JP6138331B2 - 直動制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、直線方向に移動する移動部材の移動を制御するための直動制御装置に関する。
できるだけ人の力を使わないで直線方向に移動する引き出しなどを制御するものとして、例えば、特許文献1に示された装置が従来から知られている。
この従来の装置は、引き出しにそれを常時開く方向のばね力を作用させておき、引き出しを閉じたときには、ロック機構が作用して閉じた状態を保つことができる。また、引き出しを開くときには、手動でロック機構を外して、ばね力によって自動的に引き出しを全開状態にするようにしている。
特開平8−117044号公報(図11及び図12)
上記従来の引き出しの場合には、ばね力に抗して引き出しをしめなければならないが、途中で手を放すと引き出しが開いてしまう。そのため、引き出しを閉めるためには、ばね力に勝る力を最後まで作用し続けなければならない。手がふさがっているようなときには、使用者に大きな不便を感じさせるという問題があった。
この発明の目的は、電力を用いない機械的構造であって、上記ばね力に抗して移動部材を直線的に移動させる力を最後までかけ続けずに途中で手を離したとしても、移動部材が元の位置に復帰することなく移動を続け、しかも、その移動過程でばね力を蓄積でき、この蓄積したばね力で移動部材を元の位置まで復帰させることができる直動制御装置を提供することである。
第1の発明は、ケーシング(21)と、このケーシング(21)に対して直線移動可能に支持されるとともに、スプリング力(25)もしくは重力あるいはこれらの複合力に基づく一方向の移動力によって直線的に移動するスライド部材(22)と、
上記ケーシング(21)と上記スライド部材(22)との間に介在し、上記スライド部材(22)を上記ケーシング(21)に対して他方向に移動させる移動力を発揮するばね部材(24)と、このばね部材(24)の上記ケーシング(21)側の端部を支持するとともに、上記一方向あるいは他方向の直線移動を可能にされ、上記他方向に移動することによって上記ばね部材(24)を圧縮してばね力を蓄積するばね受け部材(23)と、上記スライド部材(22)とばね受け部材(23)との間に介在し、上記スライド部材(22)が外力の作用によって上記一方向の移動過程で始点から所定の移動位置まで移動するとき、その一方向の移動力を上記ばね受け部材(23)の上記他方向の移動力に変換するギア(26)と、上記ギア(26)の回転軸部材(27)を挿入する軸孔(28a)及び先端を外方に向かって開いた一対のストッパ片(28b,28b)を備え、上記スライド部材(22)が上記一方向の移動過程で上記所定の位置まで移動する間、上記ギア(26)を上記ケーシング(21)に固定するためのチャック部材(28)と、上記ケーシング(21)の内側面(21c)に形成され、上記チャック部材(28)が移動可能にはめ込まれる長手方向に伸びたチャック移動溝(21e)と、このチャック移動溝(21e)において上記チャック部材(28)の上記ストッパ片(28b,28b)がはまる止め溝(21g)と、このチャック移動溝(21e)の内側に形成され、上記ギア(26)の上記回転軸部材(27)がはめ込まれる長手方向に伸びたギア移動孔(21f)と、上記スライド部材(22)に設けられ、上記スライド部材(22)が上記所定の位置を越えるとき、上記止め溝(21g)にはまった上記一対のストッパ片(28b,28b)に外力を作用させて、上記一対のストッパ片(28b,28b)を上記止め溝(21g)から外すチャック解除部(22e)と、上記スライド部材(22)の上記一方向の移動方向先端設けられたロック爪(22h)と、上記ばね受け部材(23)に設けられ、上記スライド部材(22)が上記一方向の移動過程で上記所定の位置を越えて一方向の終端位置あるいはその近傍に達するまで、上記ロック爪(22h)が引っかかって上記ばね受け部材(23)と上記スライド部材(22)との距離を一定に保つための被チャック部(23f)と、上記ケーシング(21)に形成され、上記スライド部材(22)が一方向の終端位置もしくはその近傍に到達した後に、上記ロック爪(22h)と被チャック部(23f)との引っ掛かりを解除するロック解除凸部(21h)とが備えられている。
そして、上記スライド部材(22)が一方向の移動過程で上記所定の位置に達したとき、上記チャック解除部(22e)が機能して上記チャック部材(28)の上記ストッパ片(28b,28b)上記止め溝(21g)から外されるとともに、上記ロック爪(22h)及び被チャック部(23f)によって上記ばね部材(24)の圧縮状態が維持された状態で、上記スライド部材(22)、上記ギア(26)及びばね受け部材(23)が一体となって上記スプリング力(25)もしくは重力あるいはこれらの複合力の作用のみで上記一方向の終端位置あるいはその近傍に達するまで移動し、上記ロック解除凸部(21h)によって上記ロック爪(22h)と被チャック部(23f)との引っ掛かりが解放されたとき、上記スライド部材(22)は、上記ばね部材(24)のばね力によって、上記一方向の終端位置もしくはその近傍から他方向に移動して上記他方向の終端位置まで達することを特徴とする。
なお、重力の作用に基づく移動力とは、重力が基になっているということであって、重力と、方向や大きさが等しいということではない。
第2の発明は、上記ギア(26)が、大径ギア(26a)と小径ギア(26b)とが一体化して構成され、上記スライド部材(22)の一方向の移動量上記ばね受け部材(23)に増幅して伝達されることを特徴とする。
第1の発明によれば、スライド部材が一方向に直線移動する過程で、所定の移動位置まで外力を作用させれば、その後は、一方向の終端位置もしくはその近傍まで自動的に移動を継続させることができる。
また、スライド部材を上記所定の位置まで移動させる過程で、ばね部材が圧縮されてばね力が蓄積され、このばね力を解放させることによって、一方向の移動終端に達した移動部材を自動的に他方向へ移動させることができる。つまり、移動部材を移動させるために人の力が必要なのは、一方向の移動過程における所定の範囲のみである。従って、スライド部材を移動させるために、いつまでも大きな力が必要であったり、手がふさがってしまったりという不便を解消できる。
第2の発明によれば、スライド部材の移動量が小さくても、ばね受け部材の移動量を大きくして、ばね部材の圧縮量を大きくすることができる。つまり、スライド部材の移動量が小さくても、大きなばね力を蓄積できることになる。従って、ばね力を蓄積するための所定の移動位置までの距離、すなわち人の力を必要とする距離を短くすることができる。
図1は実施形態の断面図である。 図2は実施形態のスライド部材の斜視図である。 図3は実施形態のスライド部材の斜視図である。 図4は実施形態のばね受け部材の斜視図である。 図5は図1のXIX-XIX線断面図である。 図6は図1のXX-XX線断面図である。 図7は図1のXXI-XXI線断面図である。 図8は実施形態のチャック部材の平面図である。 図9は実施形態のチャック部材の動作説明図である。 図10は実施形態の断面図であり、スライド部材が他方向の移動終端に位置している状態を示している。 図11は実施形態の断面図であり、スライド部材が所定の位置に達してばね力が蓄積された状態を示している。 図12は実施形態の断面図であり、チャック部材が解放されてスライド部材が引っ張りスプリングのばね力で一方向の移動終端近傍まで移動した状態を示している。 図13は実施形態の断面図であり、スライド部材をさらに一方向へ押して、チャック爪が解放された状態を示している。 図14は実施形態の断面図であり、スライド部材が解放されたばね力による他方向への移動中の状態を示している。
図1〜図14に示すこの発明の実施形態は、引き出しの開け閉めを制御する直動制御装置で、スライド部材22に図示しない引き出しを固定し、ケーシング21に上記引き出しを備えた図示しない本体を固定している。
この実施形態の直動制御装置は、引き出しと一体的に移動するスライド部材22の移動方向を長手方向としたケーシング21内に矢印A、B方向に移動可能なスライド部材22を組み込んだものである。
この実施形態では、上記スライド部材22の移動方向として、図示の矢印A方向がこの発明の一方向であり、引き出しの閉方向である。また、その反対の矢印B方向がこの発明の他方向であり、引き出しの開方向である。但し、上記一方向を引き出しの開方向とし、他方向を引き出しの閉方向としてもよい。
図2,3にスライド部材22の斜視図を示しているが、図3は図2の紙面裏側から見た状態を示している。
上記スライド部材22は、移動方向に沿って伸びる本体22aに、この本体22aの長手方向に沿ったラック22bと、後で説明する引っ張りスプリング25の一端を保持するスプリング保持部22cとを備えている。
さらに、上記本体22aには、図1において上方に突出する連結部22dと、下方に突出したチャック解除部22eと支持棒22fとを備え、この支持棒22fの先端には円板状のばね押さえ22gが設け得られている。また、本体22aの矢印Aの移動方向先端にはロック爪22hを備えている。
一方、ケーシング21は、上記連結部22dを突出させる長手方向に伸びる開口21aを備え、この連結部22dにケーシング21外の引き出しを連結するようにしている。スライド部材22と一体的に移動する引き出しは、上記開口21aの範囲内で移動可能である。
また、スライド部材22の本体22aの上面をケーシング21内の内上面21bに接触させるとともに、背面をケーシング21の内側面21cに接触させ、スライド部材22の移動時には本体22aが上記接触面を摺動するようにしている。すなわち、スライド部材22はケーシング21の内壁に案内されて移動する。
さらに、ケーシング21内の底面には図4に示すばね受け部材23を設けている。図4は、図1の紙面裏側の面を上側にして示した斜視図である。
このばね受け部材23は円筒状の本体23aの一端を底面23bで閉鎖するとともに他端を開口23cとしている。そして、この開口23cに連続し、円筒の軸線に沿ったスリット23dを形成している。
また、上記本体23aの外周には円筒の軸線に沿ったラック23eと、上記底面近傍に形成された被チャック部23fと、この被チャック部23fの反対側の平坦面23gとを備えている。
そして、上記ばね受け部材23は、その平坦面23gをケーシング21の底面に接触させて設け、上記スリット23dが上部に開口するようにしている(図5〜7参照)。
また、上記ばね受け部材23の本体23a内にはこの発明のばね部材であるコイルばね24を挿入するとともに、開口23cを上記スライド部材22のばね押さえ22gで塞いで、上記コイルばね24を底面23bと上記ばね押さえ22gとで挟むようにしている。
この時、上記ばね押さえ22gに連続する支持棒22fは上記スリット23dに挿入されている。上記スライド部材22の移動時には、上記支持棒22fが上記スリット23dに沿って移動し、上記ばね押さえ22gがばね受け部材23内を移動するようにしている。
なお、図1に示す状態では、コイルばね24は自然長あるいは自然長より僅かに圧縮された状態にされている。
また、上記スライド部材22のスプリング保持部22cとケーシング21との間には、引っ張りスプリング25を介在させている。この引っ張りスプリング25は、その一端の固定部25aを上記スプリング保持部22cで保持されるとともに、他端の固定部25bをケーシング21の側壁に形成したスプリング保持部21dに固定している。
この引っ張りスプリング25は、図1に示す最伸長状態から、後で説明する自然長になるまでの間、矢印A方向のスプリング力を発揮して、上記スライド部材22に対して一方向の移動力となるこの発明のスプリング力を常時付与するようにしている。
また、図1に示す状態で、上記コイルばね24のばね力が上記引っ張りスプリング25の矢印A方向に作用するスプリング力に打ち勝つようにしている。そのため、上記コイルばね24の矢印B方向のばね力がスライド部材22に作用し、図1に示す上記コイルばね24の最長状態において、スライド部材22の連結部22dがケーシング21の開口21aの端部に接触した位置を保っている。
また、上記ケーシング21の内側面21cには、長手方向に伸びるチャック移動溝21eが形成されるとともに、このチャック移動溝21eの内側には、後で説明するギア26の回転軸となる軸部材27を挿入するギア移動孔21fが形成されている。
上記チャック移動溝21eには、上記スライド部材22の背面に突出した(図3参照)チャック解除部22eと、後で説明するチャック部材28とがはめ込まれ、これらを移動可能にしている。
但し、上記チャック移動溝21eには、上記チャック部材28の移動を阻止するための止め溝21gが形成されている(図9(a)参照)。
上記チャック部材28は、図8に示すように、上記軸部材27を挿入する軸孔28aを備えた本体に、先端を外方に向かって開いた一対のストッパ片28b,28bを備えた部材である。
上記ストッパ片28bの先端が図9の(a)に示すように、上記チャック移動溝21eに形成された止め溝21g内に入り込んでいれば、チャック部材28は移動しない。しかし、図9(b),(c)のようにスライド部材22のチャック解除部22eが矢印A方向に移動して、上記ストッパ片28bの基端部28c間の凹部28dに入り込むと、基端部28cが外方へ押し開らかれ、反対にストッパ片28bの先端が内側に移動して、上記ストッパ片28bの先端が上記止め溝21gから外れる。そして、上記ストッパ片28bが止め溝21gから外れれば、チャック部材28が移動可能になる。
また、上記スライド部材22とばね受け部材23との間には、ギア26を設けている。このギア26は、図6に示すように、上記ギア移動孔21fを貫通した軸部材27に対し回転可能に取り付けられている。そして、軸部材27は、ギア移動孔21fに沿って移動可能である。
従って、ギア26は、上記軸部材27とともにギア移動孔21fに沿って移動可能である。
さらに、上記軸部材27は、図8に示すチャック部材28の軸孔28aを貫通し、チャック部材28を、ギア26とケーシング21との間の上記チャック移動溝21e内に収容している(図6参照)。すなわち、上記チャック部材28は、ギア26が上記ギア移動孔21fに沿って移動するのに伴って上記チャック移動溝21e内を移動することになる。言い換えれば、上記チャック部材28が移動しなければ、上記ギア26も移動しない。
図1に示す状態は、上記チャック部材28が図9の(a)に示す状態であり、上記ストッパ片28bの先端が上記チャック移動溝21eに形成した止め溝21gに入り込んで係止されている。このようにストッパ部材28が固定されているので、上記チャック部材28が、上記軸部材27すなわちギア26の中心位置も固定されている。
また、上記ギア26は、上記ばね受け部材23のラック23eと噛み合う大径ギア26aと、上記スライド部材22のラック22bと噛み合う小径ギア26bとを一体化した部材である。その為、上記スライド部材22が矢印A方向に移動すると、ラック22b及び小径ギア26bによってギア26が回転し、その大径ギア26a及びラック23eによってばね受け部23が矢印B方向へ移動することになる。
なお、この実施形態では、上記大径ギア26aと小径ギア26bとのギア比を2:1としている。そこで、スライド部材22の移動に伴う上記ばね受け部材23の移動量は、上記スライド部材22の移動量の2倍になる。このような移動量の比は上記ギア比によって自在に設定できる。
また、上記大径ギア26aは、図3に示すスライド部材22の背面に形成される段部22i内に配置される(図5,6参照)。
さらに、図1においてケーシング21の右内側面にはロック解除凸部21hを形成し、スライド部材22が一方向終端まで移動したときに、上記ロック解除凸部21hが上記ロック爪22hに突き当たるようにしている。
以下に、この実施形態の直動制御装置の作用を説明する。
図10〜12は引き出しを閉める際の各部材の動きを示し、図13,14は、一旦閉まった引き出しを開けるときの状態を示している。
図10は、上記ギア26を一点鎖線で示して、ギア26の背後の部材を表わしているが、各部材の配置は図1と同じである。この状態で、上記スライド部材22と一体的に移動する引き出しは全開状態である。このとき、上記コイル部材24のばね力によって上記スライド部材22の連結部22dがケーシング21の開口21aの端部に位置するとともに、スライド部材22の本体22aがケーシング21の図中の左内側面に接触した図示の位置を保っている。
この状態から、引き出しを閉める方向に押すと、その力でスライド部材22が矢印A方向へ移動する。スライド部材22が矢印A方向へ移動すると、先に説明したようにギア26によってばね受け部材23が他方向である矢印B方向へ移動する。そこで、コイルばね24が圧縮され、コイル部材24のばね力が蓄積される。
そして、スライド部材22が、図11に示す位置まで移動したら、スライド部材22の先端に設けられたロック爪22hがばね受け部材23の被チャック部23fに引っ掛かって、コイルばね24の圧縮状態が保持される。すなわち、上記ロック爪22h及び被チャック部23fによって、蓄積されたコイルばね24のばね力解放されるのを制限している。
なお、この実施形態では、スライド部材22のラック22bに小径ギア26bをかみ合わせ、ばね受け部材23のラック23eに大径ギア26aをかみ合わせているので、引き出しに外力を作用させて矢印A方向へ移動させる距離に比べてばね受け部材23が矢印B方向へ移動する距離の方が大きくなる。そのため、移動部材22を移動させる距離を大きくしなくても、より効率的にばね力を蓄積することができる。
但し、上記移動部材22のラック22bにかみ合う小径ギア26bとばね受け部材23のラック23eにかみ合う大径ギア26aとのギア比を変えることは必須ではない。
一方、上記スライド部材22が図11に示す位置まで移動すると、上記チャック解除部22eは図9の(b)から(c)の位置まで移動し、チャック部材28の上記凹部28d内に押しこまれる。これによってストッパ片28bが上記止め溝21gから外れ、上記チャック部材28はチャック移動溝21eに沿って移動可能になる。
このようにチャック部材28が移動可能になり、圧縮されたコイルばね24の伸長が規制されていると、その後は上記引っ張りスプリング25のスプリング力によってスライド部材22が引き出しの閉方向である矢印A方向へ移動する。
このようにスライド部材22は、図11に示す位置まで達したら、その後は自動的に矢印A方向の移動が継続する。図11に示すスライド部材22の位置が、この発明の所定の移動位置である。
なお、上記引っ張りスプリング25によってスライド部材22が矢印A方向へ移動する際には、スライド部材22のラック22bと噛み合った小径ギア26bと、この小径ギア26bと一体化している大径ギア26aと、この大径ギア26aにかみ合ったラック23eを有するばね受け部材23とが、一体的に矢印A方向へ移動する。
そして、上記引っ張りスプリング25が自然長あるいはほぼ自然長となって、スライド部材22の移動力がなくなったとき、図12の位置でスライド部材22及びバネ受け部材23が停止する。この時、スライド部材22の位置は一方向の終端位置の近傍であり、引き出しは全閉状態である。
図12の全閉状態から引き出しを開ける際には、引き出しをさらに押し込むように、スライド部材22に矢印A方向の力を作用させる。
引き出しを押し込むようにして、スライド部材22を矢印A方向へ移動させると、図13に示す状態となり、移動方向先端のロック爪22hがケーシング21のロック解除凸部21hに押圧され、ばね受け部材23の被チャック部23fが解放される。
これによりばね受け部材23とスライド部材22との連結が解除され、スライド部材22のばね押さえ22gとばね受け部材23とが相対移動可能になる。そこで、ばね受け部材23の底面23bをケーシング21に接触させた状態で、コイルばね24が伸長してばね力が解放される。コイルばね24が伸長すると、ばね押さえ22gを介してスライド部材22が引き出しの開方向である矢印B方向へ移動する(図14参照)。
なお、図12に示す位置でスライド部材22が一旦停止したとき、自然長あるいはほぼ自然長となった上記引っ張りスプリング25の線材間の隙間は保たれていても、隙間なく線材が密着した状態となっていても、どちらでもかまわない。上記線材間に隙間が保たれていれば、閉じた引き出しをさらに押し込むとき、上記引っ張りスプリング25をさらに圧縮させることになるが、線材が密着した状態から引き出しを押しこめば、最短状態となった引っ張りスプリング25の全体をしならせながらスライド部材22を移動させることになる。
この実施形態では、上記ロック爪22h及び被チャック部23fによってばね力を蓄積した状態を保ち、上記引っ張りスプリング25が、ばね力を蓄積した状態の移動部材を一方向の終端位置の近傍まで移動させ、その位置に保つ機能も発揮している
上記したように図13に示すように、ロック解除凸部21hによってばね受け部材23から被チャック部23fが解放されれば、コイルばね24のばね力が解放される。このばね力の解放によって、スライド部材22は矢印B方向へ移動し、図14に示す位置よりさらに矢印B方向へ移動した後、図10に示す引き出しの全開位置である他方向の終端に達して停止する。このとき、上記ギア26とともに移動したチャック部材28のストッパ片28bは止め溝21gにはまって固定され、ギア26の中心が再び固定される。
上記のように、この実施形態の直動制御装置は直線移動する引き出しを、閉じ方向へ移動させる際には所定の位置まで外力を作用させて押し込むことで、その後は自動的に一方向移動を継続させ、全閉状態にすることができる。また、上記所定の位置までの移動過程においてばね力を蓄積することができ、この蓄積したばね力によって全閉状態の引き出しを全開位置あるいはその近傍まで自動的に移動させることができる。
なお、上記実施形態では、スライド部材22の一方向の終端位置近傍において上記引っ張りスプリング25が自然長となってスライド部材22の移動が停止するようにしている。
しかし、スライド部材22の一方向の終端位置近傍において上記引っ張りスプリング25が引っ張り力を保っていても、ロック爪22hが上記ロック解除凸部21hに当接することによって上記スライド部材22が停止するようにしてもよい。この場合の引っ張りスプリング25の引っ張り力は、ロック爪22hが上記ロック解除凸部21hによって解除されることがない程度に弱く設定しておく。
また、引っ張りスプリング25によってスライド部材22が終端位置に達すると同時に上記ロック爪22hがロック解除凸部21hに衝突してロック爪22hが解放されるようにしてもよい。その場合には、別の方法で上記ばね力の解放を制限しながらスライド部材22の位置を保持する必要がある。
但し、スライド部材22が一方向の終端位置に達した直後に他方向の移動が開始するようにして使用する場合には、上記スライド部材22を上記一方向の終端位置で保持する必要はない
例えば、引き戸を上記コイルばね24によって常時閉めておくようにして、途中まで手で開けると後は自動的に開き、人が通り過ぎたころに全開位置から自動的に戸が戻って閉まるようにすることもできる
なお、上記は引き出しの直線移動を制御する例を説明したが、直線移動する部材は引き出しに限らない。例えば、この直動制御装置を引き戸などに用いることもできる。
また、ケーシング21とスライド部材22のいずれを固定部材に取り付け、いずれを移動部材に取り付けることも可能であり、上記と同様の作用効果を得られる。
あるいは、上記引っ張りスプリング25の代わりに重力を利用して、一方向移動を実現することもできる。例えば、スライド部材22の移動方向を上下方向とし、上から下へ向かう方向を一方向とすれば、スライド部材22の重量及びスライド部材22と一体的に移動する移動部材の重量を利用して一方向の移動力を得ることもできる。
さらに、スライド部材に滑車などを介して方向を変換した重りを連結して、重力の作用に基づく移動力を水平な一方向の移動力とすることもできる。
さらにまた、上記スプリング力と重力との複合力に基づく一方向の移動力を利用するようにしてもよい。
なお、上記実施形態において、ばね部材をコイルばねとしているが、この発明のばね部材はコイルばねに限らない。
両方向に直線運動をする様々な移動部材の移動制御に利用できる。
21 ケーシング
21e チャック移動溝
21f ギア移動孔
21h ロック解除凸部
22 スライド部材
22a 本体
22b ラック
22e チャック解除部
22g ばね押さえ
22h ロック爪
23 ばね受け部材
23a 本体
23e ラック
23f 被チャック部
24 コイルばね
25 引っ張りスプリング
26 ギア
26a 大径ギア
26b 小径ギア
28 チャック部材

Claims (2)

  1. ケーシング(21)と、
    このケーシング(21)に対して直線移動可能に支持されるとともに、スプリング力(25)もしくは重力あるいはこれらの複合力に基づく一方向の移動力によって直線的に移動するスライド部材(22)と、
    上記ケーシング(21)と上記スライド部材(22)との間に介在し、上記スライド部材(22)を上記ケーシング(21)に対して他方向に移動させる移動力を発揮するばね部材(24)と、
    このばね部材(24)の上記ケーシング(21)側の端部を支持するとともに、上記一方向あるいは他方向の直線移動を可能にされ、上記他方向に移動することによって上記ばね部材(24)を圧縮してばね力を蓄積するばね受け部材(23)と、
    上記スライド部材(22)とばね受け部材(23)との間に介在し、上記スライド部材(22)が外力の作用によって上記一方向の移動過程で始点から所定の移動位置まで移動するとき、その一方向の移動力を上記ばね受け部材(23)の上記他方向の移動力に変換するギア(26)と、
    上記ギア(26)の回転軸部材(27)を挿入する軸孔(28a)及び先端を外方に向かって開いた一対のストッパ片(28b,28b)を備え、上記スライド部材(22)が上記一方向の移動過程で上記所定の位置まで移動する間、上記ギア(26)を上記ケーシング(21)に固定するためのチャック部材(28)と、
    上記ケーシング(21)の内側面(21c)に形成され、上記チャック部材(28)が移動可能にはめ込まれる長手方向に伸びたチャック移動溝(21e)と、
    このチャック移動溝(21e)において上記チャック部材(28)の上記ストッパ片(28b,28b)がはまる止め溝(21g)と、
    このチャック移動溝(21e)の内側に形成され、上記ギア(26)の上記回転軸部材(27)がはめ込まれる長手方向に伸びたギア移動孔(21f)と、
    上記スライド部材(22)に設けられ、上記スライド部材(22)が上記所定の位置を越えるとき、上記止め溝(21g)にはまった上記一対のストッパ片(28b,28b)に外力を作用させて、上記一対のストッパ片(28b,28b)を上記止め溝(21g)から外すチャック解除部(22e)と、
    上記スライド部材(22)の上記一方向の移動方向先端設けられたロック爪(22h)と、
    上記ばね受け部材(23)に設けられ、上記スライド部材(22)が上記一方向の移動過程で上記所定の位置を越えて一方向の終端位置あるいはその近傍に達するまで、上記ロック爪(22h)が引っかかって上記ばね受け部材(23)と上記スライド部材(22)との距離を一定に保つための被チャック部(23f)と、
    上記ケーシング(21)に形成され、上記スライド部材(22)が一方向の終端位置もしくはその近傍に到達した後に、上記ロック爪(22h)と被チャック部(23f)との引っ掛かりを解除するロック解除凸部(21h)とが備えられ、
    上記スライド部材(22)が一方向の移動過程で上記所定の位置に達したとき、上記チャック解除部(22e)が機能して上記チャック部材(28)の上記ストッパ片(28b,28b)上記止め溝(21g)から外されるとともに、上記ロック爪(22h)及び被チャック部(23f)によって上記ばね部材(24)の圧縮状態が維持された状態で、上記スライド部材(22)、上記ギア(26)及びばね受け部材(23)が一体となって上記スプリング力(25)もしくは重力あるいはこれらの複合力の作用のみで上記一方向の終端位置あるいはその近傍に達するまで移動し、
    上記ロック解除凸部(21h)によって上記ロック爪(22h)と被チャック部(23f)との引っ掛かりが解放されたとき、上記スライド部材(22)は、上記ばね部材(24)のばね力によって、上記一方向の終端位置もしくはその近傍から他方向に移動して上記他方向の終端位置まで達する構成にされた直動制御装置。
  2. 上記ギア(26)は、大径ギア(26a)と小径ギア(26b)とが一体化して構成され、上記スライド部材(22)の一方向の移動量上記ばね受け部材(23)に増幅して伝達される請求項1に記載の直動制御装置。
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