以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
<本発明の模式的な実施形態>
まず、図1〜4を用いて、本発明の概要を説明する模式的な実施の形態に係る引き出し付きキャビネットの概要を説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る引き出し付きキャビネットの概要を示す模式的断面図であり、キャビネット本体に対して引き出しが全閉位置に位置する状態である。
図2は、本発明の実施の形態に係る引き出し付きキャビネットの概要を示す模式的断面図であり、キャビネット本体に対して引き出しが全開位置に位置する状態である。
図3は、引き出しをキャビネット本体に対し全閉位置から全開位置まで引き出すときの位置関係を示す模式図である。
図4は、引き出しをキャビネット本体に対し全開位置から全閉位置まで引き込むときの位置関係を示す模式図である。
本実施形態に係る引き出し付きキャビネット10は、キャビネット本体100と、引き出し200と、を備える。
キャビネット本体100は、前方向に向けて開放された収納領域101を内部に有する。すなわち、キャビネット本体100の内部には、収納領域101が形成されている。
引き出し200は、収納領域101と、収納領域101の前方に位置する前方領域102と、の間を前後方向に移動することができる。
なお、本願明細書において、「前」方向とは、引き出し200がキャビネット本体100から引き出される方向をいう。また、「後」方向とは、引き出し200がキャビネット本体100に収納される方向をいう。「上」方向とは、本実施形態に係るキャビネット10の前にいる使用者からみて上の方向をいう。また、「下」方向は、本実施形態に係るキャビネット10の前にいる使用者からみて下の方向をいう。
更に、引き出し付きキャビネット10は、レール(図示なし)と、引き込み手段30(図2参照)と、を備える。
レールは、引き出し200が収納領域101と前方領域102との間を前後方向に移動することができるようにするものである。
引き込み手段30は、後方側に移動中の引き出し200が所定の位置(第1の位置)を越えると引き出し200を全閉位置まで引き入れるものである。引き込み手段30は、ばね301(図4参照)と、引っ張り手段40(図2参照)と、を有する。引っ張り手段40は、ばね301の前方側の端部に設けられる第1支持部材310と、ばね301の後方側の端部に設けられる第2支持部材320と、を有する。なお、本願明細書において「ばねの端部」という範囲は、ばねの端の近傍の領域(例えば、ばねの端からの距離が10mm以下の領域)を含む。ばね301は、第1支持部材310および第2支持部材320により、引き出し200の移動方向と同じ方向、すなわち前後方向に伸び縮みするように配置されている。ばね301は、例えば、引張りコイルばねを用いることができる。引っ張り手段は、引き出し200をキャビネット本体100に収納する過程において、ばね301を引っ張るように機能する。
第1支持部材310および第2支持部材320は、ばね301により互いに引き寄せ合っている。図3および4に示すように、第1支持部材310および第2支持部材320は、移動可能領域Aの範囲内において前後方向に移動可能となるように、キャビネット本体100に設置されている。さらに、第1支持部材310および第2支持部材320は、それぞれC型部材311、321を有している。C型部材311、321は、第1支持部材310および第2支持部材320に対して回動可能であって、その回動位置によって第1支持部材310および第2支持部材320を移動可能領域A内の移動が規制されてキャビネット本体100に対する相対的位置が固定された状態(以下、ロック状態と呼ぶ)と、移動可能領域A内の移動が規制されていない状態、すなわち移動可能領域A内の移動が可能な状態(以下、フリー状態と呼ぶ)と、を切り替えることができる。ロック状態とフリー状態の切り替えは、後述するピン331、332、333により行われる。
また、引き込み手段30は、3つのピン331、332、333を有している。それら3つのピン331、332、333は、引き出し200に設けられており、前方から、ピン331、ピン332、ピン333の順に配設されている。3つのピン331、332、333は、それぞれ上下方向に移動可能であり、上方に移動させることでC型部材311、321に差し込むことができる。言い換えると、3つのピン331、332、333は、C型部材311、321の差し込まれる位置と、差し込まれない位置との間を移動可能である。3つのピン331、332、333のいずれか1つがC型部材311の開放部312に差し込まれると、C型部材311の開放部312は下方に向いて、第1支持部材310と開放部312に差し込まれたピンとが連結する。これにより、引き出し200と連動して第1支持部材310も移動可能となる。また、3つのピン331、332、333のいずれか1つがC型部材321の開放部322に差し込まれると、C型部材321の開放部322は下方に向いて、第2支持部材320と開放部322に差し込まれたピンとが連結する。これにより、引き出し200と連動して第2支持部材320も移動する。C型部材311およびC型部材321と、ピン331、332、333と、が連動することができる連動範囲は、移動可能領域A内である。C型部材311と連動するピンが移動可能領域Aよりも前方側の領域へ移動するときは、移動可能領域Aの前端部でC型部材311の開放部312を側方に向けることにより連動を解除するとともに、第1支持部材310は移動可能領域Aの前端部でロック状態となる。同様に、C型部材321と連動するピンが移動可能領域Aよりも前方側の領域へ移動するときは、移動可能領域Aの後端部でC型部材321の開放部322を側方に向けることにより連動を解除するとともに、第2支持部材320は移動可能領域Aの後端部でロック状態となる。すなわち、ピンが差し込まれていない状態でC型部材311、321が側方を向いている状態はロック状態となる。
次に、図3を用いて、本実施形態に係る引き出し付きキャビネット10および引き出しの引き出し機構における、引き出し200をキャビネット本体100に対し全閉位置から全開位置まで引き出すときの各部材の位置関係について説明する。
図3(a)は、引き出し200がキャビネット本体100に収納されている状態である。言い換えると、引き出し200が全閉位置に位置する状態である。この状態では、第1支持部材310および第2支持部材320は、移動可能領域Aの最も後方側に位置しており、ばね301にばね力は蓄積されていない。第1支持部材310は、フリー状態であり、C型部材311にはピン331が差し込まれている。また、第2支持部材320は、ロック状態である。すなわち、キャビネット本体100に対してロック状態となった第2支持部材320により、ばね301のばね力が第1支持部材310およびピン331を介して引き出し200にかかっている状態である。そのため、引き出し200は、キャビネット本体100から意図せず引き出されることを防止することができる。
図3(a)に示す状態から使用者が図示せぬ取っ手を引いて、引き出し200を引き出し方向(図3の矢印B方向)に引き出し操作を行うと、図3(b)に示すように、第1支持部材310がばね力に抗って少しだけばね301を引っ張って引き出し200が前方に少しだけ移動する。すると、ピン332が図示せぬ移動機構によって上方側に移動し、第2支持部材320のC型部材321にピン332が差し込まれる。すると、第2支持部材320がフリー状態となる。これにより、少しだけ伸びたばね301は元に戻り、また、第1支持部材310および第2支持部材320が引き出し200に連動して、移動可能領域A内を前方方向に移動することができる。この第2支持部材320がフリー状態においては、ばね301を引っ張ることなく引き出し200を前方に移動することができるので、大きな力は不要である。
図3(b)に示す状態からさらに引き出し200が引き出されると、図3(c)に示すように、第1支持部材310および第2支持部材320が引き出し200に連動して前方方向に移動し、図示せぬ移動機構によって第2支持部材320からピン332が抜ける。
図3(c)に示す状態からさらに引き出し200が引き出されると、図3(d)に示すように、引き出し200に連動して第1支持部材310が前方側へ移動する。第2支持部材320は、ばね301の力により第1支持部材310とともに前方側へ移動する。その結果、図3(d)に示すように、第1支持部材310および第2支持部材320は、移動可能領域Aの最も前方側に位置する。また、第1支持部材310からピン331が前方側へ抜けることで、第1支持部材310はロック状態となる。
図3(d)に示す状態からさらに引き出し200が引き出されると、図3(e)に示すように、引き出し200がキャビネット本体100に対し全開位置まで引き出される。
以上のように、引き出し200をキャビネット本体100に対して全閉位置から全開位置まで引き出す際には、引き出し200を全閉位置に引き入れるためのばね301のばね力を蓄積するための力が必要ない。キャビネット本体100に対して引き出し200を引き出す際に、従来の引き出し付きキャビネットに比べて、より軽い力で引き出し200を引き出すことができる。
次に、図4を用いて、本実施形態に係る引き出し付きキャビネット10および引き出しの引き出し機構における、引き出し200をキャビネット本体100に対し全開位置から全閉位置まで収納するときの各部材の位置関係について説明する。
図4(a)は、引き出し200がキャビネット本体100に対して全開位置まで引き出されている状態である。この状態では、第1支持部材310および第2支持部材320は、移動可能領域Aの最も前方側に位置しており、ばね301にばね力は蓄積されていない状態である。第1支持部材310は、ロック状態であり、第2支持部材320は、フリー状態である。第1支持部材310および第2支持部材320のいずれにもピン331、332、333は、差し込まれていない。
図4(a)に示す状態から使用者が引き出し200を収納方向(図4の矢印C方向)に収納操作を行うと、図4(b)に示すように、図示せぬ移動機構によって第2支持部材320のC型部材321にピン333が差し込まれる。これにより、第2支持部材320は、引き出し200に連動して移動可能領域A内を後方方向に移動可能となる。すなわち、第1支持部材310はロック状態にあり、第2支持部材320がフリー状態となるので、引き出し200を収納させながら、引き出し200の移動方向に沿って配置したばね301を引っ張ってばね力を蓄積するための準備が整うこととなる。
図4(b)に示す状態からさらに引き出し200が収納方向へと移動すると、第1支持部材310はロック状態のまま、第2支持部材320は引き出し200に連動して移動可能領域A内を後方方向に移動する。これにより、引っ張り手段40が機能して、図4(c)に示すように、ばね301のばね力を蓄積していく。
図4(c)に示す状態からさらに引き出し200が収納方向へと移動すると、図4(d)に示すように、第2支持部材320が移動可能領域Aの後端部に到達して第2支持部材320のC型部材321からピン333が後方側へ抜けて、第2支持部材320はロック状態となる。図4(d)に示す状態で、ばね301は最も伸びた状態となり、ばね301に蓄積したばね力が最大となる。
図4(d)に示す状態からさらに引き出し200が収納方向へと移動すると、図4(e)に示すように、第1支持部材310のC型部材311に図示せぬ移動機構によって上方側へ移動したピン331が差し込まれることで、第1支持部材310がフリー状態となる。すなわち、第1支持部材310に引き出し200が連動することができる状態となる。 なお、図4(b)に示す状態から図4(e)に示す状態までは、引き出し200の収納操作による引き出し200の後方への移動の慣性力が生じており、引き出し200の移動は、その慣性力により行うことができる。すなわち、ばね301のばね力は、慣性力の助力により楽に蓄積することができる。
図4(e)に示す状態において、第1支持部材310のC型部材311にピン331が差し込まれており、第2支持部材320はロック状態となっている。そのため、図4(f)に示すように、ばね301に蓄積したばね力により、第1支持部材310は後方方向に引き寄せられる。言い換えると、ばね301に蓄積したばね力により、第1支持部材310は第2支持部材320側に引き寄せられる。引き出し200は第1支持部材310に連動することができる状態となっているため、引き出し200も第1支持部材310に連動して後方方向に移動し、図4(g)に示すように、引き出し200が全閉位置まで引き込まれる。
以上のように、本実施形態では、第1支持部材310と、第2支持部材320と、ピン333と、図示せぬ移動機構と、が引っ張り手段40を構成している。引っ張り手段40は、引き出し200をキャビネット本体100に収納する過程のうち図4(b)から図4(d)の間において、ばね301を引っ張っている。
また、引き込み手段30は、引き出し200をキャビネット本体100に収納する途中において、所定の位置(第2の位置)から引っ張り手段40を機能させてばね301を伸ばすことでばね力を蓄積するばね力蓄積工程と、ばね力蓄積工程の後に、蓄積したばね力を解放して引き出し200を全閉位置まで引き入れるばね力解放工程と、を実行する。本実施形態では、図4(b)に示す状態から図4(d)に示す状態までがばね力蓄積工程であり、図4(e)に示す状態から図4(g)に示す状態までがばね力解放工程である。
したがって、引き出し200の収納時に、引き出し200を所定の位置(第1の位置)から全閉位置まで収納するためのばね力を蓄積することができる。言い換えると、引き出し200を引き出す際には、ばね力を蓄積する必要がない。そのため、キャビネット本体100に対して引き出し200を引き出す際に、従来の引き出し付きキャビネットに比べて、より軽い力で引き出し200を引き出すことができるとともに、キャビネット本体100に対して引き出された引き出し200を確実に全閉位置に収納することができる。
また、引っ張り手段40は、引き出し200と同じ方向に駆動される。すなわち、引っ張り手段40(第1支持部材310及び第2支持部材320)は、引き出しを閉じるときに水平方向に移動することで、ばね301を伸び縮みさせる。
引っ張り手段が鉛直方向に沿って移動する場合には、引っ張り手段は重力に逆らって駆動されることとなる。この場合、例えば、ばね力蓄積工程を実行するときなどに、重力の分だけ大きな力が必要となる。これに対して、実施形態においては、引っ張り手段40を重力に逆らって駆動させてばねを伸ばさないため、ばね力蓄積工程を実行するための力が大きくなることを抑制できる。例えば、引き出し200が軽く、慣性力が小さい場合であっても、ばね力蓄積工程を実行しやすくなる。
また、ばね力蓄積工程において、引き出し200Cは、ばね301により前方に付勢された状態で、後方へ移動する。一方、ばね力解放工程においては、引き出し200は、ばね301により後方に付勢される。このため、ばね力蓄積工程の直後に、ばね力解放工程が実行されると、ばね301による付勢の方向が急に入れ替わることとなり、引き出し200Cの移動の滑らかさが損なわれる恐れがある。
これに対して、実施形態において、引き込み手段30は、ばね力蓄積工程とばね力解放工程との間において、ばね301にばね力が蓄積された状態を保持するばね力蓄積状態保持工程を実行する。ばね力蓄積状態保持工程では、引っ張り手段40によって、ばね301が一定の長さに伸ばされた状態が維持される。本実施形態では、図4(d)に示す状態と図4(e)に示す状態との間において、ばね力蓄積状態保持工程が実行されている。引き出し200は、ばね力蓄積状態保持工程の実行中に後方へ移動可能である。
ばね力蓄積状態保持工程を実行することにより、ばね力蓄積工程の直後に引き出し200が急に後方へ付勢されることを抑制でき、より滑らかに引き出し200を後方へ引き入れることができる。なお、ばね力蓄積状態保持工程の実行中における引き出し200の移動距離は、例えば10mm以上であることが好ましい。また、ばね力蓄積状態保持工程の実行中における引き出し200の移動距離は、例えば70mm以下が好ましい。
なお、図1〜4に示す本実施形態では、引き出しの引き出し機構(引き出しの動作機構20)は、レール(図示なし)と、引き込み手段と、で構成されている。引き込み手段は、ばね301(図3参照)と、引っ張り手段(第1支持部材310、第2支持部材320、ピン333及び移動機構)と、ピン331、332と、を有している。
また、このキャビネット10をシステムキッチンに適用する場合には、引き出し200を全開させずに物の出し入れを行うことから、第2の位置は、引き出し200を全開するまで引き出さずに引き込み機構が機能するようにするのが好ましい。具体的には、移動可能領域Aの長さを本実施形態よりも短くして、引き出し200を約200mm引き出した程度でも引き込み機構が機能するように、第2の位置は、引き出し200を約200mm引き出した位置とするのがよく、言い換えると、ばね力蓄積工程が、引き出し200が収納領域101からおよそ200mm引き出された位置よりも収納領域101側で開始されるのがよい。引き出し200を半分程度引き出したときには確実に引き込み機構が機能するのが好ましい。
<本発明の第1の実施形態>
次に、図5〜8を用いて、第1の実施形態に係る引き出し付きキャビネットおよび引き出しの引き出し機構について説明する。
図5は、第1の実施形態に係る引き出し付きキャビネットの概要を示す模式的断面図であり、キャビネット本体に対して引き出しが全閉位置に位置する状態である。
図6は、第1の実施形態に係る引き出し付きキャビネットの概要を示す模式的断面図であり、キャビネット本体に対して引き出しが全開位置に位置する状態である。
図7は、引き出しをキャビネット本体に対し全閉位置から全開位置まで引き出すときの位置関係を示す模式図である。
図8は、引き出しをキャビネット本体に対し全開位置から全閉位置まで引き込むときの位置関係を示す模式図である。
第1の実施形態に係る引き出し付きキャビネット10Aは、キャビネット本体100Aと、引き出し200Aと、を備える。
キャビネット本体100Aは、収納領域101Aを内部に有する。すなわち、キャビネット本体100Aの内部には、収納領域101Aが形成されている。
引き出し200Aは、前板201Aと、収納部202Aと、前板201Aに取り付けられた取っ手203Aと、を備えている。引き出し200Aは、収納領域101Aと、収納領域101Aの前方に位置する前方領域102Aと、の間を前後方向に移動することができる。
更に、引き出し付きキャビネット10Aは、レール400と、引き込み手段30A(図6参照)と、を備える。
レール400は、引き出し200Aが収納領域101Aと前方領域102Aとの間を前後方向に移動することができるようにするものである。レール400は、外レール410(固定レール)と、中レール420(可動レール)と、内レール430(可動レール)と、を有する。
外レール410は、キャビネット本体100Aに固定されるレールであり、中レール420は、外レール410に対して前後方向に移動可能に組み合わせられたレールである。また、内レール430は、中レール420に対して前後方向に移動可能に組み合わせられたレールであり、中レール420を介して間接的に外レール410に対して前後方向に移動可能に組み合わせられている。内レール430は、引き出し200Aに固定される。中レール420は、内レール430が前方側に移動すると、内レール430に連動して前方側へ、内レール430より遅い速度で移動する。また、中レール420は、内レール430が後方側に移動すると、内レール430に連動して後方側へ、内レール430より遅い速度で移動する。逆に、内レール430は、中レール420が前方側に移動すると、中レール420に連動して前方側へ、中レール420より大きい速度で移動する。また、内レール430は、中レール420が後方側に移動すると、中レール420に連動して後方側へ、中レール420より大きい速度で移動する。
引き込み手段30Aは、後方側に移動中の引き出し200Aが所定の位置(第1の位置)を越えると引き出し200Aを全閉位置まで引き入れるものである。引き込み手段30Aは、ばね301Aと、ばねケース340と、引っ張り手段40A(第1支持部材310Aと、第2支持部材320A)と、ストッパー350と、を有する。
引き込み手段30Aは、外レール410と中レール420との間に設けられている。すなわち、引き込み手段30Aは、レール400に組み込まれている。
ばね301Aは、第1支持部材310Aおよび第2支持部材320Aにより、引き出し200Aの移動方向と同じ方向、すなわち前後方向に伸び縮みするように配置されている。ばね301Aは、ばねケース340内に収納されている。ばね301Aは、例えば、引張りコイルばねを用いることができる。
引っ張り手段40Aは、引き出し200Aをキャビネット本体100Aに収納する途中で、ばね301Aを引っ張るように機能する。
第1支持部材310Aは、ばね301Aの前方側の端部に設けられている。第2支持部材320Aは、ばね301Aの後方側の端部に設けられている。第1支持部材310Aおよび第2支持部材320Aは、ばね301Aにより互いに引き寄せ合っている。第1支持部材310Aおよび第2支持部材320Aは、外レール410と中レール420との間の領域であって、図7および図8の移動可能領域D内を前後方向に移動可能となるように、レール400内に組み込まれている。
また、引き込み手段30Aは、第1受け部411と、第2受け部413と、第3受け部421と、第4受け部423と、を有する。第1受け部411および第2受け部413は、外レール410に形成されており、第3受け部421および第4受け部423は、中レール420に形成されている。第1受け部および第3受け部421は、第1支持部材310Aを受け入れ可能であり、第2受け部413および第4受け部423は、第2支持部材320Aを受け入れ可能である。第3受け部421に第1支持部材310Aが差し込まれることで、引き出し200Aと連動して第1支持部材310Aが移動可能となり、第4受け部423に第2支持部材320Aが差し込まれることで、引き出し200Aと連動して第2支持部材320Aが移動可能となる。
第1支持部材310Aおよび第2支持部材320Aと、第1受け部411、第2受け部413、第3受け部421および第4受け部423と、の関係により、移動可能領域D内の移動が規制されてキャビネット本体100Aに対する相対的位置が固定された状態(以下、ロック状態と呼ぶ)と、移動可能領域D内の移動が規制されていない状態、すなわち移動可能領域D内の移動が可能な状態(以下、フリー状態と呼ぶ)と、を切り替えることができる。
ストッパー350は、中レール420に固定されており、第1支持部材310Aおよび第2支持部材320Aの前後方向の移動を規制するためのものである。ストッパー350には、貫通孔が形成されており、貫通孔は、その内部をばねケース340が移動することができるように形成されている。
次に、図7を用いて、第1の実施形態に係る引き出し付きキャビネット10Aおよび引き出しの引き出し機構における、引き出し200Aをキャビネット本体100Aに対し全閉位置から全開位置まで引き出すときの各部材の位置関係について説明する。
なお、図7では、引き出しの図示を省略している。
図7(a)は、引き出し200Aがキャビネット本体100Aに収納されている状態である。言い換えると、引き出し200Aが全閉位置に位置する状態である。第1支持部材310Aは、第3受け部421に差し込まれており、フリー状態である。そのため、第1支持部材310Aは、中レール420および外レール410を介して引き出し200Aに連動して前方方向へ移動可能である。また、第2支持部材320Aは、第2受け部413に差し込まれており、ロック状態である。引き出し200がキャビネット本体100Aに対して収納されている状態において、ばね301Aは、自然長よりも伸びた状態で維持されている。すなわち、図7(a)に示す状態では、ばね301のばね力が第1支持部材310A、中レール420、および外レール410を介して引き出し200Aを収納する方向にかかっている状態である。
図7(a)に示す状態から使用者が取っ手203Aをつかんで引き出し200Aを引き出し方向(図7の矢印B方向)に引き出し操作を行うと、図7(b)に示すように、第2支持部材320Aが第2受け部423から外れ、第2支持部材320Aがフリー状態となる。そのため、第2支持部材320Aは、ばね301Aのばね力により第1支持部材310A側、すなわち前方側に移動する。ただし、この状態ではばね301Aは自然長に戻っておらず、伸びている状態にある。図7(c)に示すように、第2支持部材320Aがさらに前方側へ移動すると、第2支持部材320Aは、ストッパー350に当接し、前方方向への移動が規制される。このようにして、ばね301Aは、図7(a)に示す状態よりも縮むこととなる。
なお、引き出し200Aをキャビネット本体100Aから引き出す引き出し初期は、ばね301Aを引っ張るための力が必要となるが、図7(a)および(b)に示すように、第2支持部材320Aがロック状態からフリー状態になるまでの距離を短くすることで、ばね301Aを引っ張るための力を小さくすることができる。
図7(c)に示す状態からさらに引き出し200Aが引き出されると、図7(d)に示すように、第1支持部材310Aは、第3受け部421から外れ、ばね301Aのばね力により第2支持部材320A側、すなわち後方側に移動する。図7(e)に示すように、第1支持部材310Aがさらに後方側へ移動すると、ばね301Aの長さがばねケース340と同じ長さになる。これにより、ばねの縮みが止まるとともに、第1支持部材310Aの後方方向への移動が規制される。このとき、第1支持部材310Aのフリー状態は維持したままである。
なお、図7(d)に示す状態では、第1支持部材310Aおよび第2支持部材320Aは、移動可能領域Dの最も前方側に位置している。
図7(e)に示す状態からさらに引き出し200Aが引き出されると、図7(f)に示すように、ストッパー350が中レール420の移動に連動して、第1支持部材310Aに当接する位置まで移動する。また、第2支持部材320Aが第4受け部423に差し込まれる。これにより、第2支持部材320Aは、中レール420および外レール410を介して引き出し200Aに連動して前方方向へ移動可能となる。
図7(f)に示す状態からさらに引き出し200Aが引き出されると、図7(g)に示すように、引き出し200Aがキャビネット本体100Aに対して全開位置まで引き出される。
以上のように、引き出し200Aをキャビネット本体100Aに対して全閉位置から全開位置まで引き出す際には、引き出し200を全閉位置に引き入れるためのばね301Aのばね力を蓄積ための力が必要ない。そのため、従来の引き出し付きキャビネットに比べて、より軽い力で引き出し200を引き出すことができる。
次に、図8を用いて、第1の実施形態に係る引き出し付きキャビネット10Aおよび引き出しの引き出し機構における、引き出し200Aをキャビネット本体100Aに対し全開位置から全閉位置まで収納するときの各部材の位置関係について説明する。
なお、図8では、引き出しの図示を省略している。
図8(a)は、引き出し200Aがキャビネット本体100Aに対して全開位置まで引き出されている状態である。この状態では、ばね301Aはばねケース340と同じ長さである。第1支持部材310Aおよび第2支持部材320Aは、いずれもフリー状態である。第2支持部材320Aは、第4受け部423に差し込まれている。
図8(a)に示す状態から使用者が引き出し200Aを収納する方向(図8の矢印C方向)に収納操作を行うと、図8(b)に示すように、第1支持部材310Aおよび第2支持部材320Aは、中レール420および外レール410を介して引き出し200Aに連動して移動可能領域D内を後方方向に移動する。そして、図示せぬ移動機構により第1支持部材310Aが第1受け部411に差し込まれ、ロック状態となる。これにより、引っ張り手段が機能して、ばね301Aのばね力を蓄積していく。
図8(b)に示す状態からさらに引き出し200Aを収納方向へと移動すると、図8(c)に示すように、第1支持部材310Aはロック状態のまま、第2支持部材320Aは引き出し200Aに連動して移動可能領域D内を後方方向に移動する。これにより、ばね301Aのばね力が蓄積される。図8(c)および(d)に示すように、第3受け部421が第1受け部411と対向する位置まで中レール420が移動すると、図示せぬ移動機構により第1支持部材310Aは、第1受け部411に差し込まれた状態から第3受け部421に差し込まれた状態へと移動する。これにより、ばね301Aは、最も伸びた状態となり、ばね301Aに蓄積したばね力が最大となる。このとき、第2支持部材320Aは、フリー状態となる。
図8(d)に示す状態からさらに引き出し200Aが収納方向へと移動すると、図8(e)に示すように、第1支持部材310Aおよび第2支持部材320Aはそれぞれ第3受け部421および第4受け部423に差し込まれたフリー状態のまま、引き出し200Aに連動して移動可能領域D内を後方方向に移動する。図8(e)および(f)に示すように、第4受け部423が第2受け部413と対向する位置まで中レール420が移動すると、図示せぬ移動機構により第2支持部材320Aは、第4受け部423に差し込まれた状態から第2受け部413に差し込まれた状態へと移動する。これにより、第2支持部材320Aは、ロック状態となる。
なお、図8(b)に示す状態から図8(d)に示す状態までは、引き出し200の収納操作による引き出し200の後方への移動の慣性力が生じており、引き出し200の移動は、慣性力により行うことができる。すなわち、ばね301Aのばね力は、慣性力の助力により楽に蓄積することができる。
図8(f)に示す状態において、第1支持部材310Aは第3受け部421に差し込まれており、第2支持部材320Aはロック状態となっている。そのため、第1支持部材310Aは、ばね301Aに蓄積したばね力により、後方方向に引き寄せられる。言い換えると、ばね301に蓄積したばね力により、第1支持部材310は第2支持部材320側に引き寄せられる。引き出し200Aは第1支持部材310Aに連動することができる状態となっているため、引き出し200Aも第1支持部材310に連動して後方方向に移動し、図8(g)に示すように、引き出し200が全閉位置まで引き込まれる。
以上のように、第1の実施形態では、第1支持部材310Aと、第2支持部材320Aと、第1受け部411と、第3受け部421と、第4受け部423と、図示せぬ移動機構と、が引っ張り手段40Aを構成している。引っ張り手段40Aは、引き出し200Aをキャビネット本体100Aに収納する過程のうち図8(b)から図8(d)の間において、ばね301Aを引っ張っている。
また、引き込み手段30Aは、引き出し200Aをキャビネット本体100Aに収納する途中において、所定の位置(第2の位置)からばね引っ張り手段を機能させてばね301Aを伸ばすことでばね力を蓄積するばね力蓄積工程と、ばね力蓄積工程の後に、蓄積したばね力を解放して引き出し200を全閉位置まで引き入れるばね力解放工程と、を実行する。第1の実施形態では、図8(b)に示す状態から図8(d)に示す状態までがばね力蓄積工程であり、図8(e)に示す状態から図8(g)に示す状態までがばね力解放工程である。
したがって、第1の実施形態にかかる引き出し付きキャビネット10Aによれば、引き込み手段30Aは、引き出し200Aの移動方向と同じ方向に伸び縮みするよう配置されるばね301Aと、引き出し200Aを収納する際にばね301Aを引っ張る引っ張り手段40Aと、有する。また、引き込み手段30Aは、引き出し200Aを収納する途中において、所定の位置(第2の位置)から引っ張り手段を機能させてばねを伸ばすことでばね力を蓄積するばね力蓄積工程と、ばね力蓄積工程の後に、蓄積したばね力を解放して引き出しを全閉位置まで引き入れるばね力解放工程と、を備える。これにより、引き出し200Aの収納時に、引き出し200Aを所定の位置(第1の位置)から全閉位置まで収納するためのばね力を蓄積することができる。そのため、引き出しの収納時の慣性力を使ってばね力を蓄積することができる。よって、キャビネット本体100Aに対して引き出された引き出し200Aを確実に全閉位置に収納することができるとともに、キャビネット本体100Aに対して引き出し200Bを引き出す際に、ばね力を蓄積する必要がなく、従来の引き出し付きキャビネットに比べて、より軽い力で引き出しを引き出すことができる。
なお、第1の位置は、図8(f)に示す位置であり、第2の位置は、図8(b)に示す位置である。
また、第1の実施形態の引き出し付きキャビネット10Aでは、引き込み手段30Aは、レール400に組み込まれている。また、引っ張り手段40Aは、第1支持部材310Aおよび第2支持部材320Aが中レール420または外レール410に連動する状況を制御することによってばね301Aを引っ張るものであり、さらに、ばね蓄積工程は、引き出しを後方側に移動している途中で第1支持部材310Aが外レール410に連動されるとともに第2支持部材320Aが中レール420に連動されるように引っ張り手段40Aを機能させた状態で中レール420が内レール430を介して引き出し200Aとともに後方へ移動することによって、ばね301Aを引っ張るものである。さらに、ばね力解放工程は、ばね力が蓄積された状態で引っ張り手段40Aの機能を停止させて第1支持部材310Aが中レール420に連動されるとともに第2支持部材320Aが外レール410に連動されることによってばね力を解放して引き出し200Aを全閉位置まで引き入れる。これにより、レール400を引き出し200Aに取り付けるだけで引き出し200Aを全閉位置まで引き込む機能を付加することができる。すなわち、部品数を増やすことなく、引き出し200Aを全閉位置まで引き込む機能を付加することができる。よって、組立工程を増やさずに、且つコストを抑えつつ、引き出しを全閉位置まで引き込む機能を付加することができる。
さらに、第1の実施形態の引き出し付きキャビネット10Aでは、引き出し200Aが全閉位置に位置する状態において、ばね301Aのばね力が引き出し200Aにかかっているため、収納領域にある引き出しの前方領域への移動を抑えている。これにより、引き出しが意図せず引き出されることを防止することができる。
また、引っ張り手段40Aは、引き出し200Aと同じ方向に駆動される。すなわち、引っ張り手段40A(第1支持部材310A及び第2支持部材320A)は、引き出しを閉じるときに水平方向に移動することで、ばね301Aを伸び縮みさせる。引っ張り手段40Aを重力に逆らって駆動させてばねを伸ばさないため、ばね力蓄積工程を実行するための力が大きくなることを抑制できる。
また、引き込み手段30Aは、ばね力蓄積工程とばね力解放工程との間において、ばね301Aにばね力が蓄積された状態を保持するばね力蓄積状態保持工程を実行する。この例では、図8(d)に示す状態と図8(e)に示す状態との間において、ばね力蓄積状態保持工程が実行されている。引き出し200Aは、ばね力蓄積状態保持工程の実行中に後方へ移動可能である。ばね力蓄積状態保持工程を実行することにより、ばね力蓄積工程の直後に引き出し200Aが急に後方へ付勢されることを抑制でき、より滑らかに引き出し200Aを後方へ引き入れることができる。
なお、図5〜8に示す第1の実施形態では、引き出しの引き出し機構(引き出しの動作機構20A)は、レール400と、引き込み手段30Aと、で構成されている。
第1の実施形態の引き出しの引き出し機構では、引き込み手段は、引き出し200Aの移動方向と同じ方向に伸び縮みするよう配置されるばね301Aと、引き出し200Aを収納する際にばね301Aを引っ張る引っ張り手段と、有する。また、引き込み手段は、引き出し200Aを収納する途中において、所定の位置(第2の位置)から引っ張り手段を機能させてばねを伸ばすことでばね力を蓄積するばね力蓄積工程と、ばね力蓄積工程の後に、蓄積したばね力を解放して引き出しを全閉位置まで引き入れるばね力解放工程と、を備える。これにより、引き出し200Aの収納時に、引き出し200Aを所定の位置(第1の位置)から全閉位置まで収納するためのばね力を蓄積することができる。そのため、引き出しの収納時の慣性力を使ってばね力を蓄積することができる。よって、キャビネット本体100Aに対して引き出された引き出し200Aを確実に全閉位置に収納することができるとともに、キャビネット本体100Aに対して引き出し200Bを引き出す際に、ばね力を蓄積する必要がなく、従来の引き出し付きキャビネットに比べて、より軽い力で引き出しを引き出すことができる。
また、第1の実施形態の引き出しの引き出し機構では、引っ張り手段は、第1支持部材310Aおよび第2支持部材320Aが中レール420または外レール410に連動する状況を制御することによってばね301Aを引っ張るものである。また、ばね力蓄積工程は、引き出しを後方側に移動している途中で第1支持部材310Aが外レール410に連動されるとともに第2支持部材320Aが中レール420に連動されるように引っ張り手段を機能させた状態で、中レール420が内レール430を介して引き出し200Aとともに後方へ移動することによって、ばね301Aを引っ張るものである。さらに、ばね力解放工程は、ばね力が蓄積された状態で引っ張り手段の機能を停止させて第1支持部材310Aが中レール420に連動されるとともに第2支持部材320Aが外レール410に連動されることによってばね力を解放して引き出し200Aを全閉位置まで引き入れる。これにより、レール500を引き出し200Aに取り付けるだけで引き出し200Aを全閉位置まで引き込む機能を付加することができる。すなわち、部品数を増やすことなく、引き出し200Aを全閉位置まで引き込む機能を付加することができる。よって、組立工程を増やさずに、且つコストを抑えつつ、引き出しを全閉位置まで引き込む機能を付加することができる。
さらに、第1の実施形態の引き出しの引き出し機構では、引き出し200Aが全閉位置に位置する状態において、ばね301Aのばね力が引き出し200Aにかかっているため、収納領域にある引き出しの前方領域への移動を抑えている。これにより、引き出し200Aが意図せず引き出されることを防止することができる。
なお、第1の実施形態では、レール400は中レール420を有しているが、中レール420を有さずに外レール410と、内レール430だけであってもよい。その場合、第3受け部421および第4受け部423は、内レール430に形成される。
<本発明の第2の実施形態>
次に、図9〜14を用いて、第2の実施形態に係る引き出し付きキャビネットおよび引き出しの引き出し機構について説明する。
図9は、第2の実施形態に係る引き出し付きキャビネットを示す模式図である。
図10は、第2の実施形態に係る引き出し付きキャビネットの一部を示す模式図である。
図11は、第2の実施形態に係る引き出し付きキャビネットの一部を示す模式図である。
図12は、引き出しをキャビネット本体に対し全閉位置から全開位置まで引き出すときの位置関係を示す模式図である。
図13は、引き出しをキャビネット本体に対し全開位置から全閉位置まで引き込むときの位置関係を示す模式図である。
図14は、引き出しをキャビネット本体に対し全開位置から全閉位置まで引き込むときの位置関係を示す模式図である。
第2の実施形態では、キャビネット本体および引き出しの構造は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
図9に示すように、引き出し付きキャビネットは、レール500と、引き込み手段30Bと、を備える。
レール500は、引き出し200Aが収納領域と前方領域との間を前後方向に移動することができるようにするものである。レール500は、外レール510(固定レール)と、内レール520(可動レール)と、を有する。
外レール510は、キャビネット本体100Aに固定されるレールであり、内レール520は、外レール510に対して前後方向に移動可能に組み合わせられたレールである。
引き込み手段30Bは、後方側に移動中の引き出し200Aが所定の位置(第1の位置)を越えると引き出し200Aを全閉位置まで引き入れるものである。引き込み手段30Bは、ばね301B(図10参照)と、ばね301C(図10参照)と、引っ張り手段40B(図10参照)を有する。引っ張り手段40Bは、第1支持部材310Bと、第2支持部材320Bと、を有する。
引き込み手段30Bは、外レール510と内レール520との間に設けられている。すなわち、引き込み手段30Bは、レール500に組み込まれている。
ばね301Bは、第1支持部材310Bおよび第2支持部材320Bにより、引き出し200Aの移動方向と同じ方向、すなわち前後方向に伸び縮みするように配置されている。ばね301Cは、ばね301Bよりもばね力が弱い。ばね301Bおよびばね301Cは、例えば、引張りコイルばねを用いることができる。
引っ張り手段30Bは、引き出し200Aをキャビネット本体100Aに収納する途中において、ばね301Bを引っ張るように機能する。
第1支持部材310Bは、ばね301Bの前方側の端部に設けられている。第2支持部材320Bは、ばね301Bの後方側の端部に設けられている。第1支持部材310Bおよび第2支持部材320Bは、ばね301Bにより互いに引き寄せ合っている。第1支持部材310Bおよび第2支持部材320Bは、移動可能領域E内を前後方向に移動可能となるように、外レール510に組み込まれている。
第1支持部材310Bは可動ピン531を有し、第2支持部材320Bは可動ピン533を有している。可動ピン531および可動ピン533は、それぞれ上下に移動可能である。可動ピン531、533は、移動可能領域E内の移動が規制されてキャビネット本体100Aに対する相対的位置が固定された状態(以下、ロック状態と呼ぶ)と、移動可能領域E内の移動が規制されていない状態、すなわち移動可能領域E内の移動が可能な状態(以下、フリー状態と呼ぶ)と、を切り替えることができる。ロック状態とフリー状態の切り替えは、後述するピン551、553により行われる。
さらに、第1支持部材310Bは、ピン553を受け入れ可能な凹部561が形成された連動部材560を有する(図14参照)。
また、引き込み手段30Bは、捕獲部材540を有している。捕獲部材540には、下方に凹んだ第1の凹部541と、第2の凹部543と、が形成されている。第1の凹部541および第2の凹部543は、可動ピン531、533を受け入れ可能である。
さらに、引き込み手段30Bは、2つのピン551、553を有している。それら2つのピン551、553は、内レール520に設けられており、前方から、ピン553、ピン551の順に配設されている。ピン551は、可動ピン531、533をロック状態にするものであり、ピン553は、ロック状態の可動ピン531、533をフリー状態にするものである。
図11を用いて、ピン551が可動ピン531、533をロック状態にする動作と、ピン553がロック状態の可動ピン531、533をフリー状態にする動作について説明する。
図11(a)に示す状態から内レール520が後方側に移動すると、可動ピン531にピン551が当接し、可動ピン531は、可動ピン531の形状に沿ってピン551に押されることで凹部541に差し込まれる。すると、図11(b)に示すように、第1支持部材310Bがロック状態となる。可動ピン531にピン551が当接しなくなった後も第1支持部材310Bのロック状態は維持される。
図11(b)に示す状態から内レール520をさらに後方側に移動させると、可動ピン531にピン553が当接し、可動ピン531はピン553に押し下げられることで凹部541から外れ、第1支持部材310Bがフリー状態となる(図11(c)参照)。
次に、図12を用いて、第2の実施形態に係る引き出し付きキャビネット10Aおよび引き出しの引き出し機構における、引き出し200Aをキャビネット本体100Aに対し全閉位置から全開位置まで引き出すときの各部材の位置関係について説明する。
なお、図12では、引き出し200Aの図示を省略している。
図12(a)は、引き出し200Aがキャビネット本体100Aに収納されている状態であり、引き出し200Aが全閉位置に位置する状態である。言い換えると、内レール520が後端位置に位置する状態である。第1支持部材310Bおよび第2支持部材320Bは、フリー状態であり、ばね301Bのばね力およびばね301Cのばね力によって移動可能領域Eの最も前方側に位置している。
図12(a)に示す状態から使用者が取っ手203Aをつかんで引き出し200Aを引き出し方向(図12の矢印B方向)に引き出し操作を行うと、図12(b)に示すように、可動ピン533にピン551が当接する。ピン551は、前方方向から力が加えられると後方側へ倒れるように構成されているため、引き出し操作時にピン551が可動ピン533に力を伝えることはない。また、ピン551が可動ピン533に当接しても、可動ピン533を押す力が働かないため、可動ピン533は凹部541に差し込まれない。
なお、可動ピン531に対しても同様である。また、引き出し200Aを引き出す際には、ピン553は可動ピン531および可動ピン533に当接しないように構成されている。
図12(b)に示す状態からさらに引き出し200Aが引き出されると、図12(c)に示すように、引き出し200Aがキャビネット本体100Aに対して全開位置まで引き出される。
以上のように、引き出し200Aをキャビネット本体100Aに対して全閉位置から全開位置まで引き出す際には、ばね301Bのばね力を蓄積しないため、従来の引き出し200A付きキャビネットに比べて、より軽い力で引き出し200Aを引き出すことができる。
次に、図13および図14を用いて、第2の実施形態に係る引き出し200A付きキャビネットおよび引き出し200Aの引き出し機構における、引き出し200Aをキャビネット本体100Aに対し全開位置から全閉位置まで収納するときの各部材の位置関係について説明する。
なお、図13では、引き出し200Aの図示を省略している。また、図14では、連動部材560の動作について説明するために、要部のみを図示している。
図13(a)は、引き出し200Aがキャビネット本体100Aに対して全開位置まで引き出されている状態である。この状態では、第1支持部材310Bおよび第2支持部材320Bは、移動可能領域Eの最も前方側に位置している。第1支持部材310Bおよび第2支持部材320Bは、いずれもフリー状態である。
図13(a)に示す状態から使用者が引き出し200Aを収納する方向(図13の矢印C方向)に収納操作を行うと、図13(b)に示すように、可動ピン531にピン551が当接する。そして、さらに内レール520が矢印C方向に移動すると、可動ピン531は、可動ピン531の形状に沿ってピン551に押されることで凹部541に差し込まれ、第1支持部材310Bがロック状態となる(図13(c)参照)。
図13(c)に示す状態からさらに引き出し200Aを収納方向へと移動すると、図13(d)に示すように、第1支持部材310Bはロック状態のまま、第2支持部材320Bの可動ピン533にピン551が当接する。これにより、引っ張り手段が機能して、ばね301Bのばね力を蓄積していく。
図13(d)に示す状態からさらに引き出し200Aを収納方向へと移動すると、図13(e)に示すように、可動ピン533は捕獲部材540に沿ってピン551に押されて移動可能領域E内を後方方向に移動する。すなわち、第2支持部材320Bは、後方側へと移動する。そして、図13(f)に示すように、可動ピン533が凹部543に相対する位置にまで第2支持部材320Bが移動すると、可動ピン533はピン551に押されることで凹部543に差し込まれ、第2支持部材320Bがロック状態となる。このとき、ばね301Bは、最も伸びた状態となり、ばね301Bに蓄積したばね力が最大となる。
なお、図13(c)に示す状態から図13(f)に示す状態までは、引き出し200Aの収納操作による引き出し200Aの後方への移動の慣性力が生じており、引き出し200Aの移動は、慣性力により行うことができる。すなわち、ばね301Bのばね力を、慣性力の助力により楽に蓄積することができる。
図13(f)に示す状態からさらに引き出し200Aが収納方向へと移動すると、図13(g)に示すように、可動ピン531にピン553が当接し、可動ピン531はピン553に押されることで凹部541から外れ、第1支持部材310Bがフリー状態となる。それと同時に、ピン553は、図示せぬ移動機構により連動部材560の凹部561に差し込まれる。これにより、第1支持部材310Bおよび引き出し200Aは、互いに連動して移動可能となる。
図13(h)に示すように、第1支持部材310Bは、ばね301Bに蓄積したばね力により、後方方向に引き寄せられる。このとき、ピン553が連動部材560の凹部に差し込まれていることによって、引き出し200Aは第1支持部材310Bに連動することができる状態となっているため、引き出し200Aも第1支持部材310Bに連動して後方方向に移動し、図13(i)に示すように、引き出し200Aが全閉位置まで引き込まれる。すなわち、内レール520が後端位置まで引き込まれる。このとき、可動ピン533はピン553に押されることで凹部543から外れ、第2支持部材320Bがフリー状態となる。引き出し200Aが全閉位置に達することで、ピン553は、連動部材560の凹部561から外れる。
その後、図13(j)に示すように、ばね301Cのばね力により、第1支持部材310Bおよび第2支持部材320Bは、移動可能領域E内の最も前方側の位置まで移動する。
次に、図14を用いて、図13(f)に示す状態から図13(j)に示す状態までの連動部材560の動作について説明する。
図14(a)に示すように、図13(f)に示す状態では、連動部材560の凹部561は前方方向を向いている。
図14(a)に示す状態から引き出し200Aが収納方向へ移動すると、図14(b)に示すように、可動ピン531はピン553に押されることで凹部541から外れ、第1支持部材310Bがフリー状態となる。それと同時に、ピン553は、図示せぬ移動機構により連動部材560の凹部561に差し込まれる。これにより、図13(h)に示すように、引き出し200Aは第1支持部材310Bに連動して後方方向に移動する。
図14(b)に示す状態から引き出し200Aが収納方向へ移動すると、図14(c)に示すように、可動ピン533はピン553に押されることで凹部543から外れ、第2支持部材320Bがフリー状態となる。また、図示せぬ移動機構により連動部材560が移動することで、ピン553は、連動部材560の凹部561から外れる。その後、図14(d)に示すように、連動部材560は、凹部561が前方方向を向く初期状態に戻る。
なお、図14(c)に示す状態は、図13(i)に示す状態に相当し、図14(d)に示す状態は、図13(j)に相当する。
以上のように、第2の実施形態では、第1支持部材310Bと、第2支持部材320Bと、ピン551と、図示せぬ移動機構と、が引っ張り手段40Bを構成している。引っ張り手段40Bは、引き出し200Aをキャビネット本体100Aに収納する過程、すなわち内レール520を後端位置まで移動させる過程のうち、図13(d)から図13(f)の間において、ばね301Bを引っ張っている。
また、引き込み手段30Bは、引き出し200Aをキャビネット本体100Aに収納する途中、すなわち内レール520を後端位置まで移動させる途中において、所定の位置(第2の位置)から引っ張り手段を機能させてばね301Bを伸ばすことでばね力を蓄積するばね力蓄積工程と、ばね力蓄積工程の後に、蓄積したばね力を解放して引き出し200Aを全閉位置まで引き入れるばね力解放工程と、を実行する。第2の実施形態では、図13(d)に示す状態から図13(f)に示す状態までがばね力蓄積工程であり、図13(g)に示す状態から図13(h)に示す状態までがばね力解放工程である。
したがって、第2の実施形態にかかる引き出し200A付きキャビネット10Aによれば、引き込み手段30Bは、引き出し200Aの移動方向と同じ方向に伸び縮みするよう配置されるばね301Bと、引き出し200Aを収納する際にばね301Bを引っ張る引っ張り手段40Bと、有する。また、引き込み手段は、引き出し200Aを収納する途中において、所定の位置(第2の位置)から引っ張り手段を機能させてばねを伸ばすことでばね力を蓄積するばね力蓄積工程と、ばね力蓄積工程の後に、蓄積したばね力を解放して引き出し200Aを全閉位置まで引き入れるばね力解放工程と、を備える。これにより、引き出し200Aの収納時に、引き出し200Aを所定の位置(第1の位置)から全閉位置まで収納するためのばね力を蓄積することができる。そのため、引き出しの収納時の慣性力を使ってばね力を蓄積することができる。よって、キャビネット本体100Aに対して引き出された引き出し200Aを確実に全閉位置に収納することができるとともに、キャビネット本体100Aに対して引き出し200Bを引き出す際に、ばね力を蓄積する必要がなく、従来の引き出し付きキャビネットに比べて、より軽い力で引き出しを引き出すことができる。
なお、第1の位置は、図13(g)に示す位置であり、第2の位置は、図13(d)に示す位置である。
また、第2の実施形態の引き出し200A付きキャビネットでは、引き込み手段30Bは、レール500に組み込まれている。また、引っ張り手段40Bは、第1支持部材310Bおよび第2支持部材320Bが内レール520または外レール510に連動する状況を制御することによってばね301Bを引っ張るものである。さらに、ばね蓄積工程は、引き出し200Aを後方側に移動している途中で第1支持部材310Bが外レール510に連動されるとともに第2支持部材320Bが内レール520に連動されるように引っ張り手段40Bを機能させた状態で内レール520が引き出し200Aとともに後方側へ移動することによって、ばね301Aを引っ張るものである。さらに、ばね力解放工程は、ばね力が蓄積された状態で引っ張り手段40Bの機能を停止させて第1支持部材310Bが内レール520に連動されるとともに第2支持部材320Bが外レール510に連動されるによってばね力を開放して引き出し200Aを全閉位置まで引き入れる。これにより、レール500を引き出し200Aに取り付けるだけで引き出し200Aを全閉位置まで引き込む機能を付加することができる。すなわち、部品数を増やすことなく、引き出し200Aを全閉位置まで引き込む機能を付加することができる。よって、組立工程を増やさずに、且つコストを抑えつつ、引き出しを全閉位置まで引き込む機能を付加することができる。
また、引っ張り手段40Bは、引き出し200Aと同じ方向に駆動される。すなわち、引っ張り手段40B(第1支持部材310B及び第2支持部材320B)は、引き出しを閉じるときに水平方向に移動することで、ばね301Bを伸び縮みさせる。引っ張り手段40Aを重力に逆らって駆動させてばねを伸ばさないため、ばね力蓄積工程を実行するための力が大きくなることを抑制できる。
また、引き込み手段30Bは、ばね力蓄積工程とばね力解放工程との間において、ばね301Bにばね力が蓄積された状態を保持するばね力蓄積状態保持工程を実行する。この例では、図13(f)に示す状態と図13(g)に示す状態との間において、ばね力蓄積状態保持工程が実行されている。引き出し200Aは、ばね力蓄積状態保持工程の実行中に後方へ移動可能である。ばね力蓄積状態保持工程を実行することにより、ばね力蓄積工程の直後に引き出し200Aが急に後方へ付勢されることを抑制でき、より滑らかに引き出し200Aを後方へ引き入れることができる。
なお、図9〜14に示す第2の実施形態では、引き出しの引き出し機構(引き出しの動作機構20B)は、レール500と、引き込み手段30Bと、で構成されている。
第2の実施形態の引き出しの引き出し機構では、引き込み手段は、引き出し200Aの移動方向と同じ方向に伸び縮みするよう配置されるばね301Bと、引き出し200Aを収納する際にばね301Bを引っ張る引っ張り手段と、有する。また、引き込み手段は、引き出し200Aを収納する際に所定の位置で引っ張り手段を機能させてばねを伸ばすことでばね力を蓄積するばね力蓄積工程と、ばね力蓄積工程の後に、蓄積したばね力を解放して引き出し200Aを全閉位置まで引き入れるばね力解放工程と、を備える。これにより、引き出し200Aの引き出し200A機構を引き出し200Aに取り付けることで、引き出し200Aの収納時に、引き出し200Aを所定の位置から全閉位置まで収納するためのばね力を蓄積することができる。そのため、キャビネットに対して引き出し200Aを引き出す際に、従来の引き出し200Aの動作機構に比べて、より軽い力で引き出し200Aを引き出すことができるともに、キャビネット本体100Aに対して引き出された引き出し200Aを確実に全閉位置に収納することができる。
また、第2の実施形態の引き出しの引き出し機構では、引っ張り手段は、第1支持部材310Bおよび第2支持部材320Bを内レール520または外レール510に連動する状況を制御することによってばね301Bを引っ張るものである。またばね力蓄積工程は、引き出しを後方側に移動している途中で第1支持部材310Bが外レール510に連動されるとともに第2支持部材320Bが内レール520に連動されるように引っ張り手段を機能させた状態で、内レール520が引き出し200Aとともに後方へ移動することによって、ばね301Bを引っ張るものである。さらに、ばね力解放工程は、ばね力が蓄積された状態で引っ張り手段の機能を停止させて第1支持部材310Bが内レール520に連動されるとともに第2支持部材320Bが外レール510に連動されることによってばね力を開放して引き出し200Aを全閉位置まで引き入れる。これにより、レール500を引き出し200Aに取り付けるだけで引き出し200Aを全閉位置まで引き込む機能を付加することができる。すなわち、部品数を増やすことなく、引き出し200Aを全閉位置まで引き込む機能を付加することができる。よって、組立工程を増やさずに、且つコストを抑えつつ、引き出しを全閉位置まで引き込む機能を付加することができる。
なお、第2の実施形態では、引き出し200Aを全閉位置に位置する状態で維持する手段を備えていないが、マグネット等により、引き出し200Aが全閉位置に位置する状態で維持されるようにしてもよい。
<第2の実施形態の変形例>
次に、図15および図16を用いて、第2の実施形態の変形例について説明する。
図15は、第2の実施形態の変形例である引き出し付きキャビネットを示す模式的断面図である。
図16は、第2の実施形態の変形例である引き出し付きキャビネットを示す模式的断面図である。
第2の実施形態の変形例では、引き出し付きキャビネット10Bは、キャビネット本体100Bと、引き出し200Bと、を備える。キャビネット本体100Bおよび引き出し200Bの構造は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。ただし、第2の実施形態の変形例では、キャビネット本体100Bにマグネット701が取り付けられており、引き出し200Bの背面にマグネット701により引き付けられる図示せぬ部材が設けられている。これにより、収納領域101Bにある引き出し200Bの前方領域102Bへの移動を抑えている。よって、引き出しが意図せず引き出されることを防止することができる。
図15および図16に示すように、引き出し付きキャビネット10Bは、レール600と、引き込み手段と、を備える。
レール600は、引き出し200Bが収納領域101Bと前方領域102Bとの間を前後方向に移動することができるようにするものである。レール600は、外レール610(固定レール)と、中レール620(可動レール)と、内レール630(可動レール)と、を有する。
外レール610は、キャビネット本体100Bに固定されるレールであり、中レール620は、外レール610に対して前後方向に移動可能に組み合わせられたレールである。また、内レール630は、中レール620に対して前後方向に移動可能に組み合わせられたレールであり、中レール620を介して間接的に外レール610に対して前後方向に移動可能に組み合わせられている。内レール630は、引き出し200Bに固定される。中レール620は、内レール630が前方側に移動すると、内レール630に連動して前方側へ、内レール630より遅い速度で移動する。また、中レール620は、内レール630が後方側に移動すると、内レール630連動して後方側へ、内レール630より遅い速度で移動する。逆に、内レール630は、中レール620が前方側に移動すると、中レール620に連動して前方側へ、中レール620より大きい速度で移動する。また、内レール630は、中レール620が後方側に移動すると、中レール620に連動して後方側へ、中レール620より大きい速度で移動する。
引き込み手段は、後方側に移動中の引き出し200Bが所定の位置(第1の位置)を超えると引き出し200Bを全閉位置まで引き入れるものである。引き込み手段の構造は、第2の実施形態と同様であるため、説明を省略する。なお、第2の実施形態の変形例では、ピン551、553を中レール620に設けており、ばね301Bと、ばね301Cと、引っ張り手段と、第1支持部材310Bと、第2支持部材320Bと、を外レール610に設けている。
第2の実施形態の変形例では、第2の実施形態と同様の効果を奏することができる。
<本発明の第3の実施形態>
次に、図17〜図24を用いて、第3の実施形態に係る引き出し付きキャビネット及び引き出しの動作機構について説明する。
図17(a)及び図17(b)は、第3の実施形態に係る引き出し付きキャビネットを示す模式的断面図である。
本実施形態に係る引き出し付きキャビネット10Cは、キャビネット本体100Cと、引き出し200Cと、レール700と、引き出しの動作機構20C(動作装置)と、を有する。図17(a)は、引き出し200Cがキャビネット本体100Cから引き出された状態を示し、図17(b)は、引き出し200Cがキャビネット本体100Cに収納された状態を示す。
キャビネット本体100Cは、前方に向けて開放された収納領域101Cを有する。例えば、キャビネット本体100Cは箱状であり、前方に向けて設けられた開口103Cを有する。
引き出し200Cは、開口103Cからキャビネット本体100C内の収納領域101Cに収納される。
レール700は、収納領域101Cと前方領域102Cとの間において、引き出し200を前後方向に移動させる。すなわち、引き出し200Cは、レール700によって摺動可能に支持され、収納領域101C及び前方領域102C内を移動することができる。なお、前方領域102Cは、収納領域101Cの前方に位置する空間であり、例えばキャビネット本体100Cの外側である。
レール700は、外レール710(固定レール)と内レール720(可動レール)とを有する。外レール710及び内レール720は、それぞれ前後方向に延びている。外レール710は、キャビネット本体100Cの内面に固定され、内レール720は、引き出し200Cの側面に固定される。内レール720は、外レール710に対して前後方向に摺動可能に取り付けられる。これにより、引き出し200Cは、内レール720と共に、外レール710及びキャビネット本体100Cに対して前後方向に移動可能である。
例えば、引き出し200Cは、後方に移動することで、前方領域102Cから収納領域101Cに向かって移動し、キャビネット本体100C(収納領域101C)に収納される。逆に、引き出し200Cは、前方に移動することで、収納領域101Cから前方領域102Cに向かって移動し、キャビネット本体100Cから引き出される。
図17(a)では、引き出し200Cは、収納領域101Cから引き出され、全開位置Pcdに位置する。全開位置とは、例えば、引き出し200Cが開き切ったときのキャビネット本体100Cに対する位置である。すなわち、図17(a)において、引き出し200Cは、キャビネット本体100Cに対する可動範囲のうち最も前方に位置する。
図17(b)では、引き出し200Cは、収納領域101Cに収納され、全閉位置Pccに位置する。全閉位置とは、例えば、引き出し200Cが閉まり切ったときのキャビネット本体100Cに対する位置である。すなわち、図17(b)において、引き出し200Cは、キャビネット本体100Cに対する可動範囲のうち最も後方に位置する。
引き出しの動作機構は、引き込み手段30Cを有する。引き込み手段30Cは、引き出された引き出し200Cを収納領域101Cに収納する際に、引き出し200Cが所定の位置を越えると、引き出し200Cを全閉位置へ引き入れるものである。
引き込み手段30Cは、ばね301Dと、引っ張り手段40Cと、歯車360(伝達体)と、第1ラックギア361と、第2ラックギア362と、ピン334(可動体)と、ピン335(可動体)と、を有する。
ばね301Dは、例えばコイルばねであり、引き出し200Cの移動方向と同じ方向、すなわち前後方向に伸び縮みする。
引っ張り手段40Cは、引き出し200Cが後方へ移動し収納領域101Cに収納される際に、ばね301Dを引っ張る。この例では、引っ張り手段40Cは、トリガ310C(第1支持部材)を有する。
ばね301D及びトリガ310Cは、ばねケース341内に設けられている。ばねケース341は、キャビネット本体100Cに固定されている。また、ばね301Dの前方側の端部f1は、ばねケース341に固定されている。すなわち、ばね301Dの前方側の端部f1は、ばねケース341を介してキャビネット本体100Cに固定されている。
トリガ310Cは、例えばフック状の部材であり、ばね301Dの後方側の端部e1に取り付けられている。ばね301Dが伸びるときトリガ310Cは後方へ移動し、ばね301Dが縮むときトリガ310Cは前方へ移動する。
ピン334は、引き出し200Cに設けられている。引き出し200Cが後方へ移動すると、ピン334は引き出し200Cと共に後方へ移動する。ピン334は、後方へ移動する途中でトリガ310Cに当接し、トリガ310Cを後方へ押す。このように、引き出し200Cが後方へ移動する際に、ピン334及びトリガ310Cによって、ばねが伸ばされる。
第1ラックギア361及び第2ラックギア362は、それぞれ、前後方向に並ぶ複数の歯(凹凸)を有する。第1ラックギア361は、引き出し200Cに固定されており、引き出し200Cと共に前後方向に移動する。
第1ラックギア361は、後方へ移動したときに、歯車360と係合するように配置されている。第1ラックギア361と歯車360とが係合した状態において引き出し200C及び第1ラックギア361が後方へ移動するとき、歯車360は図17(a)に示す矢印A1の方向に回転する。逆に、第1ラックギア361と歯車360とが係合した状態において引き出し200C及び第1ラックギア361が前方へ移動するとき、歯車360は反対方向(図17(a)に示す矢印A2の方向)に回転する。
また、第2ラックギア362は、歯車360と係合するように配置されている。歯車360が矢印A1の方向に回転するとき、第2ラックギア362は前方へ移動する。逆に、歯車360が矢印A2の方向に回転するとき、第2ラックギア362は後方へ移動する。
ピン335は、第2ラックギア362に設けられており、第2ラックギア362と共に前後方向に移動する。
したがって、歯車360(伝達体)は、引き出し200Cの前後方向の移動に応じて、ピン335(可動体)を移動させる。すなわち、歯車360は、引き出し200Cが後方に移動した際にピン335を前方へ移動させ、引き出し200Cが前方へ移動した際にピン335を後方へ移動させる。
また、歯車360(伝達体)は、ピン335の前後方向に移動に応じて、引き出し200Cを移動させる。すなわち、歯車360は、ピン335が後方へ移動した際に引き出し200Cを前方へ移動させ、ピン335が前方へ移動した際に引き出し200Cを後方へ移動させる。
次に、図18(a)〜図18(f)、図19(a)〜図19(h)を参照して、引き出し200Cが全閉位置から全開位置まで引き出されるときの、動作機構の動作について説明する。
図18(a)〜図19(h)は、第3の実施形態に係る引き出し付きキャビネットを示す模式的断面図である。
図18(b)、図18(d)、図18(f)は、それぞれ、図18(a)、図18(c)、図18(e)に示す引き込み手段30Cの近傍を拡大した図である。
図18(a)及び図18(b)においては、引き出し200Cは、全閉位置に位置する。このとき、ピン335はトリガ310Cと係合しており、ばね301Dは自然長よりも伸びている。したがって、ばね301Dは、そのばね力(弾性力)により、トリガ310Cを介してピン335を前方に付勢している。ピン335に掛かる力は、第2ラックギア362、歯車360、第1ラックギア361を介して引き出し200Cに伝達される。すなわち、引き出し200Cが全閉位置に位置する状態において、ばね301Dのばね力が引き出し200Cに掛かる。引き込み手段30C(ばね301D)は、引き出し200Cを後方へ付勢している。これにより、収納領域にある引き出し200Cの前方領域への移動を抑え、引き出し200Cが意図せずに引き出されることを防止することができる。
使用者が引き出し200Cを前方へ移動させると、図18(c)及び図18(d)に示すように、ピン335は、引き出し200Cに連動し、後方へ移動する。
引き出し200Cがさらに前方へ移動すると、図18(e)及び図18(f)に示すように、ピン335は、トリガ310Cから解放される。この構造については、図24(a)〜図24(c)に関して後述する。トリガ310Cから解放されたピン335は、トリガ310Cとすれ違い、後方へ移動する。このため、引き出し200Cをさらに前方へ移動させても、ピン335及びトリガ310Cが、ばね301Dを引っ張ることがない。
図19(a)〜図19(h)は、図18(a)〜図18(f)の後の状態を示す。
図19(b)、図19(d)、図19(f)、図19(h)は、それぞれ、図19(a)、図19(c)、図19(e)、図19(g)に示す引き込み手段30Cの近傍を拡大した図である。
図19(a)及び図19(b)に示すように、引き出し200Cがさらに前方へ移動すると、第1ラックギア361は、歯車360から離れる。このため、引き出し200Cをさらに前方に移動させても、歯車360、第2ラックギア362及びピン335は、停止した状態となる。また、引き出し200Cと共に前方へ移動するピン334は、トリガ310Cに当接する。
引き出し200Cとピン334との接続部334Cには、例えば、ばねが設けられており、ピン334は、上下方向に伸縮可能である。また、トリガ310Cの上部及びピン334の先端には傾斜が設けられている。このため、図19(c)及び図19(d)に示すように、ピン334は、トリガ310Cによって上方へ押されて上方に縮むことにより、トリガ310Cを乗り越え、前方へ移動することができる。トリガ310Cとピン334との接触部分にローラなどを設けて、ピン334がスムーズに縮むようにしてもよい。
ピン334は、さらに前方へ移動してトリガ310Cを乗り越えると、図19(e)及び図19(f)に示すように、ばねの力により再び下方へ伸びる。
その後、図19(g)及び図19(h)に示すように、引き出し200Cは、全開位置まで引き出される。
以上のように、引き出し200Cをキャビネット本体100Cに対して全閉位置から全開位置まで引き出す際には、引き出し200Cを全閉位置に引き入れるためのばね301Dのばね力を蓄積するための力が必要ない。そのため、従来の引き出し付きキャビネットに比べて、より軽い力で引き出し200Cを引き出すことができる。
次に、図20(a)〜図20(f)、図21(a)〜図21(h)を参照して、引き出し200Cが全開位置から全閉位置まで収納されるときの、動作機構の動作について説明する。
図20(a)〜図21(h)は、第3の実施形態に係る引き出し付きキャビネットを示す模式的断面図である。
図20(b)、図20(d)、図20(f)は、それぞれ、図20(a)、図20(c)、図20(e)に示す引き込み手段30Cの近傍を拡大した図である。
図20(a)及び図20(b)においては、引き出し200Cは、全開位置に位置する。
使用者が引き出し200Cを後方へ移動させると、図20(c)及び図20(d)に示すように、第1ラックギア361及びピン334は、引き出し200Cと共に後方へ移動する。そして、引き出し200Cが所定の位置(第2の位置Pc2)まで移動すると、ピン334は、トリガ310Cに当接する。引き出し200Cを後方へ移動させる力(例えば慣性力を含む)が、ピン334を介してトリガ310Cに伝達され始める。
引き出し200Cがさらに後方へ移動すると、図20(e)及び図20(f)に示すように、ピン334はトリガ310Cを後方へ押す。これにより、トリガ310Cは、後方へ移動し、ばね201Dを伸ばす。
このように、引き出し200Cをキャビネット本体100Cに収納する途中において、引き込み手段30Cは、引き出し200Cが所定の位置(第2の位置)を越えると、引っ張り手段を機能させてばね301Dを伸ばすことでばね力を蓄積するばね力蓄積工程を行う。つまり、ばね力蓄積工程において、トリガ310C(引っ張り手段)がばね301Dを伸ばすことにより、ばね301Dのばね力が大きくなり、ばね301Dに弾性エネルギーが蓄積される。
ばね力蓄積工程においては、引き出し200Cの収納操作によって引き出し200Cには後方へ向かう慣性力が働いており、その慣性力によって引き出し200Cを後方へ移動させることができる。すなわち、慣性力の助力により、ばね301Dに楽にばね力を蓄積することができる。
また、ばね力蓄積工程は、引き出し200が収納領域101Cからおよそ200mm引き出された位置よりも収納領域101C側で開始されるのがよい。例えば、ばね力蓄積工程は、引き出し200Cが収納領域101Cからおよそ150mm引き出された位置よりも収納領域101C側へ移動したときに開始される。例えば、ばね力蓄積工程は、引き出し200Cの前端とキャビネット本体100Cとの間の距離D1(図20(e)参照)が150mm以下のときに開始される。これにより、使用者が例えば120mm程度引き出し200Cを引き出せば、全開位置まで引き出さなくても、確実に引き出し200Cを収納位置へ収納することができる。
図21(a)〜図21(h)は、図20(a)〜図20(f)の後の状態を示す。
図21(b)、図21(d)、図21(f)、図21(h)は、それぞれ、図21(a)、図21(c)、図21(e)、図21(g)に示す引き込み手段30Cの近傍を拡大した図である。
図21(a)及び図21(b)に示すように、引き出し200C及びトリガ310Cがさらに後方へ移動すると、トリガ310Cは、所定の位置(最奥位置Pr)にロックされる。トリガ310Cがロックされた状態とは、キャビネット本体100Cに対するトリガ310Cの相対的位置が固定された状態をいう。このとき、トリガ310Cは、回転し、ピン334をかわす。すなわち、ピン334とトリガ310Cとの係合が解除され、ピン334はトリガ310Cから解放される。この構造については、図22(a)〜図22(c)に関して後述する。
トリガ310Cから解放されたピン334は、引き出し200C及び第1ラックギア361と共に後方へ移動する。このとき、第1ラックギア361は、歯車360と係合する。このため、引き出し200Cの移動に連動し、第2ラックギア362及びピン335は、歯車360により引き出し200Cの移動方向と逆方向(前方)へ動かされる。
引き出し200Cがさらに後方へ移動すると、図21(c)及び図21(d)に示すように、ピン335は、ピン334とすれ違う。その後、引き出し200Cが所定の位置(第1の位置Pc1)へ移動すると、ピン335は、トリガ310Cに当接し、トリガ310Cを前方へ押す。これにより、トリガ310Cのロックが解除される。同時に、トリガ310Cがピン335をキャッチし、ピン335はトリガ310Cと係合する。
トリガ310Cは、図21(b)のようにロックされたときから、図21(d)のようにロックが解除されるまで、所定の位置に留まっている。その間、引き出し200Cは、後方へ移動している。すなわち、引き込み手段30Cは、ばね301Dにばね力が蓄積された状態を保持するばね力蓄積状態保持工程を実行し、引き出し200Cは、ばね力蓄積状態保持工程の実行中に後方へ移動可能である。ばね力蓄積状態保持工程では、トリガ310C(引っ張り手段)によってばね301Dが一定の長さに伸ばされた状態が維持されており、ばね301Dは弾性エネルギーが蓄えられた状態である。ばね力蓄積状態保持工程では、引き出し200C及びピン334は、ばね301Dによって付勢されていない。
ピン335(可動体)は、前方へ移動してトリガ310Cのロックを解除することにより、ばね力蓄積工程において蓄積されたばね力を解放し、解放されたばね力によって前方へ付勢される。すなわち、伸ばされていたばね301Dのばね力が、トリガ310Cを介してピン335に伝達され、ピン335は前方へ付勢される。
ピン335に伝達された力は、第2ラックギア362、歯車360及び第1ラックギア361を介して、引き出し200Cに伝達され、引き出し200Cは後方へ付勢される。これにより、図21(e)及び図21(f)に示すように、引き出し200Cは、後方へ移動する。その後、図21(g)及び図21(h)に示すように、引き出し200Cは、全閉位置まで引き入れられる。
すなわち、ばね力蓄積工程及びばね力蓄積状態保持工程の後に、引き出し200Cが所定の位置(第1の位置Pc1)よりも後方へ移動すると、引き込み手段30Cは、蓄積したばね力を解放して引き出し200Cを全閉位置まで引き入れるばね力解放工程を実行する。ばね力解放工程において、引き込み手段30Cは、ばね301Dのばね力(ばね力蓄積工程において伸ばされたことで生じた弾性力)を引き出し200Cに伝達することで、引き出し200Cに、後方へ向かう力を印加する。
以上説明したように、本実施形態において、引き込み手段30Cは、引き出し200Cを収納する途中において、引き出し200Cが所定の位置(第2の位置)を越えるとばね力蓄積工程を実行し、その後、引き出し200Cが所定の位置(第1の位置)を越えるとばね力解放工程を実行する。
したがって、引き出し200Cの収納時に、引き出し200Cを所定の位置(第1の位置)から全閉位置まで収納するためのばね力を蓄積することができる。そのため、引き出し200Cの収納時において、引き出し200Cが後方に移動することで生じる慣性力を利用して、引き出し200Cを全閉位置まで収納するためのばね力を蓄積することができる。ばね力によって引き出し200Cを確実に全閉位置に引き入れることができるとともに、キャビネット本体100Cから引き出し200Cを引き出す際に、ばね力を蓄積する必要がなく、従来の引き出し付きやキャビネットや引き出しの動作機構に比べて、より軽い力で引き出しを引き出すことができる。
また、引っ張り手段40C(トリガ310C)は、引き出し200Cの移動方向と同じ方向に駆動される。すなわち、引っ張り手段40Cは、引き出し200Cを閉じるときに水平方向に移動することで、ばね301Dを伸び縮みさせる。引っ張り手段40Cを重力に逆らって駆動させてばね301Dを伸ばさないため、ばね力蓄積工程を実行するための力が大きくなることを抑制できる。例えば、引き出し200Cが軽く、慣性力が小さい場合であっても、ばね力蓄積工程を実行しやすくなる。
また、ばね力蓄積状態保持工程では、ばね301Dにばね力が蓄積された状態で、引き出し200Cは後方へ移動する。ばね力蓄積状態保持工程を実行することにより、ばね力蓄積工程の直後に引き出し200Cが急に後方へ付勢されることを抑制でき、より滑らかに引き出し200Cを全閉位置へ引き入れることができる。
次に、図22(a)〜図24(c)を参照して、トリガ310C、ピン334及びピン335等の構造について説明する。
図22(a)〜図22(c)は、第3の実施形態に係る引き出し付きキャビネットの一部を示す模式図である。
図22(a)は、図20(f)に示した状態におけるトリガ310C及びピン334を示す斜視図である。ピン334は、例えば、屈曲した形状を有している。すなわち、ピン334は、引き出し200Cから延びる第1部分334aと、第1部分334aの先端から延びる第2部分334bとを有する。第2部分334bの延びる方向は、第1部分334aの延びる方向に対して略垂直である。
ピン334のうち第2部分334bが、トリガ310Cに当接し、トリガ310Cを後方へ押す。また、トリガ310Cを収納するばねケースの後ろ側には、溝342が設けられている。トリガ310Cは、ピン334により後方へ移動すると、溝342の中に入り込む。これにより、図21(b)に示したように、トリガ310Cの向きが変化し、ピン334をかわすことができる。
図22(b)は、溝342の中にトリガ310Cが入り込んだ状態を示す斜視図であり、図22(c)は、図22(b)の状態を後方から見た平面図である。このとき、トリガ310Cは、所定の位置にロックされている。例えば、溝342の底や、トリガ310Cの端部に、トリガ310Cをロックするロック手段が設けられる。この例では、ロック手段には、マグネット343が用いられている。なお、このロック手段は、マグネットに限らない。例えば、樹脂や金属の弾性などを利用してトリガ310Cを所定の位置にロックしてもよい。
また、図22(c)に示すように、ピン335の高さは、ピン334の第2部分334bの高さと異なる。このため、後方へ移動するピン334は、前方へ移動するピン335とすれ違うことができる。
図23(a)〜図23(c)は、第3の実施形態に係る引き出し付きキャビネットの一部を示す平面図である。
図23(b)は、ピン335及び第2ラックギア362を側方から見た平面図である。図23(a)は、図23(b)を矢印A3の方向(前方)から見た平面図である。図23(c)は、図23(b)を矢印A4の方向(下方)から見た平面図である。
図23(a)に示すように、ピン335を形成する部材337には、ピン335と並ぶピン336が設けられている。例えば、ピン335とピン336とは、1つの部材337として一体に成形されている。
図23(c)に示すように、第2ラックギア362には、溝362aが設けられている。溝362aは、前後方向と交差する左右方向に延びる。部材337は、この溝362aに嵌め込まれており、溝362a内を左右方向に移動することができる。なお、部材337の前後方向における位置は、第2ラックギア362に対して固定されている。
図24(a)〜図24(c)は、第3の実施形態に係る引き出し付きキャビネットの一部を示す模式図である。
図24(a)は、引き出し200Cが全開位置に位置するときの、第2ラックギア362、部材337(ピン335、336)及び、ばねケース341の位置関係を示す斜視図である。図24(b)は、図24(a)の矢印A5の方向からの平面図である。図24(c)は、図24(a)の矢印A6の方向からの平面図である。なお、図24(b)には、ばねケース341内部(ばね301D及びトリガ310C)も示す。
図24(a)に示すように、ばねケース341には、ガイド溝(孔)341aと、開口341bと、が設けられている。ガイド溝341aと開口341bとは左右方向において並ぶ。ガイド溝341a及び開口341bのそれぞれは、前後方向に延在する。
ガイド溝341aは、ループ形状を有する。ピン336は、ガイド溝341aに挿入され、ガイド溝341aのループ形状に沿って移動可能である。ピン335は開口341bからばねケース341の内部に挿入され、開口341b内を移動可能である。
引き出し200Cを全開位置から収納するときには、ピン335及びピン336は、第2ラックギア362と共に前方へ移動する。このとき、ピン336はガイド溝341aの形状に沿って、図24(c)に示す矢印A7のように移動する。これにより、左右方向において、ピン335の位置が変化し、トリガ310Cの位置と一致するようになる。このため、ピン335は前方に移動したときに、トリガ310Cに当接し、トリガ310Cと係合することができる。
引き出し200Cが全閉位置に位置するときには、ピン336は、ガイド溝341aの前端側に移動し、ピン335はトリガ310Cと係合している。引き出し200Cを全閉位置から引き出すときには、ピン335及びピン336は、第2ラックギア362と共に後方へ移動する。このとき、ピン336はガイド溝341aの形状に沿って、図24(c)に示す矢印A8のように移動する。これにより、左右方向において、ピン335の位置が変化し、トリガ310Cの位置からずれる。このため、ピン335は後方に移動したときに、トリガ310Cから解放される。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、ばね301として、引張りコイルばねに代えて圧縮ばねを用いてもよい。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。