JP2014103922A - 草食動物侵入抑止柵 - Google Patents

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Abstract

【課題】鉄道や道路、田畑等において、中型、大型草食動物が侵入することを抑止しつつ、仮に草食動物が侵入した場合であっても緊急脱出が容易な柵を提供する。
【解決手段】草食動物の侵入から保護するための保護地3と敷地4とを隔てるように間隔をあけて立設された支柱11と、支柱11間に架設されて、下方横架部13a´を有する下方架設体13と、下方架設体13よりも上方に支柱11間に架設されて、上方横架部12a´を有する上方架設体12とを備え、下方横架部13a´は、平面視で上方横架部12a´から保護地3側に離間して配置されていることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、下草を食べる中型、大型の草食動物が、鉄道や道路、田畑への侵入することを抑止するための草食動物侵入抑止柵の技術に関する。
近年、野生動物の中でも日本では、シカ科に属するニホンジカが急激に個体数を増やしており、シカの生息域を横断するように設けられた鉄道や道路等を有する敷地(以下、保護地という)にシカが侵入し、車両との衝突事故が頻繁に発生して問題となっている。
例えば、シカは一般的に2m程度跳躍できる能力があるとされ、これに対応するためには柵高3m程度以上の柵が必要となる。このため、従来の動物侵入防止柵は、対象とする動物が、跳躍しても保護地へ侵入することができない柵高に設定することが多い。しかし、動物侵入防止柵の柵高が高くなれば高くなるほど、設置場所の周辺環境による影響を受けて労力的にも経済的にも動物侵入防止柵の設置が困難になる。
かかる野生動物と車両との衝突事故に対する対策として、従来において鋭意検討された結果、例えば、特許文献1及び特許文献2の開示技術が提案されている。
例えば、特許文献1の開示技術は、支柱に複数枚の板状部材を固定し、当該支柱に対して板状部材に傾斜角度をつけて隙間を設ける動物侵入防止柵である。この動物侵入防止柵は、板状部材間に隙間が設けられているので、風が通り抜けて柵全体に強い風圧がかからない。このため、動物侵入防止柵は、強風時の柵の破損を防ぐことができる。また、複数の連なった板状部材により動物が動物侵入防止柵の向こう側にある保護地の様子を見えにくくしているため、動物が保護地内に侵入することを防ぐことができる。更に、この動物侵入防止柵は、板状部材の上方にネット等を設けることで、跳躍力のある動物による侵入も防ぐことができる。
また、特許文献2の開示技術では、跳躍力の優れている動物に対して設置する動物侵入防止柵に関するもので、主柵の外側に外柵を設けて、主柵を飛び越えるための踏み切り場所を外柵の更に外側に設けることで、当該動物が跳躍で柵を飛び越えることを防止している。
実用新案登録第3161355号公報 実開昭63-138053号公報
ところで、鉄道、道路環境を対象とした保護地は、直線的に延長された環境であり、完全な閉鎖環境を形成することは難しい。このため、保護地には、必ず人や物を通過させる横断区間が発生する。仮にシカ等が、横断区間から保護地に侵入し、横断区間から離れた保護地内部へ移動した場合に、車両が高速で接近してくれば逃げるための時間的余裕は少なく、シカが横断区間まで移動して脱出することはできない。またこの場合、一般的な動物侵入防止柵は、柵高が高く設置されているため、シカ等が飛び越えて脱出することもできない。
しかし、仮に柵高が高い場合でなくても、シカ等が跳躍できる環境でなければ保護地内部からの脱出は困難となる。その意味では、特許文献1の開示技術では、跳躍力のあるシカ等には支柱の上方にネットを設けているためシカ等の保護地内部からの脱出は困難である。一方で、特許文献1の開示技術では、単純に柵高を低くして保護地内部からの脱出に配慮すると、シカ等は横断区間以外等からも容易に跳躍により柵を越えて保護地内部へ侵入が可能となり、侵入の抑止効果が得られない。また、特許文献2の開示技術では、柵高の高低に拘らず、シカ等が跳躍するための踏み切りを阻止しているため、保護地内部からのシカ等の脱出は困難である。いずれにしても、従来の動物侵入防止柵で覆われた保護地は、準閉鎖的環境となり、シカが保護地から脱出することは困難となるため、車両との衝突事故が発生することとなる。
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、鉄道や道路、田畑において、下草を食べる中型、大型草食動物について、特にシカ科やウシ科に属する動物の行動習性を考慮し、侵入抑止機能を備えつつ、仮に草食動物が侵入した場合であっても緊急脱出が容易な柵を提供することにある。
前記課題を解決するために、本発明に係る草食動物侵入抑止柵は、次のように構成する。
本願第1の発明は、草食動物の侵入から保護するための保護地と前記保護地以外とを隔てるように間隔をあけて立設された支柱と、前記支柱間に架設されて、下方横架部を有する下方架設体と、前記下方架設体よりも上方に前記支柱間に架設されて、上方横架部を有する上方架設体とを備え、前記下方横架部は、平面視で前記上方横架部から前記保護地側に離間して配置されていることを特徴とする。
本願第2の発明は、第1の発明において、前記下方横架部は、前記支柱よりも前記保護地側に突き出して配置され、前記上方横架部は、前記支柱よりも前記保護地と反対側に突き出して配置されることを特徴とする。
本願第3の発明は、第1の発明において、前記下方架設体は、前記支柱よりも前記保護地側又は前記保護地と反対側に突き出して設けられるとともに、その間に前記下方横架部が架設された下方突設部を更に有することを特徴とする。
本願第4の発明は、第1の発明において、前記上方架設体は、前記下方架設体よりも上方で前記支柱よりも前記保護地側又は前記保護地と反対側に突き出して設けられるとともに、その間に前記上方横架部が架設された上方突設部を更に有することを特徴とする。
本願第5の発明は、第1の発明において、前記下方架設体は、前記支柱よりも前記保護地側又は前記保護地と反対側に突き出して設けられるとともに、その間に前記下方横架部が架設された下方突設部を更に有し、前記上方架設体は、前記下方突設部よりも上方で前記支柱よりも前記保護地側又は前記保護地と反対側に突き出して設けられるとともに、その間に前記上方横架部が架設された上方突設部を更に有することを特徴とする。
本願第6の発明は、第1〜5のうち何れか1の発明において、下方横架部は、草食動物の膝高h1以上で草食動物の肩高以下の高さに架設され、上方横架部は、草食動物の膝高h1と草食動物が頭部を上げた際の頭部高h2とにより以下の関係式(1)で導かれるLxの長さの範囲内で当該下方横架部より上方に架設されること
Lx=h2−h1・・・・(1)
を特徴とする。
本願第7の発明は、第1〜6のうち何れか1の発明において、平面視で上方横架部から下方横架部までの間隔が、草食動物の鼻から首付け根までの長さd2で表される以下の関係式(2)のWxの範囲内であること
5cm≦Wx≦d2・・・・(2)
を特徴とする。
本願第8の発明は、第1〜7のうち何れか1の発明において、草食動物が保護地側に近づくことを抑止する忌避部材が上方架設体と下方架設体との間に架け渡されていることを特徴とする。
本願第9の発明は、第1〜8のうち何れか1の発明において、上方架設体と下方架設体は、面材の一部として互いに連結されていることを特徴とする。
第1〜5の発明によると、下方横架部が、上方横架部よりも保護地側に離間して配置されていることにより、上方横架部及び下方横架部の下方に閉塞的空間が形成される。このため、草食動物が頭部を上下させながら柵に接近すると、草食動物が頭部を下げた際に頭部が当該閉塞的空間に入り込み、かつ上方横架部が手前にあることより、頭部上方に対する圧迫感を与える。この圧迫感により、草食動物が柵を跳躍して飛び越えることを抑止できる。また、草食動物の跳躍は、通常空気抵抗を受けるものの放物線を描く軌道となるが、上方横架部が上方手前にあり、下方横架部が下方奥側にあるため、頭部を下げた状態で下方横架部に接近した草食動物は、上方横架部に接近しすぎてしまい、放物線を描いた跳躍ができなくなる。このため、草食動物は跳躍して柵を跳び越えることなく柵の延長方向へ誘導されることとなり、草食動物が保護地内へ侵入することを抑止できる。また、仮に草食動物が誤って保護地内に入った場合であっても、保護地側に下方横架部があることにより、逆に草食動物は、放物線を描いた跳躍をおこない保護地から容易に脱出することができる。
第6の発明によると、下方横架部が草食動物の膝高h1以上で草食動物の肩高以下の高さに架設されることにより、草食動物は、柵をまたぐことができない。また、更に(1)式のLxの高さにより、仮に草食動物が保護地と反対側から上方横架部の下方をくぐりつつ下方横架部を跳躍して乗り越えようとしても、その跳躍の際に上方横架部により草食動物の頭部がひっかかるおそれがある。このため、草食動物は、跳躍のための踏み切りそのものが困難になる。従って、草食動物は、上方横架部及び下方横架部の間をすり抜ける状態で乗り越えることもできない。これにより、草食動物侵入抑止柵は、草食動物に保護地への侵入ができないことを認知させ、柵に沿って保護地と反対側と誘導し、草食動物の侵入を抑止できる。
第7の発明によると、平面視で上方横架部から下方横架部までの間隔が、(2)式のWxの範囲内であることから、平面視での上方横架部と下方横架部との間に、草食動物の頭部を含めて体がひっかかることとなる。従って、上方横架部及び下方横架部の間をすり抜ける状態で乗り越えることができなくなる。このため、草食動物が保護地に侵入することを抑止できる。
第8の発明によると、草食動物が保護地側に近づくことを抑止する忌避部材が上方架設体と下方架設体との間に架設されていることで、上方架設体と下方架設体との下方近傍は、忌避部材から発生する臭気が滞留する。このため、草食動物が頭を下げて草等を捕食する場合に、忌避部材は、草食動物侵入抑止柵への草食動物の接近を抑止することができる。
第9の発明によると、上方架設体と下方架設体は、面材の一部として互いに連結されていることにより、第5の発明に比較して上方架設体と下方架設体との間の開放部分がなくなり想定していない別種の小型草食動物であっても上方架設体と下方架設体との間から侵入することを防ぐことができる。
本発明を適用した草食動物侵入抑止柵における上方架設体及び下方架設体に樹脂 ロープ及び螺旋ボルトを利用した第1実施形態の斜視図である。 本発明を適用した草食動物侵入抑止柵における図1と同様の第1実施形態の正面 図である。 (a)は、本発明を適用した草食動物侵入抑止柵の図1と同様の第1実施形態の平面図であり、(b)は、(a)のA−A'線縦断側面図である。 本発明を適用した草食動物侵入抑止柵の対象とする草食動物の各箇所の長さを示した図である。 本発明を適用した草食動物侵入抑止柵の第1実施形態において上方架設体及び下方架設体を保護地と反対側に突き出して設置した他の実施例を示した縦断側面図である。 本発明を適用した草食動物侵入抑止柵の第1実施形態における上方架設体及び下方架設体を保護地側に突き出して設置した他の実施例を示した縦断側面図である。 本発明を適用した草食動物侵入抑止柵の第1実施形態における図1の一部S1を保護地側から拡大して樹脂ロープの取り付け方を示した図である。 本発明を適用した草食動物侵入抑止柵における上方架設体にブラケットを、下方 架設体に樹脂ロープ及び螺旋ボルトを利用した第2実施形態の斜視図である。 本発明を適用した草食動物侵入抑止柵における図8と同様の第2実施形態の正面 図である。 (a)は、本発明を適用した草食動物侵入抑止柵における図8と同様の第2実施形態の平面図であり、(b)は、(a)のB−B'線縦断側面図である。 本発明を適用した草食動物侵入抑止柵の第2実施形態における図8の一部S2を拡大した斜視図である。
以下、本発明の実施の形態に係る草食動物侵入抑止柵について、図面を参照しながら詳細に説明する。
第1実施形態
以下、本発明を実施するための形態として、草食動物侵入抑止柵1について、支柱間に架設される部材に樹脂ロープ等と螺旋ボルトを利用した草食動物侵入抑止柵10の構成について図1〜4を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明を適用した草食動物侵入抑止柵における上方架設体及び下方架設体に樹脂ロープ及び螺旋ボルトを利用した第1実施形態の斜視図である。図2は、その正面図である。図3(a)は、その平面図である。図3(b)は、図3(a)のA−A'線縦断側面図である。図4は、本発明を適用した草食動物侵入抑止柵の対象とする草食動物の各箇所の長さを示した図である。
草食動物侵入抑止柵10は、図1に示すように草食動物2の侵入から保護するための保護地3と保護地3以外の敷地4とを隔てるように間隔をあけて立設された支柱11と、支柱11を挟んで支柱立設方向に地面に2つ設けられたアンカー16と、その両端をアンカー16に固定されるとともに保護地3側に向かって支柱11間に架設された下方架設体13と、その両端をアンカー16に固定されるとともに下方架設体13よりも上方に敷地4側に向かって支柱11間に架設された上方架設体12と、下方架設体13と上方架設体12との間に架け渡された忌避部材15とを備える。更に草食動物侵入抑止柵1は、一方の端部を上方架設体12に固定されるとともに他方の端部をアンカー16に固定された上方固定部材14を備える。
草食動物2は、例えば、中型、大型の草食動物を想定している。この草食動物2は、下草を捕食するために頭部を上下に動かす行動を頻繁に行う。本発明に係る草食動物2は、例えば、シカ科では、特にシカ属のニホンジカに分類される、エゾシカ、ホンシュウジカ、キュウシュウジカ、マゲシカ、ヤクシカ、ケラマジカ、ツシマジカ等である。また、この草食動物2は、ウシ科では、特にカモシカ属に分類されるニホンカモシカ等やウシ属に分類される各種ウシ等である。しかし、これに限定されることなく、下草を捕食するために頭部を上下に動かす行動を頻繁に行う動物であれば、如何なる動物であってもよい。シカ科やウシ科などの草食動物2は口の届く範囲の植物をエサとして捕食しており、シカ科の場合とりわけ下層植生に該当するイネ科の新芽・若葉を好んで捕食する。これらの下草を食べる中型、大型の草食動物2は、1日の行動において睡眠や反すう以外の時間のほとんどを食事行動に費やしており、下層植生を好むゆえに、頻繁に首を上下させる運動を行う。具体的には、下層植生の捕食のために首を下げた状態をとり、周囲の下層植生が少なくなって移動行動を行うか、物音や光などで警戒する際に、首を上げた状態をとることが多い。
保護地3は、例えば、列車の通過する線路や自動車用道路等を有する敷地を想定している。このため、保護地3は、草食動物侵入抑止柵10を境界にして線路や自動車用道路等の直線的に延長された敷地である。しかし、これに限定されることなく、野生動物のシカ等である草食動物2の侵入を防ぐことを目的する敷地であれば、何れの敷地であってもよい。
敷地4は、草食動物侵入抑止柵10を境界にして線路や自動車用道路等を有する保護地3と反対側の敷地である。敷地4は、例えば、草食動物2の生息地を想定している。しかし、これに限定されることなく、敷地4は、草食動物侵入抑止柵10を境界にして保護地3以外の敷地を全て含むものとする。
支柱11は、図1に示すように略円柱形状をした鋼材である。しかし、これに限定されることなく、十分な剛性を確保できるものであれば、如何なる断面形状の鋼材で形成されていてもよい。支柱11は、図1に示すように1本の鋼材で形成されるものだけでなく、支柱11の運搬を考慮した場合には、複数本に分割して運搬し施工現場で組み上げるものであってもよい。なお、支柱11の地面からの高さは、ホンシュウジカよりも大型であるエゾシカを対象とした場合、最大でも160cm程度を想定している。このため、草食動物侵入抑止柵1は、柵高2m以上とする従来の動物侵入防止柵よりも低く、材料コストも抑えられ経済的である。
アンカー16は、鋼製のアンカーボルトとして図示しない一方の端部を地面に打ち込み、他方の端部16aを地上に突出させてなる。この端部16aは、平面視で中空部16bを有する略半円形状であり、断面視では、略円形状をしている。
下方架設体13は、支柱11の図示しない貫通孔に挿通して固定された下方突設部13bと、その両端部をアンカー16に固定されるとともに下方突設部13bを介して支柱11間にかけ渡された下方横架部材13aとを備える。ここで、支柱11のうち図2に示す3本の支柱を左から順番に支柱D、支柱E、支柱Fとする。
図1、2に示す下方突設部13bは、例えば、鋼製の螺旋ボルトを想定している。下方突設部13bは、保護地3側の端部13cがコイル状となり、コイル孔13eを有する。また、下方突設部13bの端部13dは、支柱11より敷地4側に突き出されている。
図1、2に示す下方横架部材13aは、アンカー16から下方突設部13bのコイル孔13eまでの間の端部13a´´と、その端部13a´´が延長されて支柱Dから支柱Fまでの間に下方突設部13bを介して架設された下方横架部13a´とから構成される。図2に示す下方横架部材13aは、支柱D左側の端部13a´´を支柱D左側のアンカー16の中空部16bに略円形状に挿通させて固定されるとともに、下方横架部13a´を支柱D、E、Fに取り付けられた下方突設部13bのコイル孔13eに挿通させて、支柱F右側の端部13a´´を支柱D右側のアンカー16の中空部16bに略円形状に挿通させて固定されている。このように、下方横架部材13aの下方横架部13a´は、連続する3本の支柱11を一つの単位として繰り返して支柱立設方向に延長されている。もちろん、端部に配置される支柱D、Fの間に配置される支柱Eは複数であってもよく、上方横架部12a´、下方横架部13a´の延長長さに応じて架設長さと支柱Eの本数を自由に設定できる。
この下方横架部材13aは、端部13a´´と下方横架部13a´とが一体の部材であり、例えば、樹脂ロープを想定している。この樹脂ロープは、芯材と被覆材とで構成される。芯材には、ケブラー(アラミド繊維)、銅線、ポリアリレート繊維、カーボン繊維等を利用する。また、被覆材には、ポリウレタン、塩化ビニル、ナイロン(ポリアミド)、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂、PET樹脂、合成ゴム等を利用する。また、下方横架部材13aは、上述の素材を単独で用いた、例えば鋼線ワイヤのみの単素材で構成されていてもよい。しかし、これに限定されることなく、下方横架部材13aは、下方突設部13bのコイル孔13eに挿通されて支柱11間に架設できるとともにその両端をアンカー16に固定できるものであれば、如何なる素材であってもよい。
上方架設体12は、支柱11の図示しない貫通孔に挿通して固定された上方突設部12bと、その両端をアンカー16に固定されるとともに上方突設部12bを介して支柱11間にかけ渡された上方横架部材12aとを備える。
上方突設部12bは、下方突設部13bと同様に、例えば、鋼製の螺旋ボルトを想定している。図1に示すように敷地4側の端部12cがコイル状となり、コイル孔12eを有する。また、上方突設部12bの端部12dは、支柱11より保護地3側に突き出されている。
上方横架部材12aは、下方横架部材13aと同様の構成であり、上方突設部12bのコイル孔12eからアンカー16までの間の端部12a´´と、端部12a´´が延長されて図2に示す支柱Dから支柱Fまでの間を上方突設部12b間に架設された上方横架部12a´とから構成される。また、上方横架部材12aは、下方横架部材13aと同様に、端部12a´´と上方横架部12a´とが一体の部材であり、例えば、樹脂ロープを想定している。このため、下方横架部材13aの説明を引用することにより、上方横架部材12aの端部12a´´及び上方横架部12a´の具体的な固定の仕方、具体的な素材の説明は省略する。この上方横架部材12aの上方横架部12a´も、下方横架部材13aと同様に連続する3本の支柱11を一つの単位として繰り返して支柱立設方向に延長されている。しかし、これに限定されることなく、上方横架部材12aは、上方突設部12bのコイル孔12eに挿通して支柱11間に架設できるとともにその両端をアンカー16に固定できるものであれば、如何なる素材であってもよい。また、上方横架部材12a及び下方横架部材13aは、末端部をアンカー16に固定せずに、支柱11や上方突設部12b又は、下方突設部13bに直接固定してもよい。
ここで、草食動物侵入抑止柵10の効果を説明する。
下方横架部材13aの下方横架部13a´が、上方横架部材12aの上方横架部12a´よりも保護地3側に離間して配置されていることにより、上方横架部12a´及び下方横架部13a´の下方に地表とで囲まれた準閉塞的空間が形成される。このため、草食動物2が頭部2eを上下させながら草食動物侵入抑止柵10に接近すると、草食動物2の頭部2eが当該準閉塞的空間に入り込み、かつ上方横架部12a´が手前にあることより、頭部2e上方に対する圧迫感がある。このため、草食動物2が頭部2eを下げた状態で草食動物侵入抑止柵10に接近すると、この圧迫感により、草食動物2が草食動物侵入抑止柵10を跳躍して飛び越えることを抑止できる。また、草食動物2の跳躍は、通常空気抵抗を受けるものの放物線を描く軌道となるが、上方横架部12a´が手前にあることで草食動物2は、跳躍による放物線を描きにくく跳躍しにくくなる。具体的には、上方横架部が上方手前にあり、下方横架部が下方奥側にあるため、頭部を下げた状態で下方横架部に接近した草食動物は、上方横架部に接近しすぎてしまい、放物線を描いた跳躍ができなくなる。
このため、草食動物2は跳躍することなく草食動物侵入抑止柵10の延長方向へ誘導されることとなり、草食動物2が保護地3内へ侵入することを抑止できる。また、仮に草食動物2が誤って保護地3内に入った場合であっても、保護地3側に下方横架部13a´があることにより、逆に草食動物2は、跳躍の際に放物線を描きやすく保護地3から容易に脱出することができる。
更に、特に図3(b)と図4を参照しながら、図3(b)に示すO11区間及びQ11区間で示される下方横架部13a´と上方横架部12a´との間の支柱鉛直方向の長さと支柱水平方向の長さについてぞれぞれの最適な実施形態を説明する。
草食動物2の各箇所の長さについて、図4を参照しながら詳細に説明する。まず、草食動物2の膝2aまでの高さは、膝高h1とする。また、草食動物2の肩高2bまでの高さは、肩高h3とする。草食動物2の頭部2eまでの高さは、頭部高h2とする。草食動物2の鼻2cから首の付け根2dまでの長さをd2とする。
下方横架部材13aの下方横架部13a´は、草食動物2の膝高h1以上で草食動物の肩高h3以下の高さに架設され、上方横架部材12aの上方横架部12a´は、草食動物2の膝高h1と草食動物2が頭部2eを上げた際の頭部高h2とにより以下の関係式(1)で導かれるLxの長さの範囲内で当該下方横架部13a´より上方に架設されること
Lx=h2−h1・・・・(1)
が望ましい。これは、下方横架部13a´が、膝高h1以上で肩高h3以下の高さに架設されることにより、草食動物2は、下方横架部13a´をまたぐことができない。また、(1)式のLxの高さにより、仮に草食動物2が敷地4側から上方横架部12a´の下方をくぐりつつ下方横架部13a´を跳躍して乗り越えようとしても、その跳躍の際に上方横架部12a´により頭部2eがひっかかることになる。このため、草食動物2は、上方に圧迫感があり跳躍のための踏み切りそのものを躊躇する。この中でも、下方横架部13a´は膝高h1に架設し、上方横架部12a´は頭部高h2に架設するのが望ましい。これは、草食動物2が跳躍しなくても頭部2eがひっかかる高さになるからである。いずれにしても、草食動物2は、上方横架部12a´及び下方横架部13a´の間をすり抜ける状態で乗り越えることが困難となる。これにより、草食動物侵入抑止柵10は、草食動物2に保護地3への侵入ができないことを認知させ、柵に沿って敷地4側へと誘導し、草食動物2の侵入を抑止できる。
平面視で上方横架部12a´から下方横架部13a´までのQ11区間が、草食動物の鼻2cから首付け根2dまでの長さd2で表される以下の関係式(2)のWxの範囲内であること
5cm≦Wx≦d2・・・・(2)
により、平面視での上方横架部12a´と下方横架部13a´との間に、草食動物2の頭部を含めて体がひっかかることなる。従って、草食動物2は、上方横架部12a´及び下方横架部13a´の間をすり抜けるように跳躍で乗り越えることができない。このため、草食動物2が保護地3に侵入することを防ぐことができる。
上述のWxの最小値は少なくとも5cm以上あることで、本発明の効果が特に大きく得られる。具体的には、上述の草食動物2への圧迫感や跳躍のしにくさを与えることによる、柵の跳び越えに対する抑止効果は、草食動物2にとって視覚により得られる情報が大きく影響している。このため、草食動物2の目線が上方横架部12a´や下方横架部13a´に対し、どこの位置にあるかが重要となる。草食動物2が頭部2eを下げた状態で草食動物侵入抑止柵10に最も接近すると、図4に示す草食動物2の鼻2cが下方横架部13a´と近接する。このとき、下方横架部13a´に対する平面視での眼球2fの位置は上方横架部12a´よりも近くになる。つまり、側面視で上方横架部12a´は、眼球2fの真上もしくは、尻尾側後方に位置する。これにより、草食動物2に対して上方横架部12a´による眼球2f上方からの大きな圧迫感を視覚的に与えることができ、草食動物2の跳躍行動を特に抑止することができる。このとき、Wxの最小値は、平面視で鼻2cから眼球2fまでの距離であり、5cmとなる。これは、草食動物2の対象が、中型草食動物であって、比較的小型であるキュウシュウジカやヤクシカの成獣でさらに小型の個体の場合では、平面視で鼻2cから眼球2fまでの距離が5cm以上だからである。従って、上方横架部12a´が下方横架部13a´より平面視で5cm以上保護地3とは反対側の敷地4側にあることで、草食動物2は、放物線を描いた跳躍が行いにくくなる。このため、草食動物2は跳躍して柵を跳び越えることなく柵の延長方向へ誘導されることとなり、草食動物2が保護地3内へ侵入することを抑止できる。従って、草食動物侵入抑止柵10は、関係式(1)より導かれるLxの長さの範囲内で、下方横架部13a´の上方に上方横架部12a´が設置され、Wxが関係式(2)の範囲内にあることが最適な実施形態となる。
なお、上述してきた上方架設体12と下方架設体13では、各々別の部材として分離されていたが、傾斜面材の一部として互いに連結されている構成であってもよい。これにより上方横架部12a´と下方横架部13a´との間に隙間がなくなり、想定していない別種の小型草食動物であっても上方横架部12a´と下方横架部13a´との間からすり抜けるように跳躍で保護地3に侵入することを完全に防ぐことができる。
忌避部材15は、例えば、平面視で略矩形であり、帯状の部材である。また、忌避部材15は、対象とする草食動物2がその匂いを嫌って近寄らないようにするために用いる忌避物質を含浸させた樹脂材で構成されている。また、図1に示す忌避部材15は、支柱11間に2本ずつ取り付けられている。しかし、これに限定されることなく、忌避部材15は、草食動物2がその匂いを嫌う部材であるとともに下方架設体13と上方架設体12との間に架け渡すことができるものであれば、如何なる形状、大きさ、数及び素材であってもよい。また、忌避部材15は、上方架設体12と下方架設体13の間に架け渡されることで、上方横架部12a´と下方横架部13a´との下方近傍は、忌避部材15から発生する臭気が滞留する。このため、草食動物2が草等を捕食しようとした際に、忌避部材15から発生する臭気で草食動物を刺激して、草食動物侵入抑止柵10への草食動物2の接近を抑止することができる。
上方固定部材14は、一方の端部を上方突設部12bの端部12dに架け渡して固定されるとともに他方の端部をアンカー16の中空部16bに略円形状に挿通させて固定されている。下方横架部13a´に対して上方横架部12a´のほうが上方にあるので、支柱11が敷地4側へ傾きやすいが、上方固定部材14により、支柱11が敷地4側に傾くことを防いで支柱のバランスをとっている。上方固定部材14の材質は、上方横架部材12aと同等であるが、これに限定されることなく、上方突設部12bの端部12dとアンカー16とを連結して固定できるものであれば、如何なる形状、大きさ、素材であってもよい。
草食動物侵入抑止柵10における上方架設体12と下方架設体13の取り付け位置の他の実施例として、図5、図6を参照しながら草食動物侵入抑止柵1について説明する。
図5は、本発明を適用した第1実施形態において、草食動物侵入抑止柵20の上方横架部材22aの上方横架部22a´及び下方横架部材23aの下方横架部23a´を両方ともに敷地4側に設置した実施例を示した縦断側面図である。
図5に示す草食動物侵入抑止柵20の構成が、草食動物侵入抑止柵10の構成と異なる点は、下方横架部23a´を敷地4側に設置した点である。しかし、下方横架部23a´が、上方横架部22a´よりも保護地3側に離間して配置されている点は同じである。また、それ以外の草食動物侵入抑止柵20の構成も草食動物侵入抑止柵10と同じである。そのため草食動物侵入抑止柵10の説明を引用することにより、草食動物侵入抑止柵20の構成の説明は省略する。従って、草食動物侵入抑止柵20の構成は、草食動物侵入抑止柵10の構成と同様のため、上述のとおりその作用効果も草食動物侵入抑止柵10と同様である。
ここで、図5に示すO22区間及びQ22区間は、それぞれ上方横架部22a´と下方横架部23a´との間の支柱鉛直方向の長さと支柱水平方向の長さである。従って、草食動物侵入抑止柵20は、草食動物侵入抑止柵10と同様に、O22区間がLxとして関係式(1)より導かれるLxの長さの範囲内で、下方横架部23a´の上方に上方横架部22a´が設置され、Q22区間がWxとして関係式(2)の範囲内にあることが最適な実施形態となる。
図6は、本発明を適用した第1実施形態において、草食動物侵入抑止柵30の上方横架部材32aの上方横架部32a´及び下方横架部材33aの下方横架部33a´を両方ともに保護地3側に設置した実施例を示した縦断側面図である。
図6に示す草食動物侵入抑止柵30の構成が、草食動物侵入抑止柵10の構成と異なる点は、上方横架部32a´を保護地3側に設置した点である。しかし、下方横架部33a´が、上方横架部32a´よりも保護地3側に離間して配置されている点は同じである。また、それ以外の草食動物侵入抑止柵30の構成も草食動物侵入抑止柵10と同じである。そのため草食動物侵入抑止柵10の説明を引用することにより、草食動物侵入抑止柵30の構成の説明は省略する。従って、草食動物侵入抑止柵30の構成は、草食動物侵入抑止柵10の構成と同様のため、上述のとおりその作用効果も草食動物侵入抑止柵10と同様である。
ここで、図6に示すO33区間及びQ33区間は、それぞれ上方横架部32a´と下方横架部33a´との間の支柱鉛直方向の長さと支柱水平方向の長さである。従って、草食動物侵入抑止柵30は、草食動物侵入抑止柵10と同様に、O33区間がLxとして関係式(1)より導かれるLxの長さの範囲内で、下方横架部13a´の上方に上方横架部12a´が設置され、Q33区間がWxとして関係式(2)の範囲内にあることが最適な実施形態となる。
次に、本発明を適用した草食動物侵入抑止柵10の設置の仕方について図1〜図3及び図7を参照しながら詳細に説明する。
図7は、本発明を適用した草食動物侵入抑止柵の第1実施形態における図1の一部S1を拡大して樹脂ロープの取り付け方を示した図である。なお、図7は、下方架設体13の支柱11への設置箇所の拡大図のみを示しており、上方架設体12の支柱11への設置箇所は図7に示されていないが、その取り付け方は、下方架設体13と同様である。
まず、保護地3と敷地4を隔てるように間隔をあけて支柱11を立設する。次に、支柱11の図示しない貫通孔に下方突設部13bを挿通させて螺着固定する。次に、下方横架部13aの端部13a´´の一方の端部を図2に示す支柱D左側のアンカー16の中空部16bに略円形状に挿通させて固定するとともに、他方の端部を支柱Dに取り付けられた下方突設部13bのコイル孔13eに挿通させる。このとき、図7に示すとおり、端部13a´´の他方の端部を延長した下方横架部13a´を下方突設部13bの端部13cにコイル巻方向に向かって回転させながらコイル孔13eに挿通する。そして、順次互いに隣り合う支柱E、支柱Fに取り付けられた下方突設部13bのコイル孔13eに下方横架部13a´を挿通し、支柱D、E、Fの下方突設部13bを介して下方横架部13a´を架設する。その後、下方横架部13a´を延長した端部13a´´の他方の端部を支柱F右側のアンカー16の中空部16b略円形状に挿通させて固定する。このように、連続する3本の支柱11を一つの単位として繰り返して下方横架部材13aの下方横架部13a´を支柱立設方向に延長していく。
上方横架部材12aの設置の仕方は、下方横架部材13aと同様であるため、下方横架部材13aの説明を引用することにより、上方横架部材12aの設置の仕方の説明は省略する。いずれにしても、下方横架部材13aと同様に、連続する3本の支柱11を一つの単位として繰り返して上方横架部材12aの上方横架部12a´を支柱立設方向に延長していく。
また、上方横架部材12aの上方横架部12a´と下方横架部材13aの下方横架部13a´との間に忌避部材15を所定間隔で取り付けることで、忌避部材15を備える草食動物侵入抑止柵10としてもよい。
上述のように、草食動物侵入抑止柵10は、上方横架部12a´及び下方横架部13a´に樹脂ロープ等を使用したり、上方突設部12b及び下方突設部13bを支柱11に簡易に螺着固定させたり、上方横架部材12a及び下方横架部材13aと地面との固定にアンカー16を使用することにより、従来の動物侵入防止柵と比較して簡易な構造となり労力も少なく経済的である。また、草食動物侵入抑止柵10は、各部材が軽量であるため仮に敷地4が山岳地帯の山合い等で重機が入ることができなくても保護地3での人力による運搬や施工が可能である。更に、草食動物侵入抑止柵10は、簡易な構造であるため従来の動物侵入防止柵と比較して施工時間も短縮することができる。
なお、草食動物侵入抑止柵20は、下方横架部23a´を敷地4側に設置する構成のみが草食動物侵入抑止柵10と異なる。また、草食動物侵入抑止柵30は、上方横架部32a´を保護地3側に設置する構成のみが草食動物侵入抑止柵10と異なる。従って、草食動物侵入抑止柵20、30は設置の仕方の向きが異なるのみであるため、草食動物侵入抑止柵10の説明を引用することにより、その設置の仕方の説明を省略する。
第2実施形態
次に、本発明を実施するための形態として、草食動物侵入抑止柵1について、支柱間に架設される上方架設体に曲げ剛性を有する金属材を利用した草食動物侵入抑止柵40の構成について図8〜11を参照しながら詳細に説明する。
図8は、本発明を適用した草食動物侵入抑止柵における上方架設体に曲げ剛性を有する金属材及びブラケットを、下方架設体に樹脂ロープ及び螺旋ボルトを利用した第2実施形態の斜視図である。図9は、その正面図である。図10(a)は、その平面図であり、図10(b)は、図10(a)のB−B'線縦断側面図である。図11は、本発明を適用した草食動物侵入抑止柵の第2実施形態における図8の一部S2を拡大した斜視図である。
第2実施形態の草食動物侵入抑止柵40において、第1実施形態の草食動物侵入抑止柵10との特に異なる点は、上方横架部として索状体ではなく曲げ剛性を有する金属材を取り付ける構成に変更された点である。そのため、それ以外の構成の説明は省略する。
上方架設体42は、支柱41に固定された上方突設部42bと、上方突設部42bを介して互いに隣り合う支柱41間に架設された上方横架部42aとを備える。もちろん、第1実施形態と同様に、端部に配置される支柱41の間に、複数の支柱41が配置されていてもよい。
図11に示す上方突設部42bは、例えば、鋼製のブラケットを想定している。この上方突設部42bは、敷地4側にウェブ部42cとその両端にフランジ部42d、42eを有しており、平面視で断面コの字形状をしている。このフランジ部42dは、支柱41と図示しないボルト又は溶接等により固定されている。また、フランジ部42eは、図示しない貫通孔があり敷地4側からボルト42fが挿通され、ボルト42fのボルト頭部42f´が敷地4側に突出されている。
上方横架部42aは、図11に示すように、溝を有するチャンネル材であり、鋼材やアルミニウムなどの曲げ剛性を有する金属材を用いる。その断面形状は、フランジ部42eに当接する面の略中央が切り欠かれた切欠面42a´を有している。この切欠面42a´の内面にボルト頭部42f´の保護地3側の面が係合されている。また、上方横架部42aは、支柱41間の距離が長い場合であってもアルミニウム等の素材を使用して軽量化を図ることで人力でも運搬が可能となる。
ここで、図10に示すO44区間及びQ44区間は、それぞれ上方横架部42aと下方横架部43a´との間の支柱鉛直方向の長さと支柱水平方向の長さである。従って、草食動物侵入抑止柵40は、草食動物侵入抑止柵10と同様に、O44区間がLxとして関係式(1)より導かれるLxの長さの範囲内で、下方横架部43a´の上方に上方横架部42aが設置され、Q44区間がWxとして関係式(2)の範囲内にあることが最適な実施形態となる。
この図8〜図11に示す第2実施形態では、草食動物侵入抑止柵40は、図5に示す草食動物侵入抑止柵20と同様に上方横架部42a及び下方横架部43a´を敷地4側に設置してもよく、図6に示す草食動物侵入抑止柵30と同様に上方横架部42a及び下方横架部43a´を保護地3側に設置してもよい。また、草食動物侵入抑止柵40は、上方架設体42にチャンネル材、形鋼とブラケット等の曲げ剛性を有する金属材を利用して、下方架設体43に第1実施形態と同様な樹脂ロープ等を利用した構成を示している。しかし、これに限定されることなく、草食動物侵入抑止柵40は、上方架設体42及び下方架設体43の両方に曲げ剛性を有する金属材を用いた構成でもよく、上方架設体42に第1実施形態と同様な樹脂ロープ等を利用し、下方架設体43に曲げ剛性を有する金属材を利用した構成であってもよい。
次に、本発明を適用した草食動物侵入抑止柵40の設置の仕方について、図8〜図11を参照しながら詳細に説明する。
第2実施形態の草食動物侵入抑止柵40において、第1実施形態の草食動物侵入抑止柵10の取付け方との異なる点は、上方横架部42aを索状体ではなく曲げ剛性を有する金属材とし、ブラケットで取り付ける構成に変更された点である。そのため、それ以外の取り付け方の説明は、草食動物侵入抑止柵10の説明を引用することにより省略する。
支柱41を立設後に、上方突設部42bのフランジ部42dと支柱41とを図示しないボルト又は溶接等により固定する。次に、上方突設部42bのフランジ部42eの図示しない貫通孔に対して敷地4側からボルト42fを挿通しつつ、ボルト42fのボルト頭部42f´の保護地3側の面とフランジ部42dの敷地4側の面との間に隙間を設けてボルト頭部42f´を敷地4側に突出させる。その後、当該隙間に上方横架部42aの中空部を挿通し、ボルト頭部42f´の保護地3側の面に切欠面42a´の内面を係合させながら上方横架部42aを支柱立設方向に向かって順次支柱41間に架設する。
上述のように、草食動物侵入抑止柵40が第1実施形態と異なる点は、上方横架部42aを樹脂ロープ等の素材でなく、曲げ剛性を有する金属材を使用していることである。このように、上方横架部42a又は下方横架部43a´に曲げ剛性を有する金属材を用いることで、より強固な柵とすることができる。草食動物侵入抑止柵40は、上述のように上方横架部42aにアルミニウム等の素材を使用することにより軽量化が図られ、また上方突設部42bも大きな部材ではなく軽量であるため、人力でも運搬が可能である。また、草食動物侵入抑止柵40は、上方横架部42aと上方突設部42bとの取り付け方もボルト42fを介して係合させるだけの簡易な構造であるため、第1実施形態と同様に従来の動物侵入防止柵と比較して労力も少なく経済的であり、施工時間も短縮することができる。
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、前述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたって具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
1、10、20、30、40 草食動物侵入抑止柵
2 草食動物
2a 膝
2b 肩
2c 鼻
2d 首の付け根
2e 頭部
2f 眼球
3 保護地
4 敷地
8 線路
11、21、31、41 支柱
12、22、32、42 上方架設体
12a、22a、32a 上方横架部材
12a´、22a´、32a´、42a 上方横架部
12a´´、12c、12d、13a´´、13c、13d、16a、22a´´、
22c、22d、23a´´、23c、23d、32a´´、32c、32d、
33a´´、33c、33d、43a´´ 端部
12b、22b、32b 上方突設部
12e、13e コイル孔
13、23、33、43 下方架設体
13a、23a、33a、43a 下方横架部材
13a´、23a´、33a´、43a´ 下方横架部
13b、23b、33b 下方突設部
14 上方固定部材
15 忌避部材
16、26、36、46 アンカー
16b、46b 中空部
42a´ 切欠面
42b 上方突設部
42c ウェブ部
42d、42e フランジ部
42f ボルト
42f´ ボルト頭部
1 膝高
2 頭部高
3 肩高
2 鼻から首の付け根までの長さ

Claims (9)

  1. 草食動物の侵入から保護するための保護地と前記保護地以外とを隔てるように間隔をあけて立設された支柱と、
    前記支柱間に架設されて、下方横架部を有する下方架設体と、
    前記下方架設体よりも上方に前記支柱間に架設されて、上方横架部を有する上方架設体とを備え、
    前記下方横架部は、平面視で前記上方横架部から前記保護地側に離間して配置されていること
    を特徴とする草食動物侵入抑止柵。
  2. 前記下方横架部は、前記支柱よりも前記保護地側に突き出して配置され、
    前記上方横架部は、前記支柱よりも前記保護地と反対側に突き出して配置されること
    を特徴とする請求項1記載の草食動物侵入抑止柵。
  3. 前記下方架設体は、前記支柱よりも前記保護地側又は前記保護地と反対側に突き出して設けられるとともに、その間に前記下方横架部が架設された下方突設部を更に有すること
    を特徴とする請求項1記載の草食動物侵入抑止柵。
  4. 前記上方架設体は、前記下方架設体よりも上方で前記支柱よりも前記保護地側又は前記保護地と反対側に突き出して設けられるとともに、その間に前記上方横架部が架設された上方突設部を更に有すること
    を特徴とする請求項1記載の草食動物侵入抑止柵。
  5. 前記下方架設体は、前記支柱よりも前記保護地側又は前記保護地と反対側に突き出して設けられるとともに、その間に前記下方横架部が架設された下方突設部を更に有し、
    前記上方架設体は、前記下方突設部よりも上方で前記支柱よりも前記保護地側又は前記保護地と反対側に突き出して設けられるとともに、その間に前記上方横架部が架設された上方突設部を更に有すること
    を特徴とする請求項1記載の草食動物侵入抑止柵。
  6. 前記下方横架部は、草食動物の膝高h1以上で草食動物の肩高以下の高さに架設され、
    前記上方横架部は、草食動物の膝高h1と草食動物が頭部を上げた際の頭部高h2とにより以下の関係式(1)で導かれるLxの長さの範囲内で当該下方横架部より上方に架設されること
    Lx=h2−h1・・・・(1)
    を特徴とする請求項1〜5のうち何れか1項記載の草食動物侵入抑止柵。
  7. 平面視で前記上方横架部から前記下方横架部までの間隔が、草食動物の鼻から首付け根までの長さd2で表される以下の関係式(2)のWxの範囲内であること
    5cm≦Wx≦d2・・・・(2)
    を特徴とする請求項1〜6のうち何れか1項記載の草食動物侵入抑止柵。
  8. 草食動物が前記保護地側に近づくことを抑止する忌避部材が前記上方架設体と前記下方架設体との間に架け渡されていること
    を特徴とする請求項1〜7のうち何れか1項記載の草食動物侵入抑止柵。
  9. 前記上方架設体と前記下方架設体は、面材の一部として互いに連結されていること
    を特徴とする請求項1〜8のうち何れか1項記載の草食動物侵入抑止柵。
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