位置情報によって示される複数の吐出位置で、ヘッド種別によって示される種別のヘッド21から造形液を吐出させる制御を行う。CPU50は、ステージ9を徐々に下降させながら、ヘッド21から造形液を吐出させる制御を繰り返す。これによって、立体造形粉体が部分的に固化された粉体層、即ち造形層が積層され、立体造形物が最終的に造形される。
図4を参照し、直方体状の立体造形物103が立体造形装置1によって造形される場合を例に挙げて説明する。図4の左側、右側、左斜め下側、右斜め上側、上側、及び下側を、夫々、立体造形物103の前側、後側、右側、左側、上側、及び下側という。W1は、立体造形物103を構成する造形層103A、103B、103C・・・103D、103Eの一部(後方右側の角部分)を上方から見た拡大図である。
W1のうち複数の丸線(丸実線及び丸点線)は、ヘッド21が二次元方向(左右方向及び前後方向)に相対移動した場合の複数の位置である複数のヘッド位置106を示している。後述する図5、7、11についても同様である。このように複数のヘッド位置106は、左右方向及び前後方向に隣接して整列配置される。ここで造形データには、複数のヘッド位置106のうち、立体造形物103の平面視形状である長方形の内部102(W1のうち、太線105に対して左上側の領域)に配置される複数の吐出位置107(丸実線)を示す吐出位置情報が全て含まれる。なお、これらの吐出位置情報には、夫々、ヘッド21の種別を示すヘッド種別が対応付けられる。
CPU50は、複数の吐出位置107にヘッド21が配置された状態で、ヘッド種別によって示されるヘッド21(カラーヘッド24K,24M,24C,24Y、及び、クリアヘッド25のいずれか)から、造形液を吐出させる。一方、複数の吐出位置107(丸実線)を除く複数のヘッド位置108(丸点線)に配置したヘッド21からは、造形液を吐出させない。これによって、吐出された造形液によって長方形状の領域が固化された粉体層、即ち、立体造形物103を構成する一部の造形層(例えば造形層103E)が造形される。
CPU50は、ステージ9を徐々に下降させながら、複数の吐出位置107にヘッド21が配置された状態でヘッド21から造形液を吐出させる処理を繰り返す。これによって、複数の造形層(例えば、造形層103E、103D、・・・103C、103B、103A)は順番に積層され、直方体状の立体造形物103が最終的に造形される。
上述の場合、長方形の内部102に配置される複数のヘッド位置106の全て(即ち、複数の吐出位置107)で、ヘッド21から造形液が吐出されることになる。このため、粉体層のうち固化された部分の密度は高く、隙間が非常に少ない状態となっている。従って、立体造形物103が含浸剤に浸漬された場合、含浸剤は隙間を通って立体造形物103の内部に浸透し難い。従って、例えばユーザが、含浸剤として硬化剤を使用し、立体造形物103の硬度を向上させるために立体造形物103を硬化剤に浸漬させた場合、立体造形物103の内部の硬度を硬化剤によって向上させることは難しい。
これに対し、本実施形態においてCPU50は、造形される立体造形物103に対して含浸剤が良好に浸透するように、造形データの吐出位置情報を変更する。CPU50は、吐出位置情報を変更した造形データに基づいて、造形液の吐出制御を行う。変更後の造形データに基づいて造形液の吐出制御が行われ、直方体状の立体造形物113(図5参照)が造形される場合を例に挙げて説明する。
図5を参照し、直方体状の立体造形物113が立体造形装置1によって造形される場合を例に挙げて説明する。図5の左側、右側、左斜め下側、右斜め上側、上側、及び下側を、夫々、立体造形物113の前側、後側、右側、左側、上側、及び下側という。W2は、造形層113Aの一部(後方右側の角部分)を上方から見た拡大図である。
CPU50は、立体造形物113を構成する造形層113A、113B、113C、・・・113D、113Eのうち、上側の表面部分113Fを構成する造形層113Aを造形するための造形データの吐出位置情報を変更する。具体的には、CPU50は、複数の吐出位置107のうち、特定の複数の吐出位置109A、109B・・・等からの造形液の吐出が禁止されるように、造形データの吐出位置情報を変更する。以下、特定の複数の吐出位置109A、109Bを、夫々、「複数の吐出禁止位置109A、109B」ともいい、複数の吐出禁止位置109A、109B等を総称し、「複数の吐出禁止位置109」ともいう。複数の吐出禁止位置109A、109Bは、夫々、隣接して密集配置した約10個の吐出禁止位置を含む。また複数の吐出禁止位置109A、109Bは、夫々、全体として略円形を形成する。
複数の吐出禁止位置109では、造形液の吐出が禁止されるので、変更された造形データに基づいてCPU50が造形液の吐出制御を行った場合、これらの部分で立体造形粉体は固化されない。このため、最終的に造形される立体造形物113の上側の表面部分113Fには、断面形状が略円形の複数の穴114(穴114A、114B)が形成される。なお、複数の穴114の夫々の直径は、ヘッド21が左右方向に吐出位置4個分移動する場合の移動距離と略同一である。また、複数の穴114の深さは、造形層114Aの上下方向の長さ(厚さ)と略同一である。
ここで、表面部分113Fを構成する造形層113Aを造形するためにヘッド21から吐出された造形液の総量(Sと表記する。)を、表面部分113Fの面積(Qと表記する。)で除算した値 S/Q、即ち、表面部分113Fを造形するためにヘッド21から吐出される造形液の単位面積当りの吐出量(Mと表記する。M=S/Q)は、例えば、立体造形物113の下側の表面部分113Sを構成する造形層113Eを造形するためにヘッド21から吐出された造形液の総量(Rと表記する。)を、表面部分113Sの面積(表面部分113Fの面積と同一である。)Qで除算した値 R/Q、即ち、表面部分113Sを造形するためにヘッド21から吐出される造形液の単位面積当りの吐出量(Nと表記する。N=R/Q)よりも小さくなる(M<N)。理由は、表面部分113Fを構成する造形層113Aを造形する場合、複数の吐出禁止位置109で造形液の吐出が禁止されるためである。即ち、S<Rの関係が成立するためである。
更に、立体造形物113を構成する他の造形層113B、113C、113D等の夫々を造形するためにヘッド21から吐出された造形液の総量は、造形層113Eの場合の総量Rと同一であり、且つ、各層の面積は、表面部分113Aの面積Qと同一である。このため、表面部分113Fを構成する造形層113Aを造形するためにヘッド21から吐出された造形液の単位面積当りの吐出量M(=S/Q)は、造形層113B、113C、113D等の夫々を造形するためにヘッド21から吐出された造形液の単位面積当りの吐出量N(=R/Q)よりも小さくなる(M<N)。
造形された立体造形物113が含浸剤に浸漬された場合、含浸剤は、表面部分113Fに形成された複数の穴114を通って内部に浸透し易くなる。従って、例えばユーザが含浸剤として硬化剤を使用し、立体造形物113を硬化剤に浸漬させた場合、硬化剤を立体造形物113の内部に浸透させることによって、立体造形物113の内部の硬度を向上させることが可能になる。
以上のように、CPU50は、立体造形物113の表面部分113Fを造形するために吐出する造形液の単位面積当たりの吐出量を、他の表面部分(例えば113S)や、内部の造形層113B、113C、・・・113Dを形成させるために吐出する造形液の単位面積当たりの吐出量よりも小さくする。このため、造形された立体造形物113の表面部分113Fは、他の表面部分に比べて少ない造形液で固化された状態となるため、多くの隙間(上述の場合、複数の穴114)を有した状態になる。立体造形物113を含浸剤に浸漬させた場合、この隙間に含浸剤が良好に浸透するので、立体造形物113の内部まで含浸剤を浸透させることが可能となる。
なお、上述においてCPU50は、造形液の吐出を禁止する複数の吐出禁止位置109を、特定の部分に密集させ隣接配置させることによって、複数の穴114を形成させる。このため、立体造形物113を含浸剤に浸漬させた場合、含浸剤は、複数の穴114から内部に良好に浸透する。
またCPU50は、ヘッド21からの造形液の吐出を、複数の吐出禁止位置109で禁止することによって、単位面積当りの造形液の吐出量を容易に調節できる。
なお、造形データの吐出位置情報の変更方法は、上述の例に限定されない。例えばCPU50は、断面形状が略多角形となるように配置される複数の吐出禁止位置109で造形液の吐出を禁止させるように、造形データの吐出位置情報を変更してもよい。CPU50は、変更された造形データに基づいて造形層113Aを造形する場合、複数の吐出禁止位置109で造形液の吐出を禁止することによって、断面形状が略多角形の複数の穴114を、立体造形物113の表面部分113Fに形成させてもよい。
例えばCPU50は、隣接配置される数個の吐出禁止位置109で造形液の吐出が禁止されるように、造形データの吐出位置情報を変更してもよい。CPU50は、変更された造形データに基づいて造形層113Aを造形する場合、隣接配置される数個の吐出禁止位置109で造形液の吐出を禁止することによって、立体造形物113の表面部分113Fに形成させる穴114の直径を、図5の場合よりも小さくしてもよい。なお、隣接配置される吐出禁止位置109の数を数個とした場合、穴114は造形層113Aを貫通せずに凹みとして形成される場合もある。また例えばCPU50は、隣接配置される数十個の吐出禁止位置109で造形液の吐出が禁止されるように、造形データの吐出位置情報を変更してもよい。CPU50は、変更された造形データに基づいて造形層113Aを造形する場合、隣接配置される数十個の吐出禁止位置109で造形液の吐出を禁止することによって、立体造形物113の表面部分113Fに形成させる穴114の直径を、図12の場合よりも大きくしてもよい。
例えばCPU50は、造形層113A以外の造形層(造形層113B、113C・・・等)の夫々に複数の穴114が形成されるように、夫々の造形層を造形するための造形データを変更してもよい。以下、詳説する。
図6を参照し、造形層113Aに複数の穴114を形成し、且つ、造形層113Aの下側に積層した造形層113Bに複数の穴115を形成する場合について説明する。図6の左側、右側、左斜め下側、右斜め上側、上側、及び下側を、夫々、立体造形物113の前側、後側、右側、左側、上側、及び下側という。なお図6では、説明を容易化するため、造形層113Aと他の造形層(造形層113B、造形層113C、・・・造形層113D、造形層113E)とを離隔させている。実際には、造形層113Aは造形層113Bの上側に積層する。
CPU50は、造形層113Aを造形するための造形データの吐出位置情報を、複数の吐出禁止位置109からの造形液の吐出が禁止されるように変更する。加えてCPU50は、造形層113Bを造形するための造形データの吐出位置情報を、複数の吐出禁止位置109からの造形液の吐出が禁止されるように変更する。複数の吐出禁止位置109は、造形層113Aの造形データを変更する場合と、造形層113Bの造形データを変更する場合とで同一とする。CPU50は、変更した造形データに基づき、造形層113A、113Bを造形する。複数の吐出禁止位置109に配置したヘッド21からの造形液の吐出が禁止されることで、造形層113Aに複数の穴114が形成され、造形層113Bに複数の穴115が形成される。
なお、造形層113Aに形成された複数の穴114と、造形層113Bに形成された複数の穴115とで、前後方向及び左右方向(即ち水平方向)の位置は一致する。このため、造形層113A、113Bが積層した場合、複数の穴114と複数の穴115とは上下方向に連通する。結果として、立体造形物113の表面には、図5の場合と比較して深さが2倍の複数の穴116が形成されることになる。
穴116が形成された立体造形物113が含浸剤に浸漬された場合、含浸剤は複数の穴116を通り、立体造形物113のより内部に浸透する。従って例えばユーザが、含浸剤として硬化剤を使用した場合、より内部に硬化剤を浸透させることによって、立体造形物113のより内部の硬度を向上させることができる。
例えばCPU50は、造形層113Bの下側に積層した造形層113Cや、造形層113E及び造形層113Eの上側に積層した造形層113Dを造形するための造形データの吐出位置情報を、複数の吐出禁止位置109からの造形液の吐出が禁止されるように変更してもよい。CPU50は、変更した造形データに基づき、複数の穴が設けられた造形層113C、113D、113Eを造形してもよい。これによって、立体造形物113の内部の造形層113B、113C、113Dはより少ない造形液で立体造形粉体が固化されていることになる。このため、立体造形物113が含浸剤に浸漬された場合、含浸剤は立体造形物113の内部までより浸透し易くなる。このようにして立体造形装置1は、より多くの含浸剤を内部に浸透させることが可能な立体造形物113を作成できる。
図7を参照し、立体造形物113の右側の表面部分113G、及び、後側の表面部分113Hに複数の穴114を形成する場合について説明する。図7の左側、右側、左斜め下側、右斜め上側、上側、及び下側を、夫々、立体造形物113の前側、後側、右側、左側、上側、及び下側という。W3は、造形層113B、113C、113Iの一部(後方右側の角部分)を上方から見た拡大図である。W3に含まれる太線105のうち左右方向に延びる太線105Aは、造形層113B、113C、113Iのうち表面部分113Gを構成する部分に相当し、上下方向に延びる太線105Bは、造形層113B、113C、113Iのうち表面部分113Hを構成する部分に相当する。
CPU50は、立体造形物113を構成する造形層113A、113B、113C、113I、113J・・・のうち、造形層113B、113C、113Iを造形するための造形データの吐出位置情報を変更する。具体的には、CPU50は、複数の吐出位置107のうち、複数の吐出禁止位置109C、109Dからの造形液の吐出が禁止されるように、113B、113C、113Iを造形するための造形データの吐出位置情報を変更する。なお、造形層113B、113C、113Iは、立体造形物113の上側の表面部分113Fを含む造形層113Aに対して下方向に順番に積層する。
複数の吐出禁止位置109Cは、太線105Aに近接配置される。複数の吐出禁止位置109Cのうち最も右側に配置される吐出禁止位置109Cは、太線105Aに接する。複数の吐出禁止位置109Dは太線105Bに近接配置される。複数の吐出禁止位置109Dのうち最も後側に配置される吐出禁止位置109Dは、太線105Bに接する。複数の吐出禁止位置109C、109Dの夫々は、計16個の吐出位置が、左右方向及び前後方向に4個ずつ隣接する。
変更された造形データに基づいて、113I、113C、113Bが順番に造形された場合、複数の吐出禁止位置109C、109Dに対応する部分で立体造形粉体は固化されない。このため、造形層113B、113C、113Iが積層されることによって立体造形物113が造形された場合、右側の表面部分113Gには、複数の吐出禁止位置109Cに対応する穴114Cが形成される。また、後側の表面部分113Hには、複数の吐出禁止位置109Dに対応する穴114Dが形成される。
穴114C、114Dの夫々の断面形状は、略四角形である。穴114C、114Dの夫々の水平方向の辺の長さは、ヘッド21が左右方向に吐出位置4個分移動する場合の移動距離と略同一である。穴114C、114Dの夫々の上下方向の辺の長さは、造形層3層分の厚さと略同一である。穴114C、114Dの深さは、ヘッド21が左右方向に吐出位置4個分移動する場合の移動距離と略同一である。
なお、図示されていないが、立体造形物113の表面部分113G、113Hには、穴114C、114Dと同一形状の複数の穴114が複数形成されてもよい。また、立体造形物113の左側の表面部分、及び、前側の表面部分にも同様に、穴114C、114Dと同一形状の複数の穴114が形成されてもよい。
複数の穴114が立体造形物113の前後側及び左右側の表面部分(即ち側面部分)に形成されることによって、立体造形物113が含浸剤に浸漬された場合、含浸剤は複数の穴114を通って内部に浸透し易くなる。より多くの表面部分に複数の穴114が形成されることによって、例えばユーザが含浸剤として硬化剤を使用した場合、硬化剤を立体造形物113隅々まで浸透させることができる。
なお上述の例では、説明を容易化するために、穴114C、114Dの断面形状を略四角形とした。これに対してCPU50は、断面形状が円形や略四角形以外の略多角形となるように配置される複数の吐出禁止位置109で造形液の吐出を禁止させるように、造形データの吐出位置情報を変更してもよい。CPU50は、変更された造形データに基づいて造形層113B、113C、113Iを造形する場合、複数の吐出禁止位置109で造形液の吐出を禁止することによって、断面形状が略円形や略多角形の複数の穴114を、立体造形物113の表面部分113G、113Hに形成させてもよい。
またCPU50は、隣接配置される数個の吐出禁止位置109C、109Dで造形液の吐出が禁止されるように、造形データの吐出位置情報を変更してもよい。CPU50は、変更された造形データに基づいて造形層113B、113C、113Iを造形する場合、数個の吐出禁止位置109C、109Dで造形液の吐出を禁止することによって、立体造形物113の表面部分113G、113Hに形成させる穴114の辺の長さ及び深さを小さくしてもよい。また例えばCPU50は、隣接配置される数十個の吐出禁止位置109C、109Dで造形液の吐出が禁止されるように、造形データの吐出位置情報を変更してもよい。CPU50は、造形層113B、113C、113Iを造形する場合、隣接配置される数十個の吐出禁止位置109C、109Dで造形液の吐出を禁止することによって、立体造形物113の表面部分113G、113Hに形成させる穴114の辺の長さ及び深さを大きくしてもよい。
図8及び図9を参照し、立体造形装置1のCPU50によって実行される立体造形処理について説明する。立体造形処理は、操作パネル53の入力部を介して立体造形物の造形を開始する指示が入力された場合に、ROM52に記憶されたプログラムをCPU50が読み出して実行することによって、開始される。
図8に示すように、CPU50は、はじめに初期化処理を実行する(S1)。初期化処理によって、ヘッド21が造形液を吐出できる状態となる。CPU50は、粉体供給機構14の下側に供給部12が配置される状態となるまで、前後動モータ41を駆動して造形台6を前後方向に移動させる。CPU50は、RAM51に記憶されているデータを消去する。CPU50は、RAM51に記憶された変数Z(詳細は後述する。)に1を記憶することによって、変数Zを初期化する。
図8に示すように、CPU50は、立体造形物113を造形するための造形データ、及び設定情報が、RAM51に記憶されているか否かを判断する(S3)。なお、設定情報は、立体造形物113に形成させる複数の穴114の条件を含む情報である。複数の穴114の条件には、立体造形物113の表面部分のうち特定の表面部分、及び、浸透レベルが含まれる。特定の表面部分は、複数の穴114を形成させる表面部分である。浸透レベルは、造形される立体造形物113を含浸剤に浸漬させた場合における、含浸剤の浸透度合いを示す値である。浸透レベルとして、「大」「中」「小」の何れかを示す情報が設定される。
PC100から造形データ及び設定情報を受信しておらず、RAM51に造形データ及び設定情報が記憶されていない場合(S3:NO)、処理はS3に戻り、CPU50は処理を繰り返す。
ユーザはPC100に対して、立体造形装置1に対して送信する造形データを選択する入力操作を行う。またユーザは、設定情報の入力操作を行う。そしてユーザは、PC100から立体造形装置1に対する造形データ及び設定情報の送信指示を入力する。PC100は、立体造形装置1に対して造形データ及び設定情報を送信し、立体造形装置1は造形データ及び設定情報を受信する。
CPU50は、外部通信I/F54を介してPC100から造形データ及び設定情報を受信し、RAM51に記憶する。RAM51に造形データ及び設定情報が記憶された場合(S3:YES)、CPU50は、設定情報に基づいて造形データを変更する処理(データ変更処理、図9参照)を実行する(S5)。
図9を参照し、データ変更処理について説明する。CPU50は、RAM51に記憶された造形データ及び設定情報を読み込む(S31)。CPU50は、操作パネル53の表示部に設定情報(特定の表面部分及び浸透レベル)を表示し、ユーザに通知する。CPU50は、操作パネル53の入力部を介してユーザが設定情報を変更する入力操作を行ったか判断する(S33)。ユーザが設定情報を変更する入力操作を行った場合(S33:YES)、CPU50は、入力操作に応じて、RAM51に記憶された設定情報を変更する(S35)。処理はS37に進む。一方、設定情報を変更する入力操作が行なわれていない場合(S33:NO)、処理はS37に進む。
例えばユーザは、造形される立体造形物113のうち、使用時に視認され難い表面部分に複数の穴114が形成されるように、複数の穴114が形成される表面部分を立体造形装置1に対して入力することができる。例えば、立体造形物113がテーブルや台の上に載置されて使用される場合、立体造形物113のうちテーブルや台に接する表面部分を、複数の穴114が形成される表面部分として入力する。造形された立体造形物113が使用される場合、形成された複数の穴114は、テーブルや机によって隠れ、視認され難くなる。従って、複数の穴114が形成された場合に立体造形物113の見栄えを良好に維持できる。
なお、特定の表面部分は、設定情報に含まれていなくてもよい。CPU50は、ユーザの入力操作によって受け付けた特定の表面部分を、複数の穴114を形成させる表面部分として決定し、設定情報に対応づけてもよい。
CPU50は、RAM51に記憶された設定情報に基づき、造形する立体造形物113のうち、複数の穴114を形成させる表面部分を決定する。CPU50は、複数の穴114を形成させる表面部分が特定の表面部分として設定情報に含まれている場合(S37:YES)、設定情報に基づいて、複数の穴114を形成させる表面部分を決定する(S39)。処理はS45に進む。
一方、複数の穴114を形成させる表面部分が設定情報に含まれていない場合(S37:NO)、CPU50は、造形される立体造形物113に、無色の表面部分が含まれているか判断する(S41)。なお、無色の表面部分は、クリアヘッド25から吐出されるクリア造形液によって立体造形粉体が固化されることで造形される。このためCPU50は、造形される立体造形物113の表面部分のうち、クリアヘッド25から吐出されるクリア造形液によって造形される表面部分があるか判断することで、無色の表面部分が立体造形物113に含まれているか判断する。無色の表面部分が立体造形物113に含まれている場合(S41:YES)、CPU50は、無色の表面部分を、複数の穴144を形成させる表面部分として決定する(S43)。処理はS45に進む。
無色の表面部分を、複数の穴114を形成させる表面部分として決定する理由は、無色の表面部分は、立体造形物113が使用される場合に目立たない部分となる可能性が高いためである。このため、このような部分に複数の穴114を形成させたとしても、立体造形物113の見た目が大きく悪化する可能性は小さい。
一方、無色の表面部分が立体造形物113に含まれていない場合(S41:NO)、CPU50は、操作パネル53の表示部に、複数の穴114を形成させる表面部分の入力をユーザに対して促す文字を表示する。処理はS33に戻る。CPU50は、操作パネル53の入力部を介して複数の穴114を形成させる表面部分を入力する操作がなされることを、継続して待ち受ける。そして、複数の穴114を形成させる表面部分の入力がユーザによってなされた場合(S33:YES)、CPU50は、入力された複数の穴114の表面部分を、複数の穴114の条件としてRAM51に記憶することで、設定情報を変更する(S35)。CPU50は、変更した設定情報に基づいて、造形される立体造形物113のうち複数の穴114を形成する表面部分を決定する(S37:YES→S39)。
S45において、CPU50は、立体造形物113の厚さを決定する(S45)。立体造形物113の厚さを決定する具体的な方法の一例について、以下に説明する。
CPU50は、RAM51に記憶された造形データに含まれる吐出位置情報に基づき、造形される立体造形物113の三次元形状を復元する。CPU50は、復元した立体造形物113の三次元形状を示す座標情報を算出する。なお造形データには、立体造形物113を造形する部分に対応する全てのヘッド位置を示す吐出位置情報が含められている。このためCPU50は、造形される造形層の夫々の上下方向の長さ、即ち、ステージ9を段階的に下降させる場合の夫々の下降量と、吐出位置情報とに基づいて、造形される立体造形物113の三次元形状を示す座標情報を算出できる。
CPU50は、立体造形物113の重心を特定する。次いでCPU50は、特定した重心を通る複数の平面によって立体造形物113を切断した複数の断面のうち、最も面積の広い断面を特定する。なおこの断面は、重心を通り且つステージ9に平行な断面、又は、この断面に直行する断面の中から選択することによって、簡易的に特定してもよい。次いでCPU50は、特定した断面を通り、特定した断面に直交する複数の直線を特定する。最後にCPU50は、特定した直線と立体造形物113の表面部分とが交差する2点を、夫々の直線毎に複数特定し、複数の2点間の距離のうちもっとも大きい距離を、立体造形装置113の厚さとして決定する。
なお、立体造形物113の厚さを特定する方法は、上述の方法に限定されない。例えばCPU50は、立体造形物113における造形層の積層方向の長さを、厚さとして決定してもよい。また例えばCPU50は、立体造形物113の厚さを示す情報を、表面部分毎にPC100から取得してもよい。例えば、造形データに、厚さを示す情報が含まれていてもよい。CPU50は、PC100から造形データを取得することによって、厚さを示す情報を同時に取得してもよい。
次にCPU50は、決定した厚さをテーブル521(図10参照)に適用することによって、複数の穴114の形状(径及び深さ)を特定する(S47)。以下、図5及び図6に示すように、立体造形物113の上側の表面部分113F、即ち、造形層113A、113B・・・と平行な表面部分113Fが、複数の穴114を形成させる表面部分(決定表面部分)として決定された場合を例に挙げて説明する。
図10に示すように、テーブル521では、厚さが3段階(d1(mm)未満、d1以上d2(mm)未満、及び、d2以上)(但し、0<d1<d2)に区分されている。またテーブル521には、厚さの3つの区分のうち、d1以上d2未満及びd2以上の夫々に、複数の穴114の夫々の径(r1(mm)及びr2(mm))(但し、r1<r2)の夫々が対応付けられている。なお、厚さの区分のうちd1未満に径は対応付けられない。またテーブル521では、厚さの3つの区分のうち、d1以上d2未満及びd2以上の夫々に、浸透レベル(大、中、小)の夫々が対応付けられている。また、夫々の浸透レベルに対し、造形層の層数が対応付けられている。
CPU50は、S35で決定した厚さをテーブル521に適用させることによって、複数の穴114の径を特定する。具体的には次の通りである。CPU50は、決定した厚さがd1未満である場合、立体造形物113の表面部分113Fに複数の穴114を形成させない。CPU50は、決定した厚さがd1以上d2未満である場合、立体造形物113の表面部分113Fに形成させる複数の穴114の径を、r1に特定する。CPU50は、決定した厚さがd2以上である場合、立体造形物113の表面部分113Fに形成させる複数の穴114の径を、r2に特定する。
またCPU50は、S45で決定した厚さ、及び、設定情報に含まれる浸透レベルを、テーブル521に適用させることによって、複数の穴114の深さを特定する。CPU50は、決定した厚さがd1以上d2未満である場合であって、浸透レベルが「大」である場合、表面部分113Fを構成する造形層113Aと、その内側に積層する3層分の造形層113B、113C、113Iの合計4層分の造形層の夫々に対して、複数の穴114、115等の夫々を形成させる。浸透レベルが「中」である場合、造形層113A、113B、113Cの合計3層分の造形層の夫々に対して、複数の穴114、115等を形成させる。浸透レベルが「小」である場合、造形層113A、113Bの合計2層分の造形層の夫々に対して、複数の穴114、115を形成させる。夫々の造形層には、複数の穴114、115等が同一位置に形成されるので、複数の穴114、115等が形成された複数の造形層が積層された場合、夫々に形成された複数の穴114、115等は積層方向(上下方向)に連通し、深さの深い複数の穴(例えば複数の穴116、図6参照)が形成されることになる。以上のようにしてCPU50は、複数の穴の深さを特定する。
以上のように、CPU50は、立体造形物113の厚さに応じて、複数の穴114、115等の大きさ及び深さを決定することができる。またCPU50は、テーブル521を適用することによって、厚さが大きくなる程(d1→d2)、複数の穴114、11等の径を大きくする(r1→r2)ことができる。立体造形物113の厚さが厚い場合により大きな径の複数の穴114を立体造形物113に形成させることができるので、立体造形物113が含浸剤に浸漬された場合、含浸剤は、立体造形物113の内部まで確実に浸透する。なお本発明は、厚さに応じて複数の穴114、115等の大きさ及び深さを変更しなくてもよい。複数の穴114、115の大きさ及び深さは、予め設定情報として設定されていてもよい。
なお、複数の穴114の夫々の径が大きくなった場合、表面部分113Fを構成する造形層113Aを造形するためにヘッド21から吐出された造形液の単位面積当りの吐出量は、複数の穴114の夫々の径が小さい場合と比較して小さくなる。従ってCPU50は、立体造形物113の厚さに応じて、立体造形粉体の単位面積あたりに吐出する造形液の吐出量を変化させていることになる。このようにCPU50は、立体造形物113の厚さに応じて複数の穴114の径を変化させ、単位面積当たりの吐出量を決定することによって、立体造形物113内部に含浸剤を浸透させるために適切な量の造形液を立体造形粉体に吐出できる。このため立体造形装置は、必要十分な量の造形液によって立体造形粉体を良好に固化させつつ、造形液を効果的に浸透させることが可能な立体造形物113を造形することができる。
CPU50は、上述のようにして決定した複数の穴114の形状(径及び深さ)に基づき、複数の穴114を形成させるために造形液の吐出を禁止する位置を決定する(S48)。CPU50は、決定した位置に基づき、造形データを変更する(S49)。具体的には次の通りである。
CPU50は、表面部分113Fを構成する造形層113Aを造形するための造形データの吐出位置情報によって示される複数の吐出位置のうち、決定した径の複数の穴114を所定の間隔で形成させるために造形液の吐出を禁止する複数の位置を、複数の吐出禁止位置109として設定する。またCPU50は、表面部分113Fを構成する造形層113Aの内側に積層する複数の造形層113B、113C・・・のうち、テーブル521に基づいて特定された層数から1減算した層数分の造形層を特定する。CPU50は、特定した造形層を造形するための造形データの吐出位置情報によって示される複数の吐出位置のうち、決定した径の複数の穴114を所定の間隔で形成させるために造形液の吐出を禁止する複数の位置を、複数の吐出禁止位置109として設定する。データ変更処理は終了し、処理は立体造形処理(図8参照)に戻る。
なお、例えば図7に示すように、造形層113A、113B・・・と交差する表面部分113G、113Hが、決定表面部分として決定された場合、CPU50は、テーブル521に基づいて特定される径を、略四角形状の穴114の辺の長さとして特定する。またCPU50は、テーブル521に基づいて特定された層数分造形層を積層した場合の上下方向の長さ(厚さ)を算出し、複数の穴114の深さとして特定する。以上のようにしてCPU50は、複数の穴114の形状を特定する(S47)。
CPU50は、決定した複数の穴114の形状に基づき、複数の穴114を形成させるために造形液の吐出を禁止する位置を決定する(S48)。CPU50は、決定した位置に基づき、造形データを変更する(S49)。具体的には次の通りである。CPU50は、決定した径の複数の穴114C、114Dを所定の間隔で表面部分113G、113Hに配置した場合に、複数の穴114C、114Dと重なる造形層113B、113C、113Iを選択する。CPUは、造形層113B、113C、113Iのうち表面部分113G、113Hを構成する部分(太線105A、105B)から内側に、S47で特定した深さに対応する数隣接する吐出位置を、造形液の吐出を禁止する複数の位置として特定する。CPU50は、選択した造形層113B、113C、113Iを造形するための造形データの吐出位置情報によって示される複数の吐出位置のうち、造形液の吐出を禁止する複数の位置を、複数の吐出禁止位置109として設定する。データ変更処理は終了し、処理は立体造形処理(図8参照)に戻る。
図8に示すように、データ変更処理(S5)の終了後、CPU50は、変更された造形データのうち、下側からZ番目の造形層を造形するための造形データを、RAM51から読み出す(S7)。CPU50は、粉末供給・平坦化処理を行う(S9)。詳細には次の通りである。
CPU50は、ステージ9の高さを、上面が造形台6の上面と同一平面に配置される位置から、形成する粉体層の厚み分だけ低い位置に調整する。CPU50は、粉体供給モータ44を駆動し、供給部12に対して立体造形粉体を供給する。立体造形粉体が供給部12上に載置された状態になる。次いでCPU50は、平坦化ローラ回転モータ43を駆動して平坦化ローラ18の回転を開始すると同時に、前後動モータ41を駆動して造形台6を後方から前方に移動させる。平坦化ローラ18は、供給部12上の立体造形粉体を、枠部8の凹部に移動させる。立体造形粉体は、該凹部内のステージ9上に載置する。平坦化ローラ18は、ステージ9上で立体造形粉体を平坦化する。ステージ9上に粉体層が形成される。粉体層の厚み(積層ピッチ)は、造形台6の上面とステージ9の上面との間の距離に等しくなる。平坦化ローラ18は、凹部内に入りきらなかった立体造形粉体(余剰粉体)を、粉体落下口11に向けて移動させる。余剰粉体は、粉体落下口11に落下する。
CPU50は、ステージ9上に粉体層を形成した後、前後動モータ41を駆動し、ステージ9の前端部がヘッド21の下方に配置される状態となるまで、造形台6を前方から後方に移動させる。CPU50は、ヘッド移動モータ47を駆動し、ステージ9の前端部右側の上方にヘッド21が配置される状態となるまで、ヘッド21を右側に移動させる(S11)。以下、上述したヘッド21及び造形台6の位置を、「初期位置」という。
CPU50は、S9で読み出した造形データの吐出位置情報によって示される複数の吐出位置を順番に選択する。CPU50は、選択した吐出位置にヘッド21が配置されるように、ヘッド21及び造形台6の移動制御を実行する(S13)。CPU50は、対応する吐出位置が吐出禁止位置として設定されているか判断する(S15)。吐出禁止位置として設定されていない場合(S15:NO)、CPU50は、造形データの吐出位置情報に対応付けられたヘッド種別によって示されるヘッド21(カラーヘッド24K,24M,24C,24Y、及び、クリアヘッド25のいずれか)から、造形液を吐出させる(S17)。造形液が吐出された部位では、立体造形粉体と造形液とが混合し、立体造形粉体に含まれる造形材料同士が結合することによって、立体造形粉体は固化する。処理はS21に進む。一方、対応する吐出位置が吐出禁止位置として設定されている場合(S15:YES)、CPU50は、吐出位置からの造形液の吐出を禁止し(S19)、ヘッド21から造形液を吐出しない。このため、立体造形粉体は固化しない。処理はS21に進む。
CPU50は、S7で読み出した造形データの吐出位置情報によって示される吐出位置の全てに対してS13〜S19の処理を行い、下側からZ番目の造形層の造形が完了したか判断する(S21)。造形データの吐出位置情報によって示される吐出位置の全てに対してS13〜S19の処理が行われていない場合(S21:NO)、処理はS13に戻る。CPU50は、次の吐出位置を選択する。CPU50は、選択した吐出位置にヘッド21が配置されるように、ヘッド21及び造形台6の移動制御を実行し(S13)、ヘッド21からの造形液の吐出制御を行う(S15〜S19)。一方、造形データの吐出位置情報によって示される吐出位置の全てに対してS13〜S19の処理が行われた場合、下側からZ番目の造形層の造形が完了したことになる(S21:YES)。処理はS23に進む。
CPU50は、すべての造形層の造形が完了し、立体造形物113の造形が完了したかを判断する(S23)。すべての造形層の造形が完了していない場合(S23:NO)、CPU50は、変数Zに1を加算して更新する(S25)。処理はS7に戻る。CPU21は、下からZ番目の造形層(前回処理した造形層の1つ上側の造形層)の造形データを読み出す(S7)。CPU50は、粉体層の厚み分だけステージ9を下降させ、粉体層を積層する(S9)。CPU50は、ヘッド21及び造形台6を初期位置に配置させる(S11)。CPU50は、ヘッド21及び造形台6の移動制御を実行し(S13)、且つ、ヘッド21からの造形液の吐出制御を行う(S15〜S19)ことによって、造形層を造形する。
一方、すべての造形層の造形が完了し、立体造形物113の造形が完了した場合(S23:YES)、立体造形物113、及び、固化せずに立体造形物113の周辺に残存した余分な立体造形粉体(未硬化粉体)がステージ9上に載置された状態になる。CPU50は、加振モータ(図示せず)を駆動してステージ9を振動させる。未硬化粉体は上部ステージ及び下部ステージの孔から落下し、回収路10を通じて粉体回収部13に吸引される。結果、造形された立体造形物113のみがステージ9上に載置された状態になる。立体造形処理は終了する。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。上述の実施形態においてCPU50は、例えば図5に示すように、表面部分113Fを構成する造形層113Aを造形するための造形データの吐出位置情報を変更し、複数の吐出位置107のうち、密集配置した複数の吐出禁止位置109A、109Bを設定することで、造形データの吐出位置情報を変更した。変更された造形データに基づいてCPU50が造形液の吐出制御を行った場合、表面部分113Fに複数の穴114が形成された。これに対してCPU50は、分散配置した複数の吐出禁止位置109を設定することで、造形データの吐出位置情報を変更してもよい。
図11を参照し、本発明の変形例について説明する。図11の左側、右側、左斜め下側、右斜め上側、上側、及び下側を、夫々、立体造形物113の前側、後側、右側、左側、上側、及び下側という。W4は、造形層113Aの一部(後方右側の角部分)を上方から見た拡大図である。
CPU50は、立体造形物113を構成する造形層113A、113B・・・113Eのうち、上側の表面部分113Fを構成する造形層113Aを造形するための造形データの吐出位置情報を変更する。具体的には、CPU50は、複数の吐出位置107のうち、複数の吐出禁止位置110からの造形液の吐出が禁止されるように、造形データの吐出位置情報を変更する。複数の吐出禁止位置110の夫々は、表面部分113F全体にランダムに分散して配置される。複数の吐出位置107の総数に対する複数の吐出禁止位置110の総数の割合は、約25%である。なお、複数の吐出禁止位置110は、周知の方法で算出された乱数に基づき、表面部分113F全体に配置される。
複数の吐出禁止位置110では、造形液の吐出が禁止される。このため、変更された造形データに基づいてCPU50が造形液の吐出制御を行い、造形層113Aが造形された場合、これらの部分で立体造形粉体は固化されない。このため、最終的に造形される立体造形物113の上側の表面部分113Fには、微細な凸凹が形成された状態になる。
造形された立体造形物113が含浸剤に浸漬された場合、含浸剤は、表面部分113Fに形成された微細な凹凸から内部に浸透し易くなる。従って、例えばユーザが含浸剤として硬化剤を使用した場合、硬化剤を立体造形物113の内部に浸透させることによって、立体造形物113の内部の硬度を向上させることが可能になる。
以上のように、CPU50は、複数の吐出禁止位置110の夫々を分散させることによって、表面部分113Fに微細な凹凸を形成させることができる。ここで、表面部分113Fを構成する造形層113Aを造形するためにヘッド21から吐出された造形液の単位面積当りの吐出量は、例えば、立体造形物113の下側の表面部分113Sを構成する造形層113Eを造形するためにヘッド21から吐出された造形液の単位面積当りの吐出量よりも小さくなる。このため、表面部分113Fは全体的に、固化した立体造形粉体の密度が小さい状態になってる。このため、造形された立体造形物113を含浸剤に浸漬させた場合、密度が小さい状態の表面部分113Fから含浸剤を内部に良好に浸透させることができる。
また、表面部分113Fに形成される凹凸は微細であるため、表面部分113Fと他の部分との見た目の違いを小さくすることができる。従って、立体造形物113の見栄えを良好に維持できる。さらに、上述の実施形態とは異なり、複数の吐出禁止位置110の夫々は分散配置され、複数の穴114が形成されない。このため、造形される立体造形物113の大きさが非常に小さく、表面部分に複数の穴114を形成させることができない場合でも、含浸剤が良好に浸透する立体造形物113を造形することができる。
上述の実施形態及び変形例では、立体造形装置1のCPU50は、PC100から取得した造形データを変更し、変更した造形データに基づいて立体造形物113を造形した。造形データの変更は、PC100によって行われてもよい。CPU50は、変更された造形データ(以下、「変更造形データ」という。)をPC100から取得してもよい。CPU50は、取得した変更造形データに基づき、ヘッド21からの造形液の吐出制御を行なうことによって、立体造形物113を造形してもよい。
上述の実施形態では、ヘッド21が左右方向に移動し、且つ、造形台6が前後方向に移動することによって、粉体層に対するヘッド21の位置を二次元的に変化させていた。これに対し、ヘッド21の代わりに、造形液を吐出する複数の吐出口が左右方向に複数並べられたヘッド(ラインヘッド)が使用されてもよい。そして、ラインヘッドに対する造形台6の位置を前後方向に移動させることによって、粉体層の全域に造形液を吐出してもよい。更には、造形層の上方を二次元的に覆うように設けられ、左右方向及び前後方向に複数並べられた複数の吐出口を有するヘッドが、ヘッド21の代わりに使用されてもよい。またヘッド21の代わりに、造形液を吐出することが可能な別の機構が設けられていてもよい。
上述の実施例及び変形例における立体造形物113の形状は一例であり、直方体状に限定されない。任意の形状であってよい。例えば、立体造形物113の形状は、球状、中空状、壺型等、種々の形状であってもよい。
立体造形物113が浸漬される含浸剤の種類については、上述にて例示した硬化剤に限定されず、他の種々の含浸剤を用いることが可能である。
なお、ヘッド21が本発明の「吐出手段」に相当する。S9、S11、S13、S17の処理を行うCPU50が本発明の「制御手段」に相当する。S5、S19の処理を行うCPU50が本発明の「調節手段」に相当する。S35、S37、S38の処理を行うCPU50が本発明の「決定手段」に相当する。S23の処理を行うCPU50が本発明の「受付手段」に相当する。
1 立体造形装置
6 造形台
9 ステージ
21 ヘッド
53 操作パネル
106、108 ヘッド位置
107 吐出位置
109 吐出禁止位置
110 吐出禁止位置
113 立体造形物
114、115、116 穴
521 テーブル
6 造形台
9 ステージ
21 ヘッド
53 操作パネル
106、108 ヘッド位置
107 吐出位置
109 吐出禁止位置
110 吐出禁止位置
113 立体造形物
114、115、116 穴
521 テーブル
Claims (9)
- 造形液を混合することで固化する立体造形粉体に対して前記造形液を吐出することが可能な吐出手段と、
前記吐出手段によって前記造形液を吐出し、前記立体造形粉体を固化することで造形層を形成し、前記造形層を重ねることで立体造形物を造形する制御を行う制御手段と、
造形される前記立体造形物の場所に応じて、前記立体造形物を形成させるために吐出する前記造形液の単位面積当たりの吐出量を調節する調節手段と
を備えた立体造形装置であって、
前記調節手段は、
前記立体造形物の表面の一部分である表面部分を形成させるために吐出する前記単位面積当たりの吐出量を、前記立体造形物の表面の前記表面部分を除く他の表面部分を形成させるために吐出する前記単位面積当たりの吐出量よりも小さくすることを特徴とする立体造形装置。 - 前記吐出手段は、前記造形液を吐出するヘッドを備え、
前記制御手段は、
前記立体造形粉体に対する複数の吐出位置で前記ヘッドから前記造形液を吐出させることによって前記造形層を形成し、
前記調節手段は、
前記表面部分を形成させるために前記造形液を吐出する前記ヘッドの前記複数の吐出位置のうち、特定の複数の吐出位置で前記造形液の吐出を禁止することによって、前記単位面積当たりの吐出量を調節することを特徴とする請求項1に記載の立体造形装置。 - 前記調節手段は、
前記造形液の吐出を禁止する特定の複数の吐出位置を、前記表面部分のうち特定の部分に密集させることによって、前記単位面積当たりの吐出量を調節することを特徴とする請求項2に記載の立体造形装置。 - 前記調節手段は、
前記造形液の吐出を禁止する特定の複数の吐出位置を、前記表面部分内に分散させることによって、前記単位面積当たりの吐出量を調節することを特徴とする請求項2に記載の立体造形装置。 - 前記調節手段は、
前記吐出位置のうち前記造形液の吐出を禁止する特定の複数の吐出位置の、単位面積当りの数を変化させることによって、前記単位面積当たりの吐出量を調節することを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の立体造形装置。 - 前記立体造形物の厚さに応じて、前記単位面積当たりの吐出量を決定する決定手段を備えたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の立体造形装置。
- 前記調節手段は、
前記立体造形物の内部の一部分である内部部分を形成させるために吐出する前記単位面積当たりの吐出量を、前記立体造形物の内部の前記内部部分を除く他の内部部分を形成させるために吐出する前記単位面積当たりの吐出量よりも小さくすることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の立体造形装置。 - 前記表面部分及び前記内部部分が隣接することを特徴とする請求項7に記載の立体造形装置。
- 前記表面部分を受け付ける受付手段を備え、
前記調節手段は、
前記受付手段によって受け付けた前記表面部分を形成させるために吐出する前記単位面積当たりの吐出量を、前記他の表面部分を形成させるために吐出する前記単位面積当たりの吐出量よりも小さくすることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の立体造形装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012261883A JP2014104737A (ja) | 2012-11-30 | 2012-11-30 | 立体造形装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publication Number | Publication Date |
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JP2014104737A true JP2014104737A (ja) | 2014-06-09 |
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ID=51026614
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2012261883A Pending JP2014104737A (ja) | 2012-11-30 | 2012-11-30 | 立体造形装置 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2016093912A (ja) * | 2014-11-12 | 2016-05-26 | セイコーエプソン株式会社 | 立体物造形装置 |
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-
2012
- 2012-11-30 JP JP2012261883A patent/JP2014104737A/ja active Pending
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