JP2014103267A - 圧粉磁芯用粉末の製造方法および圧粉磁芯用粉末 - Google Patents

圧粉磁芯用粉末の製造方法および圧粉磁芯用粉末 Download PDF

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Abstract

【課題】高磁束密度かつ低鉄損の特性を成形後の圧粉磁芯に与えられる圧粉磁芯用粉末の製造方法を提供する。
【解決手段】アトマイズ法によって鉄系軟磁性粉末を得る工程と、該鉄系軟磁性粉末に、950℃以上の水素雰囲気で熱処理を施す還元熱処理工程と、該還元熱処理工程後に粉砕を行う粉砕工程と、該粉砕工程を経た粉末に回転体によるせん断力を与えて解砕を行う解砕工程と、該解砕工程後に500℃以上900℃未満の温度での歪取熱処理を行う歪取熱処理工程と、該歪取熱処理工程後に前記粉末の表面に粉末質量に対して0.05mass%以上0.3mass%未満の絶縁被覆を施す工程とを含み、前記解砕工程は、前記回転体の周速(m/s)と解砕処理時間(s)との積が1000m以上22000m以下となる条件下に行う。
【選択図】なし

Description

本発明は、高い磁束密度を有しかつ低鉄損である圧粉磁芯を製造するための圧粉磁芯用粉末の製造方法および圧粉磁芯用粉末に関するものである。
モーターやトランスなどに用いられる磁芯には、磁束密度が高くかつ鉄損が低いという特性が要求される。従来、このような磁芯には電磁鋼板を積層したものが用いられてきたが、近年、モーター用磁芯材料として圧粉磁芯が注目されている。
この圧粉磁芯の最大の特徴は、三次元的な磁気回路が形成可能な点にある。すなわち、電磁鋼板は、積み重ねによって磁芯を成形することから形状の自由度に限界があるが、圧粉磁芯は絶縁被覆された軟磁性粒子をプレスして成形するため、金型さえあれば形状に制約がなく、電磁鋼板を上回る形状の自由度を得ることが出来る。
また、電磁鋼板の場合は、鋼板表面が絶縁されたものを積層するため、鋼板面方向と面垂直方向とで磁気特性が異なり、面垂直方向の磁気特性に劣ることが、欠点になっている。一方、圧粉磁芯は粒子一つ一つが絶縁被覆に覆われており、あらゆる方向に対して磁気特性が均一であるため、3次元的な磁気回路に用いるのに適している。このような特性面での優位性に加えて、圧粉磁芯とするプレス成形は、鋼板の積み重ね処理に比べて工程が短く歩留まりが高いため、原料粉末が安価であることと相まったコスト面での優位性も活かすことが期待されている。
上述のように、圧粉磁芯は三次元磁気回路を設計する上で不可欠な素材であり、且つコストパフォーマンスに優れることから、近年はモーターの小型化、レアアースフリー化、低コスト化などの観点から、圧粉磁芯を利用した三次元磁気回路を有する、モーターの研究開発が盛んに行われている。
ここで、モーター用の軟磁性材料に最も要求される磁気特性は、高磁束密度並びに低鉄損の2つである。磁束密度を高める為には、粉末の成分が高純度であること、粉末内部の結晶組織が粗大であることが好ましい。これにより粉末が軟化し、高い成形体密度が得られるため磁束密度が向上する。また、鉄損を下げる為には、粉末の成分が高純度であること、粉末内部の結晶組織が粗大であること、金型への粉末の充填率(見掛密度)が高いこと、が好ましい。これにより成形時に蓄積される歪の量が減少し、鉄損が低減する。なお、成分の高純度化は、組織を清浄化して磁化を容易にすることで鉄損を低減する効果もある。
上述のような要求に応えるために、例えば特許文献1では、NbおよびTiを添加したアトマイズ鉄粉を800℃〜900℃の還元性雰囲気中で熱処理し、次いで粉末の凝集分離を目的として、極力歪が加わらないように機械的な粉砕を行い、歪導入の懸念がある場合は歪取熱処理を実施し、絶縁被覆を施して圧粉磁芯用粉末とする技術が開示されている。この技術は、NbおよびTiの添加によって磁気特性に有害な固溶元素を凝集析出させ無害化するという成分の高純度化に相当する技術と、粉砕後の熱処理による鉄粉の歪取技術を組み合わせたものであるが、金型への充填率を高める、すなわち見掛密度を向上させる試みがなされていないことから、優れた磁気特性を得る為には改善の余地があった。なお、「粉末の凝集分離を目的とした機械的な粉砕」が行われているが、このような粉砕はハンマーミル等の衝撃式の粉砕機を用いて行うのが一般的である。しかし、粉砕により見掛密度を上げるためには粉末に対して積極的に一定のせん断歪を導入する必要があり、上記の極力歪が加わらない機械的粉砕では鉄損の低い圧粉磁芯を得ることは難しかった。
また、特許文献2および特許文献3では、水アトマイズ鉄粉に対して回転式の解砕機による解砕を行うことで見掛密度を向上させる技術が開示されている。しかしながら、特許文献2及び特許文献3に記載の技術は、粉末に非常に大きな歪が導入される条件で行われているため、歪取焼鈍後の粉末内部の結晶組織が微細化する結果、鉄損が増加する不利がある。
特開2011−202213 特開昭64−21001 特開平4−48001
上述のように、従来技術では成形後に高磁束密度かつ低鉄損を確実にそなえる軟磁性鉄粉を得ることは難しいものであった。
本発明の目的は、高磁束密度かつ低鉄損の特性を成形後の圧粉磁芯に与えられる圧粉磁芯用粉末およびその製造方法を提供することにある。
発明者らは、上記3つの先行技術を踏まえ、見掛密度と純度が高く圧縮性に優れ、かつ優れた磁気特性(高磁束密度、低鉄損)を成形品に与えることが出来る鉄系軟磁性粉末の製造方法について検討を重ねてきた。その結果、高温での水素還元で成分を高純度化し、続く粉砕および解砕工程にて、高温水素還元で凝集した粉末の見掛密度を回復、さらには高めて、この解砕工程後に900℃未満で歪取焼鈍を行うことで粉末の凝集を防ぎつつ粉末内に導入された歪を開放し、最後に粉末に対して絶縁被覆を施すことによって、成形後に低鉄損かつ高磁束密度の特性を与えることが可能な鉄系軟磁性粉末を得ることに成功した。
すなわち、本発明の要旨は、以下の通りである。
1.圧粉磁芯用鉄系軟磁性粉末の製造方法であって、
アトマイズ法によって鉄系軟磁性粉末を得る工程と、
該鉄系軟磁性粉末に、950℃以上の水素雰囲気で熱処理を施す還元熱処理工程と、
該還元熱処理工程後に粉砕を行う粉砕工程と、
該粉砕工程を経た粉末に回転体によるせん断力を与えて解砕を行う解砕工程と、
該解砕工程後に500℃以上900℃未満の温度での歪取熱処理を行う歪取熱処理工程と、
該歪取熱処理工程後に前記粉末の表面に粉末質量に対して0.05mass%以上0.3mass%未満の絶縁被覆を施す工程と
を含み、
前記解砕工程は、前記回転体の周速(m/s)と解砕処理時間(s)との積が1000m以上22000m以下となる条件下に行うことを特徴とする圧粉磁芯用粉末の製造方法。
2.前記1に記載の製造方法によって得られる圧粉磁芯用粉末。
3.C量0.003mass%以下およびO量0.1mass%以下であることを特徴とする前記2に記載の圧粉磁芯用粉末。
4.見掛密度4.0g/cm以上であることを特徴とする前記2または3に記載の圧粉磁芯用粉末。
本発明によれば、成形した圧粉磁芯を高磁束密度かつ低鉄損とする、圧粉磁芯用粉末を提供することが出来る。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の圧粉磁芯用粉末の原料となる、鉄系軟磁性粉末は、アトマイズ法によって得られるものを用いる。ここで、アトマイズ法に限定した理由は、酸化物還元法や電解析出法によって得られる粉末は、見掛密度が低い為、解砕を行ったとしても十分な見掛密度の向上効果が得られないためである。アトマイズ法であれば、ガス、水、ガス+水、遠心など種類は問わない。しかし、実用面を考えると一度に大量の粉末を製造でき、かつコスト面で最も優れる水アトマイズ法を用いるのが好ましい。
軟磁性粉末の組成は、鉄を主成分とするものであれば良い。その様な軟磁性粉末としては、純鉄、Fe-Si、Fe-Cr、Fe-Co、Fe-Al、Fe-Ni、Fe-Si-AlおよびFe-Ni-Co等がある。特に、原料価格が安くかつ水アトマイズ法での製造が容易な、純鉄粉末を用いることが好ましい。純鉄粉を用いる場合、不可避的不純物として、C≦1.0mass%、O≦1.0mass%、Al≦0.01mass%、Si≦0.03mass%、Mn≦0.1mass%およびCr≦0.05mass%の混入が許容される。
また、後述の仕上熱処理中に粉末内の結晶組織を十分粗大化させるために、粉末の平均粒子径が100μm以上の粉末を用いることが好ましい。ここで、平均粒子径は、重量累積分布のメジアン径D50とする。メジアン径D50は、JIS Z8801−1に規定される篩を用いて粒度分布を測定することによって決定できる。すなわち、平均粒子径が100μm未満では、粉末内の結晶組織の粗大化が不十分となり、圧粉磁芯成形後のヒステリシス損が増加する。従って、平均粒子径が100μm以上の粉末を用いることが好ましい。
さらに、粉末の見掛密度は高い方が好ましく、3.5g/cm以上のものを用いるのが良い。ここで、見掛密度とは、粉末の充填率の程度を示す指標であり、JIS Z2504に規定される試験方法によって測定することができる。すなわち、見掛密度が3.5g/cm未満になると、解砕後に見掛密度4.0g/cm3以上の粉末を得ることが困難となる。なお、解砕後の見掛密度を4.0g/cm3以上とする必要があるのは、後述のとおりである。
得られた鉄系軟磁性粉末は、必要に応じて粒度分布調整を行う。具体的には、45μm以下の微粉末を除去する。これにより、後工程で平均結晶粒径50μm以上とするのが容易になる。
なお、粒度分布調整の方法としては、JIS Z8801−1に規定される篩を用いた篩い分けがある。
次に、水素雰囲気での還元熱処理を行う。この還元熱処理の目的は、粉末におけるC量の低減、O量の低減および結晶粒の粗大化である。
すなわち、Cは、粉末の硬度や保磁力を増加させ成形時の圧縮性の低下と圧粉磁芯の鉄損の増加を招くため、0.003mass%以下、さらには0.002mass%以下とするのが好ましい。Oは、粉末表面に酸化物の状態で存在し、この酸化物が圧粉磁芯の鉄損の増加を招く。従って、0.1mass%以下、さらには0.08mass%以下とするのが好ましい。
また、粉末内の結晶組織が微細であると、C量が多いときと同様に粉末の圧縮性の低下と圧粉磁芯の鉄損の増加を招く。従って、粉末内の結晶組織は粗大である方が良く、平均結晶粒径が50μm以上とすることが好ましい。なお、平均結晶粒径の上限は特に設ける必要はないが、その上限は粉末の粒径によって自ずと制限される。
ここで、本発明における平均結晶粒径は、以下の方法によって求めることができる。
まず、被測定物である鉄粉末を、熱可塑性樹脂粉に混合し混合粉としたのち、該混合粉を適当な型に装入後、加熱し樹脂を溶融させたのち冷却固化させ、鉄粉含有樹脂固形物とする。ついで、該鉄粉含有樹脂固形物を適当な断面で切断し、該切断した面を研磨し腐蝕したのち、光学顕微鏡または走査型電子顕微鏡(100倍)を用いて鉄粉粒子の断面組織を観察及び/又は撮像する。撮像した視野内の任意の粒に対して、粒を横切るように線を5本引く。このとき、線はそれぞれ非平行となるようにし、かつ粒子の中心近傍を横切るように引く。粒子内に含まれる線の全長を、それぞれの線が横切った粒の個数で割ることにより結晶粒径とする。上記の様な結晶粒測定を、1視野当り10個以上の粉末、4視野以上で行うことで少なくとも40個の粉末の結晶粒を測定する。
上記したC量およびO量、平均結晶粒径に従う粉末を得る為には、上記還元熱処理を950℃以上で行う必要がある。なぜなら、950℃未満ではC量およびO量の低減と、結晶粒径の粗大化が不十分となるためである。一方、上限は、粉末の過度の凝集を防ぐため、1100℃以下とすることが好ましい。
さらに、処理時間は、60〜120minとすることが好ましい。すなわち、処理時間が60min未満では、C量およびO量の低減と、結晶粒径の粗大化が不十分となるためであり、一方、処理時間が120minを超えると、粉末の凝集が進行して、後工程の粉砕、解砕の負荷が増加するためである。
なお、還元熱処理における還元雰囲気としては例えば水素雰囲気が好ましい。この水素雰囲気は、前半を露点60℃以下の湿水素、後半を乾水素とし、前半の湿水素雰囲気での熱処理は、総熱処理時間の半分以下であることが好ましい。なぜなら、湿水素雰囲気は脱炭のために必要であるが、過度に湿水素雰囲気を導入するとO量が増加するためである。また、湿水素雰囲気を前半としたのは、前半で脱炭を行うことで、Cによる熱処理中の結晶粒成長抑制の影響を小さくするためである。
前記の還元熱処理を施された鉄粉は強く結合している。従って、粉末の凝集を解くために、粉砕および解砕を行う必要がある。まず、粉砕は、続く解砕における装置への負荷を低減することが目的であり、粉末の凝集がある程度解くことができれば、どのような条件および手法で行っても構わないが、少なくとも粉砕後に500μm以下となる粒子が質量比で全体の80%以上となるような条件に従って行うことが好ましい。この粉砕を行う装置としては、ハンマーミルやジョークラッシャー等がある。また、粉砕後に粒径500μm以上となる粒子が存在する場合はそれを除去することが好ましい。なお、粒径500μm以上の粒子を除去する方法としては、JIS Z8801−1に規定される篩を用いた篩い分けがある。
この粉砕を行った後に解砕を行うことが肝要である。解砕は、粉末の見掛密度を向上させることが主目的であり、解砕によって少なくとも4.0g/cm3以上の見掛密度を得ることが好ましい。なぜなら、4.0g/cm3を下回ると成形時に粉末に多量の歪が導入されるため、鉄損が増加してしまうからである。
そのためには、粉砕にて用いた装置のような、衝撃式の粉砕装置を用いるのではなく、粉末一つ一つに強いせん断力を与えることが可能な装置を用いる必要が有る。このような解砕を行う装置としては、ヘンシェルミキサー、パルペライザー、インペラーミル、ハイスピードミキサーなどの、回転体(羽やローター)によって粉末に強いせん断力を与える装置が好適である。
しかし、過度にせん断力を与えると、粉末に大量の歪が導入され、後工程の歪取り焼鈍で再結晶が起こり、結晶粒が微細化する不利をまねく。そこで、解砕工程は、上記回転体の周速と処理時間との積算(周速(m/s)×処理時間(s))が1000m以上22000m以下となる条件で実施することが好ましい。すなわち、上記積算量が1000m未満では、上記した4.0g/cm3以上の見掛密度を得ることが困難であり、一方22000mを超えると、粉末に多量の歪が導入され、鉄損が増加するからである。ここで、回転体の周速とは、回転体最外周縁での周速のことを指す。なお、回転体の数は特に限定する必要はなく、例えば回転羽の枚数は任意でよい。
次に、解砕の後に粉末内に導入された歪を開放するために歪取熱処理を行う。歪を開放することで成形後の鉄損が低減し、圧縮性が改善する。歪取熱処理は、粉末が凝集しない温度と時間で実施することが好ましく、900℃未満で90分以下とするのが良い。また、温度が低すぎては歪が開放されないため、500℃以上で実施する。同様に、処理時間が短いと、歪が開放されないため、10分以上で実施することが好ましい。
歪取熱処理後は、粉末に対して絶縁被覆を施す。絶縁被覆は圧粉磁芯成形後の鉄損の増加を防止するために行う。絶縁被覆は、圧粉磁芯成形後も絶縁性を保てるものなら何でも良く、その様な絶縁被覆としては、シリコーン樹脂、リン酸金属塩やホウ酸金属塩をベースとしたガラス質の絶縁性アモルファス層や、MgO、フォルステライト、タルクおよびAl2O3などの金属酸化物、或いはSiO2をベースとした結晶質の絶縁層などがある。
なお、絶縁被覆の被覆量は、粉末全体で、0.05〜0.3mass%の範囲とすることが好ましい。被覆量が0.05mass%未満では被覆が不均一となり、絶縁性の低下を招くからであり、一方0.3mass%を超えて多くなると、圧粉磁芯中の圧粉磁芯用粉末の占める割合が少なくなり、成形体の密度が著しく低下するからである。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に述べる。
(還元熱処理工程)
試料として、篩い分けによる粒度分布が45〜250μm、平均粒径D50が120μm、見掛密度が3.8g/cmである、水アトマイズ鉄粉を用いた。ここで、篩い分けとD50を決定する為の粒度分布測定には、JIS Z8801−1に規定される篩を用いた。また、見掛密度は、JIS Z2504に規定される試験方法によって決定した。熱処理前の粉末のC量およびO量は、C:0.163mass%およびO:0.298mass%であった。得られた粉末に対して、5つの条件で熱処理を施した結果を表1に示す。なお、熱処理は全て水素雰囲気で、昇温から保持時間10分までを露点60℃の湿水素、そして残りの時間を乾水素で行った。また、CおよびO以外の不可避不純物については、全ての試料で上述した規定量以下となっていた。
Figure 2014103267
表1より、本発明の条件を満たしている記号3、4および5では、C量、O量および結晶粒が良好な磁気特性を得るのに適した値となっていた。また、熱処理温度を上げる、もしくは熱処理時間を長くすることによって、CおよびO量が更に下がり、且つ結晶粒径が更に粗大になり、優れた鉄損を得るのに好ましい粉末となっていた。
次いで、上記の還元熱処理を行った粉末に対して、ハンマーミルによる粉砕を行った。粉砕後の平均粒径D50は107μmであった。一部の粉末(枝番C以外)に対してハイスピードミキサー(深江パウテック株式会社製、LFS-GS-2J型)による解砕を、回転羽の周速:10m/sおよび処理時間:30min、すなわち周速×処理時間=18000mで実施した。この解砕により見掛密度は4.1g/cmとなった。更に解砕を行った試料の一部に歪取熱処理を行った。歪取熱処理の条件は、表2に示すとおりである。
Figure 2014103267
表2において、枝番C以外の試料は、歪取熱処理後に手で容易に解砕することが出来たが、枝番Cについては歪取熱処理による粉末の凝集が強く、解砕によって多量の歪が加わってしまうため、後工程の樹脂被覆、成形、磁気測定を行わなかった。枝番Cを除く全ての試料はシリコーン樹脂による絶縁被覆(絶縁被覆量:0.25mass%)を施した。ここで、シリコーン樹脂はトルエンに溶解させて、樹脂分が1.0mass%となるような樹脂希釈溶液を作製し、その後粉末に対する樹脂添加率が0.25mass%となるように粉末と樹脂希釈溶液を混合し、大気中で乾燥させた。乾燥後に大気中で200℃×120minの樹脂焼付け処理を行うことにより被覆鉄基軟磁性粉末を得た。これらの粉末を成形圧1470MPa(15000kgf/cm)、金型潤滑で成形し、外径:38mm、内径:25mmおよび高さ:6mmのリング状試験片を作製した。
作製した試験片は窒素中で700℃×45minの熱処理を行った。その後、巻き線を行い(1次巻100ターン、二次巻100ターン)、磁束密度(10000A/m、メトロン技研製直流磁化測定装置にて測定)と鉄損(1.0T、 400Hz、メトロン技研製高周波鉄損測定装置にて測定)を測定した。その測定結果を表3に示す。
Figure 2014103267
以上の実施例1では、合格基準を、磁束密度が上述の特許文献1に記載の実施例と同等レベル(≧1.50T)に、鉄損が上述の特許文献1を下回る(≦40.0W/kg)こととした。表3より、発明例である3−D、3−E、3−F、3−G、4−D、4−E、4−F、4−G、5−D、5−E、5−F及び5−Gはいずれも、磁気特性が合格基準を満たしている。一方、他の条件(比較例)は一部で鉄損が合格基準を満たしているものがあるが、全て磁束密度が合格基準に未達であった。
(絶縁被覆)
実施例1の試料5−Dについて、絶縁被覆量を種々に変更した試料を作製した。成形条件、成形後の熱処理条件、磁気測定条件は、実施例1と同じである。その結果を、表4に示す。
Figure 2014103267
表4より、絶縁被覆量が0.05〜0.3mass%の範囲に含まれる5−D−3〜5−D−6は磁束密度が1.50Tを上回り、かつ鉄損が40.0W/kgを下回っていた。中でも、絶縁被覆量が0.05mass%および0.10mass%である5−D−3および5−D−4は磁束密度が1.6Tを上回っており、極めて優れた磁気特性を有している。一方、絶縁被覆を施さない5−D−1、および絶縁被覆量が0.03mass%である5−D−2は鉄損が高すぎて測定出来ず、絶縁被覆量が0.35mass%であった5−D−7および、0.50mass%であった5−D−8は磁束密度が1.50Tを下回っていた。
実施例1の表1の記号5の粉末について、ハンマーミルでの粉砕を行ったのち、ハイスピードミキサー(深江パウテック社製 LFS-GS-2J型)による解砕の条件を種々に変更して粉末を作製した。解砕条件と解砕後の見掛密度は表5に示す通りである。
Figure 2014103267
これらの粉末に対して、800℃×60分の歪取熱処理を実施した。歪取熱処理後、シリコーン樹脂による絶縁被覆(絶縁被覆量:0.25mass%)を施した。ここで、シリコーン樹脂はトルエンに溶解させて、樹脂分が1.0mass%となるような樹脂希釈溶液を作製し、その後粉末に対する樹脂添加率が0.25mass%となるように粉末と樹脂希釈溶液を混合し、大気中で乾燥させた。乾燥後に大気中で200℃×120minの樹脂焼付け処理を行うことにより被覆鉄基軟磁性粉末を得た。これらの粉末を成形圧1470MPa(15000kgf/cm)、金型潤滑で成形し、外径:38mm、内径:25mmおよび高さ:6mmのリング状試験片を作製した。
作製した試験片は窒素中で700℃×45minの熱処理を行った。その後、巻き線を行い(1次巻100ターン、二次巻100ターン)、磁束密度(10000A/m、メトロン技研製直流磁化測定装置にて測定)と鉄損(1.0T、400Hz、メトロン技研製高周波鉄損測定装置にて測定)を測定した。その測定結果を表6に示す。
Figure 2014103267
本実施例でも、実施例1および2と同様の合格基準を用いた。また、磁束密度については5−1以外の試料は全て合格基準に達していた。表5および6より、本発明の条件である周速×処理時間が22000m以下を満たしているものは、鉄損が40.0W/kg以下となって、合格基準を満たしていた。一方、周速×処理時間が発明範囲から外れる22000m超の試料は、見掛密度は高いものの鉄損が上昇した。特に、記号5−13と5−15は他の例に比べて30〜50%程度大きくなっている。

Claims (4)

  1. 圧粉磁芯用鉄系軟磁性粉末の製造方法であって、
    アトマイズ法によって鉄系軟磁性粉末を得る工程と、
    該鉄系軟磁性粉末に、950℃以上の水素雰囲気で熱処理を施す還元熱処理工程と、
    該還元熱処理工程後に粉砕を行う粉砕工程と、
    該粉砕工程を経た粉末に回転体によるせん断力を与えて解砕を行う解砕工程と、
    該解砕工程後に500℃以上900℃未満の温度での歪取熱処理を行う歪取熱処理工程と、
    該歪取熱処理工程後に前記粉末の表面に粉末質量に対して0.05mass%以上0.3mass%未満の絶縁被覆を施す工程と
    を含み、
    前記解砕工程は、前記回転体の周速(m/s)と解砕処理時間(s)との積が1000m以上22000m以下となる条件下に行うことを特徴とする圧粉磁芯用粉末の製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法によって得られる圧粉磁芯用粉末。
  3. C量0.003mass%以下およびO量0.1mass%以下であることを特徴とする請求項2に記載の圧粉磁芯用粉末。
  4. 見掛密度4.0g/cm以上であることを特徴とする請求項2または3に記載の圧粉磁芯用粉末。

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