JP2014098815A - 静電潜像計測装置、静電潜像計測方法、プログラム及び記録媒体 - Google Patents

静電潜像計測装置、静電潜像計測方法、プログラム及び記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】静電潜像を精度良く計測することができる静電潜像計測装置を提供する。
【解決手段】 静電潜像計測装置1000は、電子ビームを試料23に照射する荷電粒子照射系100、光源からの光を回折する音響光学偏向装置204及び該音響光学偏向装置からの0次光を受光する0次光受光器213を有し、音響光学偏向装置204からの1次回折光で試料23に静電潜像を形成する露光系200、試料23からの2次電子を検出する検出器302、及び制御系などを備えている。制御系の主制御装置は、検出器302の出力信号に基づいて静電潜像の面積を算出し、該算出された面積を0次光受光器213の出力信号に基づいて補正する。
【選択図】図1

Description

本発明は、静電潜像計測装置、静電潜像計測方法、プログラム及び記録媒体に係り、更に詳しくは、感光体に形成された静電潜像を計測する静電潜像計測装置、感光体に形成された静電潜像を計測する静電潜像計測方法、静電潜像計測装置に用いられるプログラム、及び該プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
近年、多色の画像を形成することができる画像形成装置が、オンデマンドプリンティングシステムとして簡易印刷に用いられるようになり、画像の高品質化が求められている。
画像の高品質化には、画像を構成する複数のドットを画像情報に応じて適切に形成すること、すなわち、いわゆるドット再現性に優れていることが求められる。
電子写真方式の画像形成装置では、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、定着工程などの複数の工程があり、各工程での精度が、最終的に出力される画像の品質に大きく影響する。特に、露光工程において感光体に形成される静電潜像の状態は、現像工程におけるトナー粒子の挙動に直接影響を及ぼすため重要である。
そこで、画像情報に応じて適切な静電潜像を形成することができる感光体を用いることが求められている。そして、それには、感光体に形成された静電潜像の状態を知ることが必要である。
例えば、特許文献1には、電子ビームによる静電潜像の画像取得方法が開示されている。また、特許文献2には、静電潜像計測方法が開示されている。さらに、特許文献3〜5には、画像評価方法が開示されている。
しかしながら、静電潜像を計測する従来の装置及び方法では、測定誤差が大きい場合があった。
本発明は、感光体に形成された静電潜像を計測する静電潜像計測装置であって、光源と、前記光源からの光を回折する回折部材と、前記回折部材からの回折光を前記感光体に導光する光学系と、前記回折部材からの0次光を受光する受光器と、前記感光体からの2次電子を検出する検出器と、前記検出器の出力信号に基づいて前記静電潜像の面積を算出し、該算出された面積を前記受光器の出力信号に基づいて補正する処理装置と、を備える静電潜像計測装置である。
本発明の静電潜像計測装置によれば、静電潜像を精度良く計測することができる。
本発明の一実施形態に係る静電潜像計測装置の概略構成を説明するための図である。 図2(A)は、試料の構成を説明するための図であり、図2(B)は、試料が露光されたときの状態を説明するための図である。 図1における露光系の構成を説明するための図である。 図3における音響光学偏向装置の構成を説明するための図である。 図4における発振器の特性を説明するための図である。 音響光学偏向素子から射出される0次光と1次回折光を説明するための図である。 音響光学偏向素子から射出される0次光及び1次回折光と、シリンダレンズ及び0次光受光器との位置関係を説明するための図である。 制御系の概略構成及び制御系と各部との関係を説明するための図である。 図9(A)〜図9(C)は、それぞれ試料表面に1次光を用いて静電潜像を形成するときの0次光の役割を説明するための図である。 積分光量を説明するための図である。 試料における露光エネルギー密度Eと静電潜像の面積Sとの関係を説明するための図である。 図12(A)及び図12(B)は、それぞれ露光エネルギー密度にばらつきがある場合を説明するための図である。 回折効率ηAODと発振器に入力される電圧信号の電圧Vとの関係を説明するための図である。 音響光学偏向素子から射出される0次光と1次回折光の光量の比η01と発振器に入力される電圧信号の電圧Vとの関係を説明するための図である。 副走査方向の位置が互いに異なる複数の静電潜像が形成される場合を説明するための図である。 静電潜像計測処理の際に、主制御装置のCPUによって実行される処理アルゴリズムを説明するためのフローチャート(その1)である。 静電潜像計測処理の際に、主制御装置のCPUによって実行される処理アルゴリズムを説明するためのフローチャート(その2)である。 図18(A)及び図18(B)は、それぞれ静電潜像の画像パターンA及びBを説明するための図である。 図19(A)及び図19(B)は、それぞれ静電潜像の画像パターンC及びDを説明するための図である。 静電潜像の画像パターンEを説明するための図である。 実施例における静電潜像の画像パターンを説明するための図である。 図22(A)及び図22(B)は、それぞれ二次電子を用いた表面電位分布の測定を説明するための図である。 実施例における計測結果を説明するための図である。
以下、本発明の一実施形態を図1〜図23に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係る静電潜像計測装置1000の概略構成が示されている。
この静電潜像計測装置1000は、荷電粒子照射系100、露光系200、試料台301、検出器302、LED303、制御系3(図1では図示省略、図8参照)、排出系(図示省略)及び駆動用電源(図示省略)などを備えている。
荷電粒子照射系100は、真空チャンバ40内に配置された、電子銃11、引き出し電極12、加速電極13、コンデンサレンズ14、ビームブランカ15、仕切り板16、可動絞り17、スティグメータ18、走査レンズ19、及び対物レンズ20を有している。なお、本明細書では、各レンズの光軸方向をZ軸方向とし、Z軸方向に垂直な面内における互いに直交する2つの方向をX軸方向及びY軸方向として説明する。
電子銃11は、荷電粒子ビームとしての電子ビームを発生させる。
引き出し電極12は、電子銃11の−Z側に配置され、電子銃11で発生された電子ビームを制御する。
加速電極13は、引き出し電極12の−Z側に配置され、電子ビームのエネルギーを制御する。
コンデンサレンズ14は、加速電極13の−Z側に配置され、電子ビームを集束させる。
ビームブランカ15は、コンデンサレンズ14の−Z側に配置され、電子ビームの照射をオン(ON)/オフ(OFF)させる。
仕切り板16は、ビームブランカ15の−Z側に配置され、中央に開口を有している。
可動絞り17は、仕切り板16の−Z側に配置され、仕切り板16の開口を通過した電子ビームのビーム径を調整する。
スティグメータ18は、可動絞り17の−Z側に配置され、非点収差を補正する。
走査レンズ19は、スティグメータ18の−Z側に配置され、スティグメータ18を介した電子ビームをXY面内で偏向する。
対物レンズ20は、走査レンズ19の−Z側に配置され、走査レンズ19を介した電子ビームを収束させる。対物レンズ20を介した電子ビームは、ビーム射出開口部21を通過して試料23の表面に照射される。
各レンズ等には、不図示の駆動用電源が接続されている。
なお、荷電粒子とは、電界や磁界の影響を受ける粒子を意味し、例えば、電子ビームに代えて、イオンビームを用いても良い。この場合は、電子銃に代えて、液体金属イオン銃などが用いられる。
試料23は、感光体であり、一例として図2(A)に示されるように、導電性支持体23a、電荷発生層(CGL)23b、及び電荷輸送層(CTL)23cを有している。
電荷発生層(CGL)23bは、電荷発生材料(CGM)を含み、導電性支持体23aの+Z側の面上に形成されている。電荷輸送層(CTL)23cは、電荷発生層(CGL)23bの+Z側の面上に形成されている。
試料23は、表面(+Z側の面)に電荷が帯電している状態で露光されると、電荷発生層(CGL)23bの電荷発生材料(CGM)によって光が吸収され、正負両極性のチャージキャリアがそれぞれ発生する。このキャリアは、電界によって、一方は電荷輸送層(CTL)23cに、他方は導電性支持体23aに注入される(図2(B)参照)。
電荷輸送層(CTL)23cに注入されたキャリアは、電界によって電荷輸送層(CTL)23cの表面にまで移動し、表面の電荷と結合して消滅する。これにより、試料23の表面(+Z側の面)に電荷分布、すなわち、静電潜像が形成される。
露光系200は、一例として図3に示されるように、光源201、コリメートレンズ202、開口板203、音響光学偏向装置204、シリンダレンズ205、光偏向器206、走査レンズ系207、同期検知用ミラー211、同期検知センサ212、及び0次光受光器213(図3では図示省略。図8参照)などを有している。
光源201は、試料23に関して感度を持つ波長の光を射出する。光源201として、1つの発光部を有するLD(Laser Diode)を用いることができる。
コリメートレンズ202は、光源201から射出された光を略平行光にする。
開口板203は、開口部を有し、コリメートレンズ202を介した光の形状を調整する。
音響光学偏向装置204は、一例として図4に示されるように、音響光学偏向素子204a、超音波トランスデューサ204b、RFアンプ204c、発振器204d、入力端子204e等を有している。
入力端子204eには、制御系3からの制御信号である電圧信号が入力される。
発振器204dは、入力端子204eを介して入力された電圧信号の電圧に対応した周波数の信号を生成する(図5参照)。ここでは、発振器204dは、電圧信号の電圧が0ボルトのときに、基本周波数faの周波数の信号を生成するように設定されている。
この発振器204dとして、電圧制御発振器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)を用いることができる。
RFアンプ204cは、発振器204dの出力信号を増幅する。
超音波トランスデューサ204bは、音響光学偏向素子204aに接着されており、RFアンプ204cの出力信号に応じて、音響光学偏向素子204aの中に超音波を発生させる。この超音波トランスデューサ204bとして、圧電素子を用いることができる。
音響光学偏向素子204aは、二酸化テルル(TeO)やモリブデン酸鉛(PbMoO)などの単結晶又はガラスからなる音響光学媒体である。ここでは、音響光学偏向素子204aは、開口板203の開口部を通過した光の光路上に配置されている。
音響光学偏向素子204aの中に超音波が発生すると、音響光学偏向素子204a内に屈折率が大きい領域と屈折率が小さい領域とが交互に形成される。このとき、音響光学偏向素子204aに入射した光は回折される。そこで、音響光学偏向素子204aでは、0次光の他に、±1次、±2次、・・・・の回折光を生じる。なお、ここでは、+1次回折光及び−1次回折光を区別する必要がないため、それらを総称して単に「1次回折光」という。また、1次回折光よりも高次の回折光は、回折効率が低いため、ここでは無視する。
ところで、音響光学偏向素子204aから射出される0次光の進行方向と1次回折光の進行方向とのなす角度θ01(図6参照)は、空気中での光の波長をλ、音響光学偏向素子204aの中で発生する超音波の基本周波数をfa、該超音波の速度をVaとすると、次の(1)式で表される。
θ01=λ・fa/Va ……(1)
超音波の周波数を基本周波数faからΔfだけシフトさせると、0次光の進行方向と1次回折光の進行方向とのなす角度θ01’は、次の(2)式で示される。
θ01’=λ・(fa+Δf)/Va ……(2)
そこで、このときの角度変化Δθは、次の(3)式で示される。
Δθ=θ01’−θ01=λ・Δf/Va ……(3)
このように、超音波の周波数に応じて1次回折光の進行方向を変化させることができる。以下では、音響光学偏向素子204aから射出される1次回折光の進行方向を「1次回折光の偏向方向」ともいう。また、入射光の進行方向と1次回折光の偏向方向とのなす角を「1次回折光の偏向角」ともいう。
そこで、発振器204dに入力される電圧信号の電圧を制御することにより、1次回折光の偏向方向、すなわち、1次回折光の偏向角を制御することができる。
音響光学偏向素子204aから射出される0次光の進行方向は、発振器204dに入力される電圧信号の電圧が変化しても変化しない。
シリンダレンズ205は、一例として図7に示されるように、音響光学偏向素子204aから射出される1次回折光の光路上に配置され、該光(1次回折光)を、光偏向器206の偏向反射面近傍に、Z軸方向に関して集光する。なお、音響光学偏向素子204aから射出される0次光は、シリンダレンズ205に入射しないように設定されている。
0次光受光器213は、一例として図7に示されるように、音響光学偏向素子204aから射出される0次光の光路上に配置されている。0次光受光器213は、受光光量に応じた信号を制御系3に出力する。0次光受光器213として、フォトダイオードを用いることができる。
図3に戻り、光偏向器206は、不図示の駆動モータによって、Z軸に平行な軸まわりに回転する回転多面鏡(ポリゴンミラー)を有している。この回転多面鏡の各鏡面が偏向反射面である。光偏向器206は、シリンダレンズ205からの光を、Z軸に直交する面内で偏向する。なお、光偏向器206として、ガルバノスキャナを用いても良い。
走査レンズ系207は、2枚の走査レンズを有し、光偏向器206の偏向反射面で反射された光の光路上に配置されている。走査レンズ系207を介した光が、露光系200から射出される光である。
同期検知用ミラー211は、光偏向器206の偏向反射面で反射され、静電潜像の形成に寄与しない光の光路上に配置されている。同期検知センサ212は、同期検知用ミラー211で反射された光の光路上に配置されている。同期検知センサ212は、受光光量に応じた信号を同期検知信号として制御系3に出力する。
ところで、露光系200は、光偏向器206の駆動モータにより生じる振動や電磁波が電子ビームの軌道に影響を与えないように、真空チャンバ40の外に設けられている。これにより、測定結果に及ぼす外乱の影響を抑制することができる。
図1に戻り、露光系200から射出された光は、反射ミラー72及び窓ガラス68を介して試料23の表面に照射される。
試料23の表面における露光系200から射出される光の照射位置は、光偏向器206での偏向及び音響光学偏向装置204での偏向によって、Z軸方向に直交する平面上の互いに直交する2つの方向に沿って変化する。このとき、光偏向器206での偏向による照射位置の変化方向は「主走査方向」と呼ばれ、音響光学偏向装置204での偏向による照射位置の変化方向は「副走査方向」と呼ばれている。ここでは、Y軸方向が主走査方向、X軸方向が副走査方向となるように設定されている。
このように、露光系200から射出される光によって試料23の表面を2次元的に走査することができる。すなわち、試料23の表面に2次元的な静電潜像を形成することが可能である。
検出器302は、試料23の近傍に配置され、試料23からの2次電子を検出する。
LED303は、試料23の近傍に配置され、試料23を照明する光を射出する。このLED303は、測定後に試料23の表面に残留している電荷を消去するのに用いられる。
制御系3は、図8に示されるように、主制御装置3a、入力装置3b、表示装置3c、印刷装置3dなどを有している。
入力装置3bは、キーボード等の入力媒体を有し、作業者から入力された各種情報を主制御装置3aに通知する。
表示装置3cは、液晶ディスプレイ等の表示部を有し、主制御装置3aから指示された各種情報を表示する。
印刷装置3dは、プリンタを有し、主制御装置3aから指示された各種情報を紙などに印刷する。
主制御装置3aは、CPU、該CPUにて解読可能なコードで記述されたプログラム及び該プログラムを実行する際に用いられる各種データなどが格納されているROM(記録媒体)、作業用のメモリであるRAM、アナログデータをデジタルデータに変換するA/D変換器などを有し、静電潜像計測装置100の各部を統括的に制御する。
主制御装置3aは、荷電粒子照射系100に対して、電子銃11、加速電極13、コンデンサレンズ14、ビームブランカ15、可動絞り17、スティグメータ18、走査レンズ19、対物レンズ20、及び排出系などを制御する。
主制御装置3aは、露光系200に対して、光源201、音響光学偏向装置204、及び光偏向器206の駆動モータを制御するとともに、同期検知センサ212及び0次光受光器213の出力信号を取得する。
主制御装置3aは、試料台301を、XYZ3軸方向に関して駆動制御する。また、主制御装置3aは、検出器302の出力信号を取得する。
上記のように構成される静電潜像計測装置1000は、不図示の除振台を介して設置されている。
ここで、試料表面に1次光を用いて静電潜像を形成するときの0次光の役割について説明する。
A.先ず、一例として図9(A)に示されるように、主走査方向の光走査のみによって静電潜像が形成される場合について考える。ここでは、1つの黒丸が1つの静電潜像である。
この場合、音響光学偏向素子204aでの回折効率は一定である。そこで、音響光学偏向素子204aから射出される0次光の光量Pと1次回折光の光量Pとの比η01(=P/P)は、露光系200の構成により一意的に定まる。
さらに、シリンダレンズ205、走査レンズ系207等の音響光学偏向素子204a以降の光学素子による光量損失を考慮すると、音響光学偏向素子204aから射出される1次回折光の光量Pと試料表面での1次回折光の光量POPCとの比ηOPC(=POPC/P)も、露光系200の構成に応じて一意的に定まる。なお、比η01、及び比ηOPCの値は、予め測定され、主制御装置3aの不図示のメモリに格納されている。
光源201から射出される光の光量(発光光量)は、一例として図9(B)に示されるように、形成される静電潜像の大きさや数に応じて時間的に変動するため、音響光学偏向素子204aから射出される0次光の光量P及び1次回折光の光量Pは時間的に変動する。そして、試料表面での1次回折光の光量POPCも時間的に変動する。
ここで、音響光学偏向素子204aから射出される0次光の光量Pの時間変化をP(t)とすると、試料表面での1次回折光の光量POPCの時間変化POPC(t)は、次の(4)式で表される(図9(C)参照)。
OPC(t)=P(t)・η01・ηOPC ……(4)
次に、注目する静電潜像の形成に用いられる露光エネルギー密度Eを求める。この露光エネルギー密度Eは、次の(5)式で定義される。
E=Q/(ω・L) ……(5)
ここで、Qは、試料表面に1つの静電潜像(図9(A)では、1つの黒丸)を形成するのに用いられる露光エネルギーの総量であり、以下では、便宜上「積分光量」という。また、ωは試料表面での露光ビームの副走査方向に関するビームスポット径である。さらに、Lは、1つの静電潜像を形成する際の光源の点灯時間と試料表面での走査速度とから求まる露光ビームの走査距離である。なお、ωは、露光系200における開口板203の開口部の大きさを調整することにより任意の値に設定することが可能である。
積分光量Qは、上記(4)式で得られたPOPC(t)における、光量のピーク値P及び半値幅Δt(図10参照)を用いて、近似的に次の(6)式から求めることができる。
Q=P・Δt ……(6)
露光エネルギー密度Eが大きいほど、静電潜像が大きく形成される。試料23における露光エネルギー密度Eと静電潜像の面積Sとの関係が図11に示されている。試料23における露光エネルギー密度Eと静電潜像の面積Sとの関係は予め取得され、該関係を示す近似式が主制御装置3aのメモリに格納されている。
ところで、試料23に面積が互いに等しい複数の静電潜像を形成する際に、露光系200における光学部品の特性変化に起因して、露光エネルギー密度Eが静電潜像毎に異なることがある。この場合は、試料23の感光特性が静電潜像の形成位置に関係なく一様であったとしても、試料23に実際に形成される複数の静電潜像間に面積のばらつきが生じる。
上記光学部品の特性変化が存在すると、試料23の感光特性を正しく評価することができない。
そこで、光学部品の特性変化に起因するばらつきを補正する方法について説明する。
ここでは、試料23に面積が互いに等しい複数の静電潜像(g1、g2、・・・、gm)を形成するとき、得られた露光エネルギー密度(E1、E2、・・・、Em)がばらついていた場合を考える。
(a)先ず、基準値となる露光エネルギー密度(以下では、「基準露光エネルギー密度」という)を定める。この基準露光エネルギー密度は、任意の値を設定することができる。
(b)次に、試料23における露光エネルギー密度Eと静電潜像の面積Sとの関係を示す近似式を用いて、静電潜像毎に、基準露光エネルギー密度に対応する潜像面積Sc0と、静電潜像gn(n=1〜m)を形成したときの露光エネルギー密度En(n=1〜m)に対応する潜像面積Scn(n=1〜m)とを求め、次の(7)式から潜像面積補正係数Cn(n=1〜m)を求める。
Cn=Sc0/Scn ……(7)
(c)そして、静電潜像毎に、計測して得られた静電潜像gn(n=1〜m)の面積に対応する潜像面積補正係数Cn(n=1〜m)を乗算する。これにより、光学部品の特性変化に起因するばらつきを補正することができる。
図12(A)及び図12(B)を用いて具体的に説明する。図12(A)に示されるように、試料23に3つの静電潜像(g1、g2、g3)を形成したとき、得られた露光エネルギー密度がE1、E2、E3であり、ばらつきを持っていた場合を考える。そして、E2を基準露光エネルギー密度とする。
このとき、図12(B)に示されるように、静電潜像g1については、潜像面積補正係数C1はSc2/Sc1であり、静電潜像g3については、潜像面積補正係数C3はSc2/Sc3となる。そして、潜像面積補正係数C1を、計測して得られた静電潜像g1の面積に乗算し、潜像面積補正係数C3を、計測して得られた静電潜像g3の面積に乗算する。
B.次に、試料23に形成される複数の静電潜像の副走査方向に関する位置が互いに異なる場合について説明する。
この場合は、音響光学偏向素子204aに加えられる信号の周波数が静電潜像毎に異なる。このときの、音響光学偏向素子204aにおける1次回折光の回折効率ηAODは、音響光学偏向素子204aに入射する光の光量Pinと、音響光学偏向素子204aから射出される1次回折光の光量Pを用いて、次の(8)式で示される。
ηAOD=P/Pin ……(8)
回折効率ηAODは、一例として図13に示されるように、発振器204dに入力される電圧信号の電圧Vに応じて変動する。すなわち、回折効率ηAODは、1次回折光の偏向角に応じて変動する。
光量Pinの光が音響光学偏向素子204aに入射され、光量Pの0次光、及び光量Pの1次回折光が音響光学偏向素子204aから射出され、音響光学偏向素子204aでの透過損失をPILとすると、近似的に次の(9)式が成立する。
in=P+P+PIL ……(9)
1次回折光の偏向角を変化させるため発振器204dに入力される電圧信号の電圧Vの値を変化させると、回折効率ηAODが変化するため、音響光学偏向素子204aから射出される1次回折光の光量は変化する。そして、上記(9)式より、音響光学偏向素子204aから射出される0次光の光量も同時に変化する。そのため、音響光学偏向素子204aから射出される0次光と1次回折光の光量の比であるη01も変化する。そこで、以下では、音響光学偏向素子204aから射出される0次光の光量をP(V)、音響光学偏向素子204aから射出される1次回折光の光量をP(V)、音響光学偏向素子204aから射出される0次光と1次回折光の光量の比をη01(V)と表記する。
η01(V)は、次の(10)式で示される。
η01(V)=P(V)/P(V) ……(10)
そこで、試料23に2次元的な画像パターンの静電潜像を形成する場合には、音響光学偏向素子204aにおけるη01とVとの関係を求めておく必要がある。
η01とVとの関係は、音響光学偏向素子204aの配置状態により一意的に定まるため、予め取得され、主制御装置3aのメモリに格納されている。音響光学偏向素子204aにおけるη01とVとの関係が図14に示されている。
音響光学偏向素子204aから射出される1次回折光の光量Pと試料表面での1次回折光の光量POPCとの比ηOPC(=POPC/P)は、露光系200の構成に応じて一意的に定まる。
例えば、図15に示されるように、静電潜像g1が形成されるときの電圧Vfの値がVfであり、静電潜像g2が形成されるときの電圧Vfの値がVfであり、静電潜像g3が形成されるときの電圧Vfの値がVfである場合であっても、POPC(t)は、上記(4)式を用いて求めることができる。
そして、POPC(t)から、各静電潜像を形成するのに用いられた露光エネルギー密度を求めることができる。
さらに、試料23における露光エネルギー密度Eと静電潜像の面積Sの関係式を用いて、各静電潜像の潜像面積補正係数Cnを求めることができる。
次に、静電潜像計測装置1000を用いて行われる静電潜像計測処理における主制御装置3aの動作について図16及び図17を用いて説明する。図16及び図17のフローチャートは、静電潜像計測処理の際に、主制御装置3aのCPUによって実行される一連の処理アルゴリズムに対応している。なお、試料23は、作業者によってすでに試料台301にセットされているものとする。また、真空チャンバ40内は、すでに所定の真空度に達しているものとする。
最初のステップS401では、荷電粒子照射系100を制御して、試料23に電子ビームを照射し、試料23の表面を一様に帯電させる。
ここでは、加速電極13に印加する加速電圧|Vacc|として、試料23での2次電子放出比が1となる加速電圧よりも高い加速電圧が設定される。これにより、試料23では、入射電子の量が放出電子の量よりも上回るため電子が試料23に蓄積され、チャージアップを起こす。この結果、試料23の表面をマイナス電荷で一様に帯電させることができる。なお、加速電圧と照射時間を適切に設定することにより、試料23の表面に所望の帯電電位を形成することができる。
次のステップS403では、静電潜像が観察できるように、試料23における入射電子量を1/100倍〜1/1000倍にする。
次のステップS405では、0次光受光器213の出力信号を取得しつつ、露光系200を制御して、試料23の表面を2次元的に光走査し、試料23に静電潜像を形成する。なお、露光系200は、試料23の表面に所望のビーム径及びビームプロファイルの光スポットが形成されるように調整されている。
ところで、静電潜像の形成に必要な露光エネルギーは、試料の感度特性によって決まるが、通常、2〜10mJ/m程度である。なお、感度が低い試料では、必要な露光エネルギーは十数mJ/mとなることもある。帯電電位や必要な露光エネルギーは、試料の感光特性やプロセス条件に合わせて設定される。
また、試料表面に形成される光スポットのビーム径、光源の点灯時間、画素クロック、書込密度、画像パターン等の条件設定を任意に行うことで、様々な条件での静電潜像を形成しこれを計測することが可能である。
静電潜像の画像パターンとしては、図18(A)〜図20に示されるように、パターンA〜Eなどがあり、これらのパターンのいずれかのほか、様々な画像パターンの静電潜像を形成することができる。
ここでは、図21に示されるように9個の静電潜像(g1〜g9)が形成されるものとする。なお、9個の静電潜像は、同一の露光条件(光源の発光パワー、光源の点灯時間など)で形成されている。
次のステップS407では、荷電粒子照射系100を制御して、静電潜像が形成されている試料23表面を電子ビームで走査し、試料23から放出される2次電子を検出器302を介して検出する。このとき、走査レンズ19への走査信号と同期をとることで、各走査位置とその位置における2次電子検出量を関連付けることができる。
次のステップS409では、LED303を点灯させて試料23の表面に光を照射し、試料23の除電を行う。
次のステップS411では、基準となる積分光量Qs及び基準となる露光エネルギー密度Esを設定する。なお、基準となる積分光量及び基準となる露光エネルギー密度は、予め決定されており、主制御装置3aのメモリに格納されている。
次のステップS413では、試料23における露光エネルギー密度Eと静電潜像の面積Sとの関係を示す近似式を用いて、基準となる露光エネルギー密度Esに対応する潜像面積Sc0を算出する。
次のステップS415では、静電潜像を特定するための番号が格納される変数nに初期値1をセットする。なお、静電潜像gnは、n=1のときは静電潜像g1を意味し、n=2のときは静電潜像g2を意味し、・・・・、n=9のときは静電潜像g9を意味している。また、以下では、符号に付加されるnは、静電潜像gnに対応することを意味している。
次のステップS417では、検出器302の出力信号に基づいて、静電潜像gnのコントラスト像を作成する(例えば、特許第4559063号公報参照)。ここでは、試料23における帯電している部分では2次電子の検出量が多く、露光された部分では2次電子の検出量が少ないため、明暗のコントラスト像を得ることができる。そして、コントラスト像における暗の部分は、露光された部分、すなわち静電潜像の部分とみなすことができる。そこで、コントラスト像における明暗の境界の大きさは、静電潜像の大きさとすることができる。
試料23の表面に電荷分布があると、試料23の上方に位置する空間に、表面電荷分布に応じた電界分布が形成される。入射電子によって発生した2次電子は、この電界によって押し戻され、検出器302に到達する量が減少する。従って、電荷リーク箇所は、露光部が黒、非露光部が白となり、表面電荷分布に応じたコントラスト像を得ることができる。
図22(A)は、荷電粒子を捕獲する検出器302と、試料23との間の空間における電位分布を、等高線で説明図的に示したものである。試料23の表面は、光減衰により電位が減衰した部分を除いては負極性に一様に帯電した状態であり、検出器302には正極性の電位が与えられている。そのため、実線で示される電位等高線群においては、試料23の表面から検出器302に近づくに従い電位が高くなる。従って、試料23の、負極性に均一帯電している部分であるQ1点やQ2点で発生した2次電子el1、el2は、検出器302の正電位に引かれ、矢印G1や矢印G2で示されるように変位し、検出器302に捕獲される。
一方、図22(A)において、Q3点は光照射されて負電位が減衰した部分であり、Q3点近傍では電位等高線の配列は破線で示されるように、Q3点を中心とした半円形の波紋状に広がる。この波紋状の電位分布では、Q3点に近いほど電位が高くなっている。換言すると、Q3点の近傍で発生した2次電子el3には、矢印G3で示すように、試料23側に拘束する電気力が作用する。このため、2次電子el3は、破線の電位等高線で示されるポテンシャルの穴に捕獲され、検出器302に向かって移動することができない。
図22(B)には、上記ポテンシャルの穴が模式的に示されている。すなわち、検出器302により検出される2次電子の強度(2次電子数)は、強度の大きい部分が「静電潜像の地の部分(均一に負帯電している部分、図22(A)における点Q1やQ2に代表される部分)」に対応し、強度の小さい部分が「静電潜像の画像部(光照射された部分、図22(A)における点Q3に代表される部分)」に対応することになる。
従って、検出器302の出力から得られる電気信号を、適当なサンプリング時間でサンプリングすれば、サンプリング時刻Tをパラメータとして、表面電位分布(電位コントラスト像)V(X,Y)を「サンプリングに対応した微小領域」ごとに特定できる。そして、表面電位分布V(X,Y)を2次元的な画像データとして構成し、これを表示装置3cの表示部を表示したり、印刷装置3dのプリンタで印刷すれば、静電潜像を可視的な画像として得ることができる。
例えば、捕獲される2次電子の強度を「明るさの強弱で表現」すれば、静電潜像の画像部分は暗く、地の部分は明るくコントラストがつき、表面電荷分布に応じた明暗像として表現(出力)することができる。もちろん、表面電位分布を知ることができれば、表面電荷分布も知ることができる。
次のステップS419では、静電潜像gnのコントラスト像から静電潜像gnの面積Snを求める(例えば、特許第4559063号公報参照)。
次のステップS421では、0次光受光器213の出力信号に基づいて、静電潜像gnを形成したときのP(t)を求める。なお、0次光受光器213の出力信号における静電潜像gnの形成タイミングは、例えば、該出力信号の立ち上がり部を任意の出力レベルで識別し、その識別回数をカウントすることで特定することができる。
次のステップS423では、静電潜像gnを形成したときに発振器204dに入力された電圧信号の電圧Vに基づいて、静電潜像gnを形成したときのη01を求める。なお、副走査方向に関する位置が等しい複数の静電潜像(例えば、g1とg2とg3)では、η01の値は同じである。
次のステップS425では、上記(4)式にP(t)、η01、及びηOPCの値を代入して、静電潜像gnを形成したときのPopc(t)を算出する。
次のステップS427では、上記(6)式を用いて、静電潜像gnを形成したときの積分光量Qnを算出する。
次のステップS431では、次の(11)式を用いて、積分光量変化率R(%)を算出する。
R=(Qn−Qs)/Qs×100 ……(11)
次のステップS433では、積分光量変化率Rの絶対値が2%以上であるか否かを判断する。積分光量変化率Rの絶対値が2%以上であれば、ここでの判断は肯定され、ステップS435に移行する。
このステップS435では、上記(5)式を用いて、静電潜像gnを形成したときの露光エネルギー密度Enを算出する。
次のステップS437では、試料23における露光エネルギー密度Eと静電潜像の面積Sとの関係を示す近似式を用いて、露光エネルギー密度Enに対応する潜像面積Scnを算出する。
次のステップS439では、上記(7)式を用いて、静電潜像gnの潜像面積補正係数Cnを算出する。
次のステップS441では、上記ステップS419で求めた静電潜像gnの面積Snに潜像面積補正係数Cnを乗算し、新たな静電潜像gnの面積Snとする。すなわち、上記ステップS419で求めた静電潜像gnの面積を補正する。
次のステップS443では、変数nの値が9以上であるか否かを判断する。変数nの値が9未満であれば、ここでの判断は否定され、ステップS445に移行する。
このステップS445では、変数nの値を+1して、上記ステップS417に戻る。
以下、ステップS443での判断が肯定されるまで、ステップS417〜ステップS445の処理を繰り返す。
なお、上記ステップS433において、積分光量変化率Rの絶対値が2%未満であれば、ステップS433での判断は否定され、上記ステップS443に移行する。すなわち、静電潜像gnの面積は補正されない。
変数nの値が9になると、ステップS443での判断が肯定され、ステップS447に移行する。
このステップS447では、計測結果を表示装置3cの表示部に表示するとともに、印刷装置3dを介して紙などに印刷する。そして、静電潜像計測処理を終了する。
図23には、静電潜像g1の面積を1としたときの9個の静電潜像(g1〜g9)の面積が、補正前と補正後について示されている。ここで、補正前と補正後について、静電潜像の面積のばらつきを示す指標P(%)として、面積の標準偏差/面積の平均値×100を計算した。その結果、補正前の指標Pは2.90%であり、補正後の指標Pは2.19%であった。ここでは、光学部品の特性変化に起因するばらつきが補正されているため、補正後のばらつきは、試料23における感光特性のばらつきに起因していると考えられる。
なお、上記処理アルゴリズムは一例であり、これに限定されるものではない。要するに、音響光学偏向素子204aからの0次光の光量を検出しつつ、音響光学偏向素子204aからの一次回折光を試料23に照射して静電潜像を形成する手順と、試料23に電子ビームを照射し、試料23からの2次電子を検出する手順と、2次電子の検出結果に基づいて、静電潜像の面積を算出する手順と、0次光の光量の検出結果を用いて、算出された静電潜像の面積を補正する手順とが含まれていれば良い。
ところで、電子写真方式の画像形成装置においてドット再現性が低下する原因の一つに、感光体の電荷発生層中における電荷発生材料の濃度のばらつきがある。この場合、同じ光学特性を持つ光で露光を行っても露光場所により潜像の大きさが異なり、結果としてドット再現性が低下する。
ドット再現性の低下を抑制するには、静電潜像が画像情報に応じて適切に形成される感光体、すなわち、静電潜像の再現性に優れた感光体を用いることが必要である。そこで、静電潜像の再現性を高精度に評価することが、高品質の画像を形成することができる画像形成装置を実現するのに極めて重要である。
また、同じ露光条件が設定されても、温度変化による光源の発光特性の変化、光学部材の熱変形、光源の駆動信号へのノイズの重畳など(以下では、これらを総称して「光学特性変化」ともいう)により、静電潜像毎に感光体での光量が異なるおそれがある。そこで、計測結果に光学特性変化に起因する成分が含まれるおそれがある。
静電潜像の再現性を評価するうえで、このような光学特性変化が存在すると感光体の感光特性を正しく評価することができない。そこで、感光体における静電潜像の再現性を高精度に評価するには、計測結果から光学特性変化に起因する成分を除く必要がある。従来の静電潜像計測装置を用いた潜像計測では、計測結果から光学特性変化に起因する成分を除くことができなかった。すなわち、感光体の感光特性を正しく評価することができなかった。
本実施形態では、計測結果から光学特性変化に起因する成分を除くことが可能であり、感光体(試料)の感光特性を正しく評価することができる。
本実施形態では、1次回折光で試料表面を2次元的に光走査している。この1次光の光量変化を直接的に求めることは難しい。ところで、0次光と1次回折光は、光量の絶対値は異なるものの、時間的な光量変化は同じである。そこで、本実施形態では、0次光の光量変化を計測することで、1次回折光の光量変化を求めている。
この場合、走査光の光路上に光量変化を測定するための光学素子を配置する必要がなく、光量損失、光路調整、光学系の大型化を抑制することができる。
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る静電潜像計測装置1000では、音響光学偏向素子204aによって回折部材が構成され、シリンダレンズ205と光偏向器206と走査レンズ系207とによって光学系が構成されている。また、0次光受光器213によって0次光を受光する受光器が構成され、検出器302によって2次電子を検出する検出器が構成され、主制御装置3aによって処理装置及び制御用コンピュータが構成されている。
また、上記静電潜像計測処理において、本発明の静電潜像計測方法が実施されている。なお、主制御装置3aのCPUによるプログラムに従う処理の少なくとも一部をハードウェアによって構成することとしても良いし、あるいは全てをハードウェアによって構成することとしても良い。
以上説明したように、本実施形態に係る静電潜像計測装置1000によると、電子ビームを試料23に照射する荷電粒子照射系100、試料23に静電潜像を形成する露光系200、試料23からの2次電子を検出する検出器302、及び制御系3などを備えている。
そして、露光系200は、光源201、コリメートレンズ202、開口板203、音響光学偏向装置204、シリンダレンズ205、光偏向器206、走査レンズ系207、及び0次光受光器213などを有している。
音響光学偏向装置204は、光源201からの光を回折し、入力信号の電圧に応じた偏向角で1次回折光を射出する。この1次回折光は、シリンダレンズ205、光偏向器206、及び走査レンズ系207を介して試料23に照射される。音響光学偏向装置204からの0次光は、0次光受光器213で受光される。
制御系3の主制御装置3aは、検出器302の出力信号に基づいて静電潜像の面積を算出し、該算出された面積を0次光受光器213の出力信号に基づいて補正する。
この場合は、光学特性変化の影響が除去され、静電潜像を精度良く計測することができる。その結果、感光体の感光特性を正しく評価することが可能となる。そして、感光特性に優れた感光体を用いることにより、高品質の画像を形成することができる画像形成装置を実現することができる。
また、音響光学偏向装置204に機械的可動部がないため、高速な光走査を実現することができる。
なお、上記実施形態では、走査レンズ系207が2枚の走査レンズから構成される場合について説明したが、これに限定されるものではない。走査レンズ系207が1枚の走査レンズから構成されても良いし、走査レンズ系207が3枚以上の走査レンズから構成されても良い。
また、上記実施形態では、2次電子を検出して静電潜像の面積を求める場合について説明したが、これに限定されるものではなく、1次反発電子を検出して静電潜像の面積を求めても良い(例えば、特許第4702880号公報参照)。
また、上記実施形態では、積分光量変化率Rの絶対値が2%以上の静電潜像について面積の補正を行う場合について説明したが、これに限定されるものではない。
また、上記実施形態では、積分光量変化率Rに基づいて面積の補正を行うか否かを判断する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、基準となる静電潜像の露光エネルギー密度に対する測定対象となる静電潜像の露光エネルギー密度の変化率に基づいて面積の補正を行うか否かを判断しても良い。
また、上記実施形態において、面積の補正を行うか否かを判断せずに、すべての静電潜像について面積の補正を行っても良い。
また、上記実施形態では、試料23として、平板状の感光体が用いられる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、画像形成装置に用いられるドラム形状の感光体を試料23とすることも可能である。
また、上記実施形態において、前記音響光学偏向装置204に代えて、光源201からの光を回折する光学部材と、該光学部材から射出された1次回折光を副走査対応方向に偏向させる偏向手段とを用いても良い。
また、上記実施形態において、試料23に形成される静電潜像の画像パターンが1次元の画像パターンであって、露光ビームを副走査方向に移動させる必要がない場合は、前記音響光学偏向装置204に代えて、回折格子が形成された光学部材を用いても良い。
3…制御系、3a…主制御装置(処理装置、制御用コンピュータ)、3b…入力装置、3c…表示装置、3d…印刷装置、11…電子銃、12…引き出し電極、13…加速電極、14…コンデンサレンズ、15…ビームブランカ、16…仕切り板、17…可動絞り、18…スティグメータ、19…走査レンズ、20…対物レンズ、21…ビーム射出開口部、23…試料(感光体)、40…真空チャンバ、100…荷電粒子照射系、200…露光系、201…光源、202…コリメートレンズ、203…開口板、204…音響光学偏向装置、204a…音響光学偏向素子(回折部材)、204b…超音波トランスデューサ、204c…RFアンプ、204d…発振器、204e…入力端子、205…シリンダレンズ(光学系の一部)、206…光偏向器(光学系の一部)、207…走査レンズ系(光学系の一部)、211…同期検知用ミラー、212…同期検知センサ、213…0次光受光器(0次光を受光する受光器)、301…試料台、302…検出器(2次電子を検出する検出器)、303…LED、1000…静電潜像計測装置。
特開平3−49143号公報 特開2008−47393号公報 特開2010−176093号公報 特開2011−33794号公報 特開2011−64722号公報

Claims (10)

  1. 感光体に形成された静電潜像を計測する静電潜像計測装置であって、
    光源と、
    前記光源からの光を回折する回折部材と、
    前記回折部材からの回折光を前記感光体に導光する光学系と、
    前記回折部材からの0次光を受光する受光器と、
    前記感光体からの2次電子を検出する検出器と、
    前記検出器の出力信号に基づいて前記静電潜像の面積を算出し、該算出された面積を前記受光器の出力信号に基づいて補正する処理装置と、を備える静電潜像計測装置。
  2. 前記光学系は、前記回折部材からの1次回折光を前記感光体に導光し、
    前記処理装置は、前記回折部材から射出される0次光の光量の時間変化、前記回折部材から射出される0次光と1次回折光の光量比、前記回折部材から射出された1次回折光と前記感光体での1次回折光の光量比を用いて、前記感光体の表面での1次回折光の光量を算出し、該計算結果を用いて前記補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の静電潜像計測装置。
  3. 前記回折部材での回折効率は、1次回折光が射出される方向に依存し、
    前記処理装置は、該依存性を用いて、前記回折部材から射出される0次光と1次回折光の光量比を算出することを特徴とする請求項2に記載の静電潜像計測装置。
  4. 前記処理装置は、前記感光体での光量変動が所定値以上であるとき、前記補正を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の静電潜像計測装置。
  5. 回折部材からの回折光によって感光体に形成された静電潜像を計測する静電潜像計測方法であって、
    前記回折部材からの0次光の光量を検出しつつ、前記回折部材からの回折光を前記感光体に照射して前記静電潜像を形成する工程と、
    前記感光体に荷電粒子ビームを照射し、前記感光体からの2次電子を検出する工程と、
    前記2次電子の検出結果に基づいて、前記静電潜像の面積を算出する工程と、
    前記0次光の光量の検出結果を用いて、前記算出された前記静電潜像の面積を補正する工程と、を含む静電潜像計測方法。
  6. 前記静電潜像を形成する工程では、前記回折部材からの1次回折光を前記感光体に照射して前記静電潜像を形成し、
    前記静電潜像の面積を補正する工程では、前記回折部材から射出される0次光の光量の時間変化、前記回折部材から射出される0次光と1次回折光の光量比、前記回折部材から射出された1次回折光と前記感光体での1次回折光の光量比を用いて、前記感光体の表面での1次回折光の光量を算出し、該計算結果を用いて前記補正を行うことを特徴とする請求項5に記載の静電潜像計測方法。
  7. 前記回折部材での回折効率は、1次回折光が射出される方向に依存し、
    前記静電潜像の面積を補正する工程では、該依存性を用いて、前記回折部材から射出される0次光と1次回折光の光量比を算出することを特徴とする請求項6に記載の静電潜像計測方法。
  8. 前記静電潜像の面積を補正する工程では、前記感光体での光量変動が所定値以上であるとき、前記補正を行うことを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の静電潜像計測方法。
  9. 回折部材からの回折光によって感光体に形成された静電潜像を計測する静電潜像計測装置に用いられるプログラムであって、
    前記回折部材からの0次光の光量を検出しつつ、前記回折部材からの回折光を前記感光体に照射して前記静電潜像を形成する手順と、
    前記感光体に荷電粒子ビームを照射し、前記感光体からの2次電子を検出する手順と、
    前記2次電子の検出結果に基づいて、前記静電潜像の面積を算出する手順と、
    前記0次光の光量の検出結果を用いて、前記算出された前記静電潜像の面積を補正する手順と、を前記静電潜像計測装置の制御用コンピュータに実行させるプログラム。
  10. 請求項9に記載のプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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