JP2014100348A - 移動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 途中まで外力を作用させることで一方向の移動を終端まで継続させることができ、他方向の移動にはばねエネルギーを利用するようにする。
【解決手段】 移動部材が、一方向の所定の位置まで外力によって移動する間に、ばねエネルギーを蓄積し、その後は蓄積したばねエネルギーの解放を制限して、スプリング力もしくは重力あるいはそれらの複合力に基づく移動力で一方向の移動を継続し、一方向の終端位置から他方向の終端位置までは、上記蓄積したばねエネルギーによって移動するようにする。
【選択図】 図1

Description

この発明は、便座などの回転を制御したり、直線方向に移動する引き出しを制御したりするための移動制御装置に関する。
できるだけ人の力を使わないで洋式便器の便座を開閉しようとしたときに、電動モータを用いることが、例えば特許文献1などで、従来から知られている。
上記特許文献1に開示された制御装置は、電動モータの出力を、減速機を介して便座に伝達する構成にしている。
また、直線方向に移動する引き出しなどを制御するものとして、例えば、特許文献2に示された装置が従来から知られている。
この従来の装置は、引き出しにそれを常時開く方向のばね力を作用させておき、引き出しを閉じたときには、ロック機構が作用して閉じた状態を保つことができる。また、引き出しを開くときには、手動でロック機構を外して、ばね力によって自動的に引き出しを全開状態にするようにしている。
特開2009−165838号公報 特開平8−117044号公報(図11及び図12)
電動モータを用いて便座を開閉する上記従来の装置では、電動モータの外に減速機を必要とするもので、構成が複雑になるとともにコストがかさむという問題があった。
また、電動モータの電源を確保しなければならないが、例えば公衆トイレの場合には、便器の周辺に電源設備がなかったり、電源設備があったとしても便器の周辺の清掃などに水を使用するので、それが故障や感電の原因になったり、停電の場合に使用不能となってしまったりするという問題があった。
そこで、できるだけ人の力を利用しないで、便座を開閉しようとすると、当該便座を開くときにばね力を作用させ、便座を閉じるときだけ、人の力を使うにようにすることが考えられる。
また、大便用及び小便用を兼ねた男性用のトイレの便座の場合には、便座を降ろした状態にしていると、男性が小用の際に便座を上げずに用を足し、便座面が汚れてしまうということがある。
そのため、男性が使用する洋式便座の場合には、通常は開いた状態を維持して小便用とし、大便用として使用するときにのみ閉じた状態とすることが、衛生面上好ましい使い方といえる。
特に、不特定多数の人間が使用する公衆トイレなどにおいては、開いた状態を維持することが衛生面上望まれる。
このような衛生上の目的を達成し、しかも電源の確保が難しい公衆トイレなどにも適用できる構成として当然に考えられる構成は、便座にそれを常時開く方向のばね力を作用させておき、大便用として使用するときに、上記ばね力に抗して便座を回転して閉じた状態にするものである。
このようにしておけば、通常は使用頻度が高い小便用として便座が開いた状態を保つとともに、大便用として使用するときに、上記ばね力に抗して便座を閉じて着座できる。そして、人が便座から離れたとき、当該便座を自動的に開いた状態に復帰させることがでる。
便座が自動的に開いた状態に復帰するので、使用者にわずらわしさを感じさせない上記衛生面上の目的も達成することができる。
しかし、上記した構成では、ばね力によって便座が開く方向の力が作用しているので、例えば、便座を閉じるときに、押さえている手を瞬間でも放してしまうと、便座はばね力によって元の位置に戻ってしまう。そのために当該便座を下げ切るまでの間、それを押さえ続けていなければならない。
従って、上記便座などの回転を制御する上記の装置では、荷物などを抱えているようなときに、使用者に大きな不便を感じさせるという問題があった。
また、上記従来の引き出しの場合には、ばね力に抗して引き出しをしめなければならないが、途中で手を放すと引き出しが開いてしまう。そのため、引き出しを閉めるためには、ばね力に勝る力を最後まで作用し続けなければならない。便座の場合と同様に、手がふさがっているようなときには、使用者に大きな不便を感じさせるという問題があった。
この発明の目的は、電力を用いない機械的構造であって、上記ばね力に抗して移動部材を移動させる力を最後までかけ続けずに途中で手を離したとしても、移動部材が元の位置に復帰することなく移動を続け、しかも、その移動過程でばねエネルギーを蓄積でき、この蓄積したばねエネルギーで移動部材を元の位置まで復帰させることができる移動制御装置を提供することである。
第1の発明は、スプリング力もしくは重力あるいはこれらの複合力に基づく一方向の移動力が作用する移動部材と、上記移動部材をスプリング力もしくは重力あるいはこれらの複合力に抗して上記一方向とは反対の他方向に移動させる移動力を付与するばね部材とを備え、上記移動部材が、上記他方向における移動終端から所定の移動位置まで外力の作用を受けることで上記一方向に移動したとき、その移動過程で上記ばね部材にばねエネルギーを蓄積する一方、上記移動部材の上記所定の移動位置から、上記ばね部材に蓄積されたばねエネルギーの開放を制限して、上記移動部材を上記スプリング力もしくは重力あるいはこれらの複合力の作用のみで上記一方向に移動可能にし、上記移動部材が、ばね部材に蓄積されたばねエネルギーで、上記他方向に移動して上記他方向の移動終端に達する構成にしたことを特徴とする。
なお、上記移動部材の移動には、軸を中心にした回転運動のほか、直線、曲線運動などが含まれる。
また、重力の作用に基づく移動力とは、重力が基になっているということであって、重力と、方向や大きさが等しいということではない。
第2の発明は、上記移動部材が、上記他方向における移動終端から所定の移動位置まで外力の作用を受けることで上記一方向に移動したとき、その移動過程で上記ばね部材にばねエネルギーを蓄積するばねエネルギー蓄積手段と、上記移動部材の上記所定の移動位置から、上記ばね部材に蓄積されたばねエネルギーの開放を制限して、上記移動部材を上記スプリング力もしくは重力あるいはこれらの複合力の作用のみで上記一方向に移動可能にするばねエネルギー解放制限手段とを備えたことを特徴とする。
第3の発明は、回転軸を中心に回転し、スプリング力もしくは重力あるいはこれらの複合力に基づく一方向の回転力が作用する回転部材と、上記回転部材をスプリング力もしくは重力あるいはこれらの複合力に抗して上記一方向とは反対の他方向に回転させる回転力を付与するばね部材と、上記他方向における上記回転部材の回転終端から所定の回転角度まで外力の作用を受けることで回転したとき、その回転過程で上記ばね部材にエネルギーを蓄積するばねエネルギー蓄積手段と、上記回転部材の上記所定の回転角度から、上記ばね部材に蓄積されたばねエネルギーの開放を制限して、上記回転部材を上記スプリング力もしくは重力あるいはこれらの複合力の作用のみで上記一方向に回転可能にするばねエネルギー解放制限手段とを備え、上記回転部材が、ばね部材に蓄積されたばねエネルギーで、上記他方向に回転して上記他方向の回転終端に達する構成にしたことを特徴とする。
第4の発明は、スプリング力もしくは重力あるいはこれらの複合力に基づく一方向の移動力が作用し、直線方向に移動する移動部材と、上記移動部材をスプリング力もしくは重力あるいはこれらの複合力に抗して上記一方向とは反対の他方向に移動させる移動力を付与するばね部材と、上記他方向における上記移動部材の移動終端から所定の移動位置まで外力の作用を受けることで移動したとき、その移動過程で上記ばね部材にエネルギーを蓄積するばねエネルギー蓄積手段と、上記回転部材の上記所定の移動位置から、上記ばね部材に蓄積されたばねエネルギーの開放を制限して、上記移動部材を上記スプリング力もしくは重力あるいはこれらの複合力の作用のみで上記一方向に移動可能にするばねエネルギー解放制限手段とを備え、上記移動部材が、ばね部材に蓄積されたばねエネルギーで、上記他方向に移動して上記他方向の移動終端に達する構成にしたことを特徴とする。
第5の発明は、上記回転部材と、この回転部材を回転可能に支持する固定部材と、上記固定部材に対して回転を規制され軸方向移動のみを可能にしたスライダーと、上記回転部材の一方向の回転運動を軸方向移動に変換して上記スライダーに伝達する第1伝達機構と、上記スライダーの軸方向移動を、回転部材の他方向の回転運動に変換して上記回転部材に伝達する第2伝達機構とを備え、上記スライダーと上記固定部材との間に上記ばね部材を介在させ、上記回転部材が上記他方向における回転終端から回転して所定の角度位置に至る過程で、上記第1伝達機構によって上記スライダーを軸方向に移動し、上記ばね部材を圧縮させるばねエネルギー蓄積手段を構成するとともに、上記回転部材が上記一方向に回転して上記所定の回転角度を越えてから一方向の回転終端もしくはその近傍に至る過程で、上記ばねエネルギー解放制限手段は、上記ばね部材に蓄積されたばねエネルギーの解放を制限して、上記スプリング力あるいは重力の作用のみに基づいて上記回転部材に作用する一方向の回転力を、上記ばねエネルギーに基づいて上記回転部材に作用する他方向の回転力より大きくする構成にしたことを特徴とする。
第6の発明は、上記固定部材に対する軸方向への移動のみを許容し、上記回転部材と相対回転可能にした運動伝達部材を備え、上記運動伝達部材と上記回転部材のいずれか一方に環状のカム溝を設けるとともに、いずれか他方には上記カム溝に沿って移動可能な凸部を設け、上記カム溝は、上記回転部材の一方向の回転時に上記凸部を案内する一方向回転案内部と、この一方向回転案内部と連続するとともに上記回転部材の他方向の回転時に上記凸部を回転終端まで案内する他方向回転案内部とからなり、上記一方向回転案内部と上記凸部とが相まってスライダーを軸方向に移動させるための上記第1伝達機構を構成する一方、上記一方向回転案内部は、上記ばねエネルギー蓄積手段を構成するばねエネルギー蓄積行程と、このばねエネルギー蓄積行程に連続するとともに上記ばねエネルギー解放制限手段を構成するばねエネルギー解放制限行程とからなり、上記回転部材が外力の作用を受けることで他方向における回転終端から上記所定の回転角度まで回転する過程では、上記凸部が上記カム溝のエネルギー蓄積行程を移動しながら運動伝達部材が軸方向に移動して上記スライダーを移動させ、このスライダーの移動によって上記ばね部材を圧縮させてばねエネルギーを蓄積するとともに、上記回転部材が上記一方向に回転して上記所定の回転角度を越えてから一方向の回転終端もしくはその近傍に至る過程では、上記凸部が上記カム溝のばねエネルギー解放制限行程を移動して上記ばねエネルギーの解放を制限し、さらに、上記スライダー及び回転部材間に介在するカム構造からなる上記第2伝達機構を備え、上記ばねエネルギーによって上記スライダーが軸方向に移動したとき、上記第2伝達機構によって回転部材を他方向へ回転させ、この回転部材の他方向の回転によって上記運動伝達部材が軸方向に移動する構成にしたことを特徴とする。
第7の発明は、第6の発明を前提とし、上記カム溝の他方向回転案内部が、上記ばねエネルギーによってスライダーが軸方向に移動するとき、このスライダーと同時もしくはそれに先だって、上記運動伝達部材が移動するように上記凸部を案内する軸方向案内行程と、上記凸部を、上記軸方向案内行程から上記一方向回転案内部へ導く回転方向案内行程とを備えたことを特徴とする。
第8の発明は、第4の発明を前提とし、上記移動部材を移動可能に支持する固定部材と、上記固定部材に対して軸方向移動のみを可能にし、上記移動部材との間に上記ばね部材を介在させたばね受け部材と、上記移動部材の一方向の移動に伴って上記ばね受け部材を他方向に移動させ、上記ばね部材を圧縮する上記ばねエネルギー蓄積手段と、上記移動部材が、一方向に移動する過程で上記所定の位置を越えて一方向の終端位置あるいはその近傍に達するまで、上記ばね受け部材を移動部材に固定して上記ばね受け部材と移動部材との距離を一定に保つばねエネルギー解放制限手段とを備えたことを特徴とする。
第9の発明は、第8の発明を前提とし、上記移動部材の一方向の移動力をばね受け部材の他方向の移動力に変換して伝達する運動伝達機構を備え、この運動伝達機構は、上記移動部材の一方向の移動量を増幅して上記ばね受け部材に伝達することを特徴とする。
第10の発明は、上記ばね部材にエネルギーを蓄積した状態で、上記移動部材あるいは回転部材を、一方向における終端位置もしくはその近傍に保つ保持手段と、上記保持手段の保持力を外力で直接もしくは間接的に開放する解放手段と、を備えたことを特徴とする。
第11の発明は、上記ばね部材のばね力を調整するばね力調整機構を備えたことを特徴とする。
この発明では、移動部材を一方向に移動させるときに、所定の位置まで外力を作用させれば、その後はスプリング力もしくは重力あるいはこれらの複合力に基づく移動力によって一方向の移動を自動的に継続させることができる。
従って、人の力を外力として移動部材に作用させるときには、移動部材の一方向移動の間中、人が移動部材に力を作用し続ける必要がない。言い換えると、たとえ手がふさがっていても、肘などの体の一部を使って、移動部材を少し移動させれば、当該移動部材をそのまま移動させることができる。
また、移動部材を一方向に移動させる過程でばねエネルギーを蓄積し、このばねエネルギーによって、一方向の移動終端に達した移動部材を他方向の移動終端まで自動的に戻すことができるので、他方向の移動には人の力などの外力を必要としない。
第2の発明では、移動部材の移動過程で、ばねエネルギー蓄積手段によってばねエネルギーを蓄積できる。
また、ばねエネルギー解放制限手段によって、移動部材の移動過程で蓄積したばねエネルギーの解放を制限するため、上記蓄積されたばねエネルギーに基づく他方向の移動力が、移動部材の上記一方向の移動力を超えないように制御できる。従って、所定の移動位置からスプリング力もしくは重力あるいはこれらの複合力の作用のみによって自動的に一方向の移動を継続させることができる。
第3、5、6,7,10,11の発明によれば、回転部材が一方向に回転する過程で、所定の角度位置まで外力を作用させれば、ばねエネルギー蓄積手段によってばねエネルギーを蓄積できる。しかも、上記所定の角度位置を越えた時点からは、上記ばねエネルギーの解放が制限されるので、その後はスプリング力もしくは重力あるいはこれらの複合力の作用のみによって自動的に回転を継続させることができる。
従って、回転部材を回転させるために人の力が必要なのは、一方向の回転過程における所定の範囲のみであり、回転部材を回転させるために、いつまでも大きな力を必要としないだけでなく、回転部材を回転終端まで回転させる間中、手がふさがってしまうようなこともなくなる。
さらに、上記のようにして一方向の回転終端に達した回転部材は、蓄積したばねエネルギーによって他方向へ回転させて自動的にもとの位置に戻すことができる。
特に、第7の発明によれば、回転部材の回転によって軸方向に移動する運動伝達部材が、スライダーの軸方向移動と同時もしくはそれに先立って移動するため、運動伝達部材がスライダーの軸方向移動を邪魔することがない。そのため、ばねエネルギーによって他方向に回転する回転部材のスムーズな回転を実現できる。
第4、8,9,10,11の発明によれば、移動部材が一方向に直線移動する過程で、所定の移動位置まで外力を作用させれば、その後は自動的に移動を継続させることができるとともに、一方向の移動終端に達した移動部材は、ばねエネルギーによって自動的に他方向へ移動させることができる。つまり、移動部材を移動させるために人の力が必要なのは、一方向の移動過程における所定の範囲のみである。従って、移動部材を移動させるために、いつまでも大きな力が必要であったり、手がふさがってしまったりという不便を解消できる。
特に、第9の発明によれば、移動部材の移動量が小さくても、ばね受け部材の移動量を大きくして、ばね部材の圧縮量を大きくすることができる。つまり、移動部材の移動量が小さくても、大きなばねエネルギーを蓄積できることになる。従って、ばねエネルギーを蓄積するための所定の移動位置までの距離、すなわち人の力を必要とする距離を短くすることができる。
第10の発明では、ばねエネルギーを蓄積した状態で、一方向の移動終端あるいはその近傍位置を保つための保持手段と、ばねエネルギーを解放する解放手段とを備えているため、ばねエネルギーを解放するタイミングを自由に制御することができる。
第11の発明によれば、ばね部材のばね力を調整できるので、移動部材に作用する他方向の移動力を調整することができる。その為、移動部材の他方向の移動速度を調整することもできる。
図1は第1実施形態の断面図であり、回転軸が他方向の回転終端である回転角度110°の状態を示している。 図2は第1実施形態の回転軸の外観斜視図である。 図3は図2の断面図である。 図4は第1実施形態のスライダーの外観斜視図である。 図5は図4のスライダーの底面を除いた状態を示した斜視図である。 図6は第1実施形態のスライダーの軸方向移動量と回転軸の回転角度との関係を示したグラフである。 図7は第1実施形態の回転軸の回転角度と運動伝達部材の軸方向移動量との関係を示したグラフである。 図8は第1実施形態の断面図であり、回転軸の回転角度が所定の回転角度である70°の状態を示している。 図9は第1実施形態の断面図であり、回転軸が重力の作用に基づく回転力によって一方向に回転して回転終端近傍の回転角度10°に達した状態を示している。 図10は第1実施形態の断面図であり、回転軸が他方向の回転中であってその回転角度90°の状態を示している。 図11は第2実施形態の断面図である。 図12は第3実施形態の断面図である。 図13は第4実施形態の断面図である。 図14は第5実施形態のカム溝形状を説明するグラフである。 図15は第6実施形態の断面図である。 図16は第6実施形態のスライド部材の斜視図である。 図17は第6実施形態のスライド部材の斜視図である。 図18は第6実施形態のばね受け部材の斜視図である。 図19は図15のXIX-XIX線断面図である。 図20は図15のXX-XX線断面図である。 図21は図15のXXI-XXI線断面図である。 図22は第6実施形態のチャック部材の平面図である。 図23は第6実施形態のチャック部材の動作説明図である。 図24は第6実施形態の断面図であり、スライド部材が他方向の移動終端に位置している状態を示している。 図25は第6実施形態の断面図であり、スライド部材が所定の位置に達してばねエネルギーが蓄積された状態を示している。 図26は第6実施形態の断面図であり、チャック部材が解放されてスライド部材が引っ張りスプリングのばね力で一方向の移動終端近傍まで移動した状態を示している。 図27は第6実施形態の断面図であり、スライド部材をさらに一方向へ押して、チャック爪が解放された状態を示している。 図28は第6実施形態の断面図であり、スライド部材が解放されたばねエネルギーによる他方向への移動中の状態を示している。
図1〜図10に示す第1実施形態の移動制御装置は、便座の回転運動を制御するための装置である。
この装置では、全開状態の便座を閉じる方向に手で少し押し下げると、その後は便座に作用する重力によって自動的に閉方向へ移動して、全閉の直前で停止する。その後、便座に腰掛けてから立ち上がれば、今度は自動的にばねエネルギーによって便座が跳ね上がり、全開状態になるというものである。
この第1実施形態は、上記ケーシング1をこの発明の固定部材である図示していない便器に固定し、回転軸4をこの発明の回転部材である図示していない便座に固定して、当該便座の開閉制御に用いるものである。従って、回転軸4と回転部材である便座とは常に一体的に回転する。
そして、上記のように回転軸4に固定された便座の重量は、便座が閉じる方向に回転する過程において、回転軸4に対する回転力として作用する。
なお、上記のように便座を閉じる力が、便座の重量すなわち重力に基づくこの発明の一方向の回転力で、図1に矢印Aで示している。また、この一方向の回転力とは反対方向で便座を開く方向の力が、この発明の他方向の回転力であり、図1に矢印Bで示している。
なお、回転軸4は、一方向の回転力による回転終端を回転角度0°とし、他方向の回転力による回転終端を回転角度110°とし、これら回転角度0°〜110°の範囲で回転軸4すなわち便座が回転できるようにしている。
上記ケーシング1は、ケーシング本体2とこのケーシング本体2の開口を塞ぐキャップ3とで構成されている。そして、このケーシング1に回転軸4を組み込むが、この回転軸4は、ケーシング本体2に対して回転可能に組み込まれた筒部6と、この筒部6と一体に形成された連結部5とで構成されている。 さらに、上記連結部5は、上記キャップ3に形成された軸穴3aから突出させ、上記便座に連結できるようにしている。
また、上記ケーシング1には、ケーシング1に対して回転を規制され軸方向移動を可能した筒状の運動伝達部材7及びスライダー8を組み込むとともに、この発明のばね部材であるコイルばね9を組み込み、上記スライダー8にコイルばね9のばね力を常時作用させている。
なお、上記運動伝達部材7及びスライダー8の移動方向である軸方向とは、回転軸4に設けた連結部5の回転中心の軸線方向のことである。
そして、上記便座を閉じる方向に回転させる力が作用したとき、言い換えると、上記回転軸4を一方向に回転させる力が作用したとき、運動伝達部材7が図1に示した矢印A’の方向に移動する。運動伝達部材7が上記のように移動すると、上記キャップ3とは反対端である運動伝達部材7の先端が、スライダー8に形成したフランジ部8bを押し、運動伝達部材7とともにスライダー8をコイルばね9のばね力に抗して移動させる。従って、コイルばね9の圧縮量は上記運動伝達部材7の上記矢印A’方向の移動量と同じになる。
また、便座を開く方向に回転させる力が作用したとき、言い換えると、上記回転軸4を他方向に回転させる力が作用したときには運動伝達部材7が上記とは反対方向に移動する。運動伝達部材7がこのように移動すれば、スライダー8はコイルばね9のばね力の作用で、図1に示した矢印B’方向に移動する。
上記ケーシング本体2は、内周に円周方向に所定の間隔を保って、軸線に沿った直線状の複数の線状凹部2a(図1参照)を形成するとともに、上記運動伝達部材7は外周に円周方向に所定の間隔を保って、軸線に沿った直線状の複数の線状凸部7a(図1参照)を形成している。そして、これら線状凹部2aに線状凸部7aをはめ込むことによってケーシング1に対する運動伝達部材7の回転を規制しながら、それが軸方向に移動できるようにしている。
また、ケーシング本体2には、その底面中央に、キャップ3に向かって突出する中央筒部2bと、その外側を囲むように配置された大径筒部2cとを設けている。
上記中央筒部2bには、上記コイルばね9の一端を支持するばね受け部材10を取り付け、大径筒部2cには、上記スライダー8を軸方向に移動可能に取り付け、上記大径筒部2cをスライダー8のガイドとして機能させている。
上記のようにした運動伝達部材7の内周には、回転方向に180°位相をずらした位置で対向する一対の半球状の凹部7bが形成され、各凹部7bにこの発明の凸部を構成するボール11をはめ込んでいる。このボール11は上記凹部7b内で回転可能であるが、運動伝達部材7と一体的に移動する。
一方、回転軸4の筒部6の外周には、図2,3,7に示すエンドレスにしたカム溝6aが形成されている。なお、図2には、筒部6の外周面に形成したカム溝6aは一つしか表われていないが、上記筒部6の回転方向に180°位相をずらした位置にも、図示のカム溝6aと同じ形状のカム溝6aが形成されている。
そして、上記カム溝6aと上記運動伝達部材7に形成した凹部7bとの間に上記ボール11をはめ込み、回転軸4の回転に伴って、ボール11がカム溝6a内を移動し、ボール11とともに運動伝達部材7を軸方向に移動させる構成にしている。
なお、図2中の符号6bは、上記運動伝達部材7を筒部6の外周に組み付ける際に、上記ボール11を、筒部6の端部からカム溝6aまで導くための導入溝である。
さらに、回転軸4の上記筒部6の内周面には、図3に示すように、筒部6の中心を通る軸線と交差する方向の斜面6dを備えたカム山6cを形成している。
なお、上記カム山6cも、カム溝6aと同様に、筒部6の中心を通る軸線を基準にして180°回転させた位置に一対のカム山6cが形成されている。
一方、上記筒部6の内側に挿入されるスライダー8は、図1,4,5に示すように筒部8aとフランジ部8bとからなる。なお、図5は、図4から筒部8aの底面を取り除き内部を表わした図である。
このスライダー8の筒部8aの外周には、回転方向に180°位相をずらした位置に一対のカム山8c、8cを形成している。このカム山8cには斜面8dを形成し、この斜面8dの傾斜を、上記筒部6に形成したカム山6cの斜面6dと一致させている。
これらカム山6c及び8cは、両者が相まって、回転軸4の回転をスライダー8の軸方向移動に変換したり、スライダー8の軸方向移動を回転軸4の回転に変換したりするこの発明のカム構造を構成するものである。
さらに、スライダー8の筒部8aの内側には、図1,5に示すように、上記コイルばね9をガイドするためのガイド筒部8eと、内壁に筒部8aの軸線に沿った直線状の複数の線状凸部8fとを形成している。
そして、ケーシング本体2の大径筒部2cの外周には、大径筒部2cの軸線に沿った直線状の線状凹部2dを形成し、この線状凹部2dに上記線状凸部8fをはめることによって、ケーシング1に対するスライダー8の回転を規制しながら、軸方向移動を可能にしている。
上記両カム山6c,8cの関係を図6のグラフに示しているが、この図6では、回転角度0°で軸方向距離0mmの位置に太線でカム山8cを示し、この位置から矢印B’方向へ移動したカム山8cを、回転角度110°で軸方向距離20mmの位置に二点鎖線で示している。
上記回転角度0°で軸方向位置0からカム山8cが上記コイルばね9のバネエネルギーの作用で図6の矢印B’方向に移動すると、上記カム山8cがカム山6cを押す。このときのカム山8cの移動力が、カム山6cを介して筒部6すなわち回転軸4の矢印B方向である他方向の回転力として作用する。
上記のようにしてスライダー8のカム山8cが、図6のグラフに示す軸方向位置0から20mmまで移動すると、回転軸4が矢印B方向に回転し、回転角度0°から110°まで、すなわち便座が完全に閉じた状態から全開状態まで回転する。
なお、上記一対のカム山8c、6cによって、スライダー8の軸方向移動を回転軸4の他方向の回転運動に変換するカム構造が構成され、このカム構造が、この発明における上記回転軸4に回転力を伝達する第2伝達機構を構成している。
一方、回転軸が、上記とは反対の矢印A方向に、回転角度110°から0°まで回転したときには、カム山6cとカム山8cとは互いに力を伝達することなく相対移動し、上記カム山6cが図6に示す軸方向移動距離0の位置に移動する。
また、ケーシング本体2の中央筒部2bには調整ネジ12を貫通させ、この調整ネジ12に上記ばね受け部材10をネジ結合している。このようにした調整ネジ12にはストッパ13を設け、上記ばね受け部材10に作用するコイルばね9のばね力の作用で、上記ストッパ13が中央筒部2bの先端に押し付けられるようにしている。このようにストッパ13が中央筒部2bの先端に押し付けられることによって、調整ネジ12は、上記中央筒部2bに対し軸方向移動が規制され回転のみが許容されることになる。
従って、この調整ネジ12をケーシング1の外部から回転させることによってばね受け部材10を軸方向に移動させ、コイルばね9のばね力を調整することができる。なお、調整ネジ12には、間隔を保って一対のストッパ13、14が取り付けられているが、一方のストッパ13によって調整ネジ12が中央筒部2bから脱落することを防止し、もう一方のストッパ14によって上記調整ネジ12からばね受け部材10が脱落しないようにしている。
さらに、上記キャップ3側における回転軸4の筒部6の外周に形成した段部6eと上記キャップ3との間に戻しばね15が設けられている。そして、上記段部6eの高さは、戻しばね15の線材の直径よりも小さくし、上記運動伝達部材7の端部が上記段部6eよりもキャップ3側に移動したとき、戻しばね15が運動伝達部材7に当たるようにしている。従って、上記運動伝達部材7の端部が上記段部6eよりもキャップ3側に位置しているとき、運動伝達部材7に矢印A’方向のばね力が作用することになる。
このようにした戻しばね15は、図10に示すように、上記運動伝達部材7によって圧縮されたとき、そのばね力によって運動伝達部材7を押して、運動伝達部材7及び上記ボール11を図1に示す初期位置に戻すように機能するものである。
次に、回転軸4に形成されたカム溝6aの機能について、図7を中心に説明するが、この図7は、回転軸の回転角度を縦軸とし、上記ボール11の軸方向移動距離を横軸とした平面上に、上記カム溝6aを展開して示したものである。
このカム溝6aは、例えば、図7の点P1を起点として、点P2→点P3→点P4→点P5→点P6→点P7→点P8→点P9を通り、点P1に戻るエンドレスの形状にしている。そして、このカム溝6a内を、上記したボール11が相対移動するもので、ボール11の動軌跡を一点鎖線で示しているが、ボール11の相対移動位置に応じて便座の回転角度が決まるようにしている。
なお、点P1は便座が全開位置である回転角度110°にある位置を示している。
そして、上記点P1から点P2の間は、回転軸4が110°から100°まで回転するが、ボール11及びボール11と一体的に移動する運動伝達部材7はその軸方向位置が変化しない。この状態では、便座が全開状態から10°だけ閉方向に回転するが、上記運動伝達部材7は軸方向に移動しないので、コイルばね9は圧縮されない。
上記点P2から点P3までの間は、回転軸4が100°から70°まで回転し、ボール11の軸方向位置は20mmから6mmまで変化する。この状態では、便座が100°からさらに30°閉方向に回転し、上記運動伝達部材7が軸方向位置20mmから6mmまで移動する。この間では、運動伝達部材7の軸方向移動量が上記のように大きくなるので、その分コイルばね9の圧縮量が大きくなり、大きなばねエネルギーが蓄積される。
上記点P3から点P4までの間は、回転軸4が70°から40°まで回転し、ボール11の軸方向位置は6mmから5mmまで変化する。この状態では、便座が70°からさらに30°閉方向に回転するが、上記運動伝達部材7の軸方向移動量は1mmというほんのわずかであり、コイルばね9のばねエネルギーの蓄積量は極めて小さい。
上記点P4から点P5までの間は、回転軸4が40°から20°まで回転し、ボール11の軸方向位置は5mmから1.8mmまで変化する。この状態では、便座が40°からさらに20°閉方向に回転し、上記運動伝達部材7の軸方向移動量は3.2mmとなる。従って、この3.2mm分だけコイルばね9のばねエネルギーが蓄積されるが、この間でコイルばね9を圧縮させたのは、便座の閉じ位置近傍におけるダンパ効果を発揮させるためである。
上記点P5から点P6までの間は、回転軸4が20°から17°まで回転し、ボール11の軸方向位置は1.8mmから0mmまで移動する。
この点P5から点P6間では、軸線に対するカム溝6aの勾配を、上記点P3から点P5までの間の勾配と比べて緩やかにしている。そのため、上記コイルばね9に蓄積したばねエネルギーに基づく他方向の回転力が、上記点P3から点P5までの間よりも大きく作用することになる。
この間では、回転軸4が3°回転して上記コイルばね9を3.2mm圧縮することになるが、この時のばねエネルギーが便座の重力に基づく回転力とバランスして、便座を閉じ位置である一方向の回転終端近傍位置に保つように機能する。
上記点P6から点P7までの間は、回転軸4が17°から0°まで回転し、ボール11の軸方向位置は変化しない。この状態では、便座が17°からさらに閉方向に17°回転して回転角度が0°となり全閉状態となるが、上記運動伝達部材7は軸方向に移動せず、コイルばね9は圧縮されない。従って、この間では、点P6までに蓄積されたばねエネルギー量が維持される。
上記点P7から点P9までの過程における点P7は、便座が閉方向から開方向に変化するターニングポイントとなる。
そして、上記便座の全閉状態である点P7から点P8までの間は、回転軸4が回転角度0°から50°まで開き方向に回転し、ボール11の軸方向移動量は25mmとなる。この状態では、回転軸4とともに便座がコイルばね9のばねエネルギーによって0°から50°まで開き方向に回転するとともに、その回転にともなって上記運動伝達部材7は25mm移動する。このとき、運動伝達部材7は、ボール11が起点である点P1に位置しているときよりも矢印B’方向に位置し、図10に示すように運動伝達部材7の軸方向端部が上記スライダー8のフランジ部8bから離れた位置を保つ。
上記点P8から点P9までの間は、回転軸4が50°から95°まで開き方向に回転するが、上記ボール11の軸方向位置は変化しない。この状態では、便座がさらに45°開き方向に回転するが、上記運動伝達部材7の軸方向位置は変化しない。
なお、上記起点P1直前の点P9における軸方向位置を、起点P1の20mmの軸方向位置よりも矢印B’方向に5mmほど差をつけたのは、全開状態から便座を閉方向へ移動させる際に、上記ボール11が上記点P1から点P9へ逆戻りし難くさせるためである。
また、上記点P9から起点である点P1までの間は、回転軸4が95°から110°まで開き方向に回転し、上記ボール11は軸方向位置25mmから20mmに矢印A’方向へ移動する。この状態では、便座が95°からさらに開く方向に15°回転して全開状態となり、上記運動伝達部材7は矢印A’方向に移動し、矢印A’方向先端を上記スライダー8のフランジ部8bに接触させ、図1に示した全開状態に戻る。
上記した起点P1及び点P7は、便座の回転方向が変わるターニングポイントであり、カム溝6aにおける点P1から点P2、点P3、点P4、点P5及び点P6を経由して点P7に至る部分をこの発明の一方向回転案内部とし、点P7から点P8及び点P9を経由して起点P1に至る部分をこの発明の他方向回転案内部としている。
そして、上記一方向回転案内部のうち、点P2から点P3までが回転角度に対する軸方向移動量が最も大きくなる部分であり、カム溝6aのこの部分がこの発明のばねエネルギー蓄積手段を構成している。また、このばねエネルギー蓄積手段に沿って移動する移動行程をばねエネルギー蓄積行程としている。
但し、ばねエネルギー蓄積手段で構成される上記ばねエネルギー蓄積行程では、途中で便座に作用している外力が解放されると、言い換えると人が便座から手を離してしまうと、コイルばね9が伸長してスライダー8を矢印B’方向へ移動させ、回転軸4が他方向へ回転して便座が全開位置に戻ってしまう。なぜなら、ばねエネルギー蓄積行程は、軸線に対するカム溝6aの勾配が緩やかだからである。このようにばねエネルギー蓄積行程の勾配が緩やかなので、スライダー8に上記のように矢印B’方向の力が作用すると、ボール11が緩やかな勾配に沿って上記点P1まで戻ってしまう。
上記ばねエネルギー蓄積行程に連続する点P3から点P7までのカム溝6aの部分がこの発明のばねエネルギー解放制限手段を構成し、このばねエネルギー解放制限手段に沿って移動する移動行程をばねエネルギー解放制限行程としている。
そして、上記ばねエネルギー解放制限手段では、上記ばねエネルギー蓄積行程と比べて、軸線に対する上記カム溝6aの勾配を大きくしている。そのため、運動伝達部材7に矢印B’方向の力が作用したとしてもボール11がカム溝6aの側面に突き当たり、運動伝達部材7の軸方向移動を制限できる。
このように運動伝達部材7の矢印B’方向の移動が規制されれば、フランジ部8bを運動伝達部材7に接触させたスライダー8も軸方向の移動が規制される。従って、コイルばね9の力がスライダー8に作用していても、スライダー8の移動も規制され、圧縮されたコイルばね9は圧縮状態を保ち、蓄積したばねエネルギーの解放が制限されることになる。
但し、この第1実施形態では、上記エネルギー解放制限行程の終端近くである回転角度20°から17°の間では、上記カム溝6aの軸線に対する勾配を小さくして便座の閉方向の回転を阻止するようにしている。言い換えれば、上記カム溝6aの点P5から点P6に対応する回転角度では、外力を作用させなければ便座を閉方向に回転させることができない。このように、点P5から点P6までの間では便座を閉方向に回転させるために外力を必要とする。
一方で、上記点P3から点P5までの間では、重力に基づく閉方向の回転力が開方向の回転力に打ち勝って便座は落下して閉方向へ回転する。
このように、上記点P5を境に、閉方向の回転力と開方向の回転力とが逆転するため、その境界部分である点P5において便座の位置、すなわち回転軸4の回転位置が保持されることになる。上記カム溝6aにおける点P5から点P6の区間が、回転軸4を一方向の回転終端の近傍位置に保持するこの発明の保持手段を構成する。
なお、上記点P4から点P5までの行程の勾配を、点P3から点P4までの行程の勾配に比べて小さくしている。このように、点P4から点P5までの行程における勾配を小さくしたのは、この行程におけるコイルばね9の圧縮量を大きくするためである。このように圧縮量を大きくすることによって、便座の回転モーメントが最も大きくなる全閉位置近傍におけるダンパ効果を十分に発揮させることができる。
このように、ばねエネルギー解放制限行程の勾配をいろいろに設定することによって、回転軸4の回転すなわち便座の落下を緩やかにするダンパ効果を調整することができる。但し、ダンパ効果を発揮させることはこの発明の必須要素ではない。
しかし、いずれの区間でも上記点P1から点P3までのエネルギー蓄積手段と比べてその勾配を大きくしてばねエネルギーの解放を制限している。従って、上記点P3から点P5の過程では、スライダー8が矢印B’方向に移動することはない。
また、上記他方向回転案内部では、上記ばねエネルギー蓄積行程で蓄積されたばねエネルギーが解放される。従って、スライダー8は解放されたばねエネルギーで矢印B’方向に移動し、回転軸4を便座が開く方向に回転させる。
上記他方向回転案内部のうち、点P7から点P8までの行程をこの発明の軸方向案内行程とし、点P8から点P9を経由して起点P1に戻る行程をこの発明の回転方向案内行程としている。
上記軸方向案内行程では、回転軸4の軸線に対する勾配を、上記スライダー8のカム山8cの勾配よりも小さくしている(図6,7参照)。従って、回転軸4の一回転当たりの運動伝達部材7の軸方向の移動量はスライダー8の軸方向の移動量よりも大きくなる。このように、運動伝達部材7の軸方向移動量を大きくしたのは、運動伝達部材7の軸方向の移動が遅れて、スライダー8の軸方向の移動に支障をきたさないようにするためである。
また、上記軸方向案内行程に連続する回転方向案内行程の起点となる点P8では、図10に示すように、運動伝達部材7がスライダー8の軸方向移動に対して先行して両者間に間隔が保たれているので、スライダー8に作用しているばねエネルギーが運動伝達部材7に作用しない。従って、運動伝達部材7のボール11が、カム溝6aの側面に押し付けられて移動を阻害されることがなく、回転軸4の回転にともなって点P8から点P9を経由して起点P1まで移動する。
次に、第1実施形態の作用を説明する。
初めに、便座が図1の回転角度110°の全開状態にある位置から、閉じる方向の力である一方向の回転力が作用した場合について説明する。
図1の状態から人が便座を手で押し下げると回転軸4が回転し、上記ボール11がカム溝6a内を上記点P1から点P2を経由して点P3へと移動する。回転軸4が上記の方向に回転し、ボール11が点P2から点P3に移動する間には、ボール11は運動伝達部材7とともに軸方向である矢印A’方向に移動する。
なお、ボール11が点P3に位置した状態を示したのが図8である。
上記のように回転軸4を矢印A方向に回転させると、運動伝達部材7が矢印A’方向に移動し、この運動伝達部材7がスライダー8のフランジ部8bを押すので、スライダー8も矢印A’方向に移動する。
上記のようにスライダー8が移動すれば、図8に示すように図1の場合よりもスライダー8とばね受け部材10との距離が縮まる。従って、コイルばね9が圧縮され、ばねエネルギーが蓄積される。
但し、この点P1からP3に至るばねエネルギー蓄積行程の途中で、便座に作用している外力を解放すると、言い換えると人が便座から手を離してしまうと、上記したようにコイルばね9が伸長し、スライダー8を矢印B’方向へ移動させ、回転軸4が他方向へ回転して便座が全開位置に戻ってしまう。
なお、便座の回転角度が90°より小さくなると、便座に作用する重力がコイルばね9のばね力と反対方向すなわち便座の閉方向の回転力となる。しかし、上記ばねエネルギー蓄積行程では、便座の開方向の回転力が重力に基づく回転力より大きくなるように便座の重量とコイルばね9のばね力を予め設定している。
ボール11が点P3を越えた点P3からP4を経由してP5に至るばねエネルギー解放制限行程では、上記したように圧縮されたコイルばね9は圧縮状態を保ち、蓄積したばねエネルギーの解放が制限されることになる。
このようにコイルばね9にばねエネルギーが蓄積された状態でそのばねエネルギーの解放が制限されるので、ばねエネルギーに対して便座の重力が打ち勝ち、便座は重力によって閉方向に回転する。
なお、この第1実施形態では上記ボール11が点P3に位置する回転角度70°が、ばねエネルギーを蓄えるための所定の角度位置であり、この位置まで人の力で回転軸4を回転させれば、その後は上記ばねエネルギーを解放することなく、重力に基づく回転力で、点P5に対応する回転角度20°まで自動的に回転し、人が腰掛けるまでこの使用待機位置を保つ。
このように一方向に回転した回転軸4が回転角度20°の使用待機位置で停止するのは、上記したように便座に作用する重力に基づく一方向の回転力とばねエネルギーによる他方向の回転力とがバランスするからである。
次に、上記蓄積されたばねエネルギーによって回転軸4が他方向に回転する過程について説明する。
上記回転角度が20°の上記使用待機位置で便座及び回転軸4が止まった状態で、人が便座に腰掛けると、その重力で回転軸4が回転して回転角度0°の全閉状態となり、上記ボール11は点P6を介して点P7に達する。
上記ボール11が点P7に達した状態を図9に示すが、このとき、コイルばね9が最圧縮状態となっている。
このように、上記使用待機位置を保っている便座に人が腰掛ければ、便座は全閉状態まで回転する。但し、人の荷重などによって便座が回転角度20°から17°まで回転して上記ボール11が点P6に達すれば、その後はカム溝6aの点P6から点P7の行程でコイルばね9のばねエネルギーの解放が完全に規制されるので、便座は自重のみに基づく回転力で回転可能になる。つまり、便座の回転角度を20°から17°まで回転させることによって、上記保持手段の保持力を解除でき、その後は便座を押さえ続けなくてもボール11は点P7まで達し、便座は全閉状態になる。
便座が全閉状態となったときにボール11が位置する点P7は、他方向回転案内部の入口部分に対応する。従って、この状態から人が立ち上がれば、便座を押さえつける力がなくなるので、上記コイルばね9のエネルギーによって上記スライダー8が矢印B’方向に移動する。このとき、上記他方向案内部の入口部分に位置するボール11は、軸方向案内行程にスムーズに移行し、その軸方向案内行程を移動する。
このように、この第1実施形態では、上記使用待機状態の便座に腰掛けるだけで、解放を制限されたばねエネルギーを解放させることができる。上記便座に腰掛けるか押し下げる手段、すなわち便座そのものがこの発明の解除手段を構成している。
上記ボール11がカム溝6aの点P7からP8まで移動し、運動伝達部材7がスライダー8に先だって移動したら、その後は、運動伝達部材7は軸方向位置を変えずに回転軸4のみがスライダー8の軸方向移動に応じて回転し、ボール11はカム溝6aの点P9まで移動する。さらに回転軸4の回転によって点P9からP1まで軸方向(矢印A’方向)に移動して図1のように、スライダー8のフランジ部8bに接触した状態となる。
そして、この位置から便座を手で押し下げれば、回転軸4は一方向である矢印A方向に回転する。
なお、運動伝達部材7が矢印B’方向の軸方向終端に位置しているときには、上記戻しばね15が圧縮され(図10参照)ているが、上記したようにこの戻しばね15が伸長するばね力によって運動伝達部材7のボール11を上記点P9からP1へ移動しやすくしている。
但し、上記ボール11は回転軸4の回転によってカム溝6a内を移動するので、上記戻しばね15はなくてもよい。
以上のように、この第1実施形態では、便座を途中まで手で押し下げれば、ばねエネルギーが蓄積されるとともに、その後は便座が自動的に閉方向に回転する。従って、当該便座を全閉位置まで人手で押し下げる必要はない。
また、便座は全閉状態の少し手前の使用待機位置で停止するので、人は便座を押さえるたり、特別な固定手段を操作したりすることなく、腰掛けることができる。そして、腰かけた人が立ち上がれば、蓄積されたばねエネルギーで便座が自動的に開方向に回転する。
要するに、全開状態の便座を閉じるためには、人が少しだけ便座を押せば足りるので、たとえ手がふさがっていても、ひじなど体の一部を使って便座を簡単に閉方向に回転させることができる。
また、便座に腰かけていた人が立ち上がるだけで便座が自動的に開くので、開いた状態を常に保つことができる。従って、衛生面でも好ましい状態を保つことができる。
なお、この第1実施形態では、カム溝6aに上記点P5から点P6の区間による保持手段を備えて、回転角度20°の使用待機位置で便座を停止させるようにしているが、このような保持手段を設けずに、所定の角度位置以降、全閉位置まで連続的に閉方向へ回転させるようにしてもよい。
さらに、全閉状態となった便座をその位置に保つために、特別なストッパ機構を設けてもよいが、何も設けなくてもカム溝6aの勾配を調整することによってダンパ効果を発揮させて全閉位置近傍での便座の回転速度を緩やかにすれば腰掛けやすくすることもできる。
また、上記カム溝6aで構成される保持手段を設けた場合には、使用保持位置で停止した便座をさらに押し下げて保持力を解除しなければ、ばねエネルギーによって便座が全開状態に戻らないが、保持手段を設けない場合には、自動的に全閉状態に達し、自動的に全開状態になるため、このような装置は特に全開状態を通常状態としておきたい公衆トイレなどに適している。
上記カム溝6aとボール11とで構成される第1伝達機構は回転軸4と運動伝達部材7との間に構成されればよく、上記カム溝6aとボール11とはどちらを回転軸4あるいは運動伝達部材7に設けてもよい。
また、第2伝達機構を構成するカム構造は、上記カム山6c,8cの形状に限らない。例えば、カム山6cの斜面6dとカム山8cの斜面8dとが一致する必要はなく、例えば、一方に斜面を設け、他方は単なる凸部でもよい。
さらに、上記ケーシング1、回転軸4、運動伝達部材7、スライダー8及びコイルばね9の位置関係も、上記第1実施形態のものに限らず様々な構成が考えられる。図11〜13にそれらの例を示すが、いずれも第1実施形態と同様の機能を有する構成要素には図1と同じ符号を用い、個々の構成要素についての説明は省略する。
そして、いずれの実施形態においても、カム溝とボールとのうち、どちらを回転軸4及び運動伝達部材7に設けてもよい。
例えば、図11に示す第2実施形態はコイルばね9をケーシング1とスライダー8のフランジ部8bとの間に介在させるとともに、コイルばね9の調整ネジ12などを省略したものである。その他の構成は、上記第1実施形態と同じである。
すなわち、回転軸4の筒部6の外周に形成したカム溝6aと運動伝達部材7の内周に設けたボール11とによってこの発明の第1伝達機構を構成し、スライダー8の外周に形成したカム山8cと上記筒部6の内周に形成したカム山6cとによってこの発明の第2伝達機構を構成している。
なお、図11は、便座が全閉位置である一方向の回転終端に位置し、コイルばね9の最圧縮状態を示している。
図12に示す第3実施形態は、運動伝達部材7及びスライダー8の位置を第1実施形態とは反対にした移動制御装置である。すなわち、スライダー8を回転軸4の筒部6の外周側に設け、運動伝達部材7を筒部6の内周側に設けている。
そして、回転軸4の筒部6の内周にボール11を設け、運動伝達部材7の外周にカム溝7cを形成している。これらボール11とカム溝7cとによって第1伝達機構を構成している。なお、上記カム溝7cは、第1実施形態のカム溝6cと同じ形状である。
また、スライダー8の内周にカム山8cを形成し、回転軸4の筒部6の外周にカム山6cを形成し、これら一対のカム山8c、6cによって第2伝達機構を構成している。
なお、図12は、便座が全開位置である他方向の回転終端に位置している状態を示している。
図13に示す第4実施形態は、回転軸4に筒部を備えずに、大径部6’を備えている。そして、上記大径部6’の外周に、ケーシング本体2に対して回転を規制された筒状の運動伝達部材7とスライダー8とを軸方向に並べて設け、スライダー8のフランジ部8bとケーシング1との間にコイルばね9を設けている。
そして、回転軸4の大径部6’の外周に第1実施形態と同様のカム溝6aを設け、このカム溝6aと運動伝達部材7に設けたボール11とによって第1伝達機構を構成している。
また、上記大径部6’の外周に形成したカム山6cとスライダー8の内周に形成したカム山8cとによってこの発明の第2伝達機構を構成している。
なお、図13は便座が全開位置である他方向の回転終端に位置した状態を示している。
上記第1〜第4実施形態では、回転力を直線運動に変換して伝達する第1伝達機構を、上記ボール11と図7に示す形状のカム溝6aあるいは7cとで構成しているが、上記第1伝達機構を構成するカム溝の形状は図7に示すものに限らない。
例えば、図14に示す第5実施形態のカム溝16は、図7に示すカム溝6aと比べて単純な形状をしている。このカム溝16を上記第1実施形態のカム溝6aの代わりに上記回転軸4の筒部6の外周に形成し、それ以外の構成は第1実施形態と同じにする。従って、この第5実施形態の説明にも図1を参照する。
図14は、回転軸の回転角度を縦軸とし、上記ボール11の軸方向移動距離を横軸とした平面上に、上記カム溝16を展開して示したものである。
このカム溝16は、例えば、図14の点Q1を起点として、点Q2→点Q3→点Q4を通り、点Q1へ戻るエンドレスの形状にしている。そして、このカム溝16内を、上記したボール11が相対移動するもので、このボール11の相対移動位置に応じて便座の回転角度が、0°〜110°の間で決まるようにしている。
なお、上記起点Q1は便座が全開位置である回転角度110°を示している。
そして、上記点Q1から点Q2の間は、回転軸4が110°から70°まで回転し、ボール11及びボールと一体的に移動する運動伝達部材7はその軸方向位置が20mmから0mmまで変化する。この状態で便座が40°閉方向へ回転し、上記運動伝達部材7が20mm移動する。このように運動伝達部材7が移動すれば、スライダー8が運動伝達部材7に押されて移動し、その分コイルばね9を圧縮してばねエネルギーが蓄積される。
この点Q1から点Q2までの行程が、この発明のばねエネルギー蓄積行程であり、この行程に対応するカム溝16の部分がこの発明のばねエネルギー蓄積手段を構成している。
上記点Q2から点Q3までの間は、回転軸4が70°から0°まで回転し、ボール11の軸方向位置は変化しない。この状態では、便座が70°からさらに0°の全閉位置まで閉方向に回転し、上記運動伝達部材7の軸方向移動量は0である。従って、この間ではコイルばね9の圧縮はなく、先に蓄積されたばねエネルギー量が維持される。
上記点Q2から点Q3までの行程がこの発明のばねエネルギー解放制限行程であり、この行程に対応するカム溝16の部分がこの発明のばねエネルギー解放制限手段を構成している。
上記便座の全閉位置である点Q3から点Q4の間は、上記蓄積されたばねエネルギーが解放されることによってスライダー8が回転するとともに、この回転に伴って上記ボール11及びこのボール11と一体的に移動する運動伝達部材7が軸方向に移動する行程である。この点Q3から点Q4の間では、便座が回転角度0°から50°まで開方向に回転し、上記運動伝達部材7の軸方向移動量は20mmを超える。このように運動伝達部材7の軸方向移動量が多い行程をこの発明の軸方向案内行程としている。
上記ボール11が点Q4に達した時点で、運動伝達部材7は上記起点Q1に対応する位置よりも、矢印B’方向に位置している。
なお、この軸方向案内行程では、上記第1実施形態と同様に、運動伝達部材7が、スライダー8の軸方向移動に先行して矢印B’方向へ移動し、点Q4に達した時点で、運動伝達部材7の端部は上記スライダー8に接触せず、運動伝達部材7とスライダー8との間には間隔が保たれている。この状態は、上記第1実施形態の図10に示す状態に相当する。
上記点Q4から点Q1までの間は、回転軸4は回転角度50°から便座の全開位置である110°まで回転するが、運動伝達部材7の軸方向移動量はほとんどない。この点Q4から点Q1までの行程をこの発明の回転方向案内行程としている。
但し、上記点Q4に達した時点でボール11の軸方向位置が20mmを超えているで、上記回転方向案内行程において起点Q1の直前には、上記20mmを超えた軸方向位置から、起点Q1に対応する20mmの軸方向位置に戻すためのカーブcを備えている。このようなカーブcを設けることによって、ボール11が点Q1に位置した状態で回転軸4を便座の閉じる方向に回転したとき、ボール11が上記回転方向案内行程へ逆戻りしないようにしている。
この第5実施形態では、上記カム溝16における起点Q1から点Q2を経由して点Q3に至る部分をこの発明の一方向回転案内部とし、点Q3から点Q4を経由して起点Q1に至る部分をこの発明の他方向回転案内部としている。
また、上記点Q2に対応する回転角度70°がこの発明の所定の角度位置である。
この第5実施形態の装置でも、全開位置の便座を回転角度70°まで押し下げれば、その間にばねエネルギーを蓄積する。その後のばねエネルギー解放制限行程では、上記コイルばね9は上記ばねエネルギー蓄積行程で圧縮された状態をそのまま保ち、便座に作用する重力に基づいて便座が落下し、回転軸4の回転を自動的に継続する。
また、便座が全閉位置に達し、上記ボール11が上記カム溝16の点Q3まで達した後は、コイルばね9のばねエネルギーによって便座を全開位置まで回転させることができる。
なお、この第5実施形態の上記ばねエネルギー解放制限行程では、運動伝達機構7及びスライダー8の軸方向移動は全くなく、コイルばね9はそれまでに蓄積されたばねエネルギーを保持したまま、回転軸4には便座に作用する重力の作用に基づく回転力によって自動的に一方向の回転を継続する。このように、ばねエネルギー解放制限行程においてコイルばね9が全く圧縮されない場合には、ばねエネルギーに基づく他方向の回転力がないので、便座の落下に対して上記第1実施形態のようなダンパ効果は発揮されず、便座は、重力に基づいて増加する回転モーメントに従って勢いよく落下する。
また、この第5実施形態では、回転角度が0°に達したら、上記ボール11がカム溝16の他方向回転案内部の入口に達するので、全閉位置を保持するためには図示しないストッパ機構を用いるか、手で便座を押さえて腰掛ける必要がある。
以上のように、この発明の第1伝達機構を構成するカム溝は、ばねエネルギー蓄積行程、ばねエネルギー解放制限行程、軸方向案内行程、回転方向案内行程を備えていればよく、図7に示すカム溝6aの形状でも、図14のカム溝16のような形状でもかまわない。
また、一方向回転時のダンパ機能を必要とする場合、その大きさに応じてばねエネルギー解放制限行程の勾配を設計すればよい。
なお、図14に示すカム溝16は、上記第2〜第4実施形態に用いることもできる。
上記第2〜第5実施形態においても、便座を押し下げて回転軸4を所定の回転位置まで回転させれば、その間にばねエネルギーが蓄積され、その後は、便座に作用する重力の作用に基づいた回転力で、一方向回転を自動的に継続することができる。
また、一方向の回転終端から他方向の回転終端までは、蓄積したばねエネルギーによって回転させることができる。
上記第1〜第5実施形態では、ケーシング1に固定部材としての便器を固定し、回転軸4に回転部材としての便座を固定しているが、ケーシング1に回転部材、回転軸4に固定部材を固定するようにしてもよい。
但し、ケーシング1に回転部材を固定する場合には、ケーシング1と運動伝達部材7との間に上記第1伝達機構を設け、ケーシング1とスライダー8との間に第2伝達機構を設けなければならない。
具体的には、図13に示す第4実施形態のように、回転軸4の外周に運動伝達部材7及びスライダー8を設ける構成が考えられる。但し、これら運動伝達部材7及びスライダー8は、回転軸4に対する回転が規制され、ケーシング1との相対回転を可能にして設けられている。
そして、運動伝達部材7の外周あるいはケーシング本体2の内周のいずれか一方に、第1実施形態のカム溝6aと同様のカム溝を設けるとともに、運動伝達部材7の外周あるいはケーシング本体2の内周のいずれか他方に、ボール11などの凸部を設けて第1伝達機構を構成する。
また、スライダー8の外周面とケーシング本体2の内周面とに一対のカム山などによるリンク機構を設けて第2伝達機構を構成する。
さらに、上記第1〜第5実施形態では、便座を回転部材としてその開閉を制御する場合を説明しているが、上記移動制御装置は、便座以外のも、ピアノの蓋、その他の蓋部材の開閉や、壁に取り付けた物干し竿用ハンガーの開閉などに利用できる。
物干し竿用ハンガーの場合には、先端を上方にして壁面に沿った非使用時の収容状態から、ハンガーを所定の位置まで手で下げれば、その後は自動的に下がり、ハンガーが物干しの使用状態になる。使用後は一方向に少しだけ押し下げれば、蓄積されたばねエネルギーでハンガーが跳ね上がり、上記収容位置に戻すことができるものとなる。
また、回転部材が固定部材に対して螺旋状に移動可能にして、グレビティヒンジとして扉の開閉機構などに適用することもできる。
さらにまた、スプリングヒンジのように、ケーシング1あるいは回転軸4に、上記コイルばね9とは別のスプリングを設け、そのスプリング力によって回転部材に常時一方向の回転力を付与するようにしてもよい。
また、上記スプリング力と重力との複合力に基づく一方向の回転力を利用するようにしてもよい。
いずれの場合にも、所定の回転角度位置まで外力を作用させている間はばねエネルギー蓄積手段によって上記コイルばね9にばねエネルギーが蓄積され、このばねエネルギーの解放を制限するばねエネルギー制限機構が機能している間は、上記スプリング力によって自動的に一方向の回転が継続される。また、一方向の回転終端に達した後は解放したばねエネルギーによって他方向の回転終端まで復帰させることができる。
上記第1〜第5実施形態のように重力の作用に基づく一方向の回転力を利用する場合には、重力の方向によって一方向の回転方向が決まってしまうが、上記スプリング力を利用する場合には回転方向を自由に設定できるため、その用途が広がる可能性がある。例えば、上記回転軸4を垂直にして、前後に開閉する扉のヒンジとして利用することもできる。
以下に、直線移動を制御する移動制御装置について説明する。
図15〜図28に示す第6実施形態は、引き出しの開け閉めを制御する移動制御装置で、スライド部材22にこの発明の移動部材である図示しない引き出しを固定し、ケーシング21にこの発明の固定部材である図示しない本体を固定している。
この第6実施形態の移動制御装置は、引き出しと一体的に移動するスライド部材22の移動方向を長手方向としたケーシング21内に矢印A、B方向に移動可能なスライド部材22を組み込んだものである。
この第6実施形態では、上記スライド部材22の移動方向として、図示の矢印A方向がこの発明の一方向であり引き出しの閉方向、その反対の矢印B方向がこの発明の他方向であり、引き出しの開方向である。但し、上記一方向を引き出しの開方向とし、他方向を引き出しの閉方向としてもよい。
図16,17にスライド部材22の斜視図を示しているが、図17は図16の紙面裏側から見た状態を示している。
上記スライド部材22は、移動方向に沿って伸びる本体22aに、本体22aの長手方向に沿ったラック22bと、後で説明する引っ張りスプリング25の一端を保持するスプリング保持部22cとを備えている。さらに、上記本体22aには、図15において上方に突出する連結部22dと、下方に突出するチャック解除部22eと、支持棒22fを介して本体22aに連結された円板状のばね押さえ22gとを備えている。さらに、本体22aの矢印Aの移動方向先端にはロック爪22hを備えている。
一方、ケーシング21は開口21aを備え、この開口21aから上記スライド部材22の連結部22dを突出させ、この連結部22dにケーシング21外の引き出しを連結するようにしている。スライド部材22と一体的に移動する引き出しは、上記開口21aの範囲内で移動可能である。
また、スライド部材22の本体22aの上面をケーシング21内の内上面21bに接触させるとともに、背面をケーシング21の内側面21cに接触させ、スライド部材22の移動時には本体22aが上記接触面を摺動するようにしている。すなわち、スライド部材22はケーシング21に案内されて移動可能である。
さらに、ケーシング21内の底面には図18に示すばね受け部材23を設けている。
このばね受け部材23は円筒状の本体23aの一端を底面23bで閉鎖するとともに他端を開口23cとしている。そして、この開口23cに連続するとともに円筒の軸線に沿ったスリット23dを形成している。
また、本体23aの外周には円筒の軸に沿ったラック23eと、被チャック部23fと、この被チャック部23fの反対側の平坦面23gとを備えている。
なお、図18は、図15の紙面裏側の面を上面として示した斜視図である。
そして、上記ばね受け部材23の平坦面23gをケーシング21の底面に接触させて設け、上記スリット23dが上部に開口するようにしている(図19〜21参照)。
上記本体23a内にはこの発明のばね部材であるコイルばね24を挿入するとともに、開口23cを上記スライド部材22のばね押さえ22gで塞ぎ、コイルばね24を底面23bと上記ばね押さえ22gとで挟むようにしている。
この時、ばね押さえ22gに連続する支持棒22fは上記スリット23dに挿入され、上記ばね押さえ22gが上記本体22aの移動に伴ってばね受け部材23内を移動可能にしている。
なお、図15に示す状態では、コイルばね24は自然長あるいは自然長より僅かに圧縮された状態にしている。
また、上記スライド部材22のスプリング保持部22cとケーシング21のとの間には、引っ張りスプリング25を介在させている。この引っ張りスプリングは、その一端の固定部25aを上記スプリング保持部22cで保持されるとともに、他端の固定部25bをケーシング21の側壁に形成したスプリング保持部21dに固定している。
この引っ張りスプリング25は、図15に示す最伸長状態から、後で説明する自然長になるまでの間、矢印A方向のスプリング力を発揮して、上記スライド部材22に対して一方向の移動力となるこの発明のスプリング力を常時付与するようにしている。
なお、図15に示す状態で、上記コイルばね24のばね力が上記引っ張りスプリング25のスプリング力に打ち勝つようにしている。そのため、上記コイルばね24の最長状態において、スライド部材22の連結部22dがケーシング21の開口21aの端部に接触した図15に示す位置を保つ。
また、上記ケーシング21の内側面21cには、長手方向に伸びるチャック移動溝21eを形成するとともに、このチャック移動溝21eの内側には、後で説明するギア26の回転軸となる軸部材27を挿入するギア移動孔21fを形成している。
上記チャック移動溝21eには、上記スライド部材22の背面に突出した(図17参照)チャック解除部22eと、後で説明するチャック部材28とがはめ込まれ、これらを移動可能にしている。
但し、上記チャック移動溝21eには、上記チャック部材28の移動を阻止するための止め溝21gが形成されている(図23(a)参照)。
上記チャック部材28は、図22に示すように、上記軸部材27を挿入する軸孔28aを備えた本体に、先端を外方に向かって開いた一対のストッパ片28b,28bを備えた部材である。
上記ストッパ片28bの先端が図23の(a)に示すように、上記チャック移動溝21eに形成された止め溝21g内に入り込んでいれば、チャック部材28は移動しない。しかし、図23の(b)、(c)のようにスライド部材22のチャック解除部22eが矢印A方向に移動して、上記ストッパ片28bの基端部28c間の凹部28dに入り込むと、基端部28cが外方へ押し開らかれ、反対にストッパ片28bの先端が内側に移動して、上記ストッパ片28bの先端が上記止め溝21gから外れる。そして、上記ストッパ片28bが止め溝21gから外れれば、チャック部材28が移動可能になる。
また、上記スライド部材22とばね受け部材23との間には、ギア26を設けている。このギア26は、図20に示すように、上記ギア移動孔21fを貫通した軸部材27に対し回転可能に取り付けられている。そして、軸部材27は、ギア移動孔21fに沿って移動可能である。
従って、ギア26は、上記軸部材27とともにギア移動孔21fに沿って移動可能である。
さらに、上記軸部材27は、図22に示すチャック部材28の軸孔28aを貫通し、チャック部材28を、ギア26とケーシング21との間の上記チャック移動溝21e内に収容している(図20参照)。すなわち、上記チャック部材28は、ギア26が上記ギア移動孔21fに沿って移動するのに伴って上記チャック移動溝21e内を移動することになる。
図15に示す状態は、上記ストッパ部材28は図23の(a)に示す状態であり、上記ストッパ片28bの先端が上記チャック移動溝21eに形成した止め溝21gに入り込んで係止され、上記チャック部材28が、上記軸部材27、すなわちギア26の中心位置は固定されている。
また、上記ギア26は、上記ばね受け部材23のラック23eと噛み合う大径ギア26aと、上記スライド部材22のラック22bと噛み合う小径ギア26bとを一体化した部材である。その為、上記スライド部材22が矢印A方向に移動すると、ラック22b及び小径ギア26bによってギア26が回転し、その大径ギア26a及びラック23eによってばね受け部23が矢印B方向へ移動することになる。
なお、この第6実施形態では、上記大径ギア26aと小径ギア26bとのギア比を2:1としている。そこで、スライド部材22の移動に伴う上記ばね受け部材23の移動量は、上記スライド部材22の移動量の2倍になる。このような移動量の比は上記ギア比によって自在に設定できる。
また、上記大径ギア26aは、図17に示すスライド部材22の背面に形成される段部22i内に配置される(図19,20参照)。
さらに、図15においてケーシング21の右側面にはロック解除凸部21hを形成し、スライド部材22が一方向終端まで移動したときに、上記ロック解除凸部21hが上記ロック爪22hに突き当たるようにしている。
以下に、この第6実施形態の移動制御装置の作用を説明する。
図24〜26は引き出しを閉める際の各部材の動きを示し、図27、28は、一旦閉まった引き出しを開けるときの状態を示している。
図24は、上記ギア26を一点鎖線で示して、ギア26の背後の部材を表わしているが、各部材の配置は図15と同じである。この状態で、上記スライド部材22と一体的に移動する引き出しは全開状態である。このとき、上記コイル部材24のばね力によって上記スライド部材22の連結部22dがケーシング21の開口21aの端部に位置するとともに、本体22aがケーシング21の図中の左側面に接触した図示の位置を保っている。
この状態から、引き出しを閉める方向に押すと、その力でスライド部材22が矢印A方向へ移動する。スライド部材22が矢印A方向へ移動すると、先に説明したようにギア26によってばね受け部材23が他方向である矢印B方向へ移動するので、コイルばね24が圧縮され、コイル部材24のばねエネルギーが蓄積される。
上記ギア26が、移動部材である引き出しの一方向移動に伴ってばね受け部材23を他方向へ移動させるこの発明のばねエネルギー蓄積手段を構成している。
そして、スライド部材22が、図25に示す位置まで移動したら、スライド部材22の先端に設けたロック爪22hがばね受け部材23の被チャック部23fに引っ掛かって、コイルばね24の圧縮状態が保持される。上記ロック爪22h及び被チャック部23fがこの発明のばねエネルギー解放制限手段を構成している。
なお、この第6実施形態では、スライド部材22のラック22bに小径ギア26bをかみ合わせ、ばね受け部材23のラック23eに大径ギア26aをかみ合わせているので、引き出しを外力を作用させて矢印A方向へ移動させる距離に比べてばね受け部材23が矢印B方向へ移動する距離の方が大きくなる。そのため、移動部材22を移動させる距離を大きくしなくても、より効率的にばねエネルギーを蓄積することができる。
但し、上記移動部材22のラック22bにかみ合う小径ギア26bとばね受け部材23のラック23eにかみ合う大径ギア26aとのギア比を変えることは必須ではない。
一方、上記スライド部材22が図25に示す位置まで移動すると、上記チャック解除部22eは図23の(b)から(c)の位置まで移動し、チャック部材28の上記凹部28d内に押しこまれる。これによってストッパ片28bが上記止め溝21gから外れ、上記チャック部材28はチャック移動溝21eに沿って移動可能になる。
このようにチャック部材28が移動可能になり、圧縮されたコイルばね24の伸長が規制されていると、その後は上記引っ張りスプリング25のスプリング力によってスライド部材22が引き出しの閉方向である矢印A方向へ移動する。
このようにスライド部材22は、図25に示す位置まで達したら、その後は自動的に矢印A方向の移動が継続する。図25に示すスライド部材22の位置が、この発明の所定の移動位置である。
なお、上記引っ張りスプリング25によってスライド部材22が矢印A方向へ移動する際には、スライド部材22のラック22bと噛み合った小径ギア26bと、この小径ギア26bと一体化している大径ギア26aにかみ合ったラック23eを有するばね受け部材23とは、一体的に矢印A方向へ移動する。
そして、上記引っ張りスプリング25が自然長あるいはほぼ自然長となって、スライド部材22の移動力がなくなったとき、図26の位置でスライド部材22及びバネ受け部材23が停止する。この時、スライド部材22は一方向の終端位置の近傍であり、引き出しの全閉状態である。
図26の全閉状態から引き出しを開ける際には、引き出しをさらに押し込むように、スライド部材22に矢印A方向の力を作用させる。
引き出しを押し込むようにして、スライド部材22を矢印A方向へ移動させると、図27に示す状態となり、移動方向先端のロック爪22hがケーシング21のロック解除凸部21hに押圧され、ばね受け部材23の被チャック部23fが解放される。
これによりばね受け部材23とスライド部材22との連結が解除され、ばね受け部材23の底面23bがケーシング21に接触した状態でコイルばね24が伸長してばねエネルギーが解放される。コイルばね24が伸長すると、ばね押さえ22gを介してスライド部材22が引き出しの開方向である矢印B方向へ移動する(図28参照)。
なお、図26に示す位置でスライド部材22が一旦停止したとき、自然長あるいはほぼ自然長となった上記引っ張りスプリング25の線材間の隙間は保たれていても、隙間なく線材が密着した状態となっていても、どちらでもかまわない。上記線材間に隙間が保たれていれば、閉じた引き出しをさらに押し込むとき、上記引っ張りスプリング25をさらに圧縮させることになるが、線材が密着した状態から引き出しを押しこめば、最短状態となった引っ張りスプリング25の全体をしならせながらスライド部材22を移動させることになる。
この第6実施形態では、上記ロック爪22h及び被チャック部23fによってばねエネルギーを蓄積した状態を保ち、上記引っ張りスプリング25が、ばねエネルギーを蓄積した状態の移動部材を一方向終端位置の近傍に保つ保持手段を構成している。そして、上記ロック解除凸部21hが解放手段を構成している。
上記ばねエネルギーの解放によって、スライド部材22は図28に示す位置よりさらに矢印B方向へ移動した後、図24に示す引き出しの全開位置である他方向の終端に達して停止する。このとき、ギア26とともに移動したチャック部材28のストッパ片28bは止め溝21gにはまって固定され、ギア26の中心が再び固定される。
上記のように、この第6実施形態の移動制御装置は直線移動する引き出しを、閉じ方向へ移動させる際には所定の位置まで外力を作用させて押し込むことで、その後は自動的に一方向移動を継続させ、全閉状態にすることができる。また、上記所定の位置までの移動過程においてばねエネルギーを蓄積することができ、蓄積したばねエネルギーによって引き出しを全開位置あるいはその近傍まで移動させることができる。
なお、上記第6実施形態では、スライド部材22の一方向の終端位置近傍において上記引っ張りスプリング25が自然長となってスライド部材22の移動が停止するようにしている。
但し、スライド部材22の一方向の終端位置近傍において上記引っ張りスプリング25が引張り力を保っていても、ロック爪22hが上記ロック解除凸部21hに当接することによってスライド部材22が停止するようにしてもよい。この場合の引張りスプリング25の引張り力は、ロック爪22hが上記ロック解除凸部21hによって解除されることがない程度に弱く設定しておく。
また、引っ張りスプリング25によってスライド部材22が終端位置に達すると同時に上記ロック爪22hがロック解除凸部21hに衝突してロック爪22hが解放されるようにしてもよい。その場合には、別の方法でばねエネルギーの解放を制限しながらスライド部材22の位置を保持する必要がある。
但し、スライド部材22が一方向の終端位置に達した直後に他方向の移動が開始するようにして使用する場合には、上記保持手段を設けなくてもよい。
例えば、引き戸を上記コイルばね24によって常時閉めておくようにして、途中まで手で開けると後は自動的に開き、人が通り過ぎたころに全開位置から自動的に戸が戻って閉まるようにすることもできる。
また、この第6実施形態では、スライド部材22の移動をばね受け部材23に伝達する運動伝達機構としてギア26を用いたが、運動伝達機構はギアに限らない。プーリーとベルト、リンク機構など、一般的な動力伝達手段を用いることができる。
なお、上記は引き出しの直線移動を制御する例を説明したが、移動部材は引き出しに限らない。例えば、引き戸などに用いることもできる。
また、ケーシング21とスライド部材22のいずれを固定部材に取り付け、いずれを移動部材に取り付けることも可能であり、上記と同様の作用効果を得られる。
あるいは、上記引っ張りスプリングの代わりに重力を利用して、一方向移動を実現することもできる。例えば、スライド部材22の移動方向を上下方向とし、上から下へ向かう方向を一方向とすれば、スライド部材22の重量及びスライド部材22と一体的に移動する移動部材の重量を利用して一方向の移動力を得ることもできる。
さらに、移動部材に滑車などを介して方向を変換した重りを連結して、重力の作用に基づく移動力を水平な一方向の移動力とすることもできる。
さらにまた、上記スプリング力と重力との複合力に基づく一方向の移動力を利用するようにしてもよい。
なお、上記第1から第6実施形態の全てにおいて、ばね部材をコイルばねとしているが、この発明のばね部材はコイルばねに限らない。
両方向に回転運動あるいは直線運動をする様々な移動部材の移動制御に利用できる。
1 ケーシング
2 ケーシング本体
4 回転軸
6 (回転軸の)筒部
6a (第1伝達機構)カム溝
6c (第2伝達機構)カム山
6d 斜面
7 運動伝達部材
8 スライダー
8c (第2伝達機構)カム山
8d 斜面
9 コイルばね
11 (凸部)ボール
12 調整ネジ
7c (第1伝達機構)カム溝
16 (第1伝達機構)カム溝
21 ケーシング
21e チャック移動溝
21f ギア移動孔
21h ロック解除凸部
22 スライド部材
22a 本体
22b ラック
22e チャック解除部
22g ばね押さえ
22h ロック爪
23 ばね受け部材
23a 本体
23e ラック
23f 被チャック部
24 コイルばね
25 引っ張りスプリング
26 ギア
26a 大径ギア
26b 小径ギア
28 チャック部材

Claims (11)

  1. スプリング力もしくは重力あるいはこれらの複合力に基づく一方向の移動力が作用する移動部材と、
    上記移動部材をスプリング力もしくは重力あるいはこれらの複合力に抗して上記一方向とは反対の他方向に移動させる移動力を付与するばね部材とを備え、
    上記移動部材が、上記他方向における移動終端から所定の移動位置まで外力の作用を受けることで上記一方向に移動したとき、その移動過程で上記ばね部材にばねエネルギーを蓄積する一方、
    上記移動部材の上記所定の移動位置から、上記ばね部材に蓄積されたばねエネルギーの開放を制限して、上記移動部材を上記スプリング力もしくは重力あるいはこれらの複合力の作用のみで上記一方向に移動可能にし、
    上記移動部材が、ばね部材に蓄積されたばねエネルギーで、上記他方向に移動して上記他方向の移動終端に達する構成にした移動制御装置。
  2. 上記移動部材が、上記他方向における移動終端から所定の移動位置まで外力の作用を受けることで上記一方向に移動したとき、その移動過程で上記ばね部材にばねエネルギーを蓄積するばねエネルギー蓄積手段と、
    上記移動部材の上記所定の移動位置から、上記ばね部材に蓄積されたばねエネルギーの開放を制限して、上記移動部材を上記スプリング力もしくは重力あるいはこれらの複合力の作用のみで上記一方向に移動可能にするばねエネルギー解放制限手段とを備えた請求項1に記載の移動制御装置。
  3. 回転軸を中心に回転し、スプリング力もしくは重力あるいはこれらの複合力に基づく一方向の回転力が作用する回転部材と、
    上記回転部材をスプリング力もしくは重力あるいはこれらの複合力に抗して上記一方向とは反対の他方向に回転させる回転力を付与するばね部材と、
    上記他方向における上記回転部材の回転終端から所定の回転角度まで外力の作用を受けることで回転したとき、その回転過程で上記ばね部材にエネルギーを蓄積するばねエネルギー蓄積手段と、
    上記回転部材の上記所定の回転角度から、上記ばね部材に蓄積されたばねエネルギーの開放を制限して、上記回転部材を上記スプリング力もしくは重力あるいはこれらの複合力の作用のみで上記一方向に回転可能にするばねエネルギー解放制限手段とを備え、
    上記回転部材が、ばね部材に蓄積されたばねエネルギーで、上記他方向に回転して上記他方向の回転終端に達する構成にした移動制御装置。
  4. スプリング力もしくは重力あるいはこれらの複合力に基づく一方向の移動力が作用し、直線的に移動する移動部材と、
    上記移動部材をスプリング力もしくは重力あるいはこれらの複合力に抗して上記一方向とは反対の他方向に移動させる移動力を付与するばね部材と、
    上記他方向における上記移動部材の移動終端から所定の移動位置まで外力の作用を受けることで移動したとき、その移動過程で上記ばね部材にエネルギーを蓄積するばねエネルギー蓄積手段と、
    上記回転部材の上記所定の移動位置から、上記ばね部材に蓄積されたばねエネルギーの開放を制限して、上記移動部材を上記スプリング力もしくは重力あるいはこれらの複合力の作用のみで上記一方向に移動可能にするばねエネルギー解放制限手段とを備え、
    上記移動部材が、ばね部材に蓄積されたばねエネルギーで、上記他方向に移動して上記他方向の移動終端に達する構成にした移動制御装置。
  5. 上記回転部材と、
    この回転部材を回転可能に支持する固定部材と、
    上記固定部材に対して回転を規制され軸方向移動のみを可能にしたスライダーと、
    上記回転部材の一方向の回転運動を軸方向移動に変換して上記スライダーに伝達する第1伝達機構と、
    上記スライダーの軸方向移動を、回転部材の他方向の回転運動に変換して上記回転部材に伝達する第2伝達機構とを備え、
    上記スライダーと上記固定部材との間に上記ばね部材を介在させ、
    上記回転部材が上記他方向における回転終端から回転して所定の角度位置に至る過程で、上記第1伝達機構によって上記スライダーを軸方向に移動し、上記ばね部材を圧縮させるばねエネルギー蓄積手段を構成するとともに、
    上記回転部材が上記一方向に回転して上記所定の回転角度を越えてから一方向の回転終端もしくはその近傍に至る過程で、
    上記ばねエネルギー解放制限手段は、上記ばね部材に蓄積されたばねエネルギーの解放を制限して、
    上記スプリング力あるいは重力の作用のみに基づいて上記回転部材に作用する一方向の回転力を、上記ばねエネルギーに基づいて上記回転部材に作用する他方向の回転力より大きくする構成にした請求項3に記載の移動制御装置。
  6. 上記固定部材に対する軸方向への移動のみを許容し、上記回転部材と相対回転可能にした運動伝達部材を備え、
    上記運動伝達部材と上記回転部材のいずれか一方に環状のカム溝を設けるとともに、いずれか他方には上記カム溝に沿って移動可能な凸部を設け、
    上記カム溝は、上記回転部材の一方向の回転時に上記凸部を案内する一方向回転案内部と、この一方向回転案内部と連続するとともに上記回転部材の他方向の回転時に上記凸部を回転終端まで案内する他方向回転案内部とからなり、
    上記一方向回転案内部と上記凸部とが相まってスライダーを軸方向に移動させるための上記第1伝達機構を構成する一方、
    上記一方向回転案内部は、上記ばねエネルギー蓄積手段で構成されるばねエネルギー蓄積行程と、このばねエネルギー蓄積行程に連続するとともに上記ばねエネルギー解放制限手段で構成されるばねエネルギー解放制限行程とからなり、
    上記回転部材が外力の作用を受けることで他方向における回転終端から上記所定の回転角度まで回転する過程では、上記凸部が上記カム溝のエネルギー蓄積行程を移動しながら運動伝達部材が軸方向に移動して上記スライダーを移動させ、このスライダーの移動によって上記ばね部材を圧縮させてばねエネルギーを蓄積するとともに、
    上記回転部材が上記一方向に回転して上記所定の回転角度を越えてから一方向の回転終端もしくはその近傍に至る過程では、上記凸部が上記カム溝のばね
    エネルギー解放制限行程を移動して上記ばねエネルギーの解放を制限し、
    さらに、上記スライダー及び回転部材間に介在するカム構造からなる上記第2伝達機構を備え、上記ばねエネルギーによって上記スライダーが軸方向に移動したとき、上記第2伝達機構によって回転部材を他方向へ回転させ、
    この回転部材の他方向の回転によって上記運動伝達部材が軸方向に移動する構成にした請求項5に記載の移動制御装置。
  7. 上記カム溝の他方向回転案内部には、
    上記ばねエネルギーによってスライダーが軸方向に移動するとき、このスライダーと同時もしくはそれに先だって、上記運動伝達部材が移動するように上記凸部を案内する軸方向案内行程と、上記凸部を、上記軸方向案内行程から上記一方向回転案内部へ導く回転方向案内行程とを備えた請求項6に記載の移動制御装置。
  8. 上記移動部材を移動可能に支持する固定部材と
    上記固定部材に対して軸方向移動のみを可能にし、上記移動部材との間に上記ばね部材を介在させたばね受け部材と、
    上記移動部材の一方向の移動に伴って上記ばね受け部材を他方向に移動させ、上記ばね部材を圧縮する上記ばねエネルギー蓄積手段と、
    上記移動部材が、一方向に移動する過程で上記所定の位置を越えて一方向の終端位置あるいはその近傍に達するまで、上記ばね受け部材を移動部材に固定して上記ばね受け部材と移動部材との距離を一定に保つばねエネルギー解放制限手段とを備えた請求項4に記載の移動制御装置。
  9. 上記移動部材の一方向の移動力をばね受け部材の他方向の移動力に変換して伝達する運動伝達機構を備え、
    この運動伝達機構は、上記移動部材の一方向の移動量を増幅して上記ばね受け部材に伝達することを特徴とする請求項8に記載の移動制御装置。
  10. 上記ばね部材にエネルギーを蓄積した状態で、上記移動部材あるいは回転部材を、一方向における終端位置もしくはその近傍に保つ保持手段と、
    上記保持手段の保持力を外力で直接もしくは間接的に開放する解放手段と、
    を備えた請求項1〜9のいずれか1に記載の移動制御装置。
  11. 上記ばね部材のばね力を調整するばね力調整機構を備えた請求項1〜10のいずれか1に記載の移動制御装置。
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