本発明は、使い捨ておむつの製造方法及び使い捨ておむつに関するものである。
使い捨ておむつ、特にパンツタイプ使い捨ておむつの製造方法としては、おむつの幅方向がライン流れ方向となる横流れ形態が広く採用されており、図1に示されるように、設備上流側で、胴回り部分をなす外装シートと、吸収体を有する内装体とがそれぞれ別のラインで製造され、これら外装シート及び内装体の一体化工程以降が一つのラインで構成されている。
より詳細に説明すると、図1中、上段部分の平面図が外装シートの製造を含む主ラインを示しており、中段部分の平面図が内装体の製造ラインを示しており、下段部分の正面図が製造フロー全体を示している。主ラインは、外装シート形成工程501、弾性伸縮部材の切断工程502、脚開口部の切り離し工程503、内装体取付工程504、側部接合工程505、及び切り離し工程506を有している。先ず、外装シート形成工程501では、連続帯状の外側シート素材12S及び内側シート素材12Hを各ロールから繰り出して、両シート素材12S,12H間に糸ゴム等の弾性伸縮部材15,17〜19を搬送方向(胴回り方向)に沿って伸張した状態で挟みつつ、両シート素材12S,12Hをホットメルト接着剤等により順次貼り合わせることにより外装シート12を連続的に形成する。
次に、弾性伸縮部材の切断工程502では、形成した連続外装シート12に対して、後に内装体200と重なる部分CTに位置する弾性伸縮部材15,19をヒートエンボス等の切断装置601により切断し、当該部分CTにおいて弾性伸縮部材15,19の伸縮力が作用しない状態とする。また、次の脚開口部の切り離し工程503では、連続方向(搬送方向(MD方向))に隣接するおむつの脚開口部となる部分を、ダイカッター602等の切断装置により一体的な孔HLとして打抜き、おむつとなる部分である主要部分から切り離す。
一方、内装体の製造ラインでは、連続帯状の液不透過性シート11を繰り出し、その上に吸収体56及び液透過性トップシート30をこの順に積層し、トップシート30の両側部を液不透過性シート11の裏側に巻き込んでホットメルト接着剤等により固定する。次に、そのCD方向(ライン横断方向)両側に対して、素材のCD方向中央側端部に弾性部材63がMD方向に伸張した状態で固定された帯状の立体ギャザー帯60をそれぞれ供給し、各立体ギャザー帯60のCD方向外側部分をトップシートの巻き込み部分の更に裏側に巻き込んでホットメルト接着剤等により固定するとともに、CD方向中央側部分を個々の内装体となる部分の表側のMD方向両端部でトップシート30の側部にホットメルト接着剤等により固定する。しかる後、内装体切り離し装置603によりMD方向に所定の間隔を空けて切断し、個々の内装体200を形成するとともに、この内装体200の向きを前後方向がCD方向となるように回転させた後、主ラインの内装体取付工程504に供給し、順次搬送されてくる連続帯状の外装シート12上の所定部位にMD方向に所定の間隔を空けてホットメルト接着剤等により貼り付ける。
次に、側部接合工程505では、CD方向の一方側を他方側に折り畳み、腹側部分と背側部分とを重ね、MD方向に所定の間隔を空けてヒートシール等の接合装置604により接合加工を施し、個々のおむつDPの幅方向両側部となる部分12Aにおいて腹側部分と背側部分とを接合する。しかる後、最後の切り離し工程506ではおむつ切り離し装置605において、MD方向に所定の間隔を空けて、個々のおむつとなる部分の境界(隣接するおむつとなる部分のうち一方のおむつの接合部12Aと他方のおむつの接合部12Aとの間に位置する)に沿って切断し、個々のおむつを得る。
しかしながら、この製造方法には、脚開口部の切り離し工程503において、打ち抜き部分がトリム(廃棄される切り離し片)となるため、資材利用効率が低いという問題点があった。
一方、図2に示すように、外装シート12形成工程501において、CD方向に間隔を空けて腹側外装シート12Fと、背側外装シート12Bとを並列に形成し、内装体200取付工程504において、これら腹側外装シート12Fから背側外装シート12Bにわたるように内装体200を固定することにより、腹側外装シート12F及び背側外装シート12Bの下縁と内装体200側縁とにより囲まれた脚開口部を有する使い捨ておむつを製造することができる。特許文献1記載のものもこれとほぼ同様である。この場合、内装体200の前後方向中間領域は腹側外装シート12F背側外装シート12Bで被覆されないため、内装体200裏面を隠して外装の一体感を得るためには、別途内装体200専用の外装シート(以下、内装体用外装シート12Mという)を貼り付ける必要がある。よって、この外装二分割構造の使い捨ておむつは、トリム低減効果は高いものであるが、内装体用外装シート12Mを別途用意する必要があり、資材数の増加(これに伴い資材コストも増加する)及び資材管理の煩雑化を避けることができない。
これに対して、特許文献2記載のものは、トリム低減を図りつつ、資材数の増加及び資材管理の煩雑化を解消できる点で優れるものである。
再表2004−054490号公報
特開2010−51667号公報
しかしながら、上記特許文献2記載のものは、外装シート形成工程のライン上で内装体を形成していくものであるため、内装体用外装シートの寸法形状が内装体の寸法形状と全く同じになる等、内装体用外装シートの設計の自由度が低いという問題点があった。
そこで、本発明の主たる課題は、内装体用外装シートの設計の自由度を向上させることにある。
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
腹側外装シートと、背側外装シートと、前記腹側外装シート内面の幅方向中央部から前記背側外装シート内面の幅方向中央部までにわたり設けられた、排泄物を吸収する吸収体を内蔵する内装体とを備えるとともに、
前記腹側外装シート及び背側外装シートが股間側で連続しておらず、離間されるとともに、少なくともこの離間領域における前記内装体の裏面を覆う内装体用外装シートを備えた使い捨ておむつの製造方法であって、
所定幅の帯状外装シート素材をその連続方向に沿って搬送しつつCD方向に三分割し、そのうちの二本を用いて腹側外装シートとなる部分及び背側外装シートとなる部分を形成し、残りの一本は内装体用外装シートとなる部分とし、
別途製造される前記内装体となる部分の裏面に、前記内装体用外装シートとなる部分を貼り付けた後に、MD方向に所定の間隔を空けて切断し、個々の内装体を形成した後、この内装体を、CD方向に間隔を空けて流れる前記腹側外装シートとなる部分及び背側外装シートとなる部分にわたるように、MD方向に所定の間隔を空けて取り付け、
しかる後に、前記腹側外装シートとなる部分及び背側外装シートとなる部分を個々のおむつの境界において切断して、個々のおむつを得る、
ことを特徴とする使い捨ておむつの製造方法。
(作用効果)
本発明の製造方法では、帯状外装シート素材を最初に三分割して、内装体用外装シートとなる部分を形成し、これを別途製造される内装体となる部分の裏面に貼り付ける。よって、外装シート素材の三分割時の幅や分割ラインの形状を適宜変更することにより、内装体用外装シートの幅や側縁形状を変更でき、設計の自由度が向上する。
しかも、本発明の製造方法では、上記特徴的な工程とするために、腹側外装シートと背側外装シートとを分割し、それらの間の部分を脚開口部とするため、従来外装シートに脚開口部を切断形成することにより発生していたトリムを無くし、資材ロス(以下、トリムロスともいう)を抑制することが可能となる。
他方、パンツタイプ使い捨ておむつにおいては、外装シートには胴回りを締め付けるためにおむつの幅方向に伸張下で弾性部材が取り付けられるのが一般的であり、一方、内装体には横もれを防止するための立体ギャザーの構成部材として前後方向に伸張下で弾性部材を取り付けられるのが一般的である。この場合、弾性部材の取り付け方向が製造ラインのMD方向(搬送方向)となるのが好適であるため、外装シートの製造ラインは横流れとし、内装体の製造ラインは縦流れとし、横流れの外装シートラインに対し、縦流れで製造された吸収パッドを方向転換して取り付けるという製造方法が一般的となっている。これに対して、上記本発明においても、外装シートの製造ラインは横流れとなり、内装体の製造ラインは縦流れとなっている。よって、本発明においては、従来一般的となっている製造原理をそのまま適用可能であるという利点もある。
<請求項2記載の発明>
前記内装体用外装シートとなる部分の幅が、前記内装体の幅より狭い、請求項1記載の使い捨ておむつの製造方法。
(作用効果)
前述のように、本発明では外装シート素材の三分割時の幅を適宜変更することができるので、このように内装体用外装シートとなる部分の幅が内装体の幅より狭い設計とすることができる。これにより、内装体用外装シートの側縁が内装体の側縁から幅方向中央側に離間するため、内装体の側縁と脚とが擦れる際に、内装体用外装シートの側縁が肌に当たって刺激となることがない。また、内装体用外装シートを貼り付けるとその接着手段(例えば接着剤)の影響もあって内装体が硬質化するが、内装体用外装シートの側縁が内装体の側縁から幅方向中央側に離間していると、内装体の側部は硬質化せずに脚に対して柔軟に接触できる。
<請求項3記載の発明>
前記外装シート素材を三分割し、そのCD方向中間の部分を前記内装体用外装シートとなる部分とし、CD方向一方側の部分及びCD方向他方側の部分を用いて前記腹側外装シートとなる部分及び背側外装シートとなる部分をそれぞれ形成するとともに、
前記三分割に際し、前記三分割のための分割線が、前記個々の内装体の内装体用外装シートとなる部分におけるMD方向中間からMD方向両端に向かうにつれて連続的又は段階的にCD方向外側に位置するようになる曲線である、
請求項1又は2記載の使い捨ておむつの製造方法。
(作用効果)
分割線をMD方向に直線状とすると、製造される使い捨ておむつは資材ロスが少ないものの、脚周りにおける内装体と外装シートの交点近傍において、互いになす角度が90°に近いこと、構造的に連続していないことから、フィット性に問題があり、体との間に隙間ができて尿や便の漏れを生じやすいという問題点がある。これに対して、本発明では外装シート素材の三分割時の幅を適宜変更することができるので、上述のような曲線状のパターンで分割することにより、腹側外装シート及び背側外装シートの下縁、並びに内装体用外装シートの両側縁が脚周りにフィットし易い形状となる。すなわち、腹側外装シートの下縁は鼠蹊部に沿うように、また背側外装シートの下縁は臀溝に沿うように、それぞれ幅方向両側に向うにつれてウエスト側に位置する曲線状とすることができる。しかも、内装体用外装シートは前方向中間部が幅方向に括れた形状となり、股間の脚周りに沿う形状となるため、内装体用外装シートの側縁が肌に当たり難く、また内装体の側部は特に脚周りに当たる部分が硬質化せずに脚に対して柔軟に接触するようになる。
<請求項4記載の発明>
前記吸収体は前方向中間部が幅方向に括れた形状であり、前記内装体が長方形である、請求項3記載の使い捨ておむつの製造方法。
(作用効果)
多くの使い捨ておむつでは、内装体は長方形であるのに対して、吸収体の前後方向中間部が脚周りの曲面に沿うように幅方向に括れた形状とされている。このような形態では、吸収体の括れ部において内装体の側縁部が余ることになるが、この余剰部分が内装体用外装シートにより硬質化したり、余剰部分の外側寄りに内装体用外装シートの側縁が位置していたりすると、吸収体を括れ形状としたことにより向上した装着感が悪化するおそれがある。よって、特にこのような場合に、前述のように内装体用外装シートの前後方向中間部を括れた形状とするのが好ましい。
<請求項5記載の発明>
腹側外装シートと、背側外装シートと、前記腹側外装シート内面の幅方向中央部から前記背側外装シート内面の幅方向中央部までにわたり設けられた、排泄物を吸収する吸収体を内蔵する内装体とを備えるとともに、
前記腹側外装シート及び背側外装シートが股間側で連続しておらず、離間されるとともに、少なくともこの離間領域における前記内装体の裏面を覆う内装体用外装シートを備えた使い捨ておむつにおいて、
前記腹側外装シート及び背側外装シートの素材と、前記内装体用外装シートの素材とが同じであり、
前記内装体用外装シートの幅が前記内装体の幅より狭く、
前記腹側外装シートの下縁は前記内装体用外装シートの一方の側縁に、及び前記背側外装シートの下縁は前記内装体用外装シートの他方の側縁に一致する形状とされている、
ことを特徴とする使い捨ておむつ。
(作用効果)
請求項2記載の発明と同様の作用効果を奏する。
<請求項6記載の発明>
前記腹側外装シートの下縁及び背側外装シートの下縁は、それぞれ幅方向両側に向うにつれてウエスト側に位置する曲線状とされ、
前記内装体用外装シートは前方向中間部が幅方向に括れた形状とされている、請求項5記載の使い捨ておむつ。
(作用効果)
請求項3記載の発明と同様の作用効果を奏する。
<請求項7記載の発明>
前記吸収体は前方向中間部が幅方向に括れた形状であり、前記内装体が長方形である、請求項6記載の使い捨ておむつ。
(作用効果)
請求項4記載の発明と同様の作用効果を奏する。
以上のとおり、本発明によれば、内装体用外装シートの設計の自由度が向上する、等の利点がもたらされる。
従来の製造フローを示す概略図である。
従来の製造フローを示す概略図である。
製造フローを示す概略図である。
パンツタイプ使い捨ておむつの内面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。
図4の4−4線断面図である。
製品の展開状態の正面図である。
製品の展開状態の背面図である。
製造フローを示す概略図である。
製品の展開状態の正面図である。
製品の展開状態の背面図である。
製品の展開状態の正面図である。
製品の展開状態の背面図である。
以下、本発明の実施形態について詳説する。
<第1の形態>
図3は、第1の形態を示しており、上段部分の平面図が外装シート12F,12Bの製造を含む主ラインを示しており、中段部分の平面図が内装体200の製造を行う内装体の製造ラインを示しており、下段部分の正面図が製造フロー全体を示している。主ラインは、外装シート素材分割工程510、外装シート形成工程501、配置調整工程513、弾性伸縮部材の切断工程502、内装体取付工程504、側部接合工程505、及び切り離し工程506を有している。
先ず、外装シート素材分割工程510では、おむつ全長と同程度の幅の連続帯状の外側シート素材12Sを繰り出し、その連続方向に沿って搬送しつつ三分割スリッター600によりCD方向に三分割し、そのうちの二本をそのまま腹側及び背側外装シート12F,12Bとなる部分として主ラインに残し、残りの一本を内装体用外装シート12Mとなる部分として主ラインから内装体の製造ラインに移送する。図示例では、三分割対象を外側外装シート12Sとしたが、後述する内側外装シート12Hを三分割し、外側外装シートを後述する内側外装シート12Hと同様に二本供給する形態としても良い。また、図示例では、三分割後の外側シート素材のCD方向中間の部分を内装体用外装シート12Mとなる部分とし、CD方向一方側の部分及びCD方向他方側の部分を用いて腹側及び背側外装シート12F,12Bとなる部分をそれぞれ形成しているが、CD方向一方側の部分又はCD方向他方側の部分を内装体用外装シート12Mとし、残りを腹側及び背側外装シート12F,12Bとなる部分としても良い。
次に、外装シート形成工程501では、二本の外側シート素材12Sに対して連続帯状の内側シート素材12Hを供給し、両シート素材12S,12H間に糸ゴム等の弾性伸縮部材15,17〜19を搬送方向(胴回り方向)に沿って伸張した状態で挟みつつ、両シート素材12S,12Hをホットメルト接着剤等により順次貼り合わせることにより腹側及び背側外装シート12F,12Bとなる部分をそれぞれ連続的に形成する。
次に、弾性伸縮部材の切断工程502では、形成した連続外装シート12に対して、後に内装体200と重なる部分CTに位置する弾性伸縮部材15,19をヒートエンボス等の切断装置601により切断し、当該部分CTにおいて弾性伸縮部材15,19の伸縮力が作用しない状態とする。
主ラインでは、必要に応じて、この後の内装体取付工程504に先立って、腹側及び背側外装シート12F,12Bとなる部分が、おむつ全長に応じて、後述する内装体200に対する取付位置に合うように、配置調整工程513によりCD方向間隔を調整された後に、内装体取付工程504に供給される。このような配置調整をしなくても、三分割後の腹側及び背側外装シート12F,12Bとなる部分のCD方向間隔が、内装体200に対する取付位置に適合している場合には、配置調整工程513は省略し、CD方向間隔を維持すれば良い。
他方、内装体の製造ラインでは、連続帯状の液不透過性シート11を繰り出し、その上に吸収体56及び液透過性トップシート30をこの順に積層し、トップシート30の両側部を液不透過性シート11の裏側に巻き込んでホットメルト接着剤等により固定する。次に、そのCD方向(ライン横断方向)両側に対して、素材のCD方向中央側端部に弾性部材63がMD方向に伸張した状態で固定された帯状の立体ギャザー帯60をそれぞれ供給し、各立体ギャザー帯60のCD方向外側部分をトップシートの巻き込み部分の更に裏側に巻き込んでホットメルト接着剤等により固定するとともに、CD方向中央側部分を個々の内装体となる部分の表側のMD方向両端部でトップシート30の側部にホットメルト接着剤等により固定する。次いで、内装体用外装シート取付ロール606において、液不透過性シート11及び立体ギャザー帯60の裏側に、主ラインの三分割スリッター600から供給される内装体用外装シート12Mを供給し、ホットメルト接着剤等により連続的に貼り付けた後、内装体切り離し装置603によりMD方向に所定の間隔を空けて切断し、個々の内装体200を形成するとともに、この内装体200の向きを前後方向がCD方向となるように回転させた後、主ラインの内装体取付工程504に供給する。
主ラインの内装体取付工程504では、CD方向に間隔を空けて順次搬送されてくる連続帯状の腹側及び背側外装シート12F,12B上にわたるように、内装体製造ラインから供給される内装体20をMD方向に所定の間隔を空けてホットメルト接着剤等により貼り付ける。
そして、続く側部接合工程505では、CD方向の一方側を他方側に折り畳み、腹側部分と背側部分とを重ね、MD方向に所定の間隔を空けてヒートシール等の接合装置604により接合加工を施し、個々のおむつDPの幅方向両側部となる部分12Aにおいて腹側部分と背側部分とを接合する。しかる後、最後の切り離し工程506ではおむつ切り離し装置605において、MD方向に所定の間隔を空けて、個々のおむつとなる部分の境界(隣接するおむつとなる部分のうち一方のおむつの接合部12Aと他方のおむつの接合部12Aとの間に位置する)に沿って切断し、個々のおむつを得る。
上述のような製造方法では、帯状外側シート素材12Sを最初に三分割して、内装体用外装シート12Mとなる部分を形成し、これを別途製造される内装体200となる部分の裏面に貼り付ける。よって、外側シート素材12Sの三分割時の幅や分割ラインの形状を適宜変更することにより、内装体用外装シート12Mの幅や側縁形状を変更でき、設計の自由度が向上する。しかも、腹側外装シート12Fと背側外装シート12Bとを分割し、それらの間の部分を脚開口部とするため、従来外装シート12に脚開口部を切断形成することにより発生していたトリムを無くし、資材ロス(以下、トリムロスともいう)を抑制することが可能となる。
ここで、上述の方法により製造されるおむつの構造、素材等について、図4〜図7を参照しつつ更に詳しく説明すると、このパンツタイプ使い捨ておむつは、装着者の胴回りのうち腹側を覆う腹側外装シート12Fと背側を覆う背側外装シート12Bとを有しており、腹側外装シート12Fの幅方向両側縁と背側外装シート12Bの幅方向両側縁とが、両者の重なる部分の上下方向全体にわたりヒートシールや超音波溶着等により溶着接合されて筒状の胴回り部が形成されている。符号12Aは両外装シート12F,12Bが溶着接合された部分であるサイドシール部を示している。図示形態のように、背側外装シート12Bがサイドシール部12Aよりも下側に延出している場合には、この部分までを含む上下方向範囲に一体的にヒートシール等の加工を施すことができる。
また、胴回り部における腹側外装シート12F内面の幅方向中央部から背側外装シート12B内面の幅方向中央部までにわたるように、内装体200が設けられており、腹側外装シート12Fと背側外装シート12Bとが股間側で連続しておらず、離間されている。この離間距離は内装体200の幅方向両側縁近傍で150〜250mm程度とすることができる。
胴回り部の上部開口は、装着者の胴を通すウエスト開口部となり、内装体200の幅方向両側において胴回り部の下縁12eおよび内装体200の側縁によりそれぞれ囲まれる部分が脚を通す脚開口部となる。各サイドシール部12Aを剥がして展開した状態では、図4に示す形状をなす。内装体200は、背側から股間部を通り腹側までを覆うように延在するものであり、排泄物を受け止めて液分を吸収し保持する部分であり、胴回り部は内装体200を装着者に対して支持する部分である。
(外装シート)
腹側外装シート12F及び背側外装シート12Bは、外側シート素材12S(シート素材12Zからなる部分)及び内側シート素材12H(立体ギャザー60のCD方向外側部分からなる部分)が貼り合わされてなるものである。各層の素材は特に限定されないが、不織布であるのが好ましい。不織布は、その原料繊維が何であるかは特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。例えば、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、SMS不織布、メルトブローン不織布、ニードルパンチ不織布、サーマルボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布等を例示することができるが、特にスパンボンド不織布やSMS不織布が強度と弾性部材との接着性に優れるため好ましい。不織布を用いる場合、その坪量は10〜40g/m2、特に10〜22g/m2程度とするのが好ましい。
また、胴回りに対するフィット性を高めるために、両外装シート12F,12Bにおける外側シート素材12S及び内側シート素材12H間には、糸ゴム等の細長状弾性伸縮部材15〜19が所定の伸張状態で挟まれ、ホットメルト接着剤等により固定されている。細長状弾性伸縮部材15〜19としては、合成ゴムを用いても、天然ゴムを用いても良い。各外装シート12F,12Bにおける内外層12H,12Sの貼り合せや、その間に挟まれる細長状弾性伸縮部材15〜19の固定にはホットメルト接着またはヒートシールや超音波接着を用いることができる。外装シート12F,12B全面を強固に固定するとシートの風合いを損ねるため好ましくない。これらを組合せ、細長状弾性伸縮部材15〜19の接着は強固にし、それ以外の部分は接着しないか弱く接着するのが好ましい。
より詳細には、背側外装シート12Bは、溶着部12A群によるサイドシール部と同じ上下方向範囲を占める本体部13と、この本体部13の下側に延出する延出部14とを有している。延出部14は、内装体200と重なる幅方向中央部14Mと、その両側に延出したカバー部14Cとを有している。
延出部14の形状は適宜定めることができ、図4〜図8に示す例では長方形であるが、後述する第2、第3の形態のように、延出部14の上端部を、本体部13と同幅で本体部13の下側に延出させ、その下側は股間側に近づくにつれて幅が狭くなる形状に切断することもできる。また、本体部13と同幅の部分は省略することもできる。このように構成されていると、カバー部14Cの下縁12eが、股間側に近づくにつれて内装体200側に近づくような直線状または曲線状をなすようになり、製品時の形状も装着時の形状も美しいものとなる。
延出部14の寸法は適宜定めることができるが、カバー部14Cの幅方向長さ(カバー部14Cの下縁12eと内装体200の側縁との幅方向の最大離間距離)が80〜160mmであり、カバー部14Cの上下方向の長さ(延出長さ)が30〜80mmであると、好ましい。また、後述する第2、第3の形態のように、カバー部14Cの下縁12eを曲線状にする場合は、延出部14の幅方向に最も広い部位と上下方向に最も広い部位により定まる四角形の面積をSとすると、延出部14の面積はSに対して20〜80%、特に40〜60%程度とするのが適当である。
本体部13は、上下方向において概念的に上端部(ウエスト部)Wと、これよりも下側の下側部分Uとに分けることができ、その範囲は製品のサイズによって異なるが、一般に、上端部Wの上下方向長さは15〜80mm、下側部分Uの上下方向長さは35〜220mmとすることができる。
本体部13の上端部(ウエスト部)Wにおいては、内外層12H,12S間に、幅方向全体にわたり連続するように、複数の背側ウエスト部弾性伸縮部材17が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。また、背側ウエスト部弾性伸縮部材17のうち、本体部13の下側部分Uに隣接する領域に配設される1本または複数本については、内装体200と重なっていてもよいし、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けてもよい。この背側ウエスト弾性伸縮部材17としては、太さ300〜1240dtex、特に470〜940dtex程度の糸ゴムを、4〜12mmの間隔で3〜22本程度、それぞれ伸張率150〜400%、特に220〜320%程度で固定するのが好ましい。また、背側ウエスト部弾性伸縮部材17は、その全てが同じ太さと伸張率にする必要はなく、例えば背側ウエスト部の上部と下部で弾性伸縮部材の太さと伸張率が異なるようにしてもよい。
また、本体部13の下側部分Uにおいては、内外層12H,12S間に、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その上側および幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、複数の第1の細長状弾性伸縮部材15が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。第1の細長状弾性伸縮部材15としては、太さ300〜1240dtex、特に470〜940dtex程度の糸ゴムを、1〜15mm、特に3〜8mmの間隔で5〜30本程度、それぞれ伸張率200〜350%、特に240〜300%程度で固定するのが好ましい。
また、延出部14においても、内外層12H,12S間に、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり(少なくともカバー部14C全体にわたり)連続するように、複数の第2の細長状弾性伸縮部材16が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。第2の細長状弾性伸縮部材16としては、太さ300〜1240dtex、特に470〜940dtex程度の糸ゴムを、5〜40mm、特に5〜20mmの間隔で2〜10本程度、それぞれ伸張率150〜300%、特に180〜260%で固定するのが好ましい。
一方、腹側外装シート12Fは背側外装シート12Bの本体部13と基本的に同様の本体部(溶着部群によるサイドシール部12Aと同じ上下方向範囲を占める部分)のみからなるものであり、胴回り方向に沿って延在する矩形状をなし、背側外装シート12Bのような延出部14を有していないものである。
すなわち、腹側外装シート(本体部)12Fの上端部(ウエスト部)Wおよび下側部分Uのうち、上端部Wにおいては、内外層12H,12S間に、幅方向全体にわたり連続するように、複数の腹側ウエスト部弾性伸縮部材18が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。この腹側ウエスト部弾性伸縮部材18は、背側ウエスト部弾性伸縮部材17に対して、本数、太さ、伸張率、間隔、及び上下方向配置をできるだけ近づけるのが好ましいが、異ならしめることもでき、異ならしめる場合、本数の差は6本以下、好ましくは3本以下、太さの差は450dtex以下、好ましくは300dtex以下、伸張率の差は100%以下、好ましくは40%以下、間隔の差は10mm以下、好ましくは5mm以下である。
また、腹側外装シート12F(本体部)の下側部分Uにおいては、内外層12H,12S間に、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その上側および幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、複数の第3の細長状弾性伸縮部材19が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。第3の細長状弾性伸縮部材19の上下方向配設範囲は、下側部分の一部としても良いが、実質的に全体(全体に伸縮力が作用する範囲)とするのが好ましい。
第3の細長状弾性伸縮部材19としては、第1の細長状弾性伸縮部材15と、本数、太さ、伸張率、間隔、及び上下方向配置をできるだけ近づけるのが好ましいが、異ならしめることもでき、異ならしめる場合、本数の差は10本以下、好ましくは5本以下、太さの差は450dtex以下、好ましくは300dtex以下、伸張率の差は100%以下、好ましくは40%以下、間隔の差は10mm以下、好ましくは5mm以下である。
図示形態の腹側外装シート12Fは、サイドシール部12Aと同じ上下方向範囲を占める部分のみからなるものとしたが、背側と同様に、サイドシール部12Aと同じ上下方向範囲を占める本体部13と、この本体部13の下側に延出する延出部14とからなる構成とすることもできる(後述する第2、第3の形態参照)。これにより、腹側外装シート12Fの脚周り形状を鼠蹊部に沿ってフィットする形状とすることができる。この場合、延出部14の面積及び前後方向長さは、延出部14の面積及び前後方向長さの10〜80%であるのが好ましく、20〜50%であるとより好ましい。延出部14が過度に大きいと、かえってフィット性を損なうため好ましくない。
他方、図示のように、第1、第2及び第3の細長状弾性伸縮部材15,16及び19が、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けられていると、内装体200と外装シート12F,12Bが剥れにくいため好ましいが、この形態には、幅方向両側にのみ弾性伸縮部材が存在する形態の他、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで弾性伸縮部材が存在しているが、内装体200と重なる幅方向中央部では弾性伸縮部材が切断され、伸縮力が作用しない(実質的には、弾性伸縮部材を設けないことに等しい)ように構成されている形態も含まれる。また、本体部13および延出部14の幅方向全体にわたり伸縮力が作用するように、第1、第2及び第3の細長状弾性伸縮部材15,16及び19の一部または全部を、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで設けることもできる。
(内装体)
内装体200は図示例では長方形であるが、任意の形状を採ることができる。内装体200は、図8に示されるように、身体側となるトップシート30と、液不透過性シート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えている。液不透過性シート11の裏面側には、内装体200の裏面を覆う内装体用外装シート12Mが設けられている。さらに、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体200の両側に、身体側に起立する立体ギャザー60が設けられている。なお、図示しないが、内装体200の各構成部材は、ホットメルト接着剤などのベタ、ビードまたはスパイラル塗布などにより、適宜相互に固定することができる。
(トップシート)
トップシート30は、液を透過する性質を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンボンド法、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、エアスルー法、ポイントボンド法、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
また、トップシート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、トップシート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
(中間シート)
図示しないが、トップシート30を透過した液を速やかに吸収体へ移行させるために、トップシート30より液の透過速度が速い、中間シート(「セカンドシート」とも呼ばれている)を設けることができる。この中間シートは、液を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した液の吸収体からの「逆戻り」現象を防止し、トップシート30上を常に乾燥した状態とすることができる。中間シートは省略することもできる。
中間シートとしては、トップシート30と同様の素材や、スパンレース、スパンボンド、SMS、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド又はクレープ紙を例示でき、中でも液透過性に優れる不織布が好適である。特にエアスルー不織布が嵩高であるため好ましい。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合芯に用いる樹脂はポリプロピレン(PP)でも良いが剛性の高いポリエステル(PET)が好ましい。目付けは20〜80g/m2が好ましく、25〜60g/m2がより好ましい。不織布の原料繊維の太さは2.2〜10dtexであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯且つ中空の繊維を用いるのも好ましい。
中間シートは、吸収体56の幅より短く中央に配置されるのが望ましいが、全幅にわたって設けてもよい。中間シートの長手方向長さは、吸収体56の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂からなるフィルム材(防水フィルム)や、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布、防水フィルムを介在させて実質的に不透液性を確保した不織布(この場合は、防水フィルムと不織布とで液不透過性シートが構成される。)などを例示することができる。もちろん、このほかにも、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材も例示することができる。この不透液性かつ透湿性を有する素材のシートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを例示することができる。さらに、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、防水フィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
また、液不透過性シート11の内面または外面には、印刷や着色によるデザインを施しても良い。さらに液不透過性シート11の外側に、内装体用外装シート12Mとは別部材の、印刷または着色を施したデザインシートを貼り付けても良い。また、液不透過性シート11の内側に、液分の吸収により色が変化する排泄インジケータ80を設けることができる。
(立体ギャザー)
立体ギャザー60は、内装体200の両側部に沿って前後方向全体にわたり延在する帯状部材であり、表面シート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を遮断し、横漏れを防止するために設けられているものである。本実施の形態の立体ギャザー60は、内装体200の側部から起立するように設けられ、付け根側の部分は幅方向中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端側の部分は幅方向外側に向かって斜めに起立するものである。
より詳細には、立体ギャザー60は、内装体200の前後方向長さに等しい長さを有する帯状のギャザーシート62を幅方向に折り返して二つに折り重ねるとともに、折り返し部分及びその近傍のシート間に、細長状弾性伸縮部材63を長手方向に沿って伸長状態で、幅方向に間隔をあけて複数本固定してなるものである。立体ギャザー60のうち先端部と反対側に位置する基端部(幅方向においてシート折り返し部分と反対側の端部)は内装体200の側縁部の裏面に固定された取付部分65とされ、この取付部分65以外の部分は取付部分65から突出する突出部分66(折り返し部分側の部分)とされている。図示形態は、突出部分66が幅方向外側に折り返されない線接触タイプの立体ギャザーであるが、突出部分66が幅方向中央側に向かう付け根側部分と、この付け根側部分の先端から幅方向外側に折り返された先端側部分とからなる面接触タイプの立体ギャザーとすることもできる。そして、突出部分66のうち前後方向両端部67が倒伏状態で表面シート30の側部表面に対してホットメルト接着剤やヒートシールにより固定された倒伏部67とされる一方で、これらの間に位置する前後方向中間部は非固定の自由部分とされ、この自由部分に前後方向に沿う細長状弾性部材63が伸長状態で固定されている。
ギャザーシート62としてはスパンボンド不織布(SS、SSS等)やSMS不織布(SMS、SSMMS等)、メルトブロー不織布等の柔軟で均一性・隠蔽性に優れた不織布に、必要に応じてシリコンなどにより撥水処理を施したものを好適に用いることができ、繊維目付けは10〜30g/m2程度とするのが好ましい。細長状弾性伸縮部材63としては糸ゴム等を用いることができる。スパンデックス糸ゴムを用いる場合は、太さは470〜1240dtexが好ましく、620〜940dtexがより好ましい。固定時の伸長率は、150〜350%が好ましく、200〜300%がより好ましい。なお、用語「伸長率」は自然長を100%としたときの値を意味する。
立体ギャザー60の自由部分に設けられる細長状弾性伸縮部材63の本数は2〜6本が好ましく、3〜5本がより好ましい。配置間隔60dは3〜10mmが適当である。このように構成すると、細長状弾性伸縮部材63を配置した範囲で肌に対して面で当たりやすくなる。先端側だけでなく付け根側にも細長状弾性伸縮部材63を配置しても良い。
立体ギャザー60の取付部分65の固定対象は、内装体200における表面シート30、不透液性バックシート11、吸収要素50等適宜の部材とすることができる。
かくして構成された立体ギャザー60では、細長状弾性伸縮部材63の収縮力が前後方向両端部を近づけるように作用するが、突出部分66のうち前後方向両端部が起立しないように固定されるのに対して、それらの間は非固定の自由部分とされているため、自由部分のみが図3に示すように身体側に当接するように起立する。特に、取付部分65が内装体200の裏面側に位置していると、股間部及びその近傍において立体ギャザー60が幅方向外側に開くように起立するため、立体ギャザー60が脚周りに面で当接するようになり、フィット性が向上するようになる。
なお、図示形態と異なり、内装体200の左右各側において立体ギャザーを二重に(二列)設けることもできる。
(吸収要素)
吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の少なくとも裏面及び側面を包む包装シート58とを有する。包装シート58は省略することもできる。
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
吸収体56は長方形形状でも良いが、図6にも示すように、前端部56F、後端部56B及びこれらの間に位置し、前端部56F及び後端部56Bと比べて幅が狭い括れ部56Nとを有する砂時計形状を成していると、吸収体56自体と立体ギャザー60の、脚周りへのフィット性が向上するため好ましい。
括れ部56Nの寸法は適宜定めることができるが、括れ部56Nの最小幅は吸収体56の全幅の0.55〜0.70倍程度とすることが好ましい。また、括れ部56Nの前後方向長さは吸収体56の全長の25〜50%程度とすることが好ましい。
(高吸収性ポリマー粒子)
高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m2を超えると、効果が飽和する。
必要であれば、高吸収性ポリマー粒子は、吸収体56の平面方向で散布密度あるいは散布量を調整できる。たとえば、液の排泄部位を他の部位より散布量を多くすることができる。男女差を考慮する場合、男用は前側の散布密度(量)を高め、女用は中央部の散布密度(量)を高めることができる。また、吸収体56の平面方向において局所的(例えばスポット状)にポリマーが存在しない部分を設けることもできる。
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパやクレープ紙等の紙素材、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMMS(スパンボンド/メルトブローン/メルトブローン/スパンボンド)不織布が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンなどを使用できる。目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
この包装シート58は、吸収体56全体を包む形態のほか、その層の裏面及び側面のみを包被するものでもよい。また図示しないが、吸収体56の上面及び側面のみをクレープ紙や不織布で覆い、下面をポリエチレンなどの液不透過性シートで覆う形態、吸収体56の上面をクレープ紙や不織布で覆い、側面及び下面をポリエチレンなどの液不透過性シートで覆う形態などでもよい(これらの各素材が包装シートの構成要素となる)。必要ならば、吸収体56を、上下2層の包装シートで挟む形態や下面のみに配置する形態でもよいが、高吸収性ポリマー粒子の移動を防止でき難いので望ましい形態ではない。
(内装体用外装シート)
内装体200の裏面側には、製品外面をなす内装体用外装シート12Mが設けられている。この内装体用外装シート12Mの素材は、外装シート素材(図示例では外側シート素材12S)となる。
また、内装体用外装シート12Mの前後方向長さは、内装体200と同じとなるが、幅は内装体200の幅と異ならしめることが可能であり、特に内装体200幅よりも狭いのが好ましい。前述の製造法によれば、外側シート素材12Sの三分割時の幅を適宜変更し、必要に応じて配置調整工程を行うことができるので、このように内装体用外装シート12Mとなる部分の幅が内装体200の幅より狭い設計とすることができる。これにより、図4〜図7に示されるように、内装体用外装シート12Mの側縁が内装体200の側縁から幅方向中央側に離間するため、内装体200の側縁と脚とが擦れる際に、内装体用外装シート12Mの側縁が肌に当たって刺激となることがない。また、内装体用外装シート12Mを貼り付けるとその接着手段(例えば接着剤)の影響もあって内装体200が硬質化するが、内装体用外装シート12Mの側縁が内装体200の側縁から幅方向中央側に離間していると、内装体200の側部は硬質化せずに脚に対して柔軟に接触できる。通常の場合、内装体用外装シート12Mの幅は、内装体200の幅の70〜95%程度とすることが望ましい。
<第2の形態>
図8は、第2の形態を示しており、上段部分の平面図が外装シート12F,12Bの製造を含む主ラインを示しており、中段部分の平面図が内装体200の製造を行う内装体200の製造ラインを示しており、下段部分の正面図が製造フロー全体を示している。第2の形態の製造フローは、外装シート素材分割工程510における切断パターンのみが第1の形態に対して異なるものである。
すなわち第2の形態では、図8に示すように、外装シート素材分割工程510の三分割スリッター600において、個々の内装体200の内装体用外装シート12Mとなる部分におけるMD方向中間からMD方向両端に向かうにつれて連続的又は段階的にCD方向外側に位置するようになる曲線で分割するものである。本発明では外装シート素材の三分割時の幅を適宜変更することができるので、このようなパターンで分割することにより、図9及び図10に示すように、腹側外装シート12F及び背側外装シート12Bの下縁12e、並びに内装体用外装シート12Mの両側縁が脚周りに対するフィット性に優れた形状となる。すなわち、腹側外装シート12Fの下縁12eは鼠蹊部に沿うように、また背側外装シート12Bの下縁12eは臀溝に沿うように、それぞれ幅方向両側に向うにつれてウエスト側に位置する曲線状とすることができる。
しかも、内装体用外装シート12Mは前方向中間部が幅方向に括れた形状となり、股間の脚周りに沿う形状となるため、内装体用外装シート12Mの側縁が肌に当たり難く、また内装体200の側部は特に脚周りに当たる部分が硬質化せずに脚に対して柔軟に接触するようになる。特に、図示例のように、内装体200が長方形であるのに対して、吸収体56の前後方向中間部が脚周りの曲面に沿うように幅方向に括れた形状とされている場合、吸収体56の括れ部56Nにおいて内装体200の側縁部が余ることになるが、この余剰部分が内装体用外装シート12Mにより硬質化したり、余剰部分の外側寄りに内装体用外装シート12Mの側縁が位置していたりすると、吸収体56を括れ形状としたことにより向上した装着感が悪化するおそれがある。よって、特にこのような場合に、前述のように内装体用外装シート12Mの前後方向中間部を括れた形状とするのが好ましい。
<第3の形態>
本発明では外装シート12素材の三分割時の幅を適宜変更することができるので、外装シート素材分割工程510における分割線を波線状とすることにより、図11及び図12に示すように、腹側外装シート12F及び背側外装シート12Bの下縁12e、並びに内装体用外装シート12Mの両側縁を波線状とすることもできる。このような波線状の縁12eは、かわいらしい外観となるだけでなく、腹側外装シート12F及び背側外装シート12Bの下縁12eがこのような波線状であると、肌に対する接触長さが短くなり、柔軟な肌触りが得られる。
<その他>
本発明は、側部接合工程505の代わりに粘着テープやメカニカルテープ等の付け外し可能な連結手段の取付工程を設けることにより、いわゆるテープタイプ使い捨ておむつや、テープタイプとパンツタイプのどちらにも使用可能な使い捨ておむつにも適用することが可能である。
本発明は、上記例のような使い捨ておむつの製造に利用できるものである。
11…液不透過性シート、12…外装シート、12B…背側外装シート、12F…腹側外装シート、12H…内側シート素材、12M…内装体用外装シート、12S…外側シート素材、30…トップシート、50…吸収要素、56…吸収体、58…包装シート、60…立体ギャザー、62…ギャザーシート、200…内装体、501…外装シート形成工程、502…弾性伸縮部材の切断工程、504…内装体取付工程、505…側部接合工程、506…切り離し工程、510…外装シート素材分割工程、513…配置調整工程、600…三分割スリッター、601…切断装置、602…ダイカッター、603…内装体切り離し装置、604…接合装置、605…おむつ切り離し装置、606…内装体用外装シート取付ロール。
本発明は、使い捨ておむつの製造方法に関するものである。
使い捨ておむつ、特にパンツタイプ使い捨ておむつの製造方法としては、おむつの幅方向がライン流れ方向となる横流れ形態が広く採用されており、図1に示されるように、設備上流側で、胴回り部分をなす外装シートと、吸収体を有する内装体とがそれぞれ別のラインで製造され、これら外装シート及び内装体の一体化工程以降が一つのラインで構成されている。
より詳細に説明すると、図1中、上段部分の平面図が外装シートの製造を含む主ラインを示しており、中段部分の平面図が内装体の製造ラインを示しており、下段部分の正面図が製造フロー全体を示している。主ラインは、外装シート形成工程501、弾性伸縮部材の切断工程502、脚開口部の切り離し工程503、内装体取付工程504、側部接合工程505、及び切り離し工程506を有している。先ず、外装シート形成工程501では、連続帯状の外側シート素材12S及び内側シート素材12Hを各ロールから繰り出して、両シート素材12S,12H間に糸ゴム等の弾性伸縮部材15,17〜19を搬送方向(胴回り方向)に沿って伸張した状態で挟みつつ、両シート素材12S,12Hをホットメルト接着剤等により順次貼り合わせることにより外装シート12を連続的に形成する。
次に、弾性伸縮部材の切断工程502では、形成した連続外装シート12に対して、後に内装体200と重なる部分CTに位置する弾性伸縮部材15,19をヒートエンボス等の切断装置601により切断し、当該部分CTにおいて弾性伸縮部材15,19の伸縮力が作用しない状態とする。また、次の脚開口部の切り離し工程503では、連続方向(搬送方向(MD方向))に隣接するおむつの脚開口部となる部分を、ダイカッター602等の切断装置により一体的な孔HLとして打抜き、おむつとなる部分である主要部分から切り離す。
一方、内装体の製造ラインでは、連続帯状の液不透過性シート11を繰り出し、その上に吸収体56及び液透過性トップシート30をこの順に積層し、トップシート30の両側部を液不透過性シート11の裏側に巻き込んでホットメルト接着剤等により固定する。次に、そのCD方向(ライン横断方向)両側に対して、素材のCD方向中央側端部に弾性部材63がMD方向に伸張した状態で固定された帯状の立体ギャザー帯60をそれぞれ供給し、各立体ギャザー帯60のCD方向外側部分をトップシートの巻き込み部分の更に裏側に巻き込んでホットメルト接着剤等により固定するとともに、CD方向中央側部分を個々の内装体となる部分の表側のMD方向両端部でトップシート30の側部にホットメルト接着剤等により固定する。しかる後、内装体切り離し装置603によりMD方向に所定の間隔を空けて切断し、個々の内装体200を形成するとともに、この内装体200の向きを前後方向がCD方向となるように回転させた後、主ラインの内装体取付工程504に供給し、順次搬送されてくる連続帯状の外装シート12上の所定部位にMD方向に所定の間隔を空けてホットメルト接着剤等により貼り付ける。
次に、側部接合工程505では、CD方向の一方側を他方側に折り畳み、腹側部分と背側部分とを重ね、MD方向に所定の間隔を空けてヒートシール等の接合装置604により接合加工を施し、個々のおむつDPの幅方向両側部となる部分12Aにおいて腹側部分と背側部分とを接合する。しかる後、最後の切り離し工程506ではおむつ切り離し装置605において、MD方向に所定の間隔を空けて、個々のおむつとなる部分の境界(隣接するおむつとなる部分のうち一方のおむつの接合部12Aと他方のおむつの接合部12Aとの間に位置する)に沿って切断し、個々のおむつを得る。
しかしながら、この製造方法には、脚開口部の切り離し工程503において、打ち抜き部分がトリム(廃棄される切り離し片)となるため、資材利用効率が低いという問題点があった。
一方、図2に示すように、外装シート12形成工程501において、CD方向に間隔を空けて腹側外装シート12Fと、背側外装シート12Bとを並列に形成し、内装体200取付工程504において、これら腹側外装シート12Fから背側外装シート12Bにわたるように内装体200を固定することにより、腹側外装シート12F及び背側外装シート12Bの下縁と内装体200側縁とにより囲まれた脚開口部を有する使い捨ておむつを製造することができる。特許文献1記載のものもこれとほぼ同様である。この場合、内装体200の前後方向中間領域は腹側外装シート12F背側外装シート12Bで被覆されないため、内装体200裏面を隠して外装の一体感を得るためには、別途内装体200専用の外装シート(以下、内装体用外装シート12Mという)を貼り付ける必要がある。よって、この外装二分割構造の使い捨ておむつは、トリム低減効果は高いものであるが、内装体用外装シート12Mを別途用意する必要があり、資材数の増加(これに伴い資材コストも増加する)及び資材管理の煩雑化を避けることができない。
これに対して、特許文献2記載のものは、トリム低減を図りつつ、資材数の増加及び資材管理の煩雑化を解消できる点で優れるものである。
再表2004−054490号公報
特開2010−51667号公報
しかしながら、上記特許文献2記載のものは、外装シート形成工程のライン上で内装体を形成していくものであるため、内装体用外装シートの寸法形状が内装体の寸法形状と全く同じになる等、内装体用外装シートの設計の自由度が低いという問題点があった。
そこで、本発明の主たる課題は、内装体用外装シートの設計の自由度を向上させることにある。
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
腹側外装シートと、背側外装シートと、前記腹側外装シート内面の幅方向中央部から前記背側外装シート内面の幅方向中央部までにわたり設けられた、排泄物を吸収する吸収体を内蔵する内装体とを備えるとともに、
前記腹側外装シート及び背側外装シートが股間側で連続しておらず、離間されるとともに、少なくともこの離間領域における前記内装体の裏面を覆う内装体用外装シートを備えた使い捨ておむつの製造方法であって、
所定幅の帯状外装シート素材をその連続方向に沿って搬送しつつCD方向に三分割し、そのうちの二本を用いて腹側外装シートとなる部分及び背側外装シートとなる部分を形成し、残りの一本は内装体用外装シートとなる部分とし、
別途製造される前記内装体となる部分の裏面に、前記内装体用外装シートとなる部分を貼り付けた後に、MD方向に所定の間隔を空けて切断し、個々の内装体を形成した後、この内装体を、CD方向に間隔を空けて流れる前記腹側外装シートとなる部分及び背側外装シートとなる部分にわたるように、MD方向に所定の間隔を空けて取り付け、
しかる後に、前記腹側外装シートとなる部分及び背側外装シートとなる部分を個々のおむつの境界において切断して、個々のおむつを得る、
ことを特徴とする使い捨ておむつの製造方法。
(作用効果)
本発明の製造方法では、帯状外装シート素材を最初に三分割して、内装体用外装シートとなる部分を形成し、これを別途製造される内装体となる部分の裏面に貼り付ける。よって、外装シート素材の三分割時の幅や分割ラインの形状を適宜変更することにより、内装体用外装シートの幅や側縁形状を変更でき、設計の自由度が向上する。
しかも、本発明の製造方法では、上記特徴的な工程とするために、腹側外装シートと背側外装シートとを分割し、それらの間の部分を脚開口部とするため、従来外装シートに脚開口部を切断形成することにより発生していたトリムを無くし、資材ロス(以下、トリムロスともいう)を抑制することが可能となる。
他方、パンツタイプ使い捨ておむつにおいては、外装シートには胴回りを締め付けるためにおむつの幅方向に伸張下で弾性部材が取り付けられるのが一般的であり、一方、内装体には横もれを防止するための立体ギャザーの構成部材として前後方向に伸張下で弾性部材を取り付けられるのが一般的である。この場合、弾性部材の取り付け方向が製造ラインのMD方向(搬送方向)となるのが好適であるため、外装シートの製造ラインは横流れとし、内装体の製造ラインは縦流れとし、横流れの外装シートラインに対し、縦流れで製造された吸収パッドを方向転換して取り付けるという製造方法が一般的となっている。これに対して、上記本発明においても、外装シートの製造ラインは横流れとなり、内装体の製造ラインは縦流れとなっている。よって、本発明においては、従来一般的となっている製造原理をそのまま適用可能であるという利点もある。
<請求項2記載の発明>
前記内装体用外装シートとなる部分の幅が、前記内装体の幅より狭い、請求項1記載の使い捨ておむつの製造方法。
(作用効果)
前述のように、本発明では外装シート素材の三分割時の幅を適宜変更することができるので、このように内装体用外装シートとなる部分の幅が内装体の幅より狭い設計とすることができる。これにより、内装体用外装シートの側縁が内装体の側縁から幅方向中央側に離間するため、内装体の側縁と脚とが擦れる際に、内装体用外装シートの側縁が肌に当たって刺激となることがない。また、内装体用外装シートを貼り付けるとその接着手段(例えば接着剤)の影響もあって内装体が硬質化するが、内装体用外装シートの側縁が内装体の側縁から幅方向中央側に離間していると、内装体の側部は硬質化せずに脚に対して柔軟に接触できる。
<請求項3記載の発明>
前記外装シート素材を三分割し、そのCD方向中間の部分を前記内装体用外装シートとなる部分とし、CD方向一方側の部分及びCD方向他方側の部分を用いて前記腹側外装シートとなる部分及び背側外装シートとなる部分をそれぞれ形成するとともに、
前記三分割に際し、前記三分割のための分割線が、前記個々の内装体の内装体用外装シートとなる部分におけるMD方向中間からMD方向両端に向かうにつれて連続的又は段階的にCD方向外側に位置するようになる曲線である、
請求項1又は2記載の使い捨ておむつの製造方法。
(作用効果)
分割線をMD方向に直線状とすると、製造される使い捨ておむつは資材ロスが少ないものの、脚周りにおける内装体と外装シートの交点近傍において、互いになす角度が90°に近いこと、構造的に連続していないことから、フィット性に問題があり、体との間に隙間ができて尿や便の漏れを生じやすいという問題点がある。これに対して、本発明では外装シート素材の三分割時の幅を適宜変更することができるので、上述のような曲線状のパターンで分割することにより、腹側外装シート及び背側外装シートの下縁、並びに内装体用外装シートの両側縁が脚周りにフィットし易い形状となる。すなわち、腹側外装シートの下縁は鼠蹊部に沿うように、また背側外装シートの下縁は臀溝に沿うように、それぞれ幅方向両側に向うにつれてウエスト側に位置する曲線状とすることができる。しかも、内装体用外装シートは前方向中間部が幅方向に括れた形状となり、股間の脚周りに沿う形状となるため、内装体用外装シートの側縁が肌に当たり難く、また内装体の側部は特に脚周りに当たる部分が硬質化せずに脚に対して柔軟に接触するようになる。
<請求項4記載の発明>
前記吸収体は前方向中間部が幅方向に括れた形状であり、前記内装体が長方形である、請求項3記載の使い捨ておむつの製造方法。
(作用効果)
多くの使い捨ておむつでは、内装体は長方形であるのに対して、吸収体の前後方向中間部が脚周りの曲面に沿うように幅方向に括れた形状とされている。このような形態では、吸収体の括れ部において内装体の側縁部が余ることになるが、この余剰部分が内装体用外装シートにより硬質化したり、余剰部分の外側寄りに内装体用外装シートの側縁が位置していたりすると、吸収体を括れ形状としたことにより向上した装着感が悪化するおそれがある。よって、特にこのような場合に、前述のように内装体用外装シートの前後方向中間部を括れた形状とするのが好ましい。
以上のとおり、本発明によれば、内装体用外装シートの設計の自由度が向上する、等の利点がもたらされる。
従来の製造フローを示す概略図である。
従来の製造フローを示す概略図である。
製造フローを示す概略図である。
パンツタイプ使い捨ておむつの内面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。
図4の4−4線断面図である。
製品の展開状態の正面図である。
製品の展開状態の背面図である。
製造フローを示す概略図である。
製品の展開状態の正面図である。
製品の展開状態の背面図である。
製品の展開状態の正面図である。
製品の展開状態の背面図である。
以下、本発明の実施形態について詳説する。
<第1の形態>
図3は、第1の形態を示しており、上段部分の平面図が外装シート12F,12Bの製造を含む主ラインを示しており、中段部分の平面図が内装体200の製造を行う内装体の製造ラインを示しており、下段部分の正面図が製造フロー全体を示している。主ラインは、外装シート素材分割工程510、外装シート形成工程501、配置調整工程513、弾性伸縮部材の切断工程502、内装体取付工程504、側部接合工程505、及び切り離し工程506を有している。
先ず、外装シート素材分割工程510では、おむつ全長と同程度の幅の連続帯状の外側シート素材12Sを繰り出し、その連続方向に沿って搬送しつつ三分割スリッター600によりCD方向に三分割し、そのうちの二本をそのまま腹側及び背側外装シート12F,12Bとなる部分として主ラインに残し、残りの一本を内装体用外装シート12Mとなる部分として主ラインから内装体の製造ラインに移送する。図示例では、三分割対象を外側外装シート12Sとしたが、後述する内側外装シート12Hを三分割し、外側外装シートを後述する内側外装シート12Hと同様に二本供給する形態としても良い。また、図示例では、三分割後の外側シート素材のCD方向中間の部分を内装体用外装シート12Mとなる部分とし、CD方向一方側の部分及びCD方向他方側の部分を用いて腹側及び背側外装シート12F,12Bとなる部分をそれぞれ形成しているが、CD方向一方側の部分又はCD方向他方側の部分を内装体用外装シート12Mとし、残りを腹側及び背側外装シート12F,12Bとなる部分としても良い。
次に、外装シート形成工程501では、二本の外側シート素材12Sに対して連続帯状の内側シート素材12Hを供給し、両シート素材12S,12H間に糸ゴム等の弾性伸縮部材15,17〜19を搬送方向(胴回り方向)に沿って伸張した状態で挟みつつ、両シート素材12S,12Hをホットメルト接着剤等により順次貼り合わせることにより腹側及び背側外装シート12F,12Bとなる部分をそれぞれ連続的に形成する。
次に、弾性伸縮部材の切断工程502では、形成した連続外装シート12に対して、後に内装体200と重なる部分CTに位置する弾性伸縮部材15,19をヒートエンボス等の切断装置601により切断し、当該部分CTにおいて弾性伸縮部材15,19の伸縮力が作用しない状態とする。
主ラインでは、必要に応じて、この後の内装体取付工程504に先立って、腹側及び背側外装シート12F,12Bとなる部分が、おむつ全長に応じて、後述する内装体200に対する取付位置に合うように、配置調整工程513によりCD方向間隔を調整された後に、内装体取付工程504に供給される。このような配置調整をしなくても、三分割後の腹側及び背側外装シート12F,12Bとなる部分のCD方向間隔が、内装体200に対する取付位置に適合している場合には、配置調整工程513は省略し、CD方向間隔を維持すれば良い。
他方、内装体の製造ラインでは、連続帯状の液不透過性シート11を繰り出し、その上に吸収体56及び液透過性トップシート30をこの順に積層し、トップシート30の両側部を液不透過性シート11の裏側に巻き込んでホットメルト接着剤等により固定する。次に、そのCD方向(ライン横断方向)両側に対して、素材のCD方向中央側端部に弾性部材63がMD方向に伸張した状態で固定された帯状の立体ギャザー帯60をそれぞれ供給し、各立体ギャザー帯60のCD方向外側部分をトップシートの巻き込み部分の更に裏側に巻き込んでホットメルト接着剤等により固定するとともに、CD方向中央側部分を個々の内装体となる部分の表側のMD方向両端部でトップシート30の側部にホットメルト接着剤等により固定する。次いで、内装体用外装シート取付ロール606において、液不透過性シート11及び立体ギャザー帯60の裏側に、主ラインの三分割スリッター600から供給される内装体用外装シート12Mを供給し、ホットメルト接着剤等により連続的に貼り付けた後、内装体切り離し装置603によりMD方向に所定の間隔を空けて切断し、個々の内装体200を形成するとともに、この内装体200の向きを前後方向がCD方向となるように回転させた後、主ラインの内装体取付工程504に供給する。
主ラインの内装体取付工程504では、CD方向に間隔を空けて順次搬送されてくる連続帯状の腹側及び背側外装シート12F,12B上にわたるように、内装体製造ラインから供給される内装体20をMD方向に所定の間隔を空けてホットメルト接着剤等により貼り付ける。
そして、続く側部接合工程505では、CD方向の一方側を他方側に折り畳み、腹側部分と背側部分とを重ね、MD方向に所定の間隔を空けてヒートシール等の接合装置604により接合加工を施し、個々のおむつDPの幅方向両側部となる部分12Aにおいて腹側部分と背側部分とを接合する。しかる後、最後の切り離し工程506ではおむつ切り離し装置605において、MD方向に所定の間隔を空けて、個々のおむつとなる部分の境界(隣接するおむつとなる部分のうち一方のおむつの接合部12Aと他方のおむつの接合部12Aとの間に位置する)に沿って切断し、個々のおむつを得る。
上述のような製造方法では、帯状外側シート素材12Sを最初に三分割して、内装体用外装シート12Mとなる部分を形成し、これを別途製造される内装体200となる部分の裏面に貼り付ける。よって、外側シート素材12Sの三分割時の幅や分割ラインの形状を適宜変更することにより、内装体用外装シート12Mの幅や側縁形状を変更でき、設計の自由度が向上する。しかも、腹側外装シート12Fと背側外装シート12Bとを分割し、それらの間の部分を脚開口部とするため、従来外装シート12に脚開口部を切断形成することにより発生していたトリムを無くし、資材ロス(以下、トリムロスともいう)を抑制することが可能となる。
ここで、上述の方法により製造されるおむつの構造、素材等について、図4〜図7を参照しつつ更に詳しく説明すると、このパンツタイプ使い捨ておむつは、装着者の胴回りのうち腹側を覆う腹側外装シート12Fと背側を覆う背側外装シート12Bとを有しており、腹側外装シート12Fの幅方向両側縁と背側外装シート12Bの幅方向両側縁とが、両者の重なる部分の上下方向全体にわたりヒートシールや超音波溶着等により溶着接合されて筒状の胴回り部が形成されている。符号12Aは両外装シート12F,12Bが溶着接合された部分であるサイドシール部を示している。図示形態のように、背側外装シート12Bがサイドシール部12Aよりも下側に延出している場合には、この部分までを含む上下方向範囲に一体的にヒートシール等の加工を施すことができる。
また、胴回り部における腹側外装シート12F内面の幅方向中央部から背側外装シート12B内面の幅方向中央部までにわたるように、内装体200が設けられており、腹側外装シート12Fと背側外装シート12Bとが股間側で連続しておらず、離間されている。この離間距離は内装体200の幅方向両側縁近傍で150〜250mm程度とすることができる。
胴回り部の上部開口は、装着者の胴を通すウエスト開口部となり、内装体200の幅方向両側において胴回り部の下縁12eおよび内装体200の側縁によりそれぞれ囲まれる部分が脚を通す脚開口部となる。各サイドシール部12Aを剥がして展開した状態では、図4に示す形状をなす。内装体200は、背側から股間部を通り腹側までを覆うように延在するものであり、排泄物を受け止めて液分を吸収し保持する部分であり、胴回り部は内装体200を装着者に対して支持する部分である。
(外装シート)
腹側外装シート12F及び背側外装シート12Bは、外側シート素材12S(シート素材12Zからなる部分)及び内側シート素材12H(立体ギャザー60のCD方向外側部分からなる部分)が貼り合わされてなるものである。各層の素材は特に限定されないが、不織布であるのが好ましい。不織布は、その原料繊維が何であるかは特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。例えば、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、SMS不織布、メルトブローン不織布、ニードルパンチ不織布、サーマルボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布等を例示することができるが、特にスパンボンド不織布やSMS不織布が強度と弾性部材との接着性に優れるため好ましい。不織布を用いる場合、その坪量は10〜40g/m2、特に10〜22g/m2程度とするのが好ましい。
また、胴回りに対するフィット性を高めるために、両外装シート12F,12Bにおける外側シート素材12S及び内側シート素材12H間には、糸ゴム等の細長状弾性伸縮部材15〜19が所定の伸張状態で挟まれ、ホットメルト接着剤等により固定されている。細長状弾性伸縮部材15〜19としては、合成ゴムを用いても、天然ゴムを用いても良い。各外装シート12F,12Bにおける内外層12H,12Sの貼り合せや、その間に挟まれる細長状弾性伸縮部材15〜19の固定にはホットメルト接着またはヒートシールや超音波接着を用いることができる。外装シート12F,12B全面を強固に固定するとシートの風合いを損ねるため好ましくない。これらを組合せ、細長状弾性伸縮部材15〜19の接着は強固にし、それ以外の部分は接着しないか弱く接着するのが好ましい。
より詳細には、背側外装シート12Bは、溶着部12A群によるサイドシール部と同じ上下方向範囲を占める本体部13と、この本体部13の下側に延出する延出部14とを有している。延出部14は、内装体200と重なる幅方向中央部14Mと、その両側に延出したカバー部14Cとを有している。
延出部14の形状は適宜定めることができ、図4〜図8に示す例では長方形であるが、後述する第2、第3の形態のように、延出部14の上端部を、本体部13と同幅で本体部13の下側に延出させ、その下側は股間側に近づくにつれて幅が狭くなる形状に切断することもできる。また、本体部13と同幅の部分は省略することもできる。このように構成されていると、カバー部14Cの下縁12eが、股間側に近づくにつれて内装体200側に近づくような直線状または曲線状をなすようになり、製品時の形状も装着時の形状も美しいものとなる。
延出部14の寸法は適宜定めることができるが、カバー部14Cの幅方向長さ(カバー部14Cの下縁12eと内装体200の側縁との幅方向の最大離間距離)が80〜160mmであり、カバー部14Cの上下方向の長さ(延出長さ)が30〜80mmであると、好ましい。また、後述する第2、第3の形態のように、カバー部14Cの下縁12eを曲線状にする場合は、延出部14の幅方向に最も広い部位と上下方向に最も広い部位により定まる四角形の面積をSとすると、延出部14の面積はSに対して20〜80%、特に40〜60%程度とするのが適当である。
本体部13は、上下方向において概念的に上端部(ウエスト部)Wと、これよりも下側の下側部分Uとに分けることができ、その範囲は製品のサイズによって異なるが、一般に、上端部Wの上下方向長さは15〜80mm、下側部分Uの上下方向長さは35〜220mmとすることができる。
本体部13の上端部(ウエスト部)Wにおいては、内外層12H,12S間に、幅方向全体にわたり連続するように、複数の背側ウエスト部弾性伸縮部材17が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。また、背側ウエスト部弾性伸縮部材17のうち、本体部13の下側部分Uに隣接する領域に配設される1本または複数本については、内装体200と重なっていてもよいし、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けてもよい。この背側ウエスト弾性伸縮部材17としては、太さ300〜1240dtex、特に470〜940dtex程度の糸ゴムを、4〜12mmの間隔で3〜22本程度、それぞれ伸張率150〜400%、特に220〜320%程度で固定するのが好ましい。また、背側ウエスト部弾性伸縮部材17は、その全てが同じ太さと伸張率にする必要はなく、例えば背側ウエスト部の上部と下部で弾性伸縮部材の太さと伸張率が異なるようにしてもよい。
また、本体部13の下側部分Uにおいては、内外層12H,12S間に、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その上側および幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、複数の第1の細長状弾性伸縮部材15が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。第1の細長状弾性伸縮部材15としては、太さ300〜1240dtex、特に470〜940dtex程度の糸ゴムを、1〜15mm、特に3〜8mmの間隔で5〜30本程度、それぞれ伸張率200〜350%、特に240〜300%程度で固定するのが好ましい。
また、延出部14においても、内外層12H,12S間に、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり(少なくともカバー部14C全体にわたり)連続するように、複数の第2の細長状弾性伸縮部材16が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。第2の細長状弾性伸縮部材16としては、太さ300〜1240dtex、特に470〜940dtex程度の糸ゴムを、5〜40mm、特に5〜20mmの間隔で2〜10本程度、それぞれ伸張率150〜300%、特に180〜260%で固定するのが好ましい。
一方、腹側外装シート12Fは背側外装シート12Bの本体部13と基本的に同様の本体部(溶着部群によるサイドシール部12Aと同じ上下方向範囲を占める部分)のみからなるものであり、胴回り方向に沿って延在する矩形状をなし、背側外装シート12Bのような延出部14を有していないものである。
すなわち、腹側外装シート(本体部)12Fの上端部(ウエスト部)Wおよび下側部分Uのうち、上端部Wにおいては、内外層12H,12S間に、幅方向全体にわたり連続するように、複数の腹側ウエスト部弾性伸縮部材18が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。この腹側ウエスト部弾性伸縮部材18は、背側ウエスト部弾性伸縮部材17に対して、本数、太さ、伸張率、間隔、及び上下方向配置をできるだけ近づけるのが好ましいが、異ならしめることもでき、異ならしめる場合、本数の差は6本以下、好ましくは3本以下、太さの差は450dtex以下、好ましくは300dtex以下、伸張率の差は100%以下、好ましくは40%以下、間隔の差は10mm以下、好ましくは5mm以下である。
また、腹側外装シート12F(本体部)の下側部分Uにおいては、内外層12H,12S間に、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その上側および幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、複数の第3の細長状弾性伸縮部材19が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸張率で幅方向に沿って伸張された状態で固定されている。第3の細長状弾性伸縮部材19の上下方向配設範囲は、下側部分の一部としても良いが、実質的に全体(全体に伸縮力が作用する範囲)とするのが好ましい。
第3の細長状弾性伸縮部材19としては、第1の細長状弾性伸縮部材15と、本数、太さ、伸張率、間隔、及び上下方向配置をできるだけ近づけるのが好ましいが、異ならしめることもでき、異ならしめる場合、本数の差は10本以下、好ましくは5本以下、太さの差は450dtex以下、好ましくは300dtex以下、伸張率の差は100%以下、好ましくは40%以下、間隔の差は10mm以下、好ましくは5mm以下である。
図示形態の腹側外装シート12Fは、サイドシール部12Aと同じ上下方向範囲を占める部分のみからなるものとしたが、背側と同様に、サイドシール部12Aと同じ上下方向範囲を占める本体部13と、この本体部13の下側に延出する延出部14とからなる構成とすることもできる(後述する第2、第3の形態参照)。これにより、腹側外装シート12Fの脚周り形状を鼠蹊部に沿ってフィットする形状とすることができる。この場合、延出部14の面積及び前後方向長さは、延出部14の面積及び前後方向長さの10〜80%であるのが好ましく、20〜50%であるとより好ましい。延出部14が過度に大きいと、かえってフィット性を損なうため好ましくない。
他方、図示のように、第1、第2及び第3の細長状弾性伸縮部材15,16及び19が、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けられていると、内装体200と外装シート12F,12Bが剥れにくいため好ましいが、この形態には、幅方向両側にのみ弾性伸縮部材が存在する形態の他、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで弾性伸縮部材が存在しているが、内装体200と重なる幅方向中央部では弾性伸縮部材が切断され、伸縮力が作用しない(実質的には、弾性伸縮部材を設けないことに等しい)ように構成されている形態も含まれる。また、本体部13および延出部14の幅方向全体にわたり伸縮力が作用するように、第1、第2及び第3の細長状弾性伸縮部材15,16及び19の一部または全部を、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで設けることもできる。
(内装体)
内装体200は図示例では長方形であるが、任意の形状を採ることができる。内装体200は、図8に示されるように、身体側となるトップシート30と、液不透過性シート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えている。液不透過性シート11の裏面側には、内装体200の裏面を覆う内装体用外装シート12Mが設けられている。さらに、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体200の両側に、身体側に起立する立体ギャザー60が設けられている。なお、図示しないが、内装体200の各構成部材は、ホットメルト接着剤などのベタ、ビードまたはスパイラル塗布などにより、適宜相互に固定することができる。
(トップシート)
トップシート30は、液を透過する性質を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンボンド法、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、エアスルー法、ポイントボンド法、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
また、トップシート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、トップシート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
(中間シート)
図示しないが、トップシート30を透過した液を速やかに吸収体へ移行させるために、トップシート30より液の透過速度が速い、中間シート(「セカンドシート」とも呼ばれている)を設けることができる。この中間シートは、液を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した液の吸収体からの「逆戻り」現象を防止し、トップシート30上を常に乾燥した状態とすることができる。中間シートは省略することもできる。
中間シートとしては、トップシート30と同様の素材や、スパンレース、スパンボンド、SMS、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド又はクレープ紙を例示でき、中でも液透過性に優れる不織布が好適である。特にエアスルー不織布が嵩高であるため好ましい。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合芯に用いる樹脂はポリプロピレン(PP)でも良いが剛性の高いポリエステル(PET)が好ましい。目付けは20〜80g/m2が好ましく、25〜60g/m2がより好ましい。不織布の原料繊維の太さは2.2〜10dtexであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯且つ中空の繊維を用いるのも好ましい。
中間シートは、吸収体56の幅より短く中央に配置されるのが望ましいが、全幅にわたって設けてもよい。中間シートの長手方向長さは、吸収体56の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂からなるフィルム材(防水フィルム)や、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布、防水フィルムを介在させて実質的に不透液性を確保した不織布(この場合は、防水フィルムと不織布とで液不透過性シートが構成される。)などを例示することができる。もちろん、このほかにも、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材も例示することができる。この不透液性かつ透湿性を有する素材のシートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを例示することができる。さらに、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、防水フィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
また、液不透過性シート11の内面または外面には、印刷や着色によるデザインを施しても良い。さらに液不透過性シート11の外側に、内装体用外装シート12Mとは別部材の、印刷または着色を施したデザインシートを貼り付けても良い。また、液不透過性シート11の内側に、液分の吸収により色が変化する排泄インジケータ80を設けることができる。
(立体ギャザー)
立体ギャザー60は、内装体200の両側部に沿って前後方向全体にわたり延在する帯状部材であり、表面シート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を遮断し、横漏れを防止するために設けられているものである。本実施の形態の立体ギャザー60は、内装体200の側部から起立するように設けられ、付け根側の部分は幅方向中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端側の部分は幅方向外側に向かって斜めに起立するものである。
より詳細には、立体ギャザー60は、内装体200の前後方向長さに等しい長さを有する帯状のギャザーシート62を幅方向に折り返して二つに折り重ねるとともに、折り返し部分及びその近傍のシート間に、細長状弾性伸縮部材63を長手方向に沿って伸長状態で、幅方向に間隔をあけて複数本固定してなるものである。立体ギャザー60のうち先端部と反対側に位置する基端部(幅方向においてシート折り返し部分と反対側の端部)は内装体200の側縁部の裏面に固定された取付部分65とされ、この取付部分65以外の部分は取付部分65から突出する突出部分66(折り返し部分側の部分)とされている。図示形態は、突出部分66が幅方向外側に折り返されない線接触タイプの立体ギャザーであるが、突出部分66が幅方向中央側に向かう付け根側部分と、この付け根側部分の先端から幅方向外側に折り返された先端側部分とからなる面接触タイプの立体ギャザーとすることもできる。そして、突出部分66のうち前後方向両端部67が倒伏状態で表面シート30の側部表面に対してホットメルト接着剤やヒートシールにより固定された倒伏部67とされる一方で、これらの間に位置する前後方向中間部は非固定の自由部分とされ、この自由部分に前後方向に沿う細長状弾性部材63が伸長状態で固定されている。
ギャザーシート62としてはスパンボンド不織布(SS、SSS等)やSMS不織布(SMS、SSMMS等)、メルトブロー不織布等の柔軟で均一性・隠蔽性に優れた不織布に、必要に応じてシリコンなどにより撥水処理を施したものを好適に用いることができ、繊維目付けは10〜30g/m2程度とするのが好ましい。細長状弾性伸縮部材63としては糸ゴム等を用いることができる。スパンデックス糸ゴムを用いる場合は、太さは470〜1240dtexが好ましく、620〜940dtexがより好ましい。固定時の伸長率は、150〜350%が好ましく、200〜300%がより好ましい。なお、用語「伸長率」は自然長を100%としたときの値を意味する。
立体ギャザー60の自由部分に設けられる細長状弾性伸縮部材63の本数は2〜6本が好ましく、3〜5本がより好ましい。配置間隔60dは3〜10mmが適当である。このように構成すると、細長状弾性伸縮部材63を配置した範囲で肌に対して面で当たりやすくなる。先端側だけでなく付け根側にも細長状弾性伸縮部材63を配置しても良い。
立体ギャザー60の取付部分65の固定対象は、内装体200における表面シート30、不透液性バックシート11、吸収要素50等適宜の部材とすることができる。
かくして構成された立体ギャザー60では、細長状弾性伸縮部材63の収縮力が前後方向両端部を近づけるように作用するが、突出部分66のうち前後方向両端部が起立しないように固定されるのに対して、それらの間は非固定の自由部分とされているため、自由部分のみが図3に示すように身体側に当接するように起立する。特に、取付部分65が内装体200の裏面側に位置していると、股間部及びその近傍において立体ギャザー60が幅方向外側に開くように起立するため、立体ギャザー60が脚周りに面で当接するようになり、フィット性が向上するようになる。
なお、図示形態と異なり、内装体200の左右各側において立体ギャザーを二重に(二列)設けることもできる。
(吸収要素)
吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の少なくとも裏面及び側面を包む包装シート58とを有する。包装シート58は省略することもできる。
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
吸収体56は長方形形状でも良いが、図6にも示すように、前端部56F、後端部56B及びこれらの間に位置し、前端部56F及び後端部56Bと比べて幅が狭い括れ部56Nとを有する砂時計形状を成していると、吸収体56自体と立体ギャザー60の、脚周りへのフィット性が向上するため好ましい。
括れ部56Nの寸法は適宜定めることができるが、括れ部56Nの最小幅は吸収体56の全幅の0.55〜0.70倍程度とすることが好ましい。また、括れ部56Nの前後方向長さは吸収体56の全長の25〜50%程度とすることが好ましい。
(高吸収性ポリマー粒子)
高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m2を超えると、効果が飽和する。
必要であれば、高吸収性ポリマー粒子は、吸収体56の平面方向で散布密度あるいは散布量を調整できる。たとえば、液の排泄部位を他の部位より散布量を多くすることができる。男女差を考慮する場合、男用は前側の散布密度(量)を高め、女用は中央部の散布密度(量)を高めることができる。また、吸収体56の平面方向において局所的(例えばスポット状)にポリマーが存在しない部分を設けることもできる。
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパやクレープ紙等の紙素材、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMMS(スパンボンド/メルトブローン/メルトブローン/スパンボンド)不織布が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンなどを使用できる。目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
この包装シート58は、吸収体56全体を包む形態のほか、その層の裏面及び側面のみを包被するものでもよい。また図示しないが、吸収体56の上面及び側面のみをクレープ紙や不織布で覆い、下面をポリエチレンなどの液不透過性シートで覆う形態、吸収体56の上面をクレープ紙や不織布で覆い、側面及び下面をポリエチレンなどの液不透過性シートで覆う形態などでもよい(これらの各素材が包装シートの構成要素となる)。必要ならば、吸収体56を、上下2層の包装シートで挟む形態や下面のみに配置する形態でもよいが、高吸収性ポリマー粒子の移動を防止でき難いので望ましい形態ではない。
(内装体用外装シート)
内装体200の裏面側には、製品外面をなす内装体用外装シート12Mが設けられている。この内装体用外装シート12Mの素材は、外装シート素材(図示例では外側シート素材12S)となる。
また、内装体用外装シート12Mの前後方向長さは、内装体200と同じとなるが、幅は内装体200の幅と異ならしめることが可能であり、特に内装体200幅よりも狭いのが好ましい。前述の製造法によれば、外側シート素材12Sの三分割時の幅を適宜変更し、必要に応じて配置調整工程を行うことができるので、このように内装体用外装シート12Mとなる部分の幅が内装体200の幅より狭い設計とすることができる。これにより、図4〜図7に示されるように、内装体用外装シート12Mの側縁が内装体200の側縁から幅方向中央側に離間するため、内装体200の側縁と脚とが擦れる際に、内装体用外装シート12Mの側縁が肌に当たって刺激となることがない。また、内装体用外装シート12Mを貼り付けるとその接着手段(例えば接着剤)の影響もあって内装体200が硬質化するが、内装体用外装シート12Mの側縁が内装体200の側縁から幅方向中央側に離間していると、内装体200の側部は硬質化せずに脚に対して柔軟に接触できる。通常の場合、内装体用外装シート12Mの幅は、内装体200の幅の70〜95%程度とすることが望ましい。
<第2の形態>
図8は、第2の形態を示しており、上段部分の平面図が外装シート12F,12Bの製造を含む主ラインを示しており、中段部分の平面図が内装体200の製造を行う内装体200の製造ラインを示しており、下段部分の正面図が製造フロー全体を示している。第2の形態の製造フローは、外装シート素材分割工程510における切断パターンのみが第1の形態に対して異なるものである。
すなわち第2の形態では、図8に示すように、外装シート素材分割工程510の三分割スリッター600において、個々の内装体200の内装体用外装シート12Mとなる部分におけるMD方向中間からMD方向両端に向かうにつれて連続的又は段階的にCD方向外側に位置するようになる曲線で分割するものである。本発明では外装シート素材の三分割時の幅を適宜変更することができるので、このようなパターンで分割することにより、図9及び図10に示すように、腹側外装シート12F及び背側外装シート12Bの下縁12e、並びに内装体用外装シート12Mの両側縁が脚周りに対するフィット性に優れた形状となる。すなわち、腹側外装シート12Fの下縁12eは鼠蹊部に沿うように、また背側外装シート12Bの下縁12eは臀溝に沿うように、それぞれ幅方向両側に向うにつれてウエスト側に位置する曲線状とすることができる。
しかも、内装体用外装シート12Mは前方向中間部が幅方向に括れた形状となり、股間の脚周りに沿う形状となるため、内装体用外装シート12Mの側縁が肌に当たり難く、また内装体200の側部は特に脚周りに当たる部分が硬質化せずに脚に対して柔軟に接触するようになる。特に、図示例のように、内装体200が長方形であるのに対して、吸収体56の前後方向中間部が脚周りの曲面に沿うように幅方向に括れた形状とされている場合、吸収体56の括れ部56Nにおいて内装体200の側縁部が余ることになるが、この余剰部分が内装体用外装シート12Mにより硬質化したり、余剰部分の外側寄りに内装体用外装シート12Mの側縁が位置していたりすると、吸収体56を括れ形状としたことにより向上した装着感が悪化するおそれがある。よって、特にこのような場合に、前述のように内装体用外装シート12Mの前後方向中間部を括れた形状とするのが好ましい。
<第3の形態>
本発明では外装シート12素材の三分割時の幅を適宜変更することができるので、外装シート素材分割工程510における分割線を波線状とすることにより、図11及び図12に示すように、腹側外装シート12F及び背側外装シート12Bの下縁12e、並びに内装体用外装シート12Mの両側縁を波線状とすることもできる。このような波線状の縁12eは、かわいらしい外観となるだけでなく、腹側外装シート12F及び背側外装シート12Bの下縁12eがこのような波線状であると、肌に対する接触長さが短くなり、柔軟な肌触りが得られる。
<その他>
本発明は、側部接合工程505の代わりに粘着テープやメカニカルテープ等の付け外し可能な連結手段の取付工程を設けることにより、いわゆるテープタイプ使い捨ておむつや、テープタイプとパンツタイプのどちらにも使用可能な使い捨ておむつにも適用することが可能である。
本発明は、上記例のような使い捨ておむつの製造に利用できるものである。
11…液不透過性シート、12…外装シート、12B…背側外装シート、12F…腹側外装シート、12H…内側シート素材、12M…内装体用外装シート、12S…外側シート素材、30…トップシート、50…吸収要素、56…吸収体、58…包装シート、60…立体ギャザー、62…ギャザーシート、200…内装体、501…外装シート形成工程、502…弾性伸縮部材の切断工程、504…内装体取付工程、505…側部接合工程、506…切り離し工程、510…外装シート素材分割工程、513…配置調整工程、600…三分割スリッター、601…切断装置、602…ダイカッター、603…内装体切り離し装置、604…接合装置、605…おむつ切り離し装置、606…内装体用外装シート取付ロール。