以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る造形装置10の一例を示す。図1(a)は、造形装置10の要部の構成の一例を示す。
尚、以下の説明をする点を除き、造形装置10は、公知の造形装置と同一又は同様の構成を有してよい。より具体的に、以下の説明をする点を除き、造形装置10は、例えば、造形物50の材料となる液滴(インク滴)をインクジェットヘッドを用いて吐出することで造形を行う公知の造形装置と同一又は同様の構成を有してよい。また、造形装置10は、図示した構成以外にも、例えば、造形物50の造形や着色等に必要な各種構成を更に備えてよい。
本例において、造形装置10は、積層造形法により造形物50を造形する装置である。この場合、積層造形法とは、例えば、複数の層を重ねて造形物50を造形する方法である。造形物50とは、例えば、立体的な三次元構造物のことである。また、本例において、造形装置10は、立体的な造形物50を造形する装置であり、ヘッド部12、造形物支持部14、Y走査ガイド16、X走査ガイド18、Z走査ガイド20、Z走査軸22、X走査駆動部32、Y走査駆動部34、Z走査駆動部36、及び制御部40を備える。
ヘッド部12は、造形物50の材料となる液滴を吐出する部分(記録ユニット)であり、所定の条件に応じて硬化するインクを吐出し、硬化させることにより、造形物50を構成する各層を重ねて形成する。また、本例では、インクとして、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化型インクを用いる。この場合、インクとは、例えば、インクジェットヘッドから吐出する液体のことである。インクジェットヘッドとは、例えば、インクジェット方式で液体(液滴)を吐出する吐出ヘッドのことである。また、本例において、ヘッド部12は、複数のインクジェットヘッド及び紫外線光源等を有する。この場合、インクジェットヘッドは、造形物50の材料を吐出する吐出ヘッドの一例である。
また、本例において、ヘッド部12は、予め設定された主走査方向(図中のY方向)へ移動しつつ造形の材料を吐出する主走査動作(Y走査)を行うことにより、造形物50を構成するインクを吐出する。この場合、ヘッド部12が主走査動作を行うとは、例えば、ヘッド部12におけるインクジェットヘッドが主走査動作を行うことである。また、本例において、主走査動作は、吐出走査動作の一例である。また、ヘッド部12は、必要に応じて、例えば主走査動作の合間に、副走査動作(X走査)を更に行う。この場合、ヘッド部12が副走査動作を行うとは、例えば、ヘッド部12におけるインクジェットヘッドが副走査動作を行うことである。また、副走査動作とは、例えば、主走査方向と直交する副走査方向(図中のX方向)へ造形物支持部14に対して相対的に移動する動作である。副走査動作は、予め設定された送り量だけ副走査方向へ造形物支持部14に対して相対的に移動する動作であってよい。また、ヘッド部12のより具体的な構成については、後に詳しく説明をする。
造形物支持部14は、造形中の造形物50を支持する台状部材であり、ヘッド部12におけるインクジェットヘッドと対向する位置に配設され、インクジェットヘッドと対向する面である上面の上に造形中の造形物50を支持する。この場合、造形物支持部14の上面は、ヘッド部12と対向する面である対向面の一例である。また、造形物支持部14は、少なくとも上面が積層方向(図中のZ方向)へ移動可能な構成を有しており、Z走査駆動部36に駆動されることにより、造形物50の造形の進行に合わせて、少なくとも上面を移動させる。この場合、積層方向とは、例えば、積層造形法において造形の材料が積層される方向のことである。また、より具体的に、本例において、積層方向は、主走査方向及び副走査方向と直交する方向である。
尚、造形物支持部14のより具体的な構成についても、後に詳しく説明をする。また、本例において、積層方向は、対向面と垂直な方向である垂直方向の一例である。主走査方向は、対向面と平行な第1方向の一例である。副走査方向は、第1方向及び垂直方向と直交する方向である第2方向の一例である。
Y走査ガイド16は、主走査方向へのヘッド部12の移動をガイドする部材であり、例えば主走査動作時においてヘッド部12の移動をガイドする。Y走査ガイド16としては、例えば、主走査方向へ延伸する平行な2本の直線状部材を含むレール部材等を好適に用いることができる。また、X走査ガイド18は、副走査方向へのヘッド部12の移動をガイドする部材であり、例えば副走査動作時においてヘッド部12の移動をガイドする。
Z走査ガイド20は、積層方向への造形物支持部14の移動をガイドする部材である。この場合、造形物支持部14の移動とは、造形物支持部14における少なくとも上面の移動であってよい。また、走査軸22は、積層方向への造形物支持部14の移動量を制御する軸部材である。本例において、Z走査軸22は、積層方向へ延伸するボールネジであり、Z走査駆動部36から受ける駆動力に応じて回転することにより、造形物支持部14を移動させる。また、Z走査ガイド20及びZ走査軸22のより具体的な構成については、造形物支持部14のより具体的な構成と合わせて、後に詳しく説明をする。
X走査駆動部32は、ヘッド部12に副走査動作を行わせる駆動部である。本例において、X走査駆動部32は、第2方向駆動部の一例であり、主走査動作の合間にX走査ガイド18に沿って副走査方向へヘッド部12を移動させることにより、ヘッド部12に副走査動作を行わせる。また、これにより、X走査駆動部32は、次の主走査動作において造形の材料を吐出する領域について、副走査方向による送り量分だけ副走査方向においてずらす。
尚、副走査動作におけるヘッド部12の移動は、造形物支持部14に対する相対的な移動であってよい。また、造形物支持部14に対する相対的な移動とは、例えば、造形物支持部14に指示されている造形物50に対する相対的な移動であってよい。また、造形装置10の構成の変形例においては、副走査方向におけるヘッド部12の位置を固定して、造形物支持部14の側を移動させてもよい。より具体的に、図示した構成においては、ヘッド部12等を含む主走査動作のための機構の全体を移動させることにより、副走査動作を行っている。しかし、主走査動作のための機構の側ではなく、造形物支持部14等を含むZ走査のための機構の側を移動させてもよい。
Y走査駆動部34は、ヘッド部12に主走査動作を行わせる駆動部であり、造形しようとする造形物50を示す造形データに基づき、各回の主走査動作において、造形の材料であるインクをヘッド部12におけるインクジェットヘッドに吐出させる。また、これにより、Y走査駆動部34は、造形物50に造形に必要な材料をヘッド部12に吐出させる。
尚、本例において、Y走査駆動部34は、吐出走査駆動部の一例である。主走査動作におけるヘッド部12に移動は、造形物支持部14に対する相対的な移動であってよい。そのため、造形装置10の構成の変形例においては、主走査方向におけるヘッド部12の位置を固定して、造形物支持部14の側を移動させてもよい。
また、本例の主走査動作時において、Y走査駆動部34は、ヘッド部12における紫外線光源の駆動を更に行う。より具体的に、Y走査駆動部34は、例えば、主走査動作時に紫外線光源を点灯させることにより、造形物50の被造形面に着弾したインクを硬化させる。造形物50の被造形面とは、例えば、ヘッド部12により次のインクの層が形成される面のことである。
Z走査駆動部36は、積層方向へ造形物支持部14を移動させる駆動部である。この場合、積層方向へ造形物支持部14を移動させるとは、例えば、造形物支持部14における少なくとも上面の位置を移動させることである。また、造形物支持部14の上面を移動させるとは、例えば、造形物支持部14の上面において造形物50が載せられている領域を移動させることであってよい。
また、本例において、Z走査駆動部36は、垂直方向駆動部の一例であり、積層方向へ造形物支持部14を移動させることでZ方向への走査(Z走査)をヘッド部12に行わせる。また、これにより、Z走査駆動部36は、ヘッド部12におけるインクジェットヘッドと造形物支持部14の上面との間の距離を変化させる。この距離は、例えば、インクジェットヘッドにおいてノズルが形成されているノズル面と、造形物支持部14の上面との間の距離であってよい。また、Z走査駆動部36は、造形物50の造形の進行に合わせて造形物支持部14の上面を移動させることにより、造形途中の造形物50における被造形面と、ヘッド部12との間の距離を調整する。この場合、Z走査駆動部36は、例えば、ボールネジであるZ走査軸22を必要量だけ所定の方向へ回転させることにより、造形物支持部14の上面を移動させる。
制御部40は、例えば造形装置10のCPUを含む部分であり、造形装置10の各部を制御することにより、造形物50の造形の動作を制御する。制御部40は、例えば造形しようとする造形物50の形状情報や、カラー画像情報等に基づき、造形装置10の各部を制御することが好ましい。制御部40のより具体的な構成や制御部40による制御等については、後に詳しく説明をする。本例によれば、造形物50を適切に造形できる。
続いて、本例における造形物支持部14のより具体的な構成について、説明をする。図1(b)は、造形装置10における造形物支持部14の構成の一例をZ走査ガイド20及びZ走査軸22と共に示す。
本例において、造形物支持部14は、図中に造形台1〜4として示すように、主走査方向へ並ぶ複数の造形台202を有する。複数の造形台202のそれぞれは、台部の一例であり、ヘッド部12におけるインクジェットヘッドと対向する上面をそれぞれ有する。また、それぞれの造形台202における少なくとも上面は、他の造形台202とは独立して積層方向へ移動可能に構成されている。
より具体的に、本例において、それぞれの造形台202は、その全体が他の造形台202とは独立して積層方向へ移動可能な台状部材(テーブル)である。また、造形装置10は、図1(b)に示すように、複数の造形台202を用いる構成に対応して、複数のZ走査ガイド20と、複数のZ走査軸22とを備える。
この場合、例えば、それぞれの造形台202の副走査方向における一方側にZ走査ガイド20が配設され、他方側にZ走査軸22が配設される。また、これにより、それぞれのZ走査ガイド20及びZ走査軸22は、それぞれの造形台202を、互いに独立に積層方向へ移動させる。
また、本例において、造形装置10は、複数の造形物50を同時に造形可能である。この場合、複数の造形物50を同時に造形するとは、例えば、造形物支持部14の上面に複数の造形物50を支持した状態で造形を行うことである。また、より具体的に、複数の造形物50を同時に造形するとは、例えば、1回の主走査動作で造形中の複数の造形物50に対して造形の材料を吐出することであってよい。
また、図1(b)においては、図示の便宜上、1個の造形物50のみを図示している。しかし、複数の造形物50を同時に造形する場合、造形物支持部14は、上面におけるそれぞれの異なる位置に、複数の造形物50のそれぞれを支持する。より具体的に、この場合、複数の造形物50のそれぞれについて、例えば、互いに異なる造形台202の上面において支持する。
また、この場合、Z走査駆動部36は、それぞれの造形台202を個別に積層方向へ移動させることにより、造形中の造形物50を個別に積層方向へ移動させる。また、これにより、例えば、それぞれの造形物50の造形の進行に合わせて、造形台202及び造形物50を積層方向へ移動させる。より具体的に、本例において、Z走査駆動部36は、ボールネジであるそれぞれのZ走査軸22の回転量を個別に制御することにより、複数の造形台202のそれぞれを個別に移動させる。
このように構成した場合、例えば、複数の造形台202のそれぞれにおける上面の上で造形物50を造形することにより、一台の造形装置10で複数の造形物を適切に造形できる。また、それぞれの造形台202について積層方向へ独立して移動可能にすることにより、それぞれの上面の位置について、それぞれの造形物50における造形の動作の進行に合わせた位置に調整することができる。
また、このように構成した場合、同時に造形を行う複数の造形物50について、例えば造形を開始するタイミングを互いに異ならせること等も可能になる。そのため、例えば、先に造形を開始した造形物50の造形途中に新たな造形物50の造形を開始すること等も可能になる。より具体的に、この場合、造形装置10は、例えば、一つの造形台202上で一つの造形物50を造形している途中に、他の造形台202上で他の造形物50の造形を開始する。そのため、本例によれば、例えば、造形の動作をより効率的かつ適切に行うことができる。
また、この場合、例えば、造形装置10における多くの部分を共通に用いつつ、複数の造形物50を同時に造形することができる。より具体的に、例えば、ヘッド部12や、X走査駆動部32及びY走査駆動部34等については、造形物50の数に合わせて複数組用意する必要がない。そのため、本例によれば、例えば造形装置を複数台用いる場合と比べ、コストを大幅に低減することもできる。
また、この場合、例えば、複数の造形台202に対して一つのヘッド部12で主走査動作等をさせることで複数の造形台202のそれぞれの上に造形物50を造形できるため、例えばそれぞれの造形物50の造形に要する時間(造形時間)が異なる場合や、いずれかの造形台202の上にある造形物50を造形している造形の途中に他の造形物50の造形を開始したい場合等にも、ヘッド部12やY走査駆動部34等の動作を造形物50毎に変更することなく、それぞれの造形物50を適切に造形することができる。また、これにより、造形に要する全体の時間を適切に短縮することができる。
また、この場合、それぞれの造形物50について造形を開始するタイミングを自由に設定できるため、例えば、造形装置10を長時間連続運転して、多くの造形物50を造形すること等も考えられる。より具体的には、例えば、造形が完了した造形物50を造形台202上から取り外すことにより、その造形台202の位置で次の造形を開始すること等が可能になる。また、これにより、それぞれの造形台202の位置で、繰り返して造形を行うことが可能になる。
更に、この場合、それぞれの造形台202における造形物50毎に造形の細かさ(解像度)を変えること等も可能である。より具体的に、例えば、主走査動作でのヘッド部12の移動速度が同じであっても、ヘッド部12から吐出する1滴の吐出量を異ならせれば、解像度が互いに異なる複数の造形物50を同時に造形できる。また、例えば、Z走査駆動部36により造形台202を移動させる距離(走査ピッチ)を造形台202毎に異ならせることにより、Z方向の解像度が互いに異なる複数の造形物50を造形することもできる。
続いて、ヘッド部12及び制御部40のより詳細な構成の例について、説明をする。図2は、ヘッド部12及び制御部40のより詳細な構成の一例を示す。図2(a)、(b)は、ヘッド部12の構成の一例を示す下面図及び側面図である。この場合、下面図とは、造形物支持部14(図1参照)の側から見た図のことである。また、側面図は、YZ平面内におけるヘッド部12の各構成の配置を示す図である。
本例において、ヘッド部12は、キャリッジ100、複数のインクジェットヘッド、複数の紫外線光源104、及び平坦化ローラユニット106を有する。キャリッジ100は、ヘッド部12における他の構成を保持する保持部材である。また、ヘッド部12は、複数のインクジェットヘッドとして、インクジェットヘッド102S、インクジェットヘッド102MO、インクジェットヘッド102W、インクジェットヘッド102Y、インクジェットヘッド102M、インクジェットヘッド102C、インクジェットヘッド102K、及びインクジェットヘッド102T(以下、複数のインクジェットヘッド102という)を有する。
複数のインクジェットヘッド102のそれぞれは、吐出ヘッドの一例であり、造形に使用する材料となるインクを、少なくともいずれかの造形台202(図1参照)の上面へ向けてインクジェット方式で吐出する。また、それぞれのインクジェットヘッド102は、造形物支持部14と対向する面に、複数のノズルが副走査方向へ並ぶノズル列を有する。また、それぞれのインクジェットヘッド102のノズルは、造形物支持部14へ向かう方向へインクを吐出する。この場合、インクを吐出するとは、例えば、インクの液滴(インク滴)を吐出することである。また、インクジェットヘッド102のそれぞれとしては、公知のインクジェットヘッドを好適に用いることができる。
尚、造形に使用する材料とは、例えば、造形の材料や、サポート材のことである。この場合、造形の材料とは、例えば、造形の成果物となる造形物50を構成するための材料のことである。また、サポート材とは、造形物50の周囲に形成されるサポート層の材料のことである。この場合、サポート層とは、例えば、造形中の造形物50の外周を囲むことで造形物50を支持する積層構造物のことである。サポート層は、造形物50の造形時に必要に応じて形成され、造形の完了後に除去される。また、より具体的に、本例のヘッド部12においては、インクジェットヘッド102Sにより、サポート材を吐出する。また、インクジェットヘッド102S以外のインクジェットヘッドにより、造形の材料を吐出する。また、より具体的に、本例において、サポート材や造形の材料としては、上記においても説明をしたように、紫外線硬化型インクを用いる。
インクジェットヘッド102Sは、サポート層の材料となるインク(サポートインク)を吐出するインクジェットヘッドである。サポート層の材料としては、造形物50の造形後に水で溶解可能な水溶性の材料を用いることが好ましい。また、この場合、造形物50を構成する材料よりも紫外線による硬化度が弱く、分解しやすい材料を用いることが好ましい。また、サポート層の材料としては、例えば、サポート層用の公知の材料を好適に用いることができる。
インクジェットヘッド102MOは、造形物50の内部の造形に用いるインクを吐出するインクジェットヘッドであり、造形物50の形状データにより、外観形状を形成する。例えば、表面が着色される造形物50の造形時において、インクジェットヘッド102MOは、着色領域の内側の造形に用いるインクを吐出する。また、本例において、インクジェットヘッド102MOは、所定の色の造形インク(モデル材MO)を吐出する。造形インクは、例えば造形専用のインクであってよい。
尚、ヘッド部12の構成の変形例においては、例えば、インクジェットヘッド102MOを省略してもよい。この場合、造形専用のインクを用いる代わりに、他の色のインクを造形インクとして用いることが考えられる。より具体的に、この場合、例えば、以下において説明をする白色(W)のインク、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色のインク、又はクリアインク等のいずれかを造形インクとして用いることが考えられる。また、これらのうちの2以上のインクを組み合わせて造形用インクとして用いてもよい。
インクジェットヘッド102Wは、白色(W)のインクを吐出するインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド102Y、インクジェットヘッド102M、インクジェットヘッド102C、及びインクジェットヘッド102Kは、互いに異なる色の着色用のインクをそれぞれ吐出する着色用のインクジェットヘッドである。本例において、インクジェットヘッド102Y、インクジェットヘッド102M、インクジェットヘッド102C、及びインクジェットヘッド102Kのそれぞれは、YMCKの各色のインクを吐出する。また、インクジェットヘッド102Tは、クリアインクを吐出するインクジェットヘッドである。この場合、クリアインクとは、例えば、無色で透明(T)のインクのことである。
尚、これらの複数のインクジェットヘッド102を有することにより、ヘッド部12は、造形に使用するインクの種類に応じた複数のノズル列を有する。この場合、造形に使用するインクとは、上記において説明をしたサポートインク、造形インク、白色のインク、着色用のインク(Y、M、C、K)、及びクリアインク等のことである。また、ヘッド部12は、主走査動作時に主走査方向へ移動(走査)しながら、Z方向へこれらのインクを吐出する。
複数の紫外線光源104は、インクを硬化させるための構成であり、紫外線硬化型インクを硬化させる紫外線を発生する。紫外線光源104としては、例えば、UVLED(紫外LED)等を好適に用いることができる。また、紫外線光源104として、メタルハライドランプや水銀ランプ等を用いることも考えられる。また、本例において、複数の紫外線光源104のそれぞれは、間に複数のインクジェットヘッド102を挟むように、ヘッド部12における主走査方向の一端側及び他端側のそれぞれに配設される。
平坦化ローラユニット106は、造形物50の造形中に形成されるインクの層を平坦化するための構成である。本例において、平坦化ローラユニット106は、少なくとも平坦化ローラを有しており、複数のインクジェットヘッド102の並びと、一方の紫外線光源104との間に配設される。この場合、平坦化ローラは、例えば主走査動作時において、インクの層の表面(積層上面)と接触して、硬化前のインクの一部を除去することにより、インクの層を平坦化する。また、より具体的に、図示した構成において、平坦化ローラユニット106における平坦化ローラは、図中での時計周り方向へ回転する。
尚、本例において、ヘッド部12は、1個の平坦化ローラユニット106のみを有する。この場合、平坦化ローラユニット106は、例えば、ヘッド部12における一方の端側の紫外線光源104と、複数のインクジェットヘッド102の並びとの間に配設される。また、この場合、Y走査駆動部34は、少なくとも、インクジェットの並びよりも平坦化ローラユニット106が後方側になる向き(主走査方向における一方の向き)での主走査動作をヘッド部12に行わせる。そして、平坦化ローラユニット106は、図2(b)において平坦化走査と示した向きでの主走査動作中に、インクの層を平坦化(積層)面で平坦化する。また、Y走査駆動部34は、双方向の主走査動作をヘッド部12に行わせてもよい。この場合、平坦化ローラユニット106は、例えば、一方の向きでの主走査動作中のみに、インクの層を平坦化する。より具体的に、図示した構成の場合、図中に平坦化走査と示すような右側から左側へヘッド部12が移動する主走査動作において、平坦化ローラユニット106は、造形中の造形物50における積層上面を平坦化する。
図2(c)は、制御部40のより具体的な構成の一例を示すブロック図である。本例において、制御部40は、機能的に、主制御部302、吐出制御部304、硬化制御部306、及び走査・駆動制御部308を有する。これらの機能的な構成は、例えば、物理的に別の構成であってよい。また、例えば、物理的な一つの構成により,複数の機能的な構成の動作を行ってもよい。
主制御部302は、造形装置10の全体の制御を行う部分であり、例えば吐出制御部304、硬化制御部306、及び走査・駆動制御部308の動作を制御することにより、造形装置10の各部の動作を制御する。主制御部302は、例えば造形装置10のCPUであってよい。本例において、主制御部302は、例えば、造形しようとする造形物50を示す造形データをクライアントPCから受け取り、造形データに基づき、吐出制御部304、硬化制御部306、及び走査・駆動制御部308の動作を制御する。この場合、造形データは、例えば、造形物50の形状や色を示すデータであってよい。また、造形データは、造形物50の周囲に形成するサポート層の形状等を更に示すデータであってよい。主制御部302は、例えば、受け取った造形データに基づき、造形物50やサポート層の断面形状を示すスライスデータを生成する。そして、スライスデータに基づき、造形装置10による造形の動作を制御する。また、主制御部302は、予め生成されたスライスデータにより造形物50を示す造形データをクライアントPCから受け取ってもよい。
吐出制御部304は、ヘッド部12における各インクジェットヘッド(インクジェットヘッド102S〜102T)にインクを吐出させる制御を行う。より具体的に、吐出制御部304は、各回の主走査動作において、造形データに基づき、各インクジェットヘッドにインクを吐出させる。硬化制御部306は、ヘッド部12における紫外線光源104による点灯の制御を行う。より具体的に、吐出制御部304は、各回の主走査動作において紫外線光源104を点灯させて、各インクジェットヘッドにより吐出されたインクを硬化させる。
走査・駆動制御部308は、各方向への走査動作の制御を行う。より具体的に、走査・駆動制御部308は、X走査駆動部32、Y走査駆動部34、及びZ走査駆動部36の動作を制御することにより、ヘッド部12に主走査動作、副走査動作、及びZ走査を行わせる。また、この場合、走査・駆動制御部308は、Z走査の制御において、造形物支持部14における複数の造形台202(図1参照)のそれぞれを独立に移動させる。また、これにより、走査・駆動制御部308は、例えば、図中に造形台1、2等と示した複数の造形台202に対し、図中にZ走査1、Z走査2等と示した独立のZ走査を行わせる。また、本例において、走査・駆動制御部308は、ヘッド部12における平坦化ローラユニット106による平坦化の動作の制御を更に行う。本例によれば、造形装置10の各部の動作を適切に制御することができる。
続いて、造形装置10により行う造形の動作について、更に詳しく説明をする。上記においても説明をしたように、本例において、造形装置10は、ヘッド部12に主走査動作を行わせることにより、造形物50の造形を行う。また、独立にZ走査が可能な複数の造形台202を用いることにより、複数の造形物50を同時に造形可能である。
また、より具体的に、複数の造形物50を造形する場合、Y走査駆動部34(図1参照)は、造形中の造形物50が載る造形台202上をヘッド部12が通過するように、ヘッド部12に主走査動作を行わせる。また、各回の主走査動作において、ヘッド部12は、複数の造形台202の上面へ向けて各種のインクを吐出することにより、複数の造形台202のそれぞれの上で造形物50を造形する。この場合、複数の造形台202の上面へ向けてインクを吐出するとは、例えば、造形台202の上で造形中の造形物50の被造形面へインクを吐出することである。
また、この場合、Z走査駆動部36は、複数の造形台202のそれぞれの上での造形の動作の進行に応じて、それぞれの造形台202にZ走査を行わせる。造形の動作の進行に応じてZ走査を行うとは、例えば、それぞれの造形台202で造形中の造形物50とヘッド部12における平坦化ローラユニット106の下端との間の距離が所定の距離になるように、造形台202をZ方向へ移動させることである。このように構成すれば、例えば、造形中の造形物50の高さ(Z方向高さ)や解像度(一層のZ方向厚さ)に合わせて、それぞれの造形台202の位置を適切に調整できる。このように、本例によれば、例えば、複数の造形台202のそれぞれを個別に適切に移動させることができる。また、これにより、例えば造形開始のタイミングの違い等により造形物50の高さが異なる場合等にも、それぞれの造形物50の高さに合わせてそれぞれの造形台202の位置を適切に調整できる。
また、この場合、制御部40は、主走査動作時にヘッド部12を移動させる幅である走査幅について、造形に使用する造形台202の位置に合わせて設定することが好ましい。より具体的に、本例において、制御部40は、造形中の造形物50が載る造形台202が存在する主走査方向の幅に合わせて、走査幅を設定する。このように構成すれば、例えば、必要以上に走査幅を大きくすることなく、各回の主走査動作をより効率的に行うことができる。また、これにより、例えば、各回の主走査動作に要する時間を抑え、造形に要する時間を適切に短縮できる。
また、この場合、同時に造形中の複数の造形物50のうち、いずれかの造形物50の造形が完了した場合、その後も造形を行う造形台202に合わせて走査幅を再設定することが好ましい。より具体的に、この場合、制御部40は、例えば、造形が完了した造形物50が載る造形台202以外の造形台202のうち、造形中の造形物50が載る造形台202が存在する主走査方向の幅に合わせて走査幅を再設定する。
また、上記においても説明をしたように、本例においては、複数の造形台202をそれぞれ独立に移動させることができるため、一部の造形台202で造形物50の造形を行っている途中において、他の造形台202で新たな造形物50の造形を開始すること等も可能である。そして、この場合、例えば、新たな造形の開始後に使用する造形台202に合わせて、走査幅を再設定する。また、この場合、新たな造形を行う造形台202について、新たな造形の開始後の走査幅ができるだけ小さくなるように選択することが好ましい。より具体的に、制御部40は、例えば、他の造形台202上での新たな造形を開始した後の状態で造形中の造形物50が載る造形台202が存在する主走査方向の幅が最小(最短)になるように、新たに造形を開始する造形台202を選択する。
また、このような新たな造形の開始を可能にする場合、制御部40は、例えば、その上で造形物50の造形を行っていない造形台202について、新たな造形を開始可能な造形台202として管理する。また、この場合、造形が完了した後の造形台202についても、例えば造形物50を取り外した後に、新たな造形を開始可能な造形台202として扱うことが好ましい。より具体的に、いずれかの造形台202上において造形物50の造形が完了して、その造形台202の位置から造形物50が取り外された場合、制御部40は、例えば、その造形物50が取り外された位置の造形台202について、新たな造形を開始可能な造形台202として扱ってよい。
このように構成すれば、例えば、それぞれの造形台202で複数の造形物50を順次造形することができる。また、これにより、例えば造形装置10を連続運転して、多数の造形物50をより効率的に造形できる。
図3及び図4は、造形装置10による造形の動作を制御する制御方法の一例を示すフローチャートであり、複数の造形台202の上で複数の造形物50を同時に造形する場合に行う制御の一例を示す。この制御は、例えば、造形装置10における制御部40が行う制御である。また、以下において説明をする制御の一部については、造形装置10の動作を制御するホストPCにより行ってもよい。
この制御においては、先ず、造形を開始する造形物50を示す造形データの受け付けを行う(新規データ受付、S102)。この動作は、例えば、造形装置10に造形を行わせるためのジョブ(造形ジョブ)を受け付ける動作であってよい。また、この動作は、例えば、ユーザ(操作者)により指定される造形データを読み込む動作等であってもよい。そして、新たな造形の開始が可能であって空いている造形台202が存在する場合(S104:Y)、主走査動作(Y走査)の走査幅が最小になる造形台202を探し、その造形台202に新たな造形用の造形データを割り当て、次のステップS108へ進む。また、ステップS104において、空いている造形台202が存在しない場合、ステップS106の動作を行わずに、ステップS108へ進む(S104:N)。
そして、ステップS108では、造形に使用する造形台202の数を管理するための変数Nの値を0に初期化する。また、初期化後、Nの値を1増加させ(S110)、Nの値が造形装置10における造形台202の数以下である場合において(S112:Y)、N番目の造形台202に割り当てられた未スライスの造形データがあれば、造形データのスライスを行う(S114)。この場合、未スライスの造形データとは、対応するスライスデータが生成されていない造形データのことである。また、造形データのスライスを行うとは、造形データに対応するスライスデータを生成することである。また、本例においては、生成したスライスデータについて、そのスライスデータを用いて造形を行う造形台202と対応付ける。
また、ステップS114での動作の後に、ステップS110に戻り、以降の動作を繰り返す。そして、この繰り返しにおいて、Nの値が順次大きくなり、造形装置10における造形台202の数よりもNの値が大きくなった場合(S112:N)、先のステップS116へ進む。
また、ステップS116においては、スライスデータの有無を確認する。そして、いずれかの造形台202に対応付けられたスライスデータが存在する場合(S116:Y)、スライス結果の合成を行う(S118)。この場合、スライス結果の合成とは、例えば、複数の造形台202のそれぞれにそれぞれ対応付けられた複数のスライスデータを合成して、新たな一つのスライスデータを生成することである。また、この場合、例えば、複数の造形台202のそれぞれにそれぞれ対応付けられた複数のスライスデータに対し、同時に造形する複数の造形物50において同一の回の主走査動作で形成すべき部分に対応するデータをまとめるように合成を行い、新たな一つのスライスデータを生成する。
そして、スライス結果の合成後、合成により得られたスライスデータに基づき、造形の動作を行う(S120)。これにより、本例において、複数の造形台202上に複数の造形物50を造形する場合、造形装置10における制御部40は、複数の造形物50のそれぞれに対応する複数のスライスデータを合成したデータに基づき、造形の動作を制御する。
また、造形の動作中には、それぞれの造形台202での造形の終了を監視する。この場合、先ず、変数Nの値を0に初期化して(S122)、Nの値を1増加させる(S124)。そして、Nの値が造形装置10における造形台202の数以下である場合において(S116:Y)、N番目の造形台202での造形が完了した場合、その造形台202から造形物50を取り外す(S128)。そして、造形物50を取り外した後に、ステップS124に戻り、以降の動作を繰り返す。また、この繰り返しにおいて、Nの値が順次大きくなり、造形装置10における造形台202の数よりもNの値が大きくなった場合(S126:N)、S102へ戻り、次の造形データの受け付けを行う(S126:N)。また、ステップS116において、スライスデータが存在しない状態になった場合、造形の動作を終了する。
このように構成すれば、例えば、複数の造形台202を用いて複数の造形物50を同時に適切に造形できる。また、造形が完了した造形物50を取り外すことにより、同じ造形台202を用いて複数の造形物50を順次造形することもできる。そのため、本例によれば、複数の造形台202を用いた構成により、多数の造形物50を効率的かつ適切に造形できる。
ここで、上記の動作のように、造形装置10の動作中に造形が完了した造形物50を取り外す場合、複数の造形台202のそれぞれにおける少なくとも上面について、造形物50を取り外しやすい位置へ移動させることが好ましい。この場合、例えば、複数の造形台202のそれぞれにおける少なくとも上面について、例えば、副走査方向へも互いに独立に移動可能にすることが考えられる。また、この場合、例えば、X走査駆動部32(図1参照)により、複数の造形台202のそれぞれを独立に移動させること等が考えられる。
より具体的に、例えば、複数の造形台202上において複数の造形物50を造形する場合において、いずれかの造形物50の造形が完了した場合、X走査駆動部32は、例えば、その造形物50が載る造形台202における少なくとも上面を副走査方向へ移動させて、副走査方向におけるその造形台202の上面の位置を、他の造形台202の上面とずらす。このように構成すれば、例えば、他の造形台202上での造形を行っている間に、造形が完了した造形物50をより容易かつ適切に取り外すことができる。
続いて、複数の造形台202上で複数の造形物50を造形する場合の造形装置10の動作について、更に詳しく説明をする。図5及び図6は、複数の造形物50を同時に造形する場合の造形装置10の動作(造形手順)の一例を示す。
図5(a)は、一部の造形台202を用いて造形を行っている状態の一例を示す。図示した状態において、造形装置10は、図中に造形台1、2と示した造形台202を用いて造形を行っている。この場合、造形装置10は、造形台1、2での造形の進行に合わせ、積層方向(Z方向)へ造形台1、2を移動させる。また、この状態において、造形台3、4と示した造形台202は造形に使用されておらず、停止状態で待機している。
また、この状態において、造形中の造形台202である造形台1、2の上面は、図中に示すように、造形中の造形物50の高さ分だけ、平坦化面から下がった位置にある。この場合、平坦化面とは、例えば、平坦化ローラユニット106(図2参照)により平坦化がされる高さの位置の平面のことである。また、待機中の造形台202である造形台3、4の上面は、平坦化面に近い所定の初期位置にある。この初期位置は、例えば、積層方向における造形台202の原点位置である。
図5(b)は、造形中の造形物50の構成の一例を示す。上記においても説明をしたように、本例において、造形装置10は、周囲にサポート層を形成しつつ、造形物50の造形を行う。この場合、造形の途中では、図中に示すように、造形インク等の造形材料で形成された造形物50がサポート層に囲まれた状態になる。
図5(c)は、新たな造形データに基づく造形を開始した状態の一例を示す。上記においても説明をしたように、本例において、造形装置10は、一部の造形台202上での造形中に他の造形台202上での造形を開始できる。また、図示した状態において、造形装置10は、造形台1、2を用いて造形を行っている途中に、新たな造形データにより、造形台3を用いての造形を新たに開始している。
この場合、新たな造形の開始に合わせて、造形装置10は、主走査動作(Y走査)の走査幅を変更する。より具体的に、この場合、造形台3の上もヘッド部12が通過するように、走査幅を広げることになる。また、造形台3での造形の開始後、造形装置10は、造形台3での造形の進行に合わせ、積層方向(Z方向)へ造形台3を更に移動させる。また、これにより、造形に使用している造形台1〜3の積層方向における位置を、造形の進行に合わせて個別に調整する。
図5(d)は、新たな造形データに基づく造形を更に開始した状態の一例を示す。図示した状態において、造形装置10は、造形台1〜3を用いて造形を行っている途中に、新たな造形データにより、造形台4を用いての造形を新たに開始している。この場合も、新たな造形の開始に合わせて、造形装置10は、主走査動作の走査幅を変更する。より具体的に、この場合、造形台4の上もヘッド部12が通過するように、走査幅を広げることになる。また、造形台4での造形の開始後、造形装置10は、造形台4での造形の進行に合わせ、積層方向へ造形台4を更に移動させる。また、これにより、造形に使用している造形台1〜4の積層方向における位置を、造形の進行に合わせて個別に調整する。
また、上記においても説明をしたように、本例において、いずれかの造形台202での造形が完了した場合、完成した造形物50は、造形装置10から取り外される。また、造形装置10は、必要に応じて、その位置の造形台202で新たな造形を開始する。
図6(a)は、一部の造形台202で造形が完了した状態の一例を示す。図示した状態は、造形台1〜4で造形をしている場合に、造形台1、2での造形が完了した状態である。この場合、例えば、造形物50の造形が完了した造形台202(造形台1、2)を副走査方向(例えば、図の手前方向)へ移動させ、完成した造形物50を取り外しやすい状態にすることが好ましい。完成した造形物50を取り外しやすくするために造形台202を移動させる動作については、後に更に詳しく説明をする。また、この場合、造形が完了した造形台1、2の位置を今後の走査幅に含ませることが不要になる。そのため、本例においては、一部の造形台202での造形の完了した場合も、造形装置10は、主走査動作の走査幅を変更する。より具体的に、この場合、今後も造形を行う造形台3、4の上をヘッド部12が通過し、かつ、走査幅ができるだけ狭くなるように、走査幅を狭めることになる。
また、造形物50を取り外した後には、例えばユーザの指示に応じて造形台202を移動させ、元の初期位置へ造形台202を復帰させる。この場合、初期位置とは、例えば、副走査方向(X方向)及び積層方向(Z方向)における造形台202の待機位置及び造形スタートの原点位置のことである。また、この場合、造形台1、2における完成した造形物50を取り外す動作中や造形台202を復帰させる動作中も、造形台3、4では造形動作を継続している。
このように構成すれば、例えば、造形装置10による造形の動作を停止させることなく、完成した造形物50を適切に取り外すことができる。また、造形装置10の変形例においては、例えば、造形台1、2における造形物50の取り外し時に全ての造形の動作を一時停止させてもよい。例えば、副走査方向へ造形台202を移動させずに造形物50を取り外す構成を用いる場合等には、造形台1、2における造形物50の取り外し時に全ての造形の動作を一時停止させることが好ましい。また、造形物50の取り外し後には、積層方向において造形台202を上昇させ、初期位置(原点位置)へ復帰させる。また、これにより、造形物50を取り外した後の造形台202は、待機状態になる。造形を一時停止させて造形物50を取り出す動作についても、後に更に詳しく説明する。
図6(b)は、完成した造形物50を取り外した後の状態の一例を示す。図示した状態において、造形装置10は、造形物50の造形が未完了の造形台3、4を用いて、造形の動作を継続する。また、この場合、造形台1、2は、初期位置で待機状態になる。
ここで、上記においても説明をしたように、本例において、新たな造形データにより造形を開始する場合には、主走査動作の走査幅が最小になるように、新たな造形を行う造形台202を選択する。この場合、例えば、造形中の造形台202に隣接する待機中の造形台202を次に開始する造形で使用することが考えられる。そのため、図6(b)に示した状態から新たな造形を開始する場合、造形台2を用いて造形を開始することになる。
また、このようにして造形台202を選択する場合において、例えば造形に要する時間が同じ造形物50のみを造形するのであれば、基本的に、造形台1、2、3、4、1、2、・・・の順で順次造形台202を使用することになる。しかし、実際の造形時には、造形物50の形状において大きさ(Z方向寸法)等が異なることによって、造形が完了するタイミングに差が生じる。そのため、造形台202を使用する順番は、通常、このように単純な順番(サイクリック)にはならない。そのため、本例のように連続して造形を行う場合、新たな造形データに基づく造形台202の選択において、上記のように主走査方向(Y方向)の走査幅が最小になるように造形台202を選択することが好ましい。
以上のような動作により、本例によれば、例えば、複数の造形台202を用いた造形を適切に行うことができる。また、これにより、例えば造形装置10による連続運転や自動運転等が可能になり、多数の造形物50を効率的かつ適切に造形できる。尚、図5、図6においては、図示等の便宜上、一つの造形台202に対して一つの造形物50を造形する場合について、図示をしている。しかし、実際の造形時には、例えば、一つの造形台202上で、複数の異なる造形物50を造形してもよい。
続いて、造形装置10の構成の変形例等について説明をする。図7は、造形装置10における造形物支持部14の構成の変形例について説明をする図である。尚、以下に説明をする点を除き、図7において、図1〜6と同じ符号を付した構成は、図1〜6における構成と同一又は同様の特徴を有してよい。
図7(a)は、図1に図示した場合の造形物支持部14の構成を簡略化して示す。上記においても説明をしたように、この場合、造形物支持部14は、主走査方向(Y方向)へ並ぶ複数の造形台202を有する。より具体的に、図示した場合において、造形物支持部14は、4個の造形台202を有する。また、これにより、造形物支持部14は、主走査方向に4分割された構成になっている。
しかし、造形物支持部14における複数の造形台202の並べ方は、図7(a)に示した並べ方に限らず、様々に変更可能である。例えば、並べる造形台202の数については、特定の数に限定されず、様々に変更可能である。また、複数の造形台202を並べる方向についても、様々に変更可能である。より具体的に、複数の造形台202については、主走査方向及び副走査方向(X方向)の一方又は両方へ並べることが考えられる。また、図7(a)においては、複数の造形台202の大きさ(寸法)や形状が同一(均等)である場合を図示している。しかし、また、複数の造形台202の大きさや形状は、同一でなくてもよい。
図7(b)は、造形物支持部14の構成の変形例を示す。この場合、造形物支持部14は、副走査方向へ並ぶ複数の造形台202を有する。より具体的に、図示した場合において、造形物支持部14は、4個の造形台202を有する。また、これにより、造形物支持部14は、副走査方向に4分割された構成になっている。また、この場合も、Z走査駆動部36(図1参照)は、それぞれの造形台202を個別に積層方向(Z方向)へ移動させる。
ここで、図7(b)に示した造形物支持部14を用いる場合、各回の主走査動作において、ヘッド部12は、全ての造形台202の上を通過せず、一部の造形台202の上のみを通過してもよい。より具体的に、各回の主走査動作において、ヘッド部12は、一つの造形台202上のみにインクを吐出してもよい。また、この場合、複数の造形物50を同時に造形するのではなく、例えば、ヘッド部12に対して相対的に副走査方向へ複数の造形台202を移動させることで、造形を行う造形台202を順次変更しながら、複数の造形台202のうちの1個ずつを順番に造形してもよい。このような場合も、積層方向へ個別に造形台202を移動させる構成を用いることにより、複数の造形物50を適切に造形できる。
また、この場合も、例えば副走査方向の長さが複数の造形台202を合わせた幅分以上のヘッド部12を用いて、各回の主走査動作において、ヘッド部12により複数の造形台202上へインクを吐出してもよい。このように構成すれば、例えば、複数の造形物50を同時に造形できる。
図7(c)は、造形物支持部14の構成の更なる変形例を示す。この場合、造形物支持部14は、主走査方向及び副走査方向へそれぞれ並ぶ複数の造形台202を有する。より具体的に、図示した場合において、造形物支持部14は、主走査方向及び副走査方向へ2個ずつ並ぶ4個の造形台202を有する。また、これにより、造形物支持部14は、主走査方向及び副走査方向に4分割された構成になっている。
この場合も、積層方向へ個別に造形台202を移動させる構成を用いることにより、複数の造形物50を適切に造形できる。また、例えば主走査方向へ並ぶ複数の造形台202を用いて、複数の造形物50を同時に造形することもできる。
また、造形物支持部14の具体的な構成についても、様々に変更可能である。図8は、造形物支持部14の構成の変形例を示す。尚、以下に説明をする点を除き、図8において、図1〜7と同じ符号を付した構成は、図1〜7における構成と同一又は同様の特徴を有してよい。
図8(a)は、本変形例における造形台202の構成の一例を示す上面図である。図8(b)は、造形台202を設置した状態の造形物支持部14の構成の一例を示す。図8(c)は、造形台202の位置決めに用いる位置決め段付きピン206の構成の一例を示す。
本変形例において、複数の造形台202のそれぞれは、他の造形台202から独立して単独で取り外し可能に構成されている。より具体的に、本変形例において、造形物支持部14は、駆動台204、複数の造形台202、及び複数の位置決め段付きピン206を有する。駆動台204は、造形時に造形台202が取り付けられる台状部材である。本変形例において、駆動台204は、複数の造形台202のそれぞれが取り付けられる領域が互いに独立して積層方向へ移動可能に構成されており、造形台202が設置された状態で各領域が積層方向へ移動することにより、造形台202を個別に積層方向へ移動させる。また、駆動台204において造形台202が取り付けられる各領域は、例えば図1に示した構成の造形台202と同一又は同様の構成により、Z走査軸22を介して受け取るZ走査駆動部36(図1参照)の駆動力に応じて、Z走査ガイド20に沿って積層方向へ移動する。
また、造形台202は、位置決め用の複数の孔402、404、406を有し、駆動台204上に設置された位置決め段付きピン206の位置に合わせて、駆動台204に取り付けられる。この場合、複数の孔402、404、406は、造形台202の位置決め用の基準部の一例である。また、複数の孔402、404、406のうち、孔402は、位置決めの基準用の孔である。孔402としては、例えば、位置決めに十分な精度で位置決め段付きピン206のピンに嵌合する丸孔等を好適に用いることができる。また、孔406は、孔402と共に造形台202の位置を決めるための長孔である。孔406としては、例えば、孔402の中心と孔406の中心とを結ぶ直線と平行な方向の幅が位置決め段付きピン206のピンの直径よりも長い長孔を好適に用いることができる。また、この場合、この直線と直交する方向における孔406の幅については、位置決めに十分な精度で位置決め段付きピン206のピンと接触する幅にすることが好ましい。また、孔404は、位置決めの補助等に用いる孔(自由孔)である。
位置決め段付きピン206は、駆動台204上において造形台202の位置決めに用いるピン部材である。位置決め段付きピン206は、駆動台204上における所定の位置に設置されることにより、駆動台204に取り付けられる造形台202の位置を規定する。
ここで、位置決め段付きピン206を用いて位置決めを行う箇所の数は、図8に示すように、3箇所とすることが好ましい。これは、例えば、4箇所以上で位置決めを行うと、1箇所以上が浮いてしまい、造形台202の水平性が不安定になりやすいためである。また、造形台202の水平性が不安定になると、造形不良を生じるおそれもある。また、位置決めを行う箇所の数が2箇所以下であると、造形台202の水平性を適切に調整することができないおそれがある。これに対し、3箇所での位置決めを行った場合、X、Y方向は勿論、Z方向においても自重で安定することになる。また、これにより、造形台202の取り外しや取り付けを容易かつ適切に行うことができる。
また、本変形例において、位置決め段付きピン206は、例えば図8(c)に示すように、造形台202の孔(孔402等)に挿入されるピンと、造形台202の下面を支える段部とを有する。このように構成すれば、例えば、造形台202を高い精度で駆動台204に適切に設置できる。また、必要に応じて、造形台202を容易かつ適切に取り外すことができる。
また、本変形例においては、例えば造形が完了した造形物50を造形装置10から取り外す場合等に、造形台202と共に造形物50を取り外すことができる。より具体的に、この場合、例えば、他の造形台202上で他の造形物50の造形を行っている途中において、造形が完了した造形物50が載る造形台202を副走査方向へ移動させ、ユーザ等により造形台202毎に造形物50を取り外すことが考えられる。このように構成した場合、例えば造形台202から造形物50を取り外す動作について、例えば、造形装置10内に設置された状態の造形台202から造形物50を取り外す場合と比べ、より容易に行うことが可能になる。また、この場合、造形台202から造形物50を取り外した後、造形台202を再度元の位置に設置することが考えられる。このように構成すれば、造形装置10の造形動作を止めることなく、継続的に複数の造形物50を適切に造形できる。
尚、造形台202を取り外した後には、例えば直ちに造形物50を造形台202から取り外すのではなく、その後に造形物50を造形台202から取り外してもよい。この場合、造形台202の元の位置に対しては、別の新たな造形台202を設置することが好ましい。このように構成した場合も、造形装置10の造形動作を止めることなく、継続的に複数の造形物50を適切に造形できる。また、このように構成した場合、例えば、造形台202に対して造形物50が強固に接着している場合でも、時間をかけてより適切に造形物50を取り外すことができる。
図9は、造形物支持部14の構成の更なる変形例及び造形装置10の構成の変形例を示す。尚、以下に説明をする点を除き、図9において、図1〜8と同じ符号を付した構成は、図1〜8における構成と同一又は同様の特徴を有してよい。
図9(a)は、造形物支持部14の構成の更なる変形例を示す。上記においても説明をしたように、造形物支持部14における複数の造形台202の大きさや形状は、同一でなくてもよい。この場合、例えば、少なくとも上面の大きさが互いに異なる複数の造形台202を用いることが考えられる。また、より具体的に、図9(a)に示した構成の場合、少なくとも一部の造形台202として、他の造形台202と大きさ(面積)の異なる造形台202を用いている。このように構成すれば、例えば、造形しようとする造形物50の大きさに合わせた造形台202をより適切に用いることができる。この場合、大きさの異なる造形台202について、造形データに応じて使い分けることが好ましい。また、このように構成すれば、例えば、造形可能な造形物50の最大のサイズに合わせて全ての造形台202の大きさを大きくする場合等と比べ、同じ幅の中により多くの造形台202を並べること等も可能になる。
また、大きな造形物50を造形しようとする場合には、複数の造形台202の上で1個の造形物50を造形すること等も考えられる。この場合、複数(n個)の造形台202を同期してZ走査させることにより、主走査方向におけるn個の造形台202分の大きさ(例えばn倍)の造形物50を造形することができる。
また、より具体的に、図9(a)においては、Y方向に大きさの異なる3個(n=3)の造形台202の上に1個の造形物50を造形する場合の例を示している。この場合、Z走査駆動部36(図1参照)は、図中に示すように、これらの造形台202について、積層方向(Z方向)における位置を揃えて同期させて移動させる。このように構成すれば、例えば、複数の造形台202の上で1個の造形物50を適切に造形できる。また、この場合、隣り合う造形台202間の隙間について、造形の精度に影響が生じないように、十分に小さくすることが好ましい。
また、例えば図7(b)、(c)に示した場合のように、副走査方向へ並ぶ造形台202を用いる場合にも、複数の造形台202の上で1個の造形物50を造形してもよい。この場合、例えば、副走査方向の大きさが1個の造形台202よりも大きな造形物50を造形することができる。
尚、3個の造形台202の上に1個の造形物50を造形する上記の動作は、複数の造形台202の上で少なくとも一つの造形物50を造形する動作の一例である。また、この場合、複数の造形台202の上で少なくとも一つの造形物50を造形するとは、例えば、少なくとも一つの造形物50について、複数の造形台202に載った状態で造形を行うことである。また、この場合、その一つの造形物50に着目すれば、例えば、複数の造形台202の上で一つの造形物50を造形する動作と考えることもできる。この場合、その一つの造形物50の他に、他の造形物50をいずれかの造形台202の上で同時に造形してもよい。
また、造形物支持部14の構成の更なる変形例においては、造形台202の使用の仕方を変形すること等も考えられる。図9(b)は、造形台202の使用の仕方を変形する変形例を示す。
上記においては、図8等を用いて、互いに独立に取り外し可能な造形台202を用いる構成について、説明をした。しかし、造形物50の取り外しを容易にするという観点で考えた場合、更なる他の方法も考えられる。より具体的に、図9(b)に示した構成の場合、造形台202の上面に造形台202とは別体のトレイ212を設置する。この場合、トレイ212とは、例えば、平坦な板状の部材であり、自重で造形台202上に固定される。トレイ212は、一部が板状の部材であってもよい。また、ヘッド部12(図1参照)は、トレイ212へ向けてインクを吐出することにより、トレイ212が設置された造形台202上に造形物50を造形する。
また、この場合、トレイ212は、例えば取り外し可能に造形台202上に設置され、造形の完了後に造形物50と共に取り外される。このように構成した場合も、完成した造形物50をより容易かつ適切に取り外すことができる。
また、この場合、造形物50及びトレイ212を取り外した後の造形台202上に新たなトレイ212を設置することにより、新たな造形を開始可能な状態にできる。また、造形の動作時において、ヘッド部12の位置の制御は、例えば造形台202に対して相対的な位置の制御により行う。そのため、造形台202上に設置するトレイ212について、例えばある程度位置がずれていたとしても、造形の精度の影響は生じない。そのため、トレイ212を用いる場合、例えば造形台202自体を取り外し可能にする場合と比べ、設置時の位置合わせ等の労力を低減することもできる。また、これにより、例えば、複数の造形物50をより効率的に造形できる。
尚、造形台202やトレイ212を用いて造形を行う場合、造形台202やトレイ212の材質等に起因する反りや取り外しによる変形等により平坦性が低下する問題が生じる場合もある。そのため、造形台202やトレイ212を用いる場合、造形物50の土台となるサポート層を造形台202やトレイ212上に形成してから、その上に造形物50を造形することが好ましい。また、この場合、土台となるサポート層の厚さについて、少なくともヘッド部12における平坦化ローラユニット106(図2参照)による平坦化が可能な厚さ以上にすることが好ましい。このように構成すれば、例えば、造形台202やトレイ212の平坦性が低い場合にも、土台となるサポート層を適切に平坦化できる。また、これにより、造形物50をより高い精度で適切に造形できる。
図9(c)は、造形装置10の構成の更なる変形例を示す。上記においても説明をしたように、造形装置10を連続運転して多数の造形物50を造形する場合、いずれかの造形台202上で造形物50の造形が完了した時点で、その造形物50を取り外し、その位置の造形台202で新たな造形が可能な状態にする必要がある。そして、この場合、造形物50の取り外しについては、例えば造形装置10のユーザが行うこと等が考えられる。
しかし、完成した造形物50の取り外しについては、装置を用いて自動的に行うことも考えられる。例えば、図9(c)に示した構成において、造形装置10は、完了造形物移動装置42を更に備える。完了造形物移動装置42は、完了造形物移動手段の一例であり、造形が完了した造形物50を造形台202の位置から取り外して移動させる。
完了造形物移動装置42としては、例えば、公知のロボット装置や搬送装置等を用いることが考えられる。また、この場合、完了造形物移動装置42は、例えば、造形台202と共に造形物50を取り外す。このように構成すれば、例えば、取り外し時に造形物50が破損すること等を適切に防ぐことができる。また、例えば造形台202上にトレイ212を設置する場合、完了造形物移動装置42は、トレイ212と共に造形物50を取り外してもよい。
また、完了造形物移動装置42により造形台202又はトレイ212を取り外す場合、完了造形物移動装置42は、例えば、取り外した位置へ新たな造形台202又はトレイ212を設置する。このように構成すれば、その位置において新たな造形を適切に開始できる。また、これにより、造形装置10の連続運転により複数の造形物50をより適切に造形できる。
尚、完了造形物移動装置42は、取り外した造形物50を、予め設定された保管位置へ移動させる。また、造形台202又はトレイ212と共に造形物50を取り外す場合、造形台202又はトレイ212と共に造形物50を保管位置へ移動させてよい。この場合、完了造形物移動装置42は、例えば、取り外したものとは別の造形台202又はトレイ212を新たに設置する。また、完了造形物移動装置42は、造形台202又はトレイ212から自動的に造形物50を取り外し、同じ造形台202又はトレイ212を元に位置へ戻してもよい。
また、造形物支持部14の構成や造形装置10の動作等については、例えば以下において説明をするように、更なる変形例等を考えることもできる。図10は、造形物支持部14の構成の変形例を示す。図10(a)は、造形物支持部14の構成の一例を示す上面図である。図10(b)は、図10(a)に一点鎖線で示した位置AA、BB、CCにおける造形物支持部14の断面図である。尚、以下に説明をする点を除き、図10において、図1〜9と同じ符号を付した構成は、図1〜9における構成と同一又は同様の特徴を有してよい。
上記においては、先に造形を開始した造形物の造形途中に新たな造形物(他の造形物)の造形を開始する追加造形を行うための構成に関し、主に、造形物支持部14が複数の造形台202を有する場合の構成について説明をした。この場合、上記においても説明をしたように、複数の造形台202のそれぞれを互いに独立に積層方向へ移動させることにより、それぞれの造形物の造形を開始するタイミングの違いに合わせて、それぞれの造形台202の位置を異ならせる。また、これにより、例えば、少なくとも一つの造形物の造形を開始した後、その造形物の造形が完了する前に、他の造形物の造形を開始する。
しかし、追加造形を行うための構成としては、必ずしも複数の造形台202を用いるのではなく、一つの造形台202を用いて、先に造形を開始した造形物の造形途中に新たな造形物の造形を開始すること等も考えられる。また、この場合、例えば図中に示すように、造形を開始するタイミングの違いに対応する高さを有する台状部材である追加造形台252を造形台202の上に設置して、追加造形台252上で新たな造形物の造形を造形すること等が考えられる。
また、より具体的に、この場合、造形物支持部14は、一つの造形台202を有する。また、この場合も、造形台202は、ヘッド部12(図1参照)と対向する対向面を有する台部の一例である。また、造形台202としては、対向面上で複数の造形物50を並べて造形することが可能な大きさの造形台202を用いる。対向面上で複数の造形物を並べて造形することが可能であるとは、例えば、造形台202上において造形物を造形可能な範囲である有効造形エリア502内で複数の造形物を並べて造形することが可能なことである。
また、この場合、追加造形台252は、造形台202とは別体の台状部材であり、必要に応じて造形台202上に設置される。また、より具体的に、追加造形を行う場合、最初の造形物の造形を開始するタイミングにおいて、追加造形台252は造形台202上に設置されない。また、これにより、ヘッド部12は、造形台202上で、最初の造形物を造形する。また、追加造形を行う場合、最初の造形物を開始した後、所定のタイミングにおいて、他の造形物(次の造形物)の造形を開始する。そして、この場合、例えば、他の造形物の造形を開始する前に、追加造形台252を、造形台202上に設置する。また、これにより、ヘッド部12は、追加造形台252上で他の造形物を造形する。
このように構成した場合、例えば、他の造形物の造形を開始するタイミングにおいて造形台202の対向面とヘッド部12との距離が離れていても、造形台202上に追加造形台252を設置することで、造形中の造形物を支持する面(追加造形台252の上面)とヘッド部12との間の距離を十分に小さくすることができる。また、他の造形物の造形の開始後には、最初に造形を開始した造形物等に加えて他の造形物の造形を行うことで、複数の造形物の造形を同時に並行して行うことができる。この場合、複数の造形物の造形を同時に並行して行うとは、例えば、他の造形物の造形の開始後、少なくとも複数の造形物のうちのいずれかの造形が完成するまでの間、造形を同時に並行して行うことである。
そのため、本変形例においても、例えば、複数の造形物のそれぞれについて、互いに異なるタイミングで造形を開始することができる。また、これにより、例えば、複数の造形台202を用いることなく、追加造形を適切に行うことができる。また、追加造形を可能にすることにより、例えば、複数の造形物の造形をより効率的に行うことができる。
ここで、追加造形台252としては、例えば、造形台202と同じ材質の台を用いることが考えられる。この場合、追加造形台252について、造形台202と同じ材質とは、例えば、追加造形台252の上面において造形物が形成される領域の材質が造形台202の対向面における有効造形エリア502の材質と同じことである。また、より具体的に、追加造形台252については、例えば、少なくとも上面がアルマイトで形成された台を好適に用いることができる。
また、追加造形台252としては、例えば図10(b)における各断面に示すような、3点支持で造形台202上に設置される台を好適に用いることができる。このように構成すれば、例えば、造形台202上での浮き等を適切に抑え、かつ、追加造形台252の取り外しを容易にしつつ、自重により造形台202上に追加造形台252を適切に固定できる。
また、この場合、追加造形台252は、3点支持での固定を行うために、設置時に造形台202と対向する側の面に、3個の凸部を有する。また、造形台202は、対向面に、3個の凸部の一部に対応する孔を有する。また、この場合、図中に示す各断面の位置からわかるように、3点支持を行う位置について、造形台202の外周部付近に設定する。そして、有効造形エリア502について、3点支持を行う位置よりも内側に設定する。
また、より具体的に、この場合、追加造形台252における3点支持用の凸部の一つについては、例えば断面AAに示すように、造形台202の孔に対し、副走査方向(X方向)、主走査方向(Y方向)、及び積層方向(Z方向)の各方向の位置が決まるように挿入される凸部を用いることが考えられる。この場合、凸部の位置が決まるとは、例えば、造形の解像度に応じた十分な精度で、その凸部の位置が決まることである。
また、この凸部としては、例えば、断面が円状になるピン状の凸部等を好適に用いることができる。また、この凸部に対応する孔としては、この凸部に対して隙間ばめの関係になる丸孔等を好適に用いることができる。また、この凸部及び孔の直径については、例えば8mm程度(Φ8mm程度)にすることが考えられる。また、この場合、凸部は、図中に示すように、孔に挿入されることで積層方向における追加造形台252の位置も決まるように、根元部分が孔の直径よりも大きくなっている。このように構成すれば、この凸部について、副走査方向、主走査方向、及び積層方向の各方向の位置を決めるための凸部として用いることができる。
また、3点支持用の凸部のうち、他の一つについては、例えば断面BBに示すように、対向面と平行ないずれかの方向への移動に余裕がある状態で造形台202の孔に挿入される凸部を用いることが考えられる。この場合、この凸部としては、例えば、断面AA中に示す凸部と同一又は同様の形状のピン状の凸部等を好適に用いることができる。また、この凸部に対応する孔としては、例えば、この凸部に対して隙間ばめの関係になり、かつ、いずれかの方向における径が凸部の直径よりも大きな長孔等を好適に用いることができる。また、この場合、例えば、副走査方向における径が凸部の直径と等しく、主走査方向における径が凸部の直径よりも大きい長孔を用いることが考えられる。このように構成すれば、例えば、この凸部について、副走査方向、及び積層方向の各方向の位置を決めるための凸部として用いることができる。また、例えば断面AAに示す凸部と同じ形状の直径が8mm程度の凸部を用いる場合、対応する孔としては、例えば、主走査方向における径が12mm程度で、副走査方向における径が12mm程度の長孔(Φ8mmx12mm程度の長孔)等を用いることが考えられる。
また、3点支持用の凸部のうち、残りの一つについては、例えば断面CCに示すように、造形台202の孔に挿入しない凸部を用いることが考えられる。この場合、この凸部としては、先端が尖ったピン状の凸部(先端尖りピン)等を好適に用いることができる。また、これにより、この凸部について、積層方向の位置を決めるための凸部として用いることができる。また、この凸部については、例えば、直径5mm程度(Φ5mm程度)の先端尖りピン等を用いることが考えられる。このように構成すれば、例えば、造形台202上に追加造形台252を高い精度で適切に設置できる。また、これにより、追加造形台252上での追加造形をより適切に行うことができる。
また、造形台202上に追加造形台252を設置した状態において、造形台202上での追加造形台252の高さLは、造形台202上での造形を行う造形物と、追加造形台252状で造形を行う造形物との造形の開始位置(造形スタート位置)の差(積層方向における位置の差)になる。そのため、追加造形台252としては、造形を開始するタイミングに合わせた高さLを有する追加造形台252を用いることが必要になる。
また、追加造形台252としては、例えば、高さLが互いに異なる複数種類の追加造形台252を予め用意しておくこと等が考えられる。この場合、例えば、追加造形を行うタイミングに応じて選択した追加造形台252を用いることで、他の造形物の造形を開始するタイミング(造形スタート位置)として、複数のタイミングが選択可能になる。そのため、このように構成すれば、例えば、追加造形の行い方の自由度をより高めることができる。また、より具体的に、例えば、造形台202上で造形可能な造形物について、積層方向における最大寸法(最大造形寸法)が20cm程度であるの場合、L=2.5cm、5cm、7.5cm、10cm、12.5cm等の様々な高さLの追加造形台252を用意することが好ましい。
尚、造形物支持部14の構成の更なる変形例においては、追加造形台252の大きさや数について、変更を行うこと等も考えられる。より具体的に、図10においては、造形台202の半分程度の大きさの追加造形台252を造形台202上に1個だけ設置する場合について、造形物支持部14の構成の一例を図示している。しかし、造形台202に設置する追加造形台252の大きさや数等については、様々に変更してもよい。また、この場合、それぞれの追加造形台252の位置決めに用いる凸部や、造形台202に形成する孔については、適宜変更することが好ましい。また、例えば、追加造形台252を固定するための構成等を必要に応じて変更することで、造形台202上で複数の追加造形台252を重ねて用いること等も考えられる。このように構成すれば、例えば、追加造形において造形を開始するタイミングをより多様に設定することができる。
続いて、追加造形台252を用いて行う追加造形の動作について、更に詳しく説明をする。図11は、追加造形の動作について更に詳しく説明をする図である。尚、下に説明をする点を除き、図11において、図1〜10と同じ符号を付した構成は、図1〜10における構成と同一又は同様の特徴を有してよい。
図11(a)〜(c)は、造形中の造形物50等の様子を示す図であり、追加造形を行う場合の互いに異なるタイミングにおける造形物50等の様子の一例を模式的に示す。図11(a)は、図中に符号Aを付して示す造形物50を造形台202上で造形している様子を示す図である。図中において、ノズル位置は、ヘッド部12(図1参照)において造形の材料を吐出するノズルに対応する位置を示している。また、この場合、ノズルに対応する位置とは、例えば、ノズルの位置に応じて設定される造形物50の被造形面の位置(積層方向における位置)のことである。また、造形物50の造形時において、造形物50の周囲には、必要に応じて、図中に示すように、サポート層52が形成される。
また、より具体的に、図11(a)は、追加造形の対象となる他の造形物50の造形を開始する直前のタイミングにおいて、符号Aを付した造形物50が途中まで造形されている状態を示している。また、このタイミングにおいて、造形台202は、造形の進行に応じて、造形物50の被造形面の位置とノズル位置とを合わせつつ、ヘッド部12から離れる方向へ移動している。そのため、図中に示すように、造形台202の対向面の位置(積層方向における位置)は、ノズル位置から離れた位置になっている。そして、この場合、造形台202上に空いたスペースがあったとしても、そのまま他の造形物の造形を開始することはできない。
これに対し、本変形例においては、図11(b)に示すように、造形台202上の造形物50の造形が途中まで進んでいるタイミングにおいて、例えば造形の動作を一時停止して、造形台202上に追加造形台252を設置する。また、これにより、追加で造形する造形物の造形の開始位置(積層方向における位置)について、図中に示すように、ノズル位置に合わせる。そして、追加造形台252の設置後、図11(c)に示すように、造形の動作を再開して、符号Aを付した造形物50の造形と同時に並行して、追加造形台252上において、符号Bを付した造形物50の造形を行う。
このように構成した場合、例えば、造形台202上での造形物50の造形中に、他の造形物50の造形を適切に開始できる。そのため、例えば造形台202上での造形物50の造形中に新たな造形の指示を造形装置10が受け付けた場合等において、造形中の造形物50の造形の完了を待たずに、追加造形を適切に行うことができる。この場合、新たな造形の指示を造形装置10が受け付けるとは、例えば、他の造形物50に対応するジョブを造形装置10が受け付けることである。また、この場合において、追加造形台252を用いることにより、造形中の造形物50と新たに造形を開始する造形物50とを対向面と並行な面内に横に並べて、効率的に造形を行うことができる。
ここで、上記においても説明をしたように、造形装置10は、スライスデータに基づき、造形物50の造形を行う。そのため、追加造形を行う場合には、造形中の造形物50を示すスライスデータと、新たに造形を開始する造形物50を示すスライスデータとに基づき、スライスデータの合成等を行うこと等が考えられる。
図11(d)は、本変形例において行うスライスデータの合成の仕方を模式的に示す図である。図中において、左側の図は、追加造形を開始する前のタイミングにおける被造形面を模式的に示す図である。この場合、スライスデータは、図中に示すように、符号Aを付した造形物50の断面のみを示すデータになる。また、図中において、右側の図は、追加造形を開始した後のタイミングにおける被造形面を模式的に示す図である。この場合、スライスデータは、図中に示すように、符号Aを付した造形物50の断面と、符号Bを付した造形物50の断面とを示すデータになる。
このように、本変形例においては、複数の造形物50を示すスライスデータを用いることにより、追加造形を行う。そして、この場合、追加造形を開始する前に、造形中の造形物50を示すスライスデータと、新たに造形を開始する造形物50を示すスライスデータとを合成することにより、複数の造形物50を示す新たなスライスデータ(合成データ)を生成する。また、これにより、造形装置10は、追加造形の開始後において、合成データに基づき、複数の造形物50の造形を行う。このように構成すれば、例えば、追加造形の動作を適切に制御できる。
尚、このようなスライスデータの合成については、本変形例のように追加造形台252を用いる場合に限らず、他の方法で追加造形を行う場合にも同様に行うことができる。例えば、図1〜9を用いて説明をした構成のように、複数の造形台202用いて追加造形を行う場合にも、同様にスライスデータの合成を行うことが考えられる。
また、本変形例においては、上記においても説明をしたように、造形中の造形物50と新たに造形を開始する造形物50とを対向面と並行な面内に横に並べた状態で、追加造形を行う。そして、この場合、追加造形を開始する前に、追加造形を行うためのスペースが確保できるか否か等を確認することが必要になる。そこで、以下、このような点も含めて、本変形例において行う造形の動作の制御について、更に詳しく説明をする。
図12及び図13は、造形の動作の制御の一例を示すフローチャートであり、追加造形台252を用いて追加造形を行う場合の造形装置10の動作の一例を示す。また、このフローチャートでは、造形台202上において一つ目の造形物50であるオブジェクトAの造形を開始した後(造形スタート後)の動作の一例を示している。この場合、オブジェクトAの造形スタート後、造形装置10は、所定のタイミングにおいて、造形が終了しているか否かの確認を行う(S202)。この場合、造形が終了するとは、例えば、造形装置10で造形を行うべき全ての造形物50の造形が完了することである。また、造形装置10で造形を行うべき造形物とは、例えば、造形装置10が受け付けたジョブに対応する造形物のことである。そして、造形装置10で造形が終了していると判断した場合(S202:Y)、造形の動作を終了する(S204)。
また、ステップS202において、造形が終了していないと判断した場合(S202:N)、例えば造形装置10が新たなジョブを受け付けているか否かを確認することにより、追加造形すべき造形物50があるか否かの確認を更に行う(S206)。そして、追加造形すべき造形物50がないと判断した場合(S206:N)、ステップS202に戻り、以降の動作を繰り返す。また、これにより、造形の動作を継続する。
また、ステップS206において、追加造形すべき造形物50があると判断した場合(S206:Y)、造形中(仕掛かり中)の造形物50(オブジェクトA)とは別の造形物50(オブジェクトB)を造形する追加造形の要求を処理して(S208)、追加造形の動作が可能であるか否かの判断を行う(S210)。また、この判断においては、例えば、造形装置10において造形物50の造形が可能な領域の中に、既に造形を行っている造形物50(オブジェクトA)が占めるスペース(空間)の他に、追加で造形する他の造形物50(オブジェクトB)を造形するためのスペースがあるか否かの判断を行う。また、より具体的に、この判断としては、オブジェクトBの造形時に使用する追加造形台252を造形台202上に設置可能であるか否かの判断を行うことが考えられる。
そして、ステップS210において、例えばスペースの不足等により追加造形をできないと判断した場合(S210:N)、追加造形が不可能である旨の表示(「追加造形不可」の表示)を行って、ステップS202に戻る。また、以降の動作を繰り返すことにより、造形の動作を継続する。また、ステップS210において、追加造形が可能であると判断した場合(S210:Y)、ステップS214へ進み、追加造形の動作を行う。
また、追加造形を行う場合には、造形台202上に設置する追加造形台252の高さLに合わせた位置を積層方向における造形の開始位置(追加造形開始位置)に設定する。そのため、この場合、造形中の造形物50(オブジェクトA)の造形について、追加造形開始位置に対応する高さまで進め、その位置で、造形の動作を一時停止する(S214)。そして、例えば、「追加造形台を正しくセットして下さい」等の言葉を表示することにより、造形台202への追加造形台252の設置を造形装置10のユーザに促す(S216)。また、追加造形台252の設置を促した後には、例えば一定の周期で追加造形台252が設置されているか否かを繰り返し確認することにより、追加造形台252が設置(セット)されるまで待機を行う(S218:N)。
また、追加造形台252が設置された後(S218:Y)には、積層方向における追加造形台252の上面の位置(上面位置)を検出し(S220)、上面位置が正常であるか否かの確認を行う(S222)。この場合、追加造形台252の上面位置が正常であるとは、例えば、追加造形台252が正しく設置された場合の上面位置として予め記憶されている位置と検出した上面位置とが所定の許容範囲内で一致することである。そして、ステップS222において、上面位置が正常ではないと判断した場合(S222:N)、ステップS216に戻り、以降の動作を繰り返す。また、これにより、追加造形台252の設置を改めてユーザに促す。
また、ステップS222において、上面位置が正常であると判断した場合(S222:Y)、一旦造形を停止した造形物50(オブジェクトA)の造形を再開すると共に、新たな造形物50(オブジェクトB)の造形を開始する(S224)。また、これにより、追加造形の動作を開始する。また、その後は、ステップS202に戻り、以降の動作を繰り返す。また、これにより、追加造形の開始後の造形の動作を継続する。以上のように構成すれば、例えば、追加造形の動作を適切に行うことができる。
続いて、追加造形の動作について、更なる変形例等を説明する。図14は、造形装置10の構成や動作等の更なる変形例について説明をする図である。尚、以下に説明をする点を除き、図14において、図1〜13と同じ符号を付した構成は、図1〜13における構成と同一又は同様の特徴を有してよい。
図14(a)は、追加動作の変形例を模式的に示す。上記においては、造形中の造形物50と新たに造形を開始する造形物50との配置について、主に、造形台202の対向面と平行な面内で横方向(水平方向)に並べる場合の配置を説明した。この場合、複数の造形物50について、上記において説明をしたように、同時に並行して造形を行うことになる。しかし、先に造形を開始した造形物50の造形中に新たな造形物について造形の指示を受け付けるという観点で考えた場合、例えば、新たな造形物の造形の指示のみを先に受け付けておき、新たな造形物の造形を実際に開始するタイミングについて、先に造形を開始した造形物50の造形が完了後に行うこと等も考えられる。
また、より具体的に、例えば図14(a)に示した動作においては、図中の左側に示すタイミングのように、符号Aを付した造形物50の造形中に、他の造形物50を造形する指示を受け付ける。そして、符号Aを付した造形物50の造形の完了後に、他の造形物の造形を開始する。また、この場合、例えば図中の右側に符号Bを付した造形物50のように、追加造形により造形を行う他の造形物50は、造形が完了した造形物50の上(積層方向における上)に重なる。
このように構成した場合も、例えば、先に造形を開始した造形物50を造形している間に、他の造形物50を造形する指示を適切に受け付けることができる。また、この場合、先に造形を開始した造形物50の造形が完了した後に他の造形物50の造形を開始することにより、複数の造形物50の造形を続けて行い、積層方向(上下方向)に並べて複数の造形物50を造形する。このように構成した場合も、例えば、追加造形を適切に行うことができる。
ここで、このように構成した場合、例えば造形に要する時間の点では、それぞれの造形物50の造形に要する時間の合計になるため、大きな短縮にはならない。しかし、この場合も、任意のタイミングで追加造形の指示を行えば、その後、自動的に複数の造形物50の造形を行うことが可能になる。また、これにより、例えば、造形装置10の近くを長時間離れる場合等に、次に造形を行うべき造形物50を予め指定すること等が可能になる。また、この場合も、先に造形を開始した造形物50の造形中に次の造形物50の造形の指定が可能になるため、例えば先の造形物50の造形開始後に他の造形物50の造形が必要になった場合等にも、任意のタイミングで追加造形の指示を行うこと等が可能になる。そのため、このように構成した場合も、追加造形を行うことにより、複数の造形物50をより効率的に造形することができる。また、この場合、複数の造形物50が上下方向へ並ぶように追加造形を行うことにより、例えば、複数の造形台202や追加造形台252等を用いることなく、追加造形を行うことができる。そのため、このように構成すれば、例えば、より簡易な構成により追加造形を行うこと等も可能になる。
また、このように追加造形を行う場合には、図12及び図13を用いて説明をした造形装置10による造形の動作について、一部を変更することが考えられる。図14(b)は、複数の造形物50が上下方向へ並ぶように追加造形を行う場合の動作の一例を示すフローチャートであり、図12及び図13に示したフローチャートからの変形部分の一例を示す。
この場合も、図12に示した各ステップ(ステップS202〜S212)については、対応する動作を同一又は同様に行う。そして、ステップS214に対応する動作以降の動作については、図13に示した場合と異ならせる。より具体的に、この場合、ステップS210に対応する動作に続いて、例えば、追加造形を開始するか否かの確認を行う(S232)。そして、追加造形を行わないと判断した場合(S232:N)には、ステップS202に対応するステップに戻り、以降の動作を繰り返す。
また、ステップS232において、追加造形を開始すると判断した場合(S232:Y)、先に造形を開始した造形物50(オブジェクトA)の造形を再開する(S234)。この場合、造形を再開するとは、例えば、追加造形の開始前に行っていた造形物50の造形の動作を継続して行うことである。また、この場合、この造形物50(オブジェクトA)の造形が完了するまでの間、追加造形の対象となる造形物50(オブジェクトB)は、造形の動作を待つ造形待ちの状態になる。
また、この場合、先に造形を開始した造形物50(オブジェクトA)の造形が終了(完了)したタイミングで、次の造形物50(オブジェクトB)の造形を開始する(S236)。そして、図12に示したステップS202に対応するステップに戻り、以降の動作を繰り返す。また、これにより、次の造形物50の造形を行う。このように構成すれば、例えば先に造形を開始した造形物50(オブジェクトA)の造形完了後に次の造形物50(オブジェクトB)の造形を自動的に開始することができる。また、これにより、例えば、追加造形の動作を適切に行うことができる。
ここで、上記においては、追加造形を行う構成として、主に、同時に並行して複数の造形物50の造形を行うことで横方向へ並べて複数の造形物50を造形する構成や、複数の造形物50の造形を続けて行い、上下方向に並べて複数の造形物50を造形する構成等を説明した。また、造形装置10の動作の変形例においては、例えば、横方向に複数の造形物50を並べるか、上下方向に複数の造形物50を並べるかを選択して、選択した方法で追加造形を行うこと等も考えられる。
より具体的に、この場合、例えば、造形物50の造形中に新たな造形物50を造形する指示を受け付けた場合、造形装置10の制御部において、複数の造形物50の造形を同時に並行して行うか否かを決定する。この場合、例えば、ユーザの選択に応じて決定を行うことが考えられる。また、例えば、造形中の造形物50や追加造形で造形する造形物50の形状等基づき、複数の造形物50の造形を同時に並行して行うか否かを決定してもよい。この場合、各造形物50の高さや幅(断面積)等に基づき、横に並べて同時に並行して造形を行うことが可能であるか否かを判断すること等が考えられる。
そして、例えば、同時に並行して造形を行うと判断した場合、この判断に応じて、既に造形中の造形物50の造形が完了する前に、新たな造形物50の造形を開始する。また、これにより、造形装置10は、複数の造形物50を横方向に並べて、同時に並行して造形する。また、例えば複数の造形物50を横に並べるにはスペースが不足する場合等に、複数の造形物50の造形を同時に並行して行わないと判断した場合、複数の造形物50の造形を順次行うことにより、上下方向へ並べて複数の造形物50を造形する。この場合、造形装置10は、先に造形を開始した造形物50の造形が完了した後に、新たな造形物50の造形を開始する。このように構成すれば、例えば、造形しようとする造形物50の形状等に応じて、複数の造形物50の造形をより適切に行うことができる。
続いて、造形装置10により行う造形の動作について、更なる変形例を説明する。上記においては、先に造形を開始した造形物50の造形中に新たな造形の指示を造形装置10が受け付ける動作に関し、先に造形を開始した造形物50に加えて新たな造形物50を造形するような追加造形の動作について、説明をした。しかし、先に造形を開始した造形物50の造形中に新たな造形の指示を造形装置10が受け付けるという観点で考えた場合、先に造形を開始した造形物50については、必ずしも造形を完成させずに、造形を取り消す(キャンセルする)こと等も考えられる。
図14(c)は、造形の動作の更なる変形例を模式的に示す。図中において、符号Aを付した造形物50は、先に造形を開始した造形物50である。また、符号Bを付した造形物50は、符号Aを付した造形物50の造形中に造形の指示を造形装置10が受け付けた造形物50である。また、図中において、左側の図は、符号Aを付した造形物50の造形中の様子の一例を示す図である。右側の図は、符号Aを付した造形物50の造形を中止して、符号Bを付した造形物50の造形を開始した後の様子の一例を示す。
この場合、符号Bを付した造形物50についての造形の指示を受け付けた後、造形装置10は、符号Aを付した造形物50の造形を中止する。この場合、例えば、ユーザの指示に基づき、造形物50の造形を中止すること等が考えられる。また、造形物50の造形を中止(途中停止)した後、造形装置10は、例えばユーザの指示に応じて、途中まで造形を行った造形物50の上で、符号Bを付した造形物50の造形を開始する。このように構成した場合も、造形物50の造形中に受け付けた新たな造形の指示に基づき、新たな造形物50についての造形の動作を適切に開始することができる。また、これにより、例えばユーザが希望する造形の動作をより適切に実行することができる。
続いて、造形が完了した造形物50を造形装置10から取り外す動作等について、更に詳しく説明をする。図15〜17は、造形物50を造形装置10から取り外す動作の一例を示す図であり、複数の造形台202を有する造形物支持部14を用いる場合について、造形物50の造形が完了した造形台202を副走査方向へ移動させ、完成した造形物50を取り外しやすい状態にする場合の動作の一例を示す。また、図15〜17に示す構成については、図1等に示した造形装置10に対して一部の構成を異ならせた造形装置10の変形例と考えることができる。
また、より具体的に、この場合、造形装置10は、図15(a)に示すように、例えば図1に示した造形装置10と比べ、リニアガイド62を更に備える。リニアガイド62は、副走査方向(X方向)への造形台202の移動をガイドするガイド部材であり、被ガイド部64及びガイド部66を有する。被ガイド部64は、副走査方向への造形台202の移動時に造形台202と共に副走査方向へ移動する部材であり、ガイド部66に沿って移動することにより、造形台202の移動方向を規定する。また、ガイド部66は、例えば副走査方向へ延伸するレール部材であり、副走査方向への被ガイド部64の移動をガイドする。
また、上記及び以下に説明をする点を除き、本変形例における造形装置10は、図1等に示した造形装置10と同一又は同様の特徴を有してよい。例えば、上記及び以下に説明をする点を除き、図15等において、図1〜14と同じ符号を付した構成は、図1〜14における構成と同一又は同様の特徴を有してよい。例えば、図15等においては、図示の便宜上、造形装置10の各部の駆動や動作のための一部の構成を省略して図示している。そのため、図15等に示した造形装置10は、図中に示した構成以外に、例えば図1等に示した造形装置10と同様の各構成を更に備えてよい。また、本変形例において、造形物支持部14は、副走査方向及び積層方向(Z方向)へ互いに独立駆動される複数の造形台202を有する。
また、図15(a)、(b)、図16(a)、(b)、及び図17は、図中に造形台1、2と示す造形台202上での造形物50の造形が完了した後、その造形物50を取り外す場合について、各タイミングでの造形装置10の状態の一例を示す。より具体的に、図15(a)は、自動車の形状の造形物50を造形する場合について、造形台1、2上での造形物50の造形が完了したタイミングでの造形装置10の状態を示す。
また、この場合、以降のタイミングにおいて、造形が完了した造形物50が載る造形台202(造形台1、2)を移動させて、造形物50の取り出しを行う。そして、この動作においては、先ず、図15(b)に示すように、ヘッド部12における平坦化ローラユニット106と造形物50とが接触しないように、ヘッド部12から離れる方向へ造形台202を移動させる。この場合、平坦化ローラユニット106と造形物50とが接触しないようにするとは、例えば、造形物50において積層されているインクの層の上面(積層上面)と平坦化ローラユニット106とが造形台202の移動時に接触しないようにすることである。また、この場合、例えば、造形装置10におけるZ走査駆動部36(図1参照)により造形台202の移動(Z走査)を行わせることにより、造形台202を、積層方向へ0.1mm以上(例えば、0.1〜5mm程度、好ましくは、0.5〜3mm程度)移動させる。この場合、造形台202を移動させるとは、例えば、取り外しの動作の対象となっている造形物50が載っている造形台202を移動させることである。また、積層方向へ造形台202を移動させるとは、造形台202における少なくとも上面を移動させることであってよい。
そして、造形台202を積層方向へ移動させた後には、造形装置10におけるX走査駆動部32(図1参照)により造形台202の移動(X走査)を行わせることにより、図16(a)に示すように、副走査方向へ造形台202を移動させる。また、この場合において、少なくとも、造形台202上の造形物50とヘッド部12とが積層方向において上下関係にならない位置まで、造形台202を移動させる。このようにすれば、例えば、その後に行う造形物50の取り外しをより容易に行うことができる。
また、副走査方向へ造形台202を移動させた後には、図16(b)に示すように、積層方向における初期位置(Z初期位置、造形物取り外し位置)へ造形台202(造形台1、2)を移動させて、その位置に停止させる。また、この停止位置において、造形物50の取り外しを行う。更に、造形物50を取り外した後には、造形物50の取り外し後の造形台202(造形台1、2)について、副走査方向における初期位置へ移動させる。そして、その位置で停止した状態で、次の造形のための待機を行う待機状態にする。
このように構成すれば、例えば、造形が完了した造形物50を造形装置10から適切に取り外すことができる。また、造形物50を取り外した後、造形台202を待機状態にすることで、必要に応じて新たな造形を開始することができる。また、この場合、一部の造形台202(造形台1、2)からの造形物50の取り出しを行っている間に、他の造形台202(例えば、造形台3、4)での造形を継続することもできる。より具体的に、例えば、図15(b)や図16(a)で示したタイミングのように、一部の造形台202(造形台1、2)を積層方向や副走査方向へ移動させている間も、他の造形台202での造形を継続することができる。そのため、このように構成すれば、造形物50の造形を効率的かつ適切に行うことができる。
また、上記においても説明をしたように、複数の造形台202を有する造形物支持部14を用いる場合、それぞれの造形台202については、例えば積層方向のみに独立に駆動すること等も考えられる。そして、このような場合には、造形装置10の全体での造形の動作を一時停止して、造形物50の取り出しを行うこと等が考えられる。
図18〜19は、造形物50を造形装置10から取り外す動作の他の例を示す図であり、造形装置10の全体での造形の動作を一時停止して造形物50の取り出しを行う場合の動作の一例を示す。また、図18及び図19に示した構成についても、図1等に示した造形装置10に対して一部の構成を異ならせた造形装置10の変形例と考えることができる。
また、上記のように、本変形例において、造形物支持部14におけるそれぞれの造形台202は、積層方向への移動のみを行う。また、この場合、Z走査駆動部36(図1参照)は、それぞれの造形台202を、個別に駆動する。また、本変形例において、造形物50に対する相対的なヘッド部12の移動のうち、主走査方向及び副走査方向への移動は、ヘッド部12の側を移動させることで行う。また、上記及び以下に説明をする点を除き、本変形例の造形装置10は、図1等に示した造形装置10と同一又は同様の特徴を有してよ。例えば、上記及び以下に説明をする点を除き、図18等において、図1〜17と同じ符号を付した構成は、図1〜17における構成と同一又は同様の特徴を有してよい。例えば、図18等においても、図示の便宜上、造形装置10の各部の駆動や動作のための一部の構成を省略して図示している。そのため、図18等に示した造形装置10も、図中に示した構成以外に、例えば図1等に示した造形装置10と同様の各構成を更に備えてよい。
また、図18(a)、(b)、及び図19(a)、(b)は、図中に造形台1、2と示す造形台202上での造形物50の造形が完了した後、その造形物50を取り外す場合について、各タイミングでの造形装置10の状態の一例を示す。より具体的に、図18(a)は、自動車の形状の造形物50を造形する場合について、造形台1、2上での造形物50の造形が完了したタイミングでの造形装置10の状態を示す。また、本変形例において、造形装置10は、このタイミングにおいて、造形の動作を一時停止する。この場合、造形の動作を一時停止するとは、例えば、全ての造形台202上での造形の動作を一時停止することである。
また、造形の動作を一時停止した後には、X走査駆動部32及びY走査駆動部34(図1参照)によりヘッド部12を移動させることにより、例えば図18(b)に示すように、主走査方向及び副走査方向における走査端部へヘッド部12を待避させる。この場合、主走査方向及び副走査方向における走査端部とは、例えば、各方向へヘッド部12が移動可能な範囲の端のことである。より具体的に、図18(b)に示す場合において、副走査方向における走査端(X走査端部)は、図中の右側の端部である。また、主走査方向における走査端は、図中の奥又は手前の端である。
また、主走査方向及び副走査方向の走査端へヘッド部12を移動させた後には、例えば図19(a)に示すように、積層方向において造形物の取り外し位置になる積層方向の初期位置(Z初期位置)へ造形台202(造形台1、2)を移動させる。そして、この位置において、造形が完了している造形物50を造形台202から取り外す。
また、造形物50を取り外した後には、例えば図19(b)に示すように、ヘッド部12を積層方向及び副走査方向における初期位置へ移動させ、造形が未完了の造形物50が載る造形物50上での造形を再開する。また、造形物50が取り外された造形台202(造形台1、2)については、次の造形のための待機を行う待機状態にする。このように構成した場合も、例えば、造形が完了した造形物50を造形装置10から適切に取り外すことができる。また、造形物50を取り外した後、造形台202を待機状態にすることで、必要に応じて新たな造形を開始することができる。そのため、このように構成した場合も、造形物50の造形を効率的かつ適切に行うことができる。尚、上記では、ヘッド部12の移動を副走査方向(X方向)及び主走査方向(Y方向)に行って、造形が完了している造形物50の取り出しを可能にした。しかし、十分に移動距離が取れるのであれば、副走査方向又は主走査方向の何れか一方のみへの移動でも、造形物50の取り出しが可能である。
続いて、造形装置10の構成等に関し、補足説明を行う。上記のような各動作により追加造形を行う場合、造形装置10の動作を表示する画面等を用いて、造形の進行状況の表示や、ユーザの指示の受け付け等を行うことが好ましい。この場合、例えば、グラフィカルユーザインターフェイス(GUI)の画面において、造形しようとする造形物を管理するアイコン等を表示することが考えられる。また、この場合、追加造形を指示する(追加アイコン)、追加造形の造形動作をすぐに開始せずに待機させるアイコン(待機アイコン)、造形の指示を取り消すアイコン(キャンセルアイコン)等を表示すること等が考えられる。また、この場合、造形装置10で造形を行う造形物の配置等を画面に表示することが好ましい。また、この場合、追加造形で造形する造形物や、待機中の造形物等を含めて画面に表示すること等も考えられる。このように構成すれば、例えば、追加造形の動作の制御をより適切に行うことができる。
また、上記において説明をした以外の点において、造形装置10による造形の動作は、公知の造形の方法と同一又は同様に行うことができる。より具体的に、造形物50を構成するインクの層の形成については、公知の方法と同一又は同様にして行うことができる。また、この場合、一つのインクの層を形成するために同じ位置に対して行う主走査動作の数であるパス数については、例えば求められる造形の精度(解像度)等に応じて、任意の数(1パス〜Nパス)に設定することが考えられる。
また、上記においては、主に、ヘッド部12に主走査動作及び副走査動作を行わせるシリアルヘッド方式で造形を行う場合について、説明をした。この場合において、ヘッド部12における各インクジェットヘッドについて、例えば副走査方向へノズルが複数個並んだノズル列におけるノズルの密度が造形に求められる精度(造形密度)よりも低い場合や、ノズル列の長さ(配列長さ)が副走査方向における造形物50の幅(造形幅)以下である場合等には、パス数を複数にするマルチパス方式により、造形密度や造形幅を満たすために必要な回数の主走査動作を行い、かつ、主走査動作を行う毎に所定の送り量の副走査動作を行う。
これに対し、造形の動作については、シリアルヘッド方式ではなく、ラインヘッド方式で行うことも考えられる。この場合、造形装置10は、例えば、副走査動作に相当するX方向への走査(X走査)は行わず、主走査動作に相当するY方向への走査(Y走査)のみを行うことでそれぞれのインクの層を形成する。また、この場合、ヘッド部12における各インクジェットヘッドとして、例えば、ノズル列におけるノズルの密度が造形密度以上であり、かつ、ノズル列の長さが造形幅以上であるインクジェットヘッドを用いる。このように構成すれば、例えば、X走査を行うことなく、1回のY走査で一つのインクの層を適切に形成できる。